(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】レーザ剥離層を有するシリコン・ハンドラ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531185
(86)(22)【出願日】2022-09-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 IB2022058304
(87)【国際公開番号】W WO2023099973
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀部 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チアンウェン
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 理沙
(72)【発明者】
【氏名】ベランスキ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ニッカーボッカー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆史
(57)【要約】
ハンドラ・ウェハおよびウェハをハンドリングする方法は、剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層によってウェハに取り付けられたハンドラを位置決めすることを含む。ハンドラは、剥離層によって吸収され、光学強化層によって剥離層に閉じ込められる波長のレーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、レーザ・エネルギーに曝された時に剥離層の材料が融除してウェハを解放することで、ウェハから剥離される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハをハンドリングするための方法であって、
剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層によってウェハに取り付けられたハンドラを位置決めすることと、
レーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、前記ウェハから前記ハンドラを剥離することであって、前記剥離層によって吸収され、前記光学強化層によって前記剥離層に閉じ込められる波長の前記レーザ・エネルギーに曝された時に前記剥離層の材料が融除して前記ウェハを解放する、前記剥離することと
を含む方法。
【請求項2】
前記剥離層が、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剥離層が、ベリリウム、チタン、クロム、マンガン、およびコバルトからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記剥離層が、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、およびレニウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記剥離層が、前記波長において少なくとも5の消衰係数を有する金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記剥離層の金属が、前記波長において少なくとも10の消衰係数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記波長が1200nm~6000nmの範囲から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記波長が1200nm~2500nmの範囲から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学強化層が、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶ゲルマニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ウェハをハンドリングするための方法であって、
剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層を使用してハンドラをウェハに接合することと、
前記ハンドラを位置決めすることと、
前記剥離層によって吸収され、前記光学強化層によって前記剥離層に閉じ込められる波長のレーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、前記レーザ・エネルギーに曝された時に前記剥離層の材料が融除して前記ウェハを解放することで、前記ウェハから前記ハンドラを剥離することと
を含む方法。
【請求項11】
前記ハンドラを前記ウェハに接合することが、前記接合層に接着層を適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接着層がポリイミド層である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ハンドラ・ウェハであって、
ある光の波長において透明である材料から形成されたハンドラ層と、
接合層であって、
前記波長において3.0よりも大きい実屈折率および5.0よりも大きい消衰係数を有する材料から形成された、前記波長の光を吸収する剥離層、
前記波長において透明で、2.0よりも大きい屈折率を有する材料から形成された光学強化層であって、光の前記波長のエネルギーを前記剥離層に閉じ込めるための前記光学強化層、
を含む前記接合層と
を備えるハンドラ・ウェハ。
【請求項14】
前記剥離層が、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項15】
前記剥離層の前記金属が、前記波長において少なくとも10の消衰係数を有する、請求項14に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項16】
前記波長が1200nm~6000nmの範囲から選択される、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項17】
