(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ガラスシートのエッジを仕上げるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/07 20060101AFI20241108BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20241108BHJP
B24B 9/10 20060101ALI20241108BHJP
B24B 49/16 20060101ALI20241108BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20241108BHJP
B24B 53/12 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B24B53/07
B24B9/00 601B
B24B9/10 D
B24B49/16
B24B49/10
B24B53/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531132
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022049535
(87)【国際公開番号】W WO2023096758
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ジェームズ ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】チェン リアン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シェ イ-チェン
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C049
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034BB92
3C034CA17
3C034CB08
3C034DD20
3C047CC14
3C047CC15
3C047EE04
3C047EE16
3C049AA03
3C049AA12
3C049AA16
3C049AC02
3C049BA06
3C049BC02
3C049CA01
(57)【要約】
ガラスシートのエッジを仕上げる方法は、エッジ仕上げホイールがモータで回転する際に、ガラスシートのエッジをエッジ仕上げホイールの溝と係合させるステップを含むことができる。エッジ仕上げホイールがガラスシートのエッジと係合する際に、モータの作動電流を監視することができる。作動電流は、モータの作動トルクを表すことができる。この方法はさらに、モータの作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するステップを含むことができる。モータの作動トルクが上側閾値トルク値より大きい場合、切削ヘッドのブレードをエッジ仕上げホイールの外径と係合させ、それによってエッジ仕上げホイールの外径から材料が削り取り、モータの作動トルクを減少させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートのエッジを仕上げる方法であって、
エッジ仕上げホイールがモータで回転する際に、ガラスシートのエッジを前記エッジ仕上げホイールの溝と係合させるステップと、
前記エッジ仕上げホイールが前記ガラスシートの前記エッジと係合する際に時に前記モータの作動電流を監視するステップであって、前記作動電流が前記モータの作動トルクを表すステップと、
前記モータの前記作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するステップと、
前記モータの前記作動トルクが前記上側閾値トルク値より大きい場合に、切削ヘッドのブレードを前記エッジ仕上げホイールの外径と係合させ、それによって前記エッジ仕上げホイールの外径から材料を削り取り、前記モータの前記作動トルクを減少させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記上側閾値トルク値は、前記最大溝深さに対応する上側閾値トルク比であり、
前記モータの前記作動トルクが前記上側閾値トルク比より大きいかどうかを判定するステップは、
モータの作動トルク比を決定するステップであって、前記作動トルク比=(前記モータの前記作動電流/前記モータの最大電流)×100であるステップと、
前記モータの前記作動トルク比とベースライントルク比との差を決定するステップであって、前記ベースライントルク比=(前記モータのベースライン電流/前記モータの前記最大電流)×100であるステップと、
前記作動トルク比と前記ベースライントルク比との前記差を前記上側閾値トルク比と比較するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記上側閾値トルク比は、48%から52%の範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記切削ヘッドの前記ブレードが前記エッジ仕上げホイールの外径と係合する際に、前記切削ヘッドのブレード及び前記エッジ仕上げホイールの上に液体を導くステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エッジ仕上げホイールの外径から材料を削り取ることに由来する前記液体及び砕片を収集トラフに集めるステップをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
砕片遮蔽板が前記エッジ仕上げホイールに近接して配置され、前記エッジ仕上げホイールから投射された前記液体及び砕片を前記収集トラフの中に導くように方向付けられている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記収集トラフに真空を適用して、前記収集トラフから前記液体及び砕片を排出するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記収集トラフから廃棄物回収ビンへ前記液体及び砕片を導くステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エッジ仕上げホイールは、樹脂母材に埋め込まれた砥粒を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エッジ仕上げホイールは、複数の溝を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の溝の深さは、0.3mm以上で0.6mm以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の溝のピッチは1.5mm以下である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ガラスシートのエッジを仕上げるためのエッジ仕上げ装置であって、
モータに回転可能に連結されたエッジ仕上げホイールを備える仕上げホイール組立体であって、前記エッジ仕上げホイールが、前記ガラスシートの前記エッジと係合するための複数の溝を備える仕上げホイール組立体と、
アクチュエータに機械的に連結された切削ヘッドを備えるホイールドレッシング組立体と、
前記仕上げホイール組立体の前記モータと前記ホイールドレッシング組立体の前記アクチュエータとに通信可能に接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、プロセッサと、コンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令を格納する非一時的メモリとを備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記モータの作動トルクを表す信号を前記モータから受け取る、
前記モータの前記作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定する、
前記モータの前記作動トルクが前記上側閾値トルク値よりも大きい場合にホイールドレッシング作業を開始する、
