(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】目標体温管理システム用の自動化フィードバックのためのシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61F7/00 300
A61F7/00 310F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532670
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2021061642
(87)【国際公開番号】W WO2023101677
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】マッキノン、オースティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョズマ、ジェット
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA05
4C099CA01
4C099EA08
4C099GA02
4C099HA01
4C099LA13
4C099PA04
4C099PA08
(57)【要約】
本明細書では、温度感知医療器具から温度データを取得するためのシステム、方法、及び装置が開示される。目標体温管理(TTM)システムは、TTM流体を提供するように構成されたTTMモジュールと、TTMモジュールからTTM流体を受け入れてTTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱的パッドと、TTMモジュールと熱的パッドとの間に延びる流体送達ライン(FDL)であって、TTMモジュールと熱的パッドとの間にTTM流体の流れを提供するように構成されている、流体送達ラインと、患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具であって、TTMモジュールに通信可能に結合し患者の血液の温度を含む温度フィードバックをTTMモジュールに提供するようにさらに構成されている、温度感知医療器具と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標体温管理(TTM)システムであって、
TTM流体を提供するように構成されたTTMモジュールと、
TTMモジュールからTTM流体を受け入れてTTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱的パッドと、
TTMモジュールと熱的パッドとの間に延びる流体送達ライン(FDL)であって、TTMモジュールと熱的パッドとの間にTTM流体の流れを提供するように構成されている流体送達ライン(FDL)と、
患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具であって、TTMモジュールに通信可能に結合し患者の血液の温度を含む温度フィードバックをTTMモジュールに提供するようにさらに構成されている、温度感知医療器具と
を備える、目標体温管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の目標体温管理システムにおいて、
前記温度感知医療器具は、サーミスタを備える、目標体温管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の目標体温管理システムにおいて、
前記温度感知医療器具は、ハウジングと、ハウジングから遠位方向に延びる細長い部分とを備え、
前記サーミスタは、前記サーミスタの遠位先端部に沿って又は遠位先端部に配置される、目標体温管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の目標体温管理システムにおいて、
前記ハウジングは、前記細長い部分がカテーテルを通って延びるように、前記カテーテルを受け入れるように構成されている、目標体温管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の目標体温管理システムにおいて、
サーミスタは、挿入時に患者の内頸(IJ)静脈内に配置されるように構成されており、前記サーミスタがIJ静脈内にあるときに取得される温度データは、患者の脳の温度を示す、目標体温管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の目標体温管理システムにおいて、
通信可能な結合は、1本以上の電線を介して前記TTMモジュールと前記温度感知医療器具との間の接続を確立することによって確立される、目標体温管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の目標体温管理システムにおいて、
通信可能な結合は、短距離無線技術規格に準拠して前記TTMモジュールと前記温度感知医療器具との間の無線接続を確立することによって確立される、目標体温管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の目標体温管理システムにおいて、
前記温度感知医療器具は、プロセッサ、アナログ・デジタル変換器、及びバッテリを備える、目標体温管理システム。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載の目標体温管理システムにおいて、
前記TTMモジュールは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると動作を実施するように構成されたロジックを格納した非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、前記動作は、
温度データを受信することと、
TTMシステムによって実施されているTTM処置の有効性を温度データに基づいて分析することであって、TTM処置はTTM流体の提供を含むことと、
