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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】粗繊維組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/00 20160101AFI20241108BHJP
   C12F 3/00 20060101ALI20241108BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20241108BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20241108BHJP
   A21D 2/36 20060101ALN20241108BHJP
   A21D 2/18 20060101ALN20241108BHJP
   A21D 2/26 20060101ALN20241108BHJP
   A21D 13/00 20170101ALN20241108BHJP
   A21D 13/80 20170101ALN20241108BHJP
【FI】
A23L29/00
C12F3/00
A23L33/21
A23L7/109 A
A21D2/36
A21D2/18
A21D2/26
A21D13/00
A21D13/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532693
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 IB2022061700
(87)【国際公開番号】W WO2023100146
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】2021/5936
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524203912
【氏名又は名称】ダイニー ホールディング ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】DUYNIE HOLDING BV
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン エルゼン, ヨースト
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】フェルフーク, トム
(72)【発明者】
【氏名】ゾーテンダール, ヨリス
(72)【発明者】
【氏名】ロマーズ, マルセル
【テーマコード(参考)】
4B018
4B032
4B035
4B046
4B128
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018MD47
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF07
4B032DB01
4B032DB21
4B032DG02
4B032DK01
4B032DK12
4B032DK26
4B035LC16
4B035LG15
4B035LG40
4B035LP59
4B035LT20
4B046LA06
4B046LG12
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG44
4B128AC06
4B128AP13
(57)【要約】
本発明は、穀物の粗繊維を含む粗繊維組成物であって、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも65wt%(wt%)の不溶性高分子量食物繊維(不溶性HMWDF)及び15wt%未満のタンパク質を含むことを特徴とする、組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物の粗繊維を含む粗繊維組成物であって、前記粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも65wt%(wt%)の不溶性高分子量食物繊維(不溶性HMWDF)及び15wt%未満のタンパク質を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、最少で20重量%のセルロース、最少で40重量%のヘミセルロース、及び最少で4重量%のリグニンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粗繊維組成物。
【請求項3】
穀物の繊維を含む微細繊維組成物であって、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも50wt%、最大で70wt%の不溶性HMWDFであり、前記微細繊維組成物の総乾重量に基づいて最大で20wt%のセルロースを含むことを特徴とする、微細繊維組成物。
【請求項4】
前記微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも40重量%のヘミセルロース及び少なくとも4重量%のリグニンを含むことを特徴とする、請求項3に記載の微細繊維組成物。
【請求項5】
穀物のタンパク質を含むタンパク質含有組成物であって、前記タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、最大で30wt%の不溶性HMWDF、少なくとも50wt%のタンパク質、及び最大で3wt%のリグニンを含むことを特徴とする、組成物。
【請求項6】
前記タンパク質含有組成物中のタンパク質の総乾重量に基づいて少なくとも15重量%のグルタミンを含むことを特徴とする、請求項5に記載のタンパク質含有組成物。
【請求項7】
請求項3又は4に記載の微細繊維組成物と請求項5又は6に記載のタンパク質含有組成物とを含む混合物。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の微細繊維組成物と請求項1又は2に記載の粗繊維組成物とを含む混合物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の粗繊維組成物と請求項5又は6に記載のタンパク質含有組成物とを含む混合物。
【請求項10】
穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物を加工する方法であって、
i)任意選択で、前記穀物を洗浄し、それによりタンパク質を前記穀物から分離して、第1のタンパク質含有液体(22)及び前記穀物を得るステップと、
ii)任意選択で、水を前記穀物から除去して穀物の懸濁液(2)を得ること、及び第2のタンパク質含有液体(23)を得ることをするステップであって、前記懸濁液(2)は、前記懸濁液(2)の総重量に基づいて1~30重量%の穀物を含有するステップと、
iii)1~30重量%の前記穀物を含有する前記穀物の懸濁液(2)を高剪断ミル(3)で処理して、前記澱粉細胞中に封入されたタンパク質を少なくとも部分的に放出させ、粉砕された穀物繊維(4)を得るステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
(iv)前記粉砕された穀物繊維(4)を回転ふるい(5)又は遠心ふるい(5’)において前記第3のタンパク質含有液体(8)から分離し、それにより前記粉砕された穀物繊維に水が噴霧される、ステップと、
(v)プレス、好ましくはねじプレス(9)又はチャンバーフィルタープレス(9’)において、水を前記粉砕された繊維(7)から除去して、粗繊維組成物及び第4のタンパク質含有液体(10)を得て、任意選択で前記粗繊維組成物を乾燥させるステップと、
(vi)前記第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体を合わせて、1つのタンパク質含有液体(12)を形成し、前記タンパク質を水から分離してタンパク質含有組成物を得て、任意選択で前記タンパク質含有組成物を乾燥させるステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
