(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】持続可能な包装用ポリエチレンラミネート
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20241108BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20241108BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D30/02
B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024530515
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2022082749
(87)【国際公開番号】W WO2023094363
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513276905
【氏名又は名称】ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOREALIS AG
(71)【出願人】
【識別番号】516071561
【氏名又は名称】アブダビ・ポリマーズ・カンパニー・リミテッド・(ボルージュ)-ソール・プロプライエターシップ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Abu Dhabi Polymers Co. Ltd(Borouge) - Sole Proprietor ship L.L.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ダス,スブラタ クマール
(72)【発明者】
【氏名】マルムロス,ペータル
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラグベンドラ
(72)【発明者】
【氏名】キナシ,パウルス パンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】タコール,パバン クマール
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064BA26
3E064BA27
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
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3E086BA15
3E086BA33
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3E086CA01
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3E086CA35
3E086CA40
4F100AK04A
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4F100YY00E
(57)【要約】
本発明は、内面と外面とを含む、ポリエチレンラミネートフィルムであって、
a)外層E、コア層Fおよび内層Gを含む印刷フィルムであって、前記内層Gが前記ラミネートフィルムの前記外面を形成し、前記内層Gが、920~935kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有するエチレンコポリマーである成分AGを含む内層G組成物でできている、印刷フィルム;および
b)外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、前記内層Cが前記ラミネートフィルムの前記内面を形成し、前記内層Cが、少なくとも1種のエチレンポリマーを含む内層C組成物でできている、シーラントフィルム;
を含み、
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、前記印刷フィルムの前記外層Eにラミネートされ、
前記ラミネートフィルムの前記外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、前記ラミネートフィルムの前記内面の5Nにおけるシール開始温度よりも少なくとも10℃高く、前記シール開始温度は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される、ポリエチレンラミネートフィルムに関する。
さらに本発明は、該ポリエチレンラミネートフィルムを含む物品、および物品の包装のためのポリエチレンラミネートフィルムの使用に関する。さらに、本発明は、シーラントフィルム、該シーラントフィルムを含む成形品、および成形品の包装のための該シーラントフィルムの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面と外面とを含むポリエチレンラミネートフィルムであって、
a)外層E、コア層Fおよび内層Gを含む印刷フィルムであり、前記内層Gが該ラミネートフィルムの前記外面を形成し、前記内層Gが、920~935kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有するエチレンコポリマーである成分AGを含む内層G組成物でできている、印刷フィルム;および
b)外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、前記内層Cが前記ラミネートフィルムの前記内面を形成し、前記内層Cが、少なくとも1種のエチレンポリマーを含む内層C組成物でできている、シーラントフィルム;
を含み、
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、前記印刷フィルムの前記外層Eにラミネートされ、
前記ラミネートフィルムの前記外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、前記ラミネートフィルムの前記内面の5Nにおけるシール開始温度よりも少なくとも10℃高く、前記シール開始温度は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される、ポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項2】
前記内層C組成物が、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分ACを含む、請求項1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項3】
前記印刷フィルムの前記内層G組成物が、前記内層G組成物の総重量に基づいて、前記成分AGを50~75重量%の量で含む;および/または、前記シーラントフィルムの前記内層C組成物が、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分ACを、前記内層C組成物の総重量に基づいて好ましくは60~90重量%の量で含み、前記成分ACの密度は前記成分AGの密度より低い、請求項1または2に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項4】
前記印刷フィルムの前記内層G組成物が、915~930kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BG1;および/または、950~970kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する高密度エチレンポリマーである成分BG2をさらに含み、好ましくは、前記成分BG1およびBG2のいずれかまたはそれぞれを、前記内層G組成物の総重量に基づいて、15~45重量%の量で含む、請求項3に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項5】
前記成分AC、AGおよびBG2のいずれかまたはすべてが/二峰性エチレンコポリマーであり、好ましくは、前記成分ACおよびAGのいずれかまたは両方が/エチレンと少なくとも2種の異なるC
4-C
12α-オレフィンモノマーとのコポリマーである、請求項3または4に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項6】
前記シーラントフィルムの前記内層C組成物が、918~928kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する低密度ポリエチレンである成分BCを、前記内層C組成物の総重量に基づいて、好ましくは10~30重量%の量でさらに含む、請求項3~5のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項7】
前記印刷フィルムの前記コア層Fが、950~970kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する高密度エチレンポリマーである成分AFを、コア層F組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大90重量%の量で含むコア層F組成物でできている、請求項1~6のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項8】
前記印刷フィルムの前記コア層F組成物が、920~935kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有するエチレンコポリマーである成分BFを、前記コア層F組成物の総重量に基づいて、好ましくは5~40重量%の量でさらに含む、請求項7に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項9】
前記シーラントフィルムの前記コア層Bが、925~945kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する中密度ポリエチレンである成分ABを、コア層B組成物の総重量に基づいて、好ましくは40~75重量%の量で含む;および/または915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BBを、前記コア層B組成物の総重量に基づいて、好ましくは20~40重量%の量で含む、コアB層組成物でできている、請求項1~8のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項10】
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、915~930kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AA;および/または、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BAを、好ましくは、成分AAおよびBAのいずれかまたはそれぞれを、外層A組成物の総重量に基づいて30~50重量%の量で含む外層A組成物でできている、請求項1~9のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項11】
以下の基準:
a)前記ラミネートフィルムおよび/または前記シーラントフィルムおよび/または前記印刷フィルムは、ASTM D1003に従って測定される、12%未満のヘイズ値を有する;
b)前記ラミネートフィルムおよび/または前記シーラントフィルムおよび/または前記印刷フィルムは、ISO2813に従って前記それぞれの内層C/Gまたは外層A/Eにおいて60°で測定される、少なくとも80の光沢値を有する;
c)ASTM D882に従って測定される、前記シーラントフィルムの機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線)が280~500MPaである、および/または、前記印刷フィルムの機械方向の引張弾性率が500~1000MPaである、および/または、前記ラミネートフィルムの機械方向の引張弾性率が400~800MPaである;および
d)前記ラミネートフィルムが、ASTM F-1249に従って37.8℃、90%RHで測定される5g/m
2/日以下の水蒸気透過率(WVTR)を有し、任意に、ISO15105-2に従って、23℃、0%RHで測定される2000cm
3/m
2/d以下の酸素透過率(OTR)を有する、
の1つまたは複数を満たす、請求項1~10のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項12】
前記印刷フィルムが15~40μmの厚さを有し、前記シーラントフィルムが35~120μmの厚さを有し、前記印刷フィルムおよび前記シーラントフィルムのそれぞれが最大7層を含み、ブローンフィルムまたはキャストフィルムプロセスによって製造され、好ましくは無延伸フィルムであり、任意に、前記ラミネートフィルムが、前記シーラントフィルムの前記外層Aと前記印刷フィルムの前記外層Eとの間に接着剤層を含む、請求項1~12のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項13】
外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、
前記内層Cが、
a)915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AC;および
b)918~928kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する低密度ポリエチレンである成分BCを、好ましくは内層C組成物の総重量に基づいて10~30重量%の量で含む内層C組成物でできており、
以下の基準:
c)前記コア層Bが、925~945kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する中密度ポリエチレンである成分ABを、好ましくはコア層B組成物の総重量に基づいて40~75重量%の量で含むコア層B組成物でできている、および
d)前記外層Aが、915~930kg/m
3の密度、およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AAを、好ましくは、外層A組成物の総重量に基づいて、30~50重量%の量で含む外層A組成物でできている、
の少なくとも1つを満たす、シーラントフィルム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルムまたは請求項13に記載のシーラントフィルムを含む成形品。
【請求項15】
請求項1~12のいずれかに記載のポリエチレンラミネートフィルムまたは請求項13に記載のシーラントフィルムの、物品の包装のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷フィルムとシーラントフィルムとを含むポリエチレンラミネートフィルムに関する。さらに、本発明は、ポリエチレンラミネートフィルムを含む物品、および包装用途におけるポリエチレンラミネートフィルムの使用に関する。本発明はまた、シーラントフィルムおよび包装用途におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ラミネートフィルムは包装用途に広く使用されている。従来の軟包装用ラミネートは、印刷フィルムとして例えばポリエステル(例えばPET)、ポリアミドまたは配向性ポリプロピレン(例えばBOPP)、シーラントフィルムとしてポリエチレン(PE)など、異なるポリマーファミリーを含む。ラミネートは一般的に、異なるフィルムからの多機能要件、すなわち、歪みや破裂のないパッケージの完全性を確保するためのシーラントフィルムの十分な靭性関連特性、および基材フィルムの、特にフォームフィルシール(FFS)機での包装の際に、包装された商品の貯蔵寿命とその後のハンドリングと操作の向上を確保するための剛性とバリア関連特性に適合させるために包装業界で採用されている。シーラントフィルムには、優れたシール性能のほかに、衝撃強度(ダート衝撃など)と機械的特性(例えば、剛性、引張強度)のバランスのとれた挙動、並びに良好な審美性能(例えば、光沢と透明度の点で)が望まれる。基材はポリエチレンシーラントフィルムでラミネートされ、優れた剛性、耐熱性、光学およびバリア性を提供する。
【0003】
