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特表2024-542617無水第四級アンモニウムヒドロキシドの製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】無水第四級アンモニウムヒドロキシドの製造
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/04 20060101AFI20241108BHJP
   C07C 215/90 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20241108BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C07C213/04
C07C215/90
H01L21/308 G
H01L21/304 647A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531625
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022051625
(87)【国際公開番号】W WO2023102167
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,767
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505318547
【氏名又は名称】ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Huntsman Petrochemical LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ,フイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ケー
【テーマコード(参考)】
4H006
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB70
4H006AB99
4H006AC52
4H006BB31
4H006BN10
4H006BU50
5F043BB27
5F043CC16
5F157AA42
5F157AA64
5F157BF39
5F157BF59
5F157BF72
5F157DB03
(57)【要約】
アルキレンオキシドと、式R1R2R3Nを有する第三級アミン、式中、R1、R2、及びR3は、同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、直鎖アルキル及びシクロアルキルを含むC-C10アルキル、C-C10ヒドロキシアルキル、並びにC-C12アリールから選択される、とを反応させることによる、式(NR)OH、式中、R、R、R、及びRは、互いに同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、H、直鎖アルキル及びシクロアルキルを含むC-C10アルキル、及びC-C12アリールから選択される、を有する無水第四級アンモニウムヒドロキシドの合成法、並びに無水第四級アンモニウムヒドロキシドを含む配合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水第四級アンモニウムヒドロキシドの合成法であって、以下:
アルキレンオキシドと、式R1R2R3Nを有する第三級アミン、式中、R1、R2、及びR3は、同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、C-C10アルキル、C-C10ヒドロキシアルキル、及びC-C12アリールから選択される、とを反応させて、式(NR)OHを有する無水第四級アンモニウムヒドロキシドを生成させること、式中、R、R、R、及びRは、互いに同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、H、C-C10アルキル、C-C10ヒドロキシアルキル、及びC-C12アリールから選択される、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、及びスピロエポキシオキシインドールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第三級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、及びメチルエチルプロパノールアミンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応は、水性環境中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応は、水及び未反応アミンを含む副生成物を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応は、副生成物として約5重量%未満の水を生成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のとおりの無水第四級アンモニウムヒドロキシドを含む、エレクトロニクス用途用配合物。
【請求項8】
さらに、イソプロピルアルコール又はエチレンオキシド反応性溶媒を含む溶媒を含む、請求項7に記載のエレクトロニクス用途用配合物。
【請求項9】
さらに、水を含む、請求項7に記載のエレクトロニクス用途用配合物。
【請求項10】
アルキレンオキシドと、式R1R2R3Nを有する第三級アミン、式中、R1、R2、及びR3は、同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、C-C10アルキル、C-C10ヒドロキシアルキル、及びC-C12アリールから選択される、とを反応させることにより得られる、無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項11】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、及びスピロエポキシオキシインドールから選択される、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項12】
前記アルキレンオキシドは、エチレンオキシドである、請求項11に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項13】