ようにさせ、
前記コントローラは、前記ホイールドレッシング組立体の前記アクチュエータを作動させて前記切削ヘッドのブレードを前記エッジ仕上げホイールと係合させることによって、前記ホイールドレッシング作業を開始させる、エッジ仕上げ装置。
【請求項14】
前記上側閾値トルク値は、前記最大溝深さに対応する上側閾値トルク比であり、
前記プロセッサは、
前記モータの作動トルクを表す前記信号に基づいて前記モータの作動トルク比を決定すること、但し前記作動トルク比=(前記モータの作動電流/前記モータの最大電流)×100である、及び
前記モータの前記作動トルク比とベースライントルク比との差を決定すること、但し前記ベースライントルク比=(前記モータのベースライン電流/前記モータの前記最大電流)×100である、
によって、前記モータの作動トルクが前記上側閾値トルク比より大きいかどうかを判定する、請求項13に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項15】
前記上側閾値トルク比は、48%から52%の範囲内である、請求項14に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項16】
前記エッジ仕上げ装置は、前記切削ヘッド及び前記エッジ仕上げホイールの上に液体を導くように位置決めされたノズルをさらに備え、
前記ホイールドレッシング作業を開始することは、前記切削ヘッド及び前記エッジ仕上げホイールの上に前記液体が導かれるように、前記ノズルと作動的に関連する少なくとも1つの弁を作動させることを含む、請求項13に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項17】
前記エッジ仕上げホイール及び前記切削ヘッドの下方に配置された収集トラフをさらに備え、前記収集トラフは、前記ホイールドレッシング作業中に砕片及び液体を集めるように配置される、請求項16に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項18】
排水ラインで前記収集トラフに流体連結された真空システムと
前記排水ラインに連結された廃棄物回収ビンと、
をさらに備え、
前記ホイールドレッシング作業を開始することは、前記収集トラフに流体連結された前記真空システムを作動させて、前記収集トラフから前記廃棄物回収ビンに砕片及び液体を排出することを含む、請求項17に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項19】
前記エッジ仕上げホイールに近接して配置され、前記ホイールドレッシング作業中に前記エッジ仕上げホイールから投射された液体及び砕片を前記収集トラフの中に導くように方向付けられた砕片遮蔽板をさらに備える、請求項17に記載のエッジ仕上げ装置。
【請求項20】
前記複数の溝の深さは、0.3mm以上で0.6mm以下であり、
前記複数の溝のピッチは、1.5mm以下である、請求項13に記載のエッジ仕上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月23日出願の米国特許仮出願第63/282291号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書は一般に、ガラスシートのエッジを仕上げるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートの製造工程では、ガラスシートの品質を向上させるために、ガラスシートのエッジを研削、研磨、及び/又は洗浄などで仕上げる場合がある。仕上げ工程の最終ステップでは、ガラスエッジ仕上げホイールを利用してガラスシートのエッジを研磨し、ガラスシートのエッジから微粒子及び/又は砕片を除去することができる。このステップの間に、ガラスシートのエッジが回転するガラスエッジ仕上げホイールの溝に挿入され、それによってガラスシートのエッジから欠陥及び/又は微粒子が除去される。しかしながら、この最終ステップで利用されるガラスエッジ仕上げホイールは軟らかい材料で作られていることが多いため、使用中にホイールが急速に摩耗し、経時的にエッジ仕上げが不十分になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ガラスエッジ仕上げホイールの耐用寿命を延ばす、ガラスシートのエッジを仕上げるための代替方法及び装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様A1は、ガラスシートのエッジを仕上げる方法を含み、この方法は、エッジ仕上げホイールがモータで回転する際に、ガラスシートのエッジをエッジ仕上げホイールの溝と係合させるステップと;エッジ仕上げホイールがガラスシートのエッジと係合する際にモータの作動電流を監視するステップであって、作動電流がモータの作動トルクを表すステップと;モータの作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するステップと;モータの作動トルクが上側閾値トルク値より大きい場合に、切削ヘッドのブレードをエッジ仕上げホイールの外径と係合させ、それによってエッジ仕上げホイールの外径から材料を削り取り、モータの作動トルクを減少させるステップと;を含む。
【0006】
第2の態様A2は、第1の態様A1の方法を含み、上側閾値トルク値は、最大溝深さに対応する上側閾値トルク比であり;モータの作動トルクが上側閾値トルク比より大きいかどうかを判定するステップは、モータの作動トルク比を決定するステップであって、作動トルク比=(モータの作動電流/モータの最大電流)×100であるステップと;モータの作動トルク比とベースライントルク比との差を決定するステップであって、ベースライントルク比=(モータのベースライン電流/モータの最大電流)×100であるステップと;作動トルク比とベースライントルク比との差を上側閾値トルク比と比較するステップと;を含む。
【0007】
第3の態様A3は、態様A1からA2までのいずれかの方法を含み、上側閾値トルク比が48%から52%の範囲内である。
【0008】
第4の態様A4は、態様A1からA3までのいずれかの方法を含み、切削ヘッドのブレードがエッジ仕上げホイールの外径と係合する際に、切削ヘッドのブレード及びエッジ仕上げホイールの上に液体を導くステップをさらに含む。
【0009】
第5の態様A5は、態様A1からA4までのいずれかの方法を含み、エッジ仕上げホイールの外径から材料を削り取ることに由来する砕片及び液体を収集トラフに集めるステップをさらに含む。
【0010】
第6の態様A6は、態様A1からA5までのいずれかの方法を含み、砕片遮蔽板がエッジ仕上げホイールに近接して配置され、エッジ仕上げホイールから投射された液体及び砕片を収集トラフの中に導くように方向付けられている。
【0011】
第7の態様A7は、態様A1からA6のいずれかの方法を含み、収集トラフに真空を適用して収集トラフから液体及び砕片を排出するステップをさらに含む。
【0012】
第8の態様A8は、態様A1からA7までのいずれかの方法を含み、収集トラフから廃棄物回収ビンへ液体及び砕片を導くステップをさらに含む。
【0013】
第9の態様A9は、態様A1からA8までのいずれかの方法を含み、エッジ仕上げホイールが樹脂母材に埋め込まれた砥粒を備える。
【0014】
第10の態様A10は、態様A1からA9までのいずれかの方法を含み、エッジ仕上げホイールは、複数の溝を備える。
【0015】
第11の態様A11は、態様A1からA10までのいずれかの方法を含み、複数の溝の深さは、0.3mm以上で0.6mm以下である。
【0016】
第12の態様A12は、態様A1からA11までのいずれかの方法を含み、複数の溝のピッチは、1.5mm以下である。
【0017】
