(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】検出デバイスを含むトリム要素
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241108BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20241108BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G01S7/481 A
G01S17/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531458
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2022084454
(87)【国際公開番号】W WO2023099789
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マッソン, ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒック, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】デルヌフクール, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ベール
【テーマコード(参考)】
3D020
5J084
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC13
3D020BC16
3D020BC17
3D020BC18
3D020BD01
5J084AC02
5J084BB01
5J084EA33
(57)【要約】
本発明は、(i)検出デバイス(3)が開口部(2)に面して配置されている開口部(2)と、(ii)決定波長範囲内の波長で動作し、かつ検知デバイスを含む検出デバイス(3)と、(iii)この検出デバイスを包囲する保護ハウジングと、(iv)750nmから1650nmの波長範囲で5m
-1~15m
-1の吸収係数を有する少なくとも1つのガラス板から作られ、かつ保護ハウジングに固定されているカバーレンズ(4)とを含む車両のトリム要素に関する。本発明によれば、開口部に面するカバーレンズは、トリム要素で囲まれており、カバーレンズは、ショアA硬度50~90を有する軟質材料を用いてトリム要素に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.検出デバイス(3)が開口部(2)に面して配置されている開口部(2)と、
b.決定波長範囲内の波長で動作し、かつ検知デバイスを含む検出デバイス(3)と、
c.前記検出デバイスを包囲する保護ハウジング(7)と、
d.750nmから1650nmの波長範囲で5m
-1~15m
-1の吸収係数を有する少なくとも1つのガラス板から作られ、かつ前記保護ハウジングに固定されているカバーレンズ(4)と
を含む、車両用のトリム要素(1)において、
前記開口部に面する前記カバーレンズが、前記トリム要素で囲まれていること、及び前記カバーレンズが、ショアA硬度50~90を有する軟質材料を用いて前記トリム要素に固定されていることを特徴とする、トリム要素(1)。
【請求項2】
前記軟質材料が、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱硬化性材料、例えば、ポリウレタン(PUR)、エポキシ(EP)、PVCである、請求項1に記載のトリム要素(1)。
【請求項3】
前記検出デバイス(3)が光検知デバイス、例えば、ライダーである、請求項1又は2に記載のトリム要素(1)。
【請求項4】
前記カバーレンズ(4)が、流入軟質材料(5)を用いて前記トリム要素に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項5】
前記カバーレンズ(4)が、流入ポリウレタン軟質材料(5)を用いて前記トリム要素(1)に結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項6】
前記トリム要素(1)が、車体に固定される支持部分と前記支持部分の上に設けられている美観部分との組立体から作られている、請求項1~5のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項7】
前記美観部分がプラスチック材料から作られている、請求項6に記載のトリム要素(1)。
【請求項8】
前記カバーレンズ(4)が、前記トリム要素に設けられている開口部の周縁部と面一にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項9】
前記トリム要素(1)が、前記支持部分を介して前記車両又は車体に締結されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項10】
前記カバーレンズが前記保護ハウジングに永続的に固定されていない、請求項1~9のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項11】
前記トリム要素(1)が、車両のルーフトリム要素である、請求項1~10のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項12】