R1、R2、及びR3は、個別に、C-C10アルキルから選択される、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項14】
R1、R2、及びR3は、個別に、メチル及びエチルから選択される、請求項13に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項15】
R1、R2、及びR3は、個別に、C-C10ヒドロキシアルキルから選択される、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項16】
前記反応に存在するアルキレンオキシド対第三級アミンのモル比は、約6:1~約1:3の範囲である、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項17】
前記反応は、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、又はプロピレングリコールを含む溶媒の存在下で行われる、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項18】
前記反応は、約30℃~約60℃の範囲の温度で行われる、請求項10に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項19】
前記反応は、約60psi未満の圧で行われる、請求項18に記載の無水第四級アンモニウムヒドロキシド組成物。
【請求項20】
半導体素子の表面を、エッチング、ストリッピング、又は洗浄する方法であって、前記表面を、請求項7に記載のエレクトロニクス用途用配合物と接触させることを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願番号第63/285,767号、2021年12月3日出願、の優先権を主張する。前述の出願は本明細書中参照として援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、無水第四級アンモニウムヒドロキシドの製造法に関する。より詳細には、本開示は、アルキレンオキシドの第三級アミンへの付加反応による、エレクトロニクス用途、例えば、洗浄配合物、ストリッピング配合物、又はエッチング配合物用の無水第四級アンモニウムヒドロキシドの合成に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス産業において、含水第四級アンモニウム化合物、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンヒドロキシド等は、金属又は半導体アーキテクチャ開発のエッチング、ストリッピング、洗浄プロセス用配合物に幅広く使用されてきた。含水配合物は、乾燥プロセス中にウォーターマーク(乾燥染み)の形成を引き起こす恐れがある。溶媒系配合物がウォーターマークを減少させることが報告されて使用されてきたが、そのような配合物は、溶媒の不適合性を理由に制限を有する可能性がある。水又は溶媒系第四級アンモニウムヒドロキシドが、その利用を水溶液又は特定の溶媒系溶液に限定するのとは異なり、無水第四級アンモニウムヒドロキシドは、それらの配合物の選択肢をより多く利用者に提供することができる。そのような無水第四級アンモニウムヒドロキシドは、水又は溶媒系用途いずれでも配合可能である。
【0004】
当該分野の現状に関わらず、エレクトロニクス用途で使用するための無水第四級アンモニウムヒドロキシド合成法の開発は継続して必要とされている。
【0005】
本開示の態様を詳細に説明する前に、当然のことながら、本開示は、その応用において、以下の説明に表記される構成要素又は工程又は方法の構造及び配置の詳細に限定されない。本開示は、他の実施形態であること、又は様々なやり方で実践若しくは実行されることが可能である。同じく、当然のことながら、本明細書中採用される言い回し及び語句は、説明を目的とするものであり、制限するものとして解釈されるべきではない。
【0006】
本明細書中特に定義されない限り、本開示に関連して使用される技術用語は、当業者が一般的に解釈する意味を有するものとする。さらに、文脈から特に要求されない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。
【0007】
本明細書中言及される全ての特許、公開特許出願、及び非特許刊行物は、本開示が関連する技術分野の当業者の技術レベルを示す。本出願のいずれかの箇所で参照される全ての特許、公開特許出願、及び非特許刊行物は、個々の特許又は刊行物がそれぞれ、具体的及び個別に、本開示と矛盾しない限り参照として援用されると示されたとするのと同じ度合いで、本明細書中明白に、そのまま全体が参照として援用される。
【0008】
本明細書中開示される組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らして、不必要な実験を行わずに作る及び実行することができる。本開示の組成物及び方法は、好適な実施形態に関して記載されているものの、当業者には明らかだろうが、改変形態を、本開示の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、本明細書中記載される組成物及び/又は方法に、並びに方法の工程又は工程順序に適用することができる。当業者に明らかであるそのような類似の代用及び修飾は全て、本開示の趣旨、範囲、及び概念内にあるものと見なされる。
【0009】
本開示に従って使用される場合、以下の用語は、特に記載がない限り、以下の意味を有すると解釈されることになる。
【0010】
「a」又は「an」という語の使用は、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、又は「含有する(containing)」という用語(又はそのような用語の変形語)と一緒に使用される場合、「1つ」を意味することができるが、「1つ又は複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1つより多い」という意味とも矛盾しない。
【0011】
「又は」という用語の使用は、代替選択肢だけを指しており代替選択肢が相互に排他的である場合に限ると明白に示されない限り、「及び/又は」を意味するのに使用される。
【0012】
本明細書中、ある要素若しくは特長が含まれている又はある特徴を有することを記述するのに、「may」、「can」、「could」、又は「might」が使用される場合、その特定の要素若しくは特長は、含まれている又はある特徴を有することを必須としない。
