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2024-542645動脈血圧ダンピングを検出し、カテーテル管の自動高速フラッシングを実行するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】動脈血圧ダンピングを検出し、カテーテル管の自動高速フラッシングを実行するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61B5/0215 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532225
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2022082526
(87)【国際公開番号】W WO2023099246
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/284,220
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゾン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ リチャード イール
(72)【発明者】
【氏名】グロス ブライアン デービッド
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB10
4C017AC04
4C017DD14
4C017EE01
4C017FF08
(57)【要約】
動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定し、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、自動的にカテーテル管をフラッシュするためのシステム、装置、及び方法が提供される。1つの例では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、指定された時間窓内での1つ又は複数の指定された閾値の値を超える動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が解消したかどうかに関する判定は、動脈血圧信号に基づくカテーテル管の自動フラッシュに応答して、なされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサによって検出された動脈血圧信号を受け入れるための圧力センサ受容器と、
前記圧力センサ受容器に通信可能に結合された動脈血圧モニタと
を備える動脈血圧管理システムであって、
前記動脈血圧モニタは、
前記動脈血圧信号に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定することと、
前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にカテーテル管をフラッシュするための指令を、電子制御可能バルブに伝送することと、
前記動脈血圧信号ダンピング事象が、前記動脈血圧信号に基づく前記カテーテル管の自動フラッシュに応答して、解消されたかどうかを判定することとを行い、
前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定は第1の基準に基づいていて、前記動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたとの判定は、前記第1の基準とは異なる第2の基準に基づく、
動脈血圧管理システム。
【請求項2】
前記動脈血圧管理システムがさらに、患者の動脈血圧信号を感知するための前記圧力センサと、自動的に前記カテーテル管をフラッシュするための前記電子制御可能バルブとを備える、請求項1に記載の動脈血圧管理システム。
【請求項3】
前記動脈血圧モニタがさらに、
前記第1の基準に関して、指定された時間窓内での1つ又は複数の指定された閾値の値を超える前記動脈血圧信号のパターン変化に基づいて、前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定し、
前記第2の基準に関して、指定されたポストフラッシュ時間窓の後に発生した前記動脈血圧信号と比較して、指定されたプリフラッシュ時間窓の前に発生した前記動脈血圧信号が、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値を超えるかどうかを判定し、前記1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値は、収縮期動脈血圧閾値の値、パルス動脈血圧閾値の値、及び動脈血圧波形傾斜閾値の値を含む、請求項1に記載の動脈血圧管理システム。
【請求項4】
指定された時間窓内での1つ又は複数の指定された閾値の値を超える動脈血圧信号のパターン変化に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定するステップと、
前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、自動的にカテーテル管をフラッシュするステップとを有する、方法。
【請求項5】
前記動脈血圧信号を生成するためにパルス検出を行うステップと、
前記動脈血圧信号からパルス特徴を抽出するステップと、
各パルスと関連する鼓動ごとに信号品質を決定するステップとをさらに有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス特徴は、各パルスと関連する鼓動ごとに抽出され、前記パルス特徴は、鼓動間のパルス間隔、瞬時動脈血圧値、平均化動脈血圧値、瞬時最大動脈血圧傾斜、及び平均化最大動脈血圧傾斜のうちの1つ又は複数を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定がさらに、
前記1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第1の閾値の値に基づいて、収縮期動脈血圧における鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定するステップと、
前記1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第2の閾値の値に基づいて、前記収縮期動脈血圧と拡張期動脈血圧との差における鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定するステップと、
前記1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第3の閾値の値に基づいて、平均動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定するステップと、
前記1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第4の閾値の値に基づいて、前記拡張期動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定するステップと、
前記指定された時間窓内で、信号品質閾値の値を超える信号品質を有するパルスの割合が、前記1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第5の閾値の値を超えるかどうかを判定するステップと
のうちの1つ又は複数に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの前記判定に応答して、治療提供者と関連付けられたユーザインターフェースにダンピング事象通報を転送するステップをさらに有し、血圧限界アラームは、前記ユーザインターフェースへの前記ダンピング事象通報の転送に応答して、阻止される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記動脈血圧信号に基づく前記カテーテル管の自動フラッシングに応答して、前記動脈血圧信号ダンピング事象が解消したかどうかを判定するステップをさらに有し、前記動脈血圧信号ダンピング事象が起こっていると判定することは第1の基準に基づき、前記動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたと判定することは、前記第1の基準とは異なる第2の基準に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたと判定することは、
指定されたポストフラッシュ時間窓の後に発生した前記動脈血圧信号と比較して、指定されたプリフラッシュ時間窓の前に発生した前記動脈血圧信号が、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値を超えるかどうかを判定することを有し、前記1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値は、収縮期動脈血圧閾値の値、収縮期動脈血圧と拡張期動脈血圧の差の閾値の値、及び最大動脈血圧波形傾斜の閾値の値を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動脈血圧信号ダンピング事象が解消されないと判定されたことに応答して、未解決フラッシュ通報を治療提供者と関連付けられたユーザインターフェースに転送するステップをさらに有し、血圧限界アラームは、前記ユーザインターフェースへの前記未解決フラッシュ通報の転送に応答して、阻止される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
サーバ、スマートハブ、スマートケーブル、動脈血圧モニタ、治療用機器、及び医療管理機器のうちの1つ又は複数を介して実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
実行されると、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステムを実現するか、または、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法を実行する機械可読指令を含む、機械可読ストレージ。
