(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】光ファイバ母材及びこれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 37/018 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
C03B37/018 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532436
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022051057
(87)【国際公開番号】W WO2023101904
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー デーン アルファンソ
(72)【発明者】
【氏名】フィアッコ リチャード マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クラプコ ロスティスラフ ラディエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】リ ミン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ニー クレッグ ダニエル
【テーマコード(参考)】
4G021
【Fターム(参考)】
4G021EA03
4G021EB04
4G021EB19
(57)【要約】
本発明は、光ファイバ前駆体を形成する方法であって、アルカリ金属がドープされたチューブを形成するステップ、アルカリ金属がドープされたチューブ内に光ファイバコアロッドを挿入するステップ、アルカリ金属がドープされたチューブの周囲にクラッドジャケットを形成するステップ、及び光ファイバコアロッドの表面全体に、アルカリ金属がドープされたチューブからアルカリ金属を拡散させるステップを含む、方法に関する。本発明は、光ファイバコアロッド、光ファイバコアロッドを取り巻く、アルカリ金属がドープされたチューブ、及びアルカリ金属がドープされたチューブを取り巻くクラッドジャケットを有する光ファイバ母材にさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ前駆体を形成する方法であって、
アルカリ金属がドープされたチューブを形成するステップ、
前記アルカリ金属がドープされたチューブ内に光ファイバコアロッドを挿入するステップ、
前記アルカリ金属がドープされたチューブの周囲にクラッドジャケットを形成するステップ、及び
前記光ファイバコアロッドの表面全体に、前記アルカリ金属がドープされたチューブからアルカリ金属を拡散させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記光ファイバコアロッドが純シリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光ファイバコアロッドが、前記光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバコアロッドを取り巻く前記クラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記クラッドジャケットが純シリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記クラッドジャケットが、フッ素がドープされたシリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープされたシリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光ファイバコアロッド、
前記光ファイバコアロッドを取り巻く、アルカリ金属がドープされたチューブ、及び
前記アルカリ金属がドープされたチューブを取り巻くクラッドジャケット
を含む、光ファイバ母材。
【請求項10】
前記光ファイバコアロッドが純シリカを含む、請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項11】
前記光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む、請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項12】
前記光ファイバコアロッドが、前記光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含む、請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項13】
前記光ファイバコアロッドを取り巻く前記クラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む、請求項12に記載の光ファイバ母材。
【請求項14】
前記クラッドジャケットが純シリカを含む、請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項15】
前記クラッドジャケットが、フッ素がドープされたシリカを含む、請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項16】
前記アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープされたシリカを含む。請求項9に記載の光ファイバ母材。
【請求項17】
光ファイバコアロッドであって、前記光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含み、前記光ファイバコアロッドを取り巻く前記クラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む、光ファイバコアロッド;
