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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】レシキモドの固体形態及びその製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20241108BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241108BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P37/02
A61K9/20
A61K47/10
A61K9/06
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531333
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022051810
(87)【国際公開番号】W WO2023107371
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,361
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521470881
【氏名又は名称】サージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コノウィチ, ポール アダム
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ, マイケル ソロモン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA36
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC27
4C076EE23
4C076EE30P
4C076EE37P
4C076FF35
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA34
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZC01
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、例えば、対象に投与するための特定の生体材料(例えば、ハイドロゲル)及び/または製剤の免疫調節性ペイロード成分として有用な、レシキモドの固体形態を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を調製する方法であって、前記組成物が、
レシキモドと、
少なくとも第1及び第2のポリマー成分を含むポリマー組み合わせ調製物であって、前記第1のポリマー成分がポロキサマーであるかまたはポロキサマーを含み、前記第2のポリマー成分がポロキサマーではなく、ゲル化のトリガーに応じて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行することを特徴とする、前記ポリマー組み合わせ調製物と、を含み、
前記ポリマーネットワーク状態が前記前駆体状態の粘度よりも大幅に高い粘度を有し、
前記ゲル化のトリガーが、前記ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度、前記少なくとも第1及び第2のポリマー成分の臨界ゲル化重量比以上のポリマー成分比、前記少なくとも第1及び/または第2のポリマー成分の分子量、またはこれらの組み合わせであるかまたはそれを含み、
前記ポリマーネットワーク状態が、前記前駆体状態中には存在しない架橋を含み、
前記架橋が、分子内架橋、分子間架橋、またはその両方であるかまたはそれを含み、
前記第1のポリマー成分が12.5%(w/w)以下の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在し、
前記方法が、
形態I、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI、及び形態VIIからなる群から選択される、レシキモドの少なくとも1つの固体形態を提供することと、
前記レシキモドの固体形態を前記第1のポリマー成分及び前記第2のポリマー成分と組み合わせることと、
を含むことで、前記組成物を得る、前記方法。
【請求項2】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態Iを含み、前記形態Iは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.72、約12.24、約16.29、約17.56、約19.51、約21.31、及び約29.15°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態IIを含み、前記形態IIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態IIIを含み、前記形態IIIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.69、約9.18、約9.48、約11.97、約14.41、約18.53、及び約19.70°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態IVを含み、前記形態IVは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約6.01、約12.00、約12.15、約16.14、約19.24、約20.21、約21.19、約22.12、及び約24.50°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態Vを含み、前記形態Vは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態VIを含み、前記形態VIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約9.40、約13.02、約18.13、約18.93、約20.38、約23.16、及び約27.78°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記レシキモドの少なくとも1つの固体形態が形態VIIを含み、前記形態VIIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レシキモドの固体形態と前記第1のポリマー成分とを適当な緩衝液中で混合して第1の混合物を与えることと、
前記第1の混合物を前記第2のポリマー成分と組み合わせることと、
を含むことで、前記組成物を得る、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー組み合わせ調製物が共有架橋を含まない、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー組み合わせ調製物の前記CGTが、30~39℃または20~30℃である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー組み合わせ調製物が、少なくとも5%(w/w)または少なくとも10%(w/w)の総ポリマー含量を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー組み合わせ調製物が、少なくとも6%(w/w)の総ポリマー含量を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のポリマー成分と前記第2のポリマー成分との前記臨界ゲル化重量比が1:1~14:1、または1:1~10:1である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のポリマー成分と前記第2のポリマー成分との前記臨界ゲル化重量比が1:1~22:1、または1:1~18:1である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーネットワーク状態が、粘性溶液またはコロイドである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーネットワーク状態がハイドロゲルである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のポリマー成分が、炭水化物ポリマーであるかまたは炭水化物ポリマーを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー組み合わせ調製物中の前記炭水化物ポリマーが、約10%(w/w)以下、または約5%(w/w)以下の濃度で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー組み合わせ調製物中の前記炭水化物ポリマーが、約3%(w/w)以下の濃度で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記炭水化物ポリマーがヒアルロン酸であるかまたはヒアルロン酸を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ヒアルロン酸が約50kDa~約2MDaの分子量を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒアルロン酸が、約100~500kDa、または約100~400kDa、または約125~375kDa、または約100~200kDaの低分子量を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記炭水化物ポリマーがキトサンもしくは修飾キトサンであるかまたはキトサンもしくは修飾キトサンを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記修飾キトサンがカルボキシメチルキトサンであるかまたはカルボキシメチルキトサンを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマーネットワーク状態が、
a.37℃かつpH5~8で測定される100Pa~約10,000Paの範囲内の貯蔵弾性率、
b.18%(w/w)の溶液濃度でポロキサマーを有する溶液から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率より少なくとも40%低い貯蔵弾性率、及び
c.その前駆体状態が2~8℃で1ヵ月間保存された後に実質的に同じに維持される、37℃で測定される貯蔵弾性率(または37℃で測定される場合に、1ヵ月間で分解される前記ポリマー組み合わせ調製物が20%以下である)
から選択される1つ以上の材料特性を特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマー組み合わせ調製物がpH4.5~8.5を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー組み合わせ調製物がpH7~8(例えば、pH7.4)を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー組み合わせ調製物が、10mMのリン酸塩緩衝液より高い緩衝能力を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポロキサマーが、ポロキサマー407であるかまたはポロキサマー407を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、投与の2ヶ月後に評価した場合に、前記ポリマーネットワーク状態の前記ポリマー組み合わせ調製物を含む前記組成物を腫瘍切除部位に有する、自然転移のある試験動物群が、レシキモドを含まない組成物を腫瘍切除部位に有する同等の試験動物群よりも高い生存率(%)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のポリマー成分が11%(w/w)以下の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のポリマー成分が10.5%(w/w)以下の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のポリマー成分が10%(w/w)以下の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のポリマー成分が、少なくとも4%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、または少なくとも6%(w/w)の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のポリマー成分が、少なくとも6%(w/w)の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
先行請求項のいずれか1項に記載の方法に従って調製された組成物。
【請求項38】
レシキモドと、
8~12.5%(w/w)のポロキサマー407と、
約100kDa~約500kDaの分子量を有する1~4%(w/w)のヒアルロン酸と、
を含む、組成物。
【請求項39】
前記ヒアルロン酸が約264kDa~約310kDaの分子量を有する、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
10%(w/w)のポロキサマー407を含む、請求項38または39に記載の組成物。
【請求項41】
0.005mg/mL~1.00mg/mLのレシキモドを含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
0.05mg/mL~0.20mg/mLのレシキモドを含む、請求項38~41のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
pH7~8(例えば、pH7.4またはpH8)を有する、請求項38~42のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
組成物の投与を必要とする対象に請求項37~43のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項45】
前記投与を必要とする対象が、がんに罹患している対象である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記投与を必要とする対象が、再発性もしくは播種性がんに罹患しているかまたは罹患しやすい対象である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記投与を必要とする対象が、腫瘍切除対象である、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が前記腫瘍切除部位またはその2cm以内に投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記投与が埋め込みによる、請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリマーネットワーク状態の前記ポリマー組み合わせ調製物を含む組成物が、埋め込みによって投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与が注射による、請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記前駆体状態の前記ポリマー組み合わせ調製物を含む組成物が注射により投与され、前記前駆体状態が前記投与時に前記ポリマーネットワーク状態に移行する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記投与が、腹腔鏡術と同時またはその後に行われる、請求項44~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記投与が、最小侵襲手術と同時またはその後に行われる、請求項44~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与が、ロボット手術と同時またはその後に行われる、請求項44~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
(i)形態I、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI、及び形態VIIからなる群から選択されるレシキモドの少なくとも1つの固体形態と、
(ii)第1のポリマー成分と、
(iii)第2のポリマー成分と、
を含む、キットであって、
組み合わされるとポリマー組み合わせ調製物が与えられ、前記第1のポリマー成分がポロキサマーであるかまたはポロキサマーを含み、前記第2のポリマー成分がポロキサマーではなく、前記ポリマー組み合わせ調製物が、ゲル化のトリガーに応じて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行することを特徴とし、
前記ポリマーネットワーク状態が前記前駆体状態の粘度よりも大幅に高い粘度を有し、
前記ゲル化のトリガーが、前記ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度、前記少なくとも第1及び第2のポリマー成分の臨界ゲル化重量比以上のポリマー成分比、前記少なくとも第1及び/または第2のポリマー成分の分子量、またはこれらの組み合わせであるかまたはそれを含み、
前記ポリマーネットワーク状態が、前記前駆体状態中には存在しない架橋を含み、
前記架橋が、分子内架橋、分子間架橋、またはその両方であるかまたはそれを含み、
前記第1のポリマー成分が12.5%(w/w)以下の濃度で前記ポリマー組み合わせ調製物中に存在する、前記キット。
【請求項57】
レシキモドの形態Iと、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI、及び形態VIIからなる群から選択される少なくとも1つの固体形態と、を含む、組成物。
【請求項58】
レシキモドの形態Iを調製する方法であって、
(i)レシキモドを提供することと、
(ii)レシキモドを適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン)に溶解することと、
(iii)適当な貧溶媒(例えば、ヘプタン)を加えることと、
を含むことで、レシキモドの形態Iを得る、前記方法。
【請求項59】
レシキモドの固体形態であって、前記固体形態が形態IIであり、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°にあることを特徴とする、前記レシキモドの固体形態。
【請求項60】
レシキモドの固体形態であって、前記固体形態が形態Vであり、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°にあることを特徴とする、前記レシキモドの固体形態。
【請求項61】
レシキモドの固体形態であって、前記固体形態が形態VIIであり、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°にあることを特徴とする、前記レシキモドの固体形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照によりその全容を援用するところの2021年12月6日に出願の米国出願第63/286,361号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
手術は、多くの場合、固形腫瘍がんの第1選択処置であり、一般に、抗がん療法の全身投与と組み合わせて使用される。しかしながら、手術により誘発される免疫抑制は、種々の代謝反応及び内分泌反応における変化に起因する手術後の感染性合併症の発症及び腫瘍転移に関係付けられており、これらは、最終的に多くの患者の死亡をもたらす(Hiller,J.G.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2018,15,205-218)。
【0003】
薬物、栄養剤、または他の物質の循環系への全身投与は、全身に影響を及ぼす。全身投与経路としては、経腸投与(例えば、消化管を通した薬物の吸収をもたらす経口投与)及び非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、及び皮下注射)が挙げられる。免疫治療薬の投与は、通常、これらの全身投与経路に依存しており、これは、望ましくない副作用をもたらし得る。幾つかの例において、ある特定の有望な治療薬は、付随する毒性ならびに現在の投与方法及び投与システムの限界に起因して、開発することが極めて困難である。
ハイドロゲルは、特に魅力的なタイプの生体材料であり、組織工学及び再生医療、診断薬、細胞の固定化、及び/または薬物送達が含まれる、広範囲の用途に使用されている。しかしながら、既存のハイドロゲルには、ハイドロゲルベースの薬物送達療法の実用を制限する幾つかの制約がある。例えば、バルクハイドロゲルは明確な寸法を有し、このことが針を通して押し出すのを困難にし得るため、通常、多数のハイドロゲルが体外で形成され、次いで、移植される。一部のハイドロゲルは生体内原位置で形成され得るが、ある特定の架橋剤、例えば、UV照射及び/または架橋薬品に関連する潜在的なリスク及び課題が存在し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hiller,J.G.et al.Nature Reviews Clinical Oncology,2018,15,205-218
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、レシキモドの固体形態、ならびにその組成物及びレシキモドの固体形態の調製方法を提供する。幾つかの実施形態では、提供される固体形態は、例えば、腫瘍切除を行った、または行っている対象に投与するための特定の生体材料(例えば、ハイドロゲル)及び/または製剤の免疫調節性ペイロード成分として極めて有用である。幾つかの実施形態では、提供される固体形態は、例えば、特定の溶解度、安定性、及び/または吸湿性のような特定の望ましい特性を示す。
【0006】
幾つかの実施形態では、本開示は、製剤を調製する方法であって、レシキモドの固体形態を提供することを含む、方法を提供する。例えば、幾つかの実施形態では、本開示は、術中投与に適した製剤を調製する方法であって、レシキモドの固体形態を提供することを含む、方法を提供する。
【0007】
幾つかの実施形態では、本開示は、レシキモドの提供される製剤を使用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】レシキモドの形態IのXRPDパターンである。
【0009】
図2】レシキモドの形態IのDSCサーモグラムである。
【0010】
図3】レシキモドの形態IのTGAサーモグラムである。
【0011】
図4】レシキモドの形態IIのXRPDパターンである。
【0012】
図5】レシキモドの形態IIのDSCサーモグラムである。
【0013】
図6】レシキモドの形態IIのTGAサーモグラムである。
【0014】
図7】レシキモドの形態IIIのXRPDパターン(上のスペクトル)及び、形態IIIの乾燥から得られたレシキモドの形態IのXRPDパターン(下のスペクトル)である。
【0015】
図8】レシキモドの形態IIIの試料の乾燥後のDSCサーモグラムである。
【0016】
図9】レシキモドの形態IIIの試料の乾燥後のTGAサーモグラムである。
【0017】
図10】レシキモドの形態IVのXRPDパターンである。
【0018】
図11】レシキモドの形態IVのDSCサーモグラムである。
【0019】
図12】レシキモドの形態IVのTGAサーモグラムである。
【0020】
図13】上のスペクトルはレシキモドの形態VのXRPDパターンである。粉砕及び/または乾燥すると試料はレシキモドの形態Iに変換された(下の3つのスペクトル)。
【0021】
図14】レシキモドの形態VのDSCサーモグラムである。
【0022】
図15】レシキモドの形態VのTGAサーモグラムである。
【0023】
図16】レシキモドの形態VIのXRPDパターンである。
【0024】
図17】レシキモドの形態VIのDSCサーモグラムである。
【0025】
図18】レシキモドの形態VIのTGAサーモグラムである。
【0026】
図19】レシキモドの形態VIIのXRPDパターンである。
【0027】
図20】レシキモドの形態VIIのDSCサーモグラムである。
【0028】
図21】レシキモドの形態VIIのTGAサーモグラムである。
【0029】
図22】A~Bは、2つの異なる緩衝系中の%(w/w)で示される濃度のP407及び%(w/w)で示される濃度の1.5MDaの平均分子量を有するヒアルロン酸(HA)を含む例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物のゲル化性を示すヒートマップを示す。温度応答性のポリマー組み合わせ調製物が、あらゆるゲル形成を観察するために37℃の温度に曝露された。ポリマー組み合わせ調製物は、このようなポリマー組み合わせ調製物が半透明または不透明になり、これが傾けられたか、またはひっくり返されたときに流動性でない場合、ゲルを形成すると決定される。Aは、pH7.4の10mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対応する。Bは、pH8.0の0.1Mの重炭酸塩緩衝液に対応する。
【0030】
図23】A~Bは、2つの異なる緩衝系中の%(w/w)で示される濃度のP407及び%(w/w)で示される濃度の730kDaの平均分子量を有するヒアルロン酸(HA)を含む例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物のゲル化性を示すヒートマップを示す。ポリマー組み合わせ調製物が、あらゆるゲル形成を観察するために37℃の温度に曝露された。温度応答性のポリマー組み合わせ調製物が、あらゆるゲル形成を観察するために37℃の温度に曝露された。ポリマー組み合わせ調製物は、このようなポリマー組み合わせ調製物が半透明または不透明になり、これが傾けられたか、またはひっくり返されたときに流動性でない場合、ゲルを形成すると決定される。Aは、pH7.4の10mMのPBSに対応する。Bは、pH8.0の0.1Mの重炭酸塩緩衝液に対応する。
【0031】
図24】pH7.4の10mMのPBS中の%(w/w)で示される濃度のP407及び%(w/w)で示される濃度の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン;CMCH)を含む例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物のゲル化性を示すヒートマップを示す。温度応答性のポリマー組み合わせ調製物が、あらゆるゲル形成を観察するために37℃の温度に曝露された。ポリマー組み合わせ調製物は、このようなポリマー組み合わせ調製物が半透明または不透明になり、これが傾けられたか、またはひっくり返されたときに流動性でない場合、ゲルを形成すると決定される。
【0032】
図25】A~Bは、37℃の温度への曝露後の、対照ポリマー組成物と比較した例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物の貯蔵弾性率を示すグラフ図を示す。A:線形目盛。B:対数目盛。略語:「18%P407」=18%(w/w)のP407、「13.5%P407+0.65%1.5MDa HA(10mM PBS)」=pH7.4の10mMのPBS中の13.5%(w/w)のP407+0.65%(w/w)の1.5MDaのHA、「13.5%P407+0.65%1.5MDa HA(0.1M重炭酸塩)」=pH8の0.1Mの重炭酸塩緩衝液中の13.5%(w/w)のP407+0.65%(w/w)の1.5MDaのHA、「10%P407+1%1.5MDa HA(10mM PBS)」=pH7.4の10mMのPBS中の10%(w/w)のP407+1%(w/w)の1.5MDaのHA、「13.5%P407+1.3%CMCH」=pH7.4の10mMのPBS中の13.5%(w/w)のP407+1.3%(w/w)のCMCH、「12.5% Extralink」=12.5%のExtralinkチオール架橋剤で化学架橋されたヒアルロン酸、「1.5% Extralink」=1.5%のExtralinkチオール架橋剤で化学架橋されたヒアルロン酸、「0.5% Extralink」=0.5%のExtralinkチオール架橋剤で化学架橋されたヒアルロン酸。
【0033】
図26】A~Dは、(CGTを超える)37℃で行われる週1回の測定での、対照ポリマー組成物と比較したハイドロゲル状態の例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物の(その前駆体状態が2~8℃の温度で1ヵ月の期間にわたって維持された場合の)均質性を示すグラフ図を示す。ゲルの均質性は、一定期間にわたってハイドロゲルの貯蔵弾性率を測定することにより決定された。A:対照ゲル(18%w/wのポロキサマー407)。B:pH7.4の10mM PBS中の13.5%w/wのポロキサマー407及び0.65%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。C:pH7.4の10mM PBS中の10%w/wのポロキサマー407及び1%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。D:pH8.0の0.1M 重炭酸塩緩衝液中の13.5%w/wのポロキサマー407及び0.65%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。
【0034】
図27】A~Eは、腫瘍切除され、ハイドロゲル状態の例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物のみまたはレシキモドが組み込まれたハイドロゲル状態の例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物を投与された動物の、化学架橋された対照ヒアルロン酸ハイドロゲルのみまたはレシキモドが組み込まれた化学架橋された対照ヒアルロン酸ハイドロゲルと比較したインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。A:レシキモドを含有または非含有の、対照となる12.5%(w/v)Extralink(登録商標)ヒアルロン酸(HyStem(商標))ハイドロゲル。B:レシキモドを含有または非含有の、pH7.4の10mM PBS中の10%w/wのポロキサマー407及び1%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。C:レシキモドを含有または非含有の、pH7.4の10mM PBS中の13.5%w/wのポロキサマー407及び0.65%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。D:レシキモドを含有または非含有の、pH8.0の0.1M 重炭酸塩緩衝液中の13.5%w/wのポロキサマー407及び0.65%w/wの1.5MDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。E:レシキモドを含有または非含有の、pH7.4の10mM PBS中の13.5%w/wのポロキサマー407及び1.3%w/wのCMCHの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。
【0035】
図28】A~Dは、腫瘍切除され、例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物(例えば、異なる濃度の730kDaまたは1.5MDaのヒアルロン酸(HA)及びポロキサマー(例えば、P407)の組み合わせを含む熱応答性液体調製物)が単独のポリマー組み合わせまたはレシキモドが組み込まれたポリマー組み合わせとして投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。A:レシキモドを含有または非含有の、pH8の12.5mM PBS中の10%w/wのポロキサマー407及び2.25%w/wの730kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。B:レシキモドを含有または非含有の、pH8の25mM PBS中の10%w/wのポロキサマー407及び2.25%w/wの730kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。C:レシキモドを含有または非含有の、pH8の25mM PBS中の12.5%w/wのポロキサマー407及び1.625%の730kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。D:レシキモドを含有または非含有の、pH8の25mM 緩衝食塩水中の8%w/wのポロキサマー407及び2.25%w/wの730kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物。
【0036】
図29】腫瘍切除され、例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物(例えば、119kDaのヒアルロン酸(HA)とポロキサマー(例えば、P407)との組み合わせを含む熱応答性液体調製物)が単独のポリマー組み合わせまたはレシキモドが組み込まれたポリマー組み合わせとして投与された動物のインビボでの生存データを示すグラフ図を示す。レシキモドを含有または非含有の、25mMの緩衝食塩水(pH7.4)中の10%w/wのポロキサマー407及び4%w/wの119kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物の結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
【0037】
図30】腫瘍切除され、例示的な温度応答性ポリマー組み合わせ調製物(例えば、309kDaのヒアルロン酸(HA)とポロキサマー(例えば、P407)との組み合わせを含む熱応答性液体調製物)が単独のポリマー組み合わせまたはレシキモドが組み込まれたポリマー組み合わせとして投与された動物、またはポロキサマーのみの対照動物コホートの、インビボでの生存データを示すグラフ図を示す。レシキモドを含有または非含有の、pH7.4の25mM緩衝食塩水中の10%w/wのポロキサマー407及び2%w/wの309kDaのHAの温度応答性ポリマー組み合わせ調製物、及び活性薬剤を含有しない15%のポロキサマー407生体材料の対照調製物の結果を示す。x軸は腫瘍接種後の時間を示す。腫瘍切除が腫瘍接種後の10日目に実行され、腫瘍切除後に例示的な組成物が投与された。
【発明を実施するための形態】
【0038】
定義
本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物中の個々のポリマー成分の濃度は、それぞれ%(w/w)または重量%で表現されることに留意されたい。本明細書で使用する場合、ポリマー組み合わせ調製物中のポリマー成分の濃度である%(w/w)は、(i)ポリマー組み合わせ調製物中に存在する全ての個々のポリマー成分の総質量または総重量及び(ii)ポリマー組み合わせ調製物に使用された溶媒の総質量または総重量の合計に対するポリマー成分の質量または重量に基づいて決定される。
【0039】
値に関連して本明細書で使用する場合、「約」という用語は、参照される値に関連して、同様である値を指す。一般に、このような文脈に精通した当業者であれば、その文脈で「約」に包含される関連する変動の程度は認識されよう。幾つかの実施形態では、「約」という用語は、与えられた値の±10%を指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、通常、組成物であるか、またはそれに含まれる薬剤またはペイロードの標的部位または処置される部位への送達を達成するための対象への組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒトへの異なる薬剤の投与のために利用され得る種々の経路を知っているであろう。例えば、用語「投与する」、「投与すること」、または「投与」は、移植すること、吸収すること、摂取すること、注入すること、吸入すること、非経口投与、または別様に本明細書に記載される組成物を導入することを指すが、提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物の投与の文脈において、投与することは、幾つかの実施形態では、移植すること、または幾つかの実施形態では、注入することを指し得る。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「生体適合性」は、例えば、インビボで生体組織と接触して配置された場合に、かかる組織に対する顕著な害をもたらさない物質を指す。物質の生体適合性は、このような物質が国際標準化機構(ISO)規格番号10993及び/または米国薬局方(USP)23及び/または「Use of International Standard ISO-10993,Biological Evaluation of Medical Devices Part-1:Evaluation and Testing.」と題される米国食品医薬品局(FDA)ブルーブック覚書#G95-1に記載される生体適合性試験を通過する性能により評価され得る。典型的には、これらの試験は、物質の毒性、感染性、発熱原性、刺激性、反応性、溶血活性、発癌性、及び/または免疫原性を測定する。ある特定の実施形態では、物質は、その用途のインビボ環境においてそれら自体が細胞に有毒でない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、物質は、それらのインビトロでの細胞への添加が20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/またはそれらのインビボでの投与が、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症もしくは他のかかる有害作用を誘発しない場合、「生体適合性」である。当業者によって理解されるように、かかる顕著に重篤な炎症は、手術または生体への異物の導入に通常伴う一過性の軽度炎症と区別可能である。更に本開示を読む当業者は、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々のポリマー成分は、既定の一定期間にわたる免疫調節(例えば、自然免疫アゴニズム)の程度が、例えば、抗腫瘍免疫をもたらすために、臨床的に有益であり、及び/または望ましい場合、生体適合性であることを理解するであろう。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「生分解性」は、細胞に導入される場合に、細胞に対する顕著な毒性作用を伴わずに、細胞が再利用できるか、または取り除くことができるかのいずれかである成分に(例えば、細胞機構により、例えば、酵素的分解により、加水分解により、及び/またはそれらの組み合わせにより)分解される物質を指す。ある特定の実施形態では、生分解性物質の分解により生成される構成成分は生体適合性であり、従って、本明細書に記載される目的にとって臨床的に望ましくない顕著に重篤な炎症及び/または他の有害作用をインビボで誘発しない。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、それらの構成モノマーに分解される。幾つかの実施形態では、生分解性ポリマー物質は、例えば、酵素活性または細胞機構によって、場合によっては、例えば、(例えば、相対的に低いpHを有する)リゾチームへの曝露によって、または単純な加水分解によって生物により分解され得る。幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、エステル結合の加水分解を伴う。代替的にまたは追加的に、幾つかの実施形態では、生分解性物質(例えば、生分解性ポリマー物質が含まれる)の分解は、ウレタン結合の切断を伴う。例示的な生分解性ポリマーとしては、例えば、限定されるものではないが、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)、及びPEGとのコポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(ラクチド-カプロラクトン共重合体)、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、乳酸及びグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマーが挙げられる。例えば、タンパク質、例えば、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、及びプロラミン(例えば、ゼイン)、ならびに多糖、例えば、アルギナート、セルロースバリアント、及びポリヒドロキシアルカノエート、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、それらの混合物及びコポリマーが含まれる、多数の天然に存在するポリマーも生分解性である。当業者は、かかるポリマーが生体適合性である時、及び/またはその生分解性バリアント(例えば、当該技術分野において公知であるように、特定の化学基の置換または付加の点でのみ異なる実質的に同一の構造により親ポリマーに関連する)である時を理解するか、または決定することができるであろう。
【0043】
用語「がん」は、悪性新生物を指す(Stedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990)。本開示の幾つかの実施形態の文脈において特に対象となるのは、細胞殺傷及び/または除去療法(例えば、外科的切除及び/または特定の化学療法薬療法、例えば、細胞傷害性療法など)により処置されるがんである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、外科的に切除されたもの(すなわち、少なくとも1つの腫瘍が外科的に切除されたもの)である。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、切除術が標準治療であるものである。幾つかの実施形態では、本開示に従って処置されるがんは、転移したものである。
【0044】
用語「炭水化物ポリマー」は、例えば、炭水化物骨格を有する1種以上の炭水化物であるか、またはそれを含むポリマーを指す。例えば、幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、多糖もしくはオリゴ糖、または共有結合により連結された複数の単糖単位を含有するポリマーを指す。単糖単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、炭水化物ポリマー内に2つ以上の種類の単糖単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、炭水化物ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、化学修飾を含み得る。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、炭水化物ポリマーは、分枝ポリマーである。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「比較可能(comparable)」は、2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどであって、互いに同一でなくてもよいが、観察される差または類似性に基づいて結論が合理的に導かれ得ることを当業者が理解するように、それらの間の比較を可能にするほど十分に類似する、当該2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。幾つかの実施形態では、比較可能な条件、状況、個体、または集団のセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の変化する特徴を特徴とする。当業者は、文脈における任意の所与の状況で、2つ以上のかかる薬剤、実体、状況、条件のセットなどが比較可能とみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団のセットは、異なる状況、個体、または集団のセットの下で、またはそれらを用いて得られた結果または観察された現象の差が、様々なそれらの特徴の差異により引き起こされるか、または様々なそれらの特徴の差異の存在を示すという合理的な結論を保証するための十分な数及び種類の実質的に同一の特徴を特徴とする場合に、互いに比較可能であることを理解するであろう。当業者は、用語「同等(comparable)」が2つ以上の値の比較の文脈で使用される場合、かかる値は、値の差が治療結果、例えば、抗腫瘍免疫の誘導及び/または腫瘍再成長及び/または転移の発生率の実質的な差をもたらさないように互いに同等であることも理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、同等の放出率は、48時間にわたる15%以内のかかる放出率の値を指す。幾つかの実施形態では、同等の放出率は、48時間にわたる20%以内のかかる放出率の値を指す。幾つかの実施形態では、同等の放出率は、24時間にわたる15%以内のかかる放出率の値を指す。
【0046】
臨界ゲル化温度:本明細書で使用する場合、「CGT」と省略される用語「臨界ゲル化温度」は、閾値温度であって、この温度またはこれを超える温度でポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態(例えば、本明細書に記載されるもの)が本明細書に記載されるポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル状態)に移行する、当該閾値温度を指す。幾つかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、ゾル-ゲル転移温度に対応し得る。幾つかの実施形態では、臨界ゲル化温度は、下限臨界溶液温度に対応し得る。熱応答性ゲルの一般的説明について、Taylor et al.,“Thermoresponsive Gels” Gels (2017) 3:4(この内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。本開示において記載されるように、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物のある特定の実施形態は、約35~40℃の温度に曝露されると、ポリマーネットワーク状態を形成することが示される。本開示を読む当業者は、かかるポリマー組み合わせ調製物が、必ずしも約35~40℃のCGTを有するわけではなく、むしろ35~40℃未満のCGTを有し得ることを理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、約20~28℃のCGTを有し得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「臨界ゲル化重量比」は、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の少なくとも2つ以上のポリマー成分の閾値重量比であって、この重量比またはこれを超える重量比でこのようなポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態(例えば、本明細書に記載されるもの)が本明細書に記載されるポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル状態)に移行する、当該閾値重量比を指す。幾つかの実施形態では、このような前駆体状態-ポリマーネットワーク状態の移行は、提供されるポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度及び臨界ゲル化重量比の両方が達成されると起こる。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「架橋」は、網状組織を形成するための1つの実体と別の実体との間の相互作用及び/または結合を指す。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーネットワークに存在する架橋は、分子内架橋、分子間架橋、またはその両方であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋は、ポリマーネットワークを形成するための1つのポリマー鎖(複数可)と別のポリマー鎖(複数可)との間の相互作用及び/または結合を含み得る。幾つかの実施形態では、架橋は、例えば、1つ以上の環境トリガー及び/または生理化学的相互作用が含まれる、1つ以上の物理的架橋手法を使用して達成され得る。環境トリガーの例としては、限定されるものではないが、pH、温度、及び/またはイオン強度が挙げられる。生理化学的相互作用の非限定的な例としては、疎水性相互作用、電荷相互作用、水素結合相互作用、ステレオコンプレックス形成、及び/または超分子化学が挙げられる。幾つかの実施形態では、架橋は、化学反応に基づく(例えば、2つの実体間の結合が共有結合であるか、またはそれを含む)1つ以上の共有結合による架橋手法を使用して達成され得、例えば、幾つかの実施形態では、これには、アルデヒド及びアミンのシッフ塩基を形成する反応、アルデヒド及びヒドラジドのヒドラジンを形成する反応、及び/またはアクリル酸及び一級アミンもしくはチオールのいずれかの二級アミンもしくはスルフィドを形成するミカエル反応が挙げられ得る。かかる共有結合による架橋手法の例としては、限定されるものではないが、低分子架橋及びポリマー-ポリマー架橋が挙げられる。ポリマー鎖の物理的架橋及び共有結合による架橋のための各種の方法は、例えば、Hoare and Kohane,“Hydrogels in drug delivery:Progress and challenges” Polymer (2008) 49:1993-2007(この全内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように当技術分野において公知である。
