(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】タンクを備える液体状態ガスの貯蔵設備および前記タンクの絶縁層の吸引装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241108BHJP
F17C 3/06 20060101ALI20241108BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
F17C3/06
B63B25/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532323
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 FR2022052088
(87)【国際公開番号】W WO2023099829
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、スピテル
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-エマニュエル、ド、セーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス、ロンバール
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB02
3E172BD02
3E172DA46
3E172EA03
3E172EB03
3E172HA08
3E172KA03
(57)【要約】
本発明は、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するためのタンク(2)と、ガス消費装置(3)とを備える貯蔵設備(1)であって、前記タンク(2)が、少なくとも1つの絶縁層(5)を備え、貯蔵設備(1)が、絶縁層(5)に存在するガスを吸引するための1つの装置(4)を備え、吸引装置(4)が、ガス消費装置(3)に流体接続された一次枝部(6)と、タンク(2)の絶縁層(5)に流体接続され、絶縁層(5)からのガスが流れる少なくとも1つの二次枝部(7)とを備え、吸引装置(4)が、二次枝部(7)を通って流れるガスを吸引するように構成された少なくとも1つの吸引部材(8)を備える、貯蔵設備(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するための少なくとも1つのタンク(2)と、少なくとも1つのガス消費装置(3)とを備える液体状態のガスの貯蔵設備(1)であって、前記タンク(2)が、少なくとも1つの絶縁層(5)を備え、前記貯蔵設備(1)が、前記絶縁層(5)に存在するガスを吸引するための少なくとも1つの装置(4)を備え、前記吸引装置(4)が、前記ガス消費装置(3)に流体接続された少なくとも1つの一次枝部(6)と、前記タンク(2)の前記絶縁層(5)に流体接続され、前記絶縁層(5)からの前記ガスが流れる少なくとも1つの二次枝部(7)とを備え、前記吸引装置(4)が、前記二次枝部(7)を通って流れる前記ガスを吸引するように構成された少なくとも1つの吸引部材(8)を備える、貯蔵設備(1)。
【請求項2】
前記一次枝部(6)を通って駆動ガスが流れる、請求項1に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項3】
前記駆動ガスが二窒素である、請求項2に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項4】
前記吸引部材(8)が、前記一次枝部(6)に接続された第1の入口(10)と、前記二次枝部(7)に接続された第2の入口(11)と、前記ガス消費装置(4)に流体接続された出口(12)とを備える排出器(9)であり、前記排出器(9)に前記駆動ガスが供給される、請求項2または3に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項5】
前記吸引部材(8)が、前記二次枝部(7)を通って流れるガスを吸引する圧縮部材(13)であり、前記圧縮部材(13)が、前記ガス消費装置(4)に流体接続された出口ポート(14)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項6】
