(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】人工足関節置換術に対する固定方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/66 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61F2/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532519
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2022051676
(87)【国際公開番号】W WO2023102198
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アダム・エヌ・ガーロック
(72)【発明者】
【氏名】クリス・パウエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラハム・ディロン
(72)【発明者】
【氏名】マリス・プリーディティス
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・チャン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA08
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD10
4C097TA07
(57)【要約】
本開示は、足関節全置換術デバイスにおいて、脛骨又は距骨固定を行うための人工装具インプラントを提供する。デバイスを含む方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面と、前記第1の側面の反対側の第2の側面とを具備する本体であって、前記第1の側面が、骨接触面を備えており、前記第2の側面が、関節面に結合されるように構成されている、前記本体と、
前記本体の前記第1の側面から離隔するように延在している円筒形のステムと、
前記円筒形のステムの内部に配置されている拡大機構であって、前記拡大機構が第1の位置から第2の位置に移動することによって、前記円筒形のステムの最大直径が第1の最大直径から第2の最大直径に変化し、前記第2の最大直径が、前記第1の最大直径より大きい、前記拡大機構と、
を備えている、人工装具インプラント。
【請求項2】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して直角である、請求項1に記載の人工装具インプラント。
【請求項3】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムの前記第2の端部は、前記本体の前記第1の側面に直接結合される、請求項2に記載の人工装具インプラント。
【請求項4】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムは、前記第1の端部から、前記第2の端部の方向に延びる複数のスリットを含む。請求項2又は3に記載の人工装具インプラント。
【請求項5】
前記拡大機構は、前記本体の前記第2の側面からアクセスされ、前記拡大機構は、前記第1の位置から前記第2の位置へと、前記本体の前記第2の側面の方向に移動して、それにより、前記円筒形のステムを、前記第1の最大直径から前記第2の最大直径へと変化させる、請求項2から4のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項6】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に平行である、請求項1に記載の人工装具インプラント。
【請求項7】
第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する長手方向サポートをさらに備え、前記第1の端部は、前記本体の前記第1の側面に結合され、前記第2の端部は、前記円筒形のステムが前記本体から離隔されるように、前記円筒形のステムに結合される、請求項6に記載の人工装具インプラント。
【請求項8】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する、請求項6又は7に記載の人工装具インプラント。
【請求項9】
前記第1の端部の直径、及び前記第2の端部の直径は、前記拡大機構が、前記第1の位置から前記第2の位置に移動したとき、一定のままであり、前記円筒形のステムの最大直径は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で生ずる、請求項8に記載の人工装具インプラント。
【請求項10】
前記円筒形のステムの最大直径は、前記第1の端部、又は前記第2の端部のいずれかで生ずる、請求項8に記載の人工装具インプラント。
【請求項11】
前記円筒形のステムは、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムは、前記第1の端部と前記第2の端部との間に複数のスリットを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項12】
前記複数のスリットは、前記円筒形のステムの前記長手方向軸と実質的に平行である、請求項11に記載の人工装具インプラント。
【請求項13】
前記複数のスリットは、前記円筒形のステムの周囲に螺旋状のパターンを形成する、請求項11に記載の人工装具インプラント。
【請求項14】
前記円筒形のステムは、患者の脛骨に形成されたチャネル内に配置されるように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項15】
前記円筒形のステムは、患者の距骨に形成されたチャネル内に配置されるように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項16】
前記本体の前記第1の側面から離れて延びる第2の円筒形のステムと、
前記第2の円筒形のステム内に配置される第2の拡大機構であって、第1の位置から第2の位置への前記第2の拡大機構の移動は、前記第2の円筒形のステムの最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させ、前記第2の最大直径は、前記第1の最大直径よりも大きい、第2の拡大機構と
をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項17】
前記拡大機構は、止めねじを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項18】
前記拡大機構は、下方咬合コレットを備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項19】
前記拡大機構は、拡大コレットを備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項20】
