(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】漏れ電流検出のための電池診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531367
(86)(22)【出願日】2023-06-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2023008433
(87)【国際公開番号】W WO2024080484
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0130145
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0068061
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ヨン・イ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA10
5G503EA09
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る電池診断装置は、一つ以上の電池が含まれた電池システム内に位置する電池診断装置であって、少なくとも一つのプロセッサ;及び上記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ;を含むことができる。上記少なくとも一つの命令は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の充電情報の状態を収集する命令;上記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の上記電池の電力変化量を算出する命令;及び、上記算出された電力変化量と上記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令;を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の電池が含まれた電池システム内に位置する電池診断装置であって、
少なくとも一つのプロセッサ;及び
前記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ;を含み、
前記少なくとも一つの命令は、
前記電池システムの待機モード状態で、前記電池の充電情報の状態を収集する命令;
前記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の前記電池の電力変化量を算出する命令;及び
前記算出された電力変化量と前記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令;を含む、
電池診断装置。
【請求項2】
前記電池の充電情報の状態を収集する命令は、
前記電池システムが待機モードに切り替えられると、事前に定義された時間が経過した以後に測定された開放電圧値(Vocv)を収集する命令;
前記開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定する命令;及び
前記算出された充電状態値(SOC)を初期充電状態値(SOC_init)として格納する命令;を含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項3】
前記電池の充電情報の状態を収集する命令は、
前記電池システムの待機モード状態で、事前に定義された時間ごとに前記電池の充電状態値(SOC)を決定する命令を含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項4】
前記電池の電力変化量を算出する命令は、
予め格納された初期充電状態値(SOC_init)と前記決定された充電状態値(SOC)との差分値(△SOC)に基づいて、前記電力変化量を算出する命令を含む、
請求項3に記載の電池診断装置。
【請求項5】
前記予想放電電力量は、
前記電池の自己放電電力量;及び前記電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置に提供する内部供給電力量;のうちの少なくとも一つに基づいて定義される、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項6】
前記予想放電電力量は、
前記自己放電電力量と、前記電池が電池管理装置(BMS)に供給する電力量との合算値に、事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義される、
請求項5に記載の電池診断装置。
【請求項7】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの命令は、
前記電池システムの待機モード状態で、前記電池の温度値を収集する命令;及び
前記収集された温度値に基づいて、前記電池の温度変化量を算出する命令をさらに含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項9】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び前記算出された温度変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件を満足する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含む、
請求項8に記載の電池診断装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの命令は、
前記電池がバランシング制御動作を行っているか否かを判断する命令をさらに含み、
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び前記電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件を満足する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項11】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、
前記電池システム内に含まれた複数の電池のうち、漏れ電流が発生した一つ以上の電池を検出する命令を含む、
請求項1に記載の電池診断装置。
【請求項12】
一つ以上の電池が含まれた電池システム内に位置する電池診断装置による電池診断方法であって、
