IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-542611関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法
<>
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図1
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図2A
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図2B
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図3A
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図3B
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図4A
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図4B
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図5
  • 特表-関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】関節運動部材を有する医療デバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B1/008 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531588
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022050822
(87)【国際公開番号】W WO2023101871
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/264,668
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ドラン、ブレント
(72)【発明者】
【氏名】パウエル、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ゲスラー、レイモンド デイビッド ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】エディソン、ブライアン ポール
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161AA15
4C161FF33
4C161HH32
(57)【要約】
ハンドルと、ハンドルから延びるシャフトと、ハンドルに連結された第1及び第2の関節運動ワイヤと、シャフトの遠位端にある関節運動部材とを含む医療デバイスであって、関節運動部材は、第1の屈曲平面内に中心長手方向軸線を含む。第1及び第2の関節運動ワイヤは、第1の屈曲平面内にあり、関節運動部材は、中心長手方向軸線の周りに配置された複数のリンクを含み、複数のリンクの第1のリンクは、第1の対のヒンジを介して複数のリンクの隣接する第2のリンクに取り付けられ、第1の対のヒンジからの第1のヒンジは、第1の屈曲平面の第1の側に配置され、第1の対のヒンジからの第2のヒンジは、第1の側と反対の屈曲平面の第2の側に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
ハンドルと、
前記ハンドルから延びるシャフトと、
前記ハンドルに連結された第1及び第2の関節運動ワイヤと、
前記シャフトの遠位端にある関節運動部材であって、前記関節運動部材は、第1の屈曲平面内に中心長手方向軸線を含む、関節運動部材と、を備え、
前記第1及び第2の関節運動ワイヤは、前記第1の屈曲平面内にあり、前記関節運動部材は、前記中心長手方向軸線の周りに配置された複数のリンクを含み、前記複数のリンクの第1のリンクは、第1の対のヒンジを介して前記複数のリンクの隣接する第2のリンクに取り付けられており、前記第1の対のヒンジからの第1のヒンジは、前記第1の屈曲平面の第1の側に配置されており、前記第1の対のヒンジからの第2のヒンジは、前記第1の側と反対側の前記屈曲平面の第2の側に位置する、医療デバイス。
【請求項2】
前記第1のヒンジ及び前記第2のヒンジの各々は、前記第1のリンク及び前記第2のリンクの各々の半径方向外側表面と同一平面にある半径方向外側表面を有する本体部分を含み、前記第1のヒンジ及び前記第2のヒンジの各々は、前記本体部分から延びる突出部を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記突出部は、前記本体部分の内側表面から前記中心長手方向軸線に向かって延びる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
各突出部は、前記第1及び第2の駆動ワイヤのうちの1つを受け入れるスロットを画定し、前記スロットは、前記関節運動部材のルーメンに露出されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1のヒンジ内の前記スロットの前記露出部分は、前記第1の屈曲平面に面しており、前記第2のヒンジ内の前記スロットの前記露出部分は、前記第1の屈曲平面に面しており、前記第1及び第2のヒンジ内の前記スロットは、反対方向を向いている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記突出部は、略半円形状の断面を有し、前記スロットは、略半円形状の断面を有する、請求項4又は5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複数のリンクの各々を通って延びる第1の関節運動ルーメンと、
