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特表2024-542528燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する方法
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  • 特表-燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241108BHJP
   H01M 8/04089 20160101ALI20241108BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20241108BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04089
H01M8/0444
H01M8/04746
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531013
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022082631
(87)【国際公開番号】W WO2023099262
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021213656.7
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ケマー,ヘラーソン
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB05
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA57
5H127BA58
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB13
5H127BB37
5H127BB39
5H127DB34
5H127DC23
5H127DC55
(57)【要約】
燃料電池システム(1)内の還流(70)を調節するための装置を校正する方法であって、前記燃料電池システム(1)が、燃料電池スタック(101)と、空気路(10)と、排ガス管(12)と、再循環回路(50)を備えた燃料管(20)とを有している前記方法。以下の方法ステップを実施する:a.前記燃料電池システム(1)の固定ロードポイントを設定する方法ステップ、b.前記燃料電池スタック(101)において取り出される流れを固定する方法ステップ、c.前記還流(70)を調節するための装置を起動させ、その結果前記排ガスが前記排ガス管(12)から還流管(66)を介して前記空気路(10)内へ流れる方法ステップ、d.前記還流管(66)を通って流れる前記排ガスの質量流を、前記還流(70)を調節するための前記装置の起動を介して、水素センサ(64)で水素濃度が測定可能になるまで増大させる方法ステップ、e.事前に選定した前記固定ロードポイントに対する前記還流管(66)による排ガスの最大許容質量流を決定する方法ステップ。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(1)内の還流(70)を調節するための装置を校正する方法であって、前記燃料電池システム(1)が、燃料電池スタック(101)と、空気路(10)と、排ガス管(12)と、再循環回路(50)を備えた燃料管(20)とを有している前記方法において、以下の方法ステップを実施し、すなわち
a.前記燃料電池システム(1)の固定ロードポイントを設定する方法ステップと、
b.前記燃料電池スタック(101)において取り出される流れを固定する方法ステップと、
c.前記還流(70)を調節するための装置を起動させ、その結果前記排ガスが前記排ガス管(12)から還流管(66)を介して前記空気路(10)内へ流れる方法ステップと、
d.前記還流管(66)を通って流れる前記排ガスの質量流を、前記還流(70)を調節するための前記装置の起動を介して、水素センサ(64)で水素濃度が測定可能になるまで増大させる方法ステップと、
e.事前に選定した前記固定ロードポイントに対する前記還流管(66)による排ガスの最大許容質量流を決定する方法ステップと、
を実施する方法。
【請求項2】
前記方法ステップe.において、前記最大許容質量流に関連している、前記還流(70)を調節するための前記装置の起動を、記憶することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の方法ステップを実施している間、パージ過程および/またはドレーン過程を実施しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法ステップd.)において水素濃度を前記水素センサ(64)で測定する場合、パージ過程および/またはドレーン過程を行ったかどうかを調べ、行った場合にはその測定結果を破棄し、その結果ステップe.)を実施しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