前記電池システムの待機モード状態で、前記電池の充電情報の状態を収集するステップ;
前記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の前記電池の電力変化量を算出するステップ;及び
前記算出された電力変化量と前記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップ;を含む、
電池診断方法。
【請求項13】
前記電池の充電情報の状態を収集するステップは、
前記電池システムが待機モードに切り替えられると、事前に定義された時間が経過した以後に測定された開放電圧値(Vocv)を収集するステップ;
前記開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定するステップ;及び
前記決定された充電状態値(SOC)を初期充電状態値(SOC_init)として格納するステップ;を含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項14】
前記電池の充電情報の状態を収集するステップは、
前記電池システムの待機モード状態で、事前に定義された時間ごとに前記電池の充電状態値(SOC)を決定するステップを含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項15】
前記電池の電力変化量を算出するステップは、
予め格納された初期充電状態値(SOC_init)と前記算出された充電状態値(SOC)との差分値(△SOC)に基づいて、前記電力変化量を算出するステップを含む、
請求項14に記載の電池診断方法。
【請求項16】
前記予想放電電力量は、
前記電池の自己放電電力量;及び前記電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置に提供する内部供給電力量;のうちの少なくとも一つに基づいて定義される、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項17】
前記予想放電電力量は、
前記自己放電電力量と、前記電池が電池管理装置(BMS)に供給する電力量との合算値に、事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義される、
請求項16に記載の電池診断方法。
【請求項18】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項19】
前記電池システムの待機モード状態で、前記電池の温度値を収集するステップ;及び
前記収集された温度値に基づいて、前記電池の温度変化量を算出するステップをさらに含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項20】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び前記算出された温度変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件を満足する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含む、
請求項19に記載の電池診断方法。
【請求項21】
前記電池がバランシング制御動作を行っているか否かを判断するステップをさらに含み、
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、
前記算出された電力変化量が前記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び前記電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件を満足する場合、前記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項22】
前記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、
前記電池システム内に含まれた複数の電池のうち、漏れ電流が発生した一つ以上の電池を検出するステップを含む、
請求項12に記載の電池診断方法。
【請求項23】
複数の電池;及び
前記複数の電池をモニタリング及び制御する電池管理装置;を含み、
前記電池管理装置は、
電池システムの待機モード状態で、前記電池のそれぞれの充電情報の状態を収集し、
前記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の前記電池のそれぞれの電力変化量を算出し、
前記電池のそれぞれに対する電力変化量と予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて漏れ電流が発生した一つ以上の電池を決定する、
電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年10月12日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0130145号、及び2023年5月26日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2023-0068061号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池診断装置及び方法に関し、より具体的には、電池システムの待機モード状態での電力変化量に基づいて電池システム内の漏れ電流の発生有無を検出する、電池診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、放電後にも充電を通じて再使用が可能な電池であって、携帯用電話機、タブレットPC、掃除機など小型デバイスのエネルギー源として活用されることができ、自動車、スマートグリッド用エネルギー貯蔵システム(ESS(Energy Storage System))などの中大型デバイスのエネルギー源としても活用されている。
【0004】
二次電池は、システムの要求条件に応じて多数の電池セルが直・並列に接続された電池モジュール、又は電池モジュールが直・並列に接続された電池パックなどのアセンブリの形態でシステムに適用される。電気自動車など中大型デバイスの場合、該当デバイスの要求容量を満足させるために、多数の電池パックが並列に接続された大容量の電池システムが適用されることができる。
【0005】
電池システムの安定的な運用のためには、電池システム内に備えられる各電気的構成要素の絶縁状態がよく維持されなければならない。仮に絶縁状態が維持されない場合、漏れ電流が発生して、電池システム及びデバイスに誤作動が発生するか、火事が発生し得る。