前記波長が1200nm~2500nmの範囲から選択される、請求項16に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項18】
前記光学強化層が、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶ゲルマニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項19】
前記接合層が、前記剥離層の前記ハンドラ層とは反対側に配置された、レーザ・エネルギーを前記剥離層内に反射させる光学境界層をさらに含む、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項20】
前記光学強化層と前記ハンドラ層との間に反射防止層をさらに備える、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項21】
前記ハンドラ層が、シリコンを含む半導体材料から形成される、請求項13に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項22】
ハンドラ・ウェハであって、
ある光の波長において透明である材料から形成されたハンドラ層と、
接合層であって、
前記波長において3.0よりも大きい実屈折率および5.0よりも大きい消衰係数を有する材料から形成された、前記波長の光を吸収する剥離層、
前記波長において透明で、2.0よりも大きい屈折率を有する材料から形成された光学強化層であって、光の前記波長のエネルギーを前記剥離層に閉じ込めるための前記光学強化層、
を含む前記接合層と
を備えるハンドラ・ウェハ。
【請求項23】
前記接合層が接着層をさらに含む、請求項22に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項24】
前記接着層がポリイミドから形成される、請求項23に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項25】
ハンドラ・ウェハであって、
シリコンから形成されたハンドラ層と、
接合層であって、
1200nm~2500nmの範囲から選択される、剥離レーザからのある波長の光を吸収する剥離層であって、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料から形成された前記剥離層、
アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶シリコンからなる群から選択される材料から形成された光学強化層であって、光の前記波長のレーザ・エネルギーを前記剥離層に閉じ込めるための前記光学強化層、
前記剥離層の前記ハンドラ層とは反対側にある光学境界層であって、前記波長の光を前記剥離層内に反射させ、ウェハへの接着を提供する前記光学境界層、および
前記光学強化層と前記ハンドラ層との間の反射防止層
を含む前記接合層と
を備えるハンドラ・ウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体デバイスの製造に関し、より詳細には、レーザ剥離層を有するウェハ・ハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元のチップ集積は、部品を互いに積層することによりチップの面積効率を改善する効果がある。とりわけ、この積層は、チップの複雑さを低減し、例えば信号伝搬時間を短縮することによって性能を向上させることができる。
【0003】
しかし、3次元チップの異なる層を、それらの層を共に接合する前に互いに対して位置決めすることは困難な場合がある。場合により、配置されるウェハが特に薄い場合、支持なしでウェハを移動させることは損傷につながり得る。したがって、ウェハに構造的支持を与えるためにハンドラが使用されることがある。そのようなハンドラは、ウェハを移動させる間、ウェハの一方の側に接着されてよく、その後剥離して取り除くことで、さらなる処理の機会を提供することができる。
【0004】
この剥離処理は、ハンドラの材料を貫通して剥離層を加熱するレーザの使用を含むことがある。剥離層が十分に加熱されると、剥離層が昇華してウェハを解放することができる。しかし、剥離層内でのレーザ・エネルギーの吸収は非常に低い可能性がある(例えば、約5%)。高出力レーザを使用する必要があるために、剥離処理のコストが高くなる。さらに、剥離層を実際に加熱するレーザ・エネルギーの量はわずかであり、残りのレーザ・エネルギーは通過して周囲の物質および環境に吸収される。これは、レーザ・エネルギーが意図しない構造物に吸収された場合、ウェハや他の回路の損傷を生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
ウェハをハンドリングするための方法は、剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層(bonding layer)によって、ウェハに取り付けられたハンドラを位置決めすることを含む。ハンドラは、レーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、ウェハから剥離される。これは、剥離層によって吸収され、光学強化層によって剥離層に閉じ込められる波長のレーザ・エネルギーに曝された時に剥離層の材料が融除してウェハを解放することによる。
【0006】
ウェハをハンドリングするための方法は、剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層を使用してウェハにハンドラを接合することを含む。ハンドラが位置決めされる。ハンドラは、レーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、ウェハから剥離される。これは、剥離層によって吸収され、光学強化層によって剥離層に閉じ込められる波長のレーザ・エネルギーに曝された時に剥離層の材料が融除してウェハを解放することによる。
【0007】
ハンドラ・ウェハは、ある光の波長において透明である材料から形成されるハンドラ層を含む。接合層は、剥離層と光学強化層を含む。剥離層は、上記波長の光を吸収し、上記波長において3.0よりも大きい実屈折率および5.0よりも大きい消衰係数を有する材料から形成される。光学強化層は、上記波長において透明で、2.0よりも大きい屈折率を有する材料から形成され、上記光の波長のエネルギーを剥離層に閉じ込める。
