IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベーアーエスエフ・エスエーの特許一覧

特表2024-5425852-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法
<>
  • 特表-2-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法 図1
  • 特表-2-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法 図2
  • 特表-2-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】2-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/08 20060101AFI20241108BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20241108BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
C07C67/08
C07C69/54 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531369
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022081719
(87)【国際公開番号】W WO2023094190
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210376.6
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ミスケ
(72)【発明者】
【氏名】オルトムント・ラング
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ・デッカート
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・ヘンドリクス・デ・ルイター
(72)【発明者】
【氏名】アイカン・アキン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・コルプユン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・フレッケンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】フリーデリケ・フライシュハッカー
(72)【発明者】
【氏名】サビーヌ・アイヒホルン
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC48
4H006AD11
4H006AD16
4H006BA52
4H006BA66
4H006BB11
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC51
4H006BC52
4H006BD33
4H006BD35
4H006BD52
4H006BD53
4H006BD60
4H006KA06
4H006KC14
4H039CA66
4H039CG10
(57)【要約】
本発明は、酸性エステル化触媒、重合禁止剤及び共沸剤シクロヘキサンの存在下、2-オクタノールと(メタ)アクリル酸とを反応させて2-オクチル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、
反応器ユニット(24)を提供するステップであって、反応器加熱要素(30)を有する反応器(1)が、反応器ユニット(24)内に位置する、ステップと、
2-オクタノール(13)、(メタ)アクリル酸(14)、酸性エステル化触媒(15)、シクロヘキサン(17)及び重合禁止剤(31)を反応器(1)内に供給するステップと、
反応器(1)内でエステル化を実施して液体反応混合物を形成するステップであって、反応器(1)内でのエステル化が、90~130℃の範囲の底部温度及び0.5~2.0バールの範囲の絶対圧力で実施され、
反応器(1)から得られた反応排出物が得られ、
得られた反応排出物が、少なくとも2-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクタノール、(メタ)アクリル酸、酸性エステル化触媒、シクロヘキサン、エステル化水及び重合禁止剤を含み、エステル化で形成されたエステル化水は、シクロヘキサン共沸剤と共に不均一共沸混合物を形成する、ステップと、
反応器(1)の液体反応混合物から不均一共沸混合物を蒸発させるステップであって、蒸発が、反応器加熱要素(30)によって達成される、ステップと、
反応器(1)から気体不均一共沸混合物を除去するステップであって、
気体不均一共沸混合物が、凝縮器(5)で凝縮され、次いで、相分離器(6)に供給され、エステル化水が、この相分離器(6)において下相として分離され、シクロヘキサンが上相として分離される、ステップと、
を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性エステル化触媒、重合禁止剤及び共沸剤シクロヘキサンの存在下、2-オクタノールと(メタ)アクリル酸とを反応させて2-オクチル(メタ)アクリレートを製造する方法であって、
反応器ユニット(24)を提供するステップであって、反応器加熱要素(30)を有する反応器(1)が、前記反応器ユニット(24)内に位置する、ステップと、
2-オクタノール(13)、(メタ)アクリル酸(14)、酸性エステル化触媒(15)、シクロヘキサン(17)及び重合禁止剤(31)を前記反応器(1)内に供給するステップと、
前記反応器(1)内でエステル化を実施して液体反応混合物を形成するステップであって、前記反応器(1)内での前記エステル化が、90~130℃の範囲の底部温度及び0.5~2.0バールの範囲の絶対圧力で実施され、前記反応器(1)から得られた反応排出物が得られ、
前記得られた反応排出物が、少なくとも2-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクタノール、(メタ)アクリル酸、酸性エステル化触媒、シクロヘキサン、エステル化水及び重合禁止剤を含み、前記エステル化で形成された前記エステル化水は、前記シクロヘキサン共沸剤と共に不均一共沸混合物を形成する、ステップと、
前記反応器(1)の前記液体反応混合物から前記不均一共沸混合物を蒸発させるステップであって、前記蒸発が、前記反応器加熱要素(30)によって達成される、ステップと、
前記反応器(1)から前記気体不均一共沸混合物を除去するステップであって、
前記気体不均一共沸混合物が、凝縮器(5)で凝縮され、次いで、相分離器(6)に供給され、エステル化水が、この相分離器(6)において下相として分離され、シクロヘキサンが上相として分離される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記気体不均一共沸混合物が、前記反応器ユニット(24)の下流の共沸混合物精留塔ユニット(25)に供給され、
共沸混合物精留塔(4)が、前記共沸混合物精留塔ユニット(25)内に位置し、前記共沸混合物精留塔(4)が、0.5~2バールの範囲の絶対圧力及び90~130℃の範囲の底部温度で運転され、前記不均一共沸混合物が、前記共沸混合物精留塔(4)の頂部を介して除去され、凝縮器(5)で凝縮され、次いで相分離器(6)に供給され、
前記エステル化水(16)が、前記相分離器(6)内で前記下相として分離され、前記シクロヘキサンが、前記相分離器(6)内で前記上相として分離される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記相分離器(6)内の上相として得られた前記シクロヘキサンが、前記反応器ユニット(24)に部分的又は完全にリサイクルされる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記相分離器(6)内の上相として得られた前記シクロヘキサンが、40重量%~100重量%の範囲、好ましくは50~99.9重量%の範囲の重量による割合で前記反応器ユニット(24)にリサイクルされ、
得られたシクロヘキサンの得られた残留部分は、共沸混合物精留塔(4)の頂部の下から中央までの領域に供給される、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エステル化に続いて、前記得られた反応排出物のアルカリ抽出がアルカリ溶液(19)によって行われ、
前記酸性エステル化触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸が中和抽出ユニット(7)で中和され、
その結果、2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部中和相、及び前記中和によって生成された塩と、水と、を含む下部中和相(20)が得られる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応排出物の前記アルカリ抽出に続いて、前記中和抽出ユニット(7)から得られた前記上部中和相が水洗抽出ユニット(8)内で水(18)で抽出され、
水及び塩残留物を含む下部水洗相及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部水洗相が形成される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応排出物の前記アルカリ抽出に続いて、又は前記水洗抽出に続いて、前記共沸剤シクロヘキサンが、共沸混合物精留塔ユニット内で前記上部中和相又は前記上部水洗相から分離され、
共沸混合物精留塔(9)が、前記共沸混合物精留塔ユニット内に位置し、
前記共沸混合物精留塔(9)が、0.05~0.9バールの範囲の低減された絶対圧力下、70~120℃の範囲の底部温度で運転され、前記シクロヘキサン共沸剤と、オクテンと、2-オクタノールと、前記供給される上部中和相又は前記供給される上部水洗相に基づいて、0.1~5.0%の範囲の2-オクチル(メタ)アクリレートの質量流部分と、を含む前記共沸混合物精留塔(9)の頂部を介して有機相が除去され、
塔頂で供給される成分が共沸混合物質量流を形成し、これが凝縮されて50~100%の範囲で反応器ユニット(24)の前記反応器(1)に供給され、
残留共沸混合物質量流部分が凝縮され、前記共沸混合物精留塔(9)の頂部にリサイクルされる一方で、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル、並びに2-オクタノール及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む高ボイラ(high-boilers)は、前記共沸混合物精留塔(9)の底部排出物により除去され、
前記底部排出物の前記質量流の20~95%の範囲において、蒸発器を通って流れ、続いて前記共沸混合物精留塔(9)にリサイクルされる、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記2-オクチル(メタ)アクリレートが、隔壁塔(131)内でシクロヘキサン及び2-オクタノールを含む前記残留成分から分離される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記シクロヘキサン共沸剤の除去に続いて、2-オクタノール精留塔ユニット又は2-オクタノール蒸発ユニットにおいて、前記共沸剤精留塔(9)の底部排出物によって生成された質量流から2-オクタノールが分離され、
2-オクタノール精留塔(10)が、前記2-オクタノール精留塔ユニット内に位置するか、又は2-オクタノール蒸発器(110)が、前記2-オクタノール蒸発ユニット内に位置し、前記2-オクタノール精留塔(10)又は前記2-オクタノール蒸発器(110)が、0.005~0.10バールの範囲の低減された絶対圧力下及び70~130℃の範囲の底部温度で運転され、
前記共沸混合物精留塔(9)の前記底部排出物によって生成された質量流は、前記2-オクタノール精留塔(10)の塔頂の下方から中央の領域又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の2-オクタノール入口に計量され、
前記2-オクタノール精留塔(10)の塔頂又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の2-オクタノール蒸発器出口から排出された成分は、排出成分の質量流に基づいて、20~50%の範囲で前記反応器ユニット(24)に供給され、
2~40重量%の範囲の排出成分は、2-オクタノールからなり、一方、2-オクチル(メタ)アクリレート、並びにジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステルを含む高ボイラは、前記2-オクタノール精留塔(10)又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の底部排出物により抜き出され、
前記底部排出物の20~95%の前記質量流が、蒸発器を通って流れ、続いて前記2-オクタノール精留塔(10)又は前記2-オクタノール蒸発器(110)にリサイクルされる、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記2-オクタノールの前記分離に続いて、前記2-オクタノール精留塔(10)又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の前記底部排出物を介して提供される前記質量流からの純粋なボイラ分離が、純粋なボイラ精留塔ユニット又は純粋なボイラ蒸発ユニットで行われ、
純粋なボイラ精留塔(11)が、前記純粋なボイラ精留塔ユニット、又は純粋なボイラ蒸発ユニット内の純粋なボイラ蒸発器(111)内に位置し、
前記純粋なボイラ精留塔(11)又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)は、0.002~0.05バールの範囲の低減された絶対圧力下及び80~130℃の範囲の底部温度で運転され、
前記2-オクタノール精留塔(10)又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の前記底部排出物によって生成された質量流が、前記純粋なボイラ精留塔(11)の前記塔頂の下方から中央までの領域、又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の純粋なボイラ蒸発器入口に計量され、
前記純粋なボイラ精留塔(11)又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)を安定化させるために、前記2-オクタノール精留塔(10)の底部排出物又は前記2-オクタノール蒸発器(110)の底部排出物によって生成された質量流に基づいて、それぞれ0.01~1.0%の範囲の2-オクチル(メタ)アクリレート及び重合防止剤が、前記純粋なボイラ精留塔(11)の底部から中央までの領域、又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の純粋なボイラ蒸発器入口に計量され、
