(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】アイトラッキングモジュールおよびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/00 20060101AFI20241108BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241108BHJP
G02B 1/16 20150101ALI20241108BHJP
G02C 7/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G02C7/00
G02B27/02 Z
G02B1/16
G02C7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531433
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2022132968
(87)【国際公開番号】W WO2023093648
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111420854.1
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521063764
【氏名又は名称】北京七▲しん▼易維信息技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING 7INVENSUN TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 507,Unit 1,Floor 4,Building 2,No.7 Yard,Liqing Road,Chaoyang District,Beijing 100107(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲馳▼▲フア▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 通兵
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
2K009
【Fターム(参考)】
2H006BA01
2H006BA03
2H006DA01
2H199CA04
2H199CA96
2K009BB24
2K009CC02
2K009DD00
2K009EE03
2K009FF00
(57)【要約】
本開示は、アイトラッキングモジュールおよびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイを開示する。アイトラッキングモジュールは、レンズ(10)と、レンズ(10)の一方側の光路に位置する透明導電フィルム(11)と、を含み、透明導電フィルム(11)は、基材(12)と、基材(12)に位置する回線(13)とを含み、基材(12)は、透明材料を含み、回線(13)の材料は、ナノワイヤを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズの一方側の光路に位置する透明導電フィルムと、を含み、
前記透明導電フィルムは、基材と、前記基材に位置する回線とを含み、
前記基材は、透明材料を含み、
前記回線の材料は、ナノワイヤを含む、
アイトラッキングモジュール。
【請求項2】
前記回線における導線の幅は、0.01mm以下である、
請求項1に記載のアイトラッキングモジュール。
【請求項3】
前記基材は、PVCフィルム、PIフィルム、PEフィルムおよびPETフィルムを含む、
請求項1に記載のアイトラッキングモジュール。
【請求項4】
前記透明導電フィルムの前記レンズから離れる側に位置するとともに、前記回線に電気的に接続される少なくとも1つの赤外線ランプをさらに含む、
請求項1に記載のアイトラッキングモジュール。
【請求項5】
基材を提供するステップと、
前記基材にナノワイヤを使用して回線を印刷することにより、透明導電フィルムを形成するステップと、
前記透明導電フィルムをレンズに貼り付けるステップと、を含み、
前記基材は、透明材料を含む、
アイトラッキングモジュールの製造方法。
【請求項6】
前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、
前記透明導電フィルムを個片化して単体を形成するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、
前記レンズの曲率に応じて前記透明導電フィルムを成形するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、
前記レンズの形状寸法に応じて前記透明導電フィルムを裁断するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、
前記透明導電フィルムの前記回線が設けられる側に、前記回線に電気的に接続される少なくとも1つの赤外線ランプを形成するステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のアイトラッキングモジュールを含む、ヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本開示は、2021年11月26日に中国特許庁を提出した出願番号が2021114208541であり、発明名称が「アイトラッキングモジュールおよびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイ」である中国特許出願を基礎とする優先権を要求し、その全ての内容が参照により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ウェアラブル技術に関し、特にアイトラッキングモジュールおよびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴い、ヘッドマウントディスプレイは広く応用されている。従来のヘッドマウントディスプレイは、ユーザの頭部に装着可能であり、ユーザの目に光学信号を送信することにより、拡張現実(Augmented Reality、AR)、仮想現実(Virtual Reality、VR)および複合現実(Mix Reality、MR)などの異なる効果を実現する。