【0013】
本開示全体を通じて、「約」という用語は、ある値が、定量装置、機構、又は方法の固有の誤差変動を含むこと、あるいは測定される対象(複数可)間に存在する固有の変動を含むことを示すのに使用される。例であって、限定ではないが、「約」という用語が使用される場合、その用語が指す指定値は、プラスマイナス10%、又は9%、又は8%、又は7%、又は6%、又は5%、又は4%、又は3%、又は2%、又は1%、又はそれらの間の1つ又は複数の分数で変動する可能性がある。
【0014】
「少なくとも1つ」の使用は、1つ並びに1つより多い任意の量を含むと解釈されることになり、そのような量として、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等が挙げられるが、これらに限定されない。「少なくとも1つ」という用語は、これが指す用語に応じて、最大100まで又は1000以上まで拡張することができる。また、100/1000という量は、限度として解釈されるべきではない。なぜなら、これより低い又は高い限度もまた、申し分ない結果をもたらすことができるからである。
【0015】
また、「X、Y、及びZのうち少なくとも1つ」という語句は、X単独、Y単独、及びZ単独、並びにX、Y、及びZの任意の組み合わせを含むと解釈されることになる。同様に、「X及びYのうち少なくとも1つ」という語句は、X単独、Y単独、並びにX及びYの任意の組み合わせを含むと解釈されることになる。また、当然のことながら、「~のうち少なくとも1つ」という語句は、任意の個数の要素に用いることができ、上記に表示したのと同様な意味を有する。
【0016】
本明細書中使用される場合、「含む(comprising)」(並びにその任意の形、例えば、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(並びにその任意の形、例えば、「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(並びにその任意の形、例えば、「含む(includes)」及び「含む(include)」)、又は「含有する(containing)」(並びにその任意の形、例えば、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)という語は、包括的又は非限定的であり、記載されていない追加の要素又は方法工程を排除しない。
【0017】
「1つの実施形態において」、「ある実施形態において」、「1つの実施形態に従って」等の語句は、概して、その語句に続く特定の特長、構造、又は特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれているとともに、本開示の1つより多い実施形態に含まれている可能性があることを意味する。重要なことは、そのような語句が、非限定的であり、必ずしも同一実施形態を指す必要はなく、むしろ当然ながら、1つ又は複数の先行実施形態及び/又は後続実施形態を指すことが可能であるということである。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のどれであっても、任意の組み合わせで使用可能である。
【0018】
本明細書中使用される場合、「重量%」、「wt%」、「重量パーセンテージ」、又は「重量によるパーセンテージ」という用語は、同義で使用される。
【0019】
本明細書中使用される場合、「周辺温度」という用語は、周辺作業環境の温度(例えば、硬化性組成物が使用される空間、建物、又は室内の温度)を指し、これには、硬化を促進するために硬化性組成物を直接加熱した結果として生じるどのような温度変化も含まれない。周辺温度は、典型的には、約10℃~約30℃、より具体的には約15℃~約25℃の範囲内にある。
【0020】
本明細書中記載されるのは、水又は溶媒系用途いずれでも使用可能である無水第四級アンモニウムヒドロキシドの調製である。本明細書中記載されるプロセスは、式(NR)OHを有する無水第四級アンモニウムヒドロキシド化合物の調製に使用可能であり、式中、R、R、R、及びRは、互いに同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、H、直鎖アルキル又はシクロアルキルを含むC-C10アルキル、C-C10ヒドロキシルアルキル、及びC-C12アリールから選択される。
【0021】
具体的には、本明細書中記載されるプロセスは、アルキレンオキシドと、式R1R2R3Nを有する第三級アミン、式中、R1、R2、及びR3は、互いに同じであるか異なっていて、それぞれ個別に、直鎖アルキル又はシクロアルキルを含むC-C10アルキル、C-C10ヒドロキシルアルキル、及びC-C12アリールから選択される、とを反応させて、無水第四級アンモニウムヒドロキシドを得ることを含むことができる。少なくとも1つの例において、アルキレンオキシドと第三級アミンの反応は、水性環境中で行うことができる。代替例において、反応は、1種又は複数の溶媒を用いて無水環境中で行うことができ、溶媒として、制限するものではないが、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0022】
本開示の無水第四級アンモニウムヒドロキシドの製造に使用可能なアルキレンオキシドとして、制限するものではないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、ヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、スピロエポキシオキシインドール等を挙げることができる。
【0023】
本開示の無水第四級アンモニウムヒドロキシドの製造に使用可能な第三級アミンとして、制限するものではないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオシルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、及びメチルエチルプロパノールアミンを挙げることができる。
【0024】
本プロセスの副生成物として、水及び未反応アミンを挙げることができる。反応の副生成物として生じる水の量は、極低レベルに維持することができる。少なくとも1つの例において、副生成物として生じる水は、約5重量%未満に制御することができる。追加例において、副生成物として生じる水は、約1重量%未満に制御することができる。
【0025】
概して、本明細書中記載される反応に存在するアルキレンオキシド対第三級アミンのモル比は、約6:1~約1:3、好ましくは約4:1~約1:2、より好ましくは約2:1~約1:1の範囲である。