最近では、ポリエチレンシーラントフィルムを同じくポリエチレン製の基材にラミネートすることで、「純粋な」ポリエチレンによる解決策を提供する傾向が高まっている。単一クラスの樹脂をベースとするこうしたラミネートは、従来の方法で容易にリサイクルできるため、持続可能性が向上し、また、安価なポリエチレンポリマーを使用することで製造コストを削減できる。しかし、ポリエチレン基材では剛性が不足し、耐熱性に劣るため、縦型フォームフィルシール(VFFS)ラインでのより速い包装速度に持ちこたえる、およびトップシールジョーの高温化に耐えるのに適切ではない可能性があるため、従来の基材をポリエチレン基材に置き換えることは困難であった。「純粋な」ポリエチレンによる解決策は通常、剛性、耐熱性、バリア性能に劣る傾向があるため、さまざまなFFS機械やさまざまな最終用途での使用は難しい。シールジョーへのフィルムの貼り付きの問題を回避するために、より高い耐熱性が不可欠である高速VFFS包装機上で円滑に走行させるのに必要な特性を備えた完全なPEラミネートを製造することは大きな課題である。従って、「純粋な」ポリエチレンラミネートは知られているが、特に基材が無延伸PEフィルムとして製造される場合、このようなラミネートの性能をさらに向上させることが依然として求められている。
【0004】
国際出願公開第2018/187438号には、シーラントフィルムと、15ミクロン~30ミクロンの厚さの層状印刷フィルムとを含む包装用ラミネート構造が記載されている。印刷フィルムの中間層は、0.950~0.965g/cm3の密度および、0.1~20g/10分のメルトインデックス(I2)高密度ポリエチレン(HDPE)を少なくとも90重量%含み、内層と外層は共に0.925~0.965g/cm3の密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。SIT、光学特性、機械的特性に関する詳細は、印刷フィルムについてもラミネート構造についても、この刊行物には開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願公開第2018/187438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、好ましくは通常の無延伸ブローンフィルム(インフレーションフィルム)またはキャストフィルムから製造され、良好なまたはさらに向上した耐熱性および機械的特性を有することにより高速VFFS作業において優れた性能を示し、同時に優れたシール性能を示すポリエチレンラミネートフィルムを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、好ましくは、特に水分バリアが重要である包装用途におけるラミネートフィルムの意図された用途に必要とされる、追加のバリアコーティング(例えば金属化)手順を使用することなく、良好なバリア性を有するポリエチレンラミネートフィルムを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、包装用途のフィルムで求められている美的要求をも満たし、良好な光学特性(例えば、光沢やヘイズ)を有するポリエチレンラミネートフィルムを提供することである。
【0009】
最後に、本発明は高速印刷動作およびその後の包装ラインでの性能に要求される特性(機械的特性および耐熱性)を有する印刷フィルムを含むポリエチレンラミネートフィルムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的の組み合わせは本発明によって達成され、本発明は内面と外面とを含むポリエチレンラミネートフィルムであって、
a)外層E、コア層Fおよび内層Gを含む印刷フィルムであって、前記内層Gが前記ラミネートフィルムの前記外面を形成し、前記内層Gが、920~935kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有するエチレンコポリマーである成分AGを含む内層G組成物でできている、印刷フィルム;および
b)外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、前記内層Cが前記ラミネートフィルムの前記内面を形成し、前記内層Cが、少なくとも1種のエチレンポリマーを含む内層C組成物でできている、シーラントフィルム;
を含み、
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、前記印刷フィルムの前記外層Eにラミネートされ、
前記ラミネートフィルムの前記外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、前記ラミネートフィルムの前記内面の5Nにおけるシール開始温度よりも少なくとも10℃高く、前記シール開始温度は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される、ポリエチレンラミネートフィルムを提供する。
【0011】
本発明は、こうしたポリエチレンラミネートフィルムは、印刷フィルムとシーラントフィルムとの組み合わせによって提供することができ、前記印刷フィルムの前記内層が特別に選択されたエチレンポリマーを含み、前記ラミネートフィルムの前記外側の層の耐熱特性が特別に調整されている、という知見に基づいている。
【0012】
本発明のポリエチレンラミネートフィルムにおける前記印刷フィルムとシーラントフィルムの前記内層の組み合わせは、上記の目的を解決する。
【0013】
ラミネートフィルムの2つの外側の面間のシール開始温度の差は少なくとも10℃であり、非常に良好な機械的特性により、VFFSラインのシールバーでジョーに貼り付く問題もなく、優れたシール挙動を達成しながら、ラミネートフィルムを50~80パウチ/分の包装速度で走行させることができる。
【0014】
このラミネートフィルムでは、バリアコーティングやメタライゼーションを施すことなく、優れたバリア性を実現しており、特に水分バリアが最も重要な包装用途の大半に、リサイクル性の問題なく使用することができる。
【0015】
良好な光学特性を維持しながらポリエチレンフィルムの耐熱性を高めることは非常に困難であるが、このラミネートフィルムは、比較的高い光沢と低いヘイズも特徴としている。従って、本発明のポリエチレンラミネートフィルムは、包装用途に使用するラミネートフィルムに所望されるすべての特性を兼ね備えている。
【0016】
さらに、ラミネートフィルムの印刷フィルムを高速印刷機上で簡単に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明のラミネートフィルムの一実施形態の構造を示す。
【
図2】
図2はシーラントフィルムのシール開始温度を示す。
【
図3】
図3は印刷フィルムのシール開始温度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、ポリエチレンラミネートフィルムは、シーラントフィルムおよび印刷フィルムを含む、またはから成る。
【0019】
印刷フィルム
<構造>
「印刷フィルム」という表現は、印刷動作(高速印刷プロセスなど)に使用可能な層を含むフィルムを示す。フィルムは非印刷フィルムでも印刷フィルムでもよい。
【0020】
本発明の印刷フィルムは、複数の層、少なくとも外層E、コア層Fおよび内層Gの複数の層を含む、またはから成る。コア層Fは外側の層、すなわち外層Eと内層Gとの間に位置する。好ましくは、印刷フィルムの外層Eは、印刷可能な層または印刷された層であり、すなわち、印刷は、好ましくは表面処理(コロナ処理)の後に、印刷フィルムの外層Eに対して行うことができる。
【0021】
印刷フィルムは基材(フィルム)としても機能し、ラミネートフィルムの機械的特性および/または光学的特性に寄与する。従って、本開示では、「印刷フィルム」と「基材フィルム」または「基材」という表現は同義に使用される。シーラントフィルムにラミネートされると、内層Gはラミネートフィルムの外面を形成する。
【0022】
一実施形態では、印刷フィルムは、外層E、コア層F、内層Gから成る。別の実施形態では、印刷フィルムは、1つまたは複数のさらなる中間(またはサブスキン)層Yを含む。
【0023】
特定の実施形態では、印刷フィルムは、例えば、5層フィルム構造E/Y1/F/Y2/Gまたは7層フィルム構造E/Y1/Y1/F/Y2/Y2/Gにおいて、コア層Fと内層Gとの間、およびコア層Fと外層Eとの間に、1つまたは複数の中間層Yをさらに含む。好ましくは、印刷フィルムは最大9層、より好ましくは最大7層を含む。
【0024】
存在する場合、中間層Yは、好ましくは、隣接する層の組成に類似した組成を含む、またはから成る。このため、中間層Yはコア層Fの組成、または隣接する内層Gもしくは隣接する外層Eの組成のいずれかであってもよい。
【0025】
好ましくは、印刷フィルムは15~40μm、より好ましくは20~38μm、最も好ましくは22~35μmの厚さを有する。
【0026】
好ましくは、コア層Fは、全印刷フィルムの厚さの30~80%、より好ましくは35~75%、最も好ましくは40~70%の厚さを有する。
【0027】
外層Eおよび/または内層Gは、好ましくはそれぞれ、全フィルム厚さの10~35%、より好ましくは15~30%、例えば25%の厚さを有する。5層フィルム構造E/Y1/F/Y2/Gにおいて、内層Gおよび/または外層Eは、好ましくはそれぞれ、全印刷フィルム厚さの5~25%、より好ましくは7.5~20%の厚さを有する。
【0028】
好ましくは、印刷フィルムは「ポリエチレンフィルム」、すなわち少なくとも一種のエチレンポリマーを含む、またはから成るフィルムであり、これはエチレンのホモポリマーでもコポリマーでもよい。好ましくは、ポリオレフィンフィルムは、ポリエチレンフィルムの総重量に基づいて、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%のエチレンポリマーを含む。好ましくは、ポリエチレンフィルムは、ポリエチレンフィルムの総重量に基づいて、90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、最も好ましくは98~100重量%のエチレンポリマーを含む。最も好ましくは、ポリエチレンフィルムはエチレンポリマーのみから成る。好ましくは、エチレンポリマーは、エチレンホモポリマーおよび/またはエチレンとプロピレンとのコポリマーおよび/または4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンのいずれかを含む、またはから成る。好ましくは、ポリエチレンフィルムは非ポリオレフィンポリマーを含まず、より好ましくは非ポリエチレンポリマーを含まない。特に好ましいのは、ポリエチレンフィルムがポリエステルやポリアミドポリマーを含まないことである。ポリエチレンフィルムを使用することで、完全にリサイクル可能で持続可能な包装構造を提供できる。
【0029】
一般に、印刷フィルムは配向フィルムまたは無配向フィルムとして提供される。配向フィルムとは、製造後に「延伸された」フィルムのことである。配向フィルムは通常、機械方向(MD)および/または横方向(TD)に300%を超えて、好ましくは500%を超えて延伸される。機械方向に延伸されたフィルムは、しばしば「MDO」フィルムと呼ばれる。二方向に延伸されたフィルムは「二軸延伸ポリエチレン」(BOPE)と呼ばれる。無延伸フィルムとは、ブローンフィルムまたはキャストフィルムのことで、フィルム製造後に、任意の適当な手段、すなわちその後の加熱および/またはフィルム製造中のローラーの使用によって意図的に(好ましくは、200%を超えて)延伸されないフィルムである。
【0030】
好ましくは、印刷フィルムは無配向フィルムである。好ましくは、印刷フィルムは、延伸装置を使用することなく、標準的なフィルム機械システム(ニップローラーまたはテイクオフローラーおよびワインダー)を通して、標準的なブローンおよび/またはキャストフィルムラインで製造される。
【0031】
本開示の意味の範囲内で理解されるように、層調製のための印刷フィルムおよびそのそれぞれの層組成物は、安定剤、加工助剤および/または顔料のような添加剤も含むことができる。こうした添加剤の例には、酸化防止剤、紫外線安定剤、酸捕捉剤、核剤、アンチブロック剤、スリップ剤など、並びにポリマー加工剤(PPA)がある。添加剤は、フィルムの一部または一方の層のみに、同じ含有量または異なる含有量で存在していてもよい。添加剤は、組成物の調製中に各層組成物に添加してもよいし、それぞれの層組成物の調製に使用されるポリマーのいずれかにすでに含まれていてもよい。
【0032】
一般に、各添加剤は、フィルムの層の調製に使用されるそれぞれの層組成物の総重量に基づいて、0~5000ppmの量で存在していてもよい。添加剤は一般に、いくつかの供給業者から入手でき、単一の添加剤として、または2つ以上の添加剤の混合物として組成物に含まれている。こうした組成物は、一般に、フィルムの層の調製に使用されるそれぞれの層組成物の重量に基づいて、層組成物中に0~5重量%の量で存在していてもよい。
【0033】
一般に、本開示の意味の範囲内において、百分率(%)は、特に断りのない限り、重量百分率(重量%)と理解される。
【0034】
<組成物>
印刷フィルム層はそれぞれ、少なくとも1つのポリマー(例えばポリエチレン)成分を含む組成物でできている。組成物が複数のポリマー成分を含む場合は、これらの成分のブレンドである。追加の化合物(ポリマー加工助剤、アンチブロック剤、スリップ剤のような添加剤など)が組成物中に存在していてもよい。
【0035】
内層G
内層Gは、特にフィルムの耐熱性と光学特性に寄与する成分を含む内層G組成物でできている。さらに、この層はフィルムに機械的特性も付与する。
【0036】
シーラントフィルムにラミネートする場合、内層Gはラミネートフィルムの外面を形成する。ラミネートフィルムに使用される印刷フィルムは一般的に外層にリバース印刷されるため、この層には良好な光学特性が重要である。
【0037】
内層にエチレンポリマーを選択することで、高速印刷動作、特に200m/分を超える印刷速度に理想的な印刷フィルムを製造できる。
【0038】
成分AG
印刷フィルムの内層Gは、920~935kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有するエチレンコポリマーである成分AGを含む内層G組成物でできている。
【0039】
一般に、エチレンポリマーは単峰性または多峰性、例えば二峰性であり得る。ポリマーの「モダリティ」とは、ポリマーの分子量分布の構造、すなわち分子量の関数としての分子数を示す曲線の外観を意味する。曲線が1つの極大値を示す場合、ポリマーは「単峰性」と呼ばれ、その曲線が非常に広い極大値または2つ以上の極大値を示し、ポリマーが2つ以上のフラクションから成る場合、ポリマーは「二峰性」、「多峰性」などと呼ばれる。例えば、ポリマーが、直列に連結された反応器を使用し、各反応器で異なる条件を使用する逐次多段プロセスで製造される場合、異なる反応器で製造されるポリマーフラクションは、それぞれ独自の分子量分布と重量平均分子量を有することになる。このようなポリマーの分子量分布曲線が記録されると、これらのフラクションからの個々の曲線が、得られるポリマー製品全体の分子量分布曲線に重ね合わされ、通常、2つ以上の明瞭な極大値を有する曲線が生じる。
【0040】
単峰性エチレンポリマーの製造では、エチレンポリマーは、モノマー組成、水素ガス圧、温度、圧力などに関して一定の条件下、反応器内で製造される。コモノマーとして、3~12個の炭素原子を有するα-オレフィンなどの最大12個の炭素原子を有する他のオレフィン、例えばプロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどがエチレンの共重合に一般的に使用される。
【0041】
例えば二峰性エチレンポリマーの製造では、第1エチレンポリマーが、モノマー組成、水素ガス圧、温度、圧力などに関して一定の条件下で、第1反応器で製造される。第1反応器での重合後、生成されたポリマーを含む反応混合物は第二反応器に供給され、そこで別の条件下でさらに重合が行われる。通常、メルトフローレートが高く(低分子量)、コモノマーの添加量が中程度もしくは少ない、または全く添加されていない第1ポリマーが第1反応器で製造される一方で、メルトフローレートが低く(高分子量)、コモノマーの添加量が多い第2ポリマーが第2反応器で製造される。得られた最終生成物は、2つの反応器からのポリマーの密接な混合物から成り、これらのポリマーの異なる分子量分布曲線は、幅の広い極大値または2つの極大値を有する分子量分布曲線を形成する。すなわち、最終生成物は二峰性ポリマー混合物である。
【0042】
好ましくは、成分AGは多峰性エチレンコポリマーであり、より好ましくは二峰性エチレンコポリマーであり、さらにより好ましくは、エチレンと少なくとも2種の異なるC4-C12α-オレフィンモノマーとのコポリマー、すなわちターポリマーである。
【0043】
