(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】半導体コンポーネント及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20241108BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241108BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 301F
H01L29/80 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532340
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2021134648
(87)【国際公開番号】W WO2023097520
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ローァ,リヤーンツォーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ハイジュイン
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ホゥイラン
(72)【発明者】
【氏名】マー,ピーン
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GC05
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL08
5F102GL10
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR12
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV08
5F102HC01
(57)【要約】
この出願の実施形態は、半導体コンポーネント及び電子機器を提供し、半導体コンポーネントのゲート-ドレイン寄生容量を低減させるための半導体技術の分野に関する。当該半導体コンポーネントは、基板と、基板上に順に積層されたチャネル層及びバリア層と、バリア層上に配置されたソース及びドレインと、バリア層上に配置された第1ゲート及び第2ゲートであり、当該第1ゲート及び第2ゲートは、ソースとドレインとの間に位置し、当該第2ゲートが当該第1ゲートとドレインとの間に配置される、第1ゲート及び第2ゲートと、第1のゲートフィールドプレートであり、少なくとも部分的に、第1ゲートのドレインに近い側に配置された、第1のゲートフィールドプレートと、第1のソースフィールドプレートであり、第1のゲートフィールドプレートを覆う第1のソースフィールドプレートと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に順に積層されたチャネル層及びバリア層と、
前記バリア層上に配置されたソース及びドレインと、
前記バリア層上に配置され、前記ソースと前記ドレインとの間に位置する第1ゲート及び第2ゲートであり、当該第2ゲートが、当該第1ゲートと前記ドレインとの間に配置されている、第1ゲート及び第2ゲートと、
第1のゲートフィールドプレートであり、少なくとも部分的に、前記第1ゲートの前記ドレインに近い側に配置された、第1のゲートフィールドプレートと、
前記第1のゲートフィールドプレートを覆う第1のソースフィールドプレートと、
を有する半導体コンポーネント。
【請求項2】
当該半導体コンポーネントは更に第2のゲートフィールドプレートを有し、該第2のゲートフィールドプレートは少なくとも部分的に、前記第2ゲートの前記ドレインに近い側に位置する、請求項1に記載の半導体コンポーネント。
【請求項3】
当該半導体コンポーネントは更に第2のソースフィールドプレートを有し、該第2のソースフィールドプレートは前記第2のゲートフィールドプレートを覆っている、請求項2に記載の半導体コンポーネント。
【請求項4】
前記第1のソースフィールドプレートは前記第2のゲートフィールドプレートを覆っている、請求項2又は3に記載の半導体コンポーネント。
【請求項5】
前記第1のソースフィールドプレートは前記第2のソースフィールドプレートに接続されている、請求項3又は4記載の半導体コンポーネント。
【請求項6】
前記第1のゲートフィールドプレートと前記第2ゲートとの間の間隔が、0.5μmから2.7μmの範囲である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体コンポーネント。
【請求項7】
前記第1のゲートフィールドプレートは、前記第1ゲートの前記ドレインに近い側に配置された第1部分と、前記第1ゲートの前記ソースに近い側に配置された第2部分とを有し、前記第1部分及び前記第2部分は別々に、前記第1ゲートに接触し且つ前記第1ゲートに接続されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体コンポーネント。
【請求項8】
当該半導体コンポーネントは更に第3ゲートを有し、該第3ゲートは、前記第2ゲートと前記ドレインとの間に配置されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体コンポーネント。
【請求項9】
当該半導体コンポーネントは更に第3のゲートフィールドプレートを有し、
前記第3のゲートフィールドプレートは少なくとも部分的に、前記第3ゲートの前記ドレインに近い側に配置されている、請求項8に記載の半導体コンポーネント。
【請求項10】
当該半導体コンポーネントは更に第3のソースフィールドプレートを有し、該第3のソースフィールドプレートは前記第3のゲートフィールドプレートを覆っている、請求項9に記載の半導体コンポーネント。
【請求項11】
半導体コンポーネントと、アンテナと、を有する電子機器であって、前記半導体コンポーネントは、無線周波数信号を増幅し、前記増幅した無線周波数信号を放射のために前記アンテナに出力するように構成され、
前記半導体コンポーネントは、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体コンポーネントである、
電子機器。
【請求項12】
半導体コンポーネントと、該半導体コンポーネントに電気的に接続されたプリント回路基板と、を有する電子機器であって、
前記半導体コンポーネントは、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体コンポーネントであり、前記半導体コンポーネントの基板は導電性基板である、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、半導体技術の分野に関し、特に、半導体コンポーネント及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の発展に伴い、高い熱伝導率、高い電子ドリフト速度、高温耐性、及び安定した化学的特性を有する半導体コンポーネントが、高周波、高温、及びマイクロ波の分野で広く使用されている。
【0003】
研究を通じて分かっていることには、半導体コンポーネントのマイクロ波電力特性を効果的に改善するために半導体コンポーネントの動作電圧をどのように高めるかが、現在の半導体分野における重要な課題である。
【発明の概要】
【0004】
この出願の実施形態は、半導体コンポーネントの動作電圧を高めるための、半導体コンポーネント及び電子機器を提供する。
【0005】
上述の目的を達成するために、この出願では以下の技術的ソリューションが使用される。
【0006】
この出願の実施形態の第1の態様によれば、半導体コンポーネントが提供される。当該半導体コンポーネントは、例えば、高電子移動度トランジスタコンポーネントとし得る。当該半導体コンポーネントは、基板と、基板上に順に積層されたチャネル層及びバリア層と、バリア層上に配置されたソース及びドレインと、バリア層上に配置された第1ゲート及び第2ゲートであり、当該第1ゲート及び第2ゲートは、ソースとドレインとの間に位置し、当該第2ゲートが当該第1ゲートとドレインとの間に配置される、第1ゲート及び第2ゲートと、第1のゲートフィールドプレートであり、少なくとも部分的に、第1ゲートのドレインに近い側に配置された、第1のゲートフィールドプレートと、第1のソースフィールドプレートであり、第1のゲートフィールドプレートを覆う第1のソースフィールドプレートと、を含む。
【0007】
この出願のこの実施形態では、第1ゲートとドレインとの間の電界分布を変更することができるように、及び第1ゲートのドレインに近い側の電界強度が低減されるように、半導体コンポーネント内に第1のゲートフィールドプレート及び第1のソースフィールドプレートが配置される。従って、バリア層の材料のブレイクダウン(絶縁破壊)の可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を高めることができ、半導体コンポーネントの動作電圧を高めることができる。これに基づいて、第1ゲートとドレインとの間に第2ゲートが配置され、該第2ゲートは、第1ゲートとドレインとの間の帰還経路を減少させて、ある程度の遮蔽効果を達成することができ、第1ゲートとドレインとの間のゲート-ドレイン寄生容量を減少させ、半導体コンポーネントの性能に対するゲート-ドレイン寄生容量の影響を低減させ、半導体コンポーネントの動作電圧を高め、半導体コンポーネントの他の性能に対する影響を低減させることができる。
【0008】
取り得る一実装において、当該半導体コンポーネントは更に第2のゲートフィールドプレートを含み、該第2のゲートフィールドプレートは少なくとも部分的に、第2ゲートのドレインに近い側に位置する。第2のゲートフィールドプレートは、第2ゲートに近い領域の電界強度を有意に低減させることができるように半導体コンポーネント内に配置される。従って、バリア層の材料のブレイクダウンの可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高めることができ、半導体コンポーネントの性能を確保することができる。また、第2のゲートフィールドプレートが半導体コンポーネント内に配置され、第2のゲートフィールドプレートは、ある程度の遮蔽効果を達成することができ、空乏領域を更に拡張して、第1ゲートとドレインとの間のゲート-ドレイン寄生容量を減少させることができる。
【0009】
取り得る一実装において、当該半導体コンポーネントは更に第2のソースフィールドプレートを含み、該第2のソースフィールドプレートは第2のゲートフィールドプレートを覆う。第2のソースフィールドプレートが半導体コンポーネント内に配置されるとき、第2のソースフィールドプレートの導電性の構造が、第2のゲートフィールドプレートとドレインとの間の電界分布を調整して、第2ゲートのドレインに近い側の電界強度を低下させ、半導体コンポーネントのピーク電界を低減させ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高めることができる。
【0010】
取り得る一実装において、第1のソースフィールドプレートは第2のゲートフィールドプレートを覆う。第1のソースフィールドプレートは第2ゲートに重なることができる。斯くして、第1ゲートと第2ゲートとの間の間隔が縮小された場合でも、第1のソースフィールドプレートのプロセスの困難さは過度に増大せず、このプロセスは実施するのが容易である。