【0008】
ハンドラ・ウェハは、ある光の波長において透明である材料から形成されるハンドラ層を含む。接合層は、上記波長において3.0よりも大きい実屈折率および5.0よりも大きい消衰係数を有する材料から形成された、上記波長の光を吸収する剥離層を含む。接合層の光学強化層は、上記波長において透明で、2.0よりも大きい屈折率を有する材料から形成され、上記光の波長のエネルギーを剥離層に閉じ込める。
【0009】
ハンドラ・ウェハは、シリコンから形成されたハンドラ層を含む。接合層は、剥離層、光学強化層、光学境界層、および反射防止層を含む。剥離層は、剥離レーザからの1200nm~2500nmの範囲から選択される波長の光を吸収し、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される材料を含んで形成される。光学強化層は、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶シリコンからなる群から選択される材料から形成され、上記光の波長のレーザ・エネルギーを剥離層に閉じ込める。光学境界層は、剥離層のハンドラ層とは反対側にあり、上記波長の光を剥離層内に反射する。反射防止層が、光学強化層とハンドラ層との間にある。
【0010】
いくつかの実施形態は、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む剥離層を含んでよい。
【0011】
いくつかの実施形態は、上記レーザ波長において少なくとも5の消衰係数を有する金属を含む剥離層を含んでよい。
【0012】
いくつかの実施形態は、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶ゲルマニウムからなる群から選択される材料から形成される光学強化層を含んでよい。
【0013】
これらおよび他の特徴および利点は、添付図面との関連で読まれる、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
以下の説明では、好ましい実施形態の詳細について以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による、レーザ・エネルギーの印加を使用して剥離部分が除去される際にウェハを解放することが可能な接合/剥離層を含む、ウェハをハンドリングするための層の配置の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、レーザ・エネルギーの印加を使用して剥離部分が除去される際にウェハを解放することが可能な多層の接合/剥離層を含む、ウェハをハンドリングするための層の配置の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、レーザ・エネルギーの印加を使用して剥離部分が除去される際にウェハを解放することが可能な多層の接合/剥離層を含む、ウェハをハンドリングするための層の配置の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、レーザで剥離層を融除することによってウェハからハンドリング層を剥離するための方法のブロック/流れ図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、レーザ・エネルギーを使用して選択的に剥離することが可能なハンドラを使用してウェハを操作するための方法のブロック/流れ図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、ウェハを剥離する目的でレーザ・エネルギーの吸収を向上させるように選択される材料から形成された剥離層を含むハンドラを形成するための方法のブロック/流れ図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、ウェハに接合されたハンドラに接触し、ウェハを処理のために操作・位置決めするマニピュレータを含む、ウェハ・ハンドリング・システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
複数のチップを3次元構成に集積する場合、チップは慎重かつ正確に移動され、製造処理および構造間の機能的接点の作製のために互いに対して位置決めされる。ウェハは、各種の構造を用いて取り扱われることがある。例えば、ハンドラ層が、シリコンなどの任意の適切な材料から形成される場合があり、移動させるウェハに接合されることがある。そのようにすると、ハンドラがデバイス・ウェハに構造的支持を与えるので、ウェハの損傷を防ぐことができる。これは特にデバイス・ウェハの基板が薄くされる場合に関係し、薄くされることでウェハが横方向の力に対して弱くなる可能性がある。
【0017】
ハンドリング処理は、ハンドラ層がウェハに接合される仕組みだけでなく、ウェハを解放するためにハンドラが剥離される方式も含む。例えば、レーザを使用して剥離層を除去することがある。剥離層の材料ならびにレーザの波長および出力は、例えば剥離層の材料を昇華させることにより、ウェハを損傷することなく接合層を選択的に除去するように選択されてよい。剥離層は、動作温度における適切な安定性、融点、屈折率、およびレーザ波長に対する吸収性を有する材料から形成され得る。剥離層材料の選択は、小さなスポット・サイズで低エネルギーのレーザ除去を可能にすることができ、さらにウェハの回路への損傷のリスクを低くして高スループットを提供することができる。
【0018】
特に、接合/剥離層は、複数の構成層を含んでよい。そのような構成層の一つは接合層であってよく、これはハンドラとウェハとの間の接着を与える。別のそのような構成層は、接合層とハンドラとの間の、金属または膜から形成された剥離層であってよい。剥離層は、適切なレーザが照射されたときに、例えば剥離層の材料を溶融または昇華させることにより、ウェハを解放するように設計されてよい。剥離層が完全に除去されると、損傷を生じさせることなく、ハンドラをウェハから持ち上げて取り除くことができる。
【0019】