分析に基づいて、TTM処置を変更することと
を備える、目標体温管理システム。
【請求項10】
患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具であって、
患者の外部にとどまるように構成されたハウジングと、
ハウジングから遠位方向に延び、患者に挿入されるように構成された細長い部分と、
サーミスタの遠位先端部に沿って又は遠位先端部に配置されたサーミスタであって、前記温度感知医療器具は、目標体温管理(TTM)システムのTTMモジュールと通信可能に結合しTTMモジュールに温度データを提供するように構成されているサーミスタと
を備える、温度感知医療器具。
【請求項11】
請求項10に記載の温度感知医療器具において、
前記ハウジングは、前記細長い部分がカテーテルを通って延びるように、前記カテーテルを受け入れるように構成されている、温度感知医療器具。
【請求項12】
請求項10に記載の温度感知医療器具において、
前記サーミスタは、挿入時に患者の内頸(IJ)静脈内に配置されるように構成されており、前記サーミスタがIJ静脈内にあるときに取得される温度データは、患者の脳の温度を示す、温度感知医療器具。
【請求項13】
請求項10に記載の温度感知医療器具において、
通信可能な結合は、1本以上の電線を介した前記TTMモジュールと前記温度感知医療器具との間の物理的接続を通して確立される、温度感知医療器具。
【請求項14】
請求項10に記載の温度感知医療器具において、
通信可能な結合は、短距離無線技術規格に準拠した前記TTMモジュールと前記温度感知医療器具との間の無線接続を通して確立される、温度感知医療器具。
【請求項15】
請求項10に記載の温度感知医療器具は、更に、
温度感知医療器具は、プロセッサ、アナログ・デジタル変換器、及びバッテリをさらに備える、温度感知医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目標体温管理システム用の自動化フィードバックのためのシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体温が人体に与える影響は十分に裏付けられており、身体組織を選択的に冷却及び/又は加温するための目標体温管理(targeted temperature management:TTM)システムの使用が知られている。体温の上昇、すなわち高体温は、通常状態において、さらにより重要なことには、病気又は手術などの身体的ストレスのある期間中に、脳に有害である可能性がある。反対に、体温の低下、すなわち軽度の低体温は、ある程度の神経保護をもたらす可能性がある。中等度から重度の低体温は、身体、特に心血管系により有害となる傾向がある。
【0003】
目標体温管理は、2つの異なる態様で見られる。体温管理の第1の態様は、異常な体温を治療すること、すなわち高体温の状態にある身体を冷却すること、又は低体温の状態にある身体を加温することを含む。体温調節の第2の態様は、ある程度の神経保護を得るために脳卒中患者を冷却するなどの、生理学的利益を提供するために患者の体温を物理的に制御する技術を用いる発展的な治療である。例として、TTMシステムは、脳卒中や頭部外傷の患者が受ける神経損傷を低減するために、早期の脳卒中治療に利用される場合がある。付加的な用途としては、心肺バイパス手術などの外科的処置中に患者を選択的に加温/冷却することが挙げられる。
【0004】
TTMシステムは、患者に結合された1つ以上の熱的接触パッドを通して流体(例えば水)を循環させて、患者との表面間の熱エネルギー交換に作用する。一般に、TTMシステムは、流体送達ラインを介して少なくとも1つの接触パッドに結合されたTTM流体制御モジュールを備える。このようなTTMシステムの1つは、2001年10月11日出願の「Patient Temperature Control System with Fluid Pressure Maintenance」と題された特許文献1に開示されており、このような熱的接触パッド及び関連するシステムの1つは、1999年1月4日出願の「Cooling/heating Pad and System」と題された特許文献2に開示されており、これらの特許文献は双方とも、参照によりその全体が本明細書に援用される。特許文献2で述べられているように、パッドと患者との密接な接触を確立し維持する能力は、TTMシステムの医療効果を十分に実現するために重要である。
【0005】
さらに、患者体温を正確に監視することは、TTMの有効性、並びに患者の健康及び安寧に不可欠である。TTM流体が冷却/加熱され、1つ以上の熱的接触パッドを通って循環されると、患者体温は急速に変化し得る。具体的には、TTM流体が熱的接触パッドを通って循環すると、それに応じて対応する領域で患者の身体を流れる血液の温度が変化し、血液は続いて身体の他の場所に循環する。例えば、TTM処置の結果として冷却された血液は、脳に循環することができる。脳の温度を正確に決定することは、例えば、ある程度の神経保護を得るために脳卒中患者の冷却を目的としたTTM処置において重要である。患者の核心部における、又は付属器官(例えば指部、腕、脚)に取り付けた温度計による、患者の体温の測定では、脳の温度が正確に測定されないことが判明している。したがって、脳のすぐ隣の位置で脳の血液温度を測定し、そのような測定値をTTMシステムに対するフィードバックとして利用するためのシステム、方法及び装置が必要であり、本明細書で開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6645232号明細書
【特許文献2】米国特許第6197045号明細書
【発明の概要】
【0007】