【0011】
取り得る一実装において、第1のソースフィールドプレートは第2のソースフィールドプレートに接続される。第1のソースフィールドプレートが第2のソースフィールドプレートに接続され、それ故に、第1のソースフィールドプレートの製造プロセスを変更することなく、既存のプロセスを使用して、第1のソースフィールドプレートと第2のソースフィールドプレートが製造され得る。
【0012】
取り得る一実装において、第1のソースフィールドプレートと第2のソースフィールドプレートとの間に間隙が存在する。間隙が、第1のソースフィールドプレートと第2のソースフィールドプレートとの間に設けられる。第1のソースフィールドプレートを第2のソースフィールドプレートに接続するのと比較して、これは、半導体コンポーネントの小信号利得を増大させることができる。
【0013】
取り得る一実装において、第1のゲートフィールドプレートと第2ゲートとの間の間隔が、0.5μmから2.7μmの範囲である。第1のゲートフィールドプレートと第2ゲートとの間の間隔が短縮されることで、半導体コンポーネントの飽和電流を有意に増加させ、半導体コンポーネントのパワーを増大させることができる。しかしながら、半導体コンポーネントのニーポイント電圧も上昇し、その結果、半導体コンポーネントの効率が低下する。加えて、半導体コンポーネントのゲート-ドレイン寄生容量が増加し、半導体コンポーネントの利得特性が低下する。従って、半導体コンポーネントの性能及び信頼性要求を包括的に満たすことができるように、第1のゲートフィールドプレートと第2ゲートとの間の間隔が0.5μmから2.7μmの範囲内に設定される。
【0014】
取り得る一実装において、第1のゲートフィールドプレートは、第1ゲートのドレインに近い側に配置された第1部分と、第1ゲートのソースに近い側に配置された第2部分とを含み、第1部分及び第2部分は別々に、第1ゲートに接触し且つ第1ゲートに接続される。第1ゲートの両側にそれぞれ第1のゲートフィールドプレートの第1部分及び第2部分が配置される。第1ゲート及び第1のゲートフィールドプレートが製造されるときに、第1のゲートフィールドプレートのアライメント境界精度についての要件が過度に高くないものになり得る。アライメントが不正確であって、製造を通して得られる第1部分と第2部分とがサイズにおいて異なる場合であっても、第1のゲートフィールドプレートの機能に対する影響は小さい。また、アライメントが不正確である場合、第1部分及び第2部分のサイズのみが影響を受け、第1ゲートの幅は影響されない。第1ゲートのサイズの変化によって引き起こされる半導体コンポーネントの性能に対する影響を回避することができる。
【0015】
取り得る一実装において、当該半導体コンポーネントは更に第3ゲートを含み、該第3ゲートは、第2ゲートとドレインとの間に配置される。ゲートの数が更に増加されることで、ゲート-ドレイン寄生容量が更に減少され、半導体コンポーネントの小信号利得が増大される。
【0016】
取り得る一実装において、当該半導体コンポーネントは更に第3のゲートフィールドプレートを含み、該第3のゲートフィールドプレートは少なくとも部分的に、第3ゲートのドレインに近い側に配置される。ゲートフィールドプレートの数が更に増加されることで、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧が更に高められる。
【0017】
取り得る一実装において、当該半導体コンポーネントは更に第3のソースフィールドプレートを含み、該第3のソースフィールドプレートは第3のゲートフィールドプレートを覆う。ソースフィールドプレートの数が更に増加されることで、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧が更に高められる。
【0018】
この出願の実施形態の第2の態様によれば、半導体コンポーネントが提供される。当該半導体コンポーネントは、例えば、高電子移動度トランジスタコンポーネントとし得る。当該半導体コンポーネントは、基板と、基板上に順に積層されたチャネル層及びバリア層と、バリア層上に配置されたソース及びドレインと、バリア層上に配置された第1ゲート及び第2ゲートであり、当該第1ゲート及び第2ゲートは、ソースとドレインとの間に位置し、当該第1ゲートが当該第2ゲートとドレインとの間に配置される、第1ゲート及び第2ゲートと、第1のゲートフィールドプレートであり、少なくとも部分的に、第1ゲートのドレインに近い側に配置された、第1のゲートフィールドプレートと、第1のソースフィールドプレートであり、第1のゲートフィールドプレートを覆う第1のソースフィールドプレートと、を含む。
【0019】
この出願のこの実施形態では、第2ゲートとドレインとの間の電界分布を変更することができるように、及び第2ゲートのドレインに近い側の電界強度が低減されるように、半導体コンポーネント内に第1のゲートフィールドプレート及び第1のソースフィールドプレートが配置される。従って、バリア層の材料のブレイクダウンの可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を高めることができ、半導体コンポーネントの動作電圧を高めることができる。これに基づいて、第2ゲートとドレインとの間に第1ゲートが配置され、該第1ゲートは、第2ゲートとドレインとの間の帰還経路を減少させて、ある程度の遮蔽効果を達成することができ、第2ゲートとドレインとの間のゲート-ドレイン寄生容量を減少させ、半導体コンポーネントの性能に対するゲート-ドレイン寄生容量の影響を低減させ、半導体コンポーネントの動作電圧を高め、半導体コンポーネントの他の性能に対する影響を低減させることができる。
【0020】
この出願の実施形態の第3の態様によれば、半導体コンポーネントとアンテナとを含む電子機器が提供される。該半導体コンポーネントが、無線周波数信号を増幅し、該増幅された無線周波数信号を放射のためにアンテナに出力するように構成される。該半導体コンポーネントは、第1の態様又は第2の態様のいずれかの実装に従った半導体コンポーネントである。
【0021】
この出願の実施形態の第3の態様で提供される電子機器は、第1の態様又は第2の態様のいずれかの実装に従った半導体コンポーネントを含み、当該電子機器の有益な効果は、半導体コンポーネントの有益な効果と同じである。詳細をここで再び説明することはしない。
【0022】
この出願の実施形態の第4の態様によれば、半導体コンポーネントと、該半導体コンポーネントに電気的に接続されたプリント回路基板と、を含む電子機器が提供される。該半導体コンポーネントは、第1の態様又は第2の態様のいずれかの実装に従った半導体コンポーネントであり、該半導体コンポーネントの基板は導電性基板である。
【0023】
この出願の実施形態の第4の態様で提供される電子機器は、第1の態様又は第2の態様のいずれかの実装に従った半導体コンポーネントを含み、当該電子機器の有益な効果は、半導体コンポーネントの有益な効果と同じである。詳細をここで再び説明することはしない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のより包括的な理解のために、ここで、添付の図面及び詳細な説明と併せて、以下の簡単な説明を参照するが、添付の図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【
図1A】この出願の一実施形態に従った電子機器の構成の概略図である。
【
図1B】この出願の一実施形態に従ったアクティブアンテナユニットの構成の概略図である。
【
図1C】この出願の一実施形態に従った他の電子機器の構成の概略図である。
【
図2A】この出願の一実施形態に従った半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図2B】この出願の一実施形態に従った他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図3】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図5】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図6A】この出願の一実施形態に従った、
図2Bに示した半導体コンポーネントの出力カーブ図である。
【
図6B】この出願の一実施形態に従った、
図5に示した半導体コンポーネントの出力カーブ図である。
【
図7A】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図7B】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図8】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図9】この出願の一実施形態に従った半導体コンポーネントの各位置における電界の分布図である。
【
図10A】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図10B】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図11A】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図11B】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図11C】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【
図12】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体コンポーネントの構造の概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1:基地局、2:充電器、11:ベースバンド処理ユニット、12:アクティブアンテナユニット、121:計算ユニット、122:第1送信ユニット、123:アンテナユニット、124:電源、1210:制御ユニット、1211:第2送信ユニット、1212:ベースバンドユニット、1213:電源ユニット、1221:RFユニット、1222:PA、20:基板、30:チャネル層、40:バリア層、50:核形成層、60:傾斜バッファ層、70:挿入層、80:キャップ層。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この出願の実施形態における添付の図面を参照して、この出願の実施形態における技術的ソリューションを説明する。明らかなことには、説明される実施形態は、この出願の実施形態の全てではなく、その一部にすぎない。
【0027】
この出願の実施形態における用語“第1”及び“第2”は、単に説明の目的を意図しているにすぎず、相対的な重要性を示したり意味したりするもの又は指し示される技術的機構の数量を暗示的に示すものとして理解されるものではない。従って、“第1”、“第2”、又はこれらに類するものによって制限される機構は1つ以上の機構を明示的又は暗示的に含み得る。この出願の説明では、別段の断りがない限り、“複数の”は2つ以上を意味する。
【0028】
