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特表2024-542687新規のエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品
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  • 特表-新規のエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】新規のエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20241108BHJP
   A24B 15/167 20200101ALI20241108BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241108BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20241108BHJP
【FI】
A24D1/20
A24B15/167
A24F40/42
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532433
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2022084388
(87)【国際公開番号】W WO2023104704
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212564.5
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ギヨーム バスチアン
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BA29
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC11
4B043BC20
4B043BC22
4B045AA21
4B045AB08
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AB28
4B162AC16
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生物品(10)は、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子のエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体(12)を備える。エアロゾル発生懸濁液は、少なくとも20重量パーセントの植物粒子と、少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体が、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子のエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含み、前記エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも20重量パーセントの前記植物粒子および少なくとも30重量パーセントの前記一つ以上のエアロゾル形成体を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記植物粒子が、20ミクロン~200ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記液体溶媒と前記植物粒子との重量比が少なくとも1.5である、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記多孔性媒体が、セルロース系材料で形成された繊維シートから形成される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記多孔性媒体が、捲縮した綿シートを含む、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生懸濁液の前記液体溶媒が、少なくとも5重量パーセントの水をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記エアロゾル発生懸濁液中の前記植物粒子が、たばこ粒子を含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記エアロゾル発生懸濁液の前記液体溶媒が、アルカリ剤をさらに含む、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生懸濁液中の前記植物粒子が、非たばこ植物粒子を含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生懸濁液が、たばこ粒子を実質的に含まない、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生懸濁液が、ニコチンをさらに含む、請求項9または10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生懸濁液と前記多孔性媒体との重量比が、少なくとも3である、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
サセプタ要素をさらに備える、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
外側ラッパーによって囲まれた、前記エアロゾル発生基体から形成されたロッドを備える、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
請求項1に記載のエアロゾル発生物品のためのエアロゾル発生基体を製造する方法であって、前記方法が、
一つ以上のエアロゾル形成体を含み、水を含んでいてもよい液体溶媒を提供する工程と、
植物粒子から形成された植物粉末を提供する工程と、
前記植物粉末を前記液体溶媒と混合して、前記液体溶媒中の前記植物粒子のエアロゾル発生懸濁液を形成する工程と、
前記エアロゾル発生懸濁液を多孔性媒体上に堆積させて、前記エアロゾル発生基体を形成する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体、こうしたエアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品、およびこうしたエアロゾル発生基体を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン含有基体またはたばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷却されるにつれて凝縮して、エアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書では、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置が開示される。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまでしばしば、たばこ材料の無作為な向きにされた断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。代替として、たばこ材料のシートの集合体から形成された、加熱式エアロゾル発生物品用のロッドは、一例として、国際特許出願第WO-A-2012/164009号に開示されている。
【0005】
国際特許出願WO-A-2011/101164は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品のための代替的なロッドを開示していて、これは粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物の鋳造、圧延、カレンダ成形、または押出成形よって形成されて、均質化したたばこ材料シートを形成し得る。代替的な実施形態では、国際特許出願第WO-A-2011/101164号のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されて、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成し得る。
【0006】
また、非たばこ風味を消費者に提供するための、植物材料などの非たばこ植物で形成された均質化した植物材料を含むエアロゾル発生物品を提供することも知られている。非たばこ材料は、たばこ材料に加えて、またはたばこ材料の代替として提供されてもよい。しかしながら、特定の非たばこ植物材料では、エアロゾル発生物品用のロッドへと形成されるのに十分な構造的完全性を有する従来のキャスティングプロセスを使用して均質化した植物材料を形成することは技術的に困難であることが見出された。これにより、均質化した植物材料に組み込むことができる植物材料の選択が制限される可能性がある。
【0007】
均質化したたばこ材料は典型的に、エアロゾルの発生およびたばこからのニコチンの放出を最適化するために、使用中に比較的高い温度、例えば摂氏約350度で加熱される。この理由から、均質化したたばこ材料を含むエアロゾル発生物品は、内部的に加熱するために、均質化したたばこのロッドの中に挿入される内部発熱体を備えるエアロゾル発生装置において一般的に加熱される。
【0008】
ニコチンを含む基体の代替的な形態も開示されている。一例として、しばしばeリキッドと呼ばれる液体ニコチン組成物が提案されてきた。これらの液体組成物は、例えば、エアロゾル発生装置のコイル状の電気抵抗性のあるフィラメントによって加熱され得る。このタイプの基体は、望ましくない漏れを防止するために、液体組成物を保持する容器の製造に特有の注意を必要とする場合がある。この問題に対処し、製造プロセス全体を簡略化するために、加熱時にニコチン含有エアロゾルを発生するニコチンを含むゲル組成物を提供することも提案されている。一例として、国際特許出願第WO-A-2018/019543号は、熱可逆性ゲル組成物、すなわち、溶融温度に加熱したときに流体となり、ゲル化温度で再びゲルに固定されるゲルを開示する。ゲルは、カートリッジのハウジング内に提供され、カートリッジは、ゲルが消費された時に廃棄および交換されてもよい。
【0009】
こうしたゲル組成物は、エアロゾル発生基体のロッド内にゲルを保持することは困難であり、そのため物品の外へのゲルの漏れの問題があるため、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体のロッドを直接形成する際に使用するのに適していない場合がある。
【0010】
外部加熱手段または誘導加熱手段を組み込むエアロゾル発生装置によって提供される温度など、より低い温度でのエアロゾルおよびニコチンのより効果的な放出を提供することができる、エアロゾル発生物品用の新規のエアロゾル発生基体を提供することが望ましい。液体基体およびゲル基体で経験される漏れの問題を低減または好ましくは実質的に排除するこうしたエアロゾル発生基体が提供され得る場合、特に望ましい。物品構造および組立方法に著しい修正をすることなく、容易かつ効率的に製造され、既存のエアロゾル発生物品に組み込まれ得る、こうしたエアロゾル発生基体を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体に関し、エアロゾル発生基体は、不均一なエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含む。エアロゾル発生懸濁液は、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中に植物粒子を含んでもよい。エアロゾル発生懸濁液は、少なくとも20重量パーセントの植物粒子を含んでもよい。エアロゾル発生懸濁液は、少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。
【0012】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体であって、エアロゾル発生基体が、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子の不均一なエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含み、エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも20重量パーセントの植物粒子および少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、エアロゾル発生基体が提供される。