簡単に要約すると、本明細書では、目標体温管理(TTM)システムが開示され、目標体温管理(TTM)システムは、TTM流体を提供するように構成されたTTMモジュールと、TTMモジュールからTTM流体を受け入れてTTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱的パッドと、TTMモジュールと熱的パッドとの間に延びる流体送達ライン(FDL)であって、FDLはTTMモジュールと熱的パッドとの間にTTM流体の流れを提供するように構成されている、流体送達ラインと、患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具であって、温度感知医療器具は、TTMモジュールに通信可能に結合し患者の血液の温度を含む温度フィードバックをTTMモジュールに提供するようにさらに構成されている、温度感知医療器具とを備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、サーミスタを備える。いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、ハウジングと、ハウジングから遠位方向に延びる細長い部分とを備え、サーミスタは、サーミスタの遠位先端部に沿って又は遠位先端部に配置される。いくつかの実施形態において、ハウジングは、細長い部分がカテーテルを通って延びるように、カテーテルを受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態において、サーミスタは、挿入時に患者の内頸(IJ)静脈内に配置されるように構成されており、サーミスタがIJ静脈内にあるときに取得される温度データは、患者の脳の温度を示す。
【0009】
いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、1本以上の電線を介してTTMモジュールと温度感知医療器具との間の接続を確立することによって確立される。いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、短距離無線技術規格に準拠してTTMモジュールと温度感知医療器具との間の無線接続を確立することによって確立される。いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、プロセッサ、アナログ・デジタル変換器、及びバッテリを備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、TTMモジュールは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると動作の実施をもたらすように構成されるロジックを格納した非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、動作は、温度データを受信することと、TTMシステムによって実施されているTTM処置の有効性を温度データに基づいて分析することであって、TTM処置はTTM流体を提供することを含む、分析することと、分析に基づいてTTM処置を変更することとを含む。
【0011】
本明細書では、患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具も開示され、温度感知医療器具は、患者の外部にとどまるように構成されたハウジングと、ハウジングから遠位方向に延び、患者に挿入されるように構成された細長い部分と、サーミスタであって、サーミスタの遠位先端部に沿って又は遠位先端部に配置されたサーミスタとを備え、温度感知医療器具は、目標体温管理(TTM)システムのTTMモジュールと通信可能に結合しTTMモジュールに温度データを提供するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、細長い部分がカテーテルを通って延びるように、カテーテルを受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態において、サーミスタは、挿入時に患者の内頸(IJ)静脈内に配置されるように構成されており、サーミスタがIJ静脈内にあるときに取得される温度データは、患者の脳の温度を示す。いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、1本以上の電線を介したTTMモジュールと温度感知医療器具との間の物理的接続を通して確立される。いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、短距離無線技術規格に準拠したTTMモジュールと温度感知医療器具との間の無線接続を通して確立される。いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、プロセッサ、アナログ・デジタル変換器、及びバッテリをさらに備える。
【0013】
本明細書では、目標体温管理(TTM)システムを使用する方法も開示され、本方法は、TTMシステムを提供することを含み、TTMシステムは、TTM流体を提供するように構成されたTTMモジュールと、TTMモジュールからTTM流体を受け入れてTTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成された熱的パッドと、TTMモジュールと熱的パッドとの間に延びる流体送達ライン(FDL)であって、FDLはTTMモジュールと熱的パッドとの間にTTM流体の流れを提供するように構成されている、流体送達ラインと、患者に挿入され患者の血液の温度を示す温度データを取得するように構成された温度感知医療器具であって、温度感知医療器具は、TTMモジュールに通信可能に結合し患者の血液の温度を含む温度フィードバックをTTMモジュールに提供するようにさらに構成されている、温度感知医療器具とを備える。本方法は、熱的パッドを患者に適用することと、温度感知医療器具を患者に挿入することと、TTM流体をTTMモジュールから熱的パッドに送達することと、TTMモジュールによって、温度感知医療器具から温度データを受信することと、TTMシステムによって実施されているTTM処置の有効性を温度データに基づいて分析することであって、TTM処置はTTM流体を提供することを含む、分析することとをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、分析に基づいてTTM処置を変更することをさらに含む。いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、サーミスタを備える。いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、ハウジングと、ハウジングから遠位方向に延びる細長い部分とを備え、サーミスタは、サーミスタの遠位先端部に沿って又は遠位先端部に配置されている。