また、この出願の実施形態において、“上”、“下”、“左”、及び“右”は、添付の図面でパーツが模式的に配置された方向に対しての定義に限定されない。理解されるべきことには、これらの方向用語は、相対的な説明及び明確化のために使用される相対的な概念であり、添付の図面においてパーツが配置される方向の変化に基づいて、それに対応して変わり得る。
【0029】
この出願の実施形態では、文脈において別段の断りがない限り、明細書及び特許請求の範囲の全体において、用語“含む”は、“オープンで包含的”、すなわち、“含むが、それに限られない”として解釈される。明細書の記述において、例えば“一実施形態”、“一部の実施形態”、“実施形態例”、“例”、又は“一部の例”などの用語は、その実施形態又は例に関係した特定の機構、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを示すことを意図するものである。前述の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は例を指すわけではない。また、その特定の機構、構造、材料、又は特性は、何らかの適切なやり方で任意の1つ以上の実施形態又は例に含まれ得る。
【0030】
一部の実施形態が説明されるときに、“結合され”及び“接続され”並びにこれらの拡張の表現が用いられることがある。例えば、一部の実施形態が説明されるとき、用語“接続され”は、2つ以上のパーツが互いに直に物理的に接触している又は電気的に接触していることを示すために使用され得る。他の一例では、一部の実施形態が説明されるとき、用語“結合され”は、2つ以上のパーツが直に物理的に接触している又は電気的に接触していることを示すために使用され得る。しかしながら、用語“結合する”はまた、2つ以上のパーツが互いに直には接触していないが、なおも互いに協働又は相互作用することを意味することもある。ここに開示される実施形態は、必ずしもこの明細書の内容に限定されるわけではない。
【0031】
この出願の実施形態では、添付の図面において理想化された例として用いられる断面図及び/又は平面図及び/又は等価回路図を参照して、実装例が説明される。添付の図面では、明瞭さのために、層及び領域の厚さが拡大されている。故に、例えば製造技術及び/又は公差に起因した図面の形状における変化が想定され得る。従って、実装例は、この明細書に示される領域の形状に限定されるとして解釈されるべきでなく、むしろ、例えば製造に起因した形状のずれを含む。例えば、矩形として示されるエッチング領域は、典型的に、曲がる特性を持つことになる。従って、添付の図面に示される領域は、本質的に例であり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、実装例の範囲を限定することを意図していない。
【0032】
この出願の実施形態において、用語“2次元電子ガス(two-dimensional electron gas,2DEG)”は、界面方向に垂直な電子の移動がポテンシャル井戸によって束縛され、従って量子化されることを意味する。表面に平行な電子の移動は依然として自由である。この場合、2次元方向におけるそのような自由電子が2次元電子ガスとして参照される。
【0033】
この出願の実施形態において、用語“半絶縁性(semi-insulating,SI)”は、抵抗率が105Ω・cmより高いことを意味する。例えば、半絶縁性SiC基板は、SiC基板の抵抗率が105Ω・cmより高いことを意味する。
【0034】
この出願の実施形態において、用語“電流コラプス効果”は、半導体コンポーネントのドレイン電圧が特定の値を超えたときに、ドレイン電圧が増加するにつれて電流が減少し始め、理想的な値に達することができないという効果を意味する。
【0035】
この出願の実施形態において、用語“ニーポイント(knee-point)電圧”は、半導体コンポーネントが線形領域から飽和領域に入るときに存在する変曲点電圧を意味する。
【0036】
この出願の実施形態において、用語“空乏領域”は、半導体pn接合、ショットキー接合、又はヘテロ接合において、界面の両側の半導体の元の化学的ポテンシャルの差に起因して界面付近のエネルギーバンドが曲げられて、エネルギーバンドが曲げられた領域において電子又は正孔濃度が低減された界面領域を形成することを意味する。
【0037】
この出願の一実施形態は電子機器を提供する。当該電子機器は、例えば、充電器、小型充電式家庭用電化製品、無人航空機、航空宇宙デバイス、ライダードライバ、レーザ、検出器、レーダ、及び5G(the 5th generation mobile network,第5世代モバイル通信技術)通信デバイスなど、異なるタイプのユーザ機器又は端末機器とし得る。当該電子機器は、代わりに、例えば基地局などのネットワーク装置であってもよい。あるいは、当該電子機器は、前述の電子機器内の例えば電力増幅器などの装置であってもよい。電子機器の具体的な形態は、この出願の実施形態において特に限定されるものではない。
【0038】
過去30年間、高い熱伝導率、高い電子ドリフト速度、高温耐性、及び安定した化学的特性を有する半導体コンポーネントが、パワーエレクトロニクス分野、マイクロ波無線周波数分野、及び光電コンポーネント分野において、無線周波数コンポーネント又はパワーコンポーネントとして広く使用されてきた。
【0039】
例えば、第3世代半導体窒化ガリウム(GaN)材料は、例えば大きい禁制帯幅(3.4eV)、高い絶縁破壊(ブレイクダウン)電界(3.3MV/cm)、大きい飽和速度(2.5e7cm/s)、及び窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)/GaNヘテロ接合界面において分極効果によって生じる高い2DEG密度などの優れた特性を持ち、それ故に、GaN高電子移動度トランジスタ(high-electron-mobility transistor,HEMT)コンポーネントは、高電圧、高温、及び高周波数で動作することができ、従って、無線周波数コンポーネント又はパワーコンポーネントとして広く使用されている。
【0040】
半導体コンポーネントが無線周波数コンポーネントとして使用されるとき、電子機器の構成を、当該電子機器が基地局である例を用いて説明する。
図1Aに示すように、基地局1は、ベースバンド処理ユニット(baseband processing unit,BBU)11と、アクティブアンテナユニット(active antenna unit,AAU)12とを含む。BBU11は主に、例えば高速フーリエ変換(fast Fourier transform,FFT)/逆高速フーリエ変換(inverse fast Fourier transform,IFFT)、変調/復調、及びチャネル符号化/復号といった、ベースバンドデジタル信号処理を担う。
図1Bに示すように、AAU12は、計算ユニット121、第1送信ユニット122、及びアンテナユニット123を含む。計算ユニット121は、制御ユニット1210、第2送信ユニット1211、ベースバンドユニット1212、及び電源ユニット1213を含む。制御ユニット1210、第2送信ユニット1211、ベースバンドユニット1212、及び電源ユニット1213は、互いに電気的に接続される。制御ユニット1210は、無線周波数信号の制御を担うように構成される。第2送信ユニット1211は、無線周波数信号の送信を担うように構成される。ベースバンドユニット1212は、デジタル信号とアナログ信号との間での変換を担うように構成される。例えば、ベースバンドユニット1212はデジタル-アナログ変換器(digital to analog converter,DAC)である。DACは、BBU11によって出力されるデジタル信号をアナログ信号に変換し得る。電源ユニット1213は、電源124に電気的に接続され、計算ユニット121内の制御ユニット1210、第2送信ユニット1211、及びベースバンドユニット1212に電力を供給するように構成される。第1送信ユニット122は、無線周波数信号の送信及び増幅を担うように構成される。第1送信ユニット122は、無線周波数(radio frequency,RF)ユニット1221及びパワーアンプ(power amplifier,PA)1222を含む。RFユニット1221は、アナログ信号を低電力無線周波数信号に変換するように構成される。PA1222は、低電力無線周波数信号の電力を増幅し、電力増幅された無線周波数信号をアンテナユニット123に出力するように構成される。アンテナユニット123は、無線周波数信号を放射することを担う。
図1Bに示すように、AAU12は、複数のRFユニット1221、複数のPA1222、及び複数のアンテナユニット123を含み得る。なお、PA1222は半導体コンポーネントとし得る。
【0041】
理解されるべきことには、半導体コンポーネントがPAとして使用される場合に、この出願のこの実施形態で提供される電子機器は、
図1A及び
図1Bに示される基地局に限定されるものではない。パワーアンプを用いて信号を増幅する任意の電子機器が、この出願のこの実施形態の適用シナリオに属する。
【0042】
半導体コンポーネントがパワーコンポーネントとして使用されるとき、電子機器の構成を、当該電子機器が充電器である例を用いて説明する。
図1Cに示すように、充電器2は、パワーコンポーネント、抵抗R、インダクタL、及びキャパシタCなどを含み得る。パワーコンポーネントは、例えば、半導体コンポーネントとし得る。半導体コンポーネント、抵抗R、インダクタL、及びキャパシタCは、プリント回路基板(printed circuit board,PCB)を用いて相互接続され得る。
【0043】
理解されるべきことには、半導体コンポーネントがパワーコンポーネントとして使用される場合に、この出願のこの実施形態で提供される電子機器は、
図1Cに示される充電器に限定されるものではない。パワーコンポーネントを用いる任意の電子機器が、この出願のこの実施形態の適用シナリオに属する。
【0044】
半導体コンポーネントのマイクロ波電力特性は、半導体コンポーネントの動作電圧を高めることによって効果的に改善されることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を高めることが、半導体コンポーネントの動作電圧を増加させるための前提となる。
【0045】
一部の実施形態において、
図2Aに示すように、半導体コンポーネントは、基板20と、基板20上に配置されたチャネル層30及びバリア層40(これらは半導体コンポーネント内のヘテロ接合として使用される)と、バリア層40上に配置されたソースS、ドレインD、及びゲートGとを含む。ソースS及びドレインDはバリア層40とオーミック接触を形成し、ゲートGはバリア層40とショットキー接触を形成する。これに基づき、半導体コンポーネントは更に、ゲートフィールドプレート(gate field plate,GFP)を含む。ゲートフィールドプレートGFPとバリア層40との間には間隔が存在する。
【0046】
