(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】がん治療用CDK4阻害剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241108BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241108BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241108BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20241108BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K45/00
A61K31/565
A61K31/4196
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532158
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 IB2022061525
(87)【国際公開番号】W WO2023100070
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】タン タン リン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ヤン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC60
4C086DA09
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、治療上有効な量のPF-07220060を、がんの治療を必要とする対象に投与するステップを含む、がんを治療する方法を提供する。本開示はまた、治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を、がんの治療を必要とする対象に投与するステップを含む、がんを治療する方法を提供する。
【
図2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量のPF-07220060、または薬学的に許容できるその塩を、がんの治療を必要とする対象に経口投与するステップを含む、がんを治療する方法であって、前記治療上有効な量が、1日2回(BID)で約100mg~約500mgである、方法。
【請求項2】
前記治療上有効な量が、約300mg~約500mgBIDである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療上有効な量が、約300mgBIDである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記治療上有効な量が、約400mgBIDである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
PF-07220060が、連続的に投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
PF-07220060が、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
PF-07220060および内分泌療法剤を含む医薬組成物の治療上有効な量を、がんの治療を必要とする対象に投与するステップを含む、がんを治療する方法であって、PF-07220060の前記治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、方法。
【請求項8】
前記内分泌療法剤が、アロマターゼ阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)、または選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記内分泌療法剤が、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、エラセストラント、アムセネストラント、ジレデストラント、RG6171、カミゼストラント、AZD9496、リントデストラント、ZN-c5、LSZ102、D-0502、LY3484356、SHR9549、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、およびアフィモキシフェンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記内分泌療法剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記対象に前記内分泌療法剤を投与し、続いてPF-07220060を投与する、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、化学療法、放射線療法、および/または外科的切除で以前に治療されている、請求項1または7に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、CDK4/6阻害剤で以前に治療されている、請求項1または7に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、内分泌療法剤で以前に治療されている、請求項1または7に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、哺乳動物である、請求項1または13に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、乳がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、および甲状腺がんに罹患している、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)、ホルモン受容体陰性(HR-)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)、HR+/HER2-、ER-/HR+、ER+/HER2-、および三種陰性乳がん(TNBC)のうちのいずれか1種または複数種から選択される乳がんである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記がんが、NSCLC、前立腺がん、結腸直腸がん、脂肪肉腫、またはCDK4および/もしくはCCND1の増幅もしくは過剰発現を特徴とする腫瘍である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造におけるPF-07220060の使用であって、前記医薬品が、PF-07220060の治療上有効な単位投与量として約100mg~約500mgBIDの量で投与される、使用。
【請求項20】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造におけるPF-07220060および内分泌療法剤の使用であって、前記医薬品が、PF-07220060の治療上有効な単位投与量として約100mg~約500mgBIDの量で投与される、使用。
【請求項21】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、治療上有効な量のPF-07220060を含む医薬品であって、前記治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、医薬品。
【請求項22】
がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を含む医薬品であって、前記治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾル-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-threo-ペンチトール(以下、PF-07220060)または薬学的に許容できるその塩を、単剤療法として単独でまたは内分泌療法と併用して用いたがんの治療的処置に関する。本発明はまた、関連する併用療法、医薬組成物、および医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
CDKは、真核細胞の分裂および増殖を調節する上で必須の機能を果たす重要な細胞酵素である。CDK阻害剤は、がんを含む増殖性障害の治療に役立つ可能性がある。
【0003】
がんは無秩序な細胞増殖によって発症するが、これは、細胞周期が無秩序に進行し、チェックポイント制御が喪失し、続いて未制御な細胞増殖が可能になることによってもたらされる。Rb1(網膜芽細胞腫タンパク質)は、CDK4またはCDK6によってリン酸化されるまで、またはリン酸化されない限り、細胞周期のG1期および静止G0期を通じて重要な負の調節因子である。(Weinberg,R.A.、The retinoblastoma protein and cell cycle control.Cell、81巻、323~330、1995)。がんにおけるCDK4/6-網膜芽細胞腫タンパク質軸の調節不全という概念は、サイクリンD1(CCND1)およびサイクリンE1(CCNE1)遺伝子の増幅、ならびに内因性CDK4-サイクリンD1阻害因子p16(INK4a、CDKN2A遺伝子によってコードされる)、TP53およびPIK3CA遺伝子の変化など、乳がんで一般的に同定される遺伝子変化によって裏付けられている。(Cancer Genome Atlas Network.Comprehensive genomic characterization of human breast tumours.Nature、490、61~70、2012)。
【0004】
CDK4/6阻害は、がん療法のための、特に内分泌抵抗性BCの治療のための有望な戦略として登場した。(Rani,A.ら、Endocrine Resistance in Hormone Receptor Positive Breast Cancer-From Mechanism to Therapy.Front Endocrinol(Lausanne)10:245、2019)。CDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブ)は、内分泌療法と併用して投与した場合、HR陽性/HER2陰性転移性乳がん患者の無増悪生存期間および/または全生存期間を有意に改善した。(Spring,L.M.ら、Cyclin-dependent kinase 4 and 6 inhibitors for hormone receptor-positive breast cancer:past,present,and future.Lancet、395、817~827、2020)。
【0005】
CDK4/6阻害剤は、HR+、HER2-乳がん患者の奏効率を高め、疾患制御を延長するが、用量制限血液毒性、主に好中球減少を伴う。
【0006】
