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特表2024-542661熱伝播防止構造が改善されたバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】熱伝播防止構造が改善されたバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241108BHJP
   H01M 50/256 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20241108BHJP
   H01M 50/517 20210101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/256 101
H01M50/296
H01M50/383
H01M50/505
H01M50/517
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532319
(86)(22)【出願日】2023-09-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2023014601
(87)【国際公開番号】W WO2024071882
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0124004
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デ・ギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ウォン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・イ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H040AA37
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY06
5H040CC20
5H040CC57
5H040DD06
5H040GG21
5H040LL04
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA04
5H043CA21
5H043DA06
5H043FA04
5H043FA08
5H043JA01F
(57)【要約】
開示されるバッテリーモジュールは、一つの例において、複数個の電池セルが収容されたモジュールハウジングと、上記モジュールハウジングの前面に備えられた一対の高電圧端子と、上記高電圧端子間に備えられた一対のモジュールリフティングホールと、上記高電圧端子を含む上記モジュールハウジングの前面の一部を囲み、上面に締結ホールが貫通形成されたサーマルバリアーと、上記サーマルバリアーを上記モジュールリフティングホールに対して固定するように、上記モジュールリフティングホールと締結ホールを貫通して設置される締結部材と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電池セルが収容されたモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの前面に備えられた一対の高電圧端子と、
前記高電圧端子間に備えられた一対のモジュールリフティングホールと、
前記高電圧端子を含む前記モジュールハウジングの前面の一部を囲むサーマルバリアーであって、前記サーマルバリアーの上面には締結ホールが貫通形成された、サーマルバリアーと、
前記サーマルバリアーを前記モジュールリフティングホールに対して固定するように、前記モジュールリフティングホールと締結ホールとを貫通して設置される締結部材と、を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記モジュールリフティングホールは、
前記モジュールハウジングの上面に対して段差を形成しながら、前記モジュールハウジングの前面に対して開放された空間を形成するモジュールリフティングリブの上面に形成される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記サーマルバリアーは、
前記高電圧端子の上面と前面とを囲む折曲された形態をなす、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記サーマルバリアーの幅は、前記モジュールハウジングの前面の幅に対応する、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記締結部材は、
前記モジュールリフティングリブの内部に挿入されるナットと、
前記モジュールリフティングリブの上面に配置されるワッシャーと、
前記締結ホールとワッシャーと前記モジュールリフティングホールとを貫通して前記ナットに対してねじ結合するボルトとを含む、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記ナットは、前記ボルトの回転に伴って共に回転しないように、前記モジュールリフティングリブの内部に設置される、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記締結部材は、