剥離層は、高い屈折率(例えば、約3.0よりも高い)を有し、中赤外レーザ波長(例えば、約1200nm~約6000nmの間)において適切な消衰係数(例えば、約5~約10の間のκ)を有する金属または膜材料から形成されてよい。ハンドラの材料によって吸収されないレーザ波長を選択して、ハンドラの材料を通してレーザ光を照射することによって剥離を行うことを可能にする。加えて、高い屈折率(例えば、約2.0よりも高い)および中赤外レーザ波長に対する高い透過性(例えば、ゼロに近いκ)を有する剥離強化層が使用されてもよい。剥離層とその周囲の材料の複素屈折率は、レーザ・エネルギーを剥離層内に閉じ込めるのを助け、層内でエネルギーの大きな割合が吸収され、剥離を促進するために使用される。このような素材の詳細については以下で詳しく説明する。
【0020】
これらの材料を使用すると、剥離させるレーザ光の光吸収が、剥離する金属層または膜層の中に集中する。これにより剥離処理の効率が向上し、より低出力のレーザを使用することが可能になる。さらに、レーザ光のエネルギーの吸収が剥離層内に集中するため、ハンドラおよびウェハ内で発生する熱が少なくなる。
【0021】
次に
図1を参照すると、ウェハ102に接合されたハンドラ106の断面図が示されている。ウェハ102はシリコンなどの半導体基板に形成された集積回路であってよいことが特に企図されるが、ウェハは任意の適切な材料から形成されてよく、任意の適切なデバイスを含んでよいことが理解されるべきである。例えば、ウェハ102は、トランジスタなどの能動回路部品を含んでよく、さらに、コンデンサ、インダクタ、および導電性相互接続などの受動回路部品を含んでよい。
【0022】
ハンドラ106は、同様に任意の適切な材料から形成されてよく、特にシリコンが企図される。ハンドラ106は、さらに反射防止層108を有してよく、反射防止層108は、窒化ケイ素、または適切な屈折率と透過性を有する他の材料から形成されてよい。ハンドラ106は、剥離に使用される光の波長に対して透明な材料から形成される。
【0023】
ウェハ102とハンドラ106の間に多層の接合層104が示されている。接合層104については、以下でさらに詳しく説明する。接合層104を構成する各層は、レーザ光の吸収を剥離層内に集中させるように選択される。よって、接合層104は、第一に、ウェハ102とハンドラ106の間の接着を提供し、第二に、レーザ光の照射時にウェハ102が所定の位置に操作されたときに2つの構造を切り離すという、二つの機能を行う。
【0024】
半導体製造工程中に、ハンドラ106を使用することで、チップ・パッケージ化の効率と速度を大幅に向上させることができる。機械は、例えば吸引や機械的把持を適用することにより、ハンドラ106でウェハ102をピックアップするように構成することができ、製造工程中にウェハを自動的かつ正確に操作することを可能にする。これは、例えば3次元集積回路のパッケージ化の際に、ウェハを別のウェハに装着するときに特に有用である。特に、フリップチップ処理では、ウェハ上に集積回路が製造されることがある。ウェハはその後チップに切断され、そのチップが反転され、別のチップに接合されることがある。この処理については、以下で詳しく説明する。
【0025】
次に
図2を参照すると、接合層104の追加的な詳細と共に、ウェハ102に接合されたハンドラ106の断面図が示されている。接合層104は、第1の光学境界層202、剥離層204、第2の光学境界層206、および反射防止層208を含み得る。これらの各層の厚さは、約20nm~約5μmの範囲であってよい。
【0026】
光学境界層202および206ならびに反射防止層208は各々、層間の反射の制御に関係する機能を果たし、これらの機能的呼称は厳密に解釈されることは意図されない。特に、任意の層が、各々の屈折率の差に基づいて、ある層に対しては反射防止機能を提供することができ、別の層に対しては光学境界機能を提供することができる。
【0027】
ある特定の層配置が
図2に関して説明されるが、描かれている層に加えてまたはその代わりに他の層が使用されてよいことが理解されるべきである。例えば、接合層104は、ハンドラ層からウェハに向かう順に、第1のオプションの反射防止コーティング、オプションの光学境界層、第2のオプションの反射防止コーティング、剥離層、および光学境界層を含んでよい。
【0028】
第1の光学境界層202は、ウェハ102への接着を提供してよく、実数成分nreal<2.0を有する屈折率の材料から形成されてよい。例えば、第1の光学境界層202の材料は、約n=1.6+0iの複素屈折率をもつポリイミドであってよく、ここで、実数部nrealは屈折率であり、虚数部は、対象の波長におけるこの材料の消衰係数κである。あるいは、二酸化ケイ素が第1の光学境界層202の材料として使用されてもよく、それは約n=1.5+0iの複素屈折率を有する。屈折率は、剥離層204と第1の光学境界層202との界面における反射を増加させるために、低く選択される。したがって、レーザ光が剥離層204を通過する際、一部のエネルギーは吸収されるが、一部は通過し、単に第1の光学境界層202で反射されて剥離層204に戻る。
【0029】
剥離層204は第1の光学境界層202の上に形成される。剥離層204は、少なくとも1つの適切なレーザ波長、例えば1200nm~6000nmの間の範囲において、好ましくはnreal>3.0の実数成分およびκ>5.0の虚数成分を有する複素屈折率を有する材料から形成されてよい。剥離層の例示的な材料は、表1に示すものから選択され得る。これらの材料は、実数部と吸光度部の両方を含め、少なくとも1つの波長範囲について好適な複素屈折率値を有する。
【0030】
【0031】
使用され得る追加的な材料には、表2に示されるものがある。これらの材料は、吸収値は強いがその屈折率の実数成分が比較的低いか、または実数成分が高く、吸収値が低い。
【0032】
【0033】
使用され得るさらなる材料には、表3に示すものがある。これらの材料は表2の材料と似ているが、沸点が高い。
【0034】
【0035】
タングステンやジルコニウムのような材料は、沸点が比較的高いものがあり(例えば、4000℃以上)、ウェハを剥離するために必要な温度が近傍の部品を損傷する可能性があるため、使用が実際的でない場合がある。一方、アルミニウムはシリコンへの溶解度が比較的高く、それがそのような層の光学的性質に影響を与え、レーザ光エネルギーの吸収を低下させる。対照的に、ニッケルや白金のような材料は、比較的小さな厚さ(例えば、500Å前後)でもレーザ光を大量に吸収する。
【0036】