前記検出デバイスが、フロントガラスの上縁部の近傍の車両のルーフに固定されている、請求項11に記載のトリム要素(1)。
【請求項13】
前記トリム要素(1)が、車両上に、例えば、バンパー、アップリケ、フロント及びリヤエンドモジュール、フロント及びリヤフェンダー、フロントガラスの上に位置決めされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項14】
前記ライダー検知デバイスが、三次元マッピングを可能にし、かつ750nmから1650nmの範囲にわたる波長のレーザービームを放出する、走査、回転、閃光又は固体ライダーデバイスである、請求項1~13のいずれか一項に記載のトリム要素(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のトリム要素を製造する方法であって、
a.開口部を有する前記トリム要素を置き、検出デバイスのカバーレンズをネストに収容するステップと、
b.前記トリム要素の前記開口部の中心に前記カバーレンズを置くステップと、
c.封止体ガスケットキャビティを形成するために、前記トリム要素及び前記カバーレンズにリング枠を閉じるステップと、
d.ショアA硬度50~90を有する軟質材料から作られる材料を吹き付けるか又は注入することによって、前記トリム要素の前記カバーレンズ及び前記開口部の周囲を囲むギャップに充填するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記トリムが美観部分及び支持部分の組立体であり、前記美観部分に開口部を設けて前記検出デバイスの前記カバーレンズを収容する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ポリウレタンから作られる材料を吹き付けるか又は注入する前記ステップd.を、成形型の外部又は内部に対して行う、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記カバーレンズを設けた前記組立体を、前記支持部分を介して車体に固定し、次に、ライダー検知デバイス及びハウジングを前記トリム要素に固定するステップをさらに含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載のトリム要素(1)を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知デバイスを含む決定波長範囲内の波長で動作する検出デバイスと、カバーと、この検知デバイスを包囲する保護ハウジングとを含む車両のトリム要素に関する。
【0002】
特に、本発明は、検知デバイスとしてのライダー(光検出及び測距)に関する。
【0003】
更に、本発明は、検出デバイスを車両のトリム要素に固定する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
現在、傾向は、自律車両を使用することである。無人車両、自己運転車両又はロボット車両とも呼ばれる自律車両は、人間の入力無しでナビゲートするために、単独で車両の環境を解析することができる車両である。自律車両は、自動車、バン、貨物自動車、オートバイ、バス、路面電車、列車、航空機、ヘリコプターなどを含む。
【0005】
自律車両は、様々な検知デバイス(例えば、レーダー、ライダー、カメラ、音波探知機)を用いて車両の周囲を検出する。次に、検知デバイスを介して受信された情報を処理し、車両のナビゲーション経路を判定し、車両は、車両の環境の固定物体及び移動物体の両方と衝突することなく、ナビゲートすることができる。
【0006】
更に、ADAS(先進運転者支援システム)は、車両の周囲に基づいて運転者を支援する検出技術を必要とする。
【0007】
全検出デバイスの中で、ライダーは、高解像度を有する三次元画像を提示する非常に有用な技術である。ライダーは、レーザー光を対象物に照明し、センサーで反射光を測定することによって、対象物までの距離を測定する技術である。次に、レーザー帰還時間及び波長の差を使用して、対象物のデジタル三次元表示を作成することができる。ライダーは、三次元レーザー走査とも呼ばれる。幾つかの種類のライダー(走査、回転、閃光又は固体ライダー)が存在する。走査及び回転ライダーは、連続レーザーを使用する一方、閃光及び固体ライダーは、レーザーパルスを使用する。
【0008】
検知デバイスを、独立型デバイスとして車両に統合することができる。次に、検知デバイスを、カバーを含む保護ハウジングによって包囲する。検知デバイス及び保護ハウジングを、既存のカバー(例えば、フロントガラス、バックライト、サイドライト、バンパー、アップリケ、フロント及びリヤエンドモジュール、フロント及びリヤフェンダー、ルーフなど)の後部に統合することもできる。検知デバイス及び保護ハウジングを、トリム要素の後部に、特に、外部トリム要素の後部に統合することもできる。自動車用のトリム要素は、魅力を増加する、又は車両の幾つかの非美観部を隠すために、車両の内部又は外部に追加可能な品目を意味する。
【0009】
統合のタイプに応じて、カバーが検知デバイスの動作波長範囲に透明である限り、カバーは、ガラス、プラスチック及び/又は他の材料で作成可能である。カバーは、多くの形状を有することができる。カバーは、平坦又は湾曲であることができる。
