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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】コーティング剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/08 20060101AFI20241108BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241108BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20241108BHJP
【FI】
B05B5/08 G
B05C11/10
B05B12/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531191
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022082690
(87)【国際公開番号】W WO2023094339
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021131136.5
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェルフェルダー、マンフレード
(72)【発明者】
【氏名】ファルハイヤー、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F034
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
4F034AA03
4F034AA04
4F034BA23
4F034BB05
4F035AA03
4F035BA15
4F035BC02
4F042AA09
4F042AB00
4F042CB12
4F042CB19
4F042CC04
4F042CC07
(57)【要約】
本発明は、コーティング剤(例えば塗料)を塗布器(例えば回転霧化器)に供給するためのコーティング剤供給装置に関する。本発明に係るコーティング剤供給装置は、ピグ供給元ステーション(1)と、ピグ供給先ステーション(3)と、ピグ供給元ステーション(1)とピグ供給先ステーション(3)とを接続するピグライン(2)とを有する。ピグライン(2)は、ピグ供給元ステーション(1)とピグ供給先ステーション(3)の間のコーティング剤輸送のために、ピグパッケージの2つのピグ(5、6)の間にコーティング剤をクランプするための2つのピグ(5、6)を有するピグパッケージを含んでいる。さらに、コーティング剤供給装置は、ピグ供給先ステーション(3)とピグ供給元ステーション(1)との間でピグパッケージを移動させる際に、ピグライン(2)内のピグの摩擦を低減する潤滑剤を供給するための潤滑剤供給ライン(15)を備えている。さらに、本発明に係るコーティング剤供給装置は、制御可能な潤滑剤バルブ(4)を有し、この潤滑剤バルブ(4)は、潤滑剤供給点において潤滑剤をピグライン(2)に供給するために、潤滑剤供給ライン(15)をピグライン(2)に接続する。本発明では、潤滑剤供給点は、ピグ供給元ステーション(1)とピグ供給先ステーション(3)の間のピグライン(2)に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布器にコーティング剤を供給するための、特に自動車車体部品を塗装する塗装設備における、コーティング剤供給装置であって、
a)ピグ供給元ステーション(1)と、
b)ピグ供給先ステーション(3)と、
c)前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)を接続するピグライン(2)と、
d)前記ピグライン(2)に配置された2つのピグ(5、6)を有するピグパッケージであって、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)との間におけるコーティング剤の輸送のために、前記ピグパッケージの前記2つのピグ(5、6)の間に前記コーティング剤をクランプするピグパッケージと、
e)前記ピグパッケージを、前記ピグ供給先ステーション(3)と前記ピグ供給元ステーション(1)との間で移動させる際に、前記ピグライン(2)内の前記ピグの摩擦低減潤滑のための潤滑剤を供給する潤滑剤供給ライン(15)と、
f)潤滑剤供給点において、前記ピグライン(2)に潤滑剤を供給するために、前記潤滑剤供給ライン(15)を前記ピグライン(2)に接続する制御可能な潤滑剤バルブ(4)と、を備え、
g)前記潤滑剤供給点は、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)の間の前記ピグライン(2)に配置されていること、を特徴とする、
コーティング剤供給装置。
【請求項2】
a)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ供給元ステーション(1)よりも前記ピグ供給先ステーション(3)の近くに配置されていること、および/または
b)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)のライン長の50%、40%、30%、20%、10%、5%、または3%の下流に配置されていること、および/または
c)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ供給先ステーション(3)から15mより、10mより、5mより、3mより、2mより、1mより、50cmより、20cmより、または10cmより小さい距離に配置されていることを特徴とする、
請求項1に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項3】
測定点における前記ピグライン(2)の充填状態を検出するために、特に前記ピグライン(2)内の空気とコーティング剤とを区別するために、前記ピグライン(2)上にセンサ(9)が設けられていることを特徴とする、
請求項1または2に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項4】
a)前記センサ(9)は、前記潤滑剤バルブ(4)と前記ピグ供給先ステーション(3)の間に配置され、
b)前記センサ(9)は、好ましくは、前記ピグ供給先ステーション(3)よりも前記潤滑剤バルブ(4)の近くに配置され、
c)前記センサ(9)は、好ましくは、前記センサ(9)から1m未満、50cm未満、25cm未満、10cm未満、5cm未満の距離に配置され、前記潤滑剤供給点のできるだけ近くで測定する、ことを特徴とする、
請求項3に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項5】
前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)内に配置され、前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ(5、6)が通過可能な連続するピグ対応型のピグ流路(14)を有することを特徴とする、
