(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】地上気絶処理室内で食鳥を気絶処理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A22B 3/08 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A22B3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532449
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021086220
(87)【国際公開番号】W WO2023110107
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314003661
【氏名又は名称】バーダー・フード・システムズ・デンマーク・エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ケルトセン,ポール
(57)【要約】
本発明は、と畜を目的とし、容器(11)内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理するように構成、適合される装置(10)に関し、装置(10)は、少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を有する少なくとも1つの気絶処理室(12)と、少なくとも1つの搬送コンベヤ(19)を有する搬送デバイス(18)とを備え、少なくとも1つの搬送コンベヤ(19)は、少なくとも1つの搬送路に沿って容器(11)を搬送するように構成、適合され、少なくとも1つの気絶処理区域(12)は、地上に配置され、少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)は、ほぼ水平に上下にあるように構成、適合され、少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガスは、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、気絶処理区域の最上気絶処理区域(13)から開始して気絶処理区域の最下気絶処理区域(15)まで増大し、搬送デバイス(18)は、ほぼ水平に蛇行する少なくとも1つの搬送路路上で少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じて気絶処理室(12)内の気絶処理路に沿って容器(11)を搬送し得るように構成、適合されることを特徴とする。本発明は、対応する方法に更に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
と畜を目的とし、容器(11)内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶させるように構成、適合される装置(10)であって、前記装置は、少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を有する少なくとも1つの気絶処理室(12)と、前記気絶処理室(12)の入口側に配置される、生きた食鳥を収容する前記容器(11)のための少なくとも1つの投入ステーション(16)と、前記気絶処理室(12)の出口側に配置される、気絶処理された食鳥を収容する前記容器(11)のための少なくとも1つの排出ステーション(17)と、少なくとも1つの搬送コンベヤ(19)を有する搬送デバイス(18)とを備え、前記少なくとも1つの搬送コンベヤ(19)は、少なくとも1つの搬送路に沿って前記投入ステーション(16)から前記気絶処理室(12)を通じて前記排出ステーション(17)に前記容器(11)を搬送するように構成、適合される、装置において、
前記少なくとも1つの気絶処理室(12)は、地上に配置され、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)は、ほぼ水平に上下に置かれるように構成、適合され、
前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガスは、各場合で様々な気絶処理ガスの濃度を有し、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、前記気絶処理区域の最上気絶処理区域(13)から開始して、前記気絶処理区域の最下気絶処理区域(15)まで増大し、
前記搬送デバイス(18)は、ほぼ水平に蛇行する少なくとも1つの搬送路上で、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じて、前記気絶処理室(12)内の気絶処理路に沿って前記容器(11)を搬送するように構成、適合されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記搬送デバイス(18)、前記投入ステーション(16)及び/又は前記排出ステーション(17)は、前記容器(11)をほぼ垂直に搬送する少なくとも1つの引上げデバイス(20)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記搬送デバイス(18)は、複数の搬送コンベヤ(19)を備え、前記搬送コンベヤ(19)の数は、少なくとも、設けられる前記気絶処理区域(13、14、15)の数に対応することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記搬送コンベヤ(19)のそれぞれは、前記気絶処理区域(13、14、15)の1つの少なくとも一部分を通る搬送路に沿って、前記容器(11)をほぼ水平に搬送するように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)は、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の間の気絶処理路の進路内に設けられ、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)は、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の間で前記容器(11)の垂直搬送を構成、適合し、前記搬送路の少なくとも1つは、バイパスし得ることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記容器(11)の搬送のために設けられる前記気絶処理路は、前記搬送路の少なくとも1つを前記引上げデバイス(20)によりバイパスした際に縮小し得ることを特徴とする、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記引上げデバイス(20)は、前記気絶処理区域(13、14、15)の1つにおいて、前記容器(11)を前記引上げデバイス(20)により搬送する際、対応する前記気絶処理区域(13、14、15)の距離を縮小し得るように構成、適合されることを特徴とする、請求項2から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記搬送デバイス(18)及び/又は前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)は、食鳥に対して調節可能であり、前記容器(11)内の食鳥の数及び/又は重量に応じて可変搬送速度及び/又は可変気絶処理路を設定し、食鳥の数及び/又は重量に特有の気絶処理をもたらし得るようにすることを特徴とする、請求項2から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記気絶処理室(12)は、閉鎖気絶処理トンネル(24)として構成、適合され、前記気絶処理路は、ほぼ水平に蛇行して延在し、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)は、上下に、ほぼ水平に蛇行して配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記気絶処理室(12)は、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)と共に気絶区画(25)を備え、前記容器(11)は、各場合で前記搬送コンベヤ(19)の少なくとも1つにより、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じてほぼ水平に搬送可能であり、前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)は、前記少なくとも2つの搬送コンベヤ(19)の間を垂直に搬送するように構成、適合されることを特徴とする、請求項2から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの投入ステーション(16)及び/又は前記少なくとも1つの排出ステーション(17)は、前記少なくとも1つのガス障壁(27)を備え、前記少なくとも1つのガス障壁(27)は、混合ガスが前記気絶処理室(12)内に実質的に留まる及び/又は周囲ガスが前記気絶処理室(12)に実質的に入らないように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記気絶処理室(12)は、ガス及び/又は混合ガスを前記気絶処理室(12)内に供給するように構成、適合される少なくとも1つのガス供給デバイス(28)を備えることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項13】
気絶処理ガス、又は気絶処理ガス含有混合ガスは、前記少なくとも1つのガス供給デバイス(28)の少なくとも1つにより、前記少なくとも2つの気絶処理区域の最下気絶処理区域(15)内に供給され、第1の濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスを前記最下気絶処理区域(15)内に構成、適合することを特徴とする、請求項12に記載の装置(10)。
【請求項14】
酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、前記少なくとも1つのガス供給デバイス(28)の少なくとも1つにより、前記気絶処理区域(13、14、15)の少なくとも1つ内に供給され、ある濃度の気絶処理ガスを有する酸素含有混合ガスを構成、適合することを特徴とする、請求項12又は13に記載の装置(10)。
【請求項15】
前記気絶処理室(12)は、少なくとも1つのガス流デバイス(29)を備え、前記少なくとも1つのガス流デバイス(29)は、前記気絶処理区域(13、14、15)の最初の気絶処理区域から前記気絶処理区域(13、14、15)の別の気絶処理区域に、好ましくは、前記最下気絶処理区域(15)から上の前記気絶処理区域(14、13)の少なくとも1つに、少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流Gを供給するように構成、適合されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項16】
前記ガス流デバイス(29)は、前記気絶処理室(12)内、好ましくは前記最下気絶処理区域(15)内に流れる気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスを供給するように構成、適合され、気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスのガス濃度は、蛇行する前記気絶処理路に沿って、気絶処理ガスの最大ガス濃度から開始して徐々に減少することを特徴とする、請求項15に記載の装置(10)。
