(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】電池セルの異常診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/367 20190101AFI20241108BHJP
【FI】
G01R31/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531410
(86)(22)【出願日】2023-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2023006110
(87)【国際公開番号】W WO2023234572
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0066469
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0055940
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンホーン
【テーマコード(参考)】
2G216
【Fターム(参考)】
2G216BB01
2G216CB13
(57)【要約】
本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置及び方法は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得し、上記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成し、生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、上記電池セルの異常有無を決定するステップを有することで、ノイズ信号が改善して精密かつ信頼度の高い電池セルの異常有無の診断が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの異常有無を診断する電池セルの異常診断方法において、
前記電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得するステップと、
前記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成するステップと、
前記生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、前記電池セルの異常有無を決定するステップと、を含む、電池セルの異常診断方法。
【請求項2】
前記診断データを生成するステップは、
周波数帯域別の出現頻度数に基づいて、前記測定データから前記特定の周波数帯域の信号を抽出するステップを含む、請求項1に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項3】
前記特定の周波数帯域の信号を抽出するステップは、
前記測定データを周波数領域のデータに変換するステップと、
前記変換された周波数領域のデータに対する周波数帯域別の出現頻度数を算出するステップと、
既設定の上位n個の出現頻度数を有する周波数帯域の信号を抽出するステップと、を含む、請求項2に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項4】
前記診断データを生成するステップは、
前記抽出された信号を時間領域のデータに逆変換して診断データを生成するステップを含む、請求項2に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項5】
前記生成された診断データを、ローパスフィルタを用いて補正するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項6】
前記電池セルの異常有無を決定するステップは、
前記診断データと既定義の条件しきい値との比較結果に基づいて前記電池セルの異常有無を決定するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項7】
前記条件しきい値は、
既定義の診断アルゴリズムに入力される少なくとも一つの電池セルの診断データに基づいて、一定の大きさの固定値として提供される、固定条件しきい値を含む、請求項6に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項8】
前記条件しきい値は、
少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて時間によって動的調整される、可変条件しきい値を含む、請求項6に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項9】
前記可変条件しきい値は、
少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて、平均、分散又は標準偏差のうちのいずれか一つの値に基づいて算出される、請求項8に記載の電池セルの異常診断方法。
【請求項10】
電池セルの異常有無を診断する電池セルの異常診断装置において、
メモリと、
前記メモリ内に格納された少なくとも一つの命令を実行するプロセッサと、を含み、
前記少なくとも一つの命令は、
前記電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得するようにする命令と、
前記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成するようにする命令と、
前記生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、前記電池セルの異常有無を決定するようにする命令と、を含む、電池セルの異常診断装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの命令は、
周波数帯域別の出現頻度数に基づいて、前記測定データから前記特定の周波数帯域の信号を抽出するようにする命令を含む、請求項10に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの命令は、
