(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ガス状媒体を圧縮するための多段圧縮装置、多段圧縮装置を有するシステム及び補給ステーション、並びにガス状媒体の多段圧縮方法
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20241108BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20241108BHJP
F04B 41/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F04B41/00 B
F17C5/06
F04B41/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530539
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082742
(87)【国際公開番号】W WO2023094360
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021213172.7
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482784
【氏名又は名称】アルゴ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・キャステンフェルト
【テーマコード(参考)】
3E172
3H076
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BD03
3E172EA02
3E172EA12
3E172EA13
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA35
3E172EA51
3H076AA35
3H076BB21
3H076BB45
3H076CC91
(57)【要約】
ガス状媒体を圧縮するための多段圧縮装置(100)は、2つの圧力容器(121、122)を有する第1の圧縮段(120)であって、2つの圧力容器(121、122)にはそれぞれ、液体供給導管(123、124)が設けられており、当該液体供給導管を通じて、作動媒体Aが各圧力容器(121、122)に導入可能であり、これによって、圧力容器(121、122)内の圧縮されるべきガス状媒体が、圧力容器(121、122)内に存在する作動媒体Aの液体体積を増加させることによって、所定の第1の圧力P2に圧縮され、2つの圧力容器(121、122)には、共通の又は2つの独立した液体ポンプ(125A、125B)によって作動媒体Aを供給することが可能であり、作動媒体Aは、圧縮プロセスが行われた後に、同じ液体ポンプ(125A、125B)又はさらなる液体ポンプ(126A、126B)によって、少なくとも2つの圧力容器(121、122)から汲み出すことができる、第1の圧縮段(120)と、第1の圧縮段120によって圧縮されたガス状媒体を一時的に貯蔵するように設定された中間貯蔵タンク(2)と、第1の圧縮段(120)の上流に接続され、供給されたガス状媒体を2bar~6barの範囲の圧力に予備圧縮するように設定されているさらなる圧縮段(110)と、を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状媒体、特に水素を圧縮するための多段圧縮装置(100)であって、
圧縮されるべきガス状媒体を一時的に貯蔵するように設定されている少なくとも1つのバッファタンク(1)と、
第1の圧縮段(120)であって、
少なくとも2つの圧力容器(121、122)と、
圧縮されるべきガス状媒体の少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)への供給及び少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)からの圧縮されたガス状媒体の排出のために用いられる導管系(10)と、
を含んでおり、少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)には、それぞれ少なくとも1つの液体供給導管(123、124)が設けられており、前記液体供給導管を通じて、作動媒体(A)、特に圧縮液体を前記圧力容器(121、122)それぞれに導入可能であり、前記圧力容器(121、122)内に存在する前記作動媒体(A)の液体体積を増加させることによって、前記圧力容器(121、122)内の圧縮されるべきガス状媒体が所定の第1の圧力(P
2)に圧縮され、少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)には、共通の又は2つの独立した液体ポンプ(125A、125B)によって前記作動媒体(A)を供給することが可能であり、前記作動媒体(A)は、圧縮プロセスが行われた後に、同じ液体ポンプ(125A、125B)又はさらなる液体ポンプ(126A、126B)によって、少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)から汲み出すことができる、
第1の圧縮段(120)と、
前記第1の圧縮段(120)によって圧縮されたガス状媒体を一時的に貯蔵するように設定された少なくとも1つの中間貯蔵タンク(2)と、
前記第1の圧縮段(120)の上流に接続され、供給された(送り込まれた)ガス状媒体を好ましくは1:1.5~1:3の範囲に、特に2bar~6bar(絶対圧)の範囲の圧力(P
1)に圧縮するように設定されているさらなる圧縮段(110)、特に低圧圧縮段と、
を含んでおり、前記第1の圧縮段(120)は、好ましくは、圧縮プロセスが行われた後で、さらなる圧縮プロセスを実施するために、少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)の一方から少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)の他方に前記作動媒体(A)を圧送するように設定されている多段圧縮装置(100)。
【請求項2】
前記第1の圧縮段(120)の下流に接続された第2の圧縮段(140)をさらに有し、前記第2の圧縮段(140)が、前記第1の圧縮段(120)によって圧縮されたガス状媒体を所定の第2の圧力(P
3)まで圧縮するように設定された圧縮装置(141)を有している、請求項1に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項3】
第2の圧縮段(140)が、前記第1の圧縮段(120)によって予備圧縮されたガス状媒体を、1:10~1:100の範囲で圧縮する、特に第1の所定の圧力(P
2)から、100bar~1000barの範囲、特に300bar~500barの範囲の第2の所定の圧力(P
3)まで圧縮するように設定されている、請求項2に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項4】
さらに、前記第1の圧縮段(120)によって圧縮されたガス状媒体、特に水素を除湿するように設定された除湿装置を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項5】