前記光ファイバコアロッドを取り巻く、アルカリ金属がドープされたチューブ;及び
前記アルカリ金属がドープされたチューブを取り巻くクラッドジャケット
を含む、光ファイバ母材。
【請求項18】
前記光ファイバコアロッドが純シリカを含む、請求項17に記載の光ファイバ母材。
【請求項19】
前記光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む、請求項17に記載の光ファイバ母材。
【請求項20】
前記アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープされたシリカを含む、請求項17に記載の光ファイバ母材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2021年11月30日出願の米国仮出願第63/284,270号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体にわたって参照に依拠し、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は概して、光ファイバを製造する方法、より詳細には、アルカリ金属酸化物がドープされた光ファイバを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
減衰は、光ファイバの主な制限特性である。光ファイバ損失は、例えば、光ファイバ増幅器間の限界距離を設定するにあたって重要な役割を果たす。このことは、例えば、海中での適用などの長距離及び超長距離ネットワークにおいて特に重要であり、そこでそのような増幅器は、大幅なシステムコスト、さらにシステム信頼性における主要な因子となる。結果として、実現可能な最小レベルまで減衰を低減させることに対して、極めて膨大な商業的関心が存在する。
長距離電気通信伝達ネットワークに使用されるシリカベースの光ファイバについては、減衰損失が、残りの減衰の大部分がガラス材料内の内因的な散乱によるものとなる点まで低減した。内因的な散乱は、密度及びドーパント濃度変動に関連する損失の組み合わせである。
減衰を低下させる1つの手段は、コアガラスに改質剤を添加することである。そのような改質剤は、適切に選択されれば、ファイバコアにおける散乱損失、ゆえにファイバの減衰を大幅に低減させることができる。アルカリ金属酸化物は、効率的な改質剤として作用しうる。
【0003】
アルカリ金属酸化物ドーパントを、単独で、又は例えば、CaO、Al2O3若しくはFなどの他の化合物と組み合わせて含有するシリカベースのガラスが、高純度のガラス質SiO2より小さい内因的散乱損失を有する光ファイバ用のコア材料として提唱されている。単一及び複数ドーパントガラスの両方において、高レベルの、例えば遷移金属及び-OHなどの混入物により、望ましい低減衰を達成することが困難となっている。しばしばこれらの混入物は、ドーピング工程中に意図せずに導入される。
アルカリ金属酸化物をシリカガラスに組み込むための1つの技法は、固結ガラス(consolidated glass)にアルカリ金属を直接拡散させることによる。しかし、シリカガラスにアルカリ金属を拡散させようとすると、遷移金属及び水を含む不純物の同時の拡散を被り、理論的最小値をはるかに上回る損失がもたらされる。シリカガラス光ファイバ前駆体から伸びるファイバが小さい光学的損失を有するような、シリカガラス光ファイバ前駆体をアルカリ金属でドープする方法を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、光ファイバ前駆体を形成する方法は、アルカリ金属がドープされたチューブを形成するステップ、アルカリ金属がドープされたチューブ内に光ファイバコアロッドを挿入するステップ、アルカリ金属がドープされたチューブの周囲にクラッドジャケットを形成するステップ、及び光ファイバコアロッドの表面全体に、アルカリ金属がドープされたチューブからアルカリ金属を拡散させるステップを含む。
本開示の第2の実施形態は第1の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが純シリカを含む。
本開示の第3の実施形態は第1の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む。
本開示の第4の実施形態は、第1の実施形態~第3の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、光ファイバコアロッドが、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含む。
本開示の第5の実施形態は第4の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む。
本開示の第6の実施形態は、第1の実施形態~第5の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、クラッドジャケットが純シリカを含む。
【0005】
本開示の第7の実施形態は、第1の実施形態~第5の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、クラッドジャケットが、フッ素がドープされたシリカを含む。
本開示の第8の実施形態は、第1の実施形態~第7の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープされたシリカを含む。
本開示の第9の実施形態は、光ファイバコアロッド、光ファイバコアロッドを取り巻く、アルカリ金属がドープされたチューブ、及びアルカリ金属がドープされたチューブを取り巻くクラッドジャケットを有する光ファイバ母材に関する。