前記測定データを周波数領域のデータに変換するようにする命令と、
前記変換された周波数領域のデータに対する周波数帯域別の出現頻度数を算出するようにする命令と、
既設定の上位n個の出現頻度数を有する周波数帯域の信号を抽出するようにする命令をと、含む、請求項11に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの命令は、
前記抽出された信号を時間領域のデータに逆変換して診断データを生成するようにする命令を含む、請求項11に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの命令は、
前記生成された診断データを、ローパスフィルタを用いて補正するようにする命令をさらに含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの命令は、
前記診断データと既定義の条件しきい値との比較結果に基づいて前記電池セルの異常有無を決定するようにする命令を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項16】
前記条件しきい値は、
既定義の診断アルゴリズムに入力される少なくとも一つの電池セルの診断データに基づいて、一定の大きさの固定値として提供される、固定条件しきい値を含む、請求項15に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項17】
前記条件しきい値は、
少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて時間によって動的調整される、可変条件しきい値を含む、請求項15に記載の電池セルの異常診断装置。
【請求項18】
前記可変条件しきい値は、
少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて、平均、分散又は標準偏差のうちのいずれか一つの値に基づいて算出される、請求項17に記載の電池セルの異常診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年5月31日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0066469号及び2023年4月28日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2023-0055940号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池セルの異常診断装置及び方法に関し、より具体的には、電池セルから測定データを獲得し、これに基づいて生成された診断データを診断アルゴリズムに適用して、電池セルの異常有無を診断する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、化石エネルギーの枯渇と環境汚染によって、化石エネルギーを使用せずに電気エネルギーを利用する電気自動車への関心が高まっている。
【0004】
一般的に、電気自動車は、走行のために、高出力を要求する駆動モータを駆動させなければならない。そのため、電気自動車は、多数の電池セルが直列に接続された電池パックを用いて、電池パックから出力される電気をエネルギー源として利用する。
【0005】
但し、電池パックは、数百個のセルが直列に接続されているため、電圧測定方法によって累積電圧が変わり得る。よって、電気自動車用の電池パックの精密な電圧測定のためには、それぞれのセル単位の電圧を正確に測定しなければならない。
【0006】
しかしながら、電気自動車用の電池パックは、電気自動車の移動又は周辺環境によって、電池セルの電圧測定のとき、ノイズ信号が多数発生して、精密なセル電圧の測定が難しいという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、高精度及び高信頼性の電池セルの異常診断装置を提供することにある。
【0008】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、高精度及び高信頼性の電池セルの異常診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池セルの異常診断方法は、上記電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得するステップ、上記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成するステップ、及び、上記生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、上記電池セルの異常有無を決定するステップを含む。
【0010】
ここで、上記診断データを生成するステップは、周波数帯域別の出現頻度数に基づいて、上記測定データから上記特定の周波数帯域の信号を抽出するステップを含むことができる。
【0011】
このとき、上記特定の周波数帯域の信号を抽出するステップは、上記測定データを周波数領域のデータに変換するステップ、上記変換された周波数領域のデータに対する周波数帯域別の出現頻度数を算出するステップ、及び、既設定の上位n個の出現頻度数を有する周波数帯域の信号を抽出するステップを含むことができる。
【0012】
また、上記診断データを生成するステップは、上記抽出された信号を時間領域のデータに逆変換して診断データを生成するステップを含むことができる。
【0013】
一方、上記生成された診断データをローパスフィルタ(Low Pass Filter, LPF)を用いて補正するステップをさらに含むことができる。
【0014】
また、上記電池セルの異常有無を決定するステップは、上記診断データと既定義の条件しきい値との比較結果に基づいて上記電池セルの異常有無を決定するステップを含むことができる。
【0015】
このとき、上記条件しきい値は、既定義の診断アルゴリズムに入力される少なくとも一つの電池セルの診断データに基づいて、一定の大きさの固定値として提供される、固定条件しきい値を含むことができる。
【0016】
実施例によれば、上記条件しきい値は、少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて時間によって動的調整される、可変条件しきい値を含むことができる。