請求項1から4の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項6】
a)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)の上流側ラインセクションが接続される第1のライン接続部(12)を備え、
b)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)の下流側ラインセクションが接続される第2ライン接続部(13)を備え、
c)前記潤滑剤バルブ(4)内の前記ピグ流路(14)は、前記第1のライン接続部(12)と前記第2のライン接続部(13)とを接続し、
d)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記潤滑剤を供給するための潤滑剤接続部(15)を備え、
e)前記第1と第2のライン接続部(12、13)は、好ましくは軸方向に整列して配置され、
f)前記第1と第2のライン接続部(12、13)は、好ましくはホース接続として設計され、スクリューフランジを有することを特徴とする、
請求項5に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項7】
a)前記潤滑剤バルブ(4)は、そのバルブ位置に応じてバルブシート(17)を開放または閉鎖する変位可能なバルブニードル(16)を含み、
b)前記潤滑剤バルブ(4)の前記バルブニードル(16)は、好ましくは、前記潤滑剤バルブ(4)内を流れる前記ピグ流路(14)に対して直角に配置され、
c)前記潤滑剤バルブ(4)は、好ましくは空気圧で制御される、ことを特徴とする、
請求項2から6の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項8】
a)前記ピグ供給先ステーション(3)を少なくとも一時的に高電圧電位に帯電させる静電コーティング剤帯電システムが設けられ、
b)前記ピグ供給元ステーション(1)が電気的に接地されている、ことを特徴とする、
請求項1から7の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項9】
a)前記ピグ供給元ステーション(1)は、制御可能なバルブ配置を備え、前記ピグ供給元ステーション(1)のバルブ配置が、前記ピグライン(2)を以下の構成要素の1つに選択的に接続し、
a1)少なくとも1つのコーティング剤供給部(QFa、QFb、QFc、QFd)、
a2)リンス剤の供給部(QV)、
a3)圧縮空気供給部(QMS)、
a4)前記ピグ供給元ステーション(1)を洗浄するための少なくとも1つの洗浄ライン(QRFad、QRFbc)、
a5)廃棄部(RF)、
a6)前記ピグを前記ピグ供給先ステーション(3)に押し出すための押出媒体用の供給ライン(QMS)、および/または
b)前記ピグ供給先ステーション(3)は、制御可能なバルブ配置を備え、前記ピグ供給先ステーション(3)のバルブ配置が、前記ピグライン(2)を以下の構成要素の1つに選択的に接続し、
b1)除去された前記コーティング剤を前記ピグ供給先ステーション(3)から前記塗布器に送るための塗料ライン(ZF)、
b2)圧縮空気供給部(ZND、ZHD)、
b3)リンス剤供給部、および/または
b4)コーティング剤の戻り部(ZRF)を備えることを特徴とする、
請求項1から8の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項10】
a)制御ユニット(11)が設けられ、
b)前記制御ユニット(11)は、前記ピグ供給元ステーション(1)のバルブ配置を制御し、
c)前記制御ユニット(11)は、前記ピグ供給先ステーション(3)のバルブ配置を制御し、
d)前記制御ユニット(11)は、前記センサ(9)に照会をし、
e)前記制御ユニット(11)は、前記潤滑剤バルブ(4)を制御すること、を特徴とする、
請求項1から9の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置。
【請求項11】
コーティング剤で部品を塗装するための、特に自動車車体部品を塗装するための塗装設備である、コーティングシステムであって、
a)前記コーティング剤を塗布する塗布器と、
b)好ましくは、前記塗布器を案内する塗布ロボットと、
c)前記塗布器に前記コーティング剤を供給する、請求項1から10の何れか1項に記載されたコーティング剤供給装置と、を備える、
コーティングシステム。
【請求項12】
請求項1から10の何れか1項に記載のコーティング剤供給装置の操作方法であって、
a)前記2つのピグ(5、6)の間の前記ピグパッケージの前記ピグライン(2)のライン部分に前記コーティング剤を充填する工程と、
b)前記ピグライン(2)内の前記2つのピグ(5、6)の間に前記コーティング剤をクランプした前記ピグパッケージを、前記ピグ供給元ステーション(1)から前記ピグ供給先ステーション(3)に移動させる工程と、
c)前記ピグライン(2)内の前記ピグパッケージの前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた前記コーティング剤を除去する工程であって、前記コーティング剤は、前記ピグ供給先ステーション(3)で除去される工程と、
d)前記ピグパッケージから取り出した前記コーティング剤を前記塗布器に供給し、前記ピグパッケージに残った余分な前記コーティング剤を塗布する工程と、
e)前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた余分な前記コーティング剤を含む前記ピグパッケージを、前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)へ、特に、前記ピグパッケージの後方下流の前記ピグ供給先ステーション(3)において、圧縮空気を前記ピグライン(2)に導入することによって戻す工程と、
f)前記ピグ供給元ステーション(1)で前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた余分な前記コーティング剤を除去する工程と、
g)前記ピグ供給元ステーション(1)で前記ピグパッケージから取り除かれた余分な前記コーティング剤をコーティング剤戻り部(QFa-QFd)に戻す工程と、
h)前記ピグパッケージを前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)に戻す際に、前記ピグライン(2)内の前記ピグの摩擦を低減するために、前記潤滑剤を前記潤滑剤供給点で前記ピグライン(2)に導入する工程と、を備え、
i)前記潤滑剤供給点は、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグパッケージの間にあること、を特徴とする、
操作方法。
【請求項13】
a)前記センサ(9)は、前記潤滑剤を導入する前に、前記潤滑剤供給点が前記ピグパッケージの上流に位置するかどうかを、特に前記潤滑剤供給点において、前記ピグライン(2)に前記コーティング剤がないかどうかを確認し、
b)前記潤滑剤供給点が前記ピグパッケージの上流にある場合にのみ、前記潤滑剤が前記ピグライン(2)に供給される、ことを特徴とする、
請求項12に記載の操作方法。
【請求項14】