【0004】
アイトラッキング技術は、光学記録法を使用して実現することができる。光学記録法の原理として、赤外線カメラを利用して被験者の目の運動状況を記録し、すなわち、目の運動を反映可能な眼部画像を取得し、取得した眼部画像から眼部特徴を抽出することにより、視線の推定モデルを構築することである。ここで、眼部特徴は、瞳孔位置、瞳孔形状、虹彩位置、虹彩形状、まぶた位置、目尻位置、光スポット位置(またはプルキンエ像)などを含むことができる。光学記録法には、瞳孔-角膜反射法がある。瞳孔-角膜反射法の原理として、近赤外線光源から眼に照射し、赤外線カメラで眼部を撮影するとともに角膜での光源の反射点である光スポットを撮影することにより、光スポット付きの眼部画像を取得することである。
【0005】
一般的に、アイトラッキングを実現するために、ヘッドマウントデバイスに赤外線照明システムおよび画像収集システムを設置する。ここで、赤外線照明システムは、眼球が異なる角度に回転したときにいずれも赤外光スポットの画像を取得できるように、一般的に順次配列されてヘッドマウントデバイスに嵌め込まれた複数の赤外線光源からなる。
【0006】
赤外線照明システムの回線は、不透明なものであり、不透明な回線は、ユーザの視野を遮断するため、現在のVR/ARでは、回線をレンズの辺縁のケースにしか配置することができない。
【0007】
もちろん、アイトラッキング装置は、光学記録法の以外に、例えばMEMS赤外線走査反射ミラー、赤外線光源、赤外線受信機を含むMEMS微小電気機械システムであってもよいし、または、眼球とコンデンサ極板との間の容量値によって眼球の運動を検出する容量センサーであってもよいし、または、鼻梁、額、耳または耳たぶに電極を設置することにより、筋肉電流信号を検出するモードで眼球の運動を検出する筋肉電流検出器であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の実施例は、レンズにおける回線のレイアウトが制限されるという問題を解決するとともに、回線がユーザの視野を遮断しなく、ユーザの体験を向上させたアイトラッキングモジュールおよびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の方面によれば、本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュールは、
レンズと、
前記レンズの一方側の光路に位置する透明導電フィルムと、を含み、
前記透明導電フィルムは、基材と、前記基材に位置する回線とを含み、
前記基材は、透明材料を含み、前記回線の材料は、ナノワイヤを含む。
【0010】
好ましくは、前記回線における導線の幅は、0.01mm以下である。
【0011】
好ましくは、前記基材は、PVCフィルム、PIフィルム、PFフィルムおよびPETフィルムを含む。
【0012】
好ましくは、前記透明導電フィルムの前記レンズから離れる側に位置するとともに、前記回線に電気的に接続される少なくとも1つの赤外線ランプをさらに含む。
【0013】
第2の方面によれば、本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュールの製造方法は、
基材を提供するステップと、
前記基材にナノワイヤを使用して回線を印刷することにより、透明導電フィルムを形成するステップと、
前記透明導電フィルムをレンズに貼り付けるステップと、を含み、
前記基材は、透明材料を含む。
【0014】
好ましくは、前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、前記透明導電フィルムを個片化して単体を形成するステップをさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、前記レンズの曲率に応じて前記透明導電フィルムを成形するステップをさらに含む。
【0016】
好ましくは、前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、前記レンズの形状寸法に応じて前記透明導電フィルムを裁断するステップをさらに含む。
【0017】
好ましくは、前記透明導電フィルムを前記レンズに貼り付けるステップの前に、前記透明導電フィルムの前記回線が設けられる側に、前記回線に電気的に接続される少なくとも1つの赤外線ランプを形成するステップをさらに含む。
【0018】
第3の方面によれば、本開示の実施例が提供するヘッドマウントディスプレイは、第1の方面に記載のアイトラッキングモジュールを含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示の実施例によれば、レンズと透明導電フィルムとを含むアイトラッキングモジュールを提供する。透明導電フィルムは、基材と回線とを含む。回線の材料は、ナノワイヤを含み、すなわち、ナノワイヤ材料を使用して回線を形成することにより、回線が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルムが少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルムをレンズに設置することにより、レンズにおける回線のレイアウトが制限されるという問題を解決した。そして、回線が可視光を遮断しなく、ユーザの視野も遮断しないため、ユーザの体験を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール回路の平面図である。
【
図2】
図1に示すアイトラッキングモジュール回路の側面図である。
【
図3】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの側面図である。
【
図4】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図である。
【
図6】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図である。