PF-07220060は、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)の強力な阻害剤である。PF-07220060の調製は、国際特許公開第WO2019/207463号および米国特許第10,766,884号に記載されている。前述の各文書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。PF-07220060は、CDK6よりもCDK4に対して大きな選択性を示すという点で、現在承認されている二重CDK4/6阻害剤とは異なる。in vivoモデルにおいて、PF-07220060は、用量制限好中球減少を軽減し、二重CDK4/6阻害剤よりも高い耐容血漿濃度を達成する可能性が予測され、したがって、腫瘍におけるCDK4がん遺伝子の阻害を増大することができる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有害事象を最小限に抑えながらがんを治療するための、単剤および併用療法としてのPF-07220060の適切かつ効果的な投薬計画が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、CDK4阻害剤のPF-07220060、または薬学的に許容できるその塩を含む、がんを治療するための単剤および併用療法の両方に関する。
【0009】
ある種の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のPF-07220060、または薬学的に許容できるその塩を、がんの治療を必要とする対象に経口投与するステップを含む、がんを治療する方法を提供する。特に、方法は、治療上有効な量のPF-07220060を1日総用量において1日あたり約200mg~約1000mg、ある種の実施形態では1日2回(BID)で約100mg~約500mg含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む。
【0010】
ある種の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のPF-07220060、または薬学的に許容できるその塩、および内分泌療法剤を、がんの治療を必要とする対象に投与するステップを含む、がんを治療する方法を提供する。諸実施形態において、内分泌療法剤は、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)、または選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)である。諸実施形態において、内分泌療法剤には、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、またはレトロゾールがある。
【0011】
したがって、本明細書の諸実施形態は、がんを治療するための、単剤および併用療法としてのPF-07220060の投薬計画を提供し、それによって治療期間中の対象における有害作用が最小限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】PF-07220060を単剤療法としてまたはレトロゾールもしくはフルベストラントと併用して経口投与した後の、サイクル1の1日目のPF-07220060血漿濃度対公称時間プロファイルを示す図である。
【
図2】PF-07220060を単剤療法としてまたはレトロゾールもしくはフルベストラントと併用して反復BID経口投与した後の、サイクル1の15日目のPF-07220060血漿濃度対公称時間プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、本開示の態様および実施形態ならびに本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができる。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではないことを理解されたい。本明細書で具体的に定義しない限り、本明細書で使用する専門用語には、関連技術で知られているような従来の意味が与えられることをさらに理解されたい。
【0014】
定義:
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別段の指示がない限り、複数の言及を含む。例えば、「1個の(a)」置換基は、1個または複数個の置換基を含む。
【0015】
用語「約(about)」は、当業者が考慮した場合に、平均の許容される標準誤差内に収まる値を有することを意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」は、示されている値の±10%以内を意味する。例えば、約400mgの用量は、用量が360mg~440mgの間で変動する可能性があることを意味すると理解すべきである。
【0016】
本明細書に記載の開示は、本明細書に具体的に開示していない任意の要素がない場合でも適切に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、および「からなる(consisting of)」のいずれも、他の2つの用語のどちらかに置き換えることができる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「用量制限毒性」(DLT)は、投与量のさらなる増加が禁忌である、PF-07220060の投与量を指す。
【0018】
本明細書で使用する場合、「測定可能な病変」は、少なくとも一次元で正確に測定することができる病変、CTもしくはMRI(スライス厚5~8mm)で評価したときにスライス厚の2倍および少なくとも10mm以上の最長直径を有する病変、胸部X線で評価したときに少なくとも20mmの最長直径を有する病変、カリパーで評価したときに10mm以上の最長直径を有する表在性病変、またはCTで評価したときに15mm以上の短軸を有する悪性リンパ節を指す。
【0019】
本明細書で使用する場合、「最大耐用量」(MTD)は、許容できない副作用または耐えられない毒性を引き起こさない、PF-07220060の最高投与量を指す。MTDは、観察されたDLT率に基づくmTPIを使用して推定され、目標DLT率は27.5%、同等区間は22.5~32.5%である。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」は、本明細書に記載の組成物に含ませることができ、かつ医薬用途に生理学的に適切であり、かつ対象に有意な有害作用を引き起こさない成分を指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、「休止期間」は、1回分の活性剤の完全投与から、次の1回分の活性剤の完全投与までの日数である。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「週」は、連続する7日間を意味する。したがって、4週間の期間は、暦週の任意の日から始めて連続する28日間である。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、哺乳動物でよく、これは哺乳動物網の任意の動物種を指す。哺乳動物の例としては、ヒト;サルなどのヒト以外の霊長類;ラット、マウス、モルモットなどの実験動物;ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびブタなどの家畜動物;ならびにライオン、トラなどの捕獲された野生動物などが挙げられる。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は女性である。いくつかの実施形態において、対象は男性である。
【0024】
本明細書で使用する場合、使用のためおよび/または対象を治療するための「治療上有効な量」という語句は、単回または複数回の投与において、単独で、または1種もしくは複数種の他の薬剤、治療、プロトコル、もしくは治療計画と組み合わせて、任意の持続時間(一過性、中期、または長期)の検出可能な応答、任意の測定可能もしくは検出可能な程度の、または任意の持続時間(例えば、数時間、数日、数カ月、数年、寛解、もしくは治癒)の、対象にとって望ましい結果または客観的もしくは主観的な利益を提供する量を指す。このような量は、典型的には、疾患、または疾患の1つ、複数、もしくはすべての有害作用/症状、結果、もしくは合併症を、測定可能な程度まで改善するのに有効であるが、疾患の進行もしくは悪化を低減もしくは阻害すること、または疾患の安定(すなわち、悪化しない)状態を提供することは、満足すべき結果と考えられる。用語「治療上有効な量」はまた、例えばがん性腫瘍の増殖を止めるまたは縮小をもたらすために、対象に投与したときに所望の治療効果をもたらすのに有効な活性剤の量を意味する。
【0025】
治療上有効な量の決定は、当業者の能力の十分な範囲内にある。様々な実施形態において、投与量は、採用する剤形および利用する投与経路に応じて、範囲内で変えることができる。いくつかの実施形態において、対象に投与する本明細書に記載の化合物の治療上有効な量は、化合物の生物活性および生物学的利用能(例えば、身体内での化合物の半減期および安定性)、化合物の化学的性質(例えば、分子量、疎水性、および溶解性);投与の経路および頻度などを含めた、当業者に既知の因子に依存し得る。さらに、本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物の特定の用量は、対象の身体状態(例えば、年齢、性別、体重)、および対象の病歴(例えば、服用中の薬物、健康状態、他の疾患または障害)を含めた種々の要因に依存し得ることが理解されるであろう。対象に投与する医薬組成物の正確な用量は、薬理学者または麻酔科医などの当業者に既知の方法により決定することができる。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「改善する」は、特定の疾患に特徴的な症状または臨床的徴候の程度、重症度、頻度、および/または見込みにおいてのいくらかの低減を意味する。「症状」は、疾患または対象の状態の任意の主観的証拠を指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、がんおよび/またはがん関連疾患を「治療する」または「治療すること」は、がんを有する、またはがんと診断された対象、患者、または個人に、本開示による単剤療法または併用療法を施して、少なくとも1つの肯定的な治療効果、例えば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢臓器へのがん細胞浸潤速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低下、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の逆転、低減、進行阻害、もしくは予防などを達成することを意味する。用語「治療」は、本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、「治療すること」について直前で定義した通りに治療する行為を指す。用語「治療すること」はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も含む。本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果として、新生細胞もしくはがん性細胞の増殖低減(もしくは破壊);転移もしくは新生細胞の阻害;腫瘍サイズの縮小もしくは減少;がんの寛解;がんに起因する症状の減少;がんに罹患している人々の生活の質の向上;がんの治療に必要な他の薬物の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つもしくは複数の耐性機序の克服;および/またはがん患者の生存期間の延長のうちの1つまたは複数が挙げられるが、それらだけに限らない。がんにおける肯定的な治療効果は、いくつかの方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、J.Nucl.Med.50:1S~10S(2009)を参照)。
【0028】