前記拡大機構は、
前記円筒形のステム内に配置された細長い部材と、
前記細長い部材の底面に接触して、前記細長い部材を前記円筒形のステムの第1の端部に向けて移動させ、それにより、前記拡大機構を前記第1の位置から前記第2の位置に移行させるように構成された接触部材と
を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項21】
前記細長い部材に接触して、それにより前記拡大機構を前記第2の位置にロックするように構成されたレバー
をさらに備える、請求項20に記載の人工装具インプラント。
【請求項22】
骨にチャネルを穿設するステップと、
人工装具インプラントの円筒形のステムをチャネルの内部に位置決めするステップであって、前記人工装具インプラントが、第1の側面と前記第1の側面の反対側の第2の側面とを具備する本体を含んでおり、前記円筒形のステムが、前記第1の側面から離隔するように延在しており、前記第2の側面が、関節面に結合されるように構成されている、ステップと、
前記円筒形のステムの内部に配置された拡大機構を第1の位置から第2の位置に移動させるステップであって、これにより、前記円筒形のステムの最大直径が、第1の最大直径から第2の最大直径に変化し、前記第2の最大直径が、前記第1の最大直径より大きい、前記ステップと、
を備えている方法。
【請求項23】
前記チャネルは、全体的に前記骨を通って延びることはない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して直角であり、前記拡大機構は、前記本体の前記第2の側面からアクセスされ、前記拡大機構は、前記本体の前記第2の側面の方向に、前記第1の位置から前記第2の位置へと移動して、それにより、前記円筒形のステムを、前記第1の最大直径から前記第2の最大直径へと変化させる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して平行であり、前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の端部の直径及び前記第2の端部の直径は、前記拡大機構が、前記第1の位置から前記第2の位置へと移動したとき、一定のままであり、前記円筒形のステムの最大直径は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で生ずる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記円筒形のステムの前記最大直径は、前記第1の端部又は前記第2の端部のいずれかで生ずる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記チャネルは、患者の脛骨に穿設される、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記チャネルは、患者の距骨に穿設される、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
骨に第2のチャネルを穿設するステップと、
前記人工装具インプラントの第2の円筒形のステムを前記第2のチャネルの中に配置するステップであって、前記第2の円筒形のステムは、前記人工装具インプラントの前記本体の前記第1の側面から離れて延びる、ステップと、
前記第2の円筒形のステム内に配置される第2の拡大機構を第1の位置から第2の位置に移動させ、それにより、前記第2の円筒形のステムの最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させるステップであって、前記第2の最大直径は、前記第1の最大直径よりも大きい、ステップと
を含むさらに含む、請求項22から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
第1の側面と前記第1の側面の反対側の第2の側面とを具備する本体であって、前記第1の側面が、骨接触面を備えており、前記第2の側面が、関節面に結合されるように構成されている、前記本体と、
前記本体の前記第1の側面から離隔して配置された円筒形のステムと、
第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを具備するロッドであって、前記第1の端部が、前記本体の前記第1の側面に結合されており、前記第2の端部が、前記円筒形のステムに結合されており、前記ロッドが、形状記憶材料又は超弾性材料を備えており、前記ロッドが、患者の脛骨のチャネルに前記円筒形のステムを配置する前に伸長されることによって、前記ロッドの前記形状記憶材料又は超弾性材料が、前記円筒形のステムと前記本体とを互いに引っ張り合わせる、前記ロッドと、
を備えている人工装具インプラント。
【請求項32】
前記ロッドの前記形状記憶材料又は超弾性材料は、ニッケルチタン合金を含む、請求項31に記載の人工装具インプラント。
【請求項33】
第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する第2のロッドをさらに備え、前記第2のロッドの前記第1の端部は、前記本体の前記第1の側面に結合され、前記第2のロッドの前記第2の端部は、前記円筒形のステムに結合され、前記第2のロッドは、形状記憶材料又は超弾性材料を備え、前記第2のロッドは、患者の脛骨のチャネルに、前記円筒形のステムを配置する前に伸長されて、前記第2のロッドの前記形状記憶材料又は超弾性材料が、前記円筒形のステム及び前記本体を互いに引っ張らせるようにする、請求項31又は32に記載の人工装具インプラント。
【請求項34】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して平行である、請求項31から33のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項35】
前記ロッドは、前記脛骨のチャネル内に前記円筒形のステムを配置する前に、手術中に伸長される、請求項31から34のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項36】
第1の側面と前記第1の側面の反対側の第2の側面とを具備する本体であって、前記第1の側面が、骨接触面を備えており、前記第2の側面が、関節面と結合されるように構成されている、前記本体と、
前記本体の前記第1の側面から離隔するように延在している円筒形のステムと、
前記円筒形のステムの内部に少なくとも部分的に配置されている形状記憶要素又は超弾性構成要素と、
前記形状記憶要素又は超弾性構成要素に結合された状態で配置されている保持機構であって、前記保持機構を除去することによって、前記形状記憶要素又は超弾性構成要素が第1の長さから第2の長さに縮小され、前記第1の長さが、前記第2の長さより長く、前記形状記憶又は超弾性構成要素が前記第1の長さから前記第2の長さに縮小することによって、前記円筒形のステムの最大直径が第1の最大直径から第2の最大直径に変化し、前記第2の最大直径が、前記第1の最大直径より大きい、前記保持機構と、
