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特表2024-542636セパレータバルブを備える自動上昇装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】セパレータバルブを備える自動上昇装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 19/00 20060101AFI20241108BHJP
   B66C 1/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B66F19/00 B
B66C1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532186
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022083598
(87)【国際公開番号】W WO2023094686
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】PA202101132
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524201572
【氏名又は名称】コボット リフト エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルエルセン、フレミング ビスチョフ
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004FA01
3F004FB05
(57)【要約】
本発明は、真空源に接続された巻上チューブ(12)を備える上昇装置に関し、調整可能な巻上チューブ(12)は、内部容積部と、動作中に対象物の表面に気密閉鎖部を提供する縁部と、を備える吸着パッド(5)に取り付けられ、又は固定される。真空源は、巻上チューブ(12)を低圧にし、巻上チューブ(12)の内部容積部は、空気が一方から他方に流れ得るように吸着パッド(5)の内部容積部に接続され、真空源は、巻上チューブ(12)に流入する空気が制限又は遮断されたときに上昇力を提供する。上昇装置は、少なくとも1つの位置において、巻上チューブ(12)の内部容積部と、吸着パッド(5)の内部容積部との間の空気流を減少させ、少なくとも1つの開位置において、巻上チューブ(12)の内部容積部と、吸着パッド(5)の内部容積部との間の最大空気流を可能にするセパレータ(15)を備えるバルブユニット(14)を更に備える。バルブユニット(14)は、バルブユニット(14)を通る、最大空気流を可能にする開位置と、最小空気流を可能にする閉位置と、の間で動作中にセパレータ(15)の位置を制御するアクチュエータ(6)を更に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な真空源に接続される巻上チューブ(12)を備える上昇装置であって、内部容積部と、動作中に対象物の表面に気密閉鎖部を提供する縁部と、を備える吸着パッド(5)に、前記巻上チューブ(12)が取り付けられ、又は固定され、
-前記真空源が、前記巻上チューブ(12)を低圧にし、前記巻上チューブ(12)の前記内部容積部が、空気が一方から他方に流れ得るように前記吸着パッド(5)の前記内部容積部に接続され、前記巻上チューブ(12)に流入する空気が制限又は遮断されたときに、前記真空源が上昇力を提供し、
-少なくとも1つの位置において、前記巻上チューブ(12)の前記内部容積部と、前記吸着パッド(5)の前記内部容積部との間の空気流を減少させ、少なくとも1つの開位置において、前記巻上チューブ(12)の前記内部容積部と、前記吸着パッド(5)の前記部内容積部との間の最大空気流を可能にするセパレータ(15)を備えるバルブユニット(14)を、前記上昇装置が、更に備える、上昇装置において、
前記バルブユニット(14)が、前記バルブユニット(14)を通る、最大空気流を可能にする開位置と、最小空気流を可能にする閉位置との間で、動作中に前記セパレータ(15)の位置を制御するアクチュエータ(6)を更に備える、ことを特徴とする、
上昇装置。
【請求項2】