前記第1の関節運動ルーメンに平行であり、前記複数のリンクの各々を通って延びる第2の関節運動ルーメンと、を更に備え、
前記第1の関節運動ルーメンは、前記第1のヒンジ内の前記スロットと連通しており、前記第2の関節運動ルーメンは、前記第2のヒンジ内の前記スロットと連通している、請求項4~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1及び第2の関節運動ワイヤの各々の近位移動又は遠位移動は、前記関節運動部材を屈曲させるように構成されている、請求項2~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1及び第2の関節運動ワイヤの各々は、前記関節運動部材を屈曲させるために、対応するスロット内で移動するように構成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2の関節運動ワイヤは、前記関節運動部材が中立位置にあるとき、前記屈曲平面内にある、請求項8又は9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記関節運動部材を前記第1の屈曲平面に対して第1の方向に屈曲させることが、前記第1の関節運動ワイヤを、前記第2の関節運動ワイヤが対応するスロットから露出されるよりも、対応するスロットからより多く露出させる、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2のリンクを隣接する第3のリンクに接続する第2の対のヒンジを更に備え、前記第3のリンクは前記第1のリンクとは異なっており、前記第2の対のヒンジは、前記第1の対のヒンジに対して半径方向に90度オフセットされている、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ハンドルに連結され且つ前記中心長手方向軸線を含む第2の屈曲平面内にある第3及び第4の関節運動ワイヤを更に備え、前記第2の対のヒンジからの第1のヒンジは、前記第2の屈曲平面の第1の側に配置されており、前記第2の対のヒンジからの第2のヒンジは、前記第1の側と反対の前記第2の屈曲平面の第2の側に配置されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記一対の第2のヒンジの各々は、駆動ワイヤを受け入れるスロットを画定する突出部を含み、前記一対の第2のヒンジの各々の前記スロットは、前記関節運動部材のルーメンに露出されている、請求項12又は13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の屈曲平面は、前記第2の屈曲平面に直交する、請求項12~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、医療デバイス及び使用方法に関する。例えば、本開示は、スコープを使用して標的部位にアクセスし、標的部位において医療処置を行うことに関連する医療器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の医療処置では、スコープ(例えば、内視鏡、十二指腸内視鏡、尿管鏡など)などの医療デバイスの一部分を関節運動させる必要がある場合がある。例えば、医療処置は、スコープの1つ以上の部分を屈曲又は関節運動させることによって、蛇行性経路を介して標的部位にアクセスすることを必要とする場合がある。
【0003】
内視鏡処置の間、例えば、ユーザは、スコープを患者の身体管腔の中に挿入する。ユーザは、内視鏡のハンドル上の作動部材を利用して、挿入中及び/又は処置中にスコープを制御する。ユーザは、作動部材を使用してスコープが屈曲されるにつれて、作動部材を操作するときのトルク力を認識してもよい。例えば、ユーザがノブなどの作動部材を中立位置から回転させると、ユーザは、作動部材が中立位置から更に回転するにつれて、より大きなトルク力を認識することができる。この力は、スコープ上の屈曲領域における材料の量に関連し得る。いくつかの場合では、材料を減少させることで、これらの力を低減させ得る。しかしながら、材料の減少は、スコープの製造の困難性を増大させる可能性があり、及び/又はスコープの堅牢性を低下させる可能性がある。本開示は、当該技術分野におけるこれらの課題又は他の課題のうちの1つ以上を解決し得る。しかしながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特定の問題を解決する能力ではない。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、医療デバイスは、ハンドルと、ハンドルから延びるシャフトと、ハンドルに連結された第1及び第2の関節運動ワイヤと、シャフトの遠位端にある関節運動部材とを含む。関節運動部材は、第1の屈曲平面内に中心長手方向軸線を含み、第1及び第2の関節運動ワイヤは、第1の屈曲平面内にあり、関節運動部材は、中心長手方向軸線の周りに配置された複数のリンクを含み、複数のリンクの第1のリンクは、第1の対のヒンジを介して複数のリンクの隣接する第2のリンクに取り付けられており、第1の対のヒンジからの第1のヒンジは、第1の屈曲平面の第1の側に配置されており、第1の対のヒンジからの第2のヒンジは、第1の側と反対側の屈曲平面の第2の側に位置する。