【0006】
漏れ電流検出技術として、特定位置に配置された漏れ電流検出センサーを用いて電池システム内の漏れ電流の発生有無を判断する方式が主に活用されている。
【0007】
しかしながら、電池システムで電力変換装置(PCS)側に微小電流が漏れるか、電池アセンブリ内での接地不良によって漏れ電流が発生する場合、上記のような従来の技術では漏れ電流を検出することができない。
【0008】
このような従来技術の問題点を解決できる技術として、漏れ電流検出センサーを用いることなく電池システム内の漏れ電流の発生有無を正確に検出することができる適切な技術が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、漏れ電流検出センサーを用いることなく電池システム内の漏れ電流の発生有無を検出することができる電池診断装置を提供することにある。
【0010】
上記のような問題点を解決するための本発明の別の目的は、このような電池診断装置による電池診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池診断装置は、一つ以上の電池が含まれた電池システム内に位置する電池診断装置であって、少なくとも一つのプロセッサ;及び上記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ;を含むことができる。
【0012】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の充電情報の状態を収集する命令;上記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の上記電池の電力変化量を算出する命令;及び、上記算出された電力変化量と上記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令;を含むことができる。
【0013】
上記電池の充電情報の状態を収集する命令は、上記電池システムが待機モードに切り替えられると、事前に定義された時間が経過した以後に測定された開放電圧値(Vocv)を収集する命令;上記開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定する命令;及び上記決定された充電状態値(SOC)を初期充電状態値(SOC_init)として格納する命令;を含むことができる。
【0014】
上記電池の充電情報の状態を収集する命令は、上記電池システムの待機モード状態で、事前に定義された時間ごとに上記電池の充電状態値(SOC)を決定する命令を含むことができる。
【0015】
上記電池の電力変化量を算出する命令は、予め格納された初期充電状態値(SOC_init)と上記算出された充電状態値(SOC)との差分値(△ SOC)に基づいて、上記電力変化量を算出する命令を含むことができる。
【0016】
上記予想放電電力量は、上記電池の自己放電電力量;及び上記電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置に提供する内部供給電力量;のうちの少なくとも一つに基づいて定義されることができる。
【0017】
上記予想放電電力量は、上記自己放電電力量と、上記電池が電池管理装置(BMS)に供給する電力量との合算値に、事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義されることができる。
【0018】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0019】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の温度値を収集する命令;及び、上記収集された温度値に基づいて、上記電池の温度変化量を算出する命令をさらに含むことができる。
【0020】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記算出された温度変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0021】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池がバランシング制御動作を行っているか否かを判断する命令をさらに含むことができる。ここで、上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0022】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記電池システム内に含まれた複数の電池のうち、漏れ電流が発生した一つ以上の電池を検出する命令を含むことができる。
【0023】
上記別の目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池診断方法は、一つ以上の電池が含まれた電池システム内に位置する電池診断装置による電池診断方法であって、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の充電情報の状態を収集するステップ;上記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の上記電池の電力変化量を算出するステップ;及び、上記算出された電力変化量と上記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップ;を含むことができる。
【0024】
上記電池の充電情報の状態を収集するステップは、上記電池システムが待機モードに切り替えられると、事前に定義された時間が経過した以後に測定された開放電圧値(Vocv)を収集するステップ;上記開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定するステップ;及び、上記決定された充電状態値(SOC)を初期充電状態値(SOC_init)として格納するステップ;を含むことができる。
【0025】
上記電池の充電情報の状態を収集するステップは、上記電池システムの待機モード状態で、事前に定義された時間ごとに上記電池の充電状態値(SOC)を決定するステップを含むことができる。
【0026】
上記電池の電力変化量を算出するステップは、予め格納された初期充電状態値(SOC_init)と上記算出された充電状態値(SOC)との差分値(△ SOC)に基づいて、上記電力変化量を算出するステップを含むことができる。
【0027】