第13の態様A13は、ガラスシートのエッジを仕上げるためのエッジ仕上げ装置を含み、このエッジ仕上げ装置は、モータに回転可能に連結されたエッジ仕上げホイールを備える仕上げホイール組立体であって、エッジ仕上げホイールが、ガラスシートのエッジと係合するための複数の溝を備える仕上げホイール組立体と;アクチュエータに機械的に連結された切削ヘッドを備えるホイールドレッシング組立体と;仕上げホイール組立体のモータとホイールドレッシング組立体のアクチュエータとに通信可能に接続されたコントローラとを備え、コントローラは、プロセッサと、コンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令を格納する非一時的メモリとを備え、これらの命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、モータの作動トルクを表す信号をモータから受け取る;モータの作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定する;モータの作動トルクが上側閾値トルク値よりも大きい場合にホイールドレッシング作業を開始する;ようにさせ、コントローラは、ホイールドレッシング組立体のアクチュエータを作動させて切削ヘッドのブレードをエッジ仕上げホイールと係合させることによって、ホイールドレッシング作業を開始させる。
【0018】
第14の態様A14は、態様A13のエッジ仕上げ装置を含み、上側閾値トルク値は、最大溝深さに対応する上側閾値トルク比であり、プロセッサは、モータの作動トルクを表す信号に基づいてモータの作動トルク比を決定すること、但し作動トルク比=(モータの作動電流/モータの最大電流)×100である、及び、モータの作動トルク比とベースライントルク比との差を決定すること、但しベースライントルク比=(モータのベースライン電流/モータの最大電流)×100である、によって、モータの作動トルクが上側閾値トルク比より大きいかどうかを判定する。
【0019】
第15の態様A15は、態様A13からA14までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、上側閾値トルク比は、48%から52%の範囲内である。
【0020】
第16の態様A16は、態様A13からA15までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、エッジ仕上げ装置は、切削ヘッド及びエッジ仕上げホイールの上に液体を導くように位置決めされたノズルをさらに備え、ホイールドレッシング作業を開始することは、切削ヘッド及びエッジ仕上げホイールの上に液体が導かれるように、ノズルと作動的に関連する少なくとも1つの弁を作動させることを含む。
【0021】
第17の態様A17は、態様A13からA16までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、エッジ仕上げホイール及び切削ヘッドの下方に配置された収集トラフをさらに備え、収集トラフは、ホイールドレッシング作業中に砕片及び液体を集めるように配置される。
【0022】
第18の態様A18は、態様A13からA17までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、排水ラインで収集トラフに流体連結された真空システムと、排水ラインに連結された廃棄物回収ビンとをさらに備え、ホイールドレッシング作業を開始することは、収集トラフに流体連結された真空システムを作動させて、収集トラフから廃棄物回収ビンに砕片及び液体を排出することを含む。
【0023】
第19の態様A19は、態様A13からA18までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、エッジ仕上げホイールに近接して配置され、ホイールドレッシング作業中にエッジ仕上げホイールから投射された液体及び砕片を収集トラフの中に導くように方向付けられた砕片遮蔽板をさらに備える。
【0024】
第20の態様A20は、態様A13からA19までのいずれかのエッジ仕上げ装置を含み、複数の溝の深さは、0.3mm以上で0.6mm以下であり、複数の溝のピッチは、1.5mm以下である。
【0025】
本明細書に記載する方法及び装置のさらなる特徴及び利点が、以下の詳細な説明に記載され、一部はその説明から当業者には容易に明らかとなり、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む本明細書に記載する実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0026】
上述の概要及び以下の詳細な説明は、様々な実施形態を記述するものであり、請求する主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを与えることを意図したものであると理解されたい。添付図面は、様々な実施形態のさらなる理解を可能にするために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。これらの図面は、本明細書に記載する様々な実施形態を示し、また本明細書と併せて、請求する主題の原理及び働きを説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】ガラスシートのエッジと係合するエッジ仕上げホイールと、ガラスシートのエッジに作用する力を概略的に示す。
【
図1B】エッジ仕上げホイールの新しい(摩耗していない)溝と係合したガラスシートのエッジと、結果として生じるガラスシートのエッジに作用する力を概略的に示す。
【
図1C】エッジ仕上げホイールの使用済み(摩耗した)溝と係合したガラスシートのエッジと、結果として生じるガラスシートのエッジに作用する力を概略的に示す。
【
図2】本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態による、ガラスシートのエッジを仕上げるためのエッジ仕上げ装置を概略的に示す。
【
図3】本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態によるエッジ仕上げホイールの断面を概略的に示す。
【
図4】本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態による、ホイールドレッシング作業中の
図2のエッジ仕上げ装置を概略的に示す。
【
図5】本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態による、エッジ仕上げ装置のエッジ仕上げホイールに対してホイールドレッシング作業を開始する方法のフローチャートである。
【
図6】本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態による、エッジ仕上げ装置のエッジ仕上げホイールに対してホイールドレッシング作業を開始する代替方法の部分的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、ガラスシートのエッジを仕上げるための装置及び方法の実施形態に詳細に言及するが、その例は添付図面に示してある。同じ又は同様の要素に言及するために、可能な限り、図面全体に亘って同じ参照番号を使用することになる。ガラスシートのエッジを仕上げるための装置の一実施形態を
図2に示す。装置を用いてガラスシートのエッジを仕上げる方法は、一般に、エッジ仕上げホイールをモータで回転させる時に、ガラスシートのエッジをエッジ仕上げホイールの溝と係合させるステップを含むことができる。エッジ仕上げホイールをガラスシートのエッジと係合させる時に、モータの作動電流を監視することができる。作動電流は、モータの作動トルクを表すことができる。この方法はさらに、モータの作動トルクが、最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するステップを含むことができる。モータの作動トルクが上側閾値トルク値より大きい場合、切削ヘッドのブレードがエッジ仕上げホイールの外径と係合し、それによってエッジ仕上げホイールの外径から材料が削り取られ、モータの作動トルクが減少する。ガラスシートのエッジを仕上げるための装置の様々な実施形態とその使用方法について、添付図面を特に参照しながら、本明細書でさらに詳細に説明する。
【0029】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値のから、及び/又は「約」別の特定の値までとして表すことができる。このような範囲で表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することを理解されたい。さらに、各範囲の端点は、他の端点と関連して、及び他の端点とは独立して有意であることを理解されたい。