【0015】
いくつかの実施形態において、ハウジングは、細長い部分がカテーテルを通って延びるように、カテーテルを受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態において、サーミスタは、挿入時に患者の内頸(IJ)静脈内に配置されるように構成されており、サーミスタがIJ静脈内にあるときに取得される温度データは、患者の脳の温度を示す。いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、1本以上の電線を介してTTMモジュールと温度感知医療器具との間の接続を確立することによって確立される。いくつかの実施形態において、通信可能な結合は、短距離無線技術規格に準拠してTTMモジュールと温度感知医療器具との間の無線接続を確立することによって確立される。
【0016】
いくつかの実施形態において、温度感知医療器具は、プロセッサ、アナログ・デジタル変換器、及びバッテリを備える。いくつかの実施形態において、TTMモジュールは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると動作の実施をもたらすように構成されるロジックを格納した非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、動作は、温度データを受信することと、TTMシステムによって実施されているTTM処置の有効性を温度データに基づいて分析することであって、TTM処置はTTM流体を提供することを含む、分析することと、分析に基づいてTTM処置を変更することとを含む。
【0017】
本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面及び以下の説明を考慮すると当業者にはより明白になるであろう。
【0018】
本開示のより詳細な説明は、添付図面に示される本開示の具体的な実施形態を参照することによってなされる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、添付図面を用いて、さらに具体的且つ詳細に記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】いくつかの実施形態による、患者及び患者を冷却又は加温するための目標体温管理(TTM)システムを示す図。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムの液圧回路図。
【
図3】いくつかの実施形態による、
図1のTTMモジュールのコンソールの様々な要素を描写するブロック図。
【
図4A】いくつかの実施形態による、
図1の熱的接触パッドの一部の上面図。
【
図4B】いくつかの実施形態による、
図4Aの熱的接触パッドの一部の側断面図。
【
図5A】いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムと通信可能に結合されるように構成された温度感知医療器具の第1の実施形態を示す図。
【
図5B】いくつかの実施形態による、患者及び
図5Aの温度感知医療器具に通信可能に結合された
図1のTTMシステムを示す図。
【
図6A】いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムと通信可能に結合されるように構成された温度感知医療器具の第2の実施形態を示す図。
【
図6B】いくつかの実施形態による、患者及び
図6Aの温度感知医療器具に通信可能に結合された
図1のTTMシステムを示す図。
【
図7】いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムを使用して
図5A又は
図6Aのいずれかの温度感知医療器具から温度データを受信するための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0021】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」という語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、「備える(comprising)」という語と同じ意味を有する。さらに、「又は」及び「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合、包括的又は任意の1つの若しくは任意の組み合わせを意味するものと解釈されるものとする。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びC、のいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0022】
「に接続される」及び「に連結される」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、信号的、通信的(無線を含む)、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに接続又は連結され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに連結され得る。
