(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20241108BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20241108BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241108BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20241108BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q23/00
H01Q21/06
H04B1/38
H05K7/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531158
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 KR2022019514
(87)【国際公開番号】W WO2023101514
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0171842
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0024793
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】ボ スン キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ホ リ
(72)【発明者】
【氏名】ジ フン リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン フン クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウォン セオ
(72)【発明者】
【氏名】ジン シク パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
【テーマコード(参考)】
5E322
5J021
5J046
5K011
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB03
5J021AB06
5J021BA01
5J021FA13
5J021FA23
5J021FA26
5J021HA05
5J021JA08
5J046AA13
5J046AB03
5J046AB07
5J046AB13
5J046RA00
5K011AA06
5K011AA12
(57)【要約】
【課題】発熱素子から生成された熱の不均衡による熱的ストレスによってアンテナハウジング部が歪まれるのを防止するとともに、内部のアンテナ用RFモジュールの流動および遊びを防止してPIMD問題を改善できるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部と、前記アンテナハウジング部が形成する内部空間に密着するように配置されたボードアセンブリと、前記ボードアセンブリの前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュールとを含み、前記アンテナハウジング部は、前記ボードアセンブリに実装された発熱素子の発熱量の差による上端と下端との間の熱的ストレスによる歪みが防止されるように少なくとも3つに分離されて製作された後、相互結合される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部と、
前記アンテナハウジング部が形成する内部空間に密着するように配置されたボードアセンブリと、
前記ボードアセンブリの前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュールと、を含み、
前記アンテナハウジング部は、
前記ボードアセンブリに実装された発熱素子の発熱量の差による上端と下端との間の熱的ストレスによる歪みが防止されるように少なくとも3つに分離されて製作された後、相互結合される、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナハウジング部は、縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより所定の比率以上長く形成された、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナハウジング部は、
前記アンテナ装置の背面中間部分の外観を形成するセンターヒートシンクパネルと、
前記センターヒートシンクパネルの上部に結合されて前記アンテナ装置の背面上側部分の外観を形成する上部ヒートシンクパネルと、
前記センターヒートシンクパネルの下部に結合されて前記アンテナ装置の背面下側部分の外観を形成する下部ヒートシンクパネルと、を含み、
前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルは、それぞれ縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより長く形成された、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記センターヒートシンクパネルの上端と下端には、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルと前記下部ヒートシンクパネルとのスクリュー組立のための複数のスクリュー貫通ホールが形成された上部結合フランジおよび下部結合フランジが備えられ、
前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジがそれぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部に当接した状態で、複数の組立スクリューを用いて相互結合される、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジは、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部と前後方向にオーバーラップされるように配置され、相対的に前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部より前方に位置する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジは、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部内側および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部内側に陥入配置された、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記センターヒートシンクパネルと前記上部ヒートシンクパネルとの結合部位および前記センターヒートシンクパネルと前記下部ヒートシンクパネルとの結合部位は、防水処理された、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、複数の単位RFフィルタボディが上下垂直方向(Vertical Direction、以下、「V-方向」という)および左右水平方向(Horizontal Direction、以下、「H-方向」という)にそれぞれ数個の行または数個の列に並んで配置され、
前記アンテナ用RFモジュールを前記アンテナハウジング部に対する固定を媒介する複数の固定部材、をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数の固定部材は、
前記複数の単位RFフィルタボディがスクリュー結合方式で固定されるモジュール固定スクリューホールを提供する水平固定バーと、
前記水平固定バーから後方に延びて、後端部が前記アンテナハウジング部または前記ボードアセンブリの前面に固定される複数の固定レッグと、を含む、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記複数の固定レッグのうち両端部に形成された一側固定レッグおよび他側固定レッグは、前記アンテナハウジング部の内側角部分に備えられた角マウンティングブロックにスクリュー結合方式で固定され、
前記複数の固定レッグのうち前記一側固定レッグと他側固定レッグとの間に形成されたセンター固定レッグは、前記ボードアセンブリの前面に備えられたボードマウンティングブロックにスクリュー結合方式で固定される、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、
前記単位RFフィルタボディと、
前記単位RFフィルタボディの前方に突出して備えられた複数の放射素子モジュールと、
前記単位RFフィルタボディの前面より広い面積を有するように前記単位RFフィルタボディの前端に一体に形成され、前記複数の放射素子モジュールから放射された電波を前方に反射させるリフレクタパネルと、を含み、
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記リフレクタパネルを前方から後方に貫通するフィルタ固定スクリューが前記リフレクタパネルの背面側に備えられた前記水平固定バーのモジュール固定スクリューホールに締結される動作で固定される、請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記複数のアンテナ用RFモジュールは、