vii)前記タンパク質含有液体(12)を遠心分離及び濾過して、微細繊維組成物(15)及びタンパク質含有組成物(17)を得て、任意選択で、組成物(15)及び/又は(17)を別々に乾燥させるステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粗繊維組成物に関する。さらに、本発明は、微細繊維組成物及びタンパク質含有組成物に関する。本発明はさらに、タンパク質に富んだ濃縮物及び低窒素繊維を穀物から回収する方法、並びにこの方法を適用するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール、蒸留飲料、アルコール飲料、及び/又はバイオエタノールを生成するための穀物の発酵において、最大の副産物流は使用済み穀物であることが知られている。醸造所では、この使用済み穀物は通常はビール粕穀物と呼ばれる。このビール粕穀物はトロット(trot)とも呼ばれ、「使用済みビール粕穀物」(BSG、Brewer’s Spent Grain)としても知られる。ビールが醸造される原材料は主にオオムギからなり、残る穀物は18~25%の乾物の平均組成を有し、そのうち、乾物に基づいて、10~35%のタンパク質、5~15%の脂肪、及び65~75%の繊維を有する。
【0003】
欧州特許出願公開第0 443 813 A1号(1991年)は、穀物を水と混合し、ローラープレスを通して、タンパク質に富んだ画分をもみ殻から分離し、その後、両画分をいくつかの篩過ステップから分離する、タンパク質に富んだ生成物を穀物から得るプロセスを既に記載している。
【0004】
加国特許第2 155 042号(1995年)も、穀物を水と混合し、プレス、好ましくはローラープレスを通して、タンパク質に富んだ画分をもみ殻から分離し、続いて、遠心分離機、ドラムフィルター、リーフフィルター、又はフィルタープレスを通した脱水ステップを行う、タンパク質に富んだ生成物を穀物から得るプロセスを記載している。固形物に富んだタンパク質含有フェーズを100℃未満の温度に保ち、その後、60秒間未満の期間で、熱気によって、好ましくは400~450℃で乾燥させ、動物用飼料又は人間の食品へとさらに加工する。分離されたもみ殻は燃やし、熱を回収する。
【0005】
国際公開第2008/010156 A2号(2008年)も、植物材料を抽出して、繊維に富んだ生成物流及びタンパク質に富んだ生成物流へと分離することを目的として、とりわけ穀物を、事前に乾燥させた植物材料を多段階プロセスで粉砕する代わりに、植物材料を濡れた状態でブラッシング及びコーミングすることによって処理するプロセスを開示している。アルカリ金属水酸化物などの化学薬品を使用して繊維画分をこじ開け、ペルオキシド、オゾン、又は次亜塩素酸塩を使用して漂白し、これらの化学薬品は環境に優しくない。
【0006】
欧州特許出願公開第3831212 A1号(2021)は、ビール粕穀物からタンパク質懸濁液を生成するための方法及び器具を開示している。このプロセスは、1つはコロイドミルであり1つはスクリュー抽出器である2つの段階を含み、圧縮ステップを含まず熱化学処理を含まず、タンパク質産物を、酵素的及び/又はアルカリ性の方法で、乾物の少なくとも50%のタンパク質含有率で得ることを可能にする。
【0007】
従来は、使用済み穀物は、動物用飼料として、発酵若しくは燃焼を通じてエネルギー源として、又は肥料として農地への添加物として使用されているか、或いは、生成物は、澱粉及び胚乳はどちらも、動物用飼料として使用するためには不十分な栄養的価値を有するため、廃棄物として廃棄され再生されない。この加工中、過剰量の窒素含有化合物が環境中に入ることとなり、これは許容されない環境汚染をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境に優しい様式で攻撃的な化学薬品を使用せずに、タンパク質に富んだ濃縮物及び低窒素繊維を穀物から回収し、それらを再生することを可能にする方法を提供することによって、前述及び他の欠点のうちの少なくとも1つを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、粗繊維組成物及び微細繊維組成物並びにタンパク質含有組成物に関する。さらに、本発明は、粗繊維及び微細繊維組成物並びにタンパク質含有組成物を穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から回収する方法に関する。穀物の懸濁液、好ましくは使用済みビール粕穀物をミリングするプロセスにより、より多くのタンパク質を繊維から、特に澱粉層及び胚乳層から回収することが可能となり、それによって、より多くのタンパク質が全体的に回収され、さらに、低窒素含有率を有する繊維画分を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による本発明の方法を実施するための流れ図を示す模式図である。
図2図1の流れ図を示すが、ここでは第2の回転スクリーン及びプレスにおける前処理を有する。
図3図2の流れ図を示すが、ここではサイクロンフィルターの追加を有する。
図4図3の流れ図を示すが、ここでは、別々の回路における、反応器における別々の後処理の追加を有する。
図5図3の流れ図を示すが、ここでは、同じ閉回路における、反応器における後処理の追加を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
使用済み穀物又は穀物は、醸造所又は蒸留所における一般的な副産物であり、ビール粕穀物も含む。適切な穀類の例としては、トウモロコシ、コメ、コムギ、オオムギ、ソルガム、アワ、カラスムギ、及びライムギが挙げられる。本発明において好ましい穀類は、オオムギ、特にビール粕穀物又は使用済みビール粕穀物である。一般に、大麦麦芽がビールを醸造するための原材料として使用される。しかし、以下に記載する本発明は、大麦麦芽及び/又は使用済みビール粕穀物に限定されず、大麦麦芽と組み合わせて使用してもしなくてもよい、他の原材料も含んでもよいことは明らかである。
【0012】
より詳細には、本発明は、環境に窒素を負担させずに、残留穀物を単腸家畜、養魚、動物用飼料、及び人間の食品のための高品質タンパク質濃縮物へと加工することを意図するが、再生可能エネルギー生成又は他の応用のための短周期バイオマスに適した低窒素繊維にも加工することも意図する。
【0013】
さらに、本発明は、残留産物穀物を人間及び動物の食品用の食物繊維、並びに建築材料へと加工することも意図する。
【0014】
このコンテキストにおいて、未加工の穀物は、粗繊維組成物及び/又は微細繊維組成物及び/又はタンパク質含有組成物が由来する穀物を意味すると理解される。ここで、未加工の使用済みビール粕穀物とは、粗繊維組成物及び/又は微細繊維組成物及び/又はタンパク質含有組成物が由来するビール粕穀物を意味する。
【0015】
粗繊維組成物
本発明は、使用済み穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から得られた粗繊維組成物に関する。本発明の一実施形態では、粗繊維組成物は、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物の粗繊維を含み、粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で15重量%(wt.%)のタンパク質、最少で20重量%のセルロース、最少で40重量%のヘミセルロース、及び最少で4wt%のリグニンを含む。その代わりに又はそれに加えて、本発明は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも65wt%(wt%)の不溶性高分子量食物繊維(不溶性HMWDF)及び15wt%未満のタンパク質を含む、粗繊維組成物に関する。
【0016】
本出願のコンテキストにおいて、「総乾重量」という言葉は、水の量を含まない組成物の総重量をいう。水の量は、慣用技術を使用することによって決定することができ、続いて組成物の総重量から減算することができる。或いは、たとえば乾燥させることによって水を除去することができ、それにより組成物の乾物、したがって組成物の総乾重量が残る。
【0017】