がんと診断された、またはがんを有する疑いのある対象に適用される「腫瘍」は、あらゆる大きさの悪性または悪性の可能性のある新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体領域を通常含まない組織の異常な増殖または塊である。固形腫瘍の例は、肉腫、がん腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に、固形腫瘍を形成しない(米国国立がん研究所、がん用語辞典)。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「併用」または「併用療法」は、併用療法の2種以上の治療剤を単独で、または医薬組成物もしくは医薬品の形態で投与することを指す。併用療法は、逐次的に、並行して、または同時に投与することができる。
【0030】
2種以上の薬剤の併用療法を施す場合、薬剤を同じ治療サイクルで投与しても、または異なるサイクルを使用して投与してもよい。好ましい一実施形態では、PF-07220060は、28日間サイクルで連続投与される。同様に、レトロゾールは、典型的には、28日間の治療サイクルで連続投与される。パルボシクリブは、典型的には、21日間の薬物投与とサイクルの間の7日間の休止期間とを含む、断続的な28日間の治療サイクルを使用して投与される。フルベストラントは、典型的には、最初の治療サイクルの1、15、29日目に筋肉内投与され、その後は月に1回投与される。
【0031】
本明細書に記載する方法および併用療法の各治療剤は、単独で、または薬務に従って治療剤および1種もしくは複数種の薬学的に許容できる担体、賦形剤、もしくは希釈剤を含む医薬品(本明細書では医薬組成物とも呼ばれる)中で投与することができる。
【0032】
用語「逐次的(sequential)」または「逐次的に(sequentially)」は、併用療法の各治療剤を、単独でまたは医薬品中で順々に投与することを指し、ここで、各治療剤は任意の順序で投与することができる。逐次投与は、併用療法における治療剤が異なる剤形である場合、例えば、ある薬剤が錠剤であり、かつ別の薬剤が無菌液体である場合、および/または薬剤が異なる投薬スケジュールに従って投与される場合、例えば、ある薬剤が毎日投与され、かつ第2の薬剤が週1回など少ない頻度で投与される場合に、特に有用であり得る。
【0033】
用語「並行して(concurrently)」は、併用療法における各治療剤を、単独でまたは別々の医薬品で投与することを指し、ここで、第2の治療剤は第1の治療剤の直後に投与されるが、治療剤は任意の順序で投与することができる。好ましい一実施形態では、治療剤は、並行して投与される。
【0034】
用語「同時(simultaneous)」は、併用療法の各治療剤を、例えば、単一剤形中に2種以上の薬物を含む固定用量配合剤として、同一の医薬品で投与することを指す。
【0035】
「投薬計画」は、1つまたは複数の治療サイクルを含む、1種または複数種の薬物、化合物、または組成物の投与期間を指し、ここで、各治療サイクルは、同一または異なる投与経路を使用して、異なる時間、頻度、または量で1種または複数種の薬剤を投与することを含み得る。投与もしくは投薬計画の反復、または投与もしくは投薬計画の調整は、所望の治療効果を達成するために必要に応じて実施することができる。
【0036】
PF-07220060(Pfizer Inc.)は、がん治療のための第I/Ib相臨床試験が現在行われている選択的CDK4阻害剤であり、以下の式(I)の構造を有する。
【0037】
【0038】
したがって、本開示のある種の実施形態は、対象に治療上有効な量のPF-07220060を投与することを含む、治療用量および投薬計画を提供する。
【0039】
PF-07220060は、薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物中に存在させることができる。医薬組成物中のPF-07220060の治療上有効な量は、約200mg~約1000mg、または本明細書に開示する治療上有効な量のいずれでもよい。
【0040】
ある種の実施形態において、PF-07220060の治療上有効な量は、1日あたり(すなわち、1日総用量)約200mg~約1000mg、例えば、1日あたり約200mg~約500mg、約200mg~約450mg、約200mg~約400mg、約200mg~約350mg、約200mg~約300mg、約400mg~約950mg、約400mg~約900mg、約400mg~約850mg、約400mg~約800mg、約500mg~約950mg、約500mg~約900mg、約500mg~約850mg、約500mg~約800mg、約600mg~約950mg、約600mg~約900mg、約600mg~約850mg、または約600mg~約800mgである。
【0041】
ある種の実施形態において、PF-07220060は、1日1回(QD)約200mg~約1000mg、例えば、約200mg~約500mgQD、約200mg~約450mgQD、約200mg~約400mgQD、約200mg~約350mgQD、約200mg~約300mgQD、約400mg~約950mgQD、約400mg~約900mgQD、約400mg~約850mgQD、約400mg~約800mgQD、約500mg~約950mgQD、約500mg~約900mgQD、約500mg~約850mgQD、約500mg~約800mgQD、約600mg~約950mgQD、約600mg~約900mgQD、約600mg~約850mgQD、または約600mg~約800mgQDの用量で投与される。
【0042】
ある種の実施形態において、PF-07220060の治療上有効な量は、1日2回(BID)約100mg~約500mg、例えば、約200mg~約500mgBID、約250mg~約500mgBID、約300mg~約500mgBID、約350mg~約500mgBID、約400mg~約500mgBID、約100mg~約450mgBID、約150mg~約450mgBID、約200mg~約450mgBID、約250mg~約450mgBID、約300mg~約450mgBID、約350mg~約450mgBID、約400mg~約450mgBID、約100mg~約400mgBID、約150mg~約400mgBID、約200mg~約400mgBID、約250mg~約400mgBID、約300mg~約400mgBID、約350mg~約400mgBIDである。
【0043】
いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に開示する治療上有効な量のいずれかの用量でPF-07220060を投与される。
【0044】
本明細書に記載の治療上有効な量のPF-07220060を含む医薬組成物は、1日1回(QD)または1日2回(BID)投与することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、対象は、PF-07220060を1日あたり約200mg~約1000mgの用量で、例えば、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または1000mgの1日用量で投与される。
【0046】
いくつかの実施形態において、PF-07220060は、約200mgQD、約300mgQD、約400mgQD、約500mgQD、約600mgQD、約700mgQD、約800mgQD、約900mgQD、または約1000mgQDの用量で投与される。
【0047】
いくつかの実施形態において、PF-07220060は、約100mgBID、約200mgBID、約300mgBID、約400mgBID、または約500mgBIDの用量で投与される。
【0048】
投与するPF-07220060の量は、対象の体重、年齢、健康状態、性別、または医学的状態に基づいて増加させても減少させてもよい。当業者なら、本開示に基づいて対象に対する適切な用量を決定することができるであろう。
【0049】
PF-07220060は、治療サイクルで投与することができ、治療サイクルの間に休止期間を設けても、設けなくてもよい。治療サイクルは、約7日間、約14日間、約21日間、約28日間、約35日間などの期間、またはその間の任意の日数でよい。休止期間は、1日間、数日間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間など)、1週間、数週間(例えば、2週間、3週間など)、またはその間の任意の日数(例えば、1週間および3日間)でよい。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、間にいずれの休止期間も設けずに連続的に投与される(すなわち、終了まで連続治療)。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、休止期間の有無にかかわらず、治療サイクル(例えば、約28日間)で投与される。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、約1週間の休止期間を設けて、約28日間投与される。PF-07220060は、少なくとも約7日間、約14日間、約21日間、約28日間、約2カ月間、約3カ月間、約12カ月間、約24カ月間、およびそれ以上投与してよい。
【0050】
医薬組成物は、食事の有無にかかわらず投与することができる。
【0051】
医薬組成物は、当業者によって適切であると考えられ、かつ剤形に応じた1種または複数種の経路で投与することができる。薬物の製剤化は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(1995)Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州イーストン市に説明されている。薬物製剤化の他の例は、Liberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、3巻、第2版、ニューヨーク州ニューヨーク市に見ることができる。化合物が経口投与される場合、化合物を、薬学的に許容できる担体、滑剤、または賦形剤とともに、丸剤、カプセル剤、錠剤などとして製剤化することができる。
【0052】
医薬組成物は、1種または複数種の剤形(例えば、カプセル剤、液体剤、錠剤、粉末剤)とすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、即時型放出製剤または調節型放出製剤で投与することができる。
【0054】
「即時型放出」または「IR」とは、経口投与後すぐにAPIを放出するように製剤化された経口剤形を広く意味する。IR製剤では、意図的に薬物放出速度を変更する試みはなされない。
【0055】
治療方法および用途
ある種の実施形態において、本開示は、本明細書に記載の治療上有効な量のPF-07220060を対象に投与するステップを含む、がんの治療を必要とする対象のがんを治療する方法を提供する。
【0056】
ある種の実施形態において、本開示はまた、本明細書に記載の治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を対象に投与するステップを含む、対象のがんを治療する方法を提供する。
【0057】
ある種の実施形態において、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造におけるPF-07220060の使用であって、その医薬品が、本明細書に記載のPF-07220060の治療上有効な単位投与量で投与される、使用を提供する。
【0058】
ある種の実施形態において、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造における、内分泌療法と併用したPF-07220060の使用であって、その医薬品が、本明細書に記載のPF-07220060の治療上有効な単位投与量で投与される、使用を提供する。