【請求項17】
ガス及び/又は混合ガスのガス流Gは、前記気絶処理トンネル(24)を通じて、蛇行する前記気絶処理路に沿って、前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)を介して、前記最下気絶処理区域(15)から上の前記気絶処理区域(14、13)の少なくとも1つに流通可能であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の装置(10)。
【請求項18】
前記装置は、制御及び/又は調整ユニットを備え、前記制御及び/又は調整ユニットにより、前記又は各搬送コンベヤ(19)の搬送速度、前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)の使用、及び混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に対する混合ガスの組成を、前記気絶処理区域(13、14、15)の少なくとも1つの中で制御及び/又は調整し得ることを特徴とする、請求項2から17のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項19】
前記又は各投入ステーション(16)は、前記容器(11)を前記少なくとも1つの搬送路上で垂直及び/又は水平に供給するように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項20】
前記又は各排出ステーション(17)は、前記容器(11)を前記気絶処理室(12)から垂直及び/又は水平に排出するように構成、適合されることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項21】
前記引上げデバイス(20)は、前記容器(11)の垂直搬送を構成、適合するため、前記各搬送コンベヤ(19)の搬送路の始端及び/又は終端に設けられることを特徴とする、請求項2から20のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項22】
と畜を目的とし、容器(11)内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理する方法であって、前記方法は、
-生きた食鳥を収容する前記容器(11)を少なくとも1つの投入ステーション(16)により気絶処理室(12)に供給するステップであって、前記気絶処理室(12)は、地上に配置される、ステップと、
-少なくとも1つの搬送コンベヤ(19)を有する搬送デバイス(18)により、ほぼ水平に上下に配置される前記気絶処理室(12)の少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じて前記容器(11)を搬送するステップであって、
前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガスは、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、前記気絶処理区域の最上気絶処理区域(13)から開始して前記気絶処理区域の最下気絶処理区域(15)まで増大する、ステップと、
-気絶処理された食鳥を収容する前記容器(11)を排出ステーション(17)により排出するステップと
を含み、
前記容器(11)は、前記搬送デバイス(18)により、前記少なくとも1つの搬送路上で前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じてほぼ水平に蛇行して気絶処理路に沿って前記気絶処理室(12)内に搬送されることを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記容器(11)は、前記搬送デバイス(18)、前記投入ステーション(16)及び/又は前記排出ステーション(17)が備える少なくとも1つの引上げデバイス(20)により、少なくとも複数の区分でほぼ垂直に搬送されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記容器(11)は、ほぼ水平に蛇行する前記気絶処理路上で搬送され、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)は、ほぼ水平に上下に蛇行して配置されることを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記容器(11)は、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)を通じて、それぞれ、前記搬送コンベヤ(19)の少なくとも1つによりほぼ水平に搬送され、前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)は、前記少なくとも2つの搬送コンベヤ(19)の間で前記容器(11)をほぼ垂直に搬送することを特徴とする、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記気絶処理路の進路において、前記容器(11)は、前記少なくとも1つの引上げデバイス(20)によって、前記2つの気絶処理区域(13、14、15)の間の少なくとも2つの気絶処理区域の間で搬送され、前記2つの気絶処理区域(13、14、15)は、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の間で前記容器(11)の垂直搬送を構成、適合し、前記搬送路の少なくとも1つは、バイパスされることを特徴とする、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記容器(11)が前記搬送路の少なくとも1つをバイパスすることにより、前記容器(11)の搬送に設けられる前記気絶処理路を縮小することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ガス及び/又は混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス(28)により前記気絶処理室(12)内に供給されることを特徴とする、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
第1の濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスは、前記少なくとも1つのガス供給デバイス(28)により、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の最下気絶処理区域内に供給されることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記気絶処理区域(13、14、15)の少なくとも1つ、好ましくは、前記気絶処理区域の最下気絶処理区域(15)において、酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、前記少なくとも1つのガス供給デバイス(28)により供給され、ある濃度の気絶処理ガスを有する酸素含有混合ガスを構成、適合することを特徴とする、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記気絶処理室(12)において、少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流Gは、前記少なくとも1つのガス流デバイス(29)により、最初の気絶処理区域(13、14、15)から別の気絶処理区域(13、14、15)に、好ましくは最下気絶処理区域(15)から上の気絶処理区域(14、13)の少なくとも1つに供給されることを特徴とする、請求項22から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記容器(11)はそれぞれ、前記少なくとも3つの気絶処理区域(13、14、15)を前記気絶処理路に沿ってほぼ水平方向で次々に通過する、即ち、混合ガス中5~25%の気絶処理ガスの濃度を伴う第1の段階I、混合ガス中25~50%の気絶処理ガスの濃度を伴う第2の段階II、及び混合ガス中50~100%の気絶処理ガスの濃度を伴う第3の段階IIIを通過することを特徴とする、請求項22から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
段階IからIIIを有する前記気絶処理区域(13、14、15)において、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に起こり得る変動は、前記混合ガス中の気絶処理ガスの濃度を増減させることによって、好ましくは、前記少なくとも1つのガス供給デバイス(28)を使用して少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスを供給することによって補償し得ることを特徴とする、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記混合ガス中の気絶処理ガスのガス濃度は、前記少なくとも2つの気絶処理区域(13、14、15)の少なくとも1つにおいて監視されることを特徴とする、請求項22から33のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、と畜を目的とし、容器内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理するように構成、適合される装置に関し、装置は、少なくとも2つの気絶処理区域を有する少なくとも1つの気絶処理室と、気絶処理室の入口側に配置される、生きた食鳥を収容する容器のための少なくとも1つの投入ステーションと、気絶処理室の出口側に配置される、気絶処理された食鳥を収容する容器のための少なくとも1つの排出ステーションと、少なくとも1つの搬送コンベヤを有する搬送デバイスとを備え、少なくとも1つの搬送コンベヤは、少なくとも1つの搬送路に沿って投入ステーションから気絶処理室を通じて排出ステーションに容器を搬送するように構成、適合される。
【0002】
本発明は、と畜を目的とし、容器内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理する方法に更に関する。
【背景技術】
【0003】
食鳥をガスで気絶処理する装置及び方法は、従来技術において長年公知であり、特に、と畜を目的とする動物に優しい、好ましくは低ストレスの前処理のために使用される。そのような装置及び方法は、例えば、致死及び/又は気絶処理濃度で食鳥に与えられる気絶処理ガスとして二酸化炭素を使用する。したがって、気絶処理とは、深いが、可逆的な意識消失にある食鳥の鎮静状態(いわゆる「眠りに落ちた段階」)(制御雰囲気による気絶処理(Controlled Atmosphere Stunning)=CAS)、及び不可逆的な意識消失、即ち脳死に至る気絶処理(制御雰囲気によると畜(Controlled Atmosphere Killing)=CAK)の両方を指す。意識消失の程度は、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスへの露出継続時間に依存する。気絶処理が、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度が変動する、特に増大する段階で行われるのは、この理由である。基本的に、と畜前、食鳥は、個々の動物福祉の指令に従って、脳死までの深い意識消失状態にしなければならない。しかし、特に、脳死が生じている際の意識消失と、と畜、即ち、通常は首の側部に位置する血管の切開を伴う喉の切裂き又は頭部切断との間の時間間隔は、と畜時、心臓が依然として残りの機能を有して喉の切裂き又は頭部切断後の放血工程を支援するように、最小に保たなければならない。
