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特表2024-542546高解像度加熱によるガラスストリーク改善のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】高解像度加熱によるガラスストリーク改善のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
C03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531128
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022049538
(87)【国際公開番号】W WO2023096759
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/282,370
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェイ ユ
(72)【発明者】
【氏名】リ シンファ
(72)【発明者】
【氏名】西本 マイケル 嘉也
(72)【発明者】
【氏名】ペン ガオズー
(72)【発明者】
【氏名】レグラ アダム スコット
(57)【要約】
ガラス成形ステップから成形されたガラスリボン中のストリークを修復するシステム及び方法が開示される。本システムは、約1μmから約12μmの波長と、ストリーク位置におけるストリーク幅にわたるガラスリボンの厚さの変化の半値全幅以下であるビーム幅とを有する固定レーザビームを生成するレーザと、ストリーク位置におけるレーザビームを調整し配向する光学構成要素とを含む。本方法は、ガラスリボンを成形するステップと、ガラスリボンのストリークを特定するステップと、レーザビームをストリーク位置に配向するステップとを含む。レーザビームは、ストリークの位置でガラスリボンを加熱し、これによりガラスリボンの粘度を低下させ、ガラスの薄肉化を引き起こし、ストリークの重大度を軽減する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボン成形プロセス中にストリークを修復する方法であって、
ガラスリボンを成形するステップと、
前記ガラスリボンを張力下で維持するステップと、
前記ガラスリボンの単位幅当たりの前記ガラスリボンの厚さの変化率が約1nmt/mmW以上である前記ガラスリボンの幅に沿った位置において、前記ガラスリボンの第1のストリークを特定するステップであって、前記第1のストリークの幅が約50mm以下である、ステップと、
前記第1のストリークの位置にレーザビームを配向するステップであって、前記レーザビームは、約1μmから約12μmの波長を有し、前記レーザビームは、前記第1のストリークの位置で前記ガラスリボンのガラスを加熱する、ステップと、
前記第1のストリークの位置で前記ガラスを加熱して前記ガラスの粘度を低下させ、前記第1のストリークの位置での前記ガラスリボンの厚さ、前記第1のストリークの位置での前記ガラスリボンの厚さの変化率、又はその両方を低減するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザビームが、約10ミリワット/ミリメートル(mW/mm)から約10ワット/ミリメートル(W/mm)の平均線パワー密度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザビームが前記ガラスに入射する点における前記レーザビームのビーム幅が、前記第1のストリークの幅にわたる前記ガラスリボンの厚さの変化の半値全幅以下であり、前記ビーム幅は前記レーザビームの1/e2幅として定義される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザビームが、約50mm以下のビーム幅を有し、前記ビーム幅は、前記レーザビームが前記ガラスに入射する点における前記レーザビームの1/e2幅として定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のストリークの幅、厚さプロファイル又はこれらの両方を決定して、前記第1のストリークの前記幅、前記厚さプロファイル又はこれらの両方に基づいて前記レーザビームのパワー、位置、形状、強度分布又はこれらの組み合わせの1又は2以上を調整するステップを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザビームが、トップハット強度分布又はガウス強度分布を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2のストリークを特定するステップと、
前記レーザビームを第1のビーム及び第2のビームに分割するステップと、
前記第1のビームを前記第1のストリークに配向し、前記第2のビームを前記第2のストリークに配向する、ステップと、
を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザビームのビーム経路に沿って反射されたサイトレーザビームで前記レーザビームの位置を定めるステップを更に含み、前記サイトレーザビームが、約400nmから約700nmの範囲の波長を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のストリークは突出するストリークであり、前記方法は、前記レーザビームを前記第1のストリークの中心に配向するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のストリークが凹状ストリークであり、前記方法が、前記レーザビームを第1のビームと前記第1のビームから間隔を隔てた第2のビームとに分割するステップと、前記第1のビームと前記第2のビームを前記第1のストリークの外側縁部に近接した位置に配向するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のストリークを特定するステップが、
前記ガラスリボンに光源を照射するステップと、
前記第1のストリークの位置で前記ガラスリボンの厚さの変化による光の屈折によって生じる明帯、暗帯又はその両方を特定するステップであって、前記明帯、前記暗帯又はその両方が前記第1のストリークの位置を特定する、ステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガラスリボン中のストリークを修復するシステムであって、
約1マイクロメートルから約12マイクロメートルの波長と、ストリーク位置におけるストリーク幅にわたるガラスリボンの厚さの変化の半値全幅以下のビーム幅とを有するレーザビームを生成するレーザであって、前記ビーム幅は、前記レーザビームの1/e2幅として定義されて、前記レーザビームが前記ガラスリボンに入射する点で決定される、レーザと、
前記レーザビームの1又は2以上の特性を変化させるよう動作可能な1又は2以上の光学構成要素と、
を備え、
前記レーザ及び前記1又は2以上の光学構成要素は、前記ストリーク位置に前記レーザビームを配向するように配置される、システム。
【請求項13】
パワー検出器と、前記レーザビームを通過部分と測定部分とに分割するように動作可能な少なくとも1つのビームスプリッタとを更に備え、前記少なくとも1つのビームスプリッタは、前記レーザビームの通過部分を前記ストリーク位置に配向し、前記レーザビームの測定部分を前記パワー検出器に配向するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
約400nmから約700nmの範囲にあり且つ前記ガラスリボンを通過しない範囲の波長を有するサイトレーザビームを生成するように動作可能なサイトレーザを更に備え、前記ビームスプリッタは、前記サイトレーザからの前記サイトレーザビームを前記レーザビームのビーム経路に沿って配向するように動作可能であり、前記サイトレーザビームは、前記ガラスリボン上の前記レーザビームの位置を示す、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記1又は2以上の光学構成要素は、前記レーザビームの形状、強度分布又はその両方を変化させるように動作可能な回折光学構成要素を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記レーザから前記ガラスリボンに近接した位置まで延びる光ファイバケーブルと、前記光ファイバケーブルの端部に結合された光ファイバコネクタとを更に備え、前記光ファイバケーブルは、前記レーザから前記ガラスリボンに近接した位置まで前記レーザビームを送出するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記レーザに結合された連接アームレーザビーム送出システムを更に備え、前記連接アームレーザビーム送出システムは、複数の可動ジョイントと、前記レーザからの前記レーザビームを制御可能な雰囲気を有する密閉ビーム経路を通して前記ガラスリボンに配向するように動作可能な複数のミラーとを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記レーザに、又は前記レーザに取り付けられた光ファイバケーブルの端部に結合された光ファイバコネクタに結合されたレーザ位置決めステージを更に備え、前記レーザ位置決めステージは、前記ガラスリボンに対する前記レーザビームの位置を調整するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記レーザ及びパワー検出器に通信可能に結合されたプロセッサと、前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリモジュールと、前記メモリモジュールに記憶された機械可読及び機械実行可能な命令とを備える制御システムを更に備え、
前記1又は2以上の光学構成要素は、前記レーザビームを通過部分と測定部分とに分割するように動作可能なビームスプリッタを備え、
前記パワー検出器は、前記レーザビームの測定部分を受けるように配置され、
前記機械可読及び機械実行可能な命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記システムに、
前記パワー検出器を使用して前記レーザビームの測定されたパワーを決定させ、
前記レーザビームの測定されたパワーに基づいて前記レーザの出力を調整させる、
請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記1又は2以上の光学構成要素が、
前記レーザビーム又は前記レーザビームの前記通過部分を少なくとも第1のビームと第2のビームに分割するように動作可能な第2のビームスプリッタと、
前記第2のビームを前記ガラスリボン上の第2の位置に配向するように動作可能な第2の集束光学構成要素と、
を備える、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国特許法第119条に基づく、2021年11月23日に出願された米国仮出願シリアル番号63/282,370の優先権の利益を主張し、この内容は、引用によりその全体が本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
本明細書は、全体的に、連続したガラスリボンを製造するためのガラス成形プロセスに関し、より具体的には、ガラス成形プロセスによって成形されたガラスリボン上のストリークの重大度を低減するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
溶融プロセスは、ガラスリボンを成形するための1つの技術である。溶融プロセスは、比較的欠陥が少なく、優れた平坦性を有する表面を備えたガラスリボンを製造する。そのため、溶融プロセスは、電子デバイス用ディスプレイの製造に使用されるガラス基板、及び優れた平坦性が要求される他の基板の製造に広く採用されている。溶融プロセスでは、溶融ガラスが成形体(例えば、溶融成形容器)に供給され、成形体は、成形体の底縁(例えば、根元)に沿って収束する成形面を含む。溶融ガラスは、成形体の成形面上を流れ、根元で合流し、成形体の根元から引き出される初期表面を有する平坦なガラスのリボンを成形する。溶融プロセスは、ダウンドロープロセス又はアップドロープロセスとすることができる。ガラスリボンはまた、スロットドロープロセス又はリドロープロセスを用いて製造することができる。
【0004】
ガラスリボンの成形中、ガラスリボンにストリークが発生することがあり、このストリークは、幅の変化に伴ってガラスの厚さが急激に変化するガラスリボンの狭領域(例えば、幅50ミリメートル(mm)未満)である。ストリークの領域におけるこれらの厚さの急激な変化は、完成したガラスリボン又はシートから作られた電子ディスプレイ上に表示される画像の歪みを引き起こすなど、ガラスリボンを通過する光の歪みを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、限定ではないが、溶融ダウンドロープロセス、溶融アップドロープロセス、スロットドロープロセス、リドロープロセス、又はガラスリボンが張力下にある他のガラスリボン成形プロセスなど、ガラス成形プロセスから成形されるガラスリボンにおけるストリークを修復するためのシステム及び方法に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様において、ガラスリボン成形プロセス中にストリークを修復する方法は、ガラス成形プロセスでガラスリボンを成形するステップと、ガラスリボンを張力下で維持するステップと、ガラスリボンの単位幅当たりのガラスリボンの厚さの変化率が約1nmt/mmW以上であるガラスリボンの幅に沿った位置において、ガラスリボンのストリークを特定するステップとを含む。ストリークの幅は約50mm以下である。本方法は更に、レーザビームをストリークの位置に配向するステップを含み、レーザビームは約1μmから約12μmの波長を有し、レーザビームはストリークの位置でガラスリボンを加熱する。ストリークの位置でガラスリボンを加熱すると、ガラスリボンの粘度が低下し、ストリークの位置におけるガラスリボンの厚さ、ストリークの位置におけるガラスリボンの厚さの変化率、又はその両方が減少する。
【0007】
本開示の第2の態様は、第1の態様を含むことができ、レーザビームは、約10ミリワット/ミリメートル(mW/mm)から約10ワット/ミリメートル(W/mm)の線形平均パワー密度を含む。
【0008】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様のいずれかを含むことができ、レーザビームがガラスリボンに入射する点におけるレーザビームのビーム幅が、ストリーク幅にわたるガラスリボンの厚さの変化の半値全幅以下であり、ビーム幅は、レーザビームの1/e2幅として定義される。
【0009】
本開示の第4の態様は、第1から3の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームは、約50mm以下のビーム幅を有し、ビーム幅は、レーザビームがガラスリボンに入射する点におけるレーザビームの1/e2幅として定義される。
【0010】
本開示の第5の態様は、第1から4の態様のいずれか1つを含むことができ、ストリークの幅、厚さプロファイル、又はこれらの両方を決定するステップと、ストリークの幅、厚さプロファイル、又はこれらの両方に基づいてレーザビームのパワー、位置、形状、強度分布、又はこれらの組み合わせの1又は2以上を調整するステップを更に含む。
【0011】
本開示の第6の態様は、第1から5の態様のいずれか1つを含むことができ、ストリーク位置におけるガラスリボンの厚さプロファイルを決定するステップと、ストリーク位置におけるガラスリボンの厚さプロファイルに基づいてレーザビームの形状又は強度分布の少なくとも一方を修正するステップとを更に含む。
【0012】
本開示の第7の態様は、第1から6の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームがトップハット強度分布又はガウス強度分布を含む。
