(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】車両ホイール用のタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20241108BHJP
B60C 11/13 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B60C11/03 300A
B60C11/13 C
B60C11/03 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531017
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2022060789
(87)【国際公開番号】W WO2023099989
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021000030698
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スペツィアーリ,ディエゴ エットーレ
(72)【発明者】
【氏名】カサロット,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】モンテセッロ,ステファノ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB11
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3D131EC12W
3D131EC12X
(57)【要約】
車両ホイール用のタイヤ(1;100)はトレッドバンド(2)を備え、トレッドバンド(2)には、トレッドバンド(2)に形成されたそれぞれの複数の溝およびブロック(40)によって形成されたトレッドパターンが画定されている。トレッドパターンには、トレッドバンド(2)の軸方向に延在し、トレッドバンドの周方向の展開全体にわたって繰り返される少なくとも1つのピッチ(M)が特定されている。ピッチ(M)は10mm~18mmの平均ピッチ長を有し、トレッドバンド(2)の少なくとも中央領域(6)のブロック(40)はソリッドブロックである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドバンド(2)を備える車両ホイール用のタイヤ(1;100)であって、
- 複数の溝(20、30、7a、7b、8a、8b)と、
- 前記溝によって少なくとも部分的に境界が定められた複数のブロック(40)と、
- 前記複数の溝および前記複数のブロックによって概ね画定された前記タイヤのトレッドパターンと、
- 前記トレッドパターンにおいて特定され、前記トレッドバンド(2)に軸方向に延在し、前記トレッドバンド(2)の周方向の展開全体にわたって繰り返される少なくとも1つのピッチ(M)と、
- 前記トレッドバンド(2)に形成されるピッチの総数と、
- 前記トレッドバンド(2)の外周と、
- トレッドバンドの前記外周の寸法と前記ピッチの総数との比として定義される平均ピッチ長と、
- 前記タイヤの赤道面(X)をまたぐように延在する中央領域(6)と、
- 前記第1および第2の軸方向端部(4a;5a)から前記中央領域(6)に向かってそれぞれ延在する第1および第2のショルダー領域(4;5)と
が前記トレッドバンドに定められ、
前記平均ピッチ長が10mm~18mmであり、少なくとも前記中央領域(6)の前記ブロック(40)がソリッドブロックである、タイヤ(1;100)。
【請求項2】
前記ピッチの総数が110より多く、250より少ない、請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項3】
前記ピッチの総数が120~180である、請求項2に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項4】
前記平均ピッチ長が10mm~16mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項5】
前記トレッドバンド(2)の前記外周が2600mmより小さい寸法を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項6】
前記外周が1650mm~2200mmである、請求項5に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項7】
前記第1のショルダー領域(4)および前記第2のショルダー領域(5)に形成される前記ブロック(40)がソリッドブロックである、請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項8】
前記トレッドバンド(2)に形成される前記ブロック(40)の少なくとも60%がソリッドブロックである、請求項1~7のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項9】
前記中央領域(6)が、前記トレッドバンド(2)の幅(L)の40%~60%の割合で延在する軸方向寸法を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項10】
各ショルダー領域(4;5)が、前記トレッドバンド(2)の幅(L)の20%~40%の割合で延在する軸方向寸法を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項11】
各ショルダー領域(4;5)が、第1の周方向溝(7a;7b)によって軸方向内側の境界が定められている、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項12】
一対の第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた赤道領域(9)と、それぞれが第1の周方向溝(7a、7b)および第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた一対の中間領域(10a、10b)とを前記中央領域(6)に画定するように、前記第1の周方向溝(7a、7b)とは異なる前記一対の第2の周方向溝(8a、8b)が前記中央領域(6)を通り抜ける、請求項11に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項13】
各ピッチ(M)の周方向端部が、前記トレッドバンド(2)の第1の軸方向端部(4a)から前記タイヤの赤道面(X)に向かって延在する第1の複数の横断方向溝(20)と、前記トレッドバンド(2)の第2の軸方向端部(5a)から前記赤道面(X)に向かって延在する第2の複数の横断方向溝(30)とによって境界が定められ、前記第2の複数の横断方向溝(30)が、前記第1の複数の横断方向溝(20)と軸方向に対応している、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項14】
第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第1の軸方向端部(4a)から前記第1のショルダー領域(4)を通って延在する第1の横断方向ショルダー溝(21)を備え、前記第1の横断方向ショルダー溝(21)が、周方向に対して80°~85°の角度で傾斜している、請求項13に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項15】
第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第2の軸方向端部(5a)から前記第2のショルダー領域(5)を通って延在する第2の横断方向ショルダー溝(31)を備え、前記第2の横断方向ショルダー溝(31)が、周方向に対して80°~85°の角度で傾斜している、請求項13または14に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項16】
第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第1の中間領域(10a)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第1の中間横断方向溝(22a)および第1の赤道横断方向溝(22b)を備える、請求項13~15のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項17】
第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第2の中間領域(10b)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第2の中間横断方向溝(32a)および第2の赤道横断方向溝(32b)を備える、請求項13~16のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項18】
前記第1および第2の中間横断方向溝(22a、32a)と、前記第1および第2の赤道横断方向溝(22b、32b)とが、周方向に対して40°~60°の角度で傾斜している、請求項16に従属する場合の請求項17に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項19】