【0004】
特にブロイラーを含むが、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ等も含む食鳥の気絶処理は、動物福祉に関連する指令に準拠するようにいくつかの段階で行われる。前進的な気絶処理の場合、装置は、食鳥が様々な気絶処理ガスの濃度を有する混合ガスに露出される少なくとも2つの気絶処理区域を有する。二酸化炭素(CO2)は、単なる例として、気絶処理ガスとして述べられる。しかし、他の承認された気絶処理ガスも混合ガスの成分として使用し得る。理事会規則(EC)1099/2009によれば、食鳥は、混合ガス中40%超のガス濃度の気絶処理ガスに露出される前に完全に意識を消失していなければならない。食鳥は、安全に、完全に意識を消失している場合のみ、混合ガス中40%超の気絶処理ガスの比率を有する混合ガスに露出され、これにより、食鳥の脳死(この場合、と畜と言う)まで、深い長期の意識消失(この場合、気絶処理と言う)をもたらし得る。好ましくは、したがって、本発明による装置は、少なくとも2つの気絶処理区域も備え、気絶処理区域の1つは、混合ガス中に40%未満の割合の気絶処理ガスを有し、気絶処理区域の少なくとも更なる1つは、混合ガス中に40%超の割合の気絶処理ガスを有する。
【0005】
食鳥を気絶処理室を通じて、例えば、搬送コンベヤ上で又はオーバーヘッド・コンベヤにより搬送する多数の装置及び方法は、公知である。更に、容器内の食鳥が気絶処理室を通じて案内される様々な装置及び方法は公知である。国際公開第99/60861号は、1つ又は複数の段階で混合ガスを生成、維持する方法及び装置、並びに食鳥を気絶処理する機器の使用を開示している。これらの段階は、気絶処理トンネル又は他の適切な機器等、施設内の区域によってもたらし得る。混合ガスは、二酸化炭素ガス(CO2)及び酸素(O2)及び可能性として多少の空気から構成される。そのような方法及び装置では、動物を、異なるガス濃度を有する既存の段階を相次いで通過させるため、柔軟性が低く、大量の空間を必要とする。更に、傾斜した気絶処理トンネルは、気絶処理する動物の搬送路に沿って正確なガス濃度を設定、維持するのに問題となる。
【0006】
国際公開第2004/64528号は、と畜する食鳥をガスで気絶処理する方法及びシステムを示しており、ガスによる鳥の気絶処理は、鳥を搬送クレートから取り出した後に行われ、鳥は、気絶処理室を通じてコンベヤにより連続搬送され、鳥を気絶処理するガスの効果は、コンベヤ上で鳥の気絶処理室を通る搬送時間及び/又は搬送路の短縮又は延長によって調節することが可能である。この場合、気絶処理室は、ピットとして構成され、気絶処理される動物は、気絶処理室を通じて搬送される、したがって、個々のガス濃度を通って、個々に傾斜コンベヤ上で搬送される。搬送路の変化は、伸縮コンベヤによってもたらされ、伸縮コンベヤは、一方で、費用、空間及び整備に集約的であり、もう一方で、気絶処理路の設計の際に低い柔軟性しかもたらさない。
【0007】
国際公開第2014/184770号は、食鳥を気絶処理する方法及び装置を開示している。気絶処理ガスは、閉鎖室に供給され、閉鎖室では、食鳥は、複数の連続環境を通じて、気絶処理ガスの濃度が最小である入口と、気絶処理ガスの濃度が最大である出口との間で搬送される。気絶処理ガスの濃度は、各環境から次の環境に、最初は最小増加率で、次により高い増加率で、最大濃度に達するまで増加する。この閉鎖室は、地上気絶処理トンネルを表し、地上気絶処理トンネルを通じて、食鳥は、ケージ内で下方に階段状に搬送され、工程において気絶処理される。
【0008】
国際公開第2015/156668号は、食鳥供給開口と食鳥排出開口とを有する細長い気絶処理空間を用いて食鳥を気絶処理する装置及び方法に関し、細長い気絶処理空間は、少なくとも2つの隣接する区画に分割され、制御された気絶処理ガスの供給部は、細長い気絶処理空間に隣接し、コンベヤは、細長い気絶処理空間に通じ、食鳥の搬送路をもたらし、細長い気絶処理空間の少なくとも一方の側は、移行区画に接続される。
【0009】
しかし、公知の装置及び方法は全て、食鳥の気絶処理に大きな空間を必要とするため、単一の装置で限られた数の食鳥しか気絶処理できないという、同じ欠点を有する。食鳥処理施設には、食鳥に対する毎分の事前設定処理能力があり、食鳥の供給は、この事前設定処理能力を満たさなければならない。食鳥処理施設の目標は、食鳥の連続した流れを処理し、予測可能で一貫した収量を得ることである。近年、食鳥を更に処理する装置は、この装置でより高い処理能力が可能であるように開発されるようになってきている。上流気絶処理の場合、このことにより、全体の処理に対する所望の標的値を達成するため、処理能力の増大が必要となる。現在、気絶処理能力の増大は、主に、より大型の気絶処理装置によって、又は気絶処理装置の数を施設内で増大させることによって達成されるが、高い空間要件及び投資費用のため、多くの施設には適していない。
【0010】
更に、公知の装置及び方法は、食鳥が装置を通過するのにかかる時間調節が柔軟ではない。しかし、食鳥は、解剖学的構造、サイズ、重量等に相当なばらつきを受けることが多い天然製品であるので、食鳥は、動物に最も優しく、効率的な処理を保証する広く様々なガス供給時間及び濃度を必要とすることがある。大部分の食鳥処理施設は、様々なサイズ及び重量の食鳥を処理するため、指定の搬送容器内に異なる数の食鳥がいることになる。更に、異なる数の食鳥は、高温の間、並びに夏と冬との間の温度差及び湿度差の間、搬送容器内に置かれる。更に、食鳥の群は、飼育中、様々なストレス要因に露出されていることがあるため、ガス供給時間及び/又は濃度を増減させる必要がある場合がある。更に、特定のガス供給時間及び濃度は、食鳥の異なる種に対して必要とされる。したがって、実際には、食鳥に対して最適なガス供給要素が選択されていないということがたびたび生じる。
【0011】
容器又はクレート(容器、箱、引出し等)の通過に適している現在公知の気絶処理装置に伴う更なる欠点は、気絶処理装置内の食鳥に様々な露出時間がもたらされる限り、後続の更なる処理ステーション(例えば、と畜ライン)の速度を、気絶処理される食鳥の変動する排出に適合できないことである。気絶処理される食鳥の一定の供給を保証するには、施設内に緩衝領域が必要とされるが、費用及び品質の側面から避けるべきである。と畜は、品質が失われないようにするため、可能な限り早く気絶処理に続くべきである。
【0012】
更に、食鳥の気絶処理は、特定のガス供給時間及び濃度で進める必要がある。ガス供給継続時間又はガス濃度の変更により、過剰な気絶処理、不十分な気絶処理、不正確な気絶処理(脱羽の問題)及び鳥への損傷(羽の破損)等がもたらされ得る。気絶処理終了と放血との間の時間の隔たりを最小にするため、誤った時間での食鳥への過剰な気絶処理を回避することは、必須である。放血のためにと畜されるまで、より長い時間期間の間混合ガスに露出される食鳥、又はより長い時間期間の間気絶処理状態若しくは脳死状態のままである食鳥は、通常、残留する心臓機能がなく、と畜又は頭部切断後、放血をより困難なものにする。このようにして、廃棄物が生じる、又は人手による2次作業が必要であり、より高額な処理費用又は品質の低下へとつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第99/60861号
【特許文献2】国際公開第2004/64528号
【特許文献3】国際公開第2014/184770号
【特許文献4】国際公開第2015/156668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、全ての食鳥の均一で確実な気絶処理を保証し、需要を優先した容器の搬送も保証する単純で小型の装置を提案することであり、容器は、装置によると畜を目的とする食鳥を含む。目的は、更に、対応する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、既に言及した装置によって達成され、少なくとも1つの気絶処理室は、地上に配置され、少なくとも2つの気絶処理区域は、ほぼ水平に上下に置かれるように構成、適合され、少なくとも2つの気絶処理区域の混合ガスは、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、少なくとも2つの気絶処理区域の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、気絶処理区域の最上気絶処理区域から開始して気絶処理区域の最下気絶処理区域まで増大し、搬送デバイスは、ほぼ水平に蛇行する少なくとも1つの搬送路上で少なくとも2つの気絶処理区域を通じて気絶処理室内の気絶処理路に沿って容器を搬送し得るように構成、適合される。本発明による装置は、食鳥施設における処理能力の増大に基づき、そのような装置の空間要件が低減されることを保証し、水平で蛇行する気絶処理路により、食鳥のより高い処理量をもたらすことを可能にする。同時に、気絶処理路は、本発明の装置により様々に変更し得る。即ち、気絶処理路は、延長又は低減し得る。上下に置かれる少なくとも2つの気絶処理区域における蛇行設計のために、工程路を延長し得る一方で、一定の表面を維持する。代替的に、そのような気絶処理区域は、それぞれ、通過すべき気絶処理路若しくは工程路を含む複数のレベル又は段階であると理解されたい。水平に上下に構成、適合される気絶処理区域の場合、気絶処理区域に含有される混合ガスの間に明確な境界があり、これにより、特に好ましくは、規定された濃度の気絶処理ガスが気絶処理区域のそれぞれに充満する。好ましくは、容器は、気絶処理区域のそれぞれを通じて、好ましくは速度について、搬送デバイスにより様々に搬送可能である。相応に設定された通過速度により、食鳥に与えるべき露出時間及び気絶処理ガスの量は、気絶処理区域のそれぞれに対して独立して設定し得る。少なくとも2つの気絶処理区域の混合ガス中の様々な気絶処理ガスの濃度は、動作中、気絶処理工程の様々な段階における処理時間のパラメータの調節が可能であるために、気絶処理効率を改善する。蛇行する気絶処理路の間、本発明による装置は、対応する気絶処理区域において、所定の時間期間の間、投入ステーションの領域における気絶処理室への供給から、排出ステーションの領域における排出まで、混合ガス中の所望の濃度の様々な気絶処理ガスに容器内の食鳥を露出させ、例えば、後続のと畜工程に搬送する。本発明の意味において容器の搬送について言う際、上下に配置された、好ましくは積み重ねた複数の容器を明確に意味する。したがって、容器は、単一容器であっても、上下に配置された複数の容器であってもよい。本発明による装置は、より好ましくは、能力を増大させるため、容器が、複数列で並べて気絶処理室を通じて搬送されるように構成、適合し得る。
【0016】
水平に上下に配置される気絶処理区域の空間が近接しているため、それぞれの気絶処理区域の間の単純化された交換がもたらされ、好ましい実施形態では、上下に置かれる気絶処理区域の間のガス交換は、例えば、対応する気絶処理区域内の気絶処理ガスのガス濃度を増減するように実行し得る。代替的に、上又は下に置かれる気絶処理区域内の容器の交換は、好ましくは、例えば、それぞれの気絶処理区域において食鳥を含む容器の露出時間を増減させるように実行し得る。したがって、上下の気絶処理区域の構成は、気絶処理区域の間の単純なアクセスを可能にし、この結果、様々な条件を迅速に調節し得る。更に、このようにして、食鳥は、気絶処理後、気絶処理室からより迅速に排出し得る。というのは、装置全体が少量の空間を占め、搬送路を低減するためである。更に、代替的に例えばS字形構成とも呼び得る蛇行構成は、様々な濃度の気絶処理ガス、例えば二酸化炭素を有する混合ガスの密度の自然な差の利用を可能にし、上下に置かれる気絶処理区域のそれぞれにおいて、様々な濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスを供給する。
