IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニー ジェネラレ デ エスタブリシュメンツ ミシュランの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20241108BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20241108BHJP
   C08F 236/06 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20241108BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08L23/08
C08F210/02
C08F236/06
C08K3/36
C08K5/3445
C08K5/548
C08K5/29
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530561
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022081702
(87)【国際公開番号】W WO2023088813
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】2112329
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】マムリ カヒナ
(72)【発明者】
【氏名】ピブレ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】フェラン トマ
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA07
3D131BA08
4J002BB051
4J002BL011
4J002DE109
4J002DJ017
4J002EF059
4J002ER029
4J002EU116
4J002EX088
4J002FD149
4J002GN01
4J100AA02P
4J100AS02Q
4J100BC73H
4J100CA03
4J100FA08
4J100FA28
4J100HA37
4J100HA41
4J100HA61
4J100HC59
4J100HC61
4J100HC63
4J100HE17
4J100JA29
(57)【要約】
本発明は、50mol%超のエチレン単位を含有し、1,3-ジエンの単位を含有し、N-置換イミダゾール官能基を有するペンダント基を保持するコポリマーであるエラストマー、加硫系、シリカを含有する補強充填剤、並びに少なくとも1個のブロックされたチオール官能基と、少なくとも1個のチオール官能基と、ヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基とを有する有機官能性シランカップリング剤を含むゴム組成物に関する。そのような組成物は、硬化状態での破断時の特性が改善されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン単位と、1,3-ジエン単位とを含有し、N-置換イミダゾール官能基を含有するペンダント基を保持するコポリマーである、機能性高飽和ジエンエラストマーであり、前記エチレン単位が、前記機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の50mol%超を表す、ジエンエラストマー、
加硫系、
シリカを含有する補強充填剤、
並びに、少なくとも1個のブロックされたチオール官能基と、少なくとも1個のチオール官能基と、ヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基とを含む有機官能性シランカップリング剤であって、式(1)に相当する有機官能性シランカップリング剤
を含む、ゴム組成物。
(A)p(B)q (1)
(式中、A及びBはそれぞれ、式(2)に相当するブロックされたメルカプトシラン単位及び式(3)に相当するメルカプトシラン単位を表す
【化1】
(式中、
3は、水素原子、直鎖又は分岐C1-C18アルキル、直鎖又は分岐C2-C18アルケニルから選択され、
各R4は、直鎖又は分岐の、飽和C1-C6二価炭化水素ベース基から独立して選択され、
単位同士が同一であっても異なっていてもよい、ある単位のケイ素原子と別の単位のケイ素原子との間で架橋構造を形成する各Zbは、(-O-)0.5及び[-O(R0CR0fO-]0,5から独立して選択され、前記記号R0は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はC1-C3アルキルを表し、fは、2~15の範囲の数であり、
単位のケイ素原子と環状構造を形成する各Zcは、式[-O(R0CR0fO-]0.5の基であり、R0及びfは、上で定義された通りであり、
各Xは、水素原子、ヒドロキシル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び式HO(R0CR0fO-の基から独立して選択され、R0及びfは、上で定義された通りであり、
u+v+2w=3であり、uは、0、1、2又は3と等しい数であり、vは、1、2又は3と等しい数であり、wは、0又は1と等しい数であり、
pは、1~20の範囲内の数であり、
qは、1~20の範囲内の数である))
【請求項2】
前記N-置換イミダゾール官能基が、式(4)の基である、請求項1に記載のゴム組成物。
【化2】
(式中、記号Y1が、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Y2が、前記機能性高飽和ジエンエラストマーのジエン単位への結合を示し、記号Y3及びY4が、それぞれ水素原子である)
【請求項3】
前記機能性高飽和ジエンエラストマーが、エチレンと、ジエン単位に対して反応性である基を含有し、式(5)のイミダゾール官能基を含有する変性剤を反応させることにより変性された1,3-ジエンとのコポリマーであり、前記変性剤が、優先的に1,3-双極子ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミン化合物である、請求項1及び2のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【化3】
(式中、前記記号Z1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、前記記号Z2は、反応性基への結合を示し、前記記号Z3及びZ4は、それぞれ水素原子である)
【請求項4】
前記変性剤が、芳香族ニトリルモノオキシドである1,3-双極子化合物であり、ニトリルオキシド双極子及び式(5)の前記イミダゾール官能基を含有する基で置換されたベンゼン環を含む化合物であり、前記記号Z1が、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、前記記号Z2が、前記双極子への結合を示し、前記記号Z3及びZ4が、それぞれ水素原子である、請求項3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記1,3-双極子化合物が、式(6)の単位を含有する、請求項3及び4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【化4】
(式中、R’1が、前記ニトリルオキシド双極子を表し、記号R’2~R’6の1個が、1~6個の炭素原子を有し、式(5)の前記イミダゾール官能基の5員環の窒素原子の1個に共有結合する飽和基を表し、その他の記号が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は置換基を表す)
【請求項6】
前記1,3-ジエンが、1,3-ブタジエン、又は1,3-ジエンの混合物であって混合物の1個が1,3-ブタジエンである前記混合物であり、好ましくは1,3-ブタジエンである、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記機能性高飽和ジエンエラストマーが、統計コポリマーである、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
シリカが、前記補強充填剤の50質量%超、優先的には前記補強充填剤の85質量%超を表す、請求項1~7のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項9】
式(2)におけるR3が、水素原子、C1-C10アルキル及びC2-C10アルケニルから選択され、優先的には直鎖C6-C8アルキル、より優先的にはヘプチルである、請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項10】
式(2)及び(3)における各R4が、独立して直鎖C1-C4アルキレン、優先的にはプロピレンである、請求項1~9のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項11】
式(2)及び(3)における各Zbが、式(-O-)0.5、[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択され、優先的には式(-O-)0.5又は[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5である、請求項1~10のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項12】
式(2)及び(3)における各Zcが、式[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択され、優先的には式[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5である、請求項1~11のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項13】
式(2)及び(3)における各Xが、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、3-ヒドロキシプロポキシ、3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ及び4-ヒドロキシブト-1-オキシからなる群より独立して選択され、優先的には、式(2)及び(3)における各Xが同一であり、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ及び3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシからなる群より選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項14】