【
図7】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図である。
【
図8】
図7に示すアイトラッキングモジュールの側面図である。
【
図9】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図である。
【
図10】
図9に示すアイトラッキングモジュールの側面図である。
【
図11】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図である。
【
図12】
図11に示すアイトラッキングモジュールの側面図である。
【
図13】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図14】本開示の実施例が提供する1種のヘッドマウントディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面および実施例を参照しながら本開示をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。また、説明の便宜上、図面に示されているのは全部の構成ではなく、本開示に関連する部分だけである。
【0022】
現在のVR/ARでは、回線は、レンズの辺縁のケースにしか配置することができず、レンズに配置することができない。VR/ARヘッドセットのレンズのサイズは、観察視野の増大に伴って増大し、アイトラッキング技術に用いられる回線のレイアウトに対して制限および影響を与える。つまり、レンズがますます大きく製造されているが、目は大きくならない。回線をレンズの辺縁のケースに配置し、赤外線ランプをレンズの辺縁のケースに配置すると、アイトラッキングの効果に影響を与える。回線をレンズに設置すると、不透明な回線がユーザの視界を遮断する。
【0023】
上記問題に対して、本開示の実施例は、アイトラッキングモジュール回路を含むアイトラッキングモジュールを提供する。
図1は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール回路の平面図であり、
図2は、
図1に示すアイトラッキングモジュール回路の側面図であり、
図1および
図2を参照して、アイトラッキングモジュールは、アイトラッキングモジュール回路を含み、アイトラッキングモジュール回路は、レンズ10と透明導電フィルム11とを含む。レンズ10は、光透過性の媒体であって、ガラスまたはプラスチックなどの材料で形成することができる。透明導電フィルム11は、レンズ10の一方側の光路に位置し、レンズ10を透過して伝播する光線は、透明導電フィルム11を透過する。レンズ10を透過して伝播する光線は、例えば可視光および赤外光の少なくとも一方を含んでよい。透明導電フィルム11は、基材12と、基材12に位置する回線13とを含む。基材12は、透明材料を含み、透明材料は、少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、赤外光に対しても例えば90%、95%または99%の高い透過率を有する。回線13の材料は、ナノワイヤを含む。
【0024】
ここで、ナノワイヤは、ナノスケールのワイヤである。金属ナノワイヤ(例えば、Cu、Ni、Pt、Au、Agなど)は、構成材料によっては超小型回路を製造するために用いられ、優れた導電性に加えて、優れた光透過性、耐屈曲性を有するため、従来のITO透明電極の材料を徐々に代替し、透明(半透明)であるとともに柔軟で折り曲げ可能な各種の光学部品を製造することができる。ナノワイヤ、水性樹脂、分散剤、助剤および溶剤の水を配合してなる環境配慮型導電性インクは、粘度が高く、固形分が低いナノワイヤ印刷ペーストを使用し、以下のような対応する基材の印刷技術と組み合わせることにより、硬化して透明(半透明)なナノワイヤ導電印刷層を製造し、最終的にアイトラッキングに必要な透明(半透明)な導電回路となる。現在、銀材料で製造されたナノ銀回路が広く使用されている。
【0025】
なお、
図2において、明瞭にするために、レンズ10と透明導電フィルム11とが間隔を隔てて設けられている。1つの実施形態では、透明導電フィルム11は、レンズ10に固定されてもよい。別の実施形態では、レンズ10と透明導電フィルム11との間には、他の光学素子および/または接着層がさらに設けられてもよい。
【0026】
本開示の実施例は、アイトラッキングモジュールを提供し、アイトラッキングモジュールは、アイトラッキングモジュール回路を含み、アイトラッキングモジュール回路は、レンズ10と透明導電フィルム11とを含む。透明導電フィルム11は、基材12と回線13とを含む。回線13の材料は、ナノワイヤを含み、すなわち、ナノワイヤ材料を使用して回線13を形成することにより、回線13が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルム11が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルム11をレンズ10に設置することにより、レンズ10における回線のレイアウトが制限されるという問題を解決した。そして、回線13が可視光を遮断しなく、ユーザの視野も遮断しないため、ユーザの体験を向上させた。
【0027】
なお、完全なアイトラッキング機能を実現するために、アイトラッキングモジュールは、アイトラッキングモジュール回路に加えて、赤外線ランプ、主制御ユニットおよび画像取得ユニットなどの部材をさらに含んでもよい。
【0028】
好ましくは、回線13における導線の幅は、0.01mm以下である。なお、回線13における導線の幅が小さければ小さいほど、回線13における導線による光線の遮断作用が弱くなり、回線13における導線の幅が大きければ大きいほど、回線13における導線による光線の遮断作用が強くなる。本開示の実施例では、回線13における導線の幅を0.01mm以下とすることにより、回線13における導線による光線の遮断作用を軽減し、回線13の透過率を増加させて、透明導電フィルム11の透過率を増加させる。0.01mmは、人の目が観察できない幅であると検証されており、この数値よりも大きくなると、ユーザに観察される可能性があり、ユーザの体験に影響を与える。
