(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ボイラーの突出するバーのためのガスケット装置、及びそのガスケット装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/06 20060101AFI20241108BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F16J15/06 N
F16J15/10 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532208
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 FI2022050800
(87)【国際公開番号】W WO2023099817
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノウ、ヤルッコ
(72)【発明者】
【氏名】レセネン、ヤニ
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA02
3J040AA11
3J040AA15
3J040HA03
3J040HA05
(57)【要約】
本発明は、ボイラーの突出するバーのシーリング装置、及びシーリング装置を動作させる方法に関する。突出するバー1は、燃焼室3の壁4の開口部5を通してボイラーの燃焼室3に入るように配置され、突出するバー1はハンドリング・デバイス10に取り付けられる。シーリング装置は、開口部5を封止するためにガスケット2を有する。ガスケット2は、突出するバー1と燃焼室の壁4との間の隙間を封止するために、突出するバー1のまわりに摺動可能に配置され、その結果、シーリング装置は、突出するバー1が燃焼室3に完全に挿入されている間、及び突出するバー1が燃焼室3に入る時間の少なくとも一部、及び突出するバー1が燃焼室3から引っ込む時間の少なくとも一部に、ガスケット2を燃焼室3の壁4に付着した状態に保つように構成される。ガスケット2は、ガスケット2に取り付けられた少なくとも1つの磁石8、又は留め要素13、又は突出するバー1上のばね15によって、燃焼室3の壁4に付着されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出するバー(1)が、ボイラーの燃焼室(3)に、前記燃焼室(3)の壁(4)の開口部(5)を通して入るように配置され、前記突出するバー(1)がハンドリング・デバイス(10)に取り付けられる、ボイラーの突出するバーのためのシーリング装置であって、前記突出するバー(1)と前記燃焼室の前記壁(4)との間の隙間を封止するために、前記突出するバー(1)のまわりにガスケット(2)が配置され、その結果、シーリング装置は、前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)に完全に挿入されている間、及び前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)に入る時間の少なくとも一部、及び前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)から引っ込む時間の少なくとも一部に、前記ガスケット(2)を前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着された状態に保つように構成されることを特徴とするシーリング装置。
【請求項2】
前記ガスケット(2)は、前記ガスケット(2)に取り付けられた少なくとも1つの磁石(8)によって前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着される、請求項1に記載のシーリング装置。
【請求項3】
前記ガスケット(2)は、保持アクチュエータ(14)又はばねによって動かされる少なくとも1つの留め要素(13)によって前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着される、請求項1又は2に記載のシーリング装置。
【請求項4】
前記ガスケット(2)は、前記突出するバー上にあるばね(15)によって前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着され、好ましくは、前記ばね(15)は前記ガスケット(2)に固定される、請求項1から3までのいずれかに記載のシーリング装置。
【請求項5】
前記突出するバー(1)は突起部(9)又はひじ継手を有し、前記突起部(9)又は前記ひじ継手は、前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)から引っ込む間に、前記ガスケット(2)に接続し、前記ガスケット(2)を前記燃焼室(3)の前記壁から離す、請求項2から4までのいずれかに記載のシーリング装置。
【請求項6】
前記ガスケット(2)は、金属板と、前記板の前記燃焼室(3)側の耐火性カバーと、を備える、請求項1から5までのいずれかに記載のシーリング装置。
【請求項7】
前記ボイラーはパルプ製造機の回収ボイラーである、請求項1から6までのいずれかに記載のシーリング装置。
【請求項8】