前記バルブユニット(14)が、上部開口部(1)と、下部開口部(2)と、内部容積部(8)と、を備えるハウジング(4)を備え、空気が、動作中に前記巻上チューブ(12)と前記吸着パッド(5)との間で、開口(1,2)及び容積(8)を通って流れ得る、請求項1に記載の上昇装置。
【請求項3】
前記セパレータ(15)が、プレート、すなわち、任意選択で、長方形の周囲の平坦な物品で構成される、請求項1または2に記載の上昇装置。
【請求項4】
前記バルブユニット(14)が、前記開位置と前記閉位置との間の直線に沿って前記セパレータ(15)をガイドするトラックなどのガイド手段(20,21)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項5】
下部端部での前記巻上チューブ(12)が、長手方向部材(11)の第1の端部に取り付けられ、又は固定され、第2の端部で、前記長手方向部材(11)が、前記バルブユニット(14)に取り付けられ、又は固定され、摺動部材(10)が、前記長手方向部材(11)に沿って第1の端部位置と第2の端部位置との間で2方向に摺動するように構成され、前記長手方向部材(11)に対する前記摺動部材(10)の実際の位置が、前記圧力制御システムの前記上昇力を決定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項6】
前記長手方向部材(11)が、空気を押し込み得る中央開口部を備え、前記長手方向部材(11)が、前記長手方向部材(11)の壁の長手方向に延在するバルブ開口部(13)と共に構成され、前記バルブ開口部(13)が、前記中央開口部及び周囲との間で空気が流れることを可能にし、前記摺動部材が前記第1の端部位置にあるときに、前記バルブ開口部(13)が前記摺動部材(10)によって覆われ得る一方で、前記摺動部材(10)が前記第2の端部位置にあるときに、前記バルブ開口部(13)が前記摺動部材(10)によって覆われないか、又は部分的にのみ覆われるように、前記バルブ開口部(13)が構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項7】
前記吸着パッド(5)が、上昇させる対象物の表面に対して気密閉鎖部を提供する可撓性又は弾性リップ(17)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項8】
前記可撓性又は弾性リップ(17)が、前記吸着パッド(5)の全周に延在する溝(26)内に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項9】
前記吸着パッド(5)の前記リップ(17)が、圧力を受けたときに、前記溝(26)内に押し込まれるために十分に可撓性である、請求項1から8のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項10】
対象物が前記吸着パッドに圧力差によって取り付けられたときに、前記対象物と前記吸着パッドとの間に生じる圧力差が前記吸着パッドと前記対象物との間に本質的に生じる、前記吸着パッド(5)の前記溝(26)内に、前記リップが弾性変形下で押し込まれるように、前記リップ(17)、及び前記吸着パッド(26)の前記溝が、相互に適合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の上昇装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の上昇装置によって対象物を上昇及び移動させる方法であって、前記方法が、
・周囲圧力よりも低い圧力を前記巻上チューブ内に生成するステップと、
・前記巻上チューブの内部の圧力を調整することによって前記吸着パッドの高さを制御するステップと、
・前記吸着パッドを前記上昇させる対象物の上方の位置に移動させるステップと、
・前記セパレータが前記開位置に向かって移動するように前記アクチュエータを作動させ、それによって、前記吸着パッドが前記上昇させる対象物上に下降するように前記吸着チューブの内部の圧力を制御し、それによって、前記対象物を前記吸着パッドに取り付けるステップと、
・前記巻上チューブの内部の圧力を制御することによって前記対象物を上昇させるステップと、
・前記吸着パッドを移動させることによって前記対象物を移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項12】
