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  • 特表-負極およびこれを含む二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】負極およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/133 20100101AFI20241108BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/587
H01M4/36 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531688
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2022020878
(87)【国際公開番号】W WO2023121247
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184261
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】リリン・ピャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウク・ウ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050CB29
5H050DA03
5H050FA02
5H050FA17
5H050GA06
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
(57)【要約】
本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される下部負極活物質層と、前記下部負極活物質層上に配置される上部負極活物質層とを含み、前記下部負極活物質層は、天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質および一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質を含み、前記上部負極活物質層は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含み、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.06mL/g以下である負極に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置される下部負極活物質層と、
前記下部負極活物質層上に配置される上部負極活物質層とを含み、
前記下部負極活物質層は、天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質および一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質を含み、
前記上部負極活物質層は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含み、
前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.06mL/g以下である、負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.001mL/g~0.06mL/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質の平均粒径(D50)は、8μm~25μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記第1負極活物質のBET比表面積は、0.6m/g~2.5m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)は、4μm~13μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記第2負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項7】
前記第3負極活物質の平均粒径(D50)は、15μm~25μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項8】
前記第3負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量比は、50:50~90:10である、請求項1に記載の負極。
【請求項10】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量の総和は、前記下部負極活物質層の重量に対して80重量%~99重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項11】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)に対する前記第1負極活物質の平均粒径(D50)の比率は、1~8である、請求項1に記載の負極。
【請求項12】
前記第3負極活物質の重量は、前記上部負極活物質層の重量に対して80重量%~99重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項13】
前記下部負極活物質層の厚さおよび前記上部負極活物質層の厚さの比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項14】
前記下部負極活物質層のローディング量および前記上部負極活物質層のローディング量の比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、
電解質とを含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月21日付けの韓国特許出願第10-2021-0184261号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の枯渇によるエネルギー源の値上げ、環境汚染の関心の増幅に伴い、環境に優しい代替エネルギー源が未来の生活のための必要不可欠な要因となっている。
【0004】
特に、モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、環境に優しい代替エネルギー源として、二次電池の需要が急激に増加している。
【0005】
前記二次電池は、負極として、従来、リチウム金属が使用されていたが、デンドライト(dendrite)の形成による電池短絡と、これによる爆発の危険性が問題となり、可逆的なリチウムイオンの挿入(intercalation)および脱離が可能であり、構造的および電気的性質を維持する炭素系活物質の使用が注目されている。
【0006】
前記炭素系活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンなどの様々な形態の炭素系材料が適用されており、中でも、優れた可逆性によりリチウム二次電池の寿命特性を保障することができる黒鉛系活物質が最も広く使用されている。前記黒鉛系活物質は、リチウムに比べて放電電圧が-0.2Vと低いため、黒鉛系活物質を用いた電池は、3.6Vの高い放電電圧を示すことができ、リチウム電池のエネルギー密度の面で多くの利点を提供している。
【0007】
中でも、特に、天然黒鉛は、人造黒鉛など、他の炭素系活物質に比べて高い出力、容量を示し、接着力に優れることから、バインダーなどの使用量を低減し、高容量、高密度の負極を実現することができるという利点がある。しかし、天然黒鉛は、電解液副反応程度が大きいため、負極耐久性の低下の問題があり、配向度が高くて、サイクル膨張特性に不利であるという問題がある。
【0008】
従って、天然黒鉛が有する高い出力および容量の発揮を図るとともに、サイクル膨張の問題を防止することができる負極活物質の開発が必要な状況である。
【0009】
日本特許登録公報第4403327号は、リチウムイオン二次電池負極用黒鉛粉末について開示しているが、上述の問題に関する代案を提示することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4403327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一課題は、高いエネルギー密度、優れた急速充電性能および向上した負極接着力を有し、且つサイクル膨張問題を効果的に防止することができる負極を提供することである。
【0012】