前記有機官能性シランが、20%~80%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び80%~20%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有し、優先的には、前記有機官能性シランが、40%~60%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び60%~40%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有し、より優先的には、前記有機官能性シランが、50%~55%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位及び50%~45%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項15】
優先的にそのトレッド内に、請求項1~14のいずれか1項で定義されるゴム組成物を含む、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、特にタイヤの製造で使用することが意図される、シリカ及び高飽和ジエンエラストマーを含むゴム組成物である。
【背景技術】
【0002】
シリカで強化され、高飽和ジエンエラストマーを含むゴム組成物は、国際公開第2014114607号及び国際公開第2018224776号の文献から既知である。高飽和ジエンエラストマーは、エチレンと1,3-ジエン、例えば1,3-ブタジエンとのコポリマーであり、50mol%超のエチレン単位を含有するという特殊性を有する。その高いエチレン含有量及び50mol%未満のその低いジエン単位含有量のため、ゴム組成物で慣例的に使用され、一般的に50mol%超のジエン単位、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン及び1,3-ブタジエン又はイソプレンとスチレンとのコポリマーを含有するジエンエラストマーとは大いに異なる。特に、ゴム組成物に剛性とヒステリシスとの間の特性の異なる妥協点を与えるという特殊性を有する。
シリカで強化され、高飽和ジエンエラストマーを含有するゴム組成物の破断時の特性を更に改善する必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
発明者らは、シリカで強化され、高飽和ジエンエラストマーを含有し、硬化状態で破断時の改善された特性を示す、新規ゴム組成物を発見した。
したがって、本発明は、
-エチレン単位と、1,3-ジエン単位とを含有し、N-置換イミダゾール官能基を含有するペンダント(pendent)基を保持するコポリマーである、機能性(functional)高飽和ジエンエラストマーであり、エチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の50mol%超を表す、ジエンエラストマー、
-加硫系、
-シリカを含有する補強充填剤、
-並びに、少なくとも1個のブロックされたチオール官能基と、少なくとも1個のチオール官能基と、ヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基とを含有する有機官能性シランカップリング剤であって、式(1)に相当する有機官能性シランカップリング剤
を含む、ゴム組成物に関する。
(A)p(B)q (1)
(式中、A及びBはそれぞれ、式(2)に相当するブロックされたメルカプトシラン単位及び式(3)に相当するメルカプトシラン単位を表す
【0004】
【化1】

(式中、
3は、水素原子、直鎖又は分岐C1-C18アルキル、直鎖又は分岐C2-C18アルケニルから選択され、
各R4は、直鎖又は分岐の、飽和C1-C6二価炭化水素ベース基から独立して選択され、
単位同士が同一であっても異なっていてもよい、ある単位のケイ素原子と別の単位のケイ素原子との間で架橋構造を形成する各Zbは、(-O-)0.5及び[-O(R0CR0fO-]0,5から独立して選択され、記号R0は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はC1-C3アルキルを表し、fは、2~15の範囲の数であり、
単位のケイ素原子と環状構造を形成する各Zcは、式[-O(R0CR0fO-]0.5の基であり、R0及びfは、上で定義された通りであり、
各Xは、水素原子、ヒドロキシル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び式HO(R0CR0fO-の基から独立して選択され、R0及びfは、上で定義された通りであり、
u+v+2w=3であり、uは、0、1、2又は3と等しい数であり、vは、1、2又は3と等しい数であり、wは、0又は1と等しい数であり、
pは、1~20の範囲内の数であり、
qは、1~20の範囲内の数である))
本発明はまた、優先的にそのトレッド内に本発明によるゴム組成物を含むタイヤにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
表現「aからb」により示される値のあらゆる間隔は、「a」より大きく、「b」未満の値の範囲を表す(すなわち、制限値a及びbは排除される)が、表現「a~b」により示される値のあらゆる間隔は、「a」から「b」まで拡がる値の範囲を意味する(すなわち、厳格な制限値a及びbを含む)。
略語「phr」は、エラストマー(数種のエラストマーが存在する場合、全エラストマーの)100部あたりの質量部を意味する。
本明細書で言及された化合物は、化石由来であり得るか、バイオベースのものであり得る。後者の場合、化合物は、部分的に又は完全に、バイオマス由来であり得るか、バイオマスから生じる再生可能な出発物質から得ることができる。同様に、言及された化合物もまた、すでに使用された材料のリサイクル由来であり得る、すなわち、化合物は、部分的に又は完全に再生工程に由来することができるか、再生工程から生じる出発物質それ自体からも得ることができる。
【0006】
本発明において、用語「タイヤ」は、空気タイヤ又は非空気タイヤを意味すると理解される。空気タイヤは通常、リムと接触することが意図されている2つのビードと、少なくとも1つのクラウン補強材及びトレッドから構成されるクラウンと、2つのサイドウォールと、2つのビードに固定されたカーカス補強材により強化されているタイヤとを含む。非空気タイヤは、その一部では、通常、例えば剛性リム上に固定するように設計されたベース、トレッド及び変形可能な構造、例えばスポーク、リブ又はセルとの接続を確実にするクラウン補強材を含み、クラウン補強材の構造は、ベースとクラウンとの間に配置されている。そのような非空気タイヤは、必ずしもサイドウォールを含むとは限らない。非空気タイヤは、例えば、国際公開第03/018332号及び仏国特許出願公開第2898077号で説明されている。本発明の実施形態のいずれか1つによれば、本発明によるタイヤは、優先的に空気タイヤである。
【0007】
特に指示がない限り、ポリマー、例えば本発明で有用な機能性高飽和ジエンエラストマー内の単位の含有量は、ポリマーの全構成繰返し単位(IUPACでは略語CRUとも呼ばれる)と比較したモルパーセントとして表される。
本発明の目的に有用であるエラストマーは、機能性高飽和ジエンエラストマーであり、これは、エチレンの重合から生じるエチレン単位を含む統計が好ましい。既知の方法では、表現「エチレン単位」は、エラストマー鎖へのエチレンの挿入から生じる-(CH2-CH2)-単位を指す。機能性高飽和ジエンエラストマーは、エチレン単位が機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の50mol%超を示すので、エチレン単位が豊富である。
好ましくは、機能性高飽和ジエンエラストマーは、少なくとも60mol%のエチレン単位、優先的には、少なくとも65mol%のエチレン単位、より優先的には、少なくとも70mol%のエチレン単位を含む。
好ましくは、機能性高飽和ジエンエラストマーは、最大で90mol%のエチレン単位を含む。より優先的には、ジエンエラストマーは、最大で85mol%のエチレン単位を含む。更により優先的には、ジエンエラストマーは、最大で80mol%のエチレン単位を含む。
【0008】
有利な実施形態によれば、機能性高飽和ジエンエラストマーは、60mol%~90mol%のエチレン単位、特に60mol%~85mol%のエチレン単位を含む。より有利なことには、機能性高飽和ジエンエラストマーは、60mol%~80mol%のエチレン単位を含む。
別の有利な実施形態によれば、機能性高飽和ジエンエラストマーは、65mol%~90mol%のエチレン単位、特に65mol%~85mol%のエチレン単位を含む。より有利なことには、機能性高飽和ジエンエラストマーは、65mol%~80mol%のエチレン単位を含む。
本発明の更に別の有利な実施形態によれば、機能性高飽和ジエンエラストマーは、70mol%~90mol%のエチレン単位、特に70mol%~85mol%のエチレン単位を含む。より有利なことには、機能性高飽和ジエンエラストマーは、70mol%~80mol%のエチレン単位を含む。
機能性高飽和ジエンエラストマーは、1,3-ジエン単位を含有する。既知の方法では、用語「1,3-ジエン単位」又は「ジエン単位」は、例えばイソプレンの場合、1,4付加、1,2付加又は3,4付加を介した1,3-ジエンの挿入から生じる単位を指す。1,3-ジエン単位は、例えば、4~12個の炭素原子を含有する1,3-ジエン、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン又はアリール-1,3-ブタジエンである。好ましくは、1,3-ジエンは、1,3-ブタジエン又は1個が1,3-ブタジエンである1,3-ジエンの混合物である。より優先的には、1,3-ジエンは、1,3-ブタジエンである。
機能性高飽和ジエンエラストマーは、好ましくは、式(I)の単位又は式(II)の単位を含む。
【0009】
【化2】
【0010】
機能性高飽和ジエンエラストマーにおける式(I)の飽和6員環単位、1,2-シクロヘキサンジイルの存在は、その成長中のポリマー鎖への一連の非常に特異的なエチレン及び1,3-ブタジエンの挿入に由来する可能性がある。機能性高飽和ジエンエラストマーが、式(I)の単位又は式(II)の単位を含む場合、機能性高飽和ジエンエラストマーにおける式(I)の単位及び式(II)の単位のモルパーセント、o及びpはそれぞれ、以下の等式(eq.1)又は等式(eq.2)を満たすことが好ましく、o及びpは、機能性高飽和ジエンエラストマーの全構成繰返し単位に基づいて算出される。