を備えている、人工装具インプラント。
【請求項37】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して直角である、請求項36に記載の人工装具インプラント。
【請求項38】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムの前記第2の端部は、前記本体の前記第1の側面に直接結合される、請求項37に記載の人工装具インプラント。
【請求項39】
前記保持機構は、前記本体の前記第2の側面からアクセスされる、請求項36から38のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項40】
前記形状記憶又は超弾性構成要素は、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記保持機構は、前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第1の端部に結合され、開口部付楔が、前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第2の端部に結合され、前記形状記憶又は超弾性構成要素の、前記第1の長さから前記第2の長さへの縮小は、前記開口部付楔を、前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第1の端部に向けて移動させて、それにより、前記円筒形のステムの前記最大直径を前記第1の最大直径から前記第2の最大直径へと変化させる、請求項36から39のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項41】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムは、前記第1の端部から、前記第2の端部の方向に延びる複数のスリットを含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項42】
前記円筒形のステムの長手方向軸は、前記本体の前記第1の側面に対して平行である、請求項36から41のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項43】
第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有する長手方向サポートをさらに備え、前記第1の端部は、前記本体の前記第1の側面に結合され、前記第2の端部は、前記円筒形のステムに結合されて、前記円筒形のステムが前記本体から離隔されるようになる、請求項42に記載の人工装具インプラント。
【請求項44】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムの前記最大直径は、前記第1の端部と前記第2の端部との間で生ずる、請求項42又は43に記載の人工装具インプラント。
【請求項45】
前記円筒形のステムは、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記円筒形のステムは、前記円筒形のステムの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置する複数のスリットを含む、請求項42から44のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項46】
前記形状記憶又は超弾性構成要素は、第1の端部、及び前記第1の端部の反対側の第2の端部を有し、前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第1の端部は、前記円筒形のステムに固定して結合され、前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第2の端部は、開口部付楔に結合され、前記形状記憶又は超弾性構成要素を、前記第1の長さから前記第2の長さへと縮小させると、前記開口部付楔を前記形状記憶又は超弾性構成要素の前記第1の端部に向けて移動させて、それにより、前記円筒形のステムの前記最大直径を、前記第1の最大直径から前記第2の最大直径へと変化させる、請求項42から45のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項47】
前記形状記憶又は超弾性構成要素は、ニッケルチタン合金を含む、請求項36から46のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項48】
第1の側面、及び前記第1の側面の反対側の第2の側面を含むベースプレートと、
前記ベースプレートの前記第1の側面から離れて延び、骨の内部に配置されるように構成された外側コアと、
前記ベースプレートに結合され、前記外側コア内に少なくとも部分的に配置される内側コアと、
前記内側コアを前記外側コアに結合する取付け機構であって、前記取付け機構は、前記内側コアを、前記外側コアに対して、第1の方向に長手方向に移動させることができるが、前記内側コアを、前記外側コアに対して、前記第1の方向とは反対の第2の方向に、長手方向に移動させないようにする、取付け機構と
を備える、人工装具インプラント。
【請求項49】
前記取付け機構は把持リングを備える、請求項48に記載の人工装具インプラント。
【請求項50】
前記取付け機構は、ラチェット機構を備え、前記内側コアの内面は、前記ラチェット機構と相互作用するように構成された複数の突出し部を含む、請求項48に記載の人工装具インプラント。
【請求項51】
内側コアの外側表面は、第1の複数のねじ山を含み、また前記ベースプレートの一部は、前記第1の複数のねじ山と相互作用するように構成された第2の複数のねじ山を含み、したがって、前記内側コアは、前記外側コアから、回転して、独立して動くことができる、請求項48から50のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【請求項52】
前記ベースプレートの第1の側面はチャネルを含み、また前記外側コアの一部は、前記人工装具インプラントが圧縮すると、前記チャネル内に入れ子になるように構成される、請求項48から51のいずれか一項に記載の人工装具インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、(i)2021年12月3日に出願された「Fixation Methods for Total Ankle Arthroplasty」と題する米国特許仮出願第63/285,827号、及び(ii)2021年12月7日に出願された「Dynamic Fixation Methods for Total Ankle Replacement」と題する米国特許仮出願第63/286,713号に対する優先権の利益を主張するものであり、そのそれぞれの内容を全体的に参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
