(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】がん免疫療法治療の改善
(51)【国際特許分類】
A61K 31/745 20060101AFI20241108BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241108BHJP
C08F 2/18 20060101ALI20241108BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K31/745
C08F2/44 B
C08F2/18
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531432
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022080587
(87)【国際公開番号】W WO2023097334
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512254586
【氏名又は名称】サイトソーベンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】チャン、フィリップ、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ラッグバーグ、カール-グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】トリパティ、リトゥ
(72)【発明者】
【氏名】オルティーズ、オフィアー
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ、リチャード、アール.
【テーマコード(参考)】
4C086
4J011
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086FA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086MA67
4C086NA14
4C086ZB26
4J011JA04
4J011JA07
4J011JB02
4J011JB06
4J011JB08
4J011JB22
4J011JB27
4J011PA23
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC07
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 治療有効量の多孔性生体適合性吸着剤を投与することにより、対象のがんを治療する方法が開示されている。多孔性生体適合性吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項2】
それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【請求項5】
それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【請求項7】
請求項5記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【請求項9】
それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項13】
請求項11または12記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤と組み合わせて投与される、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記吸着剤は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤の前または同時に投与される、方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記吸着剤は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤の投与後に投与される、方法。
【請求項19】
請求項17または18記載の方法において、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項22】
請求項1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、免疫系の阻害を減少させる、方法。
【請求項23】
請求項1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤の投与前、投与中、または投与後に、免疫系の阻害因子を減少させる、方法。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【請求項29】
対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【請求項30】
それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【請求項31】
請求項29または30記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【請求項32】
請求項29または30記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【請求項33】
それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【請求項35】
請求項33記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【請求項36】
請求項30~35のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【請求項37】
それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【請求項38】
請求項29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、がんの炎症関連合併症を軽減させる、方法。
【請求項39】
請求項29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、がん治療による炎症を軽減させる、方法。
【請求項40】
請求項29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、免疫療法による炎症を軽減させる、方法。
【請求項41】
請求項39または40記載の方法において、前記がん治療または免疫療法は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項42】
請求項38~40のいずれか一つに記載の方法において、炎症を軽減することは、悪液質の発現、重症度、もしくは進行の1つまたはそれ以上を改善する、方法。
【請求項43】
請求項29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項44】
請求項29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項45】
請求項29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項46】
請求項29~45のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【請求項47】
請求項29~46のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【請求項48】
請求項47記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項49】
請求項47または48記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項50】
請求項47~49のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【請求項51】
請求項29~50のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【請求項52】
請求項29~51のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【請求項53】
抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項54】
抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【請求項55】
請求項53または54記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【請求項56】
請求項53または54記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【請求項57】
抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項58】
請求項57記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【請求項59】
請求項57記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【請求項60】
請求項54~59のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【請求項61】
抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項62】
請求項53~61のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【請求項63】
請求項53~62のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【請求項64】
請求項63記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項65】
請求項63または64記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項66】
請求項63~65のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【請求項67】
請求項53~66のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【請求項68】
請求項53~67のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【請求項69】
請求項53~68のいずれか一つに記載の方法において、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項70】
請求項53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療前に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【請求項71】
請求項53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療中に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【請求項72】
請求項53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【請求項73】
請求項70~72のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【請求項74】
請求項73記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【請求項75】
請求項73記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項76】
請求項53、54、57、または61のいずれか一つに記載の方法において、前記免疫系機能の改善は、全身性または局所性の免疫抑制の軽減を含む、方法。
【請求項77】
請求項53、54、57、または61のいずれか一つに記載の方法において、前記免疫系機能の改善は、全身性または局所性の過剰炎症の軽減を含む、方法。
【請求項78】
対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項79】
それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【請求項80】
請求項78または79記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【請求項81】
請求項78または79記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【請求項82】
それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象の生理学的流体と多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【請求項83】
請求項82記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【請求項84】
請求項82記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【請求項85】
請求項79~84のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【請求項86】
それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法
【請求項87】
請求項78~86のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【請求項88】
請求項78~87のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【請求項89】
請求項88記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項90】
請求項88または89記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項91】
請求項88~90のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【請求項92】
請求項78~91のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【請求項93】
請求項78~92のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【請求項94】
請求項78~93のいずれか一つに記載の方法において、前記がん治療または免疫療法は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【請求項95】
請求項78~94のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、前記がん治療の有効性を改善する、方法。
【請求項96】
請求項78~94のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、前記免疫療法の有効性を改善する、方法。
【請求項97】
請求項78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項98】
請求項78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項99】
請求項78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【請求項100】
請求項78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、悪液質の発現、重症度、もしくは進行の1つまたはそれ以上を改善する、方法。
【請求項101】
請求項78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【請求項102】
請求項101記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【請求項103】
請求項101記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2021年11月29日に出願された米国特許出願第63/283,697号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、がん免疫療法に関する治療に関する。
【背景】
【0003】
がんは、心臓病に次ぐ死因の第2位であり(www.cdc.gov/nchs/fastats/leading-causes-of-death.htm)、何らかのがんを持つ対象を治療するための有効な治療薬を同定するための研究が、豊富かつ継続的に行われている。がんの種類は多岐にわたるため、化学療法や免疫療法、放射線療法、核療法等の薬物療法を含め、がんの治療や撲滅を目的とした薬理学も同様に多岐にわたることは驚くべきことではない。がん免疫療法は非常に有望であり、CAR-T細胞免疫療法のような多種多様な生物学的療法、薬物療法、細胞療法に基づいている。しかし、これらの治療法は最適ではなく、重篤な有害事象を伴う。ここでは、一次がん免疫療法として、他のがん治療に対する反応を改善する方法として、またサイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性およびCAR-T細胞関連脳症、腫瘍崩壊症候群(TLS)等の有害事象を軽減する方法として、免疫反応を調節するための吸着剤技術の応用について述べる。他の治療法と同様に、治療から生じる合併症や副作用は、患者のQOLに悪影響を与えたり、患者を衰弱させて日和見感染に対して脆弱にしたり、あるいは患者が治療を完全にやめてしまったりする可能性がある。