また、所望の複素屈折率を達成するために、本明細書に記載された材料の合金が使用されてもよい。同様に、本明細書に記載される金属と他の金属との合金も適宜使用されてよい。さらに、剥離層204は、それぞれ異なる適切な材料の複数の層から構成されてよい。剥離層204の選択は、レーザ光エネルギーの吸収を向上させるために、2つの異なる材料特性を利用する。選択の追加的な基準には、ウェハ材料の汚染を避けるために、半導体ラインとの適合性を含み得る。選択はまた、剥離層204の腐食や酸化を防ぐために、保管特性を向上させるように行われてもよい。
【0037】
場合によっては、剥離層204は、本明細書に記載の材料の1つまたは複数から選択されるフィラーを有するポリマー・フィルムを含んでよい。例えば、フィラーは、金属の粒子、金属合金の粒子、金属コーティングを施した炭素粒子、および非金属粒子を含んでよい。フィラーの材料は、フィルムのポリマー材料と共に、剥離処理中にレーザ・エネルギーを吸収して除去されるように選択される。
【0038】
第2の光学境界層(光学強化層)206は、剥離層204の界面からの光の反射を減少させるために、剥離層204の上に形成されてよい。反射は材料間の境界で発生し、界面で接している層同士の屈折率の不一致が大きくなるにつれて増加するため、中間の屈折率を有する層が、剥離層204から反射されるレーザ光エネルギーの量を減少させることができる。
【0039】
反射防止層208が、中間の屈折率をもつ追加的な材料を提供してよい。例えば、反射防止層208は、当該の波長において1.5+0iの複素屈折率を有する二酸化ケイ素から形成されてよい。
【0040】
多層の接合層の各層は、順次の堆積処理によって形成されてよい。ハンドラ106から始めて、第1の光学境界層、反射防止層208、および第2の光学境界層206は、物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)または化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)などの1つまたは複数の任意の適切なプロセスを使用するそれぞれの堆積によって、ハンドラ表面に形成されてよい。剥離層204も同様に、PVDまたはCVDを使用して形成されてよい。ポリイミドから形成され得る第1の光学境界層202は、スピン・コーティング処理を用いて堆積されてよい。ウェハ102が活性シリコン・ウェハである場合、ポリイミドは接着剤として機能することができる。ウェハ102がパッシブな再分配層である場合、ウェハ102は第1の光学境界層202のポリイミドの上に直接形成されてよく、そのため、ウェハ102に結合する別個のステップは必要ない。
【0041】
次に
図3を参照すると、接合層104の追加的な詳細と共に、ウェハ102に接合されたハンドラ106の断面図が示されている。いくつかの実施形態は、高い屈折率を有する剥離層204の使用に加えて、同じく高い屈折率を有する第2の光学境界層302を使用することができる。
【0042】
この層の例示的な材料には、対象の波長において3.5+0iの複素屈折率を持つアモルファス・シリコン、および対象の波長において4.0+0iの複素屈折率を持つアモルファスまたは多結晶ゲルマニウムがある。この層に窒化ケイ素を使用する場合と比べて、アモルファス・シリコンを使用することで、剥離層204におけるレーザ光吸収率を60%~80%から90%~100%に高めることができる。
【0043】
次に
図4を参照すると、ウェハ102からハンドラ106を剥離する方法400が示されている。このステップは、ウェハ102が位置決めされ、別のチップに接続された後に実行されてもよいし、またはウェハ102の底面が処理される中間工程の準備として実行されてもよい。この位置決めは、別のチップ、例えばキャリア・チップとの位置合わせを含んでよく、さらに、ウェハ102をその別のチップに取り付ける接合処理を含んでよい。そのような接合処理は、例えば、はんだバンプのリフローや、電気接続部の構造的支持を提供するための接着剤アンダーフィルの追加を含んでよい。
【0044】
ブロック404は、適切な波長のレーザを使用して、剥離層204の一部を融除する。この融除は、対象の領域に対する短時間のレーザ・パルスを用いて行うことができる。剥離層204によって吸収される波長が使用される場合、レーザ光のエネルギーが対象の領域内の剥離層204の材料に伝達されて、材料に局所的な変化を引き起こす。この変化は、最初に溶融することなく材料を気体またはプラズマ状態に直接転換する、材料の昇華とみなされてよい。それにより、熱エネルギーの浸透を剥離層204に局所化させることができ、結果として生じる、隣接する層内の温度上昇は速やかに低下する。
【0045】
このようにして、ウェハ102に熱的損傷を与えることなく、ウェハ102とハンドラ106の間から剥離層204を選択的に除去することができる。レーザの各発射は、レーザ・スポット領域内の材料を除去する。その後、剥離層204を完全に除去するために、融除が走査パターンで繰り返されてよい。したがって、ブロック406は、例えば、剥離層204の全体がレーザ光パルスに曝されたと判定することによって、剥離が完全であるかどうかを判定する。そうでない場合、ブロック408は、剥離層204に対してレーザを再配置して、新しい領域がレーザ光スポットに曝されるようにし、ブロック404で、新たなレーザ・パルスを発射することによって新しい領域で融除を繰り返す。ブロック406で剥離が完全になると、ブロック410で、ウェハ102からハンドラ106を取り除く。残存する接着層202の材料があれば、溶剤を使用して溶解してよい。
【0046】
次に
図5を参照すると、ハンドラを使用して集積回路を製造する方法が示されている。ブロック502は、集積回路を有するウェハ102を作成するために、1つまたは複数の製造工程を使用する。例えば、ブロック502は、トランジスタのような能動部品、および相互接続、コンデンサ、インダクタのような受動部品を含む回路部品を作製するための一連の堆積およびエッチングを含んでよい。ウェハ102は、能動デバイス層および相互接続層を含む、複数の層を含んでよい。
【0047】
ハンドラ106は、ブロック504において、接合層104を使用してウェハ102に接合される。上述したように、接合層104は、ハンドラ106上に形成され得る、有益な機能的および光学的特性を有する多数の別個の層を含んでよい。接合は、接合層104をウェハ102に接着することによって行われてよい。
【0048】