前記2-オクチル(メタ)アクリレート(21)が、前記純粋なボイラ精留塔(11)の塔頂又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の純粋なボイラ蒸発器出口を介して抜き出され、一方、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステルを含む高ボイラは、前記純粋なボイラ精留塔(11)又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の底部排出物を介して抜き出される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記純粋なボイラ分離に続いて、前記純粋なボイラ精留塔(11)又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の前記底部排出物を介して生成された前記質量流からの高ボイラ分離が、高ボイラ精留塔ユニット又は高ボイラ蒸発器ユニット内で行われ、
高ボイラ精留塔(12)が前記高ボイラ精留塔ユニット内に、又は前記高ボイラ蒸発器ユニット内の高ボイラ蒸発器(112)に位置しており、
前記高ボイラ精留塔(12)又は前記高ボイラ蒸発器(112)は、0.002~0.05バールの範囲の低減された絶対圧力下及び80~150℃の範囲の底部温度で運転され、
前記純粋なボイラ精留塔(11)又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の前記底部排出物によって生成された質量流は、前記高ボイラ精留塔(12)の底部から中央までの領域、又は前記高ボイラ蒸発器(112)の高ボイラ蒸発器入口に計量され、
前記高ボイラ精留塔(12)又は前記高ボイラ蒸発器(112)の頂部を経由して抜き出された前記引き出しは、凝縮されて、前記純粋なボイラ精留塔(11)の底部から中央までの領域又は前記純粋なボイラ蒸発器(111)の前記純粋なボイラ蒸発器入口に供給される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)内の底部温度が、100~125℃の範囲、好ましくは110~115℃の範囲である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
シクロヘキサンが、前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)に供給される2-オクタノール(13)及び(メタ)アクリル酸(14)の質量による量に基づいて、100~600重量%の範囲、好ましくは200~500重量%の範囲、特に好ましくは350~450重量%の範囲の量で前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)に供給される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)中の触媒の割合が、前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)中に存在する2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸の成分の合計に基づいて、最大10重量%である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記共沸剤シクロヘキサンを含まない前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)に流入する前記成分が、以下の重量による割合
2-オクタノール:40.00~84.39重量%
(メタ)アクリル酸:15.00~59.39重量%
酸性エステル化触媒:0.50~10.00重量%
重合禁止剤:0.10~1.00重量%
残留成分:0.10~5.00重量%
を有し、
前記共沸剤シクロヘキサンが、前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)中にシクロヘキサンの濃度が10~90重量%の範囲で形成されるような量で添加され、前記重量による割合の数字は、前記シクロヘキサンを含む前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)中に存在する成分に関するものであり、
及び/又は、共沸剤シクロヘキサンを含まず、エステル化水を含まない場合、反応器ユニット(24)の反応器(1)から流出する全成分、すなわち、得られた液体反応排出物に加えて反応混合物から蒸発して反応器ユニット(24)から排出される部分は、以下の重量による割合
2-オクチル(メタ)アクリレート:50.00~95.00重量%
2-オクタノール:1.00~30.00重量%
(メタ)アクリル酸:1.00~15.00重量%
酸性エステル化触媒:0.50~10.00重量%
重合禁止剤:0.01~1.00重量%
残留成分:2.49~10.00重量%
を有し、前記シクロヘキサン及び前記エステル化水によって形成された前記不均一共沸混合物は、10~50重量%の範囲の濃度で前記反応器ユニット(24)の前記反応器(1)から流出し、これらの重量パーセントの数字は、前記シクロヘキサン及び前記エステル化水を含む流出する全成分を指す、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸を、酸性エステル化触媒、重合禁止剤及び共沸剤シクロヘキサンの存在下で反応させて、2-オクチル(メタ)アクリレートを製造する方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸の略称である。同様に、2-オクチル(メタ)アクリレートは、2-オクチルアクリレート及び/又は2-オクチルメタクリレートを示す。
【0003】
2-オクチル(メタ)アクリレートは、ラジカル重合、カチオン重合及びアニオン重合、並びに錯体触媒重合においてホモモノマー及びコモノマーとして使用することができるモノマーである。それは、乳化重合及び溶媒系重合又はバルク重合の両方での使用に適している。
【0004】
重要な用途は、例えば、工業部門用の装飾コーティング又は工業用コーティング、並びに接着剤、シーラント、紙化学物質、例えば、結合剤及びサイジング剤、皮革及び織物化学物質、例えば、結合剤及び疎水化剤、レオロジー添加剤、プラスチック用衝撃改質剤、油及び潤滑剤用の流動点降下剤、UV硬化樹脂及びシステム用の印刷インク又は反応性シンナーである。
【背景技術】
【0005】
2-オクチル(メタ)アクリレートの工業規模の製造のための既知の方法は、エステル交換触媒としてのアルキルチタネート及び少なくとも1つの重合禁止剤の存在下での低炭素アルコールの(メタ)アクリレートと2-オクタノールとの間のエステル交換に主に基づく。そのような方法は、国際公開第2013/110877号(Arkema France)に開示されている。エステル交換方法の欠点は、低沸点(メタ)アクリレート及び低沸点(メタ)アクリレートのアルコール、例えば、これらに限定されないが、骨の折れる処理又は処分をしなければならないメタノール/メチルメタクリレート又はエタノール/エチルアクリレートの共沸混合物の生成である。
【0006】
国際公開第2013/064775号(Arkema France)は、2-オクチルアクリレートへの直接エステル化のための方法を開示している。触媒及び重合禁止剤の存在下でのアクリル酸と2-オクタノールとの直接エステル化によって、価値のある2-オクチルアクリレート生成物が得られ、エステル化によって形成されたエステル化水は、2-オクタノールと不均一共沸混合物を形成し、反応器に取り付けられた蒸留塔での蒸留によって分離される。この場合、反応器は、撹拌機及び外部熱交換器を備えている。下流の精製ステップでは、触媒を少なくとも部分的に反応器にリサイクルさせ、価値のある2-オクチルアクリレート生成物を分離する。
【0007】
国際公開第2008/046000号(3M Innovative Properties Company、米国)は、2-オクチルアクリレートへの直接エステル化のための別の方法を開示している。触媒p-トルエンスルホン酸、重合禁止剤フェノチアジン及び共沸剤トルエンの存在下でのアクリル酸と2-オクタノールとの直接エステル化によって、価値のある2-オクチルアクリレート生成物が得られ、エステル化によって形成されたエステル化水は、トルエン共沸剤と不均一共沸混合物を形成し、この不均一共沸混合物は、反応器に取り付けられたDean-Stark蒸留塔での蒸留によって分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/110877号
【特許文献2】国際公開第2013/064775号
【特許文献3】国際公開第2008/046000号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
2-オクチルアクリレートへの直接エステル化のための上記の2つの方法は、反応器に取り付けられた蒸留塔でエステル化の蒸発水を分離することができるようにするために、エステル化中に形成されたエステル化水を蒸発によって反応器から除去しなければならないので、高いエネルギー入力が必要とされるという特定の欠点を有する。したがって、水の高沸点又は不均一共沸混合物「トルエンとのエステル化水及び/又は過剰の2-オクタノールとのエステル化水」の高沸点は、反応器(1)の底部で到達しなければならないだけでなく、必要な沸騰温度を蒸留塔の頂部で到達できるように、更に超えなければならない。
【0010】
したがって、目的は、複雑な装置を使用する必要なく、より低いエネルギー入力、反応器内のより低い底部温度及び中程度の圧力、例えば、標準圧力で運転することができる2-オクチル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供することであった。更に、この方法は、上記の先行技術からの既知の方法よりも、同じエネルギー使用でより良好な空時収量を達成するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の2-オクチル(メタ)アクリレートの製造方法によって達成される。本方法の有利な実施形態は、請求項2から15に提示されている。
【0012】
2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸を、酸性エステル化触媒、重合禁止剤及び共沸剤シクロヘキサンの存在下で反応させて、2-オクチル(メタ)アクリレートを製造するための本発明による方法は、
反応器ユニット(24)を提供するステップであって、反応器加熱要素(30)を有する反応器(1)が、反応器ユニット(24)内に位置する、ステップと、
2-オクタノール、(メタ)アクリル酸、酸性エステル化触媒、シクロヘキサン及び重合禁止剤を1つの反応器(1)に供給するステップと、
1つの反応器(1)内でエステル化を実施して液体反応混合物を形成するステップであって、1つの反応器(1)内でのエステル化が、90~130℃の範囲の底部温度及び0.5~2.0バールの範囲の絶対圧力で実施され、1つの反応器(1)から得られた反応排出物が得られ、得られた反応排出物が、少なくとも2-オクチル(メタ)アクリレート、2-オクタノール、(メタ)アクリル酸、酸性エステル化触媒、シクロヘキサン、エステル化水及び重合禁止剤を含み、エステル化で形成されたエステル化水は、シクロヘキサン共沸剤と共に不均一共沸混合物を形成する、ステップと、
反応器(1)の液体反応混合物から不均一共沸混合物を蒸発させるステップであって、蒸発が、反応器加熱要素(30)によって達成される、ステップと、
反応器(1)から気体不均一共沸混合物を除去するステップであって、
気体不均一共沸混合物が、凝縮器(5)で凝縮され、次いで、相分離器(6)に供給され、エステル化水が、この相分離器(6)において下相として分離され、シクロヘキサンが上相として分離される、ステップと、
を含む。
【0013】
この文書では、括弧内の参照番号は、読む際のより良い理解を提供する。括弧内の参照番号は限定的ではなく、実施のためのいくつかの可能性のうちの1つの可能な例のみを表す。
【0014】
以下では、個々のプロセス段階I~VIIが記載され、プロセス段階II~VIIは任意選択と見なされるべきである。
【0015】
プロセス段階I:エステル化
本発明による方法は、反応物2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸に基づく。本明細書において、(メタ)アクリル酸は、好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%の(メタ)アクリル酸を有し、更に好ましくは最大0.2重量%の水を有し、また好ましくはそれぞれ最大0.03%の酢酸、プロピオン酸及びイソ酪酸を有する(メタ)アクリル酸のグレードを指すために使用される。好ましくは、少なくとも99重量%の2-オクタノール、最大0.1%の2-オクタノン、最大0.3%の1-ヘプタノール、最大0.3%のオクテノール(シス/トランス)、最大0.1%の他のアルコール及び最大0.5%の水を有するグレードの2-オクタノールが使用される。色数は、好ましくは最大APHA 15であり、酸価は最大0.2 mgKOH/gである。
【0016】