【0004】
がん治療の合併症の一例としてサイトカイン放出症候群(CRS)がある。これは活性化された白血球がサイトカインを放出し、それがさらに白血球やサイトカインを産生できる他の細胞を活性化することによって起こる。このポジティブフィードバックループによりサイトカイン濃度が上昇し続け、最終的にはサイトカインストーム、またはサイトカイン放出症候群(CRS)を引き起こす可能性がある。CRSで観察されるサイトカイン濃度の上昇は、発熱、筋肉痛、関節痛、下痢、嘔吐、心臓や血圧の変化、臓器障害、臓器不全、死亡等、対象に望ましくない症状を引き起こす可能性がある。同様の現象で、対象は免疫関連の有害事象(irAE)を発症することがある。免疫関連の有害事象には、発疹、下痢、自己免疫性肝炎、大腸炎、関節炎、肺炎、内分泌障害等がよく含まれる。免疫系細胞の初期活性化は、モノクローナル抗体療法、細胞表面受容体またはタンパク質に対するアゴニストまたはアンタゴニスト、二重特異性T細胞エンゲージャー、またはキメラ抗原受容体を発現するT細胞を含む適応T細胞療法(CAR-T細胞療法)等の免疫療法の適用によって引き起こされる。さらに場合によっては、サイトカインレベルの上昇は、がん治療そのものを直接妨害することもある。
【0005】
CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)は、CAR-T療法を受けている患者で観察される神経毒性であり、CRSと同時に、最中に、または後に発症する可能性がある。CRESに関連する他の用語として、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)またはキメラ抗原受容体T細胞治療関連毒性(CARTOX)がある。また、サイトカインの濃度上昇とも関連している、CRESの重症型の症状には、痙攣、失禁、運動機能低下、頭蓋内圧亢進、精神障害、死亡等が含まれる。臨床試験では、CRESはしばしばCRSの発症後に起こる。CRSおよびサイトカインストームは、内皮タイトジャンクションの破壊、毛細血管漏出症候群、それに続く血液脳関門の破壊と関連しており、活性化されたCAR-Tリンパ球や他の白血球が通常は保護されている中枢神経系に侵入し、炎症を引き起こす。CRS後に発症するCRESは、CRSと同時に発症するCRESよりも長期化し、重症化するのが一般的である。
【0006】
悪液質は、著しい体重減少を特徴とする消耗症候群である。悪液質は、がん患者ならびにAIDS(後天性免疫不全症候群)、慢性腎臓病、心不全、および熱傷の回復等多くの慢性疾患にみられる重篤な末期合併症である。悪液質は、筋肉や脂肪の消耗を伴う深刻な体重減少に加え、しばしば著しい衰弱や虚弱を引き起こし、がん治療の継続に耐えられなくなり、感染症や敗血症等の生命を脅かす合併症を引き起こしやすくなる。理論に縛られることは望まないが、炎症とサイトカイン濃度の上昇が悪液質の発現と進行に少なくとも部分的に関与していると考えられている。悪液質に伴う体重減少や衰弱は、多くのがん患者において通常の栄養支持療法では改善しないため、合併症や死亡に至ることが多い。
【0007】
がん治療によるもう一つの致命的な合併症は、腫瘍崩壊症候群(TLS)である。治療によって多数のがん細胞や腫瘍細胞が溶解し、溶解した腫瘍細胞の細胞成分が血流に沈着した場合、患者はTLSの可能性が高くなる。白血病等の血液がんにしばしば関連するTLSは、カリウム、リン、尿酸、および血中尿素窒素の血中濃度が高く、カルシウムの血中濃度が低いことが特徴で、症状には吐き気、腎症、急性腎不全、痙攣、不整脈、死亡等がある。
【0008】
CRS、CRES、TLS、悪液質、その他のがん関連疾患、副作用、症候群、症状等の、がんおよびがん治療から生じる合併症は、患者を治療する上で依然として大きな問題である。がん治療の合併症の重症度をなくし、あるいは軽減し、がん治療の効果を向上させるためには、新しい方法が必要である。
【0009】
がんやがん治療に関連する合併症の重症度や発生率を低下させることに加え、がん治療の有効性を向上させ、より優れたがん治療法を開発する必要がある。がん細胞は、宿主の免疫系やその他の防御(免疫監視)による識別や破壊を回避し、免疫反応や広範な免疫エフェクター白血球(リンパ球、顆粒球、樹状細胞やマクロファージ等の抗原提示細胞等)の活性を低下させる巧妙な方法を進化させてきた。例えば、多くのがんは、細胞膜表面(例えば、がん細胞、白血球、血小板、腫瘍微小環境内の細胞)から可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子を分泌または排出させる。これらは、白血球(細胞傷害性T細胞、NKナチュラルキラー細胞等)の活性化を阻害したり、白血球の活性を低下させたり白血球のアポトーシスを誘導したりする抑制的シグナル伝達経路や免疫チェックポイントを誘発したり、白血球によるがん細胞の認識や殺傷を阻害したりする等、多くのメカニズムの一つによって免疫抑制を引き起こすリガンドや受容体である。これらのリガンドは、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンムチン3(TIM3)、Bリンパ球およびTリンパ球減衰因子(BTLA)、ナチュラルキラー細胞受容体NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)等、免疫細胞の機能を正常に制御する白血球上の細胞表面分子や受容体を標的とすることが多い。これらのリガンドの例としては、可溶性または細胞外小胞関連PD-L1および可溶性または細胞外小胞関連PD-L2リガンドを含み、これらは細胞傷害性T細胞上のPD-1受容体を活性化し、T細胞の活性を減少させ、細胞を介した腫瘍の殺傷を妨げる。
【0010】
別の例としては、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(sMICA)およびB(sMICB)、HCMV UL-16結合タンパク質(sULBP2)のような可溶性NKG2Dリガンドを含み、ナチュラルキラー細胞上のNKG2D受容体に結合し、内在化を誘導し、細胞表面上のNKG2D受容体の発現を低下させ、これらのNK細胞が腫瘍細胞を殺す能力を低下させる。別の例は、リンパ球のアポトーシスを誘導する可溶性FASリガンド(sFasL)である。別の例は可溶性CD40リガンド(sCD40L)で、免疫抑制性の骨髄由来サプレッサー細胞や制御性T細胞の活性を促進し、がんにおける免疫抑制をもたらす場合がある。さらに別の例は、可溶性CTLA-4(sCTLA-4)であり、これは膜結合アイソフォームのmRNA型が交互にスプライシングされたもので、CD80/CD86に結合し、T細胞応答を減少させ、免疫抑制を引き起こすことができる。これらのリガンドが高濃度に存在すると、進行性がんや難治性がんと関連することが動物実験でも臨床でも観察されている。PD-1の活性化を阻害する(例えば、ペムブロリズマブ、ニボルマブ)、またはPD-L1リガンドを阻害する(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ)チェックポイント阻害剤(例えば、薬剤、低分子、生物学的製剤、モノクローナル抗体)の使用は、有望な抗がんアプローチである。同様に、CTLA-4阻害剤(例えば、イピリムマブ)も有望なアプローチである。しかし、これらのチェックポイント阻害剤は、腫瘍による免疫回避に寄与する可能性のある多くの異なるメディエーターのうちの1つを標的としているに過ぎず、自己免疫またはサイトカイン放出症候群を増加させる可能性がある。腫瘍の増殖と回避に寄与する血中の既知および未知の多くの物質を減少させることができる、より広範な領域のアプローチが、より効果的な治療につながる可能性がある。
【0011】
さらに、CAR-T細胞免疫療法を含むがん免疫治療薬の投与前、投与中、または投与後に、対象の免疫学的状態の調和をとり、最適な状態にし、または調整する方法が必要とされている。例えば、対象の免疫応答は、免疫抑制から免疫活性化までの全領域にわたり、大きなばらつきがある。このことは、がん免疫療法に対する反応に影響を与える可能性があり、サイトカイン放出症候群のような有害事象のリスク増大の一因となる可能性がある。この不均一性の大部分は、サイトカイン、ケモカイン、可溶性リガンド等、免疫系機能に影響を与える血流中の広範な免疫刺激性物質および免疫抑制性物質によって引き起こされる。例えば、免疫療法を行う前に対象の免疫反応を正常化するための前処置を行うことで、有害事象が少なく、より一貫した結果が得られる可能性がある。
【0012】
本開示は、こうしたニーズやその他のニーズに向けたものである。
【発明の概要】
【0013】
本明細書に提供されるのは、がん治療および免疫療法(例えばチェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、およびこれらの組み合わせ)の危険な合併症、例えば、サイトカイン放出症候群、サイトカインストーム、腫瘍溶解症候群、およびCAR-T細胞関連脳症を治療するための、治療有効量の吸着剤を用いて対象を治療するための方法であって、前記治療により、サイトカイン、炎症メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の危険な濃度が低減される、方法である。一実施形態において、吸着剤による治療は、例えば、CRSによる損傷を軽減するか、または血液脳関門の毛細血管漏出を引き起こす可能性のある破壊された内皮タイトジャンクションの修復を促進することによって、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を軽減することにより、神経毒性およびCAR-T細胞関連脳症を軽減する。治療有効量の吸着剤を用いて対象のがんを直接治療する方法も提供される。一実施形態において、吸着剤は免疫系の阻害因子を減少させ、それによって免疫監視を回復させ、がん細胞を攻撃して殺す免疫反応を回復させるか、または可能にすることができる。このような方法は、他のがん治療または免疫療法と併用することもできる。
【0014】
がん免疫療法に対する反応の強さ、耐久性、または予測可能性を改善する方法として、または有害事象のリスクを低減する方法として、がん免疫療法の治療前、治療中、または治療後に、免疫系を最適な状態にし、調整し、調和を取り、または調節するために、治療有効量の吸着剤で対象を治療するための方法も提供される。一実施形態において、吸着剤は血液を処理し、抗炎症性または炎症促進性メディエーターの過剰レベルを低下させ、免疫応答の調和をとるために用いることができる。
【0015】
がん性悪液質等のがんの自然炎症誘発性合併症を治療または予防するための方法も提供される。
【0016】
本開示の方法において開示される吸着剤は、いくつかの実施形態において、多孔性生体適合性ポリマーであることができ、いくつかの態様において、コーティングされた多孔性生体適合性ポリマーである。いくつかの実施形態において、多孔性生体適合性ポリマーは、分散剤またはイオン交換ポリマーを含むことができ、いくつかの態様において、ポリマーは、ヒドロゲル、セルロース系、またはイオン交換ポリマーであることができる。本明細書に開示される吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の細孔直径を有することができ、本開示のいくつかの態様において、吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の細孔直径を有するポリマーの不均一な集団を含むことができる。本開示の他の態様において、吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の細孔直径を有するポリマーの不均一な集団を含むことができる。本開示のさらなる他の態様において、吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の細孔直径を有するポリマーの不均一な集団を含むことができる。
【0017】
本開示のいくつかの態様において、吸着剤が治療的に有効である物質は、a)インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーのようなサイトカインまたはケモカイン、b)表1に示す例のような可溶性チェックポイント分子、c)表1に示す例のようなチェックポイント分子と関連した細胞外小胞である。
【0018】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態は、免疫療法を必要とする対象の治療に使用され、免疫療法を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、免疫療法の適用は、吸着剤の適用の後に行われる。吸着剤および免疫療法の適用は、本開示のいくつかの態様において、対象において調和した免疫応答を誘発する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】牛の全血からサイトソーブ(CytoSorb)とコントロールを用いた場合のsPD-L1の平均除去率を示すベンチトップ評価のデータである。データは平均値±S.D.を表し、各群は3回評価した(n=3)。サイトソーブ60および120は、使用したサイトソーブの容積(それぞれ60mLおよび120mL)を示す。コントロール60および120は、処理(サイトソーブ)群と同時に評価したコントロール(偽薬、サイトソーブなし)群である。
【
図2】
図2Aは、コントロール群およびサイトソーブ群におけるウシ血漿中のsCTLA-4、sTIM-3、sLAG-3、およびsPD-L1の平均残存率を示すデータである。データは平均±S.D.(n=3)、*p<0.05を表す。
図2Bは、コントロール群およびサイトソーブ群におけるウシ血漿中のsPD-L2、sPD-1、sICOS、およびsVISTAの平均残存率を示すデータである。データは平均±S.D.(n=3)、*p<0.05を表し、sPD-1についてはn=2である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は一般に、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を利用したがん治療に関する。第一のシナリオでは、吸着剤は、がん細胞に対する免疫応答を阻害する因子を除去することによってがんを治療するために使用される。第二のシナリオでは、吸着剤は、がん治療または免疫療法による対象の治療前、治療中、または治療後に免疫系を調節する。第三のシナリオでは、吸着剤は炎症に起因するがんの合併症(悪液質等)を軽減する。第四のシナリオでは、吸着剤はがん治療または免疫療法の効果を改善する。
【0021】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示する。開示された実施形態は、様々な形態で具体化される本発明の単なる例示であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるものではなく、単に本発明を使用することを当業者に教示するための基礎として解釈されるものである。以下の具体例により、本発明をより良く理解することができる。しかしながら、これらは単にガイダンスとして与えられるものであり、いかなる限定も意図するものではない。
【0022】
本発明は、本開示の一部を構成する添付の図および実施例に関連して取られる以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載および/または示される特定の材料、デバイス、方法、用途、条件、またはパラメータに限定されないこと、および本明細書で使用される用語は、例示として特定の実施形態を説明するためのものであり、特許請求される本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書で使用される「複数(plurality)」という用語は、1つまたはそれ以上を意味する。値の範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約(about)」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。すべての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。
【0023】
本明細書では、明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供することができることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴も、別個に、または任意の組合せの構成要素で提供されても良い。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内の各値および各値の組み合わせを含む。
【0024】
定義
本明細書では以下の定義を用いる。特に断りのない限り、用語は当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。
【0025】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という語ならびにその変形、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むがこれに限定されない」という意味であり、他の成分を除外することを意図していない(または除外しない)。