【0013】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生基体から形成されたロッドを備えるエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基体が、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子の不均一なエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含み、エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも20重量パーセントの植物粒子および少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、エアロゾル発生物品が提供される。
【0014】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生基体を生産する方法であって、方法が、一つ以上のエアロゾル形成体および随意に水を含む液体溶媒を提供する工程と、植物粒子から形成された植物粉末を提供する工程と、植物粉末を液体溶媒と混合して、液体溶媒中の植物粒子の不均一な懸濁液を形成する工程と、不均一な懸濁液を多孔性媒体上に堆積させて、エアロゾル発生懸濁液を形成する工程と、を含む、方法が提供される。
【0015】
本発明によると、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生基体が、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子のエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を備え、エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも20重量パーセントの植物粒子および少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、エアロゾル発生物品が提供される。
【0016】
本発明によるエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生基体の特徴に対する本明細書の言及は、別段の記載がない限り、本発明のすべての態様に適用されるものと想定される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体を含むエアロゾルの生産のための加熱されたエアロゾル発生物品を指す。こうした物品は、一般的に非燃焼加熱式製品と称される。
【0018】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を意味する。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(例えば、室温で通常は液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液体の液滴を含んでもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生懸濁液」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する懸濁液を指す。本発明のエアロゾル発生懸濁液は、液体溶媒中に懸濁された植物粒子の不均一な混合物である。植物粒子は液体溶媒中に溶解されないが、液体溶媒中に分布する。本発明の文脈において、エアロゾル発生懸濁液は、非コロイドとして定義される。特に、エアロゾル発生懸濁液はゲルではなく、ゲル化剤を含まない。本明細書で使用される場合、「ゲル化剤」という用語は、コロイドゲルの形成を通してエアロゾル発生懸濁液の粘度を増加させる増粘剤を指す。一般的なゲル化剤としては、ガム、ペクチン、寒天、およびゼラチンが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「多孔性媒体」という用語は、複数の細孔を有し、エアロゾル発生懸濁液をその細孔内に保持する能力を有する構造を提供する任意の適切な多孔性担体材料を指す。多孔性媒体は、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体のロッドの中へと組み込まれる能力を有していなければならない。多孔性媒体は、不活性であり、特に、感覚的に不活性であり、エアロゾル発生基体の加熱に伴い形成されるエアロゾルに寄与しない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「装填された」という用語は、多孔性媒体内のエアロゾル発生懸濁液の保持を説明するために使用される。言い換えれば、多孔性媒体は、エアロゾル発生懸濁液で「充填」され、エアロゾル発生基体内にそれを効果的に保持するか、または運ぶ。したがって、多孔性媒体は、エアロゾル発生基体内にエアロゾル発生懸濁液を収容および保持するための多孔性担体として作用する。上述のように、エアロゾル発生懸濁液は、多孔性媒体の多孔性構造内に分散され、その細孔内に効果的に保持され得る。
【0022】
上述のように、本発明は、多孔性媒体上に装填された不均一なエアロゾル発生懸濁液を有する新規のエアロゾル発生基体を提供する。エアロゾル発生懸濁液は、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中に懸濁される植物粒子の形態の植物材料を提供する。これは、植物材料とエアロゾル形成体をエアロゾル発生基体内で組み合わせる新しい方法を提供する。
【0023】
定義されるエアロゾル発生懸濁液の使用は、エアロゾル発生基体が比較的低い温度、例えば、摂氏約275度以下の温度で加熱された時に、エアロゾルの発生およびニコチンおよび他の活性物質の放出を最適化することが見出された。これは有利なことに、外部加熱手段を有するエアロゾル発生装置で加熱されることが意図されているエアロゾル発生物品でエアロゾル発生基体を使用することを可能にするが、これは外部でエアロゾル発生基体のロッドを加熱し、典型的にはエアロゾル発生基体を摂氏約230~270度の温度に加熱する。エアロゾル発生基体はまた、基体が典型的に比較的低い温度に加熱される誘導手段による加熱に好適であり得る。
【0024】
驚くべきことに、植物粒子およびエアロゾル形成体が、定義されるように、懸濁液の形態で提供される場合、キャストリーフなどのシート形態のエアロゾル発生基体と比較して、エアロゾル発生基体からの揮発性化合物をエアロゾル化するためにより低い温度が必要であることが見出された。より低い温度の使用は、特定の望ましくないエアロゾル化合物のレベルが典型的に低減されるため、特に有利である。全体として、エアロゾル中の望ましい化合物と望ましくない化合物との比を高めることができる。これにより、使用時に消費者に提供される全体的な体験を最適化する。
【0025】
本発明のエアロゾル発生懸濁液は、有利には、任意の植物材料で形成することができ、したがって、非常に汎用性の高い形態の基体を提供する。特に、エアロゾル発生懸濁液は、上述のように、均質化した植物材料に効果的に形成することができない植物性材料に有利に使用され得る。
【0026】
多孔性媒体上に支持されたエアロゾル発生懸濁液を有するエアロゾル発生基体の形態は、エアロゾル発生基体内の所定の位置にエアロゾル発生懸濁液を効果的に保持することが見出された。したがって、エアロゾル発生基体からのエアロゾル発生懸濁液の漏れは、最小限に抑えられるか、または実質的に防止される。エアロゾル発生物品内のエアロゾル発生懸濁液の移動も実質的に防止される。したがって、懸濁液の形態のエアロゾル発生基体の使用は、液体またはゲル基体の使用よりも大きな利益を提供する。
【0027】
本発明のエアロゾル発生基体は、ゲル化などの複雑な処理工程を必要としない比較的単純な生産方法で生産することができる。エアロゾル発生懸濁液は典型的に、下記に説明するように、多孔性媒体上に容易に堆積することができるように比較的粘性である。エアロゾル発生懸濁液の比較的高い粘度は、上述のように、多孔性媒体中のエアロゾル発生懸濁液の保持をさらに改善する。
【0028】
多孔性媒体と、その上に支持されたエアロゾル発生懸濁液との組み合わせは、エアロゾル発生基体のロッドの形態に容易に形成することができ、これは、他の構成要素と組み合わせて、既存のエアロゾル発生物品と類似の構造を有するエアロゾル発生物品を形成することができる。これは、本発明のエアロゾル発生基体を有利には、エアロゾル発生物品を組み立てるためのプロセスまたは装置を著しく修正する必要なく、エアロゾル発生物品に組み込むことができることを意味する。
【0029】
上記で定義されるように、本発明のエアロゾル発生基体は、多孔性媒体内に分散されたエアロゾル発生懸濁液の形態である。エアロゾル発生懸濁液は、液体溶媒中の植物粒子の懸濁液であり、液体溶媒は、以下でより詳細に論じるように、一つ以上のエアロゾル形成体、および随意に、水、アルカリ、およびニコチンのうちの一つ以上を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「植物粒子」は、任意の好適な植物材料由来であり、加熱時に一つ以上の揮発性風味化合物を生成することができる粒子を包含する。この用語は、エアロゾル発生基体の感覚出力に寄与しない、不活性セルロース粉末などの不活性植物材料から成る粒子を除外するものと考えられる。植物粒子が由来する植物に応じて、植物粒子は、粉砕または粉末の葉ラミナ、果物、葉柄、茎、根、種子、芽または樹皮、または植物の任意の他の好適な部分から生成され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「不活性」という用語は、エアロゾル発生懸濁液から発生するエアロゾルの風味または匂いに対する寄与が無視できるまたはゼロであるという点で、感覚的に不活性である材料を指す。
【0032】
本発明によると、エアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液の総重量(水を含む)に基づいて、少なくとも約20重量パーセントの植物粒子、より好ましくは、少なくとも約25重量パーセントの植物粒子、より好ましくは、少なくとも約30重量パーセントの植物粒子を含む。
【0033】
エアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液の総重量に基づいて、最大約50重量パーセントの植物粒子、より好ましくは、最大約45重量パーセントの植物粒子を含むことがより好ましい。
【0034】
例えば、エアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液の総重量に基づいて、約20重量パーセント~約50重量パーセントの植物粒子、または約25重量パーセント~約50重量パーセントの植物粒子、または約30重量パーセント~約50重量パーセントの植物粒子、または約20重量パーセント~約45重量パーセントの植物粒子、または約25重量パーセント~約45重量パーセントの植物粒子、または約30重量パーセント~約45重量パーセントの植物粒子を含んでもよい。
【0035】
この重量範囲内の植物粒子を提供することにより、エアロゾル発生懸濁液が多孔性媒体にうまく塗布され、保持されるのに十分に粘性であることを確実にする。さらに、望ましいレベルの活性化合物および風味化合物を有するエアロゾルを提供することができるように、十分な植物材料をエアロゾル発生基体内に提供することが可能になる。
【0036】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、少なくとも約8重量パーセントの植物粒子を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、少なくとも約15重量パーセントの植物粒子を含むことがより好ましく、少なくとも約20重量パーセントの植物粒子を含むことが最も好ましい。
【0037】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約40重量パーセントの植物粒子を含むことが好ましく、最大約35重量パーセントの植物粒子を含むことがより好ましく、最大約30重量パーセントの植物粒子を含むことがより好ましい。
【0038】
例えば、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の総重量に基づいて、約8重量パーセント~約40重量パーセントの植物粒子、または約15重量パーセント~約35重量パーセントの植物粒子、または約20重量パーセント~約30重量パーセントの植物粒子を含み得る。