【0005】
第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、第1のリンク及び第2のリンクの各々の半径方向外側表面と同一平面にある半径方向外側表面を有する本体部分を含み得、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、本体部分から延びる突出部を含み得る。
【0006】
突出部は、本体部分の内側表面から中心長手方向軸線に向かって延びてもよい。
各突出部は、第1及び第2の駆動ワイヤのうちの1つを受け入れるスロットを画定してもよく、スロットは、関節運動部材のルーメンに露出されていてもよい。
【0007】
第1のヒンジ内のスロットの露出部分は、第1の屈曲平面に面していてもよく、第2のヒンジ内のスロットの露出部分は、第1の屈曲平面に面していてもよく、第1及び第2のヒンジ内のスロットは、反対方向を向いていてもよい。
【0008】
突出部は、略半円形状の断面を有してもよく、スロットは、略半円形状の断面を有してもよい。
デバイスは、複数のリンクの各々を通って延びる第1の関節運動ルーメンと、第1の関節運動ルーメンに平行であり、複数のリンクの各々を通って延びる第2の関節運動ルーメンとを更に含んでもよく、第1の関節運動ルーメンは、第1のヒンジ内のスロットと連通していてもよく、第2の関節運動ルーメンは、第2のヒンジ内のスロットと連通している。
【0009】
第1及び第2の関節運動ワイヤの各々の近位移動又は遠位移動は、関節運動部材を屈曲させるように構成され得る。
第1及び第2の関節運動ワイヤの各々は、関節運動部材を屈曲させるために、対応するスロット内で移動するように構成され得る。
【0010】
第1及び第2の関節運動ワイヤは、関節運動部材が中立位置にあるとき、屈曲平面内にあってもよい。
第1の屈曲平面に対して第1の方向に関節運動部材を屈曲させることが、第1の関節運動ワイヤを、第2の関節運動ワイヤが対応するスロットから露出されるよりも、対応するスロットからより多く露出させ得る。
【0011】
デバイスは、第2のリンクを隣接する第3のリンクに接続する第2の対のヒンジを更に含んでもよく、第3のリンクは、第1のリンクと異なっており、第2の対のヒンジは、第1の対のヒンジに対して半径方向に90度オフセットされていてもよい。
【0012】
デバイスは、ハンドルに連結され且つ中心長手方向軸線を含む第2の屈曲平面内にある第3及び第4の関節運動ワイヤを更に含んでもよく、第2の対のヒンジからの第1のヒンジは、第2の屈曲平面の第1の側に配置されていてもよく、第2の対のヒンジからの第2のヒンジは、第1の側と反対の第2の屈曲平面の第2の側に配置されていてもよい。
【0013】
一対の第2のヒンジの各々は、駆動ワイヤを受け入れるスロットを画定する突出部を含んでもよく、一対の第2のヒンジの各々のスロットは、関節運動部材のルーメンに露出されていてもよい。
【0014】
第1の屈曲平面は、第2の屈曲平面に直交してもよい。
別の態様によれば、医療デバイス用の関節運動部材は、第1のリンクと、第2のリンクと、第1のヒンジ及び第2のヒンジと、を含むことができ、第1のヒンジ及び第2のヒンジは、第1のリンクを第2のリンクに接続しており、関節運動部材の半径方向反対側に配置されており、第1のヒンジ及び第2のヒンジの各々は、関節運動部材の中心ルーメンに露出されたスロットを含み、各スロットは、関節運動ワイヤを受け入れるように構成されている。
【0015】
関節運動部材は更に、第2のリンクに隣接する第3のリンクと、第3のリンクを第2のリンクに接続する第3のヒンジ及び第4のヒンジと、を含んでもよく、第3のヒンジ及び第4のヒンジは、第1のヒンジ及び第2のヒンジから半径方向に90度オフセットされていてもよい。
【0016】
第1のリンク及び第2のリンクは、第1の屈曲平面を画定してもよく、第3のリンク及び第4のリンクは、第2の屈曲平面を画定してもよく、第2の屈曲平面は、第1の屈曲平面に直交してもよい。
【0017】
第1のリンクは、第1の屈曲平面の第1の側に位置決めされてもよく、第2のリンクは、第1の側と反対の、第1の屈曲平面の第2の側に位置決めされてもよく、第3のリンクは、第2の屈曲平面の第1の側に位置決めされてもよく、第4のリンクは、第1の側と反対の、第2の屈曲平面の第2の側に位置決めされてもよい。
【0018】
別の態様によれば、患者を治療するための方法は、シャフトの遠位端を患者内の標的部位に前進させることであって、遠位端は複数のリンクを有する関節運動部材を含み、隣接するリンクは一対のヒンジを介して接続されることと、関節運動部材を屈曲面に対して屈曲させるように第1のアクチュエータを作動させることであって、屈曲面が関節運動部材の中心長手方向軸線を含み、一対のリンクからの第1のリンクが屈曲面の第1の側に位置決めされ、一対のリンクからの第2のリンクが屈曲面の第1の側とは反対側の第2の側に位置決めされ、関節運動部材を屈曲させることにより、第1の関節運動ワイヤが第1のヒンジから露出され、第2の関節運動ワイヤが第2のヒンジによって覆われることと、医療処置を行うことと、を含む。
【0019】
本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成する添付の図面は、様々な例示的な実施形態を示し、説明と共に、例示的な実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の1つ以上の態様による医療システムの概略図である。