好ましくは、多峰性ターポリマーは、エチレンと、4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンから選択される少なくとも2つの異なるコモノマーとの多峰性ポリマー含む、またはから成り、13~30の比MFR21/MFR2および6以下のMWDを有する。
【0044】
こうした多峰性エチレンターポリマーは、例えば国際出願公開第2016/083208号に開示されている。これらのエチレンターポリマーの定義(ポリマーの「モダリティ」など)および製造方法に関しては、国際出願公開第2016/083208号が参照される。さらに、国際出願公開第2016/083208号に記載されているように所要の密度を有するエチレンターポリマーのすべての実施形態および好ましい実施形態も、本明細書に明示的に記載されているか否かにかかわらず、本発明における成分AGの多峰性エチレンターポリマーの好ましい実施形態である。
【0045】
多峰性エチレンターポリマーは、好ましくは0.5~2.5g/10分、特に好ましくは1.0~1.8g/10分の範囲のMFR2を有する。好ましくは、多峰性エチレンターポリマーは922~933kg/m3、より好ましくは923~930kg/m3を超える密度を有する。多峰性エチレンターポリマーは、好ましくは13~30、より好ましくは15~25の比MFR21/MFR2を有する。
【0046】
多峰性エチレンターポリマーの4~10個の炭素原子を有する少なくとも2種のα-オレフィンコモノマーは、好ましくは1-ブテンと1-ヘキセンである。好ましくは、多峰性エチレンターポリマー中に存在するコモノマーの総量は、0.5~10mol%、好ましくは1.0~8mol%、より好ましくは1.0~5mol%、より好ましくは1.1~4.0mol%である。
【0047】
好ましくは二峰性ターポリマーである多峰性エチレンターポリマーは、好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)およびエチレンポリマー成分(B1)を含む、またから成り、エチレンポリマーポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)よりも高いMFR2を有する。
【0048】
より好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、1~50g/10分、好ましくは1~40g/10分、より好ましくは1~30g/10分、より好ましくは2~20g/10分、より好ましくは2~15g/10分、さらにより好ましくは2~10g/10分のMFR2を有する。
【0049】
エチレンポリマー成分(A1)のMFR2とエチレンポリマー成分(B1)のMFR2との比は、2~50、好ましくは5~40、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは10~25、なおさらにより好ましくは11~25である。
【0050】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)とは異なるコモノマーを含む。好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)より少量のコモノマー量(モル%)を有し、より好ましくは、[エチレンポリマー成分(A1)中に存在する4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーの量(モル%)]と、[最終的なエチレンの多峰性ポリマーの4~10個の炭素原子数を有する少なくとも2種のα-オレフィンコモノマーの量(モル%)]との比は、0.2~0.6、好ましくは0.25~0.5である。
【0051】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)の4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーは1-ブテンであり、エチレンポリマー成分(B1)の4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーは1-ヘキセンである。特に好ましいのは、二峰性ターポリマーは、低級α-オレフィンコモノマー(例えば1-ブテン)がループ反応器でのスラリー重合によって導入され、高級α-オレフィンコモノマー(1-ヘキセン)が気相反応器での気相重合によって導入される二段階以上の重合で調製されることである。
【0052】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)と異なる、好ましくはより高い密度を有する。エチレンポリマー成分(A1)の密度は、好ましくは925~950kg/m3、より好ましくは930~945kg/m3である。
【0053】
好ましくは、多峰性エチレンターポリマーは、エチレンポリマーの総量(100重量%)に基づいて、30~70重量%、好ましくは40~60重量%、より好ましくは35~50重量%、より好ましくは40~50重量%の量のエチレンポリマー成分(A1)、および70~30重量%、好ましくは60~40重量%、より好ましくは65~50重量%、より好ましくは60~50重量%の量のエチレンポリマー成分(B1)を含む。
【0054】
最も好ましくは、多峰性エチレンターポリマーは、エチレンポリマー成分(A1)および(B1)の単独ポリマー成分から成る。従って、エチレンポリマー成分(A1)とエチレンポリマー成分(B1)との比は、(30~70):(70~30)好ましくは(40~60):(60~40)、より好ましくは(35~50):(65~50)、より好ましくは(40~50):(60~50)である。
【0055】
特に好ましい実施形態において、多峰性ターポリマーは、二峰性ターポリマー、すなわち低分子量成分と高分子量成分を含み、1.0~1.8g/10分のMFR2、および/または2.8~4.5g/10分のMFR5、および/または20~36g/10分のMFR21、および/または925~929kg/m3を超える密度、および/または3.0~5.0の分子量分布(Mw/Mn)、および/または15~25kg/molのMn、および/または70~125kg/molのMw、および/または15~25のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または、6~9のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。分子量パラメーターはすべて、以下に詳述するように、標準較正を用いたGPC従来法によって測定される。
【0056】
AG成分として、Borealis社またはBorouge社製の樹脂Anteo(商標)FK2715を使用できる。
【0057】
好ましくは、成分AGは、内層G組成物の総重量に基づいて、内層G組成物中に40~80重量%、より好ましくは50~75重量%、最も好ましくは55~70重量%の量で存在する。
【0058】
成分AGに加えて、内層G組成物は、成分AGとは異なるさらなる成分を含むことができる。
【0059】
成分BG1およびBG2
内層G組成物は、成分BG1および/またはBG2をさらに含むことができる。
【0060】
好ましくは、成分BG1は、915~930kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)である。
【0061】
こうしたLLDPEは当技術分野でよく知られており、通常は触媒を使用した重合プロセスで製造される。成分BG1のLLDPEは、好ましくは多峰性LLDPEであり、より好ましくは二峰性LLDPEである。こうした多峰性LLDPEおよびその製造は、例えば、参照される国際公開第2004/000933号の9~12ページに記載されている。
【0062】
成分BG1のLLDPEは、好ましくは920~928kg/m3、より好ましくは920~925kg/m3の密度を有する。
【0063】
好ましくは、成分BG1のLLDPEはエチレンコポリマーである。コモノマーは、4~12個の炭素原子を有するα-オレフィン、例えば1-ブテン、4-メチル-l-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであり得る。より好ましくは、LLDPEはエチレンと1-ブテンまたは1-ヘキセンとのコポリマーであり、最も好ましくはエチレンと1-ブテンとのコポリマーである。
【0064】
好ましくは、成分BG1のLLDPE中に存在するコモノマーの総量は2.0~6.0モル%、より好ましくは2.5~5.5モル%、最も好ましくは3.0~5.2モル%である。
【0065】
好ましくは、成分BG1のLLDPEは、0.1~0.5g/10分、より好ましくは0.15~0.4g/10分、最も好ましくは0.20~0.30g/10分のMFR2を有する。
【0066】
成分BG1は、好ましくは、成分AGよりも低い密度および/または低いメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0067】
特に好ましい実施形態では、成分BG1のLLDPEは、0.20~0.30g/10分のMFR2、および/または0.80~1.2g/10分のMFR5、および/または18~26g/10分のMFR21、および/または920~925kg/m3の密度、および/または10~24の分子量分布(MWD)、および/または10~15kg/molのMn、および/または150~250kg/molのMw、および/または80~110のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または18~26のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。分子量パラメーターはすべて、以下に詳述するように、標準較正を用いたGPC従来法によって測定される。
【0068】
成分BG1のLLDPEとして、Borealis社またはBorouge社製の樹脂Borstar FB2230またはFB2235を使用できる。
【0069】
好ましくは、成分BG2は、950~970kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する高密度エチレンポリマー(HDPE)である。
【0070】
HDPEは当該技術分野でよく知られており、通常は触媒を使用した重合プロセスで生成される。
【0071】
成分BG2のHDPEは、好ましくは多峰性HDPEであり、より好ましくは二峰性HDPEである。
【0072】
成分BG2のHDPEは、好ましくは955~968kg/m3、より好ましくは958~965kg/m3の密度を有する。こうした多峰性HDPEおよびその製造は、例えば、参照される国際出願公開第2020/109289号、19~28ページに記載されている。
【0073】
好ましくは、HDPEはコポリマーである。エチレンコポリマーは、エチレンモノマーと1種または複数種のコモノマーを含むポリマーである。コモノマーは、4~12個の炭素原子を有するα-オレフィン、例えば1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであり得る。より好ましくは、HDPEはエチレンと1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンとのコポリマーであり、最も好ましくはエチレンと1-ブテンとのコポリマーである。
【0074】
好ましくは、HDPE中に存在するコモノマーの総量は0.0~0.40モル%、より好ましくは0.01~0.30モル%、最も好ましくは0.02~0.20モル%である。
【0075】
好ましくは、成分BG2のHDPEは、0.25~1.8g/10分、より好ましくは0.3~1.5g/10分、さらにより好ましくは0.4~1g/10分、最も好ましくは0.5~0.9g/10分のMFR2を有する。
【0076】
特に好ましい実施形態では、成分BG2のHDPEは、0.5~0.9g/10分のMFR2、および/または2.0~3.5g/10分のMFR5、および/または30~50g/10分のMFR21、および/または958~965kg/m3の密度、および/または10~15の分子量分布(MWD)、および/または7~12kg/molのMn、および/または100~165kg/molのMw、および/または50~75のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または10~25のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。分子量パラメーターはすべて、以下に詳述するように、標準較正を用いたGPC従来法によってよって測定される。
【0077】
成分BG2のHDPEとして、Borouge社製の樹脂Borstar FB5600を使用できる。
【0078】
好ましくは、成分BG1および/またはBG2は、内層G組成物の総重量に基づいて、内層G組成物中に15~45重量%、より好ましくは20~40重量%の量で存在する。
【0079】
成分CG
内層G組成物は、成分CGをさらに含むことができる。好ましくは、成分CGは低密度エチレンポリマー(LDPE)であり、より好ましくは、918kg/m3~928kg/m3の範囲の密度および、ISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有するLDPEである。
【0080】
LDPEは当該技術分野でよく知られており、通常は管状反応器またはオートクレーブで行われる高圧プロセスで製造される。
【0081】
LDPEおよびその製造は、例えば、参照される国際公開第2017/055174号の9ページ29行~12ページ6行に記載されている。
【0082】
成分CGのLDPEは、好ましくは918~928kg/m3、より好ましくは919~927kg/m3、最も好ましくは920~925kg/m3の密度を有する。
【0083】
好ましくは、成分CGのLDPEは、1.6~2.4g/10分のMFR2を有する。
【0084】
特に好ましい実施形態において、成分CGのLDPEは、1.6~2.4のMFR2、および/または920~925kg/m3の密度、および/または5.5~9のMWD、および/または12~18kg/molのMn、および/または80~130kg/molのMwを有する。分子量パラメーターはすべて、以下にさらに詳述するように、標準較正を用いたGPC粘度法によって測定される。
【0085】
成分CGのLDPEとして、Borealis社またはBorouge社製の樹脂FT6230またはFT6236を使用できる。
【0086】
好ましくは、成分CGは、内層G組成物の総重量に基づいて、内層G組成物中に5~15重量%、より好ましくは7~13重量%の量で存在する。
【0087】
一実施形態では、内層G組成物は、上述の実施形態のいずれかにおいて、成分AGおよびBG1、並びに任意にCGを含む、またはから成る。
【0088】
別の実施形態では、内層G組成物は、上述の実施形態のいずれかにおいて、成分AGおよびBG2、並びに任意にCGを含む、またはから成る。
【0089】
さらなる実施形態において、内層G組成物は、上述の実施形態のいずれかにおいて、成分AG、BG1およびBG2、並びに任意にCGを含む、またはから成る。
【0090】
好ましい実施形態では、内層G組成物は、内層G組成物の総重量に基づいて、50~75重量%の量の成分AG、25~40重量%の量の成分BG1またはBG2のいずれか1つ、および任意に0~15重量%の量の成分CGを含む、またはから成る。
【0091】
一般に、成分AGは、比較的高いシール開始温度と印刷フィルムの良好な光学特性の原因となっている。成分BG1とBG2はさらに、印刷フィルムの光学特性に影響を及ぼすことなく、高いシール開始温度に寄与する。
【0092】
コア層F
印刷フィルムのコア層F組成物は、特に、フィルム押出工程、さらに印刷動作、特に高速印刷動作に必要なフィルムの剛性に寄与する成分を含むコア層Fでできている。
【0093】
成分AF
コア層F組成物は、成分AFを含むことができる。好ましくは、成分AFは、高密度エチレンポリマー(HDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分BG2について記載したように、950~970kg/m3の範囲の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0094】
成分BG2について説明したすべての実施形態は、成分AFの実施形態である。成分AFは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、AFとBG2について同じであっても異なっていてもよい。
【0095】
好ましくは、成分AFは、コア層F組成物の総重量に基づいて、コア層F組成物中に、最大90重量%、好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~88重量%、最も好ましくは70~87重量%の量で存在する。
【0096】