【0013】
本開示の第8の態様は、第1から7の態様のいずれか1つを含むことができ、第1のストリーク及び第2のストリークを特定するステップと、レーザビームを第1のビーム及び第2のビームに分割するステップと、第1のビームを第1のストリークに配向するステップと、第2のビームを第2のストリークに配向するステップとを更に含む。
【0014】
本開示の第9の態様は、第1から8の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームのビーム経路に沿って反射されたサイトレーザビームでレーザビームの位置を定めるステップを更に含む。サイトレーザビームは、約400nmから約700nm、約400nmから約550nm、又は約500nmから約550nmの範囲の波長を有する。
【0015】
本開示の第10の態様は、第1から9の態様のいずれか1つを含むことができ、ストリークは突出するストリークであり、本方法は、レーザビームをストリークの中心に配向するステップを含む。
【0016】
本開示の第11の態様は、第1から10の態様のいずれか1つを含むことができ、ストリークは凹状ストリークであり、本方法は、レーザビームを第1のビームと第1のビームから間隔を隔てた第2のビームとに分割し、第1のビーム及び第2のビームをストリークの外側縁部に近接した位置に配向するステップを含む。
【0017】
本開示の第12の態様は、第1から11の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームをストリークに配向するステップは、ガラスリボンのガラスが約1×104ポアズから約7.6×107.6ポアズの範囲の粘度を有するストリークに沿った位置にレーザビームの位置を定めるステップを含む。
【0018】
本開示の第13の態様は、第1から12の態様のいずれか1つを含むことができ、ストリークを特定するステップは、ガラスリボンに光源を照射するステップと、ストリークの位置でガラスリボンの厚さの変化による光の屈折によって引き起こされる明帯、暗帯、又はその両方を特定するステップを含む。明帯、暗帯又はその両方が、ストリークの位置を特定する。
【0019】
本開示の第14の態様は、第1から13の態様のいずれか1つを含むことができ、ガラス成形プロセスが溶融ドロープロセスである。
【0020】
本開示の第15の態様は、第1から14の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームをストリーク位置に配向するステップは、レーザビームをガラスリボンに配向するステップを含み、レーザビームは、ガラスリボンの厚さの変化を生じさせるのに十分な第1のパワーレベルを有する。レーザビームをストリークの位置に配向するステップは、レーザビームに応答してガラスリボンの厚さの変化を測定するステップを更に含み、レーザビームに応答した厚さの変化は、ガラスリボン上のレーザビームの位置を特定する。本方法は、レーザビームの位置をストリークの位置に調整するステップと、レーザビームのパワーを、ストリークを修復するのに十分な第2のパワーレベルまで低下させるステップとを更に含む。
【0021】
本開示の第16の態様は、ガラスリボンにおけるストリークを修復するためのシステムに配向されており、本システムは、約1マイクロメートルから約12マイクロメートルの波長とストリーク位置におけるストリーク幅にわたるガラスリボンの厚さの変化の半値全幅以下のビーム幅とを有するレーザビームを生成するレーザを備え、ビーム幅は、レーザビームの1/e2幅として定義され、レーザビームがガラスリボンに入射する点で決定される。本システムは、レーザビームの1又は2以上の特性を変化させるように動作可能な1又は2以上の光学構成要素を更に備える。レーザ及び1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームをストリーク位置に配向するように配置される。
【0022】
本開示の第17の態様は、第16の態様を含むことができ、レーザビームをレーザビームの通過部分及び測定部分に分割するように動作可能な少なくとも1つのビームスプリッタを更に備える。
【0023】
本開示の第18の態様は、第17の態様を含むことができ、パワー検出器を更に含み、少なくとも1つのビームスプリッタは、レーザビームの通過部分をストリーク位置に配向するように、及びレーザビームの測定部分をパワー検出器に配向するように動作可能である。
【0024】
本開示の第19の態様は、第17又は第18の態様のいずれか1つを含むことができ、約400nmから約700nmの範囲にあり且つガラスリボンを通過しない範囲の波長を有するサイトレーザビームを生成するように動作可能なサイトレーザを更に備える。ビームスプリッタは、レーザビームのビーム経路に沿ってサイトレーザからのサイトレーザビームを配向するように動作可能であり、サイトレーザビームは、ガラスリボン上のレーザビームの位置を示す。
【0025】
本開示の第20の態様は、第19の態様を含むことができ、サイトレーザは、約500nmから約550nmの範囲の波長を有するサイトレーザビームを生成する。
【0026】
本開示の第21の態様は、第16から20の態様のいずれか1つを含むことができ、1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームをコリメートするように動作可能なコリメートレンズを備える。
【0027】
本開示の第22の態様は、第16から21の態様のいずれか1つを含むことができ、1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームの形状、強度分布、又はその両方を変化させるように動作可能な回折光学構成要素を備える。
【0028】
本開示の第23の態様は、第16から22の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザからガラスリボンに近接した位置まで延びる光ファイバケーブルと、光ファイバケーブルの近位端部に結合された光ファイバコネクタとを更に備える。光ファイバケーブルは、レーザからガラスリボンに近接した位置までレーザビームを送出するように動作可能である。
【0029】
本開示の第24の態様は、第23の態様を含むことができ、光ファイバケーブルが中空コアファイバ又は多結晶ファイバを備える。
【0030】
本開示の第25の態様は、第16から24の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザに結合された連接アームレーザビーム送出システムを更に備え、連接アームレーザビーム送出システムは、複数の可動ジョイントと、制御可能な雰囲気を有する密閉ビーム経路を介してレーザからガラスリボンへレーザビームを導くように動作可能な複数のミラーとを備える。
【0031】
本開示の第26の態様は、第16から25の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザ又はレーザに取り付けられた光ファイバケーブルの端部に結合された光ファイバコネクタに結合されたレーザ位置決めステージを更に備え、レーザ位置決めステージは、ガラスリボンに対するレーザビームの位置を調整するように動作可能である。
【0032】
本開示の第27の態様は、第26の態様を含むことができ、レーザ位置決めステージは、ストリークの位置に近接する固定点に枢動結合されたプレートを備える。1又は2以上の光学構成要素はプレートに結合され、プレートは、枢動点を中心に回転可能である。プレートを枢動点を中心に回転させることにより、加熱レーザビームをガラスリボンに対して位置決めする。
【0033】
本開示の第28の態様は、第16から27の態様のいずれか1つを含むことができ、制御システムを更に備え、制御システムは、レーザ及びパワー検出器に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリモジュールと、メモリモジュールに記憶された機械可読及び機械実行可能な命令とを備える。1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームを通過部分と測定部分とに分割するように動作可能なビームスプリッタを備える。パワー検出器は、レーザビームの測定部分を受けるように配置される。機械可読及び機械実行可能な命令は、プロセッサによって実行されたときに、パワー検出器を用いてレーザビームの測定パワーを自動的に決定し、レーザビームの測定パワーに基づいてレーザの出力を調整する、ようにシステムに行わせる。
【0034】
本開示の第29の態様は、第16から28の態様のいずれか1つを含むことができ、レーザビームは、ガラスが約104ポアズから約7.6×107.6ポアズの作業範囲の粘度を有する位置に垂直に配置される。
【0035】
本開示の第30の態様は、第16から29の態様のいずれか1つを含むことができ、1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームを少なくとも第1のビーム及び第2のビームに分割するように動作可能な第2のビームスプリッタと、第2のビームをガラスリボン上の第2の位置に配向するように動作可能な第2の集束光学構成要素とを備える。
【0036】
本開示の第31の態様は、第30の態様を含むことができ、第2のビームスプリッタは、プリズム、回折光学素子、アキシコン、又はこれらの組み合わせを備える。
【0037】
本開示の第32の態様は、第30の態様又は第31の態様のいずれか1つを含むことができ、ガラスリボン上の第2の位置は、第2のストリークのストリーク位置又は凹状ストリークの外側縁部に近接した位置を含む。
【0038】
本開示の第33の態様は、ガラスリボンを製造するためのシステムに配向されており、本システムは、根元で収束する2つの成形面を備えた成形体を備える溶融ダウンドロープロセスを含む。本システムは、第16から30の態様のいずれかによる、ガラスリボン中のストリークを修復するためのシステムを更に含む。実施形態において、システムは、約1マイクロメートルから約12マイクロメートルの波長及びストリークの位置におけるガラスリボンの厚さの変化の半値全幅未満のビーム幅を有するレーザビームを生成するように動作可能なレーザを含み、ビーム幅は、レーザビームの1/e2幅として定義され、レーザビームがガラスリボンに入射する点で決定される。本システムは、レーザビームの1又は2以上の特性を変化させるように動作可能な1又は2以上の光学構成要素を更に備える。レーザ及び1又は2以上の光学構成要素は、レーザビームをストリーク位置に配向するように配置される。
【0039】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は共に、様々な実施形態を説明するものであり、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付図面は、様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、及び本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書に記載される様々な実施形態を示し、説明と共に、特許請求される主題の原理及び動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態によるガラス成形装置の概略図である。
図2】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、図1の基準線2-2に沿って見た図1のガラス成形装置の一部の概略断面図である。
図3】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、ガラス成形プロセス及びストリークを修復するためのシステムの概略側面図である。
図4】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、図1から3のガラス成形装置によって製造され及びストリークを有するガラスリボンの概略断面図である。
図5】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、ストリーク検出システムの概略図である。
図6】本明細書に示され且つ説明される1又は2以上の実施形態による、ストリークを修復するためのシステムの概略図である。
図7A】本明細書に示され説明される1又は2以上の実施形態による、ガラスリボンから外側に延びる突起を備えるストリークを修復するための図6のシステムの動作の概略図である。
図7B】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、図6のシステムのレーザビームによるストリークの処理後の図7Aのガラスリボンの概略図である。
図8A】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、ガラスリボンの内側に延びる凹部を備えるストリークを修復するための本開示のシステムの動作の概略図である。
図8B】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、本システムのレーザビームによるストリークの処理後の図8Aのガラスリボンの概略図である。
図9】本明細書において示され、説明される1又は2以上の実施形態による、レーザ及び光ファイバケーブルを備える、ストリークを修復するための別のシステムの概略図である。
図10】本明細書に示され説明される1又は2以上の実施形態による、2つのストリークを修復するため又は凹状ストリークを修復するためにレーザビームを2つのビームに分割するための光学構成要素を備えるストリークを修復するための更に別のシステムの概略図である。
図11】本明細書に示され且つ説明される1又は2以上の実施形態による、ガラスリボンに対してレーザビームを位置決めするための位置決めステージの斜視図である。
図12】本明細書に示され説明される1又は2以上の実施形態による、連接アームレーザビーム送出システムの斜視図である。
図13】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、ストリークを修復するためのシステムに関する、時間(x軸)の関数としてのストリークの重大度(左y軸)及びレーザビーム出力(右y軸)のグラフである。
図14】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態による、加熱レーザビーム出力及び位置の様々な組み合わせについての、ガラスシート上の幅位置(x軸)の関数としての厚さ(y軸)のグラフである。
図15】本明細書に示され記載される1又は2以上の実施形態に従って、レーザビームが根元から垂直にガラスリボンに向けて照射される、ストリークを修復するためのシステムの概略図である。
図16】本明細書に示され説明される1又は2以上の実施形態による、成形体の両側に1つずつ備える2つの加熱レーザを備えるストリークを修復するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面は縮尺通りではなく、特定の特徴は説明の目的で誇張されている場合がある。
【0042】
次に、ガラス成形プロセスから製造されたガラスリボン中のストリークを修復するためのシステム及び方法の実施形態について詳細に説明し、その実施例を添付図面に例示する。可能な限り、同一又は類似の部品を参照するために、図面全体を通して同一の参照数字が使用される。
【0043】
ここで図4を参照すると、ストリーク102を有するガラスリボン12の一部の一実施形態が概略的に描かれている。ストリーク102は、ガラスリボン12の幅の関数としてガラスリボン12の厚さtの急激な変化を示すガラスリボン12の狭い領域(例えば、幅50mm未満)であってもよい。本明細書で更に詳細に説明するように、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の厚さの変化は、ガラスを通過する光の方向を変化させるレンズとして作用することができ、その結果、ガラスリボン12から作られた電子ディスプレイによって表示される画像に歪みが生じる。