【0030】
本明細書で使用される方向性の用語、例えば、上方、下方、右、左、前、後、上、下は、図示の図を参照してのみ示され、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0031】
別途指示されていない限り、本明細書に記載される方法は、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものと解釈されること、又は、いかなる装置においても特定の向きを要求することは意図されていない。従って、方法のクレームが、そのステップに従うべき順序を実際には記載していない場合、又はいずれかの装置クレームが、個々の構成要素に対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又はステップが特定の順序に限定されることが請求項又は明細書において他の方法で具体的に記載されていない場合、又は装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合には、いかなる点においても順序又は向きが推測されることは意図されていない。このことは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理的事項、文法的構成又は句読点から導かれる一般的意味、及び明細書に記載された実施形態の数又は種類を含む、解釈のためのあらゆる可能性のある非表現的根拠(non-express basis)について当てはまる。
【0032】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかに指示がない限り、複数の照応を含む。従って、例えば、「a」構成要素への言及は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0033】
本明細書に記載するように、ガラスシートのエッジは、一連の研削、研磨、及び洗浄の工程を用いて仕上げることができる。これらの工程では、ガラスシートのエッジと係合する回転式ガラスエッジ仕上げホイールを利用する。
図1Aにはエッジ仕上げ工程の一例が概略的に示してあり、この場合、ガラスシート100が矢印200で示す方向に(すなわち、
図1Aに示す座標軸の+Y方向に)平行移動し、エッジ仕上げホイール201が
図1Aに示す座標軸のX-Y平面において矢印202で表す方向に回転する場合に、回転式エッジ仕上げホイール201は、ガラスシート100のエッジ110と接触している。エッジ仕上げ工程の最終ステップで利用されるガラスエッジ仕上げホイール201は、多くの場合、初期の研削及び研磨ステップで使用される仕上げホイールよりも軟らかい軟質材料で作られている。そのため、最終仕上げ工程で利用されるガラスエッジ仕上げホイールは、急速に摩耗してしまうことが多い。ガラスエッジ仕上げホイールの溝が摩耗によって深くなると、ガラスシートのエッジに作用する力が減少し、このため、経時的にエッジ仕上げが不十分になり、エッジ仕上げホイールの交換が必要となる。エッジ仕上げホイールの交換によって工程の停止時間が生じ、ガラスシートの製造処理能力が低下して、生産時間の損失と材料コストの増加という観点から製造コストが増大する。
【0034】
今では、ガラスシート100のエッジ110に作用するエッジ仕上げホイール201の力が減少する根本的な原因は、エッジ仕上げホイール201の溝が経時的に深くなるにつれて、エッジ仕上げホイール201からの力がガラスシート100上に配分される態様に関係していることが判明している。詳細には、エッジ仕上げホイール201からガラスシート100のエッジ110に作用する合力(F
Total)は、
図1Aに示すように、エッジ110に直交する法線力成分(F
Normal、
図1Aに示す座標軸の-X方向に作用する)と、エッジ110に接する(例えば、平行な)接線力成分(F
Tangential、
図1Aに示す座標軸の-Y方向に作用する)とを含む。ガラスシート100のエッジ110に直接作用する法線力成分F
Normaiは、主に、ガラスシート100のエッジ110で行われる研磨及び/又は洗浄に起因する。
【0035】
図1A及び1Bを併せて参照すると、
図1Bは、エッジ仕上げホイール201が新品であって、エッジ仕上げホイール201の溝205が浅い(すなわち、摩耗していない)場合の、エッジ仕上げホイール201とガラスシート100のエッジ110との係合を示す。また、
図1Bは、
図1Bに示す座標軸の-X方向に作用する法線力成分F
Normalの大きさと、
図1Bに示す座標軸の-Y方向に作用する接線力成分F
Tangentialの大きさも図示している。エッジ仕上げホイール201が新品状態の場合、ガラスシート100のエッジ110に対して-X方向に作用する合力F
Totalの法線力成分F
Normalは、-Y方向に作用する接線力成分F
Tangentialよりも大きく、エッジ仕上げホイール201は、ガラスシート100のエッジ110を効率的に洗浄し及び/又は研磨する。
【0036】
ここで
図1A及び1Cを併せて参照すると、
図1Xは、エッジ仕上げホイール201が摩耗状態にあって、エッジ仕上げホイール201の溝205が
図1Bに示すものよりも深い場合の、エッジ仕上げホイール201とガラスシート100のエッジ110との係合を示す。また、
図1Cは、
図1Cに示す座標軸の-X方向に作用する法線力成分F
Normalの大きさと、
図1Cに示す座標軸の-Y方向に作用する接線力成分F
Tangentialの大きさも図示している。エッジ仕上げホイール201が経時的に摩耗すると、エッジ仕上げホイール201の溝205は、
図1Cに示すように深くなる。エッジ仕上げホイール201の溝が深くなると、エッジ仕上げホイール201とガラスシート100の表面(複数可)102との接触が増える結果となり、それによって今度は、
図1Cに示す座標軸の-Y方向へガラスシート100に作用する合力F
Totalの接線力成分F
Tangentialが増加し、一方で、
図1Cに示す-X方向に作用する法線力成分F
Normalが減少する。法線力成分F
Normalの減少により、ガラスシート100のエッジ110に対してエッジ仕上げホイール201が行う洗浄及び/又は研磨の有効性が低下し、その結果、仕上がったガラスシートの品質が低下し、及び/又はガラスシート100のエッジ110の仕上げを完了させるために付加的なステップが必要となる。加えて、ガラスシート100の表面(複数可)102とエッジ仕上げホイール201との接触が増加すると、例えば擦過などによって、ガラスシート100の表面(複数可)102を損傷させる場合があり、ガラスシート100の品質がさらに低下して、ガラスシート100を廃棄物ガラスとして処分する結果につながる可能性がある。どちらの状況でも、エッジ仕上げホイール201の摩耗は、製造効率を低下させ、場合によっては製造コストを増加させる可能性がある。
【0037】
本明細書に開示する実施形態は、ガラスシートの製造及び仕上げ中にエッジ仕上げホイールの摩耗の影響を軽減するための方法及び装置に関する。
【0038】
ここで
図2を参照すると、本明細書に示し説明する1又は2以上の実施形態によるガラスシート100のエッジ(複数可)110を仕上げるためのエッジ仕上げ装置10が概略的に示されている。エッジ仕上げ装置10は、一般に、仕上げホイール組立体250、ホイールドレッシング組立体300、砕片回収システム400、及びコントローラ500を備える。エッジ仕上げ装置10の様々な構成要素については、特に
図2及び3を参照しながら、ここでさらに詳しく説明する。
【0039】
本明細書に記載する実施形態では、エッジ仕上げ装置の仕上げホイール組立体250は、エッジ仕上げホイール201とモータ252とを備える。実施形態では、仕上げホイール組立体250は、随意的に多軸位置決めステージ254を含むことができる。エッジ仕上げホイール201は、モータ252の電機子256に回転可能に連結され、
図2に示す座標軸のX-Y平面に平行な平面内でエッジ仕上げホイール201の回転を促進する。
【0040】