半導体コンポーネントが動作状態にあるとき、ゲートGとドレインDとの間に電界が生成され、電界の集中点は、ドレインDに近いゲートGの鋭い角にあり、これは、バリア層40の材料のブレイクダウン(不可逆的な物理的損傷)を容易に生じさせ、その結果、半導体コンポーネントの故障を引き起こす。ゲートフィールドプレートGFPはゲートG上に配置され、これが意味することは、ゲートフィールドプレートGFPがゲートGをドレインD側に延ばすことで、ゲートGとドレインDとの間の電界分布を変化させることができ、ドレインDに近いゲートフィールドプレートの頂部角に電界の集中点が持って行かれるということである。ドレインDに近いゲートの鋭い角にはもはや電界の集中点がなく、これは、ゲートGのドレインDに近い側の電界強度が低減されることを意味する。ゲートフィールドプレートGFPのドレインDに近い側に電界の集中点があるが、ゲートフィールドプレートGFPとバリア層40との間に間隔が存在するので、バリア層40の材料のブレイクダウンの可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を高めることができ、半導体コンポーネントの性能を確保することができる。
【0047】
しかしながら、ゲートGとドレインDとの間にゲート-ドレイン寄生容量Cgd(又は帰還容量と称される)が存在する。ゲートフィールドプレートGFPが配設された後には、ゲート-ドレイン寄生容量Cgdが更に増加し、それが半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数の低下をもたらす。
【0048】
これに基づき、一部の実施形態において、
図2Bに示すように、半導体コンポーネントは更にソースフィールドプレート(source field plate,SFP)を含み、ソースフィールドプレートSFPは、ゲートフィールドプレートGFPと重なってゲートフィールドプレートGFPの上に配置される。
【0049】
ソースフィールドプレートSFPが半導体コンポーネント内に配置されることで、ゲートGとドレインDとの間の帰還経路を遮断して、半導体コンポーネントのゲート-ドレイン寄生容量Cgdを減少させ、半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。加えて、ソースフィールドプレートSFPの導電性の構造が、ゲートフィールドプレートGFPとドレインDとの間の電界分布を調整して、ゲートGのドレインDに近い側の電界強度を低下させ、半導体コンポーネントのピーク電界を低減させ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高めることができる。電界強度が低減された後には、強い電界によって電子が励起されて表面状態に入る可能性を低下させて、半導体コンポーネントの電流コラプス効果を抑制することができる。
【0050】
しかし、ソースフィールドプレートSFPの導入は、半導体コンポーネントのゲート-ソース寄生容量Cgsを増大させ、それが半導体コンポーネントの周波数特性を低下させる。
【0051】
一部の実施形態では、半導体コンポーネントの利得特性を改善するために、ソースフィールドプレートSFPがドレインD側に延長される。
【0052】
しかしながら、このやり方では、小信号利得が増加される程度は限られ、加えて、半導体コンポーネントのゲート-ソース寄生容量Cgsが有意に増大され、それが更に、半導体コンポーネントのドレイン効率(drain efficiency)を低下させ、半導体コンポーネントの周波数特性を低下させてしまい得る。
【0053】
一部の実施形態では、ゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させ、半導体コンポーネントの利得特性を更に向上させるために、ゲート長(ソースSからドレインDへの方向におけるサイズ)が短縮される。例えば、0.25μmのゲート長又は0.1μmのゲート長を持つゲート長プロセスが使用される。
【0054】
しかしながら、より短いゲート長は、より高精度のリソグラフィ装置(例えば、電子ビームリソグラフィ装置)又はより複雑なプロセス(例えば、線幅微細化プロセス)を必要とする。加えて、より短いゲート長はまた、短チャネル効果を生じさせ、半導体コンポーネントの出力インピーダンスを低下させ、高いリーク電圧の場合に乏しいターンオフ特性を生じさせ得る。
【0055】
従って、半導体コンポーネントの設計においては、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧及び利得特性などを総合的に考慮する必要がある。半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を低下させるときに半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得などを含む特性への影響をどのように低減させるかが、当業者によって解決される必要がある技術的な問題となる。
【0056】
以下、幾つかの詳細な例を用いて、この出願の実施形態で提供される半導体コンポーネントを説明する。
【0057】
例1
【0058】
この例は半導体コンポーネントを提供する。
図3に示すように、当該半導体コンポーネントは主に、基板20と、基板20上に順に積層されたチャネル層30及びバリア層40と、バリア層40上に並んで配置されたソースS及びドレインDと、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置された第1ゲートG1及び第2ゲートG2と、第1のゲートフィールドプレートGFP1及び第1のソースフィールドプレートSFP1とを含む。
【0059】
一部の実施形態において、基板20はダイヤモンド基板又は炭化ケイ素(SiC)基板である。
【0060】
基板20がSiC基板であり、原材料の純度が高くない場合、成長により得られるSiC基板は導電性基板である。原材料の純度が高い場合、成長により得られるSiC基板は半絶縁性基板である。
【0061】
基板20がダイヤモンド基板である場合、通常の成長により形成されるダイヤモンド基板は半絶縁性基板である。ダイヤモンド基板を形成するプロセスにおいて、不純物含有量が高い又はダイヤモンド基板がドープされる場合、形成されるダイヤモンド基板は導電性基板である。
【0062】
基板20が導電性基板である場合、半導体コンポーネントは、電子機器においてパワーコンポーネントとして使用され、電子機器内のPCBと相互接続される。基板20が半絶縁性基板である場合、半導体コンポーネントは、電子機器において無線周波数コンポーネントとして使用され、電子機器内のアンテナとの信号通信を実施する。
【0063】
ダイヤモンド基板の熱伝導率は通常、1000W・m-1・K-1から2000W・m-1・K-1であり、SiC基板の熱伝導率は通常、約370W・m-1・K-1である。基板20がダイヤモンド基板又はSiC基板である場合、基板20の放熱能力が高く、その結果、半導体コンポーネントの放熱能力が向上され得る。
【0064】
一部の実施形態において、
図4に示すように、当該半導体コンポーネントは更に核形成層50を含む。
【0065】
核形成層50は基板20上に配設される。例えば、核形成層50は基板20の表面に配設される。
【0066】
核形成層50を形成する方法は、例えば、有機金属気相成長(metal-organic chemical vapor deposition,MOCVD)成長法、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy,MBE)成長法とし得る。
【0067】
核形成層50の材料は、例えば、GaN、AlGaN、及び窒化アルミニウム(AlN)のうちの1つ以上を含み得る。
【0068】
核形成層50の機能は、基板20の格子構造をチャネル層30の格子構造と整合させることである。例えば、先ず、基板20との格子構造差が小さい核形成層50を基板20上に配置することができ、次いで、核形成層50との格子構造差が小さいチャネル層30が核形成層50上に設けられる。核形成層50は超格子構造を用い得る。超格子構造の繰り返し単位は、2つの異なる半導体材料層を含む。それら2つの半導体材料層の厚さ及び周期長が電子の平均自由行程よりも小さい場合、超格子構造内で量子サイズ効果が生成され得る。この場合、超格子構造の2つの半導体材料層の間に挟まれた井戸は量子井戸である。量子井戸によって生成されるエネルギーポテンシャル井戸が電子に対して持つ拘束力を用いて、核形成層50の界面に平行な方向に電子が移動することを可能にし、電子の横方向移動を改善して、電子が直接的に垂直方向に、界面に平行な基板20に入る確率を回避又は低減させることで、基板20の電気的リークが低減される。
【0069】
一部の実施形態において、
図4に示すように、当該半導体コンポーネントは更に傾斜バッファ層60を含む。
【0070】
傾斜バッファ層60は、核形成層50の基板20から遠い側に配設される。例えば、傾斜バッファ層60は、基板20から遠い側の核形成層50の表面上に配設される。
【0071】
傾斜バッファ層60を形成する方法は、例えば、MOCVDプロセスを用いて、そのAl(アルミニウム)成分が徐々に減少するAlGaN傾斜層をエピタキシャル成長させるものとし得る。
【0072】
例えば、核形成層50の基板20から遠い側に、MOCVDプロセスを使用することによって、Al0.8Ga0.2N層、Al0.5Ga0.5N層、及びAl0.2Ga0.8N層が順次に形成されて、傾斜バッファ層60を形成する。
【0073】
また、理解され得ることには、半導体コンポーネントが無線周波数コンポーネントとして使用される場合に存在する傾斜バッファ層60の組成は、半導体コンポーネントがパワーコンポーネントとして使用される場合に存在する傾斜バッファ層60の組成とは異なり得る。
【0074】
傾斜バッファ層60の機能は、傾斜バッファ層60の禁制帯幅がチャネル層30の禁制帯幅とは異なるために、バリア層40とチャネル層30とを含むヘテロ接合のポテンシャル井戸をより深くすることができ、2次元電子ガス(two-dimensional electron gas,2DEG)濃度が高まることである。また、電子散乱によって生じる移動度の低下を抑制するために、傾斜バッファ層60は通常、アンドープ構造を用いる。
【0075】
一部の実施形態において、
図3及び
図4に示すように、基板20上にチャネル層30が配置される。
【0076】
例えば、
図3に示すように、チャネル層30は基板20の表面上に配置される。あるいは、
図4に示すように、チャネル層30は傾斜バッファ層60の表面上に配置される。
【0077】
チャネル層30を形成する方法は、例えば、MOCVD成長法又はMBE成長法とし得る。
【0078】
チャネル層30の材料は、例えば、GaN、AlGaN、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、AlN、及び窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)のうちの1つ以上を含み得る。
【0079】
一部の実施形態において、
図4に示すように、当該半導体コンポーネントは更に挿入層70を含む。
【0080】
挿入層70はチャネル層30上に配置される。例えば、挿入層70はチャネル層30の表面上に配置される。
【0081】
挿入層70を形成する方法は、例えば、MOCVD成長法又はMBE成長法とし得る。
【0082】
チャネル層30とバリア層40との間に挿入層が配設されることで、2DEG濃度を高めることができる。
【0083】
一部の実施形態において、
図3及び
図4に示すように、チャネル層30上にバリア層40が配置される。
【0084】
例えば、
図3に示すように、バリア層40はチャネル層30の表面上に配置される。あるいは、例えば、バリア層40は挿入層70の表面上に配置される。
【0085】