前記第1の複数の横断方向溝(20)と前記第2の複数の横断方向溝(30)とが、前記タイヤの前記赤道面(X)に対して実質的に対称な態様で傾斜している、請求項13~18のいずれか一項に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項20】
前記第1の複数の横断方向溝(20)および/または前記第2の複数の横断方向溝(30)のうちの1つの横断方向溝によって境界が定められた少なくとも1つのブロック(40)が、前記1つの横断方向溝の側壁(23、33)に面取りされた縁部(24、34)を有する、請求項13~18のいずれか一項に記載のタイヤ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ホイール用のタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは一般に、回転軸線の周りにトロイダル状に形成され、少なくとも1つのカーカスプライを備えるカーカス構造を備え、カーカスプライは、ビードコアと呼ばれるそれぞれの環状固定構造に係合された端縁を有する。
【0003】
自動車タイヤの場合、カーカス構造に対して半径方向外側位置に、少なくとも2つの半径方向に重ねられたゴム引き布片を備えるベルト構造が設けられており、この布片は、通常金属製の補強コードを備えており、この補強コードは、各布片において、互いに平行であるが、隣り合う布片のコードに対しては交差する状態で、好ましくはタイヤの赤道面に対して対称に配置されている。
【0004】
半径方向外側位置では、ベルト構造はまた、好ましくは、下にあるベルト片の少なくとも端部に、周方向に(0度で)配置された織物または金属コードの第3の層をさらに備える。チューブレスタイプのタイヤでは、空気をタイヤ自体に保持することができる不透過性の特徴を有する、「ライナ」として知られる半径方向内側層がさらに存在する。
【0005】
ベルト構造に対して半径方向外側位置に、エラストマー材料から作られたトレッドバンドが張り付けられており、路面と接触するためのトレッド面がトレッドバンドに定められる。
【0006】
また、タイヤは、地面と接触するように意図されたトレッドバンドを有し、トレッドバンドには、濡れた路面で十分な路面グリップを得るために、ブロックとして知られているトレッドバンドの部分についてその境界を定める様々な構成および形状を有する溝が設けられている。
【0007】
溝の主な機能は、タイヤの表面と路面との接触時に、タイヤの表面と路面との間に存在する水を排出できるようにすることであり、これにより、前進するタイヤに対して水が衝突することから生じる静水圧が、タイヤを路面から部分的に浮き上がらせ、その結果、車両の制御を失うことが防止される。
【0008】
溝とブロックとの組合せによって画定されるトレッドバンドの全体的な形状はトレッドパターンを構成する。
【0009】
トレッドパターンは、「方向性」タイプ、すなわち、好ましい走行方向に回転するように車両に取り付けられるように構成されたもの、または「非対称性」タイプ、すなわち、車両の外側に予め定められた側面を有するように車両に取り付けられるように構成されたものである場合がある。
【0010】
「フットプリント領域」という用語は、タイヤの回転時に瞬間的に路面と接触するトレッドバンドの部分を意味する。実際の条件では、フットプリント領域は、タイヤの空気圧、タイヤが受ける荷重、路面、および運転条件を含む様々なパラメータの関数であるが、それらに対して基準値を規定することができる。
【0011】
タイヤの「赤道面」という用語は、タイヤの回転軸線に垂直で、タイヤを2つの実質的に同一の部分に分割する平面(軸方向中央面)を意味する。
【0012】
「周」方向という用語は、タイヤの回転方向を概ね向く方向、またはタイヤの回転方向に対してせいぜい、わずかに(大きくとも約5°)傾斜した方向を意味する。
【0013】
「軸」方向という用語は、タイヤの回転軸線に対して実質的に平行な方向、またはタイヤの回転軸線に対してせいぜい、わずかに(大きくとも約5°)傾斜した方向を意味する。軸方向は、周方向に対して概ね垂直である。
【0014】
トレッドバンドに関して「幅」という用語は、地面と接触させることが意図された、トレッドバンドの半径方向最も外側部分の幅(縁から縁まで)を意味する。言い換えれば、トレッドバンドの幅は、タイヤのフットプリント領域の幅を表す。
【0015】
トレッドバンドの「中央領域」という用語は、トレッドバンドの幅の少なくとも30%の幅、好ましくは、トレッドバンドの幅の30%~70%の幅にわたってタイヤの赤道面の周りを周方向に延在するトレッドバンド部分を意味する。
【0016】
中央領域は赤道面に対して対称に延在してもよいし、または対称に延在しなくてもよい。
【0017】
特に、周方向溝または実質的に周方向の溝がトレッドバンドに形成されているとき、中央領域は、周方向溝の1つによって片側または両側の境界が定められてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、中央領域内に、赤道面をまたぐように延在する「赤道領域」と、赤道領域の軸方向両側に延在する一対の「中間領域」とを画定することが有利な場合がある。
【0019】
トレッドバンドの「ショルダー領域」という用語は、トレッドバンドの軸方向外側位置で、中央領域の両側に周方向に延在するトレッドバンドの部分を意味する。
【0020】
好ましくは、各ショルダー領域は、トレッドバンドの幅の少なくとも10%に等しい幅にわたって延在する。
【0021】
より好ましくは、各ショルダー領域は、トレッドバンドの幅の25%~30%の割合に等しい幅にわたって延在する。周方向溝または実質的に周方向の溝がトレッドバンドに形成されているとき、ショルダー領域は、周方向溝の1つによって軸方向内側の境界が定められてもよい。
【0022】
「溝」という用語は、トレッドバンド部分に形成され、主となる長手方向に延在し、1.5mm以上の幅を有する凹部を意味する。
【0023】
好ましくは、溝は少なくとも3mmの深さを有する。
【0024】
「サイプ」という用語は、トレッドバンド部分に形成され、主となる長手方向に延在し、1.5mmより狭い幅を有する凹部を意味する。
【0025】
溝またはサイプが周方向に概ね延在しているとき、溝またはサイプは「周方向」であると称される。
【0026】
周方向溝またはサイプは、直線状、または、全体が周方向に従っている場合において連続する部分が周方向に対して異なる態様で傾斜している折線の形態、例えばジグザグ線であってもよい。
【0027】
溝またはサイプは、周方向に対して少なくとも10°より大きな鋭角で傾斜した方向に延在しているとき、「横断方向」であると称される。
【0028】
タイヤの好ましい回転方向を参照して、このタイヤのトレッドパターンが方向性タイプであるとき、フットプリント領域に最初に入る横断方向溝または横断方向サイプの側壁は、「前面」であると称される。
【0029】
溝またはサイプの幅は、溝またはサイプの長手方向およびタイヤの半径方向の両方に対して垂直に、1.5mm以上、好ましくは2mm以上の深さのところで測定されるように意図されている。
【0030】
溝の幅がその長手方向の展開に沿って変化する場合、平均幅が考慮され、その値は、相対的な長手方向の長さの関数として適切に重み付けされた様々な幅の値の平均として得られる。例えば、溝の長手方向の範囲の80%にわたって5mmの幅であり、残りの20%にわたって3mmの幅である場合、考慮される幅の平均値は、5×0.8+3×0.2=4.6mmに等しくなる。
【0031】
同様に、溝の幅、特に横断方向溝の幅が、トレッドバンドに沿って、それが属するピッチの周方向寸法の関数として変化する場合、平均値が考慮される。
【0032】
溝またはサイプの一端は、別の溝またはサイプに通じていないとき、「ブラインド」であると定義される。
【0033】
トレッドバンドに特定された周方向に対する横断方向溝または横断方向サイプの傾きは、周方向と溝またはサイプとによって形成される鋭角によって定められる。特定の場合として、タイヤの軸線と平行に延在する横断方向溝または横断方向サイプは、周方向に対して90°の傾きを有することになる。
【0034】
2つ(以上)の横断方向溝または横断方向サイプは、周方向に平行な縦軸、およびタイヤの軸線に平行な横軸を有する、トレッドバンド上に(接線方向に)に配置された直交平面で考えたとき、その傾きが両方とも増加または減少しているとき、「一致した態様で」傾斜している。
【0035】
したがって、2つの横断方向溝または横断方向サイプは、この直交平面で考えたとき、その傾きが、一方の溝またはサイプで増加し、他方の溝またはサイプで減少しているとき、「異なる態様で」傾斜している。
【0036】
2つの回転方向のいずれか一方のタイヤの回転を考慮して、2つの溝がトレッド面に次々に配置されているとき、2つの溝は「連続」している。特に、同じタイプの2つの溝が、それらの間にこのタイプの他の溝が設けられていないとき、連続している。
【0037】
2つの溝は、少なくともそれぞれの端部が向かい合う領域において、その長手方向の軸線が、
- 位置合わせされている、または
- 溝の幅より狭い値だけずらされている(異なる幅を有する溝の場合、最大の幅を有する溝が考慮される)、または
- 5mmより小さい値だけずらされている
とき、「実質的に位置合わせされている」。
【0038】
第1の横断方向溝または第1の複数の横断方向溝は、第1の横断方向溝または第1の複数の横断方向溝の赤道面への幾何学的投影部分が、第2の横断方向溝または第2の複数の横断方向溝の赤道面への幾何学的投影部分の少なくとも80%にわたって重なっているとき、第2の横断方向溝または第2の複数の横断方向溝に「軸方向に対応している」。