成分AFは印刷フィルムに高い剛性を付与する。
【0097】
成分BF
コア層F組成物は、成分BFを含むことができる。好ましくは、成分BFはエチレンコポリマーであり、好ましくは、内層G組成物の成分AGについて記載したように、920~935kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0098】
成分AGについて説明したすべての実施形態は、成分BFの実施形態である。成分BFは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、BFとAGについて同じであっても異なっていてもよい。
【0099】
好ましくは、成分BFは、コア層F組成物の総重量に基づいて、コア層F組成物中に5~40重量%、より好ましくは10~35重量%の量で存在する。
【0100】
一実施形態では、コア層Fは、上記の実施形態のいずれか1つから選択される、成分AFおよびBFを含む、またはから成るコア層F組成物でできている。
【0101】
好ましい実施形態において、コア層F組成物の総重量に基づいて、成分AFは、50~90重量%、より好ましくは70~87重量%の量で、成分BFは、10~50重量%、好ましくは13~30重量%の量でコア層F組成物中に存在する。
【0102】
外層E
印刷フィルムの外層Eは、特にフィルムの耐熱性、機械的特性および光学的特性に寄与する成分を含む外層E組成物でできている。外層Eは、好ましくは、フィルムの印刷層または該フィルムの印刷可能層である。ラミネートフィルムにおいて、外層Eは、コア層Fとシーラントフィルムの外層Aとの間に配置され得る。
【0103】
成分AE
外層E組成物は、成分AEを含むことができる。好ましくは、成分AEはエチレンコポリマーであり、好ましくは、内層G組成物の成分AGについて記載したように、920~935kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0104】
成分AGについて説明したすべての実施形態は、成分AEの実施形態である。成分AEは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、AEおよびAGについて同じであっても異なっていてもよい。
【0105】
一実施形態では、成分AEおよびAG、並びに任意でBFは同一である。
【0106】
好ましくは、成分AEは、外層E組成物の総重量に基づいて、外層E組成物中に40~80重量%、より好ましくは50~75重量%、最も好ましくは55~70重量%の量で存在する。
【0107】
成分BE
外層E組成物は、成分BEを含むことができる。好ましくは、成分BEは、直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)であり、より好ましくは、内層G組成物の成分BG1について記載したように、915~930kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0108】
成分BG1について説明したすべての実施形態は、成分BEの実施形態である。成分BEは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、BEおよびBG1について同じであっても異なっていてもよい。
【0109】
好ましくは、成分BEは、外層E組成物の総重量に基づいて、外層E組成物中に15~40重量%、より好ましくは20~40重量%の量で存在する。
【0110】
成分CE
外層E組成物は、成分CEを含むことができる。好ましくは、成分CEは、低密度エチレンポリマー(LDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分CGについて記載したように、918kg/m3~928kg/m3の範囲の密度、およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0111】
成分CGについて説明したすべての実施形態は、成分CEの実施形態である。成分CEは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、CEとCGについて同じであっても異なっていてもよい。
【0112】
好ましくは、成分CEは、外層E組成物の総重量に基づいて、外層E組成物中に5~15重量%、より好ましくは7~13重量%の量で存在する。
【0113】
一実施形態では、外層E組成物は、上述の実施形態のいずれかにおいて、成分AEおよびBE、並びに任意選択でCEを含む、またはから成る。
【0114】
一実施形態では、外層E組成物は、内層G組成物と同じポリマー成分(例えば、AG、BG1および任意でCG)を含む、またはから成る。
【0115】
好ましい実施形態では、外層E組成物は、外層E組成物の総重量に基づいて、50~75重量%の量の成分AE、25~40重量%の量の成分BE、および任意で0~15重量%の量の成分CEを含む、またはから成る。
【0116】
<特性>
この印刷フィルムは、良好な光学特性(ヘイズや光沢)と共に、高い剛性(例えば500~1000MPaの引張弾性率)、高い耐熱性(例えば110~120℃のSIT)を特徴とする。これらは特に、印刷フィルムに成分AGを使用することで達成された。また、成分BG1および/またはBG2は、印刷フィルムの光学特性(すなわち光沢およびヘイズ)を犠牲にすることなく、特性の向上、特に高い剛性および/またはSITに寄与する。
【0117】
シーラントフィルム
<構造>
「シーラントフィルム」という表現は、シーリング層を含むフィルムを示し、これは他のフィルム、層、物品との接着を促進する層である。
【0118】
本発明のシーラントフィルムは、いくつかの層を含む、またはから成り、それらは少なくとも外層A、コア層B、内層Cである。コア層Bは、外側の層、すなわち外層Aと内層Cとの間に位置し、好ましくは、内層Cがシーリンング層である。印刷フィルムにラミネートされると、内層Cはラミネートフィルムの内面を形成する。
【0119】
一実施形態では、シーラントフィルムは、外層A、コア層B、内層Cから成る。別の実施形態では、シーラントフィルムは、1つまたは複数のさらなる中間(またはサブスキン)層Xを含む。
【0120】
特定の実施形態では、シーラントフィルムは、例えば5層フィルム構造A/X1/B/X2/Cまたは7層フィルム構造A/X1/X1/B/X2/X2/Cにおいて、コア層Bと内層C、およびコア層Bと外層Aとの間に1つまたは複数の中間層Xをさらに含む。好ましくは、シーラントフィルムは最大9層、より好ましくは最大7層を含む。
【0121】
存在する場合、中間層Xは、好ましくは、隣接する層の組成物と同様の組成物を含む、またはから成るので、該組成物は、コア層Bの組成物、または隣接する内層Cまたは隣接する外層Aの組成物のいずれかであり得る。
【0122】
好ましくは、シーラントフィルムは35~120μm、より好ましくは40~110μm、最も好ましくは40~100μmの厚さを有する。
【0123】
シーラントフィルムにおいて、コア層Bは、好ましくは、シーラントフィルム全体の厚さの30~80%、より好ましくは35~75%、最も好ましくは40~70%の厚さを有する。
【0124】
外層Aおよび/または内層Cは、好ましくはそれぞれ、シーラントフィルム全体の厚の10~35%、好ましくは15~30%、例えば25%の厚さを有する。5層フィルム構造A/X1/B/X2/Cにおいて、内層Cおよび/または外層Aは、好ましくはそれぞれ、シーラントフィルム全体の厚さの5~20%、より好ましくは7.5~15%の厚さを有する。
【0125】
好ましくは、シーラントフィルムは、印刷フィルムについて上記で定義したように「ポリエチレンフィルム」である。
【0126】
シーラントフィルムおよびその層調製用の各層の組成物は、印刷フィルムについて記載したものと同様の種類および量の添加剤を含むことができる。
【0127】
好ましくは、シーラントフィルムは無配向フィルムであり、配向は印刷フィルムに関して上記で定義されている。
【0128】
<組成物>
シーラントフィルム層のそれぞれは、少なくとも1つのポリマー(例えばポリエチレン)成分を含む組成物でできている。組成物が複数のポリマー成分を含む場合は、これらの成分のブレンドである。追加の化合物(ポリマー加工助剤、アンチブロック剤またはスリップ剤などの添加剤)が組成物中に存在してもよい。
【0129】
内層C
内層Cは、特にフィルムのヒートシール性能と光学特性に寄与する成分を含む内層C組成物でできている。内層C組成物は、少なくとも1種のエチレン系ポリマーを含む。印刷フィルムにラミネートする場合、内層Cはラミネートフィルムの内面を形成する。シーラントフィルムの内層Cは、好ましくはシーリング層である。
【0130】
成分AC
好ましくは、シーラントフィルムの内層Cは、915~925kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)である成分ACを含む内層C組成物でできている。
【0131】
成分ACの密度は、成分AGの密度よりも、好ましくは少なくとも3kg/m3、より好ましくは少なくとも5kg/m3低い。
【0132】
LLDPEは当技術分野でよく知られており、触媒を使用した重合プロセスで製造される。
【0133】
好ましくは、成分ACは多峰性エチレンコポリマーであり、より好ましくは二峰性エチレンコポリマーであり、さらにより好ましくは、エチレンと少なくとも2種の異なるC4-C12α-オレフィンモノマーとのコポリマー、すなわちターポリマーである。
【0134】
好ましくは、エチレンコポリマーは、13~30の比MFR21/MFR2および/または6以下のMWDを有する。
【0135】
好ましくは、エチレンコポリマーは、エチレンと、4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンから選択される1つまたは複数のコモノマーとの多峰性ポリマーを含む、またはから成り、13~30の比MFR21/MFR2、および6以下のMWDを有する。
【0136】
こうした多峰性エチレンコポリマーは、例えば、国際公開第2016/083208号に開示されている。
【0137】
多峰性エチレンコポリマーは、好ましくは0.6~2.0g/10分のMFR2を有し、特に好ましくは1.2~1.8g/10分である。
【0138】
好ましくは、多峰性エチレンコポリマーは、910~925kg/m3、より好ましくは913~922kg/m3の密度を有し、特に好ましくは915~920kg/m3である。
【0139】
多峰性エチレンコポリマーは、好ましくは13~30、なおより好ましくは15~25の比MFR21/MFR2を有する。
【0140】
多峰性エチレンコポリマーは、好ましくは6以下、通常1より大きい、より好ましくは3~5のMWDを有する。
【0141】
多峰性エチレンコポリマーの4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーは、好ましくは1-ブテンおよび/または1-ヘキセンである。
【0142】
好ましくは、多峰性エチレンコポリマー中に存在するコモノマーの総量は、0.5~10モル%、好ましくは1~8モル%、より好ましくは1~5モル%、さらにより好ましくは1.5~5モル%、最も好ましくは2.5~4モル%である。
【0143】
好ましい実施形態において、多峰性エチレンコポリマーは、二峰性コポリマー、すなわち、低分子量成分と高分子量成分を含み、1.2~1.8g/10分のMFR2、および/または3.0~5.0g/10分のMFR5、および/または20~40g/10分のMFR21、および/または916~920kg/m3の密度、および/または3~5の分子量分布(MWD)、および/または15~25kg/molのMn、および/または80~115kg/molのMw、および/または15~25のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または6~9のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。
【0144】
さらに好ましい実施形態において、成分ACのエチレンコポリマーは、エチレンターポリマー、より好ましくは多峰性エチレンターポリマー(II)を含む、またはから成る。
【0145】
好ましくは、多峰性エチレンターポリマー(II)は、910kg/m3~925kg/m3の密度および0.5~2.0g/10分のMFR2を有するエチレンターポリマーである。
【0146】
多峰性エチレンターポリマー(II)は、好ましくは、エチレンと、4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンから選択される少なくとも2つの異なるコモノマーとの多峰性ポリマーを含む、またはから成り、13~30の比MFR21/MFR2、および5以下のMWDを有する。
【0147】
こうした多峰性エチレンターポリマーは、例えば国際公開第2016/083208号に開示されている。これらのエチレンターポリマーの定義(ポリマーの「モダリティ」など)および製造方法に関しては、国際公開第2016/083208号が参照される。さらに、910~925kg/m3の範囲の密度を有する、国際公開第2016/083208号に記載されているようなエチレンターポリマーの全ての実施形態および好ましい実施形態もまた、本明細書中に明示的に記載されているか否かにかかわらず、本開示における多峰性エチレンターポリマー(II)の好ましい実施形態である。
【0148】
多峰性エチレンターポリマー(II)は、好ましくは0.6~2.0g/10分のMFR2を有し、特に好ましくは1.2~1.8g/10分である。
【0149】
好ましくは、多峰性エチレンターポリマー(II)は、910~925kg/m3、より好ましくは913~922kg/m3の密度を有し、特に好ましくは915~920kg/m3である。
【0150】
多峰性エチレンターポリマー(II)は、好ましくは13~30、より好ましくは15~25の比MFR21/MFR2を有する。
【0151】
多峰性エチレンターポリマー(II)の4~10個の炭素原子を有する少なくとも2種のα-オレフィンコモノマーは、好ましくは1-ブテンおよび1-ヘキセンである。
【0152】
好ましくは、多峰性エチレンターポリマー(II)中に存在するコモノマーの総量は、0.5~10モル%、より好ましくは1~8モル%、さらにより好ましくは1~5モル%、なおさらにより好ましくは1.5~5モル%、最も好ましくは2.5~4モル%である。
【0153】
好ましくは二峰性ターポリマーである多峰性エチレンターポリマー(II)は、好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)およびエチレンポリマー成分(B1)を含む、またはから成り、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)よりも高いMFR2を有する。
【0154】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、1~50g/10分、より好ましくは1~40g/10分、さらにより好ましくは1~30g/10分、なおさらにより好ましくは2~20g/10分、なおさらにより好ましくは2~15g/10分、最も好ましくは2~10g/10分のMFR2を有する。
【0155】
エチレンポリマー成分(A1)のMFR2とエチレンポリマー成分(B1)のMFR2との比は、2~50、好ましくは5~40、より好ましくは10~30、さらにより好ましくは10~25、最も好ましくは11~25である。
【0156】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)とは異なるコモノマーを含む。
【0157】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)より少量のコモノマー(モル%)を有し、より好ましくは、[エチレンポリマー成分(A1)中に存在する4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーの量(モル%)]と[最終的な多峰性エチレンターポリマーの4~10個の炭素原子を有する少なくとも2種のα-オレフィンコモノマーの量(モル%)]との比は、0.10~0.60、好ましくは0.15~0.50である。
【0158】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)の4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーは1-ブテンであり、エチレンポリマー成分(B1)の4~10個の炭素原子を有するα-オレフィンコモノマーは1-ヘキセンである。
【0159】
好ましくは、エチレンポリマー成分(A1)は、エチレンポリマー成分(B1)の密度とは異なる、好ましくはより高い密度を有する。