前記締結ホールとモジュールリフティングホールとを貫通して設置されるリベットである、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記サーマルバリアーとモジュールハウジングとの接触面には耐熱シリコンが塗布される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
バスバーと、前記バスバーを囲むバスバーカバーとをさらに含み、
前記バスバーの両端は、隣接するモジュールハウジングの高電圧端子にそれぞれ機械的に固定されながら互いに電気的に連結する、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記バスバーカバーは、
前記バスバーが安着され、前記バスバーを前記高電圧端子に対して露出する接続穴を備えるバスバー下部カバーと、
前記バスバー下部カバーと結合して前記バスバーを囲み、前記モジュールリフティングホールに対応するカバー締結ホールを備えるバスバー上部カバーと、を含む、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記バスバー下部カバーと前記バスバー上部カバーとは、フック構造により相互結合する、請求項10に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記サーマルバリアーは前記バスバーカバーを囲む、請求項10に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記締結部材は、
前記サーマルバリアーの締結ホールと前記バスバーカバーのカバー締結ホールとを貫通して、前記モジュールリフティングホールに対して締結される、請求項12に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
前記締結部材は、
前記モジュールリフティングリブの内部に挿入されるナット、および前記締結ホールとカバー締結ホール、そして、前記モジュールリフティングホールを貫通して前記ナットに対してねじ結合するボルトであるか、
または、前記締結ホールとカバー締結ホール、そして、前記モジュールリフティングホールを貫通して設置されるリベットである、請求項13に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
前記サーマルバリアーの締結ホールの周辺には、前記モジュールリフティングリブが前記モジュールハウジングの上面に対して形成される段差に対応する凹状段差面が形成された、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関するものであって、バッテリーモジュール内の電池セルで発生した熱暴走現象が周辺の他のバッテリーモジュールに拡散する熱伝播を効果的に防止し得るバッテリーモジュールに関するものである。
【0002】
本出願は、2022年9月29日付の韓国特許出願第10-2022-0124004号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は一次電池とは異なり、再充電が可能であり、また小型および大容量化の可能性により近年多く研究開発されている。モバイル機器に対する技術開発と需要が増加し、また環境保護の時代的要求に合わせて浮上する電気自動車とエネルギー貯蔵システムなどにより、エネルギー源としての二次電池の需要はさらに急激に増加している。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状に応じて、コイン型電池、円筒型電池、角型電池、およびパウチ型電池に分類される。二次電池において電池ケースの内部に装着される電極組立体は、電極および分離膜の積層構造からなる充放電が可能な発電素子である。
【0005】
二次電池は長期間連続的な使用が要求されるため、充放電過程中に発生する熱を効果的に制御する必要がある。二次電池の冷却が円滑に行われない場合には、温度上昇が電流の増加を引き起こし、電流の増加が再び温度上昇の原因となる正帰還の連鎖反応が起こり、その結果、熱暴走(Thermal Runaway)の破局状態に至ることになる。
【0006】
また、二次電池がモジュールやパックの形態として集団をなしている場合には、いずれか1つの二次電池に発生した熱暴走により周辺の他の二次電池が連続的に過熱される熱伝播(Thermal Propagation)現象が起こることになる。すなわち、バッテリーパック内のバッテリーモジュールで熱暴走が発生したときに、バッテリーモジュールの高電圧端子から多量の伝導性粉塵とガス、火炎が噴出し、これにより隣接する他のバッテリーモジュールの高電圧端子に粉塵が溜まり、ガスと火炎による熱伝達によって熱伝播現象が触発される。
【0007】
このような熱伝播を防止するために、噴出物と高熱が隣接バッテリーモジュールに伝達されることを防ぐために難燃性のサーマルバリアーを追加する方案を設けたが、バッテリーモジュールから噴出する高温・高圧の物質によりサーマルバリアーが定位置を離脱することが頻繁に起こり、その機能をまともに発揮し得ないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バッテリーモジュールで熱暴走現象が発生した状況でサーマルバリアーが堅固に定位置を守ることにより、高電圧端子から多量に噴出する伝導性粉塵とガス、火炎をより効果的に遮断し得るバッテリーモジュールを提供することにその目的がある。