製品を移動させつつ、前記アクチュエータを作動させ、前記セパレータを閉位置に向かって移動させるステップを更に含む、請求項11に記載の、上昇装置によって対象物を上昇及び移動させる方法。
【請求項13】
移動させつつ、前記吸着パッドに取り付けられた前記対象物を維持するために、前記巻上チューブの内部の圧力を調整するステップを更に含む、請求項11又は12に記載の、上昇装置によって対象物を上昇及び移動させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を垂直に上昇させ、場合によっては水平に再配置するための上昇装置に関する。上昇装置は、吸着パッドなどの1つ又は複数の捕捉部を用いて構成される第1のユニットと、対象物の垂直位置、及び任意選択で水平位置を制御するように構成される第2のユニットと、を備える。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0493979(A1)号明細書は、可変長蛇腹状リフトチューブの膨張又は収縮がリフトチューブ内の真空レベルを制御することによって制御される従来の真空上昇/巻上装置を開示しており、この高さは次に、リフトチューブの内部を大気に接続及び/又は隔離するように使用者が操作可能なバルブによって制御される。したがって、全開バルブ位置では、リフトチューブ内部は大気に開放され、リフトチューブ内の真空はなくなり、チューブが懸架点から垂直に吊り下げられた状態で、リフトチューブはその最大拡張長さまで降下する。逆に、全閉バルブ位置では、真空は最大になり、チューブは、その最大収縮位置まで上昇し、使用時に最大リフト高さになる。その結果、バルブの中間開放は中間位置になる。欧州特許第0493979(A1)号明細書による装置は、使用者4の片手3によって把持されるように適合された固定上部ハンドル2を備える真空上昇/下降ヘッド12を開示している。ヘッド12はまた、片手の手動操作に適した可動下部ハンドル7を備える。ヘッド12の一部には三角形開口部10が設けられ、これに対応して、単純なカバープレートの形態の三角形バルブ部材11が下部ハンドル7に取り付けられ、使用者の下部ハンドル7の移動によって変位可能である。開口部10がバルブ部材11によって完全に閉鎖された状態で、リフトチューブ23内に最大真空レベルが存在し、したがって、蛇腹状に最小長まで収縮して、真空上昇ヘッドを最大高さにする。したがって、第1の要件は、上昇され、再配置され、次いで下降される物品18と係合するまで、使用者がヘッド12を下降することである。したがって、使用者の手3の手のひらが固定ハンドル2を把持する状態で、使用者の指は、下方に向けられ、下部可動ハンドル7に係合して下方に押し下げられる。これは、リフトチューブ23によって吊り下げられた上昇ヘッド12が固定ハンドル2を適切に操作することによって使用者のガイドの下で物品18に接触するまで、開口部10を露出させ、関連する真空ポンプの排気能力を超える開口部10を通る空気の突入によってリフトチューブ23内の真空がなくなる。次いで、可動ハンドル7の上方への引上げは、開口部10を部分的に閉鎖して、リフトチューブ23と上昇ヘッド12との両方の内部の真空を再形成する。バルブ部材11による開口部10の部分的な開放により、使用者によって制御される程度まで、物品18は把持され、使用者が制御可能な高さで空中停止モードになる。使用者が可動ハンドル7で更に上方に移動させると、開口部10は、バルブ部材11によって完全に閉鎖され、物品18は、最大高さまで上昇し、再配置され得る。その結果、再配置位置では、バルブ部材11の使用者制御によって開口部10の部分的な露出は、リフトヘッド12及び物品18を下降させる一方で、完全な露出は、以前に上昇、移動、及び下降された物品18を解放する。
【0003】