【0023】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
図1は、いくつかの実施形態による、患者50の冷却及び/又は加温を含み得る目標体温管理療法を患者50に施すための、患者50に接続された目標体温管理(TTM)システム100を示す。TTMシステム100は、モジュールハウジング111内に収められたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)115を含むTTMモジュール110を備える。TTMシステム100は、TTMモジュール110から熱的接触パッド(パッド)120まで延びてTTMモジュール110とパッド120との間にTTM流体112の流れを提供する流体送達ライン(FDL)130を備える。FDLは、TTMモジュール110からパッド120へのTTM流体112の送達流及びパッド120からTTMモジュール110へのTTM流体112の戻り流を促進する2本の導管を含む。いくつかの実施形態において、2本の導管は、FDLの長さの一部に沿って互いに付着され得る。
【0024】
TTMシステム100は、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上のパッド120を備えてもよく、TTMシステム100は、1本、2本、3本、4本又はそれ以上の流体送達ライン130を備えてもよい。使用時、TTMモジュール110は、処方されたTTM療法に従って、TTM流体112を規定温度に加熱又は冷却することによって、パッド120に送達するためのTTM流体112を準備する。TTMモジュール110は、パッド120内を含むTTM流体流路に沿ってTTM流体112を循環させて患者50との熱エネルギー交換を促進する。TTM療法中、TTMモジュール110は、TTM流体112の温度を目標TTM温度に向けて継続的に制御し得る。
【0025】
TTMシステム100は、FDL130をパッド120に結合するためのコネクタシステム150を備え得る。いくつかの実施形態において、コネクタシステム150は、FDLの単一の流体導管をパッド120に結合し得る。よって、FDL130とパッド120との間の接続は、2本以上の流体導管をパッド120に結合するために、2つ以上のコネクタシステム150を備え得る。コネクタシステム150は、
図4A及び
図4Bにおいてさらに以下で説明される。
【0026】
図2は、TTMシステム100の液圧回路図を示す。FDL130及びパッド120は、TTMモジュール110のハウジング111の外部に配置されている。TTMモジュールは、TTM流体112を準備し循環させるための様々な流体センサ及び流体制御装置を備える。TTMモジュールの流体サブシステムは、温度制御サブシステム210及び循環サブシステム230を含み得る。
【0027】
温度制御サブシステム210は、冷却器213及び冷却器タンク214を備える冷却器回路212を通してTTM流体112を送り込む(再循環させる)ための冷却器ポンプ211を備え得る。冷却器タンク214内の温度センサ215は、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度を測定するように構成されている。冷却器213は、冷却器タンク214内のTTM流体112の所望の温度を確立するために、以下でさらに説明するように、温度制御ロジック(
図3参照)によって制御され得る。場合によっては、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度は、TTM療法の目標温度未満であってもよい。
【0028】
温度制御サブシステム210は、冷却器タンク214、循環タンク224、及び冷却器タンク214と循環タンク224との間に配置されたダム228を含む混合回路222を通してTTM流体112を送り込むための混合ポンプ221をさらに備える。TTM流体112は、混合ポンプ221によって送り込まれると、冷却器タンク214に進入し、冷却器タンク214内のTTM流体112と混合する。冷却器タンク214内の混合したTTM流体112は、ダム228を越えて循環タンク224に流れ込む。換言すると、混合回路222は、冷却器タンク214内のTTM流体112を循環タンク224内のTTM流体112と混合して、循環タンク224内のTTM流体112を冷却する。循環タンク224内の温度センサ225は、循環タンク224内のTTM流体112の温度を測定する。温度制御ロジックは、循環タンク224内の温度センサ225からの温度データに従って混合ポンプ221を制御し得る。
【0029】
循環タンク224は、循環タンク224内のTTM流体112の温度を上昇させるための加熱器227を備え、加熱器227は、温度制御ロジックによって制御され得る。要約すると、温度制御ロジックは、プロセッサ(
図3参照)によって実行されると、1)冷却器タンク内の温度センサ215及び循環タンク224内の温度センサ225から温度データを受信し、2)循環タンク224内のTTM流体112の温度をTTM療法の目標温度に確立し維持するように、冷却器213、冷却器ポンプ211、加熱器227、及び混合ポンプ222の動作を制御することができる。
【0030】
循環サブシステム230は、TTM流体112を循環タンク224から循環ポンプ213の上流に位置する流体送達ライン130及びパッド120を含む循環回路232を通して引き出すための循環ポンプ213を備える。循環回路232はまた、パッド120内のTTM流体112の圧力を表すための圧力センサ237も備える。循環回路232は、パッド120に進入するTTM流体112の温度を表すための、循環タンク224内の温度センサ235と、パッド120を退出するTTM流体の温度を表すための温度センサ236とを備える。流量計238は、循環ポンプ213の下流に配置されて、TTM流体112が循環タンク224に再び進入する前に循環回路232を通るTTM流体112の流量を測定する。