上記予想放電電力量は、上記電池の自己放電電力量;及び上記電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置に提供する内部供給電力量;のうちの少なくとも一つに基づいて定義されることができる。
【0028】
上記予想放電電力量は、上記自己放電電力量と、上記電池が電池管理装置(BMS)に供給する電力量との合算値に、事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義されることができる。
【0029】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含むことができる。
【0030】
上記方法は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の温度値を収集するステップ;及び、上記収集された温度値に基づいて、上記電池の温度変化量を算出するステップをさらに含むことができる。
【0031】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記算出された温度変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含むことができる。
【0032】
上記方法は、上記電池がバランシング制御動作を行っているか否かを判断するステップをさらに含むことができる。ここで、上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定するステップを含むことができる。
【0033】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定するステップは、上記電池システム内に含まれた複数の電池のうち、漏れ電流が発生した一つ以上の電池を検出するステップを含むことができる。
【0034】
上記また別の目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池システムは、複数の電池;及び上記複数の電池をモニタリング及び制御する電池管理装置(BMS);を含むことができる。
【0035】
上記電池管理装置は、電池システムの待機モード状態で、上記電池のそれぞれの充電情報の状態を収集し、上記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の上記電池のそれぞれの電力変化量を算出し、上記電池のそれぞれに対する電力変化量と予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて漏れ電流が発生した一つ以上の電池を決定することができる。
【発明の効果】
【0036】
上記のような本発明の実施例によれば、漏れ電流検出センサーを用いることなく、 電池システム内の漏れ電流の発生有無及び漏れ電流発生電池をより正確に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施例に係る電池システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る電池診断方法のフロー図である。
【
図3】本発明の実施例に係る電池診断方法のフロー図である。
【
図4】本発明の別の実施例に係る電池診断方法のフロー図である。
【
図5】本発明の実施例に係る電池システムの具現例を示すブロック図である。
【
図7】
図5に示す電池システムの動作を説明するためのブロック図である。
【
図8】本発明の実施例に係る電池診断装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、種々の変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳しく説明しようとする。ところが、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されたい。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。
【0039】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、上記構成要素は、上記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、複数の関連して記載された項目の組み合わせ又は複数の関連して記載された項目のうちのある項目を含む。
【0040】
ある構成要素が他の構成要素に「結合されて」いるとか「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもあるが、中間に別の構成要素が存在することもできると理解されたい。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接結合されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に別の構成要素が存在しないことと理解されたい。
【0041】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解されたい。
【0042】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味としては解釈されない。
【0043】
本明細書において使用される一部の用語を定義すれば、次の通りである。
【0044】
SOC(State of Charge;充電率)は、電池の現在充電された状態を百分率[%]で表したものであり、SOH(State of Health;電池寿命状態)は、理想的又はもともとの電池の状態と比較した電池の現在の状態を百分率[%]で表したものである。
【0045】
電池セルは、電力を貯蔵する役割をする最小単位であり、電池モジュールは、複数の電池セルが電気的に接続された集合体を意味する。
【0046】
電池パック又は電池ラックは、電池メーカーで設定したモジュール単位を電気的に接続して電池管理装置/システム(BMS)を通じてモニタリングと制御が可能な最小単一構造のシステムを意味し、複数の電池モジュールと1つのBPU又は保護装置を含んで構成されることができる。
【0047】
電池バンク(Bank)は、複数の電池ラックを並列接続して構成される大きい規模の電池ラックシステムの集合を意味することができる。電池バンク単位のBMSを通じて、電池ラック単位のラックBMS(RBMS)に対するモニタリングと制御を行うことができる。
【0048】
電池アセンブリは、電気的に接続された複数の電池セルを含んで構成され、特定のシステム又は装置に適用されて電力供給源として機能する集合体を意味する。ここで、電池アセンブリは、電池モジュール、電池パック、電池ラック又は電池バンクなどを意味することができるが、本発明の範囲がこれらの個体に限定されるものではない。
