IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイションの特許一覧

特表2024-542654様々なコンプライアンスのセグメントを有するカテーテルバルーン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】様々なコンプライアンスのセグメントを有するカテーテルバルーン
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20241108BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61M25/10
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532292
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 US2022051159
(87)【国際公開番号】W WO2023101929
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/264,702
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イドン・エム・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ブルマン
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC02
4C097DD09
4C097DD10
4C097MM10
4C267AA06
4C267BB13
4C267BB28
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC08
4C267CC19
4C267EE01
(57)【要約】
バルーンカテーテル用の膨張可能なバルーンが開示されており、膨張可能なバルーンは、様々なコンプライアンスのセグメントを含む。一例として、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンは、第一のコンプライアンスを有する第一のセグメント及び第二のコンプライアンスを有する第二のセグメントを含み、第一のコンプライアンスは第二のコンプライアンスよりも高い。第一のセグメント及び第二のセグメントは、バルーンの長さに沿って軸方向に延在し、第一のセグメントは、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、第二のセグメントよりも先に軸方向に破裂するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、
第一のコンプライアンスを有する第一のセグメントと、
第二のコンプライアンスを有する第二のセグメントとを備え、前記第一のコンプライアンスが前記第二のコンプライアンスよりも高く、前記第一のセグメント及び前記第二のセグメントが、前記バルーンの長さに沿って軸方向に延在し、前記第一のセグメントが、前記バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、前記第二のセグメントよりも先に軸方向に破裂するように構成される、バルーン。
【請求項2】
前記第一のセグメント及び前記第二のセグメントが、それぞれ前記バルーンの周上の異なる部分の周りに周方向に延在する前記バルーンの周方向セグメントである、請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記第一のセグメントが、前記第一のコンプライアンス及び第一のデュロメータを有する第一の材料を含み、前記第二のセグメントが、前記第一の材料と、前記第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料とを含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のバルーン。
【請求項4】
前記第一のセグメントが、前記バルーンの厚さを横切って延在する前記第一の材料の一つ以上の周方向に延在する層を備え、前記第二のセグメントが、一つ以上の周方向に延在する前記第一の材料の層及び前記第二の材料の一つ以上の周方向に延在する層を備える、請求項3に記載のバルーン。
【請求項5】
前記第二のセグメントが、前記第一の材料の複数の周方向に延在する層の間に配置された、前記第二の材料の周方向に延在する一つの層を備える、請求項4に記載のバルーン。
【請求項6】
前記第一のセグメントが、前記第二の材料よりも多くの第一の材料の周方向に延在する層を備え、前記第二のセグメントが、前記第一のセグメントよりも多くの前記第二の材料の周方向に延在する層を備える、請求項3に記載のバルーン。
【請求項7】
前記バルーンが、前記第一のコンプライアンスを有する複数の第一のセグメントと、前記第二のコンプライアンスを有する複数の第二のセグメントとを備え、前記第一のセグメントのそれぞれが、前記バルーンの周方向に隣接する二つの前記第二のセグメントの間に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項8】
前記第一のセグメントが、第一のデュロメータを有し、前記第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料内に埋め込まれた第一の材料を含み、前記第二のセグメントが前記第二の材料を含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のバルーン。
【請求項9】
前記バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、前記第二のデュロメータが前記第一のデュロメータよりも大きく、前記第一のセグメントが、不連続部が周方向に形成されるように、前記第二の周方向に延在する部分の裂け目によって形成される、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のバルーン。
【請求項10】
前記医療用カテーテルが、半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置である、請求項1~9のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項11】
医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、
第一のデュロメータを有する第一の材料の一つ以上の層を含む第一の周方向セグメントであって、前記一つ以上の層が前記バルーンの厚さを横切って延在する、第一の周方向セグメントと、
前記第一の材料の一つ以上の層と、第二のデュロメータを有する第二の材料の一つ以上の層とを含む第二の周方向セグメントであって、前記第二のデュロメータが前記第一のデュロメータよりも大きく、前記第一の周方向セグメントが、前記バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、前記第二の周方向セグメントよりも先に軸方向に破裂を形成するように構成される、第二の周方向セグメントと、を備える、バルーン。
【請求項12】
前記第二の周方向セグメントが、半径方向に、前記第一の材料の二つの層の間に配置された前記第二の材料の層を備え、前記第一の周方向セグメントが、前記第二の材料内に裂け目を形成する、請求項11に記載のバルーン。
【請求項13】
前記第二の周方向セグメントの弧長が、前記第一の周方向セグメントの弧長よりも長い、請求項11又は請求項12のいずれかに記載のバルーン。
【請求項14】
前記第一の周方向セグメント及び前記第二の周方向セグメントの両方が、前記バルーンの長さに沿って軸方向に延在する、請求項11~13のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項15】
前記医療用カテーテルが、半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置であり、前記バルーンが前記送達装置のシャフトに取り付けられるように構成されている、請求項11~14のいずれか一項に記載のバルーン。
【請求項16】
バルーンカテーテルであって、
前記バルーンカテーテルのハンドルから延在するシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンであって、前記バルーンが、異なるコンプライアンスを有する複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備え、前記複数のセグメントが、前記バルーンが膨張流体で膨張される際に、第二のセグメントよりも高いコンプライアンスを有する第一のセグメントが、前記第二のセグメントよりも先に前記バルーンに沿って軸方向に破裂するように構成されるように構成される、膨張可能なバルーンと、を備える、バルーンカテーテル。
【請求項17】
前記第一のセグメント及び前記第二のセグメントが、前記バルーンの周囲の異なる部分の周りに周方向に延在する、請求項16に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
前記第一のセグメントが、第一のデュロメータを有する第一の材料を備え、前記第二のセグメントが、前記第一の材料と、前記第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料とを備える、請求項16又は請求項17のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
前記第一のセグメントが、前記第一の材料のみの複数の周方向に延在する層を備え、前記第二のセグメントが、前記第一の材料の一つ以上の周方向に延在する層及び前記第二の材料の一つ以上の周方向に延在する層を備える、請求項18に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
前記第一のセグメントが、前記第一の材料の複数の周方向に延在する層及び前記第二の材料の単一の周方向に延在する層を備え、前記第二のセグメントが、前記第一の材料の複数の周方向に延在する層及び前記第二の材料の少なくとも二つの周方向に延在する層を備える、請求項18に記載のバルーンカテーテル。
【請求項21】
前記バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、前記第二のデュロメータが、前記第一のデュロメータよりも大きく、前記第一のセグメントが、不連続部が周方向に形成されるように、前記第二の周方向に延在する部分の裂け目によって形成される、請求項16又は請求項17のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月30日出願の米国仮特許出願第63/264,702号の利益を主張するものであり、該出願は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置などのバルーンカテーテル用の膨張可能なバルーンに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、様々な弁膜症に罹患する可能性がある。これらの弁膜症は、心臓の深刻な機能不全を引き起こし得るものであって、最終的には、自己弁を修復することが必要となったり、自己弁を人工弁へと置換することが必要となったりすることがある。修復装置(例えば、ステント)及び人工弁として多数のものが知られているとともに、それらの装置及び弁をヒト内へと移植するための方法としても、多数のものが知られている。経皮的な及び低侵襲的な外科的アプローチを、様々な手順で使用することで、患者の身体内部における、手術では容易にアクセスし得ない位置へと、また、手術なしでアクセスすることが望ましい位置へと、人工医療デバイスを送達することができる。一具体的実施例では、人工心臓弁を、送達装置の遠位端上に圧着状態で装着し、人工弁が心臓内の移植部位に到達するまで、患者の血管系を通して(例えば、大腿動脈及び大動脈を通して)前進させることができる。次いで、人工弁は、例えば、人工弁が装着されるバルーンを膨張させることによって、その機能的サイズに拡張される。
【発明の概要】
【0004】
医療用(バルーン)カテーテル用の膨張可能なバルーンが本明細書に記載される。一部の実施例では、本明細書に記載の膨張可能なバルーンは、人工心臓弁用の送達装置で使用することができる。本明細書で説明するものは、送達装置と、人工心臓弁と、送達装置と、人工心臓弁を移植するための方法の例である。開示されたバルーン及びバルーンを製造するための方法は、例えば、バルーンによって受容された膨張圧力からの圧力下でバルーンが軸方向に破裂するように構成された様々なコンプライアンスのセグメントを有するバルーンを提供することができる。このように、本明細書で開示されるデバイス及び方法は、とりわけ、典型的な送達装置に関する一つ以上の欠陥を克服することができる。
【0005】
バルーンカテーテルは、ハンドルと、ハンドルに連結された一つ以上のシャフトと、シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンとを備えることができる。
【0006】
一部の実施例では、バルーンカテーテルのバルーンは、バルーンによって受容された膨張圧力からの圧力下でバルーンが軸方向に破裂するように構成された二つ以上の様々なコンプライアンスのセグメントを備えることができる。
【0007】
一部の実施例では、バルーンカテーテルのバルーンは、異なるデュロメータを有する二つ以上の部分を備えることができ、部分のうちの一つは、バルーンに沿って軸方向に延在する不連続部を含む。
【0008】
一部の実施例では、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンは、第一のコンプライアンスを有する第一のセグメント及び第二のコンプライアンスを有する第二のセグメントを含む。第一のコンプライアンスは第二のコンプライアンスよりも高く、第一のセグメント及び第二のセグメントはバルーンの長さに沿って軸方向に延在する。第一のセグメントは、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、第二のセグメントのよりも先に軸方向に破裂するように構成される。
【0009】
一部の実施例では、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンは、第一のデュロメータを有する第一の材料の一つ以上の層を含む第一の周方向セグメントを含み、一つ以上の層はバルーンの厚さを横切って延在する。バルーンは、第一の材料の一つ以上の層と、第二のデュロメータを有する第二の材料の一つ以上の層とを備える第二の周方向セグメントをさらに含み、第二のデュロメータは第一のデュロメータよりも大きい。第一の周方向セグメントは、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、第二の周方向セグメントよりも先に軸方向に破裂を形成するように構成される。
【0010】
