(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】サービスXDRの取得方法、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 43/20 20220101AFI20241108BHJP
【FI】
H04L43/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531634
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022127473
(87)【国際公開番号】W WO2023179015
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210287606.2
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】艾紅芳
(72)【発明者】
【氏名】張海涛
(72)【発明者】
【氏名】燕曉
(57)【要約】
本願は、サービスXDRの取得方法、装置及び記憶媒体を開示する。第1の装置に適用される、サービスXDRの取得方法は、第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するステップ(401)と、前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するステップ(402)と、前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するステップと、を含む。これにより、制御プレーンとユーザプレーンとが分離している状態においても、完全で正確なサービスXDR(403)を取得することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置に適用される、サービスXDRの取得方法であって、
第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するステップ(401)と、
前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するステップ(402)と、
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するステップ(403)と、
を含むサービスXDRの取得方法。
【請求項2】
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新する前記ステップ(403)は、
前記サービスXDR内の欠落フィールドを特定するステップと、
前記ターゲットシグナリングXDRから前記欠落フィールドに関する情報を検索し、見つかった情報に基づいて充填フィールドを生成するステップと、
前記充填フィールドを前記サービスXDRに充填するステップと、
を含む請求項1に記載のサービスXDRの取得方法。
【請求項3】
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新する前記ステップ(403)は、
前記ターゲットシグナリングXDRと前記サービスXDRとの間に、前記シグナリングXDR及び前記サービスXDR内で同じ対象を記述するフィールドである関連フィールドの不一致が検出された場合、前記サービスXDR内の対応する前記関連フィールドを修正するステップ
を含む請求項1に記載のサービスXDRの取得方法。
【請求項4】
前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索する前記ステップ(402)の前に、前記方法は、
前記第3の装置により送信された前記シグナリングXDRを受信するステップと、
受信した前記シグナリングXDRをローカルキャッシュにキャッシュするステップと、をさらに含み、
前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索する前記ステップは、
前記サービスXDRと、前記サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、ローカルキャッシュの中から前記ターゲットシグナリングXDRを検索するステップ
を含む請求項1から3の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法。
【請求項5】
前記サービスXDRに対応するサービスの終了が検出された場合、前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新する前記ステップは、
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新し、更新された前記サービスXDRに、サービスの終了を示す情報を追加するステップ、を含み、
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新する前記ステップの後に、前記方法は、
前記サービスXDRに対応する前記シグナリングXDRを維持するのに用いられるリソースを解放するステップを、さらに含む
請求項1から3の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法。
【請求項6】
第2の装置に適用される、サービスXDRの取得方法であって、
ユーザプレーンからサービスデータを収集するステップ(601)と、
前記サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成するステップ(602)と、
前記サービスXDRを第1の装置に送信するステップ(603)と、
を含むサービスXDRの取得方法。
【請求項7】
第3の装置に適用される、サービスXDRの取得方法であって、
制御プレーンからシグナリングを収集するステップ(701)と、
前記シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成するステップ(702)と、
前記シグナリングXDRを第1の装置に送信するステップ(703)と、
を含むサービスXDRの取得方法。
【請求項8】
第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するのに用いられる受信モジュール(901)と、
前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するのに用いられる検索モジュール(902)と、
前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するのに用いられる更新モジュール(903)と、
を備える装置。
【請求項9】
ユーザプレーンからサービスデータを収集するのに用いられる第1の収集モジュール(1001)と、
前記サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成するのに用いられる第1の生成モジュール(1002)と、
前記サービスXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第1の送信モジュール(1003)と、
を備える装置。
【請求項10】