ブロック505は、ウェハ102を位置決めする。この位置決めは、ウェハ102を、チップや第2のウェハなどの別の構造に対して操作することを含んでよい。位置決めはまた、ウェハ102をある処理位置から別の処理位置に移動させる、例えば、ウェハ102をさらなる処理のために別の機械へ操作することを含んでよい。位置決めはまた、ウェハ102の底面を露出させるために、ウェハを反転することを含んでよい。位置決めは、例えば、真空を使用してハンドラ106またはウェハ102をピックアップすることにより行われてよい。
【0049】
上述したように、ウェハ102がブロック505において位置決めされると、ブロック400を使用してウェハ102をハンドラ106から剥離してよい。ハンドラ106はブロック506において取り除かれ、ブロック508が、必要とされ得る追加的な処理を行う。例えば、ウェハ102は、例えば、追加的な構造を形成するため、ウェハ102の基板を加工するため、またはウェハ102に別の構造を接合するために、さらに加工されることがある。
【0050】
次に
図6を参照すると、ハンドラを形成する方法が示されている。ブロック602は、例えばCVDやPVD処理を用いて、ハンドラ層106上に反射防止層208を形成する。ブロック604は、反射防止層208上に光学強化層206を形成し、ブロック606は、ここでもCVDやPVD処理を用いて、光学強化層206上に剥離層204を形成する。次いでブロック608は、例えばスピン・コーティング処理を使用して、剥離層204上に光学境界層(光バリア層)202を形成する。この時点で、ブロック610は、例えば、ハンドラ106を反転して、光バリア層202の材料が硬化するまでウェハ102に押し付けることによって、ハンドラ106をウェハ102に接合することができる。
【0051】
CVDは、室温よりも高い温度(例えば、約25℃から約900℃)での気体反応物間の化学反応の結果として堆積種が形成される堆積処理である。反応の固体生成物は、固体生成物の膜、被膜、または層が形成されるべき表面上に堆積される。これらに限定されないが、大気圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマ増強CVD(PECVD)、および有機金属CVD(MOCVD)、ならびにそれらの組合せを含むCVD法の変種が利用されてもよい。PVDを使用する代替実施形態では、スパッタリング装置は、直流ダイオード・システム、無線周波数スパッタリング、マグネトロン・スパッタリング、またはイオン化金属プラズマ・スパッタリングを含んでよい。
【0052】
次に
図7を参照すると、ウェハをハンドリングするための装置が示されている。ウェハ702は、上述のようなハンドラ層を含むことができ、真空マニピュレータ704を使用して操作される。ハンドラ層はウェハ702に剛性を与え、そうでない場合、ウェハ702は、真空マニピュレータ704の圧力や、ウェハ702をある位置から次の位置に移動させる際に伴う力により、座屈、ひび割れ、または破断する可能性がある。
【0053】
真空マニピュレータ704の使用が特に企図されているが、本明細書に記載されるウェハ・ハンドリング・システムは、任意種類の手動または自動把持装置を含む任意タイプのマニピュレータを使用して、ウェハを位置決めするために使用できることを理解すべきである。マニピュレータ704は、ウェハ702の繊細であり得る表面部品の損傷を防ぐために、ウェハ702のハンドラ側に接触し得る。
【0054】
本発明の態様は所与の例示的なアーキテクチャから説明されるが、本発明の態様の範囲内で、他のアーキテクチャ、構造、基板材料、処理機能およびステップを変化させることができることが理解されるべきである。
【0055】
また、層、領域、または基板などの要素が別の要素「上に」または「その上に」あると参照される場合、それは他方の要素の上に直接あっても、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、要素が別の要素「上に直接」または「その上に直接」あると参照される場合は、介在する要素が存在しない。また、要素が別の要素に「接続」または「連結」されていると参照される場合、それは他方の要素に直接「接続」もしくは「連結」されていても、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続」または「直接連結」されていると参照される場合は、介在する要素が存在しない。
【0056】
本発明の実施形態は、集積回路チップの設計を含むことができ、それはグラフィック用コンピュータ・プログラミング言語で作成し、コンピュータ記憶媒体(ディスク、磁気テープ、物理的ハード・ドライブ、またはストレージ・アクセス・ネットワーク内の仮想ハード・ドライブなど)に記憶することができる。設計者がチップまたはチップの製造に使用されるフォトリソグラフィ・マスクを製造しない場合、設計者は、得られた設計を、物理的な手段により(例えば、設計を格納した記憶媒体の複製を提供することにより)、または電子的に(例えば、インターネットを通じて)、直接または間接的に、そのような事業体に送付することができる。記憶された設計は、その後、フォトリソグラフィ・マスクの製造のために適切な形式(例えば、GDSII)に変換され、これは一般に、ウェハ上に形成される当該チップ設計のコピーを多数含む。フォトリソグラフィ・マスクは、エッチングまたはその他の方法で処理されるべきウェハ(またはその上の層あるいはその両方)の領域を画定するために利用される。
【0057】
本明細書に記載の方法は、集積回路チップの製造に使用することができる。得られた集積回路チップは、未加工ウェハの形態(すなわち、多数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)で、またはベア・ダイとして、またはパッケージされた形態で製造者から流通され得る。後者の場合、チップは、シングル・チップ・パッケージ(マザーボードもしくは他の上位キャリアに取り付けられるリードを有するプラスチック・キャリアなど)、またはマルチチップ・パッケージ(表面相互接続もしくは埋設相互接続の一方もしくは両方を有するセラミック・キャリアなど)に実装される。いずれの場合も、チップはその後、(a)マザーボードなどの中間製品、または(b)最終製品の一部として、他のチップ、個別の回路素子、または他の信号処理装置あるいはそれらの組合せと一体化される。最終製品は、玩具およびその他のローエンド用途から、ディスプレイ、キーボード、その他の入力装置、および中央処理装置を有する高度なコンピューティング製品に及ぶ、集積回路チップを含む任意の製品であり得る。