安定剤として作用する適切な重合禁止剤は、例えば、N-オキシド(ニトロキシル又はN-オキシルラジカル、すなわち少なくとも1つのNO基を有する化合物)、例えば、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(HO-TEMPO)、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、4,4’,4’’-トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)ホスファイト若しくは3-オキソ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-N-オキシル;任意選択で1個以上のアルキル基を有する一価若しくは多価フェノール、例えば、アルキルフェノール、例えば、o-、m-若しくはp-クレゾール(メチルフェノール)、2-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェノール若しくは6-tert-ブチル-2,4-ジメチルフェノール;ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2-メチルヒドロキノン若しくは2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンなどのキノン;ヒドロキシフェノール、例えば、カテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)若しくはベンゾキノン;アミノフェノール類、例えば、p-アミノフェノール;ニトロソフェノール類、例えば、p-ニトロソフェノール;アルコキシフェノール、例えば、2-メトキシフェノール(グアヤコール、カテコールモノメチルエーテル)、2-エトキシフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、モノ-若しくはジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;トコフェロール、例えば、α-トコフェロール及び2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシクマラン)、芳香族アミン、例えば、N,N-ジフェニルアミン若しくはN-ニトロソジフェニルアミン;N,N’-ジアルキル-p-フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン(アルキル基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して1~4個の炭素原子からなっていてもよく、直鎖又は分岐であってもよい)、例えば、N,N’-ジメチル-p-フェニレンジアミン若しくはN,N’-ジエチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチルヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミン、メチルエチルイミン若しくはメチレンバイオレットなどのイミン、N-メチル-4-トルエンスルホンアミド若しくはN-tert-ブチル-4-トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド、アルドキシムなどのオキシム、ジエチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム若しくはサリチルアルドキシムなどのケトオキシム、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイトなどのリン含有化合物、次亜リン酸若しくは亜リン酸のアルキルエステル;ジフェニルスルフィド、フェノチアジン等の硫黄含有化合物;銅若しくはマンガン、セリウム、ニッケル及びクロム塩などの金属塩、例えば、塩化物、硫酸塩、サリチル酸塩、トシル酸塩、アクリレート若しくはアセテート、例えば、酢酸銅、塩化銅(ll)、サリチル酸銅、酢酸セリウム(lll)若しくはエチルヘキサン酸セリウム(lll)、又はそれらの混合物であり得る。
【0017】
重合禁止剤又は重合禁止剤混合物として、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、2-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-メチル-4-tert-ブチルフェノール、次亜リン酸、酢酸銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(ll)、サリチル酸銅(II)及び酢酸セリウム(lll)を含む群からの少なくとも1つの化合物を使用することが好ましい。
【0018】
フェノチアジン(PTZ)及び/又はヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を重合禁止剤として使用することが特に好ましい。
【0019】
PTZは、エステル化の場合、又は共沸混合物精留塔ユニット(25)の任意選択の使用の場合、重合禁止剤として特に好ましく使用される。任意選択の下流プロセスステップの場合、PTZはまた、シクロヘキサン分離IV及び/又は2-オクタノール分離Vに使用されることが特に好ましい。
【0020】
非常に詳細には、MEHQは、純粋なボイラ分離VI及び/又は高ボイラ分離VIIにおける任意選択の下流プロセスステップにおいて重合禁止剤として使用される。
【0021】
重合禁止剤は、1種以上の液状有機化合物に溶解していることが好ましい。有機化合物は、2-オクタノール及び/又は2-オクチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0022】
エステル化触媒として適しているのは、一般的な鉱酸及びスルホン酸、好ましくは硫酸、リン酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)及びアリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又はドデシルベンゼンスルホン酸)又はそれらの混合物であるが、酸性イオン交換体又はゼオライトを使用してもよい。硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、m-トルエンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸又はそれらの混合物が、特に好ましい。
【0023】
エステル化触媒としては、メタンスルホン酸が特に好ましく用いられる。
【0024】
本発明による方法では、反応物(メタ)アクリル酸及び2-オクタノール並びに共沸剤シクロヘキサンは、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に連続的又は不連続的に供給され、連続供給が好ましい。
【0025】
本発明による方法では、シクロヘキサンを共沸剤として使用する。これは、標準圧力で81℃の沸点を有する。シクロヘキサンは、エステル化水と不均一共沸混合物を形成し、この不均一共沸混合物は、標準圧力でわずか70℃の沸点を有する。その沸点が70℃であるため、不均一共沸混合物は、純水又は他の共沸混合物、例えば、2-オクタノールとエステル化水、トルエンとエステル化水又はオクテンとエステル化水よりも低い沸点を有する。したがって、シクロヘキサンを使用すると、不均一共沸混合物を蒸発させるために必要なエネルギーが少なくなる。
【0026】
別の共沸剤又は非最適量のシクロヘキサンの場合よりも、最適量のシクロヘキサン共沸剤を反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給することによって、より低い底部温度を設定することができ、それにより、より少ない二次成分が形成され、同時に気体不均一共沸混合物に加えて、気体流が可能な限り純粋であり、したがってこの気体流は、例えば(メタ)アクリル酸などの他の成分をほとんど含まないことが認識されている。したがって、エステル化水を蒸発させるために必要な底部温度も、使用される共沸剤の量によって大きく影響され得る。
【0027】
より低い底部温度は、とりわけ、オクテン、特に1-オクテン及び2-オクテンなどの二次成分の形成を減少させる。オクテン自体も共沸剤として作用するが、2-オクタノールよりも明らかに高沸点を有する。例えば、1-オクテンは、標準圧力で121℃の沸点を有する。形成された二次成分はまた、反応混合物から及び純粋な蒸留において不均一共沸混合物を分離する分離問題を増加させる。
【0028】
驚くべきことに、同じ共沸剤濃度を使用し、他の条件が同じである場合、例えば、供給原料の温度、反応時間及びモル比、他の共沸剤であるトルエン及び2-オクタノールを過剰に使用するか共沸剤を使用しない場合に基づいて、シクロヘキサンを使用すると転化率はより高くなるが、形成される二次成分ははるかに少なく、シクロヘキサンを使用すると底部温度は大きく異ならないが、プロセス終了時の底部温度は更に最も高くなることが見出された。
【0029】
共沸剤を含まない場合、底部に多くの水が残る。水を効果的に除去するために、プロセスは真空条件下で運転されなければならない。しかしながら、真空下のプロセスは非常に複雑であり、プロセスのためのプラントの運転コスト及び建設コストが高くなる。
【0030】
1つの反応器(1)中の不均一共沸混合物の沸点が低いと、1つの反応器(1)及び/又は反応器加熱要素(30)中で蒸発する(メタ)アクリル酸も少なくなる。これは、反応混合物から不均一共沸混合物を分離する分離性能を高める。
【0031】
この文献では、「反応混合物」は、1つの反応器(1)でのエステル化中に形成され、したがって、2-オクチル(メタ)アクリレートの値の生成物も含む液体混合物を定義する。
【0032】
この文書において、「出発混合物」は、反応物2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸、更に酸性エステル化触媒、重合禁止剤及び共沸剤シクロヘキサンを含む。出発混合物は、エステル化により反応混合物になる。
【0033】
本明細書において、底部温度は、90~130℃の温度範囲を包含する。この範囲内で底部温度を変化させることによって、反応速度、収率/転化、選択性及び/又は二次成分の形成などに影響を及ぼすことも可能である。
【0034】
本明細書では、「反応器底部」という用語は、反応器(1)内の気体混合相の下にある液体混合物を意味すると理解される。したがって、液体混合物の一部、好ましくは不均一共沸混合物もエステル化中に蒸発し、それによって液体混合物の上方の反応器空間を満たすので、反応器(1)は液体混合物で部分的にのみ充填される。
【0035】
本明細書では、「精留塔ユニット」という用語は、更なる標準的な構成要素、例えば、減圧器、流量調整器又はセンサも含むことができる1つ以上の精留塔を定義する。したがって、精留塔ユニットは、その制御も包含する。2つ以上の精留塔の場合、これらは互いに直列又は並列に接続されてもよい。
【0036】
精留塔はそれ自体既知の設計であり、底部の蒸発器、高ボイラ出口の蒸発器、又は低ボイラ出口の凝縮器などの通常の装置を備え、それによって高ボイラは好ましくは底部領域に、低ボイラは好ましくは精留塔の上部領域に位置する。高ボイラ出口の質量流の一部は、通常、精留塔の底部領域に戻される。しかしながら、原理的には、例えば、底部領域の塔の外壁加熱を介して底部領域を加熱すること、及び/又は蒸発器を底部領域に一体化することも可能である。
【0037】
典型的には、凝縮器内で凝縮した後、低ボイラ出口の質量流は、10~200%の重量範囲で精留塔の頂部領域に戻される。
【0038】
使用される塔内部構造物は、原則として、すべての標的な準内部構造物、例えばトレイ、構造化充填物及び/又はランダム充填物であってもよい。トレイの中でも、気泡キャップトレイ、ふるいトレイ、バルブトレイ、Thormannトレイ及び/又はデュアルフロートレイが好ましい。ランダムなパッキンの中でも、リング、螺旋、サドル又はブレードを備えるものが好ましい。
【0039】
本明細書では、標準圧力での沸点が2-オクチルアクリレートの沸点より低い場合、成分を低ボイラ(low-boilers)と呼ぶ。同様に、標準圧力での沸点が2-オクチルアクリレートの沸点以上である場合、成分は高ボイラと呼ばれる。2-オクチルアクリレートの沸点は、標準圧力で211℃である。
【0040】
本明細書では、「反応器加熱要素を有する反応器」という用語は、一般に、反応混合物を加熱する反応器(1)内及び/又は反応器(1)外の1つ以上の反応器加熱要素(30)を有する反応器ユニット(24)内の反応器(1)を定義する。反応器加熱要素(30)又は反応器加熱要素の1つは、例えば、反応器(1)内の浸漬加熱器反応器(1)の外側ジャケット表面及び/又は反応器(1)内に配置されたコイル状管又は半コイル状管を含む管システム、反応器(1)の外側ジャケット表面及び/又は反応器(1)内に配置された電気加熱システム、反応器(1)の外側に位置する蒸発器であって、反応混合物が少なくとも部分的に蒸発器を通って流れる、蒸発器、又は反応器外壁の二重壁設計であり、液体、気体及び/又は加熱蒸気などの反応混合物から分離された流体が温度制御され、それによって所定の加熱温度が設定され、それによって反応混合物が反応器(1)内で加熱される。2つ以上の反応器加熱要素は、一般に、反応器(1)内の反応混合物を加熱するために使用され得る。例えば、反応器外壁の二重壁設計及び反応器(1)の外側に位置する蒸発器を使用して、反応混合物を同時に又は少なくとも部分的に時間的にオフセットして加熱することができる。
【0041】
本明細書では、「蒸発器」という用語はまた、反応器加熱要素(30)を意味すると理解される。蒸発器はまた、更なる標準的な構成要素、例えば、制御弁、減圧器、流量調整器又はセンサを備えてもよい。したがって、蒸発器はまた、閉ループ制御を含むことができる。「蒸発器」という用語はまた、一般に、直列又は並列に連結された2つ以上の蒸発器を意味すると理解され得る。
【0042】
適切な蒸発器の例は、薄層、流下膜、天然及び強制循環蒸発器である。蒸発器は、シェルアンドチューブ熱交換器又はプレート熱交換器として設計することができる。適切な蒸発器は当業者に知られており、とりわけ、https://userpages.umbc.edu/~dfrey1/ench445/apv_evap.pdfで入手可能なSPX,Evaporator Handbook,APVに記載されている(11.1.2021に検索した)。
【0043】
本明細書では、「反応器ユニット」という用語は、更なる標準的な構成要素、例えば、減圧器、流量調整器、反応器加熱要素、他の加熱要素、導管、熱交換器又は蒸発器も含むことができる1つ以上の反応器を定義する。反応器ユニット(24)はまた、制御弁及び/又はセンサを備えてもよい。したがって、反応器ユニット(24)は、プロセス制御も含み得る。もちろん、反応器ごとに2つ以上の熱交換器が存在することも、反応器ユニット(24)の全反応器に2つ以上の熱交換器が組み合わされて存在することも可能である。
【0044】
更に好ましい構成では、2つ以上の反応器の場合、反応器は互いに並列に相互接続される。
【0045】
好ましい構成では、反応器ユニット(24)は、反応器が互いに直列に相互接続された2つ以上の反応器を含む。したがって、直列に接続された2つ以上の反応器のカスケードが可能であり、カスケードとは、1つの反応器の排出流が下流の反応器への供給流を形成することを意味する。
【0046】
カスケードの好ましい構成では、エステル化のための成分は第1の反応器(1)にのみ供給され、エステル化から生じる反応排出物のみがそれぞれの場合に後続の反応器に供給される。
【0047】
好ましい構成では、1つの反応器(1)は、内部若しくは外部加熱コイル及び/又は反応器外壁の二重壁設計を備えている。
【0048】
好ましい構成では、1つの反応器(1)は、外部蒸発器、内部若しくは外部加熱コイル、及び/又は反応器外壁の二重壁設計を備えている。
【0049】
好ましい構成では、1つの反応器(1)は、外部蒸発器と、反応器外壁の二重壁設計とを備えている。
【0050】
好ましい構成では、1つの反応器(1)は、外部蒸発器と、内部及び/又は外部加熱コイルとを備えている。
【0051】
好ましい構成では、1つの反応器(1)は、外部熱交換器及び/又は蒸発器を備える。
【0052】
好ましい実施形態では、1つの反応器(1)は蒸発器を備える。2つ以上の反応器の場合、各個々の反応器は、それ自体の蒸発器を備える。
【0053】
更なる実施形態において、反応器ユニット(24)は、反応器ユニット(24)のすべての反応器が接続される蒸発器を備える。
【0054】