【0009】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されない別の課題は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はバッテリーモジュールに関するものであって、一つの例において、複数個の電池セルが収容されたモジュールハウジングと、上記モジュールハウジングの前面に備えられた一対の高電圧端子と、上記高電圧端子間に備えられた一対のモジュールリフティングホールと、上記高電圧端子を含む上記モジュールハウジングの前面の一部を囲み、上面に締結ホールが貫通形成されたサーマルバリアーと、上記サーマルバリアーを上記モジュールリフティングホールに対して固定するように、上記モジュールリフティングホールと締結ホールを貫通して設置される締結部材と、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記モジュールリフティングホールは、上記モジュールハウジングの上面に対して段差を形成しながら、上記モジュールハウジングの前面に対して開放された空間を形成するモジュールリフティングリブの上面に形成される。
【0012】
そして、上記サーマルバリアーは、上記高電圧端子の上面と前面を囲む折曲された形態をなし得る。
【0013】
また、上記サーマルバリアーの幅は、上記モジュールハウジングの前面の幅に対応し得る。
【0014】
そして、上記締結部材は、上記モジュールリフティングリブの内部に挿入されるナットと、上記モジュールリフティングリブの上面に配置されるワッシャーと、上記締結ホールとワッシャー、そして、上記モジュールリフティングホールを貫通して上記ナットに対してねじ結合するボルトとを含み得る。
【0015】
ここで、上記ナットは、上記ボルトの回転に伴って共に回転しないように、上記モジュールリフティングリブの内部に設置されることが好ましいと言える。
【0016】
または、上記締結部材は、上記締結ホールとモジュールリフティングホールを貫通して設置されるリベットであり得る。
【0017】
そして、上記サーマルバリアーとモジュールハウジングとの接触面には耐熱シリコンが塗布され得る。
【0018】
一方、本発明の他の実施形態によると、バッテリーモジュールは、バスバーと、上記バスバーを囲むバスバーカバーとをさらに含み、上記バスバーの両端は、隣接するモジュールハウジングの高電圧端子にそれぞれ機械的に固定されながら互いに電気的に連結することになる。
【0019】
上記バスバーカバーは、上記バスバーが安着され、上記バスバーを上記高電圧端子に対して露出する接続穴を備えるバスバー下部カバーと、上記バスバー下部カバーと結合して上記バスバーを囲み、上記モジュールリフティングホールに対応するカバー締結ホールを備えるバスバー上部カバーと、を含み得る。
【0020】
そして、上記バスバー下部カバーとバスバー上部カバーは、フック構造により相互結合し得る。
【0021】
そして、上記サーマルバリアーは上記バスバーカバーを囲むことが好ましいと言える。
【0022】
ここで、上記締結部材は、上記サーマルバリアーの締結ホールと上記バスバーカバーのカバー締結ホールを貫通して、上記モジュールリフティングホールに対して締結され得る。
【0023】
このような締結部材は、上記モジュールリフティングリブの内部に挿入されるナット、および上記締結ホールとカバー締結ホール、そして、上記モジュールリフティングホールを貫通して上記ナットに対してねじ結合するボルトであるか、または、上記締結ホールとカバー締結ホール、そして、上記モジュールリフティングホールを貫通して設置されるリベットであり得る。
【0024】
そして、上記サーマルバリアーの締結ホールの周辺には、上記モジュールリフティングリブが上記モジュールハウジングの上面に対して形成される段差に対応する凹状段差面が形成され得る。
【発明の効果】
【0025】
上記のような構成を備えた本発明のバッテリーモジュールは、重量物であるバッテリーモジュールを取り扱うために、モジュールハウジングに既に設けられているモジュールリフティングホールを用いてサーマルバリアーを機械的に堅固に固定し得る。これにより、バッテリーモジュールで熱暴走が発生し、高電圧端子から多量の噴出物が溢れ出てもサーマルバリアーは定位置を堅固に維持し得、これにより、周辺の他のバッテリーモジュールへの熱伝播を効果的に遮断または遅延させ得る。
【0026】
また、本発明のバッテリーモジュールは、高電圧端子とバスバーを難燃性カバーで保護することにより、より効果的な熱伝播防止を具現し得るようにする。
【0027】
ただし、本発明によって得ることができる技術的効果は上述した効果に制限されず、言及されない別の効果は、下記に記載された発明の説明から通常の技術者に明確に理解され得る。
【0028】
本明細書に添付される下記の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述される発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明のバッテリーモジュールが複数個搭載されたバッテリーパックの一例を示す図面である。
図2】サーマルバリアーを装着しないバッテリーモジュールを示す図面である。
図3】サーマルバリアーが装着されるバッテリーハウジングの前面を拡大して示す図面である。
図4】サーマルバリアーの装着構造を示す分解斜視図である。
図5】サーマルバリアーが装着されたバッテリーモジュールを示す図面である。
図6】本発明の他の実施形態に備えられるバスバーカバーを示す図面である。
図7】バスバーカバーがバッテリーモジュールに装着される構造を示す図面である。
図8】サーマルバリアーとバスバーカバーとを含むバッテリーモジュールを示す図面である。
