(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20241108BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241108BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20241108BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/131
H01M4/134
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531134
(86)(22)【出願日】2023-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 KR2023013209
(87)【国際公開番号】W WO2024053979
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0112181
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シュルキ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソラ・ベク
(72)【発明者】
【氏名】サン・スン・オー
(72)【発明者】
【氏名】クァン・ホ・ユ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM16
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ07
5H029HJ08
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA07
5H050HA08
(57)【要約】
本明細書は、正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、前記負極は負極活物質を含み、前記負極活物質はSi系活物質および炭素系活物質を含み、前記正極はNi系活物質を含み、前記Ni系活物質は、粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられている、二次電池を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、
前記負極は負極活物質を含み、
前記負極活物質は、シリコン系活物質および炭素系活物質を含み、
前記正極はニッケル系活物質を含み、
前記ニッケル系活物質の粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられている、二次電池。
【請求項2】
前記コバルト酸化物層は、前記ニッケル系活物質の粒子表面積の1%~99%に設けられている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記コバルト酸化物層は島状である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記ニッケル系活物質は、粒子表面に2つ以上のコバルト酸化物層を含む、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記コバルト酸化物層の厚さは、5nm~10nmである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記コバルト酸化物層は、ニッケル系活物質100重量部に対して0.5重量部~3重量部で含まれる、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記シリコン系活物質は、負極活物質100重量部を基準にして1重量部~10重量部である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記正極の電極密度と前記負極の電極密度の比(正極電極密度/負極電極密度)が2.06以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記正極の電極密度は3.5g/cc以上である、請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記負極の電極密度は1.7g/cc以下である、請求項8に記載の二次電池。
【請求項11】
正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、
前記正極の電極密度と前記負極の電極密度の比(正極電極密度/負極電極密度)が2.06以上である、二次電池。
【請求項12】
前記正極の電極密度が3.5g/cc以上である、請求項11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記負極の電極密度が1.7g/cc以下である、請求項11に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月5日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0112181号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適応容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに広く応用されている。
【0004】
このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減らすことができるという一次的な利点だけでなく、エネルギーの使用による副産物がまったく発生しないという利点も持っているため、環境にやさしく、エネルギー効率性の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0005】
一般に、二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する分離膜および電解質などを含む。また、正極および負極には、集電体上に正極活物質および負極活物質をそれぞれ含む活物質層が形成され得る。一般に、前記正極にはLiCoO2、LiMn2O4などのリチウム含有金属酸化物が正極活物質として用いられ、負極には炭素系化合物、シリコン系化合物、これらの混合物などが負極活物質として用いられている。
【0006】
近年、急速充電が可能な電池を開発するために、負極に黒鉛などの炭素系化合物とシリコン系化合物を混合して使用しているが、シリコン系化合物を含む場合、放電末端で負極抵抗が急激に上昇して負極抵抗と正極抵抗との差が大きくなり、電池の寿命が短くなり、常温サイクル特性が低下するという問題が発生し、このような問題を解決するための電池の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0037409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、負極にシリコン系化合物を含みながらも放電末端で負極抵抗と正極抵抗との差を低減し、電池の寿命および常温サイクル特性が改善された二次電池を提供しようとする。