一部の実施例では、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンは、第一のデュロメータを有する第一の部分と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の部分と、第二の部分における不連続部であって、バルーンの長さに沿って軸方向に延在する不連続部とを含む。
【0011】
一部の実施例では、バルーンカテーテルは、バルーンカテーテルのハンドルから延在するシャフトと、シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンとを含む。バルーンは、異なるコンプライアンスを有し、軸方向に延在する複数の周方向セグメントを含み、複数のセグメントは、バルーンが膨張流体で膨張すると、第二のセグメントよりも高いコンプライアンスを有する第一のセグメントが、第二のセグメントよりも先にバルーンに沿って軸方向に破裂するように構成されるように構成される。
【0012】
一部の実施例では、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンは、バルーンを膨張させるために使用される流体に接触するように構成された内表面と、内表面上に配置された一つ以上の補強要素とを含む。各補強要素は、バルーンに沿って軸方向に延在する。
【0013】
一部の実施例では、バルーンカテーテルは、バルーンカテーテルのハンドルから延在するシャフトと、シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンとを含む。バルーンは、バルーンの内表面上に配置された一つ以上の補強要素を含み、各補強要素は、バルーンに沿って軸方向に延び、バルーンの軸方向長さに沿って選択された周上の位置で、半径方向にバルーンに厚さを増加させる。
【0014】
一部の実施例では、バルーン及び/又はバルーンカテーテルは、以下の実施例1~67に列挙される構成要素のうちの一つ以上を備える。
【0015】
本開示の様々な革新は、組み合わせて、又は別々に、使用されることができる。本発明の概要は、以下の発明を実施するための形態で更に説明する様々な概念の選択を、簡略的な形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題に関する主要な特徴又は必須の特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。本開示に関する上記の及び他の、目的、特徴、並びに利点は、以下の詳細な説明から、特許請求の範囲から、更に添付図面から、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施例による、人工心臓弁の斜視図である。
図2図2は、一実施例による、人工心臓弁用の送達装置の斜視図である。
図3図3は、横方向に例示的な裂け目が生じたバルーンの斜視図である。
図4図4は、バルーン内に受容された膨張流体の膨張圧力が増加した場合のバルーンの外径を示す例示的なグラフであり、グラフは、バルーン内の様々なデュロメータの二つの材料に対する破裂に対する閾値圧力を示す。
図5図5は、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、バルーンの残りの部分の前に軸方向に破裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図6図6は、図5のバルーンの斜視図である。
図7図7は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図8図8は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図9図9A~9Cは、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、バルーンの膨張の様々な段階において、より大きなデュロメータの材料を備えるバルーンの残りの部分と比較して、周方向セグメントがより大きく成長していることを図示している。
図10図10は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図11図11は、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された、複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図12図12は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図13図13は、バルーンのより高いデュロメータの部分の重なり合う端部によって作り出された不連続部を備える例示的なバルーンの断面図であり、不連続部は、バルーンの残りの部分よりも先に破裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントを形成する。
図14図14は、バルーンのより高いデュロメータの部分の重なり合う端部によって作り出された不連続部を備える例示的なバルーンの断面図であり、不連続部は、バルーンの残りの部分よりも先に破裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントを形成する。
図15図15は、異なるデュロメータを有する二つの部分を備える例示的なバルーンの断面図であり、バルーンの周方向におけるコンプライアンス又はデュロメータの変化は、バルーンの二つの部分のうちより低いデュロメータの部分内の二つの部分のうち、より高いデュロメータの部分の層の数を変更することによって作り出される。
図16図16は、周方向に厚さが変化し、周方向に延在する、より高いデュロメータの部分と、バルーンの残りの部分よりも先に破裂するように構成され、軸方向に延在する周方向セグメントが、より高いデュロメータの部分のより薄い部分の領域に形成されるようにより高いデュロメータの部分を取り囲み、周方向に延在するより低いデュロメータの部分とを含む例示的なバルーンの断面図である。
図17図17は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成された、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図18図18は、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、これはバルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成されている。
図19図19は、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成され、バルーンの一つ以上のより高いデュロメータの部分の不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図である。
図20図20は、より低いデュロメータの材料で充填され、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、周方向セグメントは、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成される。
図21図21は、より低いデュロメータの材料で充填され、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、周方向セグメントは、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成される。
図22図22は、バルーンのより高いデュロメータの部分における不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成される。
図23図23は、より低いデュロメータの材料によって充填されるバルーンの一つ以上のデュロメータ変化層の不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントを備える例示的なバルーンの断面図であり、周方向セグメントは、バルーンの残りの部分の前に軸方向に破裂するように構成される。
図24図24は、バルーンのデュロメータが変化する部分の複数の層と、より高いデュロメータの部分の不連続部によって形成され、軸方向に延在する周方向セグメントとを備える例示的なバルーンの断面図であり、周方向セグメントは、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成されている。
図25図25は、バルーンの残りの部分よりも高いコンプライアンス(及び低いデュロメータ)を有する一つ以上の周方向セグメントを有するバルーンを形成するための方法のフローチャートであり、その結果、一つ以上の周方向セグメントは、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成される。
図26図26は、バルーンに形成する前の例示的な押出成形バルーンチューブの断面図であり、バルーンチューブは、バルーンチューブの内周面上に配置された一つ以上の軸方向に延在する補強要素を備え、一つ以上の補強要素は、バルーンチューブから形成されたバルーンが、バルーンに導入された膨張流体からの閾値圧力下で軸方向に破裂する構成となるように構成される。
図27図27は、図26のバルーンチューブから形成されたバルーンの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の実施例における特定の態様、利点、及び新規な特徴について、本明細書で記載する。開示された方法、装置、及びシステムは、いかようにも限定的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、互いの様々な組合せで、及び互いの様々な下位組合せで、様々な開示する実施例に関する、全ての新規かつ非自明な、特徴及び態様を対象とする。方法、装置、及びシステムが、任意の特定の態様若しくは特徴、又はそれらの組合せに限定されることもなく、開示される実施例が、任意の一つ以上の特定の利点が存在すること、又は問題が解決されることを必要とすることもない。
【0018】
開示される実施例のいくつかの操作が、提示の便宜上、特定の連続的な順序で記載されるが、以下に記載される特定の言葉によって特定の順序が要求されない限り、この記載方法が並べ替えを包含することは、理解されるべきである。例えば、順次的に説明する操作は、場合によっては、並べ替えられてもよく、又は同時に実行されてもよい。その上、簡略化のために、添付図面は、開示する方法を他の方法と組合せて使用し得る、様々な態様を示していないことがあり得る。追加的に、記載では、開示する方法を記述するために、時に、「提供する」又は「達成する」などの用語を使用する。これらの用語は、実行される実際の操作に関する、高レベルの抽象概念である。これらの用語に対応した実際の操作は、特定の実装によって相違し得るものであって、当業者であれば容易に認識可能である。
【0019】
本出願及び特許請求の範囲で使用した際には、「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」という単数形は、文脈が別段のことを明確に記述しない限り、複数形を含む。追加的に、「含む(includes)」という用語は、「含む(comprises)」ことを意味する。更に、「結合する(coupled)」という用語は、一般に、物理的に、機械的に、化学的に、磁気的に、及び/又は電気的に、結合あるいは連結することを意味するものであり、特定の反対の文言がない限り、結合された又は関連付けられた部材同士の間における、中間介在要素の存在を排除するものではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、ユーザに対してより近くであり、かつ、移植部位から離間している、デバイスの位置、方向、又は部分を指す。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、ユーザからより遠く離間しており、かつ、埋め込み部位に対してより近くである、デバイスの位置、方向、又は部分を指す。よって、例えば、デバイスの近位移動とは、デバイスが埋め込み部位から離間して、ユーザへと向かう(例えば、患者の身体外へと向かう)移動であり、他方、デバイスの遠位移動とは、デバイスがユーザから離間して、埋め込み部位へと向かう(例えば、患者の体内へと向かう)移動である。「長手方向」及び「軸方向」という用語は、別段に明示的に定義されない限り、近位方向に及び遠位方向に延びた軸を指す。
【0021】
開示された技術の概要
上記で紹介したように、人工心臓弁を、送達装置の遠位端部上に圧着状態で装着し得るとともに、人工弁が心臓の移植部位に到達するまで、患者の血管系を通して(例えば、大腿動脈及び大動脈を通して)前進させることができる。次いで、人工弁は、例えば、人工弁が装着されるバルーンを膨張させることによって、その機能的サイズに拡張される。いくつかの実例では、送達装置のバルーンは、不注意による過膨張などにより、移植処置中に裂ける可能性がある。バルーンを横切る横方向の断裂は、送達装置を患者の身体から取り外すときに、バルーンが(送達装置と共に移植される人工心臓弁又は別のタイプの拡張可能な装置、又は送達装置に)引っかかる原因となるおそれがある。これにより、移植処置の複雑さ及び/又は期間が増大する可能性がある。
【0022】
したがって、バルーンが引っかかる原因となるバルーンの劣化又は裂け目(例えば、側方裂け目)が回避されるような、送達装置又はバルーンカテーテル用の改善されたバルーン、及び送達装置用のバルーンを作製する方法に対するニーズが存在する。
【0023】
バルーンカテーテル用の膨張可能なバルーンの例が本明細書に記述され、バルーンは、コンプライアンスにおいて変化する二つ以上の周方向セグメントを有する。二つ以上の周方向セグメント間のコンプライアンスの差異は、異なる周方向セグメント内のデュロメータの材料が様々に異なることに起因していることがある。各周方向セグメントは、バルーンに沿って軸方向に延在していることがある。バルーンの他の周方向セグメントよりも高いコンプライアンス(及び低いデュロメータ)を有するバルーンの周方向セグメントは、バルーンの残りの部分よりも先にバルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で軸方向に破裂するように構成され得る。このようにして、閾値膨張圧力に達したときに横方向ではなく、軸方向の破裂が起こるようにバルーンを構成することができる。
【0024】
一部の実施例では、上述のように、様々なコンプライアンスの周方向セグメントは、異なるデュロメータの材料を利用して異なる周方向セグメントを形成することによって作成することができる。
【0025】
一部の実施例では、様々なコンプライアンスの周方向セグメントは、バルーンの内周面、及びバルーンの外周面、又はバルーンの内周面及び外周面の両方上に配置された軸方向に延在する補強要素で作成することができる。
【0026】
また、二つ以上の様々なコンプライアンス及び/又はデュロメータのセグメントを有する膨張可能なバルーンを形成するための方法も本明細書に記述される。
【0027】