バリア層40を形成する方法は、例えば、MOCVD成長法又はMBE成長法とし得る。
【0086】
バリア層40の材料は、例えば、GaN、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの1つ以上を含み得る。
【0087】
理解され得ることには、チャネル層30とバリア層40とで半導体コンポーネントのヘテロ接合を形成し、チャネル層30の上方に2次元電子ガスが生成される。従って、チャネル層30の材料はバリア層40の材料とは異なる。例えば、チャネル層30の材料はGaNを含み、バリア層40の材料はAlGaNを含む。
【0088】
一部の実施形態において、
図4に示すように、当該半導体コンポーネントは更にキャップ層80を含む。
【0089】
キャップ層80はバリア層40上に配置される。例えば、キャップ層80はバリア層40の表面上に配置される。
【0090】
キャップ層80を形成する方法は、例えば、MOCVD成長法又はMBE成長法をエッチングプロセスと組み合わせて使用することによってキャップ層を形成し得るものとし得る。
【0091】
キャップ層80は、(ソースS及びドレインDが配置される位置に)ソースS及びドレインDを配置するための開口を持ち、該開口がバリア層40を露出させる。
【0092】
キャップ層80の材料は、例えば、GaN又は窒化シリコン(Si3N4)とし得る。
【0093】
キャップ層80がバリア層40上に形成されることで、バリア層40を保護することができ、バリア層40の表面が酸化されず、半導体コンポーネントの表面状態を低減させることができる。すなわち、半導体コンポーネントのオン抵抗が低下し、半導体コンポーネントのゲートの電気的リーク及び電力消費が低減され、半導体コンポーネントの信頼性が向上する。
【0094】
一部の実施形態において、
図4に示すように、キャップ層80の開口がエッチングによって形成されるときに、バリア層40に対して少量のエッチングが行われてもよい。換言すれば、最終的にバリア層40上に凹部(recess)が存在する。
【0095】
斯くして、ソースS、ドレインD、及びバリア層40上の凹部で、新たなオーミック接触面を形成することができ、これは、ソースS及びドレインDとバリア層40の表面との間に形成されるTiN(窒化チタン)の拡散を容易にして、第2の導電チャネルを形成し、オーミック接触抵抗を効果的に低減させる。また、バリア層40上に形成された凹部の構造を用いることは、ドレインDの最大電流を効果的に増加させ、半導体コンポーネントのオン抵抗を低くすることができる。
【0096】
一部の実施形態において、
図3及び
図4に示すように、ソースS及びドレインDは、バリア層40上に配置され、キャップ層80上の開口内に位置して、バリア層40とオーミック接触を形成する。
【0097】
ソースS及びドレインDは、例えば、フォトリソグラフィ及びエッチングプロセスを使用することによって形成されることができ、ソースS及びドレインDは、例えば、同時に形成され得る。
【0098】
ソースS及びドレインDの材料は、例えば、順に積層されたチタン(Ti)層、Al層、ニッケル(Ni)層、及び金(Au)層、すなわち、Ti/Al/Ni/Auとし得る。あるいは、ソースS及びドレインDの材料は、順に積層されたTi層、Al層、白金(Pt)層、及びAu層、すなわち、Ti/Al/Pt/Auとしてもよい。あるいは、ソースS及びドレインDの材料は、順に積層されたTi層、タンタル(Ta)層、及びTi層、すなわち、Ti/Ta/Tiとしてもよい。あるいは、ソースS及びドレインDの材料は、Au又はパラジウム(Pd)としてもよい。
【0099】
一部の実施形態において、
図3及び
図4に示すように、第1ゲートG1及び第2ゲートG2が、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置される。
【0100】
例えば、
図3に示すように、第1ゲートG1及び第2ゲートG2は、バリア層40の表面上に配置され、バリア層40とショットキー接触を形成する。あるいは、例えば、
図4に示すように、第1ゲートG1及び第2ゲートG2は、キャップ層80の表面上に配置され、バリア層40とショットキー接触を形成する。
【0101】
第1ゲートG1及び第2ゲートG2は、例えば、フォトリソグラフィ及びエッチングプロセスを使用することによって形成されることができ、第1ゲートG1及び第2ゲートG2は、例えば、同時に形成され得る。
【0102】
第1ゲートG1及び第2ゲートG2の材料は、例えば、Au又はPdとし得る。
【0103】
この例では、
図3及び
図4に示すように、第1ゲートG1はソースSの近くに配置され、第2ゲートG2はドレインDの近くに配置される。換言すれば、第1ゲートG1がソースSと第2ゲートG2との間に配置される。
【0104】
一部の実施形態において、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2ゲートG2との間の間隔L1が、0.5μmから2.7μmの範囲である。
【0105】
例えば、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2ゲートG2との間隔L1は、0.7μm、1.0μm、1.3μm、1.5μm、1.7μm、2.0μm、2.3μm、又は2.5μmである。
【0106】
第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2ゲートG2との間の間隔L1が短縮されることで、半導体コンポーネントの飽和電流を有意に増加させ、半導体コンポーネントのパワーを増大させることができる。しかしながら、半導体コンポーネントのニーポイント電圧も上昇し、その結果、半導体コンポーネントの効率が低下する。加えて、半導体コンポーネントのゲート-ドレイン寄生容量Cgdが増加し、半導体コンポーネントの利得特性が低下する。従って、半導体コンポーネントの性能及び信頼性要求を包括的に満たすことができるように、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2ゲートG2との間の間隔L1が0.5μmから2.7μmの範囲内に設定される。
【0107】
一部の実施形態において、
図3及び
図4に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1は少なくとも部分的に、第1ゲートG1のドレインDに近い側に配置され、第1のゲートフィールドプレートGFP1は第1ゲートG1に電気的に接続され、第1のゲートフィールドプレートGFP1とバリア層40との間に間隔が存在する。
【0108】
例えば、
図3及び
図4に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1は、第1ゲートG1のドレインDに近い側に位置する部分のみを含み、第1のゲートフィールドプレートGFP1は、第1ゲートG1と接触して第1ゲートG1に接続される。
【0109】
例えば、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第1ゲートG1は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0110】
あるいは、例えば、
図5に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1は、第1ゲートG1のドレインDに近い側に位置する第1部分GFP1-1と、第1ゲートG1のソースSに近い側に位置する第2部分GFP1-2とを含む。第1のゲートフィールドプレートGFP1の第1部分GFP1-1及び第2部分GFP1-2はどちらも、第1ゲートG1と接触して第1ゲートG1に接続される。
【0111】
例えば、第1のゲートフィールドプレートGFP1の第1部分GFP1-1及び第2部分GFP1-2と第1ゲートG1は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0112】
第1ゲートG1の両側にそれぞれ第1のゲートフィールドプレートGFP1の第1部分GFP1-1及び第2部分GFP1-2が配置される。第1ゲートG1及び第1のゲートフィールドプレートGFP1が製造されるときに、第1のゲートフィールドプレートGFP1のアライメント境界精度についての要件が過度に高くないものになり得る。アライメントが不正確であって、製造を通して得られる第1部分GFP1-1と第2部分GFP1-2とがサイズにおいて異なる場合であっても、第1のゲートフィールドプレートGFP1の機能に対する影響は小さい。また、アライメントが不正確である場合、第1部分GFP1-1及び第2部分GFP1-2のサイズのみが影響を受け、第1ゲートG1の幅は影響されない。第1ゲートG1のサイズの変化によって引き起こされる半導体コンポーネントの性能に対する影響を回避することができる。
【0113】
第1のゲートフィールドプレートGFP1の形状は、この出願のこの実施形態において限定されるものではない。
図3、
図4、及び
図5に示すゲートフィールドプレートの形状は一例にすぎない。
【0114】
一部の実施形態において、
図3、
図4、及び
図5に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1の基板20から遠い側に第1のソースフィールドプレートSFP1が配置され、第1のソースフィールドプレートSFP1はソースSに電気的に接続される。
【0115】
確かなことには、第1のソースフィールドプレートSFP1と第1のゲートフィールドプレートGFP1との間には、1つ以上の層間誘電体層が必要に応じて配置されることができ、第1のソースフィールドプレートSFP1は、層間誘電体層のビアホールを通じてソースSに電気的に接続される。
【0116】
様々なサイズの第1ゲートG1及び第2ゲートG2によれば、
図3に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1から遠い側の第1のソースフィールドプレートSFP1の側面が、第1ゲートG1と第2ゲートG2との間に位置する。あるいは、第1のゲートフィールドプレートGFP1から遠い側の第1のソースフィールドプレートSFP1の側面が第2ゲートG2と重なる。
【0117】
第1のソースフィールドプレートSFP1は第1のゲートフィールドプレートGFP1を覆う。換言すれば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第1のソースフィールドプレートSFP1は第1のゲートフィールドプレートGFP1と重なる。
【0118】
例えば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第1のゲートフィールドプレートGFP1に近い側の第1のソースフィールドプレートSFP1の側面が、第1のゲートフィールドプレートGFP1と重なる。
【0119】
あるいは、それは、第1のゲートフィールドプレートGFP1に近い側で、基板20上への第1のソースフィールドプレートSFP1の正射影が、基板20上への第1のゲートフィールドプレートGFP1の正射影と重なることとして理解される。
【0120】
一部の実施形態において、第1のソースフィールドプレートSFP1は第1ゲートG1と重なるが、第1のソースフィールドプレートSFP1は第1ゲートG1を覆わない。あるいは、一部の実施形態において、第1のソースフィールドプレートSFP1は第1ゲートG1と重ならない。