【0059】
ある種の実施形態において、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、本明細書に記載の治療上有効な量のPF-07220060を含む医薬品を提供する。
【0060】
諸実施形態において、本開示は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、本明細書に記載の治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を含む医薬品を提供する。
【0061】
本明細書に記載の方法、医薬品、配合剤、および使用のそれぞれのある種の実施形態において、PF-07220060は、連続的に(すなわち、毎日)投与される。
【0062】
ある種の実施形態において、本明細書に開示の方法は、CDK4によって媒介されるがんに罹患している対象にPF-07220060を投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、がんは、CDK4および/またはCCND1の増幅または過剰発現を特徴とする。一実施形態において、がんは、CDK4の増幅または過剰発現を特徴とする。一実施形態において、がんは、CCND1遺伝子の増幅またはサイクリンD1の過剰発現を特徴とする。
【0063】
ある種の実施形態において、本明細書に開示の方法は、乳がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん(PPC)、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、扁平上皮がん、または腺がんを含む)、食道がん、頭頸部がん(頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)を含む)、直腸結腸がん(CRC)、腎臓がん(腎細胞がん腫(RCC)を含む)、肝臓がん(肝細胞がん腫(HCC)を含む)、膵臓がん、胃(stomach)(すなわち、胃(gastric))がん、子宮内膜がん、脂肪肉腫、および甲状腺がんから選択されるがんに罹患している対象にPF-07220060を投与するステップを含む。本明細書で提供する方法のさらなる諸実施形態において、がんは、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態において、がんは、進行性または転移性の固形腫瘍である。
【0065】
いくつかの実施形態において、がんは、NSCLCである。いくつかの実施形態において、がんは、NSCLCの腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは、前立腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは、結腸直腸がんである。いくつかの実施形態において、がんは、脂肪肉腫である。
【0066】
いくつかの実施形態において、がんは、乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、進行性または転移性の乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、局所進行性である。いくつかの実施形態において、乳がんは、転移性乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、ホルモン受容体陽性(HR+)であり、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性(PR+)である。いくつかの実施形態において、乳がんは、ホルモン受容体陰性(HR-)であり、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体陰性(ER-)およびプロゲステロン受容体陰性(PR-)である。いくつかの実施形態において、乳がんは、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)である。いくつかの実施形態において、乳がんは、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)である。いくつかの実施形態において、乳がんは、HR+/HER2-乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、HR-/HER2+乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、ER+/HR+である。いくつかの実施形態において、乳がんは、ER+/HER2-である。いくつかの実施形態において、乳がんは、三種陰性乳がん(TNBC)であり、すなわち、乳がんは、ER-、PR-、およびHER2-である。
【0067】
いくつかの実施形態において、乳がんは、内分泌療法耐性乳がん、トラスツズマブもしくはペルツズマブ耐性乳がん、またはCDK4/CDK6阻害に対する一次もしくは後天性耐性を示す乳がんである。いくつかの実施形態において、乳がんは、標準治療剤による治療に対して耐性を示し、例えば、乳がんは、内分泌療法、HER2標的剤(例えば、タモキシフェン、トラスツズマブエムタンシン、ファム-トラスツズマブデルクステカン、ペルツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、もしくはツカチニブ)、またはCDK4/6阻害剤に対して一次または後天性耐性を示す可能性がある。いくつかの実施形態において、対象は、内分泌療法に難治性である。
【0068】
いくつかの実施形態において、乳がんは、白金製剤、タキサン、アントラサイクリン、もしくは抗代謝剤などの抗新生物化学療法剤による治療に対して難治性もしくは耐性があるか、またはその治療中に進行した。
【0069】
いくつかの実施形態において、乳がんは、アロマターゼ阻害剤によるアジュバント療法の治療中または完了後12カ月以内に進行した。いくつかの実施形態において、乳がんは、タモキシフェンによるアジュバント療法の治療中または完了後12カ月以内に進行した。
【0070】
いくつかの実施形態において、PF-07220060は、第一選択療法として投与される。他の諸実施形態において、PF-07220060は、第二(またはそれ以降の)選択療法として投与される。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、内分泌療法剤および/またはCDK4/CDK6阻害剤による治療後の第二(またはそれ以降の)選択療法として投与される。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、アロマターゼ阻害剤;選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)、例えばタモキシフェン;または選択的エストロゲン受容体分解剤/下方制御剤(SERD)などの内分泌療法剤による治療後の第二(またはそれ以降の)選択療法として投与される。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、1種または複数種の化学療法計画による治療後の第二(またはそれ以降の)選択療法として投与される。いくつかの実施形態において、PF-07220060は、HER2標的薬剤による治療後の第二(またはそれ以降の)選択療法として投与される。
【0071】
ある種の実施形態において、本明細書に開示の方法は、治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を対象に投与するステップをさらに含む。「内分泌療法剤」は、作用機序にかかわらず、がんの治療に有用な生物学的(大分子)または化学的(小分子)化合物である。
【0072】
いくつかの実施形態において、内分泌療法剤は、アロマターゼ阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)、または選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)である。いくつかの実施形態において、内分泌療法剤は、アンドロゲン受容体阻害剤である。いくつかの実施形態において、内分泌療法剤は、アロマターゼ阻害剤である。いくつかのそのような実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンからなる群から選択される。一実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、レトロゾールである。いくつかの実施形態において、内分泌療法剤は、SERDである。いくつかのそのような実施形態において、SERDは、フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health/Menarini)、アムセネストラント(SAR439859、Sanofi)、ジレデストラント(GDC9545、Roche)、RG6171(Roche)、カミゼストラント(AZD9833、AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Eli Lilly)、およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、SERDは、フルベストラントである。いくつかの実施形態において、内分泌療法剤は、SERMである。いくつかのそのような実施形態において、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、およびアフィモキシフェンからなる群から選択される。いくつかのそのような実施形態において、SERMは、タモキシフェンまたはラロキシフェンである。好ましい諸実施形態において、内分泌療法剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0073】
内分泌療法剤は、添付文書ごとの標準治療に従って投与してもよく、または医療従事者が提供してもよい。用語「添付文書」は、治療用製品の市販パッケージに慣例的に含まれる使用説明書を指し、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、投与量、投与、禁忌、および/または警告についての情報が含まれている。
【0074】
ある種の実施形態において、内分泌療法剤は、PF-07220060による治療の過程中に対象に投与される。ある種の実施形態において、内分泌療法剤の初回用量は、PF-07220060の初回用量を投与する前に投与される。ある種の実施形態において、内分泌療法剤の初回用量は、PF-07220060の初回用量の投与と同じ日に投与される。ある種の実施形態において、内分泌療法剤の初回用量は、PF-07220060による治療の開始後に投与される。
【0075】
ある種の実施形態において、対象にPF-07220060を投与する前に、対象は、内分泌療法の1つまたは複数のラインで以前に治療されている。
【0076】
ある種の実施形態において、対象にPF-07220060を投与する前に、対象は、化学療法、放射線療法、および/または外科的切除で以前に治療されている。
【0077】
ある種の実施形態において、対象にPF-07220060を投与する前に、対象は、CDK4/6阻害剤で以前に治療されている。
【0078】
いくつかの実施形態において、本治療は、対象において完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、または安定疾患(SD)をもたらす。
【0079】
治療結果および腫瘍奏効評価