【0049】
図1は、本発明の実施例に係る電池システムを示すブロック図である。
【0050】
図1を参照すれば、電池システムは、複数の電池10(BAT #1~BAT #N)を含んで構成される電池アセンブリ100と、電池診断装置200とを含んで構成されることができる。
【0051】
複数の電池10は、電気的に接続されて電池アセンブリ100に構成されることができる。
【0052】
本発明に係る電池システムは、エネルギー貯蔵システム(ESS(Energy Storage System))に含まれて具現化されることができるが、本発明の範囲がこれらの個体に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る電池システムは、多様なデバイスに適用されて、以下に説明する異常電池検出方法を行って異常電池を検出するように動作することができる。
【0053】
本発明に係る電池10は、電池セルを意味するが、本発明の範囲がこれに限定されるのではない。すなわち、本発明に係る電池システムは、電池セル、電池モジュール、電池ラック又は電池パックを対象に以下に説明する異常電池検出方法を行って異常が発生した客体を検出するように動作することができる。
【0054】
電池診断装置200は、電池システムの内部に位置した電池管理装置(BMS;Battery Management System)に含まれて具現化されることができる。
【0055】
電池診断装置200は、電池システムの待機モード状態で収集される状態情報に基づいて電池の電力変化量を算出し、これに基づいて電池システム内に漏れ電流が発生するか否かと、漏れ電流が発生した電池を決定することができる。実施例において、電池診断装置200は、電池システムの待機モード状態での電池電力変化量、電池温度変化量及びバランシング制御動作が実行されるかどうかのうちの一つ以上に基づいて、電池システム内に漏れ電流が発生すか否かと、漏れ電流が発生した電池を決定することができる。
【0056】
すなわち、本発明は、漏れ電流検出センサーを用いる従来技術と異なり、電池システムに必須に備えられる状態情報収集装置を用いて漏れ電流の発生有無を診断することができる。
【0057】
以下では、
図2~
図8を参照して、本発明の多様な実施例について詳細に説明する。
【0058】
図2は、本発明に係る電池診断方法のフロー図である。
【0059】
電池システムが待機モードに切り替え(S210)られると、電池診断装置200は、待機モードが維持された状態で電池の充電情報の状態を収集することができる(S220)。ここで、充電情報の状態は、該当電池の識別子及び充電状態値(SOC)を含むことができる。
【0060】
電池診断装置200は、電圧測定装置によって測定された開放電圧値(Vocv)を収集し、収集された開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定することができる。ここで、電池診断装置200は、該当電池に対するVocv-SOCの関係グラフから、収集された開放電圧値(Vocv)と対応する充電状態値(SOC)を確認し、確認された充電状態値(SOC)を該当電池の充電状態値(SOC)として決定することができる。
【0061】
電池診断装置200は、事前に定義された時間ごとに電池の充電状態値(SOC)を決定することができる。例えば、電池診断装置200は、1秒ごとに電池の充電状態値(SOC)を決定することができる。
【0062】
電池診断装置200は、待機モードが維持される期間の間の電池の電力変化量を算出することができる(S230)。ここで、電池診断装置200は、収集された充電情報の状態と予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて電力変化量を算出することができる。
【0063】
より具体的に、電池診断装置200は、電池システムが待機モードに切り替えられた以後、最初に測定された開放電圧値に基づいて初期充電状態値(SOC_init)を決定し、初期充電状態値(SOC_init)を記憶装置(例えば、不揮発性メモリ)に格納することができる。その後、電池診断装置200は、記憶装置に格納された初期充電状態値(SOC_init)と、以後の時点で測定された開放電圧値に基づいて決定された充電状態値(SOC_present)の差分に基づいて、該当測定時点での電力変化量を算出することができる。
【0064】
電池診断装置200は、算出された電力変化量と事前に定義されたしきい値とを比較することができる(S240)。ここで、しきい値は、該当電池の予想放電電力量と定義されることができる。
【0065】
電池診断装置200は、電力変化量と事前に定義されたしきい値との比較結果に基づいて、電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定することができる(S250)。ここで、電力変化量が事前に定義されたしきい値を超過する場合、電池診断装置200は、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0066】
すなわち、本発明の実施例に係る電池診断装置200は、待機モード維持期間の間の電力変化量が設定されたしきい値(例えば、予想放電電力量)を超過する場合、該当電池に異常な自己放電、すなわち漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0067】
図3は、本発明の実施例に係る電池診断方法のフロー図である。
【0068】
電池システムが待機モードに切り替え(S310)られると、電池診断装置200は、電池の初期開放電圧値(Vocv_init)を収集することができる(S320)。ここで、初期開放電圧値(Vocv_init)は、待機モード切り替え後に事前に定義された時間(例えば、30分)が経過した時点で測定された開放電圧値に該当することができる。
【0069】
電池診断装置200は、初期開放電圧値(Vocv_init)に基づいて初期充電状態値(SOC_init)を決定し、決定された初期充電状態値(SOC_init)を記憶装置(例えば、不揮発性メモリ)に格納することができる(S330)。ここで、電池診断装置200は、該当電池に対するVocv-SOCの関係グラフから、初期開放電圧値(Vocv_init)と対応する充電状態値(SOC)を確認し、確認された充電状態値(SOC)を該当電池の初期充電状態値(SOC_init)として決定することができる。
【0070】