【0026】
「生体適合性(biocompatible)」という用語は、吸着剤が生理学的流体、生体組織、または生物と接触している間、許容できない臨床的変化を生じることなく、吸着剤が生理学的流体、生体組織、または生物と接触できることを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、任意の疾患、状態、症候群または障害の「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」という用語は、一実施形態において、疾患、状態、症候群または障害を改善すること(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせるか、または停止させるか、または軽減すること)を指す。別の実施形態において、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、患者が識別できないものも含めて、少なくとも1つの身体的パラメータを緩和または改善することを指す。さらなる実施形態において、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」とは、疾患、状態、症候群、または障害を、物理的(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、物理的パラメータの安定化)、またはその両方のいずれかで調節することを指す。さらに別の実施形態において、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、疾患、状態、症候群、または障害の発症または発症もしくは進行の予防または遅延を意味する。
【0028】
「血液適合性(hemocompatible)」という用語は、生体適合性材料が全血または血漿と接触した時に、臨床的に許容される生理学的変化をもたらす状態として定義される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「生理学的流体(physiologic fluids)」という用語は、体内由来の液体であり、これに限定されるものではないが、鼻咽頭、口腔、食道、胃、膵臓、肝、胸膜、心膜、腹膜、腸、前立腺、精液、膣分泌液、涙、唾液、肺、気管支分泌液、粘液、胆汁、血液、リンパ液、血漿、血清、滑液、尿、脳脊髄液、間質液、涙、唾液、肺または気管支分泌液、粘液、胆汁、血液、リンパ液、血漿、血清、滑液、脳脊髄液、尿、間質液、細胞内液、および細胞外液(火傷、創傷、がん腫瘍から滲出する液等)を含む。
【0030】
本明細書において、「吸着剤(sorbent)」という用語には、吸着剤および吸収剤が含まれる。
【0031】
本発明の目的上、用語「吸収する(sorb)」は「吸収および/または吸着による取り込みおよび結合」と定義される。
【0032】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈から明らかにそうでないことが指示されない限り、少なくともその特定の値を含む。値の範囲が表現されている場合、別の実施形態において、ある特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約(about)」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。また、数値範囲、カットオフ値、または特定の値に関して使用される場合、「約(about)」という用語は、記載された値が記載された値から最大10%まで変動する可能性があることを示すために使用される。前置詞「約(about)」の使用は、記載された特定の値を包含するものと理解される。すべての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「治療上有効な用量(therapeutically effective dose)」という語句は、本明細書で開示、記載、または例示される生物学的または治療上の結果等に限定されないが、特定の生物学的または治療上の結果を達成するのに有効な、投与される吸着剤または他の治療薬の量を指す。治療上有効な用量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重等の因子、ならびに対象において所望の応答を引き起こす組成物の能力に応じて変化し得る。このような結果には、これに限定されるものではないが、当技術分野で好適な任意の手段によって決定される、がんの治療が含まれる。
【0034】
本明細書で使用する「対象(subject)」という用語は、あらゆる動物、特に哺乳動物を意味することを意図しており、開示した方法を用いてあらゆる種類の哺乳動物を治療することができる。したがって、本方法はヒトおよび非ヒト動物に適用可能であるが、好ましくはマウスおよびヒトに使用され、最も好ましくはヒトに使用される。「対象(subject)」および「患者(patient)」は、本開示を通して互換的に使用される。
【0035】
「モノマー残基(monomer residue)」とは、モノマーが重合した時にポリマーに取り込まれるモノマーの部分を指す。例えば、R-xをR’-yと反応させてR-R’を生成し、xとyが反応中に遊離する場合、RとR’はモノマー残基である。
【0036】
本発明の目的上、「灌流(perfusion)」という用語は、生理学的流体を、一旦、多孔性高分子吸着剤を含む装置を通して、または適当な体外回路を通して、流体から毒性分子を除去するために通過させることと定義される。
【0037】
「血液灌流(hemoperfusion)」とは、生理学的流体が血液である灌流の特殊な場合である。
【0038】
「分散剤(dispersant)」または「分散剤(dispersing agent)」という用語は、流動媒体中に懸濁された微細に分割された非混和性液滴の配列に安定化効果を与える物質として定義される。
【0039】
用語「ヘパリン模倣ポリマー(heparin mimicking polymer)」は、ヘパリンと同じ抗凝固性および/または抗血栓特性を有する任意のポリマーを指す。いくつかの実施形態において、吸着剤は、 SO3H、 COOH、および-OH(またはそれらの塩)から選択される官能基を吸着剤表面に有することにより、ヘパリン模倣ポリマーとして作用することができる。これらの官能基は、当業者に公知の方法で吸着剤ポリマーに結合させることができる。例えば、Ran,et al.Macromol.Biosci.2012,12(1),116-25.を参照されたい。好適な塩としては、-SO3
-M+、-COO-M+、-O-M+のようなナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられ、MはNaまたはKである。
【0040】
「マクロレクチキュラー合成(macroreticular synthesis)」という用語は、不活性沈殿剤の存在下でのモノマーのポリマーへの重合と定義され、相平衡によって規定されるある分子サイズにおいて、成長するポリマー分子をモノマー液体から強制的に追い出し、球状またはほぼ球状の対称性を持つ固体ナノサイズのミクロゲル粒子を与え、オープンセル構造の物理的細孔を持つビーズを一緒に充填する[米国特許第4,297,220号、Meitzner and Oline,October 27,1981;R.L.Albright,Reactive Polymers,4,155-174(1986)]。
【0041】
「超架橋(hypercrosslinked)」という用語は、単一の繰り返し単位が2つまたはそれ以上の連結性を有するポリマーを表す。超架橋ポリマーは、モノマーの共重合ではなく、膨潤または溶解したポリマー鎖を多数の剛直な架橋スペーサーで架橋することによって調製される。架橋剤には、芳香族炭化水素のビス(クロロメチル)誘導体、メチラール、モノクロロジメチルエーテル、およびフリーデル・クラフツ触媒の存在下でポリマーと反応する他の二官能性化合物が含まれる[Tsyurupa,M.P.,Z.K.Blinnikova,N.A.Proskurina,A.V.Pastukhov,L.A.Pavlova,and V.A.Davankov."Hypercrosslinked Polystyrene:The First Nanoporous Polymeric Material."Nanotechnologies in Russia 4(2009):665-75.]。
【0042】
がんおよびその治療における本発明の吸着剤の使用
がん治療および免疫療法は、当技術分野でよく知られている慣例的な技術によって行われる。
【0043】
いくつかの実施形態において、生体適合性ポリマー吸着剤は、吸着剤の細孔内にこれらの望ましくない化合物を収着させることによって望ましくない化合物を除去し、それによってがんを治療するように作用する。
【0044】
PD-1はT細胞と呼ばれる免疫細胞に存在するタンパク質である。PD-1は通常、T細胞が体内の他の細胞を攻撃するのを防ぐ「オフスイッチ」として働く。PD-1はPD-L1という正常細胞(およびがん細胞)に存在するタンパク質と結合することができる。この相互作用により、T細胞はその細胞を攻撃しないようにシグナルを送る。特定のがん細胞にはPD-L1が大量に存在するため、がん細胞は免疫系から逃れることができる。PD-L1を発現するがんの種類は多く、非小細胞肺がん、ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、口腔扁平上皮がん、乳がん、卵巣がん、尿路上皮がん、結腸がん、悪性黒色腫等が含まれる。PD-L1の高値はしばしば臨床転帰不良と相関する。
【0045】
PD-1またはPD-L1のいずれかを標的とする治療法は、タンパク質が互いに接着するのを阻止し、がん細胞が免疫系を回避するのを防ぐのに役立つ。本開示は、対象におけるサイトカイン濃度を調節する方法を提供し、これは、がんの治療のための免疫療法を受けているか、または免疫療法を受ける準備をしている人々に有益である。いくつかのサイトカインは腫瘍に対する免疫応答を阻害することが知られているため、サイトカイン濃度の調節はがん治療において重要な進歩である。したがって、本開示の1つの実施形態は、対象に治療有効量の免疫抑制性サイトカイン用吸着剤を投与することを含む、対象における免疫療法に対する応答性を増強する方法である。特定の実施形態において、本発明の方法は、PD-L1を吸着する吸着剤を使用することによってPD-L1を標的とする。
【0046】
PD-L2はPD-1の第二リガンドであり、T細胞と細胞の相互作用を阻害することができる。
【0047】
PD-1の可溶性型であるsPD-1は、特定のがんにおいて予後不良と関連している。
【0048】
sMICAは、免疫受容体ナチュラルキラー受容体(NKG2D)に対する可溶性リガンドである。sMICBとsULBP2もNKG2Dの可溶性リガンドである。
【0049】
Fas受容体は細胞表面に存在する死の受容体であり、プログラムされた細胞死に導くことができる。Fasリガンド(FasL)は、Fasが免疫監視を回避できるようにすることが知られている。
【0050】
sCTLA-4は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(sCTLA-4)の可溶性型である。
【0051】
sCD40Lは可溶性のリガンドで、特定の炎症性メディエーターの放出を誘発する。
【0052】
Gal-9はT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)の可溶性リガンドである。sHMGB1はTIM-3のもう一つの可溶性リガンドである。
【0053】
sHVEMはBおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)の可溶性リガンドである。
【0054】
LIGHTは腫瘍壊死因子スーパーファミリーのリガンドで、HVEMと結合する。
【0055】
VSIG-3はT細胞活性化VドメインIg抑制因子(VISTA)のリガンドである。
【0056】
FGL1はリンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)の可溶性リガンドである。MHCクラスII、Gal-3、およびLSECtinもLAG-3の可溶性リガンドである。
【0057】
sB7-H6はナチュラルキラー細胞活性化受容体NKp30の可溶性リガンドであり、sBAG6およびGal-3もNKp30の可溶性リガンドである。
【0058】
sB7-H4(sVCTN1)およびsB7-H3は可溶性免疫チェックポイント分子である。
【0059】
sPVR(sCD155)は免疫グロブリンおよびITIMドメインを持つT細胞免疫受容体(TIGIT)の可溶性リガンドで、sPVRL2(sCD112)、sNectin-3、sNectin-4もTIGITの可溶性リガンドである。
【0060】
sB7-1はCTLA-4の可溶性リガンドであり、sB7-2もCTLA-4の可溶性リガンドである。
【0061】
sB7H7は、膜貫通型免疫グロブリンドメイン含有受容体2(TMIGD2)の可溶性リガンドである。
【0062】
アデノシンはアデノシンA1受容体(ADORA1)の可溶性リガンドである。アデノシンはまた、アデノシンA2a受容体(ADORA2a)のリガンドでもある。
【0063】
sCEACAM1は、カルシーノ胚性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)の可溶性型である。
【0064】
sCD-47はシグナル調節タンパク質α(SIRPα)の可溶性リガンドである。
【0065】
sCD200はCD200受容体(CD200R)に対する可溶性リガンドである。
【0066】
誘導性T細胞コスティミュレーター(ICOS)は、活性化T細胞に発現するCD28スーパーファミリーのコスティミュレーター分子である。特にTヘルパー細胞にとって重要であると考えられている。細胞間シグナル伝達、免疫応答、細胞増殖の制御において重要な役割を果たしている。
【0067】
チェックポイント阻害剤は、免疫系細胞によって作られる特定のタンパク質を阻害することができる薬剤である。これらのタンパク質が存在すると、T細胞や他の免疫系細胞ががん細胞を攻撃するのを阻害することができる。
【0068】
CAR T細胞療法は、対象のT細胞の一部を改変することで、がん細胞への接着効果を向上させる。
【0069】
モノクローナル抗体は、がん細胞と結合することができるタンパク質の一種で(通常は実験室で作られる)、がんの治療に使用することができる。
【0070】
二重特異性T細胞エンゲージャーは、二重特異性モノクローナル抗体の一種で、T細胞とがん細胞を結びつけることによりがん治療に有用である。
【0071】
がんワクチンとは、既存のがんを治療したり、がんができるのを予防したりするワクチンである。
【0072】
がん細胞溶解ウイルスは、がん細胞を優先的に溶解するが、正常細胞は溶解しないウイルスである。
【0073】
本明細書で意図する本発明の高分子吸着剤を用いた免疫療法とは、抗原を発現する腫瘍またはがん細胞に対する免疫応答を引き起こす治療的アプローチを指す。免疫療法は、投与されると白血球を活性化し、炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの両方を放出する。いくつかのサイトカインは免疫抑制性であり、免疫応答を減弱させ、または排除さえできるので、本開示の別の実施形態は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、対象における免疫応答を増強する方法である。
【0074】
哺乳類、特にヒトの免疫系は、いくつかの抗原を異物として認識し、適応応答(抗体を介した応答)と自然応答(サイトカインを介した応答)で応答する。がん細胞や腫瘍細胞は異物ではない細胞に由来するが、異物として認識され免疫応答を引き起こす抗原(「腫瘍抗原」)を発現する。がん細胞や腫瘍細胞の中には、免疫系が腫瘍抗原を認識して適切に応答する能力を低下させる、特定の免疫抑制性サイトカインを発現しているものがある。例えば、腫瘍増殖因子β(TGF-β)は、腫瘍抗原を認識する免疫系の能力を鈍らせることが知られており、その過剰発現は腫瘍の進行と相関している。TGF-βの濃度および/または利用可能性を低下させる吸着剤の適用は、免疫系による腫瘍抗原の認識および腫瘍抗原を発現する腫瘍またはがん細胞を攻撃するエフェクター細胞の活性化を増強する可能性がある。これらの理由から、本明細書で企図される一実施形態は、対象に治療有効量のサイトカイン用吸着剤を投与することを含む、対象における免疫応答を増強するための方法である。
【0075】
吸着剤は、本明細書に記載されているように、がんを直接治療するために使用することができる。あるいは、吸着剤は、抗がん剤、抗がん治療剤、免疫治療剤から選択される1つまたはそれ以上の治療剤とともに利用することもできる。
【0076】
理論に束縛されることなく、本明細書に記載の吸着剤は、腫瘍抗原の存在がマスクされないような十分な量の免疫抑制性サイトカインを吸着し、免疫系が抗原を発現する腫瘍またはがん細胞に対する応答を生じると考えられる。
【0077】
例えば、TGF-βや他のサイトカインは、免疫系ががん細胞や腫瘍を攻撃する能力を鈍らせる免疫抑制能を有しているが、この能力は、問題となるサイトカインを除去することにより免疫系が回復する可能性がある。さらに、がんの症例によっては、患者の病歴、状態、個人的な嗜好のために、従来の治療法が正当化されないか、望まれないか、あるいは禁忌である場合がある。患者に吸着剤を投与すると、免疫抑制性サイトカインの濃度が低下し、その結果、(免疫抑制性サイトカインによって抑制された応答と比較して)免疫応答が増強され、がん細胞を除去することができる。
【0078】