前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部と、
前記単位RFフィルタボディの背面部に備えられ、前記ボードアセンブリに電気的に連結させるフィルタコネクティング部と、をさらに含み、
前記LNA基板部に形成された雄ソケット部および前記フィルタコネクティング部は、前記単位RFフィルタボディを前記水平固定バーにスクリュー締結により固定させる時、前記ボードアセンブリの前面に備えられた雌ソケット部およびピン結合部に同時に接続可能である、請求項11に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記アンテナハウジング部は、
前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルの前端部にそれぞれ結合され、前記アンテナ装置の左右および上下側部の外観を形成する4つの側面ハウジングパネル、をさらに含み、
前記複数の固定部材は、両端がそれぞれ前記4つの側面ハウジングパネルのうち前記アンテナ装置の左側部の外観および右側部の外観を形成する左側ハウジングパネルおよび右側ハウジングパネルの内側面に固定される水平固定バー、を含む、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記アンテナハウジング部の開口した前面を遮蔽するように前記アンテナハウジング部の前面に結合されたレドームパネル、をさらに含み、
前記レドームパネルの背面には、前記水平固定バーの前端を支持するように後方に延長突出した複数の支持ボスが形成された、請求項9または13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルの各背面には、前記内部空間の発熱素子から生成された熱の放熱表面積を増加させるための複数の後方放熱フィンが備えられ、
前記複数の後方放熱フィンの少なくとも一部は、別に製造されて前記各ヒートシンクパネルの背面部に一体に形成された結合用ヒートシンクリブに結合される、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記4つの側面ハウジングパネルと前記レドームパネルは、同一の材質からなる、請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記複数の固定部材は、
前記レドームパネルの背面との間にシリコーンラバー材質で備えられた緩衝部が介在された状態で、前記レドームパネルの複数の支持ボスによって支持される、請求項14に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置(ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、上下方向に長く形成されたアンテナハウジング部を分離製造した後、それぞれ組立て、アンテナ用RFモジュールのような内部構成の流動を効果的に防止することにより、PIMD特性が低下することを最小化できるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器を含めた基地局アンテナは多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO)ベースのアンテナに対する高性能要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、線形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にメッキをし、PCB(印刷回路基板)などにハンダ付けにより結合する方式が広く使用されている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【0005】
従来技術によるアンテナ装置1は、
図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前端部に複数の放射素子35を挟んで装着される。
【0006】
より詳しくは、従来技術によるアンテナ装置1は、前面が開口し、前後方向の厚さが薄い直方体函体形状に備えられ、後面には複数の放熱フィン11が一体に形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0007】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプまたはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しつつ放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。
【0008】
しかし、従来技術によるアンテナ装置の一例(1)は、メインボード20に各種デジタル素子(FPGA素子など)およびアナログ増幅素子(PA素子およびLNA素子など)が集中実装されて、アンテナハウジング本体10の後方に放熱させる構造を有する。
【0009】
ここで、アナログ増幅素子のうちLNA素子は発熱量が少ないながらもメインボード20に共に実装されていることから、他の発熱素子のメインボードに対する設置分布の密集度を高めることはもちろん、他の発熱素子の発熱によって直接的な性能低下要因を有する問題点がある。
【0010】
また、一般的なアンテナ装置は、受動相互変調歪み(PIMD、Passive Intermodulation Distortion)問題を抱えており、PIMD問題は受動素子の非線形特性によって発生するスプリアス(spurious)信号で、通信経路上で信号対雑音特性を低下させて通信品質を劣化させる現象をいう。
【0011】
分散アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)は、一例として、時分割二重化方式(Time domain duplexing;TDD)を使用する分散アンテナシステムでのPIMD特性は、生産時、一定の品質以上に維持されるが、産業現場ではリモート装置のアンテナポートの後端から最終アンテナまでの分配網に用いられた受動素子によってPIMD問題が発生することがある。
【0012】
特に、アンテナ素子などの内部部品をモジュール化して装着するように構造設計された場合であって、各モジュールが安定的に固定されていない場合、前記PIMD問題は、統合設置(Integrated Mounting)の場合よりも大きく発生する。
【0013】
さらに、このようなPIMD問題は、アンテナハウジング本体10が上下に長く形成され、メインボード20に実装された発熱素子による熱的不均衡が発生する場合、熱的ストレスによってアンテナハウジング本体10に微細な歪みが発生し、これによって、アンテナハウジング本体10の内部空間に配置された各部品の不安定化固定によってもよく発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、PIMD特性の維持が可能にモジュール化単位で製造されたアンテナ用RFモジュールを安定的に固定および支持できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0015】
これとともに、本発明は、RFフィルタボディの前面および左右側面と上下面の少なくともいずれか1つに放射素子部、左側フィルタ部と右側フィルタ部および増幅素子部をモジュール単位で製造して組立てるようにモジュール化することにより、製品の生産性および組立性を向上させることができるアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0016】
また、本発明は、実質的に放熱機能を行うアンテナハウジング部を少なくとも3つに分離して製造した後、防水処理されるように結合して熱的ストレスを緩和することにより、PIMD問題を改善することができるアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0017】
さらに、本発明は、発熱素子のうち発熱量のやや小さいLNA素子が実装された増幅部基板をメインボードと分離して単位RFフィルタボディ側に結合させることにより、熱的分散が可能なアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0018】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によるアンテナ用RFモジュールの一実施例は、前面が開口した函体形状に形成されたアンテナハウジング部と、前記アンテナハウジング部が形成する内部空間に密着するように配置されたボードアセンブリと、前記ボードアセンブリの前面に配列された複数のアンテナ用RFモジュールとを含み、前記アンテナハウジング部は、前記ボードアセンブリに実装された発熱素子の発熱量の差による上端と下端との間の熱的ストレスによる歪みが防止されるように少なくとも3つに分離されて製作された後、相互結合される。
【0020】
ここで、前記アンテナハウジング部は、縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより所定の比率以上長く形成される。
【0021】