【0017】
特に、装置は、ニワトリをガスで気絶処理するように構成、適合される。しかし、本発明は、同様に、と畜を目的とする同種の食鳥に関する。容器は、1羽又は複数の食鳥を受け入れるように構成、適合され、基本的に自由設計であるが、例えば、少なくとも部分的に容器を閉鎖するように開口又は少なくとも1つのカバー要素を設け得る。例えば、容器の場合、例えば、側壁領域内の換気開口、又はメッシュ構造により、開口を設け得る。そのような容器は、代替的に、クレート、ケース、箱、引出し、ケージ、容器、チェスト等とも呼ばれ、したがって、本発明の意味の範囲内にあることも理解されたい。気絶処理室は、全ての開放又は閉鎖された枠、筐体、槽、トンネル、部屋、空間等として広く定義され、そのような気絶処理室は、好ましくは、閉鎖されている。使用される気絶処理ガスは、好ましくは周囲空気より重く、気絶処理ガスを有する混合ガスが、上側気絶処理区域の1つに提供された場合、気絶処理室の底の方に沈み、気絶処理ガスの最も高いガス濃度が底に存在するようにする。しかし、本発明は、周囲空気より重い気絶処理用ガス又は混合ガスの使用のみに限定されない。そうではなく、周囲空気より軽い、又はその密度が周囲空気の密度に対応する気絶処理ガス又は混合気絶処理ガスも使用し得るが、これらの場合、例えば、搬送方向及び/又は搬送速度の変更によって、容器の搬送に調節を必要とする場合がある。本発明の意味における混合ガスは、例えば、単に貯蔵タンク内に充満する圧力に基づき、気絶処理室内又は気絶処理区域内に供給される混合ガス及び更には純ガスの両方を意味する。しかし、好ましくは、安価で安全に利用可能であるため、気絶処理ガスとして二酸化炭素が使用される。
【0018】
気絶処理区域の上下の水平配置は、気絶処理区域の様々な搬送路が同じ表面上に配置されるので、わずかな表面に高い能力をもたらす。「実質的に上下に水平」とは、本発明の目的で、上下に、水平又はほぼ水平であり、即ち、多くとも±15°、好ましくは、多くとも±5°のずれを伴うことを意味する。ほぼ水平に上下に置かれる少なくとも2つの気絶処理区域は、装置の小型設計を可能にし、気絶処理区域内の気絶処理路に沿って容器又は食鳥を最も快適に搬送するように構成、適合する。少なくとも1つの気絶処理区域は、好ましくは、気絶処理室の基体又は床に平行に向けられる。上下配置により、表面の複数の使用をもたらし、食鳥処理施設上に構築される面積を低減させる。地上配置も、費用対効果の高い構造をもたらす。というのは、地下ピット等が不要であるためである。地下ピット等は、整備の増大を必要とし、作業スタッフに途方もない危険の可能性をもたらす。二酸化炭素は空気より高い密度を有するために、上下の気絶処理区域は、食鳥を気絶処理する気絶処理区域の最下気絶処理区域内に高濃度の二酸化炭素をもたらすのに容易な方法をもたらす。というのは、気絶処理を目的とする適切なガス濃度のために技術的に多くを要求する構造は、不要であるためである。「地上」とは、本発明の目的で、気絶処理室の少なくとも大部分が地上に置かれる、即ち、地面の上又はと場の床の上に置かれることを意味するが、このことは、気絶処理室が少なくともわずかに地面の下にあることを除外するものではない。地上、及び同時に上下の配置のために、モジュール式で、拡張可能であり、需要を優先した装置を単純で確実に提供でき、一方で、更なる気絶処理区域又は区分を追加でき、もう一方で、装置の体積全体を使用する必要はなく、このため、気絶処理される食鳥を収容する容器は、所望の気絶処理又は食鳥の種若しくはサイズに応じて、ただ1つの区分又はより少数の既存の気絶処理区域を通じて案内し得る。
【0019】
好ましい実施形態は、搬送デバイス、投入ステーション及び/又は排出ステーションは、ほぼ垂直に容器を搬送する少なくとも1つの引上げデバイスを備えることを特徴とする。「ほぼ垂直」とは、本発明の目的で、垂直又はほぼ垂直であり、即ち、多くとも±15°、好ましくは、多くとも±5°のずれを伴うことを意味する。引上げデバイスは、好ましくは、少なくとも1つの隣接する気絶処理区域にほぼ直交して延びる。一方で、少なくとも1つの引上げデバイスは、気絶処理室内又は少なくとも1つの気絶処理区域内へ容器を搬送し、もう一方で、少なくとも1つの気絶処理室又は少なくとも1つの気絶処理区域から容器を出すことを可能にする。引上げデバイスは、様々な設計及び動作モードで単一装置内に存在し得る。しかし、引上げデバイスは、少なくとも容器を垂直に搬送するように構成、適合される。
【0020】
本発明の更なる有利な実施形態では、搬送デバイスは、複数の搬送コンベヤを備え、搬送コンベヤの数は、少なくとも、設けられる気絶処理区域の数に対応する。このようにして、使用される搬送路又は食鳥に応じて、容器を個別に搬送することが可能であり、気絶処理区域のそれぞれにおいて柔軟な搬送速度又は搬送路を構成、適合するようにする。少なくとも1つの個々の気絶処理区域は、好ましくは、複数の搬送コンベヤを有する。例えば、複数の搬送コンベヤを単一気絶処理区域内に有することによって、既存の搬送コンベヤを特定の容器の様々な速度又は間隙のために構成、適合し得る。
【0021】
有利な展開は、搬送コンベヤのそれぞれが、気絶処理区域の1つの少なくとも一部分を通る搬送路に沿って、容器をほぼ水平に搬送するように構成、適合されることを特徴とする。「容器のほぼ水平な搬送」とは、本発明の目的で、水平又はほぼ水平であり、即ち、多くとも±15°、好ましくは、多くとも±5°のずれを伴うことを意味する。このことは、食鳥が可能な限り自然に搬送されることを保証する。更に、水平な搬送は、わずかな表面を有する設計を可能にし、小型構造を保証する。搬送デバイスの搬送コンベヤは、様々な実施形態で単一装置内に存在し得る。しかし、搬送コンベヤは、少なくとも、搬送路に沿って気絶処理区域の少なくとも1つの区分を介して容器を搬送するように構成、適合される。好ましくは、搬送コンベヤの少なくとも1つは、少なくとも2つの搬送方向で容器を搬送するように構成、適合される。より好ましくは、搬送コンベヤの少なくとも1つは、4つの搬送方向で容器を搬送するように構成、適合される。
【0022】
本発明の便宜的な実施形態は、少なくとも1つの引上げデバイスが、少なくとも2つの気絶処理区域の間の気絶処理路の進路内に設けられ、少なくとも2つの気絶処理区域が、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、少なくとも2つの気絶処理区域の間で容器を垂直に搬送するように構成、適合されるようにし、この搬送が、搬送路の少なくとも1つをバイパス可能であることを特徴とする。バイパスにより、可能な気絶処理路の短縮を可能にし、この結果、一方で、充満する気絶処理ガスのガス濃度に気絶処理路を適合し、もう一方で、例えば、数、サイズ、重量、種等に関して、容器内で搬送される食鳥に適合し得る。言い換えれば、少なくとも2つの搬送コンベヤ及び少なくとも2つの気絶処理区域の搬送路は、少なくとも1つの引上げデバイスと共に、気絶処理室内の気絶処理路の少なくとも一部にわたり、容器を垂直に搬送し得るように互いに構成、適合され、搬送コンベヤの1つの少なくとも1つの搬送路をバイパス可能である。より好ましくは、垂直搬送は、食鳥を収容する1つ又は複数の容器を外に搬送することが可能である。全体として、気絶処理室内を横断する距離は、様々に調節でき、距離の減少又は延長を可能にする。
【0023】
更なる好ましい実施形態によれば、容器の搬送のために設けられる気絶処理路は、搬送路の少なくとも1つを引上げデバイスによりバイパスした際に短縮し得る。このことは、そのような装置の適用範囲を更に増大させる。というのは、こうして、様々なサイズ構成又は数の食鳥を、容器を伴う必要な気絶処理に様々に調節し得るためである。このようにして、気絶処理路は、容器内の特定の食鳥に応じて、例えば、食鳥のサイズ、数及び/又はストレス・レベルに応じて調節し、可能な最短時間で「スイート・スポット」を通じて食鳥を搬送し得る。後続の気絶処理ガスの濃度に応じて、この気絶処理路は、後続の気絶処理区域を通じて、食鳥に苦痛を生じさせずに、食鳥を気絶させるか又は不可逆的に意識を消失させて搬送することを可能にする。この背景において、「スイート・スポット」とは、好ましくは、0%から5%から開始して、40%までの二酸化炭素濃度を表し、この結果、食鳥が眠りに落ちた段階が全般的に構成、適合される。より小型の食鳥又は1つの容器につきより少数の食鳥は、より大型の食鳥又は1つの容器につきより多数の食鳥よりも速くいわゆる「スイート・スポット」に到達する。
【0024】
本発明の更なる便宜的な実施形態は、引上げデバイスが、気絶処理区域の1つにおいて、容器を引上げデバイスにより搬送する際、対応する気絶処理区域の距離を縮小し得るように構成、適合されることを特徴とする。様々な食鳥の群及び様々なサイズの食鳥は、様々な身体敏捷性及び活動の段階にある場合があり、これらは、ストレス、苦痛、取扱い、気候等の環境によって影響を受ける。一部の食鳥の群は、かなり平静である一方で、他の群は、かなりストレスがかかり、活発である。このことにより、眠りに落ちる段階/気絶処理段階に様々な処理時間を必要とする。様々な処理時間は、引上げデバイスによって構成、適合されるバイパス路の1つの使用によって補償される。そのような遠回りも、「バイパス」の概念の下、公知である。このようにして、処理時間は、一定の搬送速度で低減し得る。更に、一部の食鳥の群は、眠りに落ちる段階/気絶処理段階により長い時間を必要とする。好ましくは、容器を引上げデバイスにより搬送する際、対応する気絶処理区域の距離は、引上げデバイスにより容器を下側気絶処理区域から上側気絶処理区域に再度供給することによって延長し得る。このようにして、処理時間は、一定の搬送速度で延長し得る。
【0025】
本発明の好ましい展開は、搬送デバイス及び/又は少なくとも1つの引上げデバイスが、食鳥に対して調節可能であり、容器内の食鳥の数及び/又は重量に応じて可変搬送速度及び/又は可変気絶処理路を設定し、食鳥の数及び/又は重量に特有の気絶をもたらし得るようにすることを特徴とする。用語「重量」は、特に、食鳥のサイズも含む。より好ましくは、搬送デバイス及び/又は少なくとも1つの引上げデバイスを、種に特有の調節が可能であるように構成、適合し得る。搬送デバイス及び/又は少なくとも1つの引上げデバイスにより気絶処理路が調節可能であることにより、実際の外観に基づき、存在する食鳥に特定の気絶処理を改善する。原則として、より大型の又はより重い食鳥は、より高いガス濃度の気絶処理ガス又は気絶処理ガスへのより長い露出を必要とするため、そのような食鳥は、好ましくは、搬送デバイスによりよりゆっくりと搬送される、及び/又は引上げデバイスによりより長い気絶処理路が選択される。より小型又はより軽量の食鳥の場合、更なる好ましい実施形態では、搬送デバイスによりより速い搬送を構成、適合する、及び/又は例えば、少なくとも1つの引上げデバイスにより気絶処理路の少なくとも一部をバイパスすることによって気絶処理路の短縮を構成することが可能である。
【0026】