前記ピグパッケージを前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)に戻した後、前記ピグ供給元ステーション(1)内の前記潤滑剤を廃棄部(RF)に廃棄する、ことを特徴とする、
請求項12または13に記載の操作方法。
【請求項15】
前記ピグパッケージは、好ましくは、前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)への後方移動の間、および/または前記ピグ供給元ステーション(1)から前記ピグ供給先ステーション(3)への前方移動の間に、1m/秒以上、2m/秒以上、5m/秒以上、10m/秒以上、または20m/秒以上の速度で移動されること、を特徴とする、
請求項12から14の何れか1項に記載の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布器(例えば回転霧化器)にコーティング剤(例えば塗料)を供給するためのコーティング剤供給装置に関し、特に自動車車体部品を塗装するための塗装設備におけるコーティング剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体部品の塗装のための最新の塗装設備では、塗料供給システムは、ピグ供給元ステーションとピグ供給先ステーションを接続するピグラインと共に使用されることが多い。ピグラインにおいて、ピグは、押出媒体(例えば圧縮空気)によってピグラインに沿って移動させることができる。
【0003】
一方では、押出媒体によって、ピグをピグライン内で移動させ、それによってピグリード内にある塗料を押し出すことによって、ピグラインを空にして洗浄することが可能になる。
【0004】
他方では、このピギング原理は、一方の接地電位にあるピグ供給元ステーションと、他方の高電圧電位にあるピグ供給先ステーションとの間の電位分離も可能にする。この目的のために、ピグラインは、電気絶縁材料からなるピグリードに沿って、電気的フラッシュオーバが起こらないように、排水、洗浄、清掃される。
【0005】
このようなコーティング剤供給装置において、2つのピグ、すなわちいわゆる押出ピグと、いわゆるリフローピグと、からなるピグパッケージを使用することも従来技術から知られている。ここで、押出ピグはピグ供給元ステーション側のピグラインに配置され、リフローピグはピグ供給先ステーション側のピグラインに配置される。
【0006】
ピグ供給元ステーションでは、押出ピグとリフローピグの間のピグラインに塗料カラムを充填することができ、その後、ピグパッケージによってピグ供給先ステーションに運ばれ、そこで、塗布される塗料がピグパッケージから取り出される。
【0007】
塗布工程が終了すると、余分な塗料は、ピグパッケージによってピグ供給元ステーションに戻され、そこで塗料はピグパッケージから再循環システムに戻されるため、余分な塗料を後の段階で再利用することができ、塗料の消費を抑えることができる。
【0008】
このいわゆるリフロー工程では、押出ピグとリフローピグを搭載したピグパッケージは、空になってほとんど乾燥したピグラインのピグ供給元ステーションに戻され、ピグとピグライン間の機械的摩擦が比較的大きくなり、ピグの寿命に悪影響を及ぼす。摩擦熱がピグのシールリップの過度の温度上昇を引き起こし、極端な場合にはピグの変形や欠陥につながる可能性があるので、リフロー工程の間、ピグは、そのため最大1m/秒の移動速度を超えることはできない。したがって、公知のピグが可能なラインでは、ピグの移動速度が制限され、公知の塗装設備の性能が制限される。
【0009】
特許文献1から、このようなピグラインを備えたコーティング剤供給装置が知られている。ここで、ピグラインにおけるピグの摩擦の問題は、ピグパッケージの2つのピグの間のピグラインに潤滑剤(例えば溶剤)を導入して、ピグラインにおけるピグの摩擦を減少させることにより、少なくとも部分的に解決される。この場合、ピグパッケージの2つのピグの間のピグラインに潤滑剤を供給できるように、ピグラインに潤滑剤を供給するための潤滑剤供給点は、ピグ供給先ステーションに配置される。
【0010】
しかしながら、この公知のコーティング剤供給装置では、リフロー工程中に押出ピグのシールリップが潤滑されないため、ピグラインにおけるピグの摩擦の問題を満足に解決することができない。したがって、この公知のコーティング剤供給装置を用いても、リフロー工程中のピグの最大許容移動速度には限界がある。
【0011】
最後に、本発明の技術的背景に関して、特許文献2も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第1812168号明細書
【特許文献2】独国特許第60302702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、対応する改良されたコーティング剤供給装置を作成するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るコーティング剤供給装置は、コーティング剤(例えば塗料)を塗布器(例えば回転霧化器)に供給するために使用される。しかしながら、本発明は、コーティング剤に関して塗料に限定されるものではなく、原理的には他のコーティング剤でも実施可能である。さらに、本発明は、供給される塗布器に関して回転霧化器に限定されるものではなく、原理的には、他のタイプの塗布器(例えばプリントヘッド)への供給にも適している。しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、コーティング剤供給装置は、自動車車体部品を塗装するための塗装工場において、回転霧化器に塗料を供給するのに役立つ。
【0015】
上述した先行技術に従って、本発明によるコーティング剤供給装置は、ピグ供給元ステーションとピグ供給先ステーションとからなり、これらはピグラインによって互いに接続されている。ピグラインには、ピグパッケージがあり、ピグパッケージの2つのピグの間にコーティング剤をクランプするための2つのピグを有し、これにより、ピグパッケージは、ピグ供給元ステーションとピグ供給先ステーションとの間でコーティング剤カラムを輸送することができる。下流側のピグはリフローピグとも呼ばれ、上流側のピグは押出ピグとも呼ばれる。
【0016】
押出ピグは、いわゆる押出工程で、ピグパッケージにクランプされたコーティング剤カラムをピグ供給元ステーションからピグ供給先ステーションまで搬送するために駆動される。
【0017】
一方、リフローピグは、いわゆるリフロー工程で、ピグパッケージにクランプされたコーティング剤カラムをピグ供給先ステーションからピグ供給元ステーションに戻すために駆動される。
【0018】
「上流」および「下流」という用語は、ここで、そしてさらに以下において、ピグ供給元ステーションからピグ供給先ステーションへの通常の流れ方向を意味し、流れ方向が逆転するリフロー工程を意味しない。
【0019】
さらに、本発明によるコーティング剤供給装置は、特許文献1により上述した公知のコーティング剤供給装置に従って、ピグパッケージがピグ供給先ステーションとピグ供給元ステーションとの間で移動されるときに、ピグライン内のピグの摩擦低減潤滑を可能にすることを意図する潤滑剤を供給するために、潤滑剤供給ラインも有している。
【0020】