【0039】
「ブロック」という用語は、路面との接触が意図され、1つまたは複数の溝、および、適用可能であれば、トレッドバンドの軸方向端部によって、その全周にわたって境界が定められたトレッドバンド部分を意味する。
【0040】
トレッドバンド部分は、溝またはサイプがないか、またはトレッドバンド部分に形成することができる溝またはサイプがそれぞれトレッドバンド部分の対応する寸法の20%より短い長さを有するとき、「ソリッド」であると言われ、ここで、「対応する寸法」という用語は、トレッドバンド部分に形成することができる溝またはサイプの長手方向によって定められる方向のトレッドバンド部分の寸法を意味する。
【0041】
例えば、トレッドバンド部分に形成された溝またはサイプがトレッドバンドの軸方向に延在している場合、考慮される対応する寸法はトレッドバンド部分の軸方向寸法となる。
【0042】
好ましくは、このトレッドバンド部分は、トレッドバンドに形成されたブロックである。
【0043】
「トレッドパターン」という用語は、溝と、溝によって境界が定められたブロックとの組によって画定されるような、トレッドバンドの全体的な形状を意味する。
【0044】
トレッドパターンの「ピッチ」は、少なくとも部分的に横断方向溝によって周方向に境界が定められた最小のトレッドバンド部分によって定められ、最小のトレッドバンド部分の形状は、トレッドパターンを形成するために、トレッドバンドの周方向の展開にわたって繰り返される。
【0045】
さらに、ピッチは、同一の基本形状を維持しながら、互いにわずかに異なる周方向寸法(前記「ピッチ長さ」)を有してもよく、例えば、トレッドバンドに、様々に組み合わされた態様でトレッドバンドに配置された2つ、3つ、または4つの互いに異なる周方向寸法を有する同じピッチが使用されてもよい。
【0046】
トレッドパターンにおいて、2つ以上の互いに異なるピッチを画定することもできることに留意されたい。この場合、トレッドバンドに形成されるピッチの総数は、互いに異なるものであっても、すべてのピッチの合計によって与えられる。好ましい実施形態によれば、トレッドバンドは、トレッドバンドのすべての領域にわたって延在する単一のピッチによって軸方向に影響を受ける。好ましくは、このピッチは、トレッドバンドの両側の軸方向端部間に延在する。
【0047】
しかしながら、他の場合には、異なるトレッドバンド領域に異なるピッチを設けてもよく、例えば、ショルダー領域に第1のピッチを、適用可能であれば、中央領域に第1のピッチとは異なる第2のピッチを設けてもよい。この場合、トレッドバンドに形成されるピッチの総数は、異なるトレッドバンド領域において検出することができるピッチの最大数によって与えられると考えられる。例えば、ショルダー領域に96個のピッチが存在し、中央領域に72個のピッチが存在する場合、トレッドバンドに形成されるピッチの総数は96個である。
【0048】
「平均ピッチ長」という用語は、トレッドバンドの外周の寸法とトレッドバンドに形成されたピッチの総数との比を意味する。
【0049】
乾いた路面および氷雪面の両方で良好なトラクション特性を有するように特に構成されたタイヤのいくつかの例が欧州特許第2748018号に記載されている。この目的のために、欧州特許第2748018号は、フットプリント領域のサイプおよび横方向溝の密度、ピッチの長さおよび数を含む、最適化することができるタイヤのいくつかのパラメータを示している。
【0050】
本出願人は、氷雪面におけるタイヤのグリップ特性を改善するためには、多くのグリップ縁部を提供することができ、かつ、氷雪面での走行の場合に、雪と雪との間の摩擦が雪とゴムとの間の摩擦より一般的に大きいことを考慮して、その転がり運動中に特定の量の雪を保持することができるトレッドパターンをタイヤが備えることが非常に重要であることを以前に気付いていた。
【0051】
特に、本出願人は、トレッドバンドのブロックにサイプを形成することによってこの目的を概ね達成する方法を確立した。
【0052】
サイプを設けることは、一般にウィンタータイヤにおいて使用され、多くの実施形態で行われており、サイプは、軸方向に延在する直線状の傾向、または折線(ジグザグの形態)を有し、または赤道面に対して異なる傾斜を有し、または単一ブロックの長手方向に展開する。
【0053】
しかしながら、本出願人は、ブロックにサイプを設けることが、一方では、氷雪面での性能レベルを実質的に改善するが、他方では、乾いた路面または濡れた路面でのタイヤの性能レベルにいかに著しい悪影響を及ぼし得るかに気付いた。
【0054】
実際、サイプが形成されたブロックはサイプによって必然的に弱くなり、これにより、加速、制動、またはカーブ走行時にタイヤが受ける接線応力に対する耐性が低下する。その結果、上記の運転動作中、ブロックが変形しやすくなり、タイヤの路面へのグリップが低下する。
【0055】
本出願人は、サイプを備えるブロックの接線応力に対する耐性を改善する傾向のある多くの解決策が開発および提案されていることをさらに見出した。それらは、例えば、サイプ(ジグザグの形態で折線に沿って展開されるサイプなど)の展開に基づくか、または、サイプ自体によって隔てられたブロック部分を、ある程度互いに固定する、サイプの連結している特定のプロファイル(いわゆる「三次元サイプ」)に基づいている。
【0056】
しかしながら、本出願人は、同様の解決策を用いると、一般的には、乾いた路面でのタイヤの挙動は改善されるが、完全に満足できる結果にはならないことを確かめた。
【0057】
さらに、本出願人は、タイヤの挙動に対するサイプの双対効果(氷雪路面ではプラス、乾いた路面または濡れた路面ではマイナス)は、上記の相反する要件の間の最適な妥協点を見出そうとして、ブロックが、多くの場合、限られた数のサイプを備える、いかなる路面でも良好な性能レベルを得るように構成されたタイヤ(いわゆる「オールシーズン」タイヤ)においてさらに明らかになることに気付いた。
【発明の概要】
【0058】
したがって、本出願人は、トレッドパターンが、互いに非常に異なる路面、特に、乾いた路面、濡れた路面、氷雪路面、または水と雪の混じった路面(スラッシュ)の走行条件で効率的に使用するのに可能な限り適しているタイヤを提供するという要求を認識している。
【0059】
したがって、この要求に応じるようにするために、本出願人は、多数のピッチを有するトレッドバンドが、同じ直径およびトレッドパターンに対して、ブロックにサイプを形成する必要なしに、多数のグリップ縁部および氷雪面での効果的な挙動に必要な雪を保持する効果を提供するために好適に使用することができる、幅の狭い多数の横断方向溝も含み、それにより、乾いた路面での同様に効果的な挙動に有利な接線応力に対する耐性を保つことができることを認識した。
【0060】
最後に、本出願人は、トレッドバンドを、少なくともその中央領域のブロックがソリッドブロックであり、平均ピッチ長を適度に短くするように構成することにより、よくバランスがとれたトレッドパターンが得られ、氷雪路面および乾いた路面の両方で驚くべき性能レベルを提供することができることを見出した。
【0061】
したがって、その第1の態様では、本発明は、トレッドバンドには、複数の溝と、前記溝によって少なくとも部分的に境界が定められた複数のブロックとが画定されたトレッドバンドを備える車輪ホイール用のタイヤに関する。
【0062】
好ましくは、前記複数の溝および前記複数のブロックによって概ね画定された前記タイヤのトレッドパターンが前記トレッドバンドに画定される。
【0063】
好ましくは、前記トレッドパターンで特定され、前記トレッドバンドに軸方向に延在する少なくとも1つのピッチが前記トレッドバンドに定められる。
【0064】
より好ましくは、前記少なくとも1つのピッチは、前記トレッドバンドの周方向の展開全体にわたって繰り返される。
【0065】
好ましくは、前記トレッドバンドに形成されるピッチの総数が前記トレッドバンドに定められる。
【0066】
好ましくは、前記トレッドバンドの外周が前記トレッドバンドに定められる。
【0067】
好ましくは、トレッドバンドの前記外周の寸法と前記ピッチの総数との比として定義される平均ピッチ長が前記トレッドバンドに定められ、前記平均ピッチ長は10mm~18mmである。
【0068】
好ましくは、前記タイヤの赤道面をまたぐように延在する中央領域が前記トレッドバンドに画定される。
【0069】
好ましくは、前記第1および第2の軸方向端部から前記中央領域に向かってそれぞれ延在する第1および第2のショルダー領域が前記トレッドバンドに画定される。
【0070】
好ましくは、少なくとも前記中央領域の前記ブロックはソリッドブロックである。
【0071】
これらの特徴の結果として、本出願人は、本発明によるタイヤは、例えば氷雪面および乾いた路面など、互いに非常に異なる路面において最適な性能レベルを有することを確かめた。
【0072】
実際、それによって従来のタイヤの平均ピッチ長に対して短い平均ピッチ長を設けることにより、周方向に比較的小さいサイズの多数の溝およびブロックを画定することができる。
【0073】
有利なことに、これによって、多くのグリップ縁部および雪に対する良好な保持能力を備えるトレッドパターンを得ることができ、すべてのブロックにサイプを形成する必要性をなくすことができる。
【0074】
特に、トレッドバンドの少なくとも中央領域にソリッドブロックを維持することによって、これらのブロックがより効果的に接線力(tangential forces)に耐えることができるようになる。このようにして、乾いた路面または濡れた路面で、特に加速または制動の場合に、トレッドバンドの中央領域により大きなグリップ力が生じる。