【0010】
検出デバイス(特に、ライダー検知デバイス)を、自動車(より一般的には、自動車、飛行機などの任意の輸送車両)の中及び/又は上で異なる場所に配置してもよい。実際に、ライダーシステムは、公開特許出願の国際公開第2018015312号パンフレットに記載のようなフロントガラスの後部に配置されることが知られているが、バンパー、フェンダーの上に、国際公開第2018015313号パンフレットのような外部トリム要素として更に配置されることが知られている。更に、自動車のルーフの上にライダーを配置することがよく知られている。
【0011】
検知デバイスの位置特定は、最良で動作するのに重要である。検知デバイスを、測定されるべき対象物の最大及び最も効果的な概観を有することができる場所に設置する必要がある。その理由で、好ましくは、ライダー検知デバイスを、ルーフ、又はアップリケ又は更にバンパー又はフェンダーの上に配置する。最も好ましくは、検出デバイス(特に、検出デバイスとしてのライダー)を、より広い視野を有するためにルーフに固定する。しかし、検出デバイス(特に、ライダー)をルーフに固定する場合、検出デバイスの外面は美的でなく、優れた美観、及びトリム要素への検知デバイスの優れた安全な固定を組み合わせるために、検出デバイスは、適切に固定されない。
【0012】
現在、ガラスカバー(特に、検知デバイス)は従来、カプセル化によって検出デバイスのトリム要素に固定されることがある。次に、検出デバイス(特に、ライダー)を支持するために、組立体を美観プラスチックに固定すべきである。更に、組立体を、フロントガラスの上縁部の近くでルーフに配置すべきである。
【0013】
しかし、その場合のカプセル化は、下記のような幾つかの問題を引き起こす。
-ガラスの劣化を引き起こすカプセル化工程のために、高圧がガラスにかけられる。
-ガラスカバーに塗布する場合、塗布の損傷の危険性がある。
【0014】
従って、トリム要素にうまく適切に固定されたカバーを用いて優れた美観及び安全を与える、検出デバイス(特に、ライダー検知デバイス)を保護するカバーレンズを有するトリム要素が必要である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、車両用のトリム要素(1)であって、
a.検出デバイスが開口部に面して配置されている開口部と、
b.決定波長範囲内の波長で動作し、かつ検知デバイスを含む検出デバイスと、
c.この検出デバイスを包囲する保護ハウジングと、d.750nmから1650nmの波長範囲で5m-1~15m-1の吸収係数を有する少なくとも1つのガラス板から作られ、かつ保護ハウジングに固定されているカバーレンズと
を含むトリム要素を提案する。
【0016】
従って、本発明によれば、ガラス板は、750nmから1650nmの波長範囲で5m-1~15m-1の吸収係数を有する。本明細書において、赤外線範囲でガラス板の低吸収を定量化するために、吸収係数を、750nmから1650nmの波長範囲で使用する。吸収度と所与の環境で電磁放射線によって横断される光路長との間の比によって、吸収係数を定義する。吸収係数は、m-1で表される。従って、吸収係数は、材料の厚さに無関係であるが、吸収放射線の波長及び材料の化学的性質の関数である。
【0017】
ガラスの場合、選択波長λにおける吸収係数(μ)を、透過率(T)の測定値、及び材料(thick=厚さ)の屈折率nから計算することができ、n、ρ及びTの値は、選択波長λの関数である。
【0018】
本発明によるガラス板は、好ましくは、従来のガラスに比べて非常に低い、本発明に関する光技術で一般的に使用される、750nmから1650nmの波長範囲で吸収係数を有する。特に、本発明によるガラス板は、750nmから1650nmの波長範囲で5m-1~15m-1の吸収係数を有する。
【0019】
好ましくは、ガラス板は、750nmから1650nmの波長範囲で5m-1~10m-1の吸収係数を有する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、ガラス板は、750nmから1000nmの波長範囲で5m-1~15m-1の吸収係数を有する。
【0021】
低吸収は、最終赤外線透過率が、材料の光路による影響が少ないという追加利点を示す。これは、高開口角を有する広視野(FOV)センサーに対して、(画像の異なる領域で)様々な角度で感知される強度が、特にセンサーをガラス嵌めに光学的に結合する場合、より均一であることを意味する。
【0022】
本発明によれば、開口部に面するカバーレンズは、トリム要素で囲まれており、カバーレンズは、ショアA硬度50~90を有する軟質材料を用いてトリム要素に固定されている。
【0023】
提案の発明によって、ガラスカバーレンズとカバーレンズを固定するトリム要素との間の拡張の差に関する問題が軽減される。更に、上述の問題も軽減され、更に回避される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、カバーレンズは、ショアA硬度約50~90を有する、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱硬化性材料、例えば、ポリウレタン(PUR)、エポキシ(EP)、PVCの中から選択された軟質材料を用いてトリム要素に固定されている。
【0025】