方法ステップd.)に続いて、前記パージ過程および/またはドレーン過程の終了後に、前記還流管(66)を通る前記質量流を減少させ、前記方法ステップd.)ないしe.)を新たに実施することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還流(70)を調節するための前記装置が調節可能弁(71)であり、前記排ガスの前記質量流を、前記還流管(66)を介して、前記調節可能弁(71)の開口横断面積を拡大させることによって増大させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記還流(70)を調節するための前記装置がブロワー(71)であり、前記排ガスの前記質量流を、前記還流管(66)を介して、前記ブロワー(65)の回転数を増大させることによって増大させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
空気圧縮器(11)および前記燃料電池システム(1)内に配置されている他のアクチュエータを変化させないことにより、前記燃料電池システム(1)の前記固定ロードポイントを達成させることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
水素をベースにした燃料電池システムは、排ガスとして水だけを排出し、迅速な燃料補給時間を可能にするので、将来のモビリティコンセプトとされている。この場合、燃料電池システムは電池内部での化学反応のために空気と水素を必要とする。要求されるエネルギー量を提供するため、1つの燃料電池システム内部に配置される複数の燃料電池は互いに結線されて、いわゆる複数の燃料電池スタックを形成する。この場合、電池の排熱は冷却回路により搬出されて、周囲へ放出される。燃料電池システムの作動に必要な水素は、通常は高圧タンクから複数のシステムに供給される。
【0003】
1つの燃料電池の排ガス路から排ガスを空気路内へ誘導することは知られている。というのは、このようにすると、特定の作動状態の際に、たとえば凍結始動の際またはスイッチオフ過程の際に自ずと利点をもたらすからである。特許文献1から、対応するスイッチオフ過程が知られている。特許文献2から、排ガスを空気路内へ戻すことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】書類整理記号102018213695.5を持つ出願
【特許文献2】書類整理記号102021205335.1を持つ出願
【発明の概要】
【0005】
本発明の対象は、方法に関する独立請求項の構成を備えた方法である。本発明の更なる構成要件および詳細は、それぞれの従属請求項、明細書および図面から明らかである。
【0006】
本発明による方法は、燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する方法を提供するために用いる。本発明による方法が提供する利点は、最大可能質量流または最大可能フィードバック率を決定し、それまでに燃料電池スタックの損傷なしに排ガスのフィードバックを成し遂げうることである。
【0007】
排ガス路からの排ガスを空気路の空気のなかへ混入することは、様々な境界条件の下で有効でありうる。空気管内への排ガスのフィードバックが有効でありうる典型的な作動条件は、圧縮器の最小回転数を下回るべきでない燃料電池の部分負荷作動である。空気管を介して燃料電池スタックに供給される空気の酸素量を減少させるため、含酸素空気に排ガスを混合させることができる。この場合、更なるポジティブな効果は、排ガス中の水による空気の加湿であり、その結果燃料電池スタックの乾燥化を回避することができる。
【0008】
本発明による方法は、酸素含有量が少なすぎるために全電池にわたって標準燃料電池作動が不可能であることなく、よって少なくともある程度の個所でプロトンポンピング作動が起こることなく、空気に供給できる排ガスの最大許容量を決定することを可能にさせる。
【0009】
1つの作動点で燃料電池スタックに供給される酸素が少なすぎると、プロトンポンピングが始まる。なぜなら、既存の酸素は前部電池によって既に消費され、燃料電池スタック内の後部電池にはもはや酸素が全く供給されないからである。酸素が提供されないので、個々の水素分子が互いに結合し、その結果プロトンポンピングの範囲内でH2が生じる。この水素はその後排ガス路内の排ガスとともに搬送されて、水素センサで検出することができる。
【0010】
燃料電池システム内の還流を調節するための装置を校正する本発明による方法であって、前記燃料電池システムが、燃料電池スタックと、空気路と、排ガス管と、再循環回路を備えた燃料管とを有している前記本発明による方法は、以下の方法ステップを含み、すなわち
a.前記燃料電池システムの固定ロードポイントを設定する方法ステップと、
b.前記燃料電池スタックにおいて取り出される流れを固定する方法ステップと、