前記圧縮部材(13)に前記駆動ガスが供給される、請求項5に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項7】
前記圧縮部材(13)が、圧縮機(24)と、前記圧縮機(24)に供給する電源(25)とを備える、請求項5または6のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項8】
前記二次枝部(7)が、前記絶縁層(5)と前記吸引部材(8)との間に配置された逆止弁(15)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項9】
前記絶縁層(5)を不活性化するための回路(16)を備え、前記二次枝部(7)が前記不活性化回路(16)に接続され、前記不活性化回路(16)が、前記二次枝部(7)を前記不活性化回路(16)から隔離する弁(17)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項10】
少なくとも2つの吸引装置(4)を備え、前記タンク(2)が、前記タンク(2)内に収容された液体状態の前記ガスと接触する第1の絶縁層(51)と、前記第1の絶縁層(51)を取り囲む第2の絶縁層(52)とを備え、第1の吸引装置(41)の前記二次枝部(7)が前記第1の絶縁層(51)に流体接続され、第2の吸引装置(42)の前記二次枝部(7)が前記第2の絶縁層(52)に流体接続される、請求項1から9のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項11】
前記吸引部材(8)が、最大毎時14m
3+/-25%のガスを吸引するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【請求項12】
前記ガス消費装置(3)が、内燃機関、ガスボイラ、ガス燃焼ユニットおよび発電機から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の貯蔵設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状態のガス貯蔵設備の分野に関し、より詳細には、そのような貯蔵設備内に配置された液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するためのタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液体状態のガス貯蔵設備の産業では、液体状態のガスの輸送および/または貯蔵中に、このガスを液体状態および低温に維持することが不可欠であり、前記ガスは非常に低い気化温度を有する。この目的のために、液体状態のガスは、いくつかの絶縁の層を含むタンクに貯蔵され、封止膜による不透過性と、断熱箱または断熱パネルによって形成された断熱層による熱保護との両方が保証される。
【0003】
しかしながら、例外的な場合には、封止膜のどこかで漏れが発生する可能性がある。漏れの場所を流れる液体状態のガスは、もはや断熱されていないので蒸発する。これらの漏れを可能な限り早く検出し、それに応じて働くための監視システムが存在する。
【0004】
漏れは、極めて小さい場合がある。このタイプの漏れは、液体状態ガスの軽微な損失のために検出するのが困難である。
【0005】
さらに、ガス漏れのある絶縁空間は不活性化システムによって汚染除去されるが、このシステムは、何らかの形で漏れたガスの損失を意味し、したがってガス貨物の廃棄につながる。これは、このガス漏れが、搭載されたガス消費システムによって使用されるのではなく、むしろ大気中に放出されるためである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するための少なくとも1つのタンクと、少なくとも1つのガス消費装置とを備える液体状態のガスの貯蔵設備であって、前記タンクが、少なくとも1つの絶縁層を備え、貯蔵設備が、絶縁層に存在するガスを吸引するための少なくとも1つの装置を備え、吸引装置が、ガス消費装置に流体接続された少なくとも1つの一次枝部と、タンクの絶縁層に流体接続され、絶縁層からのガスが流れる少なくとも1つの二次枝部とを備え、吸引装置が、二次枝部を通って流れるガスを吸引するように構成された少なくとも1つの吸引部材を備える、貯蔵設備を提供することによって、軽微な漏れ後のガスの損失を回避するための解決策を提供する。