図9図8の「A-A」線に沿って切開した断面図である。
図10】サーマルバリアーの他の実施形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を以下で詳細に説明する。
【0031】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解され得る。
【0032】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解され得る。
【0033】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0034】
本発明はバッテリーモジュールに関するものであって、一つの例において、複数個の電池セルが収容されたモジュールハウジングと、上記モジュールハウジングの前面に備えられた一対の高電圧端子と、上記高電圧端子間に備えられた一対のモジュールリフティングホールと、上記高電圧端子を含む上記モジュールハウジングの前面の一部を囲み、上面に締結ホールが貫通形成されたサーマルバリアーと、上記サーマルバリアーを上記モジュールリフティングホールに対して固定するように、上記モジュールリフティングホールと締結ホールを貫通して設置される締結部材と、を含む。
【0035】
このような構成を備えた本発明のバッテリーモジュールは、重量物であるバッテリーモジュールを取り扱うために、モジュールハウジングに既に設けられているモジュールリフティングホールを用いてサーマルバリアーを機械的に堅固に固定し得る。これにより、バッテリーモジュールで熱暴走が発生し、高電圧端子から多量の噴出物が溢れ出てもサーマルバリアーは定位置を堅固に維持し得、これにより、周辺の他のバッテリーモジュールへの熱伝播を効果的に遮断または遅延させ得る。
【0036】
以下、添付された図面を参照して本発明に係るバッテリーモジュールの具体的な実施形態について詳細に説明する。参考として、以下の説明に使用される相対的な位置を指定する前後や上下左右の方向は、発明の理解を助けるためのものであって、特に定義がない限り図面に示された方向を基準とする。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明のバッテリーモジュール100が複数個搭載されたバッテリーパック10の一例を示す図面である。バッテリーパック10は、複数のバッテリーモジュール100を収容する空間を形成しながら搭載されたバッテリーモジュール100を保護すると同時に、バッテリーパック10の構造的剛性を確保し得るフレーム構造からなるパックケース12を含む。図1に例示的に示されたバッテリーパック10は、合計8個のバッテリーモジュール100を搭載しており、パックケース12の中央を横切るセンターフレーム14側にバッテリーモジュール100の前面が向くように配列されている。バッテリーモジュール100の前面にはバスバー500を連結するための高電圧端子120が配置され、それを保護するためのサーマルバリアー200がバッテリーモジュール100に装着されている。
【0038】
図2は、図1のバッテリーパック10に搭載されたバッテリーモジュール100の1つを示したものであり、図1に示されているサーマルバリアー200は省略されている。バッテリーモジュール100内には複数の電池セルが収納されており(内部の電池セルは図面に示されない)、これらの複数の電池セルは、規定された電圧と電流で充放電が起こるように直列および/または並列回路として互いに連結されている。電気的に連結された複数個の電池セルの入出力端子として、高電圧端子120がバッテリーモジュール100の外部に設けられている。
【0039】
図3は、サーマルバリアー200が装着されるモジュールハウジング110の前面を拡大して示す図面である。モジュールハウジング110は、複数個の電池セルを収容するバッテリーモジュール100の本体をなす部分であって、モジュールハウジング110の前面に一対の高電圧端子120が備えられている。
【0040】
そして、正極と負極の一対からなる高電圧端子120の間には、一対のモジュールリフティングホール132が備えられる。複数の電池セルを搭載したバッテリーモジュール100は、重量がかなりあるため、リフティング装置を用いてバッテリーパック10に対して収納または脱去する作業を行うことになる。このようなバッテリーモジュール100の取り扱いのためにモジュールハウジング110に設けられたものがモジュールリフティングホール132であり、バランスのためにモジュールハウジング110の前面と後面にそれぞれ一対ずつモジュールリフティングホール132が備えられる。
【0041】
サーマルバリアー200は、バッテリーモジュール100内で熱暴走が発生したときに高電圧端子120側に高温・高圧で吐出される多量の伝導性粉塵とガス、火炎を遮断するための隔壁部材である。このために、サーマルバリアー200は、モジュールハウジング110の前面の一部を囲む形態をなし、高温に耐えることができる難燃性材質、例えば雲母材質で作られる。そして、サーマルバリアー200の上面には、モジュールハウジング110に対する固定のための締結ホール210が貫通形成されている。
【0042】
モジュールハウジング110に対するサーマルバリアー200の固定は、締結部材300によりなされる。従来はサーマルバリアー200をイミドテープや耐熱シリコンで付着する方式でモジュールハウジング110に固定したが、付着方式は簡便ではあるが、サーマルバリアー200の固定力が不足するという短所があり、特に高温・高圧の噴出物によりサーマルバリアー200が定位置から外れることで確実な遮断機能を信頼することが難しかった。これに対して、本発明は、締結部材300がモジュールリフティングホール132と締結ホール210を貫通して設置されることにより、サーマルバリアー200の機械的固定性が大きく向上する。