また、前記アンテナハウジング部は、前記アンテナ装置の背面中間部分の外観を形成するセンターヒートシンクパネルと、前記センターヒートシンクパネルの上部に結合されて前記アンテナ装置の背面上側部分の外観を形成する上部ヒートシンクパネルと、前記センターヒートシンクパネルの下部に結合されて前記アンテナ装置の背面下側部分の外観を形成する下部ヒートシンクパネルとを含み、前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルは、それぞれ縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより長く形成される。
【0022】
また、前記センターヒートシンクパネルの上端と下端には、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルと前記下部ヒートシンクパネルとのスクリュー組立のための複数のスクリュー貫通ホールが形成された上部結合フランジおよび下部結合フランジが備えられ、前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジがそれぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部に当接した状態で、複数の組立スクリューを用いて相互結合される。
【0023】
また、前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジは、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部と前後方向にオーバーラップされるように配置され、相対的に前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部より前方に位置することができる。
【0024】
また、前記センターヒートシンクパネルの上部結合フランジおよび下部結合フランジは、それぞれ前記上部ヒートシンクパネルの背面下端部内側および前記下部ヒートシンクパネルの背面上端部内側に陥入配置される。
【0025】
また、前記センターヒートシンクパネルと前記上部ヒートシンクパネルとの結合部位および前記センターヒートシンクパネルと前記下部ヒートシンクパネルとの結合部位は、防水処理される。
【0026】
また、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、複数の単位RFフィルタボディが上下垂直方向(Vertical Direction、以下、「V-方向」という)および左右水平方向(Horizontal Direction、以下、「H-方向」という)にそれぞれ数個の行または数個の列に並んで配置され、前記アンテナ用RFモジュールを前記アンテナハウジング部に対する固定を媒介する複数の固定部材をさらに含むことができる。
【0027】
また、前記複数の固定部材は、前記複数の単位RFフィルタボディがスクリュー結合方式で固定されるモジュール固定スクリューホールを提供する水平固定バーと、前記水平固定バーから後方に延びて、後端部が前記アンテナハウジング部または前記ボードアセンブリの前面に固定される複数の固定レッグとを含むことができる。
【0028】
また、前記複数の固定レッグのうち両端部に形成された一側固定レッグおよび他側固定レッグは、前記アンテナハウジング部の内側角部分に備えられた角マウンティングブロックにスクリュー結合方式で固定され、前記複数の固定レッグのうち前記一側固定レッグと他側固定レッグとの間に形成されたセンター固定レッグは、前記ボードアセンブリの前面に備えられたボードマウンティングブロックにスクリュー結合方式で固定される。
【0029】
また、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記単位RFフィルタボディと、前記単位RFフィルタボディの前方に突出して備えられた複数の放射素子モジュールと、前記単位RFフィルタボディの前面より広い面積を有するように前記単位RFフィルタボディの前端に一体に形成され、前記複数の放射素子モジュールから放射された電波を前方に反射させるリフレクタパネルとを含み、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記リフレクタパネルを前方から後方に貫通するフィルタ固定スクリューが前記リフレクタパネルの背面側に備えられた前記水平固定バーのモジュール固定スクリューホールに締結される動作で固定される。
【0030】
また、前記複数のアンテナ用RFモジュールは、前記単位RFフィルタボディの前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子が実装されたLNA基板部を含む増幅素子部と、前記単位RFフィルタボディの背面部に備えられ、前記ボードアセンブリに電気的に連結させるフィルタコネクティング部とをさらに含み、前記LNA基板部に形成された雄ソケット部および前記フィルタコネクティング部は、前記単位RFフィルタボディを前記水平固定バーにスクリュー締結により固定させる時、前記ボードアセンブリの前面に備えられた雌ソケット部およびピン結合部に同時に接続可能である。
【0031】
また、前記アンテナハウジング部は、前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルの前端部にそれぞれ結合され、前記アンテナ装置の左右および上下側部の外観を形成する4つの側面ハウジングパネルをさらに含み、前記複数の固定部材は、両端がそれぞれ前記4つの側面ハウジングパネルのうち前記アンテナ装置の左側部の外観および右側部の外観を形成する左側ハウジングパネルおよび右側ハウジングパネルの内側面に固定される水平固定バーを含むことができる。
【0032】
また、前記アンテナハウジング部の開口した前面を遮蔽するように前記アンテナハウジング部の前面に結合されたレドームパネルをさらに含み、前記レドームパネルの背面には、前記水平固定バーの前端を支持するように後方に延長突出した複数の支持ボスが形成される。
【0033】
また、前記センターヒートシンクパネル、前記上部ヒートシンクパネルおよび前記下部ヒートシンクパネルの各背面には、前記内部空間の発熱素子から生成された熱の放熱表面積を増加させるための複数の後方放熱フィンが備えられ、前記複数の後方放熱フィンの少なくとも一部は、別に製造されて前記各ヒートシンクパネルの背面部に一体に形成された結合用ヒートシンクリブに結合される。
【0034】
また、前記4つの側面ハウジングパネルと前記レドームパネルは、同一の材質からなってもよい。
【0035】
また、前記複数の固定部材は、前記レドームパネルの背面との間にシリコーンラバー材質で備えられた緩衝部が介在された状態で、前記レドームパネルによって支持される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によるアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0037】
第一、フィルタ部と放射素子部および増幅部を1つのモジュール単位で製作して組立て、固定部材をさらに備えて、アンテナ装置の一般的なPIMD問題を改善できる効果を有する。
【0038】
第二、単位RFフィルタボディの左側および右側にそれぞれ相互独立した周波数フィルタリングを行うことができる左側フィルタ部および右側フィルタ部を備えることにより、デュアルバンドフィルタの生産性を向上させることができる効果を有する。
【0039】
第三、アンテナ装置の発熱素子のうち相対的に発熱量が少なく、全体システムに影響を与えない受信信号経路上に備えられたLNA素子をメインボードから分離して配置されるように備えることにより、全体的な放熱性能を向上させることができる効果を有する。
【0040】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図3A】
図2の全体構成の前方部分解斜視図である。
【
図3B】
図2の全体構成の後方部分解斜視図である。
【
図4A】
図3Aの構成のうちアンテナ用RFモジュールのボードアセンブリに対する設置過程およびアンテナハウジング部の詳細な構成などを説明するための前方部分解斜視図である。
【
図4B】
図3Bの構成のうちアンテナ用RFモジュールのボードアセンブリに対する設置過程およびアンテナハウジング部の詳細な構成などを説明するための後方部分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例によるアンテナハウジング部を示す斜視図である。
【
図6A】
図5のアンテナハウジング部を示す前方部分解斜視図である。
【
図6B】
図5のアンテナハウジング部を示す後方部分解斜視図である。
【
図7】
図3Aおよび
図3Bの構成のうち固定部材に対するアンテナ用RFモジュールの設置過程を説明するための分解斜視図である。
【
図8】
図3Aおよび
図3Bの構成のうちボードアセンブリに対する固定部材およびアンテナ用RFモジュールの設置過程を説明するための斜視図である。
【
図9】
図3Aおよび
図3Bの構成のうちボードアセンブリに対する固定部材およびアンテナ用RFモジュールの設置過程を説明するための分解斜視図である。
【
図12A】
図3Aの構成のうちアンテナハウジング部の変形実施例を示す前方部分解斜視図である。
【
図12B】
図3Bの構成のうちアンテナハウジング部の変形実施例を示す後方部分解斜視図である。
【
図15A】アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
【
図15B】アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
【
図16】
図15Aおよび