また、本発明の他の課題は、上述の負極を含む二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、負極集電体と、前記負極集電体上に配置される下部負極活物質層と、前記下部負極活物質層上に配置される上部負極活物質層とを含み、前記下部負極活物質層は、天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質および一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質を含み、前記上部負極活物質層は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含み、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.06mL/g以下である負極を提供する。
【0014】
また、本発明は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、電解質とを含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の負極は、二重層構造の負極活物質層を含み、且つ下部負極活物質層には天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質および一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質が含まれ、上部負極活物質層には、二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質が含まれ、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積が、特定の範囲を満たすことを特徴とする。前記下部負極活物質層に含まれた第1負極活物質および第2負極活物質によって負極集電体との接着力が向上し、負極の容量が向上し、サイクル膨張程度を低減することができ、前記上部負極活物質層に含まれた第3負極活物質によって急速充電性能を向上させることができ、本発明の負極は、高いエネルギー密度、優れた急速充電性能および向上した負極接着力を有し、且つサイクル膨張程度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による負極を説明するための概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0018】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有していない限り、複数の表現を含む。
【0019】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことを理解すべきである。
【0020】
本明細書において、D50は、粒子の粒径分布曲線において、それぞれ、体積累積量の50%に該当する粒径として定義することができる。前記D50は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的に、サブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
【0021】
本明細書において、BET比表面積は、例えば、窒素などの吸着気体を用いて、BEL JAPAN社製のBELSORP(BET装備)を用いるBET(Brunauer-Emmett-Teller)測定法によって測定されることができる。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明について具体的に説明する。具体的には、図1は、本発明による負極を説明するための概略的な側面図である。
【0023】
<負極>
本発明は、負極、具体的には、リチウム二次電池用負極に関する。
【0024】
図1を参照すると、本発明の負極10は、負極集電体100と、前記負極集電体100上に配置される下部負極活物質層210と、前記下部負極活物質層210上に配置される上部負極活物質層220とを含み、前記下部負極活物質層210は、天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質と、一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質とを含み、前記上部負極活物質層220は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含み、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.06mL/g以下であることを特徴とする。
【0025】
本発明の負極によると、前記下部負極活物質層に含まれた第1負極活物質および第2負極活物質により負極集電体との接着力が向上し、負極の容量が向上し、サイクル膨張程度を低減することができ、前記上部負極活物質層に含まれた第3負極活物質により急速充電性能を向上させることができ、高いエネルギー密度、優れた急速充電性能および向上した負極接着力を有し、且つサイクル膨張程度を低減することができる。
【0026】
〔負極集電体100〕
前記負極集電体100は、当分野において一般的に使用される負極集電体が制限なく使用可能であり、例えば、リチウム二次電池の化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、前記負極集電体100は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金から選択される少なくとも1種、好ましくは、銅を含むことができる。
【0027】
前記負極集電体100は、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態で使用されることができる。
【0028】
前記負極集電体100は、一般的に、3μm~500μmの厚さを有することができる。
【0029】
〔下部負極活物質層210〕
前記下部負極活物質層210は、前記負極集電体100上に配置される。
【0030】
前記下部負極活物質層210は、前記負極集電体100の少なくとも一面、具体的には、一面または両面に配置されることができる。
【0031】
前記下部負極活物質層210は、第1負極活物質および第2負極活物質を含む。
【0032】
前記第1負極活物質は、天然黒鉛粒子を含む。前記第1負極活物質は、天然黒鉛粒子を含むことで、下部負極活物質層と負極集電体との接着力を向上させることができ、負極の容量の向上に役立つことができる。
【0033】
前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.06mL/g以下である。
【0034】
前記水銀ポロシメータ測定法(Hg porosimeter)は、試料に水銀を注入して試料の表面に存在する空隙のサイズ、空隙率、空隙体積などを測定することができる測定法である。前記水銀ポロシメータ測定法は、BET窒素吸着法とは異なり、ガスではなく、水銀を試料に注入することから、負極活物質内の大きいサイズの空隙、具体的には略5nm~1,000nm水準のサイズを有する空隙体積を測定することができる。一方、BET窒素吸着法の場合、窒素ガスを試料に吸着させて空隙体積を測定するため、小さいサイズの空隙、具体的には数nmから100nm水準のサイズを有する空隙の存在、比表面積、空隙体積などを測定することができ、100nm以上の空隙を測定するには限界がある。このような面において、水銀ポロシメータ測定法およびBET窒素吸着法による空隙の測定領域は、互いに異なると考えられる。
【0035】
前記第1負極活物質は、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積を上述の水準に調節することで、粒子内の大きい空隙サイズ、例えば、100nm以上の空隙サイズを有する空隙の比率、含量、または体積を減少させたものである。前記下部負極活物質層は、前記第1負極活物質を含むことで、電極接着力と負極のエネルギー密度を向上させ、且つサイクル膨張を低減することができる。また、前記第1負極活物質は、後述する第2負極活物質とともに前記下部負極活物質層に含まれ、負極の負極接着力の向上およびサイクル膨張低減の効果をより向上させることができる。
【0036】
例えば、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積が0.06mL/g超であると、サイクル膨張を十分に減少させることができず、負極スウェリングの発生が増大し得る。
【0037】
具体的には、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.001mL/g~0.06mL/gであることができ、より具体的には0.010mL/g~0.045mL/gであることができ、前記範囲内である時に、上述の負極のエネルギー密度の向上、急速充電性能の向上、負極接着力の向上およびサイクル膨張の低減効果をより向上することができる。