不溶性高分子量食物繊維(不溶性HMWDF)は標準方法AOAC 2011.25食物繊維分析を使用して決定することができ、それを用いて不溶性HMWDF、可溶性のHMWDF及び低分子量食物繊維(LMWDF)を決定することができる。
【0018】
この粗繊維組成物の利点は、より少ない窒素を含むことであり、これは、この繊維組成物のより良好な燃焼をもたらし、より少ない、窒素酸化物などの望ましくない副産物が形成される。さらに、この粗繊維組成物は、より高い栄養的値を含むため、粗繊維組成物が組み込まれる食料製品の栄養的値もより高くなる。たとえば、粗繊維組成物は、パンへと加工することができ、小麦粉を部分的又は完全に置き換えることができる。さらに、この粗繊維組成物は、消化するのが比較的困難であり、小腸内の腸管内菌叢促進細菌の餌として役割を果たすことができる。さらに、この粗繊維組成物は、生分解性であり、人間、動物、及び環境に対して無毒性である天然物である。別の利点は、前述の粗繊維組成物が廃棄物又は副流から得られることであり、ここで、この廃棄物流は、多機能な応用を有する、価値のある有用な生成物へとアップグレードすることができる。
【0019】
粗繊維組成物の特徴は、粗繊維組成物のセルロース対セルロースとヘミセルロースとリグニンとのポリマー組成物の比が、生の使用済み穀物のセルロース対セルロースとヘミセルロースとリグニンとのポリマー組成物の比よりも低いことである。
【0020】
用語「NDF」は「中性洗剤繊維」として知られ、これはセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンを含む。用語「ADF」は「酸洗剤繊維」をいい、セルロース及びリグニンを含む。リグニンの量を決定するために用語「ADL」を使用し、これは「酸洗剤リグニン」をいう。ADF及びADL値は標準方法NEN-ISO 13906:2008に従って決定し、NDF値は標準方法NEN-ISO 16472:2006に従って決定した。
【0021】
粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で15wt%のタンパク質、好ましくは最大で14wt%のタンパク質、より好ましくは最大で12wt%のタンパク質、さらにより好ましくは最大で10wt%のタンパク質、さらにより好ましくは最大で8wt%、最も好ましくは最大で6wt%、好ましくは少なくとも0.01wt%のタンパク質、より好ましくは少なくとも0.1wt%のタンパク質、さらにより好ましくは少なくとも1wt%のタンパク質、さらにより好ましくは少なくとも2wt%のタンパク質、最も好ましくは少なくとも5wt%のタンパク質を含む。様々な方法が、タンパク質含有率を決定するために文献中に記載されている。本出願の目的のために、ケダール(Kjeldahl)方法を使用して窒素含有率を決定し、その後、これをタンパク質含有率へと変換する。ケダールは十分に確立されており、当業者に周知である。本出願において、ケダール方法は、試料を、HSOを使用して420℃で2時間加水分解することによって行い、その間にタンパク質はアンモニアへと変換される。生成されたアンモニアを留去し、滴定によって窒素の量を測定する。タンパク質の量は、窒素含有率を6.25の変換係数(窒素対タンパク質の係数)で乗算することによって計算する。
【0022】
本発明の別の実施形態では、粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、好ましくは少なくとも70wt%の不溶性HMWDF、より好ましくは少なくとも75wt%の不溶性HMWDF、好ましくは99wt%までの不溶性HMWDF、より好ましくは95wt%までの不溶性HMWDF、最も好ましくは90wt%までの不溶性HMWDFを含む。
【0023】
一実施形態では、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも10%の空の澱粉細胞を含む。用語「空の澱粉細胞」とは、タンパク質を含有しない澱粉細胞を意味する。澱粉層は、細胞壁を有し、タンパク質及び脂質を含む細胞である、澱粉細胞を含む。慣用のプロセスでは、これらの澱粉細胞は一般に破壊されておらず、これらの細胞内に捕捉されたタンパク質は、一般に粗繊維画分の一部のまま保たれる。本発明のプロセスでは、これらの澱粉細胞壁を破壊して、タンパク質が分離されることを可能にし、それによって、(より)低い量のタンパク質を有する粗繊維組成物を得ることができる。さらに、粗繊維組成物は、一般に、より多数の空の澱粉細胞を含み、これは、顕微鏡観察、特に共焦点走査レーザー顕微鏡観察を使用して、蛍光色素ナイルブルーを用いて又は自己蛍光を使用して可視化することができる。共焦点走査レーザー顕微鏡観察の好ましい方法は、Filippidiら(2014年、doi:10.1002/adfm.201400359)によって記載されている。空の澱粉細胞は、インタクト細胞として又は細胞の一部として観察することができることに注目されたい。空の澱粉細胞の数を数える際は、タンパク質を含有しないインタクト及び部分的澱粉細胞をどちらも考慮するべきである。澱粉細胞及び細胞壁並びにタンパク質が顕微鏡画像中に存在する必要があることに注目されたい。そのような空の細胞の百分率は、空の細胞又は開いた細胞の数(赤色タンパク質が存在しない)及びタンパク質を含有する澱粉細胞の数(細胞壁内の赤い塊によって示される)を数え、空の澱粉細胞の百分率を、空の細胞の数を澱粉細胞の総数で除算することによって計算することによって、決定することができる。好ましくは、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも15%の空の澱粉細胞、より好ましくは少なくとも20%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも30%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の空の澱粉細胞、最も好ましくは少なくとも50%の空の澱粉細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で95%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で90%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で80%の空の澱粉細胞、最も好ましくは最大で70%の空の澱粉細胞を含む。
【0024】
それに加えて又はその代わりに、澱粉細胞中に存在するタンパク質の量は、上述の顕微鏡方法並びにタンパク質粒子及び澱粉細胞の面積を決定することができるソフトウェアを使用して、澱粉細胞中のタンパク質粒子の面積を決定し、これらの面積を空及び満たされた澱粉細胞の総面積と関係づけることによって、確立することができる。タンパク質粒子の総面積と澱粉細胞の総面積との比は、「タンパク質対澱粉細胞の面積比」と呼ぶ。一実施形態では、粗繊維組成物は、最大で0.9のタンパク質対澱粉細胞の面積比を含む。好ましくは、タンパク質対澱粉細胞の面積比は、最大で0.8、より好ましくは最大で0.7、さらにより好ましくは最大で0.6、最も好ましくは最大で0.5、好ましくは少なくとも0.001、より好ましくは少なくとも0.01、最も好ましくは少なくとも0.1である。
【0025】
それに加えて又はその代わりに、上述の顕微鏡方法並びに遊離及び封入タンパク質粒子の面積を決定することができるソフトウェアを使用して、澱粉細胞中に存在するタンパク質(封入タンパク質)の量は、澱粉細胞中のタンパク質粒子の面積を決定することによって確立することができ、遊離タンパク質の量は、澱粉細胞中に存在しないタンパク質粒子の面積を決定することによって確立することができる。タンパク質の総量とは、遊離タンパク質及び封入タンパク質の和をいう。遊離タンパク質の量、封入タンパク質、及びタンパク質の総量は、また、走査電子顕微鏡観察を使用して決定することもできることに注目されたい(下記参照)。一実施形態では、粗繊維組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも0.01%の遊離タンパク質、より好ましくは少なくとも0.1%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.2%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.5%の遊離タンパク質、最も好ましくは少なくとも1%の遊離タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で20%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で15%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で10%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で8%の遊離タンパク質、最も好ましくは最大で5%の遊離タンパク質を含む。