図15Bに示された第3コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【
図17】アンテナ用RFモジュールの構成のうち増幅素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図である。
【
図18】
図17に示された第2コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【
図19A】
図15Aに示された第1コネクティングピン端子およびLNA基板部によるボードアセンブリに対する相互電気的連結の様子を説明するための前方部分解斜視図と一部部分拡大図である。
【
図19B】
図15Bに示された第1コネクティングピン端子およびLNA基板部によるボードアセンブリに対する相互電気的連結の様子を説明するための後方部分解斜視図と一部部分拡大図である。
【
図20】
図19Aおよび
図19Bの第1コネクティングピン端子とLNA基板部との連結の様子を示す切開斜視図およびその部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0044】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0045】
図2は、本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す斜視図であり、
図3Aおよび
図3Bは、
図2の全体構成の前方部および後方部分解斜視図であり、
図4Aおよび
図4Bは、
図3Aおよび
図3Bの構成のうちアンテナ用RFモジュールのボードアセンブリに対する設置過程を説明するための前方部および後方部分解斜視図である。
【0046】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2~
図4Bに示されるように、アンテナ装置100の左右側方および後方外観を形成するアンテナハウジング部110と、アンテナ装置100の前方外観を形成し、アンテナハウジング部110の開口した前面を遮蔽するように備えられて、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに備えられた内部部品(後述するメインボード120などのボードアセンブリおよびアンテナ用RFモジュール200を含む)を外部から保護するレドームパネル300とを含む。
【0047】
また、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2~
図4Bに示されるように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに密着設置されたボードアセンブリ(図面符号120、130、140および150参照)をさらに含むことができる。
【0048】
ボードアセンブリは、前面または背面に各種電装素子が実装配置され、上下方向に所定の距離離隔して配置された一対のメインボード120と、メインボード120の上側に配置されて電源供給を制御するPSUボード部130と、一対のメインボード120の間に備えられたミドル基板部と、メインボード120の下部にサージ基板部150とを含むことができる。ミドル基板部は、製造仕様によってRFIC部品が実装されるRFIC基板部140であってもよく、Beamerが装着されたBeamer基板部であってもよい。
【0049】
また、本発明の一実施例は、メインボード120を含むボードアセンブリの前面に積層配置されるアンテナ用RFモジュール(Radio Frequency Module)200(以下、「RFモジュール」と略称する)をさらに含むことができる。
【0050】
アンテナハウジング部110は、図示しないが、アンテナ装置100の設置のために設けられた支柱ポールに対する結合を媒介する役割を果たすことができる。
【0051】
このようなアンテナハウジング部110は、全体的に熱伝導による放熱が有利となるように熱伝導性に優れた金属材質で備えられ、後述するRFモジュール200の前端が収容可能な程度の前後方向の厚さを有する直方体函体形状に形成される。
【0052】
一方、アンテナハウジング部110の内側面は、メインボード120の後面に実装されたデジタル素子(FPGA素子など)および/またはPSUボード部130の後面に実装されたPSU素子など、RFIC基板部140の後面に実装されたRFIC部品またはBeamerなど、そしてサージ基板部150の後面に実装されたサージ部品素子による外形突出形状に型合わせられる形状に形成される。これは、メインボード120、PSUボード部130、RFIC基板部140およびサージ基板部150の背面との熱接触面積を最大に増大させて放熱性能を極大化するためである。
【0053】
これとともに、メインボード120の前面には、後述するモジュール単位で製造されたアンテナ用RFモジュール200の構成のうち増幅素子部230のLNA基板部231に形成された雄ソケット部235がソケットピン結合方式で結合されるための雌ソケット部127が設けられる。
【0054】
また、メインボード120の前面には、アンテナ用RFモジュール200の構成のうち後述する左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの第1コネクティングピン端子281が端子ピン結合方式で結合されるためのピン結合部125が設けられる。
【0055】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、第1コネクティングピン端子281のように、2つの構成(部材)間の電気的連結のための第2コネクティングピン端子282および第3コネクティングピン端子283がさらに備えられ(
図14A~
図14D参照)、説明の便宜のために、第1コネクティングピン端子~第3コネクティングピン端子281~283は、通称してフィルタコネクティング部と略称して説明する。
【0056】
アンテナハウジング部110の左右両側には、
図2~
図4Bに示されるように、現場で作業者が本発明の一実施例によるアンテナ装置100を運んだり、支柱ポール(図示せず)に対して手動装着が容易となるように把持できる取っ手部190がさらに設けられる。
【0057】
これとともに、アンテナハウジング部110の下端部外側には、図示しない基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材400が貫通組立てられる。外側装着部材400は、少なくとも1つ以上の光ケーブル連結端子(ソケット)形態で備えられ、それぞれの連結端子には同軸ケーブル(図示せず)の連結端子が相互連結される。
【0058】
ここで、アンテナハウジング部110は、
図2~
図4Bに示されるように、縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより3倍以上長い形態であって、上下方向に長く形成される。
【0059】
これは、最近要求される大容量伝送チャネルの確保のためにより多い個数のアンテナ放射素子を集中配列する一方、チルティングおよびステアリングによる方向性設定時、周辺のアンテナ装置との干渉を最小化できるように、左右方向に幅の大きさを増加させることよりは上下方向に長く形成するための最適な形状採用の結果である。
【0060】
ところが、このようにアンテナハウジング部110が上下方向に長く形成された場合には、内部空間110Sに配置されたメインボード120、PSUボード130、RFICボード140およびサージ基板部150の各素子(発熱素子、例えば、FPGA素子、PA(Tx_amp)素子など)から生成された熱の分布が均一な場合には問題がないが、各発熱素子の不均衡な熱生成分布によってアンテナハウジング部110に加えられる熱的ストレスによってアンテナハウジング部110が微細に歪まれる現象が発生し、このような歪み現象はアンテナ装置100のPIMD問題につながることがある。
【0061】
アンテナ装置100のPIMD(Passive Intermodulation Distortion、受動相互変調歪み)問題は、受動素子の非線形特性によって発生するスプリアス(spurious)信号で、通信経路上で信号対雑音特性を低下させて通信品質を劣化させる。
【0062】
これを防止するために、本発明の一実施例によるアンテナ装置100では、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、アンテナハウジング部110は、メインボード120などに実装された発熱素子の発熱量の差による上端と下端との間の熱的ストレスによる歪みが防止されるように少なくとも3つに分離されて製作された後、相互結合される。
【0063】
図5は、本発明の一実施例によるアンテナハウジング部を示す斜視図であり、
図6Aおよび
図6Bは、
図5のアンテナハウジング部を示す前方部および後方部分解斜視図である。
【0064】
より詳しくは、アンテナハウジング部110は、
図5に示されるように、アンテナ装置100の背面中間部分の外観を形成するセンターヒートシンクパネル110Aと、センターヒートシンクパネル110Aの上部に結合されてアンテナ装置100の背面上側部分の外観を形成する上部ヒートシンクパネル110Bと、センターヒートシンクパネル110Aの下部に結合されてアンテナ装置100の背面下側部分の外観を形成する下部ヒートシンクパネル110Cとを含むことができる。
【0065】