本明細書で開示する人工弁は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張された状態との間で、半径方向に圧縮可能であり、半径方向に拡張可能であり得る。よって、人工弁は、送達時には、半径方向に圧縮された状態でインプラント送達装置によって圧着又は保持され得るとともに、その後、人工弁が移植部位へと到達した後には、半径方向に拡張された状態へと拡張することができる。本明細書で開示する人工弁が、様々なインプラント送達装置と共に使用され得ること、また、様々な送達手順を介して移植され得ることは、理解されるとともに、それら人工弁の例について、以下においてより詳細に説明することとなる。
【0028】
開示された技術の実施例
図1は、一実施例による、例示的な人工弁10を示す。本明細書で開示される任意の人工弁は、自己大動脈弁輪に移植されるように適合されているが、一部の実施例では、心臓の他の自己弁輪(肺動脈弁、僧帽弁、及び三尖弁)に移植されるように適合され得る。開示される人工弁は、また、肺動脈(罹患した肺動脈弁の機能を置換するため)、上大静脈又は下大静脈(罹患した三尖弁の機能を置換するため)、あるいは、患者の様々な他の静脈、動脈、及び血管、を含めて、心臓に対して連通した血管の内部に移植することもできる。開示される人工弁は、また、バルブインバルブ手順において以前に移植された人工弁(人工外科弁又は人工経カテーテル心臓弁とすることができる)の内部に移植することができる。
【0029】
いくつかの例では、開示する人工弁は、天然の心臓弁若しくは血管の内部に移植されるドッキングデバイス又はアンカーデバイスの内部に移植することができる。例えば、一例では、開示する人工弁は、米国特許出願公開第2017/0231756号明細書に開示されているように、罹患した肺動脈弁の機能を置換するために肺動脈の内部に移植されたドッキングデバイスの内部に、移植することができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。一部の実施例では、開示する人工弁は、国際公開第WO2020/247907号に開示されているように、天然の僧帽弁の内部に又は僧帽弁のところに移植されたドッキングデバイスの内部に、移植することができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。一部の実施例では、開示された人工弁は、例えば米国特許出願公開第2019/0000615号に開示されている、罹患した三尖弁の機能を置き換えるために、上大静脈又は下大静脈内に移植されたドッキング装置内に移植されてもよく、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
人工弁10は、四つの主要な構成要素である、ステント又はフレーム12と、弁膜構造14と、内側スカート16と、弁周囲外側シール部材又は外側スカート18と、を備えることができる。人工弁10は、流入端部分15と、中間部分17と、流出端部分19と、を有することができる。
【0031】
弁膜構造14は、集合的に弁尖構造を形成する三つの弁尖40を含むことができ、これら三つの弁尖は、三尖弁配置で圧潰するように構成され得るけれども、他の例では、より多数の弁尖が、又はより少数の弁尖が、存在することができる(例えば、一つ以上の弁尖40)。弁尖40は、それらの隣接する側面において相互に固定され、弁(例えば、弁尖)構造14の交連22を形成することができる。弁膜構造14の下側縁は、起伏のある湾曲したスカラップ形状を有することができ、縫合糸(図示せず)によって内側スカート16に対して固定することができる。一部の実施例では、弁尖40は、心膜組織(例えば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、又は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,730,118号明細書に記載されているような当該技術分野において既知の様々な他の適切な天然材料又は合成材料、から形成することができる。
【0032】
フレーム12は、弁膜構造14の交連22をフレームに対して取り付けるように適合された、複数の周方向に離間したスロットすなわち交連ウィンドウ20を有して形成することができる。フレーム12は、当技術分野で公知である、様々な好適な塑性的拡張可能材料(例えば、ステンレス鋼など)又は自己拡張式材料(例えば、ニチノールなどのニッケルチタン合金(NiTi))のいずれかから作製され得る。塑性的拡張可能材料から構築されたとき、フレーム12(したがって、人工弁10)は、送達カテーテル上で半径方向に圧潰した構成に圧着され、次いで、膨張式バルーン又は同等の拡張機構によって患者の内側で拡張され得る。自己拡張可能材料から構築されたとき、フレーム12(したがって、人工弁10)は、半径方向に圧潰した構成に圧着され、送達カテーテルの鞘又は同等の機構内の挿入によって圧潰構成で拘束され得る。いったん身体の内側に入ると、人工弁を送達シースから前進させることができ、これは、人工弁がその機能的サイズに拡張することを可能にする。
【0033】
フレーム12を形成するために使用され得る適切な塑性的拡張可能材料は、限定するものではないが、ステンレス鋼、生体適合性の高強度合金(例えば、コバルト-クロム合金、又はニッケル-コバルト-クロム合金)、ポリマー、又はこれらの組合せ、を含む。特定の例では、フレーム12は、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金で作製され、例えば、MP35N(登録商標)合金(SPS Technologies、ペンシルベニア州ジェンキンタウン)で作製され、これは、UNS R30035合金(ASTM F562-02によってカバーされている)と同等である。MP35N(登録商標)合金/UNS R30035合金は、35重量%のニッケルと、35重量%のコバルトと、20重量%のクロムと、10重量%のモリブデンと、を含む。人工弁10及びその様々な構成要素に関する、追加的な詳細は、国際特許出願公開第WO2018/222799号に記載されており、この文献は、参照により本明細書に援用される。
【0034】
図2は、拡張可能な人工心臓弁(例えば、人工弁10若しくは50)又は別のタイプの拡張可能な人工医療機器(ステントなど)を移植するために使用され得る、一例による送達装置100を示す。一部の実施例では、送達装置100は、人工弁を心臓内へと導入する際に使用するように、具体的に適合されている。
【0035】
図2に図示される実施例における送達装置100は、ハンドル102と、ハンドル102から延在する可動型外側シャフト104と、可動型外側シャフト104を通してハンドル102から同軸上に延在する中間シャフトと、中間シャフト及び可動型外側シャフト104を通してハンドル102から同軸上に延在する内側シャフト106と、中間シャフトの遠位端から延在する膨張式バルーン(例えば、バルーン)108と、送達装置100の遠位端に配設されたノーズコーン110とを備える、バルーンカテーテルである。送達装置100の遠位端部分112は、バルーン108と、ノーズコーン110と、バルーン肩部アセンブリとを含む。人工心臓弁などの人工医療機器は、バルーン108の弁保定部分上に装着されてもよい。バルーン肩部アセンブリは、患者の血管系を通した送達中に人工心臓弁又は他の医療機器をバルーン108上の固定位置に維持するように構成される。いくつかの実施例では、バルーン肩部アセンブリは、近位肩部120及び/又は遠位肩部122を含むことができる。
【0036】
バルーン108は、中央部分(図2に示すように、膨張時にほぼ円筒形であり得る)と、送達装置100(例えば、送達装置の一つ以上のシャフト及び/又はノーズコーン)に接続する二つの先細り端部とを含むことができる。バルーン108の長さは、軸方向124(送達装置100及びバルーン108の中央長手方向軸に平行であり得る)に画定され得る。さらに、横方向(又は半径方向)126は、軸方向124に対して垂直に画定され得る。
【0037】
ハンドル102は、送達装置の遠位端部分の曲率を調整するように構成されたステアリング機構を含むことができる。図示される実施例では、例えば、ハンドル102は、図示される回転可能なノブ134などの調整部材を含み、これは順に、プルワイヤ(図示せず)の近位端部分に動作可能に結合される。プルワイヤは、外側シャフト104を通してハンドル102から遠位に延在し、外側シャフト104の遠位端又はその付近で外側シャフトに添着された遠位端部分を有する。ノブ134を回転させることは、プルワイヤの張力を増加又は減少させ、それによって、送達装置の遠位端部分の湾曲を調整するために効果的である。
【0038】
送達装置100は、送達装置100の最内シャフトによって画定されるガイドワイヤ内腔内に受容され得るガイドワイヤの上を前進するように構成されることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、送達装置(又は類似の送達装置)は、天然大動脈弁の天然弁輪内に人工心臓弁(例えば、図1の人工弁10)を展開及び移植するように構成され得る。こうした送達装置に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に援用される国際特許出願第PCT/US2021/047056号に見出すことができる。
【0040】
一例として、拡張可能な人工心臓弁(例えば、図1の人工弁10)を移植するための移植処置中、送達装置100(又は類似の送達装置若しくはバルーンカテーテル)の遠位端部分は、標的移植部位に(ガイドワイヤを介して)前進することができる。次いで、バルーン108を膨張させて、移植部位に人工心臓弁を半径方向に拡張及び移植することができる。
【0041】
一部の実施例では、バルーンが、移植処置中に破裂(例えば、断裂)するおそれがある。図3の実施例に示すように、バルーン200は、横方向の断裂202を経験することができる。本明細書で使用される場合、横方向の断裂とは、バルーン200の中央長手方向軸に対して実質的に垂直であり、半径方向及び周方向によって画定される平面内でバルーン200を横切って生じる断裂(例えば、図2に示す横方向の断裂126、又はバルーンの全体若しくは部分の一部を横切るなど、実質的に横方向の断裂)を指すことができる。図3に示す横方向の断裂202などの横方向の断裂は、バルーン上に周方向に延在する断裂エッジを形成することができる。このように、例示的な横方向の断裂202などの横方向の断裂は、送達装置100を患者の脈管構造から取り外すときに、断裂したバルーンの一部分が引っかかるおそれがある。例えば、断裂したバルーンの一部分が、人工医療機器(例えば、弁)又は送達装置上に引っかかるおそれがある。バルーンが引っかかった部分を除去するための努力は、処置時間及びコストを増加させる可能性がある。
【0042】
一部の実施例では、バルーンが、バルーンの中央長手方向軸に平行な方向に、バルーンに沿って軸方向124(図2)に、又は長手方向に裂けることが有利であり得る。軸方向の断裂は、バルーンの少なくとも一部分に沿って軸方向に延在する断裂エッジを形成することができる。長手方向又は軸方向の断裂は、断裂したバルーンのすべての部分がバルーンカテーテル(例えば、図2の送達装置100)に接続したままであってもよいため、断裂したバルーンの取り出しを容易にすることができる。
【0043】
半径方向の強度の分散又は半径方向のバルーン上の歪みの分散を有するようにバルーンを設計することによって、バルーンは、閾値(所定のより低い閾値圧力又は膨張圧力など)に達した後に軸方向に裂けるように設計され得る。このようにして、バルーンは、横方向に断裂されるよりも先に軸方向に断裂されるように設計され得る。結果として、断裂したバルーンは、患者からより簡単に回収及び除去することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、軸方向は、バルーンの中央長手方向軸に平行な方向(例えば、図2に示す軸方向124)を指すことがあり、半径方向は、バルーンの中央長手方向軸から半径方向外側に延在し、軸方向に垂直な方向を指すことがある。横方向(例えば、図2に示す横方向126)は、バルーンの中央長手方向軸にも垂直に(例えば、バルーンを横切って)延在し得る。周方向は、物体(例えば、バルーン)の周囲の方向を指すことができる。さらに、バルーンの厚さは、バルーンの内周面と外周面との間で半径方向に画定されることができる。膨張すると、バルーンの内周面は、バルーン内の膨張流体に面し、かつ接触することができる。
【0045】
軸方向に断裂するようにバルーンを設計することは、バルーンを形成するために使用される材料のデュロメータを変化させることによって達成することができる。例えば、バルーンは、様々なデュロメータの材料を有する一つ以上の層を有するように押出成形されることができる。その場合、バルーンは、異なるデュロメータの材料の異なる層によって形成され、異なるコンプライアンス(又はデュロメータ)を有する、周方向の複数のセグメント又は部分(本明細書では周方向セグメントと呼ばれる)で構成することができる。より高いコンプライアンスを有し、かつ/又はより低いデュロメータを有する周方向セグメントは、より低いコンプライアンスを有し、かつ/又はより高いデュロメータを有するバルーンのセグメントよりも先に破裂する(又は断裂する)ように構成され得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、デュロメータは、材料の硬度を指す場合がある。より高いデュロメータの材料は、より低いデュロメータの材料よりも硬く、かつコンプライアンスが低い場合がある。したがって、本明細書で使用される場合、より低いデュロメータの材料は、より高いデュロメータの材料よりも高い(よりコンプライアンスが高い)コンプライアンスを有していることがある。一例として、より高いコンプライアンスを有する材料は、より低いコンプライアンスの材料よりも伸張することができるため、バルーンが伸張するにつれて、より高いコンプライアンスを有する材料はより薄くなり、それによって、より低いデュロメータ及びより高いコンプライアンスを有する材料が、より高いデュロメータ及びより低いコンプライアンスを有する材料よりも先に断裂する。
【0047】