【0039】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約25ミリグラムの植物粒子を含むことが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約40ミリグラムの植物粒子を含むことがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約60ミリグラムの植物粒子を含むことがより好ましい。
【0040】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約125ミリグラムの植物粒子を含むことが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約100ミリグラムの植物粒子を含むことがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約80ミリグラムの植物粒子を含むことがより好ましい。
【0041】
エアロゾル発生懸濁液中の植物粒子は、単一の植物タイプに由来してもよく、または二つ以上の植物タイプ由来の植物粒子の組み合わせであってもよい。エアロゾル発生懸濁液は、たばこ粒子を含むことが好ましい。たばこ粒子の代わりに、またはそれに加えて、エアロゾル発生懸濁液は非たばこ粒子を含んでもよい。本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生懸濁液は、たばこ粒子を実質的に含まない。
【0042】
本発明のすべての実施形態に関して「たばこ粒子」という用語は、Nicotiana種の任意の植物部材の粒子を説明する。「たばこ粒子」という用語は、たばこの処理、取り扱い、および発送中に形成された粉砕または粉末たばこ葉ラミナ、粉砕または粉末たばこ葉茎、たばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物を包含する。好ましい実施形態では、たばこ粒子は実質的にすべてがたばこ葉ラミナに由来する。対照的に、単離ニコチンおよびニコチン塩は、たばこに由来する化合物であるが、本発明の目的上、たばこ粒子とは見なされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0043】
たばこ粒子は、一つ以上のたばこ植物の品種から調製され得る。任意のタイプのたばこが、ブレンドに使用され得る。使用され得るタイプのたばこの例には、日光乾燥たばこ、火力乾燥たばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント種たばこ、バージニア種たばこ、およびその他の特殊たばこが含まれるが、これに限定されない。本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生懸濁液は、Nicotiana rusticaたばこ品種に由来するたばこ粒子を含み、これは他のたばこ品種と比較して比較的高いニコチン含有量を提供することが知られている。
【0044】
火力乾燥は、バージニア種たばこで特に使用されるたばこの乾燥方法である。火力乾燥プロセス中、加熱された空気が密集したたばこを通して循環する。第一の段階中に、たばこ葉が黄色くなって枯れる。第二の段階中に、葉のラミナが完全に乾燥する。第三の段階中に、葉の茎が完全に乾燥する。
【0045】
バーレー種たばこは、多くのたばこブレンドにおいて重要な役割を果たしている。バーレー種たばこは独特の風味と芳香を有し、大量のケーシングを吸収する能力を有する。
【0046】
オリエント種は、小さな葉を有し、高い芳香品質を有するたばこの一種である。ただし、オリエント種たばこは、例えばバーレー種よりもマイルドな風味を有する。したがって、概して、オリエント種たばこは、たばこブレンドにおいて比較的少ない割合で使用される。
【0047】
カストリ(Kasturi)、マドゥラ(Madura)、ジャティム(Jatim)は、使用可能な日光乾燥たばこのサブタイプである。カストリたばこおよび火力乾燥たばこがブレンドに使用されてたばこ粒子を生成することが好ましい。したがって、粒子状植物材料中のたばこ粒子は、カストリたばこと火力乾燥たばこのブレンドを含み得る。
【0048】
たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて少なくとも約2.5重量パーセントのニコチン含有量を有し得る。たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて、より好ましくは、少なくとも約3重量パーセント、さらにより好ましくは、少なくとも約3.2重量パーセント、さらにより好ましくは、少なくとも約3.5重量パーセント、最も好ましくは、少なくとも約4重量パーセントのニコチン含有量を有し得る。エアロゾル発生基体がたばこ粒子を非たばこ粒子と組み合わせて含む場合、高いニコチン含有量を有するたばこは、非たばこ粒子を有さない典型的なエアロゾル発生基体に対して類似のレベルのニコチンを維持することが好ましいが、これは、そうでなければニコチンの総量がたばこ粒子を非たばこ粒子と置換することに起因して低減されるためである。
【0049】
非たばこ粒子は、結果として生じるエアロゾルの所望の風味に応じて、一つ以上の非たばこ植物に由来し得る。非たばこ植物粒子は、ミント葉粒子、ローズマリー粒子、ショウガ粒子、スターアニス粒子、クローブ粒子、ユーカリ粒子、オレガノ粒子、タイム粒子、ディルシード粒子、カモミール粒子、クミンシード粒子、茶粒子、大麻粒子、またはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0050】
エアロゾル発生懸濁液中に非たばこ粒子とたばこ粒子の組み合わせが提供される本発明の実施形態では、エアロゾル発生懸濁液中の非たばこ植物粒子とたばこ粒子の重量比は、エアロゾルの所望の風味特性および組成に応じて変化し得る。例えば、非たばこ植物粒子とたばこ粒子の重量比は、約1:60~60:1、または約1:10~約10:1、または約1:5~5:1であってもよい。本発明の好ましい実施形態では、非たばこ粒子とたばこ粒子の重量比は、約1:4以下、より好ましくは約1:5以下、より好ましくは約1:6以下である。
【0051】
例えば、特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生懸濁液中の非たばこ粒子のたばこ粒子に対する重量比は、1:4である。1:4の比は、約20重量パーセントの非たばこ粒子および約80重量パーセントのたばこ粒子から成る植物粒子に相当する。
【0052】
植物粒子は、所望の粒径分布を有する粒子から意図的に粉砕された粉末植物材料の形態で提供されることが好ましい。例えば、植物粒子の平均粒径は、約20ミクロン~約200ミクロンが好ましく、約50ミクロン~約150ミクロンがより好ましく、約50ミクロン~約100ミクロンがより好ましい。
【0053】
本発明の特定の実施形態では、エアロゾル発生懸濁液は、不活性増粘剤をさらに含み得る。不活性増粘剤は随意に、エアロゾル発生懸濁液の粘度をさらに増加させる必要がある場合、植物粒子に加えて添加されてもよい。存在する場合、増粘剤の不活性粒子は、植物粒子とともに液体溶媒中に懸濁される。上記で定義されるように、不活性粒子は、エアロゾル発生懸濁液から発生するエアロゾルの風味または匂いに対する寄与が無視できるほどであるかまたはゼロになる。適切な増粘剤は、当業者に既知であり、例えば、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、天然ガム、およびそれらの組み合わせを含む。増粘剤はゲル化剤ではなく、ゲルの形成なしにエアロゾル発生懸濁液の粘度を増加させる能力を有することが好ましい。
【0054】
上述のように、植物粒子は、好ましくは水性液体溶媒である液体溶媒中に懸濁される。液体溶媒は一つ以上のエアロゾル形成体を含む。揮発に伴い、エアロゾル形成体は、エアロゾル中のニコチン及び風味剤などの、加熱時にエアロゾル発生基体から放出される他の気化した化合物を搬送することができる。エアロゾル発生基体からの特定の化合物のエアロゾル化は、その沸点によってのみ決定されるものではない。エアロゾル化される化合物の量は、基体の物理的形態によって、ならびに基体中にも存在する他の成分によって影響を受け得る。エアロゾル化の温度および時間枠下の化合物の安定性はまた、エアロゾル中に存在する化合物の量にも影響を与える。
【0055】
液体溶媒に含めるのに適切なエアロゾル形成体は当技術分野で既知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセロールなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。液体溶媒は、単一のエアロゾル形成体、または二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含み得る。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、エアロゾル発生懸濁液は、グリセロールを含む液体溶媒を単独で、またはプロピレングリコールと組み合わせて含む。
【0057】
上記で定義されるように、本発明によるエアロゾル発生基体のエアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液(存在する場合、水を含む)の総重量に基づいて、少なくとも約30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む。エアロゾル発生懸濁液は、好ましくは、少なくとも約35重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、少なくとも約40重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、少なくとも約45重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、少なくとも約50重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む。
【0058】
エアロゾル発生懸濁液は、好ましくは、最大約90重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、最大約85重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、より好ましくは、最大約80重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、最大約75重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、より好ましくは、最大約70重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む。
【0059】
例えば、エアロゾル発生懸濁液は、約30重量パーセント~約90重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約35重量パーセント~約85重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約40重量パーセント~約80重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約45重量パーセント~約75重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約50重量パーセント~約70重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含み得る。
【0060】
エアロゾル発生懸濁液中のエアロゾル形成体のレベル、および植物粒子のエアロゾル形成体に対する比は、エアロゾル発生懸濁液に所望の粘度を提供するために調整され得る。
【0061】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、少なくとも約25重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、少なくとも約30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、少なくとも約40重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことが最も好ましい。