本療法は、患者に完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、進行性疾患(PD)、または安定疾患(SD)をもたらす可能性がある。治療に対する奏効レベルを評価するために、バイオイメージングを使用することができる。必要に応じて、細胞診断および組織診断も使用することができる(例えば、残存病変の位置を特定するために)。いくつかの実施形態において、様々な奏効レベルを以下の表1に従って評価することができる。
【0080】
【0081】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を提供する。本開示の非限定的な例示的な実施形態を以下に示す。
【0082】
実施形態1。治療上有効な量のPF-07220060、または薬学的に許容できるその塩を、がんの治療を必要とする対象に経口投与するステップを含む、がんを治療する方法であって、治療上有効な量が、1日2回(BID)で約100mg~約500mgである、方法。
【0083】
実施形態2。治療上有効な量が、約300mg~約500mgBIDである、実施形態1に記載の方法。
【0084】
実施形態3。治療上有効な量が、約300mgBIDである、実施形態1または2に記載の方法。
【0085】
実施形態4。治療上有効な量が、約400mgBIDである、実施形態1または2に記載の方法。
【0086】
実施形態5。PF-07220060が、連続的に投与される、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態6。PF-07220060が、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態7。PF-07220060および内分泌療法剤を含む医薬組成物の治療上有効な量を、がんの治療を必要とする対象に投与するステップを含む、がんを治療する方法であって、PF-07220060の治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、方法。
【0089】
実施形態8。内分泌療法剤が、アロマターゼ阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERD)、または選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)である、実施形態7に記載の方法。
【0090】
実施形態9。内分泌療法剤が、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン、フルベストラント、エラセストラント、アムセネストラント、ジレデストラント、RG6171、カミゼストラント、AZD9496、リントデストラント、ZN-c5、LSZ102、D-0502、LY3484356、SHR9549、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、およびアフィモキシフェンからなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
【0091】
実施形態10。内分泌療法剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態7に記載の方法。
【0092】
実施形態11。対象に内分泌療法剤を投与し、続いてPF-07220060を投与する、実施形態7から10のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態12。対象が、化学療法、放射線療法、および/または外科的切除で以前に治療されている、実施形態1または7に記載の方法。
【0094】
実施形態13。対象が、CDK4/6阻害剤で以前に治療されている、実施形態1または7に記載の方法。
【0095】
実施形態14。対象が、内分泌療法剤で以前に治療されている、実施形態1または7に記載の方法。
【0096】
実施形態15。対象が、哺乳動物である、実施形態1または13に記載の方法。
【0097】
実施形態16。対象が、乳がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、および甲状腺がんに罹患している、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態17。がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)、ホルモン受容体陰性(HR-)、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2-)、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)、HR+/HER2-、ER-/HR+、ER+/HER2-、および三種陰性乳がん(TNBC)のうちのいずれか1種または複数種から選択される乳がんである、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態18。がんが、NSCLC、前立腺がん、結腸直腸がん、脂肪肉腫、またはCDK4および/もしくはCCND1の増幅もしくは過剰発現を特徴とする腫瘍である、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態19。がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造におけるPF-07220060の使用であって、医薬品が、PF-07220060の治療上有効な単位投与量として約100mg~約500mgBIDの量で投与される、使用。
【0101】
実施形態20。がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための医薬品の製造におけるPF-07220060および内分泌療法剤の使用であって、医薬品が、PF-07220060の治療上有効な単位投与量として約100mg~約500mgBIDの量で投与される、使用。
【0102】
実施形態21。がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、治療上有効な量のPF-07220060を含む医薬品であって、治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、医薬品。
【0103】
実施形態22。がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療に使用するための、治療上有効な量のPF-07220060および内分泌療法剤を含む医薬品であって、治療上有効な量が、約100mg~約500mgBIDである、医薬品。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本開示を単に例示するものであり、本発明の範囲をいかなる意味においても限定するものと考えるべきではない。というのは、これらの実施例およびその他の均等物が、本開示および添付の特許請求の範囲に照らして当業者に明らかになるからである。
【0105】
(実施例1)
単剤PF-07220060およびフルベストラントとの併用による多細胞腫瘍スフェロイド増殖阻害
この実施例の目的は、多細胞腫瘍スフェロイド増殖阻害(SGI)におけるPF-07220060と内分泌療法との併用効果を評価することであった。
【0106】
ヒト腫瘍の特性および細胞挙動をモデル化するために、以下のスフェロイドにおいてPF-07220060を単剤としておよびフルベストラントと併用して処理した後、PF-07220060の活性をHR+乳がんおよびAR+前立腺がんの3次元MCTSモデルで評価した
1)HR+、HER2-T47D乳がんスフェロイド、
2)HR+、HER2+BT474乳がんスフェロイド、
3)BT474スフェロイド、および
4)AR+前立腺がん腫細胞株(LNCaP)前立腺がんスフェロイド。
スフェロイドを、PF-07220060の濃度を100、300、または1000nMと増加させながら処理し、臨床的に関連する濃度である30nMでパルボシクリブと比較した。単剤PF-07220060は用量依存的にスフェロイド増殖を阻害し、T47D乳がんスフェロイドモデルにおいて最も高い有効性(1000nMでの処理期間にわたってSGIが86%)を示した(表1)。T47D細胞において100nMのPF-07220060と1nMのフルベストラントを併用すると、どちらか一方の単剤のみ(100nMのPF-07220060ではSGIが57~67%、またはフルベストラントではSGIが79%)と比較して、SGIが96%に増加した(表1)。BT474スフェロイドは、PF-07220060に対する感受性が比較的低く、1000nMでSGIが52%となった。
【0107】
PF-07220060は、LNCaP前立腺がんスフェロイド増殖の用量依存的阻害を示し、1000nMでSGIが53%に達した(表1)。
【0108】
要約すると、これらのデータは、HR+、HER2-乳がんにおけるPF-07220060の内分泌療法との併用使用を支持するものである。複数の腫瘍タイプにわたって、PF-07220060併用による相加的または相乗的な恩恵がある。PF-07220060は、単剤として使用した場合、用量依存的にスフェロイド増殖を阻害し、HR+、HER2-乳がんスフェロイドモデルにおいて最も高い活性が見られる。
【0109】
【0110】
(実施例2)
臨床試験プロトコル
PF-07220060を単剤として投与および内分泌療法と併用して投与した場合における安全性、忍容性、PK、およびPDを調査する現在進行中の非盲検、非ランダム化、用量設定の第1/1b相研究。
【0111】
研究設計
パート1Aにおいて、PF-07220060単独の単回漸増用量を100mgBID用量から開始して連続的に投与して、単剤療法としてのPF-07220060の最大耐用量(MTD)を決定し、かつ/または推奨第2相用量(RP2D)を選択する。
【0112】
パート1Bおよびパート1Cにおいて、PF-07220060を内分泌療法(レトロゾールまたはフルベストラント)と併用投与して、各内分泌療法剤と併用したPF-07220060のMTDを特定し、かつ/またはRP2Dを選択する。
【0113】
パート1Dは、単剤療法のMTD以下におけるPF-07220060のPKに対する食事の影響を評価する。パート1Dにおいて、参加者は、前7日目に単剤としてのPF-07220060を単剤療法のMTD以下で投与され、その後、1日目から連続的に投与され、食事の影響を評価する。
【0114】
パート1Eにおいて、パート1Aで確立された単剤療法のMTD以下で投与されたPF-07220060とミダゾラムとの間の潜在的な薬物-薬物相互作用(DDI)を評価する。
【0115】
パート2Bは、進行性疾患に対する全身抗がん療法をこれまでに受けたことのない、HR陽性/HER2陰性の進行性または転移性乳がん(mBC)の患者においてのPF-07220060とレトロゾールの併用療法の拡大コホートである。
【0116】
パート2Cは、前療法で疾患が進行したHR陽性/HER2陰性の進行性またはmBCの患者においてのPF-07220060とフルベストラント(ゴセレリンの有無にかかわらない)の併用療法の拡大コホートである。
【0117】
研究エントリーを投与1日目と定義する。すべてのサイクルは、長さが28日間である。代替投薬計画(例えば、QD)の評価は、用量漸増の過程中に、または安全性/忍容性、実験室検査、PK、およびPDの知見を含めた新規で入手可能な予備的臨床データに基づいてBID計画のMTD/RP2Dを決定した後に検討することができる。断続的に投与されるPF-07220060の投薬スケジュール(例えば、3週間投与、1週間休薬)も、新規な臨床データに基づいて示される場合には評価することができる。