ボイラーの突出するバー(1)のためのシーリング装置を動作させる方法であって、突出するバー(1)が、前記ボイラーの燃焼室(3)に燃焼室(3)の壁(4)の開口部(5)を通して入るように配置される方法において、前記突出するバー(1)と前記燃焼室(3)の前記壁(4)との間の隙間を封止するために、前記突出するバー(1)のまわりにガスケット(2)が配置され、その結果、前記ガスケット(2)は、前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)に入る間、前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着し、前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)から引っ込むとき、前記燃焼室(3)の前記壁(4)から離れることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ガスケット(2)は、少なくとも1つの磁石(8)によって前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガスケット(2)は、保持アクチュエータ(14)又はばねによって動かされる少なくとも1つの留め要素(13)によって前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスケット(2)は、前記突出するバー(1)又はハンドリング・デバイス(10)に接続された前記突出するバー(1)上のばね(15)によって、前記燃焼室(3)の前記壁(4)に付着する、請求項8から10までのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記開口部(5)は、前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)に入る前に開口アクチュエータ(7)によって開かれ且つ前記突出するバー(1)が前記燃焼室(3)から引っ込められた後に閉じられるハッチ(6)によって覆われている、請求項8から11までのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ボイラーはパルプ製造機の回収ボイラーである、請求項8から12までのいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラーの突出するバーのためのガスケットに関する。好ましくは、突出するバーは、回収ボイラーの自動測定用のプローブを有する。
【背景技術】
【0002】
回収ボイラーは、乾燥させた黒液を燃料として燃焼させる。液体は、ボイラー内での燃焼及び他の反応の後に回収される化学物質を含む。液体燃焼装置内部の稼働条件は高温且つ腐食性であり、煙道ガスは非常に汚染され、有害な物質を含む。いずれの開口部でも、ボイラー室の内部から外部へのガスの漏出を遮断すべきである。
【0003】
一部のプローブは、その条件に長時間耐えられないか、又はボイラー室内に長時間とどまることが意図されていない。それらはしばしば、突出するバーを用いてボイラー室に時々挿入されるように配置される。そうした突出する測定バーの一例が、公報WO2020260762に記載されている。同様の突出するバーは、例えば任意のタイプのボイラーの煤吹バーである。
【0004】
燃焼室内に一時的に挿入される突出する測定バーの自動操作では、燃焼室内部から外部空間へのガス及び粒子の漏出を封じるべきである。特に回収ボイラーの煙道ガスは、有害で粘着性のある物質を含む濃密な煙霧である。燃焼室の壁の熱膨張のために、壁の開口部の位置及び寸法に厳密な許容差を用いることは難しい。実際、突出するバーとボイラー室の壁の開口部との間に、十分に狭い隙間を設けることはできない。隙間を封止するためのガスケットは、突出するバーが燃焼室に完全に挿入されているときだけではなく、突出するバーが燃焼室に入る過程でも、隙間の封止が可能であるべきである。それにより、隙間を通して漏出する時間が最小限に抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、燃焼室ボイラーの突出するバーのための信頼性の高いシーリング装置、及びそれを動作させるための方法を実現することである。以下の概要及び説明から明らかになるであろうこれらの目的及び他の目的は、添付の特許請求の範囲において定められる装置及び方法によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ボイラーの突出するバーのためのシーリング装置は、突出するバーと燃焼室の壁との間の隙間を封止するために、突出するバーのまわりに摺動可能に配置されたガスケットを有する。シーリング装置は、突出するバーが燃焼室内に挿入されている間、ガスケットを燃焼室の壁に付着するための手段も備える。ガスケットは、突出するバーが燃焼室から引っ込むとき、壁から離れる。したがって、出し入れ工程中のほとんどの時間において、突出するバーのまわりの隙間は封止される。
【0008】