ここで、アンテナハウジング部110は、上述したように、縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより3倍以上長く形成されたことを前提とする場合、センターヒートシンクパネル110A、上部ヒートシンクパネル110Bおよび下部ヒートシンクパネル110Cそれぞれは、いずれも、アンテナハウジング部110が3つの構成に分離された場合にも、縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより長く形成されたことを特徴とする。ただし、本発明の一実施例によるアンテナ装置100の権利範囲がこれに限定されるものではなく、各縦辺の長さが少なくとも横辺の長さより長く形成された限度では、アンテナハウジング部110が2つの構成に分離された場合も含むことは言うまでもない。
【0066】
一方、センターヒートシンクパネル110Aの上端と下端には、それぞれ上部ヒートシンクパネル110Bと下部ヒートシンクパネル110Cとのスクリュー組立のための複数のスクリュー貫通ホール118A-1a、118A-2aが形成された上部結合フランジ118A-1および下部結合フランジ118A-2が備えられ、センターヒートシンクパネル110Aの上部結合フランジ118A-1および下部結合フランジ118A-2がそれぞれ上部ヒートシンクパネル110Bの背面下端部に形成された上部対応フランジ118Bおよび前記下部ヒートシンクパネル110Cの背面上端部に形成された下部対応フランジ118Cに当接した状態で、複数の組立スクリュー119が複数のスクリュー貫通ホール118A-1a、118A-2aを貫通した後、上部対応フランジ118Bと下部対応フランジ118Cに形成された複数のスクリュー締結ホール118Ba、118Caに締結される動作で相互結合される。
【0067】
ここで、センターヒートシンクパネル110Aの上部結合フランジ118A-1および下部結合フランジ118A-2は、それぞれ上部ヒートシンクパネル110Bの背面下端部および下部ヒートシンクパネル110Cの背面上端部と前後方向にオーバーラップされるように配置され、相対的に上部ヒートシンクパネル110Bの背面下端部および下部ヒートシンクパネル110Cの背面上端部より前方に位置できるように備えられることが好ましい。
【0068】
この場合、センターヒートシンクパネル110Aの上部結合フランジ118A-1および下部結合フランジ118A-2は、それぞれ上部ヒートシンクパネル110Bの背面下端部の上部対応フランジ118Bの内側および下部ヒートシンクパネル110Cの上端部の下部対応フランジ118Cの内側に陥入配置される。
【0069】
センターヒートシンクパネル110Aの上部結合フランジ118A-1および下部結合フランジ118A-2には、それぞれ組立スクリュー119が貫通できる複数のスクリュー貫通ホール118A-1a、118A-2aが左右方向に離隔して形成され、上部ヒートシンクパネル110Bの上部対応フランジ118Bおよび下部ヒートシンクパネル110Cの下部対応フランジ118Cには、組立スクリュー119が締結されるハウジング固定スクリュー締結ホール118Ba、118Caが形成される。
【0070】
これとともに、センターヒートシンクパネル110Aの上端部および下端部の左右側壁部には、それぞれ上部側壁固定ブロック115A-1および下部側壁固定ブロック115A-2が形成され、上部側壁固定ブロック115A-1および下部側壁固定ブロック115A-2それぞれには、複数の側壁固定スクリュー116が貫通する側壁固定スクリュー貫通ホール115A-1a、115A-2aが形成される。
【0071】
そして、上部ヒートシンクパネル110Bと下部ヒートシンクパネル110Cの下端部または上端部の左右側壁には、センターヒートシンクパネル110Aの上部側壁固定ブロック115A-1および下部側壁固定ブロック115A-2にそれぞれ対応する上部対応側壁固定ブロック115Bおよび下部対応側壁固定ブロック115Cが形成され、上部対応側壁固定ブロック115Bおよび下部対応側壁固定ブロック115Cにも、側壁固定スクリュー116が締結される複数の側壁固定スクリュー締結ホール115Ba、115Caが形成される。
【0072】
すなわち、3つのヒートシンクパネル110A~110Cに備えられたアンテナハウジング部110は、後端部と左右側壁部でそれぞれ強固にスクリュー組立てられることにより、単一のアンテナハウジング部110を構成することができる。
【0073】
したがって、アンテナハウジング部110の内部空間110Sで発生した熱が不均一な場合にも、3つに区分されたアンテナハウジング部110それぞれから放熱が行われるので、熱的ストレスを最小化させることができることから、アンテナハウジング部110の歪みを防止することができ、これによってPIMD問題を改善可能になる。
【0074】
この時、アンテナハウジング部110は、外部に露出した部位であるので、内部空間110Sに対する雨水などの異物漏れ(侵入)を防止するために、センターヒートシンクパネル110Aと上部ヒートシンクパネル110Bとの結合部位およびセンターヒートシンクパネル110Aと下部ヒートシンクパネル110Cとの結合部位は、防水処理されることが好ましい。
【0075】
図2~
図6Bを参照すれば、アンテナハウジング部110の背面には、複数の後方放熱フィン111が所定のパターン形状を有するように一体に形成される。ここで、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに設けられたボードアセンブリとして、メインボード120、PSUボード130、RFIC基板部140およびサージ基板部150の各発熱素子から生成された熱は、複数の後方放熱フィン111を通して後方に直接放熱できる。
【0076】
複数の後方放熱フィン111は、
図2~
図6Bに示されるように、左右幅の中間部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置されて、アンテナハウジング部110の後方に放熱される熱がそれぞれ左側および右側方向に分散した上昇気流を形成してより迅速に熱が分散するように設計される。しかし、複数の後方放熱フィン111の形状が必ずしもこれに限定されない。例えば、図面に示さないが、アンテナハウジング部110の背面側に外気の流動を円滑にするために送風ファンモジュール(図示せず)がさらに備えられた場合には、送風ファンモジュールによって放熱された熱がより迅速に排出されるように、複数の後方放熱フィン111は、中間に配置された送風ファンモジュールにおいてそれぞれ左側端および右側端に平行に形成されるものが採用可能である。
【0077】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2~
図4Bに示されるように、アンテナハウジング部110の開口した前面を遮蔽するようにアンテナハウジング部110の前面に結合されたレドームパネル300をさらに含むことができる。
【0078】
レドームパネル300は、アンテナハウジング部110の前端部に結合されかつ、レドームパネル300の周縁に沿って形成されたフック結合部310がアンテナハウジング部110の前端係止リブ(図面符号不表記)側にフック結合される。
【0079】
ここで、アンテナハウジング部110の前端縁とレドームパネル300との間にはゴム材質の防水ガスケットリング180が介在され、レドームパネル300のアンテナハウジング部110に対するフック結合時に提供される結合力によって防水ガスケットリング180が弾性変形しながら密閉機能を行うことができる。
【0080】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図3A~
図4Bに示されるように、アンテナ用RFモジュール200の設置時、各RFモジュール200の単位RFフィルタボディ210を固定するための複数の固定部材280をさらに含むことができる。
【0081】
図7は、
図3Aおよび
図3Bの構成のうち固定部材に対するアンテナ用RFモジュールの設置過程を説明するための分解斜視図であり、
図8および
図9は、
図3Aおよび
図3Bの構成のうちボードアセンブリに対する固定部材およびアンテナ用RFモジュールの設置過程を説明するための斜視図および分解斜視図である。
【0082】
複数の固定部材280は、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの最上端部に備えられたアッパー固定部281Uと、アンテナハウジング部110の内部空間110Sの最下端部に備えられたダウン固定部281Dと、アッパー固定部281Uおよびダウン固定部281Dの間に相当するアンテナハウジング部110の内部空間110Sに固定された少なくとも1つのセンター固定部281Cとを含むことができる。
【0083】
アッパー固定部281Uとダウン固定部281Dは、それぞれアンテナハウジング部110の上端と下端に隣接するように水平に1つずつ配置され、センター固定部281Cは、アッパー固定部281Uとダウン固定部281Dとの間で3つがそれぞれ上下に離隔するように水平に配置される。
【0084】
このような複数の固定部材280は、
図7~
図9に示されるように、共通して、後述するアンテナ用RFモジュール200の構成のうち単位RFフィルタボディ210がスクリュー結合方式で固定される複数のフィルタ固定スクリューホール286を提供する水平固定バー282と、水平固定バー282から後方に延びて、後端部がアンテナハウジング部110またはボードアセンブリ(特に、メインボード120またはRFIC基板部140の前面に固定される複数の固定レッグ283とを含むことができる。
【0085】
ここで、