0<o+p≦30 (eq.1)
0<o+p<25 (eq.2)
好ましくは、機能性高飽和ジエンエラストマーは、機能性高飽和ジエンエラストマーの全構成繰返し単位に基づいて算出される値で0mol%より大きく、15mol%未満、より優先的には10mol%未満のモル含有量で式(I)の単位を含む。式(I)の単位のモル含有量のこれらの優先的な範囲は、本発明の実施形態のいずれか1つに適用することができる。
【0011】
機能性高飽和ジエンエラストマーはまた、N-置換イミダゾール官能基を含有するペンダント基を保持するという特徴も有する。当業者は、ペンダント基が、共有結合することによりエラストマーに結合していることを理解する。本発明によるイミダゾール官能基を含有するペンダント基は、好ましくは機能性高飽和ジエンエラストマー内に無作為に配置されているペンダント基である。好ましくは、機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるイミダゾール官能基の含有量は、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の3mol%未満である。通常、その含有量は、機能性高飽和ジエンエラストマーの全構成繰返し単位に基づいて算出される値で0mol%より大きく、優先的に3mol%未満、より優先的には0.02mol%より大きく、2mol%未満、更により優先的には0.07mol%より大きく、0.7mol%未満である。イミダゾール官能基のモル含有量のこれらの優先的な範囲は、本発明の実施形態のいずれか1つに適用することができる。
N-置換イミダゾール官能基は、優先的に式(4)の基である。
【0012】
【化3】
(式中、記号Y1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Y2は、機能性高飽和ジエンエラストマーのジエン単位への結合を示し、記号Y3及びY4は、それぞれ水素原子である)
有利なことには、官能基は、式(4)の基であり、式中、Y1により表されるアルキルは、1~3個の炭素原子を含有し、好ましくはメチルである。
用語「機能性高飽和ジエンエラストマーのジエン単位への結合」は、イミダゾール官能基の5員環を前記単位に共有結合させることが可能な結合又は基を意味すると理解される。
本発明の一実施形態によれば、機能性高飽和ジエンエラストマーは、エチレンと、ジエン単位に対して反応性である基を含有し、式(5)のイミダゾール官能基を含有する変性剤を反応させることにより変性された1,3-ジエンとのコポリマーである。
【0013】
【化4】
(式中、記号Z1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Z2は、反応性基への結合を示し、記号Z3及びZ4は、それぞれ水素原子である)
本実施形態によれば、N-置換イミダゾール官能基に結合した単位は、変性剤の反応により変性されたジエン単位であり、機能性高飽和ジエンエラストマーは、出発高飽和ジエンエラストマーと呼ばれる高飽和ジエンエラストマーを、出発高飽和ジエンエラストマーの1,3-ジエン単位に変性剤をグラフトする反応により変性することにより得られ、機能性高飽和ジエンエラストマーにおける非変性1,3-ジエン単位及び変性1,3-ジエン単位の存在下で得られる。変性剤の反応性基は、炭素-炭素二重結合、例えば1,3-ジエン単位と反応することができる双極子であり得る。双極子は、ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミン基であり得る。
【0014】
変性剤は、優先的に1,3-双極子ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミン化合物であり、次いで、変性剤の反応性基は、ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミンであり、更により優先的には、ニトリルオキシドである。用語「1,3-双極子化合物」は、IUPACにより与えられた定義に従って理解される。1,3-双極子化合物は、双極子、ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミン及びイミダゾール官能基を含むという特徴を有する。双極子は、ジエン単位に対する変性剤の反応性基を構成する。双極子は通常、特に[3+2]シクロ付加反応によりジエン単位と反応する。
より優先的には、変性剤は、芳香族ニトリルモノオキシドである1,3-双極子化合物であり、ニトリルオキシド双極子で置換され、式(5)のイミダゾール官能基を含有する基で置換されたベンゼン環を含む化合物である。
【0015】
【化5】
(式中、記号Z1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Z2は、双極子への結合を示し、記号Z3及びZ4は、それぞれ水素原子である)
用語「芳香族ニトリルモノオキシド化合物」は、1個のニトリルオキシド双極子を含有し、ベンゼン環がニトリルオキシド双極子で置換されている芳香族化合物を意味すると理解され、これは、双極子の炭素原子が、ベンゼン環の炭素原子への共有結合を介して直接結合していることを意味する。ニトリルオキシド双極子で置換されたベンゼン環はまた、イミダゾール官能基を含有する基で置換される。好ましくは、ベンゼン環はまた、オルト位で双極子へ置換される。
有利なことには、1,3-双極子化合物は、式(6)の単位を含有する。
【0016】
【化6】
(式中、R’1は、ニトリルオキシド双極子を表し、記号R’2~R’6の1個は、1~6個の炭素原子を有し、式(5)のイミダゾール官能基の5員環の窒素原子の1個に共有結合する飽和基を表し、他の記号は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は置換基を表す)
式(6)における置換基は、双極子と反応しない限り、どのような基でもあり得る。式(6)における置換基は、隣接する炭素の置換基と環を形成することができる。好ましくは、式(6)における置換基は、1~3個の炭素原子を有するアルキル、優先的にはメチル又はエチル、より優先的にはメチルである。
【0017】
式(6)における飽和基は、イミダゾール官能基を特にニトリルオキシド双極子で置換されたベンゼン環に共有結合することを可能にする。その飽和基は、1個又は複数個のヘテロ原子を含有してもよい。その飽和基は、優先的に1~3個の炭素原子を含有する。式(6)における飽和基は、好ましくはアルカンジイル、より優先的には1~3個の炭素原子を有するアルカンジイル、更により優先的にはメタンジイルである。
式(6)において、R’2及びR’6は、優先的に水素原子とは異なる。好ましくは、R’2、R’4及びR’6は全て、水素原子とは異なり、同一である。
1,3-双極子化合物の合成は、特に、国際公開第2015/059269号の文献で説明されるように、市販の前駆体、例えばメシチレンを使用する比較的容易な合成ルートを使用して実行され得る。
有利なことには、1,3-双極子化合物は、式(7)の化合物、2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリルオキシド又は式(8)の化合物、2,4,6-トリエチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリルオキシドであり、より有利には式(7)の化合物である。
【0018】
【化7】
本発明の優先的な変形によれば、機能性高飽和ジエンエラストマーは、ジエン単位の一部が上述の変性剤をグラフトすることにより変性される出発高飽和ジエンエラストマーの変性により得ることができるので、変性されている高飽和ジエンエラストマーである。変性は、バルクで又は溶液中で実行することができる。機能性高飽和ジエンエラストマーは、優先的にエチレンと1,3-ジエンとの変性コポリマー又はエチレンと数個の1,3-ジエンとのコポリマーであり、1,3-ジエンは、有利には1,3-ブタジエン又は1個が1,3-ブタジエンである1,3-ジエンの混合物である。機能性高飽和ジエンエラストマーは、より優先的には、エチレンと1,3-ブタジエンとの変性コポリマーである。有利なことには、機能性高飽和ジエンエラストマーは、変性統計コポリマーである。
【0019】
出発高飽和ジエンエラストマーは、特に機能性高飽和ジエンエラストマーの標的とする微細構造に応じて、当業者に既知の種々の合成方法に従って得ることができる。一般的に、特にメタロセン錯体を含む触媒系の存在下、合成の既知の方法に従って、少なくとも1種の1,3-ジエン、好ましくは1,3-ブタジエン、及びエチレンの共重合により調製することができる。この点では、メタロセン錯体に基づいて触媒系について言及することができ、この触媒系は、出願人の名前での欧州特許第1092731号、国際公開第2004/035639号、国際公開第2007/054223号及び国際公開第2007/054224号に説明されている。統計である場合を含む出発高飽和ジエンエラストマーは、例えば、国際公開第2017093654号、国際公開第2018020122号及び国際公開第2018020123号の文献で説明されている、実行された種類の触媒系を使用する方法を介して調製することもできる。有利なことには、出発高飽和ジエンエラストマーは、統計であり、国際公開第2017103543号、国際公開第201713544号、国際公開第2018193193号及び国際公開第2018193194号の文献に記載の半連続又は連続の方法に従って優先的に調製される。
【0020】
ゴム組成物は、機能性高飽和ジエンエラストマーに加えて、第2のジエンエラストマーを含有することができる。ジエンエラストマーは、ジエンモノマー単位(モノマーは、2個のコンジュゲート又は非コンジュゲートの炭素-炭素二重結合を保持する)の少なくとも一部(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)で構成されるエラストマーを意味すると理解される。第2のエラストマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びそれらの混合物からなる高不飽和ジエンエラストマーの群から選択され得る。高不飽和エラストマーは、50mol%超のジエン単位を含有するエラストマーを指す。
【0021】