【請求項14】
請求項4から12のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段を含む、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 以下は、一般に、医療技術、医療モニタリング技術、生理学的モニタリング技術、患者安全技術、及び関連技術に関する。より詳細には、本明細書における実施形態は、患者のモニタリングのための安定した動脈血圧(ABP)信号を維持するための自動フラッシングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 観血的動脈(動脈内)血圧(IABP)モニタリングは、集中治療室(ICU)内で通常使用される技法である。そのような動脈血圧(ABP)モニタリングはさらに、例えば、血行動態的不安定性がリスクであるとき、又は鼓動ごとの測定が及び圧力波形の視覚化が役立つときしばしば手術室内で使用される。
【0003】
[0003] 現在の臨床診療では、ABP信号は、典型的には、動脈カテーテル及び外部圧力センサを用いて測定される。例えば、ABPモニタリングは、通常、配管システムに接続されたカテーテルの、好適な動脈(例えば、撓骨動脈など)への挿入を伴う。但し、配管システムもまた、外部圧力センサと動作可能に関連付けられる。
【0004】
[0004] そのようなABP信号は時間の経過で劣化し得る。例えば、ABP信号は、血餅形成及び/又は他の因子により時間の経過で劣化し得る。ABP信号のそのような劣化は、圧力の、動脈から外部圧力センサへの伝送を潜在的に妨げ/減衰させる。したがって、ABP信号のそのような劣化により、間違ったABP測定結果が生じ、偽のABPアラーム、及び/又は、患者の血行動態状態の誤解釈につながるおそれがある。
【0005】
[0005] 上記で論じたように、そのようなABPダンピングは、観血的ABPモニタリングにおける異常な測定状態である。そのようなABPダンピングは、患者の血行動態状態の間違った解釈につながること、及び/又は、偽のアラームが生じることを回避するために、適時特定及び固定される必要がある。そのようなABPダンピング状況は、典型的には手作業で観測/特定されるので、そのようなABPダンピング状況は、ヒューマンエラーによる及び/又は疲労による遅延により、見落とされる又は誤って特定されるおそれがある。
【0006】
[0006] さらに、ABPダンピング状況に応答したフラッシング操作もまた、典型的には手作業で行われてきた。したがって、関連する臨床的な仕事の流れには悪影響が及ぼされ、臨床的な仕事負荷が増大する。
【0007】
[0007] 以下は、これらの問題及び他の問題を克服するために、ある特定の改善を開示するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008] 上記で論じたように、動脈血圧ダンピング特定及び高速フラッシュ操作は、現在の臨床診療では、典型的には手作業で行われる。有利には、本明細書に記述されたいくつかの実施形態は、動脈血圧ダンピングの自動検出及びそれに応じた自動フラッシングのための方法及びシステムを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009] 下記でより詳細に論じることとなるように、本明細書に記述された実施形態は、動脈血圧信号ダンピング事象を検出し、それに応じて自動的にカテーテル管をフラッシュするための方法及びシステムを提示するものである。追加的に、又は代替的に、本明細書におけるいくつかの実装形態は、自動フラッシングの有効度を評価し、減衰された動脈血圧信号が、自動フラッシングの後に解消されないとき、通報を送信する。その上、本明細書におけるいくつかの実装形態は、自動フラッシングの有効度を評価し、自動フラッシングの別の反復と、さらなるフラッシングの有効度を追跡すること(例えば、再評価する)とを開始する。そのような例では、N回(例えば、Nがユーザなどによって規定される場合)の自動フラッシングが効果的でない場合、アラームメッセージとともに通報が送出されることとなる。
【0010】
[0010] 本明細書におけるいくつかの実装形態では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定し、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、自動的にカテーテル管をフラッシュするための方法及びシステムが提供されることが提示される。1つの例では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が解消したかどうかに関する判定は、動脈血圧信号に基づくカテーテル管の自動フラッシュに応答してなされる。
【0011】
[0011] 1つの態様では、動脈血圧管理システムが、圧力センサ受容器と、圧力センサ入力に通信可能に結合された動脈血圧モニタとを含む。圧力センサ受容器は、圧力センサによって検出された動脈血圧信号を受け入れる。動脈血圧モニタは、動脈血圧信号に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定する。動脈血圧モニタは、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にカテーテル管をフラッシュするための指令を、電子制御可能(例えば、自動式)バルブに伝送する。動脈血圧モニタは、動脈血圧信号ダンピング事象が、動脈血圧信号に基づくカテーテル管の自動フラッシュに応答して、解消されたかどうかを判定する。そのような例では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定は、第1の基準に基づき、動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたとの判定は、第1の基準とは異なる第2の基準に基づく。
【0012】
[0012] 1つの例では、動脈血圧信号ダンピング事象が、カテーテル管の自動フラッシュに応答して解消されたかどうかの判定は、自動フラッシュの前の指定された時間窓内で取得された1つ又は複数の動脈血圧特徴と、指定された閾値の値を超えた、自動フラッシュの後の指定された時間窓内で取得された、1つ又は複数の動脈血圧特徴との変化に基づくものである。例えば、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第1の閾値の値に基づいて、収縮期動脈血圧に鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定することに基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第2の閾値の値に基づいて、収縮期動脈血圧と拡張期動脈血圧との差に鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定することに基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第3の閾値の値に基づいて、平均動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定することに基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第4の閾値の値に基づいて、拡張期動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定することに基づく。追加的に又は代替的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定は、指定された時間窓内で、信号品質閾値の値を超える信号品質を有するパルスの割合が、1つ又は複数の指定された閾値の値のうちの第5の閾値の値を超えているかどうかを判定することに基づく。
【0013】
[0013] 別の態様では、方法は、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の減少に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定することを含む。方法はさらに、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にカテーテル管をフラッシュすることを含む。
【0014】
[0014] さらに別の態様では、機械可読ストレージは、実行されると、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定するための操作を含む機械可読指令を含む。機械可読指令はさらに、実行されると、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にカテーテル管をフラッシュするための操作を含む。
【0015】
[0015] さらに別の態様では、装置は、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定するための手段を含む。装置はさらに、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、自動的にカテーテル管をフラッシュするための手段を含む。
【0016】
[0016] 前述の概念と、下記でより詳細に論じられる追加の概念との全ての組み合わせ(そのような概念が互いに矛盾していないことを条件として)が、本明細書で開示された主題の一部として企図されることが理解されるべきである。特に、本開示の最後に現れる特許請求された主題の全ての組み合わせは、本明細書で開示された主題の一部として企図される。さらに、参照によって組み入れられた、いずれの開示にも現れる本明細書で明示的に利用される術語には、本明細書で開示された特定の概念と最も一致するという意図が与えられるべきであると理解されるべきである。
【0017】
[0017] 様々な実施形態のこれらの及び他の態様は、以後記述される実施形態(複数可)から明らかとなり、その実施形態を参照して説明されることとなる。
【0018】