仕上げホイール組立体250が多軸位置決めステージ254を含む実施形態では、多軸位置決めステージ254は、リンク機構262を介してモータ252に連結することができる。多軸位置決めステージ254は、モータ252及び取り付けられたエッジ仕上げホイール201の位置の少なくとも2つの軸に沿った調整を容易にするするため、リニアアクチュエータ258及び260などの2又は3以上のリニアアクチュエータを含むことができる。例えば、
図2に示す実施形態では、多軸位置決めステージ254は、矢印264で表すように、ガラスシート100のエッジ110に対するモータ252及び取り付けられたエッジ仕上げホイール201の、
図2に示す座標軸の+/-X方向への移動を容易にするために、第1のリニアアクチュエータ258を含む。また、多軸位置決めステージ265は、矢印266で表すように、ガラスシート100に対するモータ252及び取り付けられたエッジ仕上げホイール201の移動を容易にするために、第1のリニアアクチュエータ258と直交する第2のリニアアクチュエータ260を含むことができる。
図2には示さないが、多軸位置決めステージ265は、
図2に示す座標軸の+/-Y方向へのガラスシート100に対するモータ252及び取り付けられたエッジ仕上げホイール201の移動を容易にするために、随意的に、第1及び第2のリニアアクチュエータ258、260と直交する第3のリニアアクチュエータを含むことができることを理解されたい。多軸位置決めステージ254が含まれる場合、これを用いて、例えば、エッジ仕上げホイール201をガラスシート100のエッジ110に対してインデックス動作(index)させ、摩耗後のエッジ仕上げホイールの寸法の変化と、摩耗の結果としてそれに続くエッジ仕上げホイール201の(再)ドレッシングとに対応することができ、これについては、本明細書でさらに詳しく説明する。多軸位置決めステージ254は、例えば、ガラスシート100のエッジ110に対してエッジ仕上げホイール201をインデックス動作させるために使用することができ、ガラスシート100は、エッジ仕上げホイール201の外径に形成された一連の溝のうちの特定の1つに位置決めできるようになっている。
【0041】
ここで
図3を参照すると、エッジ仕上げホイール201の一実施形態の断面が概略的に示されている。エッジ仕上げホイール201は一般に、樹脂母材に埋め込まれた、炭化ケイ素粒子などの砥粒を備える。一例として、エッジ仕上げホイール201は、3M Abrasive Systems社のScotch-Brite(商標)Molded Wheel XR-WM (DLO Wheel)で構成することができる。しかしながら、エッジ仕上げホイールには他の種類のホイール及び他の材料も想定され、可能であることを理解されたい。
【0042】
図3に示すように、エッジ仕上げホイール201は、初期外径D
wを有することができる(つまり、直径D
wは、エッジ仕上げに使用する前のエッジ仕上げホイールの直径である)。実施形態では、初期外径D
wは、例えば150mmとすることができる。しかしながら、より大きな又はより小さな初期外径を有するエッジ仕上げホイール201も想定され、可能であることを理解されたい。エッジ仕上げホイール201はさらに、エッジ仕上げホイール201のエッジ204に形成された溝205a、205b、205c、205d、及び205dなどの一連の溝205を備えることができる。ガラスエッジ仕上げ作業中、エッジ仕上げホイール201が回転する際に、ガラスシートのエッジは、溝205a、205b、205c、205dのうちの1つに受け入れられ、例えば、エッジ仕上げホイール201によるガラスシートのエッジの研磨及び洗浄を促進するようになっている。
図3に示すエッジ仕上げホイール201の実施形態では、説明のために全部で5本の溝205a、205b、205c、205dが示されている。しかしながら、エッジ仕上げホイール201は、5本より多い溝又は5本より少ない溝を含むことができることを理解されたい。例えば、実施形態では、エッジ仕上げホイール201は、10本の溝、15本の溝、又はさらに20本以上の溝を備えることができる。
図3に示すように、溝205はピッチPを有する。本明細書に記載するエッジ仕上げホイール201の実施形態では、溝のピッチPは2mm未満、例えば1.9mm未満、1.8mm以下、1.7mm以下、1.6mm以下、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、又はさらに1mm以下とすることができる。溝205a、205b、205c、205dは、エッジ仕上げホイール201の外径から深さdを有する。実施形態では、新品の(摩耗していない)エッジ仕上げホイール201の溝深さdは、例えば、限定することなく、0.3mm以上で0.6mm以下とすることができる。
【0043】
図2を再び参照すると、ホイールドレッシング組立体300は一般に、ブレード306を含む切削ヘッド304を支持するハウジング302を備える。本明細書でさらに詳しく説明するように、切削ヘッド304及びブレード306を利用して、摩耗したエッジ仕上げホイール201の外径をドレッシングし(例えば、削り取り)、摩耗したエッジ仕上げホイール201の溝深さを回復させて(つまり、減らして)、それによってエッジ仕上げホイール201の仕上げ性能を向上させる。ホイールドレッシング組立体300のハウジング302は、支柱312で支持することができ、切削ヘッド304及びブレード306は、エッジ仕上げホイール201の外径に近接して位置するようになっている。また、ホイールドレッシング組立体300は、ハウジング302内に配置されたアクチュエータ308を含む。アクチュエータ308は、例えばリニアアクチュエータとすることができる。アクチュエータ308は、切削ヘッド304に機械的に連結され、矢印310で示すように、ハウジング302に対する切削ヘッド304の伸長及び後退を容易にするようになっており、これは、結果として、切削ヘッド304のブレード306をエッジ仕上げホイール201と係合させて、エッジ仕上げホイール201を定期的にドレッシングするステップを容易にする。例えば、アクチュエータ308は、切削ヘッド304のブレード306がエッジ仕上げホイール201の外周と係合してエッジ仕上げホイール201から外周の一部を削り取るように、切削ヘッド304を伸長させることができ、これは、結果として、エッジ仕上げホイール201の直径を初期外径D
wから削り取られた外径Dsに減少させ、これにより、エッジ仕上げホイール201の外径に形成された溝の深さが減少する。
図2に示すように、ホイールドレッシング組立体300は一般に、ガラスシート100の反対側のエッジ仕上げホイール201の直径の端部に位置するので、ガラスシート100がホイールドレッシング組立体300と相互作用するリスク、又はホイールドレッシング組立体300によって何らかの砕片が発生するリスクが軽減される。
【0044】
さらに
図2を参照すると、エッジ仕上げ装置は、砕片回収システム400を備えることもできる。砕片回収システム400は、ブレード306がエッジ仕上げホイール201と係合する場合に、切削ヘッド304のブレード306及びエッジ仕上げホイール201に水などの液体を供給するように位置決めされたノズル402を含むことができる。
図2に示す実施形態では、ノズル402が切削ヘッド304とエッジ仕上げホイール201の両方の上方に位置決めされているので、ノズルからの液体は上方から切削ヘッド304及びエッジ仕上げホイール201上に向けられ、ホイールドレッシング作業中に発生した何らかの砕片を下向きに、エッジ仕上げホイール201から遠ざかるように洗い流す。実施形態では、ノズル402、及びノズル402と作動的に関連した関連制御弁(図示せず)は、切削ヘッド304がエッジ仕上げホイール201に向かって伸長する場合に、切削ヘッド304のブレード306及びエッジ仕上げホイール201に自動的に液体を供給するように構成することができる。実際には、ノズル402からブレード306に供給された液体は、切削ヘッド304のブレード306を冷却するように機能すると共に、エッジ仕上げホイール201が切削ヘッド304のブレード306でドレッシングされる際に、エッジ仕上げホイール201からの砕片(削り屑など)を洗い流す。
【0045】