前記第1の圧縮段(120)が、供給されたガス状媒体を、1:10~1:40の範囲で圧縮する、特に1bar~2barの範囲の圧力(P
1)から、10bar~50barの範囲、特に30barの第1の所定の圧力(P
2)まで圧縮するように設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項6】
前記第1の圧縮段(120)の少なくとも2つの圧力容器(121、122)が、鋼製容器、特にPN40の鋼製容器として構成されており、好ましくは5,000L~100,000L、より好ましくは20,000L~60,000Lの容量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項7】
前記第1の圧縮段(120)の少なくとも2つの圧力容器(121、122)が、球形タンク、円筒形タンク又は管状タンクとして構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項8】
さらなる圧縮段(110)、特に低圧圧縮段が、遠心圧縮機、ブロワー/ファン圧縮機、スクリュー圧縮機、ターボ圧縮機又はガスタービン圧縮機として構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項9】
さらなる圧縮段(110)が、第1の圧縮段(120)の作動媒体(A)の流動エネルギーによって駆動される、請求項8に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項10】
作動媒体(A)が、圧縮されるべきガス状媒体が溶解しない液体、及び/又は残留物を生じずに前記ガス状媒体から分離できる液体であり、前記作動媒体(A)は好ましくは水である、請求項1から9のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項11】
第1の圧縮段及びさらなる圧縮段、並びに好ましくは第2の圧縮段(120、110、140)もそれぞれ、5分~15分以内、好ましくは10分以内に圧縮プロセスを実行できるように設定されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの中間貯蔵タンク(2)が、好ましくは、多層積層高圧容器、特に炭素繊維高圧容器から形成された多数の中間貯蔵タンク(2)を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項13】
第2の圧縮段(140)、特に圧縮装置(141)が、第1の圧縮段(120)のような水圧縮機、ピストン圧縮機、又は単純なポンプとして構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項14】
少なくとも第1の圧縮段(120)が、好ましくは第2の圧縮段(140)も、作動媒体(A)、特に圧縮液体を、所定の温度(T
1)、特に1℃~5℃の範囲の温度、好ましくは1℃に、特に各圧力容器(2)に導入される前に冷却するように設定された冷却装置(4)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項15】
第1の圧縮段(120)が、作動媒体(A)、特に水を一時的に貯蔵することができる少なくとも1つの貯蔵タンク(5)又はリザーバを含んでいる、請求項1から14のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項16】
第1の圧縮段(120)の1つの共通の、又は2つの独立した液体ポンプ(125A、125B)が、少なくとも2つの圧力容器(121、122)に、10bar~50barの範囲の第1の所定の圧力(P
1)で作動媒体(A)を供給するように設定されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項17】
さらに少なくとも1つの高圧貯蔵タンク(10)を有しており、前記高圧貯蔵タンクは、第2の圧縮段(140)によって圧縮されたガス状媒体、特に圧縮水素を最大1000barの圧力で一時的に貯蔵するように設定されており、少なくとも1つの前記高圧貯蔵タンク(10)は、好ましくは複数の貯蔵セグメント(10A、10B、10C)に分割されており、前記貯蔵セグメントは、好ましくは互いに独立して充填及び/又は空にされ得る、請求項1から16のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)。
【請求項18】
好ましくは車両への補給に使用される、圧縮されたガス状水素を供給するためのシステム(200)であって、
少なくとも1つの電解槽(210)、特に塩素アルカリ電解槽であって、好ましくは1bar~3barの出力圧力で水素を生成するように設定されている電解槽(210)と、
請求項1から17のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)であって、少なくとも1つの前記電解槽(210)によって生成されたガス状水素を後続の使用のために処理するように、特に圧縮するように設定されている多段圧縮装置(100)と、
を含むシステム(200)。
【請求項19】
さらに分配装置(ディスペンサ)(220)を有しており、前記分配装置には、好ましくは温度調節装置(230)が設けられており、前記温度調節装置を用いて、車両又は貯蔵タンクに供給されるべき水素を、個別に既存の枠組条件に合わせて調整することが可能であり、この際、水素は、好ましくは350bar~700barの圧力及び-33℃~-40℃の温度で前記車両又は前記貯蔵タンクに供給される、請求項18に記載のシステム(200)。
【請求項20】
圧縮水素を車両に補給するための補給ステーション(300)、特に水素補給ステーションであって、
好ましくは、補給されるべき車両に設けられた対応する受容装置に対応するように設定されている少なくとも1つの補給装置と、
請求項1から17のいずれか一項に記載の多段圧縮装置(100)と、
を含む補給ステーション(300)。
【請求項21】
ガス状媒体、特に水素の多段圧縮のための方法であって、
a)圧縮されるべき前記ガス状媒体を、作動媒体(A)、特に圧縮液体を導入可能である第1の圧縮段(120)の少なくとも2つの圧力容器(121、122)のうちの第1の圧力容器に導入するステップと、
b)少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)のうちの第1の圧力容器に前記作動媒体(A)を導入することによって、又は前記圧力容器(121、122)内の前記作動媒体(A)の液体体積を増加させることによって、圧縮されるべき前記ガス状媒体を所定の第1の圧力(P
2)まで圧縮するステップと、を含んでおり、
圧縮されるべき前記ガス状媒体は、前記第1の圧縮段(120)に導入される前に、前記第1の圧縮段(120)の上流に接続されたさらなる圧縮段(110)、特に低圧圧縮段によって、1:1.5~1:3の範囲、特に2bar~6bar(絶対圧)の範囲の圧力(P
1)まで予備圧縮される方法。
【請求項22】
さらに、
c)所定の第1の圧力(P