好ましくは、ゴム組成物における機能性高飽和ジエンエラストマーの含有量は、ゴム組成物のエラストマー100部あたり少なくとも50質量部(phr)である。より優先的には、ゴム組成物における機能性高飽和ジエンエラストマーの含有量は、80~100phrの範囲内で変化する。更により優先的には、その含有量は、90~100phrの範囲内で変化する。その含有量は、有利には100phrである。機能性高飽和ジエンエラストマーは、1種の機能性高飽和ジエンエラストマー又はそれらの微細構造若しくはマクロ構造で互いに異なる数種の機能性高飽和ジエンエラストマーの混合物であり得る。ゴム組成物が、微細構造又はマクロ構造で互いに異なる数種の機能性高飽和ジエンエラストマーを含む場合、ゴム組成物における機能性高飽和ジエンエラストマーの含有量は、機能性高飽和ジエンエラストマーの混合物を指す。
【0022】
使用されるシリカは、当業者に既知のあらゆる補強シリカ、特に両方とも450m2/g未満、好ましくは30~400m2/gの範囲内、特に60~300m2/gのBET比表面積及びCTAB比表面積も有するあらゆる沈降シリカ又はフュームドシリカであり得る。本開示において、BET比表面は、“The Journal of the American Chemical Society”, (Vol. 60, page 309, February 1938)に記載のブルナウアー-エメット-テラー法を使用するガス吸着により、より具体的には2010年6月の規格NF ISO 5794-1、附属書Eで採用される方法[マルチポイント(5点)体積法-気体:窒素-真空下で脱気:160℃で1時間-相対圧力p/p0範囲:0.05~0.17]に従って測定される。CTAB比表面積値は、2010年6月の規格NF ISO 5794-1、附属書Gに従って測定された。方法は、補強充填剤の「外側」表面でのCTAB(N-ヘキサデシル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミド)の吸着に基づく。
【0023】
あらゆる種類の沈降シリカ、特に高分散性シリカ(HDS)を使用することができる。これらの沈降シリカは、高分散性であっても高分散性でなくても、当業者に周知である。例えば、国際公開第03/016215号及び国際公開第03/016387号の特許出願に記載のシリカについて言及することができる。市販のHDSシリカの中で、特にEvonikからのUltrasil(登録商標)5000GR及びUltrasil(登録商標)7000GRシリカ又はSolvayからのZeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1115 MP、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)Premium 200MP及びZeosil(登録商標)HRS 1200 MPシリカを使用することができる。非HDSシリカとして、以下の市販のシリカ:EvonikからのUltrasil(登録商標)VN2GR及びUltrasil(登録商標)VN3GRシリカ、SolvayからのZeosil(登録商標)175GRシリカ又はPPGからのHi-Sil EZ120G(-D)、Hi-Sil EZ160G(-D)、Hi-Sil EZ200G(-D)、Hi-Sil 243LD、Hi-Sil 210及びHi-Sil HDP320Gシリカを使用することができる。
【0024】
補強充填剤は、特にタイヤの製造に使用することができるゴム組成物を強化するその能力が既知である、シリカ以外のあらゆる種類の「補強」充填剤、例えばカーボンブラックを含むことができる。適切なカーボンブラックには、全てのカーボンブラック、特にタイヤ又はそれらのトレッドで従来使用される黒色顔料が含まれる。前記カーボンブラックの中で、より具体的には100、200及び300シリーズの補強性カーボンブラック、又は500、600又は700シリーズ(ASTM D-1765-2017グレード)の黒色顔料、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683及びN772黒色顔料に言及する。これらのカーボンブラックは、市販されているような単離された状態で使用することもでき、あらゆる他の形態で、例えば使用されるいくらかのゴム添加物の支持体として使用することもできる。カーボンブラックがゴム組成物で使用される場合、カーボンブラックは、10phr未満又はそれと等しい含有量で存在することが好ましい(例えば、カーボンブラック含有量は、1~10phrの範囲内であり得る)。有利なことには、ゴム組成物におけるカーボンブラック含有量は、5phr未満又はそれと等しい。示された間隔内で、カーボンブラックの発色性(黒色着色剤)及びUV安定化特性は有益であり、シリカにより提供される典型的な性能品質に更に悪影響を及ぼすことがない。
シリカは、優先的に、補強充填剤の50質量%超を表す。換言すると、補強充填剤におけるシリカの割合は、補強充填剤の総質量と比べて50質量%より大きい。より優先的には、シリカは、補強充填剤の85質量%超を表す。
【0025】
補強充填剤の総含有量は、広い範囲にわたって、例えば30phr~150phrで変化する可能性がある。第1の実施形態によれば、補強充填剤の総含有量は、30phr~60phrの範囲内で変化する。第2の実施形態によれば、補強充填剤の総含有量は、60phr超~150phrの範囲内で変化する。転がり抵抗が非常に低いトレッドでのゴム組成物の使用については、第2の実施形態よりも第1の実施形態が好ましい。補強充填剤の総含有量のこれらの範囲のいずれか1つは、本発明の実施形態のいずれか1つに適用することができる。
シリカを機能性高飽和ジエンエラストマーにカップリングさせるため、カップリング剤(又は結合剤)、少なくとも二官能性であるシランは、シリカとジエンエラストマーとの間の化学的性質及び/又は物理的性質の十分な関係を確実にするために使用される。本発明によるゴム組成物は、カップリング剤として、少なくとも1個のブロックされたメルカプトシラン単位、少なくとも1個のメルカプトシラン単位及びヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基を含有する有機官能性シランを含む。有機官能性シランは、以下の式(1)に相当する。
(A)p(B)q (1)
(式中、
-Aは、式(2)に相当するブロックされたメルカプトシラン単位を表す記号であり、
【0026】
【化8】
-Bは、式(3)に相当するメルカプトシラン単位を表す記号である)
【化9】
式(2)において、R3は、水素原子、直鎖又は分岐C1-C18アルキル、直鎖又は分岐C2-C18アルケニルから選択される。
【0027】
式(2)及び(3)において、各R4は、直鎖又は分岐C1-C6飽和炭化水素ベースの二価の基から独立して選択され、1つの単位のケイ素原子と別の単位のケイ素原子との間で架橋構造を形成する各Zbは、同一であっても異なっていてもよく、(-O-)0.5及び[-O(R0CR0fO-]0.5から独立して選択され、記号R0は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はC1-C3アルキルを表し、fは、2~15の範囲内の数であり、1つの単位のケイ素原子と環状構造を形成する各Zcは、式[-O(R0CR0fO-]0.5の基であり、R0及びfは、上で定義された通りであり、各Xは、水素原子、ヒドロキシル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び式HO(R0CR0fO-の基から独立して選択され、R0及びfは、上で定義された通りであり、u+v+2w=3であり、uは、0、1、2又は3と等しい数であり、vは、1、2又は3と等しい数であり、wは、0又は1と等しい数である。
【0028】
pは、1~20の範囲内の数であり、qは、1~20範囲内の数である。
本発明の目的のために、用語「有機官能性シラン」は、少なくとも1個のブロックされた、すなわち保護されたチオール官能基、1個の保護されていないチオール官能基及びヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基を有するという特徴を有するシラン又はシランの混合物を意味する。
用語「メルカプトシラン単位」は、炭素原子に結合した少なくとも1個のケイ素原子及びチオール官能基(-SH)を含有する単位を意味する。
用語「ブロックされたメルカプトシラン単位」は、少なくとも1個のケイ素原子及び少なくとも1つのブロックされたチオール官能基を含有する単位を意味する。ブロックされたチオール官能基は、例えば、チオエステル基-S-(CO)-Rであり得る。
式(1)の化合物において、ブロックされたメルカプトシラン繰返し単位(A)及びメルカプトシラン繰返し単位(B)の順序は規則性がない。特に、この順序は、交互(例えばA-B-A-B-A-B)、ブロック(例えばA-A-A-B-B-B)又は統計であり得る、すなわち前記単位(A)及び(B)の連続的な分布は、既知の統計法則に従う。
ヒドロキシアルコキシシリルという名で使用される用語「ヒドロキシアルコキシ基」は、ケイ素原子を置換する式HO(R0CR0fO-の一価の基を意味し、R0及びfは、上で定義された通りである。
【0029】
用語「環状ジアルコキシシリル基」は、ケイ素原子がそれぞれ同じアルキレン基の異なる炭素原子に結合した2個の酸素原子に結合する基を指す。
用語「架橋構造」は、同一であっても異なっていてもよい2個の繰返し単位の結合を可能にする共有結合で作られた化学構造を意味する。
基のCn-Cmという部分は、n~m個の炭素原子を含有する基を作る炭素原子の数を指し、n及びmは、mがnより大きい整数である。
好ましくは、式(2)におけるR3は、水素原子、C1-C10アルキル及びC2-C10アルケニルから選択される。より優先的な方法において、式(2)におけるR3は、直鎖C6-C8アルキルである。更により優先的な方法において、式(2)における記号R3は、ヘプチル(C715-)である。
好ましくは、式(2)及び(3)における各R4は、独立して、直鎖C1-C4アルキレンである。より優先的には、各R4は、プロピレンである。
好ましくは、式(2)及び(3)における各Zbは、式(-O-)0.5、[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択される。より優先的には、式(2)及び(3)におけるZbは、式(-O-)0.5又は式[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5を有する。
【0030】
好ましくは、式(2)及び(3)における各Zcは、式[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択される。より優先的には、式(2)及び(3)における各Zcは、式[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5である。