実施形態では、砕片回収システム400は、切削ヘッド304のブレード306によるエッジ仕上げホイール201のドレッシング中にエッジ仕上げホイール201から発生した砕片を集めて除去するための収集トラフ404及び廃棄物回収ビン406をさらに含むことができる。本明細書に記載する実施形態では、収集トラフ404は、エッジ仕上げホイール201及び切削ヘッド304の下方に下に位置決めされ、排水ライン408によって廃棄物回収ビン406に流体的に連結される。随意的に、真空システム410は、排水ライン408に連結して、排水ライン408を真空引きし、それによって、収集トラフ404から排水ライン408を通って廃棄物回収ビン406への砕片の移動を容易にすることができる。
【0046】
作動時、エッジ仕上げホイール201がブレード306でドレッシングされる際に、ノズル402から切削ヘッド304のブレード306及びエッジ仕上げホイール201上に放出された液体は、エッジ仕上げホイール201から洗い流される何らかの砕片に加えて、収集トラフ404に収集される。収集トラフ404に集められた液体及び砕片は、重力又は真空システム410によって廃棄物回収ビン406内に導かれ、その後の処理及び/又は処分のために廃棄物回収ビン406に収容される。
【0047】
実施形態では、砕片回収システム400は、随意的に砕片遮蔽板364を備えることができる。砕片遮蔽板364は、例えば限定することなく、ホイールドレッシング組立体300のハウジング302に連結して、エッジ仕上げホイール201に対して位置決めすることができ、切削ヘッド304のブレード306でエッジ仕上げホイール201をドレッシングする間に発生する砕片は、砕片遮蔽板364に入射してそれによってせき止められ、その結果、砕片がエッジ仕上げ装置10の他の領域を汚染すること、及び/又はエッジ仕上げ装置10で仕上げられたガラスシート100を損傷させることを防止するようになっている。例えば、エッジ仕上げホイール201のドレッシング中の、切削ヘッド304のブレード306と仕上げホイール201の回転エッジとの係合は、微粒子状砕片を生成し、これはノズル402から放出された液体と混ざる。砕片及び液体は、エッジ仕上げホイール201によって、エッジ仕上げホイール201の回転方向に放射される可能性がある。砕片遮蔽板364は、放射された砕片及び液体が砕片遮蔽板364に入射し、その結果、それによってせき止められるように位置決めされる。また、砕片遮蔽板364は、それに入射した砕片及び液体が砕片遮蔽板364を流れ落ちて収集トラフ404に流れ込むように位置決めされ、この収集トラフ404では、砕片及び液体がその後の処理及び/又は処分のために廃棄物回収ビン406に導かれる。
【0048】
さらに
図2を参照すると、エッジ仕上げ装置10は、コントローラ500をさらに備える。
図2に示すエッジ仕上げ装置10の実施形態では、コントローラ500は、ホイールドレッシング組立体300のハウジング302内に位置決めされる。しかしながら、コントローラ500に関して他の位置も想定され、可能であることを理解されたい。例えば、コントローラ500は、仕上げホイール組立体250、ホイールドレッシング組立体300、及び砕片回収システム400の各々とは別個で離れている、独立型ユニットとすることができる。
【0049】
本明細書に記載する実施形態では、コントローラ500はプロセッサ502を備え、このプロセッサ502は、コンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令を格納する非一時的メモリ504に通信可能に接続され、これらの命令は、プロセッサ502で実行されると、エッジ仕上げ装置10の動作を助長する。詳細には、コンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令は、エッジ仕上げ装置10によるホイールドレッシング作業を助長して、エッジ仕上げ装置10が行うエッジ仕上げの有効性を改善又は回復することができる。実施形態では、コントローラ500は、仕上げホイール組立体250のモータ252、ホイールドレッシング組立体300のアクチュエータ308、及び砕片回収システム400のノズル402と作動的に関連する1又は2以上の弁(図示せず)に対して、通信可能に接続される。また、コントローラは、砕片回収システム400の真空システム410と、仕上げホイール組立体250の多軸位置決めステージ254のリニアアクチュエータ258、260とに通信可能に接続される場合もある(仕上げホイール組立体250が多軸位置決めステージ254を含む場合)。
【0050】
実施形態では、コントローラ500及び関係するプロセッサ502は、仕上げホイール組立体250のモータ252から、モータ252の動作電流を表す信号を受け取るように動作可能である。本明細書に記載する実施形態では、モータ252の動作電流自体は、モータ252のトルクを表す。また、コントローラ500及び関係するプロセッサ502は、モータ252から受け取ったモータ252の動作電流を表す信号に基づいて及びその信号に応答して、ホイールドレッシング組立体300のアクチュエータ308と、砕片回収システム400のノズル402と作動的に関連する1又は2以上の弁(図示せず)とに制御信号を送るように動作可能とすることができる。また、コントローラ500及び関係するプロセッサ502は、モータ252から受け取ったモータ252の動作電流を表す信号に基づいて及びその信号に応答して、砕片回収システム400の真空システム410と、仕上げホイール組立体250の多軸位置決めステージ254のリニアアクチュエータ258、260(仕上げホイール組立体250が多軸位置決めステージ254を含む場合)とに制御信号を送るように動作可能とすることができる。
【0051】
例えば、仕上げホイール組立体250のエッジ仕上げホイール201はモータ252で回転させられるが、負荷がかかっていない場合(すなわち、エッジ仕上げホイール201がガラスシート100のエッジ110と係合していない場合)、モータ252の動作電流は、モータ252のベースライントルク(つまり、「ベースライントルク」値)に概ね対応するベースライン値(つまり、「ベースライン電流」値)を有することができる。しかしながら、仕上げホイール組立体250のエッジ仕上げホイール201がモータ252で回転させられ、負荷がかかっている場合、例えばエッジ仕上げホイールがガラスシート100のエッジ110と係合している場合、負荷がかかっているモータ252の動作電流はベースライン電流値よりも大きくなる可能性があり、この負荷状態の動作電流値(つまり、「作動電流」値)は、一般に負荷がかかっているモータ252のトルク(つまり、「作動トルク」値)に対応する。実施形態では、コントローラ500のメモリ504に格納されたコンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令セットは、作動電流値を単独で又はベースライン電流値と併せて利用してホイールドレッシング作業を開始させ、それにより、ホイールドレッシング組立体300の切削ヘッド304がエッジ仕上げホイール201と係合してエッジ仕上げホイール201をドレッシングし又は削り取り、エッジ仕上げホイール201の溝の深さを制御し(つまり、減少させ)、それによってエッジ仕上げ作業の有効性が改善及び/又は回復する。
【0052】
ここで
図4を参照すると、
図4は、コントローラ500によって開始されたホイールドレッシング作業中のエッジ仕上げ装置10を概略的に示す。コントローラ500のプロセッサ502は、モータ252から受け取ったモータ252の電流を表す信号に基づき、コントローラ500のメモリ504に格納されたコンピュータで読取り可能かつ実行可能な命令セットを実行して、ホイールドレッシング作業を開始し、この場合、切削ヘッド304のブレード306がエッジ仕上げホイール201と係合し、ノズル402を使って液体450が切削ヘッド304のブレード306及びエッジ仕上げホイール201に向けられる。例えば、コントローラ500のプロセッサ502は、切削ヘッド304に連結されたアクチュエータ308に制御信号を送り、アクチュエータ308に切削ヘッド304がエッジ仕上げホイール201に向かって前進するようにさせることができ、それによって切削ヘッド304のブレード306がエッジ仕上げホイール201と係合してエッジ仕上げホイール201をドレッシングし、その結果、エッジ仕上げホイール201の溝205a、205b、205c、205d、205eの深さが減少する。同時に、コントローラ500のプロセッサ502は、ノズル402と作動的に関連する1又は2以上の弁(図示せず)に制御信号を送って弁を開き、これにより液体450の流れがノズル402からブレード306及びエッジ仕上げホイール201の上に放出されるようにする。実施形態では、コントローラ500のプロセッサ502は、真空システム410に制御信号を送り、それによって真空システム410を作動させることもできるので、収集トラフ404に集められた液体及び砕片は、矢印460で示すように、ホイールドレッシング作業中に廃棄物回収ビン406の中に排出される。