制御プレーンからシグナリングを収集するのに用いられる第2の収集モジュール(1101)と、
前記シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成するのに用いられる第2の生成モジュール(1102)と、
前記シグナリングXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第2の送信モジュール(1103)と、
を備える装置。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサ(1201)と、前記少なくとも1つのプロセッサ(1201)と通信可能に接続されたメモリ(1202)とを備える電子装置であって、
前記メモリ(1202)には前記少なくとも1つのプロセッサ(1201)により実行できる命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサ(1201)により実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサ(1201)は、請求項1から5の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法を実行すること、又は、請求項6に記載のサービスXDRの取得方法を実行すること、又は、請求項7に記載のサービスXDRの取得方法を実行すること、ができるようにする
電子装置。
【請求項12】
コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、請求項1から5の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法を実行するか、又は、請求項6に記載のサービスXDRの取得方法を実行するか、又は、請求項7に記載のサービスXDRの取得方法を実行する
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2022年03月22日に出願された、出願番号が202210287606.2である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願の実施例は、通信技術の分野に関し、特に、サービスXDRの取得方法、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
ネットワーク内のネットワーク要素に対してより良く監視及び管理するために、通常では、ネットワーク要素からのデータに基づいてX詳細レコード(x (Application) Detail Record,XDR)を生成する方式が採用され、XDRは、ネットワーク要素間のシグナリング伝送プロセス及びシグナリング内容を記録するのに用いられるシグナリングXDRと、ユーザに関する情報を記録するのに用いられるサービスXDRと、の2つの種類にさらに分類されてもよい。セッション境界コントローラ(SBC:Session Border Controller)を例として、制御プレーン上のセッション開始プロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)シグナリングと、メディアプレーン上のリアルタイム伝送プロトコル(RTP:Real-Time Transport Protocol)リアルタイム伝送制御プロトコル(RTCP:Real-Time Transport Control Protocol)データパケットとが同時に収集されて同じ収集解析装置に振り分けられ、それから、収集解析装置は、SIPシグナリングとRTP/RTCPデータパケットとから、関連フィールドを抽出及び記入してシグナリングXDRとサービスXDRとを生成する。
【0004】
しかしながら、上記のプロセスは、制御プレーンとユーザプレーンとが分離していない場合に、シグナリングとサービスデータとが同じ収集解析装置により処理されるときにのみ有効である。制御プレーンとユーザプレーンとを分離させる構想が適用されたネットワーク要素については、そのシグナリングとサービスデータとがもはや同じ収集解析装置により処理されないため、サービスXDR内の、制御プレーン情報に依存してはじめて記入できるフィールドが欠落し、完全で有効なサービスXDRを得ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例の主な目的は、制御プレーンとユーザプレーンとが分離している場合にも完全で正確なサービスXDRを取得することができるようにするために、サービスXDRの取得方法、装置及び記憶媒体を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、第1の装置に適用される、サービスXDRの取得方法を提供し、この方法は、第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するステップと、前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するステップと、前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するステップと、を含む。
【0007】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、第2の装置に適用される、サービスXDRの取得方法をさらに提供し、この方法は、ユーザプレーンからサービスデータを収集するステップと、前記サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成するステップと、前記サービスXDRを第1の装置に送信するステップと、を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、第3の装置に適用される、サービスXDRの取得方法をさらに提供し、この方法は、制御プレーンからシグナリングを収集するステップと、前記シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成するステップと、前記シグナリングXDRを第1の装置に送信するステップと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、装置をさらに提案し、この装置は、第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するのに用いられる受信モジュールと、前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するのに用いられる検索モジュールと、前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するのに用いられる更新モジュールと、を備える。
【0010】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、装置をさらに提案し、この装置は、ユーザプレーンからサービスデータを収集するのに用いられる第1の収集モジュールと、前記サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成するのに用いられる第1の生成モジュールと、前記サービスXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第1の送信モジュールと、を備える。