国際公開第2007094720号パンフレットは、上部端部に懸架され、オン及びオフに切り換えられるように適合された真空源に接続された垂直巻上チューブを有する真空巻上装置を開示しており、このチューブは、下部端部に、吸着フットと、吸着フットを操作するために吸着フットに固定された位置決めハンドルと、巻上チューブに広がる空気圧に応じて巻上チューブが軸方向に伸縮可能であるように、巻上チューブへの空気の流入を可能にするための手動操作バルブ装置と、を備える。装置は、チューブ状の位置決めハンドルを備え、巻上チューブの内部と吸着フットの内部との間の斜め下方の接続を構成し、上部端部位置と下部端部位置との間に配置された外側の軸方向に摺動可能に取り付けられた把持スリーブを備え、把持スリーブは、接続手段によって手動操作バルブ装置に接続され、把持スリーブが、ばねの作用に抗して下部端部位置に向かって摺動されると、バルブ装置は強制的に開かれる。把持スリーブを作動させることなく、バルブ装置は閉じられ、作動する吸引源を用いて、吸着フットは動かないように吊り下げられたままであるか、又は真空巻上装置の調整に応じて上部リフト位置までゆっくりと上昇させられる。把持スリーブが下方に摺動されると、バルブ装置が開放されて、空気が巻上チューブ内に流入し、巻上チューブ内の真空が減少し、吸着フットが下降する。吸着フットが対象物上に配置された後、把持スリーブを上方に摺動させることができ、それにより、バルブ装置に作用するばね力によって補助されるバルブ装置が閉じられ、対象物は、吸着フットにしっかりと吸着され、これによって、巻上チューブ内の真空の増加に起因して、巻上チューブが収縮し始めるときに上方に上昇される。
【0004】
国際公開第21/110843号パンフレットは、対象物を垂直に上昇させ、場合によっては水平に再配置するための上昇装置に関する。上昇装置は、吸着パッドなどの1つ又は複数の捕捉部を用いて構成される第1のユニットと、対象物の垂直位置、及び任意選択で水平位置を制御するように構成される第2のユニットと、を備える。上昇装置は、第1のユニット(1)と、第2のユニット(2)と、を備え、第1のユニット(1)は、対象物を捕捉及び/又は保持し、対象物を垂直方向に移動させるための動力を提供するように構成され、第2のユニット(2)は、対象物の垂直位置を制御するように構成され、第1のユニット(1)は、固定垂直延在部(3)と、水平延在部(4)と、第1及び第2の取り付け位置を備える巻上チューブなどの上昇部(12)と、を備え、第1の取り付け位置では、上昇部(12)は、水平延在部(4)に取り付け又は固定され、第2の取り付け位置では、上昇部(12)は、長手方向部材(11)に取り付け又は固定され、長手方向部材(11)は、吸着パッドなどの捕捉部(5)を備える。摺動部材(10)は、長手方向部材(11)に沿って第1の端部位置と第2の端部位置との間で2方向に摺動するように構成され、長手方向部材(11)に対する摺動部材(10)の実際の位置は、上昇部(12)の上昇力を決定するように構成される。第2のユニット(2)は、第1の取り付け位置と、第2の取り付け位置と、を備え、第1の取り付け位置は、第1のユニット(1)の垂直延在部(3)に固定され、第2の取り付け位置は、第2のユニット(2)によって第2の取り付け位置で誘発されたすべての運動を摺動部材(10)に伝達するように構成される剛性結合によって第1のユニット(1)の摺動部材(10)に固定される。この上昇装置はまた、プレート(15)を備えるバルブ(14)を備えてもよく、バルブ(14)は、巻上チューブ(12)の内部空間及び真空と、吸着パッド(5)の内部空間及び真空と、の間の分離をもたらしてもよく、バルブ(14)は、プレート(15)を前方位置と後方位置との間で摺動させることによって機能する。しかしながら、このバルブ(14)の開放、及びプレート(15)の位置は、上昇動作の前に固定されなければならず、上昇動作中にバルブを操作することは不可能である。バルブ(14)の開口部、すなわちプレート(15)の位置は、使用中のノイズ及びエネルギー消費を低減するために、移動される特定の対象物の表面に圧力を与えるために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0493979(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2007094720号パンフレット
【特許文献3】国際公開第21/110843号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、自動上昇装置の改善した制御に関して利点を有する上昇装置を提供することである。動作中にバルブを開閉することを可能にすることによって、動作中に吸着力を更に変化させ、それによって、長手方向部材(11)に沿って第1の端部位置と第2の端部位置との間で2方向に摺動するように構成される摺動部材(10)など、一次真空制御ユニットによって行われる真空制御を支援することができ、長手方向部材(11)に対する摺動部材(10)の実際の位置は、上昇部(12)の上昇力を決定するように構成される。