【0075】
これらの特徴により、有利なことに、様々なタイプのタイヤ、特に「オールシーズン」タイプのタイヤを構成するための基礎としてのトレッドパターンの使用が可能になる。
【0076】
本発明は、上述の態様において、以下に示すさらなる好ましい特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記ピッチの総数は110より多い。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記ピッチの総数は250より少なく、より好ましくは200より少ない。
【0079】
これによって、比較的小さいトレッドバンドの直径を有するタイヤであっても、溝およびブロックの周方向の寸法が小さすぎないことが確実になる。
【0080】
好ましくは、前記ピッチの総数は120~180であり、さらに好ましい態様では130~160である。
【0081】
このようにして、このピッチ数は、氷雪面および乾いた路面の両方で最適な挙動性能レベルを提供するために特に最適化された溝およびブロックの周方向寸法をもたらす。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記ピッチは、前記トレッドバンドの第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間で軸方向に延在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記トレッドバンドの周方向展開全体にわたって連続的に繰り返される単一のピッチが前記トレッドパターンに画定される。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記平均ピッチ長は10mm~16mm、好ましくは12mm~16mm、より好ましくは約14mmである。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記トレッドバンドの前記外周は2600mmより小さい寸法を有する。
【0086】
好ましくは、前記外周は2400mmより小さく、さらにより好ましくは、前記外周は1650mm~2200mmである。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記ショルダー領域のうちの少なくとも1つのショルダー領域の前記ブロックはソリッドブロックである。
【0088】
より好ましくは、前記第1のショルダー領域および前記第2のショルダー領域に形成される前記ブロックはソリッドブロックである。
【0089】
この特徴の結果として、トレッドバンドの一方または両方のショルダー領域のブロックは、より効果的に接線力に耐えることができる。このようにして、乾いた路面または濡れた路面で、特にカーブ走行時にタイヤのより良いグリップが生じる。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記トレッドバンドに形成されるブロックの少なくとも60%、好ましくは少なくとも90%がソリッドブロックである。
【0091】
より好ましくは、前記トレッドバンドに形成されるすべてのブロックはソリッドブロックである。
【0092】
好ましくは、前記中央領域は、前記トレッドバンドの幅の40%~60%、より好ましくは40%~50%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0093】
好ましくは、各ショルダー領域は、前記トレッドバンドの幅の20%~40%、より好ましくは25%~35%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、各ショルダー領域は、第1の周方向溝によって軸方向内側の境界が定められている。
【0095】
好ましくは、前記第1の周方向溝は3mm~10mmの幅を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、一対の第2の周方向溝によって軸方向に境界が定められた赤道領域と、それぞれが第1の周方向溝および第2の周方向溝によって軸方向に境界が定められた一対の中間領域とを前記中央領域に画定するように、前記第1の周方向溝とは異なる前記一対の第2の周方向溝が前記中央領域を通り抜ける。
【0097】
好ましくは、前記赤道領域は、前記トレッドバンドの幅の10%~30%、より好ましくは15%~20%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0098】
さらに、前記赤道領域は、好ましくは、前記中央領域の幅の20%~60%、より好ましくは35%~45%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0099】
好ましくは、各中間領域は、前記トレッドバンドの幅の5%~20%、より好ましくは10%~15%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0100】
さらに、好ましくは、各中間領域は、前記中央領域の幅の20%~40%、より好ましくは25%~35%の割合で延在する軸方向寸法を有する。
【0101】
好ましくは、第2の周方向溝のそれぞれは3mm~10mmの幅を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、各ピッチの周方向端部は、前記トレッドバンドの第1の軸方向端部から前記タイヤの赤道面に向かって延在する第1の複数の横断方向溝によって境界が定められる。
【0103】
言い換えれば、第1の複数の横断方向溝は、各ピッチの周方向境界を定める。
【0104】
いくつかの実施形態では、各ピッチの前記周方向端部は、前記トレッドバンドの第2の軸方向端部から前記赤道面に向かって延在する第2の複数の横断方向溝によって境界が定められる。
【0105】
このようにして、各ピッチは、トレッドバンドの両側の軸方向端部から延在し、赤道面に向かって延在する第1の複数の横断方向溝と第2の複数の横断方向溝とによってその周方向端部の境界が定められる。
【0106】
好ましくは、前記第1の複数の横断方向溝は、前記第1の軸方向端部から前記赤道面に向かって横断方向に延在する経路を画定する。
【0107】
好ましくは、前記第2の複数の横断方向溝は、前記第2の軸方向端部から前記赤道面に向かって横断方向に延在する経路を画定する。
【0108】
好ましくは、前記第2の複数の横断方向溝は、前記第1の複数の横断方向溝と軸方向に対応している。
【0109】
第1の複数の横断方向溝と第2の複数の横断方向溝は、互いに実質的に位置を合わせることもできる、または逆にずらすこともできる。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の複数および/または第2の複数のうちの2つ(以上)の横断方向溝は、連続した横断方向溝を形成するように互いに連続して延在することができる。
【0111】
すべての第1の複数の横断方向溝が互いに連続して延在している場合、第1の複数の横断方向溝は、実際には単一の第1の横断方向溝となる。
【0112】
同様に、すべての第2の複数の横断方向溝が互いに連続して延在している場合、第2の複数の横断方向溝は実際には単一の第2の横断方向溝となる。
【0113】
いくつかの実施形態では、第1の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記トレッドバンドの前記第1の軸方向端部から前記第1のショルダー領域を通って延在する第1の横断方向ショルダー溝を備える。
【0114】
いくつかの実施形態では、第1の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記中央領域の第1の中間領域を通って延在する第1の中間横断方向溝を備える。
【0115】
いくつかの実施形態では、第1の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記中央領域の赤道領域を通って延在する第1の赤道横断方向溝を備える。
【0116】
いくつかの実施形態では、前記第1の中間横断方向溝は、前記第1の赤道横断方向溝と実質的に位置合わせされている。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記第1の中間横断方向溝は、前記第1の赤道横断方向溝に連続して延在し、前記中央領域に延在する第1の中央横断方向溝を形成する。
【0118】
いくつかの実施形態では、第2の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記トレッドバンドの前記第2の軸方向端部から前記第2のショルダー領域を通って延在する第2の横断方向ショルダー溝を備える。
【0119】
いくつかの実施形態では、第2の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記中央領域の第2の中間領域を通って延在する第2の中間横断方向溝を備える。
【0120】
いくつかの実施形態では、第2の複数の横断方向溝のそれぞれは、前記中央領域の赤道領域を通って延在する第2の赤道横断方向溝を備える。
【0121】
いくつかの実施形態では、前記第2の中間横断方向溝は、前記第2の赤道横断方向溝と実質的に位置合わせされている。