ガスケットは、ガスケットに取り付けられた少なくとも1つの磁石によって、燃焼室の壁に付着されることが好ましい。ガスケットは、アクチュエータ又はばねによって動かされる少なくとも1つの留め要素によって、燃焼室の壁に付着されることもできる。留め要素は、鉤状の形状を有すること、又はガスケットに摩擦によって付着することが可能である。突出するバーは、ガスケットに接続する突起部を有し、突出するバーが燃焼室から引っ込む間に、ガスケットを燃焼室の壁から離すことが好ましい。ガスケットは、それを壁に押し付けるばねによって燃焼室の壁に付着させてもよい。ばねの他端は、突出するバー又はハンドリング・デバイスの形態の物に、固定されるか又は少なくとも当接する。突出するバーの突起部がなくてもガスケットが自動的に離れるように、ばねのもう一方の端部をガスケットに固定してもよい。この方法は、突出するバーを移動させるハンドリング・デバイスを用いない手動操作でも機能すべきである。
【0009】
燃焼室の開口部は、突出するバーが燃焼室に入る直前に開口アクチュエータによって開かれるハッチで覆われている。封止されていない時間を最小限に抑えるために、ハッチは、突出するバーが燃焼室から引っ込められた直後に閉じられる。
【0010】
次に、添付図面を参照しながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ガスケットが磁石によって燃焼室の壁に付着される、本発明の好ましい一実施の形態を示す図である。
【
図2】ガスケットが留め要素によって燃焼室の壁に付着される、本発明の一実施の形態を示す図である。
【
図3】ガスケットが突出するバー上のばねによって燃焼室の壁に付着される、本発明の一実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ガスケット2を含むシーリング装置の好ましい一実施の形態を示しており、ガスケット2は、突出バー1のまわりに配置され、ガスケット2に取り付けられた磁石8によって、ボイラーの燃焼室3の壁4に付着される。この場合、突出バー1は、回収ボイラーの煙道ガスからキャリーオーバー粒子を測定するためのものである。突出バー1は、壁4の開口部5を通して燃焼室3に挿入される。その出し入れ工程は、ハンドリング・デバイス10によって行われる。ハンドリング・デバイス10は、台11上で動作する。ハンドリング・デバイス10は、ロボットのようなプログラム可能なマニピュレータとすること、又は加圧シリンダによって若しくは電気機械的に動作させることが可能である。ハンドリング・デバイス10は、出し入れ工程以外にも他のハンドリング動作を実施することができる。挿入直前に、開口アクチュエータ7が開口部5を覆うハッチ6を開く。プログラムされたタスクを実行するために必要な動作は、例えばハンドリング・デバイス10のコントローラ又はボイラーのコントローラによって制御される。
【0013】
ガスケット2は、金属板、及び板の燃焼室側の耐火性カバーを含むことができる。ガスケット2は、突出するバーの形に合致すると同時に、それらの間に適切な隙間を有するべきであり、その結果、ガスケット2は、突出バー1上を依然として自由に摺動することが可能になる。突出バー1が燃焼室3に入る前、ガスケット2はまず、突出バー1に対して大まかに配置される。突出バー1が燃焼室3の内部に入り、ガスケットが壁4と接触すると、磁石8がガスケット2を壁4に付着する。測定サイクルが終了すると、突出バー1は引っ込む。そのとき、突出バー1の突起部9が、ガスケット2を壁4から離す。突起部9は、突出バー1の肩部とすることもできる。突出バー1が引っ込んだ後、開口アクチュエータ7はハッチ6を閉じる。この場合、燃焼室3に入る突出バー1の細い端部は、測定されるキャリーオーバー粒子を収集するためのものである。したがって、ガスケット2も壁4も、キャリーオーバー収集領域12に接触すべきではない。したがって、出し入れ工程の間、突起部9の外側端部の間の領域、突出バー1が、ガスケット2によって一時的に封止されることはない。
【0014】
図2は、ガスケット2が少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの留め要素13によって燃焼室3の壁4に付着される、シーリング装置の一実施の形態を示している。留め要素13は、ガスケット2を壁4に対して摩擦によって付着した状態に保つこと、又は付着のために鉤状の形状を有することが可能である。特に鉤状の形状を有する場合には、留め要素13を開閉するために、保持アクチュエータ14を用いるべきである。アクチュエータ14の代わりにばねを用いて留め要素13をガスケット2に押し付け、摩擦による保持力を発生させてもよい。特に
図3に示す取り付け様式の場合、突出バー1のガスケット2と反対側の別の突起部9が、ばねで作動させる摩擦による留め要素13間でガスケット2を押すことが可能である。
【0015】
図3は、ガスケット2がばね15によって燃焼室の壁に付着される、本発明の一実施の形態を示している。ガスケット2は、ばね15によって燃焼室3の壁4に押し付けられる。ばね15の内側端部は、突出するバー1又はハンドリング・デバイス10に接続される。ばねはガスケットに固定されることが好ましい。ガスケット2がばね15にも突出バー1又はハンドリング・デバイス10にも固定されていない場合には、突出バー1が引っ込むとき、突出バー1の外側端部にある突起部9がガスケットを非接触にすることができる。
図1~3に関連して示した付着方法は、互いに組み合わせることが可能である。
【国際調査報告】