【0009】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下に記載される発明の説明から当業者には明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、前記負極は負極活物質を含み、前記負極活物質はシリコン(Si)系活物質および炭素系活物質を含み、前記正極はニッケル(Ni)系活物質を含み、前記ニッケル(Ni)系活物質は、粒子表面の一部にコバルト酸化物層が備えられた二次電池を提供する。
【0011】
また、本発明の一実施態様は、正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、前記正極の電極密度と前記負極の電極密度の比(正極電極密度/負極電極密度)が2.06以上である二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二次電池は、正極に粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられたニッケル(Ni)系活物質を含むことにより、放電末端での正極抵抗の急激な減少を低減することができる。これにより、正極抵抗と負極抵抗との差を減らすことができ、寿命、常温サイクル特性が向上した二次電池を得ることができる。
【0013】
具体的には、正極の抵抗を改善するために、ニッケル(Ni)系活物質粒子表面の全体にコバルト酸化物層を備える場合、放電末端の抵抗が大きく低くなる。これにより、急速充電を可能にするために負極に含まれたシリコン(Si)系活物質の使用が過度に増加(使用深度増加)することになり、電池の寿命性能が低下する結果を招く。本発明の二次電池は、ニッケル(Ni)系活物質粒子表面の一部にコバルト酸化物層を備えており、急速充電が可能であり、正極の抵抗が改善され、正極と負極の抵抗差およびシリコン(Si)系活物質の使用深度を低減して常温寿命が向上された二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】粒子表面の一部にコバルト酸化物層が備えられたNi系活物質のSEMイメージを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の内容は本発明の理解を助けるためのものであり、これに限られて発明の権利範囲が定められたり、限定されたりするものではない。
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0017】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上」に位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間に別の部材が存在する場合も含む。
【0018】
本明細書で使用される用語または単語は、通常的または辞書的な意味に限定されて解釈されるべきではなく、発明者は、自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0019】
本明細書で使用される用語の単数の表現は、文脈上明らかに別段の意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0020】
本明細書において、正極または負極の活物質内に含まれた構造の結晶性は、X線回折分析により確認することができ、X線回折分析は、X-ray diffraction(XRD)分析機器(製品名:D4-endavor、製造者:bruker)を用いて行うことができ、前記機器の他にも、当業界で使用される機器を適宜採用することができる。
【0021】
本明細書において、正極または負極の活物質内の元素の有無および元素の含量はICP(誘導結合プラズマ)分析により確認することができ、ICP分析は誘導結合プラズマ発光分析分光器(ICPAES、Perkin-Elmer 7300)を用いて行うことができる。
【0022】
本発明は、正極、負極、分離膜、および電解質を含む二次電池であって、前記負極は負極活物質を含み、前記負極活物質はシリコン(Si)系活物質および炭素系活物質を含み、前記正極はニッケル(Ni)系活物質を含み、前記ニッケル(Ni)系活物質は、粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられたものである。
【0023】
本明細書において、負極活物質がシリコン(Si)系活物質を含む場合、放電末端で負極抵抗が急激に上昇し、低抵抗特性を有する正極材料を用いる正極抵抗は急激に減少するため、負極抵抗と正極抵抗との差が非常に大きくなる。これにより、負極の劣化が急速に進行し、電池の寿命が短くなり、常温サイクル特性が低下するという問題がある。これを解決するために、正極材料であるNi系活物質粒子表面の一部にコバルト酸化物層を設けて正極抵抗の急激な減少を減らして、寿命および常温サイクル特性が向上した電池を得ることができる。
【0024】
本明細書において、前記放電末端とは、電池(Full cell)のSOC(states of charge)10%以下の領域を意味する。
【0025】
<Ni系活物質>
本発明の正極はニッケル(Ni)系活物質を含み、前記ニッケル(Ni)系活物質は粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられる。前記粒子表面の一部において、「一部」は、ニッケル(Ni)系活物質粒子表面の全体ではないことを意味する。具体的には、前記ニッケル(Ni)系活物質の粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられるとは、前記ニッケル(Ni)系活物質の粒子表面の全体にコバルト酸化物層が形成されたことを除くことを意味する。
【0026】
本発明において「コバルト酸化物層」とは、コバルト酸化物を含む層である。前記コバルト酸化物層は、コバルト酸化物のみからなってもよく、コバルト酸化物を主成分として含み、微量の追加成分をさらに含んでもよい。例えば、前記コバルト酸化物層は、コバルト酸化物を90wt%以上100wt%以下で含んでもよい。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、前記コバルト酸化物層は、ニッケル(Ni)系活物質粒子の表面積の1%~99%、5%~99%、または10%~80%に形成されてもよい。
【0028】
本発明の一実施態様において、前記コバルト酸化物層は、ニッケル(Ni)系活物質粒子表面の一部に形成されていれば、その形態は限定されず、島状(island type)であってもよい。前記島状とは、全ての周りが連続して連結されない形態を意味する。これは、前記ニッケル(Ni)系活物質粒子表面の全体または一部を連続的に取り囲んでいるものと区別するための表現であり、この用語自体で形態、大きさ、または面積を限定するものではない。前記コバルト酸化物層は、
