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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241108BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241108BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q5/00
A61K8/49
A61K8/19
A61Q5/02
A61K8/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531491
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022081631
(87)【国際公開番号】W WO2023094180
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/134083
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】22150401.2
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオチアン
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チェンドン
(72)【発明者】
【氏名】タン,シュエジ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,センペイ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB271
4C083AB311
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB351
4C083AB371
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC31
4C083CC38
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE23
(57)【要約】
i)ピロクトン化合物;ii)金属酸化物又は金属塩金属(前記金属はマグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムから選択される);及びiii)カチオン性グアーポリマーを含むヘアケア組成物であって、当該組成物の重量基準で少なくとも2%の前記金属酸化物又は金属塩を含むヘアケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ピロクトン化合物;
ii)金属酸化物又は金属塩金属(前記金属はカルシウム、バリウム及びストロンチウムから選択される);及び
iii)カチオン性グアーポリマー
を含むヘアケア組成物であって、
当該組成物の重量基準で少なくとも2%の前記金属酸化物又は金属塩を含む、ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記金属塩が、PCAカルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム及びケイ酸カルシウムから選択されるカルシウムの塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属塩が、塩化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム及びチオグリコール酸ストロンチウムから選択されるストロンチウムの塩である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記金属塩が、硫酸バリウム、硫化バリウム、炭酸バリウム、塩化バリウム及びケイ酸バリウムから選択されるバリウムの塩である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記ピロクトン化合物がピロクトンオラミンである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記カチオン性グアーポリマーが、分子量30万~250万ダルトン及びカチオン置換度が0.05~0.4を有し、好ましくは分子量100万~230万ダルトン及びカチオン置換度0.1~0.3を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記カチオン性グアーポリマーがグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項9】
前記カチオン性グアーポリマーを、当該組成物の0.01~2重量%、好ましくは0.05~1重量%、より好ましくは0.2~1重量%の量で含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項10】
前記ピロクトン化合物を、当該組成物の0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~2重量%、さらに好ましくは0.2~1.5重量%の量で含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
前記金属酸化物又は金属塩を、当該組成物の2~10重量%、好ましくは2~5重量%の量で含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項12】
アニオン性界面活性剤、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む、請求項1又は2に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
シャンプーである、請求項1又は2に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