【0160】
エチレンポリマー成分(A1)の密度は、好ましくは925~950kg/m3、より好ましくは930~945kg/m3である。
【0161】
好ましくは、多峰性エチレンターポリマー(II)は、多峰性エチレンターポリマー(II)の総量(100重量%)に基づいて、30~70重量%、より好ましくは40~60重量%、さらにより好ましくは35~50重量%、なおさらにより好ましくは40~50重量%の量のエチレンポリマー成分(A1);および70~30重量%、より好ましくは60~40重量%、さらにより好ましくは50~65重量%、さらにより好ましくは50~60重量%の量のエチレンポリマー成分(B)を含む。
【0162】
最も好ましくは、多峰性エチレンターポリマー(II)は、エチレンポリマー成分(A1)および(B1)の単独ポリマー成分から成る。従って、エチレンポリマー成分(A1)とエチレン系ポリマー成分(B1)との比は、(30~70):(70~30)、好ましくは(40~60):(60~40)、より好ましくは(35~50):(65~50)、なおより好ましくは(40~50):(50~60)である。
【0163】
特に好ましい実施形態において、多峰性エチレンターポリマー(II)は、二峰性ターポリマー、すなわち低分子量成分と高分子量成分を含み、1.2~1.8g/10分のMFR2、および/または3.0~5.0g/10分のMFR5、および/または20~40g/10分のMFR21、および/または915~920kg/m3の密度、および/または3.0~5.0の分子量分布(MWD)、および/または15~25kg/molのMn、および/または80~115kg/molのMw、および/または15~25のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または6~9のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。
【0164】
多峰性エチレンターポリマー(II)として、本明細書で所要の特性を有するBorealis社またはBorouge社製のAnteo(商標)、特にAnteo(商標)FK1828またはAnteo(商標)FK1820などの市販品も好ましい。
【0165】
好ましくは、成分ACは、内層C組成物の総重量に基づいて、内層C組成物中に50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、最も好ましくは70~85重量%の量で存在する。
【0166】
成分ACは、良好な光学特性を維持しながら、低いシール開始温度をシーラントフィルムに付与するのに特に適している。
【0167】
成分BC
内層C組成物は、成分BCを含むことができる。好ましくは、成分BCは、低密度エチレンポリマー(LDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分CGと同様に、918~928kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0168】
成分CGについて説明したすべての実施形態は、成分BCの実施形態である。成分BCは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、BCとCGについて同じであっても異なっていてもよい。
【0169】
好ましくは、成分BCは、内層C組成物の総重量に基づいて、内層C組成物中に5~50重量%、より好ましくは10~30重量%の量で存在する。
【0170】
一実施形態では、内層C組成物は、上述のいずれかの実施形態における成分ACおよびBCを含む、またはから成る。
【0171】
好ましい実施形態では、内層C組成物は、内層C組成物の総重量に基づいて、50~95重量%、好ましくは70~85重量%の量の成分AC、および5~50重量%、好ましくは15~30重量%の量の成分BCを含む、またはから成る。
【0172】
コア層B
シーラントフィルムのコア層Bは、特にフィルムの剛性およびダート衝撃や引裂き抵抗のような他の機械的特性に寄与する成分を含むコア層B組成物を含む。
【0173】
成分AB
コア層B組成物は、成分ABを含むことができる。好ましくは、成分ABは中密度エチレンポリマー(MDPE)であり、好ましくは925~945kg/m3の密度を有し、ISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0174】
こうしたMDPEも当技術分野ではよく知られており、通常は触媒を使用した重合プロセスで製造される。
【0175】
成分ABのMDPEは、好ましくは多峰性MDPE、より好ましくは二峰性MDPEである。こうした多峰性MDPEおよびその製造は、例えば、参照される国際公開第2017/021389号、8~10ページに記載されている。
【0176】
好ましくは、成分ABのMDPEは930~940kg/m3、より好ましくは932~938kg/m3の密度を有する。好ましくは、成分ABの密度は成分ACより高い。
【0177】
好ましくは、成分ABのMDPEはエチレンコポリマーである。コモノマーは、4~12個の炭素原子を有するα-オレフィン、例えば1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであり得る。より好ましくは、MDPEはエチレンと1-ブテンまたは1-ヘキセンとのコポリマーであり、最も好ましくはエチレンと1-ブテンとのコポリマーである。
【0178】
好ましくは、成分ABのMDPE中に存在するコモノマーの総量は1.0~4.0モル%、より好ましくは1.5~3.5モル%、最も好ましくは2.0~3.2モル%である。
【0179】
好ましくは、成分ABのMDPEは、0.06~0.35g/10分、より好ましくは0.08~0.30g/10分、最も好ましくは0.10~0.20g/10分のMFR2を有する。
【0180】
好ましくは、成分ABのMDPEは0.35~1.20g/10分、より好ましくは0.37~1.00g/10分、最も好ましくは0.40~0.80g/10分のMFR5を有する。
【0181】
特に好ましい実施形態では、成分ABのMDPEは、0.10~0.20g/10分のMFR2、および/または0.40~0.80g/10分のMFR5、および/または10~20g/10分のMFR21、および/または932~938kg/m3の密度、および/または15~35の分子量分布(MWD)、および/または8~12kg/モルのMn、および/または150~280kg/モルのMw、および/または80~150のMFR21/MFR2比(FRR21/2)、および/または20~30のMFR21/MFR5比(FRR21/5)を有する。分子量パラメーターはすべて、以下に詳述するように、標準較正を用いたGPC従来法によって測定される。
【0182】
成分ABのMDPEとして、Borealis社またはBorouge社製の樹脂Borstar FB1350を使用できる。
【0183】
好ましくは、成分ABは、コア層B組成物の総重量に基づいて、コア層B組成物中に35~80重量%、より好ましくは40~75重量%、最も好ましくは50~70重量%の量で存在する。
【0184】
成分ABは特にコア層Bに高い剛性を与える。
【0185】
成分BB
コア層B組成物は、成分BBを含むことができる。好ましくは、成分BBは、直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)であり、好ましくは、内層C組成物の成分ACと同様に、915~925kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0186】
成分ACについて説明したすべての実施形態は、成分BBの実施形態である。成分BBは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、BBおよびACで同じであっても異なっていてもよい。
【0187】
好ましくは、成分BBは、コア層B組成物の総重量に基づいて、コア層B組成物中に15~45重量%、より好ましくは20~40重量%の量で存在する。
【0188】
特に成分ABとの組み合わせにおいて、成分BBは、良好な剛性とともに、シーラントフィルムの高いダート衝撃性に寄与する。
【0189】
成分CB
コア層組成物は、成分CBを含むことができる。好ましくは、成分CBは、低密度エチレンポリマー(LDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分CGについて記載したように、918~928kg/m3の密度、およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0190】
成分CGについて説明したすべての実施形態は、成分CBの実施形態である。成分CBは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、CBおよびCGで同じであっても異なっていてもよい。
【0191】
好ましくは、成分CBは、内層B組成物の総重量に基づいて、コア層B組成物中に5~15重量%、より好ましくは7~13重量%の量で存在する。
【0192】
一実施形態において、コア層B組成物は、上述した実施形態のいずれか1つにおいて、成分ABおよびBB、並びに任意でCBを含む、またはから成る。
【0193】
好ましい実施形態において、コア層B組成物は、コア層B組成物の総重量に基づいて、50~75重量%の量の成分AB、25~40重量%の量の成分BB、および任意に0~15重量%の量の成分CEを含む、またはから成る。
【0194】
外層A
シーラントフィルムの外層Aは、1つまたは複数の成分を含む外層A組成物を含む。ラミネートフィルムにおいて、外層Aは、コア層Bと印刷フィルムの外層Eとの間に配置されることがあり、フィルムの機械的および光学的特性に寄与する。
【0195】
成分AA
外層組成物は、成分AAを含むことができる。好ましくは、成分AAは、直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分BG1について記載したように、915~930kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0196】
成分BG1について説明したすべての実施形態は、構成要素AAの実施形態である。成分AAは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、AAおよびBG1で同じであっても異なっていてもよい。
【0197】
好ましくは、成分AAは、外層A組成物の総重量に基づいて、外層A組成物中に25~55重量%、より好ましくは30~50重量%の量で存在する。
【0198】
成分BA
外層組成物は、成分BAを含むことができる。好ましくは、成分BAは、直鎖状低密度エチレンポリマー(LLDPE)であり、好ましくは、内層C組成物の成分ACと同様に、915~925kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0199】
成分ACについて説明したすべての実施形態は、成分BAの実施形態である。成分BAは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、BAとACで同じであっても異なっていてもよい。
【0200】
好ましくは、成分BAは、外層A組成物の総重量に基づいて、外層A組成物中に25~55重量%、より好ましくは30~50重量%の量で存在する。
【0201】
成分CA
外層A組成物は、成分CAを含むことができる。好ましくは、成分CAは、低密度エチレンポリマー(LDPE)であり、好ましくは、内層G組成物の成分CGについて記載したように、918kg/m3~928kg/m3の範囲の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。
【0202】
成分CGについて説明したすべての実施形態は、成分CAの実施形態である。成分CAは、これらの実施形態のいずれか1つから独立して選択でき、選択された実施形態は、CAとCGで同じであっても異なっていてもよい。
【0203】
好ましくは、成分CAは、外層A組成物の総重量に基づいて、外層A組成物中に5~35重量%、より好ましくは10~30重量%の量で存在する。
【0204】
一実施形態では、外層A組成物は、上述の実施形態のいずれかにおいて、成分AAおよびBA、並びに任意でCAを含む、またはから成る。
【0205】
好ましい実施形態では、外層A組成物は、外層A組成物の総重量に基づいて、30~50重量%の量の成分AA、30~50重量%の量の成分BA、および任意に0~30重量%の量の成分CAを含む、またはから成る。
【0206】
シーラントフィルムの特定の実施形態
本発明はまた、シーラントフィルムに関する。特定の実施形態において、本発明は、外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムに関し、前記内層Cが
a)915~925kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AC;および
b)918~928kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する低密度ポリエチレンである成分BCを、内層C組成物の総重量に基づいて、好ましくは10~30重量%の量で含む内層C組成物でできており、かつ、
以下の基準:
c)前記コア層Bが、925~945kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する中密度ポリエチレンである成分ABを、コア層B組成物の総重量に基づいて、好ましくは40~75重量%の量で含む該コア層B組成物でできている;および
d)前記外層Aが、915~930kg/m3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AAを、外層A組成物の総重量に基づいて、好ましくは30~50重量%の量で含む該外層A組成物でできている、
の少なくとも1つを満たす。
【0207】
一実施形態では、基準c)が満たされている。別の実施形態では、基準d)が満たされている。なおさらなる実施形態では、基準c)とd)の両方が満たされている。
【0208】
好ましくは、成分ACは、内層C組成物の総重量に基づいて、内層C組成物中に50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、最も好ましくは70~85重量%の量で存在する。
【0209】
成分AC、BC、ABおよびAAは、上述の実施形態のいずれか1つから選択できる。
【0210】
内層C組成物は、上述のいずれか1つの実施形態において、成分CCをさらに含むことができる。
【0211】
コア層B組成物および外層A組成物は、シーラントフィルムの特定の層に対して上述したように、さらなる成分を含むことができる。
【0212】
<特性>
このシーラントフィルムは、シーラントフィルムとしては比較的高い剛性(すなわち300~500MPaの引張弾性率)と、高い落下衝撃(すなわち高いDDI)およびその他の引張特性を特徴とする。このシーラントフィルムは、より低いシール開始温度とホットタック温度(例えば95℃未満のSIT)によって優れたシール挙動を示す。これらの特性は、シーラントフィルム中の成分ACの使用によって達成でき、内層C中の成分BCが存在することによってさらに改善できる。また、シーラントフィルムのそれぞれの他の層AおよびB中の成分AAおよびABの存在がさらに(成分BAおよびBBと共にさらにいっそう)、シーラントフィルムの優れた特性に寄与した。
【0213】
好ましくは、シーラントフィルムは、シーラントフィルムの内層Cで測定したとき、5Nにおけるシール開始温度(SIT)が100℃未満、好ましくは95℃未満である。好ましくは、フィルムは、シーラントフィルムの内層Cで測定したとき、5Nにおけるシール開始温度(SIT)が80~100℃、好ましくは85~95℃である。5Nにおけるシール開始温度(SIT)は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される。
【0214】
好ましくは、シーラントフィルムは、280MPa~600MPa、好ましくは300MPa~500MPaの機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)を有する。機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)はASTM D882に従って測定される。
【0215】
好ましくは、シーラントフィルムは12%未満、より好ましくは10%未満のヘイズ値を有する。好ましくは、シーラントフィルムは3~12%、より好ましくは5~10%のヘイズ値を有する。ヘイズ値は、フィルムの透明性を示す指標としてASTM D1003に従って測定され、この値が良好な透明性を示す。