図1にて確認できるように、ニッケル(Ni)系活物質の粒子表面に形成された島状の粒子を意味し、その形態は制限されない。
【0029】
本発明の一実施態様において、前記ニッケル(Ni)系活物質は、粒子表面に2個以上、5個以上、10個以上、または20個以上のコバルト酸化物層を含み、前記コバルト酸化物層は島状(island type)である。前記島状は、ニッケル(Ni)系活物質粒子表面に形成された球、歪んだ球などの塊状、塊と塊が結合した形態などを全て含み、その形態は制限されない。
【0030】
前記コバルト酸化物層は、ニッケル(Ni)系活物質の粒子表面に離隔配置されてもよく、Ni系活物質の粒子表面の一部に不連続に分布してもよい。
【0031】
本発明の一実施態様によれば、前記コバルト酸化物層の厚さは5nm~10nmである。ここで、「厚さ」は、前記コバルト酸化物層を横切る直線のうち最も長い直線の長さを意味する。
【0032】
本発明の一実施態様において、前記ニッケル(Ni)系活物質の粒子表面の形成されたそれぞれのコバルト酸化物層の形態、厚さは互いに等しいか異なる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記コバルト酸化物層は、ニッケル(Ni)系活物質100重量部に対して0.5重量部~3重量部で含まれる。
【0034】
本発明のNi系活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムなどの1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含んでもよい。より具体的には、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NipCoqMnr1)O2(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1)、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O4(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3MS2)O2(ここで、MはAl、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2はそれぞれ独立した元素の原子分率であり、0<p2<1、0<q2<1、0≦r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の化合物が含まれ得るが、これに限定されない。
【0035】
<負極>
本発明の一実施態様による負極は負極活物質を含み、前記負極活物質はシリコン(Si)系活物質および炭素系活物質を含む。
【0036】
具体的には、前記負極は、負極集電体および前記負極集電体の少なくとも一面上に配置された負極活物質層を含んでもよい。前記負極活物質層は、前記シリコン(Si)系活物質および炭素系活物質を含む。さらに、前記負極活物質層は、バインダーおよび/または導電材をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラックなどであってもよい。
【0038】
従来は負極活物質として黒鉛系化合物のみを用いることが一般的であったが、近年では高容量電池に対する需要が高まるにつれて、容量を高めるためにシリコン系活物質を混合して使用しようとする試みが増えている。
【0039】
本発明者は、負極活物質として炭素系化合物のみを含む場合、常温サイクル寿命問題が発生しないのに対し、シリコン系活物質を含む場合、常温サイクル寿命問題が発生するため、これを解決するために本発明を考案することに至った。
【0040】
本発明の一実施態様において、前記シリコン(Si)系活物質は、SiOβ(0<β<2)またはSi-C複合体などであってもよい。
【0041】
また、本発明の一実施態様によれば、前記シリコン(Si)系活物質は、負極活物質100重量部を基準にして1重量部~10重量部、好ましくは5重量部~10重量部で含まれる。前記シリコン(Si)系活物質の含量が前記範囲を満たす場合、エネルギー密度およびセル抵抗の面で向上した効果を有しつつ、充/放電時に発生する体積膨張が少なく、寿命の面でも優れた効果を有することになる。
【0042】
前記負極活物質層は、負極活物質、バインダーおよび/または導電材を含む負極スラリーを負極集電体の少なくとも一面に塗布し、乾燥および圧延して形成されることができる。
【0043】
前記負極スラリーは、前記負極活物質、バインダーおよび/または導電材を含む。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、負極スラリーは、前述のシリコン(Si)系活物質と炭素系活物質の他に、追加の負極活物質をさらに含んでもよい。
【0045】
前記追加の負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物が用いられ得る。具体例としては、Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金、またはAl合金などのリチウムと合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO2、バナジウム酸化物、リチウムチタニウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などのリチウムをドープおよび脱ドープできる金属酸化物、またはSi-C複合体またはSnC複合体などのように、前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の混合物が使用されてもよい。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が用いられてもよい。
【0046】
本発明の一実施態様において、前記負極スラリーに含まれた負極活物質と追加の負極活物質との重量比は、10:90~90:10であり、具体的には10:90~50:50であってもよい。
【0047】
前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであればよく、特に制限されるものではない。例えば、前記集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。具体的には、銅、ニッケルなどの炭素をうまく吸着する遷移金属を集電体として用いることができる。前記集電体の厚さは6μm~20μmであり得るが、前記集電体の厚さはこれに限定されない。
【0048】
前記バインダーは、ポリビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)およびそれらの水素を、Li、Na、またはCaなどで置換された物質からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよく、またそれらの様々な共重合体を含んでもよい。