請求項1又は2に記載のヘアケア組成物を個人の頭皮表面に適用し、続いて当該表面を水ですすぐ段階を含む、ピロクトン化合物を頭皮に沈着させる方法。
【請求項15】
頭皮上へのピロクトン化合物の沈着を促進するための、請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアケア組成物、詳細にはフケ防止剤を含むヘアケア組成物に関する。本発明はまた、特に頭皮への局所適用時のフケ防止剤の沈着を改善する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア組成物は一般に、クレンジング又はコンディショニングの効果、或いはその二つの組み合わせを提供する。このような組成物は、代表的には、望ましくない汚れ、粒子及び脂肪物質を除去して毛髪及び頭皮をクレンジングするのに役立つ1以上のクレンジング界面活性剤を含む。
【0003】
フケの抑制は、毛髪のクレンジング及びケアの重要な側面である。フケ防止効果はこれまで、シャンプー及びヘアコンディショナーなどのヘアケア組成物によって提供されてきた。フケは、世界中の多くの人々を悩ませている問題である。この状態は、頭皮から死んだ皮膚細胞の塊が剥がれ落ちることで現れる。それは白色で、美容的に不快な外観を与える。フケの原因となる因子は、マラセチア酵母の特定の構成員である。それに対抗するため、フケ防止製品には、抗真菌活性を有する特定のフケ防止剤、例えばピロクトンオラミン(octopirox(登録商標))などのピロクトン化合物が含まれている。これらのフケ防止剤は、頭皮からマラセチアを除去(又は少なくともレベルを低下)し、フケ状態を適度に効果的に治療する。このような製品は、フケの原因を軽減しながら、ヘアクレンジングシャンプー又はヘアコンディショナーとして機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピロクトン化合物の共通の問題は、洗浄プロセス時に所望の表面への活性物質の沈着がごく少ないことである。所望の表面とは、代表的には、頭皮及び/又は髪である。例えば、ピロクトンオラミンなどのピロクトン化合物は、通常、ヘアケア組成物に含まれるクレンジング相の界面活性剤に可溶である。過剰なリンスプロセスを行うと、その時にピロクトンの大部分は界面活性剤とともに洗い流される可能性が高い。結果的に、洗浄プロセス時に頭皮及び/又は毛髪の表面へのピロクトン化合物の沈着を改善する必要性が依然として残っている。
【0005】
フケ防止剤の毛髪及び/又は頭皮への沈着を高めるために、カチオン性グアーポリマーが使用されることが多い。しかしながら、沈着向上剤としてのカチオン性グアーポリマーの性能は、フケ防止剤が粒子状でなく、界面活性剤、例えばピロクトン化合物に溶解できない場合に低下する。本発明者らは予想外に、特定の金属酸化物又は金属塩及びカチオン性グアーポリマーとの組み合わせが、ピロクトン化合物であるフケ防止剤の沈着を高めることができることを発見した。
【0006】
JP2003146853A(KAWAKEN FINE CHEMICALS CO)は、真珠光沢を有する洗浄/クリーニング剤組成物及び分散性に優れた真珠光沢濃縮物に関する。これは、N-アシル中性アミノ酸塩、β-グリコールエステル、水溶性ミネラル塩及び水の組み合わせによって達成される真珠光沢の安定性に焦点を当てている。
【0007】
CN111803392A(BINGO HAIR COSMETIC MFT LTD)は、損傷した毛髪を効果的に修復できるシャンプー製剤を開示している。
【0008】
XP055938550は、ピロクトンオラミン、塩化カルシウム及び塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムを含むフケ防止シャンプーを開示している。しかしながら、塩化カルシウムの投与量は示されていない。
【0009】
WO2021224118A1(UNILEVER)は、20℃で5%水性SLES1EO界面活性剤中2重量%以下の溶解度を有する金属ピロクトン錯体のUV安定性及び沈着効力を改善できる組成物を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、
i)ピロクトン化合物;
ii)金属酸化物又は金属塩金属(前記金属はカルシウム、バリウム及びストロンチウムから選択される);及び
iii)カチオン性グアーポリマー
を含むヘアケア組成物であって、
当該組成物の重量基準で少なくとも2%の前記金属酸化物又は金属塩を含むヘアケア組成物に関するものである。
【0011】
第2の態様において、本発明は、第1の態様のヘアケア組成物を個人の頭皮表面に適用し、続いてその表面を水でリンスする段階を含む、頭皮上にピロクトン化合物を沈着させる方法に関する。
【0012】
第3の態様において、本発明は、頭皮上へのピロクトン化合物の沈着を促進するための、第1の態様の組成物の使用に関する。
【0013】
本発明の他の全ての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ヘアケア組成物
本明細書で使用される「ヘアケア組成物」は、哺乳動物、特にヒトの毛髪及び/又は頭皮に局所適用するための組成物を含むことを意味する。そのような組成物は一般にリーブオン又はリンスオフと分類することができ、外観、クレンジング、臭気制御又は全体的な美観も改善するために人体に適用されるあらゆる製品を含む。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ジェル又はバーの形態であることができる。そのような組成物の非限定的な例としては、リーブオンヘアローション、クリーム及びリンスオフシャンプー、コンディショナー、シャワージェル、又はトイレットバーなどがある。本発明の組成物は、好ましくはリンスオフ組成物であり、特に好ましくはシャンプー又はコンディショナーであり、最も好ましくはシャンプーである。
【0015】
分子量