好ましくは、式(2)及び(3)における各Xは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、3-ヒドロキシプロポキシ、3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ及び4-ヒドロキシブト-1-オキシからなる群より独立して選択される。より優先的には、式(2)及び(3)における各Xは同一であり、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ及び3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシからなる群より選択される。
非常に有利なことには、式(2)及び(3)において、R3はヘプチル(C715-)であり、各R4はプロピレンであり、各Zbは、式(-O-)0.5又は[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5であり、各Zcは、式[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5であり、各Xは、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ及び3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシからなる群より選択され、u+v+2w=3であり、uは、0、1、2又は3であり、vは、1、2又は3であり、wは0又は1である。
【0031】
表記(-O-)0.5及び[-O(R0CR0fO-]0.5は、それぞれシロキサン結合の半分及び架橋ジアルコキシ基の半分に関連する。これらの表記は、オリゴマーの繰返し単位のケイ素原子と一緒に使用される。この表記は、酸素原子の半分、すなわち繰返し単位のケイ素原子に結合している酸素原子の半分、又はジアルコキシ基の半分、すなわち繰返し単位のケイ素原子に結合しているジアルコキシ基原子の半分を示し、酸素原子又はジアルコキシ基の別の半分が、それぞれ、オリゴマー構造の別の繰返し単位の別のケイ素原子に結合していると理解され、繰返し単位は、同一であっても異なっていてもよい。したがって、(-O-)0.5は、それぞれ繰返し単位に属している2個のケイ素原子間にシロキサン結合を形成する。[-O(R0CR0fO-]0.5は、それぞれ繰返し単位に属している2個のケイ素原子間の架橋構造(この分子間構造は、Zbで表される)、又はその単位のケイ素原子に結合している[-O(R0CR0fO-]0.5の2個の酸素原子の環状構造(この分子内構造は、Zcで表される)のいずれかを形成することができる。当業者であれば、式(1)の化合物において、架橋構造が、繰返し単位間で同一であっても異なっていてもよいことを理解するであろう。例えば、架橋構造は、-Si-O(R0CR0fO-Si-の種類又は-Si-O(R0CR0fO-Si-と-Si-O-Si-架橋構造との混合物であり得る。
【0032】
優先的に、有機官能性シランは、20%~80%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び80%~20%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有する。より優先的には、有機官能性シランは、40%~60%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び60%~40%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有する。更により優先的には、有機官能性シランは、50%~55%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位及び50%~45%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位を有する。有機官能性シランにおけるブロックされたメルカプトシラン単位のモルパーセント及びメルカプトシラン単位のモルパーセントは、ブロックされているかどうかにかかわらず、有機官能性シランにおけるチオール単位の総数に対して算出され、当業者に周知のあらゆる方法、例えば1H NMR分析を介して測定することができる。
カップリング剤、有機官能性シランは、式(9)のジオール化合物を少なくとも1個の式(10)のブロックされたメルカプトシラン化合物及び少なくとも1個の式(11)のメルカプトシラン化合物とエステル交換反応する少なくとも1つのステップ(a)を含む合成方法を介して得ることができる。
HO(R0CR0fOH (9)
(RO)3SiR4SC(=O)R3 (10)
(RO)3SiR4SH (11)
(式中、R0及びfは、上で定義された通り、すなわちR0は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、メチル、エチル又はプロピルを表し、fは、2~15の範囲内の数であり、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、直鎖C1-C6アルキル基を表し、
3及びR4は、上で定義された通り、すなわちR4は、直鎖又は分岐の、飽和二価C1-C6炭化水素ベース基を表し、R3は、水素原子、直鎖若しくは分岐C1-C18アルキル又は直鎖若しくは分岐C2-C18アルケニルを表す)
【0033】
エステル交換反応は、当業者に周知の反応であり、エステル交換触媒、例えば強酸の存在下で実行され得る。
【0034】
優先的には、上述の方法において、式(9)のジオール化合物は、HOCH2CH2CH2OH、HOCH2CH2CH2CH2OH及びHOCH2CH(CH3)CH2OHから選択される。より優先的には、上述の方法において、式(4)のジオール化合物は、HOCH2CH(CH3)CH2OHである。
優先的には、上述の方法の実施で使用される式(10)及び(11)の化合物は、基Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル及びイソブチルから選択されるものである。
優先的には、上述の方法の実施で使用される式(10)の化合物は、R3が、水素原子、直鎖若しくは分岐C1-C10アルキル、又は直鎖若しくは分岐C2-C10アルケニルを表すものである。より優先的には、上述の方法で使用される式(10)の化合物は、R3が、直鎖C6-C8アルキルであるものである。更により優先的には、上述の方法で使用される式(10)の化合物は、R3が、ヘプチル(C715-)であるものである。
好ましくは、上述の方法の実施で使用される式(10)及び(11)の化合物は、各R4が、独立して、直鎖C1-C4アルキレンからなる群より選択される二価炭化水素ベース基であるものである。より優先的には、上述の方法の実施で使用される式(10)及び(11)の化合物は、各R4が、プロピレンであるものである。
【0035】
優先的には、上述の方法の実施で使用される式(10)及び(11)の化合物は、R3が、ヘプチルであり、R4が、プロピレンであり、Rが、同一であっても異なっていてもよく(好ましくは同一であり)、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル及びイソブチルから選択されるものであり、上述の方法の実施で使用される式(9)の化合物は、HOCH2CH(CH3)CH2OHである。
式(10)の化合物の混合物及び式(11)の化合物の混合物は、カップリング剤である有機官能性シランを合成するために使用することができる。
カップリング剤を合成するための方法は、
-ステップ(a)で得られた生成物を処理して、ステップ(a)で得られた生成物に存在する場合には数個のブロックされたチオール官能基をチオール(-SH)官能基に変換する少なくとも1つのステップ(b)、並びに/又は
-ステップ(a)で得られた生成物を処理して、ステップ(a)で得られた生成物に存在する場合には数個のチオール官能基をブロックされたチオール官能基に変換する少なくとも1つのステップ(c)、並びに/又は
-ステップ(a)で得られた生成物、ステップ(b)がこの方法で実行される場合、ステップ(b)で得られた生成物、及びステップ(c)がこの方法で実行される場合、ステップ(c)で得られた生成物を部分加水分解する少なくとも1つのステップ(d)
も含むことができる。
【0036】
処理ステップ(b)は、例えば、強塩基、例えばNaOEtを使用して、ステップ(a)で得られた生成物により保持された、ブロックされたチオール官能基をチオール官能基に変換するステップであり得る。処理ステップ(c)は、例えば、カルボン酸(特にC715COOH)又は塩化アシル(特にC715COCl)を使用してステップ(a)で得られた生成物のチオール官能基をエステル化して、それらをブロックされたチオール官能基に変換するステップであり得る。部分加水分解ステップ(d)は、ステップ(a)、並びに存在する場合には任意にステップ(b)及び(c)で使用される生成物及び試薬に対して過剰の水がある場合に行うことができる。部分加水分解ステップは、Zbが(-O-)0.5又はOHを表す上述の化合物を得ることを可能にする。
当業者は、特に、有機官能性シランカップリング剤を生成するための方法が説明されている国際公開第2007/098120号の文献を参照することができる。
有機官能性カップリング剤は、上述の方法の実施から生じる混合物の形で得ることができ、本発明に従って、この混合物の形でゴム組成物において使用することができる。混合物は、有機官能性カップリング剤だけでなく、以下の化合物及びそれらの混合物のいずれか1つから選択される他のシランも含有する。
-式(2)に由来の式(2’)の化合物であって、式(2’)は、Zb vが、Za tで置換され、Zaが、式(2)の基Xと同じ定義を有しており、tが、0、1、2又は3と等しい数であり、u+t+2w=3であり、u及びwが、式(2)と同じ定義を有しているという点で式(2)とは異なる、
-式(3)に由来の式(3’)の化合物であって、式(3’)は、Zb vが、Za tで置換され、Zaが、式(3)の基Xと同じ定義を有しており、tが、0、1、2又は3と等しい数であり、u+t+2w=3であり、u及びwが、式(3)と同じ定義を有しているという点で式(3)とは異なる、
-2個の式(2)のブロックされたメルカプトシラン単位からなる二量体、
-2個の式(3)のメルカプトシラン単位からなる二量体、
-ブロックされたメルカプトシラン単位(2)及び式(3)のメルカプトシラン単位からなる二量体、