【0011】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、装置をさらに提案し、この装置は、制御プレーンからシグナリングを収集するのに用いられる第2の収集モジュールと、前記シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成するのに用いられる第2の生成モジュールと、前記シグナリングXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第2の送信モジュールと、を備える。
【0012】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、電子機器をさらに提案し、前記電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリとを含み、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサが上記の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法を実行できるようにする。
【0013】
上記目的を達成するために、本願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提案し、前記コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサにより実行された場合に上記の何れか一項に記載のサービスXDRの取得方法を実現するコンピュータプログラムを記憶している。
【0014】
(有益な効果)
本願が提案するサービスXDRの取得方法は、従来の、シグナリングに基づいてシグナリングインタラクションのプロセスを完全に記録するシグナリングXDRを生成することに加えて、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成される別の種類のシグナリングXDRをさらに追加した。この種類のシグナリングXDRは、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成されるため、シグナリング内の、サービスに関する情報を記録している。こうして、第1の装置は、第2の装置により送信されたサービスXDRと第3の装置により送信されたシグナリングXDRとを受信した後に、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索し、そして、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新することができるため、サービスXDR内の、制御プレーン情報に依存してはじめて記入できるフィールドを、ターゲットシグナリングXDRに従って記入することができるようにし、これにより、制御プレーンとユーザプレーンとが分離している状態であるとしても、完全なサービスXDRを得ることができる。
【0015】
一つ又は複数の実施形態をそれに対応する添付図面中の画像によって例示的に示し、これらの例示的な説明は、実施形態に対する限定を構成するわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願の関連技術における、制御プレーンとユーザプレーンとが分離していないときのSBCネットワークアーキテクチャの模式図である。
【
図2】本願の関連技術における、制御プレーンとユーザプレーンとが分離していないときのサービスXDRとシグナリングXDRとの生成の模式図である。
【
図3】本願の関連技術における、制御プレーンとユーザプレーンとが分離しているときのSBCネットワークアーキテクチャの模式図である。
【
図4】本願の一実施例において提供される、第1の装置に適用されるサービスXDRの取得方法のフローチャートである。
【
図5】本願の一実施例において提供される、制御プレーンとユーザプレーンとが分離していないときのデータ収集の模式図である。
【
図6】本願の別の実施例において提供される、第2の装置に適用されるサービスXDRの取得方法のフローチャートである。
【
図7】本願の別の実施例において提供される、第3の装置に適用されるサービスXDRの取得方法のフローチャートである。
【
図8】本願の別の実施例において提供される、セッション中のシグナリングインタラクションの模式図である。
【
図9】本願の別の実施例において提供される装置の構成模式図である。
【
図10】本願の別の実施例において提供される装置の構成模式図である。
【
図11】本願の別の実施例において提供される装置の構成模式図である。
【
図12】本願の別の実施例において提供される電子装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術から分かるように、サービスXDRとシグナリングXDRとを生成する従来の方式は、ネットワーク要素の制御プレーンとユーザプレーンとが分離していない場合にのみ有効であり、ネットワークの制御プレーンとユーザプレーンとが分離してもなお完全なサービスXDRを取得できる方法が求められている。
【0018】
分析の結果、上記問題が発生する主な原因は、ボイス・オーバー・ロングタームエボリューション(VoLTE:Voice over Long-Term Evolution)/ボイス・オーバー・New Radio(VoNR:Voice over New Radio)のユーザがIPマルチメディアシステム(IMS:IP Multimedia Subsystem)ネットワークのSBCネットワーク要素にアクセスする場合を例として、制御プレーンSIPシグナリングフローとメディアプレーンRTP/RTCPデータフローとを処理する機能を有し、制御プレーンSIPシグナリングフローとメディアプレーンRTP/RTCPメディアフローとを処理することができる。制御プレーンとユーザプレーンとが分離していない場合、
図1に示すように、制御プレーン上のSIPシグナリングも、メディアプレーン上のRTP/RTCPデータパケットも、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)とSBCとの間の通信のGmインターフェースに基づいてUPFからSBCに入力される。このとき、制御プレーン上のSIPシグナリング、メディアプレーン上のRTP/RTCPデータパケットは同じファイバ上で収集され、また、同一の呼について、2種類のデータのユーザ装置(UE:User Equipment)側IPアドレス、SBC側IPアドレスも同じである。したがって、サービスXDRとシグナリングXDRとを生成するシナリオにおいては、
図2に示すように、SBC側では、制御プレーン上のSIPシグナリングとメディアプレーン上のRTP/RTCPデータパケットが同時に収集され、同じ収集解析装置に振り分けられ、これにより、収集解析装置は、サービスXDRを処理する際に、制御プレーン上のSIPシグナリングから情報を直接抽出して、サービスXDR内の、制御プレーン情報に依存してはじめて記入できるフィールドに埋めることができる。一方、制御プレーンとユーザプレーンとが分離している場合、