図9に示されるように、固定レッグ283の各後端部には、ボードアセンブリに対するスクリュー結合を媒介するためのマウンティングバー284が形成され、マウンティングバー284には、複数の固定部材組立ねじ285を用いたスクリュー組立のための組立孔284aが形成される。
【0086】
一方、固定レッグ283は、水平固定バー282から後方に3箇所から延びるように形成されるが、より詳しくは、水平固定バー282の両端部から一側固定レッグと他側固定レッグがそれぞれ後方に延びることができ、水平固定バー282の中間からセンター固定レッグが後方に延びることができる。
【0087】
ここで、水平固定バー282の両端部から後方に延びた一側固定レッグと他側固定レッグは、アンテナハウジング部110の内側角部分に備えられた角マウンティングブロック114に固定部材組立ねじ285を介在して組立てられる。
【0088】
これとともに、水平固定バー282の中間から後方に延びたセンター固定レッグは、ボードアセンブリのうちメインボード120の前面に形成されたボードマウンティング固定ブロック122またはRFIC基板部140の前面に形成されたボードマウンティング固定ブロック142に固定部材組立ねじ285を介在して組立てられる。
【0089】
ボードアセンブリのうちメインボード120とRFIC基板部140の左右端部には、角マウンティングブロック114との干渉を回避するためのブロック回避部144が形成される。
【0090】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、複数の固定部材280がアンテナハウジング部110の構成のうち側壁部の影響をほとんど受けないように後方に延びた固定レッグ283をアンテナハウジング部110の内側面部位に安定的に固定することにより、これに結合されるアンテナ用RFモジュール200の振れ(流動)をより効果的に防止可能になり、これによるPIMD問題を追加的に改善できるという利点を有する。
【0091】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、固定部材280が必ずしも複数の固定レッグ283を備える実施例に限定されるものではない。
【0092】
【0093】
図10~
図12Bに示されるように、3つに分離されたアンテナハウジング部110とは関係なく、上下左右の側部の外観を形成するように、各側部ごとに1つの単一の形態で備えられた4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4からなる場合、固定部材280は、水平固定バー282に固定レッグ283の具備なく直ちに水平固定バー282の両端部が4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4のうち両側面を構成する左側ハウジングパネル110-1および右側ハウジングパネル110-2に固定される。
【0094】
より詳しくは、4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4は、
図12Aおよび
図12Bに示されるように、アンテナ装置100の左側部の外観を形成する左側ハウジングパネル110-1と、アンテナ装置100の右側部の外観を形成する右側ハウジングパネル110-2と、アンテナ装置100の上側部の外観を形成する上部ハウジングパネル110-3と、アンテナ装置100の下側部の外観を形成する下部ハウジングパネル110-4とを含むことができる。
【0095】
このように、アンテナハウジング部110とは別に、4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4を備える理由は、従来のアンテナハウジング部110の内部空間110Sの発熱素子から生成された熱の効率的な後方放熱のために金属材質(熱伝導性に優れた材質)で備えられなければならないという点で、アンテナハウジング部110が上下方向に長く形成された場合には、全体アンテナ装置100の重量が比較的大きい問題点を抱えていたことから、このような重量増大の問題を解消するために、上述したように、少なくともアンテナハウジング部110の側部(左右側面部、上下側部)を形成する部位は、熱伝導性材質ではない軽量の非熱伝導性材質で備えられる上述した4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4に代替することが要求されたからである。
【0096】
4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4は、全体的なアンテナ装置100の重量減少のために、各ヒートシンクパネル110A~110Cと同一の材質で形成される必要はなく、上述したレドームパネル300と同一の材質からなることが好ましい。
【0097】
ここで、4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4は、レドームパネル300と同一の材質からなる場合、その強度が比較的弱いことがあるので、左側ハウジングパネル110-1と右側ハウジングパネル110-2の各内側面に、固定部材280の構成のうち水平固定バー282の両端部が結合されながら補強機能を行うことができ、後述するアンテナ用RFモジュール200を強固に固定させる役割を果たすことができる。
【0098】
この時、固定部材280は、左右両端部がアンテナハウジング部110(すなわち、左側ハウジングパネル110-1および右側ハウジングパネル110-2)の左右側壁を貫通するように備えられた複数の左右貫通孔171の内側部分に位置した後、左右両端部に形成されたスクリュー締結ホール281に複数の組立ねじ273が複数の左右貫通孔171を外側から貫通して締結されることにより固定される。固定部材280の構成のうち水平固定バー282の左右両端部には、それぞれ複数の組立ねじ273が締結される複数のスクリュー固定ホール281が形成される。
【0099】
アンテナハウジング部110に形成された複数の左右貫通孔171およびこれに締結される複数の組立ねじ273は、外部に露出して美観を害する恐れがあるので、
図12Aおよび
図12Bに示されるように、別の遮蔽フィルム275を用いて遮蔽することができる。しかし、必ずしも、複数の左右貫通孔171を遮蔽するための部材としてフィルム材質に限定されるものではなく、複数の左右貫通孔171を遮蔽できる限度で、いかなる材質で備えられることも可能であることは言うまでもない。
【0100】
また、固定部材280のうち、水平固定バー282の前面には、左右方向に離隔して複数のモジュール固定スクリューホール283が形成され、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに組立てられたRFモジュール200の構成のうち後述するリフレクタパネル270に形成されたモジュール固定ねじ締結ホール275に複数の組立ねじ287が締結されることにより、各RFモジュール200を安定的に固定させることができる。RFモジュール200の具体的な構成および結合方式については、後でより詳細に説明する。
【0101】
ここで、固定部材280は、PIMD(Passive Intermodulation Distortion、受動相互変調歪み)の影響を最小化および後述するリフレクタパネル270の接地(GND)の役割への影響を最小化できるように、非導電性材質(例えば、プラスチック樹脂系素材)で採用されることが好ましく、複数の組立ねじ(図示せず)も、プラスチック樹脂系素材で採用されることが好ましい。
【0102】
また、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、図面に示さないが、固定部材280の前端部に付着したシリコーンラバー材質の緩衝部289がさらに備えられる。緩衝部289は、各単位RFフィルタボディ210を固定する固定部材280にそれぞれ載設されることにより、部品間の内部衝撃を緩和する役割を果たすことができる。
【0103】
このように、各RFモジュール200は、モジュール化されて製造される一方、後述するように、メインボード120と各RFモジュール200との結合力がLNA基板部231の雄ソケット部235およびRFフィルタボディ部210の第1コネクティングピン端子281の非常に弱い結合力に依存するという点で、PIMD特性の維持が難しいことから、各RFモジュール200を強固に固定および支持する固定部材280を用いてPIMD問題を解決可能になる。これについては、RFモジュール200の各構成を詳細に説明しながら再度説明する。
【0104】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2~
図12Bに示されるように、アンテナハウジング部110の前端(または4つの側面ハウジングパネル110-1~110-4の前端)に結合されかつ、内部空間110Sに備えられた後述するRFモジュール200を保護するレドームパネル300をさらに含むことができる。
【0105】
レドームパネル300は、上述したように、アンテナハウジング部110の内部空間110Sに備えられた複数の構成品を外部から保護すると同時に、アンテナハウジング部110への結合時、複数の固定部材280を前方で支持する役割を果たすことができる。
【0106】
ここで、複数の固定部材280は、レドームパネル300の背面との間にシリコーンラバー材質で備えられた緩衝部289が介在された状態で、レドームパネル300によって支持できる。
【0107】
また、レドームパネル300の背面部には、緩衝部289の少なくとも前面の一部を支持できるように後方に延びた複数の支持ボス320がさらに備えられる。