その後、電池診断装置200は、電圧測定装置によって測定された開放電圧値(Vocv)を収集し、収集された開放電圧値(Vocv)に基づいて現在時点(開放電圧値収集時点)の充電状態値(SOC_present)を決定することができる(S340)。
【0071】
電池診断装置200は、記憶装置に格納された初期充電状態値(SOC_init)と現在時点の充電状態値(SOC_present)との差分値(△SOC)を算出(S350)し、算出された差分値(△SOC)に基づいて該当時点での電力変化量(△P)を算出することができる(S360)。
【0072】
その後、電池診断装置200は、算出された電力変化量(△P)と事前に定義されたしきい値とを比較することができる(S370)。ここで、しきい値は、該当電池の予想放電電力量と定義されることができる。
【0073】
実施例において、予想放電電力量は、電池の自己放電電力量(P_sd)及び電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置へ提供する内部供給電力量(P_in)のうちの少なくとも一つに基づいて定義されることができる。ここで、自己放電電力量(P_sd)は、事前格納された電池の自己放電率に基づいて算出される予想自己放電電力量を意味することができる。また、電力要求装置は、電池システムの待機モード状態で電池から電力を供給されて動作する装置を意味することができる。
【0074】
実施例において、予想放電電力量は、電池の自己放電電力量と内部供給電力量との合算値(P_sd + P_in)と定義されることができる。例えば、予想放電電力量は、電池の自己放電電力量と、電池が待機モード状態で電池管理装置(BMS)に供給する電力量との合算値(P_sd + P_bms)と定義されることができる。
【0075】
別の実施例において、予想放電電力量は、電池の自己放電電力量と内部供給電力量との合算値に、事前に定義された加重係数(w)が掛けられた値(w * (P_sd + P_in))と定義されることができる。ここで、加重係数(w)は、開放電圧値及び充電状態値の誤差などによる誤診断を防止するために定義される値であり、例えば、1.0より大きく、1.3以下の特定の値と定義されることができる。
【0076】
電力変化量(△P)がしきい値(例えば、予想放電電力量)以下の場合(S370のNO)、電池診断装置200は、S340ステップに戻ってその後のプロセスを再び行うことができる。
【0077】
電力変化量(△P)がしきい値(予想放電電力量)を超過する場合(S370のYES)、電池診断装置200は、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる(S380)。
【0078】
実施例において、電池システムに複数の電池が含まれる場合、電池診断装置200は、複数の電池のうち、漏れ電流が発生した電池を検出することができる。
【0079】
具体的に、電池診断装置200は、電池(BAT #1~BAT #N)のそれぞれに対する電力変化量(△P)を算出し、電力変化量(△P)がしきい値(例えば、予想放電電力量)を超過する電池を検出して、該当電池で漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0080】
ここで、電池システム内に含まれたすべての電池に漏れ電流が発生したと決定される場合、電池診断装置200は、電池システム全体で漏れ電流が発生したと決定することができる。例えば、電池ラックに含まれたすべての電池パックで漏れ電流が発生すると決定されれば、電池診断装置200は、電池ラック全体で漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0081】
図4は、本発明の別の実施例に係る電池診断方法のフロー図である。具体的に、
図4は、電池診断装置が、電力変化量以外に、温度変化量及びバランシング制御動作が実行されるかのうちの一つ以上をさらに考慮して、漏れ電流の発生有無を判断する、電池診断方法を示す。
【0082】
実施例において、電池診断装置200は、待機モードでの電力変化量が予想放電電力量を超過する第1の条件を満足し、待機モードでの電力変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件、及び電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件のうちの一つ以上をさらに満足する場合、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0083】
図4を参照すれば、電池システムが待機モードに切り替え(S410)られると、電池診断装置200は、待機モードが維持された状態で電池の状態情報を収集することができる(S420)。ここで、状態情報は、電池の識別子、充電状態値(SOC) 及び温度値(T)のうちの一つ以上を含むことができる。
【0084】
電池診断装置200は、事前に定義された時間ごとに電池の状態情報を収集することができる。例えば、電池診断装置200は、1秒ごとに電池の充電状態値(SOC)及び温度値(T)を収集することができる。
【0085】
電池診断装置200は、待機モードが維持される期間の間の電池の電力変化量(△P)及び温度変化量(△T)を算出して、電池のバランシング制御動作が実行されているかどうかを判断することができる(S430)。
【0086】
より具体的に、電池診断装置200は、電池システムが待機モードに切り替えられた以後、最初に測定された開放電圧値に基づいて初期充電状態値(SOC_init)を決定し、 初期充電状態値(SOC_init)と以後の時点の充電状態値(SOC_present)との差分に基づいて、該当測定時点での電力変化量(△P)を算出することができる。また、電池診断装置200は、電池システムが待機モードに切り替えられた以後に最初に測定された温度値(T_init)を記憶装置に格納し、格納された初期温度値(T_init)と以後の時点で測定された温度値(T_present)との差分に基づいて、該当測定時点での温度変化量(△T)を算出することができる。また、電池診断装置200は、電池の不均衡状態を解消するためにバランシング制御動作を行うバランシング回路、又はバランシング回路を制御する電池管理装置と連動して、電池のバランシング制御動作が実行されるかを判断することができる。
【0087】