図3に示すように、元のSBCネットワーク要素は、制御プレーン上のSIPシグナリングを処理するセッション境界コントローラ制御プレーン(SBC-C:Session Border Controller-Control)と、メディアプレーン上のRTP/RTCPデータを処理するセッション境界コントローラユーザプレーン(SBC-U:Session Border Controller-User)と、の2つの物理エンティティに分割される。こうして、制御プレーン上のSIPシグナリングフローは、Gmインターフェースに基づいてUPFからルーティングされてSBC-Cに入力され、SBC-Cは、仮想ネットワーク要素であり、大区(中国華北、華東などのような行政区画)のネットワーク機能仮想化(NFV:Network Functions Virtualization)リソースプール内にデプロイされ、一方、メディアプレーンRTP/RTCPデータはUPFからルーティングされてSBC-Uに入力され、SBC-Uは省(中国安徽省、河北省などのような行政区画)内にデプロイされる。このとき、制御プレーンデータ、メディアプレーンデータは、それぞれ大区、省内で収集され、同一の呼について、2種類のデータのUE側IPアドレスは同じであり、SBC-C/SBC-U側IPアドレスは異なる。また、1つのSBC-C内のSIPシグナリングに対応するRTP/RTCPデータは複数のSBC-U上に分散する可能性があるとともに、1つのSBC-U内のRTP/RTCPデータに対応するSIPシグナリングも複数のSBC-C上に分散する可能性がある。即ち、SBC-CとSBC-Uとの間は1つの網状のネットワークであり、単にSBC-C/SBC-UのIPアドレス関係によって同一の呼中の2種類のデータが同じ収集解析装置に振り分けられることを保証することができない。したがって、VoLTE/VoNRサービスが、SIPシグナリングについてSIP XDRを出力することに加えて、音声品質を評価するために、メディアプレーン上のRTP/RTCPスライスXDR、即ちサービスXDRを出力する必要がある場合、サービスXDR内の一部のフィールドの生成が、制御プレーン上からの情報抽出、又は制御プレーンのパラメータ計算に依存するため、サービスXDRの一部のフィールドが欠落するか、又は完全に正確ではなくなる。ここで、RTP/RTCPスライスXDR内の、制御プレーンの情報に依存してはじめて記入できるフィールドは、次の表1に示す。
【表1】
【0019】
上述した課題を解決するために、本願の実施例は、第1の装置に適用される、サービスXDRの取得方法を提供し、この方法は、第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成された前記サービスXDRを受信するステップと、前記サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、前記第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するステップと、前記ターゲットシグナリングXDRに従って前記サービスXDRを更新するステップと、を含む。
【0020】
本願が提案するサービスXDRの取得方法は、従来の、シグナリングに基づいてシグナリングインタラクションのプロセスを完全に記録するシグナリングXDRを生成することに加えて、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成される別の種類のシグナリングXDRをさらに追加した。この種類のシグナリングXDRは、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成されるため、シグナリング内の、サービスに関する情報を記録している。こうして、第1の装置は、第2の装置により送信されたサービスXDRと第3の装置により送信されたシグナリングXDRとを受信した後に、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索し、そして、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新することができるため、サービスXDR内の、制御プレーン情報に依存してはじめて記入できるフィールドを、ターゲットシグナリングXDRに従って記入することができるようにし、これにより、制御プレーンとユーザプレーンとが分離している状態であるとしても、完全なサービスXDRを得ることができる。
【0021】
本願実施例の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、添付図面を組み合わせて本願の各実施例を詳しく説明する。しかしながら、当業者であれば、本願の各実施例において、読み手に本願をよりよく理解してもらうために多くの技術的詳細が提示されていることを理解することができる。しかしながら、これらの技術的詳細及び以下の各実施例に基づく様々な変更及び修正がなくとも、本願の保護を求める技術案を実現することができる。以下の各実施例の区分は、説明の便宜のためになされており、本願の具体的な実施例にいかなる限定を構成すべきではなく、各実施例は、矛盾しない限り、組み合わせたり互いに参照したりしてもよい。
【0022】
本願の実施例の一態様は、第1の装置に適用されるサービスXDRの取得方法を提供し、この方法のフローは
図4に示すようであり、少なくとも以下のようなステップを含んでもよい。
【0023】
ステップ401において、第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成されたサービスXDRを受信する。
【0024】
ネットワーク要素のユーザプレーンと制御プレーンとが分離している場合、ユーザプレーンのデータと制御プレーンのデータとはもはや同じ装置では収集されることができなくなるので、
図5に示すように、ユーザプレーン上のサービスデータと制御プレーン上のシグナリングとを、2つの装置を用いてそれぞれ収集する必要がある。
【0025】
本実施例において、第2の装置は、ネットワーク要素の分離後のユーザプレーンからサービスデータを収集し、収集したサービスデータに基づいてサービスXDRを生成するのに用いられ、ここで、ネットワーク要素は、ユーザプレーンと制御プレーンとが分離している任意のネットワーク要素、例えば、UPF、SBC等であってもよい。
【0026】
ステップ402において、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索する。
【0027】
本実施例において、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けは、サービスのタイプとシグナリングのタイプとに関連し、VoLTEサービスを例にとると、制御プレーン上で伝送されるシグナリングはSIPシグナリングであり、ユーザプレーン上で伝送されるサービスデータは主にRTP/RTCPデータパケットであるため、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けは、サービスとシグナリングとが同じセッションからのものであることなどであってもよい。
【0028】