【0049】
本明細書で互換的に使用される、用語「架橋剤」または「橋かけ剤」は、1つの実体(例えば、1つのポリマー鎖)を別の実体(例えば、別のポリマー鎖)に連結する薬剤を指す。幾つかの実施形態では、2つの実体間の結合(すなわち、「架橋」)は、共有結合であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、2つの実体間の結合は、イオン結合またはイオン相互作用であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、化学架橋剤であり、例えば、幾つかの実施形態では、これは、アルデヒド基とアミノ基との間の共有結合形成を誘発するための低分子(例えば、ジアルデヒドまたはゲニピン)であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、感光性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、pH感受性官能基を含む。幾つかの実施形態では、架橋剤は、熱感受性官能基を含む。
【0050】
用語「ハイドロゲル」は、当該技術分野において理解されている意味を有し、場合により、水相が分散媒であるコロイドゲルとして見い出される、親水性ポリマー鎖の網状組織から形成される物質を指す。幾つかの実施形態では、ハイドロゲルは、吸収性が高い(例えば、90%超の水分を吸収及び/または保持することができる)天然または合成のポリマーネットワークである。幾つかの実施形態では、ハイドロゲルは、例えば、それらの顕著な含水量に起因する天然組織と同程度の柔軟度を有する。
【0051】
用語「新生物」及び「腫瘍」は、本明細書において互換的に使用され、組織の異常な塊であって、当該塊の増殖が、正常組織の成長を上回り、これと協調しない、組織の異常な当該塊を指す。新生物または腫瘍は、以下の特徴に応じて「良性」または「悪性」であり得る:細胞分化の程度(形態学及び機能が含まれる)、成長速度、局所浸潤、及び転移。「良性新生物」は、一般に高分化であり、悪性新生物よりも特徴的に遅い成長を有し、発生部位に局在したままである。加えて、良性新生物は、遠位の部位に浸潤、侵入、または転移する能力を有さない。例示的な良性新生物としては、限定されるものではないが、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老年性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び皮脂腺過形成が挙げられる。場合によっては、ある特定の「良性」腫瘍は、後に悪性新生物を生じさせ得、これは、腫瘍の腫瘍細胞の亜集団における更なる遺伝子の変化の結果として生じ得、これらの腫瘍は、「前悪性新生物」と称される。前悪性新生物の一例は、奇形腫である。対照的に、「悪性新生物」は、一般に、低分化(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う特徴的に急速な成長を有する。更に悪性新生物は、一般に、遠位の部位に転移する能力を有する。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「ポロキサマー」は、1種以上のポロキサマーのポリマー調製物、または1種以上のポロキサマーを含むポリマー調製物を指す。幾つかの実施形態では、ポリマー調製物中のポロキサマーは、コンジュゲートされていなくてもよく、修飾されていなくてもよく、例えば、これは、通常、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール、PEG)の2つの親水性鎖に挟まれたポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール、PPG)の疎水性鎖を含むトリブロックコポリマーである。幾つかの実施形態では、1種以上のポロキサマーのポリマー調製物または1種以上のポロキサマーを含むポリマー調製物は、濾過されてなくてもよい(例えば、このようなポリマー調製物は、濾過された、または分画化もしくは他の形で精製された同等のポリマー調製物と比較して、不純物、及び/または相対的に低分子量のポリマー分子を含有し得る)。ポロキサマーの例としては、限定されるものではないが、ポロキサマー124(P124、Pluronic(登録商標) L44 NFとしても公知)、ポロキサマー188(P188、Pluronic F68 NFとしても公知)、ポロキサマー237(P237、Pluronic F87 NFとしても公知)、ポロキサマー338(P338、Pluronic F108 NFとしても公知)、ポロキサマー407(P407、Pluronic F127 NFとしても公知)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
用語「ポリマー」は、当該技術分野において使用されるその通常の意味を付与され、すなわち、共有結合により連結された1つ以上の反復単位(モノマー)を含む分子構造である。反復単位は、全て同一であってもよく、または場合によっては、ポリマー(例えば、コポリマー)中に存在する2つ以上の種類の反復単位が存在してもよい。ある特定の実施形態では、ポリマーは、天然に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマーは、合成である(すなわち、天然に存在しない)。幾つかの実施形態では、ポリマーは、線状ポリマーである。幾つかの実施形態では、ポリマーは、分枝ポリマーである。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、ポリペプチドではない。幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するためのポリマーは、核酸ではない。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「ポリマー組み合わせ調製物」は、少なくとも2種の別個のポリマー成分を含むポリマー生体材料を指す。例えば、多数の実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、第1のポリマー成分及び第2の第1のポリマー成分を含むポリマー生体材料であり、ここで、当該第1のポリマー成分は、少なくとも1種のポロキサマーであるか、またはそれを含み、当該第2のポリマー成分は、ポロキサマーではないポリマーであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、例えば、対象への投与に有用であり得る前駆体状態のポリマー生体材料である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、ポリマーネットワーク状態のポリマー生体材料である。
【0055】
投与が企図される「対象」としては、限定されるものではないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児の対象(例えば、乳幼児、児童、青年)または成人の対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢成人))及び/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);飼育動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌ;及び/または鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/またはシチメンチョウ))が挙げられる。ある特定の実施形態では、動物は、(例えば、任意の発生段階の)哺乳動物である。幾つかの実施形態では、動物(例えば、非ヒト動物)は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であり得る。幾つかの実施形態では、対象は、腫瘍切除術の対象、例えば、最近腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される72時間未満(例えば、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、またはより短時間が含まれる)前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される48時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される24時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、本明細書に記載の組成物を投与される12時間未満前に腫瘍切除を受けた対象である。
【0056】
本明細書において互換的に使用されるように、「延長」または「持続」という用語は、通常、効果及び/またはプロセスを所望の一定時間にわたって長引かせることを指す。例えば、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される組成物または調製物の存在下での)持続する免疫調節の文脈において、このような免疫調節効果は、生体材料調製物を含む組成物の文脈において、及びそれ以外では、本明細書に記載されるように、特定の免疫調節剤ペイロードの投与後に、このような生体材料調製物の非存在下での同じペイロードの投与により観察されるものと比較してより長い間観察され得る。本明細書に記載される組成物及び/または調製物からの一定時間にわたる関心対象の1種以上の薬剤(例えば、免疫応答の1つ以上の側面、例えば、限定されるものではないが、自然免疫アゴニズムを調節する、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に組み込まれたペイロード及び/または本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の分解もしくは溶解生成物及び/または可溶性成分)の持続放出の文脈において、かかる放出は、約30分から数週間までの範囲の時間尺度で生じ得る。幾つかの実施形態では、持続放出または徐放の程度は、インビトロまたはインビボで特徴付けられ得る。例えば、幾つかの実施形態では、放出動態は、本明細書に記載される調製物及び/または組成物を水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れることによりインビトロで試験され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される調製物及び/または組成物が水性緩衝液(例えば、pH7.4のPBS)中に入れられる場合、100%未満またはそれ以下(例えば、90%以下、80%以下、70%以下、50%以下、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、免疫応答の1つ以上の側面、例えば、限定されるものではないが、自然免疫アゴニズムを調節する、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に組み込まれたペイロード及び/または本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の分解もしくは溶解生成物及び/または可溶性成分)が、生体材料から3時間以内に放出される。幾つかの実施形態では、放出動態は、例えば、動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に組成物を移植することによりインビボで試験され得る。幾つかの実施形態では、組成物が動物対象(例えば、マウス対象)の標的部位(例えば、乳房脂肪パッド)に移植される場合、70%以下またはそれ以下(例えば、60%以下、50%以下、40%未満、30%未満、またはそれ以下が含まれる)の関心対象の1種以上の薬剤(例えば、免疫応答の1つ以上の側面、例えば、限定されるものではないが、自然免疫アゴニズムを調節する、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に組み込まれたペイロード及び/または本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の分解もしくは溶解生成物及び/または可溶性成分)が、移植の8時間後にインビボで放出される。
【0057】
本明細書で使用する場合、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)の文脈において、用語「温度応答性」は、特性のうちの1つ以上における臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)での瞬時変化または断続的変化を示すポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)を指す。例えば、幾つかの実施形態では、かかる特性のうちの1つ以上は、特定の溶媒におけるポリマーまたは生体材料の溶解性であるか、またはそれを含む。単に一例として、幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)未満では安定している均質のポリマー溶液またはコロイドであり、臨界温度(例えば、臨界ゲル化温度)に達したか、またはそれを超過した際に瞬時にポリマーネットワーク(例えば、ハイドロゲル)を形成することを特徴とする。幾つかの実施形態では、温度応答性ポリマーまたは生体材料(例えば、ポリマー生体材料)は、温度可逆性であり得、ここで、例えば、幾つかの実施形態では、ポリマー溶液は、臨界ゲル化温度またはそれを超える温度でポリマーネットワークを瞬時に形成し得、このような得られたポリマーネットワークは、温度が臨界ゲル化温度未満まで低下する際に均質のポリマー溶液に瞬時に戻り得る。
【0058】
用語「処置」、「処置する」、及び「処置すること」は、本明細書に記載される「病態」(例えば、疾患、障害、または状態であって、それらの1つ以上の徴候または症状を含む、当該疾患、障害、または状態)、例えば、がんまたは腫瘍を後退させること、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。幾つかの実施形態では、処置は、1つ以上の徴候または症状が発症したか、または観察された後で投与され得る。処置は、例えば、再発及び/または拡散を遅延させるか、または予防するために、症状が消退した後も継続され得る。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「腫瘍切除術の対象」は、腫瘍切除術を受けているか、または最近受けた対象を指す。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍総重量のうちの少なくとも70%以上(少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上(100%が含まれる)が含まれる)が外科的切除により除去された対象である。場合によっては、腫瘍総重量のうちの全てが明らかに除去されたことを肉眼による肉眼検査が示す場合であっても、可視的な切除断端に顕微鏡的に存在する多少の残存がん細胞が存在し得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)であると判定され得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術に対する生理的反応により進行/増殖するように促進され得る、微小転移巣及び/または休眠中の播種性がん細胞を有し得る。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、腫瘍切除術が実行された直後に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される(例えば、手術中の投与)。幾つかの実施形態では、腫瘍切除術の対象は、手術後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはより短時間以内が含まれる)に、(例えば、本明細書において記載及び/または利用される)組成物を投与される。
【0060】
幾つかの実施形態では、用語「腫瘍部位」は、腫瘍の少なくとも一部が存在するか、または切除術前に存在していた部位であり得る。幾つかの実施形態では、腫瘍部位は、存在する腫瘍の全体を依然として有していてもよい。一方で幾つかの実施形態では、腫瘍部位は、例えば、腫瘍切除により腫瘍の一部または全体が除去されていてもよい。
【0061】
レシキモド
レシキモド(すなわち、R-848)は、下記の構造を有する免疫応答調節剤である:
【化1】
レシキモドは、トール様受容体7(TLR7)及びトール様受容体8(TLR8)のアゴニストであり、抗ウイルス及び抗腫瘍活性を示すことが示されている。
【0062】
幾つかの実施形態では、レシキモドは、例えば、腫瘍切除を行った、または行っている対象に投与するための特定の生体材料及び/または製剤の免疫調節性ペイロード成分として極めて有用であることが示されている。例えば、いずれも本明細書に参照によりその開示内容の全体を援用するところのWO2018/045058またはWO2019/183216を参照されたい。
【0063】
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示は、非晶質のレシキモド及び/またはレシキモドの塩形態と比較して、改善された溶解度、吸湿性、安定性、及び配合の容易さ(例えば、特に本明細書に記載の製剤で使用するための)を付与するレシキモドの形態(例えば、固体形態)が提供されることが望ましいという洞察を与えるものである。したがって、本開示は、レシキモドのいくつかの固体形態、ならびにその調製方法及び使用を提供するものである。
【0064】
レシキモドの固体形態
幾つかの実施形態では、本開示は、レシキモドの固体形態を提供する。レシキモドは、非晶質の固体形態として、または結晶質固体形態として、またはそれらの混合物として存在し得る。結晶質固体形態は、溶媒和物、ヘテロ溶媒和物、水和物、または非溶媒和形態などであり得る1つ以上の固有の形態として存在し得る。すべてのそのような形態は本開示によって想到されるものである。
【0065】
幾つかの実施形態では、本開示は、レシキモドの1つ以上の多形固体形態を提供する。本明細書で使用する場合、「多形体」という用語は、ある化合物が1つ以上の異なる結晶構造で存在できることを指す。例えば、各多形体は、薬学的に関連性のある物性、例えば、溶解度、安定性、及び/または吸水性などが異なり得る。
【0066】
幾つかの実施形態では、本開示は、レシキモドの非溶媒和多形形態を提供する。
【0067】
幾つかの実施形態では、本開示は、溶媒和物またはヘテロ溶媒和物としてのレシキモドを提供する。本明細書で使用する場合、「溶媒和物」という用語は、結晶構造中に取り込まれた化学量論量または非化学量論量の1つ以上の溶媒を含む固体形態を指す。例えば、溶媒和またはヘテロ溶媒和多形体は、結晶格子中に取り込まれた0.05、0.1、0.2、0.5、1.0、1.5、または2.0当量などの1つ以上の溶媒を独立して含み得る。
【0068】
幾つかの実施形態では、本開示は、水和物としてのレシキモドを提供する。本明細書で使用する場合、「水和物」という用語は、結晶構造中に取り込まれた溶媒が水である溶媒和物を指す。
【0069】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、2θ角の値に関して使用される場合、2θ=記載される値±0.2°であることを指す。幾つかの実施形態では、「約」とは、2θ=記載される値±0.1°であることを指す。
【0070】
レシキモドの形態I
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態Iである。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、溶媒和されていない。
【0071】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約8.72、約12.24、約16.29、約17.56、約19.51、約21.31、及び約29.15°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約8.72、約12.24、約16.29、約17.56、約19.51、約21.31、及び約29.15°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約8.72、約12.24、約16.29、約17.56、約19.51、約21.31、及び約29.15°のピークから選択されることを特徴とする。
【0072】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.72、約12.24、約16.29、約17.56、約19.51、約21.31、及び約29.15°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表13】
【0073】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図1に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図2に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図3に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0074】
本明細書に提供されるデータに基づけば、形態Iは、顕著に低い吸水性を示し、保存、取り扱い、及び製剤化に特に適したものとなっていることが認識されよう。更に、形態Iは、10重量%のポロキサマー407を含むリン酸ナトリウム緩衝生理食塩水中に高い溶解度を有し、例えば、本明細書に記載されるものなどの特定の製剤中での使用に適していることを示している。
【0075】
レシキモドの形態II
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態IIである。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、メチルイソプロピルケトン溶媒和物である。
【0076】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°のピークから選択されることを特徴とする。
【0077】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約7.75、約9.65、約11.23、約14.38、約19.90、約20.80、及び約22.65°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表14】
【0078】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図4に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図5に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図6に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0079】
レシキモドの形態III
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態IIIである。いくつかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、溶媒和されていない。
【0080】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約8.69、約9.18、約9.48、約11.97、約14.41、約18.53、及び約19.70°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約8.69、約9.18、約9.48、約11.97、約14.41、約18.53、及び約19.70°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約8.69、約9.18、約9.48、約11.97、約14.41、約18.53、及び約19.70°のピークから選択されることを特徴とする。
【0081】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.69、約9.18、約9.48、約11.97、約14.41、約18.53、及び約19.70°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表15】
【0082】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IIIは、図7(上)に示されるものと実質的に同様のXRPDパターンを特徴とする。
【0083】
レシキモドの形態IV
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態IVである。いくつかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、溶媒和物である。
【0084】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約6.01、約12.00、約12.15、約16.14、約19.24、約20.21、約21.19、約22.12、及び約24.50°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約6.01、約12.00、約12.15、約16.14、約19.24、約20.21、約21.19、約22.12、及び約24.50°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約6.01、約12.00、約12.15、約16.14、約19.24、約20.21、約21.19、約22.12、及び約24.50°のピークから選択されることを特徴とする。
【0085】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約6.01、約12.00、約12.15、約16.14、約19.24、約20.21、約21.19、約22.12、及び約24.50°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表16】
【0086】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態IVは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図10に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図11に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図12に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0087】
レシキモドの形態V
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態Vである。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、溶媒和されていない。
【0088】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°のピークから選択されることを特徴とする。
【0089】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約8.13、約10.20、約10.44、約16.29、及び約24.56°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表17】
【0090】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Vは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図13(上)に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図14に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図15に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0091】
レシキモドの形態VI
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態VIである。いくつかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、アニソール溶媒和物である。
【0092】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約9.40、約13.02、約18.13、約18.93、約20.38、約23.16、及び約27.78°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約9.40、約13.02、約18.13、約18.93、約20.38、約23.16、及び約27.78°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約9.40、約13.02、約18.13、約18.93、約20.38、約23.16、及び約27.78°のピークから選択されることを特徴とする。
【0093】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約9.40、約13.02、約18.13、約18.93、約20.38、約23.16、及び約27.78°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表18】
【0094】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図16に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図17に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図18に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0095】
レシキモドの形態VII
幾つかの実施形態では、レシキモドの結晶質固体形態は、レシキモドの形態VIIである。
【0096】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、そのXRPDパターンにおける1つ以上のピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、そのXRPDパターンにおける2つ以上のピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°のピークから選択されることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、そのXRPDパターンにおける3つ以上のピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°のピークから選択されることを特徴とする。
【0097】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、そのXRPDパターンにおけるピークが、2θ=約6.25、約9.92、約10.96、約16.51、約18.99、約23.75、及び約24.24°にあることを特徴とする。幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、以下から選択されるピークの実質的にすべてを含むXRPDパターンを特徴とする:
【表19】
【0098】
幾つかの実施形態では、レシキモドの形態VIIは、以下の1つ以上を特徴とする:
(i)図19に示されるものと実質的に同様のXRPDパターン、
(ii)図20に示されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム、及び
(iii)図21に示されるものと実質的に同様のTGAサーモグラム。
【0099】
提供される固体形態の調製方法
幾つかの実施形態では、本開示は、レシキモドの提供される固体形態(例えば、レシキモドの形態I、形態II、形態III、形態IV、形態V、形態VI、及び形態VII)を調製する方法を提供する。
【0100】
幾つかの実施形態では、レシキモドの提供される固体形態は、レシキモド(例えば、結晶質または非晶質レシキモド)を適当な溶媒中に溶解し、次いでレシキモドを固相に戻させることにより調製される。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、非晶質及び/または結晶質のレシキモドを適当な条件下で適当な溶媒中で加え合わせ、レシキモドの固体形態を単離することによって調製される。
【0101】
幾つかの実施形態では、適当な溶媒は、1-ブタノール、1-プロパノール、2,2-ジメトキシプロパン、2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、2-プロパノール、アセトン、アセトニトリル、アミルアルコール、アニソール、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、イソブタノール、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、m-キシレン、メタノール、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルtert-ブチルエーテル、ニトロメタン、オクタン、ペンタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、水、及びキシレン、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0102】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態を調製する方法は、レシキモドと適当な溶媒(例えば、本明細書に記載の適当な溶媒)を含む混合物を適当な温度に加熱する工程を含む。幾つかのそのような実施形態では、適当な温度は、約40℃~約60℃である。
【0103】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態を調製する方法は、レシキモドと適当な溶媒(例えば、本明細書に記載の適当な溶媒)を含む混合物を適当な温度に冷却する工程を含む。幾つかのそのような実施形態では、適当な温度は、約0℃~約10℃である。
【0104】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態を調製する方法は、レシキモドと適当な溶媒(例えば、本明細書に記載の適当な溶媒)を含む混合物を適当な温度に一定時間加熱した後、適当な温度に一定時間冷却する、加熱及び冷却の繰り返しサイクルを含む。幾つかの実施形態では、加熱及び冷却サイクルは、例えば、2、3、4、5、または6サイクル繰り返される。
【0105】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態を調製する方法は、レシキモドを、適当な溶媒(例えば、本明細書に記載の適当な溶媒)中に適当な温度(例えば、約40℃~約60℃)でスラリー化することを含む。
【0106】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、混合物から(例えば、溶液、懸濁液、またはスラリーから)沈殿する。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、溶液から結晶化する。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、溶液のシーディング(例えば、レシキモドの結晶を溶液に加える)後に溶液から結晶化する。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、蒸発、蒸留、または濾過などの方法による溶媒の一部または全部の除去後に混合物から沈殿または結晶化する。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、適当な貧溶媒(例えば、水、ヘプタン、ヘキサン、またはメチルt-ブルチルエーテル)の添加後に混合物から沈殿または結晶化する。例えば、幾つかの実施形態では、レシキモドの形態Iは、レシキモドを適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン)に溶解し、適当な貧溶媒(例えば、ヘプタン)を加え、それによりレシキモドの形態Iを形成させることによって調製される。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、適当な温度(例えば、約-20℃、約0℃、または約5℃)への冷却時に混合物から沈殿または結晶化する。
【0107】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態を調製する方法は、レシキモドの固体形態を単離する工程を含む。レシキモドの固体形態は、任意の適当な手段によって単離できることは認識されよう。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態(例えば、沈殿または結晶化したレシキモド)は濾過により上清液から分離される。幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態(例えば、沈殿または結晶化したレシキモド)は上清液をデカントすることにより上清液から分離される。
【0108】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は乾燥される(例えば、空気中または減圧下、場合により高温で)。
【0109】
幾つかの実施形態では、レシキモドの固体形態は、レシキモドの1つの固体形態をレシキモドの別の固体形態に変換することにより調製される。
【0110】
提供される固体形態の組成物
本開示はまた、レシキモドの1つ以上の固体形態を含む組成物も提供する。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、結晶質レシキモド(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VII)を含む。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、非晶質レシキモドを含む。
【0111】
幾つかの実施形態では、提供される組成物は、結晶質レシキモドと非晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、結晶質レシキモドを含む組成物は、非晶質レシキモドを実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「非晶質レシキモドを実質的に含まない」という用語は、組成物が有意な量の非晶質の固体形態を含有しないことを意味する。幾つかの実施形態では、組成物は、少なくとも約90重量%の結晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、組成物は、少なくとも約95重量%の結晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、組成物は、少なくとも約97重量%、約98重量%、または約99重量%の結晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、組成物は、約10重量%以下の非晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、組成物は、約5重量%以下の非晶質レシキモドを含む。幾つかの実施形態では、組成物は、約3重量%、約2重量%、または約1重量%以下の非晶質レシキモドを含む。
【0112】
幾つかの実施形態では、結晶質レシキモドを含む提供される組成物は、不純物を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「不純物を実質的に含まない」という用語は、組成物が有意な量の外因性物質を含有しないことを意味する。そのような外因性物質には、出発物質、残留溶媒、または結晶質レシキモドの調製及び/または単離から生じ得る他の任意の不純物が含まれ得る。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、約10重量%以下の不純物を含む。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、約5重量%以下の不純物を含む。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、約3重量%、約2重量%、または約1重量%以下の不純物を含む。
【0113】
幾つかの実施形態では、組成物は、レシキモドの結晶質固体形態の混合物(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VIIのうちの2つ以上を含む混合物)を含む。幾つかの実施形態では、組成物は、レシキモドの形態Iと、レシキモドの1つ以上の他の結晶質固体形態(例えば、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、及びレシキモドの形態VIIのうちの1つ以上)との混合物を含む。
【0114】
生体材料組成物
本開示はまた、レシキモドを含む特定の生体材料製剤及び/またはポリマー組み合わせ組成物も提供する。幾つかの実施形態では、提供される固体形態は、かかる組成物の調製に有用である。
【0115】
生体材料と免疫調節性ペイロードの組み合わせを含むさまざまなシステム(例えば、WO2018/045058またはWO2019/183216を参照)が、腫瘍切除を行ったかまたは行っている対象に投与される場合にとりわけ、極めて有用であることが報告されている。これらのシステムの特性は、例えば、がん治療に対する特定の従来のアプローチを含む特定の従来技術に関連した1つ以上の問題の原因を解消するものである。例えば、このシステムは、免疫治療薬の全身投与に関連し得る特定の有害事象(例えば、皮膚発疹、肝炎、下痢、大腸炎、下垂体炎、甲状腺炎、及び副腎不全)を低減及び/または防止することができる。とりわけ、このシステムは、全身投与された免疫治療薬(複数可)への、及び/または全身投与が腫瘍内で十分な濃度を達成するためにしばしば必要とされる高用量のかかる薬剤(複数可)への非腫瘍特異的免疫細胞の曝露を低減または防止することができ、とりわけ、このシステムは、腫瘍切除後の局所的免疫調節(例えば、自然免疫の局所的アゴニズム)を提供することができ、これはとりわけ、必要とされる部位に免疫調節作用を集中させることにより有効性を高めることができる。上記に加えてまたは上記に代えて、切除後の局所的免疫調節(例えば、自然免疫のアゴニズム)を提供するかかるシステムは、とりわけ、がんに対する局所的免疫寛容を破壊し、全身性の抗腫瘍免疫を生じさせることができ、これは例えば幾つかの実施形態では、播種性疾患の根絶につながり得る。
【0116】
本開示は、例えば本明細書に記載されるように、特に有用であり得るか及び/または特定の有用な作用をもたらし得る特定の生体材料製剤を提供する。幾つかの実施形態では、提供される固体形態は、かかる生体材料製剤を調製するうえで有用である。
【0117】
幾つかの実施形態では、本開示は、例えば特定の架橋されたバイオポリマー材料に伴う問題を含む特定の従来技術に伴う問題の原因を認識している。とりわけ、本開示は、特定の架橋技術が毒性の副産物を生じ、及び/または、架橋の前またはその間に生体ポリマー材料と組み合わされる場合に、薬剤(複数可)(例えば、治療薬、例えばレシキモド)の安定性及び/または有効性に悪影響を及ぼし得る点を認識している。
【0118】
上記に加えてまたは上記に代えて、本開示は、対象への導入に先立ってバイオポリマー材料を事前に形成する(例えば、架橋により)ことを行う技術に伴う問題の原因を認識している。例えば、本開示は、かかる事前の形成が、規定のサイズ及び/または構造を有する材料を生成し、これが投与の選択肢を制限し得ることを認識している。本開示は、埋め込みよりも侵襲性が低くなり得る注射及び/または腹腔鏡下投与などの方法によるものを含むさまざまな経路及び/またはアプローチによる投与を可能とする特定の生体材料製剤を含む技術を提供する。幾つかのそのような実施形態では、改善された投与特性を有する製剤を液体状態で投与することができ、幾つかの実施形態では、これらの製剤を、柔軟な空間充填特性を特徴とする事前に形成されたゲル状態で投与することができる。幾つかのそのような実施形態では、提供される製剤は、粒子状形態の関連する材料で構成される(例えば、製剤が、粒度分布及び/または本明細書に記載される他のパラメータにより特徴付けられる多数の粒子を含むように)。
【0119】
とりわけ、幾つかの実施形態では、本開示は、例えば紫外線照射及び/または小分子架橋剤などの細胞傷害性架橋剤を導入することなく、注射可能な状態から例えば本明細書に記載される有用な作用をもたらす材料特性を有する別の状態に移行することができる温度応答性の生体材料製剤を提供する。したがって、幾つかのそのような実施形態は、ゲル化した材料をインサイチューで形成させるための有用な技術を提供し、この技術は、代替技術と比較してさまざまな利点を有し、本明細書で特定されるようなかかる代替技術に伴う特定の問題に対する解決策を提供するものである。例えば、インサイチューでのゲル化のためのさまざまな代替技術の多くは処理(例えば、レシピエント及び/または材料中にまたは材料と共に含まれ得る薬剤(例えば、レシキモド)に対して毒性の、または他の有害な作用を有し得る紫外線照射及び/または小分子架橋剤への曝露)を必要とするため、本開示は、こうした代替技術に伴う問題の原因を認識している。