電池診断装置200は、算出された電力変化量(△P)が予想放電電力量を超過する第1の条件、算出された温度変化量(△T)が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件、及び電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件のうち一つ以上を満足するか否かを判断することができる(S440)。ここで、第2の条件の基準温度変化量は、診断対象である電池を除く残りの電池の温度変化量の平均値と定義されるか、又は上記平均値に事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義されることができる。
【0088】
電池診断装置200は、第1の条件、第2の条件及び第3の条件のうちの一つ以上を満足するか否かに基づいて、電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定することができる(S450)。
【0089】
実施例において、電池診断装置200は、診断対象電池が第1の条件及び第2の条件を満足する場合、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる。すなわち、待機モードでの電力変化量が予想放電電力量を超過し、温度変化量が基準値を超過する場合、該当電池に漏れ電流が発生したと判断されることができる。
【0090】
別の実施例において、電池診断装置200は、診断対象電池が第1の条件及び第3の条件を満足する場合、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる。 すなわち、待機モードでの電力変化量が予想放電電力量を超過し、該当電池がバランシング制御動作が実行されていない状態の場合、該当電池に漏れ電流が発生したと判断されることができる。電池がバランシング制御動作を遂行中の場合であれば、電力変化量の算出時にバランシングのための充放電量が反映され、これによって第1の条件を満足するか否かだけでは正確な診断が難しくなる。バランシング動作による誤診断を防止するために、電池診断装置200は、第1の条件以外に、第3の条件をさらに考慮して、漏れ電流の発生有無を判断することができる。
【0091】
また別の実施例において、電池診断装置200は、診断対象電池が第1の条件、第2の条件及び第3の条件をいずれも満足する場合、該当電池に漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0092】
図5は、本発明の実施例に係る電池システムの具現例を示すブロック図であり、
図6及び7は、
図5に示す電池システムの動作を説明するためのブロック図である。
【0093】
図5を参照すれば、本発明の実施例に係る電池システムは、電池パック100’に含まれて具現化されることができる。
【0094】
電池パック100’は、複数の電池モジュール(Module #1~Module #N)を含み、 電池モジュールのそれぞれは、複数の電池セル10'(CELL #1~CELL #N)が含まれて構成されることができる。
【0095】
本発明に係る電池診断装置は、電池パック100’の電池管理システム(PBMS)200’に該当するか、電池管理システム(PBMS)200’に含まれて具現化されることができる。
【0096】
電池パックが待機モードに切り替えられると、電池管理システム(PBMS)は、電池セルのそれぞれの初期開放電圧値(Vocv_init)を収集し、電池セルのそれぞれに対する初期充電状態値(SOC_init)を決定して記憶装置(例えば、不揮発性メモリ)に格納することができる。また、電池管理システム(PBMS)は、電池セルのそれぞれの初期温度値(T_init)を収集して記憶装置に格納することができる。
【0097】
その後、電池管理システム(PBMS)は、電池パックの待機モードが維持された状態で、充電状態値の変化量(△SOC = SOC_init - SOC_present)に基づいて電池セルのそれぞれに対する電力変化量(△P)を単位時間ごとに算出することができる。また、電池管理システム(PBMS)は、電池パックの待機モードが維持された状態で、温度値の変化量(△T = T_init - T_present)を単位時間ごとに算出することができる。
【0098】
電池管理システム(PBMS)は、電池セルのそれぞれに対して、第1の条件~第3の条件のうちの一つ以上を満足するか否かを判断して、漏れ電流の発生有無を決定することができる。
【0099】
例えば、
図6を参照すれば、電池管理システム(PBMS)は、複数の電池セルのうち、電力変化量(△P)が予想放電電力量を超過(第1の条件を満足)する電池セルが検出されれば、該当電池(Module #1のCell #2)で漏れ電流が発生したと決定することができる。他の例としては、電池管理システム(PBMS)は、複数の電池セルのうち、電力変化量(△P)が予想放電電力量を超過(第1の条件を満足)し、温度変化量(△T)が基準温度変化量を超過(第2の条件を満足)する電池セルが検出されれば、該当電池(Module #1のCell #2)で漏れ電流が発生したと決定することができる。また他の例としては、電池管理システム(PBMS)は、複数の電池セルのうち、電力変化量(△P)が予想放電電力量を超過(第1の条件を満足)し、温度変化量 (△T)が基準温度変化量を超過(第2の条件を満足)し、セルバランシング動作を行わない状態(第3の条件を満足)である電池セルが検出されれば、該当電池(Module #1のCell #2)で漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0100】
図7を参照すれば、電池パックに含まれたすべての電池セルに漏れ電流が発生したと決定される場合、電池管理システム(PBMS)は、電池パック全体に漏れ電流が発生したと決定することができる。
【0101】
電池管理システム(PBMS)は、漏れ電流診断情報を、上位電池管理装置に伝達することができる。例えば、電池管理システム(PBMS)は、ラック電池管理装置(RBMS)、電池セクションコントローラ(BSC(Battery Section Controller))、エネルギー管理システム(EMS(Energy Management System)) 及び電力管理システム(PMS(Power Management System))のうちの少なくとも一つに漏れ電流診断結果を伝達することができる。ここで、漏れ電流診断情報は、漏れ電流の発生有無、漏れ電流発生電池の個数、漏れ電流発生電池の識別子のうちの一つ以上を含むことができる。
【0102】
一方、本発明の実施例に係る電池システムは、
図5~7に示す以外に、電池モジュール、電池ラック又は電池バンクに含まれて具現化されることができ、この場合にも、本発明に係る漏れ電流診断方法が同様に行われることができる。
【0103】
図8は、本発明の実施例に係る電池診断装置のブロック図である。
【0104】