2)に圧縮されたガス状媒体を中間貯蔵タンク(2)に一時的に貯蔵するステップと、
d)圧縮されたガス状媒体を第2の圧縮段(140)の圧縮装置(141)に供給するステップと、
e)第1の圧縮段(120)によって圧縮されたガス状媒体を所定の第2の圧力(P
3)に圧縮するステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
さらに、少なくとも2つの圧力容器(121、122)のうちの少なくとも第1の圧力容器に導入される作動媒体(A)、特に圧縮液体が、導入又は供給の前に、特に1℃~5℃の範囲の温度、特に1℃の温度に冷却され、これによって、圧縮されるべきガス状媒体、特に水素の圧縮中に、ガス状媒体が、作動媒体(A)との接触によって受動的に冷却される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
圧縮されるべきガス状媒体の圧縮中に、(少なくとも2つの圧力容器のうちの1つの)作動媒体(A)の充填レベルが、最小充填レベル(H
min)から所定の充填レベル(H
Soll)に引き上げられ、これによって、圧縮されるべきガス状媒体の圧力が、第1の所定の圧力(P
2)又は目標値まで上昇する、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
さらに、
f)少なくとも2つの圧力容器(121、122)のうちの一方の圧力容器内の作動媒体の充填レベルを、特に最小充填レベル(H
min)まで下げるステップと、
g)排出された前記作動媒体(A)をリザーバ内で一時的に貯蔵するか、又は前記作動媒体(A)を少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)のうちの他方の圧力容器内に導入し、これによって、前記圧力容器内でさらなる圧縮プロセスを実施するステップと、
を含む、
請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
さらに、
h)作動媒体(A)を、好ましくは高圧ポンプを用いて、最大100barの作動圧力(P
2)まで加圧するステップと、
i)前記作動圧力(P
2)まで加圧された前記作動媒体(A)を冷却又は再冷却するステップと、
j)加圧された前記作動媒体を、少なくとも2つの前記圧力容器(121、122)のうちの一方に供給するステップと、
を含み、これによって、ステップa)において前記圧力容器(121、122)に導入された、圧縮されるべきガス状媒体が、第1の所定の圧力(P
2)まで圧縮される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
圧縮されるべきガス状媒体が水素であり、水素は多段圧縮プロセスの上流で塩素アルカリ電気分解によって生成され、塩素アルカリ電気分解によって生成された水素は、好ましくは1bar~2barの範囲、好ましくは1.2barの圧力で電気分解プロセスを終了する、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状媒体、特に水素を圧縮するための多段圧縮装置に関する。さらに、本発明は、圧縮されたガス状水素を供給するためのシステム、及び本発明に係る多段圧縮装置を有する補給ステーション、特に水素補給ステーションに関する。さらに、本発明は、ガス状媒体を多段圧縮するための方法、特に本発明に係る多段圧縮装置を使用してガス状媒体を多段圧縮するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン及びディーゼル車両の燃料補給に用いられる従来の補給ステーションは十分に知られている。さらに、いわゆる天然ガス車両に400bar~1000barの圧力で圧縮天然ガスを補給する補給ステーションも知られている。この場合、天然ガスは大部分が地下に設けられた貯蔵タンクに最大1000barの圧力で貯蔵され、補給されるべき車両に供給される。
【0003】
さらに、最近では、適切に改造された車両又は最新の燃料電池自動車に、ガス状及び/又は液状水素を補給できる水素補給ステーションがますます多く建設されている。これらの、以下において水素補給ステーションと呼ばれる補給ステーションでは、ガス状水素及び/又は液状水素が、適切な補給カップリングによって、補給されるべき車両に送られる。
【0004】
天然ガス、LPG又は水素などの気体燃料によって駆動される自動車を発表する自動車メーカーが増えている。これには乗用車だけでなく、バス、トラック、フォークリフトも含まれる。圧縮ガスによって動作する車両の数が増加するのと並行して、補給ステーションの数、特に水素補給ステーションの数が増加している。水素補給ステーションは、個人顧客の利用が多くなっている。水素は天然ガス又はLPGに比べて圧力が高く、温度も低いので、特に水素の補給には、補給方法及びその他の装置に関して、新たな開発が必要となる。しかしながら、加えて、他の燃料に比べて受容を高めるためには、水素のコストを可能な限り低く抑える必要がある。これは、補給ステーションの投資コストも低く抑えなければならないということを意味している。
【0005】
車両に最大700barの圧力でガス状水素を補給することができる水素補給ステーションがすでに存在する。複数の車両に連続して、及び/又は同時に補給するために、一般に、大量の加圧ガス状水素を対応する圧力緩衝器に一時的に貯蔵する補給方法が用いられる。さらに、設けられる圧縮機システムは、必要な体積流量が保証されるような寸法又は設計でなければならない。
【0006】
ガス産業においては、様々な種類のピストン圧縮機又はダイヤフラム圧縮機が知られている。この際特に、ピストンで駆動される圧縮機は、ピストンの動きに追従し、それに応じて高い負荷を受けるシール又はダブルシールを有するという問題を有する。シールに漏れが生じると、圧縮機は機能しなくなり、オーバーホールを余儀なくされる。これらの漏れによって生じる損失は、ピストン圧縮機の場合、約3%である。つまり、圧縮量の3%がシールを通じて失われることになり、これは著しいコスト要因である。さらに、あり得る漏れを検出することが必要であり、漏れは、認識されない場合、環境へのリスクとなり得る。ダイヤフラム圧縮機は、ピストンの代わりに大きなダイヤフラムを使用する。ダイヤフラム圧縮機は、非常に低い圧力においてのみ始動可能であり、小さな振動又はストロークのみを発生させることができる。この際、ダイヤフラムのマイクロクラックは検出が難しく、やはり漏れにつながり得る。どちらのシステムにも、シール液が高速で動くという問題があり、シールに極度の負荷が加えられる。これらの圧縮機の修理には、圧縮機がガス(水素)と接触しているので時間を多く要する。
【0007】
さらに、ピストン圧縮機は通常、圧縮空気又は油圧オイルで駆動される。圧縮機内部の熱膨張ゆえに、圧縮されるべきガス、特に水素は加熱され、冷却が必要となるが、これには極めて多くのエネルギーを要する。
【0008】