【0038】
前記第1負極活物質のBET比表面積は、0.6m/g~2.5m/g、具体的には1.5m/g~2.2m/gであることができる。前記負極活物質が上述の水準の比表面積を有する場合、電解質との接触面積を十分に確保し、出力特性を向上させることができ、且つ上述の電解質副反応の防止およびサイクル膨張の低減効果をより向上することができる。
【0039】
前記BET比表面積の測定は、BET(Brunauer-Emmett-Teller;BET)法によることができる。例えば、前記BET比表面積は、気孔分布測定装置(Porosimetry analyzer;Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を使用して窒素ガス吸着流通法によりBET6点法で測定されることができる。
【0040】
前記第1負極活物質の平均粒径(D50)は、8μm~25μm、具体的には12μm~20μm、より具体的には15μm~20μmであることができる。前記負極活物質の平均粒径(D50)が上述の範囲に調節される場合、BET比表面積が好ましい水準に調節され、粒子間の空隙が減少し、スウェリング防止の面で好ましく、天然黒鉛粒子の平均粒径が過剰に大きくなることによる充放電による体積膨張程度が著しくなる問題、リチウムの拡散距離が長くなることによる急速充電性能が低下する問題が防止されて好ましい。
【0041】
前記第1負極活物質は、球状であることができる。前記第1負極活物質が球状である場合、第1負極活物質が負極に含まれる時に、空隙構造をスムーズに維持することで、リチウムイオンの拡散経路を確保し、負極の出力特性を向上させることができる。また、前記第1負極活物質が球状である場合、負極内で接着力が向上することができ、相対的にバインダーの使用量を減少させることができ、出力特性および抵抗の低減に有利であることができる。本明細書において、「球状」とは、完全な球状の他に、多少潰れていても実質的に球状であるものまで含む概念である。
【0042】
前記第1負極活物質のタップ密度は、1.0g/cc~1.3g/cc、具体的には1.05g/cc~1.30g/cc、より具体的には1.11g/cc~1.20g/ccであることができる。前記範囲内である時に、負極活物質の球状性を向上させ、且つこれを含む負極のサイクル膨張程度を低減する面で好ましい。
【0043】
前記タップ密度は、例えば、前記第1負極活物質40gを直径が30mmであり、容量が100mLである円筒状容器に充填した後、上下に振幅10mmで1,000回振動させて得られる最終体積を測定して見かけ密度を計算することにより求めることができる。
【0044】
前記第1負極活物質は、前記天然黒鉛粒子の表面の少なくとも一部に位置する非晶質炭素コーティング層をさらに含むことができる。
【0045】
前記非晶質炭素コーティング層は、第1負極活物質の比表面積の減少、セル性能の向上に役立ち、リチウムイオンの移動性をより容易にすることから、抵抗の低減および急速充電性能の向上に役立つことができる。より具体的には、前記第1負極活物質は、前記天然黒鉛粒子および前記非晶質炭素コーティング層からなることができる。
【0046】
前記非晶質炭素コーティング層は、前記第1負極活物質に1重量%~10重量%、具体的には2重量%~5重量%含まれることができる。
【0047】
前記第1負極活物質の製造方法は、例えば、水銀ポロシメータ測定法による空隙体積を上述の水準に調節することができる限り、特に制限されない。より具体的には、前記第1負極活物質は、下記ステップを含む方法により製造されることができる。
【0048】
(a)天然黒鉛原料を等方圧圧縮処理するステップ、
(b)前記等方圧圧縮処理された天然黒鉛原料およびバインダー物質を混合して混合物を製造するステップ、
(c)前記混合物を熱処理して炭化させるステップ、および
(d)前記炭化された混合物を解砕するステップ
【0049】
前記製造方法によると、前記天然黒鉛原料を等方圧圧縮処理し、前記等方圧圧縮処理された天然黒鉛バインダー物質と混合した後、熱処理して、炭化した後、解砕する工程により第1負極活物質を製造することができる。
【0050】
前記天然黒鉛原料は、球状天然黒鉛粒子であることができる。
【0051】
前記等方圧圧縮処理は、冷間等方圧圧縮または高温等方圧圧縮であることができる。
【0052】
前記等方圧圧縮処理は、20MPa~100MPaの圧力、具体的には45MPa~95MPaの圧力で行われることができる。前記範囲の圧力範囲で等方圧圧縮処理することにより、天然黒鉛原料内の空隙を減少させることができ、過剰な圧力で加圧することによる天然黒鉛原料の欠陥の増加を防止することができる。
【0053】
前記等方圧圧縮処理は、0.1分~20分、具体的には0.5分~3分間行われることができ、前記範囲である時に、目的とする第1負極活物質の物性を適切に調節、維持することができる面で好ましい。
【0054】
前記バインダー物質は、高分子樹脂およびピッチから選択される少なくとも1種を含むことができる。具体的には、前記高分子樹脂は、スクロース(sucrose)、フェノール(phenol)樹脂、ナフタレン(naphthalene)樹脂、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)樹脂、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)樹脂、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)樹脂、ポリアミド(polyamide)樹脂、フラン(furan)樹脂、セルロース(cellulose)樹脂、スチレン(stylene)樹脂、ポリイミド(polyimide)樹脂、エポキシ(epoxy)樹脂、塩化ビニル(vinyl chloride)樹脂、およびポリビニルクロライドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。前記ピッチは、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、およびメソフェーズピッチからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0055】
前記天然黒鉛原料および前記バインダー物質は、100:4~100:14の重量比、具体的には100:5~100:10の重量比で混合することができる。
【0056】
前記混合物の熱処理は、1,000℃~1,500℃、具体的には1,150℃~1,300℃で行われることができ、前記範囲内である時に、バインダー物質の炭化が好ましく行われることができる。前記熱処理は、20時間~48時間行われることができる。
【0057】
前記炭化した混合物の解砕後、ふるい分け(sieving)工程がさらに行われることができる。前記解砕およびふるい分けは、例えば、上述の第1負極活物質の平均粒径(D50)範囲を満たす水準で行われることができる。
【0058】
前記下部負極活物質層は、第2負極活物質を含む。前記第2負極活物質は、一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む。具体的には、前記第2負極活物質は、一次粒子形態の人造黒鉛粒子のみからなることができる。
【0059】
前記下部負極活物質層は、第2負極活物質を上述の第1負極活物質とともに含むことで、負極の急速充電特性と低いサイクル膨張程度を達成することができる。特に、前記第2負極活物質は、二次粒子形態の人造黒鉛粒子ではなく、一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含み、一次粒子形態の人造黒鉛粒子は、二次粒子形態の人造黒鉛粒子に比べてタップ密度が高いことから、下部負極活物質層のパッキング性を向上し、電極の厚さを薄くすることができ、エネルギー密度の向上を図ることができる。また、第2負極活物質は、サイクル膨張性能に優れた一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含むことから、第1負極活物質と混合する時に、サイクル膨張を優れた水準に低減することができる。
【0060】
ここで、一次粒子形態の人造黒鉛粒子とは、単粒子(Single particle)形態の人造黒鉛粒子を意味し得、前記一次粒子形態の人造黒鉛粒子が意図的な造粒または結合工程によって2つ以上凝集した凝集体である「二次粒子形態の人造黒鉛粒子」と区別される用語として使用される。
【0061】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)は、4μm~13μm、具体的には7μm~10μmであることができる。前記範囲内である時に、第2負極活物質の比表面積が好ましい水準に小さくなることができ、負極の容量の向上に役立つだけでなく、後述する第1負極活物質の間に形成される空き空間を前記第2負極活物質が密に埋めることができ、圧延性能の向上が可能である。