【0062】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約75重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことが好ましく、最大約70重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、最大約60重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。
【0063】
例えば、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の総重量に基づいて、約25重量パーセント~約75重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約30重量パーセント~約70重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体、または約40重量パーセント~約60重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含み得る。
【0064】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約75ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約100ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり少なくとも約125ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。
【0065】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約225ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約200ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約175ミリグラムの一つ以上のエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。
【0066】
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒は、水をさらに含むことが好ましい。液体溶媒中に水を含めることは、存在する場合、エアロゾル形成体およびニコチンの気化を強化する熱伝達剤として作用するため、有利であることが分かっている。例えば、エアロゾル発生基体がサセプタ要素を備える場合、以下に記載されるように、エアロゾル発生懸濁液中の水の存在は、使用中にサセプタ要素から発生した熱を放散するのにさらに役立ち得る。この効果はまた、他の加熱手段で有用であり得る。液体溶媒中の水の加熱に伴い、液体溶媒は気化し、結果として生じる水蒸気は、熱源から離れている可能性のあるエアロゾル発生基体の部分に移動する。エアロゾル発生基体のこれらの他の部分を凝縮することによって、熱が放出され、これはエアロゾル発生基体からのグリセロールおよびニコチン(存在する場合)の気化を強化すると考えられる。
【0067】
液体溶媒中に水を含めることは、エアロゾル発生基体内の熱伝達の改善に起因して、本発明によるエアロゾル発生基体の加熱に伴い発生したエアロゾル中に送達されるニコチンの量の著しい増加を提供することが見出されているため、たばこ材料、またはニコチン、またはこれらの組み合わせを含むエアロゾル発生懸濁液に特に有利である。一部の事例では、水を含めることは、本発明によるたばこ含有エアロゾル発生基体から吸煙当たりに送達されるニコチンの量を、水を含まない同様の基体と比較して50パーセント~100パーセント増加させることが見出されている。
【0068】
エアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液の総重量に基づいて、少なくとも約5重量パーセントの水を含むことが好ましく、少なくとも約7.5重量パーセントの水を含むことがより好ましく、少なくとも約10重量パーセントの水を含むことがより好ましい。
【0069】
エアロゾル発生懸濁液は、最大約30重量パーセントの水を含むことが好ましく、最大約25重量パーセントの水を含むことがより好ましく、最大約20重量パーセントの水を含むことがより好ましい。
【0070】
例えば、エアロゾル発生懸濁液は、約5重量パーセント~30重量パーセントの水、または約7.5重量パーセント~25重量パーセントの水、または約10重量パーセント~20重量パーセントの水を含んでもよい。
【0071】
本発明によるエアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約25重量パーセントの水を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約15重量パーセントの水を含むことがより好ましく、最大約10重量パーセントの水を含むことがより好ましい。
【0072】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約75ミリグラムの水を含有することが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約60ミリグラムの水を含有することがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約40ミリグラムの水を含有することがより好ましい。
【0073】
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒中に水を含める代わりに、またはこれに加えて、液体溶媒はアルカリ剤をさらに含んでもよい。アルカリ剤の含有は、たばこ材料、またはニコチン、またはそれらの組み合わせを含有する実施形態に特に有益である。液体溶媒中のアルカリ剤の存在は、本発明のエアロゾル発生基体から発生するエアロゾル中に送達されるニコチンの量の著しい増加を提供することが見出された。一部の事例では、アルカリ剤の含有は、アルカリ剤を含まない同様の基体と比較して、本発明によるたばこ含有エアロゾル発生基体から吸煙当たりに送達されるニコチンの量を50パーセント~100パーセント増加させることが見出されている。
【0074】
理論に束縛されることを望むものではないが、液体溶媒中にアルカリ剤を添加すると高いpHが得られ、ニコチンの遊離形態への脱プロトン化をもたらし、これにより気相中での放出がより容易になると考えられる。したがって、たばこ粒子がアルカリ化される場合、ニコチンの放出はより低い温度で発生し得る。
【0075】
アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、または水酸化カルシウムなどの水酸化物を含むがこれらに限定されない、任意の適切なアルカリ化合物の形態であってもよい。好ましい実施形態では、アルカリ剤は水酸化ナトリウムである。
【0076】
好ましくは、アルカリ剤を含むエアロゾル発生懸濁液は、少なくとも約6、より好ましくは少なくとも約6.5、より好ましくは少なくとも約7のpHを有する。
【0077】
アルカリ剤を含むエアロゾル発生懸濁液は、最大約9、より好ましくは最大約8.5、より好ましくは最大約8のpHを有することが好ましい。例えば、エアロゾル発生懸濁液は、約6~約9、または約6.5~約8.5、または約7~約8のpHを有してもよい。
【0078】
エアロゾル発生懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液(存在する場合、水を含む)の総重量に基づいて、少なくとも約0.1重量パーセントのアルカリ剤を含むことが好ましく、少なくとも約0.25重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましく、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましい。
【0079】
エアロゾル発生懸濁液は、最大約5重量パーセントのアルカリ剤を含むことが好ましく、最大約4重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましく、最大約2.5重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましい。
【0080】
例えば、エアロゾル発生懸濁液は、約0.1重量パーセント~5重量パーセントのアルカリ剤、または約0.25重量パーセント~4重量パーセントのアルカリ剤、または約0.5重量パーセント~2.5重量パーセントのアルカリ剤を含んでもよい。
【0081】
本発明によるエアロゾル発生基体は、エアロゾル発生懸濁液および多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約4重量パーセントのアルカリ剤を含むことが好ましい。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の総重量に基づいて、最大約2.5重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましく、最大約1重量パーセントのアルカリ剤を含むことがより好ましい。
【0082】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約12.5ミリグラムのアルカリ剤を含有することが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約7.5ミリグラムのアルカリ剤を含有することがより好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり最大約2.5ミリグラムのアルカリ剤を含有することがより好ましい。
【0083】
別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒は、ニコチンをさらに含んでもよい。ニコチンは液体ニコチンの形態であることが好ましく、これは一つ以上のエアロゾル形成体、ならびに随意の水と組み合わせて容易に提供され得る。
【0084】
別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体の液体溶媒は一つ以上の酸をさらに含んでもよい。液体溶媒は、一つ以上の有機酸を含むことが好ましい。液体溶媒は、一つ以上のカルボン酸を含むことがさらにより好ましい。
【0085】
本発明によるエアロゾル発生基体の使用に好適なカルボン酸には、以下が含まれるが、これらに限定されない。2-エチル酪酸、酢酸、アジピン酸、安息香酸、酪酸、桂皮酸、シクロヘプタン-カルボン酸、フマル酸、グリコール酸、ヘキサン酸、乳酸、レブリン酸、リンゴ酸、ミリスチン酸、オクタン酸、シュウ酸、プロパン酸、ピルビン酸、コハク酸、およびウンデカン酸。
【0086】
特に好ましい実施形態では、酸は、乳酸、レブリン酸、安息香酸、レブリン酸、フマル酸、または酢酸である。酸は、乳酸であることが最も好ましい。
【0087】
酸を含めることは有利なことに、エアロゾル発生懸濁液中の溶解種、特にニコチンを安定化することが見出されている。理論に拘束されることを意図するものではないが、酸はニコチン分子と相互作用し、その結果、プロトン化ニコチンが安定化され得ることが理解される。プロトン化ニコチンは不揮発性であるため、エアロゾル発生要素を加熱することによって得られるエアロゾルの蒸気相ではなく、液体相または粒子相でより容易に見られる。そのため、エアロゾル発生要素の製造中のニコチンの損失を最小化することができ、有利なことに、消費者へのより高い、より良好に制御されたニコチン送達を確実にすることができる。
【0088】
液体溶媒中の結果として生じる植物粒子の懸濁液は、エアロゾル発生懸濁液がペースト様の質感であるように、比較的高い粘度を有することが好ましい。エアロゾル発生懸濁液は、ペーストの形態であることが好ましい。これは、多孔性媒体上へのエアロゾル発生懸濁液の塗布を容易にし、また貯蔵および使用中のエアロゾル発生基体内のエアロゾル発生懸濁液の保持を最適化する。比較的高い粘度を提供することは、有利なことに、液体溶媒中の植物粒子の沈殿を防止する。上記で定義されるように、粘度は、エアロゾル形成体を含む液体溶媒と固体粒子(植物粒子および任意の随意の増粘剤を含む)の重量比によって主に定義され、固体粒子の割合が高いほど、より粘度の高い懸濁液が提供される。エアロゾル発生懸濁液は、ゲル化剤を実質的に含まないことが好ましいため、粘度に影響を与え得る懸濁液のゲル化は存在しない。
【0089】
好ましくは、エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と植物粒子の重量比は、少なくとも約1、より好ましくは、少なくとも約1.5、より好ましくは、少なくとも約2である。
【0090】