【0007】
貯蔵設備に統合された吸引装置によって、軽微な漏れに起因する絶縁層内のガスのいかなる蒸発も、前記ガスを吸引してガス消費装置の燃料として使用することによって処理される。したがって、ガスが漏れを通って流れるときにガスが引き出されるので、軽微な漏れは一時的に処理される。さらに、このガスの損失は、漏れているガスの少なくともかなりの部分の回収を保証する吸引装置によって回避される。
【0008】
本発明の一態様によれば、吸引装置によって引き込まれたガスはすべて、燃料として使用され、ガス消費装置に送られる。
【0009】
貯蔵設備のタンクは、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するのに適している。貯蔵設備は、LNGタンカーなどの船舶であってもよく、液体状態のガスの貨物を配送するために前記貨物を目的地に輸送することができる。貯蔵設備はまた、コンテナ船、ガス動力フェリーまたはバルクキャリア、浮体式液体天然ガス(FLNG)ユニット、浮体式貯蔵再ガス化ユニット(FSRU)、浮体式貯蔵バージ、または液体状態のガスを貯蔵するための重力式支持体(GBS)プラットフォームであり得る。絶縁層は、封止および断熱の両方を提供して、タンク内のガスを液体状態および低温に保つ。したがって、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するために講じられる予防措置を鑑みると、絶縁層内でその潜在的な漏れが発生することは非常にまれであることが理解される。しかしながら、本発明による貯蔵設備は、この可能性を克服することを可能にする。
【0010】
ガス消費装置は、タンクからガスを消費することができる。貯蔵設備は、例えば、液体状態および/または蒸気状態のガスを専ら燃料として使用することができるか、または輸送船舶の場合、液体状態および/または蒸気状態のガス貨物の一部を燃料として使用することができる。液体状態および/または蒸気状態のガスは、貯蔵設備に電気を供給するための燃料として使用することもできる。ガスはまた、消費されるガス燃焼ユニットに導かれ、ガス、例えばメタン、他の炭化水素ガス、二水素またはアンモニアの大気中へのガス放出を回避することができる。
【0011】
ガス消費装置によって消費されるために、吸引されたガスは燃料を含まなければならない。例えば、タンクに収容されたガスは、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、アンモニア、グリーン水素、液体状態の水素、メタノールもしくはエタノールなどのアルコール、または再生可能エネルギー源から製造された上記のガスの任意の他の変形であり得る。
【0012】
本発明の特徴によれば、一次枝部を通って駆動ガスが流れることができる。駆動ガスは、その循環によって、漏れの場合に絶縁層から来るガスを吸引するために二次枝部で発生する吸引に関与することができる。絶縁層に流体接続された二次枝部によって、ガスは吸引部材に達するまで吸引され、吸引部材はガスを一次枝部を通ってガス消費装置に循環させる。
【0013】
本発明の特徴によれば、吸引部材は、一次枝部に接続された第1の入口と、二次枝部に接続された第2の入口と、ガス消費装置に流体接続された出口とを備える排出器であり、排出器には駆動ガスが供給される。吸引部材が排出器である場合、駆動ガスは、第1の入口から出口まで前記排出器を通って流れる。駆動ガスは排出器を通過するときに膨張するので、圧力差が生まれ、第2の入口、したがって二次枝部で吸引が生じる。
【0014】
二次枝部に吸引されたガスは、次いで、排出器出口で一次枝部に合流し、駆動ガスと混合する。次いで、ガス混合物は、一次枝部を通ってガス消費装置に流れる。
【0015】
本発明の特徴によれば、吸引部材は、二次枝部を通って流れるガスを吸引する圧縮部材であり、圧縮部材は、ガス消費装置に流体接続された出口ポートを備える。このため、並進運動を誘発する空気圧システムから、回転運動のための電気システムまたはガス駆動システムまで、多くのタイプの圧縮装置が存在する。出口ポートは、圧縮部材をガス消費装置に流体接続することを可能にする。
【0016】