【0120】
幾つかの実施形態では、提供される温度応答性の生体材料製剤(例えば、本明細書に記載のもの)は、1つ以上の免疫調節特性を示すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、提供される温度応答性の生体材料製剤は、自然免疫の促進を必要とする対象(例えば、腫瘍切除対象)の標的部位に投与される際に自然免疫を促進する。
【0121】
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、ポリキサマーであるかまたはポロキサマーを含み、ハイドロゲルを形成するために使用される特定の従来の製剤は、通常、最小濃度で16~20%(w/w)のポロキサマー(例えば、ポロキサマー407(P407))を用いていることを認識している。本開示は、例えば、注射に不向きとなる高い溶液粘度、及び/または高濃度のポロキサマーによる組織の刺激を含む、対象への投与における特定の短所を有し得るなど、このような従来の製剤に伴う問題の原因を認識している。さらに、本開示は、大幅に低い濃度(複数可)のかかるポロキサマーを用いた有用な製剤を開発することが可能であることを実証する。
【0122】
例えば、幾つかの実施形態では、本開示は、ハイドロゲルを形成するために16~20%(w/w)の最小濃度で通常使用されてきた特定のポロキサマー(例えば、ポロキサマー407(P407))が、1つ以上の生体適合性ポリマーと組み合わされる場合に、16%(w/w)未満の濃度(例えば、14%(w/w)未満、12%(w/w)未満、11%(w/w)未満、10.5%(w/w)未満、10%(w/w)未満、8%(w/w)未満、6%(w/w)未満、またはそれよりも低い濃度を含む)で有用な温度応答性生体材料を形成することができることを認識している。幾つかの実施形態では、かかる生体適合性ポリマーは、温度応答性でないポリマーであるかまたはこれを含み得る(例えば、幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸及び/またはキトサンまたは修飾キトサンであるかこれを含み得る)。
【0123】
本明細書で提供される一態様は、少なくとも第1及び第2のポリマー成分を含むポリマー組み合わせ調製物を含む調製物または組成物であって、第1のポリマー成分がポロキサマーであるかまたはポロキサマーを含み、第2のポリマー成分がポロキサマーではなく、第1のポリマー成分がポリマー組み合わせ調製物中に12.5%(w/w)以下の濃度(例えば、11%(w/w)、10.5%(w/w)、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、またはこれよりも低い濃度)で存在する、調製物または組成物に関する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分は、ポリマー組み合わせ調製物中に4%(w/w)~11%(w/w)、または4%(w/w)~10.5%(w/w)、または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分は、ポリマー組み合わせ調製物中に5%(w/w)~11%(w/w)、または5%(w/w)~10.5%(w/w)、または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分は、ポリマー組み合わせ調製物中に6%(w/w)~11%(w/w)、または6%(w/w)~10.5%(w/w)、または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、ゲル化のトリガーに応じて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行することを特徴とする。かかるゲル化のトリガーは、以下のうちの1つ以上であるかまたは1つ以上を含む:(a)ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度、(b)第1のポリマー成分と第2のポリマー成分との臨界ゲル化重量比、(c)総ポリマー含量、(d)第1及び/または第2のポリマー成分の分子量、または(e)これらの組み合わせ。
【0124】
幾つかの実施形態では、前駆体状態のポリマーネットワーク状態への移行時に形成される架橋は、共有架橋を含まない。
【0125】
多くの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は温度応答性である。幾つかのそのような実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、CGT以上の温度に応じて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行することを特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、18~39℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、室温である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、20~25℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、25~30℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、30~35℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、対象の体温である。
【0126】
多くの異なるポロキサマーを、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に使用することができるが、幾つかの実施形態では、特定のポロキサマー、例えば、ポロキサマー407(P407)、ポロキサマー338(P338)、またはポロキサマー188(P188)が、本明細書に記載される特定のポリマー組み合わせ調製物で特に有用である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物中に第1のポリマー成分として含まれるポロキサマーは、P407であるかまたはP407を含む。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、P407を含む)は、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に4%(w/w)~12.5%(w/w)、または4%(w/w)~11%(w/w)、または4%(w/w)~10.5%(w/w)、または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、P407を含む)は、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に5%(w/w)~12.5%(w/w)、または5%(w/w)~11%(w/w)、または5%(w/w)~10.5%(w/w)、または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、P407を含む)は、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に6%(w/w)~12.5%(w/w)、または6%(w/w)~11%(w/w)、または6%(w/w)~10.5%(w/w)、または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で存在する。
【0127】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも6%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも12%、または少なくとも15%(w/w)の総ポリマー含量を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、6%(w/w)~20%(w/w)、または6%(w/w)~15%(w/w)、または7%(w/w)~15%(w/w)の総ポリマー含量を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、8%(w/w)~20%(w/w)、または8%(w/w)~15%(w/w)、または10%(w/w)~15%(w/w)の総ポリマー含量を含む。
【0128】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分との重量比が1:1~14:1、または1:1~10:1であることを特徴とする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分との重量比が1:1~1:3、または1:1~1:2であることを特徴とする。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のポリマー組み合わせ調製物は、第1のポリマー成分と第2のポリマー成分との重量比が1:1~22:1、または1:1~18:1であることを特徴とする。
【0129】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の第2のポリマー成分は、炭水化物ポリマーであるかまたはこれを含む。本開示に従って有用でありうる炭水化物ポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ヒアルロン酸、キトサン、アルギン酸塩、及びこれらのバリアント及び組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の炭水化物ポリマーは、約5%(w/w)以下の濃度で存在し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の炭水化物ポリマーは、0.5%(w/w)~10%(w/w)、または0.5%(w/w)~5%(w/w)、または1%(w/w)~10%(w/w)、または1%(w/w)~5%(w/w)、または2%~10%(w/w)の濃度で存在し得る。
【0130】
幾つかの実施形態では、特定のポリマー組み合わせ調製物において有用である炭水化物ポリマーは、ヒアルロン酸であるかまたはヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、50kDa~2MDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、100kDa~500kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、125kDa~375kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、100kDa~400kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、かかるヒアルロン酸は、500kDa~1.5MDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、重量平均分子量により特徴付けられる。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は粘度平均分子量により特徴付けられ、これは幾つかの実施形態では、例えばMark-Houwink式を用いてヒアルロン酸の固有粘度を平均分子量に変換することによって求めることができる。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー-多角度レーザー光散乱(SEC-MALLS)により測定することができる。
【0131】
幾つかの実施形態では、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び/または分散度(多分散度指数により特徴付けられる)をSEC-MALLSにより決定することができる。
【0132】
幾つかの実施形態では、特定のポリマー組み合わせ調製物において有用である炭水化物ポリマーは、キトサン酸もしくは修飾キトサンであるかまたはキトサン酸もしくは修飾キトサンを含む。幾つかの実施形態では、例示的な修飾キトサンは、カルボキシメチルキトサンであるかまたはカルボキシメチルキトサンを含む。
【0133】
幾つかの実施形態では、本明細書で使用される、及び/または記載されるポリマー組み合わせ調製物を含む調製物または組成物は、前駆体状態である。幾つかの実施形態では、本明細書で使用される、及び/または記載されるポリマー組み合わせ調製物を含む調製物または組成物は、ポリマーネットワーク状態(例えば、本明細書に記載される1つ以上の特性を有する)である。
【0134】
幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態は、粘性溶液もしくはコロイドであるかまたはこれらを含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマーネットワーク状態は、100Pa~500Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態は、ハイドロゲルであるかまたはハイドロゲルを含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマーネットワーク状態は、500Pa~10,000Pa、または750Pa~7500Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。
【0135】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、18%(w/w)の濃度のP407溶液から形成されたハイドロゲルの貯蔵弾性率よりも少なくとも40%低い貯蔵弾性率を特徴とする。幾つかの実施形態では、その前駆体状態がCGTよりも低い温度(例えば、2~8℃)で1ヶ月以上の期間にわたって保存されていた、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、新たに調製されたかかる提供されるポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態から形成されたポリマーネットワークの貯蔵弾性率と比較して実質的に同じ(例えば、20%以内、10%以内、5%以内、またはそれ以下)に維持された、例えば37℃で測定した場合の貯蔵弾性率を特徴とする。当業者には理解されるように、生体材料の貯蔵弾性率は、組み合わせ中のポリマー成分の生分解、化学分解(例えば、酸化)、及び/または相分離によって影響され得る。
【0136】
幾つかの実施形態では、本明細書で記載及び/または使用されるポリマー組み合わせ調製物は、pH5.0~8.5を有する。幾つかの実施形態では、本明細書で記載及び/または使用されるポリマー組み合わせ調製物は、pH7~8(例えば、pH7.4)を有する。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態は、pH5.0~8.5(例えば、幾つかの実施形態では、pH7~8)を有する溶媒系中のポリマー組み合わせ調製物の溶液である。幾つかの実施形態では、かかる溶媒系は緩衝された系である。幾つかの実施形態では、かかる緩衝された系は、1つ以上の塩(例えば、限定されないが、リン酸ナトリウム、及び/または炭酸水素ナトリウム)を含み得る。幾つかの実施形態では、かかる溶媒系は、10mMのリン酸緩衝液よりも高い緩衝能力を有する緩衝液系である。幾つかの実施形態では、かかる溶媒系は、20mMのリン酸緩衝液よりも高い緩衝能力を有する緩衝液系である。
【0137】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の調製物または組成物は、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載のもの)と、例えば疾患、障害、または状態(例えば、がん)を治療するためのレシキモドとを含むことができる。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、投与の2ヶ月または3ヶ月後に評価した場合に、ポリマーネットワーク状態のポリマー組み合わせ調製物を腫瘍切除部位に有する、自然転移のある試験動物群が、免疫調節性ペイロードを含まないポリマー組み合わせ調製物を腫瘍切除部位に有する同等の試験動物群よりも高い生存率(%)を有することを特徴とする。
【0138】
I.提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物または調製物
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、温度応答性であり、従って、レシピエント及び/または生体材料に含まれ得るか、もしくは生体材料と共に含まれ得るペイロードに対する毒性を有し得るか、または別様に悪影響を及ぼし得る架橋処理(例えば、UV照射及び/または化学架橋剤の導入)の非存在下での標的部位の生体内原位置でのゲル化を可能にするポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物及び/または調製物を提供する。
【0139】
幾つかの実施形態では、本開示は、ポリマー組み合わせ調製物に組み込まれたペイロード(例えば、レシキモド)の持続放出を提供するのに有用である、ある特定のポリマー組み合わせ調製物を含む組成物を提供する。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるある特定の組成物及び/または調製物は、1種以上の免疫調節剤ペイロード(例えば、レシキモド)が組み込まれているかかる組成物が腫瘍切除を受けたか、または受けているか対象に投与される場合に非常に有用であり得る。単に一例として、幾つかの実施形態では、本開示の組成物または調製物は、少なくとも1種の自然免疫調節ペイロード(例えば、少なくともレシキモド)を含み得る。幾つかの実施形態では、本開示の組成物または調製物は、少なくとも1種の自然免疫調節ペイロード及び少なくとも1種の適応免疫調節ペイロードを含み得る。幾つかの実施形態では、本開示の組成物または調製物は、少なくとも1種の自然免疫調節ペイロード、少なくとも1種の適応免疫調節ペイロード、及び少なくとも1種の免疫調節性サイトカインを含み得る。幾つかの実施形態では、本開示の組成物または調製物は、少なくとも1種の炎症誘発性免疫応答阻害剤を含み得る。
【0140】
幾つかの実施形態では、本開示は、別個の免疫調節剤ペイロード(例えば、レシキモド)がなくとも単独で有益な効果を達成するために免疫調節反応をもたらす(例えば、十分な自然免疫アゴニズムをもたらす)のに十分であるある特定のポリマー組み合わせ調製物を含む組成物を提供する。
【0141】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、それがポリマーネットワークを形成することを特徴とする。いずれの理論にも拘束されるものではないが、幾つかの実施形態では、このようなネットワークは、ポリマー組み合わせ調製物内のペイロード(例えば、免疫調節剤ペイロード、例えば、レシキモド)の足場またはデポーとして機能し得ることに留意されたい。
【0142】
幾つかの実施形態では、生体材料調製物及びペイロード薬剤(例えば、免疫調節剤ペイロード、
例えば、レシキモド)を含むポリマー組み合わせ調製物は、例えば、当該ポリマー組み合わせ調製物を欠く(例えば、その1つまたは全てのポリマー成分を欠く)別様の比較可能な組成物で観察されるよりもペイロードがより緩徐に(すなわち、より長時間にわたって)組成物から放出されるという点で徐放性製剤として機能し得る。
【0143】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるように使用されるポリマー組み合わせ調製物は、1種以上のポリマー(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、1種以上の正に荷電したポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるように使用されるポリマー組み合わせ調製物は、1種以上の負に荷電したポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるように使用されるポリマー組み合わせ調製物は、1種以上の中性ポリマーを含み得る。
【0144】
提供されるポリマー組み合わせ調製物
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、少なくとも第1及び第2のポリマー成分を含むポリマー組み合わせ調製物を提供し、ここで、当該第1のポリマー成分は、ポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)であるか、またはそれを含み、当該第2のポリマー成分はポロキサマーではなく、当該第1のポリマー成分は、12.5%(w/w)以下の濃度で当該ポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、ゲル化のトリガーに応答して前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行することを特徴とし、当該ゲル化のトリガーは、以下のうちの1つ以上であるか、またはそれを含む:(a)ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度、(b)第1のポリマー成分の第2のポリマー成分に対する臨界ゲル化重量比、(c)ポリマーの総含有量、(d)第1及び/または第2のポリマー成分の分子量、または(e)それらの組み合わせ。提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、前駆体状態の粘性を実質的に超える粘性を有し、前駆体状態に存在しない架橋を含む。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態は、液体状態である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の前駆体状態は、注射可能な状態である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、より粘性の液体状態である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、ハイドロゲルである。
【0145】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、例えば、そのゲル化(例えば、液体状態からゲル化状態への移行)が特定の温度に曝露されると発生し得るように温度応答性である。多数のかかる実施形態では、(例えば、部位への適用による)体温への曝露は、かかるゲル化を引き起こすのに十分である。幾つかの実施形態では、更に熱が適用され得る。単に一例として、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される温度応答性のポリマー組み合わせ調製物は、このようなポリマー組み合わせ調製物がゲル化のトリガーに曝露されると、前駆体状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)から当該前駆体状態の粘性及び/または貯蔵弾性率を実質的に超える粘性及び/または貯蔵弾性率を有するポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の状態またはハイドロゲル)に移行することを特徴とし、当該ゲル化のトリガーは、当該ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、少なくとも10℃以上(例えば、少なくとも10℃、少なくとも11℃、少なくとも12℃、少なくとも13℃、少なくとも14℃、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、少なくとも20℃、少なくとも21℃、少なくとも22℃、少なくとも23℃、少なくとも24℃、少なくとも25℃、少なくとも26℃、少なくとも27℃、少なくとも28℃、少なくとも29℃、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、またはそれ以上が含まれる)である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約10℃~約15℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約12℃~約17℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約14℃~約19℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約16℃~約21℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約18℃~約23℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約20℃~約25℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約22℃~約27℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約24℃~約29℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約26℃~約31℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約28℃~約33℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約30℃~約35℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約32℃~約37℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約34℃~約39℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、約35℃~約39℃である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のCGTは、このようなポリマー組み合わせ調製物を投与される対象(例えば、ヒト対象)の生理的温度であるか、またはその付近である。
【0146】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、温度可逆性である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、このようなポリマー組み合わせ調製物が当該ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度(CGT)以上の温度に曝露されると、前駆体状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)から当該前駆体状態の粘性及び/または貯蔵弾性率を実質的に超える粘性及び/または貯蔵弾性率を有するポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の状態またはハイドロゲル)に移行することを特徴とし、当該ポリマー組み合わせ調製物は、当該ポリマーネットワーク状態から当該ポリマーネットワーク状態の粘性及び/または貯蔵弾性率よりも実質的に低い粘性及び/または貯蔵弾性率を有する状態(例えば、液体状態または提供されるポリマー組み合わせ調製物の元の状態)に戻り得る。
【0147】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、化学架橋剤を含まない。当業者は、幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、ポリマー鎖間の共有結合による架橋の形成を促進することを特徴とすることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、天然の供給源に由来し得るか、または合成され得る低分子架橋剤であるか、またはそれを含む。低分子架橋剤の非限定的な例としては、ゲニピン、ジアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ジイソシアネート、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、アクリル酸、ジアクリレートなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、チオール(例えば、EXTRACEL(登録商標)、HYSTEM(登録商標))、メタクリレート、ヘキサデシルアミド(例えば、HYMOVIS(登録商標))、及び/またはチラミン(例えば、CORGEL(登録商標))を使用する架橋に関与し得る。幾つかの実施形態では、化学架橋剤は、ホルムアルデヒド(例えば、HYLAN-A(登録商標))、ジビニルスルホン(DVS)(例えば、HYLAN-B(登録商標))、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)(例えば、RESTYLANE(登録商標))、グルタルアルデヒド、及び/またはゲニピンを使用する架橋に関与し得る(例えば、Khunmanee et al.“Crosslinking method of hyaluronic-based hydrogel for biomedical applications” J Tissue Eng.8:1-16(2017)を参照のこと)。従って、幾つかの実施形態では、前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行する間に形成される架橋は、共有結合による架橋を含む。
【0148】
幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)は、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1、10.5:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、または20:1の臨界ゲル化重量比でポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載のポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載のもの)は、ポリマー組み合わせ調製物中に1:1~20:1、または1:1~18:1、または1:1~14:1、または1.5:1~14:1、または2:1~13:1、または1:1~10:1、または2:1~20:1、または2:1~18:1、または2:1~10:1の臨界ゲル化重量比で存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)は、1:1~10:1の臨界ゲル化重量比でポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)は、2:1~10:1の臨界ゲル化重量比でポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)は、当該第2のポリマー成分が当該第1のポリマー成分の重量に対する量より多い重量に対する量で存在し得るような臨界ゲル化重量比でポリマー組み合わせ調製物中に存在する。例えば、幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるポロキサマー)及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)は、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2などの臨界ゲル化重量比でポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかのかかる実施形態では、ポロキサマーの濃度は、7%(w/w)未満またはそれ以下、例えば、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、またはそれ以下であり得る。
【0149】
幾つかの実施形態では、少なくとも第1及び第2のポリマー成分(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも1種の追加のポリマー成分(例えば、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、またはそれ以上の追加のポリマー成分が含まれる)を含み得、当該少なくとも1種の追加のポリマー成分は、幾つかの実施形態では、生体適合性であり、及び/または生分解性である(例えば、本明細書に記載される)ポリマー成分であり得るか、またはそれを含み得る。
【0150】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも5%(w/w)以上(例えば、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも11%(w/w)、少なくとも12%(w/w)、少なくとも13%(w/w)、少なくとも14%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも16%(w/w)、少なくとも17%(w/w)、少なくとも18%(w/w)、少なくとも19%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、またはそれ以上が含まれる)の総含有量のポリマーを含む。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、5%(w/w)~20%(w/w)または6%(w/w)~18%(w/w)または8%(w/w)~15%(w/w)または9%(w/w)~12%(w/w)の総含有量のポリマーを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、6%(w/w)~20%(w/w)または8%(w/w)~20%(w/w)または10%(w/w)~15%(w/w)の総含有量のポリマーを含む。
【0151】
幾つかの実施形態では、ポロキサマーであるか、またはそれを含む第1のポリマー成分は、12.5%(w/w)以下(例えば、12%(w/w)以下、11.5%(w/w)以下、11%(w/w)以下、10.5%(w/w)以下、10%(w/w)以下、9.5%(w/w)以下、9%(w/w)以下、8%(w/w)以下)、7%(w/w)以下、6%(w/w)以下、5%(w/w)以下、または4%(w/w)以下が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーであるか、またはそれを含む第1のポリマー成分は、5%(w/w)~12.5%(w/w)または8%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)または8%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーであるか、またはそれを含む第1のポリマー成分は、4%(w/w)~12.5%(w/w)または4%(w/w)~11%(w/w)または4%(w/w)~10.5%(w/w)または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーであるか、またはそれを含む第1のポリマー成分は、5%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10.5%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーであるか、またはそれを含む第1のポリマー成分は、6%(w/w)~12.5%(w/w)または6%(w/w)~11%(w/w)または6%(w/w)~10.5%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在する。
【0152】
幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、15%(w/w)以下の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、10%(w/w)以下の濃度(例えば、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、またはそれ以下の濃度が含まれる)で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、第2のポリマー成分は、少なくとも0.1%(w/w)(例えば、少なくとも0.2%(w/w)、少なくとも0.3%(w/w)、少なくとも0.4%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも0.6%(w/w)、少なくとも0.7%(w/w)、少なくとも0.8%(w/w)、少なくとも0.9%(w/w)、少なくとも1%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、またはそれ以上が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の第2のポリマー成分は、0.1%(w/w)~10%(w/w)または0.1%(w/w)~8%(w/w)または0.1%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)の濃度で存在し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の第2のポリマー成分は、0.5%(w/w)~10%(w/w)または0.5%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~10%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)または2%~10%(w/w)の濃度で存在し得る。
【0153】
A.1種以上の例示的なポロキサマー及びそのバリアントを含む第1のポリマー成分
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、ポロキサマーまたはそのバリアントを含む。ポロキサマーは、通常、ポリオキシエチレン(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)及び/またはポリ(エチレンオキシド)(PEO))の2つの親水性鎖に挟まれたポリオキシプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)及び/またはポリ(プロピレンオキシド)(PPO))の疎水性鎖を含むブロックコポリマーである。ポロキサマーは、Synperonic、Pluronic、及び/またはKolliphorの商品名で知られている。一般に、ポロキサマーは、幾つかの実施形態では、良好な可溶化能力、低毒性、及び/または細胞、体液、及び広範囲の化学物質との高い適合性を有し得る非イオン性界面活性剤である。
【0154】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用されるポロキサマーは、当該技術分野において公知のポロキサマーであり得る。例えば、当業者により理解されるように、一般にポロキサマーは、3つの数字が続く(ポロキサマーにちなんだ)文字Pを用いて名付けられ、100で乗算された最初の2つの数字は、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子質量を示し、10で乗算された最後の数字は、ポリオキシエチレン含有率を示す。単に一例として、P407は、4,000g/molのポリオキシプロピレン分子質量及び70%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーを指す。当業者は、Pluronic及びSynperonicの商品名では、かかるポロキサマーの符号化は、室温での物理的形態を示す文字(例えば、L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体))で始まり、これに2つまたは3つの数字が続き、ここで、数字の記号における300で乗算された最初の数字(3桁の数字における2つの数字)は、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子量を示し、10で乗算された最後の数字は、ポリオキシエチレン含有率を示すことも理解するであろう。単に一例として、L61は、1,800g/molのポリオキシプロピレン分子質量及び10%のポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーの液体調製物を指す。更に、当業者に明らかであるように、ポロキサマー181(P181)は、Pluronic L61及びSynperonic PE/L61に相当する。
【0155】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー124(例えば、Pluronic L44 NF)、ポロキサマー188(例えば、Pluronic F68 NF)、ポロキサマー181(例えば、Pluronic L61)、ポロキサマー182(例えば、Pluronic L62)、ポロキサマー184(例えば、Pluronic L64)、ポロキサマー237(例えば、Pluronic F87 NF)、ポロキサマー338(例えば、Pluronic F108 NF)、ポロキサマー331(例えば、Pluronic L101)、ポロキサマー407(例えば、Pluronic F127 NF)、またはそれらの組み合わせであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも2種以上の異なるポロキサマーを含み得る。Russo and Villa “Poloxamer Hydrogels for Biomedical Applications” Pharmaceutics (2019) 11(12):671(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)の表1に記載される追加のポロキサマーも本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に有用であり得る。
【0156】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー407(P407)であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、P407は、2つの親水性PEOブロックに挟まれた疎水性PPOブロックを有するトリブロックコポリマーであるポロキサマーである。2つのPEOブロックのおおよその長さが、通常、101反復単位である一方で、PPOブロックのおおよその長さは56反復単位である。幾つかの実施形態では、P407は、約12,600Daの平均分子量を有し、このうちの約70%がPEOに相当する。幾つかの実施形態では、P407は、濃度及び周囲温度に依存して直ちに自己集合して、ミセルを形成し得る。特定の理論に拘束されるものではないが、PEOブロックの水和と疎水性PPOブロックの脱水との組み合わせは、球状ミセルの形成をもたらし得、その後のミセル構造の充填は、ポロキサマーハイドロゲルの主要構造を構成する3D立方格子をもたらす。またそれらは生分解性であり、非毒性であり、かつ安定しており、従って、治療薬の放出制御の用途に好適である。当業者により理解されるように、ポロキサマー/水の二成分混合物を主成分とするハイドロゲル製剤中のP407濃度は、通常、16~20%w/vの範囲であり、約18%w/vの値が最も多く使用される。例えば、Pereia et al.“Formulation and Characterization of Poloxamer 407(登録商標):Thermoreversible Gel Containing Polymeric Microparticles and Hyaluronic Acid” Quim.Nova,Vol.36,No.8,1121-1125(2013)(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0157】
様々な架橋手法、例えば、化学的架橋及び酵素により媒介される架橋手法が、P407のみを架橋するため、または別のポリマーと組み合わせて架橋するために、16~20%w/vの典型的な範囲未満のP407濃度で使用された。例えば、Ryu et al.“Catechol-functionalized chitosan/pluronic hydrogels for tissue adhesives and hemostatic materials” Biomacromolecules (2011) 12(7):2653-2659、Lee et al.“Thermo-sensitive,injectable,and tissue adhesive sol-gel transition hyaluronic acid/pluronic composite hydrogels prepared from bio-inspired catechol-thiol reaction” Soft Matter (2010) 6:977-983、及びChung et al.“Thermo-sensitive biodegradable hydrogels based on stereocomplexed pluronic multi-block copolymers for controlled protein delivery” J Control Release (2008) 127:22-30、及びLee et al.“Enzyme-mediated cross-linking of pluronic copolymer micelles for injectable and in situ forming hydrogels” Acta Biomater (2011) 7:1468-76(これらの各々の内容はそれらの全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。しかしながら、幾つかの実施形態では、かかる架橋手法は、化学架橋剤もしくは酵素及び/または修飾されたP407の使用を必要とし、インビボでの投与に望ましくない場合がある。幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、ある特定のポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)は、当該ポリマー組み合わせ調製物中のP407の濃度が12.5%(w/w)以下(例えば、12%以下(w/w)、11.5%(w/w)以下、11%(w/w)以下、10.5%(w/w)以下、10%(w/w)以下、9.5%(w/w)以下、9%(w/w)以下、8%(w/w)以下が含まれる)である時、化学架橋または酵素により媒介される架橋の非存在下で温度応答性ハイドロゲルを形成させるのに特に有用であり得るという洞察を提供する。幾つかの実施形態では、P407の濃度は、6%(w/w)~12.5%(w/w)、または6%(w/w)~11%(w/w)、5%(w/w)~12.5%(w/w)、または5%(w/w)~11%(w/w)または8%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)または8%(w/w)~10%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ中に存在する。幾つかの実施形態では、P407の濃度は、4%(w/w)~12.5%(w/w)または4%(w/w)~11%(w/w)または4%(w/w)~10.5%(w/w)または4%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ中に存在する。幾つかの実施形態では、P407の濃度は、5%(w/w)~12.5%(w/w)または5%(w/w)~11%(w/w)または5%(w/w)~10.5%(w/w)または5%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ中に存在する。幾つかの実施形態では、P407の濃度は、6%(w/w)~12.5%(w/w)または6%(w/w)~11%(w/w)または6%(w/w)~10.5%(w/w)または6%(w/w)~10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ中に存在する。