【0026】
一実施形態では、粗繊維組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも20%の封入タンパク質、より好ましくは少なくとも30%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも40%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも50%の封入タンパク質、最も好ましくは少なくとも60%の封入タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で99.99%の封入タンパク質、より好ましくは最大で99%の封入タンパク質、より好ましくは最大で95%の封入タンパク質、より好ましくは最大で90%の封入タンパク質、最も好ましくは最大で80%の封入タンパク質を含む。
【0027】
それに加えて又はその代わりに、インタクト細胞、破裂細胞、及び遊離タンパク質の存在及び量は、電子顕微鏡観察、好ましくは走査電子顕微鏡観察(SEM)を使用して決定することができる。「インタクト細胞」とは、完全な細胞壁を有し、細胞質タンパク質を含有する澱粉細胞を意味する。SEM画像では、細胞壁は、背景及び細胞質化合物(タンパク質を含む)と比較して明るい色を有する。「破裂細胞」とは、細胞質化合物を含有していてもいなくてもよい不完全な細胞壁(細胞は開いているが、完全に破壊されていない)を有する澱粉細胞、及び細胞質化合物を含有しない完全な細胞壁を有する澱粉細胞を意味する。澱粉細胞の総数は、インタクト細胞及び破裂細胞の和として定義される。「遊離タンパク質」とは、外側の細胞壁層を有さない(すなわち、細胞質化合物を取り囲むインタクト又は破裂細胞壁を有さない)細胞質化合物を意味する。インタクト細胞、破裂細胞、及び遊離タンパク質の数を決定する好ましい方法は、実施例1に記載されている。一実施形態では、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも20%の破裂細胞を含む。好ましくは、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも25%の破裂細胞、より好ましくは少なくとも30%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも35%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の破裂細胞、最も好ましくは少なくとも50%の破裂細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の破裂細胞、より好ましくは最大で95%の破裂細胞、より好ましくは最大で90%の破裂細胞、より好ましくは最大で80%の破裂細胞、最も好ましくは最大で70%の破裂細胞を含む。
【0028】
一実施形態では、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて最大で80%のインタクト細胞を含む。好ましくは、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、最大で75%のインタクト細胞、より好ましくは最大で70%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で65%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で60%のインタクト細胞、最も好ましくは最大で50%のインタクト細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大でインタクト細胞なし、より好ましくは少なくとも5%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも10%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも20%のインタクト細胞、最も好ましくは少なくとも30%のインタクト細胞を含む。
【0029】
一実施形態では、粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも22wt%のセルロース、より好ましくは少なくとも24wt%のセルロース、好ましくは最大で40wt%のセルロース、より好ましくは最大で35wt%のセルロース、最も好ましくは最大で30wt%のセルロースを含む。
【0030】
一実施形態では、粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも40%wt%のヘミセルロース、より好ましくは少なくとも45wt%のヘミセルロース、最も好ましくは少なくとも50wt%のヘミセルロース、好ましくは最大で65wt%のヘミセルロース、より好ましくは最大で60wt%のヘミセルロース、最も好ましくは最大で55wt%のヘミセルロースを含む。
【0031】
本発明の一実施形態では、粗繊維組成物中のヘミセルロースとセルロースとの重量比は、少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも1.8、最も好ましくは少なくとも2.0、好ましくは最大で2.5、より好ましくは最大で2.2、最も好ましくは最大で2.1である。
【0032】
本発明の一実施形態では、粗繊維組成物中のヘミセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも8.5、より好ましくは少なくとも9.0、最も好ましくは少なくとも9.2、好ましくは最大で10.0、より好ましくは最大で9.9、最も好ましくは最大で9.8である。
【0033】
本発明の一実施形態では、粗繊維組成物中のセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも4.0、より好ましくは少なくとも4.2、最も好ましくは少なくとも4.5、好ましくは最大で6.0、より好ましくは最大で5.5、最も好ましくは最大で5.0である。
【0034】
本発明の一実施形態では、粗繊維組成物中のタンパク質と脂肪との重量比は、少なくとも1.0、より好ましくは少なくとも1.1、最も好ましくは少なくとも1.2、好ましくは最大で2.2、より好ましくは最大で2.0、最も好ましくは最大で1.8である。
【0035】
さらに、粗繊維組成物は、好ましくは、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも1wt%の脂肪、より好ましくは少なくとも2wt%の脂肪、最も好ましくは少なくとも5wt%の脂肪、好ましくは最大で10wt%の脂肪、より好ましくは最大で9wt%の脂肪、最も好ましくは最大で8wt%の脂肪を含む。脂肪の量は、有機溶媒抽出を含む当分野で知られている方法によって決定することができる。そのような技法の一例はISO 6492方法である。
【0036】
さらに、粗繊維組成物は、好ましくは、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で5wt%の灰、より好ましくは最大で4wt%の灰、最も好ましくは最大で3wt%の灰、好ましくは少なくとも0.1wt%の灰、より好ましくは少なくとも0.5wt%の灰、最も好ましくは少なくとも1wt%の灰を含む。灰含有率はISO 5984:2002方法を使用して決定する。