本発明の特徴によれば、圧縮部材には駆動ガスが供給される。圧縮部材は、例えば駆動ガスの流れによって回転されることによって作動され、それによって漏れているガスを回収するために二次枝部内に吸引力を作り出す。一旦引き込まれると、ガスは出口ポートを通過し、ガス消費装置に循環する。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、駆動ガスは二窒素であってもよい。二窒素は、配管をパージし、絶縁層を不活性化するための不活性ガスとして既に製造され、船上で使用されている流体である。したがって、例えば作動流体として使用するための二窒素、より詳細には二窒素が循環する回路は、貯蔵設備に複数のタンクが設けられている場合、すべてのタンクに沿って延びるという利点を有する。したがって、二窒素回路がタンクの範囲内にある限り、二窒素の不活性化の機能をそらし、絶縁層内のガスを吸引するための駆動ガスとして使用することが容易である。
【0018】
本発明の特徴によれば、圧縮部材は、圧縮機と、圧縮機に供給する電源とを備える。このような構成では、圧縮部材の動作は、駆動ガスによってではなく電気的に行われる。そのような電源は電気モータである。圧縮機の利点は、駆動ガスがガス消費装置に供給されないことである。電源は、例えば、ガスが絶縁層で検出されたときに、手動または自動で作動させることができる。
【0019】
本発明の特徴によれば、二次枝部は、絶縁層と吸引部材との間に配置された逆止弁を備える。逆止弁は、絶縁層から吸引部材への流体の流れを可能にするが、吸引部材から絶縁層へのいかなる流れも防止する。したがって、逆止弁は、ガスが絶縁層に逆流すること、例えば、二次枝部内の駆動ガスの望ましくない循環、または絶縁層へのガスの逆流を防止する。
【0020】
本発明の特徴によれば、貯蔵設備は、絶縁層を不活性化するための回路を備え、二次枝部は不活性化回路に接続され、不活性化回路は、二次枝部を不活性化回路から隔離する弁を備える。不活性化回路は、絶縁層内の不活性ガスの体積の再生を保証し、タンクが漏れた場合に前記絶縁層内に存在するガス、例えばメタン、他のガス状炭化水素、二水素またはアンモニアの排出も可能にする。不活性化回路は、絶縁層に注入される不活性ガス、例えば二窒素の源を備える。次いで、不活性化回路は、本発明によれば、注入された二窒素が絶縁層から除去され、大気または消費機器に循環されることを保証する。
【0021】
絶縁層の潜在的な漏れを検出するために、貯蔵設備は、例えば、不活性化回路に接続され、メタンなどのガスの存在、絶縁層内の漏れの表徴を検出することを可能にする分析モジュールを備えてもよい。
【0022】
したがって、不活性化回路、特に大気への出口部分は、二次枝部で枝部することができ、したがって、本発明による貯蔵設備を設計するために必要な追加の管の数を削減することができる。しかしながら、不活性化回路を二次枝部から隔離するために、二次枝部を枝部することは、弁を配置することを意味する。不活性化回路はまた、追加の弁を備えてもよい。したがって、弁の一方を開放し、他方の弁を閉鎖することによって、不活性化回路または吸引装置を用いて、絶縁層への流体接続を行うことができる。この選択は、例えば、分析モジュールが貯蔵設備に統合されている場合に、ガスが分析モジュールによって検出されるか否かによって決まり得る。
【0023】
本発明の特徴によれば、貯蔵設備は、少なくとも2つの吸引装置を備え、タンクは、タンク内に収容された液体状態のガスと接触する第1の絶縁層と、第1の絶縁層を取り囲む第2の絶縁層とを備え、第1の吸引装置の二次枝部は第1の絶縁層に流体接続され、第2の吸引装置の二次枝部は第2の絶縁層に流体接続される。絶縁層の各々は、タンクの不透過性および断熱をそれぞれ保証する封止膜および断熱層を含む。したがって、2つの絶縁の層の存在は、不透過性および断熱の両方の点で、液体状態のガス貨物に追加の安全性を提供する。タンクが漏れる可能性は非常に低いが存在しないわけではないため、本発明による貯蔵設備は、タンクを十分安全にするために2つの絶縁層内のガスを吸引するように構成することができる。2つの吸引装置の各々は、それ自体の絶縁層内に実施される。両方の吸引装置は、ガス消費装置、ならびに前記駆動装置の駆動部材が駆動ガスによって動作される場合には駆動ガスの源に流体接続される。したがって、各々の吸引装置の吸引部材は、上述したように、電気的にまたは駆動ガスによって動力供給される排出器または圧縮部材であり得る。