足関節全置換術(TAR)は、患者の脛骨に脛骨構成要素を固定することを必要とし、また患者の距骨に距骨構成要素を固定することをさらに必要とする。本明細書において、初期の植込み後に、弛まないようにするために高い保持力を提供する人工装具インプラントが開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、TAR手術において使用される人工装具インプラントを含む。本開示の人工装具インプラントは、拡大した釘又はポストを含み、それは、外科医が、手術中にくぎを拡大して、半径方向の圧力を加えて、向上させた時間ゼロの固定を提供する押し込まれた圧力嵌めを可能にする。したがって、本開示は、人工装具インプラントと嵌合する骨との間に動的な圧縮を提供することにより、TAR手術における脛骨と距骨構成要素の両方の初期の植込み中に強化された固定を可能にする複数の固定方法を提供し、したがって、人工装具インプラントは、植え込んだ後に、動く又は移動することはない。
【0004】
本開示は、骨に用意された孔と、釘/ポストの外径との間の圧力嵌めにより、患者の骨に固定される人工装具インプラントの1つ又は複数の釘又はポストを提供する。さらに、本開示は、外科医が、釘又はポストを拡大することによって半径方向の圧力を加えて、圧力嵌めに加えてロバストな固定を取得できるようにする。釘又はポストが、骨に用意された孔内に配置されると、釘又はポストの拡大機構が、第1の位置から第2の位置へと移動して、それにより、釘又はポストを、傾斜した方向に、又は半径方向に外側に拡大させて、釘を、嵌合する骨と機械的な圧入嵌めを有するようにする。したがって、本開示は、体が治る時間を有するまで、また多孔質の成長表面で骨性結合が生ずるまで、初期の植込み中に強化された固定を提供する。
【0005】
したがって、一態様では、人工装具インプラントは、第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面を備える本体を含む。第1の側面は、骨接触面を備え、第2の側面は、関節面に結合されるように構成される。人工装具インプラントはまた、本体の第1の側面から離れて延びる円筒形のステムを含む。人工装具インプラントはまた、円筒形のステム内に配置される拡大機構を含む。第1の位置から第2の位置への拡大機構の移動は、円筒形のステムの最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい。
【0006】
別の態様では、方法は、骨にチャネルを穿設するステップと、人工装具インプラントの円筒形のステムをチャネルの中に配置するステップであって、人工装具インプラントは、第1の側面と、第1の側面とは反対側の第2の側面とを備える本体を含み、円筒形のステムは、第1の側面から離れて延び、また第2の側面は、関節面に結合されるように構成される、ステップと、円筒形のステム内に配置される拡大機構を第1の位置から第2の位置へと移動させ、それにより、円筒形のステムの最大直径を第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させるステップであって、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい、ステップとを含むことができる。
【0007】
別の態様では、人工装具インプラントは、第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを備える本体を含み、第1の側面は、骨接触面を備え、第2の側面は、関節面に結合されるように構成される。人工装具インプラントは、本体の第1の側面から離隔された円筒形のステムをさらに含む。人工装具インプラントは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを有するロッドをさらに含む。第1の端部は、本体の第1の側面に結合され、第2の端部は、円筒形のステムに結合される。ロッドは、形状記憶材料又は超弾性材料を備える。ロッドは、患者の脛骨のチャネルに円筒形のステムを配置する前に伸長されて、ロッドの形状記憶材料又は超弾性材料が、円筒形のステム及び本体を互いに引っ張らせるようにする。
【0008】
別の態様では、人工装具インプラントは、第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを備える本体であって、第1の側面は、骨接触面を備え、第2の側面は、関節面に結合されるように構成される。人工装具インプラントは、本体の第1の側面から離れて延びる円筒形のステムをさらに含む。人工装具インプラントは、円筒形のステム内に少なくとも部分的に配置された形状記憶又は超弾性構成要素をさらに含む。人工装具インプラントは、形状記憶又は超弾性構成要素に結合されて位置する保持機構をさらに含む。保持機構を除去すると、形状記憶又は超弾性構成要素を、第1の長さから第2の長さへと縮小させ、ここで、第1の長さは、第2の長さよりも大きい。第1の長さから第2の長さへの、形状記憶又は超弾性構成要素の縮小は、円筒形のステムの最大直径を第1の最大直径から第2の最大直径に変化させ、ここで、第2の最大直径は第1の最大直径よりも大きい。
【0009】
別の態様では、人工装具インプラントは、第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを含むベースプレートを含む。人工装具インプラントは、ベースプレートの第1の側面から離れて延びる外側コアをさらに含む。外側コアは、骨の内部に位置するように構成される。人工装具インプラントは、ベースプレートに結合され、外側コア内に少なくとも部分的に位置する内側コアをさらに含む。人工装具インプラントは、内側コアを外側コアに結合する取付け機構をさらに含む。取付け機構は、第1の方向への外側コアに対する内側コアの長手方向の動きを可能にするが、第1の方向とは反対の第2の方向への外側コアに対する内側コアの長手方向の動きを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1の例示的な人工装具デバイスの側面断面図である。
【
図3】別の例示的な人工装具デバイスの斜視図である。
【
図4】
図3の例示的な人工装具デバイスの側面断面図である。
【
図5】別の例示的な人工装具デバイスの斜視図である。
【
図6】
図5の例示的な人工装具デバイスの上面図である。
【
図7】別の例示的な人工装具デバイスの斜視図である。
【
図8】別の例示的な人工装具デバイスの斜視図である。
【
図9】別の例示的な人工装具デバイスの側面断面図である。
【
図10】別の例示的な人工装具デバイスの側面断面図である。
【
図11】別の例示的な人工装具デバイスの側面断面図である。
【
図12】例示的な人工装具インプラントの斜視図である。
【
図13】別の例示的な人工装具インプラントの側面断面図である。
【
図14】別の例示的な人工装具インプラントの側面断面図である。
【
図15】
図14の例示的な人工装具インプラントの一端の側面断面図である。
【
図16】