【0044】
図6を参照すると、ガラスリボン12のストリーク102を修復するための本開示のシステム200の一実施形態が概略的に描かれている。システム200は、レーザビーム202を生成する加熱レーザ210を含む。システム200は、レーザビーム202をコリメート、拡大、又は集束するように動作可能とすることができる1又は2以上の光学構成要素220を含むことができる。加熱レーザ210及び光学構成要素220は、レーザビーム202をストリーク102に配向するように配置される。
【0045】
システム200は、ガラスリボン12のストリーク102を修復する方法に使用することができる。この方法は、ガラスリボン12を成形するステップと、ガラスリボン12を張力下に維持するステップと、ガラスリボン12の幅に沿った位置でガラスリボン12の1又は2以上のストリーク102を特定するステップと、システム200を用いてストリーク102の位置にレーザビーム202を配向するステップとを含むことができる。レーザビーム202は、ストリーク102の位置においてガラスリボン12又はガラスリボン12の一部に局所的な加熱を与え、これによりガラスは張力下で薄肉化することができる。ガラスの薄肉化は、ストリーク102の領域におけるガラスリボン12の厚さ、ガラスリボン12の厚さの変化率又はその両方を低減させ、これにより、ストリークの重大度を減少させることができる。ストリークの重大度を低減することにより、ガラスリボン12から作られた電子ディスプレイ上に表示される画像の歪みを低減又は除去することができる。
【0046】
ガラスリボンにおけるストリークを修復するためのシステム及び方法の様々な実施形態を、添付図面を具体的に参照しながら本明細書において更に説明する。
【0047】
本明細書において使用される方向用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上、下-は、描かれた図を参照してのみなされるものであり、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0048】
特に明示しない限り、本明細書で規定される方法が、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものであると解釈されること、また、いかなる装置についても特定の向きを要求するものであると解釈されることは、意図されていない。従って、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際には記載していない場合、又は、装置の請求項が、個々の構成要素に対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又は、ステップが特定の順序に限定されることが特許請求の範囲又は説明において他の方法で具体的に記載されていない場合、又は、装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合、いかなる点においても、順序又は向きが推論されることを意図するものではない。このことは、ステップの配置、操作の流れ、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理的事項、文法的構成又は句読点から導かれる平易な意味、及び明細書に記載された実施形態の数又は種類を含む、解釈のためのあらゆる可能な非明示的根拠について当てはまる。
【0049】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかに指示がない限り、複数の照応を含む。従って、例えば、「a」構成要素への言及は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、2又は3以上のこのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0050】
本明細書において、ガラスリボンに関する「厚さ」という用語は、ガラスリボンの対向する表面上の2つの対向する点間の距離を指し、ガラスリボンの対向する表面は、最大の幅を有する表面である。添付図面において、厚さとは、ガラスリボンの対向面上の対向する2点間の座標軸の+/-Y方向の距離を指す。
【0051】
本明細書において、用語「高解像度」とは、ガラスリボンの幅方向の解像度が50mm以下、例えば1mmから50mmであることをいう。
【0052】
本明細書において、「アップビーム」及び「ダウンビーム」という用語は、ビーム経路に沿ったレーザビームの進行方向に対する2以上の構成要素の位置関係を指す。レーザビームが第2の構成要素に遭遇する前に第1の構成要素に遭遇する場合、第1の構成要素は第2の構成要素のアップビームであると考えられる。同様に、レーザビームが第1の構成要素よりも先に第2の構成要素に遭遇する場合、第1の構成要素は第2の構成要素のダウンビームであると考えられる。
【0053】
本開示のシステム及び方法の態様は、図1のガラス成形装置を使用する溶融ダウンドロープロセスの文脈で本明細書に記載される。しかしながら、本明細書において開示されるシステム及び方法は、スロットドロー、アップドロー、又は再ドロープロセスにも同様に適用することができ、同様の結果を得ることができる。
【0054】
ここで図1を参照すると、ガラスリボン12などのガラス物品を製造するためのガラス成形装置10が概略的に描かれている。ガラス成形装置10は、一般に、貯蔵ビン16からバッチ材料15を受け取る溶融容器14を含むことができる。バッチ材料15は、モータ18によって動力を与えられるバッチ送出デバイス17によって溶融容器14に導入することができる。任意のプロセスコントローラ20が、モータ18を作動するために提供され得、及び溶融ガラスレベルプローブ22が、スタンドパイプ24内のガラス溶融レベルを測定し、測定された情報をコントローラ20に伝達するために使用することができる。
【0055】
ガラス成形装置10はまた、第1の接続管26によって溶融容器14に結合された、ファイニング管などのファイニング容器28を含むことができる。混合容器32は、第2の接続管30によってファイニング容器28に結合することができる。送出容器36は、送出導管34によって混合容器32に結合することができる。更に図示されるように、ダウンカマー38は、ガラス融液を送出容器36から成形体50の入口端部40に送出するように配置することができる。本明細書に示され記載される実施形態において、成形体50は、本明細書において上述されるような溶融成形容器である。
【0056】
溶融容器14は、典型的には、耐火性(例えば、セラミック)レンガのような耐火性材料から作られる。ガラス成形装置10は、例えば、白金又は白金-ロジウム、白金-イリジウム及びそれらの組み合わせのような白金含有金属のような導電性耐火性金属から典型的に作られる構成要素を更に含むことができる。このような耐火性金属には、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、及びこれらの合金、並びに/又は二酸化ジルコニウムも含むことができる。白金含有構成要素は、第1の接続管26、ファイニング容器28、第2の接続管30、スタンドパイプ24、混合容器32、送出導管34、送出容器36、ダウンカマー38、及び入口端部40の1又は2以上を含むことができる。
【0057】
ここで図2を参照すると、成形体50は、一般に、トラフ51、第1の成形面44、及び第2の成形面45を含む。トラフ51は、成形体50の上側部分52に位置し、第1の堰60、第2の堰80、及び第1の堰60と第2の堰80との間に延びる基部53を含む。トラフ51は、成形体50に沿った長さの関数として深さが変化することができる。第1の成形面44及び第2の成形面45は、成形体50の上側部分52から垂直下方向(すなわち、図に描かれた座標軸の-Z方向)に延び、互いに向かって収束し、成形体50の下側(底側)縁部、すなわち、根元46で接合する。従って、第1の成形面44及び第2の成形面45は、実施形態では、成形体50の上側部分52から延びる逆二等辺三角形(又は正三角形)を成形し、根元46は、下流方向において三角形の最も下側の頂点を成形することが理解されるべきである。引出面47は、図に描かれた座標軸の+/-Y方向において根元46を概ね二等分し、垂直下方向(すなわち、-Z方向)及び+/-X方向に延びている。
【0058】
成形体50は、典型的には、溶融ガラスと化学的に適合し、溶融成形プロセスに関連する高温に耐えることができる耐火セラミック材料から成形されるが、更なる実施形態では、成形体の一部又は成形体全体を他の材料、例えば金属材料で成形してもよい。成形体を成形することができる典型的なセラミック耐火材料としては、限定されるものではないが、ジルコン(例えば、ケイ酸ジルコニウム)、低クリープジルコン、炭化ケイ素、ゼノタイム、及び/又はアルミナベースの耐火セラミックが挙げられる。
【0059】
再び図1を参照すると、動作において、バッチ材料15、特にガラス成形材料のバッチ材料は、貯蔵ビン16からバッチ送出デバイス17を用いて溶融容器14に供給される。バッチ材料15は、溶融容器14内で溶融ガラスに溶融される。溶融ガラスは、溶融容器14から第1の接続管26を通ってファイニング容器28に通過する。ガラスの欠陥の原因となり得る分解ガスは、ファイニング容器28内で溶融ガラスから除去される。その後、溶融ガラスは、ファイニング容器28から第2の接続管30を通って混合容器32に入る。混合容器32は、例えば攪拌によって溶融ガラスを均一化し、及び均一化された溶融ガラスは、送出導管34を通って送出容器36に至る。送出容器36は均質化された溶融ガラスをダウンカマー38を通して及び成形体50の入口端部40に排出し、成形体50は均質化された溶融ガラスを成形体50のトラフ51に通す。
【0060】
再び図2を参照すると、均質化された溶融ガラスは、成形体50のトラフ51を満たし、最終的にトラフ51をオーバーフローし、トラフ51の長さに沿って第1の堰60及び第2の堰80を越えて流れ、次いで垂直下方向(図2の座標軸の-Z方向)に流れる。均一化された溶融ガラスは、成形体50の上側部分52から、第1の成形面44及び第2の成形面45上に流れる。特に、第1のハーフリボン62は、第1の堰60を越えて第1の成形面44上に流れ、第2のハーフリボン82は、第2の堰80を越えて第2の成形面45上に流れる。第1の成形面44及び第2の成形面45上をそれぞれ流れる第1のハーフリボン62及び第2のハーフリボン82は、根元46で合流して溶融し、根元46の垂直下方(すなわち、-Z方向)に配置された引張ローラ90により引出面47に沿って下流方向に引き出されるガラスリボン12を成形する。ガラスリボン12は、ガラスリボン12を離散的なガラスシートにセグメンテーションすること、ガラスリボン12をそれ自体で圧延すること、及び/又はガラスリボン12に1又は2以上のコーティングを施すことなどにより、成形体50の下流側で更に加工することができる。
【0061】
引張ローラ90は、駆動機構に動作可能に連結された従動ローラとすることができる。引張ローラ90は、引張ローラ90がガラスリボン12の表面の変形を引き起こさない程度にガラスの粘度が大きい温度までガラスリボン12が冷却されるのに十分な距離だけ、根元46の垂直下方(すなわち、-Z方向)に配置されてもよい。引張ローラ90は、ガラスリボン12を張力下に維持するように動作可能とすることができる。
【0062】
溶融ドロープロセス、スロットドロープロセス、再ドロープロセス又は他のガラス成形プロセスから製造されたガラスリボン12は、1又は2以上のストリークを示すことがある。前述したように、ストリークは、ガラスリボン12上の物理的欠陥であり、ガラスリボン12から作られた電子ディスプレイ上に表示される画像の歪みの原因となる。ストリークは、ガラスリボン12の幅に沿った特定の位置に局在する特異な欠陥である。ストリークは、ガラスリボン12の幅の狭い領域、例えば50ミリメートル(mm)未満又は40mm未満の幅領域にわたって、ガラスリボン12の全体的な厚さが幅の関数として急激に変化することを特徴とする。ストリークの位置におけるガラスリボン12の厚さの急激な変化は、ガラスリボン12を通過する光を屈折、例えば集束させる狭いレンズとして作用することができる。このようなストリークによる光の操作は、ガラスリボン12のストリークを有する部分から備える電子ディスプレイに表示される画像の歪みを引き起こす可能性がある。
【0063】
ストリークは、成形体50の表面上の欠陥、ガラスリボン12内のコードの整列、又は他の原因等(但し、これらに限定されない)のような、幾つかの異なる原因から生じ得る。例えば、一部の事例では、ガラスリボン12内のコードがガラスリボン12の引出面47に垂直な方向に整列することによってストリークが生じることがある。本明細書で使用する「コード」は、ガラスリボン12内のガラスの薄層を指し、ガラスの薄層は、ガラスリボン全体のガラス組成とは異なる組成を有する。ここで図4を参照すると、コード100を表すガラスの薄層は、ガラスリボン12内に存在することができ、ガラスリボン12内の様々な角度に配置することができる。コード100がガラスリボン12の外面に対してより垂直になるにつれて、コード100は、ガラスリボンの1又は2以上の外面に突出部又は窪みを生じさせることができ、突出部又は窪みは、幅方向(すなわち、図4の座標軸の+/-X方向)に狭く、例えば、50mm未満である。突出部又は窪みにおいて、ガラスは、幅と共に急速に変化する厚さ(例えば、幅1ミリメートル(mm)当たりの厚さの変化が1ナノメートルより大きい)を有する。このガラスリボン12の狭い幅にわたる厚さの急激な変化は、ストリーク102と呼ばれる。図4には、ガラスリボン12の両表面から外側に突出するストリーク102が示されているが、ガラスリボン12の片側のみが幅に伴う厚さの急激な変化をもたらす突出部又は窪みを備える場合に、ストリーク102が生じることがある。コード100のガラスの粘度がガラスリボン12のガラス組成全体の粘度よりも大きい場合、コード100は、ガラスリボン12の外面の一方又は両方から外側に突出する突出部を備えるストリーク102を生じ得る。コード100のガラスの粘度がガラスリボン12のガラス組成全体の粘度未満である場合、コード100は、ガラスリボン12の一方又は両方の外面に対して内側に陥没した窪みであるストリーク102をもたらすことができる。
【0064】
再び図1から3を参照すると、他の実施例では、ストリーク102は、第1の成形面44、第2の成形面45、第1の堰60、第2の堰80、又はこれらの組み合わせ上の欠陥等の成形体50上の欠陥によっても生じ得る。例えば図1から3のガラス成形装置10を用いた処理のような溶融ダウンドロープロセスにおけるガラス製造の間、成形体50上の潜在的な表面欠陥は、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82における非常に狭いが鋭い厚み変動をもたらす可能性がある。第1のハーフリボン62、第2のハーフリボン82又はその両方における鋭い厚み変動は、第1のハーフリボン62及び第2のハーフリボン82が根元46で溶融される際にガラスリボン12に並進可能なものとなる。第1のハーフリボン62、第2のハーフリボン82、ガラスリボン12又はそれらの組み合わせの温度及び流れの不均一性は、これらのばらつきを更に高めることができる。これらの厚さの特徴(すなわち、ストリーク102)は、典型的には、引き抜き方向に沿って(すなわち、図3の座標軸の+/-Z方向に)配向される。
【0065】
多くの場合、ストリーク102における幅の関数としての厚さ変化の傾きは小さく、厳しい検査条件下でガラスリボン12の厚さ変動は仕様内に収まる。しかしながら、ストリーク102における幅の関数としての厚さの変化の傾きが閾値を超えると、ストリーク102におけるガラスはシリンダーレンズのように作用し、光源による検査中に暗帯及び明帯を形成することがある。光学レンズに類似して、明帯は、ストリーク102における局所的なガラスの厚さ(突起)の増加によって成形される。ガラスの局所的な増厚は、典型的には、ガラスリボン12を横切る幅10mmから20mmの距離にわたって数百ナノメートル(nm)のオーダーの厚さ変化である。