c.前記還流を調節するための装置を起動させ、その結果前記排ガスが前記排ガス管から還流管を介して前記空気路内へ流れる方法ステップと、
d.前記還流管を通って流れる前記排ガスの質量流を、前記還流を調節するための前記装置の起動を介して、水素センサで水素濃度が測定可能になるまで増大させる方法ステップと、
e.事前に選定した前記固定ロードポイントに対する前記還流管による排ガスの最大許容質量流を決定する方法ステップと、
を含んでいる。
【0011】
従属請求項には、本発明による方法の有利な構成、更なる構成が記載されている。
【0012】
最大許容質量流に関連している、還流を調節するための装置の起動を、記憶するならば有利である。というのは、この値は比較的容易に再現可能だからである。
【0013】
複数の方法ステップを実施している間、パージ過程および/またはドレーン過程を実施しないならば有利である。というのは、これらは再循環回路内の水素含有量によって測定の精度を落とすことがあるからである。
【0014】
もしパージ過程および/またはドレーン過程の実施を停止させなかったならば、水素センサが水素濃度を測定した場合にパージ過程および/またはドレーン過程を行ったかどうかを調べることで、場合によってはその測定結果を破棄するべきである。この場合には、方法ステップd.)ないしe.)を新たに実施すれば、存在している作動点の校正が可能である。
【0015】
本発明による方法は、特に燃料電池で作動される自動車において使用することができる。しかしながら、たとえばクレーン、船舶、軌道車両、飛行体のような燃料電池で作動する他の移動手段、または、燃料電池で作動する定置物での使用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態による本発明による燃料電池システムの概略図である。
図2】第2実施形態による本発明による燃料電池システムの概略図である。
図3】第1実施形態による本発明による方法の個々のステップのフローチャートである。
図4】第2実施形態による本発明による方法の個々のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、少なくとも1つの燃料電池スタック101とともに、本発明の第1実施形態による燃料電池システム1の概略的トポロジーが示されている。少なくとも1つの燃料電池システム1は、空気路10と、排ガス管12と、燃料管20とを有している。少なくとも1つの燃料電池スタック101は、たとえばトラックでの高電力需要を伴うモバイルアプリケーションのために、或いは、たとえば発電機でのステーショナリアプリケーションのために使用できる。
【0018】
空気路10は、燃料電池スタック101のカソード105に取込み部16を介して周囲から空気を供給するために供給管として用いる。空気路10内には、燃料電池スタック101の作動のために必要な複数の構成要素が配置されていてよい。空気路10内には、空気を燃料電池スタック101のその都度の作動条件に応じて圧縮または吸い込む空気圧縮器11および/またはコンプレッサ11が配置されていてよい。空気圧縮器11および/またはコンプレッサ11の下流側には、空気路10内の空気を加熱または冷却する熱交換器15があってよい。
【0019】
空気路10の内部には、さらに、たとえばフィルタ7および/または加湿器および/または弁のような他の構成要素が設けられていてよい。空気路10を介して、燃料電池スタック101に含酸素空気が提供される。
【0020】
さらに、燃料電池システム1は排ガス管12を有し、排ガス管内では、水および空気路10から来る空気の他の成分が燃料電池スタック101を通過した後に排出部18を介して周囲へ搬送される。排ガス管12の排ガスは水素(H2)を含んでいてもよい。なぜなら、水素の一部は燃料電池スタック101の膜によって拡散させることができ、或いは、パージ管40を介して排ガス管12内へ搬送されるからである。この理由から、水素の濃度を測定できる水素センサ64が排出部18の手前の上流側にある。
【0021】
排ガス管12内には、排ガス管12内の流動を絞ることができる圧力制御弁63が配置されており、その結果圧力制御弁63の上流側に異なる圧力を設定できる。
【0022】
燃料電池システム1は、さらに、燃料電池スタック101の冷却のために形成されている冷却回路を有していてよい。冷却回路は、本発明の構成部分でないため、図1に図示していない。
【0023】
燃料管20の入口には、高圧タンク21と遮断弁22とがある。燃料電池スタック101のアノード側103に必要に応じて燃料を供給するため、燃料管20内に更なる構成要素が配置されていてよい。
【0024】
燃料電池スタック101に常に十分に燃料を供給するためには、燃料管20を介しての燃料の超化学量論的配量の必要性がある。余分な燃料と、電池膜を通じてアノード側へ拡散するある程度の量の水および窒素とは、再循環回路50内へ戻し、燃料管20から配量された燃料と混合させる。
【0025】
再循環回路50内での流動を推進するため、たとえば配量された燃料で作動するジェットポンプ51またはブロワー52のような種々の構成要素が組付けられていてよい。ジェットポンプ51とブロワー52との組み合わせも可能である。