図2A図1の医療システムの関節運動部材の斜視図である。
図2B図1の医療システムの関節運動部材の斜視図である。
図3A図2A及び図2Bの関節運動部材の側面図である。
図3B図2A及び図2Bの関節運動部材の側面図である。
図4A図2A及び図2Bの関節運動部材のセグメントの斜視図である。
図4B図2A及び図2Bの関節運動部材のセグメントの斜視図である。
図5図2Bの線5-5に沿った関節運動部材の断面である。
図6】屈曲構成における図2A及び図2Bの関節運動部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、標的部位でスコープ(例えば、内視鏡、尿管鏡、十二指腸内視鏡、結腸鏡など)を使用して、医療処置を行うための例示的医療システムを参照して説明される。医療システムに関連付けられたデバイスは、オペレータ又はユーザによって感じられる力を低減することによって、スコープの機能性を改善し得、及び/又はスコープの製造を改善し得る。
【0022】
任意の特定のデバイス又は処置への言及は、便宜のためにのみ本開示において提供され、本開示を限定することを意図しない。当業者は、開示されるデバイス又は方法の基礎をなす概念が、任意の好適なデバイス及び処置において利用され得ることを認識するであろう。例えば、関節運動部材の実施形態は、カテーテル、シース、スコープなどを含む、屈曲部分を必要とする任意の医療デバイスにおいて、並びに腹腔鏡処置、内視鏡処置、気管支鏡処置、泌尿器科処置、心臓血管処置、及び他の処置を含む、任意の医療処置において使用されてもよい。本開示は、以下の説明及び添付の図面を参照して理解することができ、同様の要素は同じ参照番号で参照される。
【0023】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、例示及び説明にすぎず、特許請求される特徴を限定するものではない。本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、又はそれらの他の変形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図される。
【0024】
説明を容易にするために、デバイスの一部分及び/又はその構成要素の一部分を、近位部分及び遠位部分と称する。用語「近位」は、デバイスのユーザにより近い部分を指すことが意図され、用語「遠位」は、本明細書では、ユーザからより遠く離れた部分を指すために使用されることに留意されたい。同様に、「遠位方向に」延びているとは、構成要素が遠位の方向に延びていることを示し、「近位方向に」延びているとは、構成要素が近位の方向に延びていることを示す。更に、本明細書で使用される場合、用語「約」、「およそ」及び「実質的に」は、記述された値又は暗示された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。加えて、構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、近似の形状を含む。
【0025】
図1を参照すると、いくつかの例による医療システム10(本明細書では医療デバイスとも呼ばれる)が示されている。医療システム10は、可撓性シャフト30(例えば、カテーテル)と、可撓性シャフト30の近位端に連結されたハンドル20とを含む。可撓性シャフト30は、ハンドル20から延びる本体40と、本体40の遠位端から延びる関節運動部材50と、関節運動部材50の遠位端から延びる遠位部分60とを含んでもよい。本体40、関節運動部材50、及び遠位部分60は、(例えば、接着剤、リベット、ねじ山、又は任意の同様の方法によって)共に接続された個々の部材であり得るか、又は単一の一体型部材として形成され得る。医療システム10は、各々が本体40、関節運動部材50、及び遠位部分60を貫通して延びる1つ以上のルーメンを含んでもよい。ハンドル20は、本明細書に説明されるように、複数の方向への関節運動部材50の関節運動、並びに関連付けられた構成要素及びツールの移動を制御する、複数の作動デバイス(例えば、アクチュエータ)を含んでもよい。ハンドル20、本体40、関節運動部材50、及び遠位部分60は、中心長手方向軸線Aに沿って延び、この軸線は、関節運動部材50の中立位置を画定し得る。
【0026】
引き続き図1を参照すると、ハンドル20は、シャフト30を介して、ツール、流体、若しくは他の材料を患者に挿入し、及び/又は患者から除去するための1つ以上のポート29a、29b、29cを含んでもよい。ポート29bは、シャフト30のルーメン(例えば、作業チャネル)を通して1つ以上の医療器具を導入するために使用されてもよい。医療器具は、スネア、ナイフ、鉗子、アブレーションレーザ、又は医療処置を行うための他の好適なツールなどであるが、それらに限定されない、任意のツールであってもよい。遠位開口部(図示せず)は、遠位部分60の遠位端面に配置され得る。ルーメン又は異なるルーメンはまた、ルーメンに流体を導入するために、及び/又はルーメンに吸引を付与するために、ポート29aを介して臍(図示せず)と連通していてもよい。加えて、1つ以上の電気ケーブルが、医療システム10の近位端及び/又は臍から関節運動部材50及び/又は遠位部分60に延びていてもよく、画像化、照明、及び/又は医療システム10の他の電気デバイス若しくは構成要素に対する電気制御をユーザに提供してもよい。そのような電気ケーブルは、可撓性シャフト30の遠位端からの画像化信号を近位方向に搬送して処理し、及び/又はディスプレイ上に表示することができる。第3のポート29cは、本明細書に説明される1つ以上のルーメンへのアクセスを提供してもよい。