さらに、本発明によるコーティング剤供給装置は、特許文献1により上述した公知のコーティング剤供給装置に従って、潤滑剤供給点におけるピグラインへの潤滑剤の導入を制御するために、潤滑剤供給ラインをピグラインに接続する制御可能な潤滑剤バルブも備えている。
【0021】
先行技術における潤滑剤供給点は、ピグパッケージの2つのピグの間のピグラインに潤滑剤を導入できるように、ピグ供給先ステーションに配置されていることは、先行技術に関して上記で既に説明した。これとは対照的に、本発明では、ピグ供給元ステーションとピグ供給先ステーションとの間のピグライン、すなわち、ピグ供給先ステーションの外側であり、ピグ供給元ステーションの外側でもあるピグラインに潤滑剤供給点が配置される。リフロー工程では、リフロー工程中の押出ピグの移動方向に対して押出ピグより前のピグラインに潤滑剤を導入することにより、押出ピグも潤滑することができる。リフロー工程中の押出ピグの潤滑により、ピグとピグライン間の摩擦が減少し、リフロー工程中のピグの移動速度を上げることができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、ピグラインの潤滑剤バルブは、ピグ供給元ステーションよりもピグ供給先ステーションの近くに配置される。従って、潤滑剤バルブは、好ましくは、ピグラインのライン長の50%、40%、30%、20%、10%、5%または3%の下流に配置される。絶対数では、ピグラインに沿った潤滑剤バルブとピグ供給先テーションとの間の距離は、好ましくは15mより、10mより、5mより、3mより、2mより、1mより、50cmより、20cmより、または10cmより小さいと言うことができる。潤滑剤バルブ、ひいては潤滑剤供給点をピグ供給先ステーションの近くに配置することは、リフロー工程中、ピグがピグ供給先ステーションからピグ供給元ステーションまでの移動距離全体にわたって、供給された潤滑剤によって潤滑されるために有利である。
【0023】
特許文献1による公知のコーティング剤供給装置において、潤滑剤がピグパッケージの2つのピグの間のピグラインに供給されることは、先行技術に関連して既に上述した。しかしながら、先行技術における注入された潤滑剤は、クランプされたコーティング剤カラムの対応する汚染につながるので、ピグパッケージに供給されたコーティング剤カラムが、ピグ供給元ステーションにおけるリフロー工程の後に再使用される場合、これは問題である。
【0024】
したがって、本発明に係るコーティング剤供給装置では、潤滑剤がピグパッケージの2つのピグの間のピグラインに供給されないようにすることが意図されている。むしろ、リフロー工程中、潤滑剤は、リフロー工程中のピグの移動方向に対してピグパッケージの前方でピグラインに導入されるべきである。したがって、本発明に係るコーティング剤供給装置は、好ましくは、センサを備え、センサは、ピグライン上に配置され、ピグラインの充填状態を測定点で検出するのに役立つ。
【0025】
例えば、このセンサは、ピグラインがコーティング剤で満たされているか空気で満たされているかを区別することができ、それにより、センサが測定点においてピグラインがコーティング剤で満たされていることを検出した場合、ピグラインへの潤滑剤の供給はブロックされる。したがって、ピグラインへの潤滑剤の導入は、好ましくは、センサが、ピグラインが測定点において空気で満たされていることを検出した場合にのみ解除される。
【0026】
別の測定方法は、センサが通過するピグを検出し、制御ユニットに報告することである。例えば、ピグに永久磁石を埋め込んでもよく、永久磁石が埋め込まれたピグが磁気センサを通過するときに、永久磁石が磁気センサによって検出される。または、ピグにスチールコアを埋め込み、それを誘導センサで検出する方法もある。制御ユニットは、2つのピグを搭載したピグパッケージの位置を常に把握しているため、ピグパッケージが潤滑剤供給点にある場合、制御ユニットはピグラインへの潤滑剤の供給を遮断することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、センサは、潤滑剤バルブとピグ供給先ステーションの間に、好ましくはピグ供給先ステーションよりも潤滑剤バルブの近くに配置される。測定点と潤滑剤供給点との間の距離は、センサが潤滑剤供給点におけるピグラインの充填状態に関する情報を提供するように、可能な限り小さくすべきである。一方の測定点と他方の潤滑剤供給点との間の距離は、ピグラインに沿って1mより、50cmより、25cmより、10cmより、またはさらには5cmよりも小さいことが好ましい。
【0028】
潤滑剤バルブは、好ましくはピグラインに配置され、ピグが通過できる連続的なピグ流路を有することにも言及されるべきである。この目的のために、潤滑剤バルブはピグラインに挿入され、ピグラインは複数のホースラインから構成される。潤滑剤バルブの一体型ピグ流路は、ピグが潤滑剤バルブを通ってピグラインに沿って案内されることを可能にする。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、潤滑剤バルブは、ピグラインの上流側ラインセクション(例えばホースライン)が接続される第1のライン接続部を有する。さらに、潤滑剤バルブは、好ましくは、ピグラインの下流側ラインセクション(例えばホースライン)が接続される第2のライン接続部を有する。ピグ流路は、2つのライン接続部の間の潤滑剤バルブ内を流れる。2つのライン接続部は、好ましくは軸方向に整列して配置されるが、原理的には、ピグの可能性を損なわない範囲であれば、2つのライン接続部を他方に対して湾曲させて整列させることも可能である。
【0030】
また、2つのライン接続部は、スクリューフランジ付きのホース接続として設計されることが望ましいことも述べておく。
【0031】
さらに、潤滑剤バルブには潤滑剤を供給するための潤滑剤接続部がある。
【0032】
さらに、潤滑剤バルブは、好ましくは、変位可能なバルブニードルを含み、このバルブニードルは、そのバルブ位置に応じて、バルブシートを開放または閉鎖し、バルブニードルは、好ましくは、潤滑剤バルブ内を走行するマルチ流路に対して直角に整列される。
【0033】
また、潤滑剤バルブは空気圧で制御されるのが好ましいが、電気的または電磁的に制御することも可能である。
【0034】
ピグラインにより、接地電位にあるピグ供給元ステーションと、選択的に接地電位にあるか、または高電圧電位に充電可能なピグ供給先ステーションと、の間の電位分離が可能であることは、上述の先行技術で既に説明した。このことは、好ましくは、本発明によるコーティング剤供給装置においても同様である。
【0035】
ピグ供給元ステーションに関しては、ピグラインを以下の部品の何れかに任意に接続するために、好ましくは多数のバルブを備えた制御可能なバルブ配置を含むことにも言及されるべきである。
・コーティング剤を供給するための少なくとも1つのコーティング剤供給部、
・ピグラインをリンスするためのリンス剤を供給するリンス剤供給部、
・例えば、ピグをピグ供給元ステーションからピグ供給先ステーションに移動させるための押出媒体としての圧縮空気を供給するための圧縮空気供給部、
・リフロー工程後に、コーティング剤の再利用するためのコーティング剤を戻すコーティング剤戻り部、
・リンス剤および/またはコーティング剤を廃棄するための廃棄部、