【0029】
回線13における隣り合う導線の間の距離も、回線13の透過率に対して影響を与える。通常、回線13における隣り合う導線の間の距離が近すぎて光線の通過に影響を与えることを防止するように、回線13における隣り合う導線の間の距離が所定値よりも大きくなる必要がある。
【0030】
好ましくは、基材12は、PVCフィルム、PIフィルム、PFフィルムおよびPETフィルムを含む。ここで、PVCフィルムは、主成分がポリ塩化ビニルであり、ポリエチレンにおける1つの水素原子を1つの塩素原子で置換した高分子材料である。PFフィルムは、ポリエチレンフィルムであって、PF粒子で製造されるフィルムを意味する。PFフィルムは、防湿性を有し、透湿性が小さいものである。PFフィルムは、一種の性能が全面的な包装フィルムであり、その透明性がよく、光沢があり、良好な気密性と保香性を有し、防湿性が中程度であるとともに低温では透湿度が低下する。PETフィルムは、機械的性質に優れ、その強靭性がすべての熱可塑性プラスチックの中で最もよく、引張強度と耐衝撃強度が一般的なフィルムよりはるかに高く、かつ剛性が高く、寸法安定性に優れ、印刷、紙袋などの二次加工に適する。PIフィルムは、ポリイミドフィルムとも呼ばれ、世界中で最も性能の良いフィルム系絶縁材料であり、ピロメリット酸二無水物(PMDA)とジアミノジフェニルエーテル(DDE)とを強極性溶媒中で重縮合して流延成膜した後にイミド化したものである。優れた耐高低温性、電気絶縁性、粘着性、耐放射線性、耐溶媒性を有し、-269℃~280℃の温度範囲で長期間に亘って使用することができ、短時間で400℃の高温に達することができる。特に、フレキシブルプリント基板の基材や各種の耐高温電機の電気絶縁材料として好適に用いられる。ここで、PETフィルム、PIフィルム、PFフィルムおよびPVCフィルムは、ロールツーロールグルーブモデル印刷、マイクログラビア印刷または直接印刷等の印刷方式によって形成することができる。基材12は、ガラス基材をさらに含んでもよく、ガラス基材は、スプレー印刷、シャワー印刷、ロール印刷、スクラッチ印刷または直接印刷などの印刷方式によって形成することができる。
【0031】
図3は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの側面図であり、
図3を参照して、アイトラッキングモジュールは、少なくとも1つの赤外線ランプ14をさらに含み、赤外線ランプ14は、透明導電フィルム11のレンズ10から離れる側に位置するとともに回線13に電気的に接続される。回線13は、赤外線ランプ14に対して動作電圧および/または動作電流を提供することにより、赤外光を発射するように赤外線ランプ14を駆動し、さらにアイトラッキングを実現する。ここで、赤外線ランプ14は、従来の赤外線ランプ、または印刷によって形成された赤外線発光体を用いることができる。このような赤外線発光体は、不可視性を有し、ユーザにとって体験がより無感的となる。
【0032】
同様な発明構想に基づいて、本開示の実施例は、一種のアイトラッキングモジュールの製造方法をさらに提供し、
図4は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造方法のフローチャートであり、
図5~
図7、
図9および
図11は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造プロセスの模式図であり、
図8は、
図7に示すアイトラッキングモジュールの側面図であり、
図10は、
図9に示すアイトラッキングモジュールの側面図であり、
図12は、
図11に示すアイトラッキングモジュールの側面図であり、
図1~
図12を参照して、当該方法は、以下のステップを含む。
【0033】
S101:基材12を提供する。
【0034】
ここで、基材12は、透明材料を含む。
【0035】
S102:基材12にナノワイヤを使用して回線13を印刷することにより、透明導電フィルム11を形成する。
【0036】
本ステップにおいて、例えば、基材12にナノワイヤ印刷技術によって回線13を印刷することができ、回線13は、ナノワイヤを使用して基材12に印刷された後に透明状態になる。
【0037】
ここで、ナノワイヤ印刷技術は、スクリーン印刷技術、パッド印刷技術、転写印刷技術およびプリント技術のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0038】
S103:透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける。
【0039】
本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュールの製造方法は、上記実施例におけるアイトラッキングモジュールを形成するためのものである。当該方法は、基材12を提供するステップと、基材12にナノワイヤを使用して回線13を印刷することにより、透明導電フィルム11を形成するステップと、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付けるステップと、を含む。本開示の実施例では、ナノワイヤ材料を使用して回線13を形成することにより、回線13が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルム11が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルム11をレンズ10に設置することにより、レンズ10における回線のレイアウトが制限されるという問題を解決した。そして、回線13が可視光を遮断しなく、ユーザの視野も遮断しないため、ユーザの体験を向上させた。
【0040】
図13は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュールの製造方法のフローチャートであり、
図1~
図13を参照して、当該方法は、以下のステップを含む。
【0041】
S201:基材12を提供する。
【0042】
S202:基材12にナノワイヤを使用して回線13を印刷することにより、透明導電フィルム11を形成する。