【0027】
関節運動部材50は、図2A及び図2Bに示される。関節運動部材50は、第1のリンク51a、第2のリンク51b、第3のリンク51c、第4のリンク51dなどを含む複数のリンク51を含んでもよい。リンク51の数は制限されない。隣接するリンク51は、ヒンジ又は可撓性領域を介して接続され得る。いくつかの例では、ヒンジは、隣接するリンク51と一体型部材として形成された薄い可撓性領域を含み、関節運動部材50の材料を含む「リビングヒンジ」であってもよい。例えば、第1のリンク51aと第2のリンク51bとは、一対の第1のヒンジ60a,60bによって接続されていてもよい。第1のヒンジ60a,60bは、互いに関節運動部材50の半径方向反対側に、例えば、軸線Aを中心として互いに180度に位置決めされてもよい。第2のリンク51b及び第3のリンク51cは、一対の第2のヒンジ62a,62bによって接続されていてもよい。第2のヒンジ62a,62bは、互いに関節運動部材50の半径方向反対側に、例えば、軸線Aを中心として互いに180度に位置決めされていてもよい。第2のヒンジ62a,62bは、第1のヒンジ60a,60bから軸線Aを中心として半径方向に90度オフセットされていてもよい。第3のリンク51c及び第4のリンク51dは、一対のヒンジ64a,64bによって接続されていてもよい。第3のヒンジ64a,64bは、互いに関節運動部材50の半径方向反対側に、例えば、軸線Aを中心として互いに180度に位置決めされていてもよい。
【0028】
図に示される配置は、関節運動部材50が、長手方向軸線Aに沿った中立位置から4つの方向(例えば、上、下、左、及び右)に偏向されることを可能にし得、各方向は、隣接する方向に対して約90度である。代替的に、関節運動部材が、2つの方向(例えば、上及び下、又は左及び右)のみに偏向され得るようにヒンジはすべて、関節運動部材50に沿って位置決めされ得ることが理解されるであろう。例えば、関節運動部材50は、関節運動部材50が2つの方向にのみ屈曲することを可能にし得るヒンジを含んでもよい。換言すれば、関節運動部材50は、ヒンジ60a,60b及びヒンジ64a,64bを有して形成されていてもよいが、ヒンジ62a,62bを有して形成されていなくてもよい。この例では、リンク51b,51c(及び関節運動部材50がリンク51b,51cと同じ方向に屈曲することを可能にする対応するリンク51)は、一体型部材として形成されていてもよく、及び/又は互いに対して移動しなくてもよい。
【0029】
リンク51及びヒンジを含む関節運動部材50は、例えば、押出成形又は3次元(3D)印刷によって、単一の一体型部材として形成されていてもよい。代替的に、関節運動部材50の隣接するリンク51は、超音波溶接などを使用してヒンジによって取り付けられ得る。関節運動部材50の材料としては、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの室温で可撓性であり得るプラスチックが挙げられ得る。これらの材料は、関節運動部材50に、蛇行性の経路を進むのに十分な可撓性を付与する一方で、身体内で医療処置を行うときに医療器具を受け入れるとともに、組織を除去するのに十分な剛性もまた提供することができる。
【0030】
引き続き図2A及び図2Bを参照すると、各リンク51は、4つの関節運動ワイヤルーメン70を含む。ルーメン70は、各リンク51の周りに等間隔で配置され、各ルーメン70は、隣接するルーメン70から軸線Aの周りに約90度である。4つのルーメン70が示されているが、各リンク51の周りに等間隔で配置された2つのルーメン70のみが設けられ得ることが理解されるであろう。例えば、4つのルーメン70は、関節運動部材50が長手方向軸線Aに沿った中立位置から4つの方向(上、下、左、及び右)に偏向されることを可能にし得るが、2つのルーメン70は、関節運動部材50が2つの方向(上及び下、又は左及び右)のみに偏向されることを可能にし得る。各リンク51はまた、ルーメン56(例えば、図4A及び図4B)が、各リンク51の略中心ルーメンによって関節運動部材50を通って形成され得るように、略中心ルーメンを含んでもよい。ルーメン56は、本体40の1つ以上の対応するルーメンに流体連通され得る。ルーメン56は、本明細書に説明されるように、医療処置が標的組織上で行われ得るように、1つ以上の医療機器(例えば、把持器、レーザファイバ、吸引デバイス、鋏、メスなど)を受け入れてもよい。
【0031】
図2B及び図4Bに示されるように、関節運動ワイヤ80a,80b,80c,及び80dは、対応するルーメン70内に配置され得る。関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dの各々は、接着剤、超音波溶接、クリンピング、又は他の類似の技術によって、遠位部分60及び/又は関節運動部材50の一部分に遠位端において接続され得る。関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dの近位端は、関節運動制御デバイス22又は24に接続され得る。例えば、関節運動ワイヤ80a,80cは、制御デバイス22に接続され得る。第1の方向、例えば、時計回り方向への制御デバイス22の回転運動は、関節運動部材50を第1の方向、例えば、長手方向軸線Aに対して上に屈曲させ得る。制御デバイス22を第2の方向、例えば、反時計回り方向に回転させることは、関節運動部材50を第2の方向、例えば、長手方向軸線Aに対して下に移動させ得る。関節運動ワイヤ80b,80dは、制御デバイス24に取り付けられ得、第1の方向及び第2の方向(例えば、時計回り方向及び反時計回り方向)へのデバイス24の回転は、関節運動部材50を長手方向軸線Aに対して移動させ得る。例えば、制御デバイス24を第1の方向に回転させることは、関節運動部材50を長手方向軸線Aに対して右に移動させ得る。制御デバイス24を第2の方向に回転させることは、関節運動部材50を長手方向軸線Aに対して左に移動させ得る。