・ピグ供給元ステーションからピグ供給先ステーションにピグを押し出すための別の押出媒体の供給ライン、
・リフロー工程中にピグラインの空気圧を緩和するための再循環部。
【0036】
さらに、ピグ供給先ステーションは、好ましくは、ピグ供給先ステーション内のピグラインを以下の部材の何れかに任意に接続するために、多数の制御可能なバルブを含む制御可能なバルブ配置も有する。
・除去されたコーティング剤を、ピグ供給先ステーションから塗布器(例えば回転霧化器)に送るための塗料ライン、
・例えばリフロー工程の一部として、ピグをピグ供給先ステーションからピグ供給元ステーションに押し戻すための押出媒体としての圧縮空気を供給するための圧縮空気供給部、
・ピグラインをリンスするためのリンス剤を供給するリンス剤供給部、
・コーティング剤の再利用のためにコーティング剤を戻すコーティング剤戻り部、
・押出工程、すなわちローディング工程(ピグ供給元ステーションからピグ供給先ステーションへのピグの移動)中に、ピグラインの空気圧を緩和するための戻り部。
【0037】
さらに、コーティング剤供給装置は、好ましくは、ピグ供給元ステーションおよびピグ供給先ステーションのバルブ配置を制御する制御ユニットを有することに言及すべきである。さらに、制御ユニットは、上述のセンサに照会し、それに応じて潤滑剤バルブを制御する。
【0038】
さらに、本発明は、上述した本発明によるコーティング剤供給装置の保護のみを主張するものではないことに言及すべきである。むしろ、本発明は、部品をコーティング剤(例えば塗料)でコーティングするためのコーティングシステムの保護も主張し、このコーティングシステムは、上述の本発明によるコーティング剤供給装置を含んでいる。加えて、本発明によるコーティングシステムは、少なくとも1つの塗布器(例えば回転霧化器)、および好ましくは塗布器を案内する塗布ロボットも備える。
【0039】
最後に、本発明は、対応する操作方法の保護も主張するが、これによって、本発明による操作方法の個々の工程ステップは、本発明によるコーティング剤供給装置の上記の説明から既に明らかであり、したがって、これ以上詳細に説明する必要はない。
【0040】
しかしながら、本発明による操作方法は、ピグパッケージがリフロー工程の一部として、従来技術で可能であった速度よりも著しく速い移動速度で移動されることを提供することに言及するに値する。したがって、ピグの移動速度は、特にリフロー工程において、1m/秒以上、2m/秒以上、5m/秒以上、10m/秒以上、あるいはさらには20m/秒以上である。これは、既に上述したように、本発明によるピグの潤滑によって可能となる。
【0041】
本発明の他の有利な発展形態は、従属請求項において特定されるか、または図を参照した本発明の好ましい実施形態の説明と共に、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】自動車車体部品を塗装する塗装工場で回転霧化器に供給する本発明による塗料供給部の概略図である。
図2図1による塗料供給部の潤滑剤バルブの断面図である。
図3図1による塗料供給部の本発明による操作方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面に示す本発明による塗料供給部の例示的な実施形態について説明するが、この塗料供給部は、自動車車体部品を塗装する塗装工場において、塗布する塗料を回転霧化器(図示せず)に供給する役割を果たすものである。
【0044】
塗料供給部は、複数の塗料接続部QFa-QFdを介して塗料が供給されるピグ供給元ステーション1から構成される。
【0045】
ピグ供給元ステーション1は、ピグライン2を介してピグ供給先ステーション3に接続されており、ピグ供給先ステーション3は、接続部ZFを介して塗布される塗料を回転霧化器(図示せず)に転送する。
【0046】
潤滑剤バルブ4は、ピグライン2に配置され、これは図2に詳細に示されており、さらに詳細に説明される。この時点で、潤滑剤バルブ4は、ピグライン2内の摩擦を低減するために、ピグライン2内に潤滑剤を導入することを意図していることを簡単に述べておく。
【0047】
さらに、ピグライン2には移動可能なピグパッケージがあり、これは2つのピグ、すなわち押出ピグ5とリフローピグ6から構成される。押出ピグ5とリフローピグ6との間のピグパッケージでは、塗装カラム7をクランプすることができ、ピグパッケージは、押出工程ではピグ供給元ステーション1からピグ供給先ステーション3へ、リフロー工程ではピグ供給先ステーション3からピグ供給元ステーション1へ逆方向に搬送される。
【0048】
ピグ供給元ステーション1からピグ供給先ステーション3へのピグパッケージの移動は、押出工程で行われる。押出工程では、接続部QMSを介して、ピグ供給元ステーション1で押出媒体(例えば圧縮空気)がピグライン2に導入され、この押出媒体がピグライン2に沿って押出ピグ5とリフローピグ6と共にピグパッケージをピグ供給先ステーション3まで搬送する。
【0049】
リフロー工程では、押出ピグ5とリフローピグ6を備えたピグパッケージは、ピグライン2に沿って反対方向に、すなわちピグ供給先ステーション3からピグ供給元ステーション1へと搬送される。この目的ため、ピグ供給先ステーション3では、接続部ZMSを介して、押出媒体(例えば圧縮空気)がピグライン2に導入され、それにより、押出媒体がリフローピグ6を押圧し、ピグライン2に沿ってピグ供給元ステーション1まで、塗料カラム7を挟んだ完全なピグパッケージを搬送する。ピグ供給元ステーション1に戻された塗料カラム7は、その後、再利用できるように塗料接続部QFa-QFdに戻される。
【0050】
リフロー工程中、ピグパッケージは、押出ピグ5とリフローピグ6、およびそれらの間にクランプされた塗料カラム7と共に、そうでなければ乾燥したピグライン2内を移動する、すなわち、ピグライン2は押出ピグ5とピグ供給元ステーション1との間で空である。このため、押出ピグ5とピグライン2の壁との間の摩擦が増大し、押出ピグ5の寿命に悪影響を及ぼすとともに、リフロー工程中のピグパッケージの可能な最大移動速度が制限され、押出ピグ5またはリフローピグ6の損傷が防止される。したがって、本発明は、リフロー工程において、押出ピグ5とピグ供給元ステーション1との間のピグライン2に潤滑剤を供給し、潤滑剤がピグライン2内に潤滑剤カラム8を形成し、リフロー工程中、潤滑剤カラム8は押出ピグ5の移動方向に対して押出ピグ5の前方に位置している。これにより、空のピグライン2内でのリフロー工程中の押出ピグ5の摩擦が減少し、リフロー工程中のピグパッケージの移動速度が向上する。
【0051】
潤滑剤は、ピグライン2内に配置された前述の潤滑剤バルブ4を通してピグライン2内に導入される。しかしながら、潤滑剤をピグライン2に導入する際、ピグパッケージ内で押出ピグ5とリフローピグ6の間にクランプされている塗料カラム7に潤滑剤が供給されることを防止しなければならない。この場合、塗料カラム7内の塗料が汚染されることにつながり、塗料の再利用ができなくなる。
【0052】