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と植物粒子の重量比は、最大約4であることが好ましく、最大約4.5であることがより好ましく、最大約5であることがより好ましい。例えば、液体溶媒と植物粒子の重量比は、約1~約5、または約1.5~約4.5、または約2~約4であってもよい。
【0091】
好ましくは、エアロゾル発生懸濁液中の植物粒子と液体溶媒の重量比は、少なくとも約0.2、より好ましくは、少なくとも約0.25、より好ましくは、少なくとも約0.3である。
【0092】
エアロゾル発生懸濁液中の植物粒子と液体溶媒の重量比は、最大約1であることが好ましく、最大約0.8であることがより好ましく、最大約0.75であることがより好ましい。例えば、植物粒子と液体溶媒の重量比は、約0.2~約1、または約0.25~約0.8、または約0.3~約0.75であってもよい。
【0093】
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と総固体の重量比は、少なくとも約1であることが好ましく、少なくとも約1.5であることがより好ましく、少なくとも約1.75であることがより好ましい。総固体は、植物粒子および増粘剤などの固体形態のなんらかの任意の成分を含む。
【0094】
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と総固体の重量比は、最大約5であることが好ましく、最大約4であることがより好ましく、最大約3であることがより好ましい。例えば、液体溶媒と総固体の重量比は、約1~約5、または約1.5~約4、または約1.75~約3であってもよい。
【0095】
エアロゾル発生懸濁液中の総固体と液体溶媒の重量比は、少なくとも約0.2であることが好ましく、少なくとも約0.25であることがより好ましく、少なくとも約0.3であることがより好ましく、少なくとも約0.4であることがより好ましい。
【0096】
エアロゾル発生懸濁液中の総固体と液体溶媒の重量比は、最大約1であることが好ましく、最大約0.8であることがより好ましく、最大約0.75であることがより好ましく、最大約0.6であることがより好ましい。例えば、植物粒子と液体溶媒の重量比は、約0.2~約1、または約0.25~約0.8、または約0.3~約0.75、または約0.4~約0.6であってもよい。
【0097】
液体溶媒との植物粒子または総固体のこのバランスを提供することにより、上述の利益を提供するために、エアロゾル発生懸濁液が十分に粘性であることを確実にする。
【0098】
上述のように、本発明のエアロゾル発生基体において、エアロゾル発生懸濁液は多孔性媒体上に装填される。多孔性媒体は、エアロゾル発生基体内にエアロゾル発生懸濁液を支持および保持するための不活性担体要素として作用する。多孔性媒体は、複数の細孔を画定する多孔性構造を有する。エアロゾル発生懸濁液は、多孔性媒体の多孔性構造内に分散され、その結果、複数の細孔内に保持され得る。多孔性媒体は、この目的に適し、かつエアロゾル発生基体が以下に記述されるようにエアロゾル発生物品に組み込まれ得るように、円筒状ロッドへと形成され得る任意の適切な形態を取ってもよい。
【0099】
多孔性媒体は、繊維質材料で形成されることが好ましい。例えば、本発明の好ましい実施形態では、多孔性媒体は繊維シートの形態である。多孔性媒体は、繊維質セルロース系材料で形成されたセルロース系シートの形態であることが好ましい。適切なセルロース系材料には、綿、ビスコース、麻、竹、ココナッツ、ケナフ、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。別の方法として、多孔性媒体は、シリコーンまたは炭素繊維などの非セルロース性材料で形成された非セルロース性シートの形態であってもよい。
【0100】
多孔性媒体は、一つ以上の捲縮したシートの形態であることが好ましい。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、通常基体または物品の長軸方向軸に整列されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。多孔性媒体は、一つ以上の捲縮した綿シートを含むことが特に好ましい。
【0101】
多孔性媒体を形成する一つ以上のシートは、随意に集合してプラグを形成してもよい。本明細書で使用される場合、「集合した」という用語は、多孔性媒体を形成するシートが、プラグまたはロッドの円筒軸に対して実質的に横断方向に渦巻き状にされる、折り畳まれる、または別の方法で圧縮または収縮されていることを意味する。シートを「集合する」工程は、シートの必要な横断方向の圧縮を提供する任意の適切な手段によって実行されてもよい。
【0102】
別の方法として、多孔性媒体の他の形態は、本発明のエアロゾル発生基体で使用されてもよい。例えば、多孔性媒体は、繊維質材料の多孔性プラグ、または繊維質材料の中空の管状要素の形態を取ってもよい。
【0103】
多孔性媒体は、多孔性媒体およびエアロゾル発生懸濁液を含むエアロゾル発生基体の総重量に基づいて、エアロゾル発生基体の約10重量パーセント~約30重量パーセント、またはエアロゾル発生基体の約15重量パーセント~約25重量パーセントを占めることが好ましい。
【0104】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド当たり約40ミリグラム~約80ミリグラムの多孔性媒体を含むことが好ましく、エアロゾル発生基体のロッド当たり約50ミリグラム~約70ミリグラムの多孔性媒体を含むことがより好ましい。
【0105】
多孔性媒体の質量および体積は、エアロゾル発生基体に組み込まれるエアロゾル発生懸濁液の十分な保持を提供するように選択されるべきである。多孔性媒体によって保持され得るエアロゾル発生懸濁液の量は、多孔性媒体の性質、特に多孔性媒体の空隙率にある程度依存する。
【0106】
典型的には、エアロゾル発生基体から発生され得るエアロゾルのレベルを最適化するために、エアロゾル発生懸濁液と多孔性媒体の重量比を最大化することが望ましい。エアロゾル発生基体内のエアロゾル発生懸濁液と多孔性媒体の重量比は、少なくとも約3であることが好ましく、少なくとも約4であることがより好ましい。エアロゾル発生基体内のエアロゾル発生懸濁液との多孔性媒体の重量比は、約8以下であることが好ましい。比は、使用前にエアロゾル発生懸濁液が著しく漏れることなく、エアロゾル発生懸濁液を多孔性媒体内に保持することができるように適合されるべきである。
【0107】
エアロゾル発生懸濁液は、任意の適切な手段を使用して多孔性媒体に塗布されてもよい。上述のように、エアロゾル発生懸濁液は、典型的には、比較的高い粘度を有し、多孔性媒体の一つ以上の表面上に広がり得る、厚いペーストの形態である。エアロゾル発生懸濁液は、少なくともある程度多孔性媒体に含浸され得る。
【0108】
多孔性媒体にエアロゾル発生懸濁液が装填されると、組み合わせはロッド形状に形成され、その長さの少なくとも一部に沿って一つ以上のラッパーによって囲まれることが好ましい。一つ以上のラッパーは、紙ラッパーもしくは非紙ラッパー、またはその両方を含み得る。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙ラッパーは当業界で公知であり、紙巻たばこペーパーおよびフィルタープラグラップを含むが、これに限定されない。
【0109】
特定の実施形態では、結果として生じるエアロゾル発生基体は、一つ以上のサセプタ要素を含む。例えば、一つ以上のサセプタ要素は、以下に記載されるように、誘導によって加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体に含まれてもよい。
【0110】
一つ以上のサセプタ要素は、エアロゾル発生基体上に堆積され得る、またはエアロゾル発生基体内に埋め込まれ得る複数のサセプタ粒子であってもよい。エアロゾル発生基体の多孔性媒体が一つ以上のシートの形態である場合、複数のサセプタ粒子は、一つ以上のシート上に堆積されるか、またはその中に埋め込まれてもよい。サセプタ粒子は、例えば、シート形態で基体によって固定され、初期位置にとどまる。サセプタ粒子は、エアロゾル発生基体の多孔性媒体に均一に分布し得ることが好ましい。サセプタが微粒であるという性質から、熱は多孔性媒体内の粒子の分布に従い発生する。別の方法として、一つ以上のシート、細片、断片、またはロッドの形態のサセプタはまた、多孔性媒体の隣に配置したり、多孔性媒体に埋め込んで使用したりすることもできる。一実施形態において、エアロゾル形成基体は、一つ以上のサセプタ細片を含む。例えば、エアロゾル発生基体のロッドは、その基体を通して長軸方向に延びる細長いサセプタ要素を含み得る。別の実施形態において、サセプタは、エアロゾル発生装置内に存在する。
【0111】
サセプタは、0.05ジュール/キログラムよりも大きい、好ましくは0.1ジュール/キログラムよりも大きい熱損失を有し得る。熱損失は熱を周囲の材料に移動させるサセプタの容量である。サセプタ粒子はエアロゾル発生基体内に均一に分布することが好ましいため、サセプタ粒子からの均一な熱損失が達成され、したがって、エアロゾル発生基体内に均一な熱分布が発生し、エアロゾル発生物品内に均一な温度分布がもたらされ得る。サセプタ粒子中の0.05ジュール/キログラムの特定の最小熱損失は、エアロゾル発生基体を実質的に均一な温度に加熱することを可能にして、エアロゾル発生を提供することが見出された。こうした実施形態において、エアロゾル発生基体内で達する平均温度は、摂氏約200度~摂氏約280度であることが好ましい。
【0112】
エアロゾル発生基体の過熱のリスクの低減は、キュリー温度を有するサセプタ材料の使用によって支持される場合があり、これはヒステリシス損失に起因する加熱プロセスが、ある特定の最高温度までにしか達しないことを可能にする。サセプタは、摂氏約200度~摂氏約450度、好ましくは摂氏約240度~摂氏約400度、例えば摂氏約280度のキュリー温度を有し得る。サセプタ材料がそのキュリー温度に達した時、磁性が変化する。サセプタ材料はキュリー温度で、強磁性の相から常磁性の相に変化する。この時点で、強磁性領域の向きに起因するエネルギー損失に基づく加熱は停止する。その後、さらなる加熱は、サセプタ材料のキュリー温度に達すると加熱プロセスが自動的に低減されるように、主に渦電流の形成に基づく。サセプタ材料およびそのキュリー温度は、最適なエアロゾル発生のためにエアロゾル発生基体内での最適な温度および温度分布を達成するために、エアロゾル発生基体の組成に適合されることが好ましい。
【0113】
本発明による一部の好ましい実施形態において、サセプタはフェライトで作製される。フェライトは高い透磁率を有する強磁性体であり、またサセプタ材料として特に適切である。フェライトの主な成分は鉄である。その他の金属成分(例えば、亜鉛、ニッケル、マンガン)または非金属成分(例えば、ケイ素)は様々な量で存在してもよい。フェライトは比較的安価な市販の材料である。フェライトは、本発明による均質化したローズマリー材料を形成する粒子状植物材料で使用される粒子のサイズ範囲内の粒子形態で入手可能である。粒子は、例えば、PPT(米国インディアナ州)によるFP160、FP215、FP350などの完全焼結フェライト粉末であることが好ましい。
【0114】
エアロゾル発生基体は、約5ミリメートル~約20ミリメートル、より好ましくは約8ミリメートル~約15ミリメートル、より好ましくは約10ミリメートル~約12ミリメートルの長さを有することが好ましい。
【0115】
エアロゾル発生基体は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有することが好ましく、約5ミリメートル~約10ミリメートルの外径を有することがより好ましく、約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有することがより好ましい。典型的に、エアロゾル発生基体は、およそ7.2ミリメートルの外径を有する。
【0116】
上記で定義したように、本発明は、上記で詳細に説明したように、本発明によるエアロゾル発生基体を生産するための方法をさらに提供する。
【0117】
本発明による方法の第一の工程では、液体溶媒が調製される。上述のように、液体溶媒は、好ましくは水と組み合わせられて水溶液を形成する一つ以上のエアロゾル形成体を含む。一つ以上のエアロゾル形成体および水は、均質な溶液を形成するために混合されることが好ましい。アルカリ剤が液体溶媒中に含まれる場合、これは、一つ以上のエアロゾル形成体の添加前に水と組み合わされることが好ましい。
【0118】
第二の工程では、植物粒子から形成された植物粉末が提供される。粉末は、粉砕または粉砕を使用して選択された植物材料から形成され、植物粒子の所望の粒径を得る。エアロゾル発生懸濁液に二つ以上の異なる植物材料が使用される場合、これらの植物材料は粉砕前、または粉砕後に組み合わせられてもよい。