【0108】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図12Aおよび
図12Bに示されるように、アンテナハウジング部110(すなわち、センターヒートシンクパネル110A、上部ヒートシンクパネル110Bおよび下部ヒートシンクパネル110C)の背面には、内部空間110Sの発熱素子から生成された熱の放熱表面積を増加させるための複数の後方放熱フィン111が備えられる。
【0109】
ここで、複数の後方放熱フィン111の少なくとも一部111bは、別に製造されて各ヒートシンクパネル110A~110Cの背面部に一体に形成された結合用ヒートシンクリブ111aに結合される。
【0110】
このように、複数の後方放熱フィン111の一部111aは、リブ形態で各ヒートシンクパネル110A~110Cに一体に形成し、一部111bは別に製造されて結合用ヒートシンクリブ111aに結合させることは、工程の便宜性を向上させるためであり、結合用ヒートシンクリブ111aに結合される別途製造の後方放熱フィン111bは、最小限の熱抵抗を有するように溶接またはサーマルエポキシ(Thermal Epoxy)を用いて結合される。
【0111】
ここで、複数の後方放熱フィン111のうち別に製造されて結合される後方放熱フィン111bは、内部に冷媒が注入されて結合用ヒートシンクリブ111aから伝達される熱によって相変化を起こしながら熱を伝達するウィック(wick)構造を有するアクティブフィン(Active-Fin)で構成される。
【0112】
このようなウィック構造を有するアクティブフィンで備えられた後方放熱フィン111は、それ自体の熱伝導性材質による熱伝達に加えて、冷媒による能動的な熱伝達による放熱性能を大きく向上させることができる。
【0113】
この場合、アクティブフィンで備えられた後方放熱フィン111bは、
図12Aおよび
図12Bに示されるように、アンテナハウジング部110の背面の左右中心部分からそれぞれ左側方向および右側方向に傾斜して配置されたという点で、後方放熱フィン111bの下端部部位に対応する位置に発熱素子が実装されるように配置され、発熱素子から後方放熱フィン111bの下端部を通して伝達された熱は、液相の冷媒を気相の冷媒に相変化させた後、毛細管力によって上側に移動して後方放熱フィン111bの上端部から外部に放熱できる。
【0114】
【0115】
図13~
図14Dを参照すれば、本発明によるアンテナ用RFモジュール200の一実施例は、メインボード120の前面に配列された単位RFフィルタボディ210と、単位RFフィルタボディ210の前面に配置される放射素子部220と、単位RFフィルタボディ210の前後の厚さ部である上面および下面のいずれか1つに備えられ、少なくとも1つのアナログ増幅素子(図示せず)が実装されたLNA基板部231を含む増幅素子部230と、単位RFフィルタボディ210の前端面に単位RFフィルタボディ210の前面の面積よりも広く延びるように形成され、放射素子部220を接地(GND)するリフレクタパネル270とを含むことができる。
【0116】
ここで、単位RFフィルタボディ210の左右には、それぞれ左右外側に開口した複数のキャビティC1、C2が形成され、それぞれのキャビティC1、C2に共振器DRが内蔵されて異なる周波数フィルタリングを行う左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bが備えられる。以下、左側フィルタ部240Aと右側フィルタ部240Bは、前方向を基準として左側および右側に位置したと定義して説明する。
【0117】
左側フィルタ部240Aと右側フィルタ部240Bは、それぞれ2.4Gの周波数帯域および5Gの周波数帯域用フィルタとして設計されて、1つのRFモジュール200によるデュアルバンドアンテナを実現することができる。
【0118】
一方、放射素子部220は、二重偏波の少なくとも一偏波を発生させるように備えられる。
【0119】
より詳しくは、
図13~
図14Dに示されるように、リフレクタパネル270の前面に配置されたベースパネル221と、ベースパネル221に付着しかつ、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bと電気的に連結され、「X」字で交差配列された給電フィードベース223と、給電フィードベース223の前端部に備えられた放射用ディレクタパネル225とを含むことができる。ベースパネル221の前面には、各給電フィードベース223の入力端まで連結された所定のパターンの伝送線路221sがパターン印刷される。
【0120】
放射用ディレクタパネル225は、略正方形状に形成され、給電フィードベース223は、放射用ディレクタパネル225の各角部分を対角線で支持するように位置し、各フィード端部が放射用ディレクタパネル225の各辺の中心部分に位置するように延びてフィード連結されることにより、それぞれの給電フィードベース223が各偏波を起こして二重偏波を実現することができる。
【0121】
ベースパネル221は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bからの各送信信号および放射用ディレクタパネル225からの受信信号伝達を媒介するように電気的に連結可能である。ベースパネル221と各フィルタ部240A、240Bとの電気的な連結メカニズムは、後でより詳細に説明する。
【0122】
本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200において、放射素子部220は、パッチタイプおよびダイポールタイプのいずれか1つに限定して説明しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、エアストリップタイプのアンテナの適用を排除するものではないことに留意しなければならない。
【0123】
一方、増幅素子部230は、
図13~
図14Dに示されるように、単位RFフィルタボディ210の前後の厚さ部を形成する上面および下面のいずれか1つに設けられた基板設置空間230SにLNA基板部231を含むことができる。
【0124】
LNA基板部231には、アナログ増幅素子のうち発熱量が比較的小さなものであって、受信信号を増幅させる役割を果たす少なくとも1つのLNA素子(図示せず)が実装できる。
【0125】
一般的に、RFモジュールとは、アナログRF部品の集合体であって、例えば、増幅素子部230は、RF信号を増幅させるアナログ増幅素子が実装されるが、本発明の一実施例によるRFモジュール200の場合、アナログ増幅素子のうち比較的発熱の少ないLNA素子のみをメインボード120から分離して単位RFフィルタボディ210に含まれるように設計したものである。また、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bは、入力されたRF信号を所望の周波数帯域で周波数フィルタリングするためのRF部品であり、放射素子部220は、RF信号を受信および送信する役割を果たすRF部品と定義することができる。
【0126】
ここで、LNA基板部231は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの各キャビティC1、C2と電気的に連結可能である。LNA基板部231と各フィルタ部240A、240Bとの電気的な連結メカニズムは、後でより詳細に説明する。
【0127】
LNA基板部231が設けられた基板設置空間230Sは、増幅部カバーパネル237を用いて遮蔽され、増幅部カバーパネル237の外側面には、基板設置空間230S内の熱を熱伝導方式で放熱させる増幅部ヒートシンクフィン(図示せず)が一体に形成される。増幅部ヒートシンクフィンを通して放出された熱は、アンテナハウジング部110の側面部分を通して外部に放熱可能になる。
【0128】
一方、単位RFフィルタボディ210の前面には、
図13~
図14Dに示されるように、リフレクタパネル270が形成される。
【0129】
リフレクタパネル270は、単位RFフィルタボディ210の前端部に結合された放射素子部220から放射された電波(ビーム)の後方側への浸透を防止するとともに、放射素子部220に対する接地(GND)の役割を果たすことができる。
【0130】
これとともに、リフレクタパネル270の上端部および下端部には、
図2~
図9を参照して説明した固定部材280によるねじ固定のための複数の組立ねじ287が締結されるためのモジュール固定ねじ締結ホール275が形成される。
【0131】
固定部材280は、すでに説明したように、単位RFフィルタボディ210のメインボード120に対する弱い結合力を補うためのものであって、アンテナハウジング部110にそれぞれ組立てられる過程で、各単位RFフィルタボディ210をリフレクタパネル270の後方または前方で安定的に固定させることにより、単位RFフィルタボディ210の流動または遊びによるPIMD問題を改善させることができる。
【0132】
図15Aおよび
図15Bは、アンテナ用RFモジュールの構成のうち放射素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図であり、
図16は、
図15Aおよび
図15Bに示された第3コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【0133】
単位RFフィルタボディ210の左右にそれぞれ形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bは、