なお、本実施例におけるシグナリングXDRは、シグナリングに基づいて生成されるのではなく、シグナリング内の一部の情報、即ちサービスに関する情報に基づいて生成されるのであることも、強調する必要がある。これは、シグナリングには、シグナリングの送受信時間など様々な情報が含まれるが、全ての情報をシグナリングXDRに含める必要があるわけではないことを考慮してのことである。サービスXDRの取得に有利になる情報、即ちサービスに関する情報に関心がもたれるため、既存のシグナリングXDR生成モードの下で、シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成されるシグナリングXDRを1種類新しく追加することができ、それにより、データ量を減らし、実現の難度を低減させ、伝送を容易にすることができる。XDRは通常、定義されたインターフェースに基づいて実現されるため、シグナリングXDRを1種類新しく追加することは実際にはインターフェースを1つ余分に追加することに相当する。ただし、SDP XDRのサイズは極めて小さく、数も少ないため、このインターフェースを追加することは既存装置の性能にほとんど影響しないと同時に、サービスXDRの受信側などはインターフェースの追加による変化を感知しない。
【0029】
いくつかのシグナリングについては、1回のサービスサービスを提供する間に複数のシグナリングXDRが生成され得ることを、理解すべきである。例えば、VoLTEサービスを実現する間に、シグナリングXDRは、既存のSIP XDRを取得することに加えて余分に取得されるSDP XDRとして定義され得るため、1つのセッションには、複数回のメディアネゴシエーションにより複数のSDP XDRが生成され得る。さらに、1つのサービスXDRは1つよりも多いSDP XDRに対応する可能性があり、この場合、第1の装置がサービスXDRを受信したときにそれを更新するために正確且つ十分なシグナリングXDRを得ることができるように、シグナリングXDRの維持を考慮する必要がある。さらに、サービスXDRとシグナリングXDRとは、必ずしも同時に生成されるか、又は第1の装置に送信されるわけではないため、第1の装置がサービスXDRを受信したときにそれを更新するために正確且つ十分なシグナリングXDRを得ることができるように、シグナリングXDRの維持を考慮する必要もある。
【0030】
これに基づいて、いくつかの例において、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するステップの前に、サービスXDRの取得方法は、第3の装置により送信されたシグナリングXDRを受信するステップと、受信したシグナリングXDRをローカルキャッシュにキャッシュするステップと、をさらに含む。したがって、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索することは、サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、ローカルキャッシュの中からターゲットシグナリングXDRを検索することにより、実現されることが可能である。
【0031】
特に、スペースの節約のために、及び過去の情報による最新情報への干渉を回避するために、最新のシグナリングXDRを受信するたびに、過去に受信したシグナリングXDRに基づいて決定されたサービス情報を修正したり、受信した最新のシグナリングXDRを保存したりすることもでき、ここでは説明を省く。
【0032】
ステップ403において、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新する。
【0033】
なお、第3の装置により送信されるサービスXDRは、制御プレーンの情報の欠落によりフィールドに欠落が生じる可能性があるため、第2の装置により送信されるシグナリングXDRを用いて、欠落フィールドを記入する必要がある。また、収集した情報を用いて、明確に決定できない関連フィールドについて予測し、予測情報に基づいて記入する可能性もあるため、シグナリングXDRを用いててフィールドが正しいか否かを検証し、修正するなどの必要がある。
【0034】
これに基づいて、いくつかの例において、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新することは、サービスXDR内の欠落フィールドを特定することと、ターゲットシグナリングXDRから欠落フィールドに関する情報を検索し、検索された情報に基づいて充填フィールドを生成することと、充填フィールドをサービスXDRに充填することと、により実現されることが可能である。ここで、サービスXDR内の欠落フィールドを特定する前に、まずサービスXDRを検査してフィールド欠落状態が発生している否かを決定し、フィールド欠落状態の発生が検出されたときに、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRにフィールドを埋め戻すことにより、サービスXDRの更新を達成するようにしてもよい。
【0035】
別のいくつかの例において、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新することは、ターゲットシグナリングXDRとサービスXDRとの間に、シグナリングXDR及びサービスXDR内で同じ対象を記述するフィールドである関連フィールドの不一致が検出された場合、サービスXDR内の対応する関連フィールドを修正することにより、実現されることも可能である。
【0036】
なお、上記の例は、それぞれフィールド欠落とフィールド誤りの側面から個別に説明したが、他の例において、フィールド欠落の有無を検出してからフィールド誤りの有無を検出することにより、両者を組み合わせて実施することもできるが、ここでは説明を省く。
【0037】
なお、前述した分析のように、サービスXDRは1つよりも多いシグナリングXDRに対応する可能性があり、シグナリングXDRが失効した場合、それによって占有されているリソースを回収することが考えられる。これに基づいて、サービスXDRに対応するサービスの終了が検出された場合、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新することはさらに、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新し、更新されたサービスXDRに、サービスの終了を示す情報を追加し、ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新した後に、サービスXDRに対応するシグナリングXDRを維持するのに用いられるリソースを解放することにより、実現されることが可能である。例えば、SIPセッションが終了した後に、第1の装置は、その該SIPセッションの更新された最後のRTP/RTCPサービスXDRに通話終了タグを付け、シグナリングXDRを記憶するために占有されているリソースを解放する。
【0038】