【0062】
前記第2負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/g、具体的には0.8m/g~1.5m/gであることができ、前記範囲内である時に、副反応を抑制し、抵抗を低減する面で好ましい。前記BET比表面積は、BEL Sorption機器(BEL Japan社製)を用いて測定することができる。
【0063】
前記第2負極活物質は、球状であることができる。前記第2負極活物質が球状である場合、第2負極活物質が負極に含まれる時に、空隙構造をスムーズに維持することで、リチウムイオンの拡散経路を確保し、負極の出力特性を向上させることができる。
【0064】
前記第2負極活物質のタップ密度は、1.0g/cc~1.3g/cc、具体的には1.15g/cc~1.30g/ccであることができる。前記範囲内である時に、負極活物質の球状性を向上させ、且つこれを含む負極のサイクル膨張程度を低減する面で好ましい。
【0065】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量比は、50:50~90:10であることができる。前記範囲内である時に、エネルギー密度およびサイクル膨張特性が同時に好ましい水準に向上することができる面で好ましい。
【0066】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)に対する前記第1負極活物質の平均粒径(D50)の比率は、1~8、具体的には1.5~3.0であることができ、前記範囲内である時に、電解液副反応を最小化し、且つサイクル膨張特性を向上させることができる面で好ましい。
【0067】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量の総和は、前記下部負極活物質層210の重量に対して80重量%~99重量%、好ましくは90重量%~98重量%であることができる。
【0068】
また、前記下部負極活物質層210は、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質とともに、選択的にバインダー、増粘剤および導電材からなる群から選択される少なくとも一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0069】
前記バインダーは、導電材、活物質および集電体の間の結合に役立つ成分として、前記下部負極活物質層210内に1~30重量%添加されることができる。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの様々な共重合体などが挙げられる。
【0070】
前記増粘剤としては、従来、リチウム二次電池に使用されるすべての増粘剤が使用されることができ、一例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)などがある。
【0071】
前記導電材は、負極材の導電性をより向上させるための成分として、前記下部負極活物質層210内に1~20重量%添加されることができる。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。市販の導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)製品やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックカンパニー(Armak Company)製)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製)およびスーパー(Super)P(Timcal社製)などがある。
【0072】
〔上部負極活物質層220〕
前記上部負極活物質層220は、前記下部負極活物質層210上に配置される。具体的には、前記上部負極活物質層220は、前記下部負極活物質層210の前記負極集電体100と対面しない一面に形成されることができる。かりに、前記下部負極活物質層が前記負極集電体の両面に形成される場合には、前記負極集電体の両面にそれぞれ形成された下部負極活物質層上に前記上部負極活物質層がそれぞれ配置されることができる。
【0073】
前記上部負極活物質層220は、第3負極活物質を含む。前記第3負極活物質は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む。前記二次粒子形態の人造黒鉛粒子は、一次粒子の間に形成された空隙を含むことで、これを介してリチウムイオンの拡散がスムーズに行われることができる。
【0074】
前記上部負極活物質層は、負極の上部に配置され、二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含むことで、リチウムイオンの拡散をスムーズにすることができ、これにより、負極の急速充電性能をより向上させることができる。
【0075】
前記二次粒子形態の人造黒鉛粒子は平均粒径(D50)が7μm~13μmである一次人造黒鉛粒子が2以上造粒されたものであることができる。前記未被覆-人造黒鉛粒子に含まれる一次人造黒鉛粒子の平均粒径が前記範囲である場合、容量が好ましい水準に調節され、且つ一次人造黒鉛粒子の平均粒径(D50)が大きすぎることによる急速充電性能の低下が防止されることができる。
【0076】
前記第3負極活物質は、前記二次粒子形態の人造黒鉛粒子上に位置する非晶質炭素コーティング層をさらに含むことができる。前記非晶質炭素コーティング層は、前記第3負極活物質に1重量%~10重量%、具体的には2重量%~5重量%含まれることができる。
【0077】
前記非晶質炭素コーティング層は、前記二次粒子形態の人造黒鉛粒子に炭素前駆体を提供した後、これを熱処理して形成されることができる。前記炭素前駆体は、スクロース(sucrose)、フェノール(phenol)樹脂、ナフタレン(naphthalene)樹脂、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)樹脂、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)樹脂、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)樹脂、ポリアミド(polyamide)樹脂、フラン(furan)樹脂、セルロース(cellulose)樹脂、スチレン(stylene)樹脂、ポリイミド(polyimide)樹脂、エポキシ(epoxy)樹脂、塩化ビニル(vinyl chloride)樹脂、ポリビニルクロライド、などの高分子樹脂;石炭系ピッチ、石油系ピッチ、メソフェーズピッチなどのピッチ;などであることができるが、これに制限されるものではない。前記熱処理温度は、1,000℃~1,800℃であることができる。
【0078】
前記第3負極活物質の平均粒径(D50)は、15μm~25μm、具体的には17μm~22μmであることができる。前記範囲内である時に、過剰な粒径サイズによる急速充電性能の低下が防止され、活物質の比表面積が好ましい水準に調節されて、高温性能の向上に好ましい。
【0079】
前記第3負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/g、具体的には0.6m/g~1.0m/gであることができ、前記範囲内である時に、電解質副反応を最小化することができる面で好ましい。
【0080】
前記第3負極活物質のタップ密度は、1.0g/cc以下、0.85g/cc~0.99g/ccであることができる。
【0081】
前記第3負極活物質の重量は、前記上部負極活物質層220の重量に対して80重量%~99重量%、好ましくは90重量%~98重量%であることができる。
【0082】
また、前記上部負極活物質層220は、前記第3負極活物質とともに、選択的にバインダー、増粘剤および導電材からなる群から選択される少なくとも一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0083】
前記バインダーは導電材、活物質と集電体との結合に役立つ成分として、前記上部負極活物質層220内に1~30重量%添加されることができる。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの様々な共重合体などが挙げられる。
【0084】
前記増粘剤としては、従来、リチウム二次電池に使用されるすべての増粘剤が使用されることができ、一例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)などがある。
【0085】