【0158】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るP407は、公定書収載のポロキサマー407であり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれるかかる公定書収載のポロキサマー407は、追加の精製ステップを経ていない。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれるかかる公定書収載のポロキサマー407は、修飾されていない(例えば、幾つかの実施形態では、遺伝子改変されていない)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に有用であり得るP407は、PBS中での少なくとも18℃以上(例えば、18.5℃、19℃、19.5℃、20℃、20.5℃、21℃、21.5℃、22℃、22.5℃、23℃、または23.5℃が含まれる)のゾル-ゲル転移温度(Tsol-gel)を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に有用であり得るP407は、12kDa以下、例えば、11.5kDa以下、11kDa以下、10.5kDa以下、またはそれ以下の平均分子量を有し得る。当業者により理解されるように、PBS中でのP407のTsol-gel及び/または平均分子量は、精製により異なり得る。例えば、幾つかの実施形態では、低分子量のコポリマー分子及び/または不純物が公定書収載のP407から除去される場合、PBS中でのP407のTsol-gel及び/または平均分子量は増加し得る。あるいは、高分子量のコポリマー分子及び/または不純物が公定書収載のP407から除去される場合、PBS中でのP407のTsol-gel及び/または平均分子量は減少し得る。例えば、Fakhari et al.“Thermogelling properties of purified Poloxamer 407” Heliyon(2017) 3(8):e00390(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0159】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれるP407は、コンジュゲートされていないP407または未修飾のP407(例えば、ポリマーまたはアミノ酸などの部分に共有結合的にコンジュゲートされていないP407)であり得る。コンジュゲートされたP407の例としては、限定されるものではないが、P407の炭水化物ポリマー、例えば、キトサンへのグラフト化、またはチオール化されたP407が挙げられる。例えば、Park et al.“Thermosensitive chitosan-Pluronic hydrogel as an injectable cell delivery carrier for cartilage regeneration” Acta Biomaterialia (2009) 5(6):1956-1965、及びRyu et al.“Catechol-functionalized chitosan/pluronic hydrogels for tissue adhesives and hemostatic materials” Biomacromolecules (2011) 12(7):2653-2659(これらの各々の内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0160】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー338であり得るか、またはそれを含み得る。
【0161】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー331であり得るか、またはそれを含み得る。
【0162】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー237であり得るか、またはそれを含み得る。
【0163】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー188であり得るか、またはそれを含み得る。
【0164】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー184であり得るか、またはそれを含み得る。
【0165】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー182であり得るか、またはそれを含み得る。
【0166】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー181であり得るか、またはそれを含み得る。
【0167】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマー124であり得るか、またはそれを含み得る。
【0168】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、少なくとも30重量%(例えば、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、またはそれ以上が含まれる)の含有量のポリオキシエチレンを有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、50~90重量%の含有量のポリオキシエチレンを有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、60~90%の含有量のポリオキシエチレンを有する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、70~90%の含有量のポリオキシエチレンを有する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、約70%の含有量のポリオキシエチレンを有する。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、約80%の含有量のポリオキシエチレンを有する。
【0169】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、少なくとも1,500g/mol以上(例えば、少なくとも2,000g/mol、少なくとも2,500g/ml、少なくとも3,000g/mol、少なくとも4,000g/mol、少なくとも5,000g/mol、少なくとも6,000g/mol、少なくとも7,000g/mol、少なくとも8,000g/mol、少なくとも9,000g/mol、少なくとも10,000g/mol、少なくとも11,000g/mol、少なくとも12,000g/mol、少なくとも13,000g/mol、少なくとも14,000g/mol、少なくとも15,000g/mol、少なくとも16,000g/mol、少なくとも17,000g/mol、少なくとも18,000g/mol、少なくとも19,000g/mol、少なくとも20,000g/mol、またはそれ以上が含まれる)の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、約1,500~20,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、約4,000~12,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、約5,000~15,000g/molまたは9,000~15,000g/molまたは10,000~15,000g/molまたは約11,000~14,000g/molまたは約11,500~13,000g/molまたは約12,000~13,000g/molまたは約6,000~10,000g/molまたは約7,000~9,000g/molまたは約7,500~8,500g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、9,500~15,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、6,000~10,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、12,000~18,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、1,500~3,000g/molの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、ポロキサマーは、6,000~9,000g/molの平均分子量を有し得る。当業者は、本明細書に記載される平均分子量は、数平均分子量、粘度平均分子量、または重量平均分子量であり得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー(例えば、ポロキサマー及び本明細書に記載される他のポリマー)は、重量平均分子量によって特徴付けられる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー(例えば、本明細書に記載されるヒアルロン酸)は、粘度平均分子量によって特徴付けられ、これは、幾つかの実施形態では、例えば、マルク-ホウインクの式を使用して固有粘度測定値を平均分子量に変換することにより決定され得る。
【0170】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、1,000~5,000g/molまたは1,500~4,500g/molの平均分子量を有するポリオキシプロピレンを有し得る。
【0171】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るポロキサマーは、ポロキサマーバリアントであり得る。ポロキサマーバリアントの例としては、限定されるものではないが、ポロキサミン(例えば、中心のエチレンジアミン部分に結合されたポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)(PEO-PPO)ブロックの4つのアームにより形成される両親媒性ブロックコポリマー)、アクリレートで修飾されたポロキサマー、チオールで修飾されたポロキサマー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、Niu et al.,J.Controlled Release,2009,137:49-56、及びAlvarex-Lorenzo et al.“Poloxamine-based nanomaterials for drug delivery” Frontiers in Bioscience(2010)(これらの各々の内容は少なくとも修飾ポロキサマーに関する開示のために参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0172】
B.ポロキサマーではない1種以上の例示的なポリマーを含む第2のポリマー成分
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも2種のポリマー成分(例えば、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、またはそれ以上のポリマー成分が含まれる)を含み得る。幾つかの実施形態では、第1のポリマー成分としてポロキサマーを12.5%(w/w)以下の濃度で含む提供されるポリマー組み合わせ調製物の第2のポリマー成分は、少なくとも1種(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、またはそれ以上が含まれる)の生体適合性及び/または生分解性のポリマー成分であり得るか、またはそれを含み得る。このような生体適合性及び/または生分解性のポリマー成分の例としては、限定されるものではないが、免疫調節性ポリマー、炭水化物ポリマー(例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマー(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントが含まれる))、ポリアクリル酸、シリカゲル、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリホスファゼン、及び/またはそれらのバリアント、セルロース、キチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、デキストラン、ゼラチン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、フィブリン、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリレート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリレート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(pHEMA)、ポリカルボキシベタイン(PCB)、ポリスルホベタイン(PSB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(β-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(フマル酸プロピレン)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリ(デスアミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボネート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリアンヒドリド、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタアクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(αエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、デンプン、それらのバリアント、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0173】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の第2のポリマー成分は、非イオン性ポリマー成分であるか、またはそれを含む。このような非イオン性ポリマー成分の例としては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の第2のポリマー成分は、カチオン性ポリマー成分、例えば、限定されるものではないが、キトサン、アミノ基含有ポリマー、コラーゲン、ゼラチン、及びそれらの組み合わせであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の第2のポリマー成分は、アニオン性ポリマー成分であるか、またはそれを含み、アニオン性ポリマー成分の例としては、限定されるものではないが、アルギナート、ジェランガム、ペクチン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸、ポリアスパラギン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0174】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物の第2のポリマー成分は、免疫調節性ポリマー、例えば、免疫応答の1つ以上の側面を調節するポリマー(例えば、自然免疫アゴニズムを誘発するポリマー)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、免疫調節性ポリマーは、2020年5月1日に出願された国際特許出願第PCT/US20/31169号(WO2020/223698A1として公開された)に記載されるような自然免疫のポリマーアゴニストであり得るか、またはそれを含み得る。幾つかの実施形態では、免疫調節性ポリマーは、炭水化物ポリマー(例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマー(例えば、限定されるものではないが、キトサン、アルギナート、ヒアルロン酸、及び/またはそれらのバリアントが含まれる))であり得るか、またはそれを含み得る。
【0175】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、12.5%以下(例えば、11%(w/w)、10.5%(w/w)、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、またはそれ以下)の濃度の少なくとも1種のポロキサマー及び第2のポリマー成分を含み、当該第2のポリマー成分は、炭水化物ポリマー(例えば、炭水化物、例えば、炭水化物骨格であるか、またはそれを含むポリマー(例えば、限定されるものではないが、ヒアルロン酸、キトサン、及び/またはそれらのバリアントが含まれる))であり得るか、またはそれを含み得る。
【0176】
(i)例示的なヒアルロン酸及びそのバリアント
幾つかの実施形態では、ポロキサマーを含む提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、ヒアルロン酸またはそのバリアントであるか、またはそれを含む。ヒアルロナンまたはヒアルロナートとしても公知のヒアルロン酸(HA)は、身体組織に幅広く分布するグリコサミノグリカン(GAG)として公知のポリマーのクラスの硫酸化されていないメンバーである。HAは、細胞表面上の細胞周囲コートを形成する組織の細胞外マトリックスの成分として見出される。幾つかの実施形態では、HAは、(C1421NO11の分子式を有する多糖(幾つかの実施形態では、塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及び/またはカルシウム塩として存在し得る)であり、式中、nは、供給源、単離手法、及び/または測定方法により異なり得る。
【0177】
幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAは、多数の天然の供給源から単離され得るか、またはそれに由来しうる。例えば、幾つかの実施形態では、HAは、例えば、ヒトの臍帯、鶏冠、及び/または脊椎動物の結合組織マトリックスから単離され得るか、またはそれに由来しうる。幾つかの実施形態では、HAは、Streptococcus属などの細菌の莢膜成分から単離され得るか、またはそれに由来し得る。例えば、Kendall et al,(1937),Biochem.Biophys.Acta,279,401-405を参照のこと。幾つかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、微生物発酵により生成され得る。幾つかの実施形態では、HA及び/またはそのバリアントは、例えば、グラム陽性及び/またはグラム陰性細菌(例えば、限定されるものではないが、Bacillus属菌、Lactococcus lactis、Agrobacterium属菌、及び/またはEscherichia coliが含まれる)を宿主として使用して生成される、組換えHAまたはそのバリアントであり得る。
【0178】
2020年5月1日に出願された国際特許出願第PCT/US20/31169号(WO2020/223698A1として公開された)において述べられたように、HAの生物活性は、その分子量に応じて異なる。例えば、高分子量のHA(高分子量HA)は、抗炎症活性または免疫抑制活性を持ち得るが、低分子量のHA(低分子量HA)は、炎症促進作用または免疫賦活作用を示し得る。例えば、Gao et al.“A low molecular weight hyaluronic acid derivative accelerates excisional wound healing by modulating pro-inflammation,promoting epithelialization and neovascularization,and remodeling collagen” Int.J.Mol Sci (2019) 20:3722、Cyphert et al.“Size Matters:Molecular Weight Specificity of Hyaluronan Effects in Cell Biology.”Int.J.Cell Biol.(2015) 2015:563818、Dicker et al.“Hyaluronan:A simple polysaccharide with diverse biological functions” Acta Biomater.(2014) 10:1558-1570、Aya and Stern “Hyaluronan in wound healing:Rediscovering a major player.”Wound Repair Regen.(2014) 22:579-593、及びFrenkel “The role of hyaluronan in wound healing” Int.Wound J.(2014) 11:159-163(これらの各々の全ての内容は本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。従って、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、低分子量、例えば、500kDa以下の平均分子量(例えば、450kDa、400kDa、350kDa、300kDa、250kDa、200kDa、150kDa、100kDa、50kDa、またはそれ以下が含まれる)を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約100kDa~約200kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約100kDa~約150kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約250kDa~約350kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約300kDa~約400kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードの非存在下でポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)及び低分子量HAまたはそのバリアントを含み得る本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、自然免疫アゴニズムを誘発するのに有用であり得る。
【0179】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはバリアントは、高分子量、例えば、500kDa超またはそれ以上(例えば、550kDa、600kDa、650kDa、700kDa、750kDa、800kDa、850kDa、900kDa、950kDa、1MDa、1.1MDa、1.2MDa、1.3MDa、1.4MDa、1.5MDa、1.6MDa、1.7MDa、1.8MDa、1.9MDa、2MDa、2.5MDa、3MDa、3.5MDa、4MDa、4.5MDa、またはそれ以上が含まれる)の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約600kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約700kDa~約900kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約500kDa~約800kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約600kDa~約800kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るHAまたはそのバリアントは、約700kDa~約800kDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、本開示に従って有用であり得るHAまたはそのバリアントは、約1MDa~約3MDaの平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、免疫調節剤ペイロードの非存在下でポロキサマー(例えば、本明細書に記載されるもの)及び高分子量HAまたはそのバリアントを含み得る本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、炎症(例えば、免疫抑制性の炎症)を消散するのに有用であり得る。
【0180】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、ヒアルロン酸バリアントを含む。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、水溶性である。幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸バリアントは、化学修飾ヒアルロン酸であり得、例えば、幾つかの実施形態では、ヒアルロン酸は、エステル化されている。ヒアルロン酸への化学修飾の例としては、限定されるものではないが、チオール、ハロアセテート、ブタンジオール、ジグリシジル、エーテル、ジヒドラジド、アルデヒド、グリカン、及び/またはチラミン官能基の付加が挙げられる。追加のヒアルロン酸修飾及びヒアルロン酸バリアントは、当技術分野において公知である。例えば、Highley et al.,“Recent advances in hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications” Curr Opin Biotechnol(2016) Aug 40:35-40、Burdick & Prestwich,“Hyaluronic acid hydrogels for biomedical applications” Advanced Materials(2011)、Prestwhich,“Hyaluronic acid-based clinical biomaterials derived for cell and molecule delivery in regenerative medicine” J.Control Release(2011) Oct 30;155(2):193-199(これらの各々は本明細書に記載される目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0181】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、12.5%(w/w)以下の濃度で存在する少なくとも1種のポロキサマー、及びヒアルロン酸またはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る第2のポリマー成分を含む。幾つかのかかる実施形態では、HAまたはそのバリアントは、約10%(w/w)以下(例えば、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、もしくは1%(w/w)、または以下が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、HAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約5%(w/w)の濃度で、例えば、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、1.5%(w/w)、2%(w/w)、2.5%(w/w)、3%(w/w)、3.5%(w/w)、4%(w/w)、4.5%(w/w)、または5%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、少なくとも約1.5%(w/w)以上(例えば、少なくとも2%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3%(w/w)、少なくとも4%(w/w)、少なくとも5%(w/w)、少なくとも6%(w/w)、少なくとも7%(w/w)、少なくとも8%(w/w)、少なくとも9%(w/w)、またはそれ以上が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約1.5%(w/w)~約5%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約1%(w/w)~約10%(w/w)または約1.5%(w/w)~約10%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.7%(w/w)~約4%(w/w)または約1.5%(w/w)~約4%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)低分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約3%(w/w)~約7%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)高分子量を有するHAまたはそのバリアントは、2%(w/w)以下(例えば、1.5%(w/w)、1.25%(w/w)、1%(w/w)、またはそれ以下が含まれる)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)高分子量を有するHAまたはそのバリアントは、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)の濃度で、提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。
【0182】
(ii)例示的なキトサン及びそのバリアント
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含む提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、キトサンまたはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る。本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に含まれ得るキトサン及び/またはそのバリアントの例としては、限定されるものではないが、キトサン、キトサン塩(例えば、キトサンHCl、塩化キトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩、キトサングルタミン酸塩)、アルキルキトサン、芳香族キトサン、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)、ヒドロキシアルキルキトサン(例えば、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン)、アミノアルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、チオール化キトサン、四級アンモニウムキトサン(例えば、N-(2-ヒドロキシル)プロピル-3-トリメチルアンモニウムキトサンクロリド)、グアニジルキトサン、キトサンオリゴ糖、糖化キトサン(例えば、N-ジヒドロガラクトキトサン)、キトサンポリ(スルホンアミド)、キトサン-フェニルコハク酸(例えば、フェニルコハク酸無水物またはそのバリアント(例えば、2-フェニルコハク酸無水物、2-フェニルコハク酸誘導体、2-O-アセチル-L-リンゴ酸無水物などが含まれる)及びキトサンの反応により形成される生成物)(例えば、開環アミドカルボン酸誘導体であるキトサンフェニルコハク酸ヘミアミド)、及びそれらのバリアントまたは組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含む提供されるポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0183】
場合によっては、キトサン及び/またはそのバリアントは、キチンの脱アセチルにより生成され得ることを当業者は理解するであろう。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも70%以上(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上が含まれる(100%まで含まれる))の脱アセチルの程度(すなわち、除去されたアセチル基のパーセント)を特徴とする。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、またはそれ以下の脱アセチルの程度を特徴とする。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、キトサンまたはそのバリアントは、80%~95%、70%~95%、または75%~90%の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。当業者によって理解されるように、脱アセチルの程度(%DA)は、当該技術分野において公知の様々な方法によって、例えば、場合によっては、NMR分光法によって決定され得る。
【0184】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5kDa以上(例えば、少なくとも10kDa以上が含まれる(例えば、少なくとも20kDa、少なくとも30kDa、少なくとも40kDa、少なくとも50kDa、少なくとも60kDa、少なくとも70kDa、少なくとも80kDa、少なくとも90kDa、少なくとも100kDa、少なくとも110kDa、少なくとも120kDa、少なくとも130kDa、少なくとも140kDa、少なくとも150kDa、少なくとも160kDa、少なくとも170kDa、少なくとも180kDa、少なくとも190kDa、少なくとも200kDa、少なくとも210kDa、少なくとも220kDa、少なくとも230kDa、少なくとも240kDa、少なくとも250kDa、少なくとも260kDa、少なくとも270kDa、少なくとも280kDa、少なくとも290kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも500kDa、少なくとも600kDa、少なくとも700kDa、またはそれ以上が含まれる))の平均分子量を有し得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、750kDa以下またはそれ以下(例えば、700kDa以下、600kDa以下、500kDa以下、400kDa以下、300kDa以下、200kDa以下、100kDa以下、50kDa以下、またはそれ以下が含まれる)の平均分子量を有し得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDaまたは20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaまたは150kDa~600kDa、または150kDa~400kDaまたは50kDa~150kDaまたは10kDa~50kDaの平均分子量を特徴とする。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの平均分子量を特徴とする。本明細書において述べたように、平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、またはピーク平均分子量であり得る。
【0185】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、10kDa~700kDaまたは20kDaまたは700kDaまたは30kDa~500kDaまたは150kDa~600kDaまたは150kDa~400kDaまたは50kDa~150kDaまたは10kDa~50kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、20kDa~700kDaまたは30kDa~500kDaの範囲の分子量分布を特徴とする。
【0186】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、3,500mPa・s以下またはそれ以下(例えば、3,000mPa・s以下、2,500mPa・s以下、2,000mPa・s以下、1,500mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1,000mPa・s、少なくとも1,500mPa・s、少なくとも2,000mPa・s、少なくとも2,500mPa・sまたはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、キトサンもしくはそのバリアントのこのような粘性ポリマー溶液またはキトサンもしくはそのバリアントを含むこのような粘性ポリマー溶液は、5mPa・s~3,000mPa・s、または5mPa・s~300mPa・s、5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~200mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるキトサンまたはそのバリアントの粘性は、20℃の1%酢酸中にて1%で測定される。
【0187】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも1種以上(例えば、1種、2種、3種、またはそれ以上)のキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)を含む。例えば、幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、70%~95%、または75%~90%、または80%~95%、または90%超の脱アセチルの程度によって特徴付けられ得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの平均分子量(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、修飾されたキトサン及び/またはキトサンもしくは修飾されたキトサンの塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、10kDa~700kDa、20kDa~600kDa、30kDa~500kDa、150kDa~400kDa、または200kDa~600kDaの範囲の分子量分布(例えば、キトサンまたはキトサン塩、例えば、キトサン酢酸塩として測定される)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、キトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、5~3,000mPa・sまたは5~300mPa・sまたは20~200mPa・sの範囲の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、PROTASAN(商標) UltraPure塩化キトサン及び/またはキトサングルタミン酸塩(例えば、FMC Health and Nutritionの事業単位であるNovoMatrix(登録商標)から入手(現在はDu Pontの一部;製品番号:CL 113、CL 114、CL 213、CL 214、G 113、G 213、G 214))であり得るか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、かかるキトサン及び/またはそのバリアント(例えば、その塩、例えば、塩化物塩またはグルタミン酸塩が含まれる)は、例えば、Heppe Medical Chitosan GMBHから入手される、キトサン、キトサンオリゴマー、及び/またはそれらのバリアント(例えば、キトサンHCl、カルボキシメチルキトサン、キトサン乳酸塩、キトサン酢酸塩が含まれる)(例えば、Chitoceuticals(登録商標)またはChitoscience(登録商標))であり得るか、またはそれを含む。
【0188】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、以下の特性のうちの少なくとも1つまたは全てを特徴とする、カルボキシアルキルキトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)であるか、またはそれを含む:(1)80%~95%の脱アセチルの程度、(ii)30kDa~500kDaの平均分子量、または30kDa~500kDaの分子量分布、及び(iii)5~300mPa・sの範囲の粘性。
【0189】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、(例えば、本明細書に記載される)キトサンのバリアントであるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、キトサン鎖の1つ以上の化学部分、例えば、ヒドロキシル及び/またはアミノ基の化学修飾(複数可)を含み得る。幾つかの実施形態では、このようなキトサンのバリアントは、例えば、限定されるものではないが、糖化キトサンなどの修飾されたキトサン(例えば、その遊離アミノ基のうちの1つ以上に1つ以上の単糖またはオリゴ糖側鎖を付加することにより修飾されたキトサン)であるか、またはそれを含む。本明細書において有用である例示的な糖化キトサンとしては、例えば、限定されるものではないが、US5,747,475、US6,756,363、WO2013/109732、US2018/0312611、及びUS2019/0002594(これらの各々の内容は、本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0190】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、水性環境中でのキトサンの溶解性を増加させるポリマー(例えば、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー)とコンジュゲートされたキトサンであるか、またはそれを含む。
【0191】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物に含まれるキトサンまたはそのバリアントは、チオール化キトサンであるか、またはそれを含む。例えば、Ahmadi et al.Res Pharm Sci.,10(1):1-16(2015)(その内容は本明細書に記載される目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、キトサンに対する様々な修飾、例えば、限定されるものではないが、カルボキシル化、ペグ化、ガラクトシル化(または他のグリコシル化)、及び/またはチオール化が当技術分野において公知である。本開示を読む当業者は、他の修飾されたキトサンが、方法が実施される特定用途に有用であり得ることを理解するであろう。
【0192】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、12.5%以下の濃度で存在する少なくとも1種のポロキサマー、及びキトサンまたはそのバリアントであり得るか、またはそれを含み得る第2のポリマー成分を含む。幾つかのかかる実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、約10%(w/w)以下(例えば、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、0.4%(w/w)、0.3%(w/w)、0.2%(w/w)、0.1%(w/w)、またはそれ以下が含まれる)の濃度で提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。幾つかの実施形態では、キトサンまたはそのバリアントは、0.1%(w/w)~10%(w/w)または0.1%(w/w)~8%(w/w)または0.1%(w/w)~5%(w/w)または1%(w/w)~5%(w/w)または約1%(w/w)~約3%(w/w)の濃度で提供されるポリマー組み合わせ調製物中に存在し得る。
【0193】
C.ペイロード(例えば、治療薬)
提供される生体材料組成物はレシキモドを含む(例えば、ペイロードまたは治療薬として)。幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物は、レシキモドを、0.005mg/mL、0.01mg/mL、0.02mg/mL、0.05mg/mL、0.10mg/mL、0.12mg/mL、0.14mg/mL、0.16mg/mL、0.18mg/mL、0.20mg/mL、0.22mg/mL、0.25mg/mL、0.30mg/mL、0.35mg/mL、0.40mg/mL、0.45mg/mL、0.50mg/mL、0.55mg/mL、0.60mg/mL、0.65mg/mL、0.70mg/mL、0.75mg/mL、0.80mg/mL、0.85mg/mL、0.90mg/mL、0.95mg/mL、1.00mg/mL、1.05mg/mL、1.10mg/mL、1.15mg/mL、1.20mg/mL、1.25mg/mL、1.50mg/mL、または1.80mg/mLの濃度で含む。幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物は、レシキモドを、0.005mg/mL~1.80mg/mL、0.01mg/mL~1.80mg/mL、0.01mg/mL~0.50mg/mL、0.005mg/mL~1.00mg/mL、0.05mg/mL~1.00mg/mL、0.05mg/mL~0.50mg/mL、0.05mg/mL~0.30mg/mL、0.05mg/mL~0.20mg/mL、0.10mg/mL~0.25mg/mL、0.10mg/mL~0.20mg/mL、0.12mg/mL~0.18mg/mL、または0.14mg/mL~0.20mg/mLの濃度で含む。
【0194】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物は、レシキモドを単独の免疫調節性ペイロードとして含む。
【0195】
幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物は、1つ以上の更なるペイロード(例えば、1つ以上の更なる治療薬、例えば、免疫調節薬)を更に含むか及び/またはそれと組み合わせて投与することができる。例示的な免疫調節薬としては、それぞれの内容を本明細書に参照により援用するところのWO2018/045058、WO2019/183216、及びPCT/US21/46392に記載のものが挙げられる。
【0196】
D.溶媒系
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、好適な溶媒系中に調製されるか、または好適な溶媒系中に存在する。例えば、幾つかの実施形態では、このような溶媒系は、4.5~8.5の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態では、このような溶媒系は、4.5~7の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、7~9のpHを有する好適な溶媒系中に調製されるか、または7~9のpHを有する好適な溶媒系中に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、7~7.5のpH(例えば、pH7.4)を有する好適な溶媒系中に調製されるか、または7~7.5のpH(例えば、pH7.4)を有する好適な溶媒系中に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、7.5~8.5のpHを有する好適な溶媒系中に調製されるか、または7.5~8.5のpHを有する好適な溶媒系中に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、8のpHを有する好適な溶媒系中に調製されるか、または8のpHを有する好適な溶媒系中に存在する。