従って、本発明に係る塗料供給部は、センサ9を備え、このセンサ9はピグ供給先ステーション3近傍のピグライン2上に配置され、ピグライン2の充填状態を検出する。そのため、リフロー工程中、ピグライン2内には、クランプされた塗料カラム7を有するピグパッケージの前方の移動方向に空気カラム10が存在し、これにより、センサ9は、空気カラム10と塗料カラム7のいずれがピグライン2内の測定点に位置しているかを検出することができる。センサ9は、制御ユニット11に照会され、制御ユニット11は、それに応じて潤滑剤バルブ4を制御する。つまり、センサ9がピグライン2の測定点に空気カラム10があることを検知した場合にのみ、潤滑剤は、潤滑剤バルブ4を介して、ピグライン2に供給される。一方、センサ9がピグライン2内の測定点に塗料カラム7があることを検知した場合、制御ユニット11は、ピグライン2への潤滑剤の供給を遮断する。
【0053】
ここで重要なのは潤滑剤バルブ4の位置であり、この位置はピグ供給先ステーション3にできるだけ近づけるべきであり、そうすることで、可能であれば、リフロー工程の一部としてピグ供給先ステーション3からピグ供給元ステーション1への後方移動の全行程において、押出ピグ5が潤滑される。従って、ピグラインに沿った潤滑剤バルブ4と、ピグ供給先ステーション3との間の距離は、例えば10cmより小さくすることができる。
【0054】
さらに、ピグライン2に沿ったセンサ9の位置が重要である。センサ9とその測定点は、潤滑剤バルブ4の潤滑剤供給点のできるだけ近くに配置されるべきである。これは、センサ9が潤滑剤バルブ4の潤滑剤供給点でピグライン2の充填状態を検出するために重要である。
【0055】
さらに、制御ユニット11は、塗料供給の動作を制御するために、ピグ供給元ステーション1の多数のバルブと、ピグ供給先ステーション3の多数のバルブも制御することを述べておく。この時点で、ピグ供給元ステーション1には以下の接続があることだけを述べておく。
・QFa 塗料aを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
・QFb 塗料bを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
・QFc 塗料cを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
・QFd 塗料dを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
・QHD 高圧供給用ピグ供給元ステーションの接続部
・QMS 押出媒体供給用ピグ供給元ステーションの接続部
・QND 低圧供給用ピグ供給元ステーションの接続部
・QRFad 洗浄工程のためのピグ供給元ステーションへの戻り部
・QRFbc 洗浄工程のためのピグ供給元ステーションへの戻り部
・QV 希釈液供給用ピグ供給元ステーションの接続部
・RF 戻り部
・QZYe シリンダを格納するためのピグ供給元ステーションの接続部
・QZYa シリンダを拡張するためのピグ供給元ステーションの接続部
・QRFD スロットルリターン用ピグ供給元ステーションの接続部
・QMPI ピグ供給元ステーションの押出開始部の接続部
・QMRI ピグ供給元ステーションのリフロー開始部の接続部
【0056】
また、ピグ供給先ステーション3には、以下の接続もあることを述べておく。
・ZF 塗料を塗布器に供給するためのピグ供給先ステーションの接続部
・ZRF 塗料を返送するためのピグ供給先ステーションの接続部
・ZHD 高圧供給用ピグ供給先ステーションの接続部
・ZND 低圧供給用ピグ供給先ステーションの接続部
・ZMS 押出媒体ピグを供給するためのピグ供給先ステーションの接続部
・ZRFD スロットルリターン用ピグ供給先ステーションの接続部
・ZMRI ピグ供給先ステーションのピグリフロー開始部
【0057】
また、ピグ供給元ステーション1は、運転中、接地電位にあることも述べておく。一方、ピグ供給先ステーション3は、コーティング剤の静電帯電を可能にするために、接地電位または高電圧電位のいずれかに選択的に配置することができる。ピグ供給先ステーション3が高電圧に帯電している場合、ピグライン2は完全に空にされ、可能な限り大きな電気抵抗を形成するために洗浄され、これによりピグ供給元ステーション1とピグ供給先ステーション3の間の電位分離が可能になる。
【0058】
次に、図2により潤滑剤バルブ4の詳細な表現について以下に説明する。潤滑剤バルブ4は、2つのライン接続部12、13を有し、これらのライン接続部12、13は、ピグライン2の上流側ライン部または下流側ライン部に接続される。ここで、2つのライン接続部12、13が軸方向に整列して配置されていることに言及しておく。これにより、ピグ流路14が潤滑剤バルブ4を通過することができる。したがって、押出ピグ5とリフローピグ6を備えたピグパッケージは、潤滑剤バルブ4のピグ流路14を支障なく通過することができる。
【0059】
さらに、潤滑剤バルブ4は、所望の潤滑剤を供給できる潤滑剤接続部15を備えている。
【0060】
潤滑剤バルブ4には移動可能なバルブニードル16があり、バルブニードル16はそのバルブ位置に応じてバルブシート17を開放または閉鎖する。バルブニードル16によってバルブシート17が開放されると、潤滑剤接続部15を介して、潤滑剤はピグ流路14に導入され、従って、潤滑剤はピグライン2に導入される。
【0061】
バルブニードル16は、例えば、電磁気的に制御することができる。
【0062】
次に、図3によるフローチャートを参照して、本発明に係る塗料供給部の動作方法を以下に説明する。
【0063】
ステップS1~S4は、いわゆる押出工程で、塗布器に塗料を供給するために使用される。
【0064】
最初のステップS1では、ピグ供給元ステーション1の押出ピグ5とリフローピグ6の間のピグパッケージ内のピグライン2に塗料を充填する。
【0065】
クランプされた塗料カラム7を有するピグパッケージは、次にステップS2で、ピグ供給元ステーション1からピグ供給先ステーション3へ移動される。この目的のために、押出媒体(例えば圧縮空気)は、接続部QMSを介してピグ供給元ステーション1のピグライン2に導入され、押出媒体はピグライン2に沿ってピグパッケージをピグ供給先ステーション3まで押し出す。
【0066】
ピグパッケージがピグ供給先ステーション3に到着した後、塗料は、ピグライン2においてクランプされた塗料カラム7から取り出され、塗布器に供給される。
【0067】
ステップS5~S11は、いわゆるリフロー工程を示す。
【0068】
ステップS5では、センサ9の測定点でピグライン2の充填状態を測定する。
【0069】
ステップS6では、センサ9の測定点においてピグライン2が空であるかどうかが確認される。
【0070】
この場合、ステップS7で潤滑剤が潤滑剤バルブ4からピグライン2に供給され、潤滑剤は潤滑剤カラム8を形成する。
【0071】
クランプされた塗料カラム7を有するピグパッケージは、ステップS8でピグ供給先ステーション3からピグ供給元ステーション1に戻される。この目的ために、ZMS接続部を介して、ピグ供給先ステーション3のピグライン2に押出媒体(例えば圧縮空気)が導入される。押出媒体は、ピグライン2に沿ってピグパッケージをピグ供給元ステーション1まで押し出す。
【0072】
ピグ供給元ステーション1にピグパッケージが到着した後、クランプされた塗料カラム7からの塗料は、ステップS10でピグパッケージから除去され(ステップS9)、塗料接続部QFa、QFb、QFc、QFdに戻される(戻り部)、つまり再利用が可能になる。