-式(2)のブロックされたメルカプトシラン単位からなるオリゴマー、
-式(3)のメルカプトシラン単位からなるオリゴマー。
【0037】
有機官能性シランカップリング剤は、例えば、商品名「NXT-Z」、特に「NXT-Z45」でMomentive社から市販されている。
本発明によるゴム組成物において、有機官能性シランカップリング剤の含有量は、ゴム組成物で使用されるシリカの比表面積に応じて、またゴム組成物内のシリカ含有量に応じて当業者によって調節される。その含有量は、優先的には1~15phrの範囲、より優先的には1.5~10phr、更により優先的には2~5phrである。
本発明によるゴム組成物の別の本質的な特徴は、加硫系、すなわち硫黄ベースの架橋系を含有することである。硫黄は、一般に分子硫黄又は硫黄供与剤の形で、好ましくは分子の形で提供される。分子の形の硫黄は、分子硫黄とも呼ばれる。用語「硫黄供与体」は、加硫中に形成されたポリスルフィド鎖に挿入することができ、エラストマー鎖に架橋することができる、ポリスルフィド鎖の形で組み合わせてもよい硫黄原子を放出するあらゆる化合物を意味する。種々の既知の二次加硫促進剤又は加硫活性剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)などは、第1の非生成段階中及び/又は生成段階中に組み込まれている加硫系に添加される。硫黄含有量は、好ましくは0.5から4phrであり、一次促進剤の含有量は、好ましくは0.5から5phrである。これらの優先的な含有量は、本発明の実施形態のいずれか1つに適用され得る。
【0038】
(一次又は二次)加硫促進剤として、硫黄の存在下でジエンエラストマーの加硫の促進剤として作用することができるあらゆる化合物、特に一次促進剤に関してはチアゾール型及びまたその誘導体の促進剤、スルフェンアミド型の促進剤、又は二次促進剤に関してはチウラム、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、チオ尿素及びキサンテート型の促進剤を使用することができる。一次促進剤の例として、特に、スルフェンアミド化合物、例えばN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「CBS」)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「DCBS」)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(「TBBS」)、及びこれらの化合物の混合物に言及することができる。一次促進剤は、優先的にはスルフェンアミド、より優先的にはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミドである。二次促進剤の例として、特に、チウラムジスルフィド、例えばテトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド(「TBTD」)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(「TBZTD」)及びこれらの化合物の混合物に言及することができる。二次促進剤は、優先的にはチウラムジスルフィド、より優先的にはテトラベンジルチウラムジスルフィドである。
加硫は、特に採用される加硫系の硬化温度及び検討中の組成物の加硫動力学に応じて、一般的に130℃から200℃の温度で、例えば、5分から90分の範囲であり得る十分な時間、既知の方法で実行される。
【0039】
本発明によるゴム組成物はまた、タイヤの製造が意図されるエラストマー組成物で一般的に使用される全て又は数種の通常の添加物、特に顔料、保護剤、例えばアンチオゾンワックス、化学オゾン分解防止剤、抗酸化剤、及び可塑剤、例えば可塑化油又は樹脂を含むことができる。
ゴム組成物は、加硫の前に、当業者に周知の手順による2つの連続する調製の段階:110℃から190℃、好ましくは130℃から180℃の最高温度までの高温での熱機械加工又は混合の第1の段階(「非生成」段階と呼ばれることもある)、続いてより低い温度、一般に110℃未満、例えば40℃から100℃での機械加工の第2の段階(「生成」段階と呼ばれることもある)を使用して、適切なミキサーで製造することができ、その仕上げ段階中に、硫黄又は硫黄供与体及び加硫促進剤が組み込まれる。
例として、第1の(非生成)段階は、全ての必要な構成要素、随意の補助加工助剤及び加硫系を除く種々の他の添加物が、適切なミキサー、例えば通常の内部ミキサーに導入される間、1回の熱機械ステップで実行される。この非生成段階において、混合の合計時間は、好ましくは1分から15分である。第1の非生成段階中にこのように得られた混合物が冷却された後、次いで、加硫系は、低温で、一般的には外部ミキサー、例えばオープンミルに組み込まれ、その後、全てのものは、数分間、例えば2分から15分混合される(生成段階)。
【0040】
ゴム組成物は、特に実験室での特性評価のためにシート若しくはスラブの形で、又はまた、タイヤで使用することができるゴム半製品(若しくはプロファイルされた要素)の形で、カレンダー仕上げされ得るか、押出成形され得る。組成物は、未加工の状態(架橋若しくは加硫の前)、又は硬化状態(架橋前若しくは加硫後)のいずれかであり得る。組成物は、特にトレッドを含む空気タイヤ又は非空気タイヤ、特にタイヤトレッドで使用することを意図した全て又は数個の半完成品からなり得る。
要約すると、本発明は、有利には、以下の実施形態1~47のいずれか1つに従って実行される。
実施形態1:-エチレン単位と、1,3-ジエン単位とを含有し、N-置換イミダゾール官能基を含有するペンダント基を保持するコポリマーである、機能性高飽和ジエンエラストマーであり、エチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の50mol%超を表す、ジエンエラストマー、
-加硫系、
-シリカを含有する補強充填剤、
-並びに、少なくとも1個のブロックされたチオール官能基と、少なくとも1個のチオール官能基と、ヒドロキシアルコキシシリル基又は環状ジアルコキシシリル基である少なくとも1個の官能基とを含有する有機官能性シランカップリング剤であって、式(1)に相当する有機官能性シランカップリング剤
を含む、ゴム組成物。
(A)p(B)q (1)
(式中、A及びBはそれぞれ、式(2)に相当するブロックされたメルカプトシラン単位及び式(3)に相当するメルカプトシラン単位を表す
【0041】
【化10】
【0042】
(式中、
3は、水素原子、直鎖又は分岐C1-C18アルキル、直鎖又は分岐C2-C18アルケニルから選択され、
各R4は、直鎖又は分岐の、飽和C1-C6二価炭化水素ベース基から独立して選択され、
単位同士が同一であっても異なっていてもよい、ある単位のケイ素原子と別の単位のケイ素原子との間で架橋構造を形成する各Zbは、(-O-)0.5及び[-O(R0CR0fO-]0,5から独立して選択され、記号R0は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はC1-C3アルキルを表し、fは、2~15の範囲の数であり、
単位のケイ素原子と環状構造を形成する各Zcは、式[-O(R0CR0fO-]0.5の基であり、R0及びfは、上で定義された通りであり、
各Xは、水素原子、ヒドロキシル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び式HO(R0CR0fO-の基から独立して選択され、R0及びfは、上で定義された通りであり、
u+v+2w=3であり、uは、0、1、2又は3と等しい数であり、vは、1、2又は3と等しい数であり、wは、0又は1と等しい数であり、
pは、1~20の範囲内の数であり、
qは、1~20の範囲内の数である))
【0043】
実施形態2:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の少なくとも60mol%を表す、実施形態1に記載のゴム組成物。
実施形態3:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の少なくとも65mol%を表す、実施形態1及び2のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態4:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位(constituent repeat unit)の少なくとも70mol%を表す、実施形態1及び3のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態5:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の最大90mol%を表す、実施形態1~4のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0044】
実施形態6:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位(constituent repeat unit)の最大85mol%を表す、実施形態1~5のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態7:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるエチレン単位が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の最大80mol%を表す、実施形態1~6のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態8:N-置換イミダゾール官能基が、式(4)の基である、実施形態1~7のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0045】
【化11】
(式中、記号Y1が、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Y2が、機能性高飽和ジエンエラストマーのジエン単位への結合を示し、記号Y3及びY4が、それぞれ水素原子である)
実施形態9:Y2により表されるアルキルが、1~3個の炭素原子を含む、実施形態8に記載のゴム組成物。