特に、第1の装置により受信されたシグナリングXDRに含まれる、サービスXDRの記入に有利な情報が空集合である場合、サービスXDRの更新を達成するために、いくつかの数学的処理方法又はアルゴリズムなどを用いて一部のデータを予測してもよい。例えば、VoLTE/VoNRサービスXDRを処理する場合、サービスXDRに基づいて音声ビデオの具体的なタイプに強く関連している一部のジッタ、符号化レートに関連しているフィールド(例えばRTCP Jitter、Codec Rate、Frame Rate)を特定できなければ、まず不明なService Type(表1)を明確にし、そして、予め判断したService Typeの結果に基づいて、他のフィールドについて計算や予測を行ってもよい。音声ビデオ関連の評価アルゴリズムは、RTPメッセージのpayloadの長さ及びtimestampなどの情報に基づいて仮の評価を行う。さらに、サービスXDRを修正して更新を実現する例においても、類似の方法を用いて、シグナリングXDR内のService Typeを介して関連フィールドを修正してもよい。
【0039】
本願の実施例の別の態様は、第2の装置に適用されるサービスXDRの取得方法をさらに提供し、この方法のフローは
図6に示すようであり、少なくとも以下のようなステップを含んでもよい。
【0040】
ステップ601において、ユーザプレーンからサービスデータを収集する。
【0041】
本実施例において、サービスデータは、データパケット、メッセージ等であってもよい。サービスデータの収集は、プローブを設置するなどハードウェア収集の方式を用いて実現されることができる。
【0042】
ステップ602において、サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成する。
【0043】
本実施例において、非制御関連フィールドは、制御プレーンのデータに依存する必要がなく、サービスデータから決定可能なフィールドである。
【0044】
いくつかの例において、サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成することは、制御プレーンの情報に依存して決定される必要のないフィールドを特定し、特定されたフィールドに基づいてサービスデータから情報を抽出し対応するフィールドを生成し、生成されたフィールドに基づいてサービスXDRを得ることにより、実現されることが可能である。
【0045】
別のいくつかの例において、サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成することの後に、さらに、サービスデータに基づいて制御プレーン情報に関するフィールドについて計算、予測を行い、サービスXDRに記入し、サービスXDRをさらに補完する。
【0046】
なお、サービスXDRは、制御プレーン情報に関するフィールドの欠落を許容し、制御プレーン情報に関するフィールドの情報の偏りの存在を許容し、それが第2の装置により第1の装置に送信されたとき、第1の装置は、第3の装置により送信されたシグナリングXDRを受信することにより、補足及び修正をすることができる。
【0047】
特に、サービスXDRは、アップリンクサービスとダウンリンクサービスをそれぞれ記録する2つのXDRや2つのサブXDRなど、2つの部分に分けられてもよいが、ここでも説明を省く。
【0048】
ステップ603において、サービスXDRを第1の装置に送信する。
【0049】
本願の実施例の別の態様は、第3の装置に適用されるサービスXDRの取得方法をさらに提供し、この方法のフローは
図7に示すようであり、少なくとも以下のようなステップを含んでもよい。
【0050】
ステップ701において、制御プレーンからシグナリングを収集する。
【0051】
本実施例において、シグナリングの収集は、プローブを設置するなどハードウェア収集の方式を用いて実現されることができる。
【0052】
ステップ702において、シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成する。
【0053】
本実施例は、シグナリング内の、サービスに関する情報の表現形式を限定せず、シグナリングXDRにより記録される制御情報の周期性又はサービスにおける段階を限定しない。例えば、サービスがストリーミングメディアサービスである場合、それはSDPメッセージボディ内の、メディアフローに関する情報であってもよく、1つのシグナリングXDRは、1回のセッションにおける関連する複数回のメディアネゴシエーションプロセスで伝送される複数のSDPメッセージボディのレコードであってもよく、1回のメディアネゴシエーションプロセス中のSDPメッセージボディのレコードであってもよい。
【0054】
VoNRを例にとると、現在では、SBCのSIP XDRについての記述が既に存在するが、これに加えて、本実施例において、SDP XDR、即ち、収集された制御プレーンSIPシグナリングに基づいて生成されたSDPネゴシエーションプロセスの詳細なレコードを出力することを新しく追加する。ここで、SIP XDRにおける呼フローの出力タイミングは依然として、初期Invite要求の最終応答の受信時及びセッション終了応答の受信時であり、これは従来のメカニズムと同じであり、変更されていない。一方、SIP XDRが2回しか出力されないのとは異なり、合成サーバがメディアネゴシエーション結果を適時に取得できることを保証するために、SDPメディアネゴシエーションを行うたびに、終了時に1つのSDP XDRを出力する必要がある。SIP呼フローが通常複雑であるため、
図8は、SDP XDRの作成から出力までのタイミングを概ね反映することができる。
図8におけるSDP OfferとSDP Answerは即ちSDPの提供/応答モデルであり、SDP XDRは即ち、収集する必要のある、SDPメッセージボディ内の、メディアフローに関する情報である。
図8から分かるように、1回のSIPセッション中に複数回のメディアネゴシエーションがあり、セッション確立後であってもセッションの修正、つまり新たなメディアネゴシエーションが発生し、毎回のメディアネゴシエーションプロセス中に収集されたSDPメッセージボディについて1つのSDP XDRを生成することができる。
【0055】
ステップ703において、シグナリングXDRを第1の装置に送信する。
【0056】
なお、上述した方法実施例は、第1の装置、第2の装置及び第3の装置の角度から、サービスXDRの取得方法をそれぞれ説明したのは、異なる機能の実現の説明を容易にするためであり、異なる実体装置により実現されなければならないことを意味するわけではない。例えば、第1の装置と第2の装置とが同じ実体装置に統合されてもよく、したがって、関連する送信及び受信は実際には装置内部の通信プロセスであり、ここでは説明を省く。
【0057】
上述した実施例に言及されたサービスXDRの取得方法を当業者がより理解しやすくするために、以下では、シグナリングXDRがSDP XDRであり、サービスXDRがRTP/RTCP XDRである場合について説明するが、ここでは従来の処理フローとの区別を説明しやすくするために、以下にSIP XDRをさらに導入する。
【0058】