【0122】
いくつかの実施形態では、前記第2の中間横断方向溝は、前記第2の赤道横断方向溝に連続して延在し、前記中央領域に延在する第2の中央横断方向溝を形成する。
【0123】
好ましくは、前記第1の赤道横断方向溝は、前記赤道領域において前記第2の赤道横断方向溝に接続される。
【0124】
好ましくは、前記第1の中央横断方向溝は、前記中央領域において前記第2の中央横断方向溝に接続される。
【0125】
トレッドバンドに赤道横断方向溝が画定されなくて、代わりに中央横断方向溝が画定されるとき、この特徴を実現することができる。
【0126】
好ましくは、前記第1横断方向ショルダー溝は、前記第1の中間横断方向溝および前記第1の赤道横断方向溝の傾斜角度より大きい傾斜角度を有する。
【0127】
これに代えて、前記第1の横断方向ショルダー溝は、好ましくは、前記第1の中央横断方向溝の傾斜角度より大きい傾斜角度を有する。
【0128】
好ましくは、前記第2の横断方向ショルダー溝は、前記第2の中間横断方向溝および前記第2の赤道横断方向溝の傾斜角度より大きい傾斜角度を有する。
【0129】
これに代えて、前記第2の横断方向ショルダー溝は、好ましくは、前記第2の中央横断方向溝の傾斜角度より大きい傾斜角度を有する。
【0130】
このようにして、第1および/または第2の中間横断方向溝、ならびに/あるいは第1および/または第2の赤道横断方向溝(または中央溝が設けられている場合には中央溝)によって境界が定められたブロックは、主となる周方向を有する接線応力に対してより大きな耐性を提供し、これは、有利にも、制動時および加速時におけるトレッドバンドの中央領域のより良好な挙動に関わる。
【0131】
さらに、この構成は、路面が濡れている場合にトレッドバンドの中央領域からの水の速やかな排出を促進する。
【0132】
好ましくは、前記第1の横断方向ショルダー溝および/または前記第2の横断方向ショルダー溝は実質的に直線状である。
【0133】
好ましくは、前記第1の中間横断方向溝および/または前記第2の中間横断方向溝は実質的に直線状である。
【0134】
好ましくは、前記第1の赤道横断方向溝および/または前記第2の赤道横断方向溝は実質的に直線状である。
【0135】
好ましくは、前記第1の横断方向ショルダー溝および/または前記第2の横断方向ショルダー溝は、周方向に対して80°~85°、より好ましくは約82°の角度で傾斜している。
【0136】
好ましくは、前記第1の中間横断方向溝および/または前記第2の中間横断方向溝は、周方向に対して30°~70°、より好ましくは40°~60°の角度で傾斜している。
【0137】
好ましくは、前記第1の赤道横断方向溝および/または前記第2の赤道横断方向溝は、周方向に対して30°~70°、より好ましくは40°~60°の角度で傾斜している。
【0138】
いくつかの実施形態では、前記第1の複数の横断方向溝および前記第2の複数の横断方向溝は、互いに異なる態様で傾斜している。
【0139】
いくつかの実施形態では、前記第1の複数の横断方向溝と前記第2の複数の横断方向溝とは、前記タイヤの前記赤道面に対して実質的に対称な態様で傾斜している。
【0140】
好ましくは、横断方向溝は1.5mm~6mmの幅を有する。
【0141】
好ましくは、横断方向溝は2mm~6mmの幅を有する。
【0142】
好ましくは、横断方向溝は2mm~4mmの幅を有する。
【0143】
好ましくは、横断方向溝は1.5mm~4mmの幅を有する。
【0144】
好ましくは、横断方向溝は1.6mm~3mmの幅を有する。
【0145】
好ましくは、前記第1の横断方向ショルダー溝および/または前記第2の横断方向ショルダー溝は、2mm~6mm、より好ましくは2mm~4mmの幅を有する。
【0146】
好ましくは、前記第1の中間横断方向溝および/または前記第2の中間横断方向溝は、1.5mm~4mm、より好ましくは1.6mm~3mmの幅を有する。
【0147】
好ましくは、前記第1の赤道横断方向溝および/または前記第2の赤道横断方向溝は、1.5mm~4mm、より好ましくは1.6mm~3mmの幅を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、前記第1の中間横断方向溝および/または前記第2の中間横断方向溝は、前記第1の横断方向ショルダー溝および/または前記第2の横断方向ショルダー溝より狭い幅を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、前記第1の赤道横断方向溝および/または前記第2の赤道横断方向溝は、前記第1の横断方向ショルダー溝および/または前記第2の横断方向ショルダー溝より狭い幅を有する。
【0150】
好ましくは、前記第1の中間横断方向溝および/または前記第2の中間横断方向溝は、前記第1の赤道横断方向溝および/または前記第2の赤道横断方向溝と等しい幅を有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、前記第1の複数および/または前記第2の複数の横断方向溝によって境界が定められた少なくとも1つのブロックは、前記横断方向溝の側壁に面取りされた縁部を有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのブロックは、第1の横断方向ショルダー溝および/または第2の横断方向ショルダー溝の側壁に面取りされた縁部を有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのブロックは、第1の中間横断方向溝および/または第2の中間横断方向溝の側壁に面取りされた縁部を有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのブロックは、第1の赤道横断方向溝および/または第2の赤道横断方向溝の側壁に面取りされた縁部を有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのブロックは、第1の中央横断方向溝および/または第2の中央横断方向溝の側壁に面取りされた縁部を有する。
【0156】
このようにして、ブロックの面取りされた縁部の影響を受ける第1の複数および/または第2の複数の横断方向溝のうちの1つまたは複数の横断方向溝の領域において、雪を保持する能力が増大する。
【0157】
特に、本出願人は、この特徴が、氷雪面でのタイヤの全体的な性能レベルの著しくかつ驚くほどの向上に関わることを見出した。さらに、乾いた路面での走行の場合には、制動時のより良い挙動、および騒音放射の低減が見出された。
【0158】
いくつかの実施形態では、前記トレッドパターンは方向性タイプである。
【0159】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのブロックは、前記第1の複数および/または前記第2の複数の横断方向溝のうちの1つの横断方向溝の、前記タイヤの好ましい転がり方向に対して前方の側壁の領域に、面取りされた縁部を有する。
【0160】
好ましくは、前記第1の複数および/または前記第2の複数の横断方向溝のうちの1つの横断方向溝によって境界が定められたすべてのブロックは、前記1つの横断方向溝の前方の側壁の領域に、面取りされた縁部を有する。
【0161】
さらなる実施形態では、前記複数の第1の横断方向溝および/または前記複数の第2の横断方向溝のうちの1つの溝によって隔てられた少なくとも2つのブロックは、前記1つの溝の両側の側壁の領域に面取りされた縁部を有する。
【0162】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として示されるいくつかの好ましい実施形態の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【
図1】本発明に従って形成された車両ホイール用のタイヤの第1の実施形態の正面斜視図である。
【
図2】
図1のタイヤの一部分を拡大して描いた斜視図である。
【
図3】
図1のタイヤのトレッドパターンの重要な部分の概略図である。
【
図4】
図1のタイヤの構造を変形した部分を拡大して描いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0164】
まず、
図1~
図3を参照して、本発明に従って形成された車両ホイール用のタイヤを全体として1と示す。
【0165】
タイヤ1は、それ自体ありふれた、添付図には示されていないタイヤ構造とトレッドバンド2とを備え、トレッドバンド2には、トレッドバンド2の半径方向外側位置に配置され、路面との接触が意図されたトレッド面3が画定されている。
【0166】
タイヤ1は、回転軸線の周りに展開する通常の概ねトロイダル形状を有し、トレッド面3に、トレッド面3と平行な軸方向Yと、トレッド面3を通って回転軸線に垂直な赤道面Xとを定め、また、トレッド面3に、トレッド面3と平行に延在する周方向を定める。
【0167】
トレッドバンド2には、標準的な使用条件下で地面と接触するように意図されたトレッドバンドの最大幅として規定された幅Lが特定されている。
【0168】
タイヤ1は方向性タイプのタイヤであり,タイヤの好ましい転がり方向が定められ、図では矢印Fで示されている。
【0169】
本明細書で詳細に説明するタイヤ1は、サイズ225/50R17の自動車用タイヤであり、したがって、約2060mmのトレッドバンドの外周を有するが、本発明の基礎を形成する発明概念は、異なる寸法のタイヤにも同様に適用可能である。
【0170】