【0053】
実施形態では、ホイールドレッシング作業は、エッジ仕上げホイール201の外径から所定量の材料を除去するように設計することができる。例えば、エッジ仕上げ装置10のコントローラ500は、コントローラ500が開始するホイールドレッシング作業ごとに、ホイールドレッシング組立体300の切削ヘッド304を所定量ずつ漸増的に前進させるようにプログラムすることができるので、連続してホイールドレッシング作業が開始されるたびに、エッジ仕上げホイール201の外径から同じ量の材料が除去される。実施形態では、例えば、エッジ仕上げ装置のコントローラ500は、開始されたホイールドレッシング作業ごとに、エッジ仕上げホイール201の外径から40マイクロメートルの材料を削り取るようにプログラムすることができる。そのため、コントローラ500は、エッジ仕上げホイール201の外径の減少を考慮して、コントローラ500によって開始される連続したホイールドレッシング作業ごとに、切削ヘッド304をさらに40マイクロメートルだけ前進させるようにプログラムすることができる。
【0054】
ホイールドレッシング作業が完了すると(例えば、ブレード306のエッジ仕上げホイール201との係合に続いてエッジ仕上げホイール201が所定回数回転した後に、又はブレード306のエッジ仕上げホイール201との係合に続いて一定時間が経過した後に)、コントローラ500のプロセッサは、切削ヘッド304に連結されたアクチュエータ308に制御信号を送り、アクチュエータ308に切削ヘッド304及びブレード306がエッジ仕上げホイール201から後退するようにさせ、それによって切削ヘッド304のブレード306がエッジ仕上げホイール201から離れる。その後、コントローラ500のプロセッサ502は、ノズル402と作動的に関連する1又は2以上の弁(図示せず)に制御信号を送って弁を閉じ、それによってノズル402からの液体450の流れが中断する。また、コントローラ500のプロセッサ502は、真空システム410を非作動にする制御信号を真空システム410に送ることもできる。
【0055】
一部の実施形態では、ホイールドレッシング作業の完了後、コントローラ500のプロセッサは、仕上げホイール組立体250の多軸位置決めステージ254のリニアアクチュエータ258、260に信号を送り(仕上げホイール組立体250が多軸位置決めステージ254を含む場合)、ホイールドレッシング作業後のエッジ仕上げホイール201の新たな直径に基づいて、ガラスシート100のエッジ110に対するモータ252及び取り付けられたエッジ仕上げホイール201の位置を調整することができる。
【0056】
図1A-1Cに関して上述したとおり、エッジ仕上げホイール201の溝405が摩耗して深くなると、ガラスシート100のエッジ110に対する力分布が変化する。詳細には、エッジ仕上げホイール201との接触によりガラスシート100に作用する合力F
Totalの接線力成分F
Tangentialは、溝が深くなることによりガラスシート100の表面(複数可)102のより多くの面積がエッジ仕上げホイール201の溝と接触するにつれて増加する。同時に、ガラスシート100に作用する合力F
Totalの法線力成分F
Normalが減少し、ガラスエッジ仕上げ作業の有効性が低下する。実際に、ガラスシート100の表面(複数可)102との接触が増えると、モータの作動トルクが増加する。つまり、溝の深さが増加するにつれて、モータの作動トルクが増加する可能性がある。従って、実施形態では、エッジ仕上げ装置のコントローラ500は、モータ252の作動トルクの値を、ホイールドレッシング作業を開始するための指標として利用することができ、これにより、エッジ仕上げホイール201の溝の深さが減少し、エッジ仕上げホイール201によって実行されるガラスエッジ仕上げ作業の有効性が回復する。
【0057】
詳細には、モータ252の作動電流から決定される閾値を超えてモータの作動トルクが増加したと判定されると、コントローラ500はホイールドレッシング作業を開始することができ、エッジ仕上げホイール201の直径が減少し、それによってエッジ仕上げホイールの溝の深さが減少する。結果として、ガラスシート100の表面(複数可)102とエッジ仕上げホイール201の溝との接触面積が減少し、それにより、エッジ仕上げホイール201との接触に起因してガラスシート100に作用する合力FTotalの接線力成分FTangentialが減少して、ガラスシート100に作用する合力FTotalの法線力成分FNormalが増加し、ガラスエッジ仕上げ作業の有効性が向上する。
【0058】
図2-5を参照すると、
図5は、エッジ仕上げ装置10を作動させる方法の一実施形態のフローチャート600である。ブロック602では、コントローラ500のプロセッサ502は、エッジ仕上げ作業中に(つまり、エッジ仕上げホイール201がガラスシート100のエッジ110と係合している時に)モータ252の作動トルクを表す信号を受け取ることにより、モータ252の作動トルクを監視する。実施形態では、モータ252から受け取った信号は、エッジ仕上げ作業中のモータの動作電流とすることができ、本明細書に記載されるように、この電流はモータ252のトルクに対応する。
【0059】
その後、ブロック604で、コントローラ500のプロセッサ502は、モータ252の作動トルクが、エッジ仕上げホイール201の最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定する。1つの実施形態では、プロセッサ502は、モータ252の作動トルクを上側閾値トルク値と直接比較することによって、モータ252の作動トルクがエッジ仕上げホイール201の最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定する。この実施形態では、上側閾値トルク値は、コントローラ500のメモリ504に格納されている実験的に決定された定数である。上側閾値トルク値は、エッジ仕上げホイール210がガラスシート100のエッジ110と係合し、エッジ仕上げホイール201の溝205が、その深さdの増加に伴ってエッジ仕上げ作業の有効性が低下する深さに達した時の、エッジ仕上げ装置10のモータ252の作動トルクに対応する。実施形態では、上側閾値トルク値の値は、エッジ仕上げホイールの溝深さの関数として、エッジ仕上げホイールが達成する所望のエッジ仕上げによって決定される。例えば、上側閾値トルクの値は、溝の深さを所望のエッジ仕上げ品質と相関させることによって実験的に決定することがでる。モータ252の作動トルク値が上側閾値トルク値よりも大きくない場合、コントローラ500のプロセッサ502は、ブロック602から始まる方法を繰り返す。しかしながら、モータ252の作動トルク値が上側閾値トルク値よりも大きい場合、コントローラのプロセッサ502はブロック606に進み、
図4に関して本明細書で説明したようにホイールドレッシング作業を開始する。
【0060】
ここで
図5及び6を参照すると、
図6はフローチャート600のブロック604の代替実施形態を概略的に示す。この実施形態では、コントローラ500のプロセッサ502は、モータ252の作動トルクが最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するために、トルク比を利用することができる。この実施形態では、モータ252の作動トルクが最大溝深さに対応する上側閾値トルク値より大きいかどうかを判定するステップ(すなわち、フローチャート600のブロック604)は、ブロック604aで、モータ252の作動トルクを表す信号に基づいてモータ252の作動トルク比を決定するステップを含む。詳細には、モータ252の作動トルクを表す信号は、エッジ仕上げ作業中のモータ252の作動電流(すなわち、エッジ仕上げホイール201がガラスシート100のエッジ110と係合している時のモータの電流)とすることができる。モータ252の作動トルク比は、コントローラ500のプロセッサ502によって、プロセッサ502が受け取ったモータ252の作動電流をモータ252の最大電流で割り、その商に100をかけてパーセンテージを得ることで決定される(つまり、作動トルク比=(作動電流/最大電流)×100)。実施形態では、モータ252の最大電流はモータの定格電流であって、モータ252の測定可能な特性であり、特定のエッジ仕上げ装置10に関するコントローラ500のメモリ504に格納することができる。