【0043】
本ステップにおいて、例えば、基材12にナノワイヤ印刷技術によって組版の方式で回線13を印刷することができる。基材12にナノワイヤを使用して回線13を印刷した後、基材12に複数の回線13が形成される。このように、1つの基材12に、同一のプロセスステップで複数の回線13を同時に形成することができ、アイトラッキングモジュールの製造効率を向上させることができる。
【0044】
S203:透明導電フィルム11を個片化して単体を形成する。
【0045】
本ステップにおいて、上記ステップS202において形成した透明導電フィルム11を個片化して複数の単体を形成し、個片化後に形成した単体(すなわち、単体透明導電フィルム)に少なくとも1つの回線13が含まれてもよい。後続きのステップにおける透明導電フィルム11に対する操作は、単体に対する操作であってもよい。
【0046】
S204:レンズ10の曲率に応じて透明導電フィルム11を成形する。
【0047】
図8に示すように、成形の前に、透明導電フィルム11は、平面状である。レンズ10の表面は通常曲面である(球面レンズに対して、レンズ10の表面は球面を含んでもよく、非球面レンズに対して、レンズ10の表面は非球面を含んでもよい)。1つの実施形態では、平面状の透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付け、貼り付け過程において貼り付け力によって透明導電フィルム11を変形させることができる。本ステップにおいて、
図10に示すように、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける前に、レンズ10の曲率に応じて透明導電フィルム11を湾曲させ、すなわち、レンズ10の曲率に応じて透明導電フィルム11を成形する。このように、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける前に、透明導電フィルム11の形状をレンズ10の曲率と適合させたため、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付けるときに、過大な貼り付け力を加える必要がなく、過大な貼り付け力による透明導電フィルム11における回線13およびレンズ10の損傷を回避することができる。
【0048】
S205:レンズの形状寸法に応じて透明導電フィルム11を裁断する。
【0049】
図9に示すように、裁断の前に、透明導電フィルム11の形状は矩形である。レンズの形状寸法に適合するために、レンズの形状寸法に応じて透明導電フィルム11を裁断して、
図11に示すような円形の透明導電フィルム11を形成することができる。もちろん、
図11に示す円形の透明導電フィルム11は一例に過ぎず、レンズの形状寸法が変化した場合、裁断して形成した透明導電フィルム11の形状は対応して変化する。
【0050】
S206:透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける。
【0051】
本開示の実施例が提供する製造方法は、上記実施例のうえに、透明導電フィルム11を個片化して単体を形成し、レンズ10の曲率に応じて単体を成形し、レンズの形状寸法に応じて透明導電フィルム11を切断し、その後、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける。なお、他の実施形態では、上記ステップS203、ステップS204およびS205のうちの1つを省略してもよく、または、上記ステップS203、ステップS204およびS205のうちの2つを省略してもよい。
【0052】
好ましくは、別の実施形態では、アイトラッキングモジュールの製造方法は、透明導電フィルム11をレンズ10に貼り付ける前に、透明導電フィルム11の回線13が設けられる側に、回線13に電気的に接続される少なくとも1つの赤外線ランプ14を形成するステップをさらに含む。回線13は、赤外線ランプ14に対して動作電圧および/または動作電流を提供することにより、赤外光を発射するように赤外線ランプ14を駆動し、さらにアイトラッキングを実現する。
【0053】
図14は、本開示の実施例が提供するヘッドマウントディスプレイの模式図であり、
図14を参照して、ヘッドマウントディスプレイは、レンズ10と、ケース22と、ヘッドバンド23とを含み、ヘッドマウントディスプレイは、本開示の実施例に記載のアイトラッキングモジュールをさらに含む。本実施例が提供するヘッドマウントディスプレイは、上記実施例におけるアイトラッキングモジュールを含むため、上記アイトラッキングモジュールが達成可能な有益な効果を有し、すなわち、レンズにおける回路のレイアウトが制限されるという問題を解決するとともに、回路がユーザの視野を遮断しないことを実現し、ユーザの体験を向上させた。
【0054】
なお、以上は本開示の好適な実施例および適用される技術原理に過ぎない。当業者が理解できるように、本開示は、ここに記載されている特定の実施例に限定されるものではなく、本開示の保護範囲から逸脱することなく様々な明らかな変更、再調整、相互結合および代替を行うことができる。従って、以上の実施例によって本開示を詳細に説明したが、本開示は、以上の実施例のみに限定されるものではなく、本開示の構想を逸脱しない限り、より多くの他の等価な実施例を含んでもよく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決められる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュールは、ヘッドマウントディスプレイに適用可能であり、ナノワイヤ材料を使用して回線を形成することにより、回線が少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルムが少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、透明導電フィルムをレンズ10に設けることにより、レンズにおける回線のレイアウトが制限されるという問題を解決した。そして、回線が可視光を遮断しなく、ユーザの視野も遮断しないため、ユーザの体験を向上させた。
【国際調査報告】