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  • 特表-封鎖装置を用いたリーク検査の実施 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】封鎖装置を用いたリーク検査の実施
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
G01M3/26 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530444
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080385
(87)【国際公開番号】W WO2023094117
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021131283.3
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】メブス・ステファン
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA44
2G067BB04
2G067CC04
2G067DD18
(57)【要約】
【課題】リーク検査の改良を提供する。
【解決手段】被検体12のリーク検査の実施方法は、被検体12を被検室14内に配置する過程と、被検室14内で被検体12のリークの有無を検査する過程と、前記リーク検査で被検体12にリークがないと判断された場合、被検室14を開放して被検体12を取り出す過程と、を備え、前記リーク検査で前記被検体にリークがあると判断された場合、被検室14の開放が封鎖されて被検体12の取出しを阻止することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体(12)のリーク検査の実施方法であって、
前記被検体(12)を被検室(14)内に配置する過程と、
前記被検室(14)内で前記被検体(12)のリークの有無を検査する過程と、
前記リーク検査で前記被検体(12)にリークがないと判断された場合、前記被検室(14)を開放して前記被検体(12)を取り出す過程と、
を備える、方法において、
前記リーク検査で前記被検体にリークがあると判断された場合、前記被検室(14)の開放が封鎖されて前記被検体(12)の取出しを阻止することを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記リーク検査の結果に応じて、前記被検室(14)が自動的に封鎖されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、電子キーまたは機械的なキーが、前記封鎖を解除するのに必要であることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、前記リーク検査を実行する測定装置(16)から前記リーク検査に関する情報を受け取る制御装置(22)によって作動する封鎖装置(20)により、前記被検室が封鎖されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、前記被検室(14)の封鎖が、該被検室(14)内部に真空を適用するか又は該被検室(14)内部の真空を保持することによって行われることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、前記被検室(14)の封鎖が、機械的な力を適用することによって行われることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記機械的な力が、前記封鎖装置(20)によって適用されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記封鎖装置(20)が、機械的な閉鎖装置であることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法において、前記被検体のリークの有無を検査し、前記被検体のリークから前記被検室に進入するガスを検出するために、前記被検体(12)を収容した前記被検室(14)が、前記被検体内部の圧力よりも低い被検室内圧になるまで排気されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法において、前記被検体のリークの有無を検査し、前記被検体のリークから前記被検室に進入するガスを蓄積原理に従って検出するために、前記被検体(12)内部の圧力が、前記被検室内部の圧力よりも高い圧力になるまで上昇させられることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、前記被検体(12)のリークの有無を検査する過程が、圧力測定装置、ガス検出器又はガス分析装置の形態の測定装置(16)によって実行されて、該測定装置(16)の測定信号が封鎖装置(20)を作動する前記制御装置(22)に送られることを特徴とする、方法。
【請求項12】
被検体(12)のリークの有無を検査するリーク検査の実施装置であって、
前記被検体(12)を収容する被検室(14)と、
前記被検室(14)と接続されたリークディテクタ(16)と、
を備える、リーク検査の実施装置において、