【0049】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン粉末;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。
【0050】
前記負極スラリーは、Na-CMC(Sodium carboxymethyl cellulose,カルボキシメチルセルロースナトリウム)、Li-CMC(Carboxymethyl cellulose lithium,カルボキシメチルセルロースリチウム)、CNF(Cellulose nano fiber,セルロースナノファイバー)などの増粘剤をさらに含んでもよい。
【0051】
本発明の一実施態様による負極スラリーは、負極スラリー形成用溶媒をさらに含んでもよい。具体的には、前記負極スラリー形成用溶媒は、成分の分散を容易にする側面で、蒸留水、エタノール、メタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種、具体的には、蒸留水を含んでもよい。
【0052】
本発明の一実施態様において、前記負極スラリーの固形分重量は、前記負極スラリー計100重量部を基準にして20重量部~75重量部、具体的には30重量部~70重量部であってもよい。
【0053】
<二次電池>
本発明の一実施態様による二次電池は、前述した一実施態様による負極を含んでもよい。具体的には、前記二次電池は、負極、正極、前記正極および負極の間に介在した分離膜および電解質を含んでもよく、前記負極は前述の負極と同じである。前記負極については前述したため、具体的な説明は省略する。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、電極作製工程中の圧延(press)工程により電極の密度を高めることができる。
【0055】
本発明の一実施態様に係る二次電池は、正極、負極、分離膜、および電解質を含み、前記正極の電極密度と前記負極の電極密度比(正極電極密度/負極電極密度)が2.06以上である。この数値は小数点の3桁目で四捨五入した値である。
【0056】
他の一実施態様において、前記正極の電極密度と前記負極の電極密度比(正極電極密度/負極電極密度)は、2.06以上であってもよく、または2.06以上2.47以下であってもよく、または2.06以上2.30以下であってもよい。他の一実施態様によれば、前記正極の電極密度が3.5g/cc以上である。
【0057】
また他の一実施態様において、前記正極の電極密度は3.5g/cc~3.73g/ccである。
【0058】
また他の一実施態様によれば、前記正極の電極密度は3.5g/cc~3.55g/ccである。
【0059】
また他の一実施態様によれば、前記負極の電極密度が1.7g/cc以下である。
【0060】
また他の一実施態様において、前記負極の電極密度は1.51g/cc~1.7g/ccである。
【0061】
また他の一実施態様において、前記負極の電極密度は1.51g/cc~1.62g/ccである。
【0062】
また他の一実施態様に係る二次電池は、正極、負極、分離膜、および電解質を含み、前記負極は負極活物質を含み、前記負極活物質はシリコン(Si)系活物質および炭素系活物質を含み、前記正極はニッケル(Ni)系活物質を含み、前記ニッケル(Ni)系活物質は粒子表面の一部にコバルト酸化物層が設けられ、前記正極の電極密度と前記負極の電極密度比(正極電極密度/負極電極密度)が2.06以上である。
【0063】
他の一実施態様において、前記正極の電極密度と前記負極の電極密度比(正極電極密度/負極電極密度)は、2.06以上であってもよく、または2.06以上2.47以下であってもよく、または2.06以上2.30以下であってもよい。
【0064】
また他の一実施態様によれば、前記正極の電極密度が3.5g/cc以上である。
【0065】
また他の一実施態様において、前記正極の電極密度は3.5g/cc~3.73g/ccである。
【0066】
また他の一実施態様によれば、前記正極の電極密度は3.5g/cc~3.55g/ccである。
【0067】
また他の一実施態様によれば、前記負極の電極密度が1.7g/cc以下である。
【0068】
また他の一実施態様において、前記負極の電極密度は1.51g/cc~1.7g/ccである。
【0069】
また他の一実施態様において、前記負極の電極密度は1.51g/cc~1.62g/ccである。
【0070】
前記電極密度は以下の方法で測定することができる。
【0071】
電極密度={電極重量(箔(foil)の重量を除く)}/{(電極厚さ)×(電極面積)}
【0072】
前記正極は、正極集電体および前記正極集電体の少なくとも一面上に形成され、前記正極活物質を含む正極活物質層を含んでもよい。
【0073】
前記正極において、正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に、炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。また、前記正極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有してもよく、前記集電体表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用することができる。
【0074】
前記正極活物質は、前述したニッケル(Ni)系活物質が適用され得る。
【0075】
本発明の一実施態様によって、追加の正極活物質を含んでもよい。前記追加の正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や、1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFe3O4などのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+c1Mn2-c1O4(0≦c1≦0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-c2Mc2O2(ここで、Mは、Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BおよびGaからなる群から選択される少なくとも一つであり、0.01≦c2≦0.3を満たす)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-c3Mc3O2(ここで、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、ZnおよびTaからなる群から選択される少なくとも一つであり、0.01≦c3≦0.1を満たす)またはLi2Mn3MO8(ここで、Mは、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選択される少なくとも一つである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。前記正極はLi-metalであってもよい。