トレッドバンド2には、トレッドバンド2の第1の軸方向端部4aによって軸方向外側に境界が定められた第1のショルダー領域4と、第1のショルダー領域4の軸方向反対側で、トレッドバンド2の第2の軸方向端部5aによって軸方向外側に境界が定められた第2のショルダー領域5とがさらに画定されている。
【0171】
赤道面Xをまたぐように延在する中央領域6が、第1のショルダー領域4と第2のショルダー領域5との間にさらに画定されている。
【0172】
中央領域6は、赤道面Xに対して対称に、トレッドバンド2の幅Lの約45%にわたって延在し、約5mmの幅を有する第1の周方向溝7a、7bによって第1のショルダー領域4および第2のショルダー領域5から隔てられている。その結果、第1のショルダー領域および第2のショルダー領域はそれぞれ、トレッドバンド2の幅Lの約27%~28%を構成する。
【0173】
赤道面Xをまたぐように対称に延在する赤道領域9と、赤道領域9と第1のショルダー領域4との間、および赤道領域9と第2のショルダー領域5との間にそれぞれ延在する第1および第2の中間領域10a、10bとを画定するように、これもまた約5mmの幅を有する一対の第2の周方向溝8a、8bが中央領域6を通り抜ける。
【0174】
赤道領域9は、トレッドバンド2の幅Lの約18%~19%を構成する軸方向寸法を有し、一方、各中間領域10a、10bは、トレッドバンド2の幅Lの約13%~14%を構成する。
【0175】
一連の第1の複数の横断方向溝20および対応する一連の第2の複数の横断方向溝30が、トレッドバンド2の周方向展開にわたってさらに形成されている。
【0176】
第1の複数の横断方向溝20のそれぞれは、第1の軸方向端部4aから赤道領域9まで延在し、一方、第2の複数の横断方向溝30のそれぞれは、第2の軸方向端部5aから赤道領域9まで延在している。
【0177】
第1の複数の横断方向溝20のそれぞれは、第1の軸方向端部4aから赤道面Xに向かって横断方向に延在する経路を画定し、概ね同様な態様で、第2の複数の横断方向溝30のそれぞれは、第2の軸方向端部5aから赤道面Xに向かって横断方向に延在するさらなる経路を画定する。
【0178】
第1の複数の横断方向溝20のそれぞれはさらに、対応する第2の複数の横断方向溝30と軸方向に対応しており、特に、2つの複数の横断方向溝20および30は、騒音に関するタイヤの性能レベルを最適化するために好適に導入された数mm程度のわずかなずれを除けば、実質的に軸方向に互いに位置合わせされている。
【0179】
第1の複数の横断方向溝20は、第2の複数の横断方向溝30とは異なる態様で傾斜しており、特に、第1の複数の横断方向溝20は、第1の軸方向端部4aから赤道面Xに向かって上昇する傾きを有し、一方、第2の複数の横断方向溝30は、赤道面Xから第2の軸方向端部5aまで下降する傾きを有する。
【0180】
好ましくは、上述のずれを除けば、第1の複数の横断方向溝20と第2の複数の横断方向溝30とは、赤道面Xに対して互いに実質的に対称である。
【0181】
第1の複数の横断方向溝20のそれぞれは、
- 実質的に直線状であり、第1の軸方向端部4aから第1のショルダー領域4を通って第1の周方向溝7aまで延在する第1の横断方向溝21と、
- これもまた、実質的に直線状であり、第1の周方向溝7aから第1の中間領域10aを通って第2の周方向溝8aまで延在する第1の中間横断方向溝22aと、
- これもまた、実質的に直線状であり、第2の周方向溝8aから赤道領域9を通って延在する第1の赤道横断方向溝22bと
を備える。
【0182】
同様に、第2の複数の横断方向溝30のそれぞれは、
- 実質的に直線状であり、第2の軸方向端部5aから第2のショルダー領域5を通って第1の周方向溝7bまで延在する第2の横断方向溝31と、
- これもまた、実質的に直線状であり、第1の周方向溝7bから第2の中間領域10bを通って第2の周方向溝8bまで延在する第2の中間横断方向溝32aと、
- これもまた、実質的に直線状であり、第2の周方向溝8bから赤道領域9を通って延在する第2の赤道横断方向溝32bと
を備える。
【0183】
第1の赤道横断方向溝22bのそれぞれは、第2の赤道横断方向溝32bの軸方向内側端部近くの領域において第2の赤道横断方向溝32bに接続されるまで延在する。同様に、第2の赤道横断方向溝32bのそれぞれは、第1の赤道横断方向溝22bの軸方向内側端部近くの領域において第1の赤道横断方向溝22bに接続されるまで延在する。
【0184】
第1の赤道横断方向溝22bおよび第2の赤道横断方向溝32bの軸方向内側端部領域のこの構成は、赤道面Xの周方向範囲全体にわたって連続的に展開し、好ましくは、その連続する各部分において赤道面Xを越えて延在するジグザグの形態の折線を画定する。
【0185】
第1の横断方向ショルダー溝21のそれぞれおよび第2の横断方向ショルダー溝31のそれぞれは、それぞれ周方向に対して約82°傾斜しており、一方、第1の中間横断方向溝22aのそれぞれ、第1の赤道横断方向溝22bのそれぞれ、第2の中間横断方向溝32aのそれぞれ、および第2の赤道横断方向溝32bのそれぞれは、周方向に対して約50°傾斜している。
【0186】
第1の複数の横断方向溝20のそれぞれにおいて、第1の中間横断方向溝22aと第1の赤道横断方向溝22bとは互いに位置合わせされている。同様に、第2の複数の横断方向溝30のそれぞれにおいて、第2の中間横断方向溝32aと第2の赤道横断方向溝32bとは互いに位置合わせされている。
【0187】
第1の周方向溝7a、7bおよび第2の周方向溝8a、8bは、第1の複数の横方向溝20および第2の複数の横方向溝30とともに、ショルダー領域4、5、中間領域10a、10b、および赤道領域9に配置されかつまとめて40と示される複数のブロックの境界を画定する。
【0188】
特に、ショルダーブロック41、中間ブロック42、および赤道ブロック43が、トレッドバンド2上で特定された状態で存在する。
【0189】
すべてのブロック40は、実質的に長方形の形態を有し、溝または他のタイプの凹部によって影響を受けないソリッドブロックである。
【0190】
上記で特定したブロックおよび溝は、タイヤ1のトレッドパターンを概ね画定する。
【0191】
特に、2つの軸方向端部4a、5aの間をトレッドバンド2を通って延在するピッチMは、第1の複数の横断方向溝20および第2の複数の横断方向溝30の2つの連続する対の間に画定された状態で存在する。
【0192】
各ピッチMは単一の列のブロック40によって形成されている。
【0193】
ピッチMの形状は、トレッドバンドの周方向展開全体にわたって同一になるように繰り返されるが、隣り合うピッチの周方向寸法(ピッチ長)は異なっていてもよい。
【0194】
例えば、本明細書で詳細に説明する実施形態では、ピッチMは3つの異なるピッチ長の値のうちの1つを有することができるように規定され、その結果、ブロックの周方向寸法および各ピッチの境界を定める溝の周方向寸法もわずかに変化する。
【0195】
特に、第1の横断方向ショルダー溝21および第2の横断方向ショルダー溝31は、それぞれ2mm~4mmの幅を有し、一方、第1の中間横断方向溝および赤道横断方向溝22a、22bならびに第2の中間横断方向溝および赤道横断方向溝32a、32bは、それぞれ1.6mm~3mmの幅を有する。
【0196】
タイヤ1のトレッドバンド2には、約14mmの平均ピッチ長で総数144個のピッチが画定されている。
【0197】
本明細書には図示していない他のタイヤの実施形態では、トレッドパターンの全体的な構成、特にピッチMの形態は同じに保たれているが、トレッドバンド2に形成されたピッチの総数が異なり、例えば124、134、154、または164個のピッチであり、その結果、平均ピッチ長は変化する。
【0198】
全体として100で示すタイヤ1の1つの代替の実施形態を
図4に示す。
【0199】
タイヤ1と同様のタイヤ100の詳細は、先の実施形態と同じ参照番号を付けて
図4に示されている。
【0200】
タイヤ100は、ブロック40が、それぞれ、第1の複数の横断方向溝20または第2の複数の横断方向溝30の横断方向溝の前方の側壁23または33の領域に、
図4において24または34と示された面取りされた縁部を有するという事実の結果として、タイヤ1とは異なる。
【0201】
面取りされた縁部24および34は、第1の複数の横断方向溝20および第2の複数の横断方向溝30によって境界が定められたブロック40、したがって、第1の横断方向ショルダー溝21、中間溝22a、および赤道溝22bと、第2の横断方向ショルダー溝31、中間溝32a、および赤道溝32bとの両方を含む溝によって境界が定められたブロック40の縁部の長手方向の展開全体に形成されている。
【0202】
面取りされた縁部24および34は、さらに、互いに実質的に同一であり、約2mmの幅と約2mmの深さでトレッド面に対して約45°の角度で延在している。
【実施例】
【0203】
本出願人は比較のために以下のタイヤを用意した。
INV1:
図1から
図3を参照して上述した本発明の第1の実施形態に従って形成された、144ピッチのサイズ225/50 R17のタイヤ
INV2:
図4を参照して上述した本発明の第2の実施形態に従って形成されたINV1と同様のタイヤ
CON1:トレッドパターンの構成は同じだが、ピッチの総数が72である、INV1と同様のタイヤ
CON2:ブロック全体に沿って長手方向に延在する約1mmの幅を有する1本の溝(1本のサイプ)が各ブロックに形成されている、CON1と同様のタイヤ
CON3:ブロック全体に沿って長手方向に延在する約1mmの幅を有する2本の溝(2本のサイプ)が各ブロックに形成されている、CON2と同様のタイヤ