【0031】
使用時、循環回路232を通るTTM流体の流れが停止されたときにパッド120内の圧力が大気圧未満(すなわち負圧)となるように、大気に通気され得る循環タンク224は、パッド120よりも下方に(つまりパッド120よりも低い高さに)位置する。パッド120はまた、循環ポンプ231の上流に配置されて、循環ポンプ213が作動しているときにパッド120内の負圧をさらに確立する。流体フロー制御ロジック(
図3参照)は、パッド120内の所望の負圧を確立し維持するように、循環ポンプ213の動作を制御し得る。供給タンク240は、ポート241を介してTTM流体112を循環タンク224に提供して、循環タンク224内のTTM流体112の規定量を維持する。
【0032】
図3は、いくつかの実施形態による、
図1のTTMモジュール110の様々な要素を描写するブロック図を示している。TTMモジュール110は、プロセッサ310と、非一時的コンピュータ可読媒体を含むメモリ340とを備えたコンソール300を備える。メモリ340に格納されたロジックモジュールは、患者治療ロジック341、流体温度制御ロジック342、及び流体フロー制御ロジック343を含む。ロジックモジュールは、プロセッサ310によって実行されると、TTMモジュール110の動作及び機能を定義する。
【0033】
図3のブロック図には、
図2に関して上述した流体センサ320が示されている。流体センサ320の各々は、流体センサ320からのデータをTTMモジュールの動作の実施に利用できるように、コンソール300に結合されている。
図3には、流体制御装置330もコンソール300に結合されるように示されている。したがって、ロジックモジュールは、以下でさらに説明するように、流体制御装置330の動作を制御し得る。
【0034】
患者治療ロジック341は、GUI115を介して臨床医から入力を受信して処方されたTTM療法に従って動作パラメータを確立し得る。動作パラメータは、時間に基づく目標温度プロファイルを含み得る、TTM流体112の目標温度及び/又は熱エネルギー交換率を含むことができる。いくつかの実施形態において、流体温度制御ロジック342は、TTMモジュール110内のTTM流体112の他の流体温度、例えば冷却器タンク214内のTTM流体112のそのような目標温度、を定義し得る。
【0035】
流体温度制御ロジック342は、予め規定された目標温度に従って、パッド120に送達されるTTM流体112の温度を確立し維持する動作を実施し得る。1つの温度制御動作は、冷却器タンク214内のTTM流体112を冷却することを含み得る。流体温度制御ロジック342は、冷却器タンク温度センサ215からの温度データを利用して、冷却器タンク214内のTTM流体112の温度を確立し維持するように、冷却器213の動作を制御し得る。
【0036】
別の温度制御動作は、循環タンク224内のTTM流体112を冷却することを含み得る。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを利用して、冷却器タンク214からのTTM流体112を循環タンク224内のTTM流体112と混合することによって循環タンク224内のTTM流体112の温度を低下させるように、混合ポンプ221の動作を制御し得る。
【0037】
さらに別の温度制御動作は、循環タンク224内のTTM流体112を加温することを含み得る。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを利用して、循環タンク224内のTTM流体112の温度を上昇させるように、加熱器227の動作を制御し得る。
【0038】
流体フロー制御ロジック343は、循環ポンプ231の動作を制御し得る。熱エネルギー交換率は、パッド120を通るTTM流体112の流量によって少なくとも部分的に規定されるため、流体フロー制御ロジック343は、いくつかの実施形態では、TTM療法のための規定された熱エネルギー交換率に従って、循環ポンプ231の動作を制御し得る。
【0039】
コンソール300は、外部装置との無線通信を容易にするために、無線通信モジュール350を備えるか、又は無線通信モジュール350に結合され得る。電源360は、コンソール300に電力を供給する。
【0040】
図4Aは、いくつかの実施形態による、コネクタシステム150とコネクタシステム150から離れるように延びるFDL130とを備えた熱的接触パッド120の一部の上面図を示す。示したように、コネクタシステム150は、FDL130とパッド120との間に回転可能な接続を提供し得る。回転可能な接続により、FDL130は、約90度、180度、又は360度までの範囲の角度455にわたって旋回することができる。
【0041】
図4Bは、いくつかの実施形態による、患者50と接触している
図1の熱的接触パッド120の入口又は出口の側断面図を示す。パッド120は、パッド120の複数の機能を提供するために複数の層を備え得る。流体収容層420は、流体収容層420内のTTM流体112の循環を促進するように、コネクタシステム150を介してFDL130に流体的に結合されている。TTM流体112が内部を循環する流体収容層420は、TTM流体112の温度に従って、患者50のためのヒートシンク又は熱源を規定する。
【0042】
パッド120は、流体収容層420と患者50との間に配置される熱伝導層430を含み得る。熱伝導層430は、流体収容層420と患者50との間の熱エネルギー伝達を促進するように構成されている。熱伝導層430は、流体収容層420の下面421に沿って熱伝導層430に取り付けられ得る。熱伝導層430は、患者50との密接な接触を提供するように適合性があり得る。換言すると、熱伝導層430は、患者50の輪郭に適合して、熱伝導層430と患者50との間の空間又はエアポケットの存在を阻止し得る。
【0043】