封鎖装置(20)は、前記リークディテクタ(16)の測定信号がリークがある被検体(12)に相当する場合に、前記被検室(14)を封鎖して前記被検体(12)の取出しを阻止し、前記測定信号がリークがない被検体に相当する場合に、前記被検室(14)の開放を可能にするように構成されていることを特徴とする、リーク検査の実施装置。
【請求項13】
請求項12に記載のリーク検査の実施装置において、さらに、
前記被検室(14)と接続されて該被検室を排気する真空ポンプ(18)、
を備えることを特徴とする、リーク検査の実施装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に対するリーク検査の実施に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装などの被検体のリークの有無を検査するには、検査対象となる被検体を被検室内に配置し、被検室を被検体内部の圧力よりも低い圧力になるまで排気することが知られており、かつ、一般的である。典型的に、被検体内部は大気圧とされる。被検室は、真空ポンプによって排気される。
【0003】
被検室の排気後、ガス検出器やガス分析装置により、被検体から被検室へと漏出するガスが検出され得る。所定量の被検ガスが測定されれば、被検体内部から被検室へと被検ガスが漏出してガス検出器に達する原因となったリークが被検体にあることが分かる。これに代えて又はこれに加えて、被検室内部の圧力が監視されてもよく、被検室内部の圧力が所定値又は所定量を超えて上昇すれば、被検体内部から被検室へとガスが漏出してそこでの圧力を上昇させる原因となったリークが被検体にあることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的には、複数の被検体が、次から次へとリークの検査を受ける。作業者は、被検体を被検室内に配置し、被検室を閉鎖し、リーク検査を開始して監視を行い、リーク検査の終了後、被検体を取り出す。リークがあると検知された被検体が、リークがないと検知された被検体のグループに割り当てられてしまい、それと分別されなくなるという懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、リーク検査の改良を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る方法は、請求項1に構成により定まる。本発明に係るリーク検査の実施装置は、請求項12の構成により定まる。
【0007】
本発明では、リーク検査の結果が被検体のリークを示唆している場合に被検室からの被検体の取出しを阻止するために、リーク検査の結果に応じて被検室が封鎖されるとともに、被検体にリークがない場合には、被検室が解放される。これにより、被検室から被検体を取り出す作業者が、リークがあると識別された被検体をリークがない被検体として扱ってしまったり、被検室から該被検体を取り出してそれをリークがあると検査された被検体のグループに誤って振り当ててしまったりすることが阻止される。リークがある被検体の場合には被検室が封鎖されるので、被検体を被検室から取り出すには、まず、作業者が追加の行動をとる必要がある。つまり、被検体にリークがある場合には、被検体にリークがない場合とは手順が異なることになり、作業者による混同のリスクが軽減される。
【0008】
被検体を収容した被検室は、リーク検査の前に、被検体内部の圧力よりも低い真空圧になるまで排気され得る。この目的のために、被検室は、真空ポンプに接続され得る。被検体にリークがある場合には、被検体の内部からリークを通って真空チャンバ内へとガスが漏出する。
【0009】
あるいは、被検体は、過圧になるまで、少なくとも一部を特定の被検ガスとしながら加圧され得る。この被検体は、蓄積チャンバの形態の被検室内に配置され、該蓄積チャンバ内の被検ガスの濃度が測定される。蓄積チャンバ内の、経時的に増加する被検ガス濃度が、被検体のリーク量の尺度となる。
【0010】
リーク検査の結果に応じて、前記被検室が自動的に封鎖されてもよい。リーク検査の結果は、ガス検出器及び/又はガス分析装置及び/又はガス測定装置であり得るリークディテクタによる測定結果である。
【0011】
被検室の開放の封鎖や被検室の封鎖を解除するには、人間の作業者が被検室を解放するために用いるキーが必要となるのが好ましい。該キーは、例えばパスワード、トークン等の形態の電子キー、あるいは、機械的なキーであり得る。
【0012】
リークディテクタからリーク検査に関する情報を受け取る制御装置によって作動する封鎖装置により、被検室が封鎖されてもよい。リークディテクタとは、ガス検出器、例えば質量分析計や赤外吸収分析装置等のガス分析装置、ガス測定装置といった、リーク検査を実行する測定装置のことである。
【0013】
上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、被検室の封鎖は、該被検室内部に真空を適用するか又は該被検室内部の真空を保持することによって行われてもよい。例示的な本実施形態での封鎖装置は、例えば真空ポンプの駆動や真空ポンプの動作の維持等によって真空の適用や維持を行う制御電子部であると理解できる。
【0014】
被検室の封鎖は、機械的な力を適用することによって行われてもよい。該力は、被検室を開放するために適用される力に抵抗する力であり得る。該力は、被検室内部の真空によって適用される力であってもよいし、ロックやラッチなどの機械的な閉鎖要素によって適用される力であってもよい。