図4は、バルーンが膨張流体で膨張する際の、同じバルーン内の異なるデュロメータの材料の挙動、又は異なるデュロメータの材料を含むバルーンの異なるセグメントの挙動を示すグラフ300である。具体的には、図4のグラフ300は、y軸に膨張したバルーン(図5及び図6、又は後述する図8に示すバルーンなど)の外径を示し、x軸に膨張圧力を示している。バルーン内の膨張流体からの膨張圧力が増加すると、膨張バルーンの外径が増加する。グラフ300は、例示的なバルーンの軸方向に延在する三つの異なる周方向バルーンセグメントの挙動を表す三本の線又は曲線を示す。グラフ300の三本の線又は曲線は、第一のデュロメータ(より低いデュロメータ)を有する第一の材料を含む第一のバルーンセグメントの外径を示す第一の線302と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータ(より高いデュロメータ)を有する第二の材料を含む第二のバルーンセグメントの外径を示す第二の線304と、第一の材料と第二の材料の両方の組み合わせ(例えば、それぞれの異なる層)からなる第三のバルーンセグメントの外径を示す第三の線305を含む。第一の線302によって示されるように、第一の材料を含む第一のバルーンセグメントは、第二の材料を含む第二のバルーンセグメントが破裂するように構成される第二の圧力P2、及び第一の材料と第二の材料の組み合わせを含む第三のバルーンセグメントが破裂するように構成される第三の圧力P3よりも低い第一の圧力P1で破裂するように構成される。例えば、第一の材料は、(より低いデュロメータに起因する)より高いコンプライアンスを有することができるため、膨張圧力が増加するにつれて(かつバルーン外径が増加するにつれて)、第一の材料はより多く伸張することができ、それによって、第二の材料よりも先に(第二の材料がより低いコンプライアンスを有し、伸張が少なく、したがって第一の材料ほど迅速には薄くならないため)、より薄くなり、破裂する。第三のバルーンセグメントは、第一及び第二の材料の組み合わせを含むため、第三の圧力P3は、第一の圧力P1と第二の圧力P2との間にある。第三の圧力P3が第一の圧力P1に近いか第二の圧力P2に近いかは、第三のバルーンセグメントにおけるそれぞれの第一の材料の割合が、第二の材料の割合よりも大きいか小さいかに依存する。
【0048】
一部の実施例では、第一の線302は、図5のバルーン400内の第一のセグメント406の挙動を表すことがあり、第三の線305は、バルーン400内のセグメント405(図5および図6を参照してさらに後述する第二のセグメント408のより小さいセクション)の挙動を表すことがある。
【0049】
一部の実施例では、第一の線302は、図8のバルーン550内の第一のセグメント556bの挙動を表すことがあり、第二の線304は、バルーン550内のセグメント564(第二のセグメント558bのより小さいセクション)の挙動を表すことがあり、第三の線305は、バルーン550内の第一のセグメント556aの挙動を表すことがある。
【0050】
図5及び図6は、バルーン400が軸方向に(例えば、軸方向に延在するセグメントに沿って)破裂するように、バルーン400の残りの部分よりも先に(例えば、バルーンが閾値膨張圧力に達すると)破裂又は断裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメント(第一のセグメント406)を含む第一の例示的なバルーン400を示す。このようにして、バルーン400は、より強いセグメントのよりも先に脆弱なセグメントが破裂するように、より強い周方向セグメント及びより弱い周方向セグメント(又は膨張流体からの圧力の増加に対する耐性がより高い周方向セグメント及びより低い周方向セグメント)から成ることがある。
【0051】
バルーン400は、第一のデュロメータを有する第一の部分402と、第二のデュロメータを有する第二の部分404とを含み、第二のデュロメータは第一のデュロメータよりも高い(図5)。このように、第一の部分402は、第二の部分404よりもコンプライアンスが高い(したがって、膨張圧力の増加に応答して、より多く伸張するように構成され得る)。一部の実施例では、第一の部分402は、第一の材料(図4の第一の線302の、第一のより低いデュロメータ及びより高いコンプライアンスを有する材料)を含むことができ、第二の部分404は、第二の材料(図4の第二の線304の、第二のより高いデュロメータ及びより低いコンプライアンスを有する材料)を含むことができる。上述のように、第一の材料は、第二の材料よりも低いデュロメータ及び高いコンプライアンスを有していることがある。
【0052】
図5は、図6の断面A-Aに沿って切り取られたバルーン400の断面を示す。バルーン400は、バルーン400の内周面412と外周面414との間に延在するバルーンの壁厚410を有する環状の断面を有する。内周面412は、バルーンカテーテルのシャフト上に装着されたときに膨張流体を受容するように構成された空洞413を画定する。図5及び本明細書で説明する図の追加断面図では、図示のように、空洞の直径及びバルーンの外径に対するバルーンの壁厚410は、例示の目的で誇張され(実際のものよりも大きい)、バルーンの異なる層を明確に示している場合がある。
【0053】
一部の実施例では、バルーン400は、第一の部分402が第一の層418及び第二の層420(例えば、第一の材料の)を形成し、第二の部分404が第一の層418と第二の層420との間に(例えば、第二の材料の)第三の層422を形成する多層バルーンとすることができる(図5)。バルーン400の異なる層は、図25を参照して以下にさらに説明するように、多層押出プロセスを用いて形成することができる。
【0054】
図5に示すように、バルーン400は、バルーン400の円周の一部の周囲を周方向に延在する第一のセグメント406と、(図5において第二のセグメント408の弧長409を表す矢印で示すように)バルーンの円周の別の一部の周囲を周方向に延在する第二のセグメント408とからなる。したがって、第一のセグメント406及び第二のセグメント408は、本明細書では周方向セグメントと呼ぶ場合がある。一部の実施例では、図5に示すように、第一のセグメント406及び第二のセグメント408は、バルーン400の周囲全体を構成する。
【0055】
本明細書で使用される場合、バルーンの「周方向セグメント」は、バルーンの周囲の一部分(例えば、一部分のみ)の周りに周方向に延在するバルーンのセグメントを指す場合がある。周方向セグメントは、バルーンの長さに沿って軸方向に延在し、バルーンの厚さにわたって半径方向に延在し得る。このように、軸方向に垂直な平面によるバルーンの断面は環状であり得るため、周方向セグメントは、環状のくさび又は断面を形成することができる。
【0056】
図5の実施例に示すように、第一のセグメント406は、第一の部分402(例えば、より低いデュロメータの材料)のみを備える。例えば、第一のセグメント406は、第一の部分(又は第一の材料)の一つ以上の層を備えることができ、またバルーン400の内周面412から外周面414へと、バルーン400の厚さ410全体にわたって延在することができる。したがって、一部の実施例では、第一のセグメント406は、より低いデュロメータを有する第一の材料のみを含むことができる。しかしながら、一部の実施例では、第一のセグメント406は、図13図25を参照してさらに後述するように、(第一の材料に加えて)追加の材料、及び/又は第二の材料の不連続部、またはバルーンの残りの部分よりも薄い第二の材料の部分から構成されることができる。
【0057】
第一のセグメント406は、バルーン400の長さに沿って(バルーン400の中央長手方向軸416の方向に)延在するが、バルーン400の周囲の一部分のみの周りに延在する軸方向に延在するセグメントである(図6)。第二のセグメント408は、バルーン400の残りの部分を備えることができ、またバルーンの長さに沿って軸方向に延在する(図6)。図示した実施例では、両方のセグメント406、408は、バルーン400の全長、又は空洞を形成するバルーンの膨張可能な部分の少なくとも全長に軸方向に延在する。
【0058】
一部の実施例では、第一のセグメント406は、バルーンの長さの少なくとも大部分で軸方向に延在する。
【0059】
一部の実施例では、第一のセグメント406は、バルーンの長さの大部分よりも短く延在する。
【0060】
より高いコンプライアンスを有する材料から形成される各セグメントの軸方向の長さは変化することがあり、例えば、こうした各セグメントは、バルーンの長さの大部分、バルーンの長さの少なくとも大部分、又はバルーンの全長(又はバルーンの膨張可能な部分の少なくとも全長)よりも軸方向に短く延在することができる。
【0061】
第二のセグメント408は、図5に示すように、バルーン400の円周の大部分、又は弧長409に及ぶことができる。第二のセグメント408の弧の長さ409は、第一のセグメント406の弧の長さ411よりも長い。第二のセグメント408は、第一の部分402(第一の層418及び第二の層420)及び第二の部分404(第三の層422)の一部分を含むことができる。例えば、厚さ410にわたって、第二のセグメント408は、第一の部分402の第一の層418と第二の層420との間に配設された第二の部分404の第三の層422を含む。このようにして、第二のセグメント408は、第一の部分402(例えば、第一の材料)内に埋め込まれた第二の部分404(例えば、第二の材料)の帯又は層を含むことができる。第二の部分404の第二の材料は、図4の例示的なグラフ300に示すように、第一の材料よりも高い圧力で破裂するように構成されるため、第二のセグメント408は、第一のセグメント406よりも破裂又は断裂に対してより強く、又はより高い耐性を有することがある。
【0062】
結果として、第一のセグメント406(図5及び図6の実施例において、より高いデュロメータを有する第二の部分404のいずれも含まない)は、第二のセグメント408のよりも先に破裂するように構成されることができる。第一のセグメント406は、バルーン400の長さに沿って軸方向に延在し、バルーンの周囲の一部分のみの周りに延在するため(図6)、バルーン400は、第一のセグメント406に沿って軸方向に破裂するように構成される。第一のセグメント406の両側に(周方向に)配設された第二のセグメント408は、バルーン400がバルーンを横切って横方向に断裂するのを防止することができる。このようにして、バルーン400は、破裂を経験する場合、送達装置(又は別のバルーンカテーテル)を用いてより簡単に回収及び除去することができる。
【0063】
バルーン400の第一のセグメント406は、バルーンの残りの部分と比較して、又はバルーンの残りの部分よりも低い圧力で断裂するように構成された(バルーンの残りの部分、又は第二のセグメント408と比較して)「より弱い」周方向セグメントとして構成される。換言すれば、第一のセグメント406は、より高いデュロメータを有する第二の部分404(円周方向)における不連続部によって形成されることができる。バルーンのこのようなデュロメータがより低い(又はより弱い)周方向セグメント(又はセグメント)は、バルーン内の異なるデュロメータの部分の配置を変更することによって、他の方法で作り出すことができる。バルーンの残りの周方向セグメントよりも先に破裂する(及び軸方向に破裂する)ように構成された周方向セグメントを有するバルーンの追加的な例を、図7~25を参照して以下に説明する。
【0064】
図7及び図8は、バルーンの残りの部分よりも先に破裂する(かつ軸方向に破裂する)ように構成された複数の周方向セグメントを有するバルーンの例を示す。例えば、図7に示すように、バルーン500は、第一のデュロメータ(及び第一のコンプライアンス)を有する第一の部分502と、第二のデュロメータ(及び第二のコンプライアンス)を有する第二の部分504とを備えてもよく、第二のデュロメータは、第一のデュロメータよりも大きい(第一の部分402及び第二の部分404について上述したものと同様)。一部の実施例では、第一の部分502は、(第一の部分402について上述したように)第一の材料を含むことができ、第二の部分504は、(第二の部分404について上述したように)第二の材料を含むことができる。
【0065】
一部の実施例では、第一の部分502は、異なる第一の材料又は第一の材料の組み合わせを含んでもよく、第二の部分504は、異なる第二の材料又は第二の材料の組み合わせを含んでもよく、第二の部分504の第二の材料は、第一の部分502の第一の材料よりも高いデュロメータを有する。
【0066】
バルーン500は、第一の部分502を備え、第二の部分504に不連続部を形成する、複数(図7では二つを表示)の第一のセグメント506a及び506b(周方向セグメント)から周方向に構成することができる。バルーン500はさらに、第一の部分502および第二の部分504を構成する、周方向の複数の第二のセグメント508aおよび508bを備える。例えば、第二のセグメント508a及び508bの各々は、(より低い第一のデュロメータを有する)第一の部分502内に埋め込まれた(より高い第二のデュロメータを有する)第二の部分504のセクションを備えることができる。換言すれば、第二のセグメント508a及び508bのそれぞれは、(例えば、第一の材料の)第一の部分502の内側層及び外側層と、(例えば、第二の材料の)第二の部分504の中央層とによって形成されることができる。
【0067】
バルーン400の第一のセグメント406(図5~6)と同様に、第一のセグメント506a及び506bは、第二の部分504(より高いデュロメータの材料を含むことができる)を含む第二のセグメント508a及び508bに起因して、第二のセグメント508a及び508bよりも先に(軸方向に)破裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントであり得る。
【0068】
一部の実施例では、より低いデュロメータの第一のセグメント506a及び506bの高さ510(周方向に画定される)は、第一の部分502及び第二の部分504の材料、並びに/又は第一のセグメント506a及び506bで破裂が生じる所望の膨張圧力に基づいて選択されうる。例えば、高さ510は、図7に示すよりも小さくても大きくてもよい。さらに、一部の実施例では、第一のセグメント506a及び506bの高さ510は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
図8は、第一のデュロメータを有する第一の部分552と、第二のデュロメータを有する第二の部分554とを備える例示的なバルーン550を図示し、第二のデュロメータは(第一の部分402及び第二の部分404について上述したものと同様に)第一のデュロメータよりも大きい。バルーン550は、第一の部分552(及び第一のセグメント556aの場合、また第二の部分554)を備え、周方向に複数(図8では二つを表示)の第一のセグメント556a及び556bを備えることができる。一例として、第一のセグメント556aは、(より大きい第二のデュロメータを有する)第二の部分554内に埋め込まれた(より小さい第一のデュロメータを有する)第一の部分552のセクション又は層を備え、第一のセグメント556bは、第一の部分552の一つ以上の層のみを備える(かつ第二の部分554のいずれも含まない)。このようにして、第一のセグメント556a及び556bは、バルーン550の周方向の第二の部分554に不連続部又は裂け目を形成することができる。
【0070】
バルーン550は、各々が二つの第一のセグメント556aと556bとの間に配置される、複数の第二のセグメント558a及び558bをさらに備えることができる。第二のセグメント558a及び558bは、第二の部分554のセクションを含むことができる。したがって、第二のセグメント558a及び558bは、第二の部分554の材料の一つ以上の層を含むことができ、第一のセグメント556a及び556bは、第一の部分552の材料の一つ以上の層(第一のセグメント556b)、又は第一の部分552の材料の層、及び第二の部分554の材料の一つ以上の層(第一のセグメント556a)のいずれかを含むことができる。
【0071】