本発明の便宜的な実施形態は、気絶処理室が、閉鎖気絶処理トンネルとして構成、適合され、気絶処理路が、ほぼ水平に蛇行して延在し、少なくとも2つの気絶処理区域が、上下に、ほぼ水平に蛇行して配置されることを特徴とする。この目的で、気絶処理トンネルは、好ましくは、管形状又はS字形であり、個々の気絶処理区域は、互いから隔てられる。閉鎖された気絶処理トンネルは、丸い断面に限定されず、むしろ、例えば、長方形の直径も可能である。気絶処理トンネルは閉鎖領域を表し、蛇行構成のために、長さの点で空間の拡張をほとんど必要とせず、同時に、様々な気絶処理区域のために、気絶処理ガスが室内に分散する間、気絶処理ガスの自然な特性を使用し得る。例えば、気絶処理ガスの自然な特性に従って、より重い気絶処理ガスは、下側気絶処理区域内に存在する。好ましくは、気絶処理トンネルの気絶処理室は、低濃度、中間濃度及び高濃度の気絶処理ガスを伴う3つの気絶処理区域に分割し得る。更に好ましい実施形態では、二酸化炭素の自然な密度は、装置のより高い領域内により低いガス濃度を供給するために使用され、より高い領域には、例えば、投入ステーション及び/又は排出ステーションが配置される。このことにより、安全な作業環境がもたらされ、傷害の危険性を低減する。
【0027】
有利な展開は、気絶処理室が、少なくとも2つの気絶処理区域と共に気絶処理区画を備え、容器は、各場合で、搬送コンベヤの少なくとも1つにより、少なくとも2つの気絶処理区域を通じてほぼ水平に搬送可能であり、少なくとも1つの引上げデバイスが、少なくとも2つの搬送コンベヤの間を垂直に搬送するように構成、適合されることを特徴とする。このことにより、装置による容器の搬送を可能にし、様々な気絶処理路を示し、容器内で搬送される食鳥に応じて個々の気絶処理路も構成、適合する。気絶処理区画は、好ましくは、少なくとも2つの気絶処理区域の間に開口を備えることができ、隣接する気絶処理区域の間に気絶処理ガスを少なくとも部分的に通過させる。更なる実施形態では、気絶処理区域は、開口が引上げデバイスの領域内でのみ形成されるように、互いから隔てることができ、一方で、容器は、これらの開口を通じて搬送され、もう一方で、開口を介してガス交換を構成することが可能である。
【0028】
本発明の更に好ましい実施形態では、少なくとも1つの投入ステーション及び/又は少なくとも1つの排出ステーションが、少なくとも1つのガス障壁を備え、少なくとも1つのガス障壁が、実質的に混合ガスが気絶処理室内に留まる及び/又は実質的に周囲ガスが気絶処理室に入らないように構成、適合される。このようにして、望ましくない気絶処理室からのガスの漏出を防止する、又は望ましくない気絶処理室へのガスの進入を保護するオプションが提供される。少なくとも1つのガス障壁は、漏出した気絶処理ガスによる健康への危険の可能性を防止する。ガス障壁は、例えば、カーテン、エアロック・デバイスにより、又はエアロックを形成する構造的な処置によって構成、適合し得る。好ましくは、容器の投入ステーション及び/又は排出ステーションは、エアロック等で単純に閉鎖し得る。
【0029】
本発明の更に有利な実施形態では、気絶処理室は、ガス及び/又は混合ガスを気絶処理室内に供給するように構成、適合される少なくとも1つのガス供給デバイスを備える。少なくとも1つのガス供給デバイスは、好ましくは、食鳥を気絶処理するのに十分な気絶処理ガスの濃度で気絶処理ガスを供給する。好ましくは、複数のガス供給デバイスは、気絶処理室の内部に置かれ、気絶処理室は、気絶処理ガス及び/又は空気若しくは酸素を供給するように構成、適合される。このようにして、気絶処理室内に充満するガス・レベルは、所望のガス及び/又は混合ガスを供給することによって即座に調節し得る。更なる好ましい実施形態では、装置は、ガス抜きデバイスを備え、ガス抜きデバイスは、気絶処理室内に含有されるガス及び/又は混合ガスを少なくとも部分的に排出するように構成、適合される。そのようなガス抜きデバイスは、例えば、ファン又は吸気デバイスとして構成、適合される。
【0030】
本発明の更なる便宜的な実施形態は、気絶処理ガス又は気絶処理ガス含有混合ガスが、少なくとも1つのガス供給デバイスの少なくとも1つにより、少なくとも2つの気絶処理区域の最下気絶処理区域内に供給でき、第1の濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスを最下気絶処理区域内に構成、適合することを特徴とする。好ましい実施形態では、気絶処理区域の最下気絶処理区域内の混合ガスの濃度は、少なくとも40%の気絶処理ガス、特に好ましくは、少なくとも50%の気絶処理ガスを含有する。
【0031】
本発明の有利な展開は、酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイスの少なくとも1つにより、気絶処理区域の少なくとも1つ内に供給でき、ある濃度の気絶処理ガスを有する酸素含有混合ガスを構成、適合することを特徴とする。少なくとも1つのそのようなガス供給デバイスにより、気絶処理区域の1つ及び/又は気絶処理区域全体における気絶処理ガスの濃度の調整を構成、適合することが可能である。気絶処理ガスのガス濃度が高すぎる場合、例えば、それぞれの気絶処理区域内に充満する気絶処理ガスの濃度を調節するように酸素を追加し得る。このようにして、全体濃度の気絶処理ガスの含量を低減し、例えば、様々な種若しくはサイズの食鳥、又は1つの容器ごとの食鳥の数に対して調節をもたらし得る。
【0032】
本発明の更なる便宜的な実施形態は、気絶処理室が、少なくとも1つのガス流デバイスを備え、少なくとも1つのガス流デバイスが、気絶処理区域の最初の気絶処理区域から気絶処理区域の別の気絶処理区域に、好ましくは最下気絶処理区域から上の気絶処理区域の少なくとも1つに少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流をもたらすように構成、適合されることを特徴とする。このことにより、気絶処理室内に含有されるガスのガス流を能動的に供給可能にし、このようにして、ガス流が気絶処理区域の少なくとも1つ又は気絶処理区域全体の中で分散される。食鳥のウェルビーイングのため、即ち、通常はより低い気絶処理ガスの濃度での安楽死段階を含む気絶処理工程の間、常に、食鳥が平静でストレスの徴候がないままにすることが重要である。気絶処理工程の間にストレスが生じた場合、食鳥は、翼をばたつかせ始め、これにより、肉を傷つけ、翼を折る場合がある。ガス濃度の急激で段階的な増大があれば、食鳥はこの変化に反応する。ガス流デバイスにより、気絶処理の間、気絶処理ガスの濃度、好ましくは二酸化炭素の濃度の一定であるが緩やかな増大が構成、適合され、食鳥がガス濃度の増大に気付かないようにする。このガス濃度の増大は、食鳥にストレスを生じさせないように、例えばカーテン、エアロック等による連続的な段階又は中間区画を伴わずに行われる。容器は、搬送デバイスにより、より高いガス濃度に着実に増大する流れに向かって移動され、食鳥はこの移動に気付くことがない。
【0033】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、ガス流デバイスは、気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスを気絶処理室内、好ましくは最下気絶処理区域内に流すように構成、適合され、気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスのガス濃度は、蛇行する気絶処理路に沿って、気絶処理ガスの最大ガス濃度から開始して、徐々に減少する。言い換えれば、ガス流デバイスにより、気絶処理区域の蛇行構成の進路において、気絶処理ガス含有混合ガス流を供給することが可能であり、気絶処理ガスのガス濃度は、投入ステーションから開始して、容器の搬送方向の進路において徐々に増大する。容器は、好ましくは、より高いガス濃度に向かって、より高いガス濃度の方向で搬送され、この結果、容器内に収容される食鳥は、より低いガス濃度から開始して、増大するガス濃度の気絶処理ガスに徐々に露出される。例えば、酸素又は空気より高い濃度を有する二酸化炭素の性質は、様々なガス濃度を達成するために使用される。1つの方法は、気絶処理室の最下点で純二酸化炭素を供給し、投入ステーションまで二酸化炭素含量の一定の減少を制御することから構成され、この一定の減少は、1つ又は複数の点で酸素又は周囲空気を追加することによって行われ、好ましい実施形態では、入口からの第1の通過における1.5%から50%のCO2から意識消失の「スイート・スポット」まで(40%まで)のCO2曲線をもたらすようにする。この後、より高い濃度のガスを必要に応じて供給し、不可逆的な意識消失を食鳥に引き起こし得る。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、ガス及び/又は混合ガスのガス流が、気絶処理トンネルを通じて、蛇行する気絶処理路に沿って、少なくとも1つの引上げデバイスを介して、最下気絶処理区域から上の気絶処理区域の少なくとも1つに流通可能であることを特徴とする。したがって、ガス及び/又は混合ガスは、気絶処理室全体の進路にわたり、複数の気絶処理区域を通じて搬送し得る。この目的で、少なくとも1つの引上げデバイスは、好ましくは、少なくとも必要に応じてガス及び/又は混合ガスを通過させるように構成、適合される少なくとも1つの開口を有し得る。そのような開口は、より好ましくは、封止可能であるように構成、適合される。
【0035】
更に好ましい実施形態によれば、装置は、制御ユニット及び/又は調整ユニットを備え、制御ユニット及び/又は調整ユニットにより、当該又は各搬送コンベヤの搬送速度、少なくとも1つの引上げデバイスの使用、及び混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に対する混合ガスの組成を、気絶処理区域の少なくとも1つの中で制御/調整し得る。この目的で、制御及び/又は調整ユニットは、好ましくは、制御及び/又は調整動作を構成、適合する少なくとも1つのコンピュータ・ユニットを備える。制御及び/又は調整ユニットは、より好ましくは、経験データ及び/又は提供される情報に基づき、例えば、気絶処理区域内のガス濃度若しくは組成に基づき、制御及び/又は調整を実行するように構成、適合される。容器内で搬送される食鳥の数、サイズ及び/又は種は、制御及び/又は調整のために好ましく考慮される。更に、制御及び/又は調整は、気絶処理室内又は気絶処理区域内に充満する気絶処理ガスの濃度に基づき実行し得る。より好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、対応する動作、即ち、気絶処理路、搬送速度及び/又は気絶処理ガスの濃度の調節が自動的に実行されるように構成、適合される。好ましい実施形態では、ガス供給デバイス及び/又はガス流デバイスも、制御及び/又は調整ユニットにより制御可能及び/又は調整可能であるように構成、適合される。本発明による装置又は制御及び/若しくは調整ユニットは、好ましくは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を備えるように構成、適合される。PLC制御システムは、特に、様々な相互依存パラメータを制御するように構成、適合され、例えば、搬送デバイス(搬送コンベヤ)の速度、各容器内の食鳥の数、後続工程(例えば、と畜ライン)の速度、効果的な気絶処理時間、各気絶処理区域内のガスの濃度、警報等による気絶処理区域の監視、特に、気絶処理路の変更を制御及び/又は調整し得るようにする。気絶処理路の変更は、少なくとも1つの搬送路をバイパスすることによって達成され、少なくとも1つの搬送路は、対応する引上げデバイスをイン又はアウトで切り替えることによって、即ち、例えば、長い「眠りに落ちる段階」が必要であるか、又は短期間の高濃度が必要であるかどうかで切り替えることによって制御及び/又は調整される。制御及び/又は調整ユニットは、好ましくは、上記で参照したパラメータの調節が自動的に、例えば、設定変更が相応に行われるように構成、適合され、例えば、食鳥がより大型である(容器内及び搬送コンベヤ上にいる食鳥がより少ないことを意味する)が、後続工程(例えば、と畜ライン)の速度は同じままである場合、1分当たりの気絶処理室を通じて搬送される食鳥の数を増大させる、即ち、搬送速度を増大し、気絶処理路を延長する必要がある。全ての情報及びパラメータは、例えばコンピュータ(システム)として構成、適合されるPLC又は制御及び/若しくは調整ユニットによって監視され、設定は、好ましくは、動作中、容器内の食鳥に対応して、より好ましくは自動的に、直ちに制御可能及び/又は調整可能である。