次に、カバーレンズを、カバーレンズの周囲の縁部を介してトリム要素に固定する。この種の軟質材料は、車体の部品に対する完全な適合、振動及び雑音減衰、及び封止効果を示す軟弾性的性質を有する。
【0026】
本発明の実施形態によれば、カバーレンズは、ショアA硬度約50~90を有する流入軟質材料を用いてトリム要素に結合されている。
【0027】
本発明の実施形態によれば、軟質材料は、カバーレンズの周囲輪郭と金型内のトリム要素の縁部との間に吹き付けられる(流入される、投入される)ショアA硬度約50~90を有する、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱硬化性材料、例えば、ポリウレタン(PUR)、エポキシ(EP)、PVCの中から選択された材料である。従って、カバーレンズは、カバーレンズとトリム要素との間のギャップ無しで、トリム要素に設けられた開口部の周縁部と面一にあることができる。従って、美的側面に加えて、検知デバイス(特に、ライダー)は、空気、塵埃及び水に対してより良く保護される。この技術の利点の1つは、カバーレンズをトリム要素にうまく迅速に固定することである。
【0028】
更に、軟質材料を投入することによって、ガラスカバーレンズとカバーレンズを固定するトリム要素との間の拡張の差は、この軟質材料の存在のために、ガラスカバーレンズの破損の危険性を減らす。更に、より低い圧力が、ガラスカバーレンズにかけられる。
【0029】
従って、本発明による軟質材料を流入又は投入する(又は吹き付ける)ことによって、カバーを美観部に固定することを提案する。技術は、接触している場合に網状化する2つの構成要素を注入することによって、迅速接着に基づいている。使用される方法は、製造のコストを削減することができる。更に、カバーレンズをトリム要素に固定する方法を単純化する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態によれば、
図1は、車両用のトリム要素(1)であって、
a.検出デバイス(3)が開口部(2)に面して配置されている開口部(2)と、
b.決定波長範囲内の波長で動作し、かつ検知デバイスを含む検出デバイス(3)と、
c.この検出デバイスを包囲する保護ハウジング(7)と、
d.750nmから1650nmの波長範囲で5m
-1~15m
-1の吸収係数を有する少なくとも1つのガラス板から作られ、かつ保護ハウジングに固定されているカバーレンズ(4)と
を含むトリム要素(1)を示す。
【0032】
本発明によれば、開口部(2)に面するカバーレンズ(4)は、トリム要素(1)で囲まれており、カバーレンズ(4)は、ショアA硬度50~90を有する軟質材料(5)を用いてトリム要素(1)に固定されている。
【0033】
図2に示すように、本発明の一実施形態によれば、カバーレンズ(4)を有するトリム要素(1)の組立工程中に、トリム要素(1)を、カバーレンズ(4)を有するネスト(6)に配置する。流入工程中に、トリム要素(1)とカバーレンズ(4)との間の面一性、及びカバーレンズ(4)とトリム(1)とネスト(6)との間の封止を保証するために、ショアA30~90の範囲にある軟質封止材料(5)を、ネスト(6)に使用する。要素に対する圧力を減少する、従って、トリム要素及びカバーレンズの損傷の危険性を大幅に減らすために、ショアA30~90の範囲にある少なくとも軟質封止構成要素(5)から作られたクランプを使用することによって、部品をネスト(6)に固定する。その後、使用されるべきカバーレンズに、コーティングとしての幾つかの機能を与えてもよく、又は積層カバーレンズを使用してもよい。
【0034】
本発明による軟質材料を使用することによって、カバーレンズをトリム要素に固定する方法を単純化する。更に、カバーレンズは、トリム要素に設けられた開口部の周縁部と面一に設計される。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、カバーレンズは、ショアA硬度約50~90を有する流入ポリウレタン軟質材料を用いてトリム要素に結合されている。流入ポリウレタン軟質材料は、例えば、ポリオール、イソシアン酸塩及び触媒を含む混合物である。次に、混合物を、カバーレンズとトリム要素との間に流入し、追加圧力無しで金型内のトリム要素にカバーレンズを固定することができる。この固定技術の利点は、網状化の時間が速いことである。従って、カバーレンズの任意の望ましくない移動を回避して、カバーをトリムに迅速に固定することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、トリム要素は、車体に固定されるべき支持部分と支持部分に設けられている美観部分との組立体から作られている。組立体は、例えば、トリム要素が検知デバイス(例えば、ライダー)を支持するルーフトリム要素である場合、有利である。
【0037】
皮膜とも呼ばれる美観部分は、車両の美観に適合する、又は車両の購買者の色に関する要件に合うように塗られた部分であってよい。様々な締結具を配置する<<技術的>>支持部分で、美観部分を組み立ててもよい。従来のカプセル化に反して、少なくともガラスカバーレンズが設けられたトリムを、美観部分(皮膜)を引っかく、又は美観部分を更に破損する危険性を伴って、この組立体に閉じられるべき金型に配置すべきである。
【0038】
本発明の実施形態によれば、美観部分は、プラスチック材料から作られている。
【0039】