【0015】
リークディテクタの測定信号は、封鎖装置と電子的に接続された制御装置への電子信号として送られ、被検体にリークがあると検知された場合には、該制御装置が、被検室を封鎖させるように封鎖装置の作動をトリガする制御信号を該封鎖装置に送り得る。
【0016】
本件では、リークが検知されなかった被検体のことをリークがないと記載するとともに、リークが検出された被検体のことをリークがあると記載する。この目的のために、リーク検査の実施装置の測定信号は、典型的に、基準値および/または閾値と比較される。これにより、該測定信号に基づいて、被検体をリークがない被検体のグループに分類するのか、それとも、リークがある被検体のグループに分類するのかを自動的に評価することが可能になる。リーク検査を実施する人間の作業者は、典型的に、リークがないと確認された被検体を被検室から取り出し、これを、例えば、この目的のために設けられた容器、この目的のために設けられたコンベアベルト、その他の空間的に制限された領域等に移動させることにより、該被検体をリークがない被検体のグループに割り当てる。本発明は、リークがあると識別された被検体をリークがない被検体のグループに人間の作業者が誤って割り当ててしまうリスクを軽減させることを意図している。被検室を封鎖することにより、作業者の工程は、被検体にリークがない場合の工程と異なったものになる。被検体を取り出す際に被検室が封鎖されることで、作業者は、該被検体にリークがあることが確認されており、リークがない被検体のグループに割り当ててはいけないという点を認識するための、追加の機会を有することになる。
【0017】
本発明の例示的な一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るリーク検査の実施装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
リークの検査対象である被検体12が、被検室14内部に配置される。被検室14は、一般的な真空チャンバであり、図面では閉じた状態で描かれている。被検室14を被検体12内部の圧力よりも低い圧力になるまで排気するために、被検室14には真空ポンプ18が真空接続されている。被検体12にリークがある場合には、被検体12の内部から、被検体12の外側の部分の、被検室14の内部へと、被検ガスが漏出する。
【0020】
被検室14の内部に対しては、さらに、リークディテクタ16がガス導通可能に真空接続されており、リーク測定を行う。図示の例示的な実施形態では、被検室14と真空ポンプ18とを接続するガスライン経路上に、リークディテクタ16が含まれている。これとは違う構成も考えられる。リークディテクタ16は、一般的なガス検出器、ガス分析装置、あるいは、被検室14内部の圧力を監視する圧力測定装置であり得る。リーク検査に必要なバルブも存在しているが、簡略化のために図面には描いてない。
【0021】
リークディテクタ16が被検体12の内部から漏出した被検ガスを測定すると、あるいは、圧力測定装置の場合であれば、被検体12のリークを示唆する圧力上昇を計測すると、リークディテクタ16は、リークディテクタ16に電子的に接続された制御装置22に対し電子信号を送る。制御装置22は、リークディテクタ16からの測定信号が被検体12のリークを示唆している場合、封鎖装置20を駆動して被検室14の開放を阻止する制御信号を自動的に生成するように構成されている。この目的のために、制御装置22は、封鎖装置20に電気的に接続されている。封鎖装置20は、機械的なロック、または被検室14を施錠するロックであり得る。これに代えて又はこれに加えて、封鎖装置20は、被検室14の内部と被検室14周囲の外気とを接続し、被検室14が開放される前に被検室14の通気を行うために開かれるバルブであってもよい。被検室14を封鎖するには、該バルブを閉じたままに維持することで、被検室14が通気されないようにする。つまり、被検室内部は、人間の作業者が被検室14を開放することができないほど高い真空圧となる。よって、該真空圧により、被検室を閉鎖するための閉鎖力が発生する。これに代えて又はこれに加えて、該閉鎖力は、閉鎖装置による機械的な力として適用されてもよい。
【0022】
また、制御装置22が、真空ポンプ18又はさらなる真空ポンプを駆動するか又はその動作を維持することにより、被検室14内部の真空圧を維持するか又は高めるようにすることも考えられる。この場合の封鎖装置20は、前記真空ポンプの一部として又はさらなる真空ポンプとして理解することができる。
【0023】
リーク検査で被検体12にリークがあることが判明した後、被検体12を被検室14から取り出したい場合、作業者は、キーを使って封鎖装置20を停止させなければならない。該キーは、例えば、機械的な閉鎖装置を解錠したり、封鎖装置20を停止させる指令を制御装置22に与えたりするための、機械的なキーであり得る。該キーは、ユーザが制御装置22の操作端末に入力しなければならないパスワードの形態の電子キーであってもよい。いずれにせよ、被検体12を被検室14から取り出したい作業者が、リークがある被検体を被検室14から取り出すには、リークがない被検体の場合よりも、追加の行動をとらなければならなくなる。これにより、リークがある被検体を、リークがないと確認された被検体のグループや数量と混同するリスクが軽減される。
図1
【国際調査報告】