【0121】
あるいは、それは、第1のソースフィールドプレートSFP1の第1ゲートG1に近い側が第1ゲートG1の上まで延在しないこととして理解される。
【0122】
第1のソースフィールドプレートSFP1が、第1のゲートフィールドプレートGFP1のドレインDに近い側のみに配置されることで、第1のソースフィールドプレートSFP1と第1ゲートG1との間の直に面する面積を減少させることができ、半導体コンポーネントのゲート-ソース寄生容量Cgsが減少され、半導体コンポーネントの周波数特性に対する第1のソースフィールドプレートSFP1の影響が低減される。
【0123】
一部の実施形態において、第1のソースフィールドプレートSFP1とソースSとの間の電気接続を実装するように、第1のソースフィールドプレートSFP1はソースSと接触してソースSに接続される。第1のソースフィールドプレートSFP1は、第1ゲートG1を迂回して、ソースSと接触してソースSに接続されることができる。
【0124】
第1のソースフィールドプレートSFP1の材料は、例えば、ソースS及びドレインDの材料と同じとし得る。半導体コンポーネントの製造において、第1ゲートG1及び第2ゲートG2が最初に形成され、次いでソースS及びドレインDが形成される場合、第1のソースフィールドプレートSFP1は、例えば、ソースS及びドレインDと同時に形成され得る。
【0125】
確かなことには、第1のソースフィールドプレートSFP1の基板20から遠い側には、必要に応じて、例えば誘電体層又は平坦層などの構造が配置され得る。これはこの出願のこの実施形態において限定されることではない。
【0126】
この例で提供される半導体コンポーネントは、第1ゲートG1と第2ゲートG2とを含んでいる。当該半導体コンポーネントが動作するとき、第1ゲートG1は、駆動信号Vgate1及び無線周波数信号RFを受信するように構成され、第2ゲートG2は、固定電圧信号Vgate2を受信するように構成される。これに基づき、
図6Aは、
図2Bに示したシングルゲート半導体コンポーネントの出力カーブ図であり、
図6Bは、
図3に示したデュアルゲート半導体コンポーネントの出力特性カーブである。
図6Aと
図6Bとを比較して分かることには、
図6Bでは、ドレインD電圧が低いときに半導体コンポーネントの出力電圧が飽和状態に達している(図中の黒い点はニーポイント電圧を表している)。従って、この例で提供される半導体コンポーネントのニーポイント電圧は、
図2Bに示した半導体コンポーネントのニーポイント電圧よりも有意に低い。
図6A及び
図6Bにおいて、横軸はドレインD電圧を表しており、縦軸はドレインD電流を表している。
図6A及び
図6Bは、第2ゲートG2によって受信される固定電圧信号Vgate2が一定値(例えば、2V)を持つ場合で行ったシミュレーションである。複数の異なるカーブは、第1ゲートG1が異なる駆動信号Vgate1を受信するときのカーブである。Vgate1が-4.0Vであるとき、及びVgate1が-6.0Vであるとき、出力カーブは基本的に横軸と一致している。
【表1】
【0127】
表1に示すように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2ゲートG2との間の間隔L1が1.7μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、半導体コンポーネント内に第2ゲートG2を配置するで、チャネル内のキャリアの分布を変化させ、キャリア濃度を低減させて、半導体の電流を低減させ、半導体コンポーネントのニーポイント電圧を低下させ、半導体コンポーネントの効率を改善することができる。
図6Bに示されるように、より小さいVgate1は、半導体コンポーネントのより低いニーポイント電圧を示す。また、第1ゲートG1とドレインDとの間に第2ゲートG2が配置されることで、第2ゲートG2は、第1ゲートG1とドレインDとの間の帰還経路を遮断することができ、第2ゲートG2は、ある程度の遮蔽効果を達成して、半導体コンポーネントがオフ状態にある(例えば、半導体コンポーネントがオフ状態にあるように、バイアスが印加され、第1ゲートG1の電圧が-6Vであり、ドレイン電圧が50Vである)ときに第1ゲートG1とドレインDとの間のゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得(小信号利得は、
図2Bに示した半導体コンポーネントのそれと比較して約5dBだけ増大され得る)、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。
【0128】
例2
【0129】
例2と例1との間の主な違いは、例2における半導体コンポーネントが、例1における半導体コンポーネント構造を基礎にして、第2のゲートフィールドプレートGFP2を更に含むことにある。
【0130】
図7Aに示すように、半導体コンポーネントが提供され、当該半導体コンポーネントは主に、基板20と、基板20上に順に積層されたチャネル層30及びバリア層40と、バリア層40上に並んで配置されたソースS及びドレインDと、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置された第1ゲートG1及び第2ゲートG2と、第1のゲートフィールドプレートGFP1及び第2のゲートフィールドプレートGFP2と、第1のソースフィールドプレートSFP1とを含む。
【0131】
第2のゲートフィールドプレートGFP2は少なくとも部分的に、第2ゲートG2のドレインDに近い側に配置される。第2のゲートフィールドプレートGFP2は第2ゲートG2に電気的に接続され、第2のゲートフィールドプレートGFP2とバリア層40との間に間隔が存在する。
【0132】
例えば、第2のゲートフィールドプレートGFP2は、第2ゲートG2のドレインDに近い側に位置する部分のみを含み、第2のゲートフィールドプレートGFP2は、第2ゲートG2と接触して第2ゲートG2に接続される。
【0133】
例えば、第2のゲートフィールドプレートGFP2と第2ゲートG2は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0134】
あるいは、例えば、
図7Aに示すように、第2のゲートフィールドプレートGFP2は、第2ゲートG2のドレインDに近い側に位置する第1部分GFP2-1と、第2ゲートG2のソースSに近い側に位置する第2部分GFP2-2とを含む。第2のゲートフィールドプレートGFP2の第1部分GFP2-1及び第2部分GFP2-2はどちらも、第2ゲートG2と接触して第2ゲートG2に接続される。
【0135】
例えば、第2のゲートフィールドプレートGFP2の第1部分GFP2-1及び第2部分GFP2-2と第2ゲートG2は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0136】
第2のゲートフィールドプレートGFP2の形状は、この出願のこの実施形態において限定されるものではない。
図7Aに示す第2のゲートフィールドプレートGFP2の形状は一例にすぎない。
【0137】
一部の実施形態において、
図7Aに示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2の値は、0.5μmから2.5μmの範囲である。例えば、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間隔L2は、0.7μm、1.0μm、1.3μm、1.5μm、1.7μm、2.0μm、又は2.3μmである。
【0138】
この例において、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2は、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間に位置する第1のソースフィールドプレートSFP1の部分の長さL3よりも大きい。
【0139】
この例において、基板20、チャネル層30とバリア層40、ソースSとドレインD、第1ゲートG1と第2ゲートG2、第1のゲートフィールドプレートGFP1、及び第1のソースフィールドプレートSFP1の構造は、例1におけるものと同じである。詳細については、例1における関連する説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0140】
一部の実施形態において、
図7Bに示すように、当該半導体コンポーネントは更に、核形成層50、傾斜バッファ層60、挿入層70、及びキャップ層80を含む。核形成層50、傾斜バッファ層60、挿入層70、及びキャップ層80の構造は、例1におけるものと同じである。詳細については、例1における関連する説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0141】
表2に示すように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が1.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、半導体コンポーネント内に第2のゲートフィールドプレートGFP2を配置することで、第2ゲートG2に近い領域の電界強度を有意に低減させることができる。従って、バリア層40の材料のブレイクダウンの可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高めることができ、半導体コンポーネントの性能を確保することができる。また、第2のゲートフィールドプレートGFP2が半導体コンポーネント内に配置され、第2のゲートフィールドプレートGFP2は、ある程度の遮蔽効果を達成し、空乏領域を更に拡張して、第1ゲートG1とドレインDとの間のゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させることができるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。
【表2】
【0142】
例3
【0143】
例3と例2との間の主な違いは、例3における半導体コンポーネントが、例2における半導体コンポーネント構造を基礎にして、第2のソースフィールドプレートSFP2を更に含むことにある。
【0144】
図8に示すように、半導体コンポーネントが提供され、当該半導体コンポーネントは主に、基板20と、基板20上に順に積層されたチャネル層30及びバリア層40と、バリア層40上に並んで配置されたソースS及びドレインDと、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置された第1ゲートG1及び第2ゲートG2と、第1のゲートフィールドプレートGFP1及び第2のゲートフィールドプレートGFP2と、第1のソースフィールドプレートSFP1及び第2のソースフィールドプレートSFP2とを含む。
【0145】
第2のソースフィールドプレートSFP2は、第2のゲートフィールドプレートGFP2の基板20から遠い側に配置され、ソースSに電気的に接続される。
【0146】