【0066】
ストリーク102は、ガラスリボン12に光源からの光を照射し、ストリーク102の表面突出部又は表面窪みによるレンズ効果によって生じるスクリーン上の明るい部分及び暗い部分を特定することによって特定することができる。図5を参照すると、ガラスリボン12のストリークは、ストリーク検査システム108によって特定することができる。ストリーク検査システム108は、検査光源110及び検査スクリーン112を含むことができる。検査光源110は、ガラスリボン12の第1の表面に光114を配向するように配置することができる。検査光源110はキセノン光源であってもよい。検査スクリーン112は、ガラスリボン12を通過した光114が検査スクリーン112に入射するように、検査光源110とは反対側のガラスリボン12の両側面に配置することができる。
ガラスリボン12上のストリーク102の位置において、急激に変化するガラスの厚さは、検査スクリーン112上に明帯及び暗帯を生成する狭いレンズとして作用する。
【0067】
次に図5を参照すると、ガラスリボン12中の1又は2以上のストリーク102を特定するステップは、検査光源110からの光114をガラスリボン12に照射するステップを含むことができる。光114はガラスリボン12を通過し、検査スクリーン112に入射する。ストリーク102の領域におけるガラスの厚さの変化は、ストリーク102の領域を通過する光を屈折させるレンズとして作用し、検査スクリーン112上に明帯116及び暗帯118を形成する。ストリーク102を特定するステップは更に、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の厚さの変化による光114の屈折によって検査スクリーン112上に生じる明帯116、暗帯118又はその両方を特定するステップを含む。明帯116、暗帯118又はその両方は、ストリーク102の位置を特定する。暗い領域はガラスの薄い領域に対応し、明るい領域はガラスの厚い領域に対応する。
【0068】
明帯は、ガラスリボン12の残りの部分に対してストリーク102の位置で厚さが増加するようにガラスリボン12から突出するストリーク102によって生じる。図5に示すように、ストリーク102がガラスが厚くなる突出部を備える場合、ガラスの厚さの増加は、光を1又は2以上の焦点115に向かって集束させる凸状の集束レンズとして作用し、その結果、明帯116が生じる。ガラスリボン12のうち、ストリーク102の領域の外側の領域は、ガラスの厚さが増加する突出部を備えるストリーク102と比較して、検査スクリーン112上の光の暗い露光を生じる。
【0069】
暗帯は、ストリーク102の領域の外側のガラスリボン12の部分と比較してストリーク102の位置で厚さが減少するようにガラスリボン12に陥没しているストリーク102によって引き起こされる。ストリーク102が、ガラスが薄くなる凹部を備える場合、ガラスの厚さが減少することにより、光がレンズの焦点位置又はレンズの上流から離れるように広がる凹型発散レンズとして作用し、その結果、検査スクリーン112上に暗帯116が生じる。ガラスリボン12の、ストリーク102の領域の外側の領域は、ガラスの厚さがより小さい凹部を備えるストリーク102と比較して、検査スクリーン112上の光のより明るい露光を生じさせる可能性がある。
【0070】
各ストリーク102は、ガラスリボン12の幅に沿った離散的な位置であってよく、ガラスリボン12に沿って長手方向(すなわち、図3における座標軸の-Z方向)に延びてよい。ストリーク102の位置において、ガラスリボン12の厚さtは、約50mm未満、例えば約40mm未満のガラスリボン12の幅にわたって数百ナノメートルだけ変化(例えば、増加又は減少)することがある。ストリーク102の位置において、ガラスリボン12の幅Wの関数としてのガラスリボン12の厚さtの変化率は、ガラスを通過する光を集束又は収束させて、検査スクリーン112上に明帯及び暗帯を生じさせるのに十分とすることができる。ストリーク102の位置において、ガラスリボン12の幅Wの関数としてのガラスリボン12の厚さtの変化率は、幅1ミリメートル当たりの厚さが約1ナノメートル(nmt/mmW)以上であってもよい。例えば、ストリーク102の位置において、ガラスリボン12の幅Wの関数としてのガラスリボン12の厚さtの変化率は、約3nmt/mmW以上、約4nmt/mmW以上、約5nmt/mmW以上、約10nmt/mmW以上、約20nmt/mmW以上、又は更に約30nmt/mmW以上であってもよい。ストリーク102の重大度は、ガラスリボン12の幅の関数としてのガラスリボン12の厚さtの変化率における大きさを指す。一般に、ストリーク102の重大度が増加することは、ストリーク102の領域におけるガラスリボン12の最大厚さ(突出ストリーク)又は最小厚さ(凹状ストリーク)と、ガラスリボン12の幅W全体にわたって平均化されたガラスリボン12の平均厚さtとの差が大きくなることに対応する。
【0071】
再び図4を参照すると、ストリーク102はストリーク幅Wsを有し、このストリーク幅Wsは、本明細書では、ストリーク102の位置におけるガラスの厚さtの変化のガウス分布の半値全幅最大値として定義される。ガラスリボン12の厚さtの変化のガウス分布の全幅半分最大値とは、ガラスリボン12の厚さtの変化が、ストリーク102の領域におけるガラスリボン12の厚さtの変化の最大値の2分の1に等しくなる、ストリーク幅Wsに沿った2つの幅位置間の距離を指す。なお、ガラスリボン12の厚さtの変化量とは、ガラスリボン12の実際の厚さt及びガラスリボン12の全幅を平均した平均厚さとの差をいう。
【0072】
ストリーク102の各々は、約50mm以下、約40mm以下、約30mm以下、約20mm以下、又は更に約10mm以下であるストリーク幅Wsを有することができる。各ストリーク102は、約0.5mm以上、約1mm以上、約5mm以上、又は約10mm以上など、ゼロよりも大きいストリーク幅を有することができる。実施形態において、各ストリーク102は、約0.5mmから約50mm、約0.5mmから約40mm、約0.5mmから約30mm、約0.5mmから約20mm、約0.5mmから約10mm、約1mmから約50mm、約1mmから約40mm、約1mmから約30mm、約1mmから約20mm、約1mmから約10mm、約5mmから約50mm、約5mmから約40mm、約5mmから約30mm、約5mmから約20mm、約10mmから約50mm、約10mmから約40mm、約10mmから約30mm、又は約10mmから約20mmなど、0を超える幅から約50mmの幅を有することができる。ストリーク102の幅は、ガラスリボン12の幅Wに平行に測定され、図1から5の座標軸の+/-X方向に概ねある。ストリーク102は、ガラスリボン12の全長にわたって長さ方向(すなわち、図1から3における座標軸の+/-Z方向)に連続的に延びていてもよい。
【0073】
前述したように、ガラスリボン12のストリークは、電子デバイス用のスクリーンなどに限定されないが、ガラスリボン12から製造される製品に、表示画像に歪みを示す原因となる。ストリーク102の位置でガラスの厚さが変化することにより、これらの位置で光の屈折が生じ、その結果、ガラスを備えるスクリーンに表示される画像に歪みが生じることがある。従って、ガラスリボン12におけるストリークは、品質の問題及び/又は廃棄物の増加をもたらす可能性がある。従って、ストリークの重大度を低減することなどにより、溶融ドロープロセスから製造されたガラスリボンにおけるストリークを修復するためのシステム及び方法に対する継続的な必要性が存在する。
【0074】
ストリークを備えるガラスリボンの局所的な肥厚(突出)は、ガラスリボン12が張力下にあるドロープロセスにおいて、ガラスの粘度が使用範囲(104から7.6×107.6ポアズ)内にある間に、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82を局所的に加熱することによって緩和することができる。ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、及び/又は第2のハーフリボン82の局所加熱は、ガラスが張力下にある場合(例えば、引張ローラ、重力の力等)、局所的なガラス粘度を低下させ、及び薄肉化が達成される。ガラスリボンの局所加熱に使用される従来の抵抗加熱器は、典型的には、ガラスの広い領域(例えば、幅が100mmを超える)を加熱し、ストリーク102の領域で制御された局所加熱を生じさせるのに有効ではない。このように、標的を絞った局所加熱を行うことができないため、ガラスリボンには、ストリークを修復するどころか、更なる異常が生じる可能性がある。
【0075】
本出願は、ストリーク102に関連するガラスリボン12の厚さの変化を滑らかにするために、成形体50の根元46の近傍のガラスに十分に制御された電力で高分解能加熱を行うことにより、例えば溶融ダウンドロープロセス、アップドロープロセス、スロットドロープロセス又はリドロープロセス等のドロープロセスにおけるストリークを修復するシステム及び方法に配向されている。ストリークの位置でのガラスの高分解能加熱は、粘度を下げ、及びガラスの局所的な厚さを減少させる(質量保存のため、すぐ隣接する領域の厚さは相対的に高くなる)。この技術は、局所的な高分解能加熱によって、厚さを減少させ、及び又は幅の関数としてのガラスリボン12の厚さの変化の勾配を減少させることによって機能する。本開示のシステム及び方法は、加熱レーザ及びレーザビームを修正し、レーザビームをストリークの位置に配向するように構成された光学構成要素を含む。レーザビームは、よく制御された出力で高分解能加熱(例えば、幅50mm未満の加熱)を提供する。レーザの指向性及び空間的によく定義された性質により、加熱レーザはガラスの局所加熱に非常に効果的である。
【0076】
本出願のシステム及び方法は、ガラスリボンにおけるストリークの重大度を低減し又は除去することができ、これにより、ガラスリボンから作られた電子ディスプレイ上に表示される画像の歪みのような、ガラスリボンから作られた物品を通過する光の歪みを低減し又は除去することができる。ガラスリボンを通過する光の歪みを低減することは、ひいては、品質問題を低減し、及びガラス成形プロセスから生じる廃棄物を低減することができる。本開示のシステム及び方法は、周囲のガラスの温度を変化させることなく、又はガラス成形装置に損傷を与えることなく、ストリーク領域の非接触の直接加熱を提供することができる。本願発明のシステム及び方法は、熱を導入することなく、又はストリークの領域を超えてガラスの粘度を変化させることなく、ストリークの重大度を低減することができる。本開示のシステムは、構造が単純であり、費用効率が高く、可動部品をほとんど含まないため、システムの信頼性が高く、及び保守が容易とすることができる。本開示のシステムの構成部品はコンパクト且つ軽量であり、ガラス成形装置の多くの場所に取り付けることができる。光学系のフットプリントは小さく、既存のマッフル設計の溶融ドロー装置及びスロットドロー装置に、大幅な改造なしに取り付けることができる。また、このシステムは、ガラスリボン12が製造されている間、ガラス成形工程を停止することなく、既存のマッフルにホットインストールすることができる。
【0077】
次に図6を参照すると、溶融ダウンドロープロセス、溶融アップドロープロセス、スロットドロープロセス、又はリドロープロセスに限定されないが、ガラス成形装置10によって製造されたガラスリボン12のストリークを修復するためのシステム200の一実施形態が概略的に描かれている。システム200は、レーザビーム202を生成する加熱レーザ210と、レーザビーム202の1又は2以上の特性を変化させる、レーザビーム202をストリーク102の位置に配向する、又はその両方を行うように構成された1又は2以上の光学構成要素220とを含む。光学構成要素220は、レーザビーム202をコリメート、拡大、又は集束させることができる。実施形態において、光学構成要素220は、レーザビーム202をコリメートされたレーザビームに変換するように動作可能なコリメートレンズを含むことができる。加熱レーザ210及び光学構成要素220は、レーザビーム202を、ガラスリボン12又はガラスリボン12の第2の部分(例えば、第1のハーフリボン62、第2のハーフリボン82、又は両方)に、ストリーク102(図3)の位置で配向するように位置決め可能であってもよい。システム200は、レーザビーム202をストリーク102の位置のガラスリボン12又はその一部に向けて、ストリーク102の位置のガラスリボン12又はその一部の高分解能加熱を提供するように動作可能とすることができる。高分解能加熱とは、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、第2のハーフリボン82、又はそれらの組み合わせを、約50mm以下、約40mm以下、約30mm以下、更には約20mm以下の幅領域(例えば、+/-X方向)にわたって標的加熱することを指す。ストリーク102の位置におけるガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の高分解能加熱は、ストリークにおけるガラスの粘度を局所的に低下させる可能性があり、これにより、ストリークが少なくとも部分的に改善される(例えば、ストリークの位置におけるガラスリボン12の厚さの変化率を低下させることにより、ストリークの重大度を低下させる)可能性がある。
【0078】
加熱レーザ210は、レーザビーム202を生成可能なデバイスである。レーザビーム202は、単一の丸いレーザビーム又は単一の楕円形状のレーザビームとすることができる。加熱レーザ210によって生成されるレーザビーム202は、固定レーザビームであってもよく、これは、レーザビーム202が固定ビーム経路に沿って伝搬することを意味し、加熱レーザ210及び加熱レーザ210からダウンビームに配置された光学構成要素の位置によって決定することができる。
【0079】
レーザビーム202は、レーザビーム202がガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82のガラスを加熱するためにガラスに吸収され、ガラスを通過してガラス成形装置10に衝突しない波長範囲の波長を有することができる。ケイ酸塩ベースのガラスは、約4マイクロメートル(μm)以上の波長を有する光に対して強い吸収を有するので、ストリーク102の位置でガラスリボン12又はハーフリボンを加熱するためのレーザビーム202を生成するための加熱レーザ210として、多くの異なるレーザ光源を使用することができる。加熱レーザ210は、赤外波長領域の波長を有するレーザビーム202を生成するように動作可能であってもよい。加熱レーザ210は、約1μm以上、約2μm以上、約3μm以上、約4μm以上、又は更には約8μm以上の波長を有するレーザビーム202を生成するように動作可能とすることができる。加熱レーザ210は、約12μm以下、更には約10μm以下の波長を有するレーザビーム202を生成するように動作可能であってもよい。加熱レーザ210は、約1μmから約12μm、約1μmから約10μm、約2μmから約12μm、約2μmから約10μm、約3μmから約12μm、約3μmから約10μm、約4μmから約12μm、約4μmから約10μm、約8μmから約12μm、又は約8μmから約10μmの波長を有するレーザビーム202を生成するように動作可能であってもよい。
【0080】