前記導電材は、負極材の導電性をより向上させるための成分として、前記上部負極活物質層220内に1~20重量%添加されることができる。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。市販の導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)製品やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックカンパニー(Armak Company)製)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製)およびスーパー(Super)P(Timcal社製)などがある。
【0086】
前記下部負極活物質層210の厚さおよび前記上部負極活物質層220の厚さの和は、30μm~200μm、具体的には100μm~150μm、より具体的には110μm~130μmであることができる。
【0087】
前記下部負極活物質層の厚さおよび前記上部負極活物質層の厚さの比は、1:0.5~1:2、具体的には1:0.8~1:1.3であることができる。前記範囲内である時に、負極の全体的な充放電性能、接着力、エネルギー密度が同時に向上することができる面で好ましい。
【0088】
前記下部負極活物質層のローディング量および前記上部負極活物質層のローディング量の和は、3mAh/cm~4mAh/cm、具体的には3.4mAh/cm~3.8mAh/cmであることができる。
【0089】
前記下部負極活物質層のローディング量および前記上部負極活物質層のローディング量の比は、1:0.5~1:2、具体的には1:0.8~1:1.3であることができる。前記範囲内である時に、負極の全体的な充放電性能、接着力、エネルギー密度が同時に向上することができる面で好ましい。
【0090】
前記負極の製造は、上述の特徴を有する下部負極活物質層および上部負極活物質層の実現が可能であれば、特に制限されない。例えば、第1負極活物質、第2負極活物質、およびバインダー、導電材および増粘剤から選択される少なくとも1種の添加剤を溶媒に添加して下部負極活物質層用スラリーを製造し、前記第3負極活物質および選択的にバインダー、導電材および増粘剤から選択される少なくとも1種の添加剤を溶媒に添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した後、これらを負極集電体に塗布することで、本発明による負極を製造することができる。より具体的には、前記で製造された下部負極活物質層用スラリーを負極集電体に塗布、圧延、および乾燥して下部負極活物質層を形成し、前記下部負極活物質層上に前記で製造された上部負極活物質層用スラリーを塗布、圧延および乾燥して上部負極活物質層を形成することで、本発明による負極を製造することができる。一方、前記下部負極活物質層用スラリーを負極集電体に塗布しながら、実質的に同時に前記上部負極活物質層用スラリーを塗布される下部負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延および乾燥することで、本発明による負極を製造することもできる。
【0091】
<二次電池>
また、本発明は、上述の負極を含む二次電池を提供する。具体的には、前記二次電池はリチウム二次電池であることができる。
【0092】
具体的には、前記二次電池は、上述の負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極と正極との間に介在されるセパレータと、電解質とを含む。
【0093】
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体上に形成される正極活物質層とを含むことができる。
【0094】
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したものなどが使用されることができる。
【0095】
前記正極集電体は、一般的に、3μm~500μmの厚さを有することができる。
【0096】
前記正極活物質層は、前記正極集電体上に形成され、正極活物質を含む。
【0097】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物として、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含むことができる。より具体的には、前記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、MgおよびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率として、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の化合物が含まれることができる。中でも、電池の容量特性および安定性を高めることができる点で、前記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなど)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Mn0.15Co0.05)Oなど)などであることができる。
【0098】
前記正極活物質は、正極活物質層の全重量に対して80重量%~99重量%含まれることができる。
【0099】
前記正極活物質層は、上述の正極活物質の他に、選択的にバインダーおよび導電材からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。
【0100】
前記バインダーは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に役立つ成分として、通常、正極活物質層の全重量に対して1~30重量%加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0101】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、グラファイト;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素系物質;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。市販の導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)製品やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックカンパニー(Armak Company)製)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製)およびスーパー(Super)P(Timcal社製)などがある。
【0102】
前記導電材は、正極活物質層の全重量に対して1~30重量%含まれることができる。
【0103】
前記正極活物質層は、正極活物質および選択的にバインダーおよび/または導電材を含む添加剤を溶媒に添加して正極スラリーを製造した後、前記正極集電体上に塗布、圧延、乾燥して製造されることができる。
【0104】
前記溶媒は、NMP(N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone))などの有機溶媒を含むことができ、前記正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材などを含む時に、好ましい粘度になる量で使用されることができる。例えば、正極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を含む固形分の濃度が50重量%~95重量%、好ましくは70重量%~90重量%になるように含まれることができる。
【0105】
前記リチウム二次電池において、セパレータは、負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供し、通常、リチウム二次電池においてセパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であるとともに、電解液含湿能力に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されることができる。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度の確保のために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが使用されることもでき、選択的に、単層または多層構造で使用されることができる。
【0106】