確かなことには、第2のソースフィールドプレートSFP2と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間には、1つ以上の層間誘電体層が必要に応じて配置されることができる。また、第2のソースフィールドプレートSFP2がソースSに電気的に接続されることは、第2のソースフィールドプレートSFP2がソースSに直接電気的に接続されることであってもよいし、第2のソースフィールドプレートSFP2が第1のソースフィールドプレートSFP1に電気的に接続されることで、第2のソースフィールドプレートSFP2とソースSとの間の電気接続を実装することであってもよい。
【0147】
第2のソースフィールドプレートSFP2は、第2のゲートフィールドプレートGFP2を覆う。換言すれば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第2のソースフィールドプレートSFP2は第2のゲートフィールドプレートGFP2と重なる。
【0148】
例えば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第2のゲートフィールドプレートGFP2に近い側の第2のソースフィールドプレートSFP2の側面が、第2のゲートフィールドプレートGFP2と重なる。
【0149】
あるいは、それは、第2のゲートフィールドプレートGFP2に近い側で、基板20上への第2のソースフィールドプレートSFP2の正射影が、基板20上への第2のゲートフィールドプレートGFP2の正射影と重なることとして理解される。
【0150】
一部の実施形態において、第2のソースフィールドプレートSFP2は第2ゲートG2と重なるが、第2のソースフィールドプレートSFP2は第2ゲートG2を覆わない。あるいは、一部の実施形態において、第2のソースフィールドプレートSFP2は第2ゲートG2と重ならない。
【0151】
あるいは、それは、第2のソースフィールドプレートSFP2の第2ゲートG2に近い側が第2ゲートG2の上まで延在しないこととして理解される。
【0152】
第2のソースフィールドプレートSFP2が、第2のゲートフィールドプレートGFP2のドレインDに近い側のみに配置されることで、第2のソースフィールドプレートSFP2と第2ゲートG2との間の直に面する面積を減少させることができ、半導体コンポーネントのゲート-ソース寄生容量Cgsが減少され、半導体コンポーネントの周波数特性に対する第2のソースフィールドプレートSFP2の影響が低減される。
【0153】
一部の実施形態において、第2のソースフィールドプレートSFP2と第1のソースフィールドプレートSFP1との間の電気接続を実装するように、第2のソースフィールドプレートSFP2は第1のソースフィールドプレートSFP1と接触して第1のソースフィールドプレートSFP1に接続される。第2のソースフィールドプレートSFP2は、第2ゲートG2を迂回して、第1のソースフィールドプレートSFP1と接触して第1のソースフィールドプレートSFP1に接続されることができる。
【0154】
第2のソースフィールドプレートSFP2の材料は、例えば、ソースS及びドレインDの材料と同じとし得る。第2のソースフィールドプレートSFP2は、例えば、第1のソースフィールドプレートSFP1と同時に形成され得る。
【0155】
第2のソースフィールドプレートSFP2の長さ(ソースSからドレインDへの方向におけるサイズ)は、例えば、第1のソースフィールドプレートSFP1の長さ(ソースSからドレインDへの方向におけるサイズ)より大きくてもよいし、小さくてもよいし、等しくてもよい。
【0156】
第2のソースフィールドプレートSFP2の形状は、この出願のこの実施形態において限定されることではない。第2のソースフィールドプレートSFP2は、第2ゲートG2に重なって、第2ゲートG2とドレインDとの間の位置まで延びる。
図8に示す第2のソースフィールドプレートSFP2の形状は一例にすぎない。
【0157】
この例において、基板20、チャネル層30とバリア層40、ソースSとドレインD、第1ゲートG1と第2ゲートG2、第1のゲートフィールドプレートGFP1、第2のゲートフィールドプレートGFP2、及び第1のソースフィールドプレートSFP1の構造は、例1におけるものと同じである。詳細については、例1における関連する説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【0158】
一部の実施形態において、第1ゲートG1と第2ゲートG2の構造は同じであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2の構造は同じであり、第1のソースフィールドプレートSFP1と第2のソースフィールドプレートSFP2の構造は同じである。斯くして、構造が単純であり、製造するのが容易である。
【0159】
一部の実施形態において、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2の値は、0.5μmから1.5μmの範囲である。
【0160】
例えば、
図8に示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2は、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間に位置する第1のソースフィールドプレートSFP1の部分の長さL3以上である。あるいは、基板20に垂直な方向において、第1のソースフィールドプレートSFP1は第2のゲートフィールドプレートGFP2と重ならない。
【表3】
【0161】
表3に示すように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が1.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、第2のソースフィールドプレートSFP2が半導体コンポーネント内に配置される場合、第2のソースフィールドプレートSFP2の導電性の構造が、第2のゲートフィールドプレートGFP2とドレインDとの間の電界分布を調整して、第2ゲートG2のドレインDに近い側の電界強度を低減させ(電界強度は、
図2Bに示した半導体コンポーネントのそれと比較して約55%だけ低減され得る)、半導体コンポーネントのピーク電界を低下させ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高め得る。加えて、電界強度が低減された後には、強い電界によって電子が励起されて表面状態に入る可能性を低下させて、半導体コンポーネントの電流コラプス効果を抑制することができる。また、第2のソースフィールドプレートSFP2が半導体コンポーネント内に配置され、第2のソースフィールドプレートSFP2は、ある程度の遮蔽効果を達成し、空乏領域を更に拡張して、第1ゲートG1とドレインDとの間のゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させることができるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得(小信号利得は、
図2Bに示した半導体コンポーネントのそれと比較して約7dBだけ増大され得る)、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。
【0162】
図9に示すように、第2ゲートG2が第1ゲートG1とドレインDとの間に配置された後に、第2ゲートG2に対応する第2のゲートフィールドプレートGFP2及び第2のソースフィールドプレートSFP2が追加されるにつれて、第1ゲートG1とドレインDとの間の電界強度が徐々に減少し、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧が徐々に増加する。
図9において、縦座標は電界強度V/cmを表しており、横座標は半導体コンポーネント内の位置を表している。
【0163】
あるいは、例えば、
図10Aに示すように、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間隔L2は、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間に位置する第1のソースフィールドプレートSFP1の部分の長さL3より小さい。換言すれば、第1のソースフィールドプレートSFP1が第2のゲートフィールドプレートGFP2を覆う。あるいは、それは、基板20に垂直な方向において、第1のソースフィールドプレートSFP1が第2のゲートフィールドプレートGFP2と重なることとして理解される。
【0164】
例えば、
図10Aに示すように、基板20に垂直な方向において、第2ゲートG2に近い側の第1のソースフィールドプレートSFP1の側面が第2のゲートフィールドプレートGFP2と重なる。
【0165】
表3から分かることには、
図3にした第1ゲートG1及び第2ゲートG2を含む半導体コンポーネントは、半導体コンポーネントのゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させることができるが、半導体コンポーネントの飽和電流も減少させてしまい得る。第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間隔L2が小さくされることで、飽和電流の減少を軽減させることができる。
【0166】
一実装おいて、
図10Aに示すように、第1のソースフィールドプレートSFP1は、第2のソースフィールドプレートSFP2に接続されない。
【0167】
第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔を小さくすることに基づいて、第1のソースフィールドプレートSFP1と第2のソースフィールドプレートSFP2とが接続されないように、第1のソースフィールドプレートSFP1の製造プロセスが変更される。
【表4】
【0168】
表4に示すように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が0.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、
図8の構造と比較して、
図10Aの構造は、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔を短縮し、半導体コンポーネントの飽和電流が大幅に増大するが、ニーポイント電圧及びゲート-ドレイン寄生容量Cgdが僅かに増加し、半導体コンポーネントの小信号利得が僅かに減少する。従って、第1ゲートG1と第2ゲートG2との間の間隔L2を適切に設定するために、半導体コンポーネントの小信号利得及びニーポイント電圧の要件が必要に応じて総合的に考慮され得る。
【0169】
他の一実装において、
図10Bに示すように、第1のソースフィールドプレートSFP1が第2のソースフィールドプレートSFP2に接続される。
【0170】
第1のソースフィールドプレートSFP1が第2のソースフィールドプレートSFP2に接続されることで、第1のソースフィールドプレートSFP1の製造プロセスを変更することなく、既存のプロセスを用いて第1のソースフィールドプレートSFP1及び第2のソースフィールドプレートSFP2を製造することができる。しかしながら、表5に示されるように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が0.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、