本発明によれば、トリム要素は、車両のトリム要素である。車両は、輸送車両(例えば、自動車、列車、トラック、飛行機など)であると理解されたい。
【0040】
本発明の実施形態によれば、トリム要素は、支持部分を介して車両又は車体に締結されている。トリム要素が美観部分及び支持部分を含む場合、好ましくは、支持部分を車両又は車体に締結する。
【0041】
本発明によれば、カバーレンズは、例えば、接着によって保護ハウジングに永続的に固定されていてもよく、又は、破損の場合、全ての検出デバイスでなく、カバーレンズを容易に取り外して交換し、従って、修理/交換のコストを削減することができるような方法で固定されていてもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、トリム要素は、車両のルーフトリム要素である。トリム要素を、車両(特に、自動車)のルーフに配置してもよい。特に、トリム要素を、車両(特に、自動車)のルーフの近傍におけるフロントガラスの上部の近傍に配置する。従って、ルーフに配置された検出デバイスは、より優れた視野を有する。安全及び美観の理由で、有利なことに、トリム要素は、美観部分及び支持部分を含み、好ましくは、支持部分を車両又は車体に締結する。次に、検出デバイスを配置する開口部を、美観部分に設ける。次に、支持部をルーフに締結し、トリム要素及び検出デバイスを含む組立体の優れた安全な固定を可能にする。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、検出デバイスを有するトリム要素は、車両上に、例えば、バンパー、アップリケ、フロント及びリヤエンドモジュール、フロント及びリヤフェンダー、ルーフ、フロントガラスの上に位置決めされている。更なる安全のために、車両には、車両の全周囲に幾つかの検出デバイスを搭載することができる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、検出デバイスは、三次元マッピングを可能にし、750nmから1650nmの範囲にわたる波長のレーザービームを放出する走査、回転、閃光又は固体ライダーデバイスである。
【0045】
更に、本発明は、本発明によるトリム要素を製造する方法であって、
図2に示すように、
a.開口部(2)を有するトリム要素(1)を置き、検出デバイス(3)のカバーレンズ(4)をネスト(6)に収容するステップと、
b.トリム要素(1)の開口部(2)の中心にカバーレンズ(4)を置くステップと、
c.封止体ガスケットキャビティを形成するために、トリム要素及びカバーレンズ(4)にリング枠を閉じるステップと、
d.ショアA硬度50~90を有する軟質材料(5)から作られる材料を投入又は注入することによって、トリム要素(1)のカバーレンズ(4)及び開口部(2)の周囲を囲むギャップに充填するステップと
を含む方法に関する。
【0046】
次に、ショアA硬度50~90を有する軟質材料(5)によって、カバーレンズ(4)をトリム要素(1)に固定する。
【0047】
本発明による軟質材料(5)は、迅速に網状化し、トリム要素(1)に設けられた開口部にカバーレンズを強く結合する。軟質材料を、金型のキャビティに流入又は注入してもよい。本発明によって、カバーレンズ(4)は、トリム要素(1)と面一にあり、トリム要素(1)に優れた美観を与えてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、トリム(1)が美観部分及び支持部分の組立体である場合、美観部分に開口部を設けて、検出デバイスのカバーレンズ(4)を収容する。美観部分を、単独で配置してもよく、又は金型のキャビティ内に支持部分と一緒に配置してもよい。次に、美観部分とカバーレンズ(4)との間のギャップに、ショアA硬度50~90を有する軟質材料を充填する。
【0049】
本発明の実施形態によれば、カバーレンズは、750nmから1650nmの波長範囲で5m-1~15m-1の吸収係数を有する少なくとも1つのガラス板から作られており、このカバーレンズは、保護ハウジングに固定されている。
【0050】
本発明の実施形態によれば、軟質材料は、ポリウレタンから作られている。従って、カバーレンズのポリウレタン枠組み及び結合及び封止を、1操作及びコスト効率の高い方法で行うことができる。
【0051】
ポリウレタン枠を、完全開放金型で製品に鋳造する。この圧力のない及び応力のない鋳造方法は、ぴったりした封止への大きい形状公差を製品に与えることができる柔軟金型又は「ソフトツール」を使用する。専門用語で、これは、フラッシングガラス嵌めと呼ばれる。
【0052】
投与ヘッド及び金型の同期自動化移動は、ポリウレタンを完全な所望の形状で塗布することを保証する。
【0053】
本発明による方法は、製品寸法に関して高い柔軟性を示し、重要な追加利点は、経費に優しい金型である。更に、同じ工程中に同じポリウレタン材料を用いて枠組み及び接着の両方を実行する可能性は、コスト効率の高い技術をもたらす。更に、反応性ポリウレタン系によって、60秒よりも短い乾燥時間になる。
【0054】
本発明による方法は、低圧力下での動的混合、正確な投与量、鋳造流れに対する様々な選択肢を有する圧力のないポリウレタン鋳造方法を可能にする。更に、「ソフトツール」技術は、ガラス破損が起きないようにし、薄い軽量ガラス、完全なポリウレタン表面/面一ガラス嵌め及び組織化選択肢を扱うことができる。
【国際調査報告】