【0076】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質と共に、正極導電材および正極バインダーを含んでもよい。
【0077】
この際、前記正極導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を起こすことなく電子伝導性を有するものであれば特に制限なく使用可能である。具体例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;あるいはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0078】
また、前記正極バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-coHFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはそれらの様々な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0079】
本発明の一実施態様による正極スラリーは、正極スラリー形成用溶媒をさらに含んでもよい。具体的には、前記正極スラリー形成用溶媒は、成分の分散を容易にする側面からメチルピロリドン(NMP)などを含んでもよい。
【0080】
本発明の一実施態様において、前記正極スラリーの固形分重量は、前記正極スラリーの計100重量部を基準にして20重量部~85重量部、具体的には30重量部~80重量部であってもよい。
【0081】
前記分離膜としては、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、二次電池で分離膜として使用されるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含湿能力に優れるのが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれた、コーティングされた分離膜が用いられることもでき、選択的に単層または多層構造で使用されてもよい。
【0082】
前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0083】
具体的には、前記電解質は、非水系有機溶媒と金属塩を含んでもよい。
【0084】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用されてもよい。
【0085】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高くリチウム塩を良好に解離させるため、好ましく用いられ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適当な割合で混合して使用すると、高い電気伝導率を有する電解質を作ることができ、より好ましく用いられることができる。
【0086】
前記金属塩は、リチウム塩を用いることができ、前記リチウム塩は前記非水電解液に溶解されやすい物質であり、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F-、Cl-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-および(CF3CF2SO2)2N-からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0087】
前記電解質には、前記電解質構成成分の他にも、電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0088】
本発明のまた他の一実施態様によれば、前記二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高い寿命特性およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車および電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として利用することができる。
【0089】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、該実施例は本記載を例示するものであり、本記載の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかである。このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属するのは当然である。
【0090】
<セル製作>
実施例1.
正極の製作
粒子表面の一部にコバルト酸化物層が備えられたニッケル(Ni)系正極活物質、導電材(カーボンナノチューブ(CNT))およびバインダー(PVDF)を97.0:1.2:1.8の重量比でメチルピロリドン(NMP)溶媒に投入して正極スラリーを製造した。(正極スラリー固形分は全正極スラリーの70重量部で含む)。
【0091】
前記ニッケル(Ni)系正極活物質は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)を86:8:6の原子比で含む。
【0092】
前記で製造された正極スラリーをアルミニウム(Al)集電体上に塗布し、高温で乾燥後、常温圧延して正極を作製した。
【0093】
前記で製造された正極の電極密度は3.64g/ccである。
【0094】
負極の製作
SiO系活物質および炭素系活物質を含む負極活物質(人造黒鉛、天然黒鉛およびSiO系活物質は、全負極活物質100重量部基準、それぞれ75重量部、20重量部および5重量部で含む)、導電材(カーボンブラック)、バインダー(SBR)および増粘剤(CMC)を95.6:1.0:2.3:1.1の重量比で蒸留水溶媒に投入して負極スラリーを製造した(負極スラリー固形分は全負極スラリーの50重量部で含む)。
【0095】
前記で製造された負極スラリーを銅(Cu)集電体上に塗布し、高温で乾燥後、常温圧延して負極を作製した。
【0096】
前記で製造された負極の電極密度は1.62g/ccである。
【0097】
セルの作製
前記で作製された正極と負極との間に分離膜を介在させ、組み立てて電解液を注液後、活性化してセルを作製した。
【0098】
‐電解液組成:1M LiPF6、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)(体積比3/7)、ビニレンカーボネート(VC)/プロパンスルトン(PS、propane sultone)(電解質内にそれぞれ3重量部、1.5重量部で含む)
‐活性化:0.1C、3hrs.充電後、高温/常温エージング(aging)後、デガス(degas)
【0099】
前記で製造されたセルの正極の電極密度/負極の電極密度は2.25である。
【0100】
実施例2.