図10Aの構造と比較して、
図10Bの構造では、第1のソースフィールドプレートSFP1が第2のソースフィールドプレートSFP2に接続され、半導体コンポーネントの小信号利得が僅かに低下する。
【表5】
【0171】
例4
【0172】
例4と例1から例3との間の違いは、半導体コンポーネントが、例1から例3で提供される半導体コンポーネント構造を基礎にして、第3ゲートG3を更に含むことにある。
【0173】
例3で提供される半導体コンポーネントとの比較を例として用いる。
図11Aに示すように、半導体コンポーネントが提供され、当該半導体コンポーネントは主に、基板20と、基板20上に順に積層されたチャネル層30及びバリア層40と、バリア層40上に並んで配置されたソースS及びドレインDと、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置された第1ゲートG1、第2ゲートG2、及び第3ゲートG3と、第1のゲートフィールドプレートGFP1及び第2のゲートフィールドプレートGFP2と、第1のソースフィールドプレートSFP1及び第2のソースフィールドプレートSFP2とを含む。
【0174】
図11Aに示すように、第1ゲートG1、第2ゲートG2、第3ゲートG3は、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置される。
【0175】
例えば、
図11Aに示すように、第1ゲートG1、第2ゲートG2、及び第3ゲートG3は、バリア層40の表面上に配置され、バリア層40とショットキー接触を形成する。
【0176】
第1ゲートG1、第2ゲートG2、及び第3ゲートG3は、例えば、フォトリソグラフィ及びエッチングプロセスを用いることによって形成され、第1ゲートG1、第2ゲートG2、及び第3ゲートG3は、例えば、同時に形成される。
【0177】
確かなことには、第3ゲートG3とドレインDとの間に更に第4ゲート又はより多くのゲートが配置されてもよいことが理解され得る。これはこの出願のこの実施形態において限定されることではない。必要に応じて適切にゲートを配置すればよい。
【0178】
例1で第2ゲートG2を追加する原理と同様に、第3ゲートG3が第2ゲートG2とドレインDとの間に追加され、第3ゲートG3は、ある程度の遮蔽効果を達成して、第1ゲートG1とドレインDとの間のゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。
【0179】
一部の実施形態において、
図11Bに示すように、当該半導体コンポーネントは更に第3のゲートフィールドプレートGFP3を含む。
【0180】
第3のゲートフィールドプレートGFP3は少なくとも部分的に、第3ゲートG3のドレインDに近い側に配置される。第3のゲートフィールドプレートGFP3は第3ゲートG3に電気的に接続され、第3のゲートフィールドプレートGFP3とバリア層40との間に間隔が存在する。
【0181】
例えば、第3のゲートフィールドプレートGFP3は、第3ゲートG3のドレインDに近い側に位置する部分のみを含み、第3のゲートフィールドプレートGFP3は、第3ゲートG3と接触して第3ゲートG3に接続される。
【0182】
例えば、第3のゲートフィールドプレートGFP3と第3ゲートG3は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0183】
あるいは、例えば、
図11Bに示すように、第3のゲートフィールドプレートGFP3は、第3ゲートG3のドレインDに近い側に位置する第1部分GFP3-1と、第3ゲートG3のソースSに近い側に位置する第2部分GFP3-2とを含む。第3のゲートフィールドプレートGFP3の第1部分GFP3-1及び第2部分GFP3-2はどちらも、第3ゲートG3と接触して第3ゲートG3に接続される。
【0184】
例えば、第3のゲートフィールドプレートGFP3の第1部分GFP3-1及び第2部分GFP3-2と第3ゲートG3は、一体形成された構造のものであり、同じ製造プロセスで同時に形成される。
【0185】
第3のゲートフィールドプレートGFP3の形状は、この出願のこの実施形態において限定されるものではなく、
図11Bに示す第3のゲートフィールドプレートGFP3の形状は一例にすぎない。
【0186】
半導体コンポーネント内に第3のゲートフィールドプレートGFP3を配置することで、第3ゲートG3に近い領域の電界強度を有意に低減させることができる。従って、バリア層40の材料のブレイクダウンの可能性を低下させることができ、半導体コンポーネントのブレイクダウン電圧を更に高めることができ、半導体コンポーネントの性能を確保することができる。また、第3のゲートフィールドプレートGFP3が半導体コンポーネント内に配置され、第3のゲートフィールドプレートGFP3は、ある程度の遮蔽効果を達成し、空乏領域を更に拡張して、第1ゲートG1とドレインDとの間のゲート-ドレイン寄生容量Cgdを低減させることができるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得、電流利得カットオフ周波数、及び電力利得カットオフ周波数を高めることができる。
【0187】
一部の実施形態において、
図11Cに示すように、当該半導体コンポーネントは更に第3のソースフィールドプレートSFP3を含む。第3のソースフィールドプレートSFP3は、第3のゲートフィールドプレートGFP3の基板20から遠い側に配置され、ソースSに電気的に接続される。
【0188】
第3のソースフィールドプレートSFP3は、第3のゲートフィールドプレートGFP3を覆う。換言すれば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第3のソースフィールドプレートSFP3は第3のゲートフィールドプレートGFP3と重なる。
【0189】
例えば、基板20に垂直な方向(又は基板20の厚さ方向として理解される)において、第3のゲートフィールドプレートGFP3に近い側の第3のソースフィールドプレートSFP3の側面が、第3のゲートフィールドプレートGFP3と重なる。
【0190】
あるいは、それは、第3のゲートフィールドプレートGFP3に近い側で、基板20上への第3のソースフィールドプレートSFP3の正射影が、基板20上への第3のゲートフィールドプレートGFP3の正射影と重なることとして理解される。
【0191】
第2のソースフィールドプレートSFP2の様々な構造、及び第2ゲートG2と第3ゲートG3との間の様々な距離に従って、第2のソースフィールドプレートSFP2と第3のソースフィールドプレートSFP3は接続されてもよいし、接続されなくてもよい。
図11Cは、第2のソースフィールドプレートSFP2が第3のソースフィールドプレートSFP3に接続される例を用いて示されている。
【0192】
一部の実施形態において、第1ゲートG1と、第2ゲートG2と、第3ゲートG3の構造は同じであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と、第2のゲートフィールドプレートGFP2と、第3のゲートフィールドプレートGFP3の構造は同じであり、第1のソースフィールドプレートSFP1と、第2のソースフィールドプレートSFP2と、第3のソースフィールドプレートSFP3の構造は同じである。斯くして、構造が単純であり、製造するのが容易である。
【0193】
表6に示されるように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が0.5μmであり、第2のゲートフィールドプレートGFP2と第3のゲートフィールドプレートGFP3との間の間隔が0.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、ゲート、ゲートフィールドプレート、及びソースフィールドプレートの数を更に増加させることで、ゲート-ドレイン寄生容量Cgdを更に低減させるとともに、半導体コンポーネントの小信号利得を増大させることができる。
【表6】
【0194】
例5
【0195】
例5と例2から例4との間の違いは、第2ゲートG2よりも第1ゲートG1がドレインDの近くに配置されることにある。
【0196】
例2で提供される半導体コンポーネントとの比較を例として用いる。
図12に示すように、半導体コンポーネントが提供され、当該半導体コンポーネントは主に、基板20と、基板20上に順に積層されたチャネル層30及びバリア層40と、バリア層40上に並んで配置されたソースS及びドレインDと、ソースSとドレインDとの間に位置してバリア層40上に配置された第1ゲートG1及び第2ゲートG2と、第1のゲートフィールドプレートGFP1及び第1のソースフィールドプレートSFP1とを含む。
【0197】
強調すべきことには、
図12に示すように、この例の半導体コンポーネントでは、第1ゲートG1が、第2ゲートG2とドレインDとの間に配置される。
【0198】
この例において、基板20、チャネル層30とバリア層40、ソースSとドレインD、第1ゲートG1と第2ゲートG2、第1のゲートフィールドプレートGFP1、第2のゲートフィールドプレートGFP2、及び第1のソースフィールドプレートSFP1の構造は、例2におけるものと同じである。詳細については、例2における関連する説明を参照されたい。詳細をここで再び説明することはしない。
【表7】
【0199】
表7に示されるように、第2ゲートG2に印加されるVgate2が2Vであり、第1のゲートフィールドプレートGFP1と第2のゲートフィールドプレートGFP2との間の間隔L2が0.5μmであるとき、シミュレーションを通じて分かることには、ドレインDに近い第1ゲートG1上に第1のソースフィールドプレートSFP1が配置され、ドレインDから離れた第2ゲートG2上に第2のソースフィールドプレートSFP2が配置されない場合、半導体コンポーネントの飽和電流及び小信号利得が大きい。半導体コンポーネントの飽和電流及び小信号利得が同じであるという前提で、
図10Bに示した半導体コンポーネントと比較すると、半導体コンポーネントの構造が単純であり、半導体コンポーネントのゲート-ソース寄生容量Cgsを低減させることができる。
【0200】
この出願の実施形態で提供される半導体コンポーネントの以上の説明から分かることには、半導体コンポーネントに対する実際の要件に従って、ゲートの数、ゲートフィールドプレートの数、ソースフィールドプレートの数、ソースフィールドプレートの構造、及びゲートフィールドプレート間の間隔を適切に設計することで、電力(飽和電流に関係する)、小信号利得(ゲート-ドレイン寄生容量Cgsに関係する)、及び効率(ニーポイント電圧に関係する)などを含む半導体コンポーネントの無線周波数特性が効果的にバランスさせることができる。
【0201】
この出願の実施形態で提供される半導体コンポーネントは、GaN HEMTコンポーネントにおいて使用され得るだけでなく、例えばGaAs(ガリウム砒素)HEMTなどの他のIII-V族半導体コンポーネントにおいても使用され得る。
【0202】
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。この出願に開示された技術的範囲内の如何なる変形又は置換もこの出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。
【国際調査報告】