図15Aおよび
図15Bに示されるように、メインボード120の前面に設けられたピン結合部125に備えられた第1コネクティングピン端子281を介在して電気的に連結可能である。
【0134】
より詳しくは、単位RFフィルタボディ210の背面側には、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bを介して送信信号を伝達するための少なくとも1つの入出力ポート(図面符号不表記)がそれぞれ備えられる。
【0135】
ここで、少なくとも1つの入出力ポートは、上述したフィルタコネクティング部の構成のうち第1コネクティングピン端子281を介在してメインボード120と左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bとが電気的に連結可能になる。
【0136】
一方、
図15Aおよび
図15Bと
図16を参照すれば、放射素子部220のベースパネル221には、左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bからの各送信信号および放射用ディレクタパネル225から受信信号伝達を媒介するように、フィルタコネクティング部の構成の1つである第3コネクティングピン端子283によって電気的に連結可能である。第3コネクティングピン端子283は、ベースパネル221に端子ピン結合方式で結合された後、半田付けなどの結合方式でハンダ固定される。
【0137】
図17は、アンテナ用RFモジュールの構成のうち増幅素子部の単位RFフィルタボディに対する結合関係を説明するための分解斜視図であり、
図18は、
図17に示された第2コネクティングピン端子による相互電気的連結の様子を示す切開斜視図および部分拡大図であり、
図19Aおよび
図19Bは、
図15Aおよび
図15Bに示された第1コネクティングピン端子およびLNA基板部によるボードアセンブリに対する相互電気的連結の様子を説明するための前方部および後方部分解斜視図と一部部分拡大図であり、
図20は、
図19Aおよび
図19Bの第1コネクティングピン端子とLNA基板部との連結の様子を示す切開斜視図およびその部分拡大図である。
【0138】
増幅素子部230は、
図17および
図18に示されるように、単位RFフィルタボディ210の上面および下面のいずれか1つに一体に形成された基板設置空間230S上に少なくとも1つのLNA素子が実装されたLNA基板部231が収容配置される。
【0139】
基板設置空間230Sは、単位RFフィルタボディ210の後方側に貫通した貫通スリット239が形成され、貫通スリット239を介してLNA基板部231に形成された雄ソケット部235が貫通してメインボード120に設けられた雌ソケット部127にソケットピン結合方式で結合されて受信信号の電気的な連結が行われる。
【0140】
ここで、LNA基板部231には、アナログ増幅素子のうち放射素子部220から左側フィルタ部240Aまたは右側フィルタ部240Bを経て受信された受信信号を増幅させる機能を行う少なくとも1つのLNA素子のみが実装され、メインボード120には、LNA基板部231に実装されたLNA素子が除かれた少なくとも1つのPA(Tx-amp)素子が実装できる。
【0141】
メインボード120に実装されたPA素子は相対的にLNA素子よりその発熱量が非常に多いという点で、LNA素子をメインボード120とは分離されたRFモジュール200側に分散配置設計することにより、メインボード120に実装される各発熱素子の間隔を広げられるので、発熱素子によって生成された熱が集中するのを防止して全体的な放熱性能を向上させることができる。
【0142】
一方、
図17および
図18を参照すれば、LNA基板部231は、単位RFフィルタボディ210の左右に形成された左側フィルタ部240Aおよび右側フィルタ部240Bの各キャビティC1、C2とフィルタコネクティング部の構成の1つである第2コネクティングピン端子282を介在して電気的に連結可能である。
【0143】
このために、単位RFフィルタボディ210には、基板設置空間230Sと左側フィルタ部240AのキャビティC1および右側フィルタ部240BのキャビティC2を貫通するピン設置ホール(図面符号不表記)が形成される。
【0144】
第2コネクティングピン端子282は、ピン設置ホールを貫通して設けられた後、LNA基板部231に半田付けなどの結合方式でハンダ固定される。
【0145】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200は、メインボード120に対する第1コネクティングピン端子281およびLNA基板部231の雄ソケット部235による結合力が弱くて発生しうる内蔵部品の流動および遊び問題を改善してPIM特性を維持できることはもちろん、第1コネクティングピン端子281、第2コネクティングピン端子282および第3コネクティングピン端子283をそれぞれハンダ固定させることにより、安定的なPIMD特性を維持できるという利点を有する。しかし、必ずしもフィルタコネクティング部のすべてがハンダ固定されるべきではなく、フィルタコネクティング部の構成のうち第1コネクティングピン端子281は、上述した固定部材280によって安定的な結合が維持できるという点で、ボードアセンブリのピン結合部125にワンタッチ結合されるように設計されることも可能である。
【0146】
より詳しくは、
図19Aおよび
図19Bに示されるように、単位RFフィルタボディ210の背面部には、第1コネクティングピン端子281が溝形態(雌雄結合のうちfemale形態)で設けられ、ボードアセンブリの構成のうちメインボード120の前面には、ピン結合部125が突起形態(雌雄結合のうちmale形態)で設けられる。
【0147】
また、単位RFフィルタボディ210の上部または下部側に備えられた増幅素子部230のLNA基板部231に形成された雄ソケット部235が後方に突出して備えられ、ボードアセンブリの構成のうちメインボード120の前面には雌ソケット部127がソケット形態で設けられる。
【0148】
ここで、RFモジュール200は、組立者が個別的にアンテナハウジング部110の開口した前面を介して各固定部材280に載置させる動作で接近させた後、LNA基板部231の雄ソケット部235と第1コネクティングピン端子281がそれぞれ同時にメインボード120の雌ソケット部127およびピン結合部125に接続されるようにワンタッチ結合させた後、組立ねじ287を用いてリフレクタパネル270を安定的に固定させることができ、この場合、
図20に示されるように、第1コネクティングピン端子281とピン結合部125の同軸コネクタのような端子部材125aとの間の電気的な接続が維持可能になる。
【0149】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ用RFモジュール200は、単位RFフィルタボディ210の左右各キャビティC1、C2を覆うように結合される左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bと、左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bを遮蔽する左側フィルタカバー260Aおよび右側フィルタカバー260Bとをさらに含むことができる。
【0150】
左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bには、各キャビティC1、C2内の共振器DRとの離隔距離の調整により精密な周波数チューニングを行うようにチューニング溝251が形成される。
【0151】
ここで、単位RFフィルタボディ210の各キャビティC1、C2内での周波数フィルタリング過程は、完全密閉された状態を維持した状態で行われなければならず、密閉が完全でなかったり、使用期間の増加による密閉性能が低下する場合、先に説明したPIMD問題が発生する余地がある。
【0152】
このようなPIMD問題の発生を未然に防止するために、左側チューニングカバー250Aおよび右側チューニングカバー250Bを含む左側フィルタカバー260Aおよび右側フィルタカバー260Bは、レーザ溶接方式で単位RFフィルタボディ210に付着できる。
【0153】
以上、本発明によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、フィルタ部と放射素子部および増幅部を1つのモジュール単位で製作して組立て、固定部材をさらに備えて、アンテナ装置の一般的なPIMD問題を改善し、単位RFフィルタボディの左側および右側にそれぞれ相互独立した周波数フィルタリングを行うことができる左側フィルタ部および右側フィルタ部を備えることにより、デュアルバンドフィルタの生産性を向上させ、アンテナ装置の発熱素子のうち相対的に発熱量が少なく、全体システムに影響を与えない受信信号経路上に備えられたLNA素子をメインボードから分離して配置されるように備えることにより、全体的な放熱性能を向上させることができるアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0155】
100:アンテナ装置、110:アンテナハウジング部
110S:内部空間、111:後方放熱フィン
120:メインボード、127:雌ソケット部
130:PSUボード部、140:RFIC基板部
150:サージ基板部、200:アンテナ用RFモジュール
210:単位RFフィルタボディ、220:放射素子部
230:増幅素子部、270:リフレクタパネル
【国際調査報告】