パッド120は、流体収容層420の上側に配置された断熱層410を備え得る。断熱層410は、流体収容層420と環境との間の熱エネルギー伝達を阻止するように構成されている。断熱層410は、流体収容層420の上面422に沿って流体収容層420に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、断熱層410は、FDL130と流体収容層420との結合を提供するために断熱層410を通って延びる1つ以上の開口部411を備え得る。
【0044】
コネクタシステム150は、コネクタシステム150から離れるように延びるFDL130の方向を変更するためのエルボ460を備え得る。図示したように、FDL130の方向は、パッド120に垂直な方向からパッド120とほぼ平行な方向に変えられる。エルボ460はまた、FDL130の遠位部分461の向きをパッド120及び/又は流体収容層420とほぼ平行になるように確立する。
【0045】
いくつかの実施形態において、開口部411は、TTM流体112が流体収容層420に進入し、循環ポンプ213の動作により生じるパッド120内の負圧によって決まる方向に自由に流れることができるようにFDL130が結合する入口ポートを示す。しかしながら、他の実施形態では、流体収容層420は、TTM流体112が循環ポンプ213の動作により生じる負圧によって決まる、制御された方法で内部流路を通って流れることができるように、1つ以上の内部流路(破線423で示す)を備え得る。例えば
図4Bが入口ポートを示す、いくつかの実施形態において、TTM流体112は、
図4Bに図示した構成に類似し得る出口ポート(図示せず)を介して、パッド120、具体的には流体収容層420、から退出する。
【0046】
図5Aは、いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムと通信可能に結合されるように構成された温度感知医療器具の第1の実施形態を示す。温度感知医療器具500(器具500)は、患者50の血流内に遠位方向に延び遠位先端部502で終了する細長い部分503を備える。さらに、細長い部分503及び遠位先端部502は、カテーテル514を通って延びるように構成されている。遠位先端部502は、患者50の血液の温度データを取得するように構成される温度感知ユニット502Aを備え、温度データは、次に器具500の1つ以上の構成要素に提供される。1つ以上の構成要素は、ハウジング501に配置され得、ハウジング501は、患者50の外部にとどまる(例えば、器具500の近位端に相当する)ように構成され得る。1つ以上の構成要素には、センサ読取りモジュール504(例えばハウジング)、1つ以上のプロセッサ506、アナログ・デジタル変換器(ADC)508、通信インターフェース(例えば、いくつかの実施形態では、短距離無線技術規格、例えばBLUETOOTH(登録商標)規格の任意のバージョンに準拠するなど、無線技術規格に準拠してデータを無線送信し得る無線送受信機)510及びバッテリ512が含まれ得る。いくつかの実施形態において、遠位先端部502の温度感知ユニット502Aは、対応する温度データを決定するために使用される電気信号をADC508に提供するアナログ温度センサ(例えば熱電対又は抵抗温度検出器を含み得る低電力アナログ温度センサ)である場合がある。無線送受信機510は次に、
図5B、
図6Bに見られるように、温度データをTTMモジュール100に送信する。
【0047】
いくつかの特定の実施形態において、温度感知ユニット502Aはサーミスタを備えることができ、サーミスタはその抵抗が温度に基づいて変化する抵抗器である。いくつかの実施形態において、サーミスタは、0.305mm~0.559mm(0.012”~0.022”)の範囲内の長さを有し得る。いくつかの実施形態において、サーミスタは、増幅を必要としない。加えて、サーミスタは、チップイングラス(chip-in-glass)技術を実装することができ、37°Cで14,004Ω、25/50ベータ:3500公称を提供し得る。
【0048】
次に
図5Bを参照すると、患者及び
図5Aの温度感知医療器具に通信可能に結合された
図1のTTMシステムが、いくつかの実施形態に従って図示されている。上述したように、器具500の細長い部分503(及びその遠位先端部502)は、患者50に挿入されるように構成されている。いくつかの実施形態において、挿入部位は、遠位先端部502が内頸(IJ)静脈に配置されるように、患者50の頸部に位置し得る。IJ静脈は脳から血液を排出するため、IJ静脈内の血液の温度を測定することにより、脳自体の温度の正確な測定値が有利に得られる。結果として、TTM処置の有効性の分析を、脳の正確な温度測定値を用いて行うことができる。上記で述べたように、現在のTTM技術は、TTM処置の有効性を評価するために、患者体温のフィードバックとして患者の核心温度を利用する場合があるか、又は患者体温のフィードバックを全く利用しない場合がある。したがって、多くのTTM処置は、(例えば膨張及び脳損傷を低減するために)脳の温度を変化させることを目的としているため、脳からIJ静脈を通る血液の温度から導かれる患者体温のフィードバックは、TTM処置の有効性を評価するための有利且つ新規な方法である。さらに、
図5Bに見られるように、温度データは、器具500からモジュール110に(無線信号516によって)無線送信され得る。
【0049】
図6Aは、いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムと通信可能に結合されるように構成された温度感知医療器具の第2の実施形態を示す。温度感知医療器具600(器具600)は、器具500に含まれ上記で議論した多数の構成要素を備える。したがって、そのような構成要素については、
図6Aに関して詳細に議論しない。器具500が温度データを無線送信するように構成されている
図5Aの実施形態とは対照的に、器具600は、電線602を介して温度データを送信するように構成されている。
図6Bに図示するように、
図1の患者及びTTMシステムは、いくつかの実施形態による