バルーン400の第一のセグメント406(図5~6)と同様に、第一のセグメント556a及び556bは、第一のセグメント556a及び556bが第二のセグメント558a及び558bよりも高いコンプライアンスを有するために(第一のセグメント556a及び556bに含まれる第一の部分552の下部の第一のデュロメータから)、バルーンの残りの部分(第二のセグメント558a及び558b)よりも先に(軸方向に)断裂するように構成された軸方向に延在する周方向セグメントであり得る。例えば、第一の部分552のより低いデュロメータの材料を第一のセグメント556a及び556bに導入する一方で、バルーンの残りの部分は第二の部分554のより高いデュロメータの材料を含むことによって、第一のセグメント556a及び556bは、膨張圧力の増加及びバルーン550の残りの部分よりも低い膨張圧力での破裂に伴い、より多く伸張するように設計することができる。
【0072】
一部の実施例では、より低いデュロメータを有する第一のセグメント556a及び556bの高さ560a及び560b(円周方向に画定される)はそれぞれ、第一の部分552及び第二の部分554の材料、並びに/又は第一のセグメント556a及び556bで断裂する所望の膨張圧力に基づいて選択されうる。例えば、高さ560a及び560bは、図8に示すよりも小さくても大きくてもよい。さらに、一部の実施例では、第一のセグメント556a及び556bの高さ560a及び560bはそれぞれ、互いに同一であっても異なっていることがある。
【0073】
図9A~9Cは、バルーン600の残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成され、バルーンの軸方向に延在する周方向セグメントを有するバルーン600の例を示す。バルーン600は、第一のデュロメータを有する第一の部分602と、第二のデュロメータを有する第二の部分604とを備えることができ、第二のデュロメータは第一のデュロメータよりも大きい。一部の実施例では、第一の部分602は、第一のデュロメータ(第一の部分402、502、及び/又は552と同一又は類似)を有する第一の材料を含むことができ、第二の部分604は、第二のデュロメータ(第二の部分404、504、及び/又は554と同一又は類似)を有する第二の材料を含むことができる。
【0074】
バルーン600は、第二の部分604内に埋め込まれた第一の部分602を備える第一の周方向セグメント606を備えることができる。第二の周方向セグメント608は、バルーン600の残りの部分を構成することができ、第二の部分604のみを備える。第一の部分602(より低い第一のデュロメータを有する第一の材料を含むことができる)は、バルーン600の壁の厚さ610を部分的に通って、又は厚さ610全体を通って延在することができる。このようにして、第一の周方向セグメント606の第一の部分602は、バルーン600が膨張流体で充填されるにつれて、膨張圧力の増加と共により第二の部分604よりも多く伸張するように構成されることができる(図9A~9C)。
【0075】
より具体的には、図9A~9Cは、バルーンが膨張流体で膨張するにつれて、第一の部分602のより低いデュロメータを有する第一の材料(第二の部分604と比較して、より高いコンプライアンスを有する)が、第二の部分604のより高いデュロメータの材料よりも円周方向にどのように伸張又は拡張し、それによって膨張圧力の増加を引き起こすかを示す。バルーン600に対する膨張圧力612の増加は、図9B及び9Cにおいて、バルーン600内を中心とする矢印によって示されている。
【0076】
図9B及び図9Cにおいて、破線の垂直線614及び第一のボックス616は、膨張圧力612が増加し、バルーン600の外径が増加するにつれて、より低いデュロメータを有する第一の部分602が周方向に成長又は拡張する様子を概略的に示す。同様に、第二のボックス618は、第二の部分604のセクションを表し、膨張圧力612が増大し、バルーン600の外径が増加するにつれて、第二の部分604のサイズがどのように大きくなるかを概略的に示す。
【0077】
膨張圧力612の増加下でバルーン600の直径が増加するにつれて、第一の周方向セグメント606の第一の部分602は、(例えば、第一の部分602の第一の材料は、よりコンプライアンスが高く、第二の部分604よりも低いデュロメータを有するため)第二の周方向セグメント608の第二の部分604よりも大きく成長する。第一の部分602は、バルーン600の残りの部分よりも膨張圧力612が増加するにつれて成長し、より迅速に薄くなる。それ故に、第一の周方向セグメント606は、第一の部分602の材料に対して破裂が生じる閾値膨張圧力に達すると、(図4のグラフ300を参照して上述したものと同様に)第二の周方向セグメント608よりも先に最初に破裂するように構成される。
【0078】
図10~12は、第一のデュロメータを有する第一の部分702と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の部分704とを備える例示的なバルーン700、720、及び740の断面を示す。一部の実施例では、第一の部分702は、より低い第一のデュロメータを有する第一の材料を含むことができ、第二の部分704は、(第一のデュロメータと比較して)より高い第二のデュロメータを有する第二の材料を含むことができる。第一の部分702は、本明細書に記載の他の第一の部分(例えば、第一の部分404)と同一又は類似のものであることがあり、第二の部分704は、本明細書に記載の第二の部分(例えば、第二の部分404)と同一又は類似のものであることがある。
【0079】
図10~24はすべて、簡略化のために、(例えば、形状及びサイズが)様々に構成された第一の部分702及び第二の部分704を含むものとして表示されていることに留意されたい。これらの実施例では、第一の部分702及び第二の部分704はそれぞれ、互いに対して、より低いデュロメータ(及びより高いコンプライアンス)並びにより高いデュロメータ(及びより低いコンプライアンス)を有することがある。しかしながら、(異なる図10~24の)異なるバルーンの実施例の間では、より低いデュロメータの第一の部分702及びより高いデュロメータの第二の部分704をもたらす特定の材料は異なる場合がある。
【0080】
図10図12に戻ると、第二の部分704は、第一の部分702内又は第一の部分702によって囲まれた部分的なリング又は不連続な層として構成されることができる。第一の部分702は、一つ以上の周方向に延在する層として構成されることができる。このようにして、図10~12のバルーン700、720、及び740は、異なるデュロメータの材料(第一の部分702及び第二の部分704)の複数層押出成形から形成された多層バルーンとすることができる。
【0081】
図10~12に示すバルーン700、720、及び740は、第二の部分704に一つ以上の不連続部710を有することがある。不連続部710は、周方向に延在する第二の部分704における完全又は部分的なギャップ又は裂け目であり得る。これらの不連続部710は、より高いデュロメータを有する第二の部分704の周方向の連続性を断ち切り、それによって、バルーンの残りの部分(例えば、第二の部分704の壊れていないセクションを備えるバルーンの第二の周方向セグメント708)よりも先に膨張圧力の増加下で破裂するように構成された比較的弱い第一の周方向セグメント706を作り出す。本明細書に記載されるように、第一の周方向セグメント706及び第二の周方向セグメント708は、バルーンの長さに沿って軸方向に延在することができる。
【0082】
一例として、図10のバルーン700は、第一の周方向セグメント706を作り出す第二の部分704内の変化する高さ712(周方向に画定される)の完全なギャップ又は裂け目として構成された二つの不連続部710を含む。
【0083】
一部の実施例では、バルーン700は、二つより多いか少ない不連続部710(例えば、一つ又は三つのみ)を含むことができ、それらは互いに同じ又は異なる高さ712を有することができる。
【0084】
このようにして、バルーン700は、第一の部分702(例えば、バルーンの厚さを横切る第一の部分702の材料の一つ以上の層のみ)を備え、第二の周方向セグメント708よりも先に軸方向に破裂するように構成された複数の第一の周方向セグメント706を備えることができる。
【0085】
図11に示すように、バルーン720は、第一の周方向セグメント706を形成するために、第二の部分704を部分的又は完全に通って延在し、軸方向に延在するギャップ又はノッチとして構成された二つの不連続部710を含む。バルーン720内の不連続部710は、周方向に互いに離間している。
【0086】
一部の実施例では、バルーン720は、二つより多いか少ない不連続部710(例えば、一つ又は三つのみ)を含むことができ、かつ/又は不連続部710は、深さ(第二の部分704への半径方向)及び/又は高さ712において変化することができる。
【0087】
結果として、バルーン720は、第一の部分702を構成し、かつ第二の部分704を全く構成せず、又は厚さの一部のみを構成する、複数の第一の周方向セグメント706を備える。このように、第一の周方向セグメント706は、第二の周方向セグメント708よりも先に軸方向に破裂するように構成された相対的に強度が低い点をバルーン720内に形成する。
【0088】
図12のバルーン740は、第一の周方向セグメント706を作り出す第二の部分704内の変化する高さ712の完全なギャップ又は裂け目として構成された二つの不連続部710を含む。
【0089】
一部の実施例では、バルーン740は、二つより多いか少ない不連続部710(例えば、一つ又は三つのみ)を含むことができ、それらは互いに同一又は異なる高さ712を有することができる。
【0090】
このようにして、バルーン700は、第一の部分702(バルーンの厚さを横切る第一の部分702の材料の一つ以上の層のみ)を備え、かつ第二の周方向セグメント708よりも先に軸方向に破裂するように構成された複数の第一の周方向セグメント706を備えることができる。さらに、図12は、図10及び11に示す円形リングではなく、長方形又は正方形のリングとして構成されている第二の部分704の実施例を示す。
【0091】
一部の実施例では、第二の部分704の材料のリング又は層は、ジグザグパターン、波パターン、六角形など、バルーン740の周りに周方向に延在する異なる形状であり得る。
【0092】
図13~24は、第一のデュロメータを有する第一の部分702(第一の材料若しくは別の材料、又は比較的低いデュロメータの材料の組み合わせを含むことができる)と、第二のデュロメータを有する第二の部分704(第二の材料若しくは別の材料、又は比較的高いデュロメータの材料の組み合わせを含むことができる)とを備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きいバルーンの追加的な実施例の断面を示す。図13~24の異なる実施例では、バルーン内の第一の部分702及び第二の部分704の形状、配置、及び相対的サイズは変化することがある。
【0093】
図13及び14は、それぞれ、部分704の長手方向に延在する端部804が半径方向に互いに重なり合い、かつ/又は隣接して配置された第二の部分704の裂け目によって作り出される不連続部802を有するバルーン800及び810の例を示す。バルーンの長さに沿って軸方向に延在するこれらの不連続部802により、増大する膨張圧力の下で(例えば、第二の部分704が第一の部分702内に裂け目がない第二の周方向セグメント808よりも先に)バルーンの残りの部分よりも先に破裂するように構成された第一の周方向セグメント806(破線の間に括弧で図示)を形成することができる。それ故に、第一の周方向セグメント806は、第二の部分704(より低いコンプライアンス及びより高いデュロメータを有する)における材料の中断又は不連続部802に起因して、バルーン内に相対的な「より弱い」点を形成する。
【0094】
一部の実施例では、図13の例示的なバルーン800に示すように、第一の周方向セグメント806の第二の部分704の端部804は、バルーン800の内周面812の近くに配置されることができる。
【0095】
一部の実施例では、図14の例示的なバルーン810に示すように、第一の周方向セグメント806の第二の部分704の端部804は、バルーン810の外周面814の近くに配置されることができる。
【0096】
一部の実施例では、不連続部802の端部804は、半径方向に内周面812と外周面814との間のほぼ中央に位置することができる。
【0097】
一部の実施例では、不連続部802の端部804はそれぞれ、図13及び14に示すよりもさらに周方向に延在し、より大きな量だけ互いに重なり合うことができる。
【0098】
一部の実施例では、不連続部802の端部804は、第一の部分702によって完全に充填されるギャップが周方向に形成されるように、互いに離間して配置されることができる。さらに、一部の実施例では、不連続部802の端部804の厚さ816は、第二の部分704の残りの部分よりも小さいことがある。
【0099】
図15は、バルーン820の第一の部分702内の第二の部分704の層の数を変更することによって、周方向におけるコンプライアンスまたはデュロメータの変化を生じさせることができる例示的なバルーン820の断面を示す。例えば、バルーン820の第二の部分704は、第一の層822及び第二の層824を含む二つの層として形成されてもよく、第二の層824は第一の層822の半径方向外向きに配置される。一部の実施例では、第一の層822は、バルーン820の内周面812に隣接して配置されてもよく(図示の実施例に示すように内面812を形成することができる)、第二の層824は、第一の層822の第一の側面から、バルーン820の外周面814に向かって半径方向外向きに延在することができる。このようにして、第二の層824の中心軸は、第一の層822及びバルーンの中心軸からオフセットされていることがある。バルーン820の第一の周方向セグメント826は、第二の部分704の第一の層822のみを含んでもよく、第一の周方向セグメント826の残りの部分は、第一の部分702の一つ以上の層(例えば、第一の部分702の複数の層)から構成されることができる。バルーン820の第二の周方向セグメント828は、第一の部分702内の第二の部分704の第一の層822及び第二の層824の両方を含むことができる(例えば、第二の周方向セグメント828は、第一の部分702及び第二の部分704の両方の複数の層、又は第一の部分702及び第二の部分704の各々の少なくとも二つの層によって形成され得る)。したがって、第一の周方向セグメント826は、比較的弱く、より高いコンプライアンスを有することができ、それによって、第二の周方向セグメント828よりも先に増大する膨張圧力の下で破裂する。
【0100】