【0073】
最後に、ステップS11で、潤滑剤カラム8からの潤滑剤を戻り部RFで廃棄することができる。
【0074】
本発明は、上述の好ましい例示的実施形態に限定されるものではない。むしろ、多数の変形例および修正例が可能であり、これらも本発明思想を利用し、保護範囲に入る。特に、本発明は、各場合に参照される特許請求の範囲に関係なく、従属請求項の主題および特徴の保護も主張する。したがって、本発明は、互いに独立して保護を享受する本発明の様々な態様を包含する。
【0075】
(付記)
(付記1)
塗布器にコーティング剤を供給するための、特に自動車車体部品を塗装する塗装設備における、コーティング剤供給装置であって、
a)ピグ供給元ステーション(1)と、
b)ピグ供給先ステーション(3)と、
c)前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)を接続するピグライン(2)と、
d)前記ピグライン(2)に配置された2つのピグ(5、6)を有するピグパッケージであって、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)との間におけるコーティング剤の輸送のために、前記ピグパッケージの前記2つのピグ(5、6)の間に前記コーティング剤をクランプするピグパッケージと、
e)前記ピグパッケージを、前記ピグ供給先ステーション(3)と前記ピグ供給元ステーション(1)との間で移動させる際に、前記ピグライン(2)内の前記ピグの摩擦低減潤滑のための潤滑剤を供給する潤滑剤供給ライン(15)と、
f)潤滑剤供給点において、前記ピグライン(2)に潤滑剤を供給するために、前記潤滑剤供給ライン(15)を前記ピグライン(2)に接続する制御可能な潤滑剤バルブ(4)と、を備え、
g)前記潤滑剤供給点は、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグ供給先ステーション(3)の間の前記ピグライン(2)に配置されていること、を特徴とする、
コーティング剤供給装置。
【0076】
(付記2)
a)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ供給元ステーション(1)よりも前記ピグ供給先ステーション(3)の近くに配置されていること、および/または
b)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)のライン長の50%、40%、30%、20%、10%、5%、または3%の下流に配置されていること、および/または
c)前記ピグライン(2)内の前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ供給先ステーション(3)から15mより、10mより、5mより、3mより、2mより、1mより、50cmより、20cmより、または10cmより小さい距離に配置されていることを特徴とする、
付記1に記載のコーティング剤供給装置。
【0077】
(付記3)
測定点における前記ピグライン(2)の充填状態を検出するために、特に前記ピグライン(2)内の空気とコーティング剤とを区別するために、前記ピグライン(2)上にセンサ(9)が設けられていることを特徴とする、
付記1または2に記載のコーティング剤供給装置。
【0078】
(付記4)
a)前記センサ(9)は、前記潤滑剤バルブ(4)と前記ピグ供給先ステーション(3)の間に配置され、
b)前記センサ(9)は、好ましくは、前記ピグ供給先ステーション(3)よりも前記潤滑剤バルブ(4)の近くに配置され、
c)前記センサ(9)は、好ましくは、前記センサ(9)から1m未満、50cm未満、25cm未満、10cm未満、5cm未満の距離に配置され、前記潤滑剤供給点のできるだけ近くで測定する、ことを特徴とする、
付記3に記載のコーティング剤供給装置。
【0079】
(付記5)
前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)内に配置され、前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグ(5、6)が通過可能な連続するピグ対応型のピグ流路(14)を有することを特徴とする、
付記1から4の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置。
【0080】
(付記6)
a)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)の上流側ラインセクションが接続される第1のライン接続部(12)を備え、
b)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記ピグライン(2)の下流側ラインセクションが接続される第2ライン接続部(13)を備え、
c)前記潤滑剤バルブ(4)内の前記ピグ流路(14)は、前記第1のライン接続部(12)と前記第2のライン接続部(13)とを接続し、
d)前記潤滑剤バルブ(4)は、前記潤滑剤を供給するための潤滑剤接続部(15)を備え、
e)前記第1と第2のライン接続部(12、13)は、好ましくは軸方向に整列して配置され、
f)前記第1と第2のライン接続部(12、13)は、好ましくはホース接続として設計され、スクリューフランジを有することを特徴とする、
付記5に記載のコーティング剤供給装置。
【0081】
(付記7)
a)前記潤滑剤バルブ(4)は、そのバルブ位置に応じてバルブシート(17)を開放または閉鎖する変位可能なバルブニードル(16)を含み、
b)前記潤滑剤バルブ(4)の前記バルブニードル(16)は、好ましくは、前記潤滑剤バルブ(4)内を流れる前記ピグ流路(14)に対して直角に配置され、
c)前記潤滑剤バルブ(4)は、好ましくは空気圧で制御される、ことを特徴とする、
付記2から6の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置。
【0082】
(付記8)
a)前記ピグ供給先ステーション(3)を少なくとも一時的に高電圧電位に帯電させる静電コーティング剤帯電システムが設けられ、
b)前記ピグ供給元ステーション(1)が電気的に接地されている、ことを特徴とする、
付記1から7の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置。
【0083】
(付記9)
a)前記ピグ供給元ステーション(1)は、制御可能なバルブ配置を備え、前記ピグ供給元ステーション(1)のバルブ配置が、前記ピグライン(2)を以下の構成要素の1つに選択的に接続し、
a1)少なくとも1つのコーティング剤供給部(QFa、QFb、QFc、QFd)、
a2)リンス剤の供給部(QV)、
a3)圧縮空気供給部(QMS)、
a4)前記ピグ供給元ステーション(1)を洗浄するための少なくとも1つの洗浄ライン(QRFad、QRFbc)、
a5)廃棄部(RF)、
a6)前記ピグを前記ピグ供給先ステーション(3)に押し出すための押出媒体用の供給ライン(QMS)、および/または
b)前記ピグ供給先ステーション(3)は、制御可能なバルブ配置を備え、前記ピグ供給先ステーション(3)のバルブ配置が、前記ピグライン(2)を以下の構成要素の1つに選択的に接続し、