【0024】
本発明の特徴によれば、吸引部材は、最大毎時14m3+/-25%のガスを吸引するように構成される。したがって、ガス漏れによって絶縁層内のガス流が毎時14m3以下のガスになる場合、漏れているガスは少なくとも部分的に吸引されてガス消費装置に送られ、したがって、メタンの場合の温室効果ガスまたは二水素もしくはアンモニアなどの有害ガスの大気中への分散が少なくなる。
【0025】
本発明の特徴によれば、ガス消費装置は、内燃機関、ガスボイラ、ガス燃焼ユニットおよび発電機から選択される。したがって、ガス消費装置は、タンクからのガスおよび/または漏れているガスを使用して、貯蔵設備が移動しようとする場合の貯蔵設備の推進を保証するか、または前記貯蔵設備の電力供給を保証することができる。ガスをガスボイラに供給してスチームを生成し、第三者の貯蔵設備に電力を供給することもできる。ガス消費装置がガス燃焼ユニットである場合、漏れているガスは燃焼されて大気に送られる。
【0026】
本発明の他の特徴および利点は、添付の概略図を参照して限定ではなく例示を目的として与えられる、以下の説明およびいくつかの例示的な実施形態の両方から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による液体状態のガスの貯蔵設備の概略図である。
【
図2】液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するためのタンクと、
図1に示す貯蔵設備の絶縁層を吸引するための装置とを示す。
【
図3】本発明による貯蔵設備の代替的な設置を表す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、液体状態のガスを輸送および/または貯蔵するための少なくとも1つのタンク2を備える、液体状態のガスの貯蔵設備1を示す。
図1では、3つのタンク2が示されているが、貯蔵設備1は任意の数のタンク2を収容することができる。
図1では、図示の貯蔵設備1は、船舶である。タンク2に収容される液体状態ガスは、例えば、船舶によって所与の目的地に輸送される貨物であってもよい。液体状態ガスはまた、液体状態のガスの貨物を輸送する以外の機能である、船舶のための単純な燃料であり得る。他の例によれば、貯蔵設備1はまた、浮体式液化ユニット、再ガス化ユニット、浮体式貯蔵バージ、または液体状態のガスの貯蔵を保証する重力プラットフォームであり得る。
【0029】
貯蔵設備1は、少なくとも1つのガス消費装置3を備える。この装置は、例えば、貯蔵設備1が移動することが意図されている場合、貯蔵設備1の推進を保証する内燃機関であり得る。ガス消費装置3はまた、貯蔵設備1に電力を供給する発電機、第三者の消費機器のためのエネルギーとしてスチームを生成するガスボイラ、またはガスを燃焼させるように構成されたガス燃焼ユニットであり得る。ガス消費装置3は、タンク2に収容された蒸気ガスを燃料として消費することができる。消費するためにガスが蒸気状態である必要がある場合、タンク2に収容された液体状態ガスは蒸発させることができる。ガスの蒸発は、タンク2の上部空間内に形成された液体状態のガスの自然蒸発、またはガス消費装置3の燃料を得るための強制蒸発の結果であり得る。本発明による貯蔵設備1は、タンク2の上部空間から蒸発したガスまたは一旦気化した液体状態ガスを使用することができ、タンク2のうちの少なくとも1つの絶縁層内に位置する蒸気状態ガスを吸引することができる吸引装置4を備えることを特徴とする。蒸気状態のガスは、前記タンク2で漏れが発生した例外的な場合に、タンク2のうちの1つの絶縁層に入ることがある。次いで、吸引装置4は、漏れている蒸気状態のこのガスを吸引し、ガス消費装置3に循環させて燃料を供給することができる。本発明による貯蔵設備1は、漏れの結果としてのガスの損失を少なくとも限定し、比較的低い流量での軽微な漏れの場合、漏れているガスを少なくとも部分的に吸引することができ、したがって漏れているガスの損失を回避することができる。吸引装置4によって吸引されたガスはすべて、燃料として使用され、ガス消費装置3に供給される。
【0030】
図2は、タンク2と、吸引装置4をより良く説明するための詳細な吸引装置4とを示す。