図14の例示的な人工装具インプラントの形状記憶又は超弾性構成要素、及び保持機構の側面断面図である。
【
図17】別の例示的な人工装具インプラントの側面断面図である。
【
図18】圧縮状態にある
図17の人工装具インプラント側面断面図である。
【
図19】別の例示的な人工装具インプラントの側面断面図である。
【
図20】別の例示的な人工装具インプラントの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図を参照すると、
図1は、第1の側面104と、第1の側面104の反対側の第2の側面106とを備える本体102を含む人工装具インプラント100を示す。第1の側面104は、骨接触面を備え、第2の側面106は、関節面103に結合されるように構成される。人工装具インプラント100は、本体102の第1の側面104から離れて延びる円筒形のステム108をさらに含む。人工装具インプラント100は、円筒形のステム108内に位置する拡大機構110をさらに含む。第1の位置から第2の位置への拡大機構110の動きは、円筒形のステム108の最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい。拡大機構は、止めねじとすることができる。
【0012】
例では、
図1から
図2で示されるように、円筒形のステム108の長手方向軸は、本体102の第1の側面104に直角である。円筒形のステム108は第1の端部112と、第1の端部とは反対側の第2の端部114とを有し、円筒形のステム108の第2の端部114は、本体102の第1の側面104に直接結合される。円筒形のステム108は、第1の端部112から第2の端部114の方向に延びる複数のスリット116を含むことができる。拡大機構110には、本体102の第2の側面106からアクセスすることができる。拡大機構110は、第1の位置から第2の位置へと、本体102の第2の側面106に向けた方向に移動することができ、それにより、円筒形のステム108を、第1の最大直径から第2の最大直径に変化させる。
【0013】
例では、
図3から
図4で示されるように、円筒形のステム108の長手方向軸は、本体102の第1の側面104に平行である。人工装具インプラント100は、第1の端部120と、第1の端部120の反対側の第2の端部122とを有する長手方向サポート118をさらに含むことができる。第1の端部120は、本体102の第1の側面104に結合され、第2の端部122は、円筒形のステム108に結合されて、したがって、円筒形のステム108は、本体102から離隔される。上記で論じたように、円筒形のステム108は、第1の端部112と、第1の端部112とは反対側の第2の端部114とを有する。第1の端部112の直径及び第2の端部114の直径は、拡大機構110が、第1の位置から第2の位置へと移動したとき、一定のまま留まり、したがって、円筒形のステム108の最大直径は、第1の端部112と第2の端部114との間で生ずる。代替的に、円筒形のステムの最大直径は、第1の端部112又は第2の端部114のいずれかで生ずることができる。
【0014】
例では、円筒形のステム108は、第1の端部112と第2の端部114との間に複数のスリット116を含む。複数のスリット116は、第1の端部112から第2の端部114の方向に延びる第1の複数のスリットを含むことができ、また第1の端部112の方向に、第2の端部114から延びる第2の複数のスリットを含む。複数のスリット116は、
図3で示すように、円筒形のステム108の長手方向軸と実質的に平行であり得る。
図5から
図6で示されるように、複数のスリット116は、円筒形のステム108の周囲で螺旋状のパターンを形成することができる。
【0015】
使用時に、一例では、円筒形のステム108は、患者の脛骨に形成されるチャネル内に位置するように構成される。別の例では、円筒形のステム108は、患者の距骨に形成されたチャネル内に位置するように構成される。
【0016】
人工装具インプラント100は、本体102の第1の側面104から離れて延びる第2の円筒形のステムと、第2の円筒形のステム内に位置する第2の拡大機構をさらに含むことができる。上記で述べられた拡大機構110と同様に、第1の位置から第2の位置への第2の拡大機構の動きは、第2の円筒形のステムの最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい。
【0017】
例では、
図7で示されるように、拡大機構110は、下方咬合(down biting)コレット111を備える。このような例では、下方咬合コレット111は、円筒形のステム108の外側表面に位置することができ、また円筒形のステム108の垂直移動に基づいて、患者の骨(例えば、脛骨又は距骨)に形成された孔又はチャネルの中へと拡大するように構成することができる。
【0018】
別の例では、
図8で示されるように、拡大機構110は、拡大コレット113を備える。このような例では、拡大コレット113は、円筒形のステム108の外側表面に配置することができ、また円筒形のステム108の垂直移動に基づいて、患者の骨(例えば、脛骨又は距骨)に形成された孔又はチャネルの中へと拡大するように構成され得る。
【0019】
図9から
図11で示される別の例では、拡大機構110は、円筒形のステム108内に配置された細長い部材115と、細長い部材115の底面に接触して、細長い部材115を、円筒形のステム108の第1の端部112に向けて移動させて、それにより、拡大機構110を第1の位置から第2の位置に移行させるように構成された接触部材117とを含む。
【0020】
図9で示される一例では、細長い部材115は、円筒形の形状をしており、円筒形のステム108の内側の角度のある表面に接触し、それにより、拡大機構110を、第1の位置から第2の位置へと移行させる。
図9で示される一例では、接触部材117は、細長い部材115の底面に接触して、細長い部材115を、円筒形のステム108の第1の端部112の方向に移動させるように構成された傾斜ねじを備える。
【0021】
図10で示された別の例では、細長い部材115は、円筒形のステム108の内側の傾斜面と接触するテーパを有する端部を備えた円筒形の形状をしており、それにより、拡大機構110を第1の位置から第2の位置へと移行させる。
図9で示された一例では、接触部材117は、細長い部材115の傾斜した底面に接触して、細長い部材115を円筒形のステム108の第1の端部112の方向に移動させるように構成されたロッドを備える。
【0022】
図11で示される別の例では、人工装具インプラント100は、細長い部材115に接触して、それにより拡大機構110を第2の位置にロックするように構成されたレバー119をさらに含む。このような位置例では、レバー119は、円筒形のステム108の第1の端部112の方向への、細長い部材115の動きを可能にする第1の位置に位置する。拡大機構110が、第2の位置に移行されたとき、レバー119は、第2の位置(
図11で示される)に移動し、それにより拡大機構110を第2の位置にロックする。
【0023】