[0018] 実施形態の様々な利点は、以下の仕様及び添付の請求項を読むことによって、並びに、以下の図面を参照することによって、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0019] 例示の動脈血圧モニタのブロック図を示す図である。
図2】[0020] 動脈血圧ダンピング事象を有する動脈血圧信号のグラフを示す図である。
図3】[0021] 実施形態による、例示の動脈血圧管理システムのブロック図を示す図である。
図4】[0022] 実施形態による、動脈血圧管理システムを操作する例示の方法のフローチャートを示す図である。
図5】[0023] 実施形態による、動脈血圧管理システムを操作する例示の方法のフローチャートを示すさらなる図である。
図6】[0024] 実施形態による、動脈血圧ダンピング事象の例示の検出と、その結果としての、対応するフラッシュの後のダンピング事象に関する回復の評価とのグラフを示す図である。
図7】[0025] 実施形態による、動脈血圧ダンピング事象の例示の検出と、その結果としての、対応する繰り返されたフラッシュの後のダンピング事象の回復の評価とのグラフをさらに示す図である。
図8】[0026] 実施形態による、コンピュータプログラム製品のブロック図を示す図である。
図9】[0027] 実施形態による、EMR管理システムをさらに示す図である。
図10】[0028] 実施形態による、半導体パッケージを含むハードウェア装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0029] 下記でより詳細に説明されるように、本明細書において論じられるいくつかの実装形態では、一旦、ABPダンピング状況が検出された時点で、制御信号が発出されて、自動高速フラッシング操作を始動させる。ABP信号は、自動フラッシングの直後に引き続き解析され、減衰されたABP信号が解消された(例えば、正常に戻された)かどうかを判定するように評価される。自動フラッシングの後に、減衰されたABP信号が解消された場合、IABPモニタリングプロセスは継続する。減衰されたABP信号が解消されていない場合、アルゴリズムは、別の自動フラッシングのアクションをとり、フラッシングの有効度を再度評価する。自動フラッシング及び評価はN回試行される(例えば、但し、Nは選択可能な数、例えば、N=3である)。N回の自動フラッシングが失敗した後の場合、アルゴリズムは、ABPダンピングに関するアラーム/警報を、臨床医に対して発出する。臨床医が、自身が必要と考えれば、手作業のフラッシングをさらに行ってもよいように、自動フラッシングアクションに加えて、手作業のフラッシング操作もまた利用可能であることに留意されたい。
【0021】
[0030] 運用の際、本明細書に記述されている技法のうちのいくつかは、有利には、手作業でABPダンピング状況を観測及び特定する臨床医の負担を軽減する。追加的に又は代替的に、本明細書に記述されている技法のうちのいくつかは、有利には、時宜を得た様式でABPダンピング状況を検出して、フラッシングに関する遅延を回避する。さらに、本明細書に記述されている技法のうちのいくつかは、有利には、ABPダンピングによって引き起こされる偽のABPアラームを低減する。追加的に、本明細書に記述されている技法のうちのいくつかは、有利には、臨床医の、手作業で配管をフラッシュする負担を軽減し、以て、関連する臨床的な仕事の流れを改善する。最後に、本明細書に記述されている技法のうちのいくつかが、偽造のABPダンピング事象(例えば、偽陽性)を検出し、間違って自動フラッシングがなされた場合、悪影響は限定的である。何故なら、自動フラッシングは非常に短い時間期間(例えば、2~3秒)に行われるので、IABPモニタリングの中断は非常に軽微であるはずだからである。
【0022】
[0031] 図1は、例示の動脈血圧モニタ100のブロック図の図解を示す。図解された例では、動脈血圧モニタ100は、患者111と関連付けられた、圧力バッグ102(例えば、加圧された生理食塩水を含む)、フラッシュ管104、止めコック106、カテーテル管(例えば、圧力管)108、動脈内カニューレ110、圧力センサ(例えば、圧力トランスデューサ)112、圧力センサ受容器(例えば、圧力ケーブル)114、及び圧力信号処理/表示ユニット(モニタ)116を含む。動脈血圧(ABP)は、動脈から、カテーテル管108内の非圧縮性気泡無し流体(例えば0.9%の塩水)の円柱を通じて、圧力センサ112に伝送される。フラッシュ管104は、通常300mmHgまで加圧された圧力バッグ102(例えば、加圧された生理食塩水を含む)に接続されており、フラッシュシステム(例えば、止めコック106)を経由してカテーテル管108に取り付けられる。フラッシュシステムは、カテーテル管108をきれいに保つため、並びに、システムの動的特性(例えば、ダンピング及び固有周波数)を確認するために、流体の高圧フラッシュを可能にする。
【0023】
[0032] 運用の際、配管システムの必要な初期設定のまま、観血的血圧(IABP)モニタリングが、数時間又はさらに数日の間、連続的に行われる。そのような連続的なモニタリング中、血餅がカテーテルの先端でできたとき、それは、センサに伝送される圧力の動的性質を減衰させて、減衰された圧力信号をもたらす可能性がある。ABPダンピング問題を引き起こすいくつかの他の因子があり、すなわち、配管内に気泡がある可能性があり、配管がねじれる可能性があり、カテーテルが、流体移動が妨げられるロケーションに移動されている可能性があり、又は、血液がカテーテル内に移動している可能性がある。減衰されたABP信号は、間違った血圧(BP)測定結果(例えば、特に収縮期及び拡張期BP)を生じさせて、偽のABPアラームにつながり、及び/又は、血行動態状況の誤解釈を引き起こすおそれがある。
【0024】
[0033] IABPモニタリングを操作する臨床医は、通常ABP波形を観測することによって、ABPダンピング状況に対して注意を払う必要がある。疑わしいABPダンピングがあるとき、臨床医はしばしば、(例えば、血餅によって閉塞され得る)配管をきれいにするため、高速フラッシュのアクションをとる必要があり、それにより、短い時間期間(例えば、2~3秒)の間、加圧された塩水がカテーテル管の中を進むことができる。高速フラッシュの後、減衰されたABP信号が解消された(例えば、正常な動的状態に戻された)場合、IABPモニタリングは継続され、さもなければ、さらなる高速フラッシュが行われる必要がある。複数の高速フラッシュが、減衰されたABP信号を解消しない場合、IABP配管システムの完全な設定の新たなセットが必要となる。
【0025】
[0034] 図2は、動脈血圧ダンピング事象を有する動脈血圧信号のグラフ200の図を示す。図2は、減衰されたABPエピソードが特定され、高速フラッシュが操作された、実際の事例を示している。フラッシュの後、ABPは回復された。図解された例では、ABP信号202は、減衰されたABP204として示されている。フラッシュ206が行われている(例えば、治療提供者による手作業フラッシュ)ように示されており、結果として回復されたABP208がもたらされる。
【0026】
[0035] 図3は、実施形態による、例示の動脈血圧管理システム300のブロック図の図を示す。図解された例では、動脈血圧管理システム300は、集中化され、又は分散され、1つ若しくは複数のコンピュータ若しくはコンピュータシステムのいくつかの若しくは全ての要素及び構成要素を含む。例えば、動脈血圧管理システム300は、1つのサーバコンピュータ又は複数のサーバコンピュータ(例えば、サーバクラスタ、クラウドコンピューティングリソースなどを、及び/又はそれらの組み合わせを形成するために相互接続された)を含む。
【0027】
[0036] いくつかの実装形態では、動脈血圧管理システム300は、統合型臨床環境(ICE)の制御ポイント要素として利用される。本明細書で使用されるように、「統合型臨床環境(ICE)」は、患者の治療と関連付けられた医療的モノのインターネット(IoT)を作成するためのプラットフォームを指す。そのような実装形態では、動脈血圧管理システム300は、ICEにおける医療機器の多くのリアルタイム臨床決定サポートアルゴリズム及び閉ループ制御アルゴリズムをサポートする。
【0028】
[0037] 図解された実装形態では、動脈血圧管理システム300は、圧力センサ受容器114と、圧力センサ受容器114の圧力センサ入力に通信可能に結合された動脈血圧モニタ302とを含む。圧力センサ受容器114は、圧力センサ112によって検出された動脈血圧信号を受け入れる。
【0029】
[0038] 図解された実装形態では、動脈血圧管理モニタ302は、処理モジュール304、フラッシングアルゴリズム306、及び(例えば、警報312を提示する)ディスプレイ310を含む。例えば、処理モジュール304は、圧力センサ受容器114を介して圧力センサ112から受信された動脈血圧信号の増幅、デジタル化、フィルタリング、及びスケーリングを行い、処理モジュール304はさらに、パルス検出及び特徴抽出を行い、スケーリングされた動脈血圧信号を、他の接続/結合された構成要素に提供する。例えば、動脈血圧管理モニタ302は、観血的血圧(IABP)モニタとして実装される。
【0030】
[0039] 下記でより詳細に論じられるように、フラッシングアルゴリズム306は、処理モジュール304からの動脈血圧信号に応答して、警報及び/又は自動フラッシングをトリガする。例えば、フラッシングアルゴリズム306は、リアルタイムでABP波形特徴を解析することによって、ABPダンピング検出を行う。いくつかの実装形態では、フラッシングアルゴリズム306は、ABPパルスの検出、ABPパルスの信号品質の評価、ABPパルス特徴の抽出、ABPダンピング特徴パターンの認識によるABPダンピング事象の検出など、及び/又は、これらの組み合わせを行う。下記でより詳細に説明されるように、自動フラッシング装置は、フラッシュ管内に、コンピュータ制御された電気流体値を含む。ABPダンピング検出のフラッシングアルゴリズム306から始動信号を受信した時点で、自動フラッシング装置は、時間配分の決まった(例えば、時間及び持続時間に関して)高速フラッシュを行うようにする。追加的に又は代替的に、フラッシングアルゴリズム306は、自動フラッシングの直後のABP信号を追跡し、減衰されたABP信号が解消されたかどうかを判定することによって、ABPの回復を検出する。ABP信号が非ダンピング状態に戻ることには、識別できる特色がある(例えば、収縮期BP値及びパルスBP値は著しく拡大され、最大ABP波形傾斜は著しく増大するなど)。