【0058】
また、材料化合物は、例えばSiGeなど、列挙される元素として記載されることが理解されるべきである。これらの化合物は、化合物中に異なる比率の元素を含み、例えば、SiGeはSixGe1-xを含み、xは1以下である等である。加えて、他の元素が化合物に含まれ、なおも本発明の原理に従って機能することができる。追加的な元素を含む化合物を本明細書では合金と呼ぶ。
【0059】
本明細書における「1つの実施形態」または「一実施形態」、ならびにその他の変化形は、その実施形態との関連で説明される特定の特徴、構造、特性などが、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所に現れる「1つの実施形態において」または「一実施形態において」という表現とその他の変化形の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0060】
以下の「/」、「および/または」、および「の少なくとも一方」のいずれかの使用、例えば「A/B」、「Aおよび/またはB」、ならびに「AおよびBの少なくとも一方」の場合は、1番目に列挙された選択肢(A)のみの選択、または2番目に列挙された選択肢(B)のみの選択、または両方の選択肢(AおよびB)の選択を包含するように意図されることを理解されたい。さらなる例として、「A、B、および/またはC」ならびに「A、B、およびCのうち少なくとも1つ」の場合、このような表現は、1番目に列挙された選択肢(A)のみの選択、または2番目に列挙された選択肢(B)のみの選択、または3番目に列挙された選択肢(C)のみの選択、または1番目および2番目に列挙された選択肢(AおよびB)のみの選択、または1番目および3番目に列挙された選択肢(AおよびC)のみの選択、または2番目および3番目に列挙された選択肢(BおよびC)のみの選択、または3つすべての選択肢(AおよびBおよびC)の選択を包含するように意図される。これは、当技術分野と関連技術の当業者にはすぐにわかるように、列挙された項目の数だけ適用することができる。
【0061】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、例示的実施形態を制限する意図はない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のように示さない限り、複数形も包含することが意図される。さらに、語「~を備える」、「~を含む」または「~を備えている」、「~を含んでいる」あるいはその両方は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素、あるいはそれらの組合せの存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそれらの群、あるいはそれらの組合せの存在または追加を排除しないことが理解されよう。
【0062】
「下方」、「下」、「下部」、「上方」、「上」、「上部」等の空間的に相対的な語は、本明細書において、図に図示される、ある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するのを容易にするために使用されることがある。空間的に相対的な語は、図に描かれた向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含するように意図されていることが理解されよう。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」にあると記述された要素は、他方の要素または特徴の「上」を向くことになる。したがって、「下」という語は、上と下の向きの両方を包含し得る。装置は、他の向きにされることもあり(90度回転されるまたはその他の向き)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈することができる。加えて、ある層が2つの層の「間」にあると言及される場合、それは2つの層の間にある唯一の層である場合もあれば、1つまたは複数の層が介在する場合もあることが理解されよう。
【0063】
本明細書では、第1、第2などの語を用いて様々な要素を説明することがあるが、そのような要素はこれらの語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの語は、ある要素を別の要素と区別するために使われているに過ぎない。したがって、本概念の範囲から逸脱することなく、以下で説明される第1の要素は第2の要素と呼ぶこともできる。
【0064】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を説明している。これに関して、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の一部を表し得、それは、指定される論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む。一部の代替実装形態では、ブロックに記される機能は、図に記される順序から外れて行われてよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際には1つのステップとして実現される、同時に実行される、実質的に同時に実行される、もしくは、部分的もしくは完全に時間的に重なるように実行されてよく、またはそれらブロックは、時に、関与する機能に応じて逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の中のブロックの組合せは、指定される機能を行うか、または特殊目的ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを動作させるもしくは実施する、特殊目的のハードウェア・ベース・システムによって実施され得ることが気づかれよう。
【0065】