本明細書で使用される「分子量」は、所与のポリマーの重量平均分子量を指す。所与のポリマーの重量平均分子量(WAVG MW)は、絶対較正(ユニバーサル較正)を使用するSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)分析によって求められる。多糖類標準であるプルラン及びデキストランを較正に使用した。
【0016】
その他
実施例を除いて、又は別断で明瞭に示されている場合を除いて、材料の量又は反応条件、材料の物性、及び/又は使用を示す本説明における全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものと理解されても良い。
【0017】
別断の断りがない限り、すべての量は最終ヘアケア組成物の重量基準である。留意すべき点として、値の範囲を特定する場合、特定の上限値を特定の下限値に関連付けることができる。
【0018】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0019】
請求項は複数の従属や重複なしで見付かり得るという事実にかかわらず、本明細書中に見られる本発明の開示は、互いに多項従属した請求項中に見出される全ての実施形態をカバーするものと考えるべきである。
【0020】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して、ある特徴が開示される場合、そのような開示はまた、必要な変更を加えて本発明のいずれか他の態様(例えば、本発明の方法)に適用されると見なされるべきである。
【0021】
ピロクトン化合物
本発明で使用するためのピロクトン化合物としては、ピロクトン酸、ピロクトン酸の一級、二級及び三級オラミン塩(ジエタノールアミン塩及びトリエタノールアミン塩など)、及びそれらの混合物などがあり、好ましくはピロクトン酸、ピロクトン酸の一級オラミン塩(すなわち、Octopirox(登録商標)としても知られるピロクトンオラミン)及びそれらの混合物である。ピロクトン化合物がピロクトンオラミンであることが特に好ましい。
【0022】
ピロクトンオラミンは、ヒドロキサム酸誘導体ピロクトンのオラミン塩である。それは、商品名Octopirox(登録商標)のピロクトン・エタノールアミンとして一般に知られている。
【0023】
本発明によるピロクトンオラミンは、1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)-ピリジノンと2-アミノエタノールとの1:1化合物であり、1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)ピリジノンモノエタノールアミン塩とも呼ばれる。CAS番号は68890-66-4であり、その化合物は下記の一般式(I)を有する。
【化1】
【0024】
ピロクトン化合物、特に好ましくはピロクトンオラミンは、組成物の好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.05~5重量%、さらに好ましくは0.1~2重量%、最も好ましくは0.2~1.5重量%存在する。
【0025】
カチオン性グアーポリマー
本発明の組成物はカチオン性グアーポリマーを含む。
【0026】
好ましくは、当該組成物は、分子量300,000~2,500,000ダルトン及びカチオン置換度0.05~0.4を有するカチオン性グアーポリマーを含む。
【0027】
カチオン性グアーポリマーは、分子量1,000,000~2,300,000ダルトン、より好ましくは1,000,000~1,500,000ダルトンを有することが好ましい。
【0028】
カチオン性グアーポリマーは、カチオン置換度0.1~0.3、より好ましくは0.16~0.2を有することが好ましい。
【0029】
カチオン性グアーポリマーは、分子量1,000,000~1,500,000ダルトン及びカチオン置換度(DS)0.16~0.20を有することが最も好ましい。このDS値は、電荷密度0.85~1.05に相当する。
【0030】
カチオン性グアーポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。グアーポリマーは、主にガラクトマンナンポリマー鎖を含有する。このポリマーは、グアーの加水分解及びカチオン化の程度に応じて、様々な分子量及びカチオン置換度で入手可能である。
【0031】
一般に、カチオン性多糖ポリマーの場合、非修飾モノマー糖環単位のヒドロキシル基がカチオン置換のための部位である。ほとんどの多糖の単量体糖単位が、置換に利用可能なヒドロキシル基を平均3個有するという事実により、置換度(DS)は、代表的には0~3の範囲である。DSに加えて、ポリマー上のカチオン電荷をカチオン電荷密度として定量することもできる。DSは、以前から様々な方法によって測定されている。例えば、ポリマーのカチオン電荷密度は、場合によっては、米国薬局方に記載されているように、窒素測定の化学試験下でケルダール法を介して測定された窒素含有率に基づいて計算され、グラム当たりのミリ当量(meq)で表される。しかしながら、本発明におけるポリマーのカチオン電荷密度は、酸化重水素(DO)と塩化重水素(DCl)との混合物の溶媒中でH NMRによって測定される置換度から計算される。
【0032】
多くの場合、H NMR測定から得られたDSを、ケルダール法から得られたDSと比較することは、二つの方法が異なる要因の影響を受けるという事実により、好適でない。
【0033】
利用可能なグアーの広範な分子量の中で、本発明で使用されるカチオン性グアーは、「中」分子量と考えられる分子量を有する。広範な電荷密度の中で、本発明で使用される上記の範囲は「中」範囲と考えられる。
【0034】
カチオン性グアーポリマーは、好ましくは組成物の0.001~2重量%、より好ましくは0.01~1重量%、さらに好ましくは0.02~0.8重量%、最も好ましくは0.05~0.5重量%の量で存在する。
【0035】
金属酸化物又は金属塩
本発明の組成物は金属酸化物又は金属塩を含み、その金属はカルシウム、バリウム及びストロンチウムから選択される。