上述したように、免疫療法の合併症として生じる可能性があるサイトカイン媒介性症候群、障害、または他の疾患の例も数多く存在する。このため、本開示の1つの実施形態は、対象に治療有効量のサイトカイン用吸着剤を投与することを含む、対象におけるサイトカイン媒介性疾患を治療または予防する方法に向けられている。この実施形態の1つの態様において、悪疾患は、悪液質、CRS、CRES、TLS、またはそれらの組み合わせである。他の実施形態において、悪性疾患は全身性炎症である。
【0079】
CRSおよびCRESは、がん治療を受けている一部の対象において同時に起こることが知られており、悪液質はがん治療の顕著な副作用であるため、悪液質は列挙した症候群または他のがん関連の副作用もしくは合併症のいずれかと併存すると予想される。したがって、本開示の1つの態様は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、対象におけるCRSおよびCRESを治療または予防するための方法である。本開示の別の態様は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、CRSおよびTLSを治療または予防する方法である。本開示の別の態様は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、CRSおよび悪液質を治療または予防する方法である。本開示のさらに別の態様において、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、CRESおよびTLSの治療または予防のための方法が提供される。別の態様は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を対象に投与することを含む、CRESおよび悪液質を処置または予防する方法を提供する。本開示の別の態様は、TLSおよび悪液質を治療または予防する方法を提供する。
【0080】
本発明のさらに他の態様において、患者集団を均質化し、有害転帰の発生率を低下(例えば、低いCRS、CRES、TLS、悪液質)させ、および/または臨床転帰を改善(例えば、腫瘍抗原応答率の改善、生存率の向上、再発率の低下)するために、がん免疫療法を受ける予定の患者を免疫調節するための前処置として、本明細書に記載の吸着剤を使用する。患者によっては、T細胞が体外で増殖せず、患者の体内に戻っても治療が成功しないため、免疫療法治療に不適格な場合がある。本方法はこの問題を克服し、より多くの患者が治療を受けられるようにするものである。
【0081】
本発明の別の実施形態は、サイトカインの濃度を低下させるために、治療有効量の吸着剤を対象に投与することを提供し、ここで、サイトカインの濃度の低下は、その後のキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)の投与のために対象を条件付ける。対象のコンディショニングは、CAR-T等の後続の免疫療法が有効である確率を高めることができる。対象のコンディショニングは、対象群を調和させ、その群の後続治療がほぼ同時に行われるようにするためにも使用できる。このように対象を調和させることは、研究環境において理想的であるが、十分な準備期間なしに高価ながん治療を行う設備が整っていないような環境においても理想的である。例えば、恵まれない患者や十分なサービスを受けられない場所にある診療所では、一括払いを利用するために複数の治療薬を購入する必要があったり、移動診療所では特定の場所でのみ間隔をあけて治療を行う必要があったりする。そのような状況において、患者を調和させることで、効率的な治療の分配が可能になり、より良い治療結果が得られる。
【0082】
本発明はまた、がん性悪液質(がん性食欲不振性悪液質とも呼ばれる)の治療にも関する。悪液質はがんによく見られる現象であり、時には病気の状態を顕著に示す指標であるが、この合併症よりもむしろがんの治療に多くの関心と注意が向けられている。しかし、悪液質に特徴的な栄養の剥奪は、多くの患者を弱った状態にし、高度な治療を受けられなくさせ、がんが難治性である患者にとっては、緩和ケアが最後の手段となる。本開示のいくつかの実施形態は、治療有効量のサイトカイン用吸着剤を投与することを含む、対象における悪液質を治療または予防するための方法である。本明細書に提示される他の方法と同様に、吸着剤は、抗がん療法の適用前、適用中、または適用後に投与できる。サイトカインの濃度を低下させることにより、悪液質を予防、除去、または患者が栄養を受け、基礎疾患とよりよく闘うことができるレベルまで症状を軽減することができる。
【0083】
サイトカイン媒介性疾患の治療または予防に向けた本明細書に開示される方法の1つの態様は、サイトカイン濃度の減少である。開示される実施形態のいくつかの態様において、単一のクラス、または特定の、サイトカインの濃度の減少は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%となる場合がある。サイトカイン濃度が100%減少するということは、対象のサイトカイン濃度を検出するために使用されるどのような方法によってもサイトカインが検出されない状況を意味する。
【0084】
結合され、効果的に中和されるサイトカインは、サイトカインの単一種、サイトカインの特定のファミリー、サイトカインのパネル、またはサイトカインのランダムセットでさえあることができる。本明細書に記載される方法および吸着剤を使用して吸着されるサイトカインは、免疫抑制性、炎症促進性、またはがん促進性を有する場合がある。本開示において企図されるサイトカインの例は、インターロイキン(IL)、腫瘍壊死ファミリー(TNF)のメンバー、インターフェロン(IFN)、および形質転換成長因子(TGF)である。いくつかの態様において、関心のあるサイトカインは、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、およびIL-12である。いくつかの態様において、関心のあるサイトカインはIFN-γを含む。いくつかの態様において、関心のあるサイトカインはTGF-βを含む。
【0085】
本発明の別の実施形態は、対象に治療有効量のサイトカイン用吸着剤を投与することを含む、対象における腫瘍溶解症候群を治療または予防するための方法を提供する。TLSは、治療により多数の腫瘍細胞が溶解され、それにより溶解された細胞の細胞内容物が放出される場合に生じる。細胞内容物が細胞外環境または血流に放出されるだけでなく、サイトカインも放出される。サイトカインの急激な増加は、臓器不全や死につながる全身的な炎症反応を引き起こす可能性がある。サイトカインに有効な吸着剤は、サイトカインの量を減少させることができるので、記載された方法は、放出されたサイトカインを吸着することにより、TLSに関連する全身性炎症を減少させることができる。
【0086】
さらに、投与された治療有効量の吸着剤は、細胞の残骸を吸着することもある。本明細書で用いる「細胞残屑(cellular debris)」とは、細胞が死滅した後に残る有機性廃棄物を指し、免疫系はしばしば残屑の除去に関与する。TLSのように、瀕死の腫瘍から放出される細胞残屑の量は、対象の健康に悪影響を及ぼすのに十分な場合もある。細胞残屑の少なくとも一部を吸着することで、免疫系だけに頼るよりも効率的に残屑を除去することができる。本発明のこのような応用は、免疫系が効果的に残骸を除去できない免疫不全患者に有用であることが証明されよう。
【0087】
さらに、本発明は、可溶性または細胞外小胞に関連した免疫応答の阻害物質を除去することにより、がんの一次治療として使用することができる。多くの場合、これらの可溶性阻害因子は免疫系チェックポイント分子として分類される。したがって、本開示の一実施形態は、対象に治療有効量の免疫系チェックポイント分子用吸着剤を投与することを含む、対象のがんを治療する方法である。チェックポイント分子としては、これに限定されるものではないが、PD-1としても知られるプログラム細胞死タンパク質1、そのリガンドPD-L1およびPD-L2、ならびにCTLA-4を含む。例えば、本吸着剤は患者の体液からPD-1を除去することができ、がん細胞または腫瘍細胞に対して効果的な免疫応答が起こる。
【0088】
免疫系チェックポイント分子を直接結合させるだけでなく、吸着剤をチェックポイント阻害剤とともに投与することもできる。これは、チェックポイント阻害剤が高レベルで毒性を示す場合や、一部の患者では正常レベルでも毒性を示す場合に望ましい。さらに、チェックポイント阻害剤は特定のチェックポイント分子に特異的である傾向があるが、吸着剤はどのチェックポイント分子でも、特に異常に高濃度のチェックポイント分子でも吸着することができる。
【0089】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態は、開示される多孔性生体適合性ポリマーの少なくとも1つで血液または他の体液を処理することを含む。例えば、患者からの血液は、透析と同様の方法で患者の外部で処理することができる。血液が患者から取り出された後、患者に戻される前に、血液は開示された多孔性生体適合性ポリマーと接触させられる。いくつかの実施形態において、血液は適切な動脈から採取され、吸着剤と接触させられた後、適切な静脈を通して患者内に戻される。血液を除去して患者の体内に戻す回路を確立する方法は、当業者に周知である。ある態様において、多孔性生体適合性ポリマーは、循環しているサイトカインやがん治療を阻害する可能性のある他の生体分子を吸着し、循環血液から効果的に除去する。したがって、血液が患者に戻されると、阻害するサイトカインまたは生体分子の濃度が低下するため、免疫療法を抑制、相殺、またはその他の方法で阻害する可能性が低くなる。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態において、吸着剤は、患者におけるがんの再発率を低下させるための補助療法として投与される。例えば、腫瘍の外科的切除後、免疫抑制性サイトカインまたは他のがん促進因子の濃度を低下させるために、吸着剤を投与して、免疫系が循環がん細胞または初期の腫瘍発生を監視できるようにする。
【0091】
いくつかの実施形態において、吸着剤は、血液がカートリッジ内に流入し、カートリッジから出て患者の体内に戻されるように適合されたカートリッジ内に収容される。カートリッジが典型的に利用されるが、血液が吸着剤に接触し、次いで患者に戻されることを可能にする他の容器も利用される。本開示の一実施形態は、がん免疫療法治療に使用するための吸着剤を含むカートリッジを含むキットに関する。キットは、本明細書に記載のポリマーのいずれかを含む。いくつかの態様において、キットはカートリッジの使用説明書を含み、いくつかの態様において、使用説明書はカートリッジに添付されたラベルに含まれる。
【0092】
あるいは、吸着剤を患者に直接投与することもできる。例えば、治療有効量の吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、経管、または直腸に投与することができる。いくつかの実施形態において、吸着剤は腫瘍または腫瘍周囲の組織に直接投与することができ、その結果、全身への影響が少なくなり、抗がん治療も腫瘍内に投与する場合に特に有益である。
【0093】
現在説明されている方法のいくつかの態様において、吸着剤は経口投与される。これは吸着剤を全身に投与する特に効果的な手段であり、CRS、CRES、TLS、または悪液質を経験している患者にとって特に有益である。経口投与は、高価になりがちな侵襲的な処置や長時間の処置を必要としない。さらに、経口投与は、治療薬を投与する他の手段と比較して、比較的容易かつ頻繁に(例えば、毎日)投与することができる。
【0094】
がんの治療または本明細書に記載される他の方法/用途のいずれかに使用するのに適する本開示の吸着剤は、以下の特徴を有する生体適合性ポリマー吸着剤である:
約50Å~約3000Å、あるいは約50Å~約10,000Å、あるいは約50Å~約40,000Å、あるいは約50Å~約2000Å、あるいは約100Å~約1500Å、あるいは約1500Å~約6000Å、あるいは約1500Å~約15,000Å、あるいは約5000Å~約20,000Å、あるいは約4000Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径、および
約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積、あるいは約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積、あるいは約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積。
【0095】
特定の実施形態において、吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい。
【0096】
がんを治療するため、または本明細書で議論される関連方法において使用される場合、吸着剤はがんに近接して配置されることが企図される。特定の実施形態において、吸着剤は腫瘍内に配置される。また、吸着剤が、免疫系に影響を及ぼすがんによって分泌されるタンパク質を選択的に吸着することによってがんを治療することも企図される。
【0097】
様々な非限定的なシナリオが、本発明の治療を説明する:
シナリオ1.がん細胞に対する免疫反応を阻害する因子を除去することにより、がんを治療するために使用される吸着剤。
シナリオ2.がん治療または免疫療法を伴う対象の治療前、治療中、または治療後に、吸着剤が免疫系を調節する。
シナリオ3.吸着剤はがんによる炎症性合併症(悪液質等)を軽減する。
シナリオ4.吸着剤はがん治療または免疫療法の効果を改善する。
【0098】
本発明の特定の実施形態は、本開示の吸着剤を使用して、それを必要とする対象におけるがんを治療する方法に向けられている。これらの方法は(a)サイトカイン、炎症メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞残屑、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象に対して相対的に減少させる、(b)中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象に対して相対的に減少させる、(c)免疫系の阻害を減少させる、および/または(d)サイトカイン放出症候群(CRS)による損傷を、未治療の対象に対して相対的に減少させる。
【0099】
本発明の1つの実施形態において、がんを治療する方法は、対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、経鼻投与、経管投与、または直腸投与する。前記生理学的流体は血液である。
【0100】
本発明の別の実施形態において、がんを治療する方法は、対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与することを含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、経鼻投与、経管投与、または直腸投与する。前記生理学的流体は血液である。
【0101】
本発明の別の実施形態において、がんを治療する方法は、対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与することを含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、経鼻投与、経管投与、または直腸投与する。前記生理学的流体は血液である。
【0102】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。その実施形態において、前記吸着剤は体外式である。前記生理学的流体は血液である。
【0103】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。その実施形態において、前記吸着剤は体外式である。前記生理学的流体は血液である。
【0104】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。その実施形態において、前記吸着剤は体外式である。前記生理学的流体は血液である。
【0105】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約3000Åの範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0106】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約10,000Åの範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0107】
がんを治療する方法の別の実施形態は、約50Å~約40,000Åの範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0108】
がんを治療する方法の特定の実施形態において、前記吸着剤は、抗がん剤、抗がん治療剤、および/または免疫治療剤と組み合わせて使用する。前記吸着剤は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤の前、または同時に投与される。前記抗がん剤、抗がん治療剤、および/または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上である。
【0109】
がんを治療する方法に使用する場合、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する。前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である。前記ケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む。特定の実施形態において、前記可溶性リガンドはPD-L1である。
【0110】