【0036】
1つの展開は、当該又は各投入ステーションが、少なくとも1つの搬送路上に容器を垂直及び/又は水平に供給するように構成、適合されることを特徴とする。製造現場での条件に応じて、容器を気絶処理室内に案内するため、供給は、好ましくは上から垂直方向で、例えば引上げデバイスにより行い得る、及び/又は側方から水平方向で、例えば横断コンベヤにより行い得る。これにより、小型装置をもたらす。ところで、同じことは、当該又は各排出ステーションにも当てはまる。より好ましくは、水平側部から供給する際、開口は、気絶処理室と周囲空気との間のガス交換が可能な限りわずかであるように、より小型に構成、適合される。
【0037】
本発明の好ましい展開は、当該又は各排出ステーションが、容器を気絶処理室から垂直及び/又は水平に排出するように構成、適合されることを特徴とする。
【0038】
本発明の便宜的な実施形態は、引上げデバイスが、各搬送コンベヤの搬送路の始端及び/又は終端に設けられ、容器の垂直搬送を構成、適合するようにすることを特徴とする。
【0039】
この目的は、既に言及した方法によって達成され、方法は、少なくとも1つの投入ステーションにより、生きた食鳥を収容する容器を気絶処理室に供給するステップであって、少なくとも1つの気絶処理室は、地上に配置される、ステップと、少なくとも1つの搬送コンベヤを有する搬送デバイスにより、ほぼ水平に上下に置かれる気絶処理室の少なくとも2つの気絶処理区画を通じて容器を搬送するステップであって、少なくとも2つの気絶処理区域の混合ガスは、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、少なくとも2つの気絶処理区域の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、気絶処理区域の最上気絶処理区域から開始して気絶処理区域の最下気絶処理区域まで増大する、ステップと、排出ステーションにより、気絶処理された食鳥を収容する容器を排出するステップとを含み、容器は、ほぼ水平に蛇行する少なくとも1つの搬送路上で、少なくとも2つの気絶処理区域を通じて気絶処理室内の気絶処理路に沿って搬送される。
【0040】
繰返しを避けるため、本発明による方法に関して、本発明による装置に関して既に詳細に説明した長所を参照されたい。これらの長所は、類推によって以下で示される本発明による方法にも当てはまる。
【0041】
1つの展開は、容器が、搬送デバイス、投入ステーション及び/又は排出ステーションが備える少なくとも1つの引上げデバイスにより、少なくともいくつかの区分でほぼ垂直に搬送されることを特徴とする。
【0042】
本発明の便宜的な実施形態は、容器が、ほぼ水平に蛇行する気絶処理路上で搬送され、少なくとも2つの気絶処理区域が、ほぼ水平に上下に蛇行して配置されることを特徴とする。
【0043】
本発明の更なる便宜的な実施形態は、容器が、少なくとも2つの気絶処理区域を通じて、搬送コンベヤの少なくとも1つによりほぼ水平に搬送され、少なくとも1つの引上げデバイスが、少なくとも2つの搬送コンベヤの間で容器をほぼ垂直に搬送することを特徴とする。
【0044】
1つの展開は、気絶処理路の進路において、容器が、気絶処理区域の少なくとも2つの間で少なくとも1つの引上げデバイスによって搬送され、気絶処理区域が、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、少なくとも2つの気絶処理区域の間で容器の垂直搬送を構成、適合し、搬送路の少なくとも1つがバイパスされることを特徴とする。
【0045】
本発明の有利な実施形態では、搬送路の少なくとも1つを容器のバイパスにより、容器の搬送に設けられる気絶処理路を縮小する。
【0046】
本発明の更なる便宜的な実施形態は、ガス及び/又は混合ガスが、少なくとも1つのガス供給デバイスにより気絶処理室内に供給されることを特徴とする。
【0047】
本発明の更に有利な実施形態では、第1の気絶処理ガス濃度を有する混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイスにより、少なくとも2つの気絶処理区域の最下気絶処理区域内に供給される。
【0048】
本発明の更に有利な実施形態によれば、気絶処理区域の少なくとも1つ、好ましくは気絶処理区域の最下気絶処理区域において、酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイスにより供給され、ある気絶処理ガス濃度を有する酸素含有混合ガスを構成、適合するようにする。
【0049】
本発明の便宜的な実施形態は、最初の気絶処理区域から別の気絶処理区域への少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流が、少なくとも1つのガス流デバイスにより、気絶処理室内、好ましくは最下気絶処理区域から上の気絶処理区域の少なくとも1つに供給されることを特徴とする。
【0050】
本発明の更に便宜的な実施形態は、容器がそれぞれ、少なくとも3つの気絶処理区域を次々に気絶処理路に沿ってほぼ水平方向で通過する、即ち、混合ガス中5~25%の気絶処理ガスの濃度を伴う第1の段階I、混合ガス中25~50%の気絶処理ガスの濃度を伴う第2の段階II、混合ガス中50~100%の気絶処理ガスの濃度を伴う第3の段階IIIを通過することを特徴とする。これらの気絶処理区域はそれぞれ、互いに隣接する気絶処理区域に関連する。したがって、例えば、第1の気絶処理区域に供給される混合ガスを、例えば混合ガス中5~25%の気絶処理ガスの濃度で通過させ(段階I)、段階Iとは無関係に、第2の気絶処理区域に供給される混合ガスを、例えば混合ガス中25~50%の気絶処理ガスの濃度で通過させ(段階II)、段階IIとは無関係に、第3の気絶処理区域に供給される混合ガスを、例えば混合ガス中50~100%の気絶処理ガスの濃度で通過させる(段階III)ことが可能である。気絶処理ガスの濃度は、好ましくは、気絶処理区域内でほぼ一定である。便宜的に、全ての容器はそれぞれ、少なくとも3つの気絶処理区域を次々に搬送方向Tで通過する、即ち、混合ガス中5~25%の気絶処理ガスの濃度を伴う第1の段階I、混合ガス中25~50%の気絶処理ガスの濃度を伴う第2の段階II、混合ガス中50~100%の気絶処理ガスの濃度を伴う第3の段階IIIを通過する。しかし、当然、段階の数及び段階の濃度は、変更し得る。
【0051】
好ましい実施形態は、段階IからIIIを有する気絶処理区域の下流では、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に起こり得る変動が、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度を増減させることによって補償されることを特徴とする。
【0052】
本発明の好ましい展開は、段階IからIIIを有する気絶処理区域において、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に起こり得る変動が、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度を増減させることによって、好ましくは、少なくとも1つのガス供給デバイスを使用して少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスを供給することによって補償されることを特徴とする。このようにして、一方で、気絶処理ガスの不正確なガス濃度に能動的に反応し、食鳥の気絶処理に理想的な条件をもたらすことが可能であり、もう一方で、気絶処理ガスの濃度は、搬送中、気絶処理工程の間の変更が必要な場合に能動的に調節し得る。
【0053】
更に好ましい実施形態によれば、混合ガス中の気絶処理ガスのガス濃度は、少なくとも2つの気絶処理区域の少なくとも1つにおいて監視される。監視は、好ましくは、例えば少なくとも1つのセンサを備える装置を備えるガス監視システムにより実施される。更に好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つの監視システム、好ましくは、食鳥の意識消失の段階及び時点を監視するカメラ監視システムを備える。この目的で、気絶処理室の監視は、特に、カメラ監視システムにより及び/又は観察窓を通じて構成、適合される。存在するガス濃度、例えば40%までの二酸化炭素の含量は、ガス監視デバイス(例えばセンサ)により監視され、必要に応じて、進入から意識消失の「スイート・スポット」までの(40%までの)気絶処理路又は気絶処理時間を再配置、短縮又は延長することが可能である。
【0054】
本発明による装置及び好ましい方法ステップの更なる便宜的及び/又は有利な特徴及び展開は、従属請求項及び明細書から明らかになる。本発明の特に好ましい実施形態は、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明による装置の好ましい実施形態の概略側面図である。
【
図2】本発明による装置の好ましい実施形態の概略上面図である。
【
図3】本発明による装置の更なる好ましい実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明による装置10を、上述の図面を参照しながらより詳細に説明する。図示の装置10は、個々の容器11内に置かれ、気絶処理室12を通じて搬送される食鳥、即ちブロイラーをガスで気絶処理するために使用される。しかし、本発明による、積み重ねた容器内で気絶処理室12を通じて搬送される食鳥を気絶処理する装置10も、同様に使用され、積み重ねた容器は、上下に配置された2つ以上の容器である。当然、装置10は、ガチョウ、アヒル等、他の種の食鳥の気絶処理にも適している。
【0057】
図1から
図3は、と畜を目的とし、容器11内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理する装置10をそれぞれ示す。装置10は、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を有する少なくとも1つの気絶処理室12と、気絶処理室12の入口側に配置される、生きた食鳥を収容する容器11のための少なくとも1つの投入ステーション16と、気絶処理室12の出口側に配置される、気絶処理された食鳥を収容する容器11のための少なくとも1つの排出ステーション17と、少なくとも1つの搬送コンベヤ19を有する搬送デバイス18とを備え、少なくとも1つの搬送コンベヤ19は、少なくとも1つの搬送路に沿って投入ステーション16から気絶処理室12を通じて排出ステーション17に容器11を搬送するように構成、適合される。
【0058】
この装置10は、本発明によれば、少なくとも1つの気絶処理室12が地上に配置され、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15が、ほぼ水平に上下に置かれるように構成、適合され、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の混合ガスが、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、気絶処理区域の最上気絶処理区域13から開始して気絶処理区域の最下気絶処理区域15まで増大し、搬送デバイス18が、ほぼ水平に蛇行する少なくとも1つの搬送路上で、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を通じて、気絶処理室12内の気絶処理路に沿って容器11を搬送し得るように構成、適合されることを特徴とする。