加熱レーザ210は、COレーザ、CO2レーザ、量子カスケードレーザ(QCL)、又は他のタイプの適切なレーザであってもよい。特に、加熱レーザ210は、5.6μmの波長で動作する1又は2以上のCOレーザ;9.3μm、9.6μm、10.6μm、又は11.2μmの波長等、9μmから11.2μmの波長で動作するCO2レーザ;又は中から遠赤外(FIR)スペクトル(3から12ミクロン)にわたって放出することができる低出力量子カスケードレーザ(QCL)を含むことができるが、これらに限定されない。実施形態において、加熱レーザ210は、大気透過及びガラス吸収特性を考慮して、約3μmから約12μm、又は更に約8μmから約12μmの放出波長を有するQCLであってもよい。加熱レーザ210は、連続レーザ又はパルスレーザのレーザビーム202を生成するように動作することができる。連続レーザは、一般的に下面ピークパワーを有し、ガラス表面温度を徐々に上昇させるが、パルスレーザは、一般的に高いピークパワーを有し、連続レーザに比べて短時間でガラス表面温度をより大きく上昇させる。レーザビームは、コリメートされたものであっても、コリメートされていないものであってもよい。実施形態において、加熱レーザ210によって生成されるレーザビーム202は、コリメートされたレーザビームであってもよい。実施形態において、レーザビーム202は、本明細書において更に議論されるように、加熱レーザ210からダウンビームに配置されたコリメートレンズを使用してコリメートされてもよい。
【0081】
加熱レーザ210は、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82をストリーク102の位置で加熱するのに十分なパワーを有する。必要なパワーは、レーザビーム202の波長におけるガラス吸収に依存し、及びレーザビーム202がガラスリボン12に配向するか、又はガラス製造装置の成形体50又は他の構成要素に接触したままの第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82に配向するかに依存することができる。従って、レーザビーム202のパワーは、線形平均パワー密度によって特徴付けることができる。レーザビーム202の線形平均パワー密度PSは、ストリーク除去のための吸収レーザパワーPの範囲を指す。線形平均パワー密度PSは、以下の式1(式1)に従って計算することができる。
【0082】
【数1】
【0083】
加熱レーザ210によって生成されたレーザビーム202は、ストリーク102を修復するために、ストリーク102の位置でガラスリボン12を加熱するのに十分な線形平均パワー密度を有することができる。実施形態において、レーザビーム202は、約10ミリワット/ミリメートル(mW/mm)から約10ワット/ミリメートル(W/mm)の線形平均パワー密度を有することができる。
【0084】
加熱レーザ210は、レーザビーム202の波長に応じて、約0.001W/mmから約10kW/mmの絶対線形平均電力を有することができる。レーザビーム202のパワー又は線平均パワー密度が小さすぎる場合、レーザビーム202のエネルギーは、ストリーク102を修復するのに十分なガラスを加熱するには不十分である可能性がある。レーザビーム202のパワー又は線形平均パワー密度が大きすぎる場合、レーザビーム202は、ストリーク102を過熱し、及び/又はストリーク102の領域よりも大きいガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の領域を加熱し、ガラスに更なる物理的欠陥を生じさせる可能性がある。加熱レーザ210の出力は、レーザビーム202によるガラスの加熱量を調整するために調整されてもよい。加熱レーザ210は、有線又は無線の通信経路を介して制御システム300と通信可能に結合されてもよい。加熱レーザ210と制御システム300との間の通信は、システム200、ガラスリボン12、又はその両方の1又は2以上の測定パラメータに基づいて、加熱レーザ210及びその出力電力の制御を可能にすることができる。
【0085】
加熱レーザ210は、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82のうち、ストリーク102の領域を超える領域を過熱することなく、ストリーク102の位置でガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82のガラスを加熱するのに十分なビーム幅を有するレーザビーム202を生成する。レーザビーム202のビーム幅は、レーザビーム202がガラスの表面に入射するビーム経路に沿った位置で決定されるレーザビーム202の1/e2幅を指す。レーザビーム202の1/e2幅とは、レーザビーム202の強度分布において、レーザビーム202の光の強度が最大強度の1/e2(0.135)倍の値を下回るビームの2点間の距離を指す。実施形態において、加熱レーザ210によって生成されるレーザビーム202は、ストリーク幅Wsの約50%以内、例えばビーム幅Wsの約25%以内又は更に約10%以内のビーム幅を有することができる。換言すれば、レーザビーム202は、ビーム幅とストリーク幅Wsとの差の絶対値がストリーク幅Wsの約50%未満、例えば約25%未満又は更には約10%未満であるようなビーム幅を有してもよい。実施形態において、レーザビーム202は、約50mm以下のビーム幅を有してもよい。レーザビーム202は、約40mm以下、約30mm以下、約20mm以下、又は更には約10mm以下のビーム幅を有してもよい。レーザビーム202は、約1mm以上、又は約5mm以上など、ゼロよりも大きいビーム幅を有することができる。実施形態において、レーザビーム202は、約0.1mmから約50mm、約0.1mmから約40mm、約0.1mmから約30mm、約0.1mmから約20mm、約0.1mmから約10mm、約0.5mmから約50mm、約0.5mmから約40mm、約0.5mmから約30mm、約0.5mmから約20mm、約0.5mmから約10mm、約1mmから約50mm、約1mmから約40mm、約1mmから約30mm、約1mmから約20mm、約5mmから約50mm、約5mmから約40mm、約5mmから約30mm、又は約5mmから約20mmなど、ゼロより大きいビーム幅から約50mmのビーム幅を有することができる。レーザビーム202のビーム幅は、レーザビーム202を集束(収束)又はデフォーカス(発散)させる光学構成要素を含むことによって変更することができる。
【0086】
レーザビーム202は、ストリーク102の位置におけるガラス厚さのばらつきを更に低減する形状にすることができる。レーザビーム202のビーム形状とは、レーザビーム202がガラスリボン12、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82の表面に入射するビーム経路上の位置におけるレーザビーム202の断面形状を指す。レーザビーム202は、断面が概ね円形のビーム形状を有することができる。実施形態において、レーザビーム202は、断面が楕円であるビーム形状を有することができる。ビーム形状に加えて、レーザビーム202は、ガラス厚さのばらつきを更に低減するように調整することができる強度分布を有することができる。レーザビーム202の強度分布は、レーザビーム202のビーム形状の断面内の位置の関数としてのレーザビーム202の光の強度を指す。実施形態において、レーザビーム202は、ガウス分布に似た強度分布を有することができる。実施形態において、レーザビーム202は、レーザビーム202の中心からの半径の関数としての強度の2次元グラフがトップハットの形状、例えばステップ関数に類似するように、レーザビーム202の光の強度がビーム形状全体にわたって概ね一定であるトップハット強度分布を有することができる。レーザビーム202のビーム形状及び強度分布は、ストリーク102のストリーク幅Wsに沿ったガラスリボン12の厚さプロファイルに基づいて変更することができる。レーザビームのビーム形状及び強度分布の変更は、例えば回折光学構成要素を用いて実現することができる。
【0087】
再び図6を参照すると、ストリークを修復するためのシステム200は、レーザビーム202の1又は2以上の特性を変更する又はレーザビーム202のビーム経路を変更するように構成された光学構成要素220を含むことができる。光学構成要素220は、様々なレンズ、ミラー、ビームスプリッタ、プリズム、フィルタ、又はレーザビーム202の特性又はビーム経路を変更するように動作可能な他の光学構成要素を含むことができる。光学構成要素220は、加熱レーザ210からのレーザビーム202をコリメートされたレーザビームに変換するように構成することができるコリメートレンズを含むことができる。実施形態において、コリメートレンズは、ZnSeコリメートレンズであってもよい。コリメートレンズは、加熱レーザ210とガラスリボン12との間など、加熱レーザ210に対してダウンビームに配置されてもよい。光学構成要素220は、レーザビーム202をそれぞれストリーク102の位置に集束、拡大、及び/又は誘導するための1又は2以上の集束レンズ、発散レンズ、及び/又はミラー(図示せず)を更に備えることができる。
【0088】
ストリーク102を修復するためのシステム200は、1又は2以上のビームスプリッタ230を更に備えることができる。ビームスプリッタ」という用語は、単一のレーザビームを2又は3以上の別個のビーム経路(例えば、1又は2以上の静止ビーム)に分割する光学構成要素を指す。ビームスプリッタ230は、プリズム、1又は2以上の回折光学構成要素、アキシコン、又はレーザビーム202を少なくとも2つの別個のビームに分割するように構成された他のデバイスとすることができる。再び図6を参照すると、ビームスプリッタ230は、レーザビーム202を、レーザビーム202の通過部分232及びレーザビーム202の測定部分234に分割するように動作可能であってもよい。実施形態において、ビームスプリッタ230は、レーザビーム202がコリメートされた後に、ビームスプリッタ230がレーザビーム202を通過部分232及び測定部分234に分割するように、コリメートレンズに対してダウンビームに配置されてもよい。システム200は、レーザビーム202の特性を変更する又はレーザビーム202のビーム経路を変更するための1又は2以上の他の集束レンズ、発散レンズ、整形レンズ、ミラー、ビームスプリッタ、フィルタ、プリズム、回折光学構成要素、アキシコン等を更に含むことができる。
【0089】
加熱レーザ210は、溶融ドロープロセスを具現化する溶融ドロー装置、又はスロットドロープロセスを具現化するスロットドロー装置、又は他のガラス成形装置のような、ガラス成形装置10に取り付けられた固定具(図示せず)に取り付けることができる。実施形態において、加熱レーザ210及び光学構成要素220は、ガラス成形装置10のマッフル(図示せず)に取り付けることができる。マッフルは、溶融ドロープロセス、特に成形体50及びそれから製造されるガラスリボン12等のガラス成形装置10の一部又は全部を包囲する絶縁シュラウドであってもよい。固定具は、加熱レーザ210、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230を垂直方向(例えば、図1から6の座標軸の+/-Z方向)及び/又は水平方向(例えば、図1から6の座標軸の+/-X方向及び/又は+/-Y方向)に位置決めするように動作可能であってもよい。加熱レーザ210及び光学構成要素220は、レーザビーム202がストリーク102の位置又はその近傍でガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に入射するように、幅方向(例えば、+/-X方向)に配置することができる。
【0090】
再び図6を参照すると、加熱レーザ210、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230は、ガラスが約104ポアズから約7.6×107.6ポアズの作業範囲の粘度を有する垂直位置(すなわち、図6の座標軸の+/-Z方向の位置)で、レーザビーム202をガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に配向するように垂直に配置することができる。ガラスのこの粘度範囲において、レーザビーム202による加熱は、ガラスを加熱して、ガラスがストリーク102を修復するために張力下で薄肉化又は弛緩することができる点までガラスの粘度を低下させるのに有効とすることができる。図6に示すように、実施形態において、ガラス成形プロセスは、融解ダウンドロープロセスであってもよく、加熱レーザ210、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230は、レーザビーム202を、成形体50の根元46の垂直上方の位置(すなわち、 根元46に対する図15の座標軸の+Z方向)であって、第1のハーフリボン62及び第2のハーフリボン82が溶融されてガラスリボン12を形成する前の位置である。図6では、レーザビーム202が第1のハーフリボン62に配向されているように示されているが、ストリーク102の疑いのある発生源に応じて、レーザビーム202は、第1のハーフリボン62、第2のハーフリボン82、又はその両方に配向されていてもよい。
【0091】
ここで図15を参照すると、幾つかの実施形態では、ガラス成形プロセスは、溶融ダウンドロープロセスであってもよく、加熱レーザ210、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230は、成形体50の根元46の垂直下方の位置(すなわち、根元46に対する図15の座標軸の-Z方向)のガラスリボン12にレーザビーム202を配向するように垂直方向に配置されてもよい。ここで図16を参照すると、実施形態において、ガラス成形プロセスは、溶融ダウンドロープロセスであってもよく、システム200は、根元46の上方の第1のハーフリボン62上のストリーク位置にレーザビーム202を配向するように位置決めされた1つの加熱レーザ210、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230と、根元46の上方の第2のハーフリボン82上のストリーク位置に別のレーザビーム202’を配向するように位置決めされた別の加熱レーザ210’、光学構成要素220’、及びビームスプリッタ230’とを含んでもよい。
【0092】
再び図6を参照すると、実施形態では、システム200は、少なくとも1つのパワー検出器240を更に含むことができる。パワー検出器240は、レーザビーム202のパワーを測定し、及びレーザビーム202のパワーを示す信号を出力するように動作可能であってもよい。パワー検出器240は、レーザビームを吸収し、測定されるレーザビームのパワーを示すパワー信号を生成することができる任意のデバイスであってよい。パワー信号は、デジタル又はアナログであり、有線又は無線の通信方法又は媒体を介して伝搬することができる。少なくとも1つのビームスプリッタ230は、レーザビーム202の測定部分234をパワー検出器240に配向するように動作可能である。実施形態において、パワー検出器240は、ビームスプリッタ230からレーザビームの測定部分234を受信するように配置されてもよい。パワー検出器240は、有線又は無線の通信経路を介して制御システム300と通信可能に結合されてもよい。パワー検出器240によって生成された電力信号は、制御システム300に通信することができる。実施形態において、パワー検出器240によって生成されたパワー信号は、加熱レーザ210の出力パワーのフィードバック制御において使用されてもよい。
【0093】
再び図6を参照すると、実施形態において、システム200は、サイトレーザ250を更に含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「サイトレーザ」は、レーザビームの位置の視覚的表示を提供する目的で、人間が視認可能であり、及びレーザビーム202と同じビーム経路に沿って配向することができるサイトレーザビームを生成する低出力レーザを指す。サイトレーザ250は、低出力及び380nmから700nmの波長などの可視スペクトル内の波長を有するサイトレーザビーム252を生成するように動作可能であってもよい。レーザビーム202は、赤外領域の波長を有する場合があり、人間の目には見えない場合がある。このため、レーザビーム202がガラスリボン12のどこに入射しているかを判断することが困難な場合がある。レーザビーム202がガラスリボン12上及び/又は成形体50上(例えば、成形体50の第1の成形面44又は第2の成形面45上)に入射している位置を確認するために、サイトレーザビーム252を使用することができる。サイトレーザビーム252は、サイトレーザビーム252のビーム経路がレーザビーム202のビーム経路と共線上にあるように、レーザビーム202と同じビーム経路に沿って配向することができる。実施形態において、サイトレーザビーム252は、レーザビーム202と同軸及び/又は共線上にあるように1又は2以上の光学構成要素によって配向することができる。