図16は、バルーン830の周囲の周りに円周方向に延在する第二の部分704の厚さ(又は半径方向の材料量)を変更することによって、円周方向のコンプライアンス又はデュロメータの変動を作り出すことができる例示的なバルーン830の断面を示す。例えば、第二の部分704は、第一の厚さ832を有する一つ以上のより薄いセクション840と、第二の厚さ834を有する一つ以上のより厚いセクション842とを備えることができる。そのため、バルーン830は、第二の部分704のより薄いセクション840を含む一つ以上の第一の周方向セグメント836と、第二の部分704のより厚いセクション842を含む一つ以上の第二の周方向セグメント838とを備えることができる。したがって、第一の周方向セグメント836が、第二の周方向セグメント838と比較して、半径方向に沿って第一の部分702のより高いコンプライアンスを有する材料、及び第二の部分704のより低いコンプライアンスを有する材料を含むという事実により、一つ以上の第一の周方向セグメント836は、一つ以上の第二の周方向セグメント838よりも高いコンプライアンスを有することができる。このように、第一の周方向セグメント836は、一つ以上の第二の周方向セグメント838よりも先に、増大する膨張圧力の下で破裂するように構成されることができる。
【0101】
図17は、図16のバルーン830に類似する例示的なバルーン850の断面を示すが、バルーン850はさらに、第二の部分704に一つ以上の不連続部710(又はギャップ若しくは裂け目)を含む。一部の実施例では、不連続部710は、より厚いセクション842内に存在することができる。
【0102】
一部の実施例では、不連続部710は、より薄いセクション840内に存在することができる。
【0103】
一部の実施例では、不連続部は、周方向に変化する高さを有することがある。図10~12を参照して上述したように、これらの不連続部710は、より小さいデュロメータを有する第一の部分702を含む(かつ、一部の実施例では、第二の部分704のいずれも有さない)、一つ以上の第一のセグメント852を形成することができる。したがって、第一のセグメント852は、バルーン850の残りの部分よりも先に、増大する膨張圧力の下で軸方向に破裂するように構成されることができる。
【0104】
図18は、第二の部分704の不連続部710が、第二の部分704内に延在する第一の部分702の変動高さ層862によって作り出される、例示的なバルーン860の断面を示す。図18の実施例では、第二の部分704は、バルーン860の外周面814に隣接して配置され、それによって、第一の部分702がバルーン860の最も内側の層を形成する一方、バルーン860の最外側の層を形成する。図18は、不連続部710の形状がどのように変化し得るか(例えば、長方形又は正方形の代わりに三角形であり得る)の例を示す。バルーン860の第二の周方向セグメント866よりも先に、増大する膨張圧力の下で軸方向に破裂するように構成された第一の周方向セグメント864は、不連続部710の領域に形成されることができる。
【0105】
図19及び図20は、第一の層872及び第二の層874として構成される第一の部分702、第三の層878として構成される第三の部分876、及び第四の層882として構成される第二の部分704を含む、複数の周方向に延在する層又は部分を備える例示的なバルーン870及び880の断面をそれぞれ示す。一部の実施例では、第三の部分876は、第一の部分702及び第二の部分704のデュロメータとは異なる(より小さいかより大きい)第三のデュロメータを有することがある。さらに、一部の実施例では、第三の部分876は、第一の部分702の第一の材料及び第二の部分704の第二の材料とは異なる(第三のデュロメータを有する)第三の材料を含むことができる。
【0106】
バルーンの層は、図20のバルーン880に示すように同心円状であってもよく、又は図19のバルーン870に示すように非同心円状であり得る。
【0107】
一部の実施例では、バルーンの残りの部分よりも高いコンプライアンスを有する一つ以上の第一の周方向セグメント884は、バルーンの一つ以上の層のギャップ又は不連続部によって形成されることができる。例えば、図19のバルーン870は、第三の層878の第一の不連続部886、及び第四の層882の第二の不連続部888を有し、これらは第一の部分702によって充填される。
【0108】
一部の実施例では、不連続部は、不連続部が位置する層に対してより低いデュロメータ及びより高いコンプライアンスを有する追加の材料又は部分によって充填され、それによって第一の周方向セグメント884を形成することができる。例えば、図20のバルーン880は、第四の部分883(又は第四の材料)によって充填された第三の層878における第一の不連続部881と、第四の部分883によって充填された第四の層882における第二の不連続部885とを有することがある。一部の実施例では、第一の不連続部881及び第二の不連続部885を充填する材料は、それらが位置する層のデュロメータよりも小さいデュロメータを有し、互いに異なる材料であり得る。
【0109】
図21は、追加的な第三の部分894で充填された第二の部分704の一つ以上(図21では二つ)の不連続部892を含む例示的なバルーン890の断面を示す。第三の部分894は、第三のデュロメータを有する第三の材料を含むことができる。一部の実施例では、第三のデュロメータは、第二の部分704の第二のデュロメータよりも低い。一部の実施例では、第三のデュロメータは、第一の部分702の第一のデュロメータ及び第二の部分704の第二のデュロメータよりも低いことがある。
【0110】
一部の実施例では、第三のデュロメータは、第一の部分702の第一のデュロメータよりも高く、第二の部分704の第二のデュロメータよりも低いことがある。
【0111】
このようにして、バルーン890の残りの部分(又は残りの第二の周方向セグメント898)が第三の部分894の領域内に作り出され得る前に、軸方向に破裂するように構成された第一の周方向セグメント896が作製され得る。
【0112】
一部の実施例では、第三の部分894は、第二の部分704の不連続部892のみを充填することができる(図21の下部分に示す)。一部の実施例では、第三の部分894は、不連続部892を充填し、不連続部から内周面812及び/又は外周面814に向かってさらに延在することができる(図21の上部分に示す)。
【0113】
図22は、図5及び図6のバルーン400及び図10のバルーン700と類似した例示的なバルーン900の断面を示すが、完全に円形の環状の第二の部分704の代わりに、第二の部分704は楕円形又は楕円形の層である。さらに、図22に示すように、第二の部分704は、第一の部分702によって充填される一つ以上の不連続部710を有することがある。このようにして、図22は、バルーンの一つ以上の周方向に延在する層(例えば、第二の部分704)が円形ではなく、異なる形状(図12のバルーン740にも示される)を有する、バルーン900の例を示す。
【0114】
図23は、第一の部分702(第一の層)と第二の部分704(第二の層)との間に第三の部分912(又は一部分)を含む例示的なバルーン910の断面を示す。一部の実施例では、第三の部分912は、第一の部分702及び第二の部分704の層を互いに支持又は固定するのを助けることができるタイ層として構成されることができる。例えば、第三の部分912は、第一の部分702及び第二の部分704の層を互いに固定又は結合するのに役立つ、追加の第三の材料(第一の部分702及び第二の部分704の材料とは異なる)を含むことができる。
【0115】
さらに、一部の実施例では、バルーン910は、第一の部分702、第二の部分704、及び第四の部分914によって充填される第三の部分912の各々に不連続部(ギャップ又は裂け目)を含むことができる。第四の部分914は、第一の部分702の第一の材料及び第二の部分704の第二の材料とは異なる第四の材料を含むことができる。一部の実施例では、第四の部分914の第四の材料は、第二の部分704よりも低いデュロメータを有することがある。一部の実施例では、第四の部分914の第四の材料は、第二の部分704及び第一の部分702よりも低いデュロメータを有することがある。このようにして、バルーン910の残りの部分よりも高いコンプライアンスを有し、バルーン900の第二の周方向部分918が第四の部分914の領域に形成される前に軸方向に破裂するように構成された第一の周方向セグメント916が形成される。
【0116】
一部の実施例では、図24の例示的バルーン920に示されるように、第三の部分912は、第二の部分704から半径方向に離間して第一の部分702内に配置される第三の材料の層から構成されることができる。例えば、バルーン920は、(内周面812から外周面814に向かって)第一の部分702の第一の層922、第二の部分704の層924、第一の部分702の第二の層926、第三の部分912の層、及び最後に第一の部分702の第三の層928を備えることができる。
【0117】
さらに、バルーン920は、第一の部分702によって充填された一つ以上の不連続部710を備えることができる(図24)。このように、バルーン920の残りの部分よりも高いコンプライアンスを有し、バルーン920の第二の周方向セクション932が不連続部710の領域に形成される前に軸方向に破裂するように構成された第一の周方向セグメント930が形成される。
【0118】
図25は、バルーンがバルーン内に導入された膨張流体からの圧力下にある時に、一つ以上の周方向セグメントがバルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成されるように、バルーンの残りの部分よりも高いコンプライアンス(及び/又は低いデュロメータ)を有する一つ以上の周方向セグメントを有するバルーンを形成するための方法1000のフローチャートである。例えば、方法1000を使用して、本明細書に記載のバルーンのいずれかを形成することができる。一部の実施例では、方法1000で形成されたバルーンは、デュロメータが異なる複数の円周方向に延在する部分又は層を備える多層バルーンである。一部の実施例では、バルーンのより高いデュロメータ(及びより低いコンプライアンス)を有する部分又は層は、その中に、より低いコンプライアンスを有する部分又は材料で充填された一つ以上の不連続部を備えることができ、それによってバルーンの残りの部分よりも低い膨張圧力で破裂するように構成された、より高いコンプライアンスを有する一つ以上の周方向セグメントを形成する。
【0119】
方法1000は、1002として開始し、一つ以上の選択された不連続部及び/又はより高いコンプライアンスを有するセグメント(例えば、図5及び6のバルーン400の第一のセグメント406)を有するバルーンを形成するために、多層チューブの押出成形用の一つ以上の材料及びダイを選択することを含む。上述のように、本明細書に記載のバルーンの様々な部分は、異なるデュロメータの材料によって形成される異なるコンプライアンス及びデュロメータを有することができる。例として、図5及び図6のバルーン400などについて、第一のデュロメータ(第一の部分402用)を有する第一の材料を選択することができ、第二のデュロメータ(第二の部分404用)を有する第二の材料を選択することができ、第二のデュロメータは第一のデュロメータよりも大きい。チューブの押出成形プロセスで使用されるダイは、選択されたバルーンの特定の層(部分)及び不連続性(又はより高いコンプライアンス周方向セグメント)を形成するように構成されるように選択することができる。
【0120】
1004において、方法1000は、選択されたダイ及び材料を含む押出成形システムを使用して、選択された不連続性及び/又はより高いコンプライアンスを有する周方向セグメントを有する多層チューブを押し出すことを含む。一部の実施例では、押出成形システムは、複数(例えば、二つ以上)の材料共押出ヘッドと、選択されたバルーンの指定された層を形成するように構成された複数の流れチャネルを有するダイとを含むことができる。押出成形システムを使用して、選択された多層チューブが形成され、これは図5図24を参照して本明細書に記述されるバルーンのうちの一つに類似した断面を有してもよい。
【0121】
1006で、方法1000は、押出成形された多層チューブからバルーンを形成すること(例えば、ブロー成形を介して)と、形成されたバルーンをバルーンカテーテルのシャフトに取り付けることとを含む。一部の実施例では、バルーンカテーテルは、図2に示す送達装置のような、半径方向に拡張可能な人工医療機器用の送達装置とすることができる。
【0122】
一部の実施例では、バルーンの残りの部分(又はより低いコンプライアンス及び/若しくはより高いデュロメータを有する周方向セグメント)よりも先に、バルーンに沿って軸方向に破裂するように構成された、より高いコンプライアンス及び/又はより低いデュロメータを有し、軸方向に延在する周方向セグメントは、バルーンの壁厚を変化させることによって形成されることができる。
【0123】
一部の実施例では、図26及び図27に示すように、一つ以上の補強要素1102を、押出成形バルーンチューブ1100(図26)及びバルーンチューブ1100から形成されたバルーン1101(図27)の内周面1104上に配置することができる。
【0124】
一部の実施例では、一つ以上の補強要素1102は、押出成形バルーンチューブ1100の外周面上に配置されてもよく、バルーンチューブ1100から形成されるバルーン1101上に配置されることができる。
【0125】
一部の実施例では、一つ以上の補強要素1102は、押出成形バルーンチューブ1100の内周面1104及び外周面の両方の面上に配置されてもよく、バルーンチューブ1100から形成されたバルーン1101上に配置されることができる。
【0126】
各補強要素1102は、バルーンチューブ1100及びバルーン1101に沿って軸方向(図26及び27のページ内)に延在する。一つ以上の補強要素1102は、バルーンの軸方向長さに沿った選択された周上の位置で、バルーンチューブ1100、及びそれから形成されたバルーン1101に、半径方向に厚さを増加させることができる。例えば、図26に示すように(バルーン1101に形成する前のバルーンチューブ1100の断面図を示す)、バルーンチューブ1100は、補強要素1102を含まないバルーンチューブのセグメントに第一の厚さ1106を有する。さらに、補強要素1102を含むバルーンチューブのセグメントにおいて、バルーンチューブ1100は、第一の厚さ1106よりも大きい第二の厚さ1108を有する。補強要素1102を含まないバルーンのセグメントは、補強要素を含むバルーンのセグメントよりも高いコンプライアンスを有することができる。
【0127】
したがって、補強要素1102は、横方向(バルーンを横切る方向)ではなく、バルーン1101をバルーンの長さに沿って軸方向に破裂させることができる。例えば、補強要素1102は、バルーンの内部空洞1110内に導入される膨張流体からの増大する圧力の下で、バルーンがバルーンを横切って横方向に破裂するのを防止することができる。
【0128】
一部の実施例では、補強要素1102は、内面1104から半径方向に離間して、バルーンチューブ1100及びバルーン1101の中央長手方向軸に向かって内向きに延在するリブとして構成されることができる。
【0129】
図27は、形成された(バルーンチューブ1100から形成された)バルーン1101の一部分の断面を示す。一部の実施例では、バルーン1101は第一の材料を含むことができ、補強要素1102は第一の材料とは異なる第二の材料を含むことができる。一部の実施例では、第二の材料は、第一の材料よりも高いデュロメータの材料を含むことができる。一部の実施例では、バルーン1101は第一の材料を含むことができ、補強要素1102は同一の第一の材料を含むことができる。