本開示の第10の実施形態は第9の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが純シリカを含む。
本開示の第11の実施形態は第9の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む。
【0006】
本開示の第12の実施形態は、第9の実施形態~第11の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、光ファイバコアロッドが、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含む。
本開示の第13の実施形態は第12の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む。
本開示の第14の実施形態は、第9の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、クラッドジャケットが純シリカを含む。
本開示の第15の実施形態は、第9の実施形態~第13の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、クラッドジャケットが、フッ素がドープされたシリカを含む。
本開示の第16の実施形態は、第9の実施形態~第15の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープ
されたシリカを含む。
【0007】
本開示の第17の実施形態は、光ファイバコアロッドであって、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含み、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドが、フッ素がドープされたシリカを含む、光ファイバコアロッド;光ファイバコアロッドを取り巻く、アルカリ金属がドープされたチューブ;及びアルカリ金属がドープされたチューブを取り巻くクラッドジャケットを有する光ファイバ母材に関する。
本開示の第18の実施形態は第17の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが純シリカを含む。
本開示の第19の実施形態は第17の実施形態を含んでいてよく、光ファイバコアロッドが、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカを含む。
本開示の第20の実施形態は、第17の実施形態~第19の実施形態のうちのいずれかを含んでいてよく、アルカリ金属がドープされたチューブが、ナトリウム(Na)がドープされたシリカを含む。
前述のものは、添付の図において例示されるように、例示的な実施形態についての以下のより具体的な記載から明らかであり、添付の図では、同様の参照文字が異なる面にわたって同じ部分を指す。図は必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、例示的な実施形態を例示するにあたって強調がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】バーナとアルカリ金属供給源化合物位置との間の関係を示す、シリカガラスチューブにアルカリを拡散させるための装置を示す図である。
【
図3】チューブの径方向の位置に応じた、算出された減衰減少を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、低損失光ファイバを製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、シリカガラス物品にアルカリ金属を拡散させることにより、光ファイバ前駆体を調製することに関する。光ファイバ前駆体は、完全な光ファイバ母材、又は例えば、コアケイン(core cane)若しくは堆積チューブなどの、完全な光ファイバ母材の前駆体を指す。コアケインは、完全な光ファイバ母材ではないがコアの少なくとも一部を含む、光ファイバ母材の固結ガラス前駆体を指す。光ファイバ母材は、線引きして光ファイバにする準備ができている固結ガラス物品を指す。
アルカリ金属酸化物がドープされたシリカガラスは、純シリカガラスについての理論的下限を下回る損失をもたらすことが可能であることが示されている。「ドープされた」又は「ドープすること」、又は同義語は、ガラスに単数又は複数種の物質を、そのようなガラスにおける所望の特徴(本明細書で示される)を達成するために意図的に添加することを指す。低損失光ファイバを生産する1つの手段は、光ファイバの前駆体である好適なシリカガラス物品にアルカリ金属を拡散させることによる。
【0010】
実施形態において、その例示が
図1において与えられ、光ファイバの製造に好適なシリカガラスチューブ10が、ガラス作業旋盤に取り付けられている。適切な装置の一例は、従来の改変化学気相堆積(MCVD)ガラス形成旋盤である。アルカリ金属供給源を収容するためのリザーバー16が、チューブ10の一端付近に2つの首状変形部6及び8を、チューブ10の壁に、互いに約2cm離して構築することにより形成されている。チューブ10の正確な組成は所望の光ファイバの設計次第だが、概してそのようなチューブは、約80モルパーセントと同程度又はこれを超える二酸化ケイ素(SiO
2)を含有する。多くの光ファイバの製造では、チューブ10は好ましくは、少なくとも約90モルパーセントのSiO
2を含有する。そのようなチューブは、単独で又は組み合わせてドーパントを含有していてもよい。そのようなドーパントは、例えば、フッ素(F)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ゲルマニウム(GeO