【0031】
[0040] 図解された実装形態では、動脈血圧モニタ302は、動脈血圧信号に基づいて、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定する。動脈血圧モニタ302は、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にカテーテル管108をフラッシュするための指令を、自動バルブ106(例えば、コンピュータ制御電気流体値などの電子制御可能バルブ)に伝送する。動脈血圧モニタ302は、動脈血圧信号ダンピング事象が、動脈血圧信号に基づくカテーテル管108の自動フラッシュに応答して、解消されたかどうかを判定する。そのような例では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定は、第1の基準に基づき、動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたとの判定は、第1の基準とは異なる第2の基準に基づく。
【0032】
[0041] 運用においては、動脈血圧モニタ302は、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づいて、第1の基準に関して、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定する。追加的に又は代替的に、動脈血圧モニタ302は、第2の基準に関して、指定されたポストフラッシュ時間窓の後に発生した動脈血圧信号と比較して、指定されたプリフラッシュ時間窓の前に発生した動脈血圧信号が、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値を超えるかどうかを判定する。例えば、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値は、収縮期動脈血圧閾値の値、パルス動脈血圧閾値の値、動脈血圧波形傾斜閾値の値など、及び/又はその組み合わせを含む。
【0033】
[0042] 図解された例では、動脈血圧管理システム300はさらに、患者の動脈血圧を感知し信号を生成するための圧力センサ112と、自動的にカテーテル管108をフラッシュするための自動バルブ106とを含む。いくつかの実装形態では、圧力センサ入力114は、圧力センサ112と通信するように結合されたケーブル又はワイヤレス通信機器として実装される。いくつかの例では、自動バルブ106は、フラッシュ管内に導入された電子的に制御可能な流体バルブであり、これは手動式バルブを置き換える、又は手動式バルブに追加して使用される。
【0034】
[0043] 追加的に又は代替的に、動脈血圧管理システム300はさらに、治療用機器320、医療管理機器322、データベース324(例えば、EMRデータベース)、ユーザインターフェース326(例えば、1つ又は複数のユーザインターフェース326はユーザと関連付けられる)など(例えば、患者モニタ)、及び/又はそれらの組み合わせを含む。例えば、治療用機器320、医療管理機器322、データベース324、及び/又はユーザインターフェース326は、インターネットベースの通信、クラウドベースの通信、ワイヤード通信、ワイヤレス通信など、及び/又はそれらの組み合わせを経由して互いに通信する。
【0035】
[0044] 例において、患者モニタ(図示せず)は、バイタルサインなどについて患者をモニタするように構成されており、患者モニタは、そのような測定された患者データをデータベース324に伝送する。いくつかの実装形態では、そのような患者モニタは、ベッドサイドタイプモニタ、トランスポートタイプモニタ、中央ステーションタイプモニタなど、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0036】
[0045] 別の例では、治療用機器320は、特定の治療(例えば、非投薬処置)の患者への送達をモニタするように構成されており、そのような測定された患者データをデータベース324に伝送する。いくつかの実装形態では、治療用機器320は、動脈血圧モニタ302に結合される。例えば、治療用機器320は、閉ループ制御システムとして動脈血圧モニタ302に結合された人工呼吸器である。
【0037】
[0046] さらなる例では、医療管理機器322は、患者への薬剤送達をモニタするように構成されており、そのような測定された患者データをデータベース324に伝送する。いくつかの実装形態では、医療管理機器322は、動脈血圧モニタ302に結合される。例えば、医療管理機器322は、閉ループ制御システムとして動脈血圧モニタ302に結合された血管作動性薬剤送達ポンプである。
【0038】
[0047] 追加的に又は代替的に、さらなる例では、ユーザインターフェース326は、1つ又は複数のフォームファクタ機器(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ワークステーション、及び/若しくはそのようなもの)、動脈血圧モニタ302と関連付けられたインターフェース、並びに/又は患者モニタと関連付けられたインターフェースによって実装される。追加的に又は代替的に、治療提供者は、アナログ機器、非ネットワーク化患者モニタ、非ネットワーク化治療用機器、非ネットワーク化医療管理機器など、及び/又はそれらの組み合わせを通じて患者データを受け取る。
【0039】
[0048] 図解された実装形態では、データベース324は、1つ又は複数のタイプの患者データを含む。例えば、データベース324は、ラボ結果データ、微生物学データ、薬剤データ、バイタルサインデータ、治療順序データ、入退院及び転院データ、並びに/又はそのようなものを含む患者データを含む。本明細書で使用される「データベース」という用語は、データ及び情報を記憶する、取り出す、更新する、及び/又は操作することをできるようにするように組織化されたデータ及び情報の集合を指す。本明細書で使用される「データベース」という用語はさらに、ローカルに存在する、又はリモートロケーションからアクセスされる(例えば、リモートネットワークサーバを経由して)データベースを指す。
【0040】
[0049] 本明細書で使用される「患者データ」という用語は、個人を特定するためのデータ又は情報を指す。患者データは、アナログの医療機器、センサ、患者モニタ、治療用機器、医療管理機器、医療撮像機器など、及び/又はそれらの組み合わせから測定された患者データを含む。追加的に、患者データは、患者の氏名、年齢、体重、これまでの医療履歴、入院番号、医療従事者の変更、入院日付、医療条件、医療状態など、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0041】
[0050] 追加的に又は代替的に、いくつかの実装形態では、データベース324は、シミュレートされたデータベースを含む、又はシミュレートされたデータベースと関連付けられる。そのような例では、そのようなシミュレートされたデータベースは、推定患者データを生成する。例えば、シミュレートされたデータベースは、いくらかの他の推定患者データを生成するために、いくらかの測定患者データを利用する。そのようなシミュレートされたデータベースは、例えば、推定を行うためにデジタルツイン技術を利用する。そのような例では、そのような推定患者データは、(測定患者データではなく)その推定される性質を示すように印付けされる。追加的に又は代替的に、体重因子は、推定患者データが、対応する測定患者データよりも低い体重を有するように、推定患者データに適用される。
【0042】
[0051] 本明細書で使用される「閉ループ制御システム」という用語は、ユーザからの入力無しで進行中である、自動調整を行わせるフィードバックに頼るシステムを指す。例えば、ユーザが、所与のシステムに対してパラメータを確立する(例えば、1つ若しくは複数の設定ポイント、許容できる操作の範囲、閾値など、及び/又はそれらの組み合わせを確立すること)と同時に、そのような閉ループ制御システムが動脈血圧モニタ302からの血圧フィードバックを利用することにより、所与の治療、薬剤送達などへの、及び/又はそれらの組み合わせへの自動調整を行わせる。
【0043】
[0052] いくつかの実装形態では、本明細書に記述されている手順は、サーバ、スマートハブ、スマートケーブル、動脈血圧モニタ302、治療用機器320、医療管理機器322など、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を介して実行される。
【0044】
[0053] 本明細書で使用される「スマートハブ」という用語は、複数のモノのインターネット(IoT)機器をモニタ及び/又は制御するように適合されたソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアを指す。追加的に又は代替的に、そのようなスマートハブは、複数のモノのインターネット(IoT)機器の中の個々の機器同士間の相互作用をモニタ及び/又は制御することになる。
【0045】
[0054] 本明細書で使用される「スマートケーブル」という用語は、電力ケーブル、並びに/或いは、そのようなスマートケーブルに通信可能に結合された1つ若しくは複数の機器をモニタ及び/又は制御するように適合されたソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアを含む通信ケーブルを指す。
【0046】
[0055] ABPパルスの検出及び特徴抽出
【0047】
[0056] 運用の際、本明細書に記述されているABPパルスの検出及び特徴抽出の技法は、ABP信号を解析することに関するいくつかのタスク、すなわち、パルス検出、パルス特徴抽出、信号品質評価など、及び/又はそれらの組み合わせを実行する。
【0048】
[0057] パルス検出については、傾斜合計関数ベースの鼓動パルス検出アルゴリズムが利用され、鼓動パルス検出アルゴリズムは、ABPパルスの始まりによってABPパルスを確実に検出する。
【0049】