図1は、搬送デバイス18によって構成、適合される容器11の搬送をより詳細に、矢印記号を使用して示し、矢印記号は、容器11が気絶処理路に沿って通過する際の容器11の好ましい搬送方向Tを示す。
【0059】
以下で説明する特徴及び展開は、それら自体で取られるか又は互いと組み合わせて取られる場合に好ましい実施形態を示す。特許請求の範囲及び/若しくは本明細書で要約されるか又は一般的な実施形態で説明される特徴は、機能的に独立した様式で上記の装置10を更に展開し得ることも明確に指摘される。同じことは、更なる実施形態及び以下で説明する方法にも当てはまる。
【0060】
図1に示される装置10の実施形態は、合計3つの気絶処理区域13、14及び15を有する。しかし、気絶処理区域13、14、15の数は、変更し得るが、食鳥を気絶処理するのに必要な、異なる濃度の気絶処理ガスをもたらすように少なくとも2つの気絶処理区域が設けられる。図示しない更なる好ましい実施形態では、装置10の気絶処理室12は、5個までの気絶処理区域を備え得る。
【0061】
好ましくは、搬送デバイス18は、複数の搬送コンベヤ19を備え、搬送コンベヤ19の数は、少なくとも、設けられる気絶処理区域13、14、15の数に対応する。
図1の装置10において、一緒に又は好ましくは個別に駆動、制御し得る複数の搬送コンベヤ19を有する搬送デバイス18は、気絶処理室12を通じて容器11を搬送するように設けられる。複数の搬送コンベヤ19が前後に配置される場合、複数の搬送コンベヤ19は、互いに協調して動作させ得る。当該又は各搬送コンベヤ19は、好ましくは、搬送路に沿って、気絶処理区域13、14、15の1つの少なくとも一部分を通じて容器11をほぼ水平に搬送するように構成、適合される。
図1の実施形態の気絶処理室12は、開放空間を有する室であるが、好ましくは、全ての側で閉鎖され、環境に対して封止されている。
【0062】
本発明による装置10の上面図を示す
図2の好ましい実施形態では、気絶処理室12は、2つの列21、22内に配置される容器11を搬送する搬送デバイス18と共に示される。基本的に、本発明は、2つ以上の容器11を横方向に搬送し得る実施形態を包含する。搬送コンベヤ19、引上げデバイス20等の装置の必要な構成要素は、複数の容器11の幅に応じて適合し得る。
図2に示される、容器11を搬送する2つの列21、22は、並行して又は独立して制御可能とし得る。
【0063】
搬送デバイス18、投入ステーション16及び/又は排出ステーション17は、好ましくは、ほぼ垂直に容器11を搬送する少なくとも1つの引上げデバイス20を備える。
図1及び
図3の実施形態では、それぞれ、容器11の垂直搬送T
Vを構成、適合する複数の引上げデバイス20が設けられる。投入ステーション16及び排出ステーション17の両方は、それぞれ、引上げデバイス20を備え、引上げデバイス20により、容器11は、好ましくは、最上気絶処理区域13の上のレベルから気絶処理室12に挿入されるか又は気絶処理室12から排出される。好ましくは、気絶処理ガスの濃度が低い又は気絶処理ガスが存在しない、即ち、10%未満の混合ガスは、最上気絶処理区域13の上の領域内に存在する。
図1の実施形態では、搬送デバイス18は、少なくとも3つの引上げデバイス20を備え、少なくとも3つの引上げデバイス20により、気絶処理室12内の容器11の垂直搬送T
Vが各場合で構成、適合される。例えば、引上げデバイス20は、最上気絶処理区域13及び中間気絶処理区域14の端部23に置かれ、1つの気絶処理区域13から更なる気絶処理区域14への容器11の搬送を構成、適合する。引上げデバイス20により、容器11はそれぞれ、例えば、規格に応じて、対応する気絶処理区域13、14、15に容器11を割り当て得るように、独立して上下させ得る。引上げデバイス20は、好ましくは、搬送コンベヤ19、又は容器11を搬送する手段を備え、垂直搬送T
V後、引上げデバイス20に隣接する搬送コンベヤ19上への容器11の更なる搬送を構成、適合する。
【0064】
好ましくは、当該又は各投入ステーション16は、容器11を垂直及び/又は水平に少なくとも1つの搬送路上に供給するように構成、適合される。より好ましくは、当該又は各排出ステーション17は、容器11を垂直及び/又は水平に気絶処理室12から排出するように構成、適合される。
【0065】
図1及び
図2に示されるように、気絶処理室12は、好ましくは、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15と共に気絶区画25を備え、容器11は、各場合で搬送コンベヤ19の少なくとも1つにより、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を通じてほぼ水平に搬送可能であり、少なくとも1つの引上げデバイス20は、少なくとも2つの搬送コンベヤ19の間を垂直搬送するT
Vように構成、適合される。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つの引上げデバイス20は、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の間の気絶処理路の進路内に設けられ、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15は、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の間で容器11の垂直搬送TVを構成、適合し、この垂直搬送は、搬送路の少なくとも1つをバイパス可能である。好ましくは、引上げデバイス20は、気絶処理区域13、14、15の1つにおいて、容器11の搬送TV中、引上げデバイス20により、対応する気絶処理区域13、14、15の距離を縮小し得るように構成、適合される。容器11の搬送TU中のバイパスは、引上げデバイス20の垂直搬送TVにより構成、適合され、引上げデバイス20により、容器11は、好ましくは、気絶処理区域13、14、15の1つの可能な経路全体にわたって搬送されない。より好ましくは、容器11の搬送のために設けられる気絶処理路は、搬送路の少なくとも1つを引上げデバイス20によりバイパスした場合に縮小し得る。このようにして、一定の搬送速度で、食鳥は、より短い時間期間で気絶処理区域13、14、15内に充満するガス濃度の気絶処理ガスに露出される。
【0067】
搬送デバイス18及び/又は少なくとも1つの引上げデバイス20は、好ましくは、食鳥に対して調節可能であり、容器11内の食鳥の数及び/又は重量に応じて可変搬送速度及び/又は可変気絶処理路を設定し、食鳥の数及び/又は重量に特有の気絶処理をもたらし得るようにする。可変気絶処理路は、例えば、気絶処理路の長さを変更することによって構成でき、引上げデバイス20の少なくとも1つは、容器11の垂直搬送T
Vを構成、適合でき、これにより、容器11の搬送T
Uは、搬送路の少なくとも1つをバイパスする際に縮小される気絶処理路に沿って行われる。
図1、
図2及び
図3の矢印記号により示される容器11のバイパス搬送方向T
Uが、引上げデバイス20の少なくとも1つにより好ましく構成されるため、搬送路又は気絶処理路の長さは、供給される食鳥のサイズ又は数に応じて様々に適合し得る。例えば、大型の食鳥又は多数の食鳥を有する容器11は、それぞれ、気絶処理区域13、14、15の全長に沿って搬送でき、気絶処理区域13、14の終端において、引上げデバイス20により、下に位置する気絶処理区域14、15に搬送し、可能な限り長く気絶処理路を構成し得る。任意に、引上げデバイス20により、上に位置する気絶処理区域13、14に容器を搬送することによって、気絶処理区域13、14の少なくとも1つを再度通過することが更に可能である。中型サイズの食鳥を有する容器11は、2つの搬送コンベヤ19の間に配置される引上げデバイス20の1つにより、それぞれの気絶処理区域の終端23まで、気絶処理区域13、14、15から下に置かれる気絶処理区域14、15への進路内で搬送し得る。小型の食鳥を有する容器11は、投入ステーション16により、より下側にある気絶処理区域14、15に直接搬送し得るか、又は引上げデバイス20により複数の搬送路をバイパスし得る。引上げデバイス20の数及び位置は、変更し得る。全体的に、気絶処理区域13、14、15の数は、容器11内で搬送される食鳥に基づき増減し得る。
【0068】
図3に示される本発明による装置10の更なる実施形態では、気絶処理室12は、好ましくは、閉鎖気絶処理トンネル24として構成される。
図3において、気絶処理路も、ほぼ水平に蛇行して延び、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15は、ほぼ水平に上下に蛇行して配置される。当該又は各搬送コンベヤ19が搬送路を形成する搬送デバイス18は、気絶処理路に沿って、装置10全体を通じてほぼ水平に蛇行して、また、気絶処理区域13から気絶処理区域15まで対応して容器11を搬送するように構成、適合される。気絶処理トンネル24は、好ましくは、全ての側で閉鎖されている(容器11を供給し、容器11を排出する開口26、即ち、投入ステーション16及び排出ステーション17における開口26を除く)。任意に、気絶処理トンネルも、
図3に詳細に示さない、見える又は見えないエアロック等の形態の手段を使用して、環境に対して封止し得る。そのような封止手段は、個々の気絶処理区域13、14、15の間にも存在し得る。更に、そのような気絶処理トンネル24は、好ましくは、容器11の垂直搬送T
Vを構成、適合する少なくとも1つの引上げデバイス20を備える。少なくとも1つの引上げデバイス20は、好ましくは、気絶処理区域13、14、15の終端23に置かれる。更に、そのような装置10は、好ましくは、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の間に少なくとも1つの引上げデバイス20を備え、少なくとも1つの搬送路のバイパスT
Uをもたらし、これにより、食鳥を収容する容器11のための気絶処理路を短縮するようにする。
図3の実施形態における可変気絶処理路の動作原理は、
図1及び
図2と同様に構成、適合されるため、上記の段落を参照されたい。更に、図には詳細に示さない封止可能なエアロック、フラップ等を本発明の気絶処理トンネル24内、好ましくは、引上げデバイス20の領域内に設け、処理路に沿った少なくとも1つの搬送路をバイパスするT
U際に容器11を搬送するため、気絶処理区域13、14、15の間に開口を構成、適合するようにする。
【0069】
好ましくは、少なくとも1つの投入ステーション16及び/又は少なくとも1つの排出ステーション17は、少なくとも1つのガス障壁27を備え、少なくとも1つのガス障壁は、混合ガスが気絶処理室12内に実質的に留まる及び/又は実質的に周囲ガスが気絶処理室12に入らないように構成、適合される。ガス障壁27は、例えば、カーテン、エアロック・デバイスにより、又はエアロックを形成する構造的な処置によって構成、適合し得る。より好ましくは、少なくとも1つの投入ステーション16及び/又は少なくとも1つの排出ステーション17は、気絶処理室12の上又は最上気絶処理区域13の上にそれぞれ配置され、環境に対する気絶処理室12の確実で単純な封止を構成するようにする。特に好ましくは、入口及び出口において、即ち、少なくとも1つの投入ステーション16及び/又は少なくとも1つの排出ステーション17の領域における気絶処理ガスのガス濃度は、ゼロに近い(最大10%)。
【0070】