【0036】
組成物が金属酸化物を含む場合、それは好ましくは酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムから選択される。
【0037】
組成物がカルシウムの塩を含む場合、それは好ましくは、PCAカルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム及びケイ酸カルシウムから選択される。
【0038】
組成物がストロンチウムの塩を含む場合、それは好ましくは塩化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム及びチオグリコール酸ストロンチウムから選択される。
【0039】
組成物がバリウムの塩を含む場合、それは好ましくは硫酸バリウム、硫化バリウム、炭酸バリウム、塩化バリウム及びケイ酸バリウムから選択される。
【0040】
本発明の金属酸化物又は金属塩は、組成物の少なくとも2%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは2~5重量%、さらに好ましくは2~3重量%の量で存在する。
【0041】
理論によって拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、特定の金属酸化物又は金属塩がピロクトン化合物と錯体を形成することができるため、カチオン性グアーポリマーの存在により、ピロクトン化合物の沈着が改善され得ると考えている。
【0042】
金属酸化物又は金属塩のピロクトン化合物に対する重量比は、1:1~20:1、好ましくは2:1~17:1、より好ましくは4:1~10:1であることが好ましい。
【0043】
クレンジング界面活性剤
本発明の組成物は好ましくはアニオン性界面活性剤を含むクレンジング界面活性剤を含む。
【0044】
好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボン酸並びにそれらの塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム並びにモノ-、ジ-及びトリエタノールアミン塩である。アルキル基及びアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボン酸並びにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド単位を含有してもよい。本発明の組成物に使用される代表的なアニオン性界面活性剤としては、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム又はそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートである。好ましいアルキルサルフェートは、C8-18アルキルサルフェート、より好ましくはC12-18アルキルサルフェートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態である。例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。アニオン性界面活性剤がアルキルエーテルサルフェートであることが特に好ましい。好ましいアルキルエーテルサルフェートは、式:RO(CHCHO)SOMを有するものであり、式中、Rは、8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり、nは、少なくとも0.5より大きく、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の平均値を有する数であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。1例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。好ましいアルキルエーテルサルフェートは、0.5~3、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の平均エトキシ化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
【0046】
アニオン性界面活性剤は、エトキシル化度3未満のエトキシル化アルキル硫酸塩、好ましくはエトキシル化度2未満のエトキシル化アルキル硫酸塩、より好ましくはラウレス硫酸ナトリウム(1EO)であることが好ましい。
【0047】
アニオン性界面活性剤は、代表的には、本発明のヘアケア組成物中に、ヘアケア組成物の0.5~20重量%、より好ましくは2~16重量%、最も好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。
【0048】
好適な両性界面活性剤の例には、アルキルアミンオキサイド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホ酢酸塩、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインなどがあり、アルキル基は8~19個の炭素原子を有する。
【0049】
好ましくは、両性界面活性剤はベタイン界面活性剤である。ベタイン界面活性剤は、アルキルアミドプロピルベタインの一つであることが好ましい。コカミドプロピルベタイン(CAPB)が特に好ましい。
【0050】
好ましい実施形態において、組成物は、全組成物の0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%の両性界面活性剤を含む。
【0051】
エトキシル化アニオン性界面活性剤の両性界面活性剤に対する比、アニオン性界面活性剤の両性界面活性剤に対する比は、10:1未満、好ましくは2:1~10:1、より好ましくは3:1~9:1である。
【0052】
本発明で使用されるシャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の総量は、一般に組成物全体の3~35重量%、好ましくは5~25重量%、最も好ましくは7~16重量%である。