本発明の別の実施形態は、がんを治療するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。別の実施形態は、がんを治療するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0111】
本発明の別の実施形態は、がんを治療するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。別の実施形態は、がんを治療するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0112】
本発明の別の実施形態は、がんを治療するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。別の実施形態は、がんを治療するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0113】
本発明の他の実施形態は、本開示の前記吸着剤を使用して、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法である。一実施形態において、本方法は、がんの炎症関連合併症を軽減する。別の実施形態において、本方法は、がん治療の合併症に関連する炎症を軽減する。別の実施形態において、本方法は、免疫療法の合併症に関連する炎症を軽減する。
【0114】
一実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる。前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0115】
別の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる。前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0116】
別の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる。前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0117】
別の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、前記対象の生理学的流体を、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含む。前記生理学的流体は血液である。
【0118】
別の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、前記対象の生理学的流体を、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含む。前記生理学的流体は血液である。
【0119】
別の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、前記対象の生理学的流体を、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含む。前記生理学的流体は血液である。
【0120】
代替の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0121】
代替の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0122】
代替の実施形態において、それを必要とする対象において、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法は、約50Å~約40,000Åの範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0123】
本発明の別の実施形態は、a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症の軽減に使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0124】
本発明の別の実施形態は、a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症の軽減に使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0125】
本発明の別の実施形態は、a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症の軽減に使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0126】
本発明の他の実施形態は、本開示の吸着剤を使用して、抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法に向けられている。前記対象はがんを有している。一実施形態において、本方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、および/または免疫治療剤による治療前に、前記対象の免疫機能を改善する。別の実施形態において、本方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、および/または免疫治療剤による治療後に、前記対象の免疫機能を改善する。さらに別の実施形態において、本方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、および/または免疫治療剤による治療中に、前記対象の免疫機能を改善する。前記抗がん剤、抗がん治療、または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む。
【0127】
一実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の血液等の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、経鼻投与、栄養チューブ経由投与、または直腸投与される。
【0128】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の血液等の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、皮内投与、腹腔内投与、皮下投与、局所投与、経口投与、経鼻投与、栄養チューブ経由投与、または直腸投与される。
【0129】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の血液等の生理学的流体と接触させる、方法である。前記吸着剤は、体外、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。
【0130】
一実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約3000Åの範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。前記接触させる工程には、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。あるいは、前記吸着剤は体外式である。特定の実施形態において、前記生理学的流体は血液である。
【0131】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。前記接触させる工程には、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。あるいは、前記吸着剤は体外式である。特定の実施形態において、前記生理学的流体は血液である。
【0132】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む。前記接触させる工程には、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。あるいは、前記吸着剤は体外式である。特定の実施形態において、前記生理学的流体は血液である。
【0133】
さらに別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0134】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0135】
別の実施形態において、それを必要とする対象における免疫機能を改善する方法は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0136】
本発明の別の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するために使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0137】
本発明の別の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するために使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0138】
本発明の別の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するために使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫機能を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0139】
本発明の代替の実施形態は、本開示の吸着剤を使用して、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法に向けられている。本方法は、がん治療の有効性を改善する。あるいは、免疫療法の有効性を改善する。特定の実施形態において、前記がん治療または免疫療法は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上の投与を含む。
【0140】
一実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記投与は、体外、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0141】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記投与は、体外、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0142】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、多孔性生体適合性吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、前記ポリマー吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法である。前記投与は、体外、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される。前記生理学的流体は血液である。
【0143】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む、方法である。前記吸着剤は体外式である。あるいは、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。前記生理学的流体は血液である。
【0144】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む、方法である。前記吸着剤は体外式である。あるいは、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。前記生理学的流体は血液である。
【0145】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と、前記対象の生理学的流体を接触させる工程を含む、方法である。前記吸着剤は体外式である。あるいは、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む。前記生理学的流体は血液である。
【0146】
さらに別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0147】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0148】
別の実施形態において、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含む。
【0149】
本発明のさらに別の実施形態は、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善するために使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、がん治療または免疫療法の有効性を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0150】
本発明のさらに別の実施形態は、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善するために使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、がん治療または免疫療法の有効性を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0151】
本発明のさらに別の実施形態は、それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善するために使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。代替の実施形態は、がん治療または免疫療法の有効性を改善するための医薬の製造に使用するための、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む多孔性生体適合性ポリマー吸着剤である。
【0152】
本方法または用途の特定の実施形態において、前記吸着剤はPD-L1を吸着する。
【0153】
本方法または用途の特定の実施形態において、前記吸着剤はPD-L1に関連する細胞外小胞を吸着する。
【0154】
これらの方法または用途のいずれにおいても、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい。
【0155】
本明細書において、本方法が投与する工程に言及する場合、前記投与する工程は、前記吸着剤を生理学的流体にアクセスさせることを包含する。例えば、前記流体が血液である場合、吸着剤を血管内に入れるか、または血管に接続することによって達成することができる。
【0156】
吸着剤
本発明はまた、本明細書に記載されるがんの治療および関連方法に使用するのに適した多孔性ポリマー吸着剤を提供する。多孔性ポリマー吸着剤は、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、リンパカイン、および免疫解離に関与する他のタンパク質を、患者の生理学的流体から吸着するように構成される。特定の実施形態において、吸着剤は、患者の血液からそのようなタンパク質を除去するように構成される。
【0157】
多孔性ポリマー吸着剤はまた、免疫抑制に関与するリガンドや他のタンパク質を患者の生理学的流体から吸着するように構成される。特定の実施形態において、吸着剤は、患者の血液からそのようなタンパク質を除去するように構成される。
【0158】
多孔性ポリマー吸着剤はまた、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、リンパカイン、リガンド、および免疫麻痺または免疫抑制に関与する他のタンパク質に関連する細胞外小胞を、患者の生理学的流体から吸着するように構成される。特定の実施形態において、吸着剤は、患者の血液からそのような小胞を除去するように構成される。
【0159】
ポリマーは、吸着剤および薬学的に許容される賦形剤または補助剤を含む医薬組成物に組み込むことができる。ポリマーは、スラリー、懸濁液、または湿潤可能な乾燥粉末もしくは他の乾燥粒子として供給することができる。いくつかの方法では、吸着剤は、経口投与のため、単回投与用または多回投与用に包装されたスラリーまたは懸濁液として供給される。他の方法では、吸着剤はスラリーまたは懸濁液として、浣腸もしくは栄養チューブ投与用の単回量もしくは多回量包装のいずれか、またはそれらの組み合わせで供給される。
【0160】
ポリマーはまた、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール等の湿潤剤の添加の有無にかかわらず、胃もしくは腸内環境を含む消化管内で外部または内部で湿潤可能な乾燥粉末または他の乾燥微粒子として供給することができる。さらに他の実施形態において、ポリマーは、投与のためにボトルまたはブリスターパックに包装された錠剤、乾燥粉末、他の乾燥微粒子、カプセル、もしくは座薬として供給される。
【0161】
いくつかの方法では、ポリマーはヒトを含む哺乳類によって代謝されない。このようなポリマーは、対象に投与された場合、最終的には対象から廃棄物として排出される。例えば、標的生体分子と結合した吸着剤および結合していない吸着剤は、最終的に腎臓で処理され、対象の尿として体外に排出される。
【0162】
理論に縛られることは望まないが、本治療は生体適合性ポリマー(吸着剤とも呼ばれる)の吸着能力を利用するものと考えられる。「生体適合性(Biocompatible)」とは、ポリマーが組織または生物と接触している間、害を引き起こすことなく生体組織または生物と接触できるポリマーを指す。いくつかの実施形態において、ポリマーが生物の腸および消化管によって許容されることが意図される。本発明のポリマーは、好ましくは非毒性である。現在記載されている方法のいくつかの態様において、吸着剤の投与は、免疫療法または他のがん療法の適用の前、同時、または後に行うことができる。