任意に、気絶処理室12は、ガス及び/又は混合ガスを気絶処理室12内に供給するように構成、適合される少なくとも1つのガス供給デバイス28を備える。好ましくは、気絶処理ガス又は気絶処理ガス含有混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス28の少なくとも1つにより、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の最下気絶処理区域15内に供給し、第1の濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスを最下気絶処理区域15内に構成、適合し得る。代替又は追加として、酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス28の少なくとも1つにより、気絶処理区域13、14、15の少なくとも1つ内に供給し、ある濃度の気絶処理ガスを有する酸素含有混合ガスを構成、適合し得る。
【0071】
好ましくは、気絶処理室12は、少なくとも1つのガス流デバイス29を備え、少なくとも1つのガス流デバイス29は、気絶処理区域13、14、15の第1の気絶処理区域から気絶処理区域13、14、15の別の気絶処理区域に、好ましくは最下気絶処理区域15から上の気絶処理区域14、13の少なくとも1つに少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流Gをもたらすように構成、適合される。特に好ましくは、ガス流デバイス29は、気絶処理室12内、好ましくは最下気絶処理区域15内に気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスを流すように構成、適合され、気絶処理ガス及び/又は気絶処理ガス含有混合ガスのガス濃度は、蛇行する気絶処理路に沿って、気絶処理ガスの最大ガス濃度から開始して、徐々に減少する。より好ましくは、ガス及び/又は混合ガスのガス流Gは、気絶処理トンネル24を通じて、蛇行する気絶処理路に沿って、少なくとも1つの引上げデバイス20を介して、最下気絶処理区域15から上の気絶処理区域14、13の少なくとも1つに流通可能である。
図3において、ガス流Gは、気絶処理路及び容器11の搬送方向Tとは反対を指す矢印記号により概略的に示される。好ましくは、ガス流Gの強度は、ガス流デバイス29から開始して、徐々に減少し、気絶処理室12の内部に複数のガス流デバイス29を配置することが可能であり、気絶処理区域13、14、15の進路全体にわたり所望の流量を維持するようにする。ガス流デバイス29は、例えば連続流機械であり、特に好ましくはファンである。
【0072】
任意に、明示的に図示しない少なくとも1つの手段は、気絶処理室12内に割り当てられ、この手段は、気絶処理区域13、14、15の内部の混合ガス中の気絶処理ガスのガス濃度を決定する、ガス流Gの流量を検出する、及び/又は気絶処理区域13、14、15を視覚的に監視する。この手段は、ガス・センサ及び/又はカメラ、及び/又は気絶処理区域13、14、15の1つにおける気絶処理工程に関連する関連情報をもたらす他の検出構成要素を備え得る。
【0073】
特に好ましくは、装置10は、詳細に図示しない制御及び/又は調整ユニットを備え、制御及び/又は調整ユニットにより、当該又は各搬送コンベヤ19の搬送速度、少なくとも1つの引上げデバイス20の使用、及び混合ガス中の気絶処理ガスの濃度に対する混合ガスの組成を、気絶処理区域13、14、15の少なくとも1つの中で制御/調整し得る。より好ましくは、制御及び/又は調整ユニットは、当該又は各投入ステーション16、当該又は各排出ステーション17及び/又は当該又は各引上げデバイス20及びガス供給デバイス28及び/又はガス流デバイス29等、装置10の更なる構成要素を制御/調整するためにも使用し得る。好ましくは、装置の全ての構成要素は、互いから個別に、独立して制御及び/又は調整し得る。しかし、より高レベルの制御及び/又は調整ユニットは、特に搬送される容器11内の食鳥を考慮して、装置10の調和された、連続的な機能を保証するために使用される。
【0074】
好ましい実施形態では、引上げデバイス20は、各搬送コンベヤ19の搬送路の始端30及び/又は終端31に設けられ、容器11の垂直搬送T
Vを構成、適合するようにする。
図1において、搬送コンベヤ19の一例は、参照数字でマークされた始端30及び終端31を有する。引上げデバイス20は、各場合で搬送コンベヤ19の上流及び下流のそれぞれに配置され、引上げデバイス20は、容器11の垂直搬送T
Vのために構成、適合され、これにより、例えば、搬送コンベヤ19に隣接する後続の搬送路バイパスT
Uが存在する。
【0075】
図面を参照しながら、以下で方法をより詳細に説明する。方法は、と畜を目的とし、容器11内に置かれる生きた食鳥を、気絶処理ガス含有混合ガスにより、ガスで気絶処理するために使用される。この目的で、生きた食鳥を収容する容器11は、少なくとも1つの投入ステーション16により、気絶処理室12に供給される。気絶処理室12は、地上に配置されている。その後、容器11は、少なくとも1つ搬送コンベヤ19を有する搬送デバイス18により、ほぼ水平に上下に配置される気絶処理室12の少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を通じて搬送され、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の混合ガスは、各場合で様々な濃度の気絶処理ガスを有し、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の混合ガス中の気絶処理ガスの濃度は、気絶処理区域の最上気絶処理区域13から開始して、気絶処理区域の最下気絶処理区域15まで増大する。最後に、気絶処理された食鳥を収容する容器11は、排出ステーション17により排出される。
【0076】
この方法は、本発明によれば、容器11が、搬送デバイス18により、少なくとも1つの搬送路上で少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を通じてほぼ水平に蛇行して気絶処理路に沿って気絶処理室12内に搬送されることを特徴とする。
【0077】
好ましくは、容器11は、搬送デバイス18、投入ステーション16及び/又は排出ステーション17が備える少なくとも1つの引上げデバイス20により、少なくともいくつかの区分でほぼ垂直に搬送されるT
V。
図1から
図3において、複数の引上げデバイス20は、各場合で、例えば、気絶処理区域13、14、15の間で容器11を垂直に搬送するT
Vように設けられる。より好ましくは、容器11は、ほぼ水平に蛇行する気絶処理路上に搬送され、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15は、ほぼ水平に上下に蛇行して配置される。
【0078】
例として示される実施形態では、容器11は、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15を通じてほぼ水平に搬送され、搬送コンベヤ19、少なくとも1つの引上げデバイス20の少なくとも1つのそれぞれにより、少なくとも2つの搬送コンベヤ19の間で容器11をほぼ垂直に搬送する。好ましくは、気絶処理路の進路において、容器11は、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の間の少なくとも2つの間の少なくとも1つの引上げデバイス20によって搬送され、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15は、上下に置かれ、少なくとも1つの搬送路を有し、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の間で容器11の垂直搬送TVを構成、適合し、搬送路の少なくとも1つは、バイパスされるTU。特に好ましくは、搬送路の少なくとも1つの容器11のバイパスTUにより、容器11の搬送に設けられる気絶処理路を短縮する。言い換えれば、少なくとも1つの搬送路をバイパスするTU際、搬送路のバイパスによって、利用可能な気絶処理路を短縮することが可能であり、これにより、搬送される容器11内の食鳥は、対応する気絶処理区域13、14、15内で(少なくとも一定の搬送速度で)より短い時間期間の間露出される。
【0079】
好ましくは、ガス及び/又は混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス28により気絶処理室12内に供給される。ガス及び/又は混合ガスは、より好ましくは、機械的通気によって導入し得る。導入されるガス及び/又は混合ガスは、必要に応じて制御及び/又は調整し得る。特に好ましくは、第1の濃度の気絶処理ガスを有する混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス28により、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の最下気絶処理区域15内に供給される。追加及び/又は代替として、気絶処理区域13、14、15の少なくとも1つ、好ましくは、気絶処理区域の最下気絶処理区域15において、酸素及び/又は酸素含有混合ガスは、少なくとも1つのガス供給デバイス28により供給され、ある濃度の気絶処理ガスを有する酸素含有混合ガスを構成、適合する。
【0080】
任意に、気絶処理室12において、少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスのガス流Gは、少なくとも1つのガス流デバイス29により、第1の気絶処理区域13、14、15から別の気絶処理区域13、14、15に、好ましくは、最下気絶処理区域15から上の気絶処理区域14、13の少なくとも1つに供給される。
【0081】
図1から
図3に例として示される実施形態では、容器11はそれぞれ、少なくとも3つの気絶処理区域13、14、15を気絶処理路に沿ってほぼ水平方向で次々に、即ち、混合ガス中5~25%の気絶処理ガスの濃度を伴う第1の段階I、混合ガス中25~50%の気絶処理ガスの濃度を伴う第2の段階II、及び混合ガス中50~100%の気絶処理ガスの濃度を伴う第3の段階IIIを通過する。特に好ましくは、段階Iでは、混合ガス中約10%の濃度の気絶処理ガスが選択され、段階IIでは、混合ガス中約40%の濃度の気絶処理ガスが選択され、段階IIIでは、それぞれ、(深い意識消失、即ち、気絶処理のための)混合ガス中約60%の濃度の気絶処理ガス及び(不可逆的な意識消失、脳死、即ち、と畜のための)混合ガス中100%の濃度の気絶処理ガスが選択される。ガス濃度及び段階の数は、変更し得る。混合ガス中の気絶処理ガスの濃度の事前設定値に起こり得る変動は、混合ガス中の気絶処理ガスの濃度を増減させることによって、好ましくは、少なくとも1つのガス供給デバイス28を使用して少なくとも1つのガス及び/又は混合ガスを供給することによって補償し得る。気絶処理路を変更することにより、それぞれの気絶処理区域13、14、15における容器11の対応する時間は、搬送される容器11内の食鳥に応じて調節でき、例えば、より大型の食鳥(又は1つの容器11につきより多数の食鳥)は、より小型の食鳥(又は1つの容器11につきより少数の食鳥)より長い気絶処理路を通過するようにする。更に、気絶処理距離は、食鳥のストレス耐性に従って調節でき、所望の条件(気絶処理、と畜等)を達成するのにより高い濃度の気絶処理ガスを必要とする食鳥は、より低い気絶処理ガスへの露出を必要とする食鳥より長い気絶処理路を通過する。
【0082】
好ましくは、混合ガス中の気絶処理ガスのガス濃度は、少なくとも2つの気絶処理区域13、14、15の少なくとも1つにおいて監視される。監視は、情報の記録も含み得る。情報は、例えば、ガス濃度、搬送デバイス18又は引上げデバイス20、及び気絶処理工程に影響を与える他のパラメータ(例えば、搬送速度)の制御及び/又は調整のために使用し得る。
【国際調査報告】