【0037】
さらに、粗繊維組成物は、好ましくは、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも20wt%の粗製繊維、より好ましくは少なくとも22wt%の粗製繊維、最も好ましくは少なくとも25wt%の粗製繊維、好ましくは最大で40wt%の粗製繊維、より好ましくは最大で35wt%の粗製繊維、最も好ましくは最大で30wt%の粗製繊維を含む。粗製繊維は、ISO 68651:2000方法を使用して決定する。
【0038】
一実施形態では、本発明の粗繊維組成物は、最大で500μmのd90値を有する粒子を含む。好ましくは、粒子は、最大で400μm、好ましくは最大で300μm、より好ましくは最大で200μm、さらにより好ましくは最大で150μm、さらにより好ましくは最大で125μm、さらにより好ましくは最大で100μm、最も好ましくは最大で75μm、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μm、より好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも10μmのd90値を有する。粒径分布、特にd90値は、マルバーン(Malvern)マスターサイザー(Mastersizer)を使用したレーザー回折などの慣用技術を使用して決定する。
【0039】
さらなる実施形態では、粗繊維組成物は最大で10wt%の水を含む。好ましくは、粗繊維組成物は、粗繊維組成物の総重量に基づいて、最大で9wt%、より好ましくは最大で8wt%、さらにより好ましくは最大で7wt%、最も好ましくは最大で5wt%、好ましくは少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、最も好ましくは少なくとも0.1wt%の水を含む。
【0040】
タンパク質、繊維、リグニン、脂肪、及び他の構成要素の量は、合計で粗繊維組成物の100重量%となる。
【0041】
微細繊維組成物
本発明は、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から得られた微細繊維組成物に関する。本発明の一実施形態では、微細繊維組成物は、穀物の微細繊維を含み、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に対して、最大で20重量%のセルロース、少なくとも40重量%のヘミセルロース、及び少なくとも4重量%のリグニンを含む。その代わりに又はそれに加えて、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物の微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも50重量%、最大で70重量%の不溶性高分子量食物繊維(HMWDF)を含み、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて最大で20wt%のセルロースを含む。
【0042】
そのような微細繊維組成物は、小麦粉の代用品として役割を果たすことができ、食料品へと加工することもできる。
【0043】
この微細繊維組成物は、特に高いヘミセルロース含有率が理由で、たとえば、パン及び/又はビスケット及び/又はケーキ及び/又は他のもの等の焼成生成物において加工することができ、そのより良好なフワフワ感及び/又は柔らかさ及び/又は弾力性を確実にする。微細繊維組成物は、生分解性であり、人間、動物、及び環境に対して無毒性である天然物である。別の利点は、微細繊維組成物が廃棄物又は副流から得られることであり、ここで、この廃棄物流は、多機能な応用を有する、価値のある有用な生成物へとアップグレードすることができる。
【0044】
微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で40wt%のタンパク質、好ましくは最大で35wt%のタンパク質、さらにより好ましくは最大で30wt%のタンパク質、最も好ましくは最大で20wt%のタンパク質、好ましくは少なくとも0.01wt%のタンパク質、より好ましくは少なくとも0.1wt%のタンパク質、さらにより好ましくは少なくとも1wt%のタンパク質、さらにより好ましくは少なくとも2wt%のタンパク質、最も好ましくは少なくとも5wt%のタンパク質を含む。
【0045】
本発明の一実施形態では、微細繊維組成物のタンパク質は、微細繊維組成物中のタンパク質のwt%について、最大で20wt%のグルタミン、より好ましくは最大で19wt%のグルタミン、最も好ましくは最大で18wt%のグルタミン、少なくとも10wt%のグルタミン、より好ましくは少なくとも15wt%のグルタミンを含む。
【0046】
さらに、微細繊維組成物は、好ましくは、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも52wt%の不溶性HMWDF、より好ましくは少なくとも55wt%の不溶性HMWDF、好ましくは65wt%までの不溶性HMWDF、より好ましくは62wt%までの不溶性HMWDF、最も好ましくは60wt%までの不溶性HMWDFを含む。
【0047】
一実施形態では、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも10%の空の澱粉細胞を含む。好ましくは、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも15%の空の澱粉細胞、より好ましくは少なくとも20%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも30%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の空の澱粉細胞、最も好ましくは少なくとも50%の空の澱粉細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で95%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で90%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で80%の空の澱粉細胞、最も好ましくは最大で70%の空の澱粉細胞を含む。
【0048】
一実施形態では、微細繊維組成物は、最大で0.9のタンパク質対澱粉細胞の面積比を含む。好ましくは、タンパク質対澱粉細胞の面積比は、最大で0.8、より好ましくは最大で0.7、さらにより好ましくは最大で0.6、最も好ましくは最大で0.5、好ましくは少なくとも0.001、より好ましくは少なくとも0.01、最も好ましくは少なくとも0.1である。
【0049】
一実施形態では、微細繊維組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも0.01%の遊離タンパク質、より好ましくは少なくとも0.1%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.2%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.5%の遊離タンパク質、最も好ましくは少なくとも1%の遊離タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で60%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で50%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で40%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で35%の遊離タンパク質、最も好ましくは最大で30%の遊離タンパク質を含む。
【0050】