b1)除去された前記コーティング剤を前記ピグ供給先ステーション(3)から前記塗布器に送るための塗料ライン(ZF)、
b2)圧縮空気供給部(ZND、ZHD)、
b3)リンス剤供給部、および/または
b4)コーティング剤の戻り部(ZRF)を備えることを特徴とする、
付記1から8の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置。
【0084】
(付記10)
a)制御ユニット(11)が設けられ、
b)前記制御ユニット(11)は、前記ピグ供給元ステーション(1)のバルブ配置を制御し、
c)前記制御ユニット(11)は、前記ピグ供給先ステーション(3)のバルブ配置を制御し、
d)前記制御ユニット(11)は、前記センサ(9)に照会をし、
e)前記制御ユニット(11)は、前記潤滑剤バルブ(4)を制御すること、を特徴とする、
付記1から9の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置。
【0085】
(付記11)
コーティング剤で部品を塗装するための、特に自動車車体部品を塗装するための塗装設備である、コーティングシステムであって、
a)前記コーティング剤を塗布する塗布器と、
b)好ましくは、前記塗布器を案内する塗布ロボットと、
c)前記塗布器に前記コーティング剤を供給する、付記1から10の何れか1つに記載されたコーティング剤供給装置と、を備える、
コーティングシステム。
【0086】
(付記12)
付記1から10の何れか1つに記載のコーティング剤供給装置の操作方法であって、
a)前記2つのピグ(5、6)の間の前記ピグパッケージの前記ピグライン(2)のライン部分に前記コーティング剤を充填する工程と、
b)前記ピグライン(2)内の前記2つのピグ(5、6)の間に前記コーティング剤をクランプした前記ピグパッケージを、前記ピグ供給元ステーション(1)から前記ピグ供給先ステーション(3)に移動させる工程と、
c)前記ピグライン(2)内の前記ピグパッケージの前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた前記コーティング剤を除去する工程であって、前記コーティング剤は、前記ピグ供給先ステーション(3)で除去される工程と、
d)前記ピグパッケージから取り出した前記コーティング剤を前記塗布器に供給し、前記ピグパッケージに残った余分な前記コーティング剤を塗布する工程と、
e)前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた余分な前記コーティング剤を含む前記ピグパッケージを、前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)へ、特に、前記ピグパッケージの後方下流の前記ピグ供給先ステーション(3)において、圧縮空気を前記ピグライン(2)に導入することによって戻す工程と、
f)前記ピグ供給元ステーション(1)で前記2つのピグ(5、6)の間にクランプされた余分な前記コーティング剤を除去する工程と、
g)前記ピグ供給元ステーション(1)で前記ピグパッケージから取り除かれた余分な前記コーティング剤をコーティング剤戻り部(QFa-QFd)に戻す工程と、
h)前記ピグパッケージを前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)に戻す際に、前記ピグライン(2)内の前記ピグの摩擦を低減するために、前記潤滑剤を前記潤滑剤供給点で前記ピグライン(2)に導入する工程と、を備え、
i)前記潤滑剤供給点は、前記ピグ供給元ステーション(1)と前記ピグパッケージの間にあること、を特徴とする、
操作方法。
【0087】
(付記13)
a)前記センサ(9)は、前記潤滑剤を導入する前に、前記潤滑剤供給点が前記ピグパッケージの上流に位置するかどうかを、特に前記潤滑剤供給点において、前記ピグライン(2)に前記コーティング剤がないかどうかを確認し、
b)前記潤滑剤供給点が前記ピグパッケージの上流にある場合にのみ、前記潤滑剤が前記ピグライン(2)に供給される、ことを特徴とする、
付記12に記載の操作方法。
【0088】
(付記14)
前記ピグパッケージを前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)に戻した後、前記ピグ供給元ステーション(1)内の前記潤滑剤を廃棄部(RF)に廃棄する、ことを特徴とする、
付記12または13に記載の操作方法。
【0089】
(付記15)
前記ピグパッケージは、好ましくは、前記ピグ供給先ステーション(3)から前記ピグ供給元ステーション(1)への後方移動の間、および/または前記ピグ供給元ステーション(1)から前記ピグ供給先ステーション(3)への前方移動の間に、1m/秒以上、2m/秒以上、5m/秒以上、10m/秒以上、または20m/秒以上の速度で移動されること、を特徴とする、
付記12から14の何れか1つに記載の操作方法。
【符号の説明】
【0090】
1 ピグ供給元ステーション
2 ピグライン
3 ピグ供給先ステーション
4 ピグラインの潤滑剤バルブ
5 塗布する塗料を押し出すための押出ピグ
6 余分な塗料を戻すためのリフローピグ
7 押出ピグとリフローピグ間の塗装カラム
8 押出ピグの前にある潤滑剤カラム
9 ピグラインのセンサ
10 ピグラインの空気カラム
11 制御ユニット
12 スクリューフランジ付き潤滑剤バルブのライン接続部
13 スクリューフランジ付き潤滑剤バルブのライン接続部
14 潤滑剤バルブのピグ流路
15 潤滑剤バルブの潤滑剤接続部
16 潤滑剤バルブのバルブニードル
17 潤滑剤バルブのバルブシート
QFa 塗料aを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
QFb 塗料bを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
QFc 塗料cを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
QFd 塗料dを供給するためのピグ供給元ステーションの塗料接続部
QHD 高圧供給用ピグ供給元ステーションの接続部
QMS 押出媒体供給用ピグ供給元ステーションの接続部
QND 低圧供給用ピグ供給元ステーションの接続部
QRFad 洗浄工程のためのピグ供給元ステーションへの戻り部
QRFbc 洗浄工程のためのピグ供給元ステーションへの戻り部
QV シンナー供給用ピグ供給元ステーションの接続部
RF 戻り部
QZYe シリンダを格納するためのピグ供給元ステーションの接続部
QZYa シリンダを拡張するためのピグ供給元ステーションの接続部
QRFD スロットルリターン用ピグ供給元ステーションの接続部
QMPI ピグ供給元ステーション押出開始部の接続部
QMRI ピグ供給元ステーションリフロー開始部の接続部
ZF 塗料を塗布器に供給するためのピグ供給先ステーションの接続部
ZRF 塗料を返送するためのピグ供給先ステーションの接続部
ZHD 高圧供給用ピグ供給先ステーションの接続部
ZND 低圧供給用ピグ供給先ステーションの接続部
ZMS 押出媒体ピグを供給するためのピグ供給先ステーションの接続部
ZRFD スロットルリターン用ピグ供給先ステーションの接続部
ZMRI ピグ供給先ステーションのピグリフロー開始部
図1
図2
図3
【国際調査報告】