実施形態10:Y1により表されるアルキルが、メチルである、実施形態8及び9のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態11:機能性高飽和ジエンエラストマーが、エチレンと、ジエン単位に対して反応性である基を含有し、式(5)のイミダゾール官能基を含有する変性剤を反応させることにより変性された1,3-ジエンとのコポリマーである、実施形態1~10のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0046】
【化12】
(式中、記号Z1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Z2は、反応性基への結合を示し、記号Z3及びZ4は、それぞれ水素原子である)
実施形態12:変性剤が、1,3-双極子ニトリルオキシド、ニトロン又はニトリルイミン化合物である、実施形態11に記載のゴム組成物。
実施形態13:変性剤が、芳香族ニトリルモノオキシドである1,3-双極子化合物、つまりニトリルオキシド双極子及び式(5)のイミダゾール官能基を含有する基で置換されたベンゼン環を含む化合物である、実施形態11及び12のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0047】
【化13】
(式中、記号Z1は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し、記号Z2は、双極子への結合を示し、記号Z3及びZ4は、それぞれ水素原子である)
実施形態14:1,3-双極子化合物が、式(6)の単位を含有する、実施形態12及び13のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0048】
【化14】
(式中、R’1が、ニトリルオキシド双極子を表し、記号R’2~R’6の1個が、1~6個の炭素原子を有し、式(5)のイミダゾール官能基の5員環の窒素原子の1個に共有結合する飽和基を表し、他の記号が、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は置換基を表す)
実施形態15:飽和基が、アルカンジイルである、実施形態14に記載のゴム組成物。
実施形態16:飽和基が、1~3個の炭素原子を有するアルカンジイルである、実施形態14及び15のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0049】
実施形態17:飽和基が、メタンジイルである、実施形態14~16のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態18:置換基が、1~3個の炭素原子を有するアルキルである、実施形態14~17のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態19:置換基が、メチル又はエチルである、実施形態14~18のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態20:R’2及びR’6が、水素原子とは異なる、実施形態14~19のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態21:R’2、R’4及びR’6が、全て水素原子とは異なり、同一である、実施形態14~20のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態22:機能性高飽和ジエンエラストマーにおけるイミダゾール官能基の含有量が、機能性高飽和ジエンエラストマーの構成繰返し単位の0mol%より大きく、3mol%未満である、実施形態1~21のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0050】
実施形態23:1,3-ジエンが、1,3-ブタジエン又は1個が1,3-ブタジエンである1,3-ジエンの混合物である、実施形態1~22のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態24:1,3-ジエンが、1,3-ブタジエンである、実施形態1~23のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態25:機能性高飽和ジエンエラストマーが、統計コポリマーである、実施形態1~24のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態26:機能性高飽和ジエンエラストマーの含有量が、ゴム組成物のエラストマー100部あたり少なくとも50質量部(phr)である、実施形態1~25のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態27:機能性高飽和ジエンエラストマーの含有量が、80~100phrの範囲内で変化する、実施形態1~26のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0051】
実施形態28:シリカが、補強充填剤の50質量%超を表す、実施形態1~27のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態29:シリカが、補強充填剤の85質量%超を表す、実施形態1~28のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態30:補強充填剤の総含有量が、30~150phrの範囲内で変化する、実施形態1~29のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態31:補強充填剤の総含有量が、30phr~60phrの範囲内で変化する、実施形態1~30のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態32:式(2)におけるR3が、水素原子、C1-C10アルキル及びC2-C10アルケニルから選択される、実施形態1~31のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態33:式(2)におけるR3が、直鎖C6-C8アルキルであり、より優先的にはヘプチルである、実施形態1~32のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0052】
実施形態34:式(2)及び(3)における各R4が、独立して直鎖C1-C4アルキレンである、実施形態1~33のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態35:式(2)及び(3)における各R4が、プロピレンである、実施形態1~34のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態36:式(2)及び(3)における各Zbが、式(-O-)0.5、[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択される、実施形態1~35のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態37:式(2)及び(3)における各Zbが、式(-O-)0.5又は[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5を有する、実施形態1~36のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態38:式(2)及び(3)における各Zcが、式[-OCH2CH2CH2O-]0.5、[-OCH2CH2CH2CH2O-]0.5及び[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5の単位からなる群より独立して選択される、実施形態1~37のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態39:式(2)及び(3)における各Zcが、式[-OCH2CH(CH3)CH2O-]0.5を有する、実施形態1~38のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0053】
実施形態40:式(2)及び(3)における各Xが、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、3-ヒドロキシプロポキシ、3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ及び4-ヒドロキシブト-1-オキシからなる群より独立して選択される、実施形態1~39のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態41:式(2)及び(3)における各Xが同一であり、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ及び3-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシからなる群より選択される、実施形態1~40のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態42:有機官能性シランが、20%~80%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び80%~20%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有する、実施形態1~41のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態43:有機官能性シランが、40%~60%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位(A)及び60%~40%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位(B)を有する、実施形態1~42のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態44:有機官能性シランが、50%~55%の範囲のモルパーセントのブロックされたメルカプトシラン単位及び50%~45%の範囲のモルパーセントのメルカプトシラン単位を有する、実施形態1~43のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0054】
実施形態45:有機官能性シランカップリング剤の含有量が、1~15phrの範囲である、実施形態1~44のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態46:有機官能性シランカップリング剤の含有量が、1.5~10phr、優先的には2~5phrの範囲である、実施形態1~45のいずれか1つに記載のゴム組成物。