【0032】
1つ以上の屈曲平面は、図3A及び図3Bのページに対して垂直、且つ図3A及び図3Bに示される長手方向軸線Aに沿った平面によって画定され得る。各ヒンジ(例えば、ヒンジ60a,60bなど)は、図3Bに示されるように、関節運動部材50が線形形態をなすとき、対応する屈曲平面内にある。図3Aは、図3Bに示されるような関節運動部材50を示すが、理解を容易にするために関節運動ワイヤ80は示されていない。屈曲平面の各々は、ヒンジの各連続セットに対して時計回り方向及び/又は反時計回り方向に約5度ずらされていてもよい。この配置は、関節運動部材50を、長手方向軸線Aに沿って位置する屈曲平面に沿って屈曲させ得、駆動ワイヤ80b及び80d、並びにそれらの対応するルーメン70は、関節運動部材50が線形形態をなすとき、その屈曲平面内にある。オフセット屈曲平面の配置はまた、関節運動部材50がその近位端からその遠位端に屈曲するにつれて、関節運動部材50を螺旋形状にねじれさせてもよい。
【0033】
加えて、屈曲セグメントは、リンク51b,51cを含む屈曲セグメント52など、任意の2つの隣接するリンク51によって形成されるか、又はそれを含む。屈曲セグメント52は、ヒンジ60a,60bを介してその隣接するリンク51aに対して移動することができ、屈曲セグメント52は、ヒンジ64a,64bを介してその隣接するリンク51dに対して移動することができる。
【0034】
図3Aでは、ヒンジ60aは、屈曲平面及び長手方向軸線Aの上方に位置決めされてもよく、ヒンジ60bは、屈曲平面及び長手方向軸線Aの下方に位置決めされてもよい。ヒンジ及びワイヤの配置は、リンク51aに対する屈曲セグメント52のための枢動点が、屈曲平面上かつ長手方向軸線A上に、又はそれら近傍に位置することを可能にする。例えば、上述のように、駆動ワイヤ80bは、図3Bに示されるように、長手方向軸線Aに平行に延びている。駆動ワイヤ80bは、屈曲セグメント52が駆動ワイヤ80bに沿った点でリンク51aに対して屈曲することを可能にし得る。
【0035】
ヒンジ64aは、屈曲平面(例えば、第1の屈曲平面)及び長手方向軸線Aの下方に位置決めされてもよく、ヒンジ64bは、屈曲平面及び長手方向軸線Aの上方に位置決めされてもよい。ヒンジ及びワイヤの配置は、リンク51dに対する屈曲セグメント52のための枢動点もまた、屈曲平面上かつ長手方向軸線A上に、又はそれら近傍に位置することを可能にする。第2の屈曲平面は、第1の屈曲平面に垂直であってもよい。例えば、ヒンジ62aは、第2の屈曲平面の上方に位置決めされてもよく、ヒンジ62bは、第2の屈曲平面の下方に位置決めされてもよい(参照図2A)。同様に、ヒンジ66aは、第2の屈曲平面の下方に位置決めされてもよく、ヒンジ66bは、第2の屈曲平面の上方に位置決めされてもよい(図2B)。これは、関節運動接合部50が、第1の屈曲平面に垂直な方向(例えば、上及び下並びに左及び右)に屈曲することを可能にし得る。リンク51a、51b、51c、及び51d、並びに関連付けられたヒンジ60は、本明細書に説明されるように、関節運動部材50が右、左、上、及び下方向に屈曲することを可能にし得る、屈曲ユニット58(図2A図2B、及び図3A)を形成してもよい。複数の屈曲ユニット58は、関節運動部材50を形成し得る。例えば、関節運動部材50は、関節運動部材50の所望の長さ及び/又は必要な長さに基づいて、直列に接続された、又は直列の一体型部材として形成された、任意の数の屈曲ユニット58を含み得る。屈曲平面の上方又は下方のヒンジ位置のこの配置は、患者の解剖学的構造及び/又は標的部位にアクセスするための経路に基づいて、関節運動部材50の屈曲における偏り又はねじれが、リンク間で交互に起こり、互いに平衡を保って平面内で偏向する、又は互いに複合して螺旋を形成するように、ユーザによって選択され得る。
【0036】
図4A及び図4Bは、リンク51a,51bと、隣接するヒンジ62a,62bの断面とを示す。部材50全体にわたるヒンジのいくつか又はすべては、ヒンジ62a,62bと同一又は同様の構造を有することができ、これについて以下に説明する。
【0037】