まず、第3の装置は、取得したSIPメッセージのRequest-URI内のmethod=INVITEにより、呼要求メッセージを認識し、呼フローの処理に必要なリソースを申請し、シグナリングの復号化を行う。そして、第3の装置は、符号化から関連情報要素を抽出して収集規範内の対応するインターフェースフィールドに記入することにより、SIP呼のためにSIP InviteトランザクションXDRを作成すること、SIPセッションXDRを作成すること、及びSIP Inviteメッセージ内で搬送されるSDPメッセージのために1番目のSDP XDR_1を作成することを実現する。このSDP XDRは、その後RTP/RTCP XDRの更新のために使用される必要があり、ここで、SDP XDRで搬送される情報は同様に、必須フィールドとオプションフィールドとを含み、必須フィールドは、複数のXDRに関連付けられるキーであり、少なくともSIP CallID、SessionID、User_Type、発呼者/被呼者番号、ソース及び宛先メディアストリームIPアドレスを含む必要がある。一方、オプションフィールドは、SDPから抽出されるメディアストリームの品質を反映させる関連情報であり、ソースメディアIPアドレス、宛先IPアドレス、メディアストリーム数、メディアネゴシエーション結果などを含む。この場合、フィールドの記入はInvite要求メッセージを受信した時点で行われるため、記入されるのは全て発呼側のメディア情報である。特に、新しく追加されるSDP_XDRインターフェースは『中国移動5Gネットワーク接続ログ保存システム技術規範-制御プレーン収集解析装置インターフェース規範2.0.docx』内のインターフェース定義規範を参考でき、以下のように設計されている。
【表2】
【0059】
もちろん、他の方式を参考にしたり、自主的にサービスXDRを形成したりしてもよく、上の表は具体的な例を示した説明だけである。
【0060】
次に、第3の装置は、SIP 183などの非100、非3XX-6XX間の非失敗応答メッセージを収集し、この場合、まず、SIP関連情報を抽出し、SIPトランザクションXDR内の被呼側情報を記入し、SIPセッションXDR内の被呼側情報を記入する必要がある。当該メッセージもSDPを搬送している場合、SDP情報を解析し、SDP XDR_1内の被呼側が搬送している情報を埋めると同時に、SIPセッション内の一部の制御プレーン情報をSDP XDR_1内のSIP関連フィールドに埋める。処理が完了し、SIPトランザクションXDR、SDP XDRを出力し、IF1インターフェースから第1の装置に送信する。SIPセッション中、メディアネゴシエーションがうまくいかなかった場合、SIPプロトコルの規定によれば、双方は、ネゴシエーションが成功するまで、対話内の後続メッセージによりメディアネゴシエーションを続ける。最初のネゴシエーションが失敗し、発呼者が開始したUpdateメッセージが再び受信された場合、第3の装置は、SDP XDR_2を新たに作成し、SDPメッセージを解析し、SDP XDR_2内の発呼者側情報を記入する。なお、ネゴシエーション要求があれば必ず応答があるので、200OK(Update)のようなネゴシエーション応答を受信すると、第3の装置は、SDPメッセージを解析し、SDP XDR_2に被呼側情報を記入する。そして、このSIPセッション内の関連情報をSDP XDR_2内のSIPシグナリング関連フィールドに記入し、SDP XDRフィールドの処理を完了させ、直ちにIF1を介して送信する。このように、メディアネゴシエーションを複数回行う場合、そのたびに前述のようにSDP XDRが出力される。特に、例えばネットワークの原因で音声/ビデオ通信から音声のみ通信に調整されるために、セッション確立からセッション終了までの間にメディア更新が開始される可能性もあり、この場合も、前述した方式に従ってSDP XDRを処理及び出力する。第3の装置がByeメッセージを受信すると、呼が終了し、または、内部セッションキープアライブタイマが満了すると、呼時間間隔及び呼終了情報などのフィールドをSIPセッションXDRに入力する。
【0061】
なお、SDP XDR内の、SIP関連のフィールドの記入は、前述のようにSDPを先に処理してからSIPを処理するという順番ではなく、SDP XDRの作成時に記入してもよい。なお、SDP XDRに含まれるセッションID、CallID、発呼者/被呼者番号などの情報は、SIPセッションXDRとともに管理されてもよく、SDP XDRの出力時に抽出されてもよい。
【0062】
第2の装置によるRTP/RTCP XDRの生成については、その主な原則は、スライス方向、スライス開始時間、スライス終了時間、パケット受信数、パケット損失数、リンク情報など正確で異議のないフィールド情報をできるだけ記入し、その他の制御プレーンにより搬送される関連情報に依存して決定されるフィールドについてはしばらく見合わせることである。
【0063】
特に、ユーザプレーンメディアデータを処理するメディアサブモジュールは、SBCがCU分離デプロイを採用してVoLTE/VoNRメディアXDRを処理する場合、音声/ビデオタイプbServerTypeフィールドの記入について、まず事前判定を行うことができ、事前判定ルールとして、2つの連続するRTPメッセージのtimestampが同じである場合、bServerTypeフィールドがビデオを示すと判定し、2つの連続するRTPメッセージのtimestampが異なり、且つ、payload長がいずれも500バイトより小さい場合、bServerTypeフィールドが音声を示すと判定し、2つの連続するRTPメッセージのtimestampが異なり、且つ、payload長がいずれも500バイトより大きい場合、bServerTypeフィールドがビデオを示すと判定し、また、bServiceTypeが認識されない場合、パケット受信数、パケット損失数などのみをカウントし、ジッタに関するパラメータや符号化レートに関するパラメータを計算しない。
【0064】
一方、第1の装置は、第3の装置により送信されたSDP_XDR_1を受信した場合、その中の全ての情報をSDP Info内にキャッシュする必要があり、その後に同じSIPセッション内のSDP_XDR_nをまた受信すれば、メディアネゴシエーションに変化があり、新しいSDP_XDRを受信すると、もはや使用されなくなるメディアストリーム情報を削除し、新しく追加されたメディアストリーム情報を追加する必要があり、即ち、キャッシュされた情報を即時にアップデートする必要がある。第2の装置により送信されたRTP/RTCP XDRを受信した場合、RTP/RTCP XDRに欠落が発生していれば、キャッシュされたメディアストリーム情報を関連情報を用いて探し、見つからない場合、まずスライス呼レコードを5秒キャッシュし、具体的な時間を設定することができ、タイムアウト後に埋め戻しを再び試行し、関連するメディアストリーム情報が見つかった場合、関連埋め戻しを開始する。具体的には、Session_ID、発呼者/被呼者番号、Stream 1 Service_Type、Resolution_Width、Resolution_Heightなどの静的な情報を関連埋め戻しし、RTP/RTCP XDRとSDP XDRとの間に関連フィールドの不一致が発生した場合、SDP_Info内のServerTypeをスライスXDRに更新し、スライスXDR内のRTPの遅延、ジッタ等のフィールドを新しい値に従って計算して記入する。特に、メディアプロトコルマシンが事前判定時にRTP遅延、ジッタ等の関連フィールドについて事前判定結果に従って計算している場合、その時点で不一致を発見すれば、元の計算を修正する必要がある。ここで、RTP/RTCP XDRとSDP XDRとの間に関連フィールドの不一致が発生しているか否かを判定することは、関連するSDP_Info情報を見つけ、ServerTypeフィールドの値を取得した場合、SDP XDR内のServerTypeとスライス内のServerTypeとが一致しているか否かを比較することができる。