【0017】
ここで、上記可変条件しきい値は、少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて、平均、分散又は標準偏差のうちのいずれか一つの値に基づいて算出されることができる。
【0018】
上記目的を達成するための本発明の別の実施例に係る電池セルの異常診断装置は、上記電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得するようにする命令、上記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成するようにする命令、及び、上記生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、上記電池セルの異常有無を決定するようにする命令を含む。
【0019】
上記少なくとも一つの命令は、周波数帯域別の出現頻度数に基づいて、上記測定データから上記特定の周波数帯域の信号を抽出するようにする命令を含むことができる。
【0020】
上記少なくとも一つの命令は、上記測定データを周波数領域のデータに変換するようにする命令、上記変換された周波数領域のデータに対する周波数帯域別の出現頻度数を算出するようにする命令、及び、既設定の上位n個の出現頻度数を有する周波数帯域の信号を抽出するようにする命令を含むことができる。
【0021】
上記少なくとも一つの命令は、上記抽出された信号を時間領域のデータに逆変換して診断データを生成するようにする命令を含むことができる。
【0022】
上記少なくとも一つの命令は、上記生成された診断データをローパスフィルタ(Low Pass Filter, LPF)を用いて補正するようにする命令をさらに含むことができる。
【0023】
上記少なくとも一つの命令は、上記診断データと既定義の条件しきい値との比較結果に基づいて上記電池セルの異常有無を決定するようにする命令を含むことができる。
【0024】
このとき、上記条件しきい値は、既定義の診断アルゴリズムに入力される少なくとも一つの電池セルの診断データに基づいて、一定の大きさの固定値として提供される、固定条件しきい値を含むことができる。
【0025】
実施例によれば、上記条件しきい値は、少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて時間によって動的調整される、可変条件しきい値を含むことができる。
【0026】
ここで、上記可変条件しきい値は、少なくとも一つの正常電池セルの診断データに基づいて、平均、分散又は標準偏差のうちのいずれか一つの値に基づいて算出されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置及び方法は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得し、上記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成し、生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、上記電池セルの異常有無を決定することで、ノイズ信号が改善して精密かつ信頼度の高い電池セルの異常有無の診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来の電池セルの異常診断方法を説明するための参照図である。
【
図2】本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置のハードウェアブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に係る電池セルの異常診断方法を説明するためのフロー図である。
【
図4】本発明の実施例に係る診断データ生成過程を説明するための参照図である。
【
図5】本発明の実施例に係る測定データと診断データを説明するための参照図である。
【
図6】本発明の実施例に係る可変条件しきい値を用いた電池セルの異常診断方法を説明するための参照図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、種々の変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳しく説明しようとする。ところが、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されたい。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。
【0030】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、上記構成要素は、上記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、関連して記載された複数の項目の組み合わせ又は関連して記載された複数の項目のうちのある項目を含む。
【0031】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもあるが、中間に別の構成要素が存在することもできると理解されたい。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に別の構成要素が存在しないことと理解されたい。
【0032】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解されたい。
【0033】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味としては解釈されない。
【0034】
以下、本発明に係る好ましい実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、一般的な電池セルの異常診断方法を説明するための参照図である。
【0036】
図1を参照すれば、一般的な電池セル異常診断装置は、フィルタリングによってノイズが除去された、電池セルの特定のパラメータに対する測定データを用いて電池セルの異常有無を診断する。
【0037】