【0007】
用語解説
一般に、本明細書の文脈でこれらの単語が説明する特徴は、本明細書又は特許請求の範囲で定義する本発明の1つ又はすべての実施形態で使用され得る。
【0008】
固定、固定した、固定的になど、2つの部品が互いに固定されているということは、部品を破壊することなく2つの部品を互いに解放することができないことを意味し、部品は互いに恒久的に取り付けられていると考えられてもよい。
【0009】
空気、「空気」という単語は、一般に「気体」という単語で置換されてもよく、すなわち、それは、気体、すなわち流体としての空気の機能性であり、これは、本明細書に関連した関連物であり、それ自体の組成ではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】国際公開第21/110843号パンフレットに開示されているような従来技術による上昇部の実施形態の図である。
図2】バルブユニットの断面図である。
図3】バルブユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態において、異なる実施形態における同じ又は類似の機能を有するユニットは、同じ参照番号を有する。
【0012】
一般に、本発明は、従来技術に関して説明したものと同様の機能を有する上昇装置又は巻上装置に関し、動作中の真空リフトチューブは、ポンプによって連続的に低圧にされ、リフトチューブの開口部は、リフトチューブの内部の圧力と、対象物が上昇しているか、下降しているか、又は一定の高さに保たれているかと、を決定する。
【0013】
本発明による上昇装置は、吸着パッドが真空と関係し得る滑らかな表面を備えるあらゆる種類の対象体を上昇させるために適用されてもよく、例えば対象物は、バッグ、サック、バケット、バレル、パッケージ、ボックスなどであってもよい。本発明による上昇装置は、バッグ又はサックなどの柔らかい又は柔軟な外面を有する対象物を上昇させるときに有利に適用され得る。
【0014】
図1は、従来技術から知られている上昇装置の一部の拡大図を示している。この上昇装置は、中央開口部24を備える長手方向部材11に取り付けられた吸着パッド5を備える。上昇装置はまた、巻上チューブ12の内部空間及び真空と、吸着パッド5の内部空間又は真空と、の間の分離をもたらし得るバルブ14を備える。図1のバルブ14は、摺動部材10と吸着パッド5との間に配置されるボックス形状であり、バルブ14が閉じているとき、対象物が吸着パッド5に取り付けられることなく、巻上チューブ12の内部の低い圧力を維持することができる。バルブ14は、吸着カップ5の直上に位置している。バルブ14は、いわゆるドロップオフバルブ(図1には図示せず)を備える。図3に最もよく見られるドロップオフバルブ16は、吸着カップの内部と、周囲の大気との間の圧力を等しくすることができる。これが起こると、吸着カップ5はその耐荷重能力を失うことになる、したがって、吸着カップから製品を解放するためにドロップオフバルブが使用される。これの欠点は、製品が解放されると、長手方向部材12と巻上チューブ12との両方の圧力がそれに応じて低下することになり、したがって、巻上チューブ11がその上昇能力を失うことである。典型的には、ホスティングチューブは、ちょうど解放された製品上で落下(崩壊)する。これを防止するために、バルブ14は、長手方向部材11の下部30に向かうバルブの開口部を覆い得るプレート15を有するスロットルバルブを備える。
【0015】
プレート15は、プレート15が開口部を覆う閉位置に摺動し得る。プレート15はまた、開位置に摺動し得る。プレート15は、これらの2つの端部位置間のすべての位置にあってもよく、長手方向部材11と吸着パッド5との間の開口部25を通る吸気の詳細な制御を可能にする。
【0016】
図3に最もよく見られるように、プレート15は、切り欠き/開口部を備える。この開口部は、プレート15がバルブ14と長手方向部材11の下部30との間の空気流を完全に遮断することを防止し、したがって、プレートがその閉位置に移動されるときに吸着カップ15がそれに取り付けられた製品を意図せずに解放することを防止する。
【0017】