【0043】
図3を参照すると、モジュールリフティングホール132は、モジュールハウジング110の上面に対して段差を形成する中、モジュールハウジング110の前面に対して開放された空間を形成するモジュールリフティングリブ130の上面に形成される。そして、サーマルバリアー200は、高電圧端子120の上面と前面を囲む折曲された形態をなしている。サーマルバリアー200の両側面は、バスバー500の引出、すなわち、隣接する他のバッテリーモジュール100とのバスバー500の連結のために開放されているが、高電圧端子120の上面と前面を囲むことによって、噴出物の吐出と拡散を最大限に防止する。また、サーマルバリアー200の幅は、モジュールハウジング110の前面幅に対応する長さを有することによって、最大限のカバー面積を確保することが好ましいと言える。
【0044】
図4は、サーマルバリアー200の装着構造を示す分解斜視図であり、図5は、サーマルバリアー200が装着されたバッテリーモジュール100を示す図面である。モジュールリフティングホール132が形成されているモジュールリフティングリブ130は、モジュールハウジング110の前面に対して開放された空間を形成するが、この空間を用いることにより折曲されたサーマルバリアー200によって前面と上面が塞がれていても締結部材300を容易に設置し得る。
【0045】
図4を参照すると、締結部材300は、モジュールリフティングリブ130の内部に挿入されるナット310と、モジュールリフティングリブ130の上面に配置されるワッシャー312と、サーマルバリアー200の締結ホール210とワッシャー312、そして、モジュールリフティングホール132を貫通してナット310に対してねじ結合するボルト314とを含んでいる。
【0046】
ここで、ナット310は、ボルト314の回転に伴って共に回転しない構造であって、モジュールリフティングリブ130の内部に設置されることが好ましい。例えば、ナット310は四角形ナットであり得、ナット310がモジュールリフティングリブ130の内部に半固定式に設置されることにより、ボルト314のトルクが完全にナット310のねじ締結につながる。このような締結構造により、サーマルバリアー200によってモジュールリフティングホール132が塞がれていても締結部材300を容易に設置し得る。参考として、図4のように、ナット310も四角形ナットを適用することもできる。
【0047】
代案的に、締結部材300の部品数を減らすことにより原価を削減し、工程を改善するために、締結部材300を締結ホール210とモジュールリフティングホール132を貫通して設置されるリベット320で構成することもできる(図10参照)。例えば、釘状に形成されたリベット320を締結ホール210とモジュールリフティングホール132に嵌め込んだ後に、リベットガンを用いてリベット締結を完成し得る。ただし、ボルト314とナット310とは異なり、リベット締結は繰り返し締結と分解が不可能であるという短所があるので、分解の必要性などを考慮して好適な締結部材300を選択することが好ましいと言える。
【0048】
そして、サーマルバリアー200の追加的な組立剛性を確保するために、サーマルバリアー200とモジュールハウジング110との接触面に耐熱シリコン330が塗布された後に締結部材300が結束され得る(図10参照)。耐熱シリコン330の接着力と締結部材300の締結力が合わさることにより、サーマルバリアー200は非常に堅固にモジュールハウジング110に固定される。
【0049】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、バスバー500を保護するためのバスバーカバー400を含むものである。図1を参照すると、パックケース12の中央を横切るセンターフレーム14側に8個のバッテリーモジュール100の前面が向くように配列されており、これにより、サーマルバリアー200はセンターフレーム14に隣接して並んで配置される。
【0050】
上述したように、サーマルバリアー200の両側面はバスバー500の連結のために開放されているので、熱暴走が発生したバッテリーモジュール100の噴出物はセンターフレーム14越しのバッテリーモジュール100に対しては効果的に遮断されるが、サーマルバリアー200が一列に連結されたバッテリーモジュール100に対しては遮断効果が劣る。高温の噴出物により隣接バッテリーモジュール100の高電圧端子120とバスバー500は損傷を受けやすく、噴出物の堆積による熱伝播も懸念される。
【0051】
本発明の第2実施形態は、バッテリーモジュール100の高電圧端子120とバスバー500を難燃性カバーで保護することにより、より効果的な熱伝播防止を具現し得るようにする。図6は、本発明の第2実施形態に備えられるバスバーカバー400を示す図面であり、図7は、バスバーカバー400がバッテリーモジュール100に装着される構造を示す図面である。
【0052】
図面を参照すると、バッテリーモジュール100は、バスバー500と、バスバー500全体を囲むバスバーカバー400とを含んでおり、バスバーカバー400によって保護されるバスバー500の両端は、隣接するモジュールハウジング110の高電圧端子120にそれぞれ機械的に固定されながら互いに電気的に連結することになる。