【0118】
DLTを含む毒性を経験した参加者は、用量の変更または治療の中止により管理され得る。提案された用量、スケジュール、およびPK時点は、新規な安全性およびPKデータに基づいて研究中に変更することができる。
【0119】
研究にかかる時間は、観察された毒性および個々の参加者が得る潜在的利益によって異なる可能性がある。各参加者は約6~8サイクルの治療を継続すると推定され、全研究期間は約24~32週間となる。参加者が研究治療から利益を得た場合、実際の期間はより長くなる可能性がある。
【0120】
パート1Aで評価したPK、PD、および安全性プロファイルの進展に基づいて、パート1Bおよびパート1CでのPF-07220060の開始用量は、MTDで開始してもよいし、またはMTDに到達する前に、パート1Aでの過剰投与制御を伴う漸増(EWOC)基準を満たすベイズロジスティク回帰モデル(BLRM)により安全であると判断された用量レベルで開始してもよい。(Rogatko,A.ら、Translation of Innovative Designs Into Phase Trials、J.Clin.Oncol.、25(31)、4982~6、2007)。EWOC原則の使用により、MTDを超える用量で参加者を治療するリスクが制限される。さらに、パート1Bおよびパート1Cでは、PF-07220060の複数の投薬計画(例えば、異なる用量、投薬頻度)を調査することができる。
【0121】
研究集団
適格基準は、研究への参加が適切と考えられる参加者を選択するように設計される。患者選択のための採用基準は、以下の通りである:
参加者全員-組織学的または細胞学的に証明された局所進行性または転移性固形腫瘍であり、治癒目的で切除不能であるまたは放射線照射できないもの。
【0122】
パート1の疾患要件
パート1Bおよびパート1C:
・ 難治性HR陽性/HER2陰性(前CDK4/6を伴う2L+)乳がん。
パート1A、パート1D、およびパート1E:
・ 難治性HR陽性/HER2陽性乳がん。
・ 乳がん以外の腫瘍:NSCLC、前立腺がん、CRC、脂肪肉腫、または局所標準試験によりCDK4もしくはCCND1の増幅が以前に確認された腫瘍。
【0123】
パート2の疾患要件
パート2Bおよびパート2C:
・ HR陽性/HER2陰性乳がん
・ 以下のいずれかの参加者:
以下の基準のうち少なくとも1つによって定義される閉経後の女性:
・ 年齢が60歳以上;
・ 年齢が60歳未満であり、少なくとも12カ月間連続して月経が定期的に停止しているが他に病理学的または生理学的原因がなく、かつ血清エストラジオールおよび卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルが閉経後女性の検査機関基準範囲内である;
・ 両側卵巣摘出術が記録されている;
・ 卵巣機能不全が医学的に確認されている。
または
パート2Cにおいて:閉経前/閉経周辺期、すなわち、閉経後の基準を満たしていない。
・ 黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬のゴセレリンによる治療の影響を受けやすい場合、閉経前/閉経周辺期の女性も登録することができる。参加者は、登録の少なくとも4週間前にゴセレリンまたは代替LHRH作動薬による治療を開始していなければならない。参加者が研究エントリー前に代替LHRH作動薬を投与されている場合、試験期間中はゴセレリンに切り替えることが望ましい。しかし、ロイプロリドなど、他のLHRH拮抗薬でも許容できる。
【0124】
病変要件:
・ パート1において:参加者は、評価可能な病変(皮膚または骨病変のみを含む)を有していなければならない。
・ パート2Bおよびパート2Cにおいて:参加者は、RECIST(固形腫瘍における奏効評価基準)バージョン1.1(Eisenhauerら、European Journal of Cancer、2009、45(2):228~47)に従って定義された測定可能な疾患を有していなければならない。以前に放射線照射を受けた、または局所療法を受けた腫瘍病変は、治療完了後の治療部位の進行が明確に記録されている場合のみ測定可能とみなされる。
【0125】
前全身治療:
パート1において:
HR陽性/HER2陰性乳がん(パート1A/パート1B/パート1C/パート1D/パート1E)。参加者は、以下のことを受けているべきである:
・ 進行性もしくは転移性疾患のためのCDK4/6阻害剤療法を含む少なくとも1ラインの標準治療(SOC)、またはCDK4/6阻害剤が利用可能であるが研究者の見解で適切ではないと考えられる場合は、納得できる臨床的根拠が研究者により提供され、かつスポンサーにより承認されれば、参加者を登録することができる;または
・ CDK4/6阻害剤の承認もしくは償還がない国では、進行性もしくは転移性疾患のための少なくとも1ラインの抗内分泌療法。
設定している進行性疾患の前化学療法は、以下のどちらの場合においても許可される。
・ HR陽性/HER2陽性乳がん(パート1A/パート1D):参加者は、承認されたHER2標的療法の前治療を少なくとも1回受けているべきである。
・ 乳がん以外の腫瘍(パート1A/パート1D):進行性もしくは再発性疾患のための少なくとも2ラインの標準全身療法に抵抗性を示す腫瘍、または利用できる標準療法がない腫瘍。
パート2において:
パート2B:進行性/転移性乳がんに対する全身抗がん療法をこれまでに受けたことのない参加者。
パート2C:
・ 閉経後の場合はアロマターゼ阻害剤または閉経前もしくは閉経周辺期の場合はタモキシフェンによるアジュバント療法の治療中または完了後12カ月以内に進行、または
・ 閉経後の場合は進行性/転移性乳がんのための前アロマターゼ阻害剤療法または閉経前もしくは閉経周辺期の場合は進行性/転移性乳がんのための前内分泌治療の治療中または終了後1カ月以内に進行。
・ 内分泌療法に加えて、進行性/転移性疾患のための1ラインの前化学療法は許可される。
【0126】
採用基準
本研究の2つのパートの採用基準は、以下の通りである:
1.パート1とパート2(パート2Bを除く)の両方の参加者は、病態に臨床的有用性をもたらすことが知られている既存の治療法に難治性または不耐性でなければならない。
2.参加者は18歳以上である。
3.米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG))のパフォーマンスステータスが0または1である。
4.以下によって証明される通りの適切な骨髄機能:
a.ANC≧1,500/mm3または≧1.5×109/L;
b.血小板≧100,000/mm3または≧100×109/L;
c.ヘモグロビン≧9g/dL。この値に達するための限定的な輸血は、スポンサーの医療モニターとの協議後に許可される。最近(約3カ月間)、慢性的に輸血が必要であってはならない。
5.以下のように定義される適切な腎機能:施設の標準的な方法を使用して計算したパート1の推定クレアチニンクリアランスが50mL/分以上。曖昧な場合には、クレアチニンクリアランスをより正確に推定するために、24時間採尿検査を使用してもよい。
6.以下によって証明される通りの適切な肝臓機能:
a.総血清ビリルビン≦1.5×ULN、但し、参加者がギルバート症候群であることが立証されている場合を除く(この場合、総血清ビリルビン≦3.0×ULNまで許可される);
b.ASTおよびALT≦2.5×ULN;腫瘍による肝臓障害がある場合は≦5.0×ULN;
c.ALKP≦2.5×ULN(骨または肝転移の場合は≦5.0×ULN)。
【0127】
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する場合、参加者は、本研究から除外される:
1.パート1Dにおいて:胃切除を受けた参加者、または10時間の一晩絶食(水は許可)もしくは高脂肪、高カロリー食の摂取を妨げる食事制限またはその他の制限のある参加者。
2.パート2Bにおいて:非ステロイド系アロマターゼ阻害剤(すなわち、アナストロゾールもしくはレトロゾール)による前ネオアジュバントもしくはアジュバント治療で治療中もしくは治療完了後12カ月以内に疾患が再発、または任意のCDK4/6阻害剤による前治療。
3.パート2Cにおいて:任意のCDK阻害剤、またはフルベストラント、またはエベロリムス、またはPI3K-mTOR経路を阻害する作用機序を有する任意の薬剤による前治療。
4.臨床症状、脳浮腫、および/または進行性増殖により示される、既知の活動性の制御不能または症候性のCNS転移、がん性髄膜炎、または軟髄膜疾患。CNS転移または脊髄圧迫の既往歴のある参加者は、根治的治療(例えば、放射線療法、定位手術)を受けており、かつ登録前少なくとも4週間抗痙攣薬およびステロイドを服用しなくても臨床的に安定であり、かつ研究登録時に進行の証拠がない場合に、適格となる。
5.進行性/転移性、症候性、内臓転移を有し、短期的に生命を脅かす合併症のリスクがある参加者(制御されていない大量の滲出[胸膜、心膜、腹膜]、肺リンパ管炎、および50%超の肝臓障害を有する参加者を含む)。
6.登録前3年以内に、適切に治療された基底細胞もしくは扁平細胞皮膚がん、または上皮内がんを除く、他の任意の活動性悪性腫瘍。
7.研究エントリー前4週間以内に大手術。
8.研究エントリー前4週間以内に治療目的の放射線療法。任意の緩和的放射線療法は、研究介入投与1日目の前7日以内に完了していなければならない。
9.直近の抗がん治療が2週間(または半減期の5倍の期間のいずれか短い方)以内であるが、但し、直近の抗がん治療に抗体ベースの薬剤(承認薬または治験薬)が含まれていた場合を除いて、研究介入を受ける前に4週間(または半減期の5倍の期間のいずれか短い方)の間隔が必要である。
10.直近の前療法の一部としてフルベストラントを投与されたパート1Cの参加者は適格とする。
11.幹細胞レスキューを必要とする高用量化学療法を過去に受けたことがある。
12.HBV、HCV、既知のHIVまたはAIDS関連疾病を含むがこれらに限定されない、活動性かつ臨床的に重大な細菌、真菌、またはウイルスの感染。
13.参加者の安全性または研究結果の解釈に影響を及ぼす可能性のある、臨床的意義のある異常を示すベースライン時の12誘導ECG(例えば、ベースラインQTc間隔470ミリ秒超、完全LBBB、急性もしくは発症時期不明(indeterminate-age)の心筋梗塞の兆候、活動性心筋虚血を示唆するST-T間隔変化、第2度もしくは第3度AVブロック、または重篤な徐脈性不整脈または頻拍性不整脈)。ベースライン無補正QT間隔が470ミリ秒超である場合、この間隔は、Fridericia法を使用してレート補正されるべきであり、その結果得られるQTcFは、意思決定および報告に使用されるべきである。QTcが470ミリ秒を超える場合、またはQRSが120ミリ秒を超える場合は、ECGをさらに2回繰り返すべきであり、3つのQTcまたはQRS値の平均を使用して、参加者の適格性を決定すべきである。コンピュータで解釈されたECGは、参加者を除外する前に、ECGの読み取り経験のある医師によって精読されるべきである。症例については、スポンサーの医療モニターと詳細に話し合って、適格性を判断しなければならない。
14.過去6カ月間に以下のいずれかに罹患:心筋梗塞、先天性QT延長症候群、多形性心室頻拍、不整脈(持続性心室性頻脈性不整脈および心室細動を含む)、重篤な伝導系異常(例えば、二枝ブロック(右脚および左脚前枝もしくは左脚後枝ヘミブロックと定義する)、第3度AVブロック)、不安定狭心症、冠動脈/末梢動脈バイパス移植、症候性CHF、ニューヨーク心臓協会クラスIIIもしくはIV、脳血管発作、一過性脳虚血発作、または症候性肺塞栓症;深部静脈血栓症;動脈閉塞性疾患;NCI CTCAEグレード2以上の現在進行中の不整脈、制御されていない任意のグレードの心房細動、またはスクリーニング時のQTcF間隔470ミリ秒超。