また、本発明で使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0107】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0108】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル系溶媒;ジブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、フルオロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用されることができる。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと直鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、電解液が優れた性能を示すことができる。
【0109】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記リチウム塩としては、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAl0、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、またはLiB(Cなどが使用されることができる。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有することから優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0110】
前記のように本発明による二次電池は、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラなどのポータブル機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用であり、特に、中大型電池モジュールの構成電池として好ましく使用されることができる。したがって、本発明はまた前記のような二次電池を単位電池として含む中大型電池モジュールを提供する。
【0111】
このような中大型電池モジュールは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、電力貯蔵装置などのように、高出力、大容量が求められる動力源に好ましく適用されることができる。
【0112】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施するように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0113】
〔実施例および比較例〕
実施例1:負極の製造
<第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質の製造>
1.第1負極活物質の準備
天然黒鉛原料として球状天然黒鉛粒子(平均粒径(D50):17μm)を準備し、前記球状天然黒鉛粒子を90MPaの圧力で1分間冷間等方圧圧縮処理(cold iso-pressing)した。
【0114】
前記等方圧圧縮処理された球状の天然黒鉛粒子とバインダー物質としてピッチを100:6の重量比で混合し、前記混合物を1,250℃で24時間熱処理して炭化した。次に、前記炭化した混合物を解砕およびふるい分けし、天然黒鉛粒子上に非晶質炭素コーティング層が形成された第1負極活物質を製造した。
【0115】
前記第1負極活物質は、平均粒径(D50)が17μmであり、BET比表面積が1.8m/gであり、タップ密度が1.12g/ccであった。
【0116】
前記第1負極活物質には、非晶質炭素コーティング層が3重量%形成された。
【0117】
また、前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.042mL/gであった。
【0118】
2.第2負極活物質の準備
一次粒子形態であり、球状である人造黒鉛粒子として、平均粒径(D50)は9μmであり、BET比表面積が1.27m/gであり、タップ密度が1.23g/ccであるものを第2負極活物質とした。
【0119】
3.第3負極活物質の準備
複数の一次人造黒鉛粒子(平均粒径(D50):約11μm)が凝集した二次粒子形態の人造黒鉛粒子(平均粒径(D50):18μm)を準備した。
【0120】
具体的には、前記人造黒鉛粒子は、コークス原料を平均粒径(D50)が約11μmであるコークスで粉砕した後、前記粉砕したコークスをピッチと混合して二次粒子形態に造粒(granulation)された中間体を製造し、3,000℃まで徐々に昇温させ、3,000℃を60時間維持し、常温まで徐々に温度を下げて熱処理して黒鉛化および二次粒子化し、前記二次粒子の平均粒径(D50)を18μmに調節して製造された。ここで、前記中間体の総熱処理時間は、2週間であった。
【0121】
前記人造黒鉛粒子をピッチと混合した後、1,200℃で24時間熱処理して前記人造黒鉛粒子上に非晶質炭素コーティング層を形成し、これを第3負極活物質とした。
【0122】
前記非晶質炭素コーティング層は、前記第3負極活物質に3.5重量%含まれた。
【0123】
前記第3負極活物質の平均粒径(D50)は18μmであり、BET比表面積が0.75m/gであり、タップ密度が0.92g/ccであった。
【0124】
<負極の製造>
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
第1負極活物質および第2負極活物質を60:40の重量比で混合した混合物;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を96.1:1.0:1.7:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0125】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
第3負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエン(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0126】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーを負極集電体として銅箔(厚さ:15μm)に塗布しながら、実質的に同時に前記で製造された上部負極活物質層用スラリーを塗布された下部負極活物質層用スラリー上に塗布し、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して、負極集電体、下部負極活物質層、および上部負極活物質層が順に積層された負極を製造した。
【0127】
前記下部負極活物質層のローディング量は1.8mAh/cmであり、前記上部負極活物質層のローディング量は1.8mAh/cmであり、前記下部負極活物質層および前記上部負極活物質層のローディング量の和は3.6mAh/cmであった。
【0128】
実施例2:負極の製造
<第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質の製造>
1.第1負極活物質の準備
天然黒鉛原料として平均粒径(D50)が18μmである球状天然黒鉛粒子を使用した以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で第1負極活物質を準備した。
【0129】
前記第1負極活物質は、平均粒径(D50)が18μmであり、BET比表面積が1.8m/gであり、タップ密度が1.13g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.041mL/gであった。
【0130】
2.第2負極活物質の準備
一次粒子形態であり、球状である人造黒鉛粒子として、平均粒径(D50)は8μmであり、BET比表面積が1.30m/gであり、タップ密度が1.25g/ccであるものを第2負極活物質とした。
【0131】
3.第3負極活物質の準備
複数の一次人造黒鉛粒子(平均粒径(D50):約11.5μm)が凝集した二次粒子形態の人造黒鉛粒子(平均粒径(D50):19μm)を準備した。
【0132】
具体的には、前記人造黒鉛粒子は、コークス原料を平均粒径(D50)が約11.5μmであるコークスで粉砕した後、前記粉砕したコークスをピッチと混合して二次粒子形態に造粒(granulation)された中間体を製造し、3,000℃まで徐々に昇温させ、3,000℃を60時間維持し、常温まで徐々に温度を下げて熱処理して黒鉛化および二次粒子化し、前記二次粒子の平均粒径(D50)を19μmに調節して製造された。ここで、前記中間体の総熱処理時間は、2週間であった。
【0133】
前記人造黒鉛粒子をピッチと混合した後、1,200℃で24時間熱処理して前記人造黒鉛粒子上に非晶質炭素コーティング層を形成し、これを第3負極活物質とした。