ヒンジ62aは、リンク51bとリンク51cとの間で、長手方向軸線Aに略平行に延びる本体部分62a1を含んでもよい。本体部分62a1の半径方向外側表面は、関節運動部材50の半径方向外側表面と同一平面であり得る。本体部分62a1は、軸線Aに垂直に、かつ本体部分62a2に沿って測定される幅W1と、軸線Aに垂直に、かつ幅W1に垂直に測定される高さH1と、軸線Aに平行に測定される長さL1とを有する。幅W1は、約0.020インチ~約0.150インチ(約0.508ミリメートル~約3.81ミリメートル)であってもよい。例えば、幅W1の長さは、本体部分62a1が関節運動ワイヤの直径を包囲し、関節運動ワイヤの両側に十分な厚さの2つの壁を含むのに十分であってもよい。長さL1は、約0.020インチ~約0.200インチ(約0.508ミリメートル~約5.08ミリメートル)であってもよく、材料の可撓性及び各方向におけるヒンジ62aの所望の屈曲角度に依存してもよい。ヒンジ(例えば、ヒンジ62a)は、動作温度で撓むことが可能な材料を含んでもよく、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくはポリカーボネート、又はそれらの任意の複合材料のうちの1つ以上を含んでもよい。材料は、屈曲中に関節運動部材50に可撓性の十分なバランスを提供し得、動作中の圧縮又はねじれに対する十分な抵抗、並びに関節運動部材50の製造中に剛性/構造的完全性を提供し得る。ヒンジ62aの材料及び/又はサイズは、ヒンジ62aが屈曲する又は撓むことを可能にするために好適な任意の材料であってもよい。突出部62a2は、本体部分62a1から長手方向軸線Aに向かって略垂直に延びていてもよい。突出部62a2は、長手方向軸線Aに平行に延び得る略半円形スロット72を画定し得る。加えて、スロット72は、関節運動部材50のルーメン56に対して開いていてもよい(例えば、図4A及び図4B)。スロット72は、断面が矩形又は任意の他の適切な形状であってもよいことが理解されるであろう。突出部62a2の断面形状は、スロット72の断面形状と同様であってもよく、例えば、形状は半円形であってもよい。半円形スロット72は、ヒンジ62aによって接続されるリンク、例えば、リンク51b及び隣接するリンク51c(図4A及び図4Bには図示せず)内の対応するルーメン70の延長部であってもよい。スロット72は、図4Bに示されるように、関節運動ワイヤ80aの一部分がスロット72から露出され得るように、関節運動ワイヤ80aを受け入れ得る。従って、ワイヤ80aは、部材50を通って延びるルーメン56に露出される。
【0038】
ヒンジ62bは、ヒンジ62aと同様の設計を有し得る。例えば、本体部分62b2は、長手方向軸線Aに略平行に延びてもよい。本体部分62b1及び本体部分62b2は、ヒンジ60a,60bに垂直な方向における関節運動部材50の所望の関節運動に基づいて、本体部分62a1及び62a2の寸法と同様の寸法を有し得、これは、関節運動部材50の屈曲及び/又は製造の間に、関節運動部材50に十分な剛性を提供し得る。本体部分62b1又は62b2の幅、高さ、及び長さの各々は、本体部分62a1又は62a2の幅W1、長さL1、及び高さH1とそれぞれ同じであってもよく、及び/又は異なっていてもよい。各本体部分の幅、高さ、及び長さが異なる寸法である場合、ユーザは、関節運動部材50を異なる方向に関節運動させるとき、異なる量のトルクを感じ得る。突出部62b2は、本体部分62b2から長手方向軸線Aに向かって略垂直に延びてもよい。略半円形スロット74は、突出部62b2内に形成され得、長手方向軸線Aに平行に延びてもよい。加えて、スロット74は、関節運動部材50のルーメン56に対して開いていてもよい(例えば、図4A及び図4B)。スロット72と同様に、スロット74の断面形状は限定されない。突出部62b2の形状断面は、スロット74の断面形状と同様であってもよく、例えば、形状は半円形であってもよい。スロット74は、図4Bに示されるように、ワイヤ80cの一部分が露出されるように、ワイヤ80cを受け入れてもよい。従来のヒンジのサイズに対して、突出部62a2,62b2のサイズを低減することで、ヒンジ62a,62bの材料の量を減少させ得る。このことが、ヒンジ62a,62bにおいて関節運動部材50を屈曲させるために必要な力を低減し得、これにより、制御デバイス22及び/又は制御デバイス24において加えられる必要があるトルクの量を低減し得る。このような方法で、関節運動部材50を屈曲させるために必要な力が低減され得、これにより、使用者による疲労及び/又は疼痛を低減し得る。図示されていないが、すべてのヒンジ、例えばヒンジ60a,60bは、ヒンジ62a,62bと断面が同様であってもよい。例えば、各ヒンジ内のスロットは、異なる方向を向いていてもよいが、すべてが関節運動部材50のルーメン56に対して開いていてもよい。
【0039】
図2Bの線5-5に沿った関節運動部材50の断面が図5に示されている。断面は、リンク51b及びリンク51cを接続するヒンジ62aの本体部分62a1及びヒンジ62bの本体部分62b1を示す。ギャップ82,84は、リンク51cとリンク51dとの間にある。ギャップ82及びギャップ84は、リンク51cとリンク51dとを接続するヒンジ64a,64bによって充填されないリンク51cとリンク51dとの間の領域にある。各ギャップ82,84は、断面が矩形であり、部分的な環状形状を有することができる。2つのギャップ、例えばギャップ82及びギャップ84は、ヒンジによって充填されない領域において、隣接するリンク51、例えばリンク51c及びリンク51dの間に形成されてもよい。代替的に、ギャップ82,84は、V字形、U字形、又はY字形であってもよい。ギャップ82,84は、関節運動部材50の長さにわたって可変であり得、これにより、特定の屈曲挙動を誘発し得、及び/又は標的部位への処置アクセスを可能にし得る。例えば、ギャップのサイズ及び/又は位置を変化させることは、上/下及び/又は左/右方向への関節運動部材50の屈曲半径及び/又は関節運動の量を変化させ得る。
【0040】