【0053】
ヘアケア組成物
本発明によるヘアケア組成物は、美容上許容される水性担体を含む。
【0054】
好ましい実施形態において、前記ヘアケア組成物はシャンプー、特にはリンスオフシャンプーである。本発明で使用されるシャンプー組成物は一般に水性であり、すなわち、主成分として水又は水溶液又はリオトロピック液晶相を有する。好適には、シャンプー組成物は、組成物の総重量基準で、50~98重量%、好ましくは60~92重量%の水を含む。このような組成物は、水性ベースを有すると称される。
【0055】
ヘアケア組成物は他のカチオン性ポリマーも含むことが好ましい。好適なカチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、又は2種類以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般に5,000~10,000,000g/mol、代表的には少なくとも10,000g/mol、好ましくは100,000~2,000,000g/molである。そのポリマーは、四級アンモニウム基又はプロトン化アミノ基、或いはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有することになる。カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの総モノマー単位の一部の置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーではない場合、スペーサー非カチオン性モノマー単位を含むことができる。カチオン性モノマー単位の非カチオン性モノマー単位に対する比は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーが得られるように選択される。
【0056】
好適なカチオン性ポリマーには、例えば、カチオン性アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミド、アルキル及びジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトン及びビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーなどがある。アルキル置換モノマー及びジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~C3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールなどがある。
【0057】
好ましくは、カチオン性ポリマーは、カチオン性グアー、カチオン性デンプン、及びカチオン性セルロースなどのカチオン性多糖類ポリマーである。好適には、そのようなカチオン性多糖ポリマーは、100,000g/mol~2,300,000g/mol、より好ましくは150,000g/mol~2,000,000g/molの分子量を有する。このようなカチオン性多糖ポリマーは好ましくは、0.1~4meq/gのカチオン電荷密度を有する。
【0058】
本発明の組成物での使用に適したカチオン性多糖ポリマーには、下記一般式によって表されるものなどがある。
【化2】
式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基であり、R1は、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、若しくはヒドロキシアルキレン基、又はそれらの組み合わせである。R2、R3及びR4は、独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基又はアルコキシアリール基を表し、各基は最大約18個の炭素原子を含む。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R2、R3及びR4の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0059】
カチオン性セルロースは、業界(CTFA)でPolyquarternium 10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩として、Amerchol Corp.(Edison, NJ, USA)より、Polymer JR(商標)及びLR(商標)シリーズのポリマーの中から入手可能である。別の種類のカチオン性セルロースとしては、業界(CTFA)でPolyquarternium 24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの四級アンモニウム塩ポリマーが挙げられる。これらの材料は、Polymer LM-200の商品名で、Amerchol Corp.(Edison, NJ, USA)から入手可能である。
【0060】
他の好適なカチオン性多糖ポリマーとしては、第四級窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号明細書に記載されている)及びエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号明細書に記載されている)が挙げられる。
【0061】
使用される場合、カチオン性ポリマーは、一般に、ヘアケア組成物の総重量に基づいて、ヘアケア組成物の0.001~1重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%、最も好ましくは0.03~0.3重量%、及びその中に包含される全ての範囲を含む量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0062】