【0197】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはこのようなポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、水中に調製されるか、または水中に存在する。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはこのようなポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、水性緩衝系中に調製されるか、または水性緩衝系中に存在する。幾つかの実施形態では、かかる水性緩衝系は、1種以上の塩(例えば、限定されるものではないが、リン酸ナトリウム及び/または炭酸水素ナトリウム)を含み得る。幾つかの実施形態では、このような溶媒系は、10mMのリン酸塩緩衝液より高い緩衝能を有する水性緩衝系である。幾つかの実施形態では、このような溶媒系は、20mMのリン酸塩緩衝液より高い緩衝能を有する水性緩衝系である。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはこのようなポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、リン酸塩緩衝液、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に調製されるか、またはリン酸塩緩衝液、例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に存在する。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物、またはこのようなポリマー組み合わせ調製物の個々の成分は、重炭酸塩緩衝液中に調製されるか、または重炭酸塩緩衝液中に存在する。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、1mM~500mMまたは5mM~250mMまたは10mM~150mMまたは1mM~50mMまたは5mM~50mMまたは5mM~100mMまたは50mM~100mMの濃度範囲を有する水性緩衝系中に調製されるか、または当該水性緩衝系中に存在する。ある特定の実施形態では、好適な水性緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)は、10mM~50mMの濃度で調製される。ある特定の実施形態では、好適な水性緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)は、10mM~30mMの濃度で調製される。ある特定の実施形態では、好適な水性緩衝液(例えば、重炭酸塩緩衝液)は、100mM~200mMの濃度で調製される。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物またはその個々の成分は、10mM~50mMまたは10mM~30mMの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液中に調製されるか、またはリン酸ナトリウム緩衝液中に存在する。幾つかの実施形態では、水性緩衝系は、0.9%の生理食塩水を含み得る。幾つかの実施形態では、水性緩衝系は、0.5重量%の生理食塩水~1.5重量%の生理食塩水、または0.5重量%の生理食塩水~1.0重量%の生理食塩水を含み得る。
【0198】
水性緩衝液系の濃度は、1つ以上のポリマー成分、ペイロード、及び/または他の成分と組み合わされる場合に変わり得る点は認識されよう。一般に、水性緩衝液系の濃度が本開示の全体を通じて指定されている場合、濃度は、1つ以上のポリマー成分、ペイロード、及び/または他の成分と組み合わされる前の濃度を指す。
【0199】
E.任意の添加剤
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、1種以上の添加剤を含み得る。幾つかの実施形態では、このような添加剤は、増粘剤であり得るか、またはそれを含み得る。当業者によって理解されるように、このような増粘剤は、成分の懸濁、または組み合わせの安定性を増加させる乳化を改善し得る。幾つかの実施形態では、このような増粘剤は、ポリマー組み合わせ調製物中の個々のポリマー成分の相分離を防止するか、低減するか、または遅延させるのに有用であり得る。増粘剤の例としては、限定されるものではないが、セルロース誘導体、デンプン、ペクチン、キサンタン、及び/またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0200】
II.提供されるポリマー組み合わせ調製物またはそれを含む組成物のある特定の特性及び/または特徴
提供されるポリマー組み合わせ調製物またはそれを含む組成物は、本明細書に記載されるある特定の特性及び/または特徴のうちの1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ以上)によって特徴付けられ得る。本開示を読む当業者は、提供されるポリマー組み合わせ調製物またはそれを含む組成物が特定の用途に好適な材料特性及び/または特徴を提供するように構成され得ることを理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、特定の用途に好適な材料特性及び/または特徴は、例えば、腫瘍を囲む組織の特性、投与経路、投与部位、及び/または方法が実施される免疫調節の所望される期間に基づいて決定され得る。
【0201】
A.免疫調節特性
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、非免疫調節性であり得る。幾つかのかかる実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/またはそれを含む組成物は、得られる組成物または調製物が免疫調節性となるように免疫調節剤ペイロード(例えば、レシキモド)を含み得る。
【0202】
幾つかの実施形態では、ポロキサマーを含む提供されるポリマー組み合わせ調製物は、得られるポリマー組み合わせ調製物それ自体が免疫調節剤ペイロードの非存在下で免疫調節性となり得るように第2のポリマー成分または追加のポリマー成分を含み得る。
【0203】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、(例えば、本明細書に記載されるように)少なくとも1つ以上の自然免疫応答が誘発されるように、例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、好中球、及び/またはナチュラルキラー(NK)細胞などの、自然免疫系の1つ以上の種類の細胞の1種以上のパターン認識受容体を間接的または直接的に活性化し得る。このようなパターン認識受容体の例は、C型レクチン受容体(CLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NOD様受容体またはNLR)、レチノイン酸誘導性遺伝子I様受容体(RLR)、及び/またはToll様受容体(TLR)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、マンノース受容体及び/またはアシアロ糖タンパク質受容体ファミリー(例えば、デクチン1、デクチン2、マクロファージ誘導性C型レクチン(ミンクル)、樹状細胞特異的ICAM3結合ノンインテグリン(DC-SIGN)、及びDC NKレクチン群受容体1(DNGR-1))が挙げられる、自然免疫系の多数の異なる細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージなど)の少なくとも1種以上のC型レクチン受容体(CLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、NLRA(例えば、CIITA)、NLRB(例えば、NAIP)、NLRC(例えば、NOD1、NOD2、NLRC3、NLRC4、NLRC5、NLRX1)、及び/またはNLRP(例えば、NLRP1、NLRP2、NLRP3、NLRP4、NLRP5、NLRP6、NLRP7、NLRP8、NLRP9、NLRP10、NLRP11、NLRP12、NLRP13、NLRP14)が挙げられる、異なる種類の白血球(例えば、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞)の少なくとも1種以上のNOD様受容体(NLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、RIG-I、MDA5、及び/またはLGP2が挙げられる、例えば、骨髄性細胞の少なくとも1種以上のRIG-I様受容体(RLR)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、及び/またはTLR10が挙げられる、異なる種類の白血球(例えば、樹状細胞、骨髄性樹状細胞、単球、マクロファージ、及び/または好中球)の少なくとも1種以上のToll様受容体(TLR)を直接または間接的に活性化し得る。
【0204】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、(例えば、本明細書に記載されるように)少なくとも1つ以上の自然免疫応答(及び/または自然免疫応答の1つ以上の特徴)が誘発されるように、例えば、骨髄性細胞におけるインフラマソームを間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。幾つかの実施形態では、インフラマソームは、通常、1つ以上の炎症反応を活性化する、例えば、1種以上の炎症性サイトカイン、例えば、インターロイキン1β及び/またはインターロイキン18の成熟及び/または分泌を促進する多タンパク質複合体である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、Absent in Melanoma 2(AIM2)様受容体を含むインフラマソーム(「AIM2インフラマソーム」)を間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、NLRP1(例えば、NALP1b)、NLRP3(例えば、NALP3)、及び/またはNLRC4(例えば、IPAF)が含まれる、1種以上のNLRを含むインフラマソームを間接的または直接的に活性化または誘発し得る(例えば、そのレベル及び/または活性を増加させ得る)。
【0205】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、自然免疫が誘発されるように、cGAS-STING経路に関与する1つ以上の構成要素(例えば、Chen et al.,“Regulation and function of the cGAS-STING pathway of cytosolic DNA sensing” Nature Immunology(2016)17:1142-1149(これは本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるようなcGAS-STING経路及び/またはその構成要素)を直接または間接的に活性化し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、NFκB及び/またはNFκB経路に関連する他の構成要素の活性及び/またはレベル(例えば、Dev et al.,“NF-κB and innate immunity” Curr.Top.Microbiol.Immunol.(2011)349:115-43(これは本明細書に記載される目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような自然免疫応答の間のNFκB活性化)を直接または間接的に誘発し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、例えば、自然免疫応答の間、活性酸素種の生成を直接または間接的に引き起こし得る。
【0206】
本開示を読むことにより、当業者に明らかであるように、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、自然免疫の活性化に関連する構成要素及び/または経路(例えば、本明細書に記載されるもの)のうちの1つ以上を直接または間接的に活性化し得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または提供されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物もしくは調製物は、自然免疫系の細胞のうちの1つ以上の種類の1種以上のパターン認識受容体(例えば、本明細書に記載されるもの)を直接または間接的に活性化し得、例えば、骨髄性細胞における、インフラマソームの活性化または誘発もし得る(例えば、そのレベル及び/または活性も増加させ得る)。
【0207】
B.粘性
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、25,000mPa・s以下またはそれ以下(例えば、24,000mPa・s以下、23,000mPa・s以下、22,000mPa・s以下、21,000mPa・s以下、20,000mPa・s以下、19,000mPa・s以下、18,000mPa・s以下、17,000mPa・s以下、16,000mPa・s以下、15,000mPa・s以下、14,000mPa・s以下、13,000mPa・s以下、12,000mPa・s以下、11,000mPa・s以下、10,000mPa・s以下、9,000mPa・s以下、8,000mPa・s以下、7,000mPa・s以下、6,000mPa・s以下、5,000mPa・s以下、4,000mPa・s以下、3,500mPa・s以下、3,000mPa・s以下、2,500mPa・s以下、2,000mPa・s以下、1,500mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1,000mPa・s、少なくとも1,500mPa・s、少なくとも2,000mPa・s、少なくとも2,500mPa・s、少なくとも3,000mPa・s、少なくとも4,000mPa・s、少なくとも5,000mPa・s、少なくとも6,000mPa・s、少なくとも7,000mPa・s、少なくとも8,000mPa・s、少なくとも9,000mPa・s、少なくとも10,000mPa・s、少なくとも11,000mPa・s、少なくとも12,000mPa・s、少なくとも13,000mPa・s、少なくとも14,000mPa・s、少なくとも15,000mPa・s、少なくとも16,000mPa・s、少なくとも17,000mPa・s、少なくとも18,000mPa・s、少なくとも19,000mPa・s、少なくとも20,000mPa・s、少なくとも21,000mPa・s、少なくとも22,000mPa・s、少なくとも23,000mPa・s、少なくとも24,000mPa・s、またはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、5mPa・s~10,000mPa・sまたは10mPa・s~5,000mPa・sまたは5mPa・s~200mPa・sまたは20mPa・s~100mPa・sまたは5mPa・s~20mPa・sまたは3mPa・s~15mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、蜂蜜と同程度の粘性を有する(例えば、蜂蜜と同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約2,000~10,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、天然のシロップ(例えば、樹液由来のシロップ、糖蜜由来のシロップなど)と同程度の粘性を有する(例えば、天然のシロップと同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約15,000~20,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、ケチャップと同程度の粘性を有する(例えば、ケチャップ、例えば、トマトケチャップと同程度のmPa・s及び/またはセンチポアズ、例えば、約5,000~20,000mPa・sを有する)粘性溶液であり得る。本開示を読む当業者は、場合によっては、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の粘性は、例えば、投与経路(例えば、注射か移植か)、注射量及び/または注射時間、及び/または自然免疫刺激の影響期間に基づいて選択または調整され得ることを理解するであろう。また当業者により理解されるように、ポリマーの粘性は、例えば、温度及び実験試料中のポリマーの濃度に依存する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の粘性は、例えば、1000s-1の剪断速度で20℃にて測定され得る。
【0208】
幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、3,500mPa・s以下またはそれ以下(例えば、3,000mPa・s以下、2,500mPa・s以下、2,000mPa・s以下、1,500mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下、250mPa・s以下、200mPa・s以下、150mPa・s以下、100mPa・s以下、75mPa・s以下、50mPa・s以下、25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、10mPa・s以下、またはそれ以下が含まれる)の粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)ポロキサマーを含むポリマー組み合わせ調製物(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、少なくとも5mPa・sまたはそれ以上(例えば、少なくとも10mPa・s、少なくとも20mPa・s、少なくとも30mPa・s、少なくとも40mPa・s、少なくとも50mPa・s、少なくとも60mPa・s、少なくとも70mPa・s、少なくとも80mPa・s、少なくとも90mPa・s、少なくとも100mPa・s、少なくとも125mPa・s、少なくとも150mPa・s、少なくとも175mPa・s、少なくとも250mPa・s、少なくとも500mPa・s、少なくとも1,000mPa・s、少なくとも1,500mPa・s、少なくとも2,000mPa・s、少なくとも2,500mPa・s、またはそれ以上が含まれる)の粘性を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、このような粘性ポリマー溶液(例えば、前駆体状態または例えば、粘性溶液などのポリマーネットワーク状態)は、5mPa・s~3,000mPa・s、または5mPa・s~300mPa・s、5mPa・s~200mPa・s、または20mPa・s~200mPa・s、または5mPa・s~20mPa・sの粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の粘性は、例えば、1000s-1の剪断速度で20℃にて測定され得る。
【0209】
とりわけ、本開示は、ある特定の架橋技術(例えば、ある特定の化学的架橋技術、紫外線など)を含むハイドロゲル技術が、有毒な副生成物を生成させ得、及び/またはポリマー組み合わせ調製物と組み合わされ得る薬剤(例えば、治療薬)の安定性もしくは有効性に悪影響を及ぼし得ることを理解する。
【0210】
代替的にまたは追加的に、本開示は、幾つかの実施形態では、対象に導入する前にポリマー生体材料を(例えば、架橋により)事前に形成させるのと比較して、本明細書に記載される免疫調節組成物が投与される間に及び/または投与された際に形成されるようにポリマー組み合わせ調製物の成分(複数可)を投与することにより特定の利点が達成され得ることを理解する。例えば、事前に形成された生体材料の投与は、投与を容易にするために、それに相当する切開部及び/または外科的介入を必要とする。例えば、幾つかの実施形態では、本開示は、かかる事前形成が明確なサイズ及び/または構造を有する材料を生成させ、このことが、事前に形成された材料の寸法が標的部位(例えば、切除空洞)の寸法と異なり得るため、投与の選択肢を制限し得ることを理解する。幾つかの実施形態では、ハイドロゲルが、投与される間に及び/または投与された際に形成され得る。幾つかの実施形態では、標的部位に投与されるポリマー組み合わせ調製物は、ポリマー組み合わせ調製物の事前に形成されたハイドロゲルを含み得る。
【0211】
幾つかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される標的部位に投与するのに有用であるポリマー組み合わせ調製物が粘性溶液であり得ることを理解する。例えば、幾つかの実施形態では、液体のポリマー組み合わせ調製物が、標的部位に投与された際に粘性溶液(例えば、体温で約5,000~15,000センチポアズの粘性を有する溶液、例えば、体温で約10,000センチポアズの粘性を有する溶液)の形態の本明細書に記載される免疫調節組成物が形成されるように標的部位に導入され得る。
【0212】
幾つかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される標的部位に投与するのに有用であるポリマー組み合わせ調製物が、投与された際に一定期間標的部位に実質的に保持され得る粘性溶液であり得ることを理解する。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、シリンジ先端もしくはカテーテル及び/またはシリンジ針を通して)注射可能であるように十分低いが、投与された際に一定期間標的部位に実質的に保持される程十分高い粘性を有する。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約500~10,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約500~3,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約1,000~8,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約2,000~6,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約3,000~7,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約4,000~8,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約5,000~9,000センチポアズの粘性を有し得る。幾つかの実施形態では、このような粘性液体のポリマー組み合わせ調製物は、室温で約6,000~10,000センチポアズの粘性を有し得る。
【0213】
幾つかの実施形態では、本開示は、液体のポリマー組み合わせ調製物の注入性における粘性の条件及び/または制限が存在し得ることを理解する。例えば、幾つかの実施形態では、注射可能なポリマー組み合わせ調製物は、充填及び一連のゲージの針(例えば、14~20ゲージの針、例えば、16~18ゲージの針)を通した放出の制御に適した粘性を特徴とし得る。あるいは、幾つかの実施形態では、注射可能なポリマー組み合わせ調製物は、充填及び一連の直径のシリンジ先端を通した(すなわち、接続された針なしでの、またはカテーテルを用いた)放出の制御に適した粘性を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、シリンジに充填される(例えば、本明細書に記載される)免疫調節組成物に含まれるポリマー組み合わせ調製物は、可塑剤を更に含み得る。
【0214】
本開示は、特定のポリマー組み合わせ調製物、ならびに移植よりも侵襲性が低くあり得、及び/または全身投与よりも毒性が低くあり得る介入を可能にする投与方法が含まれる技術を提供する。幾つかのかかる実施形態では、改善された投与特性を有する調製物は、液体状態で投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、柔軟な空間充填特性を特徴とする事前に形成されたゲル状態で投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、皮下に投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、免疫調節剤ペイロード(例えば、レシキモド)の持続放出のための近位のデポーとして機能し得る。幾つかの実施形態では、それらは、組織(例えば、腫瘍及び/または例えば、センチネルリンパ節及び/または流入領域リンパ節)の再プログラム化を可能にし得る。幾つかの実施形態では、それらは、腫瘍切除手術の前にまたはそれと同時に投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、腫瘍切除部位及び/または原発性腫瘍部位と比較される場合、同側に投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、腫瘍切除部位及び/または原発性腫瘍部位と比較される場合、対側に投与され得る。幾つかの実施形態では、それらは、転移がん、播種性がん及び/または、再発がんを有する患者に投与され得る。幾つかのかかる実施形態では、提供される調製物は、(例えば、当該調製物が、例えば、本明細書に記載されるようなサイズ分布及び/または他のパラメータを特徴とする複数の粒子を含むように、)粒子形態の適切な材料から構成される。
【0215】
C.貯蔵弾性率:ポリマーネットワーク状態
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物がポリマーネットワーク状態である場合、このようなポリマーネットワーク状態は、少なくとも100Pa、少なくとも200Pa、少なくとも300Pa、少なくとも400Pa、少なくとも500Pa、少なくとも600Pa、少なくとも700Pa、少なくとも800Pa、少なくとも900Pa、少なくとも1,000Pa、少なくとも1,100Pa、少なくとも1,200Pa、少なくとも1,300Pa、少なくとも1,400Pa、少なくとも1,500Pa、少なくとも1,600Pa、少なくとも1,700Pa、少なくとも1,800Pa、少なくとも1,900Pa、少なくとも2,000Pa、少なくとも2,100Pa、少なくとも2,200Pa、少なくとも2,300Pa、少なくとも2,400Pa、少なくとも2,500Pa、少なくとも2,600Pa、少なくとも2,700Pa、少なくとも2,800Pa、少なくとも2,900Pa、少なくとも3,000Pa、少なくとも3,500Pa、少なくとも4,000Pa、少なくとも4,500Pa、少なくとも5,000Pa、少なくとも6,000Pa、少なくとも7,000Pa、少なくとも8,000Pa、少なくとも9,000Pa、少なくとも10,000Pa、少なくとも11,000Pa、少なくとも12,000Pa、少なくとも13,000Pa、少なくとも14,000Pa、少なくとも15,000Pa、またはそれ以上の貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のこのようなポリマーネットワーク状態は、15kPa以下、14kPa以下、13kPa以下、12kPa以下、11kPa以下、10kPa以下、9kPa以下、8kPa以下、7kPa以下、6kPa以下、またはそれ以下の貯蔵弾性率を特徴とし得る。上述の範囲の組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のこのようなポリマーネットワーク状態は、100Pa~15kPa、または100Pa~10kPaまたは100Pa~7.5kPaまたは200Pa~5,000Paまたは300Pa~2,500Paまたは500Pa~2,500Pa、または100Pa~500Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、1,000Pa~10,000Paまたは2,000Pa~10,000Paまたは3,000Pa~10,000Paまたは4,000Pa~10,000Paまたは5,000Pa~10,000Paまたは6,000Pa~10,000Paの貯蔵弾性率を特徴とし得る。当業者は、(例えば、Weng et al.,“Rheological Characterization of in situ Crosslinkable Hydrogels Formulated from Oxidized Dextran and N-Carboxyethyl Chitosan” Biomacromolecules,8:1109-1115(2007)に記載されているような)様々な流動学的特徴付け方法が物質の貯蔵弾性率を測定するために使用され得ること、及び場合によっては、物質の貯蔵弾性率は、レオメーター及び/または動的機械分析(DMA)により測定され得ることを理解するであろう。当業者は、流動学的特徴付けが、周囲条件、例えば、温度及び/またはpHによって異なり得ることも理解するであろう。従って、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、対象(例えば、37℃のヒト対象)の体温で、例えば、pH5~8または生理的pH(例えば、pH7)にて測定される(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とする。本明細書に提供される本開示を読むことにより、当業者に明らかであるように、例えば、粒子形態の提供されるポリマー組み合わせ調製物の貯蔵弾性率は、粒子集団のバルク貯蔵弾性率を指す。
【0216】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、18重量%のポロキサマーハイドロゲルの貯蔵弾性率未満の貯蔵弾性率を特徴とし得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、18%(w/w)のポロキサマーハイドロゲルの貯蔵弾性率と比較して少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれ以上が含まれる)減少している、37℃で測定される貯蔵弾性率を特徴とし得る。
【0217】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、適切な温度で一定期間保存される場合、実質的に同じに(例えば、20%以内または10%以内または5%以内に)維持される、(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とし得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、4℃~10℃(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃)の温度で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、実質的に同じに(例えば、20%以内または10%以内または5%以内に)維持される、37℃で測定される(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、室温(例えば、20℃~25℃)で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、実質的に同じに(例えば、20%以内または10%以内または5%以内に)維持される、37℃で測定される(例えば、本明細書に記載されるような)貯蔵弾性率を特徴とし得る。
【0218】
D.位相角:ポリマーネットワーク状態
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、粘弾性物質であることを示す位相角を特徴とし得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、1°~50°、または2°~45°、または3°~40°、または3°~35°、または3°~30°、または3°~25°、または5°~30°、または10°~30°、または15°~25°、または20°~35°の位相角を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、10°~30°または15°~25°の位相角を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物のポリマーネットワーク状態は、5°~15°または10°~20°の位相角を特徴とし得る。当業者によって理解されるように、ポリマー生体材料の位相角は、動的機械分析、例えば、周波数掃引分析により決定され得、それは例えば、試料の剪断貯蔵弾性率及び剪断損失弾性率の決定を含む。物質の貯蔵弾性率または弾性率は、その貯蔵エネルギーに基づいて決定され得、物質の弾性特性を表し、一方で、損失弾性率または粘性率は、熱として放散されたエネルギーに基づいて決定され得、物質の粘性特性を表すことを当業者は理解するであろう。位相角(δ)は損失弾性率に対する貯蔵弾性率の比率のアークタンジェントであり、その値は物質がより弾性であるか、またはより粘性であるかを示す。典型的には、45°超の位相角は、粘性特性が支配的であり、物質がより溶液のように振る舞うことを示す。位相角が0°に近づくにつれて、弾性(固体またはゲル状)特性が支配的となる。例えば、大きい貯蔵弾性率及び小さい位相角を有する物質は、より小さい貯蔵弾性率及び位相角を有するものと比べてより強い(より弾性がある)ゲルであることを示す。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態の(例えば、本明細書に記載されるような)提供されるポリマー組み合わせ調製物の位相角は、処置される対象の体温の身体に相当する温度で実行される周波数掃引分析により決定され得る。幾つかの実施形態では、周波数掃引分析は、一定の0.4%歪みを印加しながら0.1~10Hzの周波数範囲にわたり実行され得る。
【0219】
E.溶解/分解速度
本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、通常、生体適合性である。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、インビボで生分解性であり得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、(例えば、酵素及び/または酸化メカニズムによる)生物分解に対する耐性を示し得る。幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物中の少なくとも1種のポリマー成分は、化学的に酸化され得る。従って、幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、生理学的環境内、例えば、対象の身体内、例えば、対象の標的部位で化学的及び/または生物学的に分解されることが可能である。本開示を読む当業者は、提供されるポリマー組み合わせ調製物の分解速度は、例えば、ポロキサマーの種類及び/または第2のポリマー(例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるヒアルロン酸及び/またはキトサンなどの炭水化物ポリマー)の選択ならびに(例えば、本明細書に記載されるような)それらの材料特性及び/または濃度に基づいて異なり得ることを理解するであろう。例えば、提供されるポリマー組み合わせ調製物の半減期(ポリマー組み合わせ調製物の50%が単量体及び/または他の非ポリマー部分に分解される時間)は、およそ数日、数週間、数ヶ月、または数年程度であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、例えば、酵素活性または細胞機構によって、例えば、(例えば、相対的に低いpHを有する)リゾチームへの曝露によって、または単純な加水分解によって生物学的に分解され得る。幾つかの例では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、細胞に対して非毒性である単量体(例えば、ポリマーの単量体)及び/または非ポリマー部分に分解され得る。当業者によって理解されるように、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物がインビボでのより遅い分解速度を有する場合、投与に際した標的部位(例えば、腫瘍切除部位)でのより長い残留時間を有する。
【0220】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物は、4℃~10℃の温度(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃)で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、実質的に均質のままである(例えば、検出可能な相分離がない)。幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物は、室温で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、実質的に均質のままである(例えば、検出可能な相分離がない)。
【0221】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物は、4℃~10℃の温度(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃)で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、当該ポリマー組み合わせ調製物の20%以下またはそれ以下(例えば、15%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、またはそれ以下が含まれる)が(例えば、生物分解または化学的分解により)分解されることを特徴とし得る。幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー組み合わせ調製物は、室温で一定期間、例えば、少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、またはより長期間が含まれる)保存される場合、当該ポリマー組み合わせ調製物の20%以下またはそれ以下(例えば、15%以下、10%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、またはそれ以下が含まれる)が(例えば、生物分解または化学的分解により)分解されることを特徴とし得る。
【0222】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の2日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0223】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の3日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0224】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の5日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0225】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の7日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0226】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、またはそれ以下が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存する。上述したものの組み合わせも可能である。例えば、幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの30%~80%または40%~70%が投与の14日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0227】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物のうちの10%以下またはそれ以下(例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、またはそれ以下が含まれる)が投与の10日以上後にインビボで標的部位に残存することを特徴とする。
【0228】
提供されるポリマー組み合わせ調製物が免疫調節性である(例えば、2020年5月1日に出願されたPCT/US20/31169(WO2020/223698A1として公開された)に記載されるように、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストとして作用する)幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物は、(例えば、本明細書に記載される)試験対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に投与することによりインビボで評価される場合に、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物が、免疫応答が1つ以上の側面で刺激されるような速度で溶解または分解されることを特徴とする。例えば、幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物は、少なくとも2日またはより長期間(例えば、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも9日、少なくとも10日、またはより長期間が含まれる)の間、自然免疫が1つ以上の側面(例えば、パターン認識受容体、インフラマソーム、及び/またはcGAS-STING経路の活性化;及び/または炎症性サイトカインの産生、及び/または抗原提示機構及び/または共刺激分子の上方調節)で刺激されるような速度で溶解または分解される。幾つかの実施形態では、このような提供されるポリマー組み合わせ調製物は、15日以下またはより短期間(例えば、10日以下、9日以下、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、またはより短期間が含まれる)の間、自然免疫が1つ以上の側面(例えば、限定されるものではないが、パターン認識受容体、インフラマソーム、及び/またはcGAS-STING経路の活性化;及び/または炎症性サイトカインの産生、及び/または抗原提示機構及び/または共刺激分子の上方調節が含まれる、例えば、本明細書に記載されるもの)で刺激されるような速度で溶解または分解される。
【0229】
F.ペイロード放出速度
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、1種以上のペイロード(例えば、レシキモド)を送達するのに有用であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、1種以上のペイロードは、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)で投与される場合、ポリマー組み合わせ調製物が当該標的部位での治療薬の放出を、溶液中の同じ治療薬の投与と比較して延長するように、当該ポリマー組み合わせ調製物中に分散していてもよい。ある特定の実施形態では、このようなポリマー組み合わせ調製物は、標的部位(例えば、腫瘍切除部位)での治療薬の放出を、溶液中の同じ治療薬の投与と比較して少なくとも5分間、10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、または4週間延長し得る。幾つかの実施形態では、このようなポリマー組み合わせ調製物は、治療薬の放出を延長し得、その結果、投与後の特定の時点で評価される場合、溶液中の当該治療薬が投与される場合に観察されるのと比べてより多くの当該治療薬が標的投与部位(例えば、腫瘍切除部位)に存在する。例えば、幾つかの実施形態では、投与の24時間後に評価される場合、標的投与部位(例えば、腫瘍切除部位)に放出され、存在する治療薬の量は、溶液中の当該治療薬が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の48時間後に評価される場合、標的投与部位(例えば、腫瘍切除部位)に放出され、存在する治療薬の量は、溶液中の当該治療薬が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の3日後に評価される場合、標的投与部位(例えば、腫瘍切除部位)に放出され、存在する治療薬の量は、溶液中の当該治療薬が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。幾つかの実施形態では、投与の5日後に評価される場合、標的投与部位(例えば、腫瘍切除部位)に放出され、存在する治療薬の量は、溶液中の当該治療薬が投与される場合に観察されるのと比べて少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)多い。
【0230】
G.インビボでの有効性
幾つかの実施形態では、少なくとも1種の治療薬(例えば、レシキモド)が、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及び/またはそれを含む組成物に組み込まれ得る。幾つかの実施形態では、このようなポリマー組み合わせ調製物は、ポリマーネットワーク状態の当該ポリマー組み合わせ調製物を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群が、投与の2ヵ月後に評価される場合に、免疫調節剤ペイロードを含有しない同じポリマー組み合わせ調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率より高い生存率を有することを特徴とする。幾つかのかかる実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物(免疫調節剤ペイロードが組み込まれている)を腫瘍切除部位に有する、自然転移がある試験動物群において観察される生存率の増加は、投与の2ヵ月後に評価される場合に、免疫調節剤ペイロードを含有しない同じポリマー組み合わせ調製物を腫瘍切除部位に有する比較可能な試験動物群の生存率と比較して少なくとも30%以上(少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)である。
【0231】
III.提供されるポリマー組み合わせ調製物の例示的実施形態
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、リン酸塩緩衝液または炭酸塩緩衝液中にpH7~8で調製される。幾つかの実施形態では、リン酸塩緩衝液は、10~50mM(例えば、10mM、20mM、30mM、40mM、または50mMが含まれる)の濃度を有し得る。幾つかの実施形態では、重炭酸塩緩衝液は、25~200mM(例えば、25mM、50mM、75mM、100mM、125mM、150mM、175mM、または200mMが含まれる)の濃度を有し得る。