ダイヤフラム圧縮機では、ダイヤフラムが設けられているヘッドが非常に重いので、メンテナンスには非常に多くの時間を要し、ダイヤフラム圧縮機は非常に多くの場所を必要とする。このために、特別なケースを設けなくてはならず、圧縮機の上の空間はメンテナンスに必要なので利用することができない。ダイヤフラム圧縮機は壊れやすく、1日に数回(1日3~5回以下)のみ始動させる方がよいので、ダイヤフラム圧縮機の制御は極めて柔軟性に欠けるものとなっている。これは、補給サイクルが変化する補給ステーションでは不可能である。ダイヤフラム圧縮機の始動が極めてまれである場合、つまり連続運転の場合、ダイヤフラム圧縮機は長い寿命を有する。この理由から、ダイヤフラム圧縮機は通常、圧縮機が24時間運転される産業で使用される。
【0009】
したがって、現在知られているピストン圧縮機及びダイヤフラム圧縮機は、変化する短い補給サイクルを有する補給ステーション、特に水素補給ステーションでは、限られた範囲でのみ使用可能である。
【0010】
さらに、車両への水素補給のために特別に設けられた既知の補給ステーションは、非常に多くの冷却エネルギーを必要とする。例えば乗用車の補給では、ガス(水素)を補給ポンプ内で-40℃に予冷する必要がある。-40℃の場合、車両のタンクシステムが過熱することなく、約3分~5分以内に約5kgの水素を車両に補給することができる。
【0011】
車両は一般に、圧縮機から直接補給されるか、又は周囲温度を有する高圧バンドルを形成する。40トントラックなど、より多くの水素を必要とする高負荷用途では、補給流量を、例えば乗用車の場合の60g/sから、120g/s、又は180g/sにまで増大させる必要がある。しかしながら、これは、ガス又は水素をより強く冷却しなければならず、より多くの冷却エネルギーが必要になることを意味する。
【0012】
既に短く述べたように、ガス、特に水素を圧縮する場合、圧縮装置(コンプレッサ)の気密性が大きな問題となる。水素は地球上に存在する分子の中で最も小さいので、圧縮装置及び水素補給ステーション全体の気密性を確保することが難しい。システム、特に圧縮装置が密閉されていない場合、漏れが生じた際の危険が大きくなる。ピストン圧縮機又はダイヤフラム圧縮機による既知の圧縮では、水素は非常に高温になるので、圧縮ガス(水素)を冷却する冷却装置を設けなければならない。複数の段を有する大型圧縮機の場合、水素が臨界レベルまで加熱することを回避するために、個々の圧縮段の間で水素を部分的に再冷却しなければならないこともある。この場合、冷却回路を追加で設ける必要があるので、圧縮段が複雑になる。
【0013】
ガス(水素)の圧縮後に冷却が必要なので、既知の水素補給ステーションのエネルギー消費は極めて高い。従来の水素の圧縮では、圧縮された水素の冷却に使用されるエネルギーは、水素の実際の圧縮に必要なエネルギーとほぼ同程度である。
【0014】
圧縮水素の利用可能性、特に補給流量の増加に関する上述の新たな要求を満たすために、特許文献1は、例えば、圧縮水素を貯蔵タンクに充填するためのアセンブリを提案しており、当該アセンブリは、a)液状及び/又はガス状水素を貯蔵するために用いられる少なくとも1つの貯蔵コンテナ、b)貯蔵コンテナに貯蔵された水素を圧縮するために用いられる少なくとも1つの極低温ポンプ及び/又は少なくとも1つの圧縮機、c)圧縮水素を一時的に貯蔵するために用いられる少なくとも1つの高圧貯蔵タンク、及びd)水素を貯蔵コンテナ及び/又は高圧貯蔵タンクから、充填されるべき貯蔵タンクに供給する導管系であって、高圧貯蔵タンクには、冷却及び/又は加熱のための手段が配設されている導管系、を有している。
【0015】
同様に水素補給ステーションを教示している特許文献2に記載されているように、液状水素の貯蔵の際には、ボイルオフガスの問題が存在する。特許文献2は、貯蔵タンクのボイルオフガスを排出し、配管の冷却に使用することを提案している。液状水素の製造は極めて多くのエネルギーを要し、したがって、このような水素補給ステーションの効率は、ボイルオフ効果によって著しく損なわれる。また、水素の温度が低いので、液状水素を水素補給ステーションまで輸送するのも極めて複雑である。
【0016】
さらに、水素の製造コストを削減するために、最近では新しい製造方法も模索されている。特に、既知の塩素アルカリ電気分解は、塩素、及び、塩化ナトリウムと水とから生成される苛性ソーダの製造に、すでに大きな規模で工業的に行われているので、大きなチャンスと見なされている。しかしながら、これまでのところ、当該プロセスでは水素は、単に、特に防爆に関する安全基準を不必要に厳しくする妨害的な副生成物であると見なされており、経済的な利点が提供されることはない。これは主に、塩素アルカリ電気分解を実施する際に、水素が約1.2barという極めて低い圧力で生じるからであり、これによって、これまでのところ、低圧水素の30bar~300barという経済的に合理的な圧力範囲での技術的に複雑でコストの高い圧縮が必要であった。ここでの技術的な要求は、特に、極めて低い圧力レベルでの大きな体積流量と、従来のピストン圧縮機又はダイヤフラム圧縮機では経済的に実現できない、最大1:300の高圧縮比とにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009039645号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102016009672号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ガス状媒体、特に極めて低い圧力レベルで存在する水素の圧縮に際する上述の問題点を背景として、本発明の課題は、ガス状媒体、特に水素を圧縮するための多段圧縮装置を提供することにあり、当該多段圧縮装置は、一方ではガス状媒体を圧縮するために必要なエネルギー使用量を大幅に削減し、他方ではメンテナンスの労力及び運転コストを最小限に抑えることが可能であり、同時に極めて高い圧縮比を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本課題は、請求項1に記載のガス状媒体を圧縮するための多段圧縮装置、請求項18に記載の圧縮されたガス状水素を供給するためのシステム、請求項20に記載の補給ステーション、特に水素補給ステーション、及び請求項21に記載のガス状媒体の多段圧縮方法によって解決される。
【0020】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されており、充填装置及び補給ステーションの対象物は、少なくとも1つの貯蔵タンクに圧縮水素を充填する方法の範囲内で使用可能であり、その逆も可能である。
【0021】
本発明の基本思想の1つは、ガス状媒体、特にガス状水素を圧縮するための多段圧縮装置が、少なくとも2つの圧縮段を備え、少なくとも第1圧縮段が、いわゆる水圧縮機として構成されており、当該水圧縮機は、少なくとも2つの圧力容器を有し、当該圧力容器にはそれぞれ、少なくとも1つの液体供給導管が設けられており、当該液体供給導管を通じて、作動媒体を各圧力容器に導入することが可能であり、圧力容器内に存在する作動媒体Aの液体体積を増加させることによって、圧力容器内で圧縮されるべきガス状媒体が所定の第1の圧力P2に圧縮され、少なくとも2つの圧力容器には、共通の又は2つの独立した液体ポンプによって作動媒体を供給することが可能であり、作動媒体は、圧縮プロセスが行われた後に、同じ液体ポンプ又はさらなる液体ポンプによって少なくとも2つの圧力容器から汲み出すことができることにある。さらなる圧縮段、特に低圧圧縮段は、第1の圧縮段の上流に接続されており、供給されたガス状媒体、特にガス状水素を圧縮又は予備圧縮するために用いられる。