【0053】
ここで、バスバーカバー400は、バスバー下部カバー410とバスバー上部カバー420のツーピースからなっている。バスバー下部カバー410は、バスバー500の底面を支持しながら安着させる下部構造物であって、バスバー500をモジュールハウジング110の高電圧端子120に対して露出する接続穴412を備える。そして、バスバー上部カバー420は、バスバー下部カバー410と結合してバスバー500を囲む上部構造物であって、モジュールリフティングホール132に対応するカバー締結ホール422を備える。
【0054】
バスバーカバー400がバスバー500全体を囲む構造であるので、バスバー下部カバー410上にバスバー500を安着させ、バスバー下部カバー410の接続穴412を介してバスバー500を高電圧端子120に固定した後に、バスバー上部カバー420を結合する順序でバスバー500をモジュールハウジング110に組み立てることになる。このような点で、バスバー下部カバー410とバスバー上部カバー420がフック414構造によるワンタッチ方式で相互結合し得るように構成することが組立性の側面で好ましいと言える。
【0055】
図8は、サーマルバリアー200とバスバーカバー400とを含むバッテリーモジュール100を示す図面であり、図9は、図8の「A-A」線に沿って切開した断面図である。バスバーカバー400は、一対の高電圧端子120に対して1つずつ結合し、隣接するバッテリーモジュール100の高電圧端子120に連結され得る長さに延長されている。そして、サーマルバリアー200は、バスバーカバー400を囲むようにその上に結合する。このような高電圧端子120の二重カバーにより、熱暴走が発生したバッテリーモジュール100では噴出物の外部排出がさらに防止され、隣接する他のバッテリーモジュール100に対しては噴出物の流入がさらに抑制される。
【0056】
そして、第2実施形態では、バスバーカバー400とサーマルバリアー200の固定が同時になされる。言い換えれば、モジュールハウジング110の同じモジュールリフティングホール132に対してバスバーカバー400とサーマルバリアー200の両者が共に固定される。図9を参照すると、締結部材300は、サーマルバリアー200の締結ホール210とバスバーカバー400のカバー締結ホール422を貫通してモジュールリフティングホール132に対して締結されている。1つの締結部材300でバスバーカバー400とサーマルバリアー200を一度に固定し得るので、組立工程性が改善され、部品数を削減して原価改善にも役立つ。
【0057】
そして、バスバーカバー400は、バスバー500の収納空間とバスバーカバー400の固定部位が互いに分離されている。すなわち、バスバー上部カバー420のカバー締結ホール422はバスバー500の収納空間と連通しておらず、これにより高電圧端子120の密閉性が確保される。
【0058】
第2実施形態における締結部材300も第1実施形態と同様に、モジュールリフティングリブ130の内部に挿入されるナット310と、締結ホール210とカバー締結ホール422、そして、モジュールリフティングホール132を貫通してナット310に対してねじ結合するボルト314であるか、または締結ホール210とカバー締結ホール422、そして、モジュールリフティングホール132を貫通して設置されるリベット320であり得る。ただし、サーマルバリアー200とモジュールリフティングホール132との間にバスバー上部カバー420が介在されているので、ねじ緩みを防止するためのワッシャー312を追加配置する必要性は少ない。また、サーマルバリアー200の追加的な組立剛性を確保するために、サーマルバリアー200とモジュールハウジング110との接触面に耐熱シリコン330を塗布することもできることも同様である。
【0059】
図10は、サーマルバリアー200の他の実施形態を示す図面である。参考として、図10には、締結部材300であるリベット320と、追加的な組立剛性を確保するための耐熱シリコン330が示されている。そして、図7図10に示されたサーマルバリアー200は、締結ホール210の周辺に凹状段差面220が形成されている。サーマルバリアー200の段差面220は、モジュールリフティングリブ130がモジュールハウジング110の上面に対して形成される段差に対応する大きさに形成され得る。このようなサーマルバリアー200の段差面220により、サーマルバリアー200と高電圧端子120との間の間隙が減少することになり、これにより高電圧端子120の周囲に対する保護効果が向上し得る。
【0060】
以上、図面と実施形態などによって本発明をより詳細に説明した。しかしながら、本明細書に記載された図面または実施形態などに記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得る。
【符号の説明】
【0061】
10:バッテリーパック
12:パックケース
14:センターフレーム
100:バッテリーモジュール
110:モジュールハウジング
120:高電圧端子
130:モジュールリフティングリブ
132:モジュールリフティングホール
200:サーマルバリアー
210:締結ホール
220:段差面
300:締結部材
310:ナット
312:ワッシャー
314:ボルト
320:リベット
330:耐熱シリコン
400:バスバーカバー
410:バスバー下部カバー
412:接続穴
414:フック
420:バスバー上部カバー
422:カバー締結ホール
500:バスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】