好ましい実施形態では、1つの反応器(1)は自然循環によって運転される。これは、とりわけ、撹拌機又は他の機械的補助を必要としないため、反応器装置がより安価に得られるという利点を有する。シクロヘキサン共沸剤は、混合の増加を確実にする。
【0055】
好ましい実施形態では、エステル化は連続的に運転され、反応物及びシクロヘキサン共沸剤は連続的に供給され、蒸発器ユニットも連続的に運転される。
【0056】
更なる実施形態では、エステル化は不連続的に運転され、反応物及びシクロヘキサン共沸剤は不連続的に供給される。
【0057】
本方法の好ましい実施形態では、気体不均一共沸混合物は、反応器ユニット(24)の下流の共沸混合物精留塔ユニット(25)に供給され、共沸混合物精留塔(4)が、共沸混合物精留塔ユニット(25)内に位置し、1つの共沸混合物精留塔(4)が、0.5~2.0バールの範囲の絶対圧力及び90~130℃の範囲の底部温度で運転され、不均一共沸混合物が、1つの共沸混合物精留塔(4)の頂部を介して除去され、凝縮器で凝縮され、次いで相分離器(6)に供給され、エステル化水が、相分離器(6)内で下相として分離され、シクロヘキサンは相分離器(6)内で上相として分離される。
【0058】
更なる構成では、2つ以上の反応器の場合、各個々の反応器は、その上に置かれた共沸混合物精留塔ユニット(25)を含む。
【0059】
更なる構成では、2つ以上の反応器の場合、各個々の反応器は、その上に置かれた1つの共沸混合物精留塔ユニット(25)を備え、共沸混合物精留塔ユニット(25)は、好ましくは正確に1つの共沸混合物精留塔(4)を備える。
【0060】
特に好ましい構成では、1つの共沸混合物精留塔ユニット(25)が反応器ユニット(24)全体に置かれ、共沸混合物精留塔ユニット(25)は、好ましくは正確に1つの共沸混合物精留塔(4)を含む。これは、1つの共沸混合物精留塔(4)のみが、反応器又はすべての反応器に対して運転されなければならず、したがってプロセスはエネルギー効率及び費用効率が高いという利点を有する。
【0061】
2つ以上の反応器を有する好ましい実施形態では、すべての反応器から上昇する蒸気は、単一の共沸混合物精留塔(4)に供給され、共沸混合物精留塔(4)の液体排出物は、第1の反応器(1)に戻されるだけである。共沸混合物精留塔ユニット(25)は、好ましくは、ただ1つの共沸混合物精留塔を含む。
【0062】
好ましい実施形態では、共沸混合物精留塔ユニット(25)は連続的に運転される。
【0063】
好ましい実施形態では、相分離器(6)内の上相として得られたシクロヘキサンは、少なくとも部分的に又は完全に反応器ユニット(24)にリサイクルされる。
【0064】
好ましい構成では、相分離器(6)内の上相として得られたシクロヘキサンは、40~100重量%の範囲、好ましくは50~99.9重量%の範囲の重量による割合で反応器ユニット(24)にリサイクルされ、得られたシクロヘキサンの残留割合は、1つの共沸混合物精留塔(4)の頂部の下から中央の領域に供給される。
【0065】
これは、エステル化水を効率的に分離することができるように、又はシクロヘキサンを反応器(1)に供給することによって底部温度の特定の調整を行うこともできるように、反応器ユニット(24)及び/又は共沸混合物精留塔ユニット(25)中の共沸剤の割合を調整することができるという利点を有する。
【0066】
好ましい実施形態では、相分離器(6)は、連続的に流入及び流出する流れによって連続的に運転される。
【0067】
プロセス段階II:アルカリ抽出
好ましい構成では、エステル化に続いて、得られた反応排出物のアルカリ抽出がアルカリ溶液によって行われ、とりわけ、酸性エステル化触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸が中和抽出ユニット(7)で中和され、その結果、2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部中和相、及び中和によって生成された塩と、水と、を含む下部中和相が得られ、したがって、これらの2つの相は互いに分離して存在する。2つの中和相は、好ましくは、分散装置、例えば、混合ポンプによって生成され、次いで中和抽出ユニット(7)内に位置する相分離器(6)で互いに分離される。
【0068】
好ましい実施形態では、中和抽出ユニット(7)は、連続的に流入及び流出する流れによって連続的に運転される。
【0069】
プロセス段階III:水洗抽出
好ましい構成では、反応排出物のアルカリ抽出に続いて、中和抽出ユニット(7)から得られた上部中和相は、水洗抽出ユニット(8)内で水で抽出され、水及び塩残留物を含む下部水洗相及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部水洗相が形成され、したがって、これらの2つの相は互いに分離して存在する。2つの水洗相は、好ましくは、分散装置、例えば、混合ポンプによって生成され、次いで、水洗抽出ユニット(8)内に位置する相分離器(6)内で互いに分離される。
【0070】
アルカリ抽出(プロセス段階II)及び水洗抽出(プロセス段階III)の両方は、例えば撹拌タンク又は別の従来の装置、例えば塔又はミキサーセトラー装置で実行することができる。ミキサーセトラー又は塔では、適切なプロセスを連続的に行うことが好ましい。撹拌タンク内で、適切なプロセスは好ましくは不連続的に行われる。
【0071】
撹拌タンク内、静的ミキサー内、パイプライン内、又は混合ポンプ及び相分離器内の分散など、ミキサーセトラー装置には異なる分散オプションがある。
【0072】
ミキサー及びセトラーは、多かれ少なかれ互いに独立して構築することができる。混合プロセスは、例えば、撹拌機、撹拌速度、動力入力及び/又は処理量の正しい選択によって調整することができる。混合ポンプの場合、動力入力を好ましく調整することができる。
【0073】
アルカリ抽出(プロセス段階II)及び水洗抽出(プロセス段階III)の両方は、好ましくは抽出塔、遠心抽出器又はミキサーセトラー装置であり得る。
【0074】
特に好ましい実施形態では、アルカリ抽出(プロセス段階II)の場合、得られた反応排出物は、ポンプ、例えば混合ポンプによって希釈アルカリと共に分散され、次いで、上部中和相と下部中和相とを互いに分離する相分離器(6)に供給される。
【0075】
使用されるプロセス技術は、それ自体公知のすべての抽出及び洗浄方法及び抽出装置、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of lndustrial Chemistry,6th edition,1999 Electronic Release,Chapter:Liquid-Liquid Extraction-Apparatusに記載されているものであり得る。例えば、これらは、並流又は向流モードで運転させることができる単一又は多段抽出、好ましくは単段抽出であり得る。
【0076】
塩を分離する場合、水洗を使用することが好ましい。
【0077】
好ましい実施形態では、水洗抽出ユニット(8)は、連続的に流入及び流出する流れによって連続的に運転される。
【0078】
特に好ましい実施形態では、中和抽出ユニット(7)から得られた上部中和相を別々に供給された水で分散させる静的ミキサーが使用される。続いて、静的ミキサーによって分散された混合物は相分離器(6)に供給され、そこでは水及び塩残留物を含む下部水洗相と、2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部水洗相とが形成される。
【0079】
以下のプロセス段階IV~VIIは、好ましくは連続的に運転される。
【0080】
プロセス段階IV:シクロヘキサン除去
好ましい構成では、反応排出物のアルカリ抽出に続いて、シクロヘキサン共沸剤が、共沸混合物精留塔ユニット内で上部中和相から分離され、共沸混合物精留塔(9)が、共沸混合物精留塔ユニット内に位置し、1つの共沸混合物精留塔(9)が、0.05~0.9バールの範囲の低減された絶対圧力下及び70~120℃の範囲の底部温度で運転され、有機相が、供給される上部中和相に基づいて、共沸剤シクロヘキサン、オクテン、2-オクタノール及び0.1~5.0%の範囲の2-オクチル(メタ)アクリレートの質量流量割合を含む1つの共沸混合物精留塔(9)の頂部を介して抜き出され、塔頂を介して抜き出された成分が、共沸質量流を形成し、これが凝縮され、50~100%の範囲で反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給され、残留共沸混合物質量流量割合が、凝縮され、共沸混合物精留塔(9)の頂部に供給されるのに対して、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル、並びに2-オクタノール及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む高ボイラが、1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物を通して除去され、底部排出物の質量流の20~95%の範囲では、蒸発器を通って流れ、続いて1つの共沸混合物精留塔(9)にリサイクルされる。
【0081】
好ましい構成では、水洗抽出に続いて、シクロヘキサン共沸剤が、共沸混合物精留塔ユニット内で上部水洗相から分離され、共沸混合物精留塔(9)が、共沸混合物精留塔ユニット内に位置し、1つの共沸混合物精留塔(9)が、0.05~0.9バールの範囲の低減された絶対圧力下、70~120℃の範囲の底部温度で運転され、有機相が、供給された上部水洗相に基づいて、共沸剤シクロヘキサン、オクテン、2-オクタノール、及び0.1~5.0%の範囲の2-オクチル(メタ)アクリレートの質量流量割合を含む1つの共沸混合物精留塔(9)の頂部を介して抜き出され、塔頂を介して抜き出された成分が、共沸質量流を形成し、これが凝縮され、50~100重量%の範囲の反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給され、残留共沸混合物質量流量割合が凝縮され、共沸混合物精留塔(9)の頂部に戻される一方で、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル、並びに2-オクタノール及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む高ボイラが、1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物を通して除去され、底部排出物の質量流の20~95%の範囲において、蒸発器を通って流れ、次いで1つの共沸混合物精留塔(9)にリサイクルされる。
【0082】
特に好ましい構成では、正確に1つの共沸混合物精留塔(9)が、共沸混合物精留塔ユニット内に位置する。
【0083】
プロセス段階V:2-オクタノール分離
特に好ましい構成では、シクロヘキサン共沸剤の分離に続いて、2-オクタノールが、2-オクタノール精留塔ユニット内の1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物によって生成される質量流から分離され、2-オクタノール精留塔(10)が、2-オクタノール精留塔ユニット内に位置し、1つの2-オクタノール精留塔(10)が、0.005~0.10バールの範囲の低減された絶対圧力下で、70~130℃の範囲の底部温度で運転され、1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物により生成される質量流が、2-オクタノール精留塔(10)の頂部の下から中央の領域で計量供給され、1つの2-オクタノール精留塔(10)の頂部を介して排出された成分が、凝縮され、頂部を介して排出された成分の質量流に基づいて、20~50%の範囲の反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給され、排出成分が、2~40重量%の範囲の2-オクタノールからなる。一方、2-オクチル(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステルを含む高ボイラが、2-オクタノール精留塔(10)の底部排出物から抜き出され、底部排出物の質量流の20~95%が蒸発器を通って流れ、その後、1つの2-オクタノール精留塔(10)に戻される。
【0084】
好ましい構成では、シクロヘキサン共沸剤の分離に続いて、2-オクタノールが、2-オクタノール蒸発器ユニット内で1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物によって生成される質量流から分離され、2-オクタノール蒸発器(110)が、2-オクタノール蒸発器ユニット内に位置し、1つの2-オクタノール蒸発器(110)が、0.005~0.10バールの範囲の低減された絶対圧力下及び70~130℃の範囲の底部温度で運転され、1つの共沸混合物精留塔(9)の底部排出物によって生成される質量流が、1つの2-オクタノール蒸発器の2-オクタノール入口に計量供給され、1つの2-オクタノール蒸発器の2-オクタノール蒸発器(110)出口を介して排出された成分が、20~50%の範囲で反応器ユニット(24)に供給され、2-オクタノール蒸発器出口で排出された成分の質量流に基づいて、これらの排出成分が、2~40重量%の範囲の2-オクタノールからなる。一方、2-オクチル(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステルを含む高ボイラが、1つの2-オクタノール蒸発器の底部排出物を通って抜き出され、底部排出物の質量流の20~95%の範囲で、蒸発器を通って流れ、続いて1つの2-オクタノール蒸発器(110)に戻される。
【0085】
好ましい構成では、シクロヘキサン分離後、2-オクタノール及び同時に2-オクチル(メタ)アクリレートが、隔壁塔(131)内でシクロヘキサンを含む残留成分から分離される。
【0086】
好ましい構成では、隔壁塔(131)には、部分領域における液体及び蒸気流の交差混合を防止する垂直隔壁(138)が設けられる。平坦な金属シートからなる隔壁(138)は、その中央領域で塔を長手方向に供給セクション(140)と抜き出しセクション(141)とに分割する。
【0087】
好ましい構成において、低ボイラ、2-オクチル(メタ)アクリレート及び高ボイラを含む分離されるべき混合物は、供給セクション(140)に供給され、2-オクチル(メタ)アクリレートは、蒸気形態又は液体形態で抜き出しセクション(141)から抜き出される。低ボイラは、隔壁塔(131)の頂部を介して分離され、高ボイラは、隔壁塔(131)の底部を介して分離される。
【0088】
エネルギー要件及び投資コストは、2つの精留塔を有する従来の塔配置よりも約25%低い。
【0089】
プロセス段階VI:純粋なボイラ分離(標的生成物2-オクチル(メタ)アクリレートの分離)