本発明の実施例に係る電池診断装置800は、少なくとも一つのプロセッサ810、上記プロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ820及びネットワークと接続されて通信を行う送受信装置830を含むことができる。
【0105】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の充電情報の状態を収集する命令;上記収集された充電情報の状態と、予め格納された初期充電情報の状態とに基づいて、待機モード維持期間の間の上記電池の電力変化量を算出する命令;及び、上記算出された電力変化量と上記電池の予想放電電力量とを比較し、比較結果に基づいて上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令;を含むことができる。
【0106】
上記電池の充電情報の状態を収集する命令は、上記電池システムが待機モードに切り替えられると、事前に定義された時間が経過した以後に測定された開放電圧値(Vocv)を収集する命令;上記開放電圧値(Vocv)に基づいて充電状態値(SOC)を決定する命令;及び上記決定された充電状態値(SOC)を初期充電状態値(SOC_init)として格納する命令;を含むことができる。
【0107】
上記電池の充電情報の状態を収集する命令は、上記電池システムの待機モード状態で、事前に定義された時間ごとに上記電池の充電状態値(SOC)を決定する命令を含むことができる。
【0108】
上記電池の電力変化量を算出する命令は、予め格納された初期充電状態値(SOC_init)と上記算出された充電状態値(SOC)との差分値(△ SOC)に基づいて、上記電力変化量を算出する命令を含むことができる。
【0109】
上記予想放電電力量は、上記電池の自己放電電力量;及び上記電池が電池システムの内部に位置する電力要求装置に提供する内部供給電力量;のうちの少なくとも一つに基づいて定義されることができる。
【0110】
上記予想放電電力量は、上記自己放電電力量と、上記電池が電池管理システム(BMS)に供給する電力量との合算値に、事前に定義された加重係数が掛けられた値と定義されることができる。
【0111】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0112】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池システムの待機モード状態で、上記電池の温度値を収集する命令;及び、上記収集された温度値に基づいて、上記電池の温度変化量を算出する命令をさらに含むことができる。
【0113】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記算出された温度変化量が事前に定義された基準温度変化量を超過する第2の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0114】
上記少なくとも一つの命令は、上記電池がバランシング制御動作を行っているか否かを判断する命令をさらに含むことができる。ここで、上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記算出された電力変化量が上記予想放電電力量を超過する第1の条件、及び上記電池がバランシング制御動作を行わない状態である第3の条件を満足する場合、上記電池で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0115】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記電池システム内に含まれた複数の電池のうち、漏れ電流が発生した一つ以上の電池を検出する命令を含むことができる。
【0116】
上記電池システム内の漏れ電流の発生有無を決定する命令は、上記電池システム内に含まれたすべての電池に漏れ電流が発生したと決定される場合、上記電池システム全体で漏れ電流が発生したと決定する命令を含むことができる。
【0117】
電池診断装置800はまた、入力インターフェース装置840、出力インターフェース装置850、記憶装置860などをさらに含むことができる。電池診断装置800に含まれたそれぞれの構成要素は、バス(bus)770によって接続されて互いに通信を行うことができる。
【0118】
ここで、プロセッサ810は、中央処理装置(central processing unit, CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit, GPU)、又は本発明の実施例に係る方法が行われる専用のプロセッサを意味することができる。メモリ(又は記憶装置)は、揮発性記憶媒体及び不揮発性記憶媒体のうち少なくとも一つから構成されることができる。例えば、メモリは、読み出し専用メモリ(read only memory, ROM)及びランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)のうち少なくとも一つから構成されることができる。
【0119】
本発明の実施例に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードとして具現化することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれることができるデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散して、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行されることができる。
【0120】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは、対応する方法による説明も示すことができ、ここで、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法の文脈で説明された側面は、対応するブロック又はアイテム又は対応する装置の特徴で示すことができる。方法ステップのいくつか又は全部は、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は用いて)行われることができる。いくつかの実施例において、最も重要な方法ステップの一つ以上は、このような装置によって行われることができる。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0122】
10 : 電池
100: 電池アセンブリ
200、700: 電池診断装置
【国際調査報告】