本明細書で開示される方法は、本明細書で述べられる人工装具インプラント100の諸実施形態の任意のものと共に使用することができる。
【0024】
方法は、人工装具インプラント100を患者の骨に固定することを含む。方法は、骨に、チャネルを穿設するステップを含むことができる。例では、チャネルは、骨を通して完全に延びることはない。方法はまた、人工装具インプラント100の円筒形のステム108をチャネルの中に配置するステップを含むことができる。人工装具インプラント100は、第1の側面104と、第1の側面104の反対側の第2の側面106とを備える本体102を含み、円筒形のステム108は、第1の側面104から離れて延び、また第2の側面106は、関節面103に結合されるように構成される。方法はまた、円筒形のステム108内に位置する拡大機構110を、第1の位置から第2の位置に移動させる、それにより、円筒形のステム108の最大直径を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させるステップであって、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい、ステップを含むことができる。
【0025】
例では、円筒形のステム108の長手方向軸は、本体102の第1の側面104に対して直角である。拡大機構110は、本体102の第2の側面106からアクセスすることができる。拡大機構110は、本体102の第2の側面106の方向に、第1の位置から第2の位置へと移動し、それにより、円筒形のステム108を、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる。
【0026】
例では、円筒形のステム108の長手方向軸は、本体102の第1の側面104に平行である。円筒形のステム108の第1の端部112の直径、及び円筒形のステム108の第2の端部114の直径は、拡大機構110が、第1の位置から第2の位置へと移動したとき、一定のままであり得る。円筒形のステムの最大直径は、第1の端部112と第2の端部114との間で生ずることができる。代替的に、円筒形のステム108の最大直径は、第1の端部112、又は第2の端部114のいずれかで生ずることができる。
【0027】
例では、チャネルは、患者の脛骨又は距骨に穿設される。
【0028】
例では、方法は、骨に第2のチャネルを穿設するステップと、人工装具インプラントの第2の円筒形のステムを第2のチャネルの中に配置するステップであって、第2の円筒形のステムは、人工装具インプラント100の本体102の第1の側面104から離れて延びる、ステップと、第2の円筒形のステム内に位置する第2の拡大機構を第1の位置から第2の位置へと移動させ、それにより、第2の円筒形のステムの最大直径を第1の最大直径から第2の最大直径に変化させるステップであって、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい、ステップとをさらに含む。
【0029】
図12は、第1の側面204と、第1の側面204の反対側の第2の側面206とを備える本体202を含む別の人工装具インプラント200を示す。第1の側面204は、骨接触面を備え、第2の側面206は、関節面203に結合されるように構成される。人工装具インプラント200は、本体202の第1の側面204から離隔された円筒形のステム208をさらに含む。例では、円筒形のステム208の長手方向軸は、本体202の第1の側面204と平行である。人工装具インプラント200は、第1の端部212と、第1の端部212の反対側の第2の端部214と有するロッド210をさらに含む。ロッド210の第1の端部212は、本体202の第1の側面204に結合され、ロッド210の第2の端部214は、円筒形のステム208に結合される。ロッド210は、形状記憶材料又は超弾性材料を備える。例では、ロッド210の形状記憶材料又は超弾性材料は、ニッケルチタン合金を含む。ロッド210は、患者の脛骨のチャネルに円筒形のステム208を配置する前に伸長されて、ロッド210の形状記憶材料又は超弾性材料が、円筒形のステム208及び本体202を、植込み後に互いに引っ張らせるようにする。このロッド210の短縮化は、人工装具インプラント200と脛骨との間に一定の圧縮を生じさせて、インプラントが弛む、又は沈む可能性を低減する。例では、ロッド210は、脛骨のチャネルに円筒形のステム208を配置する前に、手術中に伸長される。別の例では、ロッド210は、脛骨のチャネルに円筒形のステム208を配置する前に、事前に伸長される。
【0030】
図12で示される例では、人工装具インプラント200は、ロッド210と同様に構成された第2のロッド216を含むことができる。例では、第2のロッド216は、第1の端部218と、第1の端部218の反対側の第2の端部220とを含む。第2のロッド216の第1の端部218は、本体202の第1の側面104に結合され、第2のロッド216の第2の端部220は、円筒形のステム208に結合される。第2のロッド216は、形状記憶材料又は超弾性材料を含む。第2のロッド216は、患者の脛骨のチャネルに円筒形のステム208を配置する前に伸長されて、第2のロッド216の形状記憶材料又は超弾性材料が、円筒形のステム208及び本体202を、植込み後に互いに引っ張らせるようにする。
【0031】
図13は、第1の側面304と、第1の側面304の反対側の第2の側面306とを備える本体302を含む別の例示的な人工装具インプラント300を示す。第1の側面304は、骨接触面を備え、第2の側面306は、関節面303に結合するように構成される。人工装具インプラント300は、本体302の第1の側面304から離れて延びる円筒形のステム308をさらに含む。人工装具インプラント300は、円筒形のステム308内に少なくとも部分的に配置された形状記憶又は超弾性構成要素310をさらに含む。例では、形状記憶又は超弾性構成要素310は、ニッケルチタン合金を含む。人工装具インプラント300は、形状記憶又は超弾性構成要素310に結合されて位置する保持機構312をさらに含む。保持機構312を除去すると、形状記憶又は超弾性構成要素310を第1の長さから第2の長さに縮小させる、ここで、第1の長さは、第2の長さよりも大きい。形状記憶又は超弾性構成要素310を、第1の長さから第2の長さに縮小させると、円筒形のステム308の最大直径を第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる、ここで、第2の最大直径は、第1の最大直径よりも大きい。
【0032】
図13で示される例では、円筒形のステム308の長手方向軸は、本体302の第1の側面304に直角である。このような一例では、円筒形のステム308は、第1の端部314と、第1の端部314の反対側の第2の端部316とを有し、円筒形のステム308の第2の端部316は、本体302の第1の側面304に直接結合される。例では、保持機構312は、本体302の第2の側面306からアクセスされる。例では、円筒形のステム308は、第1の端部314から、第2の端部316の方向に延びる複数のスリットを含む。複数のスリットは、形状記憶又は超弾性構成要素310が、第1の長さから第2の長さに縮小すると、円筒形のステム308を第1の最大直径から第2の最大直径に変化できるようにするのを助けることができる。