【0094】
サイトレーザビーム252は、可視スペクトル内にある波長を有することができる。サイトレーザ250は、約400nmから約700nmの範囲の波長を有するサイトレーザビーム252を生成することができるレーザであってもよい。実施形態において、サイトレーザビーム252は、約400nmから約550nmなどの約550nm未満の波長を有することができる。波長が約550nmより大きい場合、サイトレーザビーム252は、溶融ガラス及び成形体50から放出される光に対してより観察し難くなる可能性がある。実施形態において、サイトレーザ250は、約500nmから約550nmの波長を有するサイトレーザビーム252を生成する低出力グリーンレーザであってもよい。
【0095】
システム200は、レーザビーム202と同じビーム経路に沿ってサイトレーザビーム252を配向するように配置されたサイトレーザ光学構成要素(図示せず)を更に含むことができる。実施形態において、サイトレーザ光学構成要素は、ビームスプリッタ230を含むことができる。実施形態において、ビームスプリッタ230は、レーザビーム202の通過部分232のビーム経路など、レーザビーム202のビーム経路に沿ってサイトレーザビーム252を反射するように動作可能であってもよい。
【0096】
ここで再び図3から6を参照して、ストリーク102を修復するためのシステム200の動作を更に詳細に説明する。図3を参照すると、ガラス成形装置10は、溶融ドロープロセスを通じてガラスリボン12を形成するように動作することができる。ガラス成形プロセス中、ガラスリボン12は、引張ローラ90を用いて張力下に維持することができる。ストリーク102の修復中にガラスリボン12を張力下に維持することにより、ガラスに引張力が生じ、レーザビーム202で加熱されたときにガラスが薄肉化する可能性がある。図5を参照すると、ガラスリボン12上の1又は2以上のストリーク102の特徴は、ストリーク検査システム108によって特定することができる。次いで、システム200は、レーザビーム202又はその任意の部分(例えば、レーザビーム202の通過部分232)をストリーク102の位置に配向するように動作することができる。レーザビーム202は、レーザビーム202の特性及び/又はビーム経路を変化させ得る、コリメートレンズ、ビームスプリッタ230、又は他の光学構成要素のような、しかしこれらに限定されない、1又は複数の光学構成要素220を通過することができる。
【0097】
次に、図7A及び図7Bを参照して、突起を備えるストリーク102の処理であって、ストリーク102においてガラス厚さが増加する処理について説明する。図7Aに示すように、レーザビーム202は、ストリーク102の最も厚い部分に照射される。ストリーク102に入射したレーザビーム202又はその一部は、ストリーク102の位置でガラスリボン12又はその一部を加熱する。レーザビーム202又はその任意の部分による、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の標的高分解能(例えば、幅50mm未満)加熱は、ガラスの粘度を低下させ、これによりガラスは張力下で薄肉化する。ここで図7Bを参照すると、ガラスの薄肉化は、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の厚さ、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の厚さの変化率、又はその両方を低減させる可能性がある。図7Bに示すように、ストリーク102の幅にわたる厚さの変化率は、処理前のストリーク102(図7A)と比較して減少する。このように、レーザビーム202又はその任意の部分をストリーク102の特徴に配向し、レーザ出力を調整し、及びガラスリボン12を張力下に維持することにより、ストリーク102を除去又は著しく減少させることができる。
【0098】
次に、図8A及び図8Bを参照して、ストリーク102においてガラス厚さが減少する、凹部を備えるストリーク102の処理について説明する。凹部型のストリークの場合、図7Aに示すようにレーザビーム202をストリーク102の中心に配向すると、ストリーク102の中心でガラスが更に薄肉化し、凹部型のストリーク102の重大度が増す。その代わりに、凹状ストリークの場合、レーザビーム202は、ストリーク102の一方又は両方の縁部、又はストリーク102のすぐ先のガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の領域に配向する。レーザビーム202をストリーク102の外側縁部に近接する1又は2以上の位置に配向することにより、ガラスリボン12をストリーク102の縁部で薄肉化することができる。この縁部での薄肉化により、ストリーク102の幅が広くなり(すなわち、ストリーク幅Wsが大きくなり)、厚さの変化がより大きな距離にわたって分散され、ストリーク102の領域におけるガラスリボン12の厚さの変化の傾きが小さくなる。
【0099】
図8Aを参照すると、システム200は、レーザビーム202を第1のビーム272及び第2のビーム274に分割するように動作可能な第2のビームスプリッタ270を含むことができる。第2のビームスプリッタ270を有するシステム200の更なる説明は、図10に関連して提供される。図8Aに示すように、第2のビームスプリッタ270は、第1のビーム272及び第2のビーム274が距離Dだけ離間するようにレーザビーム202を分離するようにサイズ及び構成することができる。距離Dは、第1のビーム272及び第2のビーム274間の中心間距離である。距離Dは、距離Dとストリーク102の半値全幅との差の絶対値が、ストリーク102の半値全幅の約100%未満、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、又は更に約5%以下となるように十分である。距離Dは、凹部型のストリーク102の処理の場合、約50mm以下、又は約40mm以下とすることができる。第1のビーム272と第2のビーム274との間の距離D、及び凹部型のストリーク102に対する第1のビーム272及び第2のビーム274の位置決めは、凹部型のストリーク102の位置におけるガラスリボン12の形状プロファイルによって決定することができる。第1のビーム272及び第2のビーム274は、凹部型のストリーク102の外側領域に、又はストリーク102を少し超えて配向することができる。第1のビーム272及び第2のビーム274は、凹部型のストリーク102の外側縁部に近接するガラスリボン12の標的高分解能加熱(例えば、幅50mm未満)を生じさせることができる。この標的加熱は、凹部型のストリーク102の外側縁部に近接するガラスの粘度を低下させ、ストリーク102の外側縁部でガラスを薄肉化させる可能性がある。ガラスの薄肉化は、凹部型のストリークの縁部におけるガラスリボン12の局所的な薄肉化を引き起こす可能性があり、これにより、ストリーク幅Wsを増大させ、それにより、ガラスの厚さの総変化をガラスリボン12のより大きな幅に分散させる可能性がある。従って、幅の関数としての厚さの変化は減少し、ストリーク102の重大度を減少させる。
【0100】
物質の保存により、ガラスの一部がストリークの中心に向かって変位又は移動することがあり、これにより、凹部型のストリーク102の中心におけるガラスの局所的な肥厚が生じ、凹部型のストリーク102の領域におけるガラスの厚さの変化率が更に減少する。次に図8Bを参照すると、第1のビーム272及び第2のビーム274による凹部型のストリーク102の処理後のガラスリボン12が概略的に描かれている。図8Bに示すように、凹部型のストリーク102の外側縁部における第1のビーム272及び第2のビーム274による処理は、幅の関数としての厚さの変化率を低減することができ、それにより、凹部型のストリーク102の重大度を低減することができる。レーザビーム202を2つの別個のビームに分割するという観点で図示及び説明したが、実施形態では、凹部型のストリーク102の重大度は、ストリーク102の縁部の1つに近接した単一の位置でレーザビーム202を配向することによって低減することができる。場合によっては、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82を、一方の縁部のみに近接するレーザビーム202で加熱することは、ストリーク102を広げて、ストリーク102の位置にわたる幅の関数としての厚さの変化を低減するのに十分とすることができる。
【0101】
レーザビーム202、又はその任意の部分は、ガラスリボン12の連続的な製造のために、ストリーク102の特徴と接触した状態に維持される。更に、システム200の動作は、レーザビーム202のビーム経路に沿って反射されたサイトレーザビーム252でレーザビーム202又はその任意の部分を位置決めすることを含むことができる。実施形態において、ビームスプリッタ230は、レーザビーム202又はその一部のビーム経路に沿ってサイトレーザビーム252を配向するように動作可能であってもよく、サイトレーザ252は、ガラスリボン12上のレーザビーム202又はその一部の位置を示すように動作可能である。
【0102】
システム200は、ガラスリボン12のストリーク102を特定した時点で初期設定される。システム200のセットアップは、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82において、少なくともストリーク102の一般的な領域内の位置にレーザビーム202を配向することを含むことができる。レーザビーム202は、ガラスリボン12の厚さの変化を生じさせるのに十分な第1のパワーレベルを最初に有することができる。実施形態において、レーザビーム202の第1のパワーレベルは、約0.5W以上である場合がある。レーザビーム202がガラスリボン12、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82に入射する位置は、レーザビーム202に応答するガラスリボン12の厚さの変化を測定することによって特定することができる。レーザビーム202がガラスに入射する位置において、レーザビーム202はガラスを加熱し、これによりガラスリボン12の厚さプロファイルがレーザビーム202の位置において変化する。従って、ガラスリボン12の厚さの変化は、レーザビーム102がガラスリボン12、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82に接触している位置の指標を提供することができる。レーザビーム202の位置が特定されると、次に、加熱レーザ210及び/又は光学構成要素220の位置を調整して、レーザビーム202をストリーク102の位置に配置することができる。レーザビーム202のパワーは、第1のパワーレベル未満の第2のパワーレベルまで低減することができる。レーザビーム202の第2のパワーレベルは、ストリーク102を修復するのに十分とすることができる。加熱レーザ210の位置及びパワーは、ストリーク102の重大度及び厚さプロファイルに基づいてレーザビーム202を微調整するように調整することができる。レーザビーム202のパワー、位置、ビーム幅、ビーム形状、ビーム強度分布、又はこれらの組み合わせの1又は2以上が、ストリーク102の幅、重大度、厚さプロファイル、及び位置に応じて調整することができる。
【0103】
前述したように、レーザビーム202のビーム形状、強度分布、又はこれらの両方は、ストリーク102の幅、重大度、形状、及び位置に応じて、レーザビーム202によって得られる加熱を調整するように変更されてもよい。システム200は、レーザビーム202のビーム形状、強度分布、又はその両方を変更するように動作可能な回折光学構成要素又は他の光学構成要素を更に備えることができる。システム200の動作は、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の幅、重大度、及び/又は形状(厚さプロファイル)の1又は2以上を決定することと、ストリーク102の位置におけるガラスリボン12の幅、重大度、及び/又は形状(厚さプロファイル)に基づいてレーザビーム202のビーム形状、強度分布、又はその両方を変更することとを更に含むことができる。実施形態において、レーザビーム202は、トップハット強度分布又はガウス強度分布を有することができる。本明細書で使用されるように、「トップハット」強度分布は、光強度がレーザビームの断面積にわたって概ね一定である強度分布、例えば、光強度がレーザビームの断面積にわたる平均光強度の10%以内である強度分布を指す。ガウス分布の場合、光強度はレーザビームの中心で最大となり、及びレーザビームの中心から離れるにつれて減少する。
【0104】
実施形態において、システム200は、加熱レーザ210からガラス成形装置10に結合された固定具にレーザビーム202を送出することができる可撓性レーザビーム送出システムを含むことができる。可撓性レーザビーム送出システムは、光ファイバケーブルシステム又は関節アーム式レーザビーム送出システムであってもよい。フレキシブルなレーザビーム送出システムは、加熱レーザ210をガラス成形装置10から離れた場所に配置することを可能にすることができる。これにより、スペースの制約により加熱レーザ210をガラスリボン12、第1のハーフリボン62又は第2のハーフリボン82の近くに配置することが困難な場所にレーザビーム202を送出するためにシステム200を使用することができる場合がある。
【0105】
次に図9を参照すると、実施形態において、システム200は、ガラス成形装置10から離れた場所に取り付けられた加熱レーザ210と、加熱レーザ210からガラス成形装置10及び又はガラスリボン12に近接した場所にレーザビーム202を送達するように構成された光ファイバケーブル260とを含むことができる。加熱レーザ210をガラス成形装置10から遠隔に取り付けるとは、加熱レーザ210をガラスリボン12からの視線の外に取り付けること、又はガラスリボン12からガラス成形装置10から距離だけ離間して取り付けることを意味し、その距離は、加熱レーザ210を、ビーム経路の頻繁な乱れなしに、大気に開放された光学構成要素を用いてガラスリボン12又はハーフリボンに効率的に配向することができない程度に大きい。光ファイバケーブル260は、加熱レーザ210に動作可能に結合されてもよく、加熱レーザ210からガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に近接した位置まで延びてもよい。光ファイバケーブル260は、中空コア光ファイバケーブル又は多結晶光ファイバケーブルであってもよい。
【0106】