実施形態47:優先的にそのトレッド内に、実施形態1~46のいずれか1つで定義されたゴム組成物を含む、タイヤ。
上述の本発明の特徴、またその他の特徴は、非限定的な例示として与えられる本発明のいくつかの例示的な実施形態の以下の説明を読めば、よりよく理解されるであろう。
【実施例
【0055】
破断時の特性:
引張試験により、破断時の特性を決定することが可能になる。特に明示しない限り、この試験は、1988年9月の仏規格NF T 46-002に従って、タイプH2の試験片を用い、引張速度500mm/分で実行される。引張強度(MPaで)及び破断時の伸び(%で)を、規格NF T 46-002に従って60℃±2℃で、また100℃±2℃でも測定する。
結果は、対照との比較で100を基準として表される。任意に100と設定した対照の値より大きい値は、改善された結果、すなわち測定された量が対照の量よりもより大きいことを示唆する。
核磁気共鳴(NMR)分析によるエラストマーの微細構造:
エラストマーの微細構造は、1H NMRスペクトルの分解能が、全ての種の割り当て及び定量化ができない場合、13C NMR分析と組み合わせて、1H NMR分析により決定される。測定は、ブルカー500MHz NMR分光分析装置を使用して、プロトン観測については500.43MHz、炭素観測については125.83MHzの周波数で実行される。
溶媒内で膨潤する能力がある不溶性のエラストマーについて、プロトン観測及び炭素観測のために、4mmのz-グレードのHRMASプローブをプロトンデカップリングモードで使用した。スペクトルを、4000Hz~5000Hzの回転速度で取得する。
【0056】
可溶性のエラストマーに対する測定について、プロトン観測及び炭素観測のために、液体NMRプローブをプロトンデカップリングモードで使用した。
不溶性の試料を、分析される材料及び膨張を可能にする重水素化溶媒、一般的に重水素化クロロホルム(CDCl3)が充填されたローターで調製する。使用される溶媒は、常に重水素化されている必要があり、その化学的性質は、当業者によって適合され得る。使用される材料の量は、十分な感度及び分解能のスペクトルを得るように調節される。
可溶性の試料を、重水素化溶媒(1ml中、エラストマー約25mg)、一般的に重水素化クロロホルム(CDCl3)に溶解する。使用される溶媒又は溶媒ブレンドは、常に重水素化されている必要があり、その化学的性質は、当業者によって適合され得る。
両方の場合(可溶性の試料又は膨潤試料):
プロトンNMRでは、30°単一パルスシーケンスを使用する。スペクトル窓は、分析される分子に属する全共鳴線を観察するように設定される。累積数は、各単位の定量化に十分なシグナル-ノイズ比を得るように設定される。各パルス間の繰返し待ち時間は、定量的測定を得るように適合される。
炭素NMRでは、捕捉中に核オーバーハウザー効果(NOE)を回避し、定量性を維持するために、プロトンデカップリングのみを用いる30°単一パルスシーケンスを使用する。スペクトル窓は、分析される分子に属する全共鳴線を観察するように設定される。累積数は、各単位の定量化に十分なシグナル-ノイズ比を得るように設定される。各パルス間の繰返し待ち時間は、定量的測定を得るように適合される。
【0057】
NMR測定は、25℃で実行される。
ポリマーのガラス転移温度:
ガラス転移温度(Tg)は、規格ASTM D3418(1999)による示差走査熱量計によって測定される。
ムーニー粘度:
ムーニー粘度は、規格ASTM D1646(1999)に記載の振動式コンシストメーターを使用して測定される。測定は、以下の原理に従って実行される、すなわち、未硬化状態で(すなわち硬化前に)分析される試料は、所定温度(100℃)まで加熱された円筒形チャンバ内で成型される(形成される)。1分間の予熱後、ローターは、試験片内で、2回転/分で回転し、この動きを維持するための作動トルクは、4分間の回転後に測定される。ムーニー粘度(ML)は、「ムーニー単位」(MU、1MU=0.83ニュートンメートル)で表される。
出発高飽和ジエンエラストマー、E1の調製:
エラストマーE1は、エチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマーである高飽和ジエンエラストマーであり、以下の手順に従って調製される。
【0058】
メチルシクロヘキサン(64L)、エチレン(5600g)及び1,3-ブタジエン(2948g)を含有する70L容反応器に、ブチルオクチルマグネシウム(BOMAG)のメチルシクロヘキサン溶液及び触媒系を添加する。Mg/Nd比は、6.2である。導入された触媒系溶液の体積は、840mlであり、Nd中の触媒系溶液の濃度は、0.0065Mである。反応温度は、80℃の温度で制御され、重合反応が開始される。重合反応は、8.3barの一定の圧力で生じる。重合の全体にわたって、反応器には、73/27のモル比でエチレン及び1,3-ブタジエンが供給される。反応器の冷却、脱気及びエタノールの添加により、重合反応を停止する。抗酸化剤を、ポリマー溶液に添加する。水蒸気ストリッピング及び一定の質量までの乾燥後に、コポリマーを回収する。重合時間は、225分である。計量された質量(6.206kg)により、ネオジム金属1モルあたり及び時間あたりの合成されたポリマーのキログラム(kg/mol.時)で表される、触媒系の平均触媒活性を測定することができる。コポリマーは、62と等しいML値を有する。
触媒系は、予め形成された触媒系である。触媒系は、メチルシクロヘキサン中、0.0065mol/lでメタロセン、[Me2Si(Flu)2Nd(μ-BH42Li(THF)]、2.2と等しいブチルオクチルマグネシウム(BOMAG)/Ndモル比で助触媒のBOMAG、及び90と等しい1,3-ブタジエン/Ndモル比で予備成形モノマーの1,3-ブタジエンから調製される。5時間の期間をかけて80℃で培地を加熱する。触媒系は、国際公開第2017093654号の特許出願のセクションII.1による調製方法に従って調製される。
【0059】
ゴム組成物の調製:
1,3-双極子化合物である2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリルオキシドは、変性剤として使用され、その合成は、国際公開第2015059274号の特許出願に記載されている。
使用される出発高飽和ジエンエラストマーは、エラストマーE1である。
4種のゴム組成物が調製される。これらの組成物は、以下の方法で製造される。
出発高飽和ジエンエラストマーE1、約1分間、120℃でエラストマーと単独で混合される変性剤、その後、シリカ、シランカップリング剤及び加硫系を除く種々の他の成分を、約80℃の初期タンク温度で400ml容内部ミキサーに導入する(最終充填剤度:約70体積%)。その後、熱機械加工(非生成段階)を1ステップで実行し、160℃の最大「低下」温度に到達するまで、100rpmの平均パレット速度で約5分~6分継続する。このように得られた混合物を回収して冷却し、その後、硫黄及びスルフェンアミド型の促進剤を23℃でミキサー(ホモフィニッシャー)に入れ、全てを5分間混合する(生成段階)。
【0060】
ゴム組成物は全て、本発明による機能性高飽和ジエンエラストマー、加硫系、シリカ及びシランカップリング剤を含有する。シランカップリング剤が、本発明による式(1)の有機官能性シラン、Momentiveにより販売されている「NXT-Z45」であるので、ゴム組成物C1及びC2のみが、本発明によるものである。組成物T1及びT2は、カップリング剤が、式[(C25O)3Si(CH2322を有するビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドであり、TESPTと略され、Evonikから商品名「Si69」で販売されているポリスルフィドシランである点で、それぞれ組成物C1及びC2とは異なる。ゴム組成物T1及びT2の場合、カップリング剤「Si69」が、エラストマーとの反応中に遊離硫黄を放出し、加硫に利用可能な硫黄源を表すことを念頭に置くと、総硫黄含有量は、互いに比較したゴム組成物について同一、すなわち0.3phrである。
ゴム組成物の配合(phrで)を、表1で説明する。
【0061】
続いて、このように得られた組成物を、150℃(硬化状態)での加硫後のそれらの物理的特性又は機械的特性の測定のためにゴムのスラブ(厚さ範囲2~3mm)若しくは薄いシートの形、又は所望の大きさまで切断及び/若しくは組み立ての後、例えばタイヤ用の半製品として直接使用することができるプロファイルされた要素の形のいずれかでカレンダー処理する。
ゴム組成物の硬化状態における特性の結果を、表2に与える。
表2は、ゴム組成物C1及びC2の破断時の伸びが、60℃及び100℃の両方で、それらの各対照組成物、T1及びT2と比べて大幅に増加することを示す。この結果は、破壊応力を低下させることなく得られる。したがって、本発明によるゴム組成物は、破断時の特性において強力な改善を示す。
【0062】
【表1】

(1) エチレン単位74 mol%、1.2及び1.4単位の形でのブタジエン単位19 mol%並びに1,2-シクロヘキサンジイル単位7 mol%を含有し、Tgが-44℃である、エチレンと1,3-ブタジエンとのコポリマー。
(2) Solvay-Rhodiaからの「Zeosil 1165 MP」,マイクロビーズの形態
(3) Evonikからの「Si69」トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPT)液体シラン
(4) シランメルカプト-チオカルボキシレートオリゴマー(「NXT-Z45」) - CAS 922519-17-3 - Momentive社
(5) 1,3-双極子化合物(2,4,6-トリメチル-3-((2-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリルオキシド)
(6) Flexsysからの「Perkacit DPG」ジフェニルグアニジン
(7) Sasol Waxからのアンチオゾンワックス, Varazon 4959
(8) FlexysからのN-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン, Santoflex 6PPD
(9) Uniqemaからのステアリン酸, Pristerene 4931
(10) Umicoreからの酸化亜鉛,工業グレード
(11) FlexsysからのN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド,サントキュアCBS。
【0063】
【表2】
【国際調査報告】