一実施形態では、微細繊維組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも1%の封入タンパク質、より好ましくは少なくとも2%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも5%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも10%の封入タンパク質、最も好ましくは少なくとも10%の封入タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で60%の封入タンパク質、より好ましくは最大で50%の封入タンパク質、より好ましくは最大で40%の封入タンパク質、より好ましくは最大で35%の封入タンパク質、最も好ましくは最大で30%の封入タンパク質を含む。
【0051】
一実施形態では、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも20%の破裂細胞を含む。好ましくは、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも25%の破裂細胞、より好ましくは少なくとも30%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも35%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の破裂細胞、最も好ましくは少なくとも50%の破裂細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の破裂細胞、より好ましくは最大で95%の破裂細胞、より好ましくは最大で90%の破裂細胞、より好ましくは最大で80%の破裂細胞、最も好ましくは最大で70%の破裂細胞を含む。
【0052】
一実施形態では、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて最大で80%のインタクト細胞を含む。好ましくは、微細繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、最大で75%のインタクト細胞、より好ましくは最大で70%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で65%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で60%のインタクト細胞、最も好ましくは最大で50%のインタクト細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくはインタクト細胞なし、より好ましくは少なくとも5%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも10%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも20%のインタクト細胞、最も好ましくは少なくとも30%のインタクト細胞を含む。
【0053】
一実施形態では、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも1wt%のセルロース、より好ましくは少なくとも2wt%のセルロース、最も好ましくは少なくとも5wt%のセルロース、好ましくは最大で18wt%のセルロース、より好ましくは最大で17wt%のセルロース、最も好ましくは最大で16wt%のセルロースを含む。
【0054】
一つのさらなる実施形態では、微細繊維組成物は、好ましくは、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも42重量%のヘミセルロース、より好ましくは少なくとも45重量%のヘミセルロース、好ましくは最大で70重量%のヘミセルロース、より好ましくは最大で65重量%のヘミセルロース、最も好ましくは最大で60重量%のヘミセルロースを含む。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも2wt%のリグニン、好ましくは少なくとも3.5wt%のリグニン、最も好ましくは少なくとも4wt%のリグニン、好ましくは最大で10wt%のリグニン、より好ましくは最大で8wt%のリグニン、最も好ましくは最大で6wt%のリグニンを含む。
【0056】
一実施形態では、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で20重量%のセルロース、少なくとも40重量%のヘミセルロース、及び少なくとも4重量%のリグニンを含む。しかし、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて少なくとも3wt%のリグニンを含むことも可能である。
【0057】
本発明の一実施形態では、微細繊維組成物中のヘミセルロースとセルロースとの重量比は、少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.2、最も好ましくは少なくとも2.5、好ましくは最大で4.0、より好ましくは最大で3.5、最も好ましくは最大で3.0である。
【0058】
本発明の一実施形態では、微細繊維組成物中のヘミセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも9.0、より好ましくは少なくとも9.2、最も好ましくは少なくとも9.5、好ましくは最大で10.5、より好ましくは最大で10.0、最も好ましくは最大で9.8である。
【0059】
本発明の一実施形態では、微細繊維組成物中のセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.5、最も好ましくは少なくとも3.0、好ましくは最大で4.5、より好ましくは最大で4.0、最も好ましくは最大で3.5である。
【0060】
本発明の一実施形態では、微細繊維組成物中のタンパク質と脂肪との重量比は、少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.2、最も好ましくは少なくとも2.5、好ましくは最大で4.0、より好ましくは最大で3.5、最も好ましくは最大で3.0である。
【0061】
一実施形態では、微細繊維組成物は、好ましくは、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも1wt%の脂肪、より好ましくは少なくとも5wt%の脂肪、最も好ましくは少なくとも8wt%の脂肪、好ましくは最大で18wt%の脂肪、より好ましくは最大で15wt%の脂肪、最も好ましくは最大で12wt%の脂肪を含む。脂肪の量は、有機溶媒抽出を含む当分野で知られている方法によって決定することができる。そのような技法の一例はISO 6492方法である。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で5wt%の灰、より好ましくは最大で4wt%の灰、最も好ましくは最大で3wt%の灰、好ましくは少なくとも0.1wt%の灰、より好ましくは少なくとも0.5wt%の灰、最も好ましくは少なくとも1wt%の灰を含む。灰含有率はISO 5984:2002方法を使用して決定する。
【0063】
一実施形態では、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも5wt%の粗製繊維、より好ましくは少なくとも10wt%の粗製繊維、最も好ましくは少なくとも15wt%の粗製繊維、好ましくは最大で30wt%の粗製繊維、より好ましくは最大で25wt%の粗製繊維、最も好ましくは最大で20wt%の粗製繊維を含む。粗製繊維は、ISO 68651:2000方法を使用して決定する。
【0064】
一実施形態では、本発明の微細繊維組成物は、最大で200μmのd90値を有する粒子を含む。好ましくは、粒子は、最大で150μm、好ましくは最大で125μm、より好ましくは最大で100μm、さらにより好ましくは最大で75μm、さらにより好ましくは最大で50μm、最も好ましくは最大で40μm、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μm、より好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも10μmのd90値を有する。粒径分布、特にd90値は、マルバーンマスターサイザーを使用したレーザー回折などの慣用技術を使用して決定する。