【0216】
好ましくは、シーラントフィルムは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90の光沢値を有する。好ましくは、シーラントフィルムは80~140、より好ましくは90~130の光沢値を有する。光沢値(GU)は、内層Cまたは外層A、好ましくは内層Cにおいて、ISO 2813に従って60度で測定される。
【0217】
好ましくは、シーラントフィルムは、少なくとも200g、より好ましくは少なくとも210gのダート落下衝撃(DDI)を有する。好ましくは、シーラントフィルムは、200~600g、より好ましくは210~550gのダート落下衝撃(DDI)を有する。ダート落下衝撃(DDI)は、ASTM D1709「方法A」に従って、好ましくは35~120μm、より好ましくは40~110μm、最も好ましくは40~100μmの厚さのシーラントフィルム上で測定される。
【0218】
ポリエチレンラミネートフィルム
<構造>
本発明において、ポリエチレンラミネートフィルムは、上述したいずれかの実施形態の互いにラミネートされたシーラントフィルムおよび印刷フィルムを含むまたはから成る。
【0219】
ラミネートフィルムは内面と外面を含み、印刷フィルムの内層Gがラミネートフィルムの外面を形成し、シーラントフィルムの内層Cがラミネートフィルムの内面を形成する。
【0220】
ラミネートフィルムでは、印刷フィルムとシーラントフィルムは、それぞれの外層EとAを介して接続されており、これらの層はラミネートフィルムの中間層を形成している。言い換えれば、シーラントフィルムの外層Aは、印刷フィルムの外層Eにラミネートされている。
【0221】
接続、すなわち印刷フィルムとシーラントフィルムを互いにラミネートすることは、従来の市販の接着剤を使用した溶剤系および無溶剤系接着剤ラミネーションの両方を含む接着剤ラミネーションなど、従来のラミネーション方法を使用する従来のラミネーション装置によって影響を受ける可能性がある。接着剤は、任意の適当な方法でシーラントおよび/または印刷フィルムに塗布できる。例えば、その方法としては、ラミネート機の使用、グラビアコーティング、ロールコーティング、ワイヤロッドコーティング、スプレーコーティングなどが挙げられる。接着剤を塗布するフィルム表面は、コロナ処理を行い、表面エネルギーを増加させ、接着剤成分に十分な濡れ性を与えることができる。
【0222】
ラミネーションは、別法では接着剤を使用せず、フィルム間にメルトウェブを挟むか否かにかかわらず、サンドイッチラミネーションとしても行うことができる。こうしたメルトウェブは、LDPEなど、ポリエチレンをベースとする従来のメルトウェブ材料であれば何でもよい。ラミネーションはさらに、押出コーティング技術によって行うこともできる。これらのラミネート方法はすべて当技術分野でよく知られており、文献にも記載されている。
【0223】
好ましくは、ラミネートは接着剤(無溶剤接着剤など)を使用して行われる。接着剤は、層Eと層Aとの間に層を形成できる(例えば、
図1の接着剤層D)。
【0224】
好ましくは、接着剤は1平方メートル当たり1.0g/m2から3.5g/m2、より好ましくは1.2g/m2~2.5g/m2の重量を有する。
【0225】
好ましくは、接着剤(または接着剤層)は、ラミネートフィルムの総重量の最大5重量%未満を構成する。接着剤のパーセンテージは通常、ラミネートフィルムの総重量に依存し、これはラミネートフィルムの厚さと相関する。例えば、約75μmのラミネートフィルムは、好ましくは、ラミネートフィルムの総重量に基づいて、最大4重量%の接着剤を含み、約130μmのラミネートフィルムは、好ましくは、ラミネートフィルムの総重量に基づいて、最大3重量%の接着剤を含む。
【0226】
好ましくは、ラミネートフィルムは50~160μm、より好ましくは55~145μm、最も好ましくは60~130μmの厚さを有する。
【0227】
ラミネートフィルムは、印刷フィルムについて上記で定義したように「ポリエチレンフィルム」である。ポリエチレンフィルムを使用することで、完全にリサイクル可能で持続可能な包装構造を提供できる。従って、印刷フィルムとシーラントフィルムの両方がポリエチレンフィルムであることが特に好ましく、ポリエチレンフィルムは、それぞれのフィルムの総重量に基づいて、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%のエチレンポリマー(エチレンホモポリマーおよびエチレンと1つまたは複数のC3-C12α-オレフィンとのコポリマーを含む)を含む。好ましくは、印刷フィルムまたはシーラントフィルムのいずれも、例えばポリエステルまたはポリアミドなどの非ポリオレフィンポリマーを含まない。ラミネートフィルムは、接着剤層(例えばポリウレタン接着剤)に非ポリオレフィンポリマーを含んでいてもよいが、これは好ましくはラミネートフィルムの総重量の5重量%未満を構成する。
【0228】
基材フィルムは一般に反転印刷され、すなわち印刷は基材フィルムの外層Eに行われ、この外層Eは
図1に描かれているようにシーラントフィルムの外層Aとラミネートされ、外層EとAはラミネートフィルムのコア/中間層を形成する。
【0229】
<特性>
本発明のラミネートフィルムは、良好な光学特性および優れたバリア性とともに、改善された機械的特性を有する。耐熱性が向上したことで、ラミネートフィルムは高速VFFS機上をスムーズに走行できる。一般に、シーラントフィルムより印刷フィルムのSITを高くすることは、その後のVFFSラインでの使用において、シーリングジョーの貼り付きの問題を回避するために所望されており、これはデルタSIT(ラミネート内面とラミネート外面とのSIT差とも呼ばれる)と非常に相関している。
【0230】
印刷フィルムおよびシーラントフィルムの内層GおよびCの組成は、ラミネートフィルムの外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、ラミネートフィルムの内面の5Nにおけるシール開始温度よりも少なくとも10℃、好ましくは少なくとも11℃、より好ましくは少なくとも12℃高くなるように選択され、シール開始温度はASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される。
【0231】
好ましくは、ラミネートフィルムの外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)は、ラミネートフィルムの内面の5Nにおけるシール開始温度より10~30℃、より好ましくは12~25℃高い。
【0232】
ラミネートフィルムの2つの外側の層間のこの温度差によって、VFFSラインのシールバーでジョーに貼り付く問題を起こすことなく、ラミネートフィルムを50~80袋/分の包装速度で走行させることができる。
【0233】
好ましくは、ラミネートフィルムの外面は、ラミネートフィルムの外面(すなわち内層G)で測定したときの、5Nにおけるシール開始温度(SIT)が少なくとも105℃、好ましくは少なくとも110℃である。好ましくは、フィルムは、ラミネートフィルムの外面(すなわち内層G)で測定したときの5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、105~125℃、好ましくは110~125℃である。5Nにおけるシール開始温度(SIT)は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される。
【0234】
好ましくは、ラミネートフィルムの内面は、ラミネートフィルムの内面(すなわち内層C)で測定したときの5Nにおけるシール開始温度(SIT)が110℃未満、好ましくは105℃未満である。好ましくは、フィルムは、ラミネートフィルムの内面(すなわち内層C)で測定したときの5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、80~110℃、好ましくは85~105℃、さらにより好ましくは85~100℃である。5Nにおけるシール開始温度(SIT)は、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される。
【0235】
ラミネートフィルムの内面の5N(SIT)におけるシール開始温度に関する上記の範囲のいずれかを、ラミネートフィルムの外面の5N(SIT)におけるシール開始温度に関する上記の範囲のいずれかと組み合わせることができることに留意すべきである。
【0236】
フィルムの剛性を測定する上でさらに重要なパラメーターは、引張強度/1%割線係数である。割線係数は、フィルムの弾性領域における強度特性の尺度であり、応力-ひずみ曲線上の選択された点における実際の変形を表す。その結果、割線係数は、使用時の剛性と伸びに対する抵抗、または、フォームフィルアンドシール(FFS)機のような後続の印刷および包装作業中、および/または包装の通常の使用張力下で、フィルムがどの程度伸びやすいかについて、貴重な洞察を提供する。従って、ポリエチレンフィルムにとって剛性は非常に重要である。
【0237】
好ましくは、ラミネートフィルムは、機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)が400MPa~800MPa、好ましくは400MPa~600MPaである。機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)はASTM D882に従って測定される。
【0238】
好ましくは、シーラントフィルムは、機械方向(MD)の引っ張り弾性率(1%割線係数)が280MPa~600MPa、好ましくは300MPa~500MPaである。機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)はASTM D882に従って測定される。
【0239】
好ましくは、印刷フィルムは、機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)が500MPa~1000MPa、好ましくは600MPa~800MPaである。機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)はASTM D882に従って測定される。
【0240】
優れた剛性(例えば300~500MPa)および低SIT(例えば95℃未満)を有する開発されてきたシーラントフィルムで製造された高剛性(例えば400~600MPa)ポリエチレンラミネートフィルムを用い、優れた耐熱性(高SIT)および(例えば500~1000MPa)を有し、良好な光学特性(すなわちヘイズと光沢)を有する印刷フィルムとラミネートすることによって、高速FFS包装用のラミネートフィルム性能の向上を実現できることが見出されている。
【0241】
好ましくは、ラミネートフィルムのヘイズ値は12%未満、より好ましくは10%未満である。好ましくは、ラミネートフィルムのヘイズ値は3~12%、より好ましくは5~10%である。ヘイズ値は、フィルムの透明性を示す尺度としてASTM D003に従って測定され、この値が良好な透明性を示す。
【0242】
好ましくは、印刷フィルムとシーラントフィルムのいずれかまたは両方が、12%未満、より好ましくは10%未満のヘイズ値を有する。好ましくは、印刷フィルムとシーラントフィルムのいずれかまたは両方が、3~12%、より好ましくは5~10%のヘイズ値を有する。ヘイズ値は、フィルムの透明性を示す尺度としてASTM D1003に従って測定され、この値が良好な透明性を示す。
【0243】
好ましくは、ラミネートフィルムは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90の光沢値を有する。好ましくは、フィルムは80~140、より好ましくは90~130の光沢値を有する。光沢値(GU)は、内層CまたはG、好ましくはラミネートフィルムの外面である内層Gにおいて、ISO2813に従って60°で測定される。
【0244】
好ましくは、印刷フィルムとシーラントフィルムのいずれかまたは両方が、少なくとも80、より好ましくは少なくとも90の光沢値を有する。好ましくは、印刷フィルムとシーラントフィルムのいずれかまたは両方が、80~140、より好ましくは90~130の光沢値を有する。光沢値(GU)は、それぞれの内層C/Gまたは外層A/E、好ましくは内層Gおよび/またはCにおいて、ISO 2813に従って60°で測定される。
【0245】
優れたバリア(例えば、4.0g/m2/日以下の耐水蒸気性)が、バリアコーティングやメタライゼーションを使用することなく、ラミネートフィルムで得られた。従って、本発明のラミネートフィルムは主に水分バリアが最も重要である場合において良好なバリア性を有する。
【0246】
好ましくは、ラミネートフィルムは5g/m2/日以下、より好ましくは4.5g/m2/日以下の水蒸気透過率(WVTR)を有する。好ましくは、ラミネートフィルムは1~4g/m2/日、より好ましくは1.5~4.5g/m2/日の水蒸気透過率(WVTR)を有する。水蒸気透過率(WVTR)はASTM F-1249に従って、37.8℃、90%RHで測定される。
【0247】
好ましくは、ラミネートフィルムは、2000cm3/m2/日以下、より好ましくは1800cm3/m2/日以下の酸素透過率(OTR)を有する。好ましくは、ラミネートフィルムは、600~2000cm3/m2/日、より好ましくは800~1800cm3/m2/日の酸素透過率(OTR)を有する。酸素透過率(OTR)は、ISO15105-2に従って、23℃、0%RHで測定される。
【0248】
ラミネートフィルムのさらなる特性は以下の通りである:
好ましくは、ラミネートフィルムは、横方向(TD)の引張弾性率(1%割線係数)が500MPa~1200MPa、より好ましくは550MPa~1000MPaである。横方向(TD)の引張弾性率(1%割線係数)はASTM D882に従って測定される。
【0249】
好ましくは、ラミネートフィルムは、機械方向(MD)の引張破断応力が40~80MPa、より好ましくは45~70MPaである。好ましくは、ラミネートフィルムは、横方向(TD)の引張破断応力が25~60MPa、より好ましくは27~50MPaである。
【0250】
好ましくは、ラミネートフィルムは、機械方向(MD)の破断点伸びが350~700%、より好ましくは400~650%である。好ましくは、ラミネートフィルムは、横方向(TD)の破断点伸びが450~900%、より好ましくは500~800%である。
【0251】
引張破断応力と破断点伸びのパラメーターはISO527-3に従って測定される。
【0252】
好ましくは、ラミネートフィルムは、機械方向(MD)の引裂強さ(エルメンドルフ)が2.0~15.0N、より好ましくは2.2~10.0Nである。好ましくは、ラミネートフィルムは、横方向(TD)の引裂強さ(エルメンドルフ)が、20.0~50.0N、より好ましくは23.0~45.0Nである。引裂強さ(エルメンドルフ)はASTM D 1922に従って測定される。
【0253】
好ましくは、ラミネートフィルムは、少なくとも200g、より好ましくは少なくとも210gのダート落下衝撃(DDI)を有する。好ましくは、ラミネートフィルムは、200~600g、より好ましくは210~550gのダート落下衝撃(DDI)を有する。ダート落下衝撃(DDI)は、ASTM D1709「方法A」に従って、好ましくは50~160μm、より好ましくは55~145μm、最も好ましくは60~130μmの厚さのラミネートフィルム上で測定される。
【0254】
好ましくは、ラミネートフィルムは0.60未満、より好ましくは0.50未満の摩擦係数を有する。好ましくは、ラミネートフィルムは0.10~0.50、より好ましくは0.15~0.48の摩擦係数を有する。摩擦係数は、動的条件(in/inまたはout/out)でISO 8295に従って測定される。
【0255】
一実施形態では、ASTM F 2029およびASTM F 88に従って測定される、ラミネートフィルムの外面の5Nにおけるフィルムのシール開始温度(SIT)は、ラミネートフィルムの内面の5Nにおけるシール開始温度よりも10~30℃高く、内層GでISO 2813に従って60°で測定される光沢値は少なくとも80であり、任意にASTM D882に従って測定される機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線係数)は400MPa~800MPaである。
【0256】
<調製>
ラミネートフィルムのシーラントフィルムと印刷フィルムのいずれも、一般に、多層フィルムの調製のための従来の方法によって調製され、フィルムの層は共押出される。
【0257】