【0163】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、50Å~3000Åの間の範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~3.0cc/gよりも大きくなるような細孔構造を有し、前記ポリマーの50Å~3,000Åの細孔容積(細孔直径)と500Å~3,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、200:1よりも小さく、前記ポリマーの50Å~3,000Åの細孔容積と1,000Å~3,000Åの細孔容積との比は、20:1よりも大きい。前記比は、細孔表面積(前記ポリマーの50Å~3,000Åの細孔表面積と500Å~3,000Åの細孔表面積との比等)で代替的に規定することができるため、同じ細孔構造を規定する代替的な方法である。
【0164】
いくつかの実施形態において、前記ポリマーは、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つの分散剤を含むコーティングされたポリマーである。いくつかの実施形態において、前記ポリマーは少なくとも1つの架橋剤を含み、いくつかの実施形態において、前記ポリマーは少なくとも1つの分散剤を含む。好適な分散剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N-ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩、およびポリ(アクリル酸)の塩、ならびにこれらの混合物を含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つのモノマー、少なくとも1つの分散剤、および少なくとも1つのポロゲンを含む。本発明において使用されるポロゲンとしては、ベンジルアルコール、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノール/トルエン混合物、シクロヘキサノン、デカン、デカン/トルエン混合物、ジ-2-エチルヘキシルリン酸、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、2-エチル-1-ヘキサン酸、2-エチル-1-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール/n-ヘプタン混合物、2-エチル-1-ヘキサノール/トルエン混合物、イソアミルアルコール、n-ヘプタン、n-ヘプタン/酢酸エチル、n-ヘプタン/酢酸イソアミル、n-ヘプタン/テトラリン混合物、n-ヘプタン/トルエン混合物、n-ヘキサン/トルエン混合物、ペンタノール、ポリ(スチレン-co-メチルメタクリレート)/フタル酸ジブチル、ポリスチレン/2-エチル-1-ヘキサノール混合物、ポリスチレン/フタル酸ジブチル、ポリスチレン/n-ヘキサン混合物、ポリスチレン/トルエン混合物、トルエン、トリ-n-ブチルリン酸、1,2,3-トリクロロプロパン/2-エチル-1-ヘキサノール混合物、2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)、トリメチルペンタン/トルエン混合物、ポリ(プロピレングリコール)/トルエン混合物、ポリ(プロピレングリコール)/シクロヘキサノール混合物、およびポリ(プロピレングリコール)/2-エチル-1-ヘキサノール混合物の1つまたはそれ以上を含む。
【0166】
特定の実施形態において、前記分散剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N-ビニルピロリジノン)、ポリ(メタクリル酸)の塩、もしくはポリ(アクリル酸)の塩の1つまたはそれ以上を含む。
【0167】
好適な架橋剤としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパン、トリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物を含む。いくつかの態様において、ポリマーは、分散剤がポリマーの表面に化学的に結合するように、コーティングの形成と同時に生じる。
【0168】
いくつかの態様において、ポリマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミド、ならびにこれらの混合物から選択される1つまたはそれ以上のモノマーから誘導される。
【0169】
いくつかの態様において、ポリマーはイオン交換ポリマーである。このようなポリマーには、ジビニルベンゼン残基を含む架橋ポリスチレンが含まれる。ポリマーは典型的には多孔性ビーズであり、このようなポリマーは酸性官能基または塩基性官能基を含む。好適な官能基としては、スルホン酸基、アミン基、カルボン酸基、およびこれらの塩が含まれる。
【0170】
本開示の他のいくつかの態様において、ポリマーはセルロース系ポリマーである。好適なポリマーとしては、Sephadex(登録商標)等の架橋デキストランゲルが含まれる。
【0171】
本開示のいくつかの態様によるポリマーは、多孔質で高度に架橋したスチレンまたはジビニルベンゼンコポリマーである。いくつかの態様において、ポリマーは、分子量7%までの塩素含量まで部分的なクロロメチル化を受けたマクロポーラスまたはメソポーラスのスチレン-ジビニルベンゼン-エチルスチレンコポリマーである。他の態様において、ポリマーは、広範なクロロメチル化と、その後の膨潤状態でのフリーデル・クラフツ触媒処理による後架橋によって、架橋スチレンコポリマーから製造される超架橋ポリスチレンである。さらに他の態様において、ポリマーは、モノクロロジメチルエーテルおよびp-キシリレンジクロライドを含む群から選択される二官能性架橋剤を用いて、膨潤状態で広範な付加的後架橋を行うことにより、架橋スチレンコポリマーから製造される高架橋ポリスチレンである。
【0172】
いくつかの態様において、本発明の実施に有用なポリマーは、アミン、ヒドロキシル、スルホネート、およびカルボキシル基等の親水性官能基を含む乾燥粉末として投与できる親水性自己湿潤ポリマーである。
【0173】
いくつかの態様において、本発明において有用なポリマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン、および以下の製造者に列挙されるようなアクリレートおよびメタクリレートモノマーの重合性モノマーから調製されるマクロポーラスポリマーである。Rohm and Haas Company(現在はDow Chemical Companyの一部):(i)マクロポーラスポリマー吸着剤、例えばAmberlite(商標)XAD-1、Amberlite(商標)XAD-2、Amberlite(商標)XAD-4、Amberlite(商標)XAD-7、Amberlite(商標)XAD-7HP、Amberlite(商標)XAD-8、Amberlite(商標)XAD-16、Amberlite(商標)XAD-16HP、Amberlite(商標)XAD-18、Amberlite(商標)XAD-200、Amberlite(商標)XAD-1180、Amberlite(商標)XAD-2000、Amberlite(商標)XAD-2005、Amberlite(商標)XAD-2010、Amberlite(商標)XAD-761、およびAmberlite(商標)XE-305、ならびにAmberchrom(商標)CG71,s,m,c、Amberchrom(商標)CG161,s,m,c、Amberchrom(商標)CG300,s,m,c、およびAmberchrom(商標)CG1000,s,m,c等のクロマトグラフィグレードの吸着剤。Dow Chemical Company:Dowex(登録商標)Optipore(商標)L-493、Dowex(登録商標)Optipore(商標)V-493、Dowex(登録商標)Optipore(商標)V-502、Dowex(登録商標)Optipore(商標)L-285、Dowex(登録商標)Optipore(商標)L-323、およびDowex(登録商標)Optipore(商標)V-503。Lanxess(旧BayerおよびSybron):Lewatit(登録商標)VPOC1064MDPH,Lewatit(登録商標)VPOC1163,Lewatit(登録商標)OCEP63,Lewatit(登録商標)S6328A,Lewatit(登録商標)OC1066,およびLewatit(登録商標)60/150MIBK。三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemical Corporation):Diaion(登録商標)HP10,Diaion(登録商標)HP20,Diaion(登録商標)HP21,Diaion(登録商標)HP30,Diaion(登録商標)HP40,Diaion(登録商標)HP50,Diaion(登録商標)SP70,Diaion(登録商標)SP205,Diaion(登録商標)SP206,Diaion(登録商標)SP207,Diaion(登録商標)SP700,Diaion(登録商標)SP800,Diaion(登録商標)SP825,Diaion(登録商標)SP850,Diaion(登録商標)SP875,Diaion(登録商標)HP1MG,Diaion(登録商標)HP2MG,Diaion(登録商標)CHP55A,Diaion(登録商標)CHP55Y,Diaion(登録商標)CHP20A,Diaion(登録商標)CHP20Y,Diaion(登録商標)CHP2MGY,Diaion(登録商標)CHP20P,Diaion(登録商標)HP20SS,Diaion(登録商標)SP20SS,およびDiaion(登録商標)SP207SS。Purolite Company:Purosorb(商標)AP250、およびPurosorb(商標)AP400。
【0174】
本発明の態様
本発明は、以下の非限定的態様によって説明される。
【0175】
態様1.対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0176】
態様2.それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【0177】
態様3.態様1または2記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【0178】
態様4.態様1または2記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【0179】
態様5.それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【0180】
態様6.態様5記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【0181】
態様7.態様5記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【0182】
態様8.態様2~7のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【0183】
態様9.それを必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【0184】
態様10.態様1~9のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【0185】
態様11.態様1~10のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【0186】
態様12.態様11記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0187】
態様13.態様11または12記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0188】
態様14.態様11~13のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【0189】
態様15.態様1~14のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【0190】
態様16.態様1~15のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤と組み合わせて投与される、方法。
【0191】
態様17.態様16記載の方法において、前記吸着剤は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤の前または同時に投与される、方法。
【0192】
態様18.態様16記載の方法において、前記吸着剤は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤の投与後に投与される、方法。
【0193】
態様19.態様17または18記載の方法において、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0194】
態様20.態様1~19のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0195】
態様21.態様1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0196】
態様22.態様1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、免疫系の阻害を減少させる、方法。
【0197】
態様23.態様1~20のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0198】
態様24.態様1~23のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤の投与前、投与中、または投与後に、免疫系の阻害因子を減少させる、方法。
【0199】
態様25.態様1~23のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【0200】
態様26.態様25記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【0201】
態様27.態様25記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0202】
態様28.態様1~27のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【0203】
態様29.対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【0204】
態様30.それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【0205】
態様31.態様29または30記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【0206】
態様32.態様29または30記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【0207】
態様33.それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【0208】
態様34.態様33記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【0209】
態様35.態様33記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【0210】
態様36.態様30~35のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【0211】
態様37.それを必要とする対象における(a)がん、または(b)がん治療もしくは免疫療法の炎症関連合併症を軽減する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含む、方法。
【0212】
態様38.態様29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、がんの炎症関連合併症を軽減させる、方法。
【0213】
態様39.態様29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、がん治療による炎症を軽減させる、方法。
【0214】
態様40.態様29~37のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、免疫療法による炎症を軽減させる、方法。
【0215】
態様41.態様39または40記載の方法において、前記がん治療または免疫療法は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0216】
態様42.態様38~40のいずれか一つに記載の方法において、炎症を軽減することは、悪液質の発現、重症度、もしくは進行の1つまたはそれ以上を改善する、方法。
【0217】
態様43.態様29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0218】
態様44.態様29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0219】
態様45.態様29~42のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0220】