【0065】
さらなる実施形態では、微細繊維組成物は最大で10wt%の水を含む。好ましくは、微細繊維組成物は、微細繊維組成物の総乾重量に基づいて、最大で9wt%、より好ましくは最大で8wt%、さらにより好ましくは最大で7wt%、最も好ましくは最大で5wt%、好ましくは少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、最も好ましくは少なくとも0.1wt%の水を含む。
【0066】
タンパク質、繊維、リグニン、脂肪、及び他の構成要素の量は、合計で微細繊維組成物の100重量%となる。
【0067】
タンパク質含有組成物
本発明は、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から得られたタンパク質含有組成物に関する。本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物は穀物からのタンパク質を含み、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも50重量%のタンパク質及び最大で1重量%のリグニンを含む。その代わりに又はそれに加えて、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて最大で30重量%の不溶性HMWDFを含む。
【0068】
そのようなタンパク質含有組成物の利点は、そのような組成物が、高い栄養的値を有し、非常に高いタンパク質百分率を含むため、とりわけ、プロテインバー、タンパク質に富んだパンなどの高いタンパク質含有率を有する食品において加工することができることである。タンパク質含有組成物の別の利点は、これが良好な乳化効果を有しており、したがって乳濁液に対して「ピッカリング」効果を有する場合があることである。タンパク質含有組成物は、生分解性であり、人間、動物、及び環境に対して無毒性である天然物である。タンパク質含有組成物はまた、それらが組み込まれている食料製品の構造的組成、たとえば弾性及びより高い硬度/硬度にも寄与する場合がある。別の利点は、タンパク質含有組成物が廃棄物流から得られることであり、ここで、この廃棄物流は、多機能な応用を有する、価値のある有用な生成物へとアップグレードすることができる。
【0069】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、好ましくは、主に不溶性タンパク質を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は不溶性タンパク質のみを含む。
【0070】
タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて少なくとも50wt%のタンパク質を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、最大で99wt%のタンパク質、より好ましくは最大で95wt%のタンパク質、最も好ましくは最大で90wt%のタンパク質、好ましくは少なくとも55wt%のタンパク質、より好ましくは少なくとも60wt%のタンパク質を含む。
【0071】
さらなる実施形態では、前述のタンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物中のタンパク質の総乾重量に基づいて少なくとも15重量%のグルタミンを含む。好ましくは、タンパク質含有組成物のタンパク質は、タンパク質含有組成物中のタンパク質の総乾重量に基づいて、最大で25wt%のグルタミン、より好ましくは最大で20wt%のグルタミン、最も好ましくは最大で15wt%のグルタミン、少なくとも18wt%のグルタミン、より好ましくは少なくとも20wt%のグルタミンを含む。
【0072】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物中のタンパク質の総乾重量に基づいて少なくとも5重量%のプロリンを含む。
【0073】
好ましい変形では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物中のタンパク質の総乾重量に対して少なくとも10重量%の脂肪を含む。
【0074】
一実施形態では、前述のタンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも50重量%のタンパク質及び最大で1重量%のリグニンを含む。
【0075】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも1wt%の不溶性HMWDF、より好ましくは少なくとも5wt%の不溶性HMWDF、最も好ましくは少なくとも10wt%の不溶性HMWDF、最大で30wt%の不溶性HMWDF、より好ましくは最大で25wt%の不溶性HMWDF、より好ましくは最大で20wt%の不溶性HMWDFを含む。
【0076】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも10%の空の澱粉細胞を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも15%の空の澱粉細胞、より好ましくは少なくとも20%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも30%の空の澱粉細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の空の澱粉細胞、最も好ましくは少なくとも50%の空の澱粉細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で95%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で90%の空の澱粉細胞、より好ましくは最大で80%の空の澱粉細胞、最も好ましくは最大で70%の空の澱粉細胞を含む。
【0077】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、最大で0.9のタンパク質対澱粉細胞の面積比を含む。好ましくは、タンパク質対澱粉細胞の面積比は、最大で0.8、より好ましくは最大で0.7、さらにより好ましくは最大で0.6、最も好ましくは最大で0.5、好ましくは少なくとも0.001、より好ましくは少なくとも0.01、最も好ましくは少なくとも0.1である。
【0078】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも40%の遊離タンパク質、より好ましくは少なくとも50%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも60%の遊離タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも70%の遊離タンパク質、最も好ましくは少なくとも75%の遊離タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で99.99%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で99%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で95%の遊離タンパク質、より好ましくは最大で90%の遊離タンパク質、最も好ましくは最大で85%の遊離タンパク質を含む。
【0079】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質の総量に基づいて、少なくとも0.001%の封入タンパク質、より好ましくは少なくとも0.01%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.05%の封入タンパク質、さらにより好ましくは少なくとも0.1%の封入タンパク質、最も好ましくは少なくとも0.5%の封入タンパク質、また、タンパク質の総量に基づいて、好ましくは最大で10%の封入タンパク質、より好ましくは最大で8%の封入タンパク質、より好ましくは最大で5%の封入タンパク質、より好ましくは最大で2%の封入タンパク質、最も好ましくは最大で1%の封入タンパク質を含む。