[0058] パルス特徴抽出については、鼓動間のパルス間隔、瞬時ABP値、及び、信号品質制御を伴う短期間平均化ABP値(例えば、収縮期、拡張期、平均、及びパルス圧を含む)、瞬時最大ABP傾斜、並びに、信号品質制御を伴う短期間平均化最大ABP傾斜(例えば、プラス及びマイナスを含む)などのABPパルスの特徴のグループは、鼓動ごとに抽出され、各パルスに結び付けられる。
【0050】
[0059] 信号品質評価については、ABP信号品質は、様々なABP波形特徴を解析することによって、それぞれの検出されたパルスについて評価され、0から1の範囲の信号品質指標(SQI)値(例えば、1は最良品質、0は最も粗悪な品質を指す)が決定され、パルスに結び付けられる。
【0051】
[0060] ABPダンピング事象の検出
【0052】
[0061] 運用の際、本明細書に記述されているABPダンピング検出技法は、検出されたABP波形の以下の特徴/特色を用いることによって、ABPダンピング事象を検出する。所与の時間窓(例えば、2分)では、
[0062] 1)収縮期ABPは、パルスからパルスまでゆっくりと減少する。
[0063] 2)パルスABP(すなわち、収縮期BPと拡張期BPとの差)は、パルスからパルスまでゆっくりと減少し、著しく低いレベルに到達する(例えば、65%)。
[0064] 3)平均ABPは比較的不変のまま保持され、すなわち、およそ同じレベルで維持される。
[0065] 4)拡張期ABPは比較的不変のまま保持され、すなわち、およそ同じレベルで維持される。
[0066] 5)ABPパルスのほとんど(例えば90%)は、十分な信号品質を有する(例えば、SQI>0.9)。
【0053】
[0067] 本明細書に記述されているABPダンピング検出技法の出力は、バイナリ値が0又は1である、フラッシュ必要性指標(FNI)であり、ABP波形が減衰されたときにフラッシュが必要とされることを示す場合には1を、ABP波形が減衰されていない場合には0を用いる。
【0054】
[0068] ABPダンピング検出アルゴリズムの特有の設計及び実装形態は、以下のように、今検出されたABPパルス(P)に関しては、Pの前の時間窓(T)内で検出されたN個のパルスがあると仮定する。それらのN個のパルスによるABP特徴が調査され、以下の変数が規定され、計算される。1つ又は複数の例示の実装形態によると、Tは2分(120s)である。
【0055】
[0069] T内で、良好な信号品質を有するパルスのパーセントは、
[0070] Pgood_SQI=M/N (1)、
[0071] ここで、Nは、窓(T)内のパルスの総数であり、Mは、信号品質が良好であるパルス(T内で)の個数である(すなわち、SQI値は、あらかじめ規定された閾値よりも高く、例えば、SQI>0.7である)。
【0056】
[0072] T内で低下する短期間平均化収縮期BP(sBPa)を含むパルスのパーセントは、
[0073] PsBPa_decline=K/N (2)、
[0074] ここで、Kは、sBPaが以前のパルスのsBPaよりも低いパルス(T内で)の個数である。
【0057】
[0075] T内で低下する短期間平均化パルスBP(pBPa)を含むパルスのパーセントは、
[0076] PpBPa_decline=L/N; (3)、
[0077] ここで、Lは、pBPaが以前のパルスのpBPaよりも低いパルス(T内で)の個数である。
【0058】
[0078] Tにわたり短期間平均化された平均BP(mBPa)の差は、
[0079] mBPi_vs_x=mBPa(i)/mBPa(x) (4)、
[0080] ここで、mBPa(i)は、今のパルス時刻(i)でのmBPa値であり、mBPa(x)は、時刻x(x=i-T)でのmBPa値である。
【0059】
[0081] Tにわたり短期間平均化された拡張期BP(dBPa)の差は、
[0082] dBPi_vs_x=dBPa(i)/dBPa(x) (5)、
[0083] ここで、dBPa(i)は、今のパルス時刻(i)でのdBPa値であり、dBPa(x)は、時刻x(x=i-T)でのdBPa値である。
【0060】
[0084] Tにわたり短期間平均化されたパルスBP(pBPa)の差は、
[0085] pBPi_vs_x=pBPa(i)/pBPa(x); (6)、
[0086] ここで、pBPa(i)は、今のパルス時刻(i)でのpBPa値であり、pBPa(x)は、時刻x(x=i-T)でのpBPa値である。
【0061】
[0087] ABPフラッシュ必要性指標(FNI)は、以下の論理から導出される。
[0088] IF Pgood_SQI>thr1 AND
[0089] (PsBPa_decline>thr2 OR PpBPa_decline>thr3) AND
[0090] (mBPi_vs_x>thr4 OR dBPi_vs_x>thr5) AND
[0091] pBPi_vs_x<thr6
[0092] THEN FNI=1;
[0093] ELSE FNI=0; (7)、
[0094] ここで、thr1、thr2、thr3、thr4、thr5、及びthr6は、実験データから経験的に得られる適切な閾値である。本実施形態では、thr1は0.9として選択され、thr2は0.6として、thr3は0.6として、thr4は0.85として、thr5は0.9として、thr6は0.65として選択される。
【0062】
[0095] FNIは鼓動ごとに計算される。
【0063】
[0096] 下記でより詳細に説明するように、図6は、ABPダンピング検出の例示的な結果を示している。図解されるように、ABP未加工信号602のパネルは、ICUの患者から記録されたABP未加工信号のエピソードであり、そこには、2つのABPダンピング事象があり、それに続いて、ICUの看護師によって手作業で行われたフラッシュがあった(例えば、手作業のフラッシュ事象は、圧力が飽和されたパルスとして理解され得る)。ABP SQI604のパネルは、本明細書で記述されている自動フラッシュ技術の生成されたABP信号品質指標(SQI)値を示す。収縮期ABPa606、拡張期ABPa608、及びパルスABPa610のパネルは、本明細書で記述されている自動フラッシュ技術の生成された、それぞれ、短期間平均化(例えば、SQI制御による)収縮期、拡張期、及びパルス血圧値を示す。ABPダンピング(FNI)612のパネルは、ABPダンピング検出アルゴリズムによって生成されたFNI(ブール)値である。元の上端のABP信号を参照すると、ABPダンピング検出アルゴリズムは、所望通りに手作業フラッシュ事象の前にトリガし、FNI信号は、フラッシュ事象まで真のまま保持される。したがって、グラフ600の例は、本明細書で記述されている自動フラッシュ技術が、熟練のICU看護師の前にアクションをとり得ることを示している。
【0064】
[0097] 代替的に又は追加的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、自動的に、オーディオ警告信号、映像警告信号、又は触覚警告信号のうちの1つ又は複数を生成することによって、動脈血圧モニタ302に、医療的な臨床医又は専門家にIABPモニタリングを行うよう警報を出させる。動脈血圧信号ダンピング事象のこの警報は、医療データベースシステムに記憶され、関連する偽陽性の血圧アラームを阻止するために使用される。
【0065】
[0098] 代替的に又は追加的に、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、動脈血圧モニタ302に、対象者Sの非観血的動脈BP(NIABP)測定を自動的に開始させる。NIABP測定は、対象者Sの1つ又は複数の最近のNIABP測定結果が利用可能でありデータベース324のうちの1つ又は複数に記憶されている事象では、開始されなくてもよい。
【0066】
[0099] 1つ又は複数の例示の実施形態によると、動脈血圧管理システム300は、ダンピングと関連があるIABP波形における1つ又は複数の識別可能なパターンを考察することによって、患者のABP性能を動的にモニタする。本明細書に記述されているフラッシュ有効度評価(FEA)技法が、IABP波形をリアルタイムに動的に解析して、自動的に1つ又は複数の識別可能なパターンを検出するために、適用される。
【0067】
[00100] 自動フラッシングの始動
【0068】
[00101] 運用の際、ABPダンピング事象が検出されると、単一のパルス、又は方形波のようなフラッシング制御信号が、自動フラッシング制御を始動させるために発出される。したがって、自動フラッシング操作制御を完了するように、自動バルブ106が適正な時間期間の間(例えば、2秒など)開かれ、次いで閉鎖される。方形波のようなフラッシング制御信号は、そのような複数の自動フラッシング操作が必要とされるときに複数の自動フラッシング操作を行うことをできるようにする。
【0069】
[00102] 例えば、ダンピングが検出された時点で、動脈血圧モニタ302は、自動的に高速フラッシングシーケンスを開始するための第1の制御信号を送信する。本明細書に記述されているフラッシュ有効度評価(FEA)技法が、高速フラッシングシーケンスの後のIABP波形を解析し続け、検出された減衰されたIABP波形が解消された(例えば、正常に戻された)かどうか評価する。高速フラッシングシーケンスの後、減衰されたIABP波形が解消された場合、IABPモニタリングプロセスは継続する。
【0070】
[00103] 1つ又は複数の例示の実施形態によると、自動高速フラッシングシーケンスが、フラッシュ管104内に自動バルブ106(例えば、コンピュータ制御式電気流体バルブ)を含むフラッシング装置によって行われる。動脈血圧モニタ302から始動信号を受信した時点で、動脈血圧管理システム300は、時間配分の決まった(例えば、時間及び持続時間に関して)高速フラッシュを行うようにする。
【0071】
[00104] ABP回復の検出(フラッシュの後)
【0072】
[00105] 運用においては、動脈血圧モニタ302は、自動フラッシングシーケンスの直後のABP波形を追跡するように構成されており、次いで、減衰されたABP波形が回復されたか、例えばフラッシング操作が有効であるか、どうかを判定する。ABP波形の回復は、1つ又は複数の識別可能な特色によって示される、例えば、収縮期BP値及びパルスBP値は著しく拡大され、最大ABP波形傾斜は著しく増大する。
【0073】