好ましい構成では、2-オクタノールの分離に続いて、純粋なボイラ精留塔ユニット内の1つの2-オクタノール精留塔(10)の底部排出物によって生成された質量流から純粋なボイラ分離が行われ、純粋なボイラ精留塔(11)が、純粋なボイラ精留塔ユニット内に位置し、1つの純粋なボイラ精留塔(11)が、0.002~0.05バールの範囲の低減された絶対圧力下及び80~130℃の範囲の底部温度で運転され、1つの2-オクタノール精留塔(10)の底部排出物によって生成された質量流が、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の頂部の下方から中央までの領域で計量供給され、1つの純粋なボイラ精留塔(11)が安定化されるために、2-オクチル(メタ)アクリレート及び重合禁止剤が、それぞれ0.01~1.0%の範囲で、1つの2-オクタノール精留塔(10)の底部排出物によって生成された質量流に基づいて、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の底部から中央までの領域に計量供給され、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の頂部を介して2-オクチル(メタ)アクリレートが抜き出される一方で、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステルを含む高ボイラは、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の底部排出物を介して抜き出される。
【0090】
特に好ましい構成では、2-オクタノールの分離に続いて、純粋なボイラ蒸発器ユニット内の1つの2-オクタノール蒸発器の底部排出物によって生成された質量流から純粋なボイラ分離が行われ、純粋なボイラ蒸発器ユニット内に純粋なボイラ蒸発器が位置し、1つの純粋なボイラ蒸発器(111)が、0.002~0.05バールの範囲内の低減された絶対圧力下及び80~130℃の範囲内の底部温度で運転され、1つの2-オクタノール精留塔(10)又は1つの2-オクタノール蒸発器の底部排出物によって生成された質量流が、1つの純粋なボイラ蒸発器ユニットの純粋なボイラ蒸発器入口に計量供給され、1つの純粋なボイラ蒸発器を安定化するために、2-オクチル(メタ)アクリレート及び重合禁止剤をそれぞれ0.01~1.0%の範囲内で、1つの2-オクタノール蒸発器の底部排出物によって生成された質量流に基づいて、1つの純粋なボイラ蒸発器の純粋なボイラ蒸発器入口に計量供給され、2-オクチル(メタ)アクリレートは、1つの純粋なボイラ蒸発器の純粋なボイラ蒸発器出口を介して抜き出される一方、ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステルを含む高ボイラが、1つの純粋なボイラ蒸発器の底部排出物を介して抜き出される。
【0091】
非常に特に好ましい構成では、純粋なボイラ蒸発器ユニットは、正確に1つの純粋なボイラ蒸発器を含む。
【0092】
プロセスステップVII:高ボイラ分離(ジ(メタ)アクリル酸エステル及びオキシエステル、例えば、(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル)
【0093】
好ましい構成では、純粋なボイラ分離に続いて、高ボイラ精留塔ユニット内で、1つの純粋なボイラ精留塔(11)又は1つの純粋なボイラ蒸発器の底部排出物によって生成された質量流から高ボイラが分離され、高ボイラ精留塔(12)が、高ボイラ精留塔ユニット内に位置し、1つの高ボイラ精留塔(12)は、0.002~0.05バールの範囲の低減された絶対圧力下及び80~150℃の範囲の底部温度で運転され、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の底部排出物によって生成された質量流は、1つの高ボイラ精留塔(12)の底部から中央までの領域に計量供給され、1つの高ボイラ精留塔(12)の頂部を経由して抜き出された引き出しは、凝縮され、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の底部から中央までの領域、又は1つの純粋なボイラ蒸発器の純粋なボイラ蒸発器入口に供給される。
【0094】
特に好ましい構成では、純粋なボイラ分離に続いて、高ボイラは、高ボイラ蒸発器ユニット内で、1つの純粋なボイラ精留塔(11)又は1つの純粋なボイラ蒸発器の底部排出物によって生成された質量流から分離され、高ボイラ蒸発器が、高ボイラ蒸発器ユニット内に位置し、1つの高ボイラ蒸発器が、0.002~0.05バールの範囲内の低減された絶対圧力下及び80~150℃の範囲内の底部温度で運転され、1つの純粋なボイラ蒸発器の底部排出物によって生成された質量流が、1つの高ボイラ蒸発器の高ボイラ蒸発器入口に計量供給され、1つの高ボイラ蒸発器から抜き出された引き出しが、凝縮され、1つの純粋なボイラ精留塔(11)の底部から中央までの領域に、又は1つの純粋なボイラ蒸発器の純粋なボイラ蒸発器入口に戻される。
【0095】
非常に特に好ましい構成では、高ボイラ蒸発器ユニットは、正確に1つの高ボイラ蒸発器を含む。
【0096】
プロセス段階I及びIIの更に好ましい実施形態
好ましい構成では、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)内の底部温度は、100~125℃、好ましくは110~115℃の範囲内である。
【0097】
好ましい構成では、エステル化は、0.8~1.5バール、特に好ましくは0.9~1.2バールの範囲の絶対圧力で行われる。
【0098】
好ましい構成では、反応器(1)に供給される2-オクタノール(13)、酸性エステル化触媒(15)、重合禁止剤(31)及び(メタ)アクリル酸(14)の質量流の合計に基づいて、1.0%未満のオクテンが、反応器(1)の底部に形成される。これは、とりわけ、前の2つの段落からの構成を適用するときに達成され得る。
【0099】
好ましい構成では、シクロヘキサンは、それぞれの場合に反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給される2-オクタノール(13)及び(メタ)アクリル酸(14)の質量による量の合計に基づいて、100~600重量%の範囲、好ましくは200~500重量%の範囲、特に好ましくは350~450重量%の範囲の量で反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に供給される。
【0100】
好ましい構成では、10~90重量%の範囲の濃度のシクロヘキサンが、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に更に計量供給され、濃度の重量パーセントは、計量供給されたシクロヘキサンを含む反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に存在する成分を指す。
【0101】
好ましい構成では、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)内の触媒の割合は、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)内に存在する2-オクタノール及び(メタ)アクリル酸の成分の合計に基づいて、最大10重量%である。
【0102】
好ましい構成において、プロセス段階(II)におけるアルカリ溶液は、5~25重量%の範囲のNaOH、好ましくは10~20重量%の範囲のNaOHを含むNaOH水溶液である。
【0103】
好ましい構成では、反応器内容物は、自然循環又は強制循環によって1つの反応器(1)内で循環される。
【0104】
好ましい構成では、シクロヘキサン共沸剤を含まない反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に流入する全成分は、以下の重量による割合を有する。
2-オクタノール:40.00~84.39重量%
(メタ)アクリル酸:15.00~59.39重量%
酸性エステル化触媒:0.50~10.00重量%
重合禁止剤:0.01~1.00重量%
残留成分:0.10~5.00重量%。
【0105】
共沸剤シクロヘキサンは、反応器ユニット(24)の反応器(1)中にシクロヘキサンの濃度が10~90重量%の範囲で形成されるような量で添加され、重量による割合のこれらの数字は、シクロヘキサンを含む反応器ユニット(24)の反応器(1)中に存在する成分に関する。
【0106】
更に、共沸剤シクロヘキサンを含まず、エステル化水を含まないこの好ましい構成では、反応器ユニット(24)の反応器(1)から流出する全成分、すなわち、得られた液体反応排出物に加えて反応混合物から蒸発して反応器ユニット(24)から排出される部分は、以下の重量による割合を有する。
2-オクチル(メタ)アクリレート:50.00~95.00重量%
2-オクタノール:1.00~30.00重量%
(メタ)アクリル酸:1.00~15.00重量%
酸性エステル化触媒:0.50~10.00重量%
重合禁止剤:0.01~1.00重量%
残留成分:2.49~10.00重量%。
【0107】
シクロヘキサン及びエステル化水によって形成された不均一共沸混合物は、10~50重量%の範囲の濃度で反応器ユニット(24)の反応器(1)から流出し、重量パーセントのこれらの数字は、シクロヘキサン及びエステル化水を含む流出する全成分を指す。
【0108】
特に好ましい構成では、シクロヘキサン共沸剤を含まない反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)に流入する全成分は、以下の重量による割合を有する。
2-オクタノール:50.00~74.39重量%
(メタ)アクリル酸:25.00~45.00重量%
酸性エステル化触媒:0.50~5.00重量%
重合禁止剤:0.01~1.00重量%
残留成分:0.10~2.00重量%。
【0109】
共沸剤シクロヘキサンは、反応器ユニット(24)の反応器(1)中にシクロヘキサンの濃度が10~50重量%の範囲で形成されるような量で添加され、重量による割合のこれらの数字は、シクロヘキサンを含む反応器ユニット(24)の反応器(1)中に存在する成分に関する。
【0110】
更に、共沸剤シクロヘキサンを含まず、エステル化水を含まないこの特に好ましい構成では、反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)から流出する全成分、すなわち、得られた液体反応排出物に加えて反応混合物から蒸発して反応器ユニット(24)から排出される部分は、以下の重量による割合を有する。
2-オクチル(メタ)アクリレート:70.00~95.00重量%
2-オクタノール:1.00~15.00重量%
(メタ)アクリル酸:1.00~10.00重量%
酸性エステル化触媒:0.50~10.00重量%
重合禁止剤:0.01~1.00重量%
残留成分:2.49~10.00重量%。
【0111】
シクロヘキサン及びエステル化水によって形成された不均一共沸混合物は、10~50重量%の範囲の濃度で反応器ユニット(24)の1つの反応器(1)から流出し、重量パーセントのこれらの数字は、シクロヘキサン及びエステル化水を含む流出する全成分を指す。
【0112】
本発明は、図面を参照して以下でより詳細に考察される。図面は、概略図として理解されるべきである。それらは、例えば特定の寸法又は設計バージョンに関して、本発明の限定を構成しない。
【0113】
以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】不均一共沸混合物を分離するための反応器加熱要素30としての蒸発器に基づいて2-オクチル(メタ)アクリレートを製造するためのプロセス概要。
図2】反応器加熱要素30としての蒸発器、及び不均一共沸混合物を分離するための共沸混合物精留塔ユニット25に基づいて2-オクチル(メタ)アクリレートを製造するためのプロセス概要。
図3】隔壁塔のプロセス概要。
【発明を実施するための形態】
【0115】
図1は、それぞれのプロセス段階で2-オクチル(メタ)アクリレートを製造するためのプロセス概要を示し、各反応器は、不均一共沸混合物を分離するための反応器加熱要素として蒸発器を含む。
【0116】
プロセス段階(I):エステル化
エステル化は、3つの縦続接続された反応器1、2、3からなる反応器ユニット24で反応される。反応物流は、カスケードの第1の反応器1に流入する:2-オクタノール13、(メタ)アクリル酸14、酸性エステル化触媒15、重合禁止剤31及び共沸剤シクロヘキサン17。カスケードの第1の反応器1が所定のレベルに達した後、質量流がカスケードの第2の反応器2に流れる。カスケードの第2の反応器2が所定のレベルに達した後、質量流がカスケードの第3の反応器3に流れる。第3の反応器3が所定のレベルに達した後、得られた反応排出物が、反応ユニットから流出する。反応器ユニット24の3つすべての反応器1、2、3は、それぞれ独自の蒸発器30を備え、それを通って反応混合物が流れ、加熱され、次いでそれぞれの反応器に戻される。蒸発器30では、エステル化の間形成されたエステル化水及び共沸剤シクロヘキサンが、不均一共沸混合物(シクロヘキサン/エステル化水)として一部蒸発する。
【0117】
不均一共沸混合物で富化された気体流は、個々の反応器1、2、3から抜き出され、凝縮が下流凝縮器5によって生じるまで冷却される。下流相分離器6では、有機上相と水下相が形成される。
【0118】
水性下相は、プロセスから廃棄される。有機上相は、最大50~99.9重量%のシクロヘキサンを含む。この有機上相は、カスケードの第1の反応器1及び塔の頂部から中央までの領域の共沸混合物精留塔4に供給される。
【0119】
プロセス段階(II):アルカリ抽出
エステル化段階から得られた反応排出物は、中和抽出ユニット7においてアルカリ溶液19で中和され、酸性エステル化触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸が中和される。その結果、2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部中和相、及び中和によって生成した塩と、水と、を含む下部中和相が形成される。下部中和相20は、プロセスから廃棄される。
【0120】
プロセス段階(III):水洗抽出
アルカリ抽出に続いて、上部中和相が水洗抽出ユニット8に供給され、水18の添加により、水及び塩残留物を含む下部水洗相20及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部水洗相が形成される。下部水洗相20は、プロセスから廃棄される。
【0121】
プロセス段階(IV):シクロヘキサン除去
水洗抽出からの上部水洗相は、共沸混合物精留塔9に供給される。低ボイラ及びシクロヘキサンは、この塔9の頂部を介して除去される。
【0122】
塔9の頂部を介して除去された成分は、95~99.9重量%の範囲で凝縮され、共沸混合物精留塔9の頂部領域に戻される。残留部分は、気体低ボイラ23、例えば、オクテンの分離後に、カスケードの第1の反応器1に戻される。シクロヘキサンは、典型的には、プロセス全体に供給されるシクロヘキサンの総質量に基づいて、2~20重量%の範囲で塔9からカスケードの第1の反応器1に搬送される。
【0123】
プロセス段階(V):2-オクタノール分離