2)又はリン(P)を含んでいてよい。チューブ10にアルカリ金属を拡散させる前に、さらなるシリカガラスが、化学気相堆積手段によりガラスチューブ10の内部表面に追加されてよい。そのようなさらなるガラスは、例えば、F、Al
2O
3、CaO、GeO
2又はPを含むドーパントを含有していてよい。実施形態において、チューブ10、及びチューブ10の内部に堆積した任意のさらなるガラスは、実質的に塩素不含である。実質的に塩素不含とは、アルカリ塩化物結晶化による光学的損失が回避される程十分に小さい塩素含有量を呈することを指し、例えば、好ましくは約500ppm未満の塩素含有量がこの目的にとって望ましい。より好ましくは、塩素含有量は約100ppm未満であり、最も好ましくは約50ppm未満である。それに加えて、シリカガラスチューブ10、及びそこに堆積した任意のさらなるガラスは、実質的に、ヒドロキシル基
-OHを指す「水」不含であるべきである。水は、吸収ピーク1383nm又は約1383nmの原因となり、その吸収ピークが、光ファイバの動作波長領域に及ぶおそれがある。このピークは、ファイバ減衰に対し有害な効果を有する。ゆえに、ガラスの
-OH含有量を可能な限り低減させることにより、水ピークとも呼ばれる吸収ピークを低減させることが望ましい。これには、出発物質が実質的に水不含であることが必要である。実質的に水不含とは、好ましくは約100ppb未満、より好ましくは約20ppb未満の
-OH含有量を有することを指す。これは、例えば、シリカガラスチューブの製造中の従来の塩素乾燥技法、及びチューブが再び湿ることを防止するため、その製造後に好適な予防措置を利用することにより、達成可能である。しかし、ガラス中の塩素濃度を低減させるため、塩素の使用は最小限にすべきである。多孔質スートガラス物品の場合、乾燥は好ましくは、塩素乾燥後に、又は塩素乾燥の代わりに、例えば、四フッ化炭素(CF
4)又は四フッ化ケイ素(SiF
4)、又はそれらの組み合わせなどのフッ素含有雰囲気に物品を曝露することにより達成される。フッ素含有雰囲気に対する曝露は、高レベルのフッ素でガラスをドープすることを回避するため、好ましくは約1100℃未満の温度で行われる。好ましくは、ガラスの含水量は約100ppb未満であり、より好ましくは約20ppb未満である。
【0011】
さらなるガラスの任意の堆積を含めて、シリカガラスチューブ10が調製されると、チューブ10が回転する間、アルカリ供給源化合物12が、リザーバー16においてチューブ10に導入され、熱源18により加熱されて蒸気を形成する。アルカリ金属供給源化合物12は、液体又は固体としてリザーバー16に導入されてよい。酸素が、回転シール4を通って入口2及びチューブ10に流入し、アルカリ金属供給源化合物12より下流のチューブ10の一部が加熱されて、チューブ10の内部表面へのアルカリ金属の拡散が推進される。アルカリ金属供給源化合物12より下流のチューブ10の一部は、アルカリの迅速な拡散を促進し、失透を防止するのに十分な温度に加熱されるべきである。好ましくは、アルカリ金属供給源化合物12より下流のチューブ10の一部は、熱源20により、少なくとも約1500℃、より好ましくは少なくとも約1700℃、最も好ましくは少なくとも約2000℃に加熱される。アルカリ金属供給源化合物12は、成分として、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、及びルビジウム(Rb)からなる群から選択される元素を有する塩素不含化合物である。好ましくは、アルカリ金属供給源化合物12は、臭化物、ヨウ化物、又はフッ化物である。より好ましくは、アルカリ金属供給源化合物12は、K又はNaの、臭化物、ヨウ化物又はフッ化物である。
【0012】
それによりアルカリ金属が失われうる内部表面面積を低減させ、かつアルカリ金属が拡散されたガラス層を厚くするように、拡散工程には、ドープされたチューブ10の部分中実化を促進するための、ドープされたチューブ10をさらに加熱するステップが続いてよい。ドープされたチューブ10は、リザーバー16を含有するガラスの一部を除去するため切断される。光ファイバコアロッド(すなわちコアケイン)が、ドープされたチューブ10内に挿入される。実施形態において、光ファイバコアロッドは純シリカである。実施形態において、光ファイバコアロッドは、塩素(Cl)、ゲルマニウム(Ge)、又はリン(P)のうちの1種がドープされたシリカである。実施形態において、光ファイバコアロッドは、光ファイバコアロッドを取り巻くクラッドを含有する。実施形態において、クラッドはフッ素がドープされている。チューブ内に光ファイバコアロッドを挿入した後、クラッドジャケット(例えば保護被覆)がチューブ10の周囲に形成され、中実化されて、光ファイバ母材を形成する。実施形態において、クラッドジャケットは純シリカである。実施形態において、クラッドジャケットは、フッ素がドープされたシリカである。
図2は、チューブ10に取り囲まれた光ファイバコアロッド22を有する、本明細書に記載される光ファイバ母材20の例を示す。チューブ10は、クラッドジャケット24に取り囲まれている。
【0013】
本明細書に記載される提唱された方法の1つの利点は、アルカリがドープされたガラスチューブにおける混入物による減衰が、大幅に低減することである。
図3は、チューブの径方向の位置に応じた、算出された減衰減少を示す。混入物による減衰は、径方向の位置に伴って指数的に減少する。例えば、径方向の位置5μmでは減衰が10%に低減し、径方向の位置10μmでは減衰が1%未満に低減する。
例示的な実施形態が本明細書で開示されてきたが、添付の請求項により包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の各種変更がそこになされてよいことが、当業者により理解される。
【国際調査報告】