最小開口部は、吸着カップと製品との間に好適な密着結合を形成する表面を備える製品を上昇させるために、吸着カップが使用されるときに使用される上昇動作中である。切り欠きによって画定される減少した開口部は、解放バルブが開かれたとき16に吸着カップと巻上チューブとの間で、圧力が完全に均等化されず、したがって製品を解放するときの巻上チューブ12の崩壊が防止されることを伴う。
【0018】
システムが、吸着カップと製品との間に密着結合を形成しない表面を有する製品を上昇させるために使用される場合、これを補償するためにシステム内の吸着力を調整する必要があり得る。本発明の一実施形態によれば、これは、バルブ14と、長手方向部材30の下部との間で、大きい空気流を可能にするようにスロットルバルブを開くことによって達成される。
【0019】
プレート15の位置によって決定される開口部のサイズは、上昇動作が行われる前に決定され、移動される対象物の表面に吸着を適合させるために使用され、プレート15によって画定される開口部のサイズは、動作中のノイズ及びエネルギー消費を低減するように適合される。
【0020】
本発明によれば、調整機構15、20を使用して、上昇される製品と、吸着カップ5との間の密着接続を迅速に達成し得ることが実現される。
【0021】
本発明の一実施形態では、これは、プレート15をアクチュエータ6に接続することによって行われる。オペレータが、アクチュエータ6を作動させ、それによって、長手方向部材の下部30と、バルブ14との間の開口部のサイズを調整することができるように、アクチュエータ6は適合されてもよい。しかしながら、アクチュエータ6はまた、コンピュータ制御上昇プロセスを達成するために、コンピュータ制御コントローラに接続されてもよい。アクチュエータ作動プレート15の根底にある考えは、吸着カップが、上昇されたワークピースの上方(直近では、通常25cm未満)にあるときに、開口部25を拡張又は完全に開くためにプレート15を変位させることである。開口部25が拡張されると、増加した空気流が吸着カップを通って流れると同時に、巻上チューブ12内の圧力が低下する。巻上チューブ内の圧力が低下すると、巻上チューブは長くなり、吸着カップはワークピースに向かって移動し、吸着カップを通る空気流が増加している間にこれに当たる。
【0022】
これは、ワークピースを吸着カップに迅速で、確実に締結することを伴い、これが起こるとすぐに、巻上チューブ12内の圧力が低下し、それに応じて上昇力が発生する。
【0023】
ワークピースが吸着カップに吸着されると、バルブ14を通る空気流が減少し、したがって、拡張開口部20の要件が低減又は排除される。したがって、オペレータ又はコンピュータは、アクチュエータを作動させて、プレートを更に閉じた位置に向かって移動させることができる。この更に閉じた位置は、上昇が完了し、オペレータ又はコンピュータがアクチュエータを作動させて解放バルブを開くことによって製品が解放されるまで、通常維持される。プレート15が、バルブを通る空気流がプレートによって絞られる更に閉じた位置を占めるにつれて、チューブ12の内圧は、吸着カップ5内の圧力に対応して低下しない。したがって、アクチュエータ6が開口部25を開くように作動され、プロセスが繰り返される新規のワークピースに移動される間、吸着カップを保持することができる。
【0024】
図2は、本発明による上昇装置のバルブユニット14の一実施形態の断面図を開示している。
【0025】
一般に、バルブユニット14は、作動中、巻上チューブ12と吸着パッド5との間に位置し、バルブユニット14は、内部開口部8と、バルブユニット14と巻上チューブ12の内部容積部との間を空気が流れ得る上部開口部1と、バルブユニット14と吸着パッド5の内部容積部との間を空気が流れ得る下部開口部2と、を有する。バルブユニット14はまた、ドロップオフバルブ16と、ドロップオフバルブが作動された場合に空気流が通過し得る開口部18開口部18と、を備えてもよい。ドロップオフバルブ16が作動していない場合、ドロップオフバルブ16は、開口部18を遮断し、開口部18の空気の流れを防止する。
【0026】
バルブユニット14は、最大空気流を可能にする開位置と、最小空気流を可能にする閉位置と、の2つの位置間で移動され得るプレート15の形態のセパレータを備える。図2では、プレート15は、バルブユニット14と、巻上チューブ12との間の最大空気流を可能にする開位置で示している。