態様46.態様29~45のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【0221】
態様47.態様29~46のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【0222】
態様48.態様47記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0223】
態様49.態様47または48記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0224】
態様50.態様47~49のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【0225】
態様51.態様29~50のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【0226】
態様52.態様29~51のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【0227】
態様53.抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0228】
態様54.抗がん剤、抗がん治療剤、および/もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【0229】
態様55.態様53または54記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【0230】
態様56.態様53または54記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【0231】
態様57.抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、前記対象の生理学的流体を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤と接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0232】
態様58.態様57記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【0233】
態様59.態様57記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【0234】
態様60.態様54~59のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【0235】
態様61.抗がん剤、抗がん治療剤、もしくは免疫治療剤による治療前、治療中、または治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善する方法であって、多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を前記対象に提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0236】
態様62.態様53~61のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【0237】
態様63.態様53~62のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【0238】
態様64.態様63記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0239】
態様65.態様63または64記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0240】
態様66.態様63~65のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【0241】
態様67.態様53~66のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【0242】
態様68.態様53~67のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【0243】
態様69.態様53~68のいずれか一つに記載の方法において、前記抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0244】
態様70.態様53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療前に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【0245】
態様71.態様53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療中に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【0246】
態様72.態様53~69のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、抗がん剤、抗がん治療剤、または免疫治療剤による治療後に、それを必要とする対象における免疫系機能を改善させる、方法。
【0247】
態様73.態様70~72のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【0248】
態様74.態様73記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【0249】
態様75.態様73記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0250】
態様76.態様53、54、57、または61のいずれか一つに記載の方法において、前記免疫系機能の改善は、全身性または局所性の免疫抑制の軽減を含む、方法。
【0251】
態様77.態様53、54、57、または61のいずれか一つに記載の方法において、前記免疫系機能の改善は、全身性または局所性の過剰炎症の軽減を含む、方法。
【0252】
態様78.対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に治療有効量の多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を処理する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0253】
態様79.それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を投与する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含み、
前記投与する工程は、前記吸着剤を前記対象の生理学的流体と接触させる、方法。
【0254】
態様80.態様78または79記載の方法において、前記吸着剤は体外投与される、方法。
【0255】
態様81.態様78または79記載の方法において、前記吸着剤は、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与される、方法。
【0256】
態様82.それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象の生理学的流体と多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を接触させる工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法。
【0257】
態様83.態様82記載の方法において、前記接触させる工程は、前記吸着剤を静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内、皮下、局所、経口、経鼻、栄養チューブ経由、または直腸に投与することを含む、方法。
【0258】
態様84.態様82記載の方法において、前記吸着剤は体外式である、方法。
【0259】
態様85.態様79~84のいずれか一つに記載の方法において、前記生理学的流体は血液である、方法。
【0260】
態様86.それを必要とする対象におけるがん治療または免疫療法の有効性を改善する方法であって、前記対象に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤を提供する工程を含み、
前記吸着剤は、約50Å~約3000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約3.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約10,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約4.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積を含み、または
前記吸着剤は、約50Å~約40,000Åの間の範囲の細孔直径および約0.5cc/g~約5.0cc/g乾燥ポリマーの間の細孔容積の範囲を含む、方法
【0261】
態様87.態様78~86のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、50Å~40,000Åの範囲の細孔直径の総細孔容積が0.5cc/g~5.0cc/g乾燥吸着剤よりも大きくなるような細孔構造を含み、前記吸着剤の50Å~40,000Åの細孔容積(細孔直径)と1,000Å~10,000Åの細孔容積(細孔直径)との比は、2:1よりも小さい、方法。
【0262】
態様88.態様78~87のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの架橋剤および少なくとも1つのモノマーを用いて製造される、方法。
【0263】
態様89.態様88記載の方法において、前記モノマーは、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸セチル、アクリル酸セチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルホルムアミド、およびこれらの混合物の1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0264】
態様90.態様88または89記載の方法において、前記架橋剤は、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリタールジメタクリレート、ペンタエリスリタールトリメタクリレート、ペンタエリスリタール、テトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびジビニルホルムアミドの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0265】
態様91.態様88~90のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、少なくとも1つの分散剤および少なくとも1つのポロゲンを用いて追加的に製造される、方法。
【0266】
態様92.態様78~91のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、フリーラジカルグラフト重合によって前記吸着剤に共有結合している生体適合性および血液適合性の外装コーティングを含む、方法。
【0267】
態様93.態様78~92のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、スチレン、およびエチルスチレンモノマーの1つまたはそれ以上の残基を含む、方法。
【0268】
態様94.態様78~93のいずれか一つに記載の方法において、前記がん治療または免疫療法は、放射線療法、化学療法、低体温療法、高体温療法、チェックポイント阻害剤、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー、CAR-T細胞免疫療法、がんワクチン、および腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0269】
態様95.態様78~94のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、前記がん治療の有効性を改善する、方法。
【0270】
態様96.態様78~94のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、前記免疫療法の有効性を改善する、方法。
【0271】
態様97.態様78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤は、患者におけるサイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーター、毒素、電解質、化学物質、細胞破片、および代謝老廃物の1つまたはそれ以上の濃度を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0272】
態様98.態様78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、中枢神経系へのCAR-T細胞および他の活性化細胞の侵入を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0273】
態様99.態様78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、サイトカイン放出症候群(CRS)、CAR-T細胞関連脳症症候群(CRES)、キメラ抗原受容体T細胞療法関連毒性(CARTOX)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)、または腫瘍崩壊症候群(TLS)の1つまたはそれ以上による損傷を、未治療の対象と比較して減少させる、方法。
【0274】
態様100.態様78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記方法は、悪液質の発現、重症度、もしくは進行の1つまたはそれ以上を改善する、方法。
【0275】
態様101.態様78~96のいずれか一つに記載の方法において、前記吸着剤の投与は、前記対象の体液から、a)サイトカインまたはケモカイン、b)可溶性チェックポイント分子、およびc)チェックポイント分子に関連する細胞外小胞の1つまたはそれ以上を除去する、方法。
【0276】
態様102.態様101記載の方法において、前記可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子は、表1に見出される例の1つまたはそれ以上である、方法。
【0277】
態様103.態様101記載の方法において、前記サイトカインまたはケモカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍増殖因子、または腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーの1つまたはそれ以上を含む、方法。
【0278】
実施例
以下の実施例は、例示的かつ非限定的であることを意図している。以下の本発明の実施例は、本発明の性質をさらに説明するためのものである。当業者であれば、先の説明および以下の例示的な実施例を用いて、本発明を製造および利用し、特許請求される方法を実施することができると考えられる。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されることを理解されたい。
【実施例1】
【0279】
実施例1:塩基性吸着剤の合成 CY14175&CY15077
反応装置の設定:3Lジャケット付き円筒形ガラス反応器に、ステンレススチールフランジクランプとPTFEガスケットを用いて、4ネックのガラス蓋を取り付けた。蓋にはPTFE攪拌軸受け、RTDアダプター、水冷還流コンデンサーを取り付けた。60°の攪拌子を5つ持つステンレススチール攪拌軸を攪拌軸受けに通し、デジタルオーバーヘッド攪拌機に挿入した。RTDを対応するアダプターに通し、PolyStat循環加熱冷却ユニットに接続した。反応器のジャケットの入口と出口をPolyStatの適切なポートに接続するために、適合するチューブを使用した。蓋にある未使用のポートは反応装置の充電に使用し、それ以外の時はプラグを差し込んだ。
【0280】
重合:水相と有機相の組成を、それぞれ以下の表2および表3に示す。超純水は、PTFEコーティングした磁気攪拌棒を入れた2つの独立した三角フラスコでほぼ等量に分割した。加水分解度が85.0~89.0mol%で、20℃における4%水溶液の粘度が23.0~27.0cPのポリビニルアルコール(PVA)を、最初のフラスコの水に分散させ、ホットプレート上で攪拌しながら80℃に加熱した。塩類(表2参照、MSP、DSP、TSP、および亜硝酸ナトリウム)を第2フラスコ内の水に分散させ、ホットプレート上で攪拌しながら80℃に加熱した。PolyStatから反応器のジャケットを通して熱媒体の循環を開始し、流体温度を60℃に加熱した。PVAと塩類が溶解したら、両方の溶液を、ガラス漏斗を使って一度に1つずつ反応器に投入した。デジタルオーバーヘッド攪拌機の電源を入れ、回転数を有機相添加時に適切な液滴サイズを形成する値に設定した。ケトル内の水相の温度は70℃に設定した。有機相は、2Lの三角フラスコに入れたジビニルベンゼン(DVB)に過酸化ベンゾイル(BPO)を加え、完全に溶解するまで撹拌して調製した。2,2,4-トリメチルペンタンおよびトルエンをフラスコに加え、よく混ざるように振り混ぜた。反応器内の水相の温度が70℃に達したら、細首ガラス漏斗を使って有機相を反応器に投入した。有機相の添加と同時に反応器の温度は低下した。PolyStatの温度プログラムを開始し、反応器を60℃から77℃まで30分かけて加熱し、77℃から80℃まで30分かけて加熱し、80℃で960分間保持し、20℃まで60分かけて冷却した。