[00106] 1つ又は複数の実施形態によると、自動フラッシングシーケンスの実施の後の動脈血圧モニタ302によるABP回復の検出は、フラッシュ有効度評価(FEA)アルゴリズムを開始する動脈血圧モニタ302によって行われる。FEAアルゴリズムは、自動フラッシングシーケンスの直後のある特定のABP波形の特徴を追跡し、次いで、それらを自動フラッシングシーケンスの直前にとられた同じ特徴と比較して、ABP波形が回復されたかどうかを判定する。
【0074】
[00107] FEAアルゴリズムの特有の設計及び実装形態は、以下のように実行される。自動フラッシングシーケンス開始時間がFonであると仮定する。フラッシュシーケンスの前の以下のABP特徴は、Fonの前のTb1(例えば2s)に位置するTb2(例えば10s)の期間のABPパルスから計算される。
[00108] Tb2に平均化された収縮期ABPである、フラッシュ前のsBPa;
[00109] Tb2に平均化されたパルスABPである、フラッシュ前のpBPa;
[00110] Tb2に平均化された最大ABP波形傾斜である、フラッシュ前のmxSLPa、但し、良好な信号品質(例えば、SQI>0.9)を有する、Tb2のABPパルスのみが考慮に入れられる。本実施形態では、Tb2は10sとして選択され、Tb1は2sとして、SQI閾値は0.9として選択される。
【0075】
[00111] 自動フラッシングシーケンス終了時間がFoffであると仮定する。フラッシュの後の以下のABP特徴は、Foffの後のTe1(例えば3s)に位置するTe2(例えば10s)の期間のABPパルスから計算される。
[00112] Te2に平均化された収縮期ABPである、フラッシュ後のsBPa;
[00113] Te2に平均化されたパルスABPである、フラッシュ後のpBPa;
[00114] Te2に平均化された最大ABP波形傾斜である、フラッシュ後のmxSLPa、但し、良好な信号品質(例えば、SQI>0.9)を有する、Te2のABPパルスのみが考慮に入れられる。1つ又は複数の例示の実施形態によると、Te2は10sとして選択され、Te1は3sとして、SQI閾値は0.9として選択される。
【0076】
[00115] フラッシュ有効度指標(FEI)は、以下の論理から導出される。
[00116] FEI=0;
[00117] IF pABPa_after_flush/pABPa_before_flush >r1 AND
[00118] sABPa_after_flush/sABPa_before_flush >r2 AND
[00119] mxSLPa_after_flush/mxSLPa_before_flush >r3 AND
[00120] THEN FEI=1; (2sの間)
[00121] ELSE FEI=-1; (2sの間) (8)、
[00122] ここで、r1、r2、及びr3は、実験データから経験的に得られる適切な(比)閾値である。1つ又は複数の例示の実施形態によると、r1は1.5として選択され、r2は1.2として、r3は2.0として選択される。
【0077】
[00123] FEI値は0として初期化される。自動フラッシングシーケンスが効果的である(すなわち、回復されたABP信号)場合、FEIは「1」の値を受信する(2s間、次いで、結果を視覚的に示すために0の値に戻る)。もう一方で、自動フラッシングシーケンスが成功しない場合、FEIは「-1」の値を受信する(2s間、そして、結果を視覚的に示すために0の値に戻る)。Foffの後の時刻(Te1+Te2)に判断がなされる。この短い遅延が必要であるのは、自動フラッシングシーケンスの後のABP特徴を確実に取得するために理にかなった時間期間が必要であるからである。スキップ窓Tb1及びTe1が、自動フラッシングシーケンスに非常に接近している(、したがって自動フラッシングシーケンスによって乱され得る)ABP波形を排除するために導入される。
【0078】
[00124] FEIは、各自動フラッシングシーケンスの終了直後に計算される。さらなるFEI結果に関する詳細は、図6及び図7を参照して下記に記述される。
【0079】
[00125] FEI結果を説明するために、図6の図解された例において下記でより詳細に説明されるように、フラッシング信号は、図6のフラッシュ操作614パネルで説明されたように、熟練したICUの医療的な臨床医又は専門家のためのABP記録上の手作業フラッシング操作に従って、生成される。フラッシング信号は、医療的な臨床医又は専門家のための手作業フラッシング操作に対応する(例えば、ABP未加工信号602のパネルで示された飽和されたABP信号によって特定される)、その非ゼロ値を含む、単一のパルス又は方形波関数を含む。動脈血圧モニタ302によって実行される提案されたFEAアルゴリズムは、各フラッシング操作の始まり時間及び停止時間を取り込み、フラッシュ有効度(FEI)616パネルに示されるように、このフラッシュに対するフラッシュ停止時間の後の(Te1+Te2)においてFEI値を作り出す。FEI値は、2sの持続期間の間続き、フラッシュ有効度評価の結果を視覚的に観測するためにゼロに戻る。フラッシュ有効度(FEI)616パネルで見えるように、両方のフラッシュは適切に有効と評価される。
【0080】
[00126] 図7の図解された例において下記でより詳細に説明されるように、複数のフラッシュが、IABPダンピング検出及びフラッシュ有効度評価のために行われた。第1のIABPダンピング事象については、ABPダンピング(FNI)712パネルにおけるFNI値によって示されるように、また、さらに医療的な臨床医又は専門家による視覚的観測に先立って、それは動脈血圧モニタ302によって適切に検出される。フラッシュシーケンスは、医療的な臨床医又は専門家によって行われる4つの手作業のフラッシュを含む(フラッシュ操作714パネルにおいて示されるように)。最初の3つのフラッシュは第1のダンピング事象に対応していた。最初の3つのフラッシュのうち、最初の2つのフラッシュは効果的でなく、第3のフラッシュが成功した(例えば、効果的な)。動脈血圧モニタ302によって実行される提案されたFEAアルゴリズムは、最初の2つのフラッシュに対して-1の値、第3のフラッシュに対して1の値を用いるFEIを作り出す(フラッシュ有効度(FEI)716パネルに示されるように)ことによって、適切にフラッシング有効度を評価した。第4のフラッシュは、第2のABPダンピング事象に対応している。第2のIABPダンピング事象は、医療的な臨床医又は専門家による手作業の特定の前に、動脈血圧モニタ302によって適切に検出される。(第4)の手作業フラッシング操作(07:17:00辺りに)は、有効と適切に評価される(FEIは1の値を有する)。
【0081】
[00127] 1つ又は複数の例示の実施形態によると、動脈血圧管理システム300は、ABPダンピング事象に関連する検出されたIABPデータストリームを「疑わしい」とラベル付けするように構成されており、これにより、その論理に従って、偽陽性の生理学的アラームに基づくアラームの生成を阻止する。
【0082】
[00128] 図5を参照して下記でより詳細に論じられるように、自動フラッシングシーケンスの後に、ABP波形が回復されている場合、IABPモニタリングは継続する。IABPが回復されない事象では、後続の自動フラッシングシーケンスが実行される。シーケンスにおけるフラッシュの数が、あらかじめ規定された、又はあらかじめ定められた数値M(例えば、M=3)を超えているが、IABP波形がまだ回復されていない場合、動脈血圧管理システム300は、アラーム(例えば、オーディオ警告信号、映像警告信号、触覚告信号など、及び/又はそれらの組み合わせ)の生成を引き起こして、カテーテル管108がオーバーダンピング問題を有しておりそのダンピングイシューを解決するために手作業の介入を必要とすることを示すことによる、医療的な臨床医又は専門家への警報の発出を行う。
【0083】
[00129] 図4は、実施形態による、動脈血圧管理システムを操作するための例示の方法400を示す。方法400は、一般に、例えば、既に論じた動脈血圧管理システム300(図3)などの動脈血圧管理システム内に実装される。
【0084】
[00130] 実施形態では、方法400(並びに方法500(図5))は、論理指令(例えば、ソフトウェア)、構成可能な論理、固定機能のハードウェア論理など、又は任意のそれらの組み合わせにおいて実装される。EMR管理システム300(図3)の操作のある特定の部分が、方法400内に例示され(並びに方法500(図5))ている一方、EMR管理システム300(図3)の操作の他の部分は、方法の説明を簡略化するために意図的に省略されたままにされている。
【0085】
[00131] 例示された処理ブロック402は、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかを判定することを実現する。例えば、そのような判定は、指定された時間窓内での、及び1つ又は複数の指定された閾値の値を超える、動脈血圧信号の特有のパターン変化に基づく。
【0086】
[00132] 例示された処理ブロック404は、カテーテル管を自動的にフラッシュすることを実現する。例えば、カテーテル管は、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して自動的にフラッシュされる。
【0087】
[00133] 方法400のための追加的及び/又は代替的な操作が、図5の記述において、下記に詳細に説明される。
【0088】
[00134] 図5は、実施形態による動脈血圧管理システムを操作するための別の方法500の例のフローチャートである。方法500は、一般に、例えば、既に論じた動脈血圧管理システム300(図3)などの動脈血圧管理システム内に実装される。
【0089】
[00135] 例示された処理ブロック504は、信号502からのパルス検出及び特徴抽出を実現する。例えば、パルス検出は、動脈血圧信号に対して行われる。追加的に、パルス特徴は、動脈血圧信号から抽出される。
【0090】
[00136] いくつかの実装形態では、信号品質は、各パルスと関連する鼓動ごとに決定される。例えば、パルス特徴は、各パルスと関連する鼓動ごとに抽出され、但し、パルス特徴は、鼓動間のパルス間隔、瞬時動脈血圧値、平均化動脈血圧値、瞬時最大動脈血圧傾斜、平均化最大動脈血圧傾斜など、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。