共沸混合物精留塔9に戻されない底部排出物の割合は、2-オクタノール蒸発器110に供給される。2-オクタノールは、2-オクタノール蒸発器110に供給される共沸混合物精留塔9の底部排出物に基づいて20~60重量%の範囲の量で、2-オクタノール蒸発器110を介して抜き出され、凝縮され、カスケードの第1の反応器1に完全に供給される。
【0124】
プロセス段階(VI):純粋なボイラ分離
2-オクタノール蒸発器110に戻されない底部排出物の部分は、純粋なボイラ蒸発器111に供給される。価値のある2-オクチル(メタ)アクリレート生成物は、純粋なボイラ蒸発器111に供給される底部排出物に基づいて、80~95重量%の範囲の純粋なボイラ蒸発器111の蒸気流を介して抜き出され、凝縮され、完全に純粋なボイラ蒸発器111に戻される。オクタノール蒸発器110の底部排出物の残りの残留部分は、凝縮され、高ボイラ蒸発器112に全体的に供給される。
【0125】
プロセス段階(VII):高ボイラ分離
純粋なボイラ蒸発器111の底部排出物の対応する残留部分は、高ボイラ蒸発器112に供給される。低ボイラは、高ボイラ蒸発器112に供給される純粋なボイラ蒸発器111の底部排出物に基づいて、40~90重量%の範囲の高ボイラ蒸発器112の蒸気流を介して抜き出され、全体が純粋なボイラ蒸発器111に戻される。高ボイラ蒸発器112の循環に基づいて、高ボイラ蒸発器112の底部に存在する高ボイラ22のうちの1~10重量%までがプロセスから排出され、得られた高ボイラ22の残りの部分が蒸発して高ボイラ蒸発器112に戻される。
【0126】
図2は、それぞれのプロセス段階で2-オクチル(メタ)アクリレートを製造するためのプロセス概要を示し、不均一共沸混合物を分離するための共沸混合物精留塔4が使用される。
【0127】
プロセス段階(I):エステル化
エステル化は、3つの縦続接続された反応器1、2、3からなる反応器ユニット24で反応される。反応物流は、カスケードの第1の反応器1に流入する:2-オクタノール13、(メタ)アクリル酸14、酸性エステル化触媒15、重合禁止剤31及び共沸剤シクロヘキサン17。カスケードの第1の反応器1が所定のレベルに達した後、質量流がカスケードの第2の反応器2に流れる。カスケードの第2の反応器2が所定のレベルに達した後、質量流がカスケードの第3の反応器3に流れる。第3の反応器3が所定のレベルに達した後、得られた反応排出物が、反応ユニットから流出する。反応器ユニット24の3つすべての反応器1、2、3は、それぞれ独自の蒸発器30を備え、それを通って反応混合物が流れ、加熱され、次いでそれぞれの反応器に戻される。蒸発器30では、エステル化の間形成されたエステル化水と共沸剤シクロヘキサンとが、不均一共沸混合物(シクロヘキサン/エステル化水)として少なくとも一部蒸発する。
【0128】
不均一共沸混合物で富化された気体流は、個々の反応器1、2、3から抜き出され、下流の共沸混合物精留塔4に供給される。共沸混合物精留塔4は、反応器ユニット24に置かれる。重合禁止剤31は、共沸混合物精留塔4の頂部に供給される。
【0129】
不均一共沸混合物で富化された気体流は、共沸混合物精留塔4の頂部を介して供給され、凝縮器5によって凝縮が生じるまで冷却される。下流相分離器6では、有機上相と水下相が形成される。
【0130】
水性下相は、プロセスから廃棄される。有機上相は、最大50~99.9重量%のシクロヘキサンを含む。この有機上相は、カスケードの第1の反応器1及び塔の頂部から中央までの領域の共沸混合物精留塔4に供給される。
【0131】
プロセス段階(II):アルカリ抽出
エステル化段階から得られた反応排出物は、中和抽出ユニット7においてアルカリ溶液で中和され、酸性エステル化触媒及び未反応の(メタ)アクリル酸が中和される。その結果、2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部中和相、及び中和によって生成した塩と、水と、を含む下部中和相が形成される。下部中和相は、プロセスから廃棄される。
【0132】
プロセス段階(III):水洗抽出
アルカリ抽出に続いて、上部中和相が水洗抽出ユニット8に供給され、水18の添加により、水及び塩残留物を含む下部水洗相20及び2-オクチル(メタ)アクリレートを含む上部水洗相が形成される。下部水洗相20は、プロセスから廃棄される。
【0133】
プロセス段階(IV):シクロヘキサン除去
水洗抽出からの上部水洗相は、共沸混合物精留塔9に供給される。低ボイラ及びシクロヘキサンは、この塔9の頂部を介して除去される。
【0134】
塔9の頂部を介して除去された成分は、95~99.9重量%の範囲で凝縮され、共沸混合物精留塔9の頂部領域に戻される。得られた残留部分は、気体低ボイラ23、例えば、オクテンの分離後に、カスケードの第1の反応器1に供給される。シクロヘキサンは、典型的には、プロセス全体に供給されるシクロヘキサンの総質量に基づいて、2~20重量%の範囲で塔9からカスケードの第1の反応器1に搬送される。
【0135】
プロセス段階(V):2-オクタノール分離
共沸混合物精留塔9に戻されない底部排出物の割合は、2-オクタノール精留塔10に供給される。2-オクタノールは、この塔10の頂部を介して、塔10に供給される共沸混合物精留塔9の底部排出物に基づいて、20から60重量%の範囲の量で抜き出される。塔10の頂部を介して抜き出された成分は、完全に凝縮され、0~50%の重量範囲の頂部領域の2-オクタノール精留塔10に戻され、一方、得られた頂部引き出しの残りの部分は、カスケードの第1の反応器1に供給される。
【0136】
プロセス段階(VI):純粋なボイラ分離
2-オクタノール精留塔10に戻されない底部排出物の部分は、純粋なボイラ精留塔11に供給される。価値のある2-オクチル(メタ)アクリレート生成物は、この純粋なボイラ精留塔11の頂部を介して、塔11に供給される底部排出物に基づいて、80~95重量%の範囲で抜き出される。純粋なボイラ精留塔11の頂部を介した排出物は、完全に凝縮され、0~60重量%の範囲で純粋なボイラ精留塔11の頂部領域に戻される。得られたオクタノール精留塔10の底部排出物の残留部分は、高ボイラ分離に供給される。
【0137】
プロセス(ステップVII):高ボイラ分離
純粋なボイラ精留塔11の底部排出物の対応する残留部分は、高ボイラ精留塔12に供給される。高ボイラ精留塔12に供給される底部排出物に基づいて40~300重量%の範囲の低ボイラが、この高ボイラ精留塔12の頂部を介して抜き出され、40~90重量%の範囲の引き出しの一部は、純粋なボイラ精留塔11に戻され、得られた残留部分が、塔12の頂部領域の高ボイラ精留塔12に戻される。高ボイラ精留塔12の底部に存在する高ボイラ22の少なくとも一部は、プロセスから排出され、得られた高ボイラ22の残留部分は、蒸発して高ボイラ精留塔12の底部領域に戻される。
【0138】
図3に隔壁塔のプロセス概要を示す。
【0139】
プロセス概要は、隔壁塔131を共通の上側塔領域139に分割する隔壁138を有する隔壁塔131、精留セクション140及び剥離セクション142を有する供給セクション140、142、剥離セクション141及び精留セクション143を有する抜き出しセクション141、143、並びに共通の下側塔領域144を示す。分離されるべき混合物132は、低ボイラ、2-オクチル(メタ)アクリレート及び高ボイラを含み、塔セクション140と142との間の隔壁塔131に入る。純粋な生成物133は、塔セクション141と143との間に、好ましくは液体形態で抜き出される。塔の塔頂で得られた蒸気流145は、凝縮器136で部分的に凝縮され、これはアフタークーラによって補充されてもよく、戻り流146と留出物流134とに分割される。凝縮器136からの非凝縮留分は、低沸点不純物を含み、蒸気形態で流れ139として引き出される。塔下端の液体147は、蒸発器137で部分的に蒸発し、導管148を介して塔に戻される。高沸点不純物を含む副流135が排出される。蒸発器137は、自然循環蒸発器として、又は強制循環蒸発器として設計することができ、後者の場合、液体流147には循環ポンプが更に必要とされる。望ましくない重合反応を回避することに関して特に有利なのは、強制循環蒸発器の代わりに流下膜蒸発器又は薄層蒸発器を使用することであり、これは、この設計では最短の滞留時間が可能であるためである。
【0140】
蒸発器システム内の液体の滞留時間を短縮するために、下部塔キャップ内ではなく、液体流147の供給導管内にレベル制御を配置することが好ましい。
【実施例
【0141】
以下の実施例及び本文書全体の両方において、用語「定性的GC」は、個々の成分が保持時間の比較によって割り当てられている気体クロマトグラフィー(GC)を指す。混合物中の各成分の濃度をピーク面積(面積%)とする。
【0142】
以下の実施例及び本文書全体の両方において、用語「定量的GC」は、内部標準n-テトラデカンを参照により定量化する気体クロマトグラフィー(GC)を指す。2-オクチルアクリレート、シクロヘキサン及び2-オクタノールの成分を定量した。混合物中の各成分の濃度は、重量パーセント(重量%)として得られる。
【0143】
予想される水の量は、完全転化又は無限の反応時間での水の量に対応し、使用される出発物質の含水量と、100%転化で形成されるエステル化水との合計から生じる。これらの含水量の合計は、本明細書では反応水とも呼ばれる。形成される最大エステル化水は、使用されるアクリル酸のモルに相当する形成された水のモルによって計算され得る。なお、バランスシートにおいては、水相へのアクリル酸の若干のキャリーオーバーは考慮されていない。
【0144】
実施例1:シクロヘキサンによる不連続エステル化(プロセス段階I)
熱センサ、アンカー撹拌機、水分離器、ジャケット付きコイル凝縮器及び空気入口を備えた0.75 Lの加熱可能な二重壁反応器に、最初に300 gの2-オクタノール、0.6 gのフェノチアジン、0.6 gのHO-TEMPOの2-オクチルアクリレート中1重量%溶液、130 gのシクロヘキサン、0.015 gのCuCl及び0.240 gの50%次亜リン酸を装入した。次いで、161 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。6.4 gの100%メタンスルホン酸を添加した。バッチサイズの合計は、599 gであった。
【0145】
反応混合物を125℃の浴温度で加熱した。加熱により反応時間を開始した。反応の過程で、底部試料を採取し、反応の過程を監視するために気体クロマトグラフィーによって分析した。
【0146】
0.58時間後、底部温度99℃で、水が通過し始め、蒸留時間が開始した。6.59時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、119℃の底部温度に達したときに反応を終了させた。予想される水の量の88.2%に相当する35.6 gの水が留去された。
【0147】
6時間の蒸留時間後、反応混合物を気体クロマトグラフィーによって分析した。2-オクタノール及び2-オクチルアクリレートを定量した。6.59時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、混合物は、71.54重量%のオクチルアクリレート及び5.75重量%の2-オクタノールを含んでいた。反応混合物は、0.27面積%のオクテン、1.78面積%のジアクリル酸エステル及び1.85面積%のオキシエステルを含んでいた。
【0148】
転化率は、2-オクタノールに基づいて92.56%であった。
【0149】
比較例1:トルエンによる不連続エステル化(プロセス段階I)
熱センサ、アンカー撹拌機、水分離器、ジャケット付きコイル凝縮器及び空気入口を備えた0.75 Lの加熱可能な二重壁反応器に、最初に300 gの2-オクタノール、0.6 gのフェノチアジン、0.6 gのHO-TEMPOの2-オクチルアクリレート中1重量%溶液、130 gのトルエン、0.015 gのCuCl及び0.240 gの50%次亜リン酸を装入した。次いで、161 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。6.4 gの100%メタンスルホン酸を添加した。バッチサイズの合計は、599 gであった。
【0150】
反応混合物を125℃の浴温度で加熱した。加熱により反応時間を開始した。反応の過程で、底部試料を採取し、反応の過程を監視するために気体クロマトグラフィーによって分析した。
【0151】
0.92時間後、底部温度108℃で、水が通過し始め、蒸留時間が開始した。6.92時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、116℃の底部温度に達したときに反応を終了させた。予想される水の量の43.9%に相当する17.7 gの水が留去された。
【0152】
6時間の蒸留時間後、反応混合物を気体クロマトグラフィーによって分析した。2-オクタノール及び2-オクチルアクリレートを定量した。6.92時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、混合物は、58.38重量%のオクチルアクリレート及び13.35重量%の2-オクタノールを含んでいた。反応混合物は、0.15面積%のオクテン、2.18面積%のジアクリル酸エステル及び1.57面積%のオキシエステルを含んでいた。
【0153】
転化率は、2-オクタノールに基づいて81.39%であった。
【0154】
比較例2:共沸剤としての2-オクタノールによる不連続エステル化(プロセス段階I)
熱センサ、アンカー撹拌機、水分離器、ジャケット付きコイル凝縮器及び空気入口を装備した0.75 Lの加熱可能な二重壁反応器に、最初に300 gの2-オクタノール、0.6 gのフェノチアジン、0.6 gの2-オクチルアクリレート中のHO-TEMPOの1重量%溶液、更に130 gの2-オクタノール、0.015 gのCuCl及び0.240 gの50%次亜リン酸を装入した。次いで、161 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。6.4 gの100%メタンスルホン酸を添加した。バッチサイズの合計は、599 gであった。
【0155】
反応混合物を125℃の浴温度で加熱した。加熱により反応時間を開始した。反応の過程で、底部試料を採取し、反応の過程を監視するために気体クロマトグラフィーによって分析した。
【0156】
1.22時間後、底部温度112℃で、水が通過し始め、蒸留時間が開始した。7.22時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、114℃の底部温度に達したときに反応を終了させた。予想される水の量の31.6%に相当する12.8 gの水が留去された。
【0157】
6時間の蒸留時間後、反応混合物を気体クロマトグラフィーによって分析した。2-オクタノール及び2-オクチルアクリレートを定量した。7.22時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、混合物は54.64重量%のオクチルアクリレート及び33.01重量%の2-オクタノールを含んでいた。反応混合物は、0.09面積%のオクテン、1.11面積%のジアクリル酸エステル及び2.20面積%のオキシエステルを含んでいた。
【0158】