ヘアケア組成物は、コンディショニング効果を提供するためのコンディショニング剤を更に含んでもよい。好ましくは、ヘアケア組成物は、15ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満、より好ましくは5ミクロン未満、最も好ましくは3ミクロン未満の平均液滴直径(D3,2)を有する水不溶性コンディショニング剤の分散液滴を含む。水不溶性コンディショニング剤の平均液滴径(D3,2)は、例えばMalvern Instruments製の2600D Particle Sizerを使用して、レーザー光散乱技術によって測定してもよい。
【0063】
水不溶性コンディショニング剤は、炭化水素油、脂肪エステル及びそれらの混合物などの非シリコーン油又は脂肪材料を含む非シリコーンコンディショニング剤を含んでもよい。好ましくは、水不溶性コンディショニング剤は乳化シリコーン油である。
【0064】
好適なシリコーンとしては、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。また、本発明の組成物(特にシャンプー及びコンディショナー)における使用に好適なのは、CTFA名ジメチコノールを有し、ヒドロキシル末端基を持つポリジメチルシロキサンである。例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムも、本発明の組成物での使用に好適である。好ましくは、シリコーン油は、ジメチコン、ジメチコノール又はそれらの混合物を含む。
【0065】
本発明のヘアケア組成物での使用に好適な乳化シリコーンは、Dow Corning及びGEシリコーンなどのシリコーン供給業者から予備形成シリコーンエマルジョンとして入手可能である。このような予備形成シリコーン乳濁液の使用は、シリコーン粒径の加工及び制御が容易であるため好ましい。このような予備形成シリコーン乳濁液は、代表的には、好適な乳化剤を更に含み、乳化重合などの化学的乳化プロセスによって、又は高剪断ミキサーを使用した機械的乳化によって調製することができる。好適な予備形成シリコーン乳濁液の例としては、全てDow Corningから入手可能なDC1785、DC1788、DC7128が挙げられる。これらはジメチコノール/ジメチコンの乳濁液である。
【0066】
使用され得るシリコーンの別の分類は、アミノ官能性シリコーンなどの官能化シリコーンであり、それは少なくとも一つの一級、二級若しくは三級アミン基又は四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。好適なアミノ官能性シリコーンの例としては、CTFA名「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。
【0067】
水不溶性コンディショニング剤は、一般に、ヘアケア組成物の総重量に基づいて0.05~15%、好ましくは0.1~10%、より好ましくは0.5~8%、最も好ましくは1~5%、及びその中に包含される全ての範囲を含む量で、本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0068】
水不溶性コンディショニング剤には、炭化水素油、脂肪エステル、及びそれらの混合物などの非シリコーン油性又は脂肪性物質を含む非シリコーンコンディショニング剤などがある。
【0069】
好ましくは、本発明の組成物はさらに懸濁剤を含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム及び結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド及びそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠光沢を付与するので、好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488又はCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーを使用してもよい。これらは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941及びCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの好適なコポリマーの一例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。
【0070】
アクリル酸とアクリレートエステルとの好適な架橋ポリマーは、Pemulen TR1又はPemulen TR2である。適切なヘテロ多糖ガムは、例えばKelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0071】
上記懸濁剤のいずれかの混合物を使用してもよい。好ましくは、アクリル酸の架橋ポリマーと結晶性長鎖アシル誘導体との混合物である。
【0072】
懸濁剤は、一般に、ヘアケア組成物の総重量に基づいて0.1~10%、より好ましくは0.2~6%、最も好ましくは0.3~4%、及びその中に包含される全ての範囲を含む量で本発明のヘアケア組成物中に存在する。
【0073】
また、潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、本発明のヘアケア組成物に防腐剤を組み込んでもよい。従来からの好適な防腐剤としては、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び様々な四級アンモニウム化合物が挙げられる。本発明で使用され得る防腐剤の種類の例示的で非限定的な例としては、例えば、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウム、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、カプリリルグリコール、EDTA二ナトリウム又はそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態では、防腐剤は、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸ナトリウム又はそれらの混合物である。防腐剤は、好ましくは、ヘアケア組成物の0.01~2重量%の量で使用される。