CON4:ブロック全体に沿って長手方向に延在する約1mmの幅を有する3本の溝(3本のサイプ)が各ショルダーブロックに形成され、ブロックに対して横断方向に延在する約1mmの幅を有する多くの溝(5~10本のサイプ)が中央領域の各ブロックに形成されている、CON2と同様のタイヤ
【0204】
CON1のトレッドパターンはサマータイヤの例を潜在的に示し、CON2およびCON3のトレッドパターンはそれぞれ「オールシーズン」タイヤの例を潜在的に示し、一方、CON4のトレッドパターンはウィンタータイヤの例を潜在的に示している。
【0205】
本出願人はまず、氷雪路面および乾いた路面の両方でのタイヤの性能レベルを事前に評価するために、一連の計算およびシミュレーションを行った。
【0206】
特に、各タイヤに対して、周方向の剛性、横方向の剛性、雪上での制動時の性能レベル、および雪上でのトラクション時の性能レベルを測定または計算した。
【0207】
周方向の剛性は、周方向と実質的に平行な接線応力に耐えるトレッドバンドの能力を示すものである。この値が高いほど、乾いた路面における加速時および制動時のタイヤの挙動が良くなる。
【0208】
横方向の剛性は、軸方向に実質的に平行な接線応力に耐えるトレッドバンドの能力を示すものである。この値が高いほど、乾いた路面におけるカーブでのタイヤの挙動が良くなる。
【0209】
雪上での制動時およびトラクション時の性能レベルは、基準タイヤの対応する値を100として評価される。
【0210】
結果を以下の表1に示す。
【0211】
【0212】
結果を分析すると、驚くべきことに、本発明の第1の実施形態に従って構成されたタイヤ(INV1)の性能レベルが、乾いた路面および氷雪面の両方で、サイプを有するブロックを備えたタイヤ(CON2)よりもいかに良いかが示されている。
【0213】
さらに、タイヤINV1は、雪上での制動時の性能レベルは、典型的な冬用トレッドパターンを有するタイヤ(CON4)とほぼ同様であるが、乾いた路面での性能レベルは実質的により良い。
【0214】
実際、本発明の第2の実施形態に従って構成されたタイヤ(INV2)の性能レベルは、乾いた路面での最適な性能レベルを維持しながら、さらに、トラクションおよび制動の両方に関して、ウィンタータイヤ(CON4)に概ね匹敵する氷雪面での挙動を有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドバンド(2)を備える車両ホイール用のタイヤ(1;100)であって、
- 複数の溝(20、30、7a、7b、8a、8b)と、
- 前記溝によって少なくとも部分的に境界が定められた複数のブロック(40)と、
- 前記複数の溝および前記複数のブロックによって概ね画定された前記タイヤのトレッドパターンと、
- 前記トレッドパターンにおいて特定され、前記トレッドバンド(2)に軸方向に延在し、前記トレッドバンド(2)の周方向の展開全体にわたって繰り返される少なくとも1つのピッチ(M)
であって、各ピッチの周方向端部が、前記トレッドバンドの第1の軸方向端部から前記タイヤの赤道面に向かって延在する第1の複数の横断方向溝と、前記トレッドバンドの第2の軸方向端部から前記赤道面に向かって延在する第2の複数の横断方向溝とによって境界が定められている、少なくとも1つのピッチ(M)と、
- 前記トレッドバンド(2)に形成されるピッチの総数と、
- 前記トレッドバンド(2)の外周と、
- トレッドバンドの前記外周の寸法と前記ピッチの総数との比として定義される平均ピッチ長と、
- 前記タイヤの赤道面(X)をまたぐように延在する中央領域(6)と、
- 前記第1および第2の軸方向端部(4a;5a)から前記中央領域(6)に向かってそれぞれ延在する第1および第2のショルダー領域(4;5)と
が前記トレッドバンドに定められ、
前記平均ピッチ長が10mm~18mmであり、少なくとも前記中央領域(6)の前記ブロック(40)がソリッドブロックであ
り、
前記第1の複数の横断方向溝および/または前記第2の複数の横断方向溝のうちの1つの横断方向溝によって境界が定められた少なくとも1つのブロックが、前記1つの横断方向溝の側壁に面取りされた縁部を有する、タイヤ(1;100)。
【請求項2】
前記ピッチの総数が110より多く、250より少ない、請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項3】
前記ピッチの総数が120~180である、請求項2に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項4】
前記平均ピッチ長が10mm~16mmである、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項5】
前記トレッドバンド(2)の前記外周が2600mmより小さい寸法を有する、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項6】
前記外周が1650mm~2200mmである、請求項5に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項7】
前記第1のショルダー領域(4)および前記第2のショルダー領域(5)に形成される前記ブロック(40)がソリッドブロックである、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項8】
前記トレッドバンド(2)に形成される前記ブロック(40)の少なくとも60%がソリッドブロックである、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項9】
前記中央領域(6)が、前記トレッドバンド(2)の幅(L)の40%~60%の割合で延在する軸方向寸法を有する、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項10】
各ショルダー領域(4;5)が、前記トレッドバンド(2)の幅(L)の20%~40%の割合で延在する軸方向寸法を有する、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項11】
各ショルダー領域(4;5)が、第1の周方向溝(7a;7b)によって軸方向内側の境界が定められている、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項12】
一対の第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた赤道領域(9)と、それぞれが第1の周方向溝(7a、7b)および第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた一対の中間領域(10a、10b)とを前記中央領域(6)に画定するように、前記第1の周方向溝(7a、7b)とは異なる前記一対の第2の周方向溝(8a、8b)が前記中央領域(6)を通り抜ける、請求項11に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項13】
前記第2の複数の横断方向溝(30)が、前記第1の複数の横断方向溝(20)と軸方向に対応している、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項14】
前記第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第1の軸方向端部(4a)から前記第1のショルダー領域(4)を通って延在する第1の横断方向ショルダー溝(21)を備え、前記第1の横断方向ショルダー溝(21)が、周方向に対して80°~85°の角度で傾斜している、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項15】
前記第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第2の軸方向端部(5a)から前記第2のショルダー領域(5)を通って延在する第2の横断方向ショルダー溝(31)を備え、前記第2の横断方向ショルダー溝(31)が、周方向に対して80°~85°の角度で傾斜している、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項16】
前記第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第1の中間領域(10a)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第1の中間横断方向溝(22a)および第1の赤道横断方向溝(22b)を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項17】
前記第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第2の中間領域(10b)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第2の中間横断方向溝(32a)および第2の赤道横断方向溝(32b)を備える、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項18】
前記第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第1の中間領域(10a)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第1の中間横断方向溝(22a)および第1の赤道横断方向溝(22b)を備え、