【0091】
[00137] 例示された処理ブロック506は、動脈血圧ダンピングの検出を実現する。例えば、そのような、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているかどうかの判定はさらに、1つ若しくは複数の指定された閾値の値のうちの第1の閾値の値に基づいて、収縮期動脈血圧に鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定すること、1つ若しくは複数の指定された閾値の値のうちの第2の閾値の値に基づいて、収縮期動脈血圧と拡張期動脈血圧との差に鼓動ごとの連続的な減少があるかどうかを判定すること、1つ若しくは複数の指定された閾値の値のうちの第3の閾値の値に基づいて、平均動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定すること、1つ若しくは複数の指定された閾値の値のうちの第4の閾値の値に基づいて、拡張期動脈血圧が時間の経過で安定しているかどうかを判定すること、指定された時間窓内で、信号品質閾値の値を超える信号品質を有するパルスの割合が、1つ若しくは複数の指定された閾値の値のうちの第5の閾値の値を超えているかどうかを判定することなど、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数に基づく。
【0092】
[00138] いくつかの実装形態では、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定は第1の基準に基づき、動脈血圧信号ダンピング事象が解消されたと判定することは、第1の基準とは異なる第2の基準に基づく。
【0093】
[00139] 例示された処理ブロック508は、動脈血圧が減衰されているかどうかに関する判定ブロックを提供する。動脈血圧信号ダンピング事象が起こっていないと判定された状況では、方法500は、処理ブロック504に戻る。動脈血圧信号ダンピング事象が起こっていると判定された状況では、方法500は、処理ブロック510に進む。
【0094】
[00140] 例示された処理ブロック510は、動脈血圧信号ダンピング事象の任意選択の警報をトリガすることを実現する。
【0095】
[00141] 追加的に、血圧限界アラームは、ユーザインターフェースへのダンピング事象通報の転送に応答して、阻止される。
【0096】
[00142] 動脈血圧信号ダンピング事象の任意選択の警報がトリガされた状況では、方法500は処理ブロック512に進み、その他の場合、方法500は処理ブロック514に進む。
【0097】
[00143] 例示された処理ブロック512は、動脈血圧信号ダンピング事象の任意選択の警報を送達することを実現する。例えば、ダンピング事象の通報は、動脈血圧信号ダンピング事象が起こっているとの判定に応答して、治療提供者及び/又は他の機器(例えば、動脈血圧モニタ302、治療用機器320、医療管理機器322など、及び/又はそれらの組み合わせ)と関連付けられたユーザインターフェース326に転送される。
【0098】
[00144] 例示された処理ブロック514は、カウンタを初期化することを実現する。
【0099】
[00145] 例示された処理ブロック516は、自動フラッシング操作を始動させることを実現する。
【0100】
[00146] 例示された処理ブロック517は、自動フラッシング操作を実行するために電気フラッシングバルブを利用することを実現する。
【0101】
[00147] 例示された処理ブロック518は、動脈血圧回復の検出を実現する。例えば、動脈血圧信号ダンピング事象が解消したかどうかに関する判定は、動脈血圧信号に基づくカテーテル管の自動フラッシングに応答してなされる。動脈血圧信号ダンピング事象が解消したとのそのような判定は、指定されたポストフラッシュ時間窓の後に発生した動脈血圧信号と比較して、指定されたプリフラッシュ時間窓の前に発生した動脈血圧信号が、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値を超えたかどうかを判定することを含む。
【0102】
[00148] いくつかの実装形態では、1つ又は複数の指定されたフラッシュ有効度閾値の値は、収縮期動脈血圧閾値の値、収縮期動脈血圧と拡張期動脈血圧との差の閾値の値(例えば、「パルスABP」)、最大動脈血圧波形傾斜の閾値の値など、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0103】
[00149] 例示された処理ブロック520は、動脈血圧の回復が生じているかどうかについての判定ブロックを提供する。動脈血圧回復が生じている状況では、方法500は処理ブロック504に戻る。動脈血圧回復が生じていない状況では、方法500は処理ブロック522に進む。
【0104】
[00150] 例示された処理ブロック522は、カウンタが、前もってセットされた最大反復値を超えているかどうかについての判定ブロックを提供する。カウンタが、前もってセットされた最大反復値を超えている状況では、方法500は処理ブロック524に進む。カウンタが、前もってセットされた最大反復値を超えていない状況では、方法500は処理ブロック526に進む。
【0105】
[00151] 例示された処理ブロック524は、動脈血圧の回復が生じていないことを示すアラームを生成することを実現する。例えば、そのようなアラームは、自動フラッシュのうちの限界の自動フラッシュが行われたものの、動脈血圧ダンピングを解消できなかった後に生成される。いくつかの実装形態では、未解決フラッシュ通報は、動脈血圧信号ダンピング事象が解消されていないと判定されたことに応答して、治療提供者及び/又は他の機器(例えば、動脈血圧モニタ302、治療用機器320、医療管理機器322など、及び/又はそれらの組み合わせ)と関連付けられたユーザインターフェース326に転送される。
【0106】
[00152] 追加的に、血圧限界アラームは、ユーザインターフェースへの未解決フラッシュ通報の転送に応答して、阻止される。
【0107】
[00153] 例示された処理ブロック526は、カウンタをインクリメントすること及び処理ブロック516に戻ることを実現する。
【0108】
[00154] 運用においては、方法500は、サーバ、スマートハブ、スマートケーブル、動脈血圧モニタ302、治療用機器320、医療管理機器322など、及び/又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を介して実行される。
【0109】
[00155] 上記の方法500における操作のうちの、「引っ張る」アーキテクチャ(例えば、新たな情報及びそれに続く対応する応答のためにポーリングすること)を用いて記述されているいくつか又は全ての操作は、代わりに、「押す」アーキテクチャ(例えば、報告する新たな情報があるとき、そのような情報を送信すること)を用いて実施されるものであり、逆もまた同様であることが理解されるであろう。
【0110】
[00156] 図6は、実施形態による、動脈血圧ダンピング事象の例示の検出と、その結果としての、対応するフラッシュの後のダンピング事象に関する回復の評価とのグラフ600の図を示す。図解された例では、ABP未加工信号602、ABP SQI604、収縮期ABPa606、拡張期ABPa608、パルスABPa610、ABPダンピング(FNI)612、フラッシュ操作614(例えば、治療提供者による手作業フラッシュ)、及びフラッシュ有効度(FEI)616が示されている。
【0111】
[00157] グラフ600は、対応するフラッシュ及び正常圧への回帰と一緒に、血餅形成によるABPダンピング事象の例を示す。ABPダンピング事象は、本明細書に記述された技法によって(例えば、熟練した看護師の観測より早期に)適切に検出される(例えば、ABPダンピング(FNI)612によって示されるように)。両方のフラッシュは、本明細書に記述された技法によって適切に有効と評価される(フラッシュ有効度(FEI)616によって示されるように)。
【0112】
[00158] 図7は、実施形態による、動脈血圧ダンピング事象の例示の検出と、その結果としての、対応する繰り返されたフラッシュの後のダンピング事象の回復の評価とのグラフ700のさらなる図を示す。図解された例では、ABP未加工信号702、ABP SQI704、収縮期ABPa706、拡張期ABPa708、パルスABPa710、ABPダンピング(FNI)712、フラッシュ操作714(例えば、治療提供者による手作業フラッシュ)、及びフラッシュ有効度(FEI)716が示されている。
【0113】
[00159] グラフ700は、対応するフラッシュと一緒に、血餅形成によるABPダンピング事象の別の例を示す。2つのABPダンピング事象は、本明細書に記述された技法によって(例えば、看護師の観測より早期に)適切に検出される(ABPダンピング(FNI)712によって示されるように)。(有効なフラッシュ及び有効でないフラッシュを含む)フラッシュの有効度は、本明細書に記述された技法によって適切に評価される(フラッシュ有効度(FEI)716によって示されるように)。
【0114】
[00160] 図8は、例示のコンピュータプログラム製品800のブロック図を示す。図8に示すように、いくつかの例では、コンピュータプログラム製品800は、さらに論理804を含む機械可読ストレージ802を含む。いくつかの実装形態では、機械可読ストレージ802は、非一時的機械可読ストレージとして実装される。いくつかの実装形態では、論理804は、例えばソフトウェアなどの機械可読指令として実装される。いくつかの実施形態では、既に論じられたように、論理804は、実行されると、方法400(図4)、方法500(図5)の1つ又は複数の態様を実施し、且つ/又は動脈血圧管理システム300(図3)を実現する。
【0115】
[00161] 図9は、動脈血圧管理システム300の図解的な例を示す。図解された例では、動脈血圧管理システム300は、プロセッサ902と、プロセッサ902に通信可能に結合されたメモリ904とを含む。メモリ904は、指令のセットとして論理906を含む。いくつかの実装形態では、論理906は、ソフトウェアとして実装される。実施形態では、既に論じられたように、論理906は、実行されると、方法400(図4)、方法500(図5)の1つ又は複数の態様を実施し、且つ/又は動脈血圧管理システム300(図3)を実現する。