【0022】
このようにして、圧縮に際して水素と直接接触する上述した従来のピストン圧縮機又はダイヤフラム圧縮機が不要になるので、上述した高い漏れ感受性及びそれに伴う高いメンテナンス費用という問題を解消することができる。さらに、作動媒体として水を使用する場合、水素のコンタミネーション(不純物原子の拡散)を排除することができる。さらに、記載された水素の圧縮方法では、水素の温度はわずかに上昇するのみであり、これによって、ピストン圧縮機若しくはダイヤフラム圧縮機による圧縮後の水素の従来の再冷却を省くことができるか、又は少なくともこのために必要なエネルギーを低減することが可能であり、これによって、圧縮プロセスのエネルギー効率を大幅に向上させることができる。さらに、このようにして、経済的な枠組みの中でも、特に産業用設備に関して、高い圧縮比を実現することを可能にする圧縮装置が提供される。
【0023】
本発明の一態様によると、ガス状媒体、特にガス状水素を圧縮するための多段圧縮装置が有しているのは、
圧縮されるべきガス状媒体を一時的に貯蔵するように設定されている少なくとも1つのバッファタンクと、
第1の圧縮段であって、
少なくとも2つの圧力容器と、
圧縮されるべきガス状媒体の少なくとも2つの圧力容器への供給及び少なくとも2つの圧力容器からの圧縮されたガス状媒体の排出のために用いられる導管系と、
を有しており、少なくとも2つの圧力容器には、それぞれ少なくとも1つの液体供給導管が設けられており、当該液体供給導管を通じて、作動媒体、特に圧縮液体がそれぞれの圧力容器内に導入可能であり、これによって、圧力容器内の圧縮されるべきガス状媒体が、圧力容器内に存在する作動媒体の液体体積を増加させることによって、所定の第1圧力に圧縮され、少なくとも2つの圧力容器には、共通の又は2つの独立した液体ポンプによって作動媒体を供給することが可能であり、作動媒体は、圧縮プロセスが行われた後に、同じ液体ポンプ又はさらなる液体ポンプによって、少なくとも2つの圧力容器から汲み出すことができる、
第1の圧縮段と、
第1の圧縮段によって圧縮されたガス状媒体を一時的に貯蔵するように設定された少なくとも1つの中間貯蔵装置と、
第1の圧縮段の上流に接続され、供給された(送り込まれた、圧縮されるべき)ガス状媒体を好ましくは1:1.5~1:3の範囲に、特に2bar~6bar(絶対圧)の範囲の圧力P1に圧縮するように設定されているさらなる圧縮段、特に低圧圧縮段と、であり、
第1の圧縮段は、好ましくは、作動媒体を圧縮プロセスが行われた後で、さらなる圧縮プロセスを実施するために、少なくとも2つの圧力容器の一方から少なくとも2つの圧力容器の他方に圧送するように設定されている。
【0024】
換言すると、圧縮されるべきガス状媒体、特に水素のために圧力容器内で利用可能である貯蔵体積は、作動媒体、特に圧縮液体を圧力容器内に導入することによって(作動媒体の一部は圧力容器内に存在していた可能性がある)、減少させることが可能であり、これによってガス状媒体は、所定の又は所望の第1の所定の圧力に圧縮され得る。対応して、圧力容器に導入される作動媒体の量は、圧縮されるべき媒体に関して利用可能である貯蔵体積の体積変化を決定し、したがって、圧縮されるべきガス状媒体の圧縮比又は圧力の上昇を決定する。作動媒体の導入によって、圧力容器内の圧縮されたガス状媒体を圧縮できるようにするために、作動媒体は弁によって圧力容器内に封入されることが好ましい。
【0025】
この際、バッファタンクは、好ましくは、さらなる圧縮段、特に低圧圧縮段、又は第1の圧縮段の上流に配置される。バッファタンクがさらなる圧縮段の下流に設けられる場合、バッファタンクは、より小さく設計されるか、又はこれによって、より多くの量の圧縮されるべきガス状媒体が貯蔵され得る。
【0026】
さらに、多段圧縮装置が、第1の圧縮段の下流に接続された第2の圧縮段を有し、第2の圧縮段が、第1の圧縮段によって圧縮されたガス状媒体を所定の第2の圧力まで圧縮又は再圧縮するように設定された圧縮装置を含むことが好ましい。
【0027】
この際、多段圧縮装置がさらに、第1の圧縮段によって圧縮されたガス状媒体、特に水素を除湿するように設定された除湿装置も備えていることが有利であり得る。
【0028】
さらに、第1の圧縮段が、供給されたガス状媒体を1:10~1:40の範囲に圧縮する、特に1bar~2barの範囲の圧力P1(絶対圧)から10bar~50barの範囲、特に30barの第1の所定の圧力P2まで圧縮するように設定されていることが有利である。
【0029】
さらに、第2の圧縮段が、第1の圧縮段によって予備圧縮されたガス状媒体を1:10~1:100の範囲に圧縮する、特に第1の所定の圧力P2から100bar~1000barの範囲、特に300bar~500barの範囲の第2の所定の圧力P3まで圧縮するように設定されることが好ましい。
【0030】
さらなる実施形態によると、第1の圧縮段の少なくとも2つの圧力容器は、鋼製容器、特にPN40の鋼製容器として構成されており、好ましくは5,000L~100,000L、好ましくは20,000L~60,000Lの容量を有する。
【0031】
さらに、第1の圧縮段の少なくとも2つの圧力容器が、球形タンク、円筒形タンク又は管状タンクとして構成されていることが好ましい。
【0032】
さらに、さらなる圧縮段、特に低圧圧縮段が、遠心圧縮機、ブロワー/ファン圧縮機、スクリュー圧縮機、ターボ圧縮機又はガスタービン圧縮機として構成されていることが有利である。
【0033】
さらに、さらなる圧縮段は、第1の圧縮段の作動媒体の流動エネルギーによって駆動され得る。このために、作動媒体を循環させるために用いられる第1の圧縮段の液体供給導管又は液体排出導管では、インペラ又はタービンホイールを使用してもよく、インペラ又はタービンホイールは、特に2つの圧力容器のうちの1つからの出口で、流れる作動媒体の運動エネルギーの一部を利用して、さらなる圧縮段を駆動するために用いられる電気エネルギーを生成するか、又はさらなる圧縮段を機械的に駆動するために、吸収された運動エネルギーを直接使用する。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によると、作動媒体は、圧縮されるべきガス状媒体が溶解しない、及び/又は残留物を生じずにガス状媒体から分離できる液体であり、作動媒体は好ましくは水である。
【0035】
さらに、第1の圧縮段及びさらなる圧縮段、並びに好ましくは第2の圧縮段もそれぞれ、5分~15分以内、好ましくは10分以内に圧縮プロセスを実行できるように設定されていることが有利である。このために、特に、使用されるポンプは、圧縮に必要な作動媒体を、そのために必要な時間内にそれぞれの圧力容器に導入できるように設計されている必要がある。
【0036】
さらに、特に、第2の圧縮段が省略され、充填されるべき車両が第1の圧縮段から直接補給される場合には、補給プロセスの間、つねに作動媒体がそれぞれの圧力容器内に圧送され、それぞれの圧力容器内の圧力が一定に保たれ得ることが有利であり得る。
【0037】