【0061】
ブロック604bでは、コントローラ500のプロセッサ502は、モータ252の作動トルク比(ブロック604aで決定される)とモータ252のベースライントルク比との差を決定する(つまり、作動トルク比-ベースライントルク比)。ベースライントルク比は、コントローラ500のメモリ504に格納すること、さもなければ、コントローラ500のメモリ504に格納された値又はコントローラ500のプロセッサ502が受け取った値に基づいて、コントローラ500のプロセッサ502で計算することができる。ベースライントルク比は、モータ252のベースライン電流をモータ252の最大電流で割り、100をかけてパーセンテージを得たものである(つまり、ベースライントルク比=(ベースライン電流/最大電流)×100)。この実施形態では、モータ252のベースライン電流は、エッジ仕上げホイール201に負荷がかかっていない作業中のモータの電流(つまり、エッジ仕上げ作業中にエッジ仕上げホイールがガラスシート100のエッジ110と係合していない時にモータ252を流れる電流)である。実施形態では、モータ252のベースライン電流は、エッジ仕上げ装置10のモータ252の測定可能な特性であり、特定のエッジ仕上げ装置10に関するコントローラ500のメモリ504に格納することができる。あるいは、モータ252のベースライン電流は、エッジ仕上げ装置10がガラスシート100のエッジ110と係合していない場合のエッジ仕上げ装置10の動作中に測定することができる。本明細書に記載したように、モータ252の最大電流は、モータ252の測定可能な特性であり、特定のエッジ仕上げ装置10に関するコントローラ500のメモリ504に格納することができる。
【0062】
次に、ブロック604cでは、作動トルク比とベースライントルク比の差を上側閾値トルク値と比較して、コントローラ500がホイールドレッシング作業を開始すべきかどうかを判定する。この実施形態では、上側閾値トルク値は、最大溝深さに対応する上側閾値トルク比である。詳細には、上側閾値トルク値は、コントローラ500のメモリ504に格納されている実験的に決定された定数である。例えば、上側閾値トルク比は、エッジ仕上げ装置10のモータ252の作動トルク比とベースライントルク比との差に対応することができる。この差を計算するために使用される作動トルク比の値は、エッジ仕上げホイール210がガラスシート100のエッジ110と係合し、エッジ仕上げホイール201の溝205が、その深さdの増加に伴ってエッジ仕上げ作業の有効性が低下する深さに達した時に決定される。実施形態では、上側閾値トルク比は約48%から約52%の範囲内とすることができる。
【0063】
モータ252の作動トルク比とモータ252のベースライントルク比との差が上側閾値トルク値よりも大きくない場合、コントローラ500のプロセッサ502は、ブロック602(
図5)で始まる方法を繰り返す。しかしながら、モータ252の作動トルク比とモータ252のベースライントルク比との差が上側閾値トルク値よりも大きい場合、コントローラのプロセッサ502はブロック606(
図5)に進み、本明細書で説明したホイールドレッシング作業を開始する。
【0064】
図2及び3を再び参照すると、作動時、ガラスシート100のエッジ110は、エッジ仕上げホイール201が回転する際にエッジ仕上げホイール201の溝、例えば溝205aと係合するので、ガラスシート100のエッジ110が研磨及び/又は洗浄される。仕上げ作業中、ガラスシート100のエッジ110全体の研磨及び/又は洗浄を促進するために、ガラスシート100は、
図2に示す座標軸のX-Y平面と平行な平面に沿って+/-Y方向に平行移動又は搬送される。ガラスシート100のエッジ110は、エッジ仕上げホイール201によって仕上げられると溝205aから離れ、エッジ仕上げホイール201は、次に続くガラスシートがエッジ仕上げホイール201の次の連続した溝、この例では溝205bに受け入れられるようにインデックス動作する。実施形態では、エッジ仕上げホイール201のインデックス動作は、多軸位置決めステージ254によって実現される。あるいは、エッジ仕上げホイール201をインデックス動作させるのではなく、次に続くガラスシート100の位置をエッジ仕上げホイール201に対してインデックス動作させて、次に続くガラスシートのエッジがエッジ仕上げホイール201の次の連続した溝と係合するようにすることもできる。この仕上げ/インデックス動作のサイクルは、エッジ仕上げ装置10で仕上げられたガラスシート100ごとに繰り返され、エッジ仕上げ装置10で仕上げられたガラスシートの集団全体にわたってエッジ仕上げのばらつきが低減される。
【0065】
ガラスシート100のエッジ110をガラス仕上げ装置10で仕上げる間、ガラス仕上げ装置10のコントローラ500は、本明細書で説明するように、エッジ仕上げ装置10のモータ252の作動トルクを監視して、エッジ仕上げホイールの摩耗がエッジ仕上げ工程に及ぼす影響を軽減するためにホイールドレッシング作業をいつ開始するかを決定する。モータの作動トルクに基づいた定期的なホイールドレッシング作業の実施は、エッジ仕上げ装置で仕上げられたガラスシートの集団全体にわたってエッジ仕上げのばらつきをさらに低減し、それによって、ガラスシートの品質及び均一性が向上し、廃棄物ガラスの量が削減され、製造歩留りが向上する。
【0066】
さらに、モータの作動トルクに基づいた定期的なホイールドレッシング作業の実施は、エッジ仕上げホイールの耐用寿命にわたって一貫した溝の深さを提供することにより、エッジ仕上げホイールの耐用寿命をさらに延ばすことができる。詳細には、モータの作動トルクに基づいた定期的なホイールドレッシング作業により、エッジ仕上げホイールで浅い溝を利用することが可能となり、浅い溝はその構造的完全性をより良く維持するので、結果として、エッジ仕上げホイールにさらに多くの溝を形成できる。エッジ仕上げホイール当たりの溝の本数が多いほど、より長い直線距離(linear meters )のガラスを単一のホイールで処理することが可能となり、結果として製造コストを削減することができる。
【0067】
従って、本明細書に記載したエッジ仕上げ装置及び方法は、エッジ仕上げ装置で処理されたガラスシートの品質を向上させると共に、ガラスシートの製造コストを削減するために使用することができることを理解されたい。
【0068】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な修正及び変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るのであれば、そのような修正及び変形をカバーすることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 エッジ仕上げ装置
100 ガラスシート
110 ガラスシートのエッジ
201 エッジ仕上げホイール
205a,b エッジ仕上げホイールの溝
250 仕上げホイール組立体
252 モータ
254 多軸位置決めステージ
256 電機子
258 第1のリニアクチュエータ
260 第2のリニアクチュエータ
262 リンク機構
264 +/-X方向への移動
266 +/-Z方向への移動
300 ホイールドレッシング組立体
302 ハウジング
304 切削ヘッド
306 ブレード
308 アクチュエータ
310 切削ヘッドの伸長及び後退
312 支柱
364 砕片遮蔽板
400 砕片回収システム
402 ノズル
404 収集トラフ
406 廃棄物回収ビン
408 排水ライン
410 真空システム
500 コントローラ
502 プロセッサ
504 メモリ
【国際調査報告】