【0026】
反応は、約周辺温度~約70℃の温度範囲で行うことができる。少なくとも1つの例において、反応温度は、約30℃~約60℃の範囲が可能である。反応は、約60psi未満の圧で行うことができる。少なくとも1つの例において、反応圧は、約55psi未満が可能である。
【0027】
本明細書中記載される方法により製造される第四級アンモニウムヒドロキシドは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)又はコリンヒドロキシドを使用して従来通りに作られたものに比べてより良好なEHSプロファイルを提供することができ、そのような特性として、制限するものではないが、より低い毒性が挙げられる。例えば、TMAHは、一般に2.38重量%水溶液で使用されるが、これは高レベルの毒性材料である。
【0028】
様々な金属、フォトレジスト、有機物をエッチング及び洗浄するための配合物の必要条件は、アナログ素子、論理素子、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)素子、NAND半導体素子用によって異なる可能性があり、同様にディスプレイ装置と太陽光発電装置は非常に大きく異なる可能性がある。出発物質の濃度を調整することで、得られる無水第四級アンモニウムヒドロキシドに所望の長さを得ることができる。少なくとも1つの例において、第三級アミン前駆体の構造を変更することにより、無水第四級アンモニウムヒドロキシドのエッチング能力及び親水性を特定の最終用途に向けて調整することができる。したがって、本プロセスは、様々な利用に向けた多様な無水第四級アンモニウムヒドロキシド配合物を配合することを可能にすることができ、そのような利用として、制限するものではないが、エッチング用、ストリッピング用、及び洗浄用が挙げられる。最終配合物は、水又は溶媒系いずれであることも可能である。
【0029】
本開示の方法は、特定の湿式加工工程、例えば、特定の種類又は混合物である金属/半導体表面、先行加工残渣の性質、あるいは表面にある種の効果が望まれる場合等に向けた配合物設計により高い自由度を有することができる、無水第四級アンモニウムヒドロキシドを提供する。最終配合物は、水又は溶媒を用いて作出可能である。少なくとも1つの例において、溶媒は、イソプロピルアルコール又はエチレンオキシド反応性溶媒が可能である。
【0030】
本合成反応の実施例を以下に提供する。しかしながら、本開示は、その応用において、本明細書中以下に開示される具体的な実験、結果、及び実験手順に限定されないと解釈されるべきである。そうではなくて、実施例は、単に、様々な実施形態のうちの1つとして提供されるものであり、例示であって包括的ではないことを意味する。
【実施例
【0031】
実施例1
清潔で乾燥した8ガロンケトルに撹拌器及び窒素ラインを装着し、そこに、メチルジエタノールアミン6.33ポンド(lb)及び水0.53lbを投入し、窒素を充填した。冷却しながら、エチレンオキシドを、周辺温度及び圧で導入した。温度を30℃に維持した。エチレンオキシドの添加速度は、最初は低速でなければならないが、反応温度を維持する目的で徐々に上昇させることができる。エチレンオキシド1.25lbを加えた後、反応(digestion)を、最大50psiで1時間継続した。ケトルは、ゆっくりと換気することができ、その間、窒素を用いて、1時間、残存エチレンオキシドをスクラバへと除去することができる。空気の接触を最小限にした上で、窒素下、安定剤0.064lbを加えた。十分に混合した後、最終生成物をプラスチック容器に取り出した。
【0032】
最終生成物の滴定から、第四級アンモニウムヒドロキシドが約42重量%、自由水が2重量%、及び余分のメチルジエタノールアミンと示された。最終生成物のpHは、約12.9であると特定された。
【0033】
実施例2
清潔で乾燥した8ガロンケトルに撹拌器及び窒素ラインを装着し、そこに、メチルジエタノールアミン6.37lb及び脱イオン(DI)水0.71lbを投入し、窒素を充填した。冷却しながら、エチレンオキシドを、周辺温度及び圧で導入した。温度を30℃に維持した。エチレンオキシドの添加速度は、最初は低速でなければならないが、反応温度を維持する目的で徐々に上昇させることができる。エチレンオキシド1.74lbを加えた後、反応(digestion)を、最大50psiで1時間継続した。ケトルは、ゆっくりと換気することができ、その間、窒素を用いて、1時間、残存エチレンオキシドをスクラバへと除去することができる。空気の接触を最小限にした上で、窒素下、安定剤0.070lbを加えた。十分に混合した後、最終生成物をプラスチック容器に取り出した。
【0034】
最終生成物の滴定から、第四級アンモニウムヒドロキシドが約54重量%、自由水が3重量%、及び余分のメチルジエタノールアミンと示された。最終生成物のpHは、約13であると特定された。
【0035】
実施例3
清潔で乾燥した8ガロンケトルに撹拌器及び窒素ラインを装着し、そこに、メチルジエタノールアミン6.33lb及び脱イオン(DI)水0.53lbを投入し、窒素を充填した。冷却しながら、エチレンオキシドを、周辺温度及び圧で導入した。温度を30℃に維持した。エチレンオキシドの添加速度は、最初は低速でなければならないが、反応温度を維持する目的で徐々に上昇させることができる。エチレンオキシド2.51lbを加えた後、反応(digestion)を、最大50psiで1時間継続した。ケトルは、ゆっくりと換気することができ、その間、窒素を用いて、1時間、残存エチレンオキシドをスクラバへと除去することができる。空気の接触を最小限にした上で、窒素下、安定剤0.064lbを加えた。十分に混合した後、最終生成物をプラスチック容器に取り出した。
【0036】
最終生成物の滴定から、第四級アンモニウムヒドロキシドが約69重量%、及び余分のメチルジエタノールアミンと示された。自由水は検出されなかった。最終生成物のpHは、約13であると特定された。生成物は非常に粘度の高い、ペースト様の液体である。
【0037】
上記の記載から、本開示は、本目的を実行し、並びに本明細書中言及される利点及び本開示に内在する利点を獲得するのに十分適合していることは明らかである。開示を目的として本開示の例示の実施形態を記載してきたものの、当然のことながら、多数の変更を成すことが可能であり、それらは、当業者に容易に示唆されることになり、本開示及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなく達成可能である。
【国際調査報告】