より具体的に説明すれば、一般的な電池セル異常診断装置は、既定義のフィルタを用いて、電池セルから獲得した、特定のパラメータに対する測定データの特定のノイズ信号を除去する。例えば、既定義のフィルタは、ローパスフィルタ(Low Path Filter)であってもよい。その後、一般的な電池セル異常診断装置は、特定のノイズが除去されたパラメータデータを既定義の診断アルゴリズムに入力して、電池セルの異常有無を判断する。
【0038】
しかしながら、既定義のフィルタを用いて特定のノイズ信号を除去する、一般的な電池セル異常診断装置は、電気自動車に適用された電池セルの異常有無の診断のとき、診断結果に対する信頼性が低下するおそれがある。
【0039】
より詳しく説明すれば、一般的に、電気自動車は、走行されることで多様な環境に露出し得る。これによって、電気自動車内の電池セルのパラメータの測定時、測定データには多様なノイズ信号が含まれ得る。
【0040】
しかしながら、一般的な電池セル異常診断装置は、既定義のフィルタによって、特定のノイズ信号のみを選定して除去するので、除去されていないノイズによって信頼度の低い診断結果が導出されることがある。
【0041】
一方、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置は、電池セルから獲得した測定データから、頻繁に出現する特定の周波数帯域の診断データを選別して診断アルゴリズムに適用することで、電気自動車に適用された電池セルの異常有無をより正確に診断することができる。以下では、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置及び方法について、図面を参照してより詳しく説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置のハードウェアブロック図である。
【0043】
電池セルの異常診断装置1000は、電池セルの異常有無を診断することができる。例えば、電池セルの異常診断装置1000は、電気自動車に適用された電池セルの異常有無を診断することができる。実施例によれば、電池セルの異常診断装置1000は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得し、獲得された測定データに基づいて診断データを生成して診断アルゴリズムに適用することで、電池セルの異常発生の有無を診断することができる。
【0044】
図2を参照して電池セルの異常診断装置1000のハードウェア構成別により詳しく説明すれば、電池セルの異常診断装置1000は、メモリ100、プロセッサ200、送受信装置300、入力インターフェース装置400、出力インターフェース装置500及び記憶装置600を含むことができる。
【0045】
実施例によれば、電池セルの異常診断装置1000に含まれたそれぞれの構成要素100、200、300、400、500、600は、バス(bus)700によって接続されて互いに通信を行うことができる。
【0046】
電池セルの異常診断装置1000の上記構成100、200、300、400、500、600のうちメモリ100及び記憶装置600は、揮発性記憶媒体及び非揮発性記憶媒体のうちの少なくとも一つから構成されることができる。例えば、メモリ100及び記憶装置600は、読み出し専用メモリ(read only memory, ROM)及びランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)のうちの少なくとも一つから構成されることができる。
【0047】
この中でもメモリ100は、プロセッサ200によって実行される少なくとも一つの命令を含むことができる。
【0048】
実施例によれば、少なくとも一つの命令は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得するようにする命令、上記測定データに基づいて診断データを生成するようにする命令、上記診断データを診断アルゴリズムに適用するようにする命令、及び、上記診断アルゴリズムを通じて上記電池セルの異常発生の有無を診断するようにする命令を含むことができる。
【0049】
プロセッサ200は、中央処理装置(central processing unit, CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit, GPU)、又は本発明の実施例に係る方法が行われる専用のプロセッサを意味することができる。
【0050】
プロセッサ200は、上述したように、メモリ100に格納された少なくとも一つのプログラム命令(program command)を実行することができる。
【0051】
以上、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置を説明した。以下では、電池セルの異常診断装置のプロセッサ動作によって電池セルの異常発生の有無を診断する方法についてより詳しく説明する。
【0052】
図3は、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断方法を説明するためのフロー図である。
【0053】
図3を参照すれば、電池セルの異常診断装置1000は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得することができる(S1000)。
【0054】
実施例によれば、測定データは、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対して、単位時間別に測定されたデータであってもよい。例えば、上記少なくとも一つのパラメータは、電圧又は電流であってもよい。ところが、パラメータの種類は、開示されたところに限定されない。
【0055】
電池セルの異常診断装置1000は、パラメータ測定装置(図示せず)から測定データを受信することができる。例えば、電池セルの異常診断装置1000は、電圧測定装置から単位時間別の電圧値を含む電圧測定データを受信することができる。
【0056】
その後、電池セルの異常診断装置1000は、受信された上記パラメータ測定データを既定義の前処理アルゴリズム(S3100~S3700)によって処理して、電池セルの異常診断のための診断データを生成することができる(S3000)。
【0057】