【0116】
[00162] いくつかの実装形態では、プロセッサ902は、汎用コントローラ、専用コントローラ、ストレージコントローラ、ストレージマネージャ、メモリコントローラ、マイクロコントローラ、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、中央処理装置(CPU)など、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0117】
[00163] さらに、実装形態は、分散処理、コンポーネント/対象分散処理、並列処理など、及び/又はそれらの組み合わせを含む。例えば、仮想コンピュータシステム処理は、本明細書に記述されるように、方法又は機能のうちの1つ又は複数を実装し、本明細書に記述されるプロセッサ902は、そのような仮想処理をサポートするために使用される。
【0118】
[00164] いくつかの例では、メモリ904は、コンピュータ可読ストレージ媒体の例である。例えば、メモリ904は、プロセッサ902にとってアクセス可能である、限定するものではないが、RAMメモリ、レジスタ、レジスタファイルなど、及び/又はそれらの組み合わせを含む、任意のメモリである。「コンピュータメモリ」又は「メモリ」への言及は、場合によっては複数のメモリと解釈されるべきである。メモリは、例えば、同じコンピュータシステム内の複数のメモリである。メモリはさらに、複数のコンピュータシステム又はコーディング機器の間で分配された複数のメモリである。
【0119】
[00165] 図10は、例示的な半導体装置1000(例えば、チップ及び/又はパッケージ)を示す。例示された装置1000は、1つ又は複数の基板1002(例えば、シリコン、サファイア、又はガリウム砒素)と、基板(複数可)1002に結合された論理1004(例えば、構成可能な論理及び/又は固定機能のハードウェア論理)とを含む。実施形態では、既に論じられたように、論理1004は、方法400(図4)、方法500(図5)の1つ又は複数の態様を実施し、且つ/又は動脈血圧管理システム300(図3)を実現する。
【0120】
[00166] いくつかの実装形態では、論理1004は、トランジスタアレイ及び/又は他の集積回路/ICコンポーネントを含む。例えば、論理1004の構成可能な論理及び/又は固定機能のハードウェア論理の実装形態は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、若しくはトランジスタ-トランジスタ論理(TTL)技術など、及び/又はそれらの組み合わせなどの回路技術を用いた、例えば、プログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理機器(CPLD)、又は固定機能の論理ハードウェアなどの構成可能な論理を含む。
【0121】
[00167] 本明細書で規定され使用される全ての規定は、辞書規定を、参照によって組み込まれる文書内の規定を、及び/又は規定された用語の通常の意味を管理すると理解されるべきである。
【0122】
[00168] 本明細書に記述される主題は時々、異なる他の構成要素内に含まれる又は異なる他の構成要素と接続された異なる構成要素を示す。そのような表現されたアーキテクチャが単なる例示であること、及び、実際、同じ機能を達成する多くの他のアーキテクチャが実装され得ることが理解されるべきである。概念的な意味において、同じ機能を達成するための構成要素の任意の構成体は、所望の機能が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するために組み合わせられる本明細書における任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間の構成要素にかかわらず、所望の機能が達成されるように、互いに「関連付けられる」と理解され得る。本明細書で「結合される」という用語は、問題の構成要素間の直接的又は間接的な任意のタイプの関係を指すために使用され、電気的、機械的、流体の、光学的、電磁気的、電気機械的、又は他の接続に適用する。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素もまた、所望の機能を達成するように、互いに「動作可能に接続され」又は「動作可能に結合され」ると見なされ得、そのように関連付けられ得る任意の2つの構成要素もまた、所望の機能を達成するように、互いに「動作可能に結合可能である」と見なされ得る。動作可能に結合可能な特有の例は、限定するものではないが、物理的に噛み合い可能な及び/又は物理的に相互作用する構成要素を含む。
【0123】
[00169] 特許請求の範囲において、並びに上記の仕様において、「第1の」「第2の」などの用語は、本明細書では、論議を容易にするためだけに使用されており、別様に示されていない限り、特定の一時的意義も時系列的意義も担持するものではない。
【0124】
[00170] 特許請求の範囲において、並びに上記の仕様において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「構成される」などの全ての移行句は、オープンエンド的に、すなわち、含むものの限定するものではないことを意図すると理解されるべきである。移行句「からなる」及び「本質的に、からなる」のみ、それぞれ、クローズド又は準クローズドな移行句であるものとする。
【0125】
[00171] 仕様において及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される単数形の要素は、はっきりと反対に示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0126】
[00172] 本明細書で使用されるとき、「又は」又は「及び/又は」という用語は、明確に別様に、又は文脈によって別様に示されていない限り、包括的であり、排他的でない。したがって、本明細書では、「A又はB」は、明確に別様に、又は文脈によって別様に示されていない限り、「A、B、又は両方」を意味する。さらに、「及び」は、明確に別様に、又は文脈によって別様に示されていない限り、連帯と別々との両方である。したがって、本明細書で、「A及びB」は、明確に別様に、又は文脈によって別様に示されていない限り、「連帯的に又は別々に、A及びB」を意味する。
【0127】
[00173] 仕様において及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される、1つ又は複数の要素のリストに関連する「少なくとも1つの」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つ又は複数の要素から選択されるものの、必ずしも、要素のリスト内に特に列挙された各及び全ての要素のうちの少なくとも1つを含むものではなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除しない、少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この規定もまた、要素が任意選択で、特に特定された要素に関連するかそれとも関連しないに関わらず、「少なくとも1つの」が指す要素のリスト内に特に特定される要素とは別に存在することを許容する。
【0128】
[00174] 本適用例において及び特許請求の範囲において使用される、「のうちの1つ又は複数」という用語によって接合される項目のリストは、列挙された用語の任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、又はCのうちの1つ又は複数」という句は、A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;又はA、B及びCを意味する。
【0129】
[00175] 上記でより詳細に説明されるように、1つ又は複数のプロセッサ、他のユニットなど、及び/又はそれらの組み合わせは、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を実現する。
【0130】
[00176] 上記でより詳細に説明されるように、コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光学ストレージ媒体又はソリッドステート媒体などの好適な媒体上に記憶/分配され、しかし、さらに、インターネット、又は他のワイヤード若しくはワイヤレス通信システムを経由するなどして、他の形態で分配される。
【0131】
[00177] はっきりと反対に示されていない限り、本明細書で論じられる、複数のステップ又は行為を含む任意の方法において、方法のステップ又は行為の順序が、方法のステップ又は行為が記載される順序に必ずしも限定されるものではないこともまた理解されるべきである。さらに、そのような方法は、追加の又は代替的なステップ又は行為を有する。
【0132】
[00178] 特許請求の範囲で使用されるとき、ある特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されていることのみで、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0133】
[00179] 特許請求の範囲が、PCT規則6.2(b)に従い参照符号/数字を含むことにさらに留意されたい。しかしながら、本特許請求の範囲は、その参照符号/数字に対応する例示的な実装形態に限定されると見なされるべきではない。
【0134】
[00180] 当業者であれば、前述の説明から、本発明の実施形態の広範な技法が、様々な形態で実装され得ることを理解するであろう。したがって、本発明の実施形態は、特定のその例と関連して説明されてきたが、本発明の実施形態の真の範囲はそのように限定されるべきではない。何故なら、他の修正が、図面、仕様、及び以下の特許請求の範囲の研究により、当業者には明らかになるからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】