前記第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第2の中間領域(10b)および赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第2の中間横断方向溝(32a)および第2の赤道横断方向溝(32b)を備え、
前記第1および第2の中間横断方向溝(22a、32a)と、前記第1および第2の赤道横断方向溝(22b、32b)とが、周方向に対して40°~60°の角度で傾斜している、
請求項1に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項19】
前記第1の複数の横断方向溝(20)と前記第2の複数の横断方向溝(30)とが、前記タイヤの前記赤道面(X)に対して実質的に対称な態様で傾斜している、
請求項13に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項20】
トレッドバンド(2)を備える車両ホイール用のタイヤ(1;100)であって、前記トレッドバンドに、前記タイヤのトレッドパターンを概ね画定する複数の溝(20,30,7a,7b,8a,8b)が形成され、
- 前記タイヤの赤道面(X)をまたぐように延在する中央領域(6)と、
- 第1の軸方向端部(4a)および第2の軸方向端部(5a)から前記中央領域に向かってそれぞれ延在する第1のショルダー領域(4)および第2のショルダー領域(5)であって、各ショルダー領域が、第1の周方向溝(7a;7b)によって軸方向内側の境界が定められている、第1のショルダー領域(4)および第2のショルダー領域(5)と
が前記トレッドパターンに画定され、
前記第1の周方向溝とは異なる一対の第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた赤道領域(9)と、それぞれが第1の周方向溝(7a、7b)および第2の周方向溝(8a、8b)によって軸方向に境界が定められた一対の中間領域(10a、10b)とを前記中央領域(6)に画定するように、前記一対の第2の周方向溝(8a、8b)が前記中央領域(6)を通り抜け、
- 前記トレッドバンドに軸方向に延在しかつ前記トレッドバンドの周方向の展開全体にわたって繰り返される少なくとも1つのピッチ(M)であって、各ピッチの周方向端部が、前記トレッドバンドの前記第1の軸方向端部(4a)から前記タイヤの前記赤道面(X)に向かって延在する第1の複数の横断方向溝(20)と、前記トレッドバンドの前記第2の軸方向端部(5a)から前記赤道面(X)に向かって延在する第2の複数の横断方向溝(30)とによって境界が定められている、少なくとも1つのピッチ(M)と、
- 前記トレッドバンドに形成されるピッチの総数であって、110より多いピッチの総数と
が前記トレッドパターンに定められている、タイヤ(1;100)。
【請求項21】
前記ピッチの総数が250より少ない、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項22】
前記ピッチの総数が120~180である、請求項21に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項23】
前記トレッドパターンが10mm~18mmの平均ピッチ長を有する、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項24】
前記平均ピッチ長が10mm~14mmである、請求項23に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項25】
前記トレッドバンド(2)が2600mmより小さい外周を有する、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項26】
前記外周が1650mm~2200mmである、請求項25に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項27】
少なくとも前記中央領域(6)においてソリッドブロックである複数のブロック(40)が前記トレッドバンド(2)に画定されている、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項28】
前記トレッドバンド(2)に形成される前記ブロック(40)の少なくとも60%がソリッドブロックである、請求項27に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項29】
前記第2の複数の横断方向溝(30)が、前記第1の複数の横断方向溝(20)と軸方向に対応している、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項30】
第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第1の軸方向端部(4a)から前記第1のショルダー領域(4)を通って延在する第1の横断方向ショルダー溝(21)を備える、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項31】
第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記トレッドバンドの前記第2の軸方向端部(5a)から前記第2のショルダー領域(5)を通って延在する第2の横断方向ショルダー溝(31)を備える、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項32】
第1の複数の横断方向溝(20)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第1の中間領域(10a)および前記赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第1の中間横断方向溝(22a)および第1の赤道横断方向溝(22b)を備える、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項33】
前記第1の中間横断方向溝(22a)および前記第1の赤道横断方向溝(22b)が、周方向に対して40°~60°の角度で傾斜している、請求項32に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項34】
第2の複数の横断方向溝(30)のそれぞれが、前記中央領域(6)の第2の中間領域(10b)および前記赤道領域(9)を通ってそれぞれ延在する第2の中間横断方向溝(32a)および第2の赤道横断方向溝(32b)を備える、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項35】
前記第2の中間横断方向溝(32a)および前記第2の赤道横断方向溝(32b)が、周方向に対して40°~60°の角度で傾斜している、請求項34に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項36】
前記第1の横断方向ショルダー溝(21)が2mm~6mmの幅を有する、請求項30に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項37】
前記第2の横断方向ショルダー溝(31)が2mm~6mmの幅を有する、請求項31に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項38】
前記第1の中間横断方向溝(22a)が、前記第1の横断方向ショルダー溝(21)より狭い幅を有する、請求項32に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項39】
前記第2の中間横断方向溝(32a)が、前記第2の横断方向ショルダー溝(31)より狭い幅を有する、請求項34に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項40】
前記第1の赤道横断方向溝(22b)が、前記第1の横断方向ショルダー溝(21)より狭い幅を有する、請求項32に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項41】
前記第2の赤道横断方向溝(32b)が、前記第2の横断方向ショルダー溝(31)より狭い幅を有する、請求項34に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項42】
前記第1の複数の横断方向溝(20)と前記第2の複数の横断方向溝(30)とが、前記タイヤの前記赤道面(X)に対して実質的に対称な態様で傾斜している、請求項20に記載のタイヤ(1;100)。
【請求項43】
前記第1の複数の横断方向溝(20)および/または前記第2の複数の横断方向溝(30)のうちの1つの横断方向溝によって境界が定められた少なくとも1つのブロック(40)が、前記1つの横断方向溝の側壁(23、33)に面取りされた縁部(24、34)を有する、請求項20に記載のタイヤ(100)。
【請求項44】
前記面取りされた縁部(24、34)が、前記1つの横断方向溝(20、30)の、前記タイヤの好ましい転がり方向(F)に対して前方の側壁(23、33)に形成されている、請求項43に記載のタイヤ(100)。
【国際調査報告】