【0130】
一部の実施例では、図26に示すように、バルーンチューブ1100、及びそれから形成されるバルーン1101は、内周面1104の周りに円周方向に互いに離間している複数の補強要素1102を備えることができる。隣接する補強要素間の間隔は、同一であっても不規則であり得る。
【0131】
一部の実施例では、各補強要素1102は、バルーン1101の全長に沿って軸方向に延在することができる。
【0132】
一部の実施例では、補強要素1102は、バルーン1101の長さの少なくとも大部分に沿って軸方向に延在する一つ以上の様々な長さを有することができる。
【0133】
本明細書に記載のバルーンは、医療用カテーテルの遠位端部分上にバルーンを取り付け、医療処置中にバルーンを膨張させる(したがってバルーンカテーテルとも呼ぶことができる)ように構成された様々な医療用カテーテルで使用することができる。こうしたバルーンカテーテルの例としては、半径方向に拡張可能な人工医療機器(図2の送達装置100など)用の送達装置、血管形成用バルーンカテーテルなどが挙げられる。本明細書に開示されるバルーンを含むバルーンカテーテルは、様々な医療デバイス(例えば、人工心臓弁、ステント、ステントグラフトなど)のいずれかを移植するために使用されることができ、又は弁形成処置などの医療デバイスの移植を伴わない他の医療処置を実施するために使用されることができる。
【0134】
送達技術
経大腿送達アプローチを介して人工弁を天然の大動脈弁内へと移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って半径方向に圧縮された状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部分とは、大腿動脈内へと挿入され、下行大動脈内へと及び下行大動脈を通して、大動脈弓のまわりを、並びに上行大動脈を通して、前進駆動される。人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされて、半径方向に拡張される(例えば、バルーンを膨張させることにより、送達装置の一つ以上のアクチュエータを駆動することにより、あるいは、シースから人工弁を展開して人工弁を自己拡張可能とすることにより)。代替的には、人工弁は、経心尖手順で天然の大動脈弁の内部に移植することができ、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部及び心臓の心尖部の外科的開口を通して左心室内へと導入され、人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされる。代替的には、経大動脈手順では、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、例えば部分的なJ胸骨切開又は右胸骨傍の小開胸術などによって、上行大動脈の外科的切開を通して大動脈内へと導入され、その後、上行大動脈を通して天然の大動脈弁に向けて前進駆動される。
【0135】
経中隔送達アプローチを介して人工弁を天然の僧帽弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って半径方向に圧縮された状態で取り付けられる。人工弁と送達装置の遠位端部分は、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へと及び下大動脈を通して、右心房内へと、心房中隔を横断して(心房中隔内で行われた穿刺を通して)、左心房内へと、及び自己僧帽弁に向けて前進される。あるいは、人工弁は、経心尖処置で自己僧帽弁の内部へと移植されてもよく、これによって、(送達装置の遠位端部分上の)人工弁は、胸部及び心臓の心尖部の外科的開口部を通して左心室内へと導入され、人工弁は、自己僧帽弁の内部に配置される。
【0136】
人工弁を自己三尖弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部分に沿って、半径方向に圧縮された状態で取り付けられる。人工弁と送達装置の遠位端部分は、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へと、及び下大静脈を通して、右心房内へと前進し、人工弁は、自己三尖弁の内部に配置される。同様の手法を、人工弁が自己三尖弁を通して右心室内へと、及び肺動脈弁/肺動脈に向けて前進することを除いて、人工弁を、自己肺動脈弁又は肺動脈の内部に移植するために、使用し得る。
【0137】
別の送達アプローチは、経心房アプローチであり、これによって、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部の切開部を通して挿入され、切開部が、自己心臓弁のいずれかに対してアクセスするために、心房壁(右心房又は左心房の心房壁)を通して形成される。心房送達は、また、例えば肺静脈からなど、血管内から行うことができる。さらに別の送達アプローチは、経心室アプローチであり、これによって、人工弁(送達装置の遠位端部分上)は、胸部の切開口を通して挿入され、切開口が、人工弁を自己三尖弁の内部に又は自己肺動脈弁の内部に又は肺動脈の内部に移植するために、右心室の壁(典型的には、心臓の基部又はその近傍)を通して形成される。
【0138】
すべての送達アプローチでは、送達装置は、以前に患者の血管系内へと挿入されたガイドワイヤ上を通して前進駆動することができる。その上、開示した送達アプローチは、限定されることを意図したものではない。本明細書で開示する任意の人工弁は、当該技術分野で知られる任意の様々な送達処置及び任意の様々な送達デバイスを使用して、移植されることができる。
【0139】
本明細書のシステム、デバイス、装置などはいずれも、患者との使用に安全であることを確実にするために滅菌することができ(例えば、加熱/熱、加圧、蒸気、放射線、及び/又は化学物質などを用いて)、本明細書の方法はいずれも、方法の工程のうちの一つとして関連するシステム、デバイス、装置などの滅菌を含むことができる。加熱/熱滅菌の例としては、蒸気滅菌及びオートクレーブ処理が挙げられる。滅菌で使用するための放射線の例としては、ガンマ線、紫外線照射及び電子ビームが挙げられるが、これらに限定されない。滅菌で使用するための化学物質の例としては、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。過酸化水素による滅菌は、例えば、過酸化水素プラズマを使用して行われてもよい。
【0140】
開示された技術の追加的な実施例
開示された主題の上述の実装を考慮して、本出願は、以下に列挙する追加的な実施例を開示する。一つの実施例から分離された一つの特徴又は組み合わせて採用された二つ以上の特徴、及び任意選択で、一つ以上のさらなる実施例の一つ以上の特徴との組み合わせも、本出願の開示の中に収まるさらなる実施例であることに注意すべきである。
【0141】
実施例1. 医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、第一のコンプライアンスを有する第一のセグメントと、第二のコンプライアンスを有する第二のセグメントとを備え、第一のコンプライアンスは第二のコンプライアンスよりも高く、第一のセグメント及び第二のセグメントはバルーンの長さに沿って軸方向に延在し、第一のセグメントは、バルーン内に導入される膨張流体からの圧力下で、第二のセグメントよりも先に軸方向に破裂するように構成される、膨張可能なバルーン。
【0142】
実施例2. 第一のセグメント及び第二のセグメントが、それぞれバルーンの周囲の異なる部分の周りに周方向に延在するバルーンの周方向セグメントである、本明細書の任意の実施例、特に実施例1のバルーン。
【0143】
実施例3. 第一のセグメントが、第一のコンプライアンス及び第一のデュロメータを有する第一の材料を含み、第二のセグメントが、第一の材料と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料とを含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例1又は実施例2のバルーン。
【0144】
実施例4. 第一のセグメントが、バルーンの厚さを横切って延在する第一の材料の一つ以上の周方向に延在する層を備え、第二のセグメントが、第一の材料の一つ以上の周方向に延在する層及び第二の材料の一つ以上の周方向に延在する層を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例3に記載のバルーン。
【0145】
実施例5. 第二のセグメントが、第一の材料の複数の周方向に延在する層の間に配置された第二の材料の一つの周方向に延在する層を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例4のバルーン。
【0146】
実施例6. 第一のセグメントが、第二の材料よりも多くの第一の材料の周方向に延在する層を備え、第二のセグメントが、第一のセグメントよりも多くの第二の材料の周方向に延在する層を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例3のバルーン。
【0147】
実施例7. バルーンが、第一のコンプライアンスを有する複数の第一のセグメントと、第二のコンプライアンスを有する複数の第二のセグメントとを備え、第一のセグメントのそれぞれが、バルーンの周方向に隣接する二つの第二のセグメントの間に配置されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~6のいずれか一つのバルーン。
【0148】
実施例8. 第一のセグメントが、第一のデュロメータを有し、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料内に埋め込まれた第一の材料を備え、第二のセグメントが第二の材料を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例1又は実施例2のバルーン。
【0149】
実施例9. バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きく、第一のセグメントが、不連続部分が周方向に形成されるように、第二の周方向に延在する部分の裂け目によって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例1又は実施例2のバルーン。
【0150】
実施例10. バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きく、第二の周方向に延在する部分が厚さが変化し、第一のセグメントが、第二の周方向に延在する部分のより厚いセクションの間に配置された第二の周方向に延在する部分のより薄いセクションによって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例1又は実施例2のバルーン。
【0151】
実施例11. 第二のセグメントが、バルーンに厚さを加えるバルーンの内表面上に軸方向に延在する補強要素を備え、第一のセグメントが、軸方向に延在する補強要素を有さず、第二のセグメントよりも薄い、本明細書の任意の実施例、特に実施例1又は実施例2のバルーン。
【0152】
実施例12. 軸方向に延在する補強要素が、バルーンの残りの部分と同じ材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例11のバルーン。
【0153】
実施例13. 軸方向に延在する補強要素が、バルーンの残りの部分とは異なる材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例11のバルーン。
【0154】
実施例14. 医療用カテーテルが半径方向に拡張可能な医療装置のための送達装置である、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~13のいずれか一つのバルーン。
【0155】
実施例15. 医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、第一のデュロメータを有する第一の材料の一つ以上の層を含む第一の周方向セグメントと、前記バルーンの厚さを横切って延在する一つ以上の層と、第一の材料の一つ以上の層及び第二のデュロメータを有する第二の材料の一つ以上の層を含む第二の周方向セグメントと、を備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きく、第一の周方向セグメントが、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、第二の周方向セグメントよりも先に軸方向に破裂を形成するように構成される、バルーン。
【0156】
実施例16. 第二の周方向セグメントが、半径方向に第一の材料の二つの層の間に配置された第二の材料の層を備え、第一の周方向セグメントが第二の材料の裂け目を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例15に記載のバルーン。
【0157】
実施例17. 第二の材料の層が、バルーンに沿って軸方向に延在する環状部を形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例16のバルーン。
【0158】
実施例18. 第二の材料の層が、バルーンに沿って軸方向に延在する長方形、正方形、又は楕円形のリングのうちの一つを形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例16のバルーン。
【0159】
実施例19. 第二の周方向セグメントの弧長が、第一の周方向セグメントの弧長よりも長い、本明細書の任意の実施例、特に実施例15~18のいずれか一つのバルーン。
【0160】
実施例20. バルーンが、第一の材料の一つ以上の層を含む二つの第一の周方向セグメントを備え、一つ以上の層がバルーンの厚さを横切って延び、二つの第一の周方向セグメントが第二の周方向セグメントによって円周方向に互いに離間されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例15~19のいずれか一つのバルーン。
【0161】
実施例21. 第一の周方向セグメント及び第二の周方向セグメントの両方が、バルーンの長さに沿って軸方向に延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例16~20のいずれか一つのバルーン。
【0162】
実施例22. 医療用カテーテルが半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置であり、バルーンが送達装置のシャフトに取り付けられるように構成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例16~21のいずれか一つのバルーン。
【0163】