【0027】
プレート15は、プレート15が閉位置にあるとき、巻上チューブ12とバルブユニット14との間の最小空気流を可能にする小開口部3を備えてもよい。あるいは、小開口部3は、プレート15の縁部と、上部開口部1の縁部との間のスリットとして、又はいくつかの小開口部として出現してもよい。
【0028】
図2に示すバルブユニット14は、ハウジング4を備える。ハウジング4は、部品がハウジング4に固定及び/又は接続され得るので、バルブユニット14の部品の容易な設置をもたらし、その後、ハウジング4は、巻上チューブ12と吸着パッド5との間を流れる空気がバルブユニット14を通って流れるように、巻上チューブ12と吸着パッド5との間に配置され得る。
【0029】
一般に、セパレータ15が吸着パッド5と巻上チューブ12との間の気道を遮断しないか、又は少なくとも最小限に遮断する開位置と、セパレータ15が吸着パッド5と巻上チューブ12との間の気道を最大限に遮断する閉位置と、の間で、セパレータ15は、前後に摺動してもよい。図2に示すバルブユニット14の実施形態によれば、セパレータ15は、前縁に半円形の開口部3を備える長方形のプレート15として成形されている。
【0030】
一般に、セパレータ15は、セパレータ15をアクチュエータ6に固定及び/又は接続する締結手段19を備える。図2の実施形態によれば、セパレータ又はプレート15は、アクチュエータ6に接続された締結手段19に対応する開口部を備え、この締結手段19は、アクチュエータ6の可動端部に締結されたロックプレートの形態である。
【0031】
一般に、バルブユニット14は、開位置と閉位置との間でセパレータ15を正確にガイドするためのガイド手段を備える。図2の実施形態によれば、ガイド手段は、プレート15が直線に沿って前後の2方向にのみ移動し得るカバープレート21と組み合わされたハウジング4の上部壁の開口部20を備える。バルブユニット14の動作中又は製造後に、カバープレート21は、締結手段22によって、例えば、ねじの形態でハウジング4に締結される。
【0032】
ドロップオフバルブ16はまた、開位置と閉位置との間で移動し得るが、ドロップオフバルブ16は、通常、開位置と閉位置との2つの位置のみを有する。ドロップオフバルブ16が完全に開いており、空気が開口部18の内外に自由に流れ得るか、又はドロップオフバルブ16が完全に閉じており、その位置では空気が開口部18を通過し得ない、のいずれかである。空気が閉位置において開口部18を通過しないことを保証するために、ドロップオフバルブ16は、封止リング23の形態の封止部を備える。図2の実施形態によれば、ドロップオフバルブ16は、開位置と閉位置との間の矢印に沿って前後に押されてもよい。
【0033】
セパレータ15及びドロップオフバルブ16のためのアクチュエータ6及び7は、任意の利用可能なタイプのものであってもよい。
【0034】
図3は、本発明による上昇装置のバルブユニット14の一実施形態の分解図を開示している。図3
【0035】
上昇装置の動作
巻上チューブ12の長さは、巻上チューブ12の内部の圧力の大きさによって決定され、圧力が低いほど巻上チューブ12は短く、上昇された吸着パッド5に取り付けられた対象物は高くなる。従来技術の上昇装置と、本発明による上昇装置との両方によれば、巻上チューブ12の内部の圧力は、外部の図示しない真空源によって制御される。
【0036】
従来技術の巻上チューブを用いた上昇手順の間、まず、巻上チューブ12内の圧力が低減されて、巻上チューブ12が短縮され、それによって、巻上チューブ12の下部端部に取り付けられた吸着パッド5を、上昇させる対象物の上方の位置まで上昇させる。吸着パッド5が、上昇させる対象物の上方の位置にあるとき、例えば開放されているバルブ13を介して巻上チューブ12への空気の入口を制御することによって、又は真空源によって与えられる圧力を制御することによって、巻上チューブ12の内部の圧力が増加する。巻上チューブ12の内部の圧力の増加は、巻上チューブ12の長さを増加させ、したがって、吸着パッド5を、上昇させる対象物まで下降させる。吸着パッド5が上昇させる対象物に到達すると、対象物の表面が吸着パッド5を通る空気流を遮断し、したがって、真空源が巻上チューブ12の内部の圧力を低下させるにつれて、巻上チューブ12の内部の圧力が減少する。次いで、バルブ13が閉じられるにつれて、対象物は、上昇される。次いで、対象物は、例えば、ドロップオフバルブ16を作動させることによって、吸着パッド5から吊り下げられた新規の位置に移動させられ、新規の位置で吸着パッド5から下降され、解放され得る。