【0134】
前記非晶質炭素コーティング層は、前記第3負極活物質に3.5重量%含まれた。
【0135】
前記第3負極活物質の平均粒径(D50)は19μmであり、BET比表面積が0.7m/gであり、タップ密度が0.90g/ccであった。
【0136】
<負極の製造>
前記で製造された第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質を使用したこと、下部負極活物質層の製造時に第1負極活物質および第2負極活物質を70:30の重量比で混合した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0137】
実施例3:負極の製造
<第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質の製造>
1.第1負極活物質の準備
天然黒鉛原料として、平均粒径(D50)が18μmである球状天然黒鉛粒子を使用した以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で第1負極活物質を準備した。
【0138】
前記第1負極活物質は、平均粒径(D50)が18μmであり、BET比表面積が1.8m/gであり、タップ密度が1.14g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.039mL/gであった。
【0139】
2.第2負極活物質の準備
実施例2で使用された第2負極活物質と同一のものを準備した。
【0140】
3.第3負極活物質の準備
実施例1で使用された第3負極活物質と同一のものを準備した。
【0141】
<負極の製造>
前記で製造された第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質を使用したこと、下部負極活物質層の製造時に第1負極活物質および第2負極活物質を90:10の重量比で混合した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0142】
比較例1:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
等方圧圧縮処理を行っていない以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0143】
前記負極活物質の平均粒径(D50)は18μmであり、比表面積が2.7m/gであり、タップ密度が1.10g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.080mL/gであった。
【0144】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を96.1:1.0:1.7:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0145】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
実施例2で製造された第3負極活物質と同一のものを負極活物質として準備した。
【0146】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0147】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0148】
比較例2:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
実施例2で用意した第3負極活物質と同一のものを負極活物質とした。
【0149】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0150】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
等方圧圧縮処理を行っていない以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0151】
前記負極活物質の平均粒径(D50)は19μmであり、比表面積が2.8m/gであり、タップ密度が1.10g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.090mL/gであった。
【0152】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を96.1:1.0:1.7:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0153】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0154】
比較例3:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
比較例1の下部負極活物質層用スラリーと同一のものを準備した。
【0155】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
一次粒子形態であり、球状である人造黒鉛粒子として、平均粒径(D50)が10μmであり、BET比表面積が1.25m/gであり、タップ密度が1.15g/ccであるものを負極活物質とした。
【0156】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0157】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0158】
比較例4:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
一次粒子形態であり、球状である人造黒鉛粒子として、平均粒径(D50)が10μmであり、BET比表面積が1.25m/gであり、タップ密度が1.15g/ccであるものを負極活物質とした。
【0159】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0160】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
等方圧圧縮処理を行っていない以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0161】
前記負極活物質の平均粒径(D50)は19μmであり、比表面積が2.8m/gであり、タップ密度が1.10g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.090mL/gであった。
【0162】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を96.1:1.0:1.7:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0163】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0164】
比較例5:負極の製造
<第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質の製造>
1.第1負極活物質の準備
等方圧圧縮処理を行っていない以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で負極活物質を製造した。
【0165】
前記負極活物質の平均粒径(D50)は18μmであり、比表面積が2.7m/gであり、タップ密度が1.10g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.080mL/gであった。
【0166】
2.第2負極活物質の準備
実施例1の第2負極活物質と同一のものを準備した。
【0167】
3.第3負極活物質の準備
実施例1の第3負極活物質と同一のものを準備した。
【0168】
<負極の製造>
前記で製造された第1負極活物質、第2負極活物質および第3負極活物質を使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0169】
比較例6:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
実施例1の第2負極活物質と同一のものを負極活物質として準備した。
【0170】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0171】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
実施例2で製造された第3負極活物質と同一のものを負極活物質として準備した。