フィルムのいずれかの層に含まれる異なるポリマー成分は、通常、層形成前に、例えば二軸スクリュー押出機、好ましくは逆回転押出機または共回転押出機を使用して、密接に混合される。その後、ブレンド物は共押出フィルムに変換される。
【0258】
フィルムはブローンフィルムまたはキャストフィルムプロセスによって製造できる。こうした多層フィルムを製造するために、例えば、一般に、少なくとも2つのポリマー溶融流をマルチチャネル管状、環状または円形ダイで同時に押出し(すなわち共押出し)、空気(または気体の組み合わせ)で吹き上げ、膨張させおよび/または冷却してフィルムを形成するチューブを形成する。ブローンフィルムの製造はよく知られたプロセスである。
【0259】
ブローン(共)押出しは、150℃~230℃、より好ましくは160℃~225℃の範囲の温度で行うことができ、10℃~40℃、より好ましくは12℃~16℃の温度の吹き込みガス(一般に空気)によって冷却し、ダイの直径の0.5倍から4倍、より好ましくは1倍から2倍のフロストライン高さが得られる。
【0260】
ブローアップ比(BUR)は一般に1.5~3.5、好ましくは2.0~3.0、より好ましくは2.1~2.8の範囲でなければならない。
【0261】
シーラントフィルムと印刷フィルムは好ましくは無配向フィルムであるため、配向の可能性を考慮して延伸工程にかけないのが好ましい。
【0262】
ラミネートフィルムは、上記のようなラミネートプロセスによって、シーラントおよび印刷フィルムから調製される。
【0263】
<物品および使用>
本発明はまた、本発明のポリエチレンラミネートフィルムを含む物品に関する。好ましい物品は、スタンドアップパウチのようなパウチ、袋、バッグ、小袋、ラミチューブなどの包装物品である。
【0264】
本発明はさらに、本発明のポリエチレンラミネートフィルムの成形品を包装するための使用に関する。特に、(縦型)フォームフィルシール包装技術またはスタンドアップパウチ、袋、バッグ、小袋、ラミチューブなどのパウチの形成に使用することができる。
【0265】
具体的な物品と用途は、頑丈な輸送袋、洗剤パウチ、並びに米、小麦、シリアル、小麦粉、食品穀物、ペットフードなどのさまざまな食品、および洗剤/粉せっけん、建築資材、化学物質などの非食品を梱包するための物品および用途である。
【0266】
本明細書に記載された本発明の実施形態のいずれか1つを、これらの実施形態の1つまたは複数と組み合わせることができる。特に、本発明のポリエチレンラミネートフィルムについて記載された任意の実施形態を、ポリエチレンラミネートフィルムまたは成形品の使用に適用できる。
【0267】
さらに、本発明は、ラミネートフィルムについて上述したように、シーラントフィルムを含む成形品、および成形品の包装のためのシーラントフィルムの使用に関する。
【0268】
以下では、図を参照した実施例によって本発明をさらに説明する。
【0269】
<測定および判定方法>
以下の用語の定義および判定方法は、特に定義しない限り、上記の本発明の一般的説明および以下の実施例に適用される。
【0270】
a)メルトフローレートMFRの測定
メルトフローレート(MFR)はISO1133に従って測定され、単位はg/10分で示される。メルトフローレートが高いほど、ポリマーの粘度は低くなる。MFRは、ポリエチレンに対して190℃、荷重2.16kg(MFR2)、5.00kg(MFR5)、21.6kg(MFR21)で測定される。
【0271】
量FRR(流量比)は分子量分布の指標であり、異なる荷重における流量の比を示す。従って、FRR21/5はMFR21/MFR5の値を示す。
【0272】
b)密度
ポリマーの密度は、ISO17855-2に従って作製した圧縮成形試験片で、ISO1183-1:2004(方法A)に従って測定され、kg/m3で示される。
【0273】
c)GPC
1)GPC従来法
分子量平均(M
z、M
wおよびM
n)、分子量分布(MWD)、および多分散性指数PDI=M
w/M
n(式中、M
nは数平均分子量、M
wは重量平均分子量)で表されるその幅広さは、ISO 16014-1:2003、ISO 16014-2:2003、ISO 16014-4:2003およびASTM D 6474-12に従って、以下の式を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された:
【数1】
【数2】
【数3】
【0274】
一定の溶出量間隔ΔViの間、Ai、Miはそれぞれ溶出量Viに関連するクロマトグラフィーのピークスライス面積とポリオレフィンの分子量(MW)であり、Nは積分限界間のクロマトグラムから得られたデータ点の数に等しい。
【0275】
赤外線(IR)検出器(PolymerChar社(バレンシア、スペイン)製のIR4もしくはIR5)またはAgilent Technologies社製の示差屈折計(RI)を装備し、Agilent-PLgel Olexisカラム3本とAgilent-PLgel Olexis Guardカラム1本を備えた高温GPC装置を使用した。移動相として、250mg/L 2,6-ジtertブチル-4-メチル-フェノールで安定化した1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を使用した。クロマトグラフィーシステムは、カラム温度160℃、検出器160℃、一定流速1mL/分で稼働した。1回の分析につき200μLの試料溶液を注入した。データ収集は、Agilent Cirrusソフトウェアバージョン3.3またはPolymerChar GPC-IRコントロールソフトウェアのいずれかを用いて行った。
【0276】
0.5kg/mol~11500kg/molの範囲の19個の幅の狭いMWDのポリスチレン(PS)標準物質を用いてカラムセットを較正した。PS標準物質は室温で数時間かけて溶解した。ポリスチレンのピーク分子量からポリオレフィンの分子量への変換は、Mark Houwink式と以下のMark Houwink定数を用いて行う。
【数4】
【0277】
較正データのフィッティングには、3次の多項式フィットを用いた。
【0278】
試料はすべて1mg/mL前後の濃度範囲で調製し、連続して軽く揺すりながら、250ppmのIrgafos168で安定化させた新鮮な蒸留TCB中でPEを160℃で3時間溶解した。
【0279】
2)GPC粘度法
LDPEの分子量平均(Mz、Mw、Mn)、分子量分布(MWD)は、ユニバーサル較正を用いたGPC-粘度法により測定した。分子量平均(Mw、Mn)、分子量分布(MWD)、および多分散性指数PDI=Mw/Mn(ここで、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量)で表されるその幅広さを、ISO 16014-4 2019に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。IR4赤外線検出器、オンラインの4キャピラリー式ブリッジ粘度計(PL-BV 400-HT)を装備したPL 220(Polymer Laboratories社製)GPCを使用した。固定相としてPolymer Laboratories社製のOlexisカラム3本およびOlexis Guardカラム1本、移動相として1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB、250mg/L 2,6-ジtertブチル-4-メチル-フェノールで安定化)、160℃、1mL/分の一定流速を適用した。1回の分析につき200μLの試料溶液を注入した。モル質量132900g/mol、固有粘度0.4789dl/gの幅の狭いPS標準物質(MWD=1.01)を用いて、対応する粘度計の検出器定数および検出器間遅延体積を測定した。IR4検出器の検出器定数はNIST1475aを用い、dn/dcを0.094cm3/gとして測定した。
【0280】
カラムセットは、0.5kg/mol~11600kg/molの範囲の少なくとも15個の幅の狭いMWDポリスチレン(PS)標準物質で、ユニバーサル較正(ISO 16014-2:2019に準拠)を用いて較正した。該当したPS標準物質の固有粘度は、対応する濃度(IR4)、オンライン粘度計信号、測定したポリスチレンの検出器定数から割り出した。モル質量が3000g/mol未満の低分子量PSについては、IR検出器における末端基効果に起因して、初期秤量濃度を使用する。
【0281】
ユニバーサル較正法を用いた各クロマトグラフィースライスにおける試料の分子量(M
2)は、以下の相関関係によって計算できる:
【数5】
ただし、
M
1:PSのモル質量
η
1 :PSの固有粘度
M
2:試料のモル質量
η
2 :試料の固有粘度
V
R:保持容量
【0282】
すべてのデータ処理と計算は、Cirrus Multi-Offline SEC-Software バージョン3.2(Polymer Laboratories a Varian inc.Company)を用いて行った。
【0283】
すべての試料は、5.0~9.0mgのポリマーを8mL(160℃)の安定化TCB(移動相と同じ)に溶解し、最大160℃で連続して軽く揺すりながら、PPについては2.5時間、PEについては最大で3時間かけて調製した。
【0284】
d)コモノマー含有量
コモノマー含有量は、国際公開第2019/081611の31~34ページに記載のとおり測定した。
【0285】
e)機械的特性
引張弾性率および引張破断応力
フィルムの引張特性は、ISO 527-3に従って、以下に示すブローンフィルムを使用したタイプ2の試験片を用いて23℃で測定した。機械方向の引張弾性率(MD)および横方向の引張弾性率(TD)は、ASTM D882に従って、試験速度500mm/min、ゲージ長50mmで1%割線係数として測定した。
【0286】
引張破断応力は、ISO 527-3の試験片タイプ2に従い、ゲージ長50mm、試験速度500mm/minで測定した。フィルム試料は、下記の「実施例」に記載のとおり製造した。
【0287】
破断点伸び
機械方向(MD)および横方向(TD)の破断点伸びは、ISO 527-3に従って、下記の「実施例」に記載のとおり製造した指示された厚さのフィルムで測定した。
【0288】
ダート落下衝撃
ダート落下衝撃(DDI)を、ASTM D1709の「方法A」に従って、下記の「実施例」に記載のとおり製造した指示された厚さのフィルムで測定した。
【0289】
f)光学特性
フィルムの光学的外観の尺度としての光沢、透明度、ヘイズを、ISO 2813(光沢)およびASTM D1003(ヘイズおよび透明度)に従って、下記の「実施例」に記載のとおり製造した指示された厚さのフィルムで測定した。
【0290】
外層と内層の光沢は、ISO 2813に従って60°の角度で測定した。ISO 2813のとおり、BYK-Gardner Micro-TRI-Gloss Meterでは3つの測定角度(20°、60°、85°)が可能であり、60°の光沢値が記録され、光沢単位(GU)として報告される。従って、光沢はフィルムの両表面で測定され、別々に判定される。
【0291】
g)摩擦係数
動的条件での摩擦係数は、イン/インおよびアウト/アウトの両方で、ISO 8295に従って測定した。
【0292】
h)シール開始温度(SIT)
原理的には、ヒートシールは、少なくとも部分的に溶融した状態で、2枚のフィルム(ポリマー)を押し付けてしっかりと接触させる方法で接着することによって形成される。本試験方法は、ヒートシールプロセス実施後の評価部も網羅している。シールを含む試験片を分離するのに必要な力は、UTMを用いて測定される(試験片破壊のモードを特定するためでもある)。ASTM F 2029;ASTM F 88規格に従い、下記の「実施例」に記載のとおり製造したフィルムのシール面を有する試験片が選択された。試験には、各シール温度について最低5個の試験片を使用しなければならない。「シール開始温度」(SIT)という用語は、「5Nにおけるシール開始温度」と規定され、冷却後に5Nの強度を有するシールが形成される温度を指す。シール作業直後にヒートシールが形成される温度(65ミクロン未満のフィルム厚さについてはシール時間1.0秒、シール圧力3バール、65ミクロン以上のフィルム厚さについてはシール時間1.5秒)、ヒートシールの強度は特定の時間間隔(シーリングサイクル終了後、シールが周囲温度まで冷却され、最大強度に達した後、少なくとも24時間)で測定される。
【0293】
i)ホットタック温度
この試験法は、ASTM F 1921規格に従って、規定されたシール時間と圧力の下で、フィルム試料が規定されたシール強度に達するために必要な温度を測定する手順である。従って、ホットタック試験では、シール直後のフィルムのヒートシール強度を、常温条件に冷却する前に測定する。試験には、各シール温度に対して幅25mm、長さ250mmを超えるフィルム試験片が必要であった。ASTM F 1921に従って、以下の条件:シール圧3バール、ドエル/シール時間1秒、冷却/遅延時間100ミリ秒(リリース)、試験/ピール速度200mm/秒で、1Nの力におけるホットタック温度(℃)を測定した。65ミクロン以上の厚さについては、同様の試験条件で1.5秒のドエル/シール時間が使用される。
【0294】
j)水蒸気透過率(WVTR)
下記の「実施例」で製造したフィルムの水蒸気透過率をASTM F-1249規格に従って測定した。水蒸気透過率(WVTR)試験は、ASTM F1249:2006および/またはISO15106-2:2003に従って、37.8℃、相対湿度90%(RH)で行われる。
【0295】
k)酸素透過率(OTR)
酸素バリア性、すなわち酸素透過率は、下記のように製造したブローンフィルムで測定した。試験片は、環境大気圧下で2つのチャンバーの間に密閉されたセミバリアとして装着される。一方のチャンバーは、所定の温度と相対湿度の窒素流でゆっくりとパージされ、もう一方のチャンバーは、窒素流と同じ温度と相対湿度の酸素流でパージされる。酸素ガスがフィルムを透過して窒素キャリアガスに入ると、酸素ガスはクーロメトリック検出器に運ばれ、そこで電流を生じさせる。その大きさは、単位時間当たりに検出器に流入する酸素の量に比例する。酸素透過率(OTR)試験は、ISO 15105-2に従って、温度23℃、相対湿度0%で、N2およびO2(99.5%)ガスを10sccm使用し、フィルム表面積50cm2で実施される。
【0296】
l)厚さ
フィルムの厚さはISO4593に従って測定した。
【実施例】
【0297】
各々コア層、内層、外層から成る3層構造のシーラントフィルムおよび印刷フィルムを製造した。実施例IE1は本発明のラミネートのシーラントフィルムを表し、実施例CE1は比較シーラントフィルムである。実施例IE2およびIE3は本発明のラミネートの印刷フィルムを表し、CE2は比較印刷フィルムである。各シーラントフィルムの厚さは45μmであり、各印刷フィルムの厚さは27μmである。各フィルムのコア層の厚さは各フィルムの総厚の50%であり、各外側の層(すなわち内層と外層)の厚さは各フィルムの総厚の25%である。
【0298】
本発明例および比較例はすべて無延伸フィルムである(定義による)。本発明例と比較例の詳細を以下にまとめる:
ラミネートフィルムは、これらのシーラントと印刷フィルムを使って製造した:
発明ラミネート1(IE4)は、IE1シーラントフィルムおよびIE2印刷フィルムを含む;
発明ラミネート2(IE5)は、IE1シーラントフィルムおよびIE3印刷フィルムを含む;および
比較ラミネート(CE3)は、CE1シーラントフィルムおよびCE2印刷フィルムを含む。
【0299】
さらにフィルムの詳細を表1に示す。
【0300】
【0301】
本発明のフィルムおよび比較例のフィルムの製造に使用したポリマーを以下に示す。
【0302】
【0303】
実験
フィルム調製に特別な延伸装置を使用しなかったため、フィルムは標準的なブローンおよび/またはキャストフィルムラインで、標準的なフィルム機械システム(ニップローラーもしくはテイクオフローラーおよびワインダー)によって製造され、「無延伸フィルム」と呼ぶことができる。フィルムは、ブローンフィルムおよび/またはキャストフィルムプロセスのいずれかの適当な方法で形成でき、各層を形成する材料は、共押出フィードブロックおよびダイアセンブリを通して共押出でき、3つ以上の層が接着しているが組成が異なるフィルムを生じることができる。
【0304】
上述した印刷フィルム層に使用されるポリエチレンブレンドは、適当な従来の多層フィルム押出ラインによって、好ましくは150~230℃、より好ましくは160~225℃の温度で製造できる。この点で使用される従来のブローンフィルム製造技術は、原理的には公知であり、当業者には利用可能である。通常、各フィルム層は160~225℃の温度で共押出しされ、12~16℃の温度で空気を吹き込むことにより冷却され、ダイの直径の1~2倍のフロストライン高さが得られる。
【0305】
ブローンフィルムは、生産量150kg/hr、冷却用空気温度12~16℃のPolyrema(Reifenhauser社製、内部気泡冷却システム付きブローンフィルムライン)で製造した。詳細は表3に示す。