転化率は、2-オクタノールに基づいて62.35%であった。
【0159】
比較例3:共沸剤を用いない不連続エステル化(プロセス段階I)
熱センサ、アンカー撹拌機、水分離器、ジャケット付きコイル凝縮器及び空気入口を備えた0.75 Lの加熱可能な二重壁反応器に、最初に383 gの2-オクタノール、0.6 gのフェノチアジン、0.6 gのヒドロキシ-テンポの2-オクチルアクリレート中1%溶液、0.015 gのCuCl及び0.240 gの50%次亜リン酸を装入した。次いで、206 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。8.2 gの100%メタンスルホン酸を添加した。バッチサイズの合計は、599 gであった。
【0160】
反応混合物を125℃の浴温度で加熱した。加熱により反応時間を開始した。反応の過程で、底部試料を採取し、反応の過程を監視するために気体クロマトグラフィーによって分析した。
【0161】
1.17時間後、底部温度111℃で、水が通過し始め、蒸留時間が開始した。7.17時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、113℃の底部温度に達したときに反応を終了させた。予想される水の量の21.4%に相当する11.0 gの水が留去された。
【0162】
6時間の蒸留時間後、反応混合物を気体クロマトグラフィーによって分析した。2-オクタノール及び2-オクチルアクリレートを定量した。7.17時間の反応時間に相当する6時間の蒸留時間後、混合物は59.16重量%のオクチルアクリレート及び21.33重量%の2-オクタノールを含んでいた。反応混合物は、0.06面積%のオクテン、2.57面積%のジアクリル酸エステル及び2.00面積%のオキシエステルを含んでいた。
【0163】
転化率は、2-オクタノールに基づいて73.5%であった。
【0164】
要約
すべての実験を125℃の浴温度で行った。酸とアルコールを同じモル比で使用した。ここでの例外は、共沸剤として2-オクタノールを用いた実験であり、アクリル酸対2-オクタノールのモル比は、1:1.45であった。使用した酸に基づく触媒濃度は常に同じであった。
【0165】
実験における共沸剤は、シクロヘキサン、トルエン及び2-オクタノールであり、これは反応のために2-オクタノールに加えて存在した。更に、1つの実験では、共沸剤を使用しなかった。
【0166】
結果の表形式のまとめ
表1に、共沸剤シクロヘキサンを使用した実施例1の場合の反応の概要を示す。蒸留時間、反応時間、底部温度、反応水及び転化率を列挙する。水性転化率を以下のように計算した。
【数1】
【0167】
ここで、t=∞の反応水は、エステル化において完全に転化した場合に存在する、予想される反応水の最大量を意味する。t=x hである反応水は、エステル化に起因してx時間の時点に存在する反応水の量及び使用される出発物質の含水量に対応する。
【0168】
【表1】
【0169】
表2は、共沸剤としてシクロヘキサンを使用した実施例1についての様々な蒸留時間での定性的GC測定のGC値の概略を示す。1-オクテンと2-オクテンの合計、ジアクリル酸エステル(DIAAエステル)、オキシエステル、2-オクチルアクリレート含有量、定性的GCの値から算出される転化率、副生成物1-オクテン、2-オクテン、DIAAエステル及びオキシエステルの合計に対する2-オクチルアクリレートの比率を記載する。
【0170】
転化率は、以下のように計算した。
【数2】
【0171】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[面積%]は、定性的GCにより測定される2-オクチルアクリレートの面積百分率を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[面積%]は、定性的GCによって測定された2-オクタノールの面積百分率を指す。
【0172】
【表2】
【0173】
表3は、共沸剤シクロヘキサンを使用した実施例1の場合の各種蒸留時間の概要を示す。2-オクチルアクリレートの重量分率、2-オクタノールの重量分率及びモル転化率を列挙する。ここで、モル転化率は、定量的GCの値から算出される。
【0174】
モル転化率は、以下のように計算した:
【数3】
【0175】
分子量として略語W_モル(W_Mol)を使用する。
【0176】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[重量%]は、気体クロマトグラフィーで定量した2-オクチルアクリレートの割合を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[重量%]は、気体クロマトグラフィーによって定量された2-オクタノールの割合を指す。
【0177】
【表3】
【0178】
表4に、共沸剤トルエンを使用した比較例1の場合の反応の概要を示す。蒸留時間、反応時間、底部温度、反応水及び転化率を列挙する。水性転化率を以下のように計算した。
【数4】
【0179】
ここで、t=∞の反応水は、エステル化において完全に転化した場合に存在する、予想される反応水の最大量を意味する。t=x hである反応水は、エステル化に起因してx時間の時点に存在する反応水の量及び使用される出発物質の含水量に対応する。
【0180】
【表4】
【0181】
表5は、共沸剤としてトルエンを使用した比較例1についての様々な蒸留時間での定性的GC測定のGC値の概略を示す。1-オクテンと2-オクテンの合計、DIAAエステル、オキシエステル、2-オクチルアクリレート含有量、定性的GCの値から算出される転化率、副生成物1-オクテン、2-オクテン、DIAAエステル及びオキシエステルの合計に対する2-オクチルアクリレートの比率を記載する。
【0182】
転化率は、以下のように計算した。
【数5】
【0183】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[面積%]は、定性的GCにより測定される2-オクチルアクリレートの面積百分率を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[面積%]は、定性的GCによって測定された2-オクタノールの面積百分率を指す。
【0184】
【表5】
【0185】
表6は、共沸剤トルエンを使用した比較例1の場合の、様々な蒸留時間における概要を示す。2-オクチルアクリレートの重量分率、2-オクタノールの重量分率及びモル転化率を列挙する。ここで、モル転化率は、定量的GCの値から算出される。
【0186】
モル転化率は、以下のように計算した。
【数6】
【0187】
分子量として略語W_モル(W_Mol)を使用する。
【0188】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[重量%]は、気体クロマトグラフィーで定量した2-オクチルアクリレートの割合を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[重量%]は、気体クロマトグラフィーによって定量された2-オクタノールの割合を指す。
【0189】
【表6】
【0190】
表7に、共沸剤2-オクタノールを使用した比較例2の場合の反応概要を示す。蒸留時間、反応時間、底部温度、反応水及び転化率を列挙する。水性転化率を以下のように計算した。
【数7】
【0191】
ここで、t=∞の反応水は、エステル化において完全に転化した場合に存在する、予想される反応水の最大量を意味する。t=x hである反応水は、エステル化に起因してx時間の時点に存在する反応水の量及び使用される出発物質の含水量に対応する。
【0192】
【表7】
【0193】
表8は、共沸剤として2-オクタノールを使用した比較例2についての様々な蒸留時間での定性的GC測定のGC値の概要を示す。1-オクテンと2-オクテンの合計、DIAAエステル、オキシエステル、2-オクチルアクリレート含有量、定性的GCの値から算出される転化率、副生成物1-オクテン、2-オクテン、DIAAエステル及びオキシエステルの合計に対する2-オクチルアクリレートの比率を記載する。
【0194】
転化率は、以下のように計算した。
【数8】
【0195】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[面積%]は、定性的GCにより測定される2-オクチルアクリレートの面積百分率を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[面積%]は、定性的GCによって測定された2-オクタノールの面積百分率を指す。
【0196】
【表8】
【0197】
表9は、共沸剤2-オクタノールを使用した比較例2の場合の様々な蒸留時間での概要を示す。2-オクチルアクリレートの重量分率、2-オクタノールの重量分率及びモル転化率を列挙する。ここで、モル転化率は、定量的GCの値から算出される。
【0198】
モル転化率は、以下のように計算した。
【数9】
【0199】
分子量として略語W_モル(W_Mol)を使用する。
【0200】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[重量%]は、気体クロマトグラフィーで定量した2-オクチルアクリレートの割合を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[重量%]は、気体クロマトグラフィーによって定量された2-オクタノールの割合を指す。
【0201】
【表9】
【0202】
表10は、共沸剤を用いなかった比較例3の場合の反応の概要を示す。蒸留時間、反応時間、底部温度、反応水及び転化率を列挙する。水性転化率を以下のように計算した。
【数10】
【0203】
ここで、t=∞の反応水は、エステル化において完全に転化した場合に存在する、予想される反応水の最大量を意味する。t=x hである反応水は、エステル化に起因してx時間の時点に存在する反応水の量及び使用される出発物質の含水量に対応する。
【0204】
【表10】
【0205】
表11は、共沸剤を使用しなかった比較例3の様々な蒸留時間での定性的GC測定のGC値の概略を示す。1-オクテンと2-オクテンの合計、DIAAエステル、オキシエステル、2-オクチルアクリレート含有量、定性的GCの値から算出される転化率、副生成物1-オクテン、2-オクテン、DIAAエステル及びオキシエステルの合計に対する2-オクチルアクリレートの比率を記載する。
【0206】
転化率は、以下のように計算した。
【数11】
【0207】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[面積%]は、定性的GCにより測定される2-オクチルアクリレートの面積百分率を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[面積%]は、定性的GCによって測定された2-オクタノールの面積百分率を指す。
【0208】
【表11】
【0209】
表12は、共沸剤を使用しなかった比較例3の場合の様々な蒸留時間での概要を示す。2-オクチルアクリレートの重量分率、2-オクタノールの重量分率及びモル転化率を列挙する。ここで、モル転化率は、定量的GCの値から算出される。
【0210】
モル転化率は、以下のように計算した:
【数12】
【0211】
分子量として略語W_モル(W_Mol)を使用する。
【0212】
ここで、GC値(2-オクチルアクリレート)[重量%]は、気体クロマトグラフィーで定量した2-オクチルアクリレートの割合を指す。同様に、GC値(2-オクタノール)[重量%]は、気体クロマトグラフィーによって定量された2-オクタノールの割合を指す。
【0213】
【表12】
【0214】
副生成物の濃度は、反応が進行するにつれて増加する。同様の転化で、副生成物の形成は、共沸剤としてシクロヘキサンを使用する場合、共沸剤としてトルエン及び2-オクタノールを使用する場合、又は共沸剤を使用しない場合と比較して有意に低い。
【0215】
以下の表13は、それぞれ定性的GCのGC値から決定された、同様の転化での副生成物1-オクテン、2-オクテン、DIAAエステル及びオキシエステルの合計に対する2-オクチルアクリレートの比率を比較する。この場合、それぞれの共沸剤シクロヘキサン、トルエン及び2-オクタノールと共に実施例を示し、共沸剤を含まない実施例も示す。
【0216】
【表13】
【0217】
これは、結果を比較例1、2及び3と比較すると、シクロヘキサンを使用する場合に以下の利点をもたらす。
共沸剤としてシクロヘキサンを使用すると、同じエネルギー入力で最高の転化が生じる。これにより、後続のアルカリ抽出ユニット(プロセス段階II)における(メタ)アクリル酸の損失が少なくなる。更に、リサイクルされる2-オクタノールが少なく、同じ処理量の小型反応器がある。
共沸剤としてシクロヘキサンを用いることで、加熱開始後、より速やかに還流が開始される。その結果、より短い反応時間及びより少ないエネルギーが必要とされる。
シクロヘキサン共沸剤が、最も効率よく水を分離する。
シクロヘキサンを共沸剤として使用すると、反応混合物中の2-オクチルアクリレート含有量は、同じ反応体積及び同じ蒸留時間に対して最大である。したがって、絶対空時収量が最も高い。
シクロヘキサンを共沸剤として使用すると、同じ転化率でより少ない副生成物が形成される。
【0218】
比較例4:エステル化、アルカリ抽出及び共沸剤を含まない水洗(プロセス段階I、II及びIII)
とりわけ、熱センサ、アンカー撹拌機、ジャケット付きコイル凝縮器を含むNormag製のガラスアタッチメント(供給源:www.normag-glas.de)、2つのニードル弁を有する排水流し口、2つのスピンドル弁を遮断弁及び通気弁として有する真空フレーム、並びに真空ポンプ及び空気入口を備えた加熱可能な0.75 L二重壁反応器に、最初に300 gの2-オクタノール、0.52 gのフェノチアジン、0.012 gのCuCl及び0.207 gの50%次亜リン酸を装入した。次いで、209 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。6.4 gの100%メタンスルホン酸を添加した。これを浴温130℃で加熱して反応時間を開始した。一時間後、底部温度112℃で、水が通過し始め、蒸留時間が開始した。2時間の蒸留時間の後、絶対圧力の低下を50ミリバールで開始し、100ミリバールに下げた。底部の内部温度は、最大122℃であった。4.1時間の蒸留時間の後、反応を終了した。71.8 gを留去した。冷却後、反応混合物を水、12.5% NaOH溶液、次いで再び水で抽出した。相分離後、50 mgのMeHQを有機相に添加した。これにより、403 gの2-オクチルアクリレートが85.4GC面積%の純度で得られた。3.5面積%の2-オクタノールが依然として存在し、5.9面積%のジアクリル酸エステル及び3.1面積%のオキシエステルも存在した。エタノールを二相留出物に添加して単相を形成し、定性的GC並びに酸塩基滴定及びカールフィッシャー滴定によって分析した。これらの結果に基づいて、エタノール添加前の留出物の組成を数学的に決定した。留出物は、51.8%の水、29.5%のアクリル酸、更に6.3%の2-オクタノール及び9.5%の2-オクチルアクリレート、更に2.2%のオクテンから構成されていた。