【0172】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0173】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0174】
比較例7:負極の製造
1.下部負極活物質層用スラリーの製造
天然黒鉛原料として、平均粒径(D50)が18μmである球状天然黒鉛粒子を使用したこと、等方圧圧縮処理時の圧力が40MPaである以外は、実施例1の第1負極活物質の製造方法と同じ方法で負極活物質を準備した。
【0175】
前記負極活物質は、平均粒径(D50)が18μmであり、BET比表面積が1.9m/gであり、タップ密度が1.07g/ccであり、水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は0.050mL/gであった。
【0176】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を96.1:1.0:1.7:1.2の重量比で混合し、水を添加して下部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0177】
2.上部負極活物質層用スラリーの製造
実施例2で製造された第3負極活物質と同一のものを負極活物質として準備した。
【0178】
前記負極活物質;導電材としてカーボンブラック;バインダーとしてスチレン-ブタジエンゴム(SBR);および増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC);を95.3:1.0:2.5:1.2の重量比で混合し、水を添加して上部負極活物質層用スラリーを製造した。
【0179】
3.下部負極活物質層および上部負極活物質層の形成
前記で製造された下部負極活物質層用スラリーおよび上部負極活物質層用スラリーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で負極を製造した。
【0180】
実験例
実験例1:スウェリング評価
<リチウム二次電池の製造>
正極活物質としてLiCoO、導電材としてLi-435(Denka社製)、バインダーとしてKF9700(Kureha社製)、増粘剤としてBH-730H(Zeon社製)を97.68:1.20:1.00:0.12の重量比で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加して正極スラリーを製造し、これを前記正極スラリーをアルミニウム箔に塗布し、約130℃で8時間真空乾燥および圧延して正極を製造した。ここで、正極のローディングは約3.4mAh/cmになるように製造した。
【0181】
実施例1~3、比較例1~7で製造されたそれぞれの負極と正極との間にポリオレフィンセパレータを介在した後、電解液を注入して、実施例および比較例の二次電池を製造した。前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を2:8の体積比で混合した非水電解液溶媒にビニレンカーボネート(VC)を溶媒に対して0.5重量%添加し、LiPFを1Mで溶解したものを使用した。
【0182】
<スウェリング評価>
前記で製造された実施例1~3、比較例1~7のリチウム二次電池をSOC0~SOC95まで充電範囲とし、最初のサイクルは0.1C、2回目のサイクルは0.2C、3回目のサイクルから50回目のサイクルまで0.5Cにして充放電した。次に、スウェリング比(swelling ratio)を下記式によって測定および計算した。その結果を下記表1に示した。
【0183】
スウェリング比(%)={(t-t)/t}×100
(tは、最初の充放電サイクル遂行前の二次電池用負極の厚さ、tは、50回目の充放電サイクル遂行後の二次電池用負極の厚さ)
【0184】
実験例2:初期放電容量評価
<コイン型ハーフセル二次電池の製造>
正極として、リチウム金属対極を使用した。
【0185】
実施例1~3、比較例1~7で製造されたそれぞれの負極と正極との間にポリオレフィンセパレータを介在した後、電解液を注入して、実施例および比較例のコイン型ハーフセル二次電池を製造した。前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を2:8の体積比で混合した非水電解液溶媒にビニレンカーボネート(VC)を溶媒に対して0.5重量%添加し、LiPFを1Mで溶解したものを使用した。
【0186】
<初期放電容量の測定>
下記充電および放電条件で、前記コイン型ハーフセル二次電池を充電および放電させて初期放電容量を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0187】
充電条件:CCCVモード、0.1C充電、0.005Cおよび5mVでカットオフ(cut-off)
放電条件:CCモード、0.1C放電、1.5Vでカットオフ(cut-off)
【0188】
【表1】
【0189】
表1を参照すると、本発明の実施例による負極および二次電池は、優れた水準のエネルギー密度を有し、且つ向上したサイクル膨張の低減効果を有することを確認することができる。
【符号の説明】
【0190】
10 負極
100 負極集電体
210 下部負極活物質層
220 上部負極活物質層
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体上に配置される下部負極活物質層と、
前記下部負極活物質層上に配置される上部負極活物質層とを含み、
前記下部負極活物質層は、天然黒鉛粒子を含む第1負極活物質および一次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第2負極活物質を含み、
前記上部負極活物質層は、2以上の一次粒子が造粒された二次粒子形態の人造黒鉛粒子を含む第3負極活物質を含み、
前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.06mL/g以下である、負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質の水銀ポロシメータ測定法によって測定された空隙体積は、0.001mL/g~0.06mL/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質の平均粒径(D50)は、8μm~25μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記第1負極活物質のBET比表面積は、0.6m/g~2.5m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)は、4μm~13μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記第2負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項7】
前記第3負極活物質の平均粒径(D50)は、15μm~25μmである、請求項1に記載の負極。
【請求項8】
前記第3負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g~3.0m/gである、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量比は、50:50~90:10である、請求項1に記載の負極。
【請求項10】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質の重量の総和は、前記下部負極活物質層の重量に対して80重量%~99重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項11】
前記第2負極活物質の平均粒径(D50)に対する前記第1負極活物質の平均粒径(D50)の比率は、1~8である、請求項1に記載の負極。
【請求項12】
前記第3負極活物質の重量は、前記上部負極活物質層の重量に対して80重量%~99重量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項13】
前記下部負極活物質層の厚さおよび前記上部負極活物質層の厚さの比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項14】
前記下部負極活物質層のローディング量および前記上部負極活物質層のローディング量の比は、1:0.5~1:2である、請求項1に記載の負極。
【請求項15】
前記第1負極活物質は、前記天然黒鉛粒子の表面の少なくとも一部に位置する非晶質炭素コーティング層をさらに含む、請求項1に記載の負極。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の負極と、
前記負極に対向する正極と、
前記負極と前記正極との間に介在されるセパレータと、
電解質とを含む、二次電池。
【国際調査報告】