【0119】
第三の工程において、植物粒子は液体溶媒に加えて混合し、されて、ペースト様の粘稠度を有するエアロゾル発生懸濁液を形成する。エアロゾル発生懸濁液は、植物粒子が液体溶媒を通して実質的に均等に分布するまで混合される。
【0120】
第四の工程では、エアロゾル発生懸濁液が多孔性媒体上に堆積されて、エアロゾル発生基体を形成する。例えば、エアロゾル発生懸濁液は、多孔性媒体上に押し出されてもよい。
【0121】
エアロゾル発生懸濁液がその上に装填された多孔性媒体はその後、ロッドへと形成されてもよく、ロッドは適切な手段を使用して外側ラッパーで囲まれてもよい。
【0122】
エアロゾル発生懸濁液は、ゲル化剤を実質的に含まないことが好ましい。エアロゾル発生基体に関連して上記で定義されるように、本発明の方法で形成されたエアロゾル発生懸濁液は、非コロイドとして定義される。
【0123】
本発明による方法は、ゲル化工程を含まないことが好ましい。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明による方法は、乾燥工程を含まなくてもよい。
【0125】
本発明によるエアロゾル発生物品は、外側ラッパーによって囲まれた、上記で詳述したようなエアロゾル発生基体のロッドを含む。エアロゾル発生基体のロッドは、一つ以上の追加的な構成要素と組み合わされることが好ましい。
【0126】
本発明によるエアロゾル発生物品は随意に、エアロゾル発生基体のすぐ下流に少なくとも一つの中空管を含む、支持要素を含み得る。管の一つの機能は、エアロゾル発生基体を、発熱体と接触できるように、エアロゾル発生物品の遠位端に向けて位置付けることである。管は、発熱体がエアロゾル発生基体の中へと挿入された時に、エアロゾル発生基体が他の下流要素に向かってエアロゾル発生物品に沿って強制されるのを防止するように作用する。また、管は、下流要素をエアロゾル発生基体から分離するためのスペーサー要素としても作用する。管は、セルロースアセテート、ポリマー、厚紙、または紙などの任意の材料で作製することができる。
【0127】
代替的にまたはさらに、本発明によるエアロゾル発生物品は、随意に、エアロゾル発生基体の下流かつ支持要素を形成する中空管のすぐ下流に、エアロゾル冷却要素を備える。使用時に、エアロゾル発生基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素を通過し、かつエアロゾル冷却要素によって冷却される。低温は、ベイパーがエアロゾルに凝縮されることを可能にする。エアロゾル冷却要素は、エアロゾル発生基体のすぐ下流にある支持要素と類似し得る、中空のセルロースアセテートチューブまたはボール紙管などの中空管であってもよい。エアロゾル冷却要素は、外径は等しいが、内径が支持要素を形成する中空管より小さい、または大きい中空管であってもよい。一実施形態では、紙の中に巻かれたエアロゾル冷却要素は、金属箔、箔でラミネートされた紙、好ましくは合成ポリマーで作製された高分子シート、および実質的に非多孔性の紙または厚紙などの、任意の適切な材料で作製された一つ以上の長軸方向チャネルを含む。一部の実施形態では、紙で巻かれたエアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテート(CA)、高分子シートでラミネートされた紙、およびアルミ箔から成る群から選択される材料で作製された一つ以上のシートを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、およびセルロースアセテート(CA)から成る群から選択される材料の織られたフィラメント、または不織フィラメントで作製されてもよい。好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、フィルターペーパーの中に巻かれたポリ乳酸の捲縮したシートの集合体である。別の好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、長軸方向チャネルを含み、紙で巻かれたポリ乳酸フィラメントなどの合成ポリマーの織られたフィラメントで作製される。
【0128】
一つ以上の追加の中空管は、エアロゾル冷却要素の下流に提供されてもよい。
【0129】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体、および存在する場合、支持要素およびエアロゾル冷却要素の下流にフィルターまたはマウスピースをさらに含んでもよい。フィルターまたはマウスピースは、一つ以上のフィルター要素を備えてもよい。フィルターは、粒子状成分、ガス状成分、またはそれらの組み合わせを除去するための一つ以上の濾過材料を含み得る。好適な濾過材料が当業界で公知であり、例えば、セルロースアセテートトウおよび紙などの繊維質の濾過材料、例えば、活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるい、およびシリカゲルなどの吸着剤、例えば、ポリ乳酸(PLA)、マタビー(登録商標)、疎水性ビスコース繊維、およびバイオプラスチックを含む生分解性高分子、ならびにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。フィルターはエアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。フィルターは、約5mm~約15mm、または約5mm~約10mmの長さを有してもよい。
【0130】
本発明によるエアロゾル発生物品は、物品の下流端において口側端空洞を含んでもよい。口側端空洞は、フィルターまたはマウスピースから下流に延びる一つ以上のラッパーによって画定されてもよい。別の方法として、口側端空洞は、エアロゾル発生物品の下流端に提供される別個の管状要素によって画定されてもよい。
【0131】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品に沿った場所に提供される通気ゾーンをさらに含むことが好ましい。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体の下流に提供される中空管に沿った場所に提供されてもよい。
【0132】
本発明によるエアロゾル発生物品は、随意に、エアロゾル発生基体の上流端に上流要素をさらに含み得る。上流要素は、酢酸セルロースなどの繊維性濾過材料のプラグなどの多孔性プラグ要素であってもよい。別の方法として、上流要素は中空の管状要素の形態であってもよい。
【0133】
本発明の好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体、エアロゾル発生基体の下流の少なくとも一つの中空管、および少なくとも一つの中空管の下流のフィルターを含む。随意に、エアロゾル発生物品は、フィルターの下流端に口側端空洞をさらに含む。通気ゾーンは、少なくとも一つの中空管に沿った場所に提供されることが好ましい。
【0134】
この配設を有する特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体、エアロゾル発生基体の上流端にある上流要素、エアロゾル発生基体の下流の支持要素、支持要素の下流のエアロゾル冷却要素、およびエアロゾル冷却要素の下流のフィルターを含む。支持要素およびエアロゾル冷却要素は両方とも、中空管の形態であることが好ましい。エアロゾル発生基体は、その基体を通して長軸方向に延びる細長いサセプタ要素を含むことが好ましい。
【0135】
さらに好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体の上流端にある上流要素と、エアロゾル発生基体の下流にある単一の中空管と、中空管の下流にあるフィルターとを備える。
【0136】
本発明のエアロゾル発生物品は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体とを随意に備えてもよく、エアロゾル発生基体は、本発明の第一の態様に関して上述した通りである。
【0137】
例えば、本明細書に記述されるような基体は、国際公開第A-2009/022232号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されてもよいが、これは可燃性炭素系熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体と、可燃性炭素系熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接した前方部分の周りにあり、かつそれらと接触する熱伝導性要素と、を備える。しかし、当然のことながら、本明細書に記述されるような基体はまた、その他の構造を有する可燃性熱源を備える加熱式エアロゾル発生物品でも使用されてもよい。
【0138】
別の方法として、本明細書によるエアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される電気的に動作するエアロゾル発生システムで使用するために適合されてもよい。
【0139】
例えば、本明細書に記述されるようなエアロゾル発生基体は、欧州特許第A-0 822 760号で開示されるタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されてもよい。
【0140】
こうしたエアロゾル発生装置の発熱体は、熱を伝導するための任意の適切な形態であってもよい。エアロゾル発生基体の加熱は、内部から、外部から、またはその両方から達成されてもよい。発熱体は、好ましくは、基体が内側から加熱されるように、基体の中へと挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはピンであってもよい。発熱体は、基体を部分的または完全に取り囲み、基体を外部から円周方向に加熱してもよいことが好ましい。
【0141】
エアロゾル発生システムは、誘導加熱装置を備えた電気的に作動するエアロゾル発生システムであってもよい。誘導加熱装置は、典型的には、サセプタに結合されるように構成された誘導源を含み、これは、エアロゾル発生基体の外部へ、またはエアロゾル発生基体の内部へ提供されてもよい。誘導源により交流電磁場が発生し、これがサセプタ内に磁化または渦電流を誘起する。サセプタは、ヒステリシス損失または誘起された渦電流の結果として加熱されてもよく、これはオーム加熱または抵抗加熱を通してサセプタを加熱する。
【0142】
誘導加熱装置を備える電気的に作動するエアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体と熱的に近接したサセプタを有するエアロゾル発生物品も備える。典型的には、サセプタはエアロゾル発生基体と直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル発生基体に伝達される。誘導加熱装置およびサセプタを有するエアロゾル発生物品を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムの例は、WO-A1-95/27411およびWO-A1-2015/177255に記述されている。
【0143】
本発明のエアロゾル発生基体は、摂氏約230度~摂氏270度の温度に加熱された時に、エアロゾルの最適化された放出を提供するように適合されることが好ましい。したがって、本発明によるエアロゾル発生物品は、上述のように、エアロゾル発生基体を外部から、または誘導によって加熱するエアロゾル発生装置と併せて使用するのに特に好適である。こうした装置では、エアロゾル発生基体は典型的に、内部加熱手段を備えるエアロゾル発生装置における温度よりも著しく低い温度に加熱される。
【0144】
エアロゾル発生装置内で摂氏230度~摂氏270度の温度に加熱された時、たばこ粒子を含む本発明のエアロゾル発生基体は、使用中にエアロゾル発生基体の中に挿入される内部発熱体を備えるエアロゾル発生装置内で摂氏約350度の温度に加熱される均質化したたばこ材料のシートを備えるエアロゾル発生基体から達成されるニコチン抽出速度と少なくとも同等(および場合によってはそれよりも高い)なニコチン抽出速度を提供することができることが見出された。これは、例えば、以下に提供される比較例で実証される。
【実施例
【0145】
以下に、非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。これらの実施例における本発明によるエアロゾル発生基体への言及はまた、本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を指すものとみなされるべきである。
【0146】
実施例1.
エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体であって、一つ以上のエアロゾル形成体を含む液体溶媒中の植物粒子のエアロゾル発生懸濁液を装填された多孔性媒体を含む、エアロゾル発生基体。
実施例2.
エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも20重量パーセントの植物粒子を含む、実施例1に記載のエアロゾル発生基体。
実施例3.
エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも30重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1または実施例2に記載のエアロゾル発生基体。
実施例4.
エアロゾル発生懸濁液が、最大50重量パーセントの植物粒子を含む、実施例1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例5.
エアロゾル発生基体が、少なくとも8重量パーセントの植物粒子を含む、実施例1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例6.
エアロゾル発生基体が、最大40重量パーセントの植物粒子を含む、実施例1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例7.
エアロゾル発生基体が、粉砕または粉末の葉ラミナ、果物、葉柄、茎、根、種子、つぼみ、または樹皮から生成される植物粒子を含む、実施例1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例8.
エアロゾル発生懸濁液が、たばこ粒子を含む、実施例1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例9.
エアロゾル発生懸濁液が、たばこ粒子を含まない、実施例1~実施例7のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例10.
エアロゾル発生懸濁液が、ミント葉粒子、ローズマリー粒子、ショウガ粒子、スターアニス粒子、クローブ粒子、ユーカリ粒子、オレガノ粒子、タイム粒子、ディルシード粒子、カモミール粒子、クミンシード粒子、茶粒子、カンナビス粒子、またはそれらの組み合わせから選択される非たばこ粒子を含む、実施例1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例11.
エアロゾル発生懸濁液が、非たばこ粒子とたばこ粒子の組み合わせを含み、非たばこ粒子とたばこ粒子の比が、1:5~5:1である、実施例1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例12.
植物粒子が、20ミクロン~200ミクロンの平均粒径を有する、実施例1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例13.
エアロゾル発生懸濁液が、不活性増粘剤をさらに含む、実施例1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例14.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、グリセロールを含む、実施例1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例15.
エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも35重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例16.
エアロゾル発生懸濁液が、最大90重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1~15のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例17.
エアロゾル発生基体が、少なくとも25重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1~16のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例18.
エアロゾル発生基体が、最大75重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1~17のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例19.
エアロゾル発生基体が、少なくとも25重量パーセントの一つ以上のエアロゾル形成体を含む、実施例1~18のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例20.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、水を含む、実施例1~19のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例21.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、少なくとも5重量パーセントの水を含む、実施例20に記載のエアロゾル発生基体。
実施例22.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、最大30重量パーセントの水を含む、実施例20または実施例21に記載のエアロゾル発生基体。
実施例23.
エアロゾル発生基体が、最大25重量パーセントの水を含む、実施例20~実施例22のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例24.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、アルカリ剤をさらに含む、実施例1~23のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例25.
アルカリ剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、または水酸化カルシウムである、実施例24に記載のエアロゾル発生基体。
実施例26.
アルカリ剤が水酸化ナトリウムである、実施例24に記載のエアロゾル発生基体。
実施例27.
エアロゾル発生懸濁液のpHが、少なくとも6である、実施例24~実施例26のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例28.
エアロゾル発生懸濁液のpHが最大9である、実施例24~実施例27のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例29.
エアロゾル発生懸濁液が、少なくとも0.1重量パーセントのアルカリ剤を含む、実施例24~実施例28のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例30.
エアロゾル発生懸濁液が、最大5重量パーセントのアルカリ剤を含む、実施例24~実施例29のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例31.
エアロゾル発生基体が、最大4重量パーセントのアルカリ剤を含む、実施例24~実施例29のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例32.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、ニコチンをさらに含む、実施例1~31のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例33.
エアロゾル発生懸濁液が、液体ニコチンを含む、実施例32に記載のエアロゾル発生基体。
実施例34.
エアロゾル発生懸濁液の液体溶媒が、一つ以上の酸をさらに含む、実施例1~33のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例35.
エアロゾル発生懸濁液が、安息香酸、乳酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、またはそれらの組み合わせを含む、実施例34に記載のエアロゾル発生基体。
実施例36.
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と植物粒子の重量比が、少なくとも1である、実施例1~35のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例37.
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と植物粒子の重量比が、最大4である、実施例1~36のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例38.
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と総固体の重量比が、少なくとも1である、実施例1~37のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例39.
エアロゾル発生懸濁液中の液体溶媒と総固体の重量比が、最大4である、実施例1~38のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例40.
多孔性媒体が繊維質材料で形成される、実施例1~39のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例41.
繊維質材料がセルロース系シートの形態である、実施例40に記載のエアロゾル発生基体。
実施例42.
多孔性媒体が、一つ以上の捲縮したシートを含む、実施例40または実施例41に記載のエアロゾル発生基体。
実施例43.
多孔性媒体が、エアロゾル発生基体の10重量パーセント~30重量パーセントを占める、実施例1~42のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例44.
エアロゾル発生基体内のエアロゾル発生懸濁液と多孔性媒体の重量比が、少なくとも3である、実施例1~43のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例45.
エアロゾル発生基体内のエアロゾル発生懸濁液と多孔性媒体の重量比が、最大8である、実施例1~44のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例46.
一つ以上のサセプタ要素をさらに備える、実施例1~45のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例47.
エアロゾル発生基体が、5ミリメートル~12ミリメートルの長さを有する、実施例1~46のいずれかに記載のエアロゾル発生基体。
実施例48.
実施例1~47のいずれかに記載のエアロゾル発生基体を製造する方法であって、方法が、
一つ以上のエアロゾル形成体および随意に水を含む液体溶媒を提供する工程と、
植物粒子から形成された植物粉末を提供する工程と、
植物粉末を液体溶媒と混合して、液体溶媒中の植物粒子の懸濁液を形成する工程と、
懸濁液を多孔性媒体上に堆積させて、エアロゾル発生基体を形成する工程と、を含む、実施例1~47のいずれかに記載のエアロゾル発生基体を生産する方法。
実施例49.
外側ラッパーによって囲まれた、実施例1~実施例48のいずれかに記載のエアロゾル発生基体のロッドを備える、エアロゾル発生物品。
実施例50.
エアロゾル発生基体の下流に少なくとも一つの中空管を含む、支持要素をさらに含む、実施例49に記載のエアロゾル発生物品。
実施例51.
エアロゾル発生基体の下流にエアロゾル冷却要素をさらに含む、実施例49または実施例50に記載のエアロゾル発生物品。
実施例52.
エアロゾル発生基体の下流にマウスピースをさらに含む、実施例49~実施例51のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例53.
エアロゾル発生基体の上流端に上流要素をさらに含む、実施例49~実施例51のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例54.