図6Aの温度感知医療器具に通信可能に結合される。とりわけ、
図6Bに図示される通信可能な結合は、電線602を介して行われる。いくつかの実施形態において、電線602は、パッド120とモジュール110とを流体接続する流体送達ライン(例えばFDL130)と共に配管されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、電線602は、FDL130と共に配管される必要はない。
【0050】
図7は、いくつかの実施形態による、
図1のTTMシステムを使用して
図5A又は
図6Aのいずれかの温度感知医療器具から温度データを受信するための方法のフローチャートである。
図7に示される各ブロックは、
図1のTTMシステムを使用して
図5A又は
図6Aのいずれかの温度感知医療器具から温度データを受信するための方法700に含まれる動作を表している。
図7に示されたすべての動作が必要だとは限らないことを理解されたい。方法700は、
図1のTTMシステム100などのTTMシステムが提供されると開始し、TTMシステムは、1つ以上のパッド(例えばパッド120)、TTMモジュール(例えばモジュール110)、及びTTMモジュールと通信可能に結合されるように構成された温度感知医療器具を備える(ブロック702)。温度感知医療器具は、器具500,600のいずれであってもよい。方法700は、次に、TTMシステムの1つ以上のパッドを患者に適用する動作を含む(ブロック704)。1つ以上のパッドを患者に適用する1つの例示的な実施形態は、
図1に図示されており、パッド120は、患者の身体の様々な外部領域に適用される。
【0051】
方法700は、温度感知医療器具を患者に挿入し、温度感知医療器具とTTMシステムとの間に通信可能な結合を確立する動作を続ける(ブロック706)。例えば、温度感知医療器具を患者に挿入することは、細長い部分の遠位先端部が患者のIJ静脈内に配置されるように、温度感知医療器具の細長い部分(
図5A、
図6A参照)を患者の頸部に挿入することを含み得る。通信可能な結合を確立することは、1本以上の電線を介して温度感知医療器具とTTMモジュールとの間の物理的接続を形成する動作、又は(例えば無線技術規格に準拠して)無線接続性を確立する動作を含み得る。
【0052】
方法700は、TTM流体をTTMモジュールから1つ以上のパッドに送達する動作を続ける(ブロック708)。次に、TTMモジュールは、温度感知医療器具から温度データを受信する(ブロック710)。次に、TTM処置を、受信した温度データに基づいて評価する(ブロック712)。例えば、IJ静脈内の患者の血液の温度を期待される血液温度と比較することによって、TTM処置の有効性を評価することができる。比較(例えば、患者の血液温度が期待される血液温度の所定の許容範囲内にあるかどうかの判定)に基づいて、TTM処置を変更することができる(ブロック714)。例えば、TTMモジュールのロジックは、患者情報(性別、年齢、身長、体重、初期温度)、全体的な所望温度、TTM処置の所望時間、等のような初期の変数に基づいて、特定の期待される血液温度を計算して格納し、続いて、それに基づいて連続する時間セグメント(例えば間隔)で所望の血液温度を計算することができる。したがって、TTMモジュールのロジックは、温度感知医療器具から得られた患者の血液温度を対応する所望の血液温度に対して比較することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、TTM処置は、機械学習技術を用いて決定される特定の温度でTTM流体を提供し得る。例えば、訓練された機械学習モデルは、上記で参照された初期の変数、並びに、患者情報(初期温度を温度感知医療器具から得られた現在温度で置き換える)、全体的な所望温度、及び任意でTTM処置の所望時間のうちの1つ以上を含む、その後の後続の変数などの変数に基づいて、TTM流体がTTMシステムのパッドに提供されるべき現在のTTM流体温度を示す出力を提供するように構成され得る。場合によっては、機械学習モデルは、代わりに、現在のTTM流体温度及びTTM処置の残り時間の双方を示す出力を提供してもよい。このような機械学習モデルは、TTM履歴データ(過去の患者情報、TTM処置中に監視された患者体温データ、対応する所望の患者体温、等)を用いて訓練され得る。いくつかの実施形態において、機械学習モデルを訓練し展開するためのロジックは、患者治療ロジック341、流体温度制御ロジック342、又は流体フロー制御ロジック343(
図3参照)のうちのいずれかの中に含まれ得る。いくつかの実施形態では、そのようなロジックは、同様にメモリ340に格納された別個のロジックモジュールに含まれていてもよい。
【0054】
当業者であれば、これ以上の詳細な説明がなくても、前述の説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単なる説明及び例示であり、本開示の範囲を一切限定するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の助けを借りて、本明細書の開示の基本原則から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に変更を施すことができることは明らかであろう。換言すれば、上記説明に具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。さらに、本明細書に開示される方法の工程又は動作の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更され得る。換言すれば、工程又は動作の特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要でない限り、特定の工程又は動作の順序又は使用は変更され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【国際調査報告】