【0232】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、温度応答性であり、約10~30℃の臨界ゲル化温度を有する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、室温付近、例えば、10~15℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、室温付近、例えば、15~20℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、室温付近、例えば、20~25℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、約25~28℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、約28~32℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、約32~34℃の臨界ゲル化温度を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、約34~37℃の臨界ゲル化温度を有し得る。
【0233】
特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~12.5%(w/w)または6~10%(w/w)のポロキサマー407及び1~2MDaの平均分子量を有する0.5~3%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物(例えば、ポリマーネットワーク状態への移行時の)は、約300Pa~約4,600Paまたは約300Pa~約6,500Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa、約3,200~3,600Pa、約3,400~3,800Pa、約3,600~4,000Pa、約3,800~4,200Pa、約4,000~4,400Pa、約4,200~4,600Pa、約4,400~4,800Pa、約4,600~5,000Pa、約4,800~5,200Pa、約5,000~5,400Pa、約5,200~5,600Pa、約5,400~5,800Pa、約5,600~6,000Pa、または約5,800~6,500Pa)の範囲であってよい貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物(例えば、ポリマーネットワーク状態への移行時の)は、約2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0234】
特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~12.5%(w/w)、7~12.5%(w/w)、7~11.5%(w/w)、6~11.5%(w/w)、5~11.5%(w/w)、5~11%(w/w)、5~10.5%(w/w)、6~10.5%(w/w)、6~10%(w/w)、7~11%(w/w)、または8~11%(w/w)のポロキサマー407を、500kDa~900kDaの平均分子量を有する0.5~3%(w/w)のヒアルロン酸、0.5~2%(w/w)のヒアルロン酸、1~2%(w/w)のヒアルロン酸、1~3%(w/w)のヒアルロン酸、1~4%(w/w)のヒアルロン酸、2~5%(w/w)のヒアルロン酸、3~6%(w/w)のヒアルロン酸、または4~7%(w/w)のヒアルロン酸と共に含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物(例えば、ポリマーネットワーク状態への移行時の)は、約100Pa~約7,600Pa、100Pa~約15,000Pa、または500Pa~約18,000Paの範囲であってよい貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物(例えば、ポリマーネットワーク状態への移行時の)は、約300Pa~約8,000Pa、(例えば、約400to800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa、約3,200~3,600Pa、約3,400~3,800Pa、約3,600~4,000Pa、約3,800~4,200Pa、約4,000~4,400Pa、約4,200~4,600Pa、約4,400~4,800Pa、約4,600~5,000Pa、約4,800~5,200Pa、約5,000~5,400Pa、約5,200~5,600Pa、約5,400~5,800Pa、約5,600~6,000Pa、約5,800~6,200Pa、約5,800~6,400Pa、約6,000~6,400Pa、約6,200~6,600Pa、約6,400~6,800Pa、約6,600~7,000Pa、約6,800~7,200Pa、約7,000~7,400Pa、約7,200~7,600Pa、約7,400~7,800Pa、約7,600~8,000Pa)の範囲であってよい貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物(例えば、ポリマーネットワーク状態への移行時の)は、約2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0235】
ある特定の実施形態では、高分子量のヒアルロン酸を含むポリマー組み合わせ調製物は、実施例5の表10に記載される製剤を含む。
【0236】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~12.5%(w/w)、8~12.5%(w/w)、6~11.5%(w/w)、6~11%(w/w)、7~11%(w/w)、8~11%(w/w)、6~10.5%(w/w)、または6-10%(w/w)のポロキサマー407を、100kDa~500kDaの平均分子量を有する1~4%(w/w)のヒアルロン酸、2~5%(w/w)のヒアルロン酸、または1~10%(w/w)のヒアルロン酸、または1.5~10%(w/w)のヒアルロン酸、または3~6%(w/w)のヒアルロン酸、または4~7%(w/w)のヒアルロン酸と共に含む。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、10.9%(w/w)、10.8%(w/w)、10.7%(w/w)、10.6%(w/w)、10.5%(w/w)、10.4%(w/w)、10.3%(w/w)、10.2%(w/w)、10.1%(w/w)、10.0%(w/w)、9.9%(w/w)、9.8%(w/w)、9.7%(w/w)、9.6%(w/w)、9.5%(w/w)、または9.0%(w/w)のポロキサマー407を、100kDa~500kDaの平均分子量を有する1~4%(w/w)のヒアルロン酸、または2~5%(w/w)のヒアルロン酸、または1~10%(w/w)のヒアルロン酸、または1.5~10%(w/w)のヒアルロン酸、または3~6%(w/w)のヒアルロン酸、または4~7%(w/w)のヒアルロン酸と共に含む。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~12.5%(w/w)、8~12.5%(w/w)、8~11%(w/w)、6~11%(w/w)、6~10.5%(w/w)、または6~10%(w/w)のポロキサマー407、及び100kDa~300kDaの平均分子量を有する0.5~10%(w/w)のヒアルロン酸または1.5~10%(w/w)のヒアルロン酸または2~6%(w/w)のヒアルロン酸または4~9%(w/w)のヒアルロン酸を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、10.9%(w/w)、10.8%(w/w)、10.7%(w/w)、10.6%(w/w)、10.5%(w/w)、10.4%(w/w)、10.3%(w/w)、10.2%(w/w)、10.1%(w/w)、10.0%(w/w)、9.9%(w/w)、9.8%(w/w)、9.7%(w/w)、9.6%(w/w)、9.5%(w/w)、または9.0%(w/w)のポロキサマー407、及び100kDa~300kDaの平均分子量を有する0.5~10%(w/w)のヒアルロン酸、または1.5~10%(w/w)のヒアルロン酸、または2~6%(w/w)のヒアルロン酸、または4~9%(w/w)のヒアルロン酸を含む。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407及び100kDa~200kDaの平均分子量を有する2~6%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約3,400Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~11%(w/w)、6~10.5%(w/w)、または6~10%(w/w)のポロキサマー407及び100kDa~200kDaの平均分子量を有する1~10%(w/w)または1.5~10%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約5,000Paまたは300Pa~約6,500Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa、約3,200~3,600Pa、約3,400~3,800Pa、約3,600~4,000Pa、約3,800~4,200Pa、約4,000~4,400Pa、約4,200~4,600Pa、約4,400~4,800Pa、約4,600~5,000Pa、約4,800~5,200Pa、約5,000~5,400Pa、約5,200~5,600Pa、約5,400~5,800Pa、約5,600~6,000Pa、約5,800~6,200Pa、約5,800~6,400Pa、約6,000~6,400Pa、約6,200~6,500Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約20~35°の位相角を特徴とし得る。
【0237】
ある特定の実施形態では、低分子量のヒアルロン酸を含むポリマー組み合わせ調製物は、実施例5の表9に記載される製剤を含む。
【0238】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407または6~10%(w/w)のポロキサマー407、及び70kDa~200kDaまたは80kDa~150kDaの平均分子量を有する1~10%(w/w)または1.5~9%(w/w)または1~5%(w/w)または5~10%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約200Pa~約6,500Paまたは約200Pa~約5,900Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約6,500Paまたは400Pa~約4,600Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa、約3,200~3,600Pa、約3,400~3,800Pa、約3,600~4,000Pa、約3,800~4,200Pa、約4,000~4,400Pa、約4,200~4,600Pa、約4,400~4,800Pa、約4,600~5,000Pa、約4,800~5,200Pa、約5,000~5,400Pa、約5,200~5,600Pa、約5,400~5,800Pa、約5,600~6,000Pa、約5,800~6,200Pa、約5,800~6,400Pa、約6,000~6,400Pa、約6,200~6,500Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~32°または約15~35°の位相角を特徴とし得る。
【0239】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー338及び1~2MDaの平均分子量を有する1~3%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約980Pa~約1,300Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0240】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、5~12.5%(w/w)または8~11.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー338を、500kDa~900kDaの平均分子量を有する1~4%(w/w)のヒアルロン酸と共に含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約1,400Pa~約2,700Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0241】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー338及び100kDa~350kDaの平均分子量を有する1~5%(w/w)のヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約500Pa~約1,350Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0242】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407及び2.5~5%(w/w)の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約1,000Pa~約5,000Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0243】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407、500kDa~900kDaの平均分子量を有する0.5~5%(w/w)のヒアルロン酸、及び0.1~1.5%の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約3,400Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0244】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)または6~11%(w/w)または6~10.5%(w/w)または6~10%(w/w)のポロキサマー407、80kDa~150kDaの平均分子量を有する0.5%~10%(w/w)または1~10%(w/w)または1~5%(w/w)のヒアルロン酸、及び0.1~5%(w/w)または0.2~5%(w/w)または0.1~3%(w/w)の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン及び/またはキトサン-フェニルコハク酸)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約3,400Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0245】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407、500kDa~900kDaの平均分子量を有する1~5%(w/w)のヒアルロン酸、及び0.2~4%の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約3,400Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0246】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、8~12.5%(w/w)または8~11%(w/w)のポロキサマー407、100kDa~500kDaの平均分子量を有する1~5%(w/w)のヒアルロン酸、及び0.2~4%の修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約400Pa~約3,400Pa(例えば、約400~800Pa、約600~1,000Pa、約800~1,200Pa、約1,000~1,400Pa、約1,200~1,600Pa、約1,400~1,800Pa、約1,600~2,000Pa、約1,800~2,200Pa、約2,000~2,400Pa、約2,200~2,600Pa、約2,400~2,800Pa、約2,600~3,000Pa、約2,800~3,200Pa、約3,000~3,400Pa)の範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約2~35°または2~20°の位相角を特徴とし得る。
【0247】
ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物は、3.5~5.5%(w/w)または4~5%(w/w)のポロキサマー407、及び1.5~3.5%(w/w)の高分子量ヒアルロン酸(例えば、500kDa超、例えば、600~1500kDaまたは700~1500kDaの平均分子量を有するヒアルロン酸)を含む。幾つかの実施形態では、(例えば、ポリマーネットワーク状態に移行時の)このようなポリマー組み合わせ調製物は、約200Pa~約10,000Pa、500Pa~約9,000Pa、または約1,000Pa~約8,000Pa、または1,000Pa~約6,000Paの範囲であり得る貯蔵弾性率を特徴とし得る。
【0248】
幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、レシキモドを更に含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は更に、レシキモドを0.02mg/mL、0.05mg/mL、0.10mg/mL、0.12mg/mL、0.14mg/mL、0.16mg/mL、0.18mg/mL、0.20mg/mL、0.22mg/mL、0.25mg/mL、0.30mg/mL、0.35mg/mL、0.40mg/mL、0.45mg/mL、0.50mg/mL、0.55mg/mL、0.60mg/mL、0.65mg/mL、0.70mg/mL、0.75mg/mL、0.80mg/mL、0.85mg/mL、0.90mg/mL、0.95mg/mL、1.00mg/mL、1.05mg/mL、1.10mg/mL、1.15mg/mL、1.20mg/mL、1.25mg/mL、1.50mg/mL、または1.80mg/mLの濃度で含む。幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物は、レシキモドを、0.01mg/mL~1.80mg/mL、0.01mg/mL~0.50mg/mL、0.05mg/mL~1.00mg/mL、0.05mg/mL~0.50mg/mL、0.05mg/mL~0.30mg/mL、0.05mg/mL~0.20mg/mL、0.10mg/mL~0.25mg/mL、0.10mg/mL~0.20mg/mL、0.12mg/mL~0.18mg/mL、または0.14mg/mL~0.20mg/mLの濃度で含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、レシキモドを単独の免疫調節性ペイロードとして、0.01mg/mL~0.50mg/mL、0.05mg/mL~0.50mg/mL、0.05mg/mL~0.30mg/mL、0.05mg/mL~0.20mg/mL、0.10mg/mL~0.25mg/mL、0.10mg/mL~0.20mg/mL、0.12mg/mL~0.18mg/mL、または0.14mg/mL~0.20mg/mLの濃度で含む。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物は、レシキモド及び更なるペイロード(例えば、更なる免疫調節性ペイロード)を更に含む。
【0249】
提供される生体材料組成物の調製方法
幾つかの実施形態では、本開示は、提供される生体材料組成物(例えば、ポリマー組み合わせ調製物及びその組成物)を調製する方法を提供する。幾つかの実施形態では、提供される生体材料組成物を調製する提供される方法は、本明細書に記載のレシキモドの固体形態及びその組成物を用いる。幾つかの実施形態では、レシキモドは、固体形態などの形態で本開示に従って提供及び/または用いられる。幾つかの実施形態では、レシキモドは、非晶質形態、結晶質形態、またはそれらの混合物として本開示に従って提供、及び/または用いられる。幾つかの実施形態では、レシキモドは、本明細書に記載の1つ以上のレシキモドの固体形態を含む組成物として本開示に従って提供、及び/または用いられる。
【0250】
幾つかの実施形態では、本開示は、(i)レシキモドの少なくとも1つの固体形態(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VII)を提供することと、(ii)レシキモドの少なくとも1つの固体形態を適当な緩衝液中でポロキサマー及び第2のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン)と組み合わせることと、を含む方法を提供する。
【0251】
幾つかの実施形態では、本開示は、(i)レシキモドの少なくとも1つの固体形態(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VII)を提供することと、(ii)レシキモドの少なくとも1つの固体形態を適当な緩衝液中でポロキサマーと組み合わせることと、(iii)第2のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン)を加えることと、を含む方法を提供する。
【0252】
幾つかの実施形態では、本開示は、(i)例えば本明細書に記載されるようなポリマー組み合わせ調製物を提供することと、(ii)ポリマー組み合わせ調製物を、レシキモドの少なくとも1つの固体形態(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VII)と組み合わせることと、を含む方法を提供する。
【0253】
幾つかの実施形態では、本開示は、(i)適当な量のポロキサマーと少なくとも第2のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン)を適当な緩衝液中で混合して、例えば本明細書に記載されるようなポリマー組み合わせ調製物を提供することと、(ii)ポリマー組み合わせ調製物を、レシキモドの少なくとも1つの固体形態(例えば、レシキモドの形態I、レシキモドの形態II、レシキモドの形態III、レシキモドの形態IV、レシキモドの形態V、レシキモドの形態VI、またはレシキモドの形態VII)と組み合わせることと、を含む方法を提供する。
【0254】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、適量のポロキサマー及び少なくとも第2のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン)を適切な緩衝液中で混合することにより調製され得る。ポロキサマー及び少なくとも第2のポリマー成分(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン)は、独立して、固体粒子調製物または液体調製物であり得る。幾つかの実施形態では、ペイロード(例えば、レシキモド及び場合により更なるペイロード)が、このようなポリマー混合物溶液に添加され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー混合物溶液は、低速度(例えば、100rpm未満の速度)で均質のポリマー溶液が形成されるまで混合され得る。ゲル形成を誘発するために、このような均質のポリマー溶液は、臨界ゲル化温度以上の温度にゲル形成に十分な時間(例えば、10~15分)曝露され得る。
【0255】
幾つかの実施形態では、本開示は、とりわけ、ヒアルロン酸(HA)の固体粒子調製物を、固体粒子調製物または液体調製物であり得る少なくとも第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)と混合することが、HAの液体調製物及び少なくとも第2のポリマーを混合することと比較して、均質のポリマー溶液の形成を促進し得ることを認識している。
【0256】
従って、本明細書において提供される一態様は、ヒアルロン酸(HA)ポリマー調製物及び第2のポリマー調製物の均質なポリマー組み合わせを製造する方法に関する。本方法は、HAポリマー調製物が固体粒子形態である時に当該HAポリマー調製物及び第2のポリマー調製物を組み合わせるステップを含む。幾つかの実施形態では、HAポリマーの固体粒子調製物は、粉末形態のHAポリマーを含む。本開示を読む当業者は、HAポリマーが吸湿性である傾向があり、幾つかの実施形態では、固体粒子調製物中のHAポリマーが、水和されたHAポリマーであり得るか、またはそれを含み得ることを理解するであろう。
【0257】
幾つかの実施形態では、固体粒子形態のHAポリマー調製物は、固体粒子形態(例えば、幾つかの実施形態では、粉末)の少なくとも第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)と組み合わされ得、次いで、一緒に同時に液体溶液(例えば、緩衝液)中溶解され得る。幾つかの実施形態では、固体粒子形態のHAポリマー調製物が、液体形態の少なくとも第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)と組み合わされ得、当該少なくとも第2のポリマー調製物は、幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)溶媒系中の当該第2のポリマーの溶液であり得る。
【0258】
幾つかの実施形態では、かかるHA及び第2のポリマー調製物及び任意に追加のポリマー調製物(複数可)は、均質のポリマー混合物が生成されるような十分な条件下で、かつ均質のポリマー混合物が生成されるような十分な時間組み合わされる。幾つかの実施形態では、このような生成された均質のポリマー混合物は、当該生成された均質のポリマー混合物を臨界ゲル化温度未満の温度で(例えば、幾つかの実施形態では、2~8℃で、または幾つかの実施形態では、周囲温度で)少なくとも1時間以上(例えば、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、またはより長時間が含まれる)維持した後に、検出可能な相分離が観察されないことを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような生成された均質のポリマー混合物は、当該生成された均質のポリマー混合物を臨界ゲル化温度未満の温度で(例えば、幾つかの実施形態では、2~8℃で、または幾つかの実施形態では、周囲温度で)少なくとも1週間以上(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、またはより長期間が含まれる)維持した後に、検出可能な相分離が観察されないことを特徴とする。幾つかの実施形態では、このような生成された均質のポリマー混合物は、当該生成された均質のポリマー混合物を臨界ゲル化温度未満の温度で(例えば、幾つかの実施形態では、2~8℃で、または幾つかの実施形態では、周囲温度で)少なくとも1ヵ月間以上(例えば、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、またはより長期間が含まれる)維持した後に、検出可能な相分離が観察されないことを特徴とする。
【0259】
幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)及び任意に追加のポリマー調製物(複数可)は、それらを周囲温度で及び/または低い剪断速度で混合することにより組み合わされる。幾つかの実施形態では、混合は、機械的撹拌により実行され得る。当業者によって理解されるように、剪断速度は、通常、撹拌ユニット(例えば、撹拌羽根または撹拌棒、例えば、磁気撹拌棒)の寸法及びrpmにより決定され、最も高い剪断速度は、通常、撹拌ユニット(例えば、撹拌羽根または撹拌棒)の先端での速度である。幾つかの実施形態では、放射流を誘発する円柱状の撹拌棒が使用され得る。幾つかの実施形態では、羽根形状に応じて軸流または放射流を誘発するために少なくとも2枚羽根(例えば、2、3、または4枚羽根)の撹拌翼が使用され得る。軸流では動きは軸に平行(上下方向)であり、放射流では動きは軸に対して垂直である。幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物は、それらを周囲温度かつ100rpm未満の速度で混合することにより組み合わされる。
【0260】
幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)及び任意に追加のポリマー調製物(複数可)は、少なくとも5時間(例えば、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも25時間、少なくとも30時間、またはより長時間が含まれる)混合される。幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物及び任意に追加のポリマー調製物(複数可)は、5~30時間または10~24時間混合される。
【0261】
幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)及び任意に追加のポリマー(複数可)は、2~8℃の温度で、例えば、幾つかの実施形態では、少なくとも5時間(例えば、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも25時間、少なくとも30時間、またはより長時間が含まれる)混合され得る。
【0262】
幾つかの実施形態では、HA及び第2のポリマー調製物(例えば、ポロキサマー)及び任意に追加のポリマー(複数可)(例えば、CMCH)は、2~8℃の温度で混合され、次いで、例えば、相分離を予防するために、ポリマーネットワーク状態に達するように、素早くそれぞれのCGT(例えば、本明細書に記載される適切なCGT)以上である温度にされる。幾つかのかかる実施形態では、得られるポリマーネットワークは、送達の準備ができるまで、それぞれのCGT(例えば、本明細書に記載される適切なCGT)以上である温度で、例えば、幾つかの実施形態では、周囲温度で保存され得る。幾つかの実施形態では、得られるポリマーネットワークは、それを溶液及び/または液体調製物として提供するために、それぞれのCGT(例えば、本明細書に記載される適切なCGT)未満の温度で送達され得る。
【0263】
幾つかの実施形態では、ペイロード(例えば、レシキモド及び場合により更なるペイロード)が、HA及び第2のポリマー調製物の均質混合物に組み込まれ得る。幾つかの実施形態では、ペイロード(例えば、レシキモド及び場合により更なるペイロード)は、HA及び第2のポリマー調製物をペイロードと組み合わせることにより添加され得る。幾つかの実施形態では、組み合わされるペイロード(例えば、レシキモド及び場合により更なるペイロード)は、固体粒子調製物であり得る。幾つかの実施形態では、組み合わされるペイロード(例えば、レシキモド及び場合により更なるペイロード)は、液体調製物(例えば、本明細書に記載のレシキモドの固体形態から調製されるペイロードの液体調製物)であり得る。
【0264】
幾つかの実施形態では、生成された均質のポリマー混合物(ペイロードを含有するか、または含有しない)は、ハイドロゲルが形成されるように十分な時間、当該ポリマー混合物の臨界ゲル化温度以上のゲル化温度に曝露され得る。幾つかの実施形態では、生成された均質のポリマー混合物(ペイロードを含有するか、または含有しない)は、約35~39℃のゲル化温度に曝露され得る。幾つかの実施形態では、生成された均質のポリマー混合物(ペイロードを含有するか、または含有しない)は、約37℃のゲル化温度に曝露され得る。幾つかの実施形態では、生成された均質のポリマー混合物(ペイロードを含有するか、または含有しない)は、ゲル化温度に5分~30分間曝露される。
【0265】
提供される生体材料組成物の使用
本明細書に記載の調製物及び/または組成物は、例えば、これらに限定されるものではないが、免疫調節及び/または薬物送達をはじめとする様々な医療用途で有用となり得る。したがって、幾つかの実施形態では、本明細書に記載の調製物及び/または組成物は、医薬組成物の投与を必要とする対象に投与するための医薬組成物として製剤化することができる。したがって、一態様では、本明細書において、必要とする対象に本明細書で記載及び/または用いられる調製物もしくは組成物またはこれらを含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0266】
幾つかの実施形態では、提供されるポリマー組み合わせ調製物及び/または組成物は、(例えば、本明細書に記載されるような)投与する必要がある対象への投与のための医薬組成物として、定型的な手順に従って製剤化され得る。幾つかの実施形態では、このような医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得、本明細書で使用する場合、これらとしては、所望の特定の剤形に適したあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006、参照により本明細書に組み入れられる)は、医薬組成物を製剤化する際に使用される様々な賦形剤及びその調製のための既知の技術を開示している。好適な薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝食塩水、グリセロール、糖、例えば、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、またはその他、デキストロース、脂肪酸エステルなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0267】
医薬組成物は、必要に応じて、活性化合物と有害な反応を起こさないか、またはそれらの活性に干渉しない補助剤(例えば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味料、及び/または芳香剤など)と混合され得る。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、無菌であり得る。好適な医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。医薬組成物は、液体溶液、懸濁液、またはエマルションであり得る。
【0268】
医薬組成物は、定型的な手順に従って、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物の調製は、投与様式に適していなければならない。例えば、幾つかの実施形態では、注射用の医薬組成物は、通常、無菌の水性等張緩衝液を含み得る。必要な場合、医薬組成物は、注射部位の痛みを緩和するための局所麻酔薬も含み得る。幾つかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)医薬組成物の成分は、別々に供給されるか、または単回使用型に、例えば、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物の量を示す気密密閉された容器、例えば、アンプルもしくはサッシェ中もしくは無菌のシリンジ中の乾燥した凍結乾燥粉末もしくは水分のない濃縮物として一緒に混合される。医薬組成物が注射により投与される場合には、幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む乾燥した凍結乾燥粉末組成物は、水性緩衝液で再構成され得、次いで、注入される必要がある対象の標的部位に注入され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物は、注射及び/またはロボット手術システム(例えば、da Vinci System)による投与のためにシリンジ中に提供され得る。
【0269】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物が、針、カニューレ、またはトロカールを用いるか、または用いない投与のためにシリンジ中に提供され得る。
【0270】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物が、噴霧により投与され得る。
【0271】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物の投与は、最小侵襲手術に使用するためにガスにより支援され得る。
【0272】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む液状組成物の投与は、各バレルが別個のポリマー成分調製物を含有し、共有されるプランジャーが押し下げられると複数のポリマー成分調製物が組み合わされるマルチバレルシリンジを使用することにより達成され得る。
【0273】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの医療向け投与(ethical administration)に好適な医薬組成物を対象とするが、かかる組成物は、一般に、あらゆる種類の動物またはインビトロもしくはエキソビボの細胞への投与に好適であることが当業者により理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な医薬組成物を様々な動物またはインビトロもしくはエキソビボの細胞への投与に好適なものにするための当該組成物の改変はよく理解されており、当業者、例えば、獣医薬理学者は、たとえ行うにしても、通常の実験を行うだけで、かかる改変を設計及び/または実行し得る。
【0274】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるか、または今後開発される任意の方法により調製され得る。例えば、かかる準備方法は、提供されるポリマー組み合わせ調製物の成分及びレシキモドを、希釈剤もしくは別の賦形剤及び/または1種以上の他の補助的成分と混合し、次いで、必要とされ、及び/または望ましい場合、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングするステップを含む。あるいは、かかる準備方法は、生成物を所望の単回使用ユニットまたは複数回使用ユニットに成形及び/またはパッケージングする前に、ポリマーネットワーク生体材料を本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物の成分から事前に形成させるステップも含み得る。
【0275】
本開示による医薬組成物は、単回使用ユニットとして、及び/または複数の単回使用ユニットとして調製され得、パッケージングされ得、及び/またはまとめて販売され得る。本明細書で使用する場合、「単回使用ユニット」は、個別の量の本明細書に記載の医薬組成物である。例えば、医薬組成物の単回使用ユニットは、幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)の事前に形成されたポリマーネットワークであり得るか、もしくはそれを含み得るか、または幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)の個々の成分の液体混合物もしくはコロイド混合物であり得るか、もしくはそれを含み得る、所定の量の本明細書に記載される組成物及び/またはポリマー組み合わせ調製物を含む。
【0276】
本明細書に記載される医薬組成物中の(例えば、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料としての、またはこのようなポリマーネットワーク生体材料の前駆体成分(複数可)としての)提供されるポリマー組み合わせ調製物の個々の成分及びレシキモド、ならびに任意により、任意の追加の薬剤、例えば、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意の追加の成分の相対量は、例えば、ポリマー生体材料の所望の材料特性、標的部位のサイズ、注射量、処置される対象の健康状態及び医学的状態、及び/またはがんの種類に応じて異なり得、更にこのような医薬組成物が投与される経路にも依存し得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドは、所望の治療効果(例えば、限定されるものではないが、少なくとも1つ以上の側面での抗腫瘍免疫の誘発、例えば、自然免疫の誘発)を提供するための有効量で医薬組成物中に提供され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドは、がんを処置するための有効量で医薬組成物中に提供され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドは、腫瘍再発及び/または転移を阻害するか、またはそのリスクもしくは発生率を低減するための有効量で医薬組成物中に提供される。ある特定の実施形態では、有効量は、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドの治療有効量である。ある特定の実施形態では、有効量は、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドの予防有効量である。
【0277】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、このような組成物が、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモド以外に1種以上の物質/薬剤を含み得、かかる他の物質(複数可)/薬剤(複数可)が、個別にまたは一緒になって、当該ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドの関連する免疫調節特性(複数可)、例えば、自然免疫調節特性(複数可)を実質的に変化させない範囲で、当該ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)及びレシキモドから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0278】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、養子移入される細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、T細胞を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍抗原を含まない。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、エクスビボでロードされる腫瘍抗原を含まない。
【0279】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、液体形態(例えば、溶液またはコロイド)である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、固体形態(例えば、ゲル形態)である。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が十分な架橋により対象の体外で発生し得、その結果、得られる物質は、物理的に操作され、外科的処置において移植されるのを可能にする固体形態と一致する貯蔵弾性率を有する。従って、幾つかの実施形態では、固体形態の医薬組成物は、本開示の使用目的(例えば、外科移植)を実施するのに適していてもよい。ある特定の実施形態では、液体形態から固体形態への移行が熱架橋により生体内原位置で(例えば、対象の体内で)発生し得、その結果、得られる物質は固体形態と一致する貯蔵弾性率を有する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁液である。
【0280】
幾つかの実施形態では、本明細書で記載及び/または用いられる調製物または組成物、またはこれらを含む医薬組成物は、がんの治療に有用であり得る。幾つかのそのような実施形態では、投与される対象は、がんに罹患した対象である。幾つかの実施形態では、投与される対象は、再発性または播種性がんに罹患しているかまたは罹患しやすい対象である。幾つかの実施形態では、投与される対象は、腫瘍切除対象である。
【0281】
多数の実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物は、生体適合性であり、様々な医療適用に、例えば、幾つかの実施形態では、薬物送達担体または製剤(例えば、持続放出薬物送達組成物)として有用である。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物は、疾患、障害、または状態の処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組成物及びそれを含む組成物は、がんの処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物は、がんの発症を遅延させるか、その進行を遅らせるか、またはその1つ以上の症状を改善するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物は、原発性腫瘍の再成長を低減または阻害するのに有用である。幾つかの実施形態では、腫瘍の再発及び/または転移の発生を低減または阻害する本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物及びそれを含む組成物は、抗腫瘍免疫を誘発するのに有用である。
【0282】
従って、本明細書において提供される幾つかの態様は、投与の必要がある対象の標的部位に本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物を投与する方法に関する。幾つかの実施形態では、このような組成物を投与される対象は、腫瘍を有し得る。幾つかのかかる実施形態では、方法は、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物の腫瘍内投与または腫瘍周囲投与を含む。幾つかの実施形態では、このような組成物を投与される対象は、(例えば、外科的腫瘍切除による)腫瘍除去を受けていてもよく、または腫瘍除去を受けたことがあってもよい。幾つかの実施形態では、このような組成物を投与される対象は、腫瘍再発及び/または転移を有し得る。幾つかのかかる実施形態では、方法は、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物を含む組成物の対象の腫瘍切除部位での手術時投与を含む。
【0283】
幾つかの実施形態では、組成物の投与を必要とする対象に投与される組成物は、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドを含む。幾つかの実施形態では、本開示の方法で用いられるかかる提供される組成物は、本明細書に記載の医薬組成物として製剤化することができる。
【0284】
幾つかの実施形態では、方法は、提供される調製物もしくは組成物またはこれらを含む医薬組成物を腫瘍切除対象の標的部位に投与することを含む。幾つかの実施形態では、かかる調製物もしくは組成物またはこれらを含む医薬組成物は、腫瘍切除部位に投与される。
【0285】
幾つかの実施形態では、投与は埋め込みによって行うことができる。例えば、幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル)のポリマー組み合わせ調製物を含む調製物または組成物は、埋め込みによって投与することができる。
【0286】
幾つかの実施形態では、投与は注射によって行うことができる。幾つかの実施形態では、注射はロボットアームによって行うことができる。例えば、幾つかの実施形態では、前駆体状態(例えば、液体状態または注射可能な状態)のポリマー組み合わせ調製物を含む調製物は注射によって投与され、投与時に前駆体状態がポリマーネットワーク状態(例えば、より粘性の溶液またはコロイド状態またはハイドロゲル)に移行する。
【0287】
幾つかの実施形態では、投与は腹腔鏡術と同時に、またはその後に行うことができる。幾つかの実施形態では、投与は、最小侵襲手術(MIS)、例えば、腫瘍切除のためのロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術と同時に、またはその後に行うことができる。