【0074】
本発明のヘアケア組成物は、物理的特性及び性能を高めるために当技術分野で一般的な他の成分を含有してもよい。好適な成分としては、芳香剤、染料及び顔料、pH調整剤、真珠光沢剤又は乳白剤、粘度調整剤、増粘剤、並びに植物、果実抽出物、糖誘導体及びアミノ酸などの天然毛髪栄養素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0075】
方法及び使用
本発明は、第1の態様のヘアケア組成物を個人の頭皮表面に適用し、続いてその表面を水で洗い流す段階を含む、頭皮にピロクトン化合物を沈着させる方法を提供する。この方法は、性質上治療目的ではない。好ましくは、それは美容目的である。ピロクトン化合物は、ピロクトンオラミンであることが好ましい。
【0076】
本発明はまた、頭皮上へのピロクトン化合物の沈着を促進するための第1の態様の組成物の使用を提供する。この使用は性質上非治療的である。好ましくは、それは美容目的である。ピロクトン化合物はピロクトンオラミンであることが好ましい。
【0077】
本発明はまた、頭皮又は毛髪のフケの症状を予防又は軽減するのに使用するための第1の態様の組成物を提供する。
【0078】
用法
本発明の組成物は、主に、個体の頭皮及び/又は毛髪の少なくとも一部に局所適用することを意図しており、リンスオフ又はリーブオン組成物のいずれか、好ましくはシャンプーのようなリンスオフ組成物である。
【0079】
組成物がシャンプーである場合、組成物は毛髪に局所的に適用され、次いで毛髪及び頭皮に揉みこまれる。次に、水ですすいでから毛髪を乾燥させる。
【0080】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明され、特に明記しない限り、引用される全ての百分率は総重量に基づく重量によるものである。
【0081】
実施例は、本発明を例示することを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していない。
【実施例
【0082】
実施例1
本実施例は、本発明の範囲内の金属酸化物若しくは金属塩とカチオン性グアーポリマーとの組み合わせが、ピロクトン化合物であるフケ防止剤の沈着を改善できることを実証した。表1に詳述する製剤に従って組成物を調製する。すべての成分は、全製剤の重量パーセントで、有効成分のレベルとして表される。
【0083】
表1
【表1】
【0084】
市販のグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、DSが0.16~0.20、重量平均分子量が100万~150万g/molであり、Lamberti社からBB-18という商品名で販売されている。
【0085】
方法
試験サンプル約0.2グラムを人工皮膚(IMS試験グループからのVITRO-SKIN)上に取った。これを水1.8mLで希釈し、プラスチック棒で30秒間こすった。次に、人工皮膚表面を水で2回すすぎ、最初は水4mLで30秒間、次に再度水4mLので30秒間すすいだ。皮膚(プレートあたり10.75cm)上へのピロクトンオラミンの沈着量をHPLC法を用いて測定した。
【0086】
結果
平均沈着量(5回のそのような実験)を表2にまとめている(誤差は二連の測定の標準偏差を表す)。
【0087】
表2
【表2】
【0088】
本発明の範囲内の金属塩とカチオン性グアーポリマーの組み合わせを含むサンプル1は、本発明の範囲外であるサンプルA~Eと比較して、ピロクトンオラミンの著しく良好な沈着を示した。
【0089】
実施例2
本実施例は、本発明の範囲外であるカチオン性グアーポリマーと金属酸化物又は金属塩との組み合わせでは、ピロクトン化合物であるフケ防止剤の沈着を促進できないことを実証した。表3に詳述した製剤に従って組成物を調製する。すべての成分は、製剤全体の重量パーセントにより、有効成分のレベルとして表される。
【0090】
表3
【表3】
【0091】
市販のグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Lamberti社の商品名BB-18で、DSが0.16~0.20、重量平均分子量が100~150万g/molである。
【0092】
方法
実施例1で開示のものと同じ方法を用いた。
【0093】
結果
(5回のこのような実験の)平均沈着量を表4にまとめている(誤差は二連測定の標準偏差を表す。)。
【0094】
表4
【表4】
【0095】
上記の結果は、本発明の範囲外であるカチオン性グアーポリマー及び金属酸化物又は金属塩を含むサンプルはピロクトン化合物の沈着を改善できないことを示している。
【0096】
実施例3
本実施例は、本発明の範囲内である金属酸化物又は金属塩とカチオン性グアーポリマーとの組み合わせが、ピロクトン化合物であるフケ防止剤の沈着を改善できることを実証した。表5に詳述する製剤に従って組成物を調製する。すべての成分は、全製剤の重量パーセントにより、有効成分のレベルとして表される。
【0097】
表5
【表5】
【0098】
市販のグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Lamberti社からBB-18という商品名で販売され、DSが0.16~0.20であり、重量平均分子量が100万~150万g/molである。
【0099】
方法
実施例1で開示のものと同じ方法を用いた。
結果
(5回のこのような実験の)平均沈着量を表6にまとめている(誤差は二連測定の標準偏差を表す。)。
【0100】
表6
【表6】
【0101】
本発明の範囲内である金属塩とカチオン性グアーポリマーの組み合わせを含むサンプル2~3は、本発明の範囲外であるサンプルJと比較して、著しく良好なピロクトンオラミンの沈着を示した。
【国際調査報告】