電池セルの異常診断装置1000は、生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、電池セルの異常有無を診断することができる(S5000)。
【0058】
下記
図4においては、本発明の実施例によって、電池セルのパラメータ測定データから診断データを獲得する方法についてより詳しく説明する。
【0059】
図4は、本発明の実施例に係る診断データの生成過程を説明するための参照図である。一方、以下では、診断のためのパラメータが電圧に該当することを例示として説明するが、本発明の権利範囲を限定しようとするものではない。
【0060】
より具体的に、
図4の(A)は、一定時間の間の電圧測定データと、電圧測定データから獲得された診断データを示すグラフ(時間領域(Time domain))であり、
図4の(B)は、高速フーリエ変換(FFT)された電圧測定データを示すグラフ(周波数領域(frequency domain))であり、
図4の(C)は、診断データを示すグラフ(周波数領域(frequency domain))である。
【0061】
図4を参照すれば、電池セルの異常診断装置1000は、測定データを前処理して診断データを生成することができる(S3000)。ここで、診断データは、電池セルの異常発生の有無を診断するために、既定義の診断アルゴリズムに入力されるデータであってもよい。
【0062】
本発明の実施例に係る診断アルゴリズムは、複数の電池セルのそれぞれに対する診断データに基づいて電池セルの電圧測定値間のばらつきや分散、偏差などを算出し、算出された値を用いて特定の電池セルの異常発生の有無又は異常発生時点を決定するアルゴリズムであってもよい。他の例としては、本発明の実施例に係る診断アルゴリズムは、電池セルの診断データを既定義の条件しきい値と比較して、比較結果(例:超過するか否か)に基づいて、該当電池セルの異常有無又は異常発生時点を決定するアルゴリズムであってもよい。
【0063】
診断データの生成過程についてより具体的に説明すれば、電池セルの異常診断装置1000は、測定データを周波数領域のデータに変換させることができる(S3100)。例えば、測定データが電池セルの電圧測定データの場合、電池セルの異常診断装置1000は、一定の単位時間別の電圧値を含む電圧測定データ(
図4の(A))を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT)して、周波数領域のデータ(
図4の(B))に変換することができる。
【0064】
その後、電池セルの異常診断装置1000は、周波数信号形態に変換されたパラメータ測定データから既定義の基準に合致する、少なくとも一つの特定の周波数帯域の信号を抽出することができる(S3300)。
【0065】
実施例によれば、電池セルの異常診断装置1000は、周波数帯域別の出現頻度数に基づいて測定データ(周波数領域(frequency domain))で少なくとも一つの特定の周波数帯域の信号を抽出することができる。例えば、電池セルの異常診断装置1000は、測定データ(周波数領域(frequency domain))に対する周波数帯域別の出現頻度数を算出して、既設定の上位n(例:n=20)個の出現頻度数を有する周波数帯域の信号を抽出(
図4の(C))することができる。
【0066】
その後、電池セルの異常診断装置1000は、抽出された少なくとも一つの周波数帯域信号を時間領域のデータに逆変換(S3500)することで、診断データ(
図4の(A))を生成することができる(S3700)。
【0067】
実施例によれば、電池セルの異常診断装置1000は、上記生成された診断データに既定義のフィルタを適用して診断データを補正することができる。例えば、電池セルの異常診断装置1000は、診断データにローパスフィルタ(Low Pass Filter, LPF)を適用することができ、ここで、ローパスフィルタ(LPF)は、DWT(Discrete Wavelet Transform)フィルタ又はバターワースフィルタ(Butterworth Filter)であってもよい。
【0068】
図5は、本発明の実施例に係る測定データと診断データを説明するための参照図である。
【0069】
図5を参照すれば、(A)は、正常電池セルの測定データ(電圧、(a))及び上記測定データ(a)に基づいて生成された診断データ(b)を示すグラフであり、(B)は、異常電池セルの測定データ(電圧、(c))及び上記測定データ(c)に基づいて生成された診断データ(d)を示すグラフである。また、(C)は、(A)及び(B)での測定データ((a)、(c))及び診断データ((b)、(d))を示すグラフである。
【0070】
図5を参照すれば、電池セルに異常が発見されていない正常電池の測定データと診断データは、
図5の(A)のように、セル電圧の大きさが水平なグラフの形態((a)、(b))で示されることができる。これに対し、電池セルに異常が発見された異常電池の測定データと診断データは、
図5の(B)のように、セル電圧の大きさが急激に立ち下がるグラフの形態((c)、(d))で示されることができる。
【0071】
ここで、
図5の(C)を参照すれば、(a)と(c)は、0~500のサンプリング区間で互いに重なっていることを確認することができる。
【0072】
これに対し、本発明の実施例に係る診断データである(b)と(d)は、移動手段の動きなどによるノイズが改善することによって、0~500のサンプリング区間で互いに重なっていないことを確認することができる。
【0073】
その後、電池セルの異常診断装置1000は、測定データに基づいて生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、電池セルの異常有無を診断することができる(S5000)。
【0074】
実施例によれば、電池セルの異常診断装置1000は、本発明の実施例に係る診断アルゴリズムは、電池セルの診断データを既定義の条件しきい値(Threshold, T)と比較して、比較結果(例:超過するか否か)に基づいて該当電池セルの異常有無又は異常発生時点を決定することができる。
【0075】