【0288】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、腫瘍の除去後に、例えば、当該対象の腫瘍重量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍重量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を投与する必要がある対象の標的部位に、当該対象の腫瘍容量に対して50%以上またはそれ以上(例えば、当該対象の腫瘍容量に対して55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上が含まれる)の除去後に投与することを含む。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物の投与前に、腫瘍切除を実行して対象の腫瘍を除去することを含む。
【0289】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された直後に、当該対象の標的部位に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の標的部位に手術中に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、腫瘍切除術の対象の腫瘍が外科的腫瘍切除により除去された後の24時間以下以内(例えば、18時間以内、12時間以内、6時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、またはそれ以下以内が含まれる)に当該対象の標的部位に手術後に投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、外科的介入から12ヵ月以下以内(例えば、外科的介入の11ヵ月以内、10ヵ月以内、9ヵ月以内、8ヵ月以内、7ヵ月以内、6ヵ月以内、5ヵ月以内、4ヵ月以内、3ヵ月以内、2ヵ月以内、または1ヵ月以内が含まれる)の1つ以上の時点で1つ以上の標的部位に手術後に1回以上投与される。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される組成物は、外科的介入の31日以内(例えば、30日以内、29日以内、28日以内、27日以内、26日以内、25日以内、24日以内、23日以内、22日以内、21日以内、20日以内、19日以内、18日以内、17日以内、16日以内、15日以内、14日以内、13日以内、12日以内、11日以内、10日以内、9日以内、8日以内、7日以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、または1日以内が含まれる)の1つ以上の時点で1つ以上の標的部位に手術後に1回以上投与される。
【0290】
幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の欠如を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陰性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられない)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、切除断端陽性(すなわち、例えば、腫瘍切除部位を囲む組織の組織学的評価に基づいて、顕微鏡的に切除断端にがん細胞がみられる)を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、このような腫瘍切除部位は、総残存腫瘍抗原の存在を特徴とし得る。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、腫瘍切除部位に近接する部位(例えば、4インチ以内、3.5インチ以内、3インチ以内、2.5インチ以内、2インチ以内、1.5インチ以内、1インチ以内、0.5インチ以内、0.4インチ以内、0.3インチ以内、0.2インチ以内、0.1インチ以内、またはそれ以下以内;例えば、10センチメートル以内、9センチメートル以内、8センチメートル以内、7センチメートル以内、6センチメートル以内、5センチメートル以内、4センチメートル以内、3センチメートル以内、2センチメートル以内、1センチメートル以内、0.5センチメートル以内、またはそれ以下以内)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、センチネルリンパ節であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、投与の標的部位は、流入領域リンパ節であるか、またはそれを含む。
【0291】
当業者により理解されるように、本開示に従って有用である組成物は、当該技術分野において公知の適切な送達手法を使用して、投与する必要がある対象の標的部位に投与され得る。例えば、幾つかの実施形態では、提供される技術は、注射による投与に適用できてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、通常、1つ以上の小切開を伴う最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術による投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、到達しやすい切除及び/または皮膚切除の状況における投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の一部としての手術中の(例えば、注射による)投与に適していてもよい。幾つかの実施形態では、提供される技術は、例えば、幾つかの実施形態では、低侵襲投与のためにロボット手術システム(例えば、da Vinci System)を必要とする、(例えば、注射による)投与に適していてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、注射に有用であり得、及び/または低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術、及び/または1つ以上の到達しやすい切除及び/または皮膚切除を伴う処置の状況において有用であり得る組成物は液体であり、このような組成物中に提供されるポリマー組み合わせ調製物は、対象の標的部位(例えば、腫瘍切除部位)に注射されると、液体溶液状態からポリマーネットワーク状態(例えば、ハイドロゲル)に移行し、幾つかの実施形態では、このような移行が当該対象の体温への曝露により引き起こされるポリマー溶液(例えば、粘性ポリマー溶液)であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、構造的完全性に悪影響を及ぼすことなく圧縮可能である事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料におけるポリマー組み合わせ調製物は、例えば、低侵襲的処置、例えば、最小侵襲手術(MIS)、例えば、ロボット支援MIS、ロボット手術、及び/または腹腔鏡手術及び/または腹腔鏡処置により注入され得る。
【0292】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、移植による投与に適用できてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、本開示による組成物中に提供されるポリマー組み合わせ調製物は、事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料である。例示的なポリマーネットワーク生体材料は、ハイドロゲルであるか、またはそれを含む。例えば、幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位(例えば、腫瘍切除により生じた空洞容量)に投与され得る。幾つかの実施形態では、提供される組成物は、外科移植により腫瘍切除部位に投与され得、生体接着剤により固定され得る。幾つかの実施形態では、投与は、手術中に(すなわち、腫瘍切除の直後に)実行され得る。
【0293】
幾つかの実施形態では、例えば、抗腫瘍免疫などの所望の治療効果(複数可)を達成するためのポリマー組み合わせ調製物及び/またはそれに組み込まれる治療薬の量は、例えば、対象の性別、年齢、及び全身状態、がんの種類及び/または重症度、自然免疫のポリマー生体材料アゴニストの有効性などに応じて対象によって異なり得る。
【0294】
幾つかの実施形態では、本開示は、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む組成物の投与が抗腫瘍免疫を提供するのに十分であり、従って、例えば、(例えば、本明細書に記載される)投与の必要がある対象への腫瘍抗原の投与及び/または免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を必ずしも必要としないような技術を提供する。従って、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)に当該対象に腫瘍抗原を投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)の当該対象への免疫細胞(例えば、T細胞)の養子移入を含まない。
【0295】
ある特定の実施形態では、本開示は、例えば、腫瘍抗原及び/または免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞など)の養子移入との併用療法として投与される場合に、ポリマー組み合わせ調製物の投与が特に有効となるような技術を提供する。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象が本明細書において記載及び/または利用される組成物を投与された後の、例えば、1ヵ月以下以内(例えば、3週間以内、2週間以内、1週間以内、5日以内、3日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内が含まれる)の当該対象への免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞など)の養子移入を含む。
【0296】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象のがんの処置に有用である。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、切除可能な腫瘍の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、固形腫瘍(例えば、限定されるものではないが、芽細胞腫、がん腫、胚細胞腫瘍、及び/または肉腫)の処置に使用される。幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、脾臓またはリンパ系以外の組織、例えば、甲状腺または胃に存在するリンパ腫の処置に使用される。
【0297】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、限定されるものではないが、聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性単クローン免疫グロブリン症;胆道癌(例えば、胆管癌);胆管癌;膀胱癌;骨癌;乳房癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;心臓腫瘍;子宮頚癌(例えば、子宮頚部腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌);結合組織癌;上皮性癌;乳管内上皮内癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポシ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット腺癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);胃腸管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頚部癌(例えば、頭頚部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽喉癌(例えば、咽頭(laryngeal)癌、咽頭(pharyngeal)癌、上咽頭癌、中咽頭癌);造血器癌(例えば、リンパ腫、原発性肺リンパ腫、気管支関連リンパ組織リンパ腫、脾リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、小児B細胞非ホジキンリンパ腫);血管芽腫;組織球増加症;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;免疫細胞アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌);肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性ヘパトーマ);肺癌(例えば、気管支原性癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌);平滑筋肉腫(LMS);黒色腫;正中線癌;多発性内分泌腫瘍症候群;筋肉癌;中皮腫;鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;神経線維腫(例えば、1型または2型神経線維腫症(NF)、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨癌);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);副甲状腺癌;乳頭状腺癌;陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);咽頭癌;松果体腫;下垂体癌;胸膜肺芽腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;網膜芽細胞腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);脂腺癌;胃癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌);胸腺癌;甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;子宮癌;膣癌;外陰癌(例えば、外陰部パジェット病)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる、がんを処置するのに有用である。
【0298】
ある特定の実施形態では、がんは、乳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、皮膚癌である。ある特定の実施形態では、がんは、黒色腫である。ある特定の実施形態では、がんは、肺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、腎臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、肝臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膵臓癌である。ある特定の実施形態では、がんは、結腸直腸癌である。ある特定の実施形態では、がんは、膀胱癌である。ある特定の実施形態では、がんは、リンパ腫である。ある特定の実施形態では、がんは、前立腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、甲状腺癌である。ある特定の実施形態では、がんは、脳癌である。ある特定の実施形態では、がんは、胃癌である。ある特定の実施形態では、がんは、食道癌である。
【0299】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫、虫垂癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、気管支癌、カルチノイド腫瘍、心臓腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、脊索腫、結腸直腸癌、結合組織癌、頭蓋咽頭腫、乳管内上皮内癌、内皮肉腫、子宮内膜癌、上衣腫、上皮性癌、食道癌、ユーイング肉腫、眼癌、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、胃腸管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌、血管芽腫、組織球増加症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、上皮内腫瘍、免疫細胞アミロイドーシス、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、平滑筋肉腫(LMS)、黒色腫、正中線癌、多発性内分泌腫瘍症候群、筋肉癌、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経内分泌癌、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、腫瘍随伴症候群、副甲状腺癌、乳頭状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体腫、下垂体癌、胸膜肺芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞腫瘍、前立腺癌、直腸癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、脂腺癌、皮膚癌、小腸癌(small bowel cancer)、小腸癌(small intestine cancer)、軟部組織肉腫、胃癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、血管癌、外陰癌、またはそれらの組み合わせを処置するのに有用である。
【0300】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、提供される組成物を(例えば、本明細書に記載される)腫瘍切除術の対象の標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後の3ヵ月またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における腫瘍再成長または腫瘍増殖(tumor outgrowth)のリスクまたは発生について腫瘍切除部位または遠位部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートに基づいて対象が腫瘍再発のリスクまたは発生を有すると判定される場合、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0301】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供される技術は、転移がんに罹患している対象を処置するのに有用であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、腫瘍切除(例えば、原発性腫瘍の外科的切除)を受けた1つ以上の転移に罹患している対象の(例えば、本明細書に記載される)標的部位に投与すること、及び任意に、投与後に、例えば、投与後の3ヵ月またはより長期間毎(例えば、6ヵ月毎、9ヵ月毎、1年毎、またはより長期間毎が含まれる)に当該対象における少なくとも1つの転移部位をモニタリングすること、を含み得る。モニタリングレポートの結果に基づいて、幾つかの実施形態では、対象は、(例えば、本明細書に記載される)第2の組成物を投与され得、及び/または異なる治療計画(例えば、化学療法)を実施され得る。
【0302】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、提供される組成物を腫瘍切除前に投与することを含まない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、提供される組成物を腫瘍切除前に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、提供される組成物を腫瘍切除と同時に腫瘍切除部位に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、提供される組成物を腫瘍切除後に腫瘍切除部位に投与することを含む。
【0303】
本明細書に記載される組成物が1種以上の追加の医薬品及び/または治療計画と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。例えば、幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、併用療法の一部として投与され得る。例えば、組成物は、それらの代謝を低減及び/または修飾し、それらの排泄を阻害し、及び/または身体内でのそれらの分布を修飾する追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、全身的治療、例えば、化学療法、放射線治療、及び/または免疫調節療法と併用して投与される。幾つかの実施形態では、免疫調節療法は、薬剤、例えば、低分子、ペプチド、タンパク質、糖類、ステロイド、抗体、融合タンパク質、核酸薬剤(例えば、限定されるものではないが、アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム、及び低分子干渉RNA)、ペプチド模倣体などの全身投与及び/または局所投与を含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、併用療法は、本明細書に記載される組成物及び(例えば、PD-1/PD-L1経路の阻害による)免疫チェックポイント阻害療法を含み得る。幾つかの実施形態では、併用療法は、本明細書に記載される組成物及び化学療法薬を含み得る。好適な化学療法薬は、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害剤、及び/または有糸分裂阻害剤が含まれる、種々の抗がん剤のクラスのうちのいずれかの中で見出され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、併用療法の一部として少なくとも1つ以上の追加の治療法の前、その間、及び/またはその後に投与される。用いられる追加の治療法は、同一の障害について所望の効果を達成し得、及び/または異なる効果を達成し得ることも理解されるであろう。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、養子移入細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、T細胞ではない。ある特定の実施形態では、追加の医薬品は、本明細書に記載の組成物の投与の複数日または複数週間後に投与される。
【0304】
幾つかの実施形態では、本明細書において提供されるポリマー調製物は、それに組み込まれたペイロード(例えば、レシキモド)の持続放出を提供するのに有用であり得る。
【0305】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、局所的薬剤放出が有利であり得る広範囲の疾患に罹患している対象を処置するのに有用であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、再生医療において使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、組織工学において使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、医用イメージング(例えば、X線、CTスキャン、及び/または放射性同位体イメージング)を補助するために使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、歯科医療(例えば、歯の修復)において使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、皮膚科用途(例えば、顔の皺及び/または皺襞を処置するための注射)に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、化粧品及び/または形成外科において使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、整形外科用途(例えば、骨創の治癒、変形性関節炎、脊椎固定術、及び/または椎間板)に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、失禁及び他の泌尿器科の適応症(例えば、泌尿器及び/または肛門)の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、心不全の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、難聴の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、表皮創傷及び/または体内創傷被覆材に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、術後癒着の予防に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、免疫調節分子の局所的持続送達が含まれる、癌免疫療法に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、(例えば、免疫調節分子の局所的及び/または持続的送達による)自己免疫疾患及び/またはリウマチ疾患の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、(例えば、線維症及び/または瘢痕の予防または治癒のための抗線維化分子の局所的及び/または持続的送達による)線維症及び/または瘢痕の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、(例えば、感染の予防及び/または処置のための抗感染分子、例えば、アジスロマイシン、レムデシビル、及び/または当技術分野において公知の任意の好適な抗生物質及び/または抗ウイルス薬の局所的及び/または持続的送達による)感染の処置に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、(例えば、疼痛の緩和のための鎮痛分子、例えば、ケトロラク、ブピバカイン、及び/または当技術分野において公知の任意の好適な鎮痛剤の局所的及び/または持続的送達による)疼痛の緩和に使用され得る。
【0306】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される技術は、眼病理の処置のための分子の持続的放出に特に有用であり得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、硝子体内注射に特に適していてもよい。ある特定の実施形態では、提供される技術は、局所投与に特に適していてもよい。ある特定の実施形態では、提供される技術は、緑内障及び/または高眼圧を(例えば、β(アドレナリン)遮断薬、プロスタグランジンアナログ、炭酸アンヒドラーゼ阻害剤、副交感神経アナログ、α2アドレナリンアゴニスト、Rhoキナーゼ阻害剤、及び/またはドコサノイドの局所的及び/または持続的放出により)処置するために使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、加齢性黄斑変性を(例えば、当技術分野において公知の任意の抗VEGF薬剤、VEGF阻害剤、抗VEGFR薬剤、及び/またはVEGFR阻害剤の局所的及び/または持続的放出により)処置するために使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、症候的硝子体黄斑癒着を(例えば、オクリプラスミン及び/または当該技術分野において公知の任意のα2抗プラスミン分解剤の局所的及び/または持続的放出により)処置するために使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、任意の眼科手術後の手術後炎症を(例えば、ケトロラク、ロテプレドノール、デキサメタゾン、コルチコステロイド、及び/または当該技術分野において公知の任意の好適な抗炎症剤の局所的及び/または持続的放出により)処置するために使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、眼科処置用の麻酔薬を送達するために使用され得る(例えば、リドカイン及び/または当該技術分野において公知の任意の適切な麻酔剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、局所投与または小管内投与のいずれかによりアレルギー結膜炎を(例えば、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト及び/またはデキサメタゾンの局所的及び/または持続的送達により)処置するために使用され得る。ある特定の実施形態では、提供される技術は、細菌結膜炎及び/または角膜潰瘍を処置するために使用され得る(例えば、フルオロキノロン及び/または当該技術分野において公知の他の好適な抗菌剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、シスチン症を処置するために使用され得る(例えば、システアミン塩酸塩及び/または当該技術分野において公知の他の好適なシステイン除去剤及び/またはソマトスタチン阻害剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、神経栄養性角膜炎を処置するために使用され得る(例えば、神経成長因子及び/または当該技術分野において公知の他の好適な抗神経栄養性角膜炎剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、網膜静脈分枝閉塞症または網膜中心静脈閉塞症後の黄斑浮腫を処置するために使用され得る(例えば、デキサメタゾン及び/または当該技術分野において公知の他の好適なコルチコステロイド剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、ドライアイを処置するために使用され得る(例えば、サイクロスポリン及び/または他の好適な免疫調節剤の局所的及び/または持続的送達)。ある特定の実施形態では、提供される技術は、HSVにより媒介される角膜炎を処置するために使用され得る(例えば、トリフルリジン及び/または当該技術分野において公知の他の好適な抗ウイルス剤の局所的及び/または持続的送達)。
【0307】
ある特定の実施形態では、治療される対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍切除されるヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍切除手術に適していないヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント化学療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、(術前)ネオアジュバント化学療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント放射線治療を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法及び放射線療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント分子標的療法を受けていないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、ネオアジュバント化学療法を受けていないヒト患者である。幾つかの実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬療法を受けているか、受けたか、または受ける予定である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬療法を受けている。ある特定の実施形態では、対象は、唯一の治療介入として分子標的療法(例えば、ネオアジュバント療法及び/またはアジュバント療法として記載されるものなどの治療法)を受けたヒト患者及び/または受けているヒト患者(例えば、外科的切除が実行可能な選択肢でない対象)である。幾つかの実施形態では、対象は、ある特定の他のがん治療(例えば、限定されるものではないが、同時刺激、腫瘍溶解性ウイルス、CAR T細胞、トランスジェニックTCR、TIL、ワクチン、BiTE、ADC、サイトカイン、自然免疫のモジュレーター、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる)を受けているか、受けたか、または受ける予定である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けたヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント遮断薬(例えば、抗CTLA-4、抗PD-1、及び/または抗PD-L1)が含まれるネオアジュバント免疫療法を受けておらず、及び/または受ける予定がないヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、(固形がん効果判定基準(RECIST)または免疫関連効果判定基準(irRC)により定義されるように)腫瘍がネオアジュバント療法に客観的に反応しなかった、及び/または客観的に反応しない(例えば、安定疾患、進行)ヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、標的病変がネオアジュバント療法に客観的に反応した、及び/または客観的に反応している(例えば、部分奏効、完全奏効)ヒト患者である。非標的病変は、不完全反応、安定疾患、または進行を示し得る。ある特定の実施形態では、対象は、(術後)補助療法として免疫療法を受けるのに適しているヒト患者である。ある特定の実施形態では、対象は、家畜化された動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、伴侶動物、例えば、イヌまたはネコである。ある特定の実施形態では、対象は、家畜動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、またはヤギである。ある特定の実施形態では、対象は、動物園動物である。別の実施形態では、対象は、研究動物、例えば、げっ歯類、ブタ、イヌ、または非ヒト霊長類である。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒトトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックマウスまたはトランスジェニックブタである。
【0308】
キット
本開示は、本明細書において提供される技術を実施するのに有用であるキットも提供する。幾つかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物及び容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/またはディスペンサー容器、または他の好適な容器)を含む。幾つかの実施形態では、キットは、単回使用物品及び/または複数回使用物品として提供され得る送達技術、例えば、シリンジ、バッグなど、またはそれらの構成要素を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の1種以上の成分(複数可)は、1つ以上の容器中に別々に提供される。例えば、ポリマー組み合わせ調製物の個々の成分(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、ポロキサマー及び第2のポリマー、例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアント)は、幾つかの実施形態では、別個の容器中に提供され得る。幾つかのかかる実施形態では、生体材料の個々の成分(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、ポロキサマー及び第2のポリマー、例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアント)は、それぞれ独立して、乾燥した凍結乾燥粉末、乾燥粒子、または液体として提供され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物の個々の成分(例えば、本明細書に記載されるもの、例えば、限定されるものではないが、ポロキサマー及び第2のポリマー、例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアント)は、容器中の単一の混合物として提供され得る。幾つかのかかる実施形態では、単一の混合物は、乾燥した凍結乾燥粉末、乾燥粒子、または液体(例えば、均質の液体)として提供され得る。
【0309】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)は、容器中の事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料として提供され得る。幾つかの実施形態では、このような事前に形成されたポリマーネットワーク生体材料(例えば、ハイドロゲル)は、乾燥状態で提供され得る。幾つかの実施形態では、事前に形成された(粘性ポリマー溶液の形態の)ポリマーネットワーク生体材料は、容器中に提供され得る。
【0310】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、本明細書に記載の組成物または医薬組成物の希釈または懸濁のための医薬品賦形剤を含む容器を任意に含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、水溶液を含む容器を含み得る。幾つかの実施形態では、提供されるキットは、緩衝液を含む容器を含み得る。
【0311】
幾つかの実施形態では、提供されるキットは、レシキモド(例えば、本明細書に記載される1つ以上の固体形態)を含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、レシキモドは、対象への投与前にそれを(例えば、本明細書に記載される)ポリマー組み合わせ調製物の液体混合物に添加できるように別個の容器中に提供され得る。幾つかの実施形態では、レシキモドは、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物に組み込まれ得る。
【0312】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、本明細書に記載される方法を実施するための使用説明書を更に含む。本明細書に記載されるキットは、必要に応じて、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関による情報も含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書において提供されるキットに含まれる情報は、例えば、がんの処置のための処方情報である。使用説明書は、種々の形態でキットに存在し得、これらのうちの1つ以上がキットに存在し得る。これらの使用説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または基材に印刷された情報、例えば、キットのパッケージング、添付文書などの情報が印刷されている紙または複数の紙としてである。更に別の手段は、使用説明情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CD、USBドライブなどであり得る。存在し得る更に別の手段は、使用説明情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の便利な手段がキットに存在し得る。
【0313】
本発明の他の特徴は、以下の代表的実施形態の説明を通じて明らかとなるであろう。それらの代表的実施形態は、本発明の説明のために提供するものであり、本発明を限定することを意図しない。
【実施例
【0314】
以下の実施例は、いずれの請求項の範囲も限定することを意図するものではない。以下の非限定的な実施例は、本発明の教示を更に説明するために示されるものである。当業者であれば、本明細書を考慮することで本明細書に示される具体的な実施形態に多くの変更を行うことが可能であり、それでもなお、本発明の教示の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または同等の結果を得ることができる点は認識されよう。
【0315】
実施例1.レシキモドの固体形態の調製及び特性評価
材料及び方法
X線粉末解析(XRPD):XRPDパターンは、以下のパラメータを用いてPANalytical DYY884-AERIS-300回折計で収集した。
【表20】
【0316】
示差走査熱量測定(DSC):DSCサーモグラムを、以下のパラメータを用いてTA InstrumentsのDSC250装置で収集した。
【表21】
【0317】
熱重量分析(TGA):TGAサーモグラムを、以下のパラメータを用いてTA InstrumentsのTGA550装置で収集した。
【表22】
【0318】
レシキモドの形態I
レシキモドの形態Iを調製するための代表的な手順を以下に示す。DCM及びヘプタンを用いた貧溶媒再結晶化により得られたレシキモド(10mg)(形態Iを得るために下記に述べられる)を、スクリュー熱硬化性PTFEライナーキャップを備えた透明なガラスバイアルに加え、ジエチルエーテル(5mL)を加えた。混合物を1分間ボルテックスし、加熱及び冷却温度サイクル(50~5℃)を行うためにThermoMixer(Eppendorf)中に保持した。ThermoMixer中で加熱を50℃で6時間、冷却を5℃で6時間で固定した。加熱速度を3℃/分に、冷却速度を1℃/分に維持した。1000RPMでの5回の加熱・冷却サイクルの完了後、懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。
【0319】
レシキモドの形態IのXRPDパターンを図1に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表23】
【0320】
図2のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度193.6℃及びピーク温度195.1℃の吸熱を示した。図3は、試料のTGA曲線を示し、200℃までに1.985%の重量損失を示した。
【0321】
また、DCM及びヘプタンを用いた貧溶媒再結晶化により得られたレシキモド(10mg)(形態Iを得るために下記に述べられる)を透明なガラスバイアルに加えてから、アセトン(0.5mL)を加えることによりレシキモドの形態Iを調製した。混合物を1分間ボルテックスし、加熱及び冷却温度サイクル(50~5℃)を行うためにThermoMixer(Eppendorf)中に保持した。ThermoMixer中で加熱を50℃で6時間、冷却を5℃で6時間で固定した。加熱速度を3℃/分に、冷却速度を1℃/分に維持した。1000RPMでの5回の加熱/冷却サイクルの完了後、懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。
【0322】
また、レシキモドの形態Iを以下の手順に従って調製した。DCMに2-(エトキシメチル)-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン 5-オキシド(34.0kg)を加えた混合物を反応器に加え、混合物を0~10℃に冷却した。0~10℃の温度を維持しつつ、トリクロロアセチルイソシアネート(1.00kg)をアルゴン雰囲気下で反応物に徐々に加えた。反応混合物を0~10℃で20~30分間撹拌した後、25~35℃、次いで40~45℃に昇温させた。反応混合物を40~45℃で1~2時間撹拌した。その後、約3~4倍量の溶媒を真空下で除去した。メタノール(2.4L)を加えた後、3~4倍量の溶媒を真空下で留去した。再びメタノール(2.4L)を加えた後、3~4倍量の溶媒を真空下で留去した。次いで、メタノール(16.0L)を加え、次いでナトリウムメトキシドのメタノール溶液(5.2kg)を加えた。次いで反応混合物を50~55℃に1~2時間加熱した。次いで約3~4倍量の溶媒を真空下で留去し、混合物を35℃に冷却した。DCM(4.0L)を加えた後、3~4倍量の溶媒を真空下で留去し、このプロセスを2回繰り返した。DCM(16L)及び水(16L)を加え、混合物を撹拌し、有機層を回収した。水層をDCM(16L)で更に2回抽出した。加え合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。約3~4倍量の濾液を真空下で除去し、酢酸エチル(2.4L)を加えた。これを2回繰り返した。次いで混合物を50~55℃に昇温した後、25~35℃に冷却し、1~2時間撹拌した。固形物が形成され、これを濾過により回収し、真空下で乾燥して粗レシキモドを得た。粗レシキモド(375g)を25~35℃でジクロロメタン(37.5L)に加えた。混合物を1~2時間還流した後、25~35℃に冷却し、濾過した。濾液を約15Lの体積にまで濃縮した後、35~40℃に加熱した。次いでヘプタン(15L)を混合物に35~40℃で徐々に加えた。混合物を35~40℃で1~2時間撹拌した後、25~35℃に冷却し、1~2時間撹拌した。得られた固体を濾過により回収し、50~55℃で減圧下で乾燥してレシキモドの形態Iを得た。
【0323】
レシキモドの形態II
レシキモドの形態IIを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(10mg)を透明なガラスバイアルに加え、メチルイソプロピルケトン(0.5mL)を加えた。混合物を1分間ボルテックスし、加熱及び冷却温度サイクル(50~5℃)を行うためにThermoMixer(Eppendorf)中に保持した。ThermoMixer中で加熱を50℃で6時間、冷却を5℃で6時間で固定した。加熱速度を3℃/分に、冷却速度を1℃/分に維持した。1000RPMでの5回の加熱/冷却サイクルの完了後、懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。
【0324】
レシキモドの形態IIのXRPDパターンを図4に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表24】
【0325】
図5のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度140.7℃及びピーク温度145.4℃の第1の吸熱と、開始温度156.7℃及びピーク温度159.7℃の第2の吸熱を示した。図6は、試料のTGA曲線を示し、170℃までに15.941%の重量損失を示した。
【0326】
レシキモドの形態III
レシキモドの形態IIIを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(10mg)を透明なガラスバイアルに加え、1,4-ジオキサン(0.5mL)を加えた。混合物を1分間ボルテックスし、50℃で7日間撹拌した。7日後に懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。
【0327】
レシキモドの形態IIIのXRPDパターンを図7(上のスペクトル)に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表25】
【0328】