図2はまた、タンク2の絶縁層5を示す。より具体的には、タンク2は、タンク2に収容された液体状態ガス22と接触する第1の絶縁層51と、第1の絶縁層51を取り囲む第2の絶縁層52とを備える。
【0031】
各絶縁層5は、絶縁層5を封止するための防水膜と、液体ガス22を断熱するための断熱箱または断熱パネルの断熱層とを備える。2つの絶縁の層5の存在は、液体状態のガス貨物22の安全性の強化、ならびに低温でのガス貨物の維持を保証する。
【0032】
上述したように、すべての予防措置が講じられているにもかかわらず、例外的な場合には第1の絶縁層51の漏れが発生する可能性がある。大規模な漏れの場合、漏れは迅速に検出され、貯蔵設備およびその乗員の安全を保証するために緊急処置を実施することができる。漏れが軽微である場合、位置特定が困難な場合があり、漏れ量は比較的小さいが、見過ごされるべきではない。したがって、吸引装置4は、軽微な漏れの場合に第1の絶縁層51内のガス漏れの問題に対処するように適合されている。
【0033】
この目的のために、吸引装置4は、一次枝部6、二次枝部7、および吸引部材8を備える。一次枝部6は前述のガス消費装置3に流体接続され、二次枝部7は第1の絶縁層51に流体接続される。
【0034】
吸引部材8は、
図2に示すように、排出器9である。排出器9は、圧力差を実現して吸引力を生成する。この目的のために、排出器は、第1の入口10、第2の入口11、および出口12を備える。第1の入口10および出口12は一次枝部6に接続され、第2の入口11は二次枝部7に接続される。一次枝部6は、一次枝部6を通って駆動ガスを循環させる駆動ガス源19にさらに流体接続される。駆動ガスは、第1の入口10を介して排出器9を通り、次いで出口12を通って流れる。排出器9の特性は、排出器9を通過する駆動ガスの圧力を低下させ、第2の入口11、したがって二次枝部7で吸引をもたらす圧力差を作り出すことを可能にする。
【0035】
したがって、漏れが第1の絶縁層51内のガス蒸発、または蒸気状態のガスの漏れを引き起こす場合、駆動ガスの通過によって生成される圧力差によって、ガスは二次枝部7に吸引され、第2の入口11を介して排出器9に流れる。次いで、吸引された排気ガスは、排出器9で駆動ガスと混合する。混合物は、出口12を介して排出器を出てガス消費装置3に流れ、ガス消費装置3は吸引されたガスを消費する。吸引部材4は、最大毎時14m3+/-25%のガスを吸引するように構成され、軽微な漏れの場合に第1の絶縁層51のガス流を少なくとも部分的に補償することができる。
【0036】
駆動ガスは、ガス消費装置3の正確な動作に影響を及ぼさないように、一次枝部6を通って少量で流れなければならない。一例として、LNG船舶機関は、約12ノットの速度で約1800m
3/時のガスを消費する。駆動ガスは、例えば、二窒素であり得る。二窒素の利点は、二窒素流が、様々な機能のために、例えば不活性ガスとして使用するために、タンク2およびガス消費装置3の近傍を含む貯蔵設備全体にわたって実施できることである。したがって、吸引装置4で使用するために二窒素の流れをそらすことが容易である。
図2では、1つのガス消費装置3のみが供給されているが、吸引装置は複数のガス消費装置3を供給することができる。
【0037】
二次枝部7は、第1の絶縁層51と吸引部材8との間に逆止弁15を備える。逆止弁15は、ガスの流れが第1の絶縁層51から吸引部材8に引き込まれるのを可能にし、反対方向のガスの流れを防止する。したがって、逆止弁15は、第1の絶縁層51への駆動ガスの逆流を防止する。
【0038】
貯蔵設備は、特に、絶縁層5内の不活性ガスを再生し、また、これらの同じ絶縁層5内に存在する潜在的な炭化水素またはアンモニアまたは二水素を排出することを可能にする不活性化回路16をさらに備える。この目的のために、不活性ガス、すなわち二窒素が、絶縁層5、この場合は第1の絶縁層51内で二窒素源20によって循環される。次いで、後者に収容されたガスは、その後に大気27に送られるように、吸引され、不活性化回路16内を循環する。
【0039】
貯蔵設備は、不活性化回路16に接続された分析モジュール21を備えてもよく、分析モジュール21は、不活性化回路16を通って吸引されたガスを、第1の絶縁層51内の漏れの表徴である潜在的な炭化水素またはアンモニアまたは二水素について分析する。