【0033】
図13で示される例では、形状記憶又は超弾性構成要素310は、第1の端部318と、第1の端部318の反対側の第2の端部320とを有し、保持機構312は、形状記憶又は超弾性構成要素310の第1の端部318に結合される。開口部付楔322を、形状記憶又は超弾性構成要素310の第2の端部320に結合することができ、したがって、形状記憶又は超弾性構成要素310を第1の長さから第2の長さへと縮小させると、開口部付楔322を、形状記憶又は超弾性構成要素310の第1の端部318に向けて移動させ、それにより、円筒形のステム308の最大直径を第1の最大直径から第2の最大直径に変化させる。
【0034】
図14から
図16で示される例では、円筒形のステム308の長手方向軸は、本体302の第1の側面304に平行である。このような例では、人工装具インプラント300は、第1の端部326と、第1の端部326の反対側の第2の端部328とを有する長手方向のサポート324を含むことができる。長手方向のサポート324の第1の端部326は、本体302の第1の側面304に結合され、長手方向のサポート324の第2の端部328は、円筒形のステム308に結合され、したがって、円筒形のステム308は、本体302から離隔される。
【0035】
例では、円筒形のステム308の最大直径は、円筒形のステム308の第1の端部314と第2の端部316との間で生ずる。このような一例では、円筒形のステム308の第1の端部314の直径、及び円筒形のステム308の第2の端部316の直径は、保持機構312が第1の長さから第2の長さへと縮小したとき、一定のままである。例では、円筒形のステム308は、第1の端部314と第2の端部316との間に位置する複数のスリットを含む。複数のスリットは、形状記憶又は超弾性構成要素310が、第1の長さから第2の長さに縮小すると、円筒形のステム308が、第1の最大直径から第2の最大直径へと変化するのを助けることができる。
【0036】
例では、形状記憶又は超弾性構成要素310の第1の端部318は、円筒形のステム308に固定して結合され、形状記憶又は超弾性構成要素310の第2の端部320は、開口部付楔322に結合される。このような例では、第1の長さから第2の長さへの形状記憶又は超弾性構成要素310の縮小は、開口部付楔322を、形状記憶又は超弾性構成要素310の第1の端部318の方向に移動させて、それにより、円筒形のステム308の最大の直径を第1の最大直径から第2の最大直径へと変化させる。
【0037】
図17は、第1の側面404と、第1の側面404の反対側の第2の側面406を含むベースプレート402を含む別の例示的な人工装具インプラント400を示す。人工装具インプラント400は、ベースプレート402の第1の側面404から離れて延びる外側コア408をさらに含む。外側コア408は、患者の骨の内部に配置されるように構成される。人工装具インプラント400は、ベースプレート402に結合され、外側コア408内に少なくとも部分的に配置される内側コア410をさらに含む。人工装具インプラント400は、内側コア410を外側コア408に結合する取付け機構412をさらに含む。取付け機構412は、外側コア408に対して、内側コア410を第1の方向に長手方向に移動できるようにし、その間、内側コア410を、外側コア408に対して、第1の方向とは反対の第2の方向への長手方向の移動を阻止する。例では、ベースプレート402及び内側コア410は、互いに結合され、歩行(gait)中に搭載が行われると、ベースプレート402及び内側コア410は、上方に(骨に向けて)移動するが、外側コア408は、骨に静止したまま留まる。取付け機構412は、ベースプレート402及び内側コア410が反対方向に移動する(骨から離れる)のを阻止する。
【0038】
図17から
図18で示される例では、内側コア410の外側表面は、第1の複数のねじ山414を含み、ベースプレート402の一部は、第1の複数のねじ山414と相互作用するように構成された第2の複数のねじ山416を含み、したがって、内側コア410は、外側コア408から、回転して、独立して移動することができる。修正手術(revision surgery)中に、関節面403は、ベースプレート402から除かれて、内側コア410に対して駆動機構418が露出される。上記で論じたように、内側コア410は、第1の複数のねじ山414、及び第2の複数のねじ山416を介して、外側コア408から回転して、独立して移動することができる。この独立した動きにより、内側コア410を、取付け機構412の力を克服して、ベースプレート402及び内側コア410を、患者の脛骨に固定される外側コア408から解放できるようにする。ベースプレート402及び内側コア410が除かれると、外側コア408の上部にある内部の駆動機構420が露出され、それにより、外科医は、外側コア408を脛骨から外すことができる。
【0039】
図17から
図18で示される例では、ベースプレート402の第1の側面404は、チャネル422を含み、また外側コア408の一部は、人工装具インプラント400が圧縮すると、チャネル422の内部に入れ子になるように構成される。
図17は、内側コア410及び外側コア408の互いに対する開始位置を示す。重量の支持が開始し、骨の再吸収が存在するので、圧縮力は、内側コア410を押し込み、ベースプレート402を上方に移動させることができる。ベースプレート402が外側コア408に対して上昇すると、ベースプレート402の上面のチャネル422は、外側コア408をベースプレート402内に入れ子にすることができ、それを
図18で示す。
【0040】
図19から
図20で示される例では、取付け機構412は、把持リングを備える。
図19で示される例では、外側コア408及び内側コア410は、取付け機構412を保持するためのフランジ/アンダーカット機構を含む。
図20で示される別の例では、取付け機構412は、ラチェット機構を備え、内側コア410の内面は、ラチェット機構と相互作用するように構成された複数の突出し部を含む。
【0041】
本明細書で述べられる構成は、例示目的に限ることを理解されたい。したがって、当業者であれば、それに代えて、他の構成及び他の要素(例えば、機械、インターフェース、機能、順序、及び機能のグループ化など)を使用できること、またいくつかの要素は、望ましい結果に従って、まったく除外できることを理解されよう。さらに、述べられた要素の多くは、任意の適切な組合せ及び位置において、別々のもしくは分散された構成要素として、又は他の構成要素と共に実施され得る機能的なエンティティである、又は組み合わせることのできる独立した構造として述べられる他の構造的な要素である。
【0042】