【0026】
再循環回路50から来る窒素または水のような不必要な成分を除去するため、パージ弁41が内部に配置されているパージ管40を介して、再循環回路50は排ガス管12と結合されている。パージ過程および/またはドレーン過程の間パージ弁41を開き、その結果再循環回路50から来る不必要な成分と水素とから成るガス混合物は、排ガス管12内へ流動することができる。
【0027】
排ガス管12は、還流管66を介して空気路10と結合されている。還流管66内には、還流70を調節するための装置が配置されている。還流70を調節するための装置の起動に応じて、排ガス管12からの排ガスは還流管66を介して空気路10内へ流動することができる。
【0028】
図1の第1実施形態によれば、還流70を調節するための装置は調節可能弁71である。調節可能弁71が閉じていれば、排ガス管12からの排ガスが還流管66を介して空気路10内へ流動することはない。調節可能弁71が開いていれば、排ガス管12からの排ガスは還流管66を介して空気路10内へ流れる。調節可能弁71の開口横断面積の変化を介して、還流管66を介しての排ガスの質量流を増減させることができる。
【0029】
図2には、本発明の第2実施形態による燃料電池システム1の概略的トポロジーが示されている。第2実施形態では、還流70を調節するための装置はブロワー72として実現されている。ブロワー72が作動していなければ、排ガスは排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れない。ブロワーが作動していれば、排ガスは排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れる。ブロワー72の回転数の変化を介して、還流管66を介しての空気路10内への排ガスの質量流を増減させることができる。
【0030】
図3は、燃料電池システム1内の還流70を調節するための装置を校正する本発明による方法の第1実施形態の個々のステップのフローチャートを示している。
【0031】
方法ステップ100で、燃料電池システムの固定ロードポイントを設定して、燃料電池101において抜き取られる流れを一定に保持する。
【0032】
方法ステップ200で、パージ過程および/またはドレーン過程を中断させ、その結果本発明による方法の間、パージ弁41を開くことはできない。
【0033】
方法ステップ300で、還流70を調節するための装置を起動し、その結果排ガスは排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れることができ、または、排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れる質量流を増大させる。
【0034】
方法ステップ400で、水素濃度を水素センサ64で測定可能であるかどうかを調べる。もし可能でなければ、新たに方法ステップ300へ行って、還流70を調節するための装置の起動を介して、排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れる質量流を増大させる。
【0035】
方法ステップ400で、水素濃度を水素センサ64で測定可能であれば、方法ステップ500へ行って、現在の質量流を、事前に選定した固定ロードポイントに対する還流管66による排ガスの最大許容質量流として選定する。択一的に、燃料電池スタック101の電池の後部領域でプロトンポンピングが起こるのを阻止するため、現在の質量流よりも下流にある質量流を最大許容質量流として選定してもよい。
【0036】
図4は、燃料電池システム1内の還流70を調節するための装置を校正する本発明による方法の第2実施形態による個々のステップのフローチャートを示している。
【0037】
方法ステップ100で、燃料電池システムの固定ロードポイントを設定して、燃料電池101において抜き取られる流れを一定に保持する。燃料電池101において抜き取られる流れを一定に保持するという措置は、次の表現でも説明できる:燃料電池スタック101において取り出される流れを固定する。方法ステップ100からダイレクトに方法ステップ300へ進む。
【0038】
方法ステップ300では、還流70を調節するための装置を起動し、その結果排ガスは排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れることができ、または、排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れる質量流を増大させる。
【0039】
方法ステップ400で、水素濃度を水素センサ64で測定可能であるかどうかを調べる。もし可能でなければ、新たに方法ステップ300へ行って、還流70を調節するための装置の起動を介して、排ガス管12から還流管66を介して空気路10内へ流れる質量流を増大させる。
【0040】
方法ステップ400で、水素濃度を水素センサ64で測定可能であれば、方法ステップ450へ進む。