この際、多層積層高圧容器、特に炭素繊維高圧容器から形成された多数の中間貯蔵タンクから少なくとも1つの中間貯蔵タンクを形成することが有利であり得る。
【0038】
さらに、第2の圧縮段、特に圧縮装置を、第1の圧縮段のような水圧縮機、ピストン圧縮機、又は単純なポンプとして形成することが好ましい。
【0039】
本発明のさらなる実施形態によると、少なくとも第1の圧縮段、好ましくは第2の圧縮段も、作動媒体、特に圧縮液体を所定の温度T1、特に1℃~5℃の範囲の温度、好ましくは1℃に、特にそれぞれの圧力容器に導入される前に冷却するように設定された冷却装置を備える。
【0040】
さらに、第1の圧縮段が、作動媒体、特に水を一時的に貯蔵することができる少なくとも1つの貯蔵タンク又はリザーバを含んでいることが有利である。
【0041】
さらに、第1の圧縮段の1つの共通の、又は2つの独立した液体ポンプが、作動媒体を10bar~50barの範囲の第1の所定の圧力P2で、少なくとも2つの圧力容器に供給するように設定されていることが有利であり得る。
【0042】
多段圧縮装置がさらに、少なくとも1つの高圧貯蔵タンクを有していることがさらに好ましく、当該高圧貯蔵タンクは、第2の圧縮段によって圧縮されたガス状媒体、特に圧縮水素を最大1000barの圧力で一時的に貯蔵するように設定されており、少なくとも1つの高圧貯蔵タンクは、好ましくは、互いに独立して充填及び/又は空にされ得る複数の貯蔵セグメントに分割されている。
【0043】
さらに、本発明は、好ましくは車両への補給に使用される、圧縮されたガス状水素を供給するためのシステムに関し、当該システムは、
少なくとも1つの電解槽、特に塩素アルカリ電解槽であって、好ましくは、1bar~3bar(絶対圧)の出力圧力で水素を生成するように設定されている電解槽と、
上述の多段圧縮装置であって、少なくとも1つの電解槽によって生成されたガス状水素を後続の使用のために処理するように、特に圧縮するように設定されている多段圧縮装置と、を有している。
【0044】
さらに、本発明の範囲内で以下において使用される「車両」又は「交通手段」又は他の類似の概念は、自動車一般、例えば、スポーツ用多目的車(SUV)を含む乗用車、バス、トラック、各種商用車、各種ボート及び船舶を含む水上乗り物、航空機、空中ドローンなど、ハイブリッド車両、電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、水素自動車、及び他の代替車両を含んでいる。本明細書で述べるように、ハイブリッド車両は、2つ以上のエネルギー源を有する車両であり、例えば、ガソリンで駆動されると同時に電気でも駆動される車両である。
【0045】
さらに、当該システムが分配装置(ディスペンサ)をさらに有していることが有利であり、分配装置には、好ましくは温度調節装置が設けられており、温度調節装置を用いて、車両又は貯蔵タンクに供給される、又は供給されるべき水素を、個別に既存の枠組条件に合わせて調整することが可能であり、この際、好ましくは水素は、350bar~700barの圧力及び-33℃~-40℃の温度で車両又は貯蔵タンクに供給される。このために、冷却に必要な冷却装置は、同時に除湿の機能も担い、圧縮ガスの露点を例えば-40℃にすることができる。これによって、ガス中の水分が車両において除去される際に再転換することが防止される。
【0046】
さらに、本発明は、圧縮水素を車両に補給するための補給ステーション、特に水素補給ステーションに関するものであり、当該補給ステーションは、
好ましくは補給されるべき車両に設けられた対応する受容装置に対応するように設定されている少なくとも1つの補給装置と、
上述した本発明に係る多段圧縮装置と、を有する。
【0047】
さらに、補給ステーションが、水素貯蔵ユニット及び/又はクイックカップリングを付加的に有し、当該クイックカップリングを用いて、移動式水素貯蔵ユニットを充填装置と流体を誘導できるように接続することが可能であり、水素貯蔵ユニット及び/又は移動式水素貯蔵ユニットに、ガス状水素を、1bar~500barの圧力で貯蔵すること、及び高圧貯蔵タンクに一時的に貯蔵するために、充填装置の圧縮装置によって、最大1000barの圧力まで圧縮することができると有利である。
【0048】
さらに、補給ステーション、特に制御装置が、クラウドベースのサーバ及び/又はモバイルアプリを介して、クライアント、特に補給されるべき車両と、補給量、補給温度、補給圧力、補給速度(グラム/秒)、補給時点などの補給要件に関する情報を交換し、交換された情報に基づいて、少なくとも1つの補給プロファイル及び/又は補給予測を決定又は作成するように設定されていると有利である。
【0049】
さらに、本発明は、ガス状媒体、特に水素の多段圧縮のための方法に関するものであり、当該方法は、
a)圧縮されるべきガス状媒体を、作動媒体A、特に圧縮液体を導入可能である第1の圧縮段の少なくとも2つの圧力容器のうちの第1の圧力容器に導入するステップと、
b)圧縮されるべきガス状媒体を、少なくとも2つの圧力容器のうちの第1の圧力容器に作動媒体Aを導入することによって、又は圧力容器内の作動媒体Aの液体体積を増加させることによって、所定の第1の圧力P2まで圧縮するステップと、を有しており、
圧縮されるべきガス状媒体は、第1の圧縮段に導入される前に、第1の圧縮段の上流に接続されたさらなる圧縮段、特に低圧圧縮段によって、1:1.5~1:3の範囲、特に2bar~6bar(絶対圧)の範囲の圧力P1まで予備圧縮される。
【0050】
さらに、当該方法が、
c)所定の第1の圧力P2に圧縮されたガス状媒体を中間貯蔵タンクに一時的に貯蔵するステップと、
d)圧縮されたガス状媒体を第2の圧縮段の圧縮装置に供給するステップと、
e)第1の圧縮段によって圧縮されたガス状媒体を所定の第2の圧力P3に圧縮するステップと、
を有することが有利である。
【0051】
さらに、少なくとも2つの圧力容器のうちの少なくとも第1の圧力容器に導入される作動媒体A、特に圧縮液体が、導入又は供給の前に、特に1℃~5℃の範囲の温度、特に1℃の温度に冷却されることが有利であり、これによって、圧縮されるべきガス状媒体、特に水素の圧縮中に、ガス状媒体が、作動媒体Aとの接触によって受動的に冷却される。
【0052】
さらに、圧縮されるべきガス状媒体の圧縮中に、(少なくとも2つの圧力容器のうちの1つの)作動媒体Aの充填レベルが、最小充填レベルHminから所定の充填レベルHSollに引き上げられ、これによって、圧縮されるべきガス状媒体の圧力が、第1の所定の圧力P2又は目標値まで上昇することが有利である。
【0053】
本発明のさらなる実施形態によると、当該方法はさらに、以下のステップ:
f)少なくとも2つの圧力容器のうちの一方の圧力容器内の作動媒体の充填レベルを、特に最小充填レベルHminまで下げるステップと、
g)排出された作動媒体Aをリザーバ内に一時的に貯蔵するか、又は作動媒体Aを少なくとも2つの圧力容器のうちの他方の圧力容器内に導入し、これによって、当該圧力容器内でさらなる圧縮プロセスを実施するステップと、を有する。
【0054】
さらに、当該方法が付加的に、以下のステップ:
h)作動媒体Aを、好ましくは高圧ポンプを用いて、最大100barの作動圧力P2まで加圧するステップ、
i)作動圧力P2まで加圧された作動媒体Aを冷却又は再冷却するステップ、及び