15.制御することができない血圧(最適な薬物療法にもかかわらず150/100mmHg以上)。
16.治療用量の抗凝固剤治療が禁止されている(予防用量の抗凝血剤は許可される)。
17.出血素因などの既知の凝固異常。
18.PF-07220060、レトロゾール、フルベストラント、エンザルタミド、および/またはゴセレリン(または化学的閉経/化学的去勢を誘発する同等の薬剤)の有効成分/賦形剤に対する過敏症が既知または疑われる。
19.活動性の炎症性GI疾患、既知の憩室性疾患、または過去の胃切除もしくはラップバンド手術。PF-07220060の吸収を著しく変化させる可能性のあるGI機能障害またはGI疾患、例えば、腸盲係蹄および臨床的に重大な胃不全麻痺をもたらす可能性のあるGI手術歴、短腸症候群、未解決の吐き気、嘔吐、活動性の炎症性腸疾患、またはCTCAEグレード>1の下痢など。
20.QTc延長のリスクがある薬剤を現在使用している。
21.研究介入の初回投与前の、CYP3A4/5阻害剤またはUGT2B7阻害剤の半減期の5倍の期間のいずれか長い方の期間内に投与することを含む、強および中等度のCYP3A4/5阻害剤またはUGT2B7阻害剤による治療。
22.研究介入の初回投与の前7日以内のプロトンポンプ阻害剤(例えば、デクスランソプラゾール、エスメプラゾール(esmerpraole)、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール)による治療。
23.研究参加によりリスクを高める可能性がある、または研究者の判断で参加者が研究に不適当とされる可能性がある、最近(過去1年以内)または現時点での自殺念慮/行動または臨床検査値異常を含めたその他の医学的または精神的状態。
24.妊娠中または授乳中。
【0128】
(実施例3)
臨床試験結果
第1/1b相PF-07220060臨床試験が現在進行中である。2022年9月2日時点で、パート1A、パート1B、パート1C、およびパート1Dにおいて、合計66人の参加者(女性43人および男性23人)が、PF-07220060による治療を受けている。平均年齢は61.4歳(範囲36~82歳)であり、この集団は、HR+HER2-進行性またはmBC、ならびにNSCLCの腺がん、前立腺がん、CRC、脂肪肉腫、および地域の標準検査に従って以前にCDK4またはCCND1の増幅が確認された腫瘍を含む、CDK4依存的に増える可能性のあるその他の腫瘍を有する参加者を含む。これらの66人の参加者の人口統計データを表2に示す。
【0129】
【0130】
【0131】
患者集団
研究の各パートにおける患者集団の概要を表3に記載する。
【0132】
【0133】
パート1A - PF-07220060単剤の用量漸増
パート1Aの目的は、少なくとも1回の標準治療後(すなわち、2L以降)に進行した、HR陽性HER2陰性またはHR陽性HER2陽性の進行性またはmBCを有するあらゆる閉経状態の女性および男性、ならびに他の固形腫瘍、例えば、NSCLCの腺がん、前立腺がん、結腸直腸癌、脂肪肉腫、および地域の標準検査に従って以前にCDK4またはCCND1の増幅が確認された腫瘍などを有する参加者においての、逐次用量漸増コホートでの単剤としてのPF-07220060の用量増加の安全性および忍容性を調査することであった。進行性または転移性HR陽性mBCを有する患者は、ある種の基準下で、PF-07220060単剤療法を少なくとも2サイクル行った後、内分泌療法(レトロゾールまたはフルベストラントのいずれか)を追加投与することができる。
【0134】
パート1Aでは、PF-07220060単独の単回漸増用量を100mgBID用量から開始して連続的に投与して、単剤療法としてのPF-07220060のMTDを決定し、かつ/またはRP2Dを選択した。投与は、MTD/RP2Dを推定できるまで、逐次用量漸増コホートで継続する。
【0135】
34人の参加者(n=34)が、パート1A(5種の用量コホート)において、100mg(n=3)、200mg(n=8)、300mg(n=10)、400mg(n=9)、および500mg(n=4)BIDの単剤PF-07220060による治療を受けた。
【0136】
パート1Bおよびパート1C - 内分泌療法と併用したPF-07220060の用量探索
パート1Bおよびパート1Cの目的は、2L+設定でのHR陽性HER2陰性の進行性またはmBCを有するあらゆる閉経状態の女性および男性においての、レトロゾール(パート1B)またはフルベストラント(パート1C)それぞれと併用投与した場合のPF-07220060のMTD/RP2Dを決定することであった。
【0137】
パート1Bでは、参加者は、承認用量のレトロゾール2.5mgQDをPF-07220060とともに投与されて連続的に摂取した。13人の参加者(n=13)が、パート1B(2種の用量コホート)において、レトロゾールと併用した300mg(n=6)および400mg(n=7)BIDのPF-07220060による治療を受けた。
【0138】
パート1Cでは、参加者は、PF-07220060の経口投与の前に、フルベストラントの筋肉内(IM)注射を2回(各250mg)受けた。フルベストラントは、サイクル1の1日目および15日目、ならびにその後の各28日サイクルの1日目(サイクル番号により±1~5日)に、資格のある医療従事者によって施設内で投与された。13人の参加者(n=13)が、パート1B(2種の用量コホート)において、フルベストラント併用した300mg(n=6)および400mg(n=7)BIDのPF-07220060による治療を受けた。
【0139】
パート1D - PF-07220060における食事の影響
パート1Dの目的は、参加者における単回用量のPF-07220060単独の薬物動態(PK)に対する食事の影響を評価することであった。
【0140】
6人の参加者(n=6)は、サイクル1の前7日目に「摂食条件」下で、およびサイクル1の1日目では「絶食」条件下で、朝に単剤PF-07220060の400mgBIDによる治療を受けた。食事の影響を評価するために、参加者のPF-07220060血漿中濃度-時間データをサイクル1の前7日目とサイクル1の1日目で比較した。自然対数変換したAUCおよびCmax値を、分散分析モデルおよび固定効果としての治療を使用して分析した。このモデルから平均差(摂食時-絶食時)の推定値および対応する90%CIを得た。平均差および差に対する90%CIを累乗して、幾何平均の比(摂食時/絶食時)および比に対する90%CIの推定値を求めた。
【0141】
パート1E - ミダゾラムの薬物-薬物相互作用
パート1Eの目的は、進行性固形腫瘍を有する参加者において、PF-07220060の単剤療法MTDでの反復投与が経口ミダゾラムのPKに及ぼす効果を評価することである。パート1Eでは、参加者に、ミダゾラム2mgをサイクル1の前1日目に単独で、およびサイクル1の15日目にPF-07220060とともに経口投与する。ミダゾラムの投与は2回のみである。
【0142】
パート2Bおよびパート2C
- 内分泌療法と併用したPF-07220060の用量拡大
パート2Bの目的は、レトロゾールと併用したPF-07220060の忍容性、安全性、および予備的な抗腫瘍活性を評価することである。パート2Bは、進行性疾患に対する前全身抗がん療法をまったく受けたことのない、HR陽性、HER2陰性の進行性/転移性乳がんを有する参加者においての、パート1Bで特定された用量のレトロゾールと併用したPF-07220060の用量拡大である。パート2Bでは、参加者は、承認用量のレトロゾール2.5mgQDをPF-07220060とともに投与されて連続的に摂取した。
【0143】
パート2Cの目的は、フルベストラントと併用したPF-07220060の忍容性、安全性、および予備的な抗腫瘍活性を評価することである。パート2Cは、疾患が前治療で進行した、HR陽性、HER2陰性の進行性/転移性乳がんを有する参加者においての、パート1Cで特定された用量のフルベストラントと併用したPF-07220060の用量拡大である。CDK4/6阻害剤、フルベストラント、エベロリムス、およびMOAがPI3k-mTOR経路を阻害する任意の薬剤による前治療を受けている参加者は除外される。パート2Cでは、参加者は、PF-07220060を経口投与される前に、フルベストラントのIM注射を2回(各250mg)受ける。
【0144】
レトロゾールまたはフルベストラントと併用したPF-07220060の最適な投薬計画(例えば、様々な開始用量または様々なスケジュール)を特定できるようにするために、パート1Bおよびパート1CでBLRMによって安全であると判定された追加の投薬計画をパート2Bおよびパート2Cで調査することができる。
【0145】
投与方法:
PF-07220060
経口用PF-07220060を、少なくとも8オンス(240mL)の水とともに空腹時に投与した(パート1Dの前7日目における食事影響評価中を除く)。BID投与の研究全体を通じて、各投与の2時間前および1時間後には、食事も水以外の液体も摂取させなかった。QD投与の研究全体を通じて、各投与の2時間前および2時間後には、食事も水以外の液体も摂取させなかった。
【0146】
経口投与用錠剤としてのPF-07220060を、5mg、25mg、100mg、125mg、および200mgの即時型放出錠剤として提供した。
【0147】
パート1Dでのみ、PF-07220060を、サイクル1の前7日目およびサイクル1の1日目において少なくとも10時間の一晩絶食後に投与した。サイクル1の前7日目(摂食状態)では試験用朝食(以下に説明)を提供し、30分以内に摂取させなければならない。PF-07220060を、食事開始から30分後に約8オンスの水とともに投与した。投与後少なくとも4時間までは、追加の食事は許可しなかった。サイクル1の1日目に、参加者は、少なくとも10時間の一晩絶食後の絶食条件下で、PF-07220060の単回経口投与をもう1回受けた。PF-07220060を8オンスの水とともに投与した。投与後さらに4時間は食事を許可しなかった。どちらの治療日でも、薬物投与の1時間前および1時間後を除いて、水の自由な摂取は許可した。サイクル1の1日目以降、PF-07220060を空腹時に少なくとも8オンスの水とともに投与し、投与の2時間前および2時間後には食事も水以外の液体も摂取させなかった。
【0148】
摂取させた試験用朝食は、高脂肪(食事の総カロリー量の約50%)および高カロリー(約800~1000カロリー)の食事であった。この試験用食事から、タンパク質、炭水化物、および脂肪がそれぞれ約150、250、および500~600キロカロリー得られた。
【0149】
フルベストラント
フルベストラント(Faslodex(登録商標))は、5mLの透明な中性ガラス製(タイプ1)バレル2本入りとして入手可能であり、それぞれに250mg/5mLの筋肉内注射用フルベストラント溶液が入っており、開封明示蓋が取り付けられていた。シリンジは、バレルに接続するためのポリスチレン製プランジャ棒および安全針(SafetyGlide(商標))を備えたトレイに入っている。
【0150】
フルベストラント注射は、PF-07220060投与の前に完了した。フルベストラントは、Faslodex(登録商標)ラベルに添付の投与説明書に従って、サイクル1中の1日目および15日目、ならびにその後の各28日サイクルの1日目(±3日)に、5mL注射2回として臀部にゆっくりと(注射1回あたり1~2分)筋肉内投与した。
【0151】
直近の前治療の一部としてフルベストラントを受けていたパート1Cの参加者は、サイクル1の1日目の投与のみが必要となる(すなわち、15日目の投与は必要ない)。サイクル1の1日目は、フルベストラントの直近の投与から約28日後であった。
【0152】
レトロゾール
レトロゾール(Femara(登録商標))は、2.5mg錠剤として入手可能であった。