システム200は、加熱レーザ210とは反対側の光ファイバケーブル260の端部に結合することができる光ファイバコネクタ262を更に含むことができる。光ファイバコネクタ262は、レーザビーム202を光ファイバケーブル260から大気中に遷移させるように構成されてもよい。光ファイバコネクタ262は、レーザビーム202をガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に配向するように配置することができる。光ファイバコネクタ262は、垂直方向(例えば、図9の座標軸の+/-Z方向)及び水平方向(例えば、図9の座標軸の+/-X方向及び/又は+/-Y方向)において、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に対して相対的に位置決め可能であってもよい。実施形態において、光ファイバコネクタ262は、固定具(図示せず)に結合することができる。固定具は、光ファイバコネクタ262、光学構成要素220及びビームスプリッタ230を垂直方向(例えば、図9の座標軸の+/-Z方向)及び/又は水平方向(例えば、図9の座標軸の+/-X方向及び/又は+/-Y方向)に位置決めするように動作可能であってもよい。光ファイバコネクタ260、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230は、レーザビーム202がストリーク102の位置又はその近傍でガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に入射するように、幅方向(例えば、+/-X方向)に配置することができる。光ファイバコネクタ262、光学構成要素220、及びビームスプリッタ230は、ガラスが104ポアズから7.6×107.6ポアズの使用範囲の粘度を有する垂直位置(すなわち、図9の座標軸の+/-Z方向の位置)で、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82にレーザビーム202を配向するように垂直に配置することができる。ガラスのこの粘度範囲において、レーザビーム202による加熱は、ガラスを加熱してガラスの粘度を、ガラスがストリーク102を修復するために張力下で薄肉化又は緩和し得る点まで低下させるのに有効とすることができる。
【0107】
再び図9を参照すると、システム200が光ファイバケーブル260及び光ファイバコネクタ262を含む場合、加熱レーザ210は、レーザビーム202を生成し、レーザビーム202を光ファイバケーブル260の端部に導入してもよい。レーザビーム202は、加熱レーザ210から光ファイバコネクタ262まで光ファイバケーブル260を伝搬することができる。光ファイバコネクタ262は、レーザビーム202を光ファイバケーブル260から大気に遷移させることができる。光ファイバコネクタ262は更に、レーザビーム202をガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82、又は光学構成要素220及びビームスプリッタ230に配向することができる。レーザビーム202は、レーザビーム202又はレーザビームのビーム経路の1又は2以上の特性を変更するように動作可能な光学構成要素220を通過することができる。その後、レーザビーム202の少なくとも第2の部分は、レーザビーム202がストリーク102の位置でガラスに入射するように、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に配向することができる。前述したように、レーザビーム202は、ストリーク102の位置でガラスを加熱し、ストリーク102を減少させる可ことができる。
【0108】
ここで図10を参照すると、状況によっては、ガラスリボン12は、ガラスリボン12の幅に沿った複数の位置に複数のストリーク102を発生させることがある。図10は、第1のストリーク102A及び第2のストリークl02Bを示しており、これらのストリークは、ガラスリボン12の幅に沿って互いに離間している場合がある。図10には2つのストリークが示されているが、ガラスリボン12は2以上のストリーク102を発達させ得ることが理解される。ガラスリボン12は、1、2、3、4、5、6又は6以上のストリークを形成することができる。ガラスリボン12が2又は3以上のストリーク102を有する状況では、システム200は、レーザビーム202を2又は3以上の固定レーザビームに分割し、2又は3以上の固定レーザビームの各々を、第1のストリーク102A、第2のストリーク102B、又は他のストリーク等のストリーク102の1つに配向するように構成することができる。レーザビームの各々は、それが配向するストリークのガラスを加熱する可能性があり、これにより、ストリークが減少することができる。このように、システム200は、ガラスリボン102内の複数のストリーク102を同時に修復するように構成することができる。
【0109】
再び図10を参照すると、システム200は、少なくとも1つの第2のビームスプリッタ270を含むことができる。第2のビームスプリッタ270は、ビームスプリッタ230に対してダウンビームに配置されてもよい。第2のビームスプリッタ270は、レーザビーム202、又はビームスプリッタ230からのレーザビーム202の通過部分232を、2、3、4、5、6、又は6以上の固定レーザビーム等の複数のレーザビームに分割するように動作可能であってもよい。第2のビームスプリッタ270は、1又は複数のビームスプリッタを含むことができる。実施形態において、第2のビームスプリッタ270は、レーザビーム202、又は通過部分232を、少なくとも第1のビーム272及び第2のビーム274に分割するように動作可能とすることができる。第2のビームスプリッタ270は、プリズム、回折光学素子、アキシコン、及びこれらの組み合わせの1又は2以上を含むことができる。
【0110】
システム200は、第1のビーム272及び第2のビーム274をそれぞれ第1のストリーク102A及び第2のストリーク102Bに配向するように構成された1又は複数の光学構成要素を更に含むことができる。実施形態において、システム200の光学構成要素は、少なくとも1つの第2の集束レンズ280を含むことができ、この第2の集束レンズ280は、第1のビーム272、第2のビーム274、又はその両方を複数のストリーク102A、102Bの位置に集束させるように動作可能とすることができる。
【0111】
図11を参照すると、前述したように、システム200は、加熱レーザ210又は光ファイバコネクタ262及び1又は2以上の光学構成要素が結合することができる固定具290を含むことができる。固定具290は、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に対するレーザビーム102の少なくとも水平位置(例えば、図11の座標軸の+/-X方向及び/又は+/-Y方向)を変更するように構成された位置決めステージ292であってもよい。固定具290は、ガラス成形装置10の少なくとも一部を取り囲むことができるマッフル92に結合することができる。マッフル92は、マッフル92の内部及びその中に含まれるガラスリボン12へのアクセスを可能にする1又は複数のポート94を備えることができる。固定具290は、レーザビーム202がポート94を通ってガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に通過できるように、ポート94のうちの1つに近接してマッフル92に取り付けられてもよい。
【0112】
マッフル92のポート94は一般に固定位置にあるので、固定具290は、ポート94に対するレーザビーム202又はその一部の角度を変更することなどにより、レーザビーム202のビーム経路を変更するために回転可能な位置決めステージ292であってもよい。位置決めステージ292の回転能力は、ストリーク102がガラスリボン12上のどこに位置するかに応じて、レーザビーム202がガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の幅方向(すなわち、図11における座標軸の+/-X方向)の著しく広い部分をカバーすることを可能にすることができる。位置決めステージ292は、枢動点でマッフル92に結合されたベースプレート294を含むことができる。加熱レーザ210又は光ファイバコネクタ262は、光学構成要素220、ビームスプリッタ230、パワー検出器240及び第2のビームスプリッタ270と共にベースプレート294に結合されることができる。サイトレーザ250(図6)もベースプレート294に結合することができる。
【0113】
ベースプレート294は、ガラスリボン12に対するレーザビーム202の角度を変更するために枢動点を中心に回転可能であってもよく、これにより、ガラスリボン12に対する水平位置(すなわち、図11の座標軸の+/-X位置における位置)を変更することができる。枢動点を中心とするベースプレート294の回転は、レーザビーム202をストリーク102に配向するために、レーザビーム202をガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82の幅に沿って水平に配置するように動作可能とすることができる。
【0114】
次に図12を参照すると、実施形態では、連接アームレーザビーム送出システム298が、加熱レーザ210からガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82にレーザビーム202を送出するために使用することができる。連接アームレーザビーム送出システム298は、加熱レーザ210からのレーザビーム202をガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に配向するように動作可能な複数の可動ジョイント及び複数のミラーを備えることができる。連接アームレーザビーム送出システム298は、制御可能な雰囲気を有する密閉されたビーム経路を提供することができる。連接アームレーザビーム送出システム198は、ガラスリボン12から離れた位置に配置された加熱レーザ210からガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82に近接した位置までレーザビーム202を送出するために、光ファイバケーブルの代わりに使用されてもよい。実施形態において、連接アームレーザビーム送出システム298は、光ファイバケーブルを通して送出するのに適したレーザビーム202と比較して、より大きな出力を有するレーザビーム202を送出するように動作可能とすることができる。
【0115】
再び図2図3、及び図6を参照すると、実施形態において、システムは、制御システム300を更に含むことができる。制御システム300は、プロセッサ302と、プロセッサ302に通信可能に結合されたメモリモジュール304と、メモリモジュール304に記憶された機械可読かつ実行可能な命令306とを含むことができる。図2及び図3を参照すると、制御システム300は、ストリーク102を修復するためのシステム200に通信可能に結合されている場合がある。ここで図6を参照すると、制御システム300がストリーク102を修復するためのシステム200に通信可能に結合されている場合、制御システム300は、加熱レーザ210、パワー検出器240、又はその両方に通信可能に結合されていてもよい。
【0116】
再び図6を参照すると、制御システム300は、システム200の一貫した動作を維持するために、長期間にわたってレーザビーム202の安定性を維持するように動作可能であってもよい。前述したように、システム200は、加熱ビーム202を通過部分232及び測定部分234に分割するように動作可能なビームスプリッタ230を含むことができる。レーザビーム202の測定部分234は、パワー検出器240に配向することができる。制御システム300は、パワー検出器240からの出力を受信し、パワー検出器240からの出力を使用して加熱レーザ210を制御することができる。特に、機械可読及び機械実行可能な命令306は、プロセッサ302によって実行されるとき、システムに、レーザビーム202のパワーを示すパワー検出器240からの信号を自動的に受信させ、パワー検出器240から受信された信号からレーザビーム202の測定されたパワーを決定させ、レーザビーム202の測定されたパワーに基づいて加熱レーザ210のパワー出力を調整させることができる。コンピュータ可読及び実行可能な命令306は、本願で議論される他の方法ステップのいずれかを実施するための指示を含むことができる。
【0117】
再び図3及び図6を参照すると、ストリークを修復するための本開示の方法が更に議論される。以下の方法ステップの何れも、制御プロセッサ302によるコンピュータ可読及び実行可能な命令306の実行を通じて、制御システム300を使用して達成することができる。ガラスリボン成形プロセス中にストリーク102を修復するための方法は、本明細書で先に説明したガラスリボン成形プロセスの何れであってもよいガラス成形プロセスを用いてガラスリボン12を形成するステップを含むことができる。方法は、ガラスリボン成形プロセス中にガラスリボン12を張力下に維持するステップを含むことができる。方法は更に、ガラスリボン12の単位幅当たりのガラスリボン12の厚さの変化率が、約3nmt/mmW以上、約4nmt/mmW以上、約5nmt/mmW以上、約10nmt/mmW以上、約20nmt/mmW以上、又は更に約30nmt/mmW以上など、約1nmt/mmW以上であるガラスリボン12の幅Wに沿った位置におけるガラスリボン12のストリーク102を特定するステップを含むことができる。ストリーク102は、約50mm以下のストリーク幅Ws(図4)を有することができる。ストリーク102の同定は、本明細書で既に説明した技術のいずれかによって達成することができる。ストリーク102は、本明細書においてストリーク102について先に説明した他の特徴又は特性のいずれかを有することができる。方法は、レーザビーム202をストリークの位置に配向することを更に含む。レーザビーム202は、約1μmから約12μmの波長を有することができる。レーザビーム202は、本明細書で既に論じた他の特徴又は特性のいずれかを有することができる。レーザビーム202は、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82をストリーク位置又はその近傍で加熱する。ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82がストリークの位置で、又はストリークの位置に近接して加熱されることにより、ガラスの粘度が低下して、ストリークの位置でのガラスリボン12の厚さが減少するか、ストリークの位置でのガラスリボン12の厚さの変化率が減少するか、又はその両方が減少する。
【0118】
レーザビーム202は、約10mW/mmから10W/mmの線形平均パワー密度を有することができる。レーザビーム202は、ストリークの幅及び厚さ、レーザビームの波長、及びレーザビーム202の垂直位置に応じて、約0.1ワット(W)から約50Wのパワーを有することができる。レーザビーム202は、ストリーク幅にわたるガラスリボン12の厚さの変化の半値全幅未満を有することができ、ビーム幅は、レーザビーム202がガラスリボン12に入射する点におけるレーザビーム202の1/e2幅として定義される。実施形態において、レーザビーム202は、約50mm以下、約40mm以下、約30mm以下、約20mm以下、又は約10mm以下であるビーム幅を有してもよい。レーザビーム202は、パワー、波長、幅、位置、形状、強度分布等、レーザビーム202について本明細書で既に説明した他の特徴又は特性のいずれかを有することができる。
【0119】
本明細書に開示される方法のいずれかは、ストリーク102の幅、厚さプロファイル、又はこれらの両方を決定すること、及びストリーク102の幅、厚さプロファイル、又はこれらの両方に基づいてレーザビーム202のパワー、位置、形状、強度分布、又はこれらの組み合わせの1又は2以上を調整することを更に含むことができる。実施形態において、方法は、ストリーク102のストリーク幅にわたる等、ストリーク位置におけるガラスリボン12の厚さプロファイルを決定すること、及びストリークの幅にわたるガラスリボン12の厚さプロファイルに基づいてレーザビーム202の形状又は強度分布の少なくとも一方を修正することを含むことができる。実施形態において、レーザビーム202は、トップハット強度分布又はガウス強度分布を有することができる。
【0120】