【0219】
実施例2:エステル化、アルカリ抽出及びシクロヘキサン(プロセス段階I、II及びIII)による水洗
とりわけ、熱センサ、ディスク撹拌機、水分離器、ジャケット付きコイル凝縮器、空気入口を備えた加熱可能な4 L二重壁反応器に、1503 gの2-オクタノール、4.01 gのフェノチアジン及び1.94 gのMeHQを最初に装入した。次いで、1082 gのアクリル酸を計量供給し、アクリル酸を200 ppmのMeHQで安定化した。65.7 gのp-トルエンスルホン酸一水和物及び1189 gのシクロヘキサンを添加し、混合物を加熱した。水は、92~104℃の範囲の底部温度で通過した。7.2時間後、反応を停止した。冷却後、反応混合物を水、12.5% NaOH溶液、次いで再び水で抽出した。相分離後、250 mgのMeHQを有機相に添加し、真空中で濃縮した。これにより、2072 gの2-オクチルアクリレートが93.2GC面積%の純度で得られた。2.6面積%の2-オクタノールが依然として存在し、2.0面積%のジアクリル酸エステル及び1.3面積%のオキシエステルも存在した。水分離器内に存在する有機液体のGC分析により、99.38GC面積%のシクロヘキサン、更に0.47面積%のアクリル酸、0.03面積%の2-オクタノール、0.1面積%の2-オクチルアクリレート、及び0.01面積%のオクテンが示された。水性留出物のカールフィッシャー滴定により、85重量%の水を得た。
【0220】
実施例3:エステル化、アルカリ抽出及びシクロヘキサン(プロセス段階I、II及びIII)による水洗
この実施例3では、とりわけ、反応器1及び共沸混合物精留塔4を使用した。エステル化、アルカリ抽出及び水洗抽出のためのプロセス段階I、II及びIIIを連続的に運転した。
【0221】
加熱可能な1.6 Lの二重壁ガラス反応器1に、とりわけ、加熱可能なカバー及び3段クロスビーム撹拌機を備えた。
【0222】
使用した共沸混合物精留塔4は、Montz(供給源:2021年11月1日にアクセスしたwww.montz.de/gewebepackung-typ-3a,)製の構造化充填物(Montz Pack Type A3-750、3×150 mm×41 mm)を備えた、寸法50 cm(高さ)×43 mm(直径)の二重壁鏡ガラス塔であった。
【0223】
セットアップは、冷却器、相分離器6、希薄空気入口、反応物計量のための容器及びデバイス、ヘテロ共沸のための容器及びデバイス、底部排出物のための受け器、並びに塔の安定化のための受け器を更に備えていた。
【0224】
最初に、2-オクタノール、アクリル酸並びに2-オクチルアクリレート及びメタンスルホン酸触媒から本質的になる不連続実験によって安定化された反応混合物を生成した。この反応混合物を製造するための出発物質を、後に計量供給される出発混合物に対応する比率で使用した。反応混合物を生成するための出発混合物は、45重量%の2-オクタノール、25重量%の純粋なアクリル酸、0.93重量%の100%メタンスルホン酸、29重量%のシクロヘキサン、100%次亜リン酸として計算される0.04重量%、0.1重量%のフェノチアジン及び0.002重量%のCuClを含んでいた。製造は、実施例2と同様に行った。
【0225】
浴温度を128℃に設定し、カバーの温度を95℃に設定した。
【0226】
合計で667 g/hの出発混合物を第1の反応器1に計量供給した。出発混合物は、最初に1つ以上の容器に装入されてもよく、容器内の物質混合物は、それらの組成が異なっていてもよい。合計で、出発混合物は、45重量%の2-オクタノール、25重量%の純粋なアクリル酸、0.93重量%の100%のメタンスルホン酸、29重量%のシクロヘキサン、0.04重量%の次亜リン酸(計算値100%)及び0.1重量%のフェノチアジンからなった。また、固体としてCuClを平均濃度が0.002%となるように等間隔で添加した。
【0227】
350 g/hのシクロヘキサンも、HO-TEMPOで安定化された状態で、塔の頂部に計量供給した。レベル制御された材料を反応器1から連続的に除去した。反応器の内容物(1)を気体クロマトグラフィーによって定期的に分析した。
【0228】
平衡に達し、108℃の一定の底部温度に達したら、反応排出容器を交換し、前留分の材料を廃棄し、新しい反応排出物を回収した。
【0229】
第2の実験では、この材料を、第1の実験で除去したのと同じ速度で、前の実験からの反応混合物がまだ充填されている反応器1に供給した。更に、150 g/hのシクロヘキサンを底部に添加し、50 g/hのシクロヘキサン(HO-TEMPOで安定化)を塔の頂部に添加した。再び、レベル制御された材料を反応器1から連続的に除去した。
【0230】
平衡に達し、113℃の一定の底部温度に達したら、反応排出容器を交換し、前留分の材料を廃棄し、新しい反応排出物を回収した。
【0231】
第3の実験では、この材料を、第2の実験で除去したのと同じ速度で、前の実験からの反応混合物がまだ充填されている反応器1に供給した。更に、150 g/hのシクロヘキサンを底部に添加し、50 g/hのシクロヘキサン(HO-TEMPOで安定化)を塔の頂部に添加した。再び、レベル制御された材料を反応器1から連続的に除去した。
【0232】
平衡に達し、114℃の一定の底部温度に達したら、反応排出容器を交換し、前留分の材料を廃棄し、新しい反応排出物を回収した。
【0233】
この物質を酸塩基滴定及び定性的及び定量的気体クロマトグラフィーによって調査した。ここで、オクチルアクリレート、シクロヘキサン及び2-オクタノールは気体クロマトグラフィーによって定量し、アクリル酸及びメタンスルホン酸は酸塩基滴定によって決定した。二次成分オクテン、ジアクリル酸エステル及びオキシエステルの含有量は、定性的GCによって決定した。反応混合物中に低い留分でのみ存在する二次成分の場合、面積百分率として決定された値は、定量化によって得られる値に対応すると更に仮定された。
【0234】
この反応排出物は、67.6重量%の2-オクチルアクリレート、22.4重量%のシクロヘキサン、3.1重量%の2-オクタノール、2.4重量%のアクリル酸、1.1重量%のメタンスルホン酸、0.26重量%のオクテン、1.1重量%のジアクリル酸エステル及び1.5重量%のオキシエステルを含んでいた。
【0235】
反応排出物をアルカリ抽出ユニット7で連続中和、次いで水洗抽出ユニット8で水洗に供した。
【0236】
アルカリ抽出ユニット7は、10%水酸化ナトリウム水溶液NaOHで中和するための連続装置を備える。この連続装置は、混合ポンプと、40 mmの直径を有する相分離器6と、相界面調整器とからなる。
【0237】
30℃の温度において、0.76 kg/hの希釈水酸化ナトリウム水溶液NaOH及び3.3 kg/hの反応排出物を混合ポンプによって分散させ、相分離器6で分離した。
【0238】
次いで、中和された有機相を、静的ミキサー(4.9 mmの内径及び27個の要素を有するKenics-Mischer(2021年11月23日に検索したhttps://de.wikipedia.org/wiki/Statischer_Mischer))によって、5 kg/hの水で水洗抽出ユニット8に分散させ、続いて直径DN40の相分離器6で分離した。
【0239】
実施例4:蒸留(プロセス段階IV~VII)
2-オクチルアクリレートの蒸留精製は、連続的に運転される4つのプロセス段階で行った。
シクロヘキサン分離(IV)
2-オクタノール分離(V)
純粋なボイラ分離(VI)
高ボイラ分離(VII)
【0240】
実験構成は、各個々のプロセス段階IV~VIIについて同一であり、いずれの場合も0.016平方メートルの表面積を有する薄層蒸発器を含み、これをそれぞれの精留塔9、10、11、12で使用した。各精留塔9、10、11、12は、30 mmの直径、100 cmの充填長さを有していた。各精留塔9、10、11、12の充填物は、Montz A3-750であった。還流及び留出物排出のための還流仕切りを備えた精留塔9、10、11、12に属するそれぞれの凝縮器5、並びに反応物の計量供給のための容器及びポンプ、蒸留物のための容器及びデバイス、底部排出物のための容器、並びに塔9、10、11、12を安定化するための容器が当然存在した。
【0241】
薄層蒸発器を、Marlotherm油で加熱した。
【0242】
この実施例4では、様々な測定方法によって個々の成分を決定した。カールフィッシャー滴定によって水を決定し、一方、2-オクチルアクリレート、シクロヘキサン及び2-オクタノールを定量的GCによって決定した。残留成分は、定性的GCによって決定した。
【0243】
シクロヘキサン分離
水洗抽出ユニット8から生じる混合物は、以下の組成を有していた。
水 0.30重量%
シクロヘキサン 23.80重量%
オクテン 0.29重量%
2-オクタノール 3.95重量%
2-オクチルアクリレート 68.80重量%
ジアクリル酸エステル 1.14重量%
オキシエステル 1.54重量%
不明 残量
【0244】
共沸混合物精留塔9の塔頂への供給量は、300 g/hであった。
【0245】
塔頂部の絶対圧力は100ミリバールであり、底部温度は105℃であった。
【0246】
230 g/hで不足している底部生成物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 1.07重量%
オクテン 0.34重量%
2-オクタノール 5.14重量%
2-オクチルアクリレート 89.72重量%
ジアクリル酸エステル 1.49重量%
オキシエステル 2.01重量%
不明 残量
【0247】
70 g/hで流出した留出物は、以下の組成を有していた。
水 1.28重量%
シクロヘキサン 98.50重量%
オクテン 0.11重量%
2-オクタノール 0.05重量%
2-オクチルアクリレート 0.06重量%
ジアクリル酸エステル 0.00重量%
オキシエステル 0.00重量%
【0248】
2-オクタノール分離
2-オクタノールの分離には、前のプロセス段階と同じ実験装置を使用した。シクロヘキサン分離からの底部流出液を230 g/hの速度で2-オクタノール精留塔10の頂部に計量供給した。塔頂部の絶対圧力は10ミリバールであり、底部温度は89℃であった。
【0249】
190 g/hで不足している底部生成物は、以下の組成を有していた:
水 0.00重量%
シクロヘキサン 0.00重量%
オクテン 0.00重量%
2-オクタノール 0.01重量%
2-オクチルアクリレート 95.47重量%
ジアクリル酸エステル 1.80重量%
オキシエステル 2.43重量%
不明 残量
【0250】
40 g/hで流出した留出物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 6.12重量%
オクテン 1.98重量%
2-オクタノール 29.50重量%
2-オクチルアクリレート 62.40重量%
ジアクリル酸エステル 0.00重量%
オキシエステル 0.00重量%
【0251】
純粋なボイラ分離
純粋なボイラ分離には、前のプロセス段階と同じ実験装置を使用した。2-オクタノール分離実験から得られた底部流出液を、190 g/hの速度で純粋なボイラ精留塔11の底部に計量供給した。塔頂部の絶対圧力は10ミリバールであり、底部温度は95℃であった。還流仕切りには3 g/gの還流比を設定した。実験装置での重合を避けるために、2 g/hの2-オクチルアクリレート(1%フェノチアジンで安定化)を純粋なボイラ精留塔11の頂部で計量供給した。
【0252】
32 g/hで不足している底部生成物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 0.00重量%
オクテン 0.00重量%
2-オクタノール 0.00重量%
2-オクチルアクリレート 74.49重量%
ジアクリル酸エステル 10.69重量%
オキシエステル 14.44重量%
フェノチアジン 0.13重量%
不明 残量
【0253】
160 g/hで流出した留出物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 0.00重量%
オクテン 0.00重量%
2-オクタノール 0.01重量%
2-オクチルアクリレート 99.70重量%
ジアクリル酸エステル 0.00重量%
オキシエステル 0.00重量%
不明 残量
【0254】
高ボイラ分離
高ボイラの分離には、前のプロセス段階と同じ実験装置を使用した。純粋なボイラ分離から得られた底部流出液を、32 g/hの速度で高ボイラ精留塔12の底部に計量供給した。塔頂部の絶対圧力は5ミリバールであり、底部温度は100℃であった。還流仕切りには3 g/gの還流比を設定した。
【0255】
16 g/hで不足している底部生成物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 0.00重量%
オクテン 0.00重量%
2-オクタノール 0.00重量%
2-オクチルアクリレート 49.27重量%
ジアクリル酸エステル 21.37重量%
オキシエステル 28.87重量%
フェノチアジン 0.25重量%
不明 残量
【0256】
16 g/hで流出した留出物は、以下の組成を有していた。
水 0.00重量%
シクロヘキサン 0.00重量%
オクテン 0.00重量%
2-オクタノール 0.00重量%
2-オクチルアクリレート 99.72重量%
ジアクリル酸エステル 0.00重量%
オキシエステル 0.00重量%
不明 残量
【符号の説明】
【0257】
1 反応器1
2 反応器2
3 反応器3
4 共沸混合物精留塔
5 不均一共沸混合物のための凝縮器
6 不均一共沸混合物のための相分離器
7 中和抽出ユニット
8 水洗抽出ユニット
9 共沸混合物精留塔
10 2-オクタノール精留塔
110 2-オクタノール蒸発器
11 純粋なボイラ精留塔
111 純粋なボイラ蒸発器
12 高ボイラ精留塔
112 高ボイラ蒸発器
13 2-オクタノール供給
14 (メタ)アクリル酸供給
15 酸性エステル化触媒供給
16 相分離器(6)から排出される排水。
17 シクロヘキサン供給
18 水洗のための水供給
19 アルカリ溶液供給
20 アルカリ抽出物及び/又は水洗抽出物からの塩残留物を伴う水の排出
21 価値のある2-オクチル(メタ)アクリレート生成物の排出
22 底部の高ボイラ除去で形成される高ボイラの排出。
23 シクロヘキサン濃縮質量流の排出後にシクロヘキサン分離のプロセスから除去される低ボイラの排出。
24 反応器ユニット
25 共沸混合物精留塔ユニット
30 反応器加熱要素
31 重合禁止剤及び/又は更なる安定剤の供給
131 隔壁塔
132 隔壁塔で分離する混合物
134 隔壁塔の留出物流
135 隔壁塔の副流
136 隔壁塔の凝縮器
137 隔壁塔の蒸発器
138 隔壁塔の隔壁
139 隔壁塔の共通の上側塔領域
140 隔壁塔の供給セクション
141 隔壁塔の抜き出しセクション
142 隔壁塔の剥離セクション
143 隔壁塔の精留セクション
144 隔壁塔の下側塔領域
145 隔壁塔の蒸気流
146 隔壁塔の戻り流
147 隔壁塔の液体流
図1
図2
図3
【国際調査報告】