負極にSiO系活物質を全負極活物質に対して10重量部で含むことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0101】
実施例3.
負極にSiO系活物質の代わりにSiC系活物質を全負極活物質に対して5重量部で含むことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0102】
比較例1.
正極にコバルト酸化物層ではなく、コバルトヒドロキシドをコーティングしたことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0103】
比較例2.
正極にコバルト酸化物層が設けられていないニッケル(Ni)系活物質を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0104】
参考例1.
負極にシリコン系活物質ではなく炭素系活物質のみを用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0105】
参考例2.
正極にコバルト酸化物層が表面全体に設けられたニッケル(Ni)系活物質を用い、負極にシリコン系活物質ではなく炭素系活物質のみを用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法でセルを作製した。
【0106】
<テスト結果>
実験例1.セル抵抗性能
作製されたセルを0.33Cで4.2Vまで定電流/定電圧(CC/CV)充電(0.05C-カットオフ)、0.33C定電流(CC)放電(2.5Vカットオフ)3回進行して3番目の放電容量を測定(初期容量)した。その後、前記のような充電後0.33C放電でSOC 50%セットし、2.5C10秒パルス放電して抵抗を測定(初期抵抗)した。その結果を下記表1に示した。
【0107】
【0108】
実験例2.セル常温サイクル寿命性能
常温(25℃)で0.33Cにて4.2Vまで定電流/定電圧(CC/CV)充電(0.05Cカットオフ)、0.5C定電流(CC)放電(2.5V-カットオフ)してサイクル進行した。400回繰り返し進行後、実験例1と同様の方法で容量および抵抗を測定し、容量維持率(400回後の容量/初期容量×100%)および抵抗増加率(400回後の抵抗/初期抵抗×100-100%)を測定した。その結果を下記表2に示した。
【0109】
【0110】
前記表1の実験結果から、正極にコバルト酸化物層が備えられた本願実施例1~3は、放電末端(SOC5%)でセル抵抗が増加したことが確認できる。これは、正極抵抗の増加により、セル抵抗が増加したことを意味する。正極抵抗が増加すると、SiO系負極活物質の使用深度を減少させ、負極の劣化を防ぎ、寿命の面で優れた効果を示す。これは、表2の実施例1~3の電極が常温サイクル実験において高い容量維持率および低い抵抗増加率を示すことから確認できる。
【0111】
これに対し、比較例1および2は、コバルト酸化物の代わりにコバルトヒドロキシドがコーティングされるか、コバルト酸化物層を備えていない場合に該当し、放電末端で正極抵抗が低く、SiO系負極活物質の使用深度が増加し、負極の劣化が急速に進行する。これは、表2の常温サイクル実験において、比較例1および2の電極が実施例1~3の電極に比べて容量維持率が低く、抵抗増加率が大きいことから確認することができる。
【0112】
参考例1および2は、負極活物質として炭素系負極活物質のみを用いた電極に該当し、負極活物質として炭素系負極活物質のみを含む場合、常温サイクル寿命の問題が発生しない。これは、表2において参考例1および2の容量維持率と抵抗増加率に大きな差がないことから確認できる。すなわち、本発明は、炭素系負極活物質のみを用いた電極ではなく、シリコン系活物質を含む電極に適用され、常温サイクル寿命の問題を解決することに目的がある。
【国際調査報告】