【0037】
上昇手順の間、本発明による上昇装置を使用して、最初に巻上チューブ12内の圧力を低下させて短くし、それによって、巻上チューブ12の下部端部に取り付けられた吸着パッド5を上昇させる。次いで、吸着パッドを上昇させる対象物の上方に移動させる。吸着パッド5を対象物が取り付けられていない状態で上昇させる際、セパレータ15を、通常、閉位置に向かって移動させる。これにより、巻上チューブ12の内部の必要な低い圧力を維持するために必要なエネルギーが減少し、それに応じて吸着力が減少する。吸着パッド5が上昇させる対象物の上方に配置されるとき、巻上チューブ12の内部の圧力を高めて吸着パッド5を、上昇させる対象物に「落下」させる最大開放位置に、セパレータ15を、移動させてもよい。開放セパレータ15によって引き起こされる大きい空気流と組み合わせた落下は、通常、対象物上の吸着パッド5による強力な保持をもたらす。次いで、対象物は、バルブ13又は同様のバルブを制御することによって上昇させられる。セパレータ15の開放は、上昇中に、例えば自動制御によって調整されてもよい。吸着パッドが対象物に到達すると、セパレータ15の開放は、再び部分的に閉じられて、巻上チューブ12の長さが広がり続けることを回避し得る。
【0038】
図1に示すように、吸着カップ5には、好ましくはゴムリップ17を設けている。ゴムリップ17は、吸着カップ5の側面に設けられた溝/凹部に取り付けられてもよい。
【0039】
このように、セパレータ15の使用時に吸着カップ5が上昇させる対象物に突き当たる(落下する)力が加わると、ゴムリップ17の摩耗が大きくなる。これは、吸着カップ5が、空港でスーツケース/荷物などの多面的な対象物を上昇させるために使用される場合に特に関連する。これらの対象物は、個々の対象物上の領域ごとに様々な表面を有することが多く、したがって、吸着カップは、ゴムリップを破壊する可能性がある硬い窪みに「落ちる」場合がある。これは、例えば、柔らかいバッグが膨出する硬い対象物を含む場合に当てはまり得る。これは、バッグがジッパーを含む場合にも当てはまり得る。
【0040】
したがって、リップは、速い交換を必要とする。
【0041】
図4及び図5に示す本発明の一実施形態では、この摩耗の増加は、ゴムリップ17を弾性材料で作製し、ゴムリップ17が図4及び図5に示すように凹部内で完全に又は部分的に変形し得るように、ゴムリップを凹部26に相互に適合させることによって防止される。
【0042】
図4及び図5にも見られるように、これらの実施形態における凹部26は、丸い縁部27を有して形成される。これにより、ゴムリップが凹部26に押し付けられたときに、ゴムリップが縁部27に対して損傷することが更に防止される。
【0043】
凹部とゴムリップとを互いに適合させることにより、吸着カップが、例えば対象物の局所的な隆起/縁部に「落下」するときに生じる力を、吸着カップのまさに縁部が吸収するように達成される。
【符号の説明】
【0044】
1 上部開口部
2 下部開口部
3 セパレータ15を通る最小空気流を可能にする最小開口部
4 バルブユニットのハウジング
5 捕捉部、例えば吸着パッド
6 セパレータ用アクチュエータ
7 ドロップオフバルブ用アクチュエータ7
8 バルブユニットの内部容積部
9 制御部材又は制御部材用ハンドル
10 摺動部材
11 長手方向部材
12 上昇部、例えば巻上チューブ
13 11内の開口部などのバルブ開口部
14 バルブユニット
15 バルブユニット14の内部のセパレータ末期
16 ドロップオフバルブ
17 ゴム又は発泡体リップ
18 ドロップオフバルブ用開口部
19 アクチュエータ6にセパレータを締結する締結手段
20 セパレータ15をハウジング4に対してガイドするガイド手段
21 カバープレート
22 カバープレートのための締結手段
23 ドロップオフバルブ16用封止部
24 11の中央開口部
25 長手方向部材と吸着パッド5との間の開口部
26 凹部/溝
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】