レーザ剥離層を有するシリコン・ハンドラの好ましい実施形態(それらは例示を意図したものであり、限定を意図したものではない)を説明してきたが、上記の教示に照らして、当業者により変更および変形がなされ得ることが留意される。したがって、添付の特許請求の範囲によって概説される本発明の範囲内にある開示される特定の実施形態に変更がなされてよいことが理解されるべきである。以上、特許法によって要求される詳細および具体性をもって本発明の態様を説明したが、特許権が請求され、特許証によって保護されることが望まれる内容が添付の特許請求の範囲に記載される。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハをハンドリングするための方法であって、
剥離層と、光学強化層と、反射防止層とを含む接合層によってウェハに取り付けられたハンドラを位置決めすることと、
レーザ・エネルギーを発するレーザを使用して、前記ウェハから前記ハンドラを剥離することであって、前記剥離層によって吸収され、前記光学強化層によって前記剥離層に閉じ込められる波長の前記レーザ・エネルギーに曝された時に前記剥離層の材料が融除して前記ウェハを解放する、前記剥離することと
を含む方法。
【請求項2】
前記剥離層が、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剥離層が、ベリリウム、チタン、クロム、マンガン、およびコバルトからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記剥離層が、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、およびレニウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記剥離層が、前記波長において少なくとも5の消衰係数を有する金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記波長が1200nm~6000nmの範囲から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記波長が1200nm~2500nmの範囲から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光学強化層が、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶ゲルマニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記接合層が、前記剥離層の前記ハンドラ層とは反対側に配置された、レーザ・エネルギーを前記剥離層内に反射させる光学境界層をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記光学境界層が、ポリイミドまたは二酸化ケイ素からなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ハンドラを前記ウェハに取り付けることは、前記接合層に接着層を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ハンドラ・ウェハであって、
ある光の波長において透明である材料から形成されたハンドラ層と、
接合層であって、
前記波長において3.0よりも大きい実屈折率および5.0よりも大きい消衰係数を有する材料から形成された、前記波長の光を吸収する剥離層、および
前記波長において透明で、2.0よりも大きい屈折率を有する材料から形成された光学強化層であって、光の前記波長のエネルギーを前記剥離層に閉じ込めるための前記光学強化層、
を含む前記接合層と
を備えるハンドラ・ウェハ。
【請求項13】
前記剥離層が、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項14】
前記波長が1200nm~6000nmの範囲から選択される、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項15】
前記光学強化層が、アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶ゲルマニウムからなる群から選択される材料から形成される、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項16】
前記接合層が、前記剥離層の前記ハンドラ層とは反対側に配置された、レーザ・エネルギーを前記剥離層内に反射させる光学境界層をさらに含む、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項17】
前記光学強化層と前記ハンドラ層との間に反射防止層をさらに備える、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項18】
前記ハンドラ層が、シリコンを含む半導体材料から形成される、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項19】
前記接合層が接着層をさらに含む、請求項12に記載のハンドラ・ウェハ。
【請求項20】
ハンドラ・ウェハであって、
シリコンから形成されたハンドラ層と、
接合層であって、
1200nm~2500nmの範囲から選択される、剥離レーザからの波長の光を吸収する剥離層であって、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料
を含んで形成された前記剥離層、
アモルファス・シリコン、アモルファス・ゲルマニウム、および多結晶シリコンからなる群から選択される材料から形成された光学強化層であって、光の前記波長のレーザ・エネルギーを前記剥離層に閉じ込めるための前記光学強化層、
前記剥離層の前記ハンドラ層とは反対側にある光学境界層であって、前記波長の光を前記剥離層内に反射させ、ウェハへの接着を提供する前記光学境界層、および
前記光学強化層と前記ハンドラ層との間の反射防止層
を含む前記接合層と
を備えるハンドラ・ウェハ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
いくつかの実施形態は、マグネシウム、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金、およびルテチウムからなる群から選択される金属材料を含む剥離層を含んでよい。また、いくつかの実施形態は、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、およびレニウムからなる群から選択される金属材料を含む剥離層を含んでもよい。
【国際調査報告】