【0065】
特に、C/Uが分離している場合のRTP/RTCP XDR内のフィールドの修正は、CUが統合されたシナリオにも適しており、新しく追加されるSDP XDRは、中間のネゴシエーションも記録されるので、CUが統合された場合のRTP/RTCP XDRの出力されるデータをより正確にすることができる。
【0066】
なお、上記の各種方法のステップ分けは、単に明確に説明するためになされたものであり、実装時に1つのステップに統合するか、又は一部のステップを複数のステップに再分割することができ、同一の論理的関係が含まれていれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれること、アルゴリズム及びプロセスの中核となる設計を変更せずに、そのアルゴリズム又はプロセスに重要でない修正を加えたり、又は重要でない設計を導入したりしたものであれば、いずれも本願の保護範囲内に含まれることを、理解すべきである。
【0067】
本願の実施例の別の態様は装置をさらに提供し、
図9に示すように、この装置は、
第2の装置により送信されたサービスXDRであって、ユーザプレーンから収集されたサービスデータに基づいて生成されたサービスXDRを受信するのに用いられる受信モジュール901と、
サービスXDRと、サービスとシグナリングとの事前設定された関連付けとに基づいて、第3の装置により送信されたシグナリングXDRであって、制御プレーンから収集されたシグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて生成された前記シグナリングXDRの中からターゲットシグナリングXDRを検索するのに用いられる検索モジュール902と、
ターゲットシグナリングXDRに従ってサービスXDRを更新するのに用いられる更新モジュール903と、を備える。
【0068】
本願の実施例の別の態様は装置をさらに提供し、
図10に示すように、この装置は、
ユーザプレーンからサービスデータを収集するのに用いられる第1の収集モジュール1001と、
サービスデータに基づいて、非制御関連フィールドに記入してサービスXDRを生成するのに用いられる第1の生成モジュール1002と、
サービスXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第1の送信モジュール1003と、を含む。
【0069】
本願の実施例の別の態様は装置をさらに提供し、
図11に示すように、この装置は、
制御プレーンからシグナリングを収集するのに用いられる第2の収集モジュール1101と、
シグナリング内の、サービスに関する情報に基づいて、シグナリングXDRを生成するのに用いられる第2の生成モジュール1102と、
シグナリングXDRを第1の装置に送信するのに用いられる第2の送信モジュール1103と、を含む。
【0070】
上記装置実施例は方法実施例に対応しており、上記装置実施例は方法実施例と組み合わせて実施できることは、容易に理解できるであろう。方法実施例で言及された関連する技術的詳細は、上記の装置実施例においても有効であるため、重複を減らすために、ここでは説明を省く。したがって、上記装置実施例で言及された関連の技術的詳細は、方法実施例にも適用可能である。
【0071】
なお、本実施例にかかる各モジュールはいずれも論理モジュールであり、実際の応用において、1つの論理ユニットは1つの物理ユニットであってもよく、1つの物理ユニットの一部であってもよく、さらに、複数の物理ユニットの組み合わせで実現してもよい。また、本願の創造的な部分を際立たせるために、本願で提起された技術的課題の解決にあまり関係のない手段を本実施例には導入していないが、これは本実施例に他の手段が存在しないことを示しているわけではない。
【0072】
本願の実施例の別の態様は電子装置をさらに提供し、この電子装置は、
図12に示すように、少なくとも1つのプロセッサ1201と、少なくとも1つのプロセッサ1201と通信可能に接続されたメモリ1202と、を備え、メモリ1202には少なくとも1つのプロセッサ1201により実行できる命令が記憶されており、命令が少なくとも1つのプロセッサ1201により実行されることで、少なくとも1つのプロセッサ1201が上記の何れか1つの方法実施例に記載のサービスXDRの取得方法を実行できるようにする。
【0073】
ここで、メモリ1202とプロセッサ1201とはバス方式で接続され、バスは任意の数の相互接続されたバス及びブリッジを含んでもよく、バスにより、1つ又は複数のプロセッサ1201とメモリ1202の様々な回路が一つに接続される。バスはまた、周辺機器、電圧安定器、及びパワーマネジメント回路などの様々な他の回路を一つに接続することができるが、これらは当分野で周知なことであるので、本文ではこれ以上の説明を省く。バスインターフェースは、バスとトランシーバとの間のインターフェースを提供する。トランシーバは、1つの素子であってもよく、複数の受信機及び送信機のような複数の素子であってもよく、伝送媒体上で様々な他の装置と通信するための手段を提供する。プロセッサ1201により処理されたデータはアンテナを介して無線媒体で伝送され、さらに、アンテナはまたデータを受信してプロセッサ1201にデータを伝送する。
【0074】
プロセッサ1201は、バスの管理及び通常の処理を担う以外にも、さらにタイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電源管理及びその他の制御機能を含む様々な機能を提供することもできる。一方、メモリ1202は、プロセッサ1201によって操作を実行するときに使用されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0075】
本願の実施例の別の態様は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行された場合、上記何れか一つの方法実施例に記載のサービスXDRの取得方法を実現する。
【0076】
即ち、当業者であれば、上記の実施例の方法における全部又は一部のステップを実施することは、プログラムによって関連するハードウェアに命令することにより実現できることは、理解できるであろう。このプログラムは1つの記憶媒体に記憶され、1つの装置(ワンチップコンピュータ、チップなどであってもよい)又はプロセッサ(processor)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるためのいくつかの命令を含む。一方、上記記憶媒体は、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な種々の媒体を含む。
【0077】
当業者であれば、上記の各実施例は、本出願を実施するための具体的な実施例であり、実際の応用においては、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、形式的に及び細部に様々な変更を加えることができることを理解することができる。
【国際調査報告】