エアロゾル発生基体の上流端に上流要素と、エアロゾル発生基体の下流の支持要素と、支持要素の下流のエアロゾル冷却要素と、エアロゾル冷却要素の下流のフィルターと、を備える、実施例49~実施例53のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【0147】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1図1は、誘導加熱に適した、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図(正確な縮尺ではない)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0149】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド12と、エアロゾル発生基体のロッド12の下流の位置にある下流セクション14と、を備える。さらに、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流の位置に上流セクション16を備える。したがって、エアロゾル発生物品10は、上流または遠位端部18から下流または口側端部20まで延在し得る。
【0150】
エアロゾル発生物品10は、約45ミリメートルの全長を有する。
【0151】
下流セクション14は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ下流に位置する支持要素22を備え、支持要素22は、ロッド12と長手方向に整列している。図1の実施形態では、支持要素22の上流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の下流端に当接している。加えて、下流セクション14は、支持要素22のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素24を備え、エアロゾル冷却要素24は、ロッド12および支持要素22と長軸方向の整列の状態にある。図1の実施形態において、エアロゾル冷却要素24の上流端は、支持要素22の下流端に当接している。
【0152】
支持要素22は、第一の中空管状セグメント26を含んでもよい。第一の中空管状セグメント26は、酢酸セルロースから作製された中空円筒管の形態で提供される。第一の中空管状セグメント26は、第一の中空管状セグメントの上流端30から第一の中空管状セグメント20の下流端32まで全面的に延びる、内部空洞28を画定する。内部空洞28は、実質的に空であり、したがって、実質的に無制限の気流が内部空洞28に沿って可能になる。第一の中空管状セグメント26、および結果として、支持要素22は、エアロゾル発生物品10の全体的なRTDに実質的に寄与しない。より詳細には、第一の中空管状セグメント26のRTD(実質的に支持要素22のRTDである)は、実質的に0ミリメートルH2Oである。
【0153】
第一の中空管状セグメント26は、約7ミリメートルの長さおよび約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0154】
エアロゾル冷却要素24は、第二の中空管状セグメント34を備える。第二の中空管状セグメント34は、厚紙で作製された中空の円筒状管の形態で提供されている。第二の中空管状セグメント34は、第二の中空管状セグメントの上流端38から第二の中空管状セグメント34の下流端40にずっと延びる内部空洞36を画定する。内部空洞36は実質的に空であり、そのため内部空洞36に沿って、実質的に制限のない気流が可能である。第二の中空管状セグメント34、および結果として、エアロゾル冷却要素24は、エアロゾル発生物品10の全体的なRTDに実質的に寄与しない。より詳細には、第二の中空管状セグメント34のRTD(本質的にエアロゾル冷却要素24のRTDである)は、実質的に0ミリメートルH2Oである。
【0155】
第二の中空管状セグメント34は、約17ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0156】
エアロゾル発生物品10は、第二の中空管状セグメント34に沿った場所に提供された通気ゾーン(図示せず)を備える。
【0157】
図1の実施形態では、下流セクション14は、エアロゾル発生物品10の下流端にマウスピース要素42をさらに備える。より詳細に、マウスピース要素42は、エアロゾル冷却要素24のすぐ下流に位置付けられている。図1の図面に示す通り、マウスピース要素42の上流端は、エアロゾル冷却要素24の下流端40に当接する。
【0158】
マウスピース要素42は、低密度セルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供されている。
【0159】
マウスピース要素42は、約5ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0160】
ロッド12は、多孔性媒体上に装填されたエアロゾル発生懸濁液を含む、本発明によるエアロゾル発生基体を備える。多孔性媒体は、捲縮した綿シートの形態である。エアロゾル発生懸濁液が装填された綿シートは、集合され、捲縮され、フィルター紙に包まれてロッド12を形成する。エアロゾル発生基体を形成するための適切なエアロゾル発生懸濁液のいくつかの例を以下の表1に示す。
【0161】
エアロゾル発生基体のロッド12は、約7.25ミリメートルの外径、および約7ミリメートルの長さを有する。
【0162】
エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12内に細長いサセプタ要素44をさらに備える。より詳細には、サセプタ要素44は、ロッド12の長手方向に対してほぼ平行になるように、エアロゾル発生基体内に実質的に長手方向に配置されている。図1の図面に示されるように、サセプタ要素44は、ロッド内の半径方向で中央の位置に位置付けられており、ロッド12の長手方向軸に沿って効果的に延びる。
【0163】
サセプタ要素44は、ロッド12の上流端から下流端まで全面的に延びている。実際には、サセプタ要素44は、エアロゾル発生基体のロッド12と実質的に同じ長さを有する。
【0164】
図1の実施形態では、サセプタ要素44は、ストリップの形態で提供されており、約12ミリメートルの長さ、約60マイクロメートルの厚さ、および約4ミリメートルの幅を有する。上流セクション16は、エアロゾル発生基体のロッド12のすぐ上流に位置する上流要素46を備え、上流要素46は、ロッド12と長手方向に整列している。図1の実施形態では、上流要素46の下流端は、エアロゾル発生基体のロッド12の上流端に当接する。これにより、有利なことに、サセプタ要素44が外れることを防止する。さらに、これにより、消費者が使用後に加熱されたサセプタ要素44に偶発的に接触し得ないことを確実にする。
【0165】
上流要素46は、硬質ラッパーによって囲まれたセルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供される。上流要素46は、約5ミリメートルの長さを有する。
【0166】
代替的な実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド12内の細長いサセプタ要素なしで製造されてもよい。こうした実施形態は、上述のように、使用中にエアロゾル発生基体を加熱するための内部または外部加熱装置を備えるエアロゾル発生装置での使用に適している。
【0167】
実施例
図を参照して上述したように、本発明によるエアロゾル発生基体で使用するためのエアロゾル発生懸濁液の異なるサンプルは、表1に示す組成物で調製され得る。
【0168】
組成物の各々について、最初に、エアロゾル形成体を水およびアルカリ剤(存在する場合)と組み合わせて混合して均質な溶液を形成することによって液体溶媒を調製した。たばこ粉末および植物性粉末(存在する場合)を55ミクロンの平均粒径に粉砕し、次いで液体溶媒に添加して不均一な懸濁液を形成した。結果として得られた懸濁液を、捲縮した綿シートの形態の多孔性媒体上に堆積させ、捲縮した綿シートを集合させ、捲縮してロッドを形成し、これをラッパーによって囲んだ。
【表1】
【0169】
比較例1
上記の表1からのサンプルBおよびCの各々について、上述のようにロッドが形成されたが、ロッド内に細長いサセプタ要素を追加的に組み込んだ。結果として得られたロッドを、誘導加熱装置内で、ニコチン含有エアロゾルを発生するために、カナダ保健省の機械式喫煙法(ISO/TR 19478-1:2014号に記述されている通り)下で摂氏267度の温度に加熱した。エアロゾルを収集し、エアロゾル中のニコチンの総量を測定した。次いで、エアロゾル中のニコチンの量を、加熱前の基体中のニコチンの量で割ることによって、ニコチン抽出率を計算した。従来のキャストリーフたばこ基体から形成されたロッドに対して類似の試験を実施した。試験の結果を下記の表2に示している。
【0170】
表2に示すように、たばこ粒子を含むエアロゾル発生懸濁液を有する本発明によるエアロゾル発生基体を含むサンプルBおよびCは、同じ加熱条件下で従来のキャストリーフ基体の加熱に伴い提供されるニコチン抽出速度よりも、摂氏267度の温度で誘導加熱された時に、有意に高いニコチン抽出率を提供した。さらなる比較の目的で、キャストリーフ基体を含むが、例えば内部ヒーターによって摂氏350度のより高い温度で加熱されるエアロゾル発生物品について測定されるニコチン抽出率は、約0.24である。したがって、本発明によるエアロゾル発生基体は、サンプルBおよびDにおいて、既存のエアロゾル発生物品と同様のニコチン抽出率を、かなり低い温度で提供することができるため、たばこからの特定の望ましくない化合物の形成を低減することができる。
【表2】
【0171】
比較例2-アルカリ剤の効果
上記の表1からのサンプルDおよびEの各々について、上述のようにロッドが形成されたが、ロッド内に細長いサセプタ要素を追加的に組み込んだ。サンプルDおよびEの両方は、たばこ粒子およびグリセロールを含むが、サンプルDはNaOHの形態のアルカリ剤をさらに含む。結果として得られたロッドの各々を、誘導加熱装置で、カナダ保健省加熱制度下で摂氏235度の温度に加熱して、ニコチン含有エアロゾルを発生した。エアロゾルの各吸煙について、エアロゾル中のニコチンの量を測定した。試験の結果を下記の表3に示している。
【0172】
以下の結果によって示されるように、サンプルDにアルカリ剤を含めることは、アルカリ剤を含まないサンプルEと比較して、エアロゾル中のニコチンの送達の有意な増加をもたらす。全体として、サンプルDからのニコチンの送達は、サンプルEがより高い量のたばこ粒子を含有するという事実にもかかわらず、サンプルEからのニコチンの送達のほぼ二倍である。
【表3】
【0173】
比較例3-水の影響
上記の表1からのサンプルFおよびGの各々について、ロッドは上述のように形成されたが、ロッド内に細長いサセプタ要素を追加的に組み込んだ。サンプルFおよびGの両方は、たばこ粒子およびグリセロールを含むが、サンプルFは水をさらに含む。結果として得られたロッドの各々を、誘導加熱装置内で、カナダ保健省加熱制度下で摂氏267度の温度に加熱して、ニコチン含有エアロゾルを発生した。エアロゾルの各吸煙について、エアロゾル中のニコチンの量を測定した。試験の結果を下記の表4に示している。
【0174】
以下の結果によって示されるように、サンプルFに水を含めることは、水を含まないサンプルGと比較して、エアロゾル中のニコチンの送達の有意な増加をもたらす。全体的に、サンプルFからのニコチンの送達は、サンプルGからのニコチンの送達よりも50パーセント超高い。
【表4】
図1
【国際調査報告】