j)加圧された作動媒体を、少なくとも2つの圧力容器のうちの一方に供給するステップ、
を有し、これによって、ステップa)において圧力容器に導入された、圧縮されるべきガス状媒体が、第1の所定の圧力P2まで圧縮されると好ましい。
【0055】
さらに、圧縮されるべきガス状媒体は水素であることが有利であり、水素は多段圧縮プロセスの上流で塩素アルカリ電気分解によって生成され、塩素アルカリ電気分解によって生成された水素は、好ましくは1bar~3barの範囲の圧力(絶対圧)、好ましくは1.2barの圧力で電気分解プロセスを終了する。
【0056】
ガス状媒体を圧縮するための多段圧縮装置は、圧縮されたガス状水素を供給するための記載されたシステム及び記載された補給ステーション、特に水素補給ステーションに組み込まれていてよい。さらに、記載された多段圧縮装置は、ガス状媒体を多段圧縮するための記載された方法に使用することができる。したがって、多段圧縮装置に関連して開示されたさらなる特徴は、システム及び補給ステーションにも方法にも適用され得る。同じことが、逆に、補給ステーション及び方法に当てはまる。
【0057】
装置、使用及び/又は方法のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかである。これらの図面には、以下が示されている:
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】従来技術に係る既知の補給装置を概略的に示す図である。
【
図2】本発明に係る第1の圧縮段の基本原理を簡略化した図である。
【
図3】本発明に係る多段圧縮装置の一実施形態を簡略化した図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る水素補給ステーションを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
異なる図面に示される同一の参照符号は、同一の要素、互いに対応する要素、又は機能的に類似の要素を示している。
【0060】
図1は、従来技術に係る既知の補給装置を概略的に示している。
図1には、液化水素用の貯蔵コンテナSが示されており、貯蔵コンテナSは、10m
3~200m
3の水素貯蔵体積を有する。このような液化水素の貯蔵タンクは、従来技術から十分に知られている。水素補給ステーションの範囲内では、水素補給ステーションは好ましくは地下に位置しており、補給されるべき車両がその上を走行することができるように配置されている。
【0061】
さらに、極低温ポンプV及び圧縮機V’が設けられている。極低温ポンプVには、液状水素が貯蔵コンテナSから、好ましくは真空絶縁に構成された導管1を通じて供給される。実際に使用されている極低温ポンプVは、特別に、車両への補給の際に存在する要求に合わせられている。当該極低温ポンプは、2段階の圧縮プロセスで液状水素を約1barから900barまで圧縮する可能性を提供する。ガス状水素は、導管1’を通じて貯蔵コンテナSから取り出され、圧縮機又は圧縮ユニットV’を用いて、100bar~700barの圧力に圧縮される。
【0062】
貯蔵コンテナSに加えて、複数の高圧貯蔵タンクA及びBが設けられている。実際には、高圧貯蔵タンクは一般に、異なる圧力範囲をカバーする少なくとも3つの貯蔵バンクに統合されている。例えば、高圧貯蔵タンクAは400bar~700barの貯蔵圧力を有するように設計されており、高圧貯蔵タンクBは300bar~500barの貯蔵圧力を有するように設計されている。通常、例えば50bar~400barの貯蔵圧力を有するように設計されたさらなる貯蔵タンクが設けられている。しかしながら、1つ若しくは2つの貯蔵バンクのみ、又は1つ若しくは2つの高圧貯蔵タンクのみを設ける方法も実現可能である。
【0063】
図2は、本発明に係る第1の圧縮段120の実施形態の基本原理を簡略化して示している。
図2から分かるように、第1の圧縮段120は、水素を圧縮するために、圧力容器121を有しており、圧力容器121には、例えば地下に設けられた貯蔵タンク(バッファタンク1)(図示せず)から、水素供給導管21を通じて、圧縮されるべきガス状水素を供給することができる。水素を圧縮するために、圧力容器121には圧縮液体(作動媒体A)が導入され、特に加圧下で圧力容器121に圧送される。導入ステップでは、ガス状水素が水素供給導管21を通じて非加圧の圧力容器121に導入される場合、圧縮液体はH
minで示される充填レベルにある。換言すると、圧力容器121はほぼ空であり、圧縮されるべき水素を受容できる状態にある。
【0064】
容器121が圧縮されるべき水素で完全に満たされると、圧力容器121は遮断弁24によって閉じられ、導入された圧縮されるべき水素はもはや漏出することができない。次に、圧縮装置6、特に液体ポンプ(高圧ポンプ)によって、圧縮液体が所定の圧力で、液体供給導管123を通じて下方から圧力容器121内に導入され、これによって、圧力容器121内の圧縮液体(作動媒体A)の充填レベルが徐々に上昇し、圧力容器121内に封じ込められた水素が圧縮される。圧力容器121内の圧縮液体の充填レベルが目標充填レベルHSollに達すると、圧縮プロセスが完了し、水素は所望の圧力まで圧縮される。
【0065】
圧縮液体(作動媒体)を能動的に冷却するために、図示された第1の圧縮段120は冷却装置4を備えており、冷却装置4は、例えば、好ましくは水である圧縮液体(作動媒体A)を約1℃の温度まで冷却することが可能であり、このようにして、水素の圧縮中に、水素は圧縮液体との接触によって受動的に冷却され、これによって、下流での水素の再冷却が不要になるか、又は少なくとも簡略化される。
【0066】
さらに、図示された第1の圧縮段120は貯蔵タンク(リザーバ)5を有しており、貯蔵タンク5には、圧力容器121が空になった後で、新たな圧縮プロセスの前に、冷却装置によって冷却された圧縮液体(作動媒体A)を一時的に貯蔵することが可能であり、これによって、冷却装置4の冷却作業を減少させることができる。さらに、冷却装置4の下流には、圧力センサPT及び温度センサTTが接続されており、圧力センサPT及び温度センサTTは制御装置60に接続されているので、制御装置60は、圧縮液体(作動媒体A)が所望の温度及び圧力で圧力容器121に導入されるように、圧縮装置6及び冷却装置4を制御することが可能になる。
【0067】
圧縮プロセスの完了後、遮断弁24の出口弁が開口し、圧縮されたガス状水素は、流体導管22を通じて高圧貯蔵タンク10に誘導され、高圧貯蔵タンク10で、圧縮された(ガス状)水素は、補給導管23を通じて補給されるべき車両に誘導されるまで、最大1000barの圧力で一時的に貯蔵され得る。ここに示す高圧貯蔵タンク10は、複数の貯蔵セグメント10A~10Cを有しており、貯蔵セグメント10A~10Cには、互いに独立して圧縮水素を充填することができる。高圧で貯蔵された水素は、これらの貯蔵セグメント10A~10Cから個別に取り出すことも可能であり、このようにして、例えばトラックへの充填/補給に際して水素が大量に取り出される場合に、個々の貯蔵セグメント10A~10Cが過度に冷却されないことが保証され得る。さらに、個々のセグメントは、それぞれ異なる圧力レベルで補給することが可能であり、これによって、例えば300barでのみ補給される水素(例えばトラック)のために必要な圧縮作業を削減することができる。