【0306】
【0307】
表4と表5は、それぞれシーラントフィルムと印刷フィルムのブローンフィルムラインの温度プロファイル、すなわちブローンフィルム押出機の異なる層に使用された溶融温度とそれぞれの溶融圧力を示している。フィルムは、ポリエチレン用の標準的な共押出機を使用して製造したが、フィルムの美観を最適化し、安定したフィルム生産を実現するために、各フィルムにはわずかに異なる工程条件を使用した。
【0308】
【0309】
【0310】
表6は、ブローンフィルムラインの温度プロファイル、すなわち、ブローンフィルムラインの異なる場所でブローンフィルム押出機の異なる層に使用された温度を示す。
【0311】
【0312】
ロトグラビア印刷プロセス
表1の印刷フィルムはすべて、BOBST Rotomec 4003、10色ロトグラビア印刷機で印刷した。巻き取り機の張力は27μmのPEフィルムを走行させるために最適化し、スムーズな操作のために4~6バールの張力を採用した。巻き出し張力は、4~6バールの巻き取り張力に非常に近い状態に保ち、200メートル/分を超える(高)速度で裏刷り印刷するときに調整した。
【0313】
ラミネート調製
ロトグラビア印刷後、反転印刷した印刷基材フィルムとシーラントフィルムを、ヘンケル社製の無溶剤接着システムを使ってラミネートした。ラミネートは、Nordmeccanica社製の無溶剤ラミネーターを使用し、走行速度250m/分、接着剤1.7g/m2で行った。
【0314】
VFFS包装試行
フレキシブルパウチの製造に使用した縦型フォームフィルシール(VFFS)機は、Pace packaging社製のポリヒートシール(PHS)機であった(モデル-Pace P250 4S)。動作パラメーターを表7に示す。
【0315】
【0316】
フィルムの特性
ラミネートフィルムを、バリア性、機械的強度、光学特性など、数個の特性について試験した。結果を表8に示し、シーラントフィルムおよび印刷フィルムの特性という観点から考察する。
【0317】
【0318】
ラミネートのシーラントおよび印刷フィルムの特性を以下に示す。
【0319】
【0320】
表9から分かるように、IE1シーラントフィルムは、比較サンプルのCE1よりも機械的特性(引張弾性率、引張強度、引張破断応力、ダート落下衝撃、引裂き抵抗)並びに光学的特性(ヘイズと光沢)が向上している。
【0321】
表9に示される高い1%割線係数(300~500MPa)は、IE1シーラントフィルムがCE1シーラントフィルムよりも剛性能力が向上していることを示しており、IE1フィルムがフィルムを同じ相対的な程度で変形させるためにより多くのエネルギー投入を必要とすることを意味している。これは、製造されたラミネートフィルムにとってより適している。
【0322】
IE1シーラントフィルムの引張特性とダートドロップインパクト(DDI)はいずれも、良好な光学特性と共に著しく高く、これらの結果は一般的に、ラミネートフィルムの高い機械的性能を維持するように設計されている。
【0323】
両外側の層の摩擦係数(COF)を動的条件で測定し、0.5未満であったので、この後の工程、ラミネーション、FFS作業に適している。
【0324】
IE1シーラントフィルムは、水蒸気透過率(WVTR)が30%~40%低減し、CE1フィルムよりも優れた水分バリア性能を示している。
【0325】
IE1シーラントフィルムのシール挙動は、
図2において、低いシール開始温度と低いホットタック温度、すなわち5Nにおけるシール開始温度が約95℃以下、および1Nにおけるホットタックシール開始温度が約90℃以下によって示されており、これらはシール完全性の性能を反映している。シーリング層のSITが低いことは、シーリング層と印刷フィルム最上層との間にSITまたは耐熱性の差を生じさせるためにまさしく不可欠であるので、IE1シーラントフィルムのシール挙動によってラミネートフィルム全体の性能を向上させることができ、VFFS機での包装作業中に利点(フィルムがVFFS包装用途に使用されている間、より速い包装速度)をもたらす。
【0326】
ひとたびシーラントフィルムが基材とラミネートされると、ラミネート全体の厚さが単一のシーラントフィルムよりも厚くなるため、そのラミネートのシーリング層CのSITはやや高温(100℃近く)まで上昇した。
【0327】
従って、IE1シーリング層はCE1シーリング層よりもシール特性が向上しており、これは同じ強度のシールを生じさせるのに必要なエネルギーが少なくて済むことを意味する。このことは、50~80パウチ/分の包装速度で、包装ライン作業で(ラミネート)フィルムを使用している間、非常に有益である。
【0328】
【0329】
表10を参照すると、比較のCE2印刷フィルムと比較して、IE2およびIE3印刷フィルムについては、より高い引張弾性率(1%割線係数)と、より高い引張強度も得られた。記載された配合を使用して得られたフィルム特性では、IE2およびIE3印刷フィルムの1%(MD)の割線係数が620~660MPaの範囲にあることが分かり、高い剛性を示し、ラミネートフィルムの全体的な剛性を向上させるだけでなく、高速印刷動作の要件を満たす優れた本体を提供する。従ってより速い包装速度でラミネートフィルムを走行させることが容易になる。
【0330】
IE2およびIE3印刷フィルムについては、良好な光学特性(ヘイズおよび光沢)だけでなくバリア性能(WVTRおよびOTR)が向上していることが報告されている。
【0331】
IE2とIE3の内層の5Nにおけるシール開始温度は、CE2試料と比較して上昇している。
【0332】
図3は、本発明のポリエチレン基材は耐熱性が向上しており(CE2試料と比べて、IE2、IE3の内層の5Nにおけるシール開始温度が上昇しており、110~120℃の範囲にある)、これがより高いデルタSIT(ΔSIT)を生じさせるのに役立っていることがわかった。デルタSIT(ΔSIT)は、印刷フィルム層Gのシール開始温度(SIT)とシーラントフィルム層Cのシール開始温度(SIT)との差として計算される。従って、IE2およびIE3フィルムは、FFS包装機の最上部垂直シールバーの高温に耐えることができ、また(外側のラミネート面と内側ラミネート面との間に)高いデルタSITを生じさせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面と外面とを含むポリエチレンラミネートフィルムであって、
a)外層E、コア層Fおよび内層Gを含む印刷フィルムであり、前記内層Gが該ラミネートフィルムの前記外面を形成し、前記内層Gが、920~935kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有するエチレンコポリマーである成分AGを含む内層G組成物でできてい
て、前記エチレンコポリマーは、エチレンと少なくとも2種の異なるC
4
-C
12
α-オレフィンモノマーとの多峰性コポリマーである、印刷フィルム;および
b)外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、前記内層Cが前記ラミネートフィルムの前記内面を形成し、前記内層Cが、少なくとも1種のエチレンポリマーを含む内層C組成物でできている、シーラントフィルム;
を含み、
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、前記印刷フィルムの前記外層Eにラミネートされ、
前記ラミネートフィルムの前記外面の5Nにおけるシール開始温度(SIT)が、前記ラミネートフィルムの前記内面の5Nにおけるシール開始温度よりも少なくとも10℃高く、前記シール開始温度は、ASTM F2029およびASTM F88に従って測定される、ポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項2】
前記内層C組成物が、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分ACを含む、請求項1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項3】
前記印刷フィルムの前記内層G組成物が、前記内層G組成物の総重量に基づいて、前記成分AGを50~75重量%の量で含む;および/または、前記シーラントフィルムの前記内層C組成物が、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分ACを、前記内層C組成物の総重量に基づいて好ましくは60~90重量%の量で含み、前記成分ACの密度は前記成分AGの密度より低い、請求項1または2に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項4】
前記印刷フィルムの前記内層G組成物が、915~930kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BG1;および/または、950~970kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する高密度エチレンポリマーである成分BG2をさらに含み、好ましくは、前記成分BG1およびBG2のいずれかまたはそれぞれを、前記内層G組成物の総重量に基づいて、15~45重量%の量で含む、請求項3に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項5】
前記成分AC、AGおよびBG2のいずれかまたはすべてが/二峰性エチレンコポリマーであり、好ましくは、前記成分ACおよびAGのいずれかまたは両方が/エチレンと少なくとも2種の異なるC
4-C
12α-オレフィンモノマーとのコポリマーである、請求項
3に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項6】
前記シーラントフィルムの前記内層C組成物が、918~928kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する低密度ポリエチレンである成分BCを、前記内層C組成物の総重量に基づいて、好ましくは10~30重量%の量でさらに含む、請求項
3に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項7】
前記印刷フィルムの前記コア層Fが、950~970kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.2~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する高密度エチレンポリマーである成分AFを、コア層F組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大90重量%の量で含むコア層F組成物でできている、請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項8】
前記印刷フィルムの前記コア層F組成物が、920~935kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有するエチレンコポリマーである成分BFを、前記コア層F組成物の総重量に基づいて、好ましくは5~40重量%の量でさらに含む、請求項7に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項9】
前記シーラントフィルムの前記コア層Bが、925~945kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する中密度ポリエチレンである成分ABを、コア層B組成物の総重量に基づいて、好ましくは40~75重量%の量で含む;および/または915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BBを、前記コア層B組成物の総重量に基づいて、好ましくは20~40重量%の量で含む、コアB層組成物でできている、請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項10】
前記シーラントフィルムの前記外層Aが、915~930kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AA;および/または、915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分BAを、好ましくは、成分AAおよびBAのいずれかまたはそれぞれを、外層A組成物の総重量に基づいて30~50重量%の量で含む外層A組成物でできている、請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項11】
以下の基準:
a)前記ラミネートフィルムおよび/または前記シーラントフィルムおよび/または前記印刷フィルムは、ASTM D1003に従って測定される、12%未満のヘイズ値を有する;
b)前記ラミネートフィルムおよび/または前記シーラントフィルムおよび/または前記印刷フィルムは、ISO2813に従って前記それぞれの内層C/Gまたは外層A/Eにおいて60°で測定される、少なくとも80の光沢値を有する;
c)ASTM D882に従って測定される、前記シーラントフィルムの機械方向(MD)の引張弾性率(1%割線)が280~500MPaである、および/または、前記印刷フィルムの機械方向の引張弾性率が500~1000MPaである、および/または、前記ラミネートフィルムの機械方向の引張弾性率が400~800MPaである;および
d)前記ラミネートフィルムが、ASTM F-1249に従って37.8℃、90%RHで測定される5g/m
2/日以下の水蒸気透過率(WVTR)を有し、任意に、ISO15105-2に従って、23℃、0%RHで測定される2000cm
3/m
2/d以下の酸素透過率(OTR)を有する、
の1つまたは複数を満たす、請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項12】
前記印刷フィルムが15~40μmの厚さを有し、前記シーラントフィルムが35~120μmの厚さを有し、前記印刷フィルムおよび前記シーラントフィルムのそれぞれが最大7層を含み、ブローンフィルムまたはキャストフィルムプロセスによって製造され、好ましくは無延伸フィルムであり、任意に、前記ラミネートフィルムが、前記シーラントフィルムの前記外層Aと前記印刷フィルムの前記外層Eとの間に接着剤層を含む、請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルム。
【請求項13】
外層A、コア層Bおよび内層Cを含むシーラントフィルムであって、
前記内層Cが、
a)915~925kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.5~2.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーであ
って、前記エチレンコポリマーが、エチレンと少なくとも2種の異なるC
4
-C
12
α-オレフィンモノマーとの多峰性コポリマーである、成分AC;および
b)918~928kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される1.5~2.5g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する低密度ポリエチレンである成分BCを、好ましくは内層C組成物の総重量に基づいて10~30重量%の量で含む内層C組成物でできており、
以下の基準:
c)前記コア層Bが、925~945kg/m
3の密度およびISO1133に従って測定される0.05~0.50g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する中密度ポリエチレンである成分ABを、好ましくはコア層B組成物の総重量に基づいて40~75重量%の量で含むコア層B組成物でできている、および
d)前記外層Aが、915~930kg/m
3の密度、およびISO1133に従って測定される0.05~1.0g/10分のメルトフローレート(MFR
2)を有する直鎖状低密度エチレンポリマーである成分AAを、好ましくは、外層A組成物の総重量に基づいて、30~50重量%の量で含む外層A組成物でできている、
の少なくとも1つを満たす、シーラントフィルム。
【請求項14】
請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルムまたは請求項13に記載のシーラントフィルムを含む成形品。
【請求項15】
請求項
1に記載のポリエチレンラミネートフィルムまたは請求項13に記載のシーラントフィルムの、物品の包装のための使用。
【国際調査報告】