関節運動ワイヤルーメン70の断面もまた、図5に示される。関節運動ワイヤルーメン70は、長手方向軸線Aに平行に延びる。関節運動ワイヤルーメン70は、断面が円形であり得るか、又は任意の他の適切な断面形状を有し得る。関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dの各々の遠位端は、クリンピング、接着剤、溶接、又は他の適切な固定機構を使用して、関節運動部材50の遠位端54に取り付けられ得る。代替的に又は追加的に、遠位端部分60(画像化要素、照明要素、及びエンドエフェクタを含む他の構造的要素を含み得る)は、遠位端54に取り付けられ得る。別の例では、関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dは、遠位端部分60に取り付けられ得る。制御デバイス22及び/又は制御デバイス24の駆動は、関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dを、リンク51の対応するルーメン70内及びルーメン70間のスロット内で近位方向及び遠位方向に移動させ得る。関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dのうちの1つ以上の近位移動は、関節運動部材50を、長手方向軸線Aにほぼ平行をなす第1の位置から、関節運動部材50が図6に示す長手方向軸線Aに対して角度を付けられる第2の位置へと屈曲させ得る。関節運動ワイヤ80a,80b,80c,80dのうちの1つ以上の遠位移動は、関節運動部材50を図6に示す第2の位置から第1の位置へと屈曲させ得る。
【0041】
医療システム10を使用して医療処置を行う方法が説明される。関節運動部材50の遠位端54(及び遠位端部分60)は、開口部(患者の自然開口部又は切開部)を介して身体内に挿入され得る。代替的に、関節運動部材50の遠位端54は、身体内に予め位置決めされたアクセスカテーテルを介して標的部位に前進され得る。
【0042】
いったん関節運動部材50の遠位端54(及び遠位端部分60)が標的部位に位置決めされると、関節運動部材50が作動され得る。代替的に又は追加的に、関節運動部材50は、遠位端54が標的部位に前進するにつれて作動させられて、例えば、蛇行性経路を進むことができる。関節運動部材50を作動させるために、制御部材22,24の一方又は両方が作動され得る。例えば、ユーザは、制御部材22を回転させることができ、これにより、関節運動部材50を上下方向に移動させることができる。同様に、制御部材24の回転は、関節運動部材50を左右方向に移動させることができる。ユーザが制御部材22,24の一方又は両方を回転させるとき、ユーザが感じる力は、従来の関節運動部材を使用するときの力よりも小さくなり得る。例えば、制御部材22,24が回転され、関節運動部材50が長手方向軸線A(例えば、図6)に対して屈曲されるとき、ヒンジ62,64,66などの材料の低減が、関節運動部材50を屈曲させるために必要な力を低減し得る。
【0043】
更に、スロット72,74は、関節運動部材50が長手方向軸線Aに対して屈曲されるにつれて、関節運動ワイヤ80を交互に露出及び/又は隠し得る。例えば、関節運動部材50が第1の方向に屈曲されるにつれて、ヒンジ62aは、スロット72を更に露出させ、したがって、関節運動ワイヤ80aを更に露出させるように屈曲し得る。この屈曲運動はまた、ヒンジ62bを屈曲させて、スロット74を閉鎖し得、これにより、関節運動ワイヤ80cを隠すか又は見られることを防止し得る(図6)。関節運動部材50が反対方向に屈曲されると、スロット72は閉鎖し、一方スロット74を更に露出させ得る。ヒンジ62a,62bに直交する方向への同様の移動は、ヒンジ64内のスロットを露出させ得るか、又は隠し得る。関節運動部材が第1の方向とは反対の第2の方向に屈曲すると、ヒンジ62aはスロット72を閉じるように屈曲し、したがってスロット74を隠すことができる。
【0044】
1つ以上の機器又は器具が、ルーメン56に沿って前進させられ、標的部位において医療処置を行い得ることが理解されるであろう。ユーザは、制御部材22,24を作動させ続けて、異なる方向から標的部位へのアクセスを提供することができ、これにより、医療処置を行うことを支援することができる。代替的に又は追加的に、組織及び/又は流体が、吸引、把持器などを使用して、標的部位から除去されてもよい。いったん医療処置が完了すると、関節運動部材50は、身体から除去され得る。
【0045】
関節運動部材50は、任意の数のリンク51を含み得ることが理解されるであろう。更に、リンク51を接続するヒンジは、任意の方法で関節運動部材50の周りに位置決めされ得る。
【0046】
医療システム10は、ユーザが、従来の関節運動部材よりも少ない力を使用して、関節運動部材を有するカテーテル、スコープ、シース、又は他のデバイスを操作することを可能にし得る。このような方法で、ユーザは、患者への損傷を最小限に抑えながら、よりタイムリーに、及び/又は費用効果の高い方法で、医療処置を行うことができる。更に、医療システム10は、より少ない製造不良を有し得、これにより、医療システム10のコスト及び/又は同じシステムを使用する医療処置のコストを低減することをもたらし得る。
【0047】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスに対して様々な修正及び変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示としてのみ考察され、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】