様々な態様及び例が本明細書で開示されたが、他の態様及び例も、当業者には明らかであろう。本明細書で開示される様々な態様及び例は、例示のためであり、限定するように意図されておらず、真の範囲は、このような特許請求の範囲に与えられる等価な形態の完全な範囲と共に、添付の特許請求の範囲によって示される。本明細書で使用される専門用語は、特定の例に限って述べるためのものであり、限定することを意味していないことも理解されたい。
【0043】
例示的な方法及びシステムが、本明細書で述べられる。「例」、「例示的な」、及び「説明的な」という用語は、本明細書では、「例、実例(instance)、又は説明として働く」ことを意味するものとして使用される。「例」である、「例示的」である、又は「説明的」であるとして、本明細書で述べられる任意の例もしくは特徴は、他の例もしくは特徴に対して、必ずしも、好ましい、又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書で述べられる例は、限定的であることを意味していない。本明細書で一般的に述べられ、諸図で示される本開示の態様は、広範囲な様々な構成で構成され、置き換えられ、組み合わされ、分離され、設計され得るが、そのすべては、本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されよう。
【0044】
さらに、図で示される特定の構成は、限定するものと見るべきではない。他の例は、所与の図で示された各要素を多かれ少なかれ含み得ることを理解されたい。さらに示された要素のいくつかは、組み合わせる、又は除外することができる。さらに、1つの例は、諸図で示されないいくつかの要素を含むことができる。
【0045】
以下の記述では、開示される概念の十分な理解を提供するために、数多くの特定の細部が記載されるが、これは、その詳細のいくつか、又はすべてを含まずに実施することができる。他の例では、本開示を不必要に曖昧にしないように、知られたデバイス及び/又はプロセスの詳細は、除外されている。いくつかの概念は、特定の例と共に述べられることになるが、これらの例は、限定するように意図されていないことを理解されたい。
【0046】
本明細書で使用される場合、「結合される」は、直接的ならび間接的に関連付けられることを意味する。例えば、部材Aは、部材Bに直接的に関連付けることができる、又は例えば、別の部材Cを介して、それと間接的に関連付けることができる。様々な開示された要素間のすべての関係性が、必ずしも表現されないことを理解されたい。
【0047】
その他の形で示されない限り、「第1」、「第2」などの用語は、単に「ラベル」として本明細書で使用され、これらの用語が参照する項目に対して、順序的な、位置的な、又は階層的な要件を課すことを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」項目に対する参照は、例えば、「第1の」もしくは下位に番号が付された項目、及び/又は例えば、「第3の」もしくは上位に番号が付された項目の存在を必要とする、又は排除するものではない。
【0048】
本明細書において、「一実施形態」又は「一例」に対する参照は、その例に関して述べられた1つ又は複数の機能、構造、又は特性が、少なくとも1つの実装形態に含まれることを意味する。明細書の様々な場所における「一実施形態」、又は「一例」のフレーズは、同じ例を参照することも、参照しないこともあり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、指定された機能を実施する「ように構成された」システム、装置、構造、物、要素、構成要素、又はハードウェアは、さらなる変更後に、指定された機能を実施する潜在能力を単に有しているのではなく、何らかの改変を行うことなく、指定された機能を実際に実施することができる。言い換えると、指定された機能を実施する「ように構成された」システム、装置、構造、物、要素、構成要素、又はハードウェアは、指定された機能を実施するために、特に選択され、作成され、実装され、利用され、プログラムされ、及び/又は設計される。本明細書で使用される場合、「ように構成される」は、システム、装置、構造、物、要素、構成要素、又はハードウェアが、さらなる変更を行うことなく、指定された機能を実施できるようにするシステム、装置、構造、物、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を示す。本開示においては、特定の機能を実施する「ように構成された」と記述されたシステム、装置、構造、物、要素、構成要素、又はハードウェアは、さらに、又は代替的に、その機能を実施する「ように適合される」、及び/又は「ように動作可能である」と記述することができる。
【0050】
添付の特許請求の範囲の限定は、このような特許請求の範囲の限定が、明示的に「~のための手段」のフレーズを使用し、その後に、さらなる構造を含まない機能の記述が行われない限り、及び行われるまで、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)形式で記載されたものではなく、また米国特許法第112条(f)に基づいて解釈するようには意図されていない。
【0051】
本明細書で述べられる量又は測定値を参照する「約」、「近似的に」、又は「実質的に」という用語により記載された特性、パラメータ、又は値は、正確に達成される必要はなく、例えば、許容差、測定誤差、測定精度の限定、及び当業者に知られた他の要因を含む偏差もしくは変動が、特性が提供するように意図された効果を排除することのない量で生ずる可能性がある。例えば、一実施形態では、「約」という用語は、所与の値の±5%を指すことができる。
【0052】
本開示による主題の特許請求され得る、又はされ得ない例示的、非網羅的な例が以下で提供される。
【符号の説明】
【0053】
100 人工装具インプラント
102 本体
103 関節面
104 第1の側面
106 第2の側面
108 円筒形のステム
110 拡大機構
111 下方咬合コレット
112 第1の端部
113 拡大コレット
114 第2の端部
115 細長い部材
116 スリット
117 接触部材
118 長手方向サポート
119 レバー
120 第1の端部
122 第2の端部
200 人工装具インプラント
202 本体
203 関節面
204 第1の側面
206 第2の側面
208 円筒形のステム
210 ロッド
212 第1の端部
214 第2の端部
216 第2のロッド
218 第1の端部
220 第2の端部
300 人工装具インプラント
302 本体
303 関節面
304 第1の側面
306 第2の側面
308 円筒形のステム
310 形状記憶材料又は超弾性材料
312 保持機構
314 第1の端部
316 第2の端部
318 第1の端部
320 第2の端部
322 開口部付楔
324 長手方向のサポート
326 第1の端部
328 第2の端部
400 人工装具インプラント
402 ベースプレート
404 第1の側面
406 第2の側面
408 外側コア
410 内側コア
412 取付け機構
414 第1の複数のねじ山
416 第2の複数のねじ山
418 駆動機構
420 内部の駆動機構
422 チャネル
【国際調査報告】