ここで、条件しきい値(T)は、診断アルゴリズム内に定義される値であって、電池セルの異常発生の有無を判断する基準として機能することができる。例えば、電池セルの異常診断装置1000は、診断データに含まれた電圧値の大きさが条件しきい値を超過していなければ、電池セルを正常と判断し、条件しきい値を超過していれば、該当時点から電池セルに異常が発生したと判断することができる。他の例としては、電池セルの異常診断装置1000は、診断データに含まれた電圧値の大きさが条件しきい値から既定義の一定範囲を外れていなければ、電池セルを正常と判断し、条件しきい値(T)から既定義の一定範囲を外れていれば、該当時点から電池セルに異常が発生したと判断することができる。
【0076】
一実施例によれば、条件しきい値は、一定の大きさの固定値として提供される固定条件しきい値を含むことができる。言い換えれば、上記固定条件しきい値は、既定義の診断アルゴリズムに入力される特定の電池セルの診断データに基づいて、使用者によって一定の大きさの固定値として設定されることができる。
【0077】
他の実施例によれば、条件しきい値は、事前獲得された診断データに基づいて、時間によって動的設定される可変条件しきい値として提供されることができる。
【0078】
より具体的に説明すれば、可変条件しきい値は、事前獲得した、少なくとも一つの正常電池セルの時間による診断データに基づいて、動的算出された、可変条件しきい値を含むことができる。言い換えれば、可変条件しきい値は、既定義の診断アルゴリズムを通じて正常と判定された少なくとも一つの電池セルを対象に獲得された、時間による少なくとも一つの診断データに基づいて、時間によって動的に調整されるしきい値であってもよい。
【0079】
例えば、可変条件しきい値は、既適用の診断アルゴリズムによって正常と判定された少なくとも一つの電池セルの時間による診断データの平均値を算出し、これに比例するように適用されることができる。ところが、開示された実施例に限定されず、可変条件しきい値は、正常電池セルの時間による診断データに基づいて、増減、平均、分散又は標準偏差のうちのいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせとして算出されて適用されることができる。
【0080】
可変条件しきい値は、上述したように、ノイズが除去された診断データに基づいて適用されることができる。よって、診断アルゴリズムを用いた、特定の電池セルの異常有無の検出のとき、ノイズによって上記特定の電池セルの診断データ及び可変条件しきい値が重なることを防止して、信頼度の高い診断が可能になる。
【0081】
図6は、本発明の実施例に係る可変条件しきい値を用いた電池セルの異常診断方法を説明するための参照図である。より具体的に、
図6の(A)は、電池セルの測定データと可変条件しきい値とを共に示すグラフであり、
図6の(B)は、診断データと可変条件しきい値とを共に示すグラフである。
【0082】
図6の(A)のように、ノイズが除去されていない測定データを診断アルゴリズムに入力して、測定データと可変条件しきい値とを比較する方式で電池セルの異常有無を決定する場合、相互重なる区間が多数発生して正確な診断が難しくなる。
【0083】
これに対し、
図6の(B)のように、本発明の実施例によって、電池セルの異常有無を決定するために、ノイズが除去された診断データを診断アルゴリズムに入力する場合、診断データと可変条件しきい値との差が明らかに現われて、電池セルの異常有無をより正確に判断することができる。
【0084】
以上、本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置及び方法を説明した。
【0085】
本発明の実施例に係る電池セルの異常診断装置及び方法は、電池セルの少なくとも一つのパラメータに対する測定データを獲得し、上記測定データから特定の周波数帯域の信号を抽出して診断データを生成し、生成された診断データを既定義の診断アルゴリズムに適用して、上記電池セルの異常有無を決定するステップを有することで、ノイズ信号が改善して精密かつ信頼度の高い電池セルの異常有無診断が可能になる。
【0086】
本発明の実施例及び実験例に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードとして具現化することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれることができるデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散して、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行されることができる。
【0087】
また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ロム(rom)、ラム(ram)、フラッシュメモリ(flash memory)などのようにプログラム命令を格納して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含むことができる。プログラム命令は、コンパイラ(compiler)によって作られるような機械語コードのみならず、インタプリタ(interpreter)などを使用してコンピュータによって実行されることができる高級言語コードを含むことができる。
【0088】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは、対応する方法による説明も示すことができ、ここで、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法の文脈で説明された側面は、対応するブロック又はアイテム又は対応する装置の特徴で示すことができる。方法ステップのいくつか又は全部は、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は用いて)行われることができる。いくつかの実施例において、最も重要な方法ステップの一つ以上は、このような装置によって行われることができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0090】
1000:電池セルの異常診断装置
100:メモリ
200:プロセッサ
300:送受信装置
400:入力インターフェース装置
500:出力インターフェース装置
600:記憶装置
700:バス
T:可変条件しきい値
【国際調査報告】