【0040】
不活性化回路16は、問題の貯蔵設備内に潜在的に統合されているので、吸引装置4を据え付けるために部分的に使用することが可能である。例えば、
図2に示すように、不活性化回路16および吸引装置4の両方に第1の絶縁層51内の管開口部を使用することが有用である。駆動ガス源19および二窒素源20は、1つの同じ源であってもよい。
【0041】
不活性化回路16を吸引装置4から隔離するために、貯蔵設備は、二次枝部7に配置された弁17と、不活性化回路16に配置された追加の弁26とを備えてもよい。第1の絶縁層51の不活性化が必要な場合、不活性化回路16を通って流れるガスが大気27に流れるように、追加の弁26は開放され、弁17は閉鎖される。吸引装置4が動作されるとき、吸引部材8が第1の絶縁層51を通って循環するガスを吸引することができるように、弁17は開放され、追加の弁26は閉鎖される。弁17および追加の弁26の開放および/または閉鎖は、ガスが分析モジュール21によって検出されたかどうかに応じて実施することができる。
【0042】
図3は、本発明による貯蔵設備、特に吸引部材8およびタンク2を取り囲む配管の代替的な設置を示す。ここでは
図2に記載した特徴とは異なる特徴のみを説明し、
図2および
図3に共通の特徴については
図2の説明を参照されたい。
【0043】
変形形態は、貯蔵設備が2つの吸引装置4、すなわち第1の絶縁層51内にガスを吸引する第1の吸引装置41と、第2の絶縁層52内にガスを吸引する第2の吸引装置42とを備える点で、
図2に記載された形態とは異なり、漏れが2つの絶縁層5内に液体または気体状態のガスの存在をもたらす例外的な場合である。したがって、吸引装置4の要素はすべて2倍であり、絶縁層5の各々は、吸引装置4の1つによって処理することができる。
図3では、2つの吸引装置4は、1つの同じガス消費装置3に流体接続されているが、各吸引装置4がそれ自体のガス消費装置3に流体接続されることも可能である。
【0044】
不活性化回路16も、2つの絶縁層5内に二窒素を注入するために、2倍にすることができる。したがって、
図3には、2つの二窒素源20、ならびに大気27への2つの出口が示されており、不活性化回路16の各々は、2つの絶縁層5の1つを管理する。貯蔵設備はまた、各々が不活性化回路16の1つに接続された2つの分析モジュール21を備えてもよい。各分析モジュール21は、それ自体の絶縁層5内のガスを検出する機能を有する。
【0045】
図3に示す変形形態によれば、第1の吸引装置41の吸引部材8および第2の吸引装置42の吸引部材8は、圧縮部材13である。
【0046】
第1の吸引装置41の圧縮部材13は、圧縮機24および電源25を備える。電源25は、圧縮機24に電力を供給してその動作、例えば回転の動作を保証し、したがって二次枝部7を介してガスを吸引する。圧縮機24は、ガス消費装置3に供給するために吸引されたガスが出る出口ポート14を備える。
【0047】
図2に示す排出器9と同様に、第2の吸引装置42の圧縮部材13にも駆動ガスが供給される。圧縮部材13の動作、例えば回転の動作を駆動し、第2の絶縁層52に潜在的に存在するガスの吸引を保証するのは後者である。圧縮機24と同様に、圧縮機13は、ガス消費装置3に流れるために吸入ガスおよび駆動ガスが出る出口ポート14を有する。
図2に示すように、駆動ガスは駆動ガス源19から導かれる。
【0048】
図3に示す吸引装置4の各々は、上述の吸引部材8のいずれか、すなわち
図2に記載の排出器または圧縮部材13の1つを組み込んでもよい。同様に、
図2に記載の吸引装置は、吸引部材8が
図3に示す圧縮部材13の1つである場合も機能する。
【0049】
当然のことながら、本発明は、今説明した例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例に多くの修正を行うことができる。
【0050】
本発明は、今説明したように、その意図された目的を達成し、液体状態のガスのタンクと、ガス消費装置と、ガス消費装置に供給するためにタンクから漏れているガスを吸引するための吸引装置とを備える貯蔵設備を提案することを可能にする。本明細書に記載されていない変形形態は、本発明によれば、本発明による貯蔵設備を備えるので、本発明の文脈から逸脱することなく実施することができる。
【国際調査報告】