実施形態において、ストリーク102は、ガラスリボン12から外側に突出する突出ストリークであってもよく、及び方法は、レーザビーム202をストリーク102の中心に配向することを備えてもよい。図8Aを参照すると、実施形態において、ストリーク102は、凹状ストリークであってもよく、方法は、レーザビーム202を、第1のビーム272と、第1のビーム272から間隔を隔てた第2のビーム274とに分割すること、及び、第1のビーム272及び第2のビーム274を、ストリーク102の外側縁部に近接した位置に配向することを含んでもよい。ここで図10を参照すると、実施形態において、本明細書に開示される方法のいずれかは、第1のストリーク102A及び第2のストリーク102Bを特定すること、レーザビーム202を第1のビーム272及び第2のビーム274に分割すること、第1のビーム272を第1のストリーク102Aに配向すること、及び第2のビーム274を第2のストリーク102Bに配向することを更に含むことができる。第1のストリーク102A及び第2のストリーク102Bは、本明細書で既に説明した方法のいずれかを用いて特定することができる。凹状ストリーク又は複数のストリークの場合、レーザビーム202を分割することは、図8A及び図10の第2のビームスプリッタ270のようなビームスプリッタにレーザビーム202を通すことを含むことができる。第1のビーム272及び第2のビーム274を第1のストリーク102A及び第2のストリーク102Bに、又は凹状ストリークの場合にはストリーク102の外側縁部に配向することは、第1のビーム272、第2のビーム274、又はその両方を、標的位置にビームを方向転換及び/又は集束させるように動作可能な1又は2以上の光学構成要素に通すことを含むことができる。
【0121】
実施形態において、本明細書に開示される方法のいずれかは、レーザビーム202のビーム経路に沿って反射されたサイトレーザビーム252を用いてレーザビーム202の位置を特定することを含むことができる。サイトレーザビーム252は、約400nmから約700nmの範囲の波長を有することができる。サイトレーザビーム252は、サイトレーザビームについて本明細書で既に説明した特徴又は特性のいずれかを有することができる。実施形態において、レーザビーム202をストリーク102に配向することは、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82のガラスが約1×104ポアズから約7.6×107.6ポアズの範囲の粘度を有するストリーク102に沿った位置にレーザビーム202を配置することを含むことができる。実施形態において、位置は、溶融ダウンドロープロセス又はスロットドロープロセスの場合のように、ストリーク102に沿った垂直位置であってもよい。
【0122】
図3及び図5を参照すると、実施形態において、ストリーク102を特定するステップは、検査光源110からの光114をガラスリボン12に照射すること、及びストリーク102の位置におけるガラスリボン12の厚さの変化による光114の屈折によって生じる明帯116、暗帯118、又はその両方を特定することを含むことができる。明帯116及び暗帯118は、ストリーク102の位置を特定することができる。実施形態において、レーザビーム202をストリークの位置に配向することは、レーザビーム202をガラスリボン12に配向することを含むことができ、レーザビーム202は、ガラスリボン12の厚さの変化を生じさせるのに十分な第1のパワーレベルを最初に有する。本方法は、レーザビーム202に応答してガラスリボン12の厚さの変化を測定することを更に含むことができる。レーザビーム202に応じたガラスリボン12の厚さの変化は、ガラスリボン12上のレーザビーム202の位置を特定することができる。本方法は、レーザビーム202の位置をストリークの位置に調整すること及びレーザビーム202のパワーを、ストリークを修復するのに十分な第2のパワーレベルまで低下させることを更に含むことができる。
【0123】
ガラスシートを製造する方法は、本明細書で先に説明したガラスリボン成形プロセスの何れであってもよいガラス成形プロセスを用いてガラスリボン12を形成することを含むことができる。方法は、ガラスリボン成形プロセス中にガラスリボン12を張力下に維持することを含むことができる。方法は更に、ガラスリボン12の単位幅当たりのガラスリボン12の厚さの変化率が、約3nmt/mmW以上、約4nmt/mmW以上、約5nmt/mmW以上、約10nmt/mmW以上、約20nmt/mmW以上、又は更に約30nmt/mmW以上など、約1nmt/mmW以上であるガラスリボン12の幅Wに沿った位置におけるガラスリボン12のストリーク102を特定することを含むことができる。ストリーク102は、50mm以下のストリーク幅Ws(図4)を有することができる。ストリーク102の特定は、本明細書で既に説明した技術のいずれかによって達成することができる。ストリーク102は、本明細書においてストリーク102について先に説明した他の特徴又は特性のいずれかを有することができる。方法は、レーザビーム202をストリークの位置に配向するステップを更に含む。レーザビーム202は、約1μmから約12μmの波長を有することができる。レーザビーム202は、本明細書で既に論じた他の特徴又は特性のいずれかを有することができる。レーザビーム202は、ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82をストリーク位置又はその近傍で加熱する。ガラスリボン12、第1のハーフリボン62、又は第2のハーフリボン82がストリークの位置で、又はストリークの位置に近接して加熱されることにより、ガラスの粘度が低下して、ストリークの位置でのガラスリボン12の厚さが減少するか、ストリークの位置でのガラスリボン12の厚さの変化率が減少するか、又はその両方が減少する。
【0124】
本開示の実施形態は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)において具現化することができる。システム200の制御システム300及び/又はガラス成形装置10のための他のコントローラは、本明細書において先に説明したように、少なくとも1つの制御プロセッサ302及びコンピュータ可読な記憶媒体(すなわち、メモリモジュール304)を含むことができる。制御システム300は、任意の有線又は無線通信経路を介して、1又は2以上のシステム構成要素(例えば、加熱レーザ210、パワー検出器240、サイトレーザ250、ストリーク検査システム108等)に通信可能に結合することができる。コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体又はメモリモジュール304は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はそれらに関連して使用するためのプログラムを格納、記憶、通信、伝播、又は輸送することができる任意の媒体であってよい。
【0125】
コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読な記憶媒体又はメモリモジュール304は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、デバイス、又は伝播媒体であってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読な記憶媒体又はメモリモジュール304のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1又は2以上のワイヤを有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、及びポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)を挙げることができる。コンピュータ使用可能又はコンピュータ可読記憶媒体又はメモリモジュール304は、プログラムが、例えば、紙又は他の媒体の光学スキャンを介して、電子的に捕捉され、次いで、必要に応じて、コンパイルされ、解釈され、又は他の適切な方法で処理され、次いで、コンピュータメモリに記憶することができるので、プログラムが印刷された紙又は他の適切な媒体でさえあり得ることに留意されたい。
【0126】
コンピュータ可読な記憶媒体又はメモリモジュール304は、本開示のシステム200の動作又はシステム200を使用するストリークを修復する方法を実行するための機械可読及び機械実行可能な命令306を含むことができる。機械可読及び機械実行可能な命令306は、開発の便宜のために、C又はC++のような高級プログラミング言語で書かれ得るコンピュータプログラムコードを含むことができる。更に、本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、限定されるものではないが、インタプリタ型言語などの他のプログラミング言語で記述することもできる。一部のモジュール又はルーチンは、性能及び/又はメモリ使用量を向上させるために、組立体又はマイクロコードで書かれてもよい。しかしながら、本開示のソフトウェア実施形態は、特定のプログラミング言語による実装に依存しない。プログラムモジュールのいずれか又は全ての機能は、ディスクリートハードウェア構成要素、1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプログラムされたデジタル信号プロセッサ又はマイクロコントローラを使用して実装することもできることが更に理解されるであろう。
【0127】
実施例
本明細書で説明する実施形態は、以下の非限定的な実施例によって更に明確になる。
【0128】
実施例1.レーザビームを用いたストリークの修復
【0129】
実施例1では、図1に示すような溶融ダウンドロープロセスによって製造されたガラスリボン中のストリークを修復するために、低出力CO2レーザビームを使用した。CO2レーザビームの波長は10.6μmを有していた。レーザビームは、多結晶光ファイバケーブルに通され、ZnSeレンズから備えるコリメートレンズを用いてコリメートされた。その後、レーザビームはガラスリボン上で特定されたストリークに照射された。レーザビームの一部はパワー検出器に反射され、レーザのパワーがモニターされた。時間の関数としての実施例1のレーザビームの出力は、図13に示され、参照番号1302によって特定される。
【0130】
レーザビームをストリークに配向する前及び後の一定時間間隔で、ストリークの相対的重大度を評価した。ストリークの相対的重大度は、ストリークの領域におけるガラスリボンの厚さプロファイルに基づいており、ストリークにおいて厚さが変化する程度の指標を提供する。ここで図13を参照すると、時間(x軸)の関数としてのストリークの相対的な重大度(y軸)が、レーザビームの出力と共にグラフで描かれている。図13において、参照番号1304は、レーザビームが入射される側であるガラスリボンのA側におけるストリークの相対的な重大度を指し、参照番号1306は、ガラスリボンのB側におけるストリークの相対的な重大度を指す。図13に示すように、1%のパワーを有するレーザビームをガラスリボン12上のストリークに照射すると、レーザビームを照射する前のストリークの重大度と比較して、ストリークの重大度が50%以上減少した(重大度が平均0.8から0.4未満に減少した)。このことは、レーザビームをストリークに照射することにより、ストリークの重大度を大幅に低減できることを示している。
【0131】
実施例2:レーザビームを位置決めするための位置決めステージの動作
【0132】
実施例2では、位置決めステージを用いてガラスリボン上のレーザビームの水平位置を変化させ、レーザビームの位置及びパワーの変化に対するガラス厚さの変化を評価した。実施例2では、ガラスリボンを溶融ダウンドロープロセスにより製造した。図11に模式的に描かれているように、枢動点を中心に揺動可能なベースプレートから備える位置決めステージを、マッフルのウィンドウで溶融ダウンドロープロセスのマッフルに結合した。加熱レーザ及び光学構成要素は、位置決めステージのベースプレートに結合されていた。位置決めステージの水平位置は、位置決めステージの揺動角度がゼロに等しいときに、システムによって生成されたレーザビームが、溶融ダウンドロープロセスの成形体の入口端部から約1310mmの位置でガラスリボンに入射するようになっていた。実施例1と同じCO2レーザ及び光学構成要素を用いて、実施例2のレーザビームを生成した。レーザビームの揺動角及び出力を変化させ、レーザビームに応答するガラスリボンの厚さをモニターした。図14を参照すると、水平位置の関数としてのガラスリボン12の厚さの変化が、レーザ及び位置決めステージの動作パラメータの各変更についてグラフで描かれている。実施例2のシステムの各設定に対する図14の枢動角度、レーザ出力及び参照番号は、以下の表に提供される。
【0133】
【表1】
【0134】
再び図14を参照すると、参照番号1402は、ガラスリボンにレーザビームが入射していない状態でのガラスリボンのベースライン厚さプロファイルを提供している。参照番号1404の厚さデータは、図14の点番号1で示される約1310mmに谷を示し、これはレーザビームがガラスリボン上に入射して落下する位置を示す。図14の点番号1の谷は、最大出力の8%のレーザビームを有するレーザビームが、レーザビームを有しないガラスリボン(参照番号1402)の厚さと比較して約2.5厚さ単位の減少を生じることを示しており、図14の各厚さ単位は0.001mmに等しい(例えば、2.5厚さ単位は0.0025mmの厚さの変化に等しい)。揺動角度が0度から20.5度まで増加するにつれて、レーザビームの位置に対応する谷の位置は、入口端部からの距離が減少する方向に右にシフトする。点2は、参照番号1406のレーザビーム位置に相当する。点2は、参照番号1406(角度12度)のレーザビーム位置に対応し、点3は、参照番号1408(角度18度)のレーザビーム位置を示す。1408(角度18度)、及び点4は、参照番号1410(角度20.5度)のレーザビーム位置を示す。1410(20.5度)である。このように、位置決めステージの揺動角度が変わると、レーザビームの位置も変わる。位置決めステージの揺動角度が20度であれば、約160mmの幅でレーザビームの位置を調整することができた。
【0135】
更に、パワーを下げると、レーザビームを照射しない場合(1402)と比べて、厚みの変化の大きさが小さくなる。レーザ出力が5%の場合(参照番号1406及び1408)、厚さの差は、レーザ出力が8%の場合(例えば、図14の約2.5厚さ単位(すなわち、0.0025mm)から約2.0厚さ単位(すなわち、0.0020mm))に比べて約20%減少する。出力を更に3%まで下げると(参照番号1410)、レーザ出力が8%の場合(例えば、約2.5厚さ単位(すなわち、0.0025mm)から約1.0厚さ単位(すなわち、0.0020mm))に比べて、厚さの差が約60%減少する。実施例2は、レーザの出力を変えることによってレーザビームの加熱効果を調整できることを示している。このように、レーザビームがストリークの重大度を減少させる程度は、レーザの出力を変更することによって変更することができる。
【0136】
上述したことに基づいて、本明細書に記載される実施形態は、ガラスリボンを製造するためのガラス成形プロセス及びガラスリボンのストリークの重大度を低減する方法に関することである点を理解されるべきである。ガラスリボンを製造し、ガラスリボン中のストリークを修復するための様々な実施形態及び技術が本願明細書に例示され記載されているが、これらの実施形態及び技術の各々は、別個に又は1又は2以上の実施形態及び技術と組み合わせて使用することができることが企図されていることを理解されたい。
【0137】
特許請求される主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、本明細書に記載された様々な実施形態のこのような修正及び変形が、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあることを条件として、このような修正及び変形形態を保護することが意図される。
【符号の説明】
【0138】
12 ガラスリボン
44 第1の成形面
45 第2の成形面
46 根元
50 成形体
51 トラフ
53 基部
60 第1の堰
62 第1のハーフリボン
80 第2の堰
82 第2のハーフリボン
90 引張ローラ
100 コード
200 システム
202 レーザビーム
300 制御システム
302 プロセッサ
304 メモリモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】