【0041】
方法ステップ450で、パージ過程および/またはドレーン過程が行われたかどうかを調べる。もし行われたならば、測定結果を破棄し、方法ステップ470へ進み、そうでなければ、方法ステップ500へ進む。
【0042】
方法ステップ470では、パージ過程および/またはドレーン過程の終了後に、還流管66を通る質量流を減少させ、新たに方法ステップ300へ行く。
【0043】
方法ステップ500では、現在の質量流を、事前に選定した固定ロードポイントに対する還流管66による排ガスの最大許容質量流として選定する。択一的に、燃料電池スタック101の電池の後部領域でポンピングが起こるのを阻止するため、現在の質量流よりも下流にある質量流を最大許容質量流として選定してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 燃料電池システム
10 空気路
11 空気圧縮器
12 排ガス管
20 燃料管
50 再循環回路
64 水素センサ
66 還流管
70 還流
71 調節可能弁
72 ブロワー
101 燃料電池スタック
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(1)内の還流(70)を調節するための装置を校正する方法であって、前記燃料電池システム(1)が、燃料電池スタック(101)と、空気路(10)と、排ガス管(12)と、再循環回路(50)を備えた燃料管(20)とを有している前記方法において、以下の方法ステップを実施し、すなわち
a.前記燃料電池システム(1)の固定ロードポイントを設定する方法ステップと、
b.前記燃料電池スタック(101)において取り出される流れを固定する方法ステップと、
c.前記還流(70)を調節するための装置を起動させ、その結果前記排ガスが前記排ガス管(12)から還流管(66)を介して前記空気路(10)内へ流れる方法ステップと、
d.前記還流管(66)を通って流れる前記排ガスの質量流を、前記還流(70)を調節するための前記装置の起動を介して、水素センサ(64)で水素濃度が測定可能になるまで増大させる方法ステップと、
e.事前に選定した前記固定ロードポイントに対する前記還流管(66)による排ガスの最大許容質量流を決定する方法ステップと、
を実施する方法。
【請求項2】
前記方法ステップe.において、前記最大許容質量流に関連している、前記還流(70)を調節するための前記装置の起動を、記憶することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の方法ステップを実施している間、パージ過程および/またはドレーン過程を実施しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法ステップd.)において水素濃度を前記水素センサ(64)で測定する場合、パージ過程および/またはドレーン過程を行ったかどうかを調べ、行った場合にはその測定結果を破棄し、その結果ステップe.)を実施しないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
方法ステップd.)に続いて、前記パージ過程および/またはドレーン過程の終了後に、前記還流管(66)を通る前記質量流を減少させ、前記方法ステップd.)ないしe.)を新たに実施することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還流(70)を調節するための前記装置が調節可能弁(71)であり、前記排ガスの前記質量流を、前記還流管(66)を介して、前記調節可能弁(71)の開口横断面積を拡大させることによって増大させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記還流(70)を調節するための前記装置がブロワー(72)であり、前記排ガスの前記質量流を、前記還流管(66)を介して、前記ブロワー(72)の回転数を増大させることによって増大させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
空気圧縮器(11)および前記燃料電池システム(1)内に配置されている他のアクチュエータを変化させないことにより、前記燃料電池システム(1)の前記固定ロードポイントを達成させることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
空気圧縮器(11)および前記燃料電池システム(1)内に配置されている他のアクチュエータを変化させないことにより、前記燃料電池システム(1)の前記固定ロードポイントを達成させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
空気圧縮器(11)および前記燃料電池システム(1)内に配置されている他のアクチュエータを変化させないことにより、前記燃料電池システム(1)の前記固定ロードポイントを達成させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【国際調査報告】