【0281】
ワークアップ:反応器内の反応容積レベルに印をつけた。オーバーヘッド攪拌機の攪拌を停止し、反応器から残留液を吸い上げ、反応器を室温の超純水で印まで満たした。オーバーヘッド攪拌機の攪拌を再開し、スラリーをできるだけ早く70℃に加熱した。30分後、撹拌を停止し、残留液を吸い上げた。このようにして、ポリマービーズを5回洗浄した。最後の洗浄の間、スラリーの温度を室温まで冷却した。最終水洗浄後、同様に99%イソプロピルアルコール(IPA)でポリマービーズを洗浄した。99%IPAを吸い出して70%IPAで置換した後、スラリーを清潔な4Lガラス容器に移した。特に断りのない限り、必要に応じてポリマーをステンレススチール管で8時間蒸気剥離し、70%IPAで再湿潤させた後、純水に移し、直径300~600μmのビーズ部分のみを得るためにふるいにかけ、乾燥による重量減少が見られなくなるまで100℃で乾燥させた。
【0282】
窒素脱離等温法および水銀圧入ポロシメトリーで測定したポリマーCY14175およびCY15077の累積細孔容積データを、それぞれ以下の表4および表5に示す。
【実施例2】
【0283】
実施例2:ウシ全血からの可溶性PD-L1(PD-L1)の除去
ベンチトップでの評価データから、
図1に示すように、サイトソーブはウシの全血から可溶性PD-L1(sPD-L1)を除去することが実証された。この研究では、サイトソーブを2つの容積:60mLおよび120mLで評価した。開始時のPD-L1濃度は、ウシ全血800mL中1.4ng/mLを用いた。血液は60mL/分の速度でサイトソーブ装置を通して再循環させた。6時間後、サイトソーブ60mLは開始時のsPD-L1濃度の49%を除去し、サイトソーブ120mLは開始時のsPD-L1濃度の76%を除去した。コントロール(偽薬、サイトソーブなし)は、各サイトソーブ実験と同時に評価した。各群は3回繰り返した(n=3)。
【0284】
前述のように、可溶性PD-L1および可溶性PD-L2リガンドは、細胞傷害性T細胞上のPD-1受容体を活性化し、T細胞活性を減少させ、がんの細胞媒介性殺傷を妨げる。したがって、この実施例は、本発明の生体適合性ポリマー吸着剤をがんの治療に使用できることを示している。
【実施例3】
【0285】
実施例3:小動物の固形腫瘍モデルにおいて、腫瘍内または皮下注射による多孔性生体適合性ポリマー吸着剤の抗腫瘍効果の実証
適切な小動物モデルに試験対象のがん細胞を注射し、腫瘍増殖を誘導する。腫瘍が成長した後、適切なマトリックス(例えば生理食塩水)に懸濁させた多孔性ポリマービーズを腫瘍内に注入し、様々な時点で血液サンプルを採取し、サイトカインおよび可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子の減少を分析する。腫瘍も観察し、腫瘍増殖の減少を検出する。動物の体重変化は非投与動物と比較する。
【0286】
例えば、C57BL/6マウスに、生理食塩水中のB16-F10マウス腫瘍細胞(0.5×106)を注射する。腫瘍増殖が確立した後、腫瘍部位に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤(1mL、生理食塩水に懸濁)、または生理食塩水単独(コントロール)を皮下注射する。投与前1日目、および3、5、7、9日目に動物の体重を記録する。細胞接種後1日目、3日目、5日目、7日目、および9日目に、各投与群の動物6匹を犠牲にして心臓穿刺を行い、最大量の血液(0.6~1.0mL)を採取し、血漿を分離してサイトカイン(例えば、MCP-1、GM-CSF、IFN-b、IFN-g、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-10、IL-12(p70)、IL-17A、IL-23、IL-27、TNF-a)および可溶性チェックポイント分子(例えば、sPD-L1)について、適切なELISA/マルチプレックスアッセイを用いて分析する。細胞外小胞(EV)関連チェックポイント分子(例えば、EV関連PD-L1)もまた、標準的な手順を使用してEVの収集後に分析される。さらに、特定の日(例えば、1、3、5、7および9)に、肺を採取し、病理組織検査のためにブアン液で固定し、肺の写真を撮り、転移病変を数える。
【実施例4】
【0287】
実施例4:小動物がんモデルにおける体外治療による多孔性生体適合性ポリマー吸着剤の抗腫瘍効果の実証
適切な小動物モデルに試験対象のがん細胞を注射し、腫瘍の増殖を誘導する。腫瘍が成長した後、これらの試験動物を多孔性生体適合性ポリマー吸着剤で体外処理し、様々な時点で血液サンプルを採取し、サイトカインおよびケモカイン、ならびに可溶性または細胞外小胞関連チェックポイント分子の減少を分析する。腫瘍増殖の減少を検出するために腫瘍も観察する。動物の体重変化は非投与動物と比較する。
【0288】
例えば、ウィスターラット(n=6)に、白血病ドナーラットからの8×107脾臓細胞を静脈注射する。CD19+CD5+慢性リンパ性白血病(CLL)細胞の割合は、全生存リンパ球の少なくとも80%でなければならない。注射後1~6日目に多孔性生体適合性ポリマー吸着剤による6時間の体外処理を行う。コントロール群のラット(n=6)は、体外回路に吸着装置を接続しない体外治療を受ける。採血は1日目(0時間、2時間、4時間、6時間、24時間)に行い、その後2日目から試験終了まで1日1回行う。試験終了は、コントロールラットにおいて確立されたCLLの基準を満たす完全な白血病状態になると判断される期間(例えば30日後)とする。試験終了時、抗凝固剤としてEDTAを用い、心臓穿刺により末梢血を採取する。脾臓切片をパラフィンに包埋し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)ならびにCD5およびB220に対する抗体で染色する。分析用の血漿を採取し、マルチプレックスアッセイによりすべての時点のサイトカイン(例えば、CCL2、IL-10、GM-CSF、CXCL2、CXCL5、およびTNF-α)を分析する。可溶性チェックポイント分子(例えば、sPD-L1およびsPD-L2)の血漿レベルはELISAによって測定され、細胞外小胞関連チェックポイント分子(例えば、EV関連PD-L1)もまた、標準的な手順を使用してEVの収集後に分析される。
【実施例5】
【0289】
実施例5:小規模ベンチトップ再循環試験におけるウシ全血を用いたサイトソーブからの可溶性チェックポイント阻害タンパク質分子の除去の評価
目的:60mLのサイトソーブを60mL/minの流速で使用する小規模再循環設定において、循環ウシ全血から11種類の可溶性リガンドsPD-L1、sCTLA-4、sLAG-3、sTIM-3、sPD-1、sPD-L2、sICOS、およびsVISTAを除去する際のサイトソーブの効率を評価すること。
【0290】
実験1a:チェックポイント分子sPD-L1、sCTLA-4、sLAG-3、sTIM-3の混合物を、それぞれ開始濃度1400、2000、3000、および4000pg/mLで血液に添加し、サイトソーブによる除去率を評価した。
【0291】
実験1b:チェックポイント分子sPD-1、sPD-L2、sICOS、sVISTAの混合物を、それぞれ開始濃度2000、5000、2000、2000pg/mLで血液に添加し、サイトソーブによる除去率を評価した。
【0292】
根拠:これらの研究の開始血中濃度は、文献に見られる臨床的に適切な最大血漿中濃度に基づいている。[Zhao,J.etal.Plasma levels of soluble programmed death ligand-1 may be associated with overall survival in nonsmall cell lung cancer patients receiving thoracic radiotherapy.Medicine(Baltimore)96,e6102(2017);Zhou,J.etal.Soluble PD-L1 as a Biomarker in Malignant Melanoma Treated with Checkpoint Blockade.Cancer Immunol Res 5,480-492(2017);Botticelli,A.et al.The Role of Soluble LAG3 and Soluble Immune Checkpoints Profile in Advanced Head and Neck Cancer:A Pilot Study.J Pers Med 11(2021);Keane,C.et al.LAG3:a novel immune checkpoint expressed by multiple lymphocyte subsets in diffuse large B-cell lymphoma.Blood Adv 4,1367-1377(2020);Shapiro,M.et al.Lymphocyte activation gene 3:a novel therapeutic target in chronic lymphocytic leukemia.Haematologica 102,874-882(2017);Odagiri,N.et al.Early Change in the Plasma Levels of Circulating Soluble Immune Checkpoint Proteins in Patients with Unresectable Hepatocellular Carcinoma Treated by Lenvatinib or Transcatheter Arterial Chemoembolization.Cancers(Basel)12(2020);Xie,C.et al.Soluble B7-H3 promotes the invasion and metastasis of pancreatic carcinoma cells through the TLR4/NF-kappaB pathway.Sci Rep 6,27528(2016);Noubissi Nzeteu,G.A.et al.Macrophage Differentiation and Polarization Regulate the Release of the Immune Checkpoint Protein V-Domain Ig Suppressor of T Cell Activation.Front Immunol 13,837097(2022).]
【0293】
分析対象(sPD-L1、sTIM-3、sLAG-3、sCTLA-4、sPD-1、sPD-L2、sICOS、sVISTA)の選択は、一般的ながん種における臨床サンプルでの共存に基づいている。注目すべきは、LAG-3を単独で遮断してもT細胞の消耗は回復しないが、LAG-3/PD-1遮断の組み合わせでは腫瘍量が減少することが前臨床試験で証明されていることである。[Hinshaw,et al.The Tumor Microenvironment Innately Modulates Cancer Progression.Cancer Res 79,4557-4566(2019)]。このことは、単一のチェックポイント分子を標的とするよりも、チェックポイント分子をより広範に除去する方が、臨床的意義が大きいことを証明する可能性があることを示している。このことは、チェックポイント阻害剤としての二重特異性抗体、例えばLAG-3/PD-L1、LAG-3/TIM-3、またはVISTA/PD-L1の組み合わせを、これらの組み合わせが共存する様々ながん種を治療するために試験する多くの臨床試験が進行中であるという事実と一致している。[Lee,et al.Clinical Insights Into Novel Immune Checkpoint Inhibitors.Front Pharmacol 12,681320(2021).]
【0294】
結果と考察
図2Aは、ベンチトップ再循環小規模実験において、サイトソーブを用いた6時間の血液灌流中の4つのタンパク質(sCTLA-4、sTIM-3、sLAG-3、およびsPD-L1)の残存率を示す。
図2Bは、ベンチトップ再循環小規模実験において、サイトソーブを用いた6時間の血液灌流中の4つのタンパク質(sPD-1、sPD-L2、sVISTA、およびsICOS)の残存率を示す。
【0295】
データは、3回の実験の平均として、コントロール回路と処理回路の両方について、各タンパク質のベースライン(0時間時点)に対するパーセンテージとして示されている。コントロール回路の結果は、試験されたタンパク質が、測定されたベースラインのパーセンテージが85~110%の間に留まる6時間の期間にわたって安定していたことを示している(
図2A、2B)。したがって、サイトソーブ群におけるこれらのタンパク質の残存率の低下は、サイトソーブビーズによる除去のみに起因する。マルチプレックスデータから、サイトソーブ群では6時間後の残存率が20~56%の範囲にあり、各タンパク質について6時間後のコントロールとサイトソーブ群との差が有意(p<0.05)であることが判明した(ただし、PD-1は2回の反復実験しか行わなかったため、統計学的検定ができなかった)。
【0296】
具体的には、サイトソーブによる6時間の血液灌流終了時の平均除去率は、VISTA(80%)、LAG-3(76%)、ICOS(68%)、TIM-3(63%)、sPD-L2(56%)、sPD-L1(49%)、sCTLA-4(46%)、およびsPD-1(44%)と測定された。
【0297】
サイトソーブによる除去は、1)分子量、2)濃度、3)分子構造等様々な要因に依存する。この実験では、複数のチェックポイント分子が同時に循環している臨床状況をよりよく模倣するために、複数のチェックポイント分子の混合物を利用した。同時に存在する分子の中には、特にsPD-1とPDL-2のように、実験中に受容体とリガンドの結合が予想されるものもある。上記の要因から、それぞれの分子が単独で存在する場合は除去されると予想されるが、sPD-1とsPD-L2は同時に存在しているにもかかわらず、またリガンドが過剰に存在し、その同族受容体への結合が促進されているにもかかわらず、有意な除去が見られた。にもかかわらず、sPD-1の強固な除去が達成された。除去は、サイトソーブの用量を増やし、および/または処理を6時間以上延長することによって増強できる(
図2A、2B参照)。
【実施例6】
【0298】
実施例6:可溶性免疫チェックポイント分子および/またはサイトカインの吸着によるがん治療のための、腫瘍内、皮下、局所、注射および経口用途のための生体吸収性多孔性高分子材料の使用
生体適合性と安全性の高い分解生成物で望ましい分解プロファイルを示す生体吸収性多孔性高分子材料は、腫瘍への局所注入、血液がんへの静脈内注入、腸がんや胃がんへの経口適用、ならびにメラノーマ等の皮膚がんへの局所適用および皮下適用により、がんの治療に使用される。
【0299】
一例として、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)[PLGA]ベースの多孔性ナノ粒子、マクロ粒子、またはマイクロ粒子がある。これらの多孔性粒子は、特定のタンパク質の吸着性を高めるために、様々なリガンドまたはポロゲンを用いて修飾することができる。これらの再吸収性ポリマーの分解プロファイルは、アプリケーションの種類によって数時間から数ヶ月、数年まで変化する。その他の生体吸収性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトン、ポリトリオキサン、ポリカーボネート、およびそれらの組み合わせが用いられる。これらの多孔性粒子は、全身循環あるいは腫瘍局所環境から可溶性免疫チェックポイントタンパク質分子を吸着し、可溶性型と膜結合型との相互作用を阻害することにより、がん細胞がT細胞を活性化して免疫反応から逃れるのを防ぐ。これらの多孔性再吸収性粒子は、実施例3および4に記載された方法を用いて、様々な種類のがんの治療について試験することができる。
【実施例7】
【0300】
実施例7:炎症に起因する合併症を軽減し、高/低体温がん治療の効果を改善するための、過剰な炎症性メディエーターおよびチェックポイント分子を除去するための吸着性ポリマーの使用
高/低体温治療前、治療中、および/または治療後に吸着剤を適用することにより、サイトカイン、ケモカイン、可溶性チェックポイント分子、およびがん治療の有効性や忍容性を阻害しうる他の炎症性因子が除去される。例えば、高/低体温療法の前に吸着剤を適用すると、IL-10やTGF-βのような抗炎症性サイトカインや、腫瘍保護環境を媒介するsPD-L1のような可溶性チェックポイント分子が除去され、その結果、高/低体温療法が適用された時に腫瘍溶解や免疫介在性がん細胞のアポトーシスが改善される。吸着剤が高/低体温療法中に適用されると、治療によって誘導されるIL-6やTNF-αを含む過剰な炎症性因子が除去され、そうでなければ健康な組織に損傷を与え、治療の忍容性が改善される。高/低体温療法後に適用される吸着剤は、治療後のがん細胞のアポトーシスの継続に伴って放出される炎症性因子や損傷関連分子パターンを除去し、サイトカイン放出症候群(CRS)や腫瘍崩壊症候群(TLR)の発症を予防することができる。
【0301】
本発明の多くの実施形態を説明したが、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために、基本的な実施例を変更することができることは明らかである。したがって、この発明の範囲は、例示した特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されよう。
【国際調査報告】