乾燥させると、レシキモドの形態IIIがレシキモドの形態Iに変換された。乾燥した試料は図8に示されるDSC曲線を示し、開始温度193.6℃及びピーク温度195.3℃の吸熱を示し、形態Iへの変換と一致した。図9は、乾燥した試料のTGA曲線を示し、200℃以下で実質的に重量損失はなく、形態Iへの変換とやはり一致した。
【0329】
レシキモドの形態IV
レシキモドの形態IVを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(15mg)を透明なガラスバイアルに加え、テトラヒドロフラン(0.5~1mL)を加えた。混合物を40℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を0.45μmのPVDFフィルターに通して濾過し、濾液を2~8℃で一晩維持した後、-20℃で1日維持した。溶液を周囲条件で1日間蒸発させた後、真空下で室温にて2日間蒸発させてから固形物を回収した。
【0330】
レシキモドの形態IVのXRPDパターンを図10に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表26】
【0331】
図11のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度193.1℃及びピーク温度194.7℃の吸熱を示した。図12は、試料のTGA曲線を示し、200℃までに6.965%の重量損失を示した。
【0332】
レシキモドの形態V
レシキモドの形態Vを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(15mg)を透明なガラスバイアルに加え、メチルエチルケトン(0.5~1mL)を加えた。混合物を40℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を0.45μmのPVDFフィルターに通して濾過し、濾液を2~8℃で一晩維持した後、-20℃で1日維持した。結晶化した試料をXRPDに先立って単離及び乾燥した。
【0333】
レシキモドの形態VのXRPDパターンを図13(上のスペクトル)に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表27】
【0334】
レシキモドの形態Vの試料は、乾燥及び/または粉砕すると形態Iに変換されることが観察された。図13を参照されたい(下の3つのスペクトル)。
【0335】
図14のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度55.2℃及びピーク温度62.2℃の第1の吸熱と、開始温度194.5℃及びピーク温度195.4℃の第2の吸熱を示した。図15は、試料のTGA曲線を示し、110℃までに3.836%の重量損失を示した。
【0336】
レシキモドの形態VI
レシキモドの形態VIを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(15mg)を透明なガラスバイアルに加え、アニソール(0.5~1mL)を加えた。混合物を40℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を0.45μmのPVDFフィルターに通して濾過し、濾液を2~8℃で一晩維持した後、-20℃で1日維持した。結晶化した試料をXRPDに先立って単離及び乾燥した。
【0337】
レシキモドの形態VIのXRPDパターンを図16に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表28】
【0338】
図17のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度72.7℃及びピーク温度78.2℃の第1の吸熱と、開始温度193.7℃及びピーク温度195.1℃の第2の吸熱を示した。図18は、試料のTGA曲線を示し、110℃までに7.508%の重量損失を示した。
【0339】
レシキモドの形態VII
レシキモドの形態VIIを調製するための代表的な手順を以下に示す。レシキモド(10mg)を透明なガラスバイアルに加え、最小量(0.25~1mL)の2-メチルテトラヒドロフランに撹拌及びときどき超音波処理して溶解した。溶液を0.45μmのフィルターに通して濾過し、メチルt-ブチルエーテル(3~5mL)を攪拌下で徐々に加えた。混合物を2~8℃で16時間撹拌した。懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。
【0340】
レシキモドの形態VIのXRPDパターンを図19に示し、対応するデータを下記に要約する。
【表29】
【0341】
図20のDSC曲線に示されるように、試料は開始温度95.0℃及びピーク温度108.9℃の第1の吸熱と、開始温度160.9℃及びピーク温度171.8℃の第2の吸熱を示した。図21は、試料のTGA曲線を示す。
【0342】
実施例2.レシキモドの多形体のスクリーニング
加熱-冷却温度サイクルによる多形体のスクリーニング
レシキモドの形態I(10mg)を透明なガラスバイアル中に秤量し、0.5mLの溶媒を加えた。混合物を1分間ボルテックスし、加熱及び冷却温度サイクル(50~5℃)を行うためにThermoMixer(Eppendorf)中に保持した。ThermoMixer中で加熱を50℃で6時間、冷却を5℃で6時間で固定した。加熱速度を3℃/分に、冷却速度を1℃/分に維持した。1000RPMでの5回の加熱/冷却サイクルの完了後、懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。溶液を室温で真空下(-700mmHg)で蒸発させた。すべての固体試料を新たな多形形態の評価についてXRPDにより分析した。結果を表1に要約する。
【表1】
【0343】
スラリーによる多形体のスクリーニング
レシキモドの形態I(10mg)を透明なガラスバイアル中に秤量し、0.5mLの溶媒を加えた。混合物を1分間ボルテックスし、50℃で攪拌下に置いた。7日後に懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。溶液を室温で真空下(-700mmHg)で蒸発させた。結果を表2に要約する。
【表2】
【0344】
冷却結晶化による多形体のスクリーニング
レシキモドの形態I(15mg)を透明なガラスバイアル中に秤量し、0.5~1mLの溶媒を加えた。混合物を40℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を0.45μmのPVDFフィルターに通して濾過し、濾液を2~8℃に一晩維持した後、-20℃で1日維持した。結晶化した試料をXRPDに先立って単離及び乾燥した。溶液を周囲条件で1日間蒸発させた後、室温で2日間真空蒸発させた。結果を表3に要約する。
【表3】
【0345】
貧溶媒結晶化による多形体のスクリーニング
レシキモドの形態I(10mg)を透明なガラスバイアル中に秤量し、最小量(0.25~1mL)の溶媒に撹拌及びときどき超音波処理して溶解した。これらの溶液を0.45μmのフィルターに通して濾過し、3~5mLの貧溶媒を攪拌下で徐々に加えた。混合物を2~8℃で16時間攪拌下に置いた。懸濁液を遠心分離し、残渣を室温で真空下(-700mmHg)で乾燥した。溶液を室温で真空下(-700mmHg)で2日間、蒸発させた。結果を表4に要約する。
【表4】
【0346】
レシキモドの各固体形態の概要
レシキモドの7つの固体形態が本明細書に記載の多形体スクリーニングから同定された。各形態の概要を表5及び表6に示す。
【表5】
【表6】
【0347】
実施例3.レシキモドの形態Iの目視による溶解度評価
レシキモドの形態Iの試料(10mg)に2段階で溶媒を加え(各段階で0.25mL)、室温で撹拌することにより溶解度を評価した。結果を表7に要約する。
【表7-1】
【表7-2】
【0348】
実施例4.例示的な材料ならびに本明細書に記載される例示的なポリマー組み合わせ調製物の調製方法及び特徴付けならびに参照ポリマー生体材料
本実施例は、本明細書に記載される例示的なポリマー組み合わせの調製物及び特徴付けに関する。幾つかの実施形態では、一方の生体材料(例えば、ポロキサマー)の濃度が増加するにつれて、好適なポリマーネットワークを作製するために必要とされる少なくとも1種の追加の生体材料(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサン/修飾キトサン)の濃度の値が減少に向かう傾向があるという一般性が観察され得る。幾つかの実施形態では、この一般性は、逆方向で適用される(例えば、より低濃度のポロキサマーを使用して形成される好適なポリマーネットワークは、より高い濃度の少なくとも1種の追加の生体材料を使用し得る)。
【0349】
ポロキサマー及びヒアルロン酸を含む例示的なポリマー組み合わせ調製物を以下に示す:
【0350】
0.1MのNaHCO、0.9%の生理食塩水(pH8.1)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の13.5%(w/w)のポロキサマー407及び0.65%(w/w)の1.5MDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0351】
0.1MのNaHCO、0.9%の生理食塩水(pH8.1)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10~12.5%(w/w)のポロキサマー407及び0.65~1%(w/w)の1.5MDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0352】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の9~10%(w/w)のポロキサマー407及び1~1.2%(例えば、1.1%)(w/w)の1.5MDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0353】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~9%(w/w)のポロキサマー407及び1.65~1.75%(w/w)の1.32MDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0354】
10mMのPBS(pH7.4)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10%(w/w)のポロキサマー407及び1~1.5%(例えば、1.3%)(w/w)の773kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0355】
10mMのPBS(pH7.4)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の9~10%(w/w)のポロキサマー407及び1.2~2.5%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0356】
10mMのPBS(pH8)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH8)中の9~10%(w/w)のポロキサマー407及び1.2~2.5%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0357】
10mMのPBS(pH7.4)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の9~11.5%(w/w)のポロキサマー407及び2~2.75%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0358】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の12.3%(w/w)のポロキサマー407及び1.625%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0359】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8%(w/w)のポロキサマー407及び1.75%~2.25%(w/w)の337kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0360】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10%(w/w)のポロキサマー407及び2~6%(w/w)の309kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0361】
22.5mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10%(w/w)のポロキサマー407及び2~6%(w/w)の264~310kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0362】
22.5mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407及び1~4%(w/w)の264~310kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0363】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407及び1~4%(w/w)の119または120kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0364】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10%(w/w)のポロキサマー407及び2~6%(w/w)の119または120kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0365】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407及び1~4%(w/w)の187kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0366】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の10%(w/w)のポロキサマー407及び2~6%(w/w)の187kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0367】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~10%(w/w)のポロキサマー338及び1~1.5%(w/w)の1.32MDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0368】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~10%(w/w)のポロキサマー338及び1.4~2%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0369】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4またはpH8)中の8~10%(w/w)のポロキサマー338及び1.75~2.5%(w/w)の119kDaのヒアルロン酸を含む調製物。
【0370】
ポロキサマー及びキトサンまたは修飾キトサンを含む例示的なポリマー組み合わせ調製物を以下に示す。
【0371】
10mMのPBS、33mMのNaHCO、0.45%の生理食塩水(pH8.1)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の13.5%(w/w)のポロキサマー407及び0.65~1.3%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0372】
10mMのPBS、33mMのNaHCO、0.45%の生理食塩水(pH8.1)または25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407及び2.5~5%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0373】
ポロキサマー、ヒアルロン酸、及びキトサンまたは修飾キトサンを含む例示的なポリマー組み合わせ調製物を以下に示す。
【0374】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407、2~6%(w/w)の119kDaのヒアルロン酸、及び0.2~5%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0375】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407、2~6%(w/w)の187kDaのヒアルロン酸、及び0.2~5%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0376】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407、1~3%(w/w)の773kDaのヒアルロン酸、及び0.1~1%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0377】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407、1.0~3%(w/w)の730kDaのヒアルロン酸、及び0.1~1%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0378】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の6~10%(w/w)のポロキサマー407、1.25~5%(w/w)の309kDaのヒアルロン酸、及び0.2~1.5%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0379】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の6~10%(w/w)のポロキサマー407、1.25~5%(w/w)の119kDaのヒアルロン酸、及び0.5~2.5%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0380】
25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.4)中の8~12.5%(w/w)のポロキサマー407、1.25~5%(w/w)の119kDaのヒアルロン酸、及び0.2~2%(w/w)のカルボキシメチルキトサンを含む調製物。
【0381】
例示的なポリマー組み合わせ調製物のレオロジー解析:
ポリマー組み合わせ調製物から形成されたハイドロゲルのレオロジー解析を、Peltierシステム及び25mmパラレルプレートを備えたRheometric ScientificモデルSR5またはTA Instrumentsのレオメーター、Discovery HR2のいずれかを用い、20mmのパラレルプレート、1,500μmのギャップ、及び0.1Hz~10Hzの周波数掃引、37℃での0.4%の歪み、120秒の静置時間、及び60秒の実行時間を使用して実行した。最大貯蔵弾性率(Pa)及び最小位相角δ°を測定した。
【0382】
細胞株及び細胞培養:
4T1-Luc2乳癌細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640培地で培養した。全ての細胞を加湿インキュベーター内で37℃、5%CO下にて培養した。
【0383】
マウス腫瘍モデル:
全ての動物実験を、6~8週齢の雌性BALB/cマウス(Jackson Laboratories、#000651)を使用して実行した。動物生存試験のために、10個の4T1-Luc2細胞を、マウスの第4乳房脂肪パッドに同所性に接種した。マウスのサイズを一致させた後、処置群に無作為に割り当て、腫瘍接種の10日または12日後に手術を実行した。腫瘍サイズをカリパスにより測定した。原発腫瘍切除のために、2%のイソフルランでマウスに麻酔をかけ、腫瘍を切除し、ハイドロゲルを手術時に手術部位に配置した。
【0384】
ハイドロゲル調製の例示的な方法:
(i)化学架橋されたヒアルロン酸(HA)ハイドロゲル:
HyStem HAハイドロゲルを、HyStemハイドロゲルキット(ESI Bio、GS1004)を使用して調製した。最初に、120μLのGlycosilをテフロン(登録商標)製の型(9mmの直径)に添加した。次に、10μLの免疫調節剤ペイロードを任意に添加し、撹拌して、均質混合物を作製した。最後に、30μLのExtralinkを添加し、ハイドロゲルを1時間架橋させた。
【0385】
(ii)ポロキサマー-HAハイドロゲル:
ポロキサマー-HAハイドロゲルを、適切な量のポロキサマー(例えば、固体粒子調製物または液体調製物)及びHAの固体粒子(例えば、粉末)調製物と4mLのバイアル中で(任意に5μLのレシキモドの40mg/mL溶液(すなわち、DMSO中のR848(Sigma、#SML0196))と共に)組み合わせて、溶液混合物を調製し、この溶液混合物を300rpmで15分間、次いで、100rpmで一晩混合することにより調製した。ゲル形成を誘発するために、溶液混合物を37℃のウオーターバスに配置した。37℃で10~15分後、試料をゲル形成または相分離(ゲル形成なし)について観察した。次いで、得られたゲルを、例えば、本明細書に記載されるようにレオロジー解析に供した。
【0386】
幾つかの実施形態では、次いで、インビボでの投与実験のために200μLを1mLのシリンジ(BD-309602)に移す前に、一晩混合した後の溶液混合物を氷中で少なくとも10分間冷却した。
【0387】
(iii)ポロキサマー-CMCHハイドロゲル:
ポロキサマー-CMCHハイドロゲルを、適切な量のポロキサマー及びCMCHを20mLのバイアル内の適切な緩衝液中に量り取って、溶液混合物を調製し、この溶液混合物を300rpmで15分間、次いで、100rpmで一晩混合することにより調製した。ゲル形成を誘発するために、溶液混合物を37℃のウオーターバスに配置した。37℃で10~15分後、試料をゲル形成または相分離(ゲル形成なし)について観察した。次いで、得られたゲルを、例えば、本明細書に記載されるようにレオロジー解析に供した。
【0388】
幾つかの実施形態では、次いで、インビボでの投与実験のために200μLを1mLのシリンジ(BD-309602)に移す前に、一晩混合した後の溶液混合物を氷中で少なくとも10分間冷却した。
【0389】
実施例5.例示的なポリマー組み合わせ調製物のゲル化性
本実施例5は、ポロキサマー407及び炭水化物ポリマー(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアント)であり得るか、またはそれを含み得る第2のポリマー成分を含む、ある特定の試験されるポリマー組み合わせ調製物のゲル化性を記載する。
【0390】
多数の実施形態では、本明細書において記載及び/または利用されるポリマー組み合わせ調製物は、温度変化に応答して前駆体状態(例えば、ポリマー溶液またはコロイド)からポリマーネットワーク状態に移行するように温度応答性である。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態は、前駆体状態と比べてより粘性の液体またはコロイドである。幾つかの実施形態では、ポリマーネットワーク状態は、ハイドロゲルである。
【0391】
幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される温度応答性のポリマー組み合わせ調製物は、任意の化学架橋剤の非存在下でゲル化温度(例えば、ポリマー組み合わせ調製物の臨界ゲル化温度以上の温度)にて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行する。幾つかの実施形態では、ゲル化温度は、35~39℃の温度(例えば、37℃の温度)であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される温度応答性のポリマー組み合わせ調製物は、いかなる化学架橋剤も存在せずに対象(例えば、ヒト対象)の体温にて前駆体状態からポリマーネットワーク状態に移行する。幾つかの実施形態では、本明細書において記載及び/または利用される温度応答性のポリマー組み合わせ調製物は、約28~35℃または約20~28℃のゾル-ゲル転移温度を示す。
【0392】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、好適な緩衝液中に調製された。ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、水性緩衝系中に調製された。適切なpHの好適な水性緩衝系の例としては、例えば、限定されるものではないが、適切なpHのリン酸塩緩衝液及び/または重炭酸塩緩衝液が挙げられる。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、各々が適切なpHのリン酸緩衝食塩水(PBS)、リン酸ナトリウム食塩水(SPS)、リン酸二水素カリウム緩衝液、リン酸水素二カリウム緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、Tris緩衝液、及び/またはHEPES緩衝液中に調製された。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、1mM~500mMまたは5mM~250mMまたは10mM~150mMの濃度範囲の水性緩衝系中に調製された。ある特定の実施形態では、好適な水性緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)は、10mM~50mMの濃度で調製された。ある特定の実施形態では、好適な水性緩衝液(例えば、重炭酸塩緩衝液)は、100~200mMの濃度で調製された。
【0393】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、中性pH付近のpHを有する好適な緩衝液(例えば、本明細書に記載されるもの)中に調製された。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、6~9のpHを有する好適な緩衝液中に調製され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、7~8のpHを有する好適な緩衝液中に調製され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、7.2~7.6のpHを有する好適な緩衝液中に調製され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、7.4のpHを有する好適な緩衝液中に調製され得る。幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及び/またはその個々の成分は、8.0のpHを有する好適な緩衝液中に調製され得る。
【0394】
様々なポリマー組み合わせ調製物のゲル化性を評価するために、12%(w/w)以下の濃度のポロキサマー及びポロキサマーでない第2のポリマー成分を含むポリマー調製物を、標的温度(例えば、37℃の温度などの対象の体温)に一定時間(例えば、約15~20分)曝露して、ゲル化プロセスを誘発し、次いで、ポリマー調製物の物理的状態(例えば、溶液対ゲル)を観察した。最初にゲル形成特性を決定するために定性的観察を行った。ポリマー組み合わせ調製物は、試料が半透明または不透明になり、傾けられたか、またはひっくり返されたときに流れない場合、「良好なゲル」を形成したとみなされた。この試料は、温度がCGT未満に低下するまで容器/バイアルの形状を維持する。相対的に「弱いゲル」は、「良好なゲル」と比較して傾けられたか、またはひっくり返されたときに流量がより多く、それぞれのCGT未満の溶液と比較して流量がより少ないと定性的に決定された。標的ゲル化温度への曝露後にハイドロゲルを形成するポリマー調製物について、例えば、得られたハイドロゲルの貯蔵弾性率及び/または位相角を決定するために、レオロジー解析を実行した。
【0395】
図22A図22B図23A図23B、及び図24に示すように、リン酸塩緩衝液または重炭酸塩緩衝液(例えば、pH7~8)中の9%~13.5%(w/w)のポロキサマー407(P407)及び0%~2%(w/w)の炭水化物ポリマー(例えば、ヒアルロン酸またはキトサンもしくは修飾キトサン)を含む様々なポリマー組み合わせ調製物をそれらのゲル化性について評価した。
【0396】
幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、例えば、500kDa~1.5MDaの平均分子量を有するヒアルロン酸であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、750kDaの平均分子量を有するヒアルロン酸であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、1.5MDaの平均分子量を有するヒアルロン酸であるか、またはそれを含む。図22Aは、10mMのPBS(pH7.4)中の9.5%~13.5%(w/w)の濃度のP407及び0.65%~1.1%(w/w)の濃度の1.5MDaのヒアルロン酸を含むある特定のポリマー組み合わせ調製物からのゲル形成を示す。図22Bは、0.1Mの重炭酸塩緩衝液(pH8)中の11%~13.5%(w/w)の濃度のP407及び0.5%~1%(w/w)の濃度の1.5MDaのヒアルロン酸を含むある特定のポリマー組み合わせ調製物からのゲル形成を示す。図23Aは、10mMのPBS(pH7.4)中の10%~13.5%(w/w)の濃度のP407及び0.65%~2%(w/w)の濃度の750kDaのヒアルロン酸を含むある特定のポリマー組み合わせ調製物からのゲル形成を示す。図23Bは、0.1Mの重炭酸塩緩衝液(pH8)中の11%~13.5%(w/w)の濃度のP407及び0.65%~2%(w/w)の濃度の730kDaのヒアルロン酸を含むある特定のポリマー組み合わせ調製物からのゲル形成を示す。
【0397】
幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、修飾キトサン(例えば、カルボキシメチルキトサン;CMCH)であるか、またはそれを含む。図24は、10mMのPBS(pH7.4)中の11%~13.5%(w/w)の濃度のP407及び1%~1.8%(w/w)の濃度のCMCHを含むある特定のポリマー組み合わせ調製物からのゲル形成を示す。
【0398】
幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、例えば、100~900kDaの平均分子量を有するヒアルロン酸であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる炭水化物ポリマーは、約119kDa、187kDa、309kDa、730kDa、773kDa、886kDa、またはそれらの任意の組み合わせの平均分子量を有するヒアルロン酸であるか、またはそれを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるかかるポリマー組み合わせ調製物は、修飾キトサンを任意に含み得る。
【0399】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約700~800kDaの分子量を有する1~2.5%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0400】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~4%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0401】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~7%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0402】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、9%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~7%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0403】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約309kDaの分子量を有する2%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0404】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~4%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~2.5%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0405】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、10%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~7%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~2.5%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0406】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、9%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~7%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~2.5%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0407】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、8%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する2.5~5%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0408】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、8%(w/w)のポロキサマー407及び約309kDaの分子量を有する1.5~2.5%(w/w)のヒアルロン酸及び1~1.5%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0409】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、8%(w/w)のポロキサマー407及び約773kDaの分子量を有する1.5%(w/w)のヒアルロン酸及び0.5~1.0%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0410】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、11~12%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する3~5%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0411】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、9~11%(w/w)のポロキサマー407及び約700~800kDaの分子量を有する1.5~3%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0412】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、9~11%(w/w)のポロキサマー407及び約100~200kDaの分子量を有する5~7%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0413】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、6~8%(w/w)のポロキサマー407及び約700~800kDaの分子量を有する2~3%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0414】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、37℃でゲルである)生体材料ポリマー組み合わせは、9~11%(w/w)のポロキサマー407及び約700~800kDaの分子量を有する1~2%(w/w)のヒアルロン酸、ならびに任意に0.1~1%(w/w)の修飾キトサンを含む。
【0415】
幾つかの実施形態では、ある特定のポリマー組み合わせ調製物に含まれる生体材料ポリマーは、表8、表9、表10、または表11に示される組み合わせであるか、またはそれを含む。
【表8】
【0416】
表9、表10、及び表11に記載されるポリマー組み合わせを含む製剤がゲル化特性について試験され、37℃でゲルを形成することが発見された。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物は、ポリマー組み合わせ調製物が透明な溶液から不透明な組成物に変化した場合、組成物が流れないことが観察された場合、及び/またはポリマー組み合わせ調製物中に存在する磁気撹拌棒が磁界の存在下で動かなかった場合に、ゲルを形成するとみなされた。
【表9-1】
【表9-2】
【表10】
【表11】
【0417】
実施例6.例示的なポリマー組み合わせ調製物の流動学的特性
本実施例6は、参照ポリマー生体材料の流動学的特性と比較した、上記の実施例4及び/または実施例5に記載されるような、ある特定の試験されるポリマー組み合わせ調製物の化学架橋された流動学的特性を記載する。具体的には、実施例6は、化学架橋されたヒアルロン酸生体材料の貯蔵弾性率と比較した、上記の実施例4及び/または実施例5に記載されるような、ある特定の試験されるポリマー組み合わせ調製物の貯蔵弾性率を記載する。当業者によって理解されるように、生体材料の貯蔵弾性率を測定するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、幾つかの実施形態では、試験生体材料及び対照生体材料の貯蔵弾性率は、パラレルプレートを備えたレオメーター(例えば、20mmのパラレルプレート、1,500μmのギャップを使用するTA Instrumentsのレオメーター、Discovery HR2)を用い、0.1Hz~10Hzの周波数掃引、37℃での0.4%の歪み、120秒の静置時間、及び60秒の実行時間で測定された。ある特定の試験生体材料の貯蔵弾性率の結果を以下の表12に示す。
【表12】
【0418】
幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、37℃での18%(w/w)のP407ハイドロゲル対照の貯蔵弾性率と顕著な差はなかった。幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、18%(w/w)のP407ハイドロゲル対照の貯蔵弾性率の約半分であった。幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、37℃での18%(w/w)のP407ハイドロゲル対照の約1/10未満であった。幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、37℃での18%(w/w)のP407ハイドロゲル対照の約1/100未満であった。特定の実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、約8~10kPa、約7~9kPa、約6~8kPa、約5~7kPa、約4~6kPa、約3~5kPa、約2~4kPa、約1~3kPa、約500Pa~2kPa、約1kPa、または1kPa未満であった。
【0419】
図25A及び図25Bに示すように、13.5%以下の濃度のP407とヒアルロン酸またはカルボキシメチルキトサンとのポリマー組み合わせ調製物から形成されるハイドロゲルは、18%(w/w)の濃度のP407から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率と比べてより低い、例えば、少なくとも30%以上低い貯蔵弾性率を有する。図25A及び図25Bは、10%のP407及び1%のHA(1.5MDa)のポリマー組み合わせ調製物または13.5%のP407及び1.3%のカルボキシメチルキトサンのポリマー組み合わせ調製物から形成されるハイドロゲルが、12.5%のExtralinkチオール架橋剤で化学架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル(「HyStem」)の貯蔵弾性率と比べてより低い貯蔵弾性率、例えば、少なくとも10%以上低い貯蔵弾性率を有することを示す。
【0420】
ある特定のポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)の保存安定性も評価した。例えば、ポリマー生体材料の保存安定性を評価するために、それらの貯蔵弾性率を一定期間にわたって測定した。
【0421】
図26A図26B図26C、及び図26Dに示すように、ある特定のポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの保存安定性は、それらの貯蔵弾性率が約1ヵ月の期間にわたり顕著に変化しないことにより示されるように、参照生体材料、例えば、18%(w/w)のP407から形成されたハイドロゲルの保存安定性と同等である。幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、概して経時的に安定していた。幾つかの実施形態では、例示的なポリマー組み合わせ調製物(例えば、本明細書に記載されるもの)から形成されるハイドロゲルの貯蔵弾性率は、1週間、2週間、3週間、4週間、または4週間より長期間の間安定していた。
【0422】
実施例7.例示的なポリマー組成の調製物の腫瘍切除術の対象の処置についてのインビボでの評価
本実施例7は、腫瘍切除術の対象に(例えば、腫瘍切除部位で)投与される、ポロキサマー407と、炭水化物ポリマー(例えば、ヒアルロン酸及び/またはキトサンもしくはそのバリアント)であり得るかまたはそれを含み得る第2のポリマー成分とを含むある特定のポリマー組み合わせ調製物のインビボでの有効性を示す。幾つかの実施形態では、かかるポリマー組み合わせ調製物に免疫調節剤ペイロード(例えば、レシキモド)が組み込まれ得る。
【0423】
幾つかの実施形態では、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドを含む提供される組成物は、このような組成物が、腫瘍切除部位での投与後に、腫瘍切除後(例えば、試験対象がマウス対象である場合、腫瘍切除の少なくとも1ヵ月後、または試験対象がヒト対象である場合、腫瘍切除の少なくとも3ヵ月後)の腫瘍再発及び/または転移の発生率を、このような組成物が投与されないか、またはレシキモドの組み込みなしで投与される場合に観察される発生率と比較して、例えば、少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはそれ以上が含まれる)低減する場合に、本開示によるがんの処置(例えば、腫瘍再発または転移の予防またはその可能性の低減が含まれる)に有用であるとみなされ、及び/または決定される。
【0424】
幾つかの実施形態では、雌のBALB/cJsマウスに、100,000個の乳癌細胞(例えば、4T1-Luc2細胞)が同所性に接種された。10日後に腫瘍を外科的に切除し、(i)本明細書に記載される組成物(例えば、ポリマー組み合わせ調製物及びレシキモドを含む)、または(ii)対照組成物(例えば、レシキモドを含有しないポリマー組み合わせ調製物を含む)のいずれかを腫瘍切除部位に配置した。
【0425】
図27A図27B図27C図27D、及び図27Eに示すように、レシキモド(R848)が組み込まれた8~13.5%(w/w)または6~11%(w/w)のポロキサマー(例えば、10%のポロキサマー、例えば、ポロキサマーP407)及び0.6~1.5%(w/w)のHA(例えば、1%の1.5MDaのHA)の組み合わせの架橋ハイドロゲルを腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない当該架橋ハイドロゲルの組み合わせを投与された対照群と比較して、より長い期間、例えば、少なくとも50%以上長い期間にわたって生存した。加えて、レシキモドが組み込まれたこのような架橋ハイドロゲルの組み合わせを投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない架橋ハイドロゲルの組み合わせを投与された対照群と比べて非常に高い生存率を示した。更に、レシキモドが組み込まれた8~13.5%(w/w)のポロキサマー(例えば、10%のポロキサマー、例えば、ポロキサマーP407)及び0.6~1.5%(w/w)のHA(例えば、1%の1.5MDaのHA)の組み合わせのこのような架橋ハイドロゲルの有効性は、レシキモドが組み込まれた化学架橋されたヒアルロン酸ハイドロゲル(「HyStem」)で観察された有効性と比べて同等であったか、またはより優れていた。
【0426】
図28A図28B図28C、及び図28Dに示すように、レシキモドが組み込まれた8~12.5%(w/w)または6~11%(w/w)のポロキサマー(例えば、8%、10%、または12.5%のポロキサマー、例えば、ポロキサマーP407)及び1.2~2.75%(w/w)のHA(例えば、1.625%または2.25%の730KDaのHA)の免疫調節性のポリマー組み合わせを腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された対照群と比較してより長い期間にわたって生存した。加えて、レシキモドが組み込まれたこのような免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された対照群と比べてより高い生存率を示した。
【0427】
図29に示すように、レシキモドが組み込まれた8~12.5%(w/w)または6~11%(w/w)のポロキサマー(例えば、10%のポロキサマー、例えば、P407)及び1~5%(w/w)のHA(例えば、4%の119KDaのHA)の免疫調節性のポリマー組み合わせを腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された対照群と比較してより長い期間にわたって生存した。加えて、レシキモドが組み込まれたこのような免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない免疫調節性のポリマー組み合わせを投与された対照群と比べてより高い生存率を示した。
【0428】
図30に示すように、レシキモドが組み込まれたか、または組み込まれていない8~12.5%(w/w)または6~11%(w/w)のポロキサマー(例えば、10%のポロキサマー、例えば、P407)及び1~5%(w/w)のHA(例えば、2%の309KDaのHA)の免疫調節性のポリマー組み合わせを腫瘍切除部位に投与された腫瘍切除マウス群は、レシキモドを含有しない15%のポロキサマーのみの処置を投与された対照群と比較してより長い期間にわたって生存した。
【0429】
これらの結果は、本明細書に記載されるポリマー組み合わせ調製物が、処置の必要がある対象、例えば、腫瘍切除術の対象を処置するために、レシキモドと組み合わせて使用され得ることを示した。
図1
図2
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【国際調査報告】