実施例23. 医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、第一のデュロメータを有する第一の部分と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の部分と、第二の部分における不連続部であって、バルーンの長さに沿って軸方向に延在する不連続部とを備える、膨張可能なバルーン。
【0164】
実施例24. 第一の部分及び第二の部分が、それぞれバルーンの長さに沿って軸方向に延在するバルーンの周方向に延在する層である、本明細書の任意の実施例、特に実施例23のバルーン。
【0165】
実施例25. 第一の部分及び第二の部分が、互いに同心の周方向に延在する層である、本明細書の任意の実施例、特に実施例24のバルーン。
【0166】
実施例26. 第一の部分及び第二の部分が、互いに非同心である円周方向に延在する層である、本明細書の任意の実施例、特に実施例24のバルーン。
【0167】
実施例27. 不連続部が、円周方向に第二の部分にギャップを作り出す、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~26のいずれか一つのバルーン。
【0168】
実施例28. 第二の部分のギャップが第一の部分によって充填される、本明細書の任意の実施例、特に実施例27のバルーン。
【0169】
実施例29. 第二の部分内のギャップが、第三のデュロメータを有する第三の部分によって充填され、第三のデュロメータが第二のデュロメータよりも小さい、本明細書の任意の実施例、特に実施例27のバルーン。
【0170】
実施例30. 不連続部が第二の部分の厚さ全体を通って延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~26のいずれか一つのバルーン。
【0171】
実施例31. 不連続部が、第二の部分の厚さの一部分を通って延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~26のいずれか一つのバルーン。
【0172】
実施例32. 不連続部が第二の部分の裂け目によって形成され、第二の部分の端部が半径方向に重なる、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~26のいずれか一つのバルーン。
【0173】
実施例33. 不連続部が、第一の部分の変動高さ層によって形成され、高さがバルーンの周方向に画定される、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~26のいずれか一つのバルーン。
【0174】
実施例34. 不連続部が、バルーン内にバルーンの長さに沿って軸方向に延在し、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で、バルーンの残りの部分よりも先に軸方向に破裂するように構成されている、周方向セグメントを形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~33のいずれか一つのバルーン。
【0175】
実施例35. バルーンカテーテルであって、バルーンカテーテルのハンドルから延在するシャフトと、シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンと、を備え、バルーンが、異なるコンプライアンスを有する複数の軸方向に延在する周方向セグメントを備え、複数のセグメントが、第二のセグメントよりも高いコンプライアンスを有する第一のセグメントが、バルーンが膨張流体で膨張するとき、前記第二のセグメントよりも先にバルーンに沿って軸方向に破裂するように構成される、バルーンカテーテル。
【0176】
実施例36. 第一のセグメント及び第二のセグメントが、バルーンの周囲の異なる部分の周りに周方向に延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例35のバルーンカテーテル。
【0177】
実施例37. 第一のセグメントが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含み、第二のセグメントが、第一の材料と、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料とを含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例35又は実施例36のバルーンカテーテル。
【0178】
実施例38. 第一のセグメントが、第一の材料のみの複数の周方向に延在する層を含み、第二のセグメントが、第一の材料の一つ以上の周方向に延在する層及び第二の材料の一つ以上の周方向に延在する層を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例37に記載のバルーンカテーテル。
【0179】
実施例39. 第二のセグメントが、第一の材料の第一の周方向に延在する層と第二の周方向に延在する層との間に配置される第二の材料の一つの周方向に延在する層を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例38のバルーンカテーテル。
【0180】
実施例40. 第一のセグメントが、第一の材料の複数の周方向に延在する層と、第二の材料の単一の周方向に延在する層とを備え、第二のセグメントが、第一の材料の複数の周方向に延在する層と、第二の材料の少なくとも二つの周方向に延在する層とを含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例37に記載のバルーンカテーテル。
【0181】
実施例41. バルーンが、より高いコンプライアンスを有する複数の第一のセグメントと、複数の第一のセグメントよりも低いコンプライアンスを有する複数の第二のセグメントとを備え、第一のセグメントのそれぞれが、バルーンの周方向に隣接する二つの第二のセグメントの間に配置されている、実施例35~40のいずれか一つのバルーンカテーテル。
【0182】
実施例42. 第一のセグメントが、第一のデュロメータを有し、第一のデュロメータよりも大きい第二のデュロメータを有する第二の材料内に埋め込まれた第一の材料を含み、第二のセグメントが第二の材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例35又は実施例36のバルーンカテーテル。
【0183】
実施例43. バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きく、第一のセグメントが、不連続部が周方向に形成されるように、第二の周方向に延在する部分の裂け目によって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例35又は実施例36のバルーンカテーテル。
【0184】
実施例44. バルーンが、第一のデュロメータを有する第一の材料を含む第一の周方向に延在する部分と、第二のデュロメータを有する第二の材料を含む第二の周方向に延在する部分とを備え、第二のデュロメータが、第一のデュロメータよりも大きく、第二の周方向に延在する部分が、周方向に厚さが変化し、第一のセグメントが、第二の周方向に延在する部分の隣接するより厚いセクションの間に配置された第二の周方向に延在する部分のより薄いセクションによって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例35又は実施例36のバルーンカテーテル。
【0185】
実施例45. 第二のセグメントが、バルーンに厚さを加えるバルーンの内表面上に軸方向に延在する補強要素を備え、第一のセグメントが、軸方向に延在する補強要素を有さず、第二のセグメントよりも薄い、本明細書の任意の実施例、特に実施例35又は実施例36のバルーンカテーテル。
【0186】
実施例46. バルーンカテーテルが、半径方向に拡張可能な人工医療機器用の送達装置である、本明細書の任意の実施例、特に実施例35~44のいずれか一つのバルーンカテーテル。
【0187】
実施例47. 医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、バルーンを膨張させるために使用される流体に接触するように構成された内表面と、内表面上に配置された一つ以上の補強要素であって、各補強要素がバルーンに沿って軸方向に延在する、一つ以上の補強要素とを備える、膨張可能なバルーン。
【0188】
実施例48. 一つ以上の補強要素が、バルーンの円周方向に互いに離間した二つ以上の補強要素を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例47のバルーン。
【0189】
実施例49. 一つ以上の補強要素の各補強要素が、バルーンの軸方向長さに沿って選択された周上の位置におけるバルーンの厚さを増加させるリブとして構成されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例47又は実施例48のバルーン。
【0190】
実施例50. バルーン及び一つ以上の補強要素が同一の材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例47~49のいずれか一つのバルーン。
【0191】
実施例51. バルーン及び一つ以上の補強要素が異なる材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例47~50のいずれか一つのバルーン。
【0192】
実施例52. 一つ以上の補強要素が、バルーンが膨張流体で膨張し、閾値膨張圧力に達するのに応答して、バルーンをバルーンに沿って軸方向に破裂させるように構成されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例47~51のいずれか一つのバルーン。
【0193】
実施例53. バルーンカテーテルであって、バルーンカテーテルのハンドルから延在するシャフトと、シャフトに取り付けられた膨張可能なバルーンとを備え、バルーンが、バルーンの内面上に配置された一つ以上の補強要素を備え、各補強要素が、バルーンに沿って軸方向に延在し、バルーンの軸方向長さに沿って選択された円周位置で、半径方向に前記バルーンに厚さを増加させる、バルーンカテーテル。
【0194】
実施例54. 一つ以上の補強要素及びバルーンの残りの部分が同一の材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例53のバルーンカテーテル。
【0195】
実施例55. 一つ以上の補強要素及びバルーンの残りの部分が、異なる材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例53のバルーンカテーテル。
【0196】
実施例56. 一つ以上の補強要素が、バルーンが膨張流体で膨張し、閾値膨張圧力に達すると、バルーンをバルーンに沿って軸方向に破裂させるように構成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例53~55のいずれか一つのバルーンカテーテル。
【0197】
実施例57. 一つ以上の補強要素が、周方向に互いに離間した複数の補強要素を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例53~56のいずれか一つのバルーンカテーテル。
【0198】
実施例58. バルーンカテーテルが、半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置である、本明細書の任意の実施例、特に実施例53~57のいずれか一つに記載のバルーンカテーテル。
【0199】
実施例59. 第一のコンプライアンスを有する第一の材料と、第二のコンプライアンスを有する第二の材料とを備える、医療用カテーテル用の膨張可能なバルーンであって、であって、第一のコンプライアンスが第二のコンプライアンスよりも高く、バルーンの長手方向軸に垂直なバルーンの断面が、バルーン内に導入された膨張流体からの圧力下で軸方向に破裂する弱化セクションを形成するように配置された第一及び第二の材料を含む、膨張可能なバルーン。
【0200】
実施例60. 弱化セクションが、第二の材料よりも多くの第一の材料を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例59のバルーン。
【0201】
実施例61. 弱化セクションが第一の材料のみを備え、第一の材料が虚弱セクション内のバルーンの厚さを横切って延在する、本明細書の任意の実施例、特に実施例59のバルーン。
【0202】
実施例62. 第一の材料及び第二の材料が、バルーンに沿って軸方向に延在するバルーン内の複数の層の中に配置されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例59~61のいずれか一つのバルーン。
【0203】
実施例63. 複数の層の各層が、互いに同心である、本明細書の任意の実施例、特に実施例62のバルーン。
【0204】
実施例64. バルーンが、第一の材料の二つの層及び第二の材料の層を備え、第二の材料の層が、第一の材料の二つの層の間に配置され、弱化セクションが、第一の材料によって充填される第二の材料の層のギャップによって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例62又は実施例63のバルーン。
【0205】
実施例65. バルーンが、第一の材料の一つ以上の層及び第二の材料の一つ以上の層を含み、弱化セクションが、第二の材料の一つ以上の層における不連続部によって形成される、本明細書の任意の実施例、特に実施例62又は実施例63のバルーン。
【0206】
実施例66. 医療用カテーテルが半径方向に拡張可能な医療装置用の送達装置である、本明細書の任意の実施例、特に実施例59~65のいずれか一つのバルーン。
【0207】
実施例67. バルーン又はカテーテルが滅菌される、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~66のいずれか一つのバルーン又はカテーテル。
【0208】
別段の記載がない限り、任意の実施例に関して本明細書に記載される特徴は、他の実施例の任意の一つ以上に記載される他の特徴と組み合わせることができる。例えば、あるバルーンに関する任意の一つ以上の特徴を、別のバルーンに関する任意の一つ以上の特徴に対して、組み合わせることができる。別の例として、一つのバルーンカテーテルの任意の一つ以上の特徴は、別のバルーンカテーテルの任意の一つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0209】
本開示の原理が適用され得る多くの可能な方法を考慮すると、図示される構成が、開示される技術の実施例を示すのであり、本開示又は請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことは、認識されるべきである。むしろ、特許請求される主題の範囲は、以下の特許請求の範囲によって、及びその均等物によって、規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【国際調査報告】