【0153】
レトロゾールは、PF-07220060とともに1日1回(2.5mgQD)連続経口投与した。レトロゾールは、PF-07220060と同時に投与する必要はなかった。
【0154】
ミダゾラム
ミダゾラムは、意識下鎮静のために臨床的に使用されるベンゾジアゼピンである。これは、CYP3Aによって特異的に代謝され、CYP3A活性のin vivoプローブとして広く使用されている。ミダゾラムの経口製剤は、GI管および肝臓におけるCYP3A活性への影響を評価するために使用される。得られた情報は、将来の研究において併用薬の制限または用量変更が適切かどうかを判断するために使用される。
【0155】
参加者は、ミダゾラムの投与2時間前および投与1時間後において、食事および水以外の液体を摂取することを控える。DDI評価のため、サイクル1の前1日目および15日目に、参加者に2mgのミダゾラム用量を8オンス(240mL)の水とともに経口投与する。ミダゾラムの投与は2回のみとする。
【0156】
I.薬物動態(pk)研究
現在進行中の第1/1b相研究において、2022年8月30日時点で、PF-07220060の単剤療法(パート1A)ならびに内分泌療法との併用療法(パート1Bおよびパート1C)に関する予備的なPKデータが、進行性固形腫瘍を有する参加者60人から入手可能であった。PF-07220060を、単剤として100~500mgBIDの範囲の用量で経口投与し、レトロゾールまたはフルベストラントと併用して300~400mgBIDで経口投与した。ノンコンパートメント法を使用して、PF-07220060の利用可能な血漿濃度-時間データを分析した。
【0157】
予備的なノンコンパートメントPK分析を、研究の参加者から収集した利用可能な試料に基づいて実施した。
図1は、経口BID投与後1日目のPF-07220060の血漿濃度-時間プロファイルを示す。
図2は、経口BID投与後15日目のPF-07220060の血漿濃度-時間プロファイルを示す。表4は、PF-07220060の単剤療法、およびレトロゾールまたはフルベストラントとの併用療法におけるPKパラメータの概要を示す。
【0158】
【0159】
予備的なPK結果は、PF-07220060が経口投与後に急速に吸収され、Tmaxの中央値が1~4時間であることを示した。PF-07220060の、Cmax、AUC、およびCminを含む曝露パラメータは、サイクル1の1日目およびサイクル1の15日目の両方において、用量が100から300mgBIDに通常増加するにつれて通常増加した。300mgBIDを超える用量では、曝露パラメータのさらなる増加は観察されなかった。BID投与を繰り返した後、AUCの中程度の累積が観察された。一般に、PF-07220060は、曝露パラメータにおいて対象間で中程度のばらつきを示した。単剤療法およびレトロゾールまたはフルベストラントとの併用療法としてのPF-07220060のPKは、概ね同等であった。
【0160】
II.安全性
用量制限毒性(DLT)
2022年9月2日時点で、評価可能な55人の参加者のうち、4人(7.3%)の参加者がDLTを経験した。PF-07220060単剤500mgBIDコホートにおける2人の参加者が、グレード3の血小板減少のDLTを経験した。PF-07220060単剤200mgBIDコホートにおける1人の参加者が、グレード3の好中球減少のDLTを経験し、フルベストラントとのPF-07220060併用400mgBIDコホートにおける1人の参加者が、5日以上のグレード3の好中球減少のDLTを経験した。
【0161】
有害事象
第1/1b相臨床試験においてPF-07220060を投与された患者の有害事象は、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)バージョン4.03を使用して評価した。2022年9月2日時点で、以下の有害事象データが得られた。
【0162】
因果関係のあるすべての、治療下で発現した有害事象(Treatment-Emergent Adverse Event:TEAE)
パート1A、パート1B、パート1C、およびパート1DでPF-07220060を投与された66人の参加者のうち59人(89.4%)において、合計375件の因果関係のあるすべてのTEAEが報告された。
【0163】
パート1A(単剤PF-07220060)では、参加者34人のうち合計32人(94.1%)が、因果関係のあるすべてのTEAEを報告した。全用量レベルにわたって最も多く報告された(20%以上)因果関係のあるすべてのTEAEは、好中球減少(41.2%)、貧血、下痢、白血球減少(各35.3%)、吐き気(29.4%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、および嘔吐(各20.6%)であった。全用量レベルにわたって、合計15件のグレード3以上の因果関係のあるすべてのTEAEが報告された。最も多く報告された(5%以上)グレード3以上の因果関係のあるすべてのTEAEは、好中球減少(14.7%)、貧血、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、COVID-19、下痢、白血球減少、血小板減少、および失神(各5.9%)であった。グレード4のTEAEは、報告されなかった。400mgBID群における1人の参加者は、グレード5の因果関係のあるすべてのTEAE(呼吸不全;研究薬物PF-07220060とは無関係)を経験した。
【0164】
パート1B(PF-07220060とレトロゾールの併用)では、参加者13人のうち10人(76.9%)が、因果関係のあるすべてのTEAEを報告した。最も多く報告された(20%以上)因果関係のあるすべてのTEAEは、下痢(38.5%)、疲労(30.8%)、ならびに吐き気、好中球減少、および副鼻腔炎(各23.1%)であった。全用量レベルにわたって、1人(7.7%)の参加者が、貧血、白血球減少、および好中球減少(各7.7%)を含むグレード3の因果関係のあるすべてのTEAEを報告した。グレード4およびグレード5の因果関係のあるすべてのTEAEは、報告されなかった。
【0165】
パート1C(PF-07220060とフルベストラントの併用)では、参加者13人のうち13人(100%)が、少なくとも1件の因果関係のあるすべてのTEAEを経験した。最も多く報告された(20%以上)因果関係のあるすべてのTEAEは、好中球減少(53.8%)、下痢、白血球減少、および吐き気(各46.2%)、血小板減少および高血糖(各30.8%)、貧血、疲労、および嘔吐(各23.1%)であった。全用量レベルにわたって、合計7件のグレード3の因果関係のあるすべてのTEAEが報告され、それには、好中球減少(23.1%)、白血球減少(15.4%)、ならびに貧血、吐き気、および胆道感染(各7.7%)が含まれた。グレード4および5のTEAEは、報告されなかった。
【0166】
パート1D(単剤PF-07220060、400mgBID、食事コホート)では、参加者6人のうち4人(66.7%)が、TEAEを報告した。最も多く報告された(20%以上)因果関係のあるすべてのTEAEは、下痢、白血球減少、および好中球減少(各50.0%)であった。グレード3および5のTEAEは、報告されなかった。1人の参加者が、グレード4の因果関係のあるすべてのTEAE(呼吸不全)を報告した。
【0167】
治療関連の、治療下で発現した有害事象
パート1の用量漸増においてPF-07220060を単剤として投与された66人の参加者のうち54人(81.8%)の参加者が、何らかの治療関連TEAEを報告した。全体にわたって、最も多く報告された(20%以上)治療関連TEAEは、好中球減少(40.9%)、下痢(33.3%)、白血球減少(30.3%)、吐き気(27.3%)、および貧血(21.2%)であった。
【0168】
パート1A(単剤PF-07220060)では、34人の参加者のうち27人(79.4%)の参加者が、少なくとも1件の治療関連TEAEを経験した。
【0169】
全用量レベルにわたって最も多く報告された(10%以上)治療関連TEAEは、好中球減少(41.2%)、貧血および白血球減少(各29.4%)、吐き気(26.5%)、下痢(23.5%)、血小板減少(20.6%)、嘔吐(14.7%)、ならびに疲労(11.8%)であった。合計9人(26.5%)の参加者が、グレード3の治療関連TEAEであった。最も多く報告された(5%以上)グレード3の治療関連TEAEは、好中球減少(14.7%)、貧血、下痢、白血球減少、および血小板減少(各5.9%)であった。グレード4およびグレード5の治療関連TEAEは、報告されなかった。
【0170】
パート1B(PF-07220060とレトロゾールの併用)では、参加者13人のうち合計10人(76.9%)が、治療関連TEAEを報告した。最も多く報告された(20%以上)治療関連TEAEは、下痢(38.5%)、疲労(30.8%)、吐き気および好中球減少(各23.1%)であった。コホート全体で1人(7.7%)の参加者が、貧血、白血球減少、および好中球減少(各7.7%)を含むグレード3の治療関連TEAEを報告した。グレード4およびグレード5のTEAEは、報告されなかった。
【0171】
パート1C(PF-07220060とフルベストラントの併用)では、参加者13人全員(100%)が、少なくとも1件の治療関連TEAEを経験した。最も多く報告された(20%以上)治療関連TEAEは、好中球減少(53.8%)、下痢および白血球減少(各46.2%)、吐き気(38.5%)、高血糖(30.8%)、貧血、疲労、嘔吐および血小板減少(各23.1%)であった。参加者13人のうち合計6人(46.2%)が、グレード3の治療関連TEAEであった。報告されたグレード3の治療関連TEAEは、好中球減少(23.1%)、白血球減少(15.4%)、ならびに貧血および吐き気(各7.7%)であった。グレード4および5のTEAEは、報告されなかった。
【0172】
パート1D(単剤PF-07220060、400mgBID、食事コホート)では、参加者6人のうち合計4人(66.7%)が、治療関連TEAEを報告した。最も多く報告された(20%以上)治療関連TEAEは、下痢、白血球減少、および好中球減少(各50.0%)であった。グレード3、4、および5の治療関連TEAEは、報告されなかった。
【0173】
安全性の結論:
入手可能な安全性の結果は、HR+HER2-進行性またはmBC、ならびにNSCLCの腺がん、前立腺がん、CRC、脂肪肉腫、および地域の標準検査に従って以前にCDK4またはCCND1の増幅が確認された腫瘍を含む、CDK4依存的に増える可能性のあるその他の腫瘍を治療するためのPF-07220060の現在進行中の臨床開発を支持するものである。
【0174】
III.有効性
評価可能な70人の患者から有効性データを得た。2022年10月15日時点で、PF-06873600は、すべてのコホートにわたる評価可能な患者において65.7%(n=65.7/100)の疾患制御率を示した。これには、完全奏効が確認された参加者1人および部分奏効が確認された参加者6人が含まれた。RECISTバージョン1.1に従って評価した評価可能な患者(表5)のうち、疾患制御率は、PF-07220060単剤群(合計パート1A)で57.9%(n=22/38)、PF-07220060+内分泌療法併用群(パート1B+パート1C)で80.8%(n=21/26)であった。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
PF-07220060は、HR+/Her2-転移性乳がん患者集団において、内分泌療法と併用した場合に抗腫瘍活性の初期徴候を示した。フルベストラントおよびレトロゾールと併用した場合のRDEでの用量拡大コホートにおける有効性評価が現在進行中である。
【国際調査報告】