【0068】
図3は、本発明に係る多段圧縮装置100の実施形態を簡略化して示している。
図3から分かるように、図示された多段圧縮装置100は、バッファタンク1、第1の圧縮段120、さらなる圧縮段110及び第2の圧縮段140を有し、これらは圧縮されるべきガス状水素の流れ方向又は通過方向においてこの順序で配置されるか、又は直列に接続されている。バッファタンク1は、圧縮されるべきガス状水素(ガス状媒体)を一時的に貯蔵するために用いられる。これによって、塩素アルカリ電気分解のような上流のプロセスからの水素の発生又は供給における変動が緩和され、多段圧縮装置100によって制御された圧縮プロセスが保証される。
【0069】
本実施形態では、さらなる圧縮段110、特に低圧圧縮段は、バッファタンク1と第1の圧縮段120との間に配置され、バッファタンク1に例えば1.2bar(絶対圧)の非常に低い圧力で一時的に貯蔵されたガス状水素を、2bar~6barの圧力に圧縮するために用いられ、これによって下流の第1及び第2の圧縮段の必要な圧縮比を低減することができる。
【0070】
図示された実施形態の第1の圧縮段120は、
図2を用いて既に上述したように、2つの圧力容器121、122を有し、これらの圧力容器121、122の各々には、作動媒体A、特に水を各圧力容器121、122に導入することができる液体供給導管123、124が設けられている。本図に示された圧力容器121、122は、それぞれ50000Lの容量を有する。図示された実施形態では、2つの圧力容器121、122はそれぞれ専用の液体ポンプ125A、125Bを備えており、当該液体ポンプは、所望の第1の圧力P
2で作動媒体を、各液体供給導管123、124を通じて、対応する圧力容器121、122に圧送し、これによって圧力容器121、122に導入され収容された水を圧縮するために用いられる。図示された実施形態では、2つの圧力容器121、122はさらに、圧縮プロセスが完了した後、作動媒体Aを圧力容器121、122から汲み出すために用いられる専用の液体ポンプ126A、126Bをそれぞれ備えている。作動媒体Aを送り込み、送り出すための2つの別個の液体ポンプを備えることは、液体ポンプ125A、125Bを、最大100barの作動圧力と同時に大流量を有する高圧ポンプとして設計することができる一方で、高圧を発生させる必要のない液体ポンプ126A、126Bを大流量に合わせて最適化することが可能であり、これによって圧縮プロセスのサイクル時間を短縮することができるという利点を有する。2つの液体ポンプ126A、126Bによって送り出された作動媒体は、貯蔵タンク5又はリザーバに貯蔵され、さらなる圧縮プロセスのために準備される。必要な場合には、貯蔵タンク5又はリザーバに貯蔵された作動媒体Aを能動的又は受動的に冷却することができる。
【0071】
第1の圧縮段120によって10bar~50barの圧力に圧縮された水素は、除湿装置130を通って中間貯蔵タンク2に誘導され、中間貯蔵タンク2では、水素が10bar~50barの圧力で一時的に貯蔵される。ここで一時的に貯蔵された水素は、取り出して低圧用途に使用するか、又は下流に接続された第2の圧縮段140によってさらに圧縮され、特に100bar~1000barの範囲の圧力に圧縮され得る。このさらに圧縮された水素は、高圧貯蔵タンク(図示せず)によって再び一時的に貯蔵されるか、又は車両若しくは貯蔵タンクに直接供給される。既に上述したように、第2の圧縮段140を、第1の圧縮段120のように、いわゆる水圧縮機(第1の圧縮段と同一又は類似の構成)として構成することが適切である。
【0072】
この際、既に加圧されている第1の圧縮段120で用いられる作動媒体は、第1の圧縮段120の第2の(他の)圧力容器でのさらなる圧縮プロセス、又は第2の圧縮段140の圧力容器での下流における圧縮プロセスに使用され得る。このようにして、第1の容器をポンプで空にするために必要なエネルギーを、後続のさらなる圧縮プロセスに少なくとも部分的に利用することが可能であり、これによって、多段圧縮装置の効率をさらに高めることができる。
【0073】
図4は、移動式水素貯蔵ユニット230を備えた、本発明に係る補給ステーション200の実施形態をさらに簡略化して示している。
図4の左側には、本発明に係る多段圧縮装置100が単に概略的に示されており、多段圧縮装置100は、例えば、風力発電所、又は塩素アルカリ電気分解による塩素、水素及び苛性ソーダの製造のための化学工場など、水素が生成される場所に設置されていてよい。風力発電所の場合、特に電力供給網に電力の余剰が存在しているときに、風力によって生じた電力を水素の製造に効率的に利用することができる。塩素、水素及び苛性ソーダを製造する化学工場の場合、主に副生成物として生じる水素は、風力発電所によって環境に配慮した方法で製造された水素の場合と同様に、本発明に係る多段圧縮装置100によって、例えば700bar~1000barの所望の圧力までコスト効率よく圧縮され、例えばトラック車体に一体化されるか、又はトラックに交換可能に収容され得る移動式水素貯蔵ユニット210に一時的に貯蔵される。次に、トラックによって、移動式水素貯蔵ユニット210は補給ステーション200まで運搬され、補給ステーションにおいて、クイックカップリング220を介して補給ステーションの補給設備に接続され得る。
【0074】
図4に示された補給ステーション200は、温度調節装置50、特に冷却装置を備えた分配装置40(ディスペンサ)を有している。このようにして、例えばバス又は乗用車などの車両の貯蔵タンクに充填している間に、水素を調整することができる。換言すると、車両に供給される水素の温度及び圧力は、水素のパラメータが車両の要件を満たすように、温度調節及び減圧される。補給ステーション200は、任意で同様に、本発明に係る多段圧縮装置100を備えていてもよく、多段圧縮装置100を用いて、移動式水素貯蔵ユニット230から取り出される水素が、必要な場合には再度圧縮され得る。
【0075】
異なる実施形態に記載された個々の特徴も、構造的に非互換でない限りにおいて、単一の実施形態において実装可能であることは当業者には明らかである。同様に、個々の実施形態の枠内で説明した様々な特徴も、複数の実施形態において個別に、又はあらゆる適切なサブコンビネーションで設けられていてよい。
【符号の説明】
【0076】
1 バッファタンク
1’ 導管
2 中間貯蔵タンク
4 冷却装置
5 貯蔵タンク
6 圧縮装置
10 高圧貯蔵タンク
10A~10C 貯蔵セグメント
21 水素供給導管
22 流体導管
23 補給導管
24 遮断弁
40 分配装置
50 温度調節装置
60 制御装置
100 多段圧縮装置
110 さらなる圧縮段
120 第1の圧縮段
121、122 圧力容器
123、124 液体供給導管
125A、125B、126A、126B 液体ポンプ
130 除湿装置
140 第2の圧縮段
200 補給ステーション
210、230 移動式水素貯蔵ユニット
220 クイックカップリング
A 作動媒体
PT 圧力センサ
S 貯蔵コンテナ
TT 温度センサ
V 極低温ポンプ
V’ 圧縮機
【国際調査報告】