【0080】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて少なくとも20%の破裂細胞を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、少なくとも25%の破裂細胞、より好ましくは少なくとも30%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも35%の破裂細胞、さらにより好ましくは少なくとも40%の破裂細胞、最も好ましくは少なくとも50%の破裂細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大で100%の破裂細胞、より好ましくは最大で95%の破裂細胞、より好ましくは最大で90%の破裂細胞、より好ましくは最大で80%の破裂細胞、最も好ましくは最大で70%の破裂細胞を含む。一般に、破裂細胞の数は、粗繊維組成物と比較してタンパク質含有組成物でより高くなり、一方で、タンパク質含有組成物中に存在する澱粉細胞の総数は、粗繊維組成物と比較して有意に低くなる。
【0081】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて最大で80%のインタクト細胞を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて、最大で75%のインタクト細胞、より好ましくは最大で70%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で65%のインタクト細胞、さらにより好ましくは最大で60%のインタクト細胞、最も好ましくは最大で50%のインタクト細胞、また、澱粉細胞の総数に基づいて、好ましくは最大でインタクト細胞なし、より好ましくは少なくとも5%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも10%のインタクト細胞、より好ましくは少なくとも20%のインタクト細胞、最も好ましくは少なくとも30%のインタクト細胞を含む。
【0082】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも0.1wt%のセルロース、より好ましくは少なくとも0.5wt%のセルロース、最も好ましくは少なくとも1wt%のセルロース、好ましくは最大で10wt%のセルロース、より好ましくは最大で5wt%のセルロース、最も好ましくは最大で4wt%のセルロースを含む。
【0083】
一つの追加の実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも5wt%(重量パーセント)のヘミセルロース、より好ましくは少なくとも8wt%のヘミセルロース、最も好ましくは少なくとも10wt%のヘミセルロース、好ましくは最大で20wt%のヘミセルロース、より好ましくは最大で17wt%のヘミセルロース、最も好ましくは最大で15wt%のヘミセルロースを含む。
【0084】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも0.01wt%のリグニン、より好ましくは少なくとも0.1wt%のリグニン、最も好ましくは少なくとも0.5wt%のリグニン、最大で2wt%のリグニン、より好ましくは最大で1.5wt%のリグニン、最も好ましくは最大で1wt%のリグニンを含む。
【0085】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、好ましくは、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも10wt%の脂肪、より好ましくは少なくとも12wt%の脂肪、最も好ましくは少なくとも15wt%の脂肪、好ましくは最大で30wt%の脂肪、より好ましくは最大で25wt%の脂肪、最も好ましくは最大で20wt%の脂肪を含む。
【0086】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物中のヘミセルロースとセルロースとの重量比は、少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.2、最も好ましくは少なくとも2.5、好ましくは最大で4.0、より好ましくは最大で3.5、最も好ましくは最大で3.0である。
【0087】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物中のヘミセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも15、より好ましくは少なくとも18、最も好ましくは少なくとも20、好ましくは最大で35、より好ましくは最大で30、最も好ましくは最大で25である。
【0088】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物中のセルロースとリグニンとの重量比は、少なくとも5.0、より好ましくは少なくとも6.0、最も好ましくは少なくとも7.0、好ましくは最大で12.0、より好ましくは最大で10.0、最も好ましくは最大で9.0である。
【0089】
本発明の一実施形態では、タンパク質含有組成物中のタンパク質と脂肪との重量比は、少なくとも2.5、より好ましくは少なくとも2.8、最も好ましくは少なくとも3.0、好ましくは最大で5.0、より好ましくは最大で4.5、最も好ましくは最大で4.0である。
【0090】
本発明のさらなる実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、最大で5wt%の灰、より好ましくは最大で4wt%の灰、最も好ましくは最大で3wt%の灰、好ましくは少なくとも0.1wt%の灰、より好ましくは少なくとも0.5wt%の灰、最も好ましくは少なくとも1wt%の灰を含む。灰含有率はISO 5984:2002方法を使用して決定する。
【0091】
本発明のさらなる実施形態では、タンパク質含有組成物は、最大で100ppmのグルテンを含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、最大で50ppmのグルテン、より好ましくは最大で40ppmのグルテン、さらにより好ましくは最大で30ppm、最も好ましくは最大で20ppm、好ましくは少なくとも10ppb、より好ましくは少なくとも500ppb、さらにより好ましくは少なくとも1ppm、最も好ましくは少なくとも2ppmのグルテンを含む。一実施形態では、タンパク質含有組成物はグルテンフリーである、すなわち、組成物は20ppm未満を含む。グルテン含有率はAOAC 2012.01を使用して決定した。
【0092】
一実施形態では、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも0.01wt%の粗製繊維、より好ましくは少なくとも0.1wt%の粗製繊維、最も好ましくは少なくとも0.5wt%の粗製繊維、好ましくは最大で5wt%の粗製繊維、より好ましくは最大で3wt%の粗製繊維、最も好ましくは最大で2wt%の粗製繊維を含む。粗製繊維は、ISO 68651:2000方法を使用して決定する。
【0093】
一実施形態では、本発明のタンパク質含有組成物は、最大で200μmのd90値を有する粒子を含む。好ましくは、粒子は、最大で150μm、好ましくは最大で125μm、より好ましくは最大で100μm、さらにより好ましくは最大で75μm、さらにより好ましくは最大で50μm、最も好ましくは最大で40μm、少なくとも1μm、好ましくは少なくとも2μm、より好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも10μmのd90値を有する。
【0094】
さらなる実施形態では、タンパク質含有組成物は最大で10wt%の水を含む。好ましくは、タンパク質含有組成物は、タンパク質含有組成物の総乾重量に基づいて、最大で9wt%、より好ましくは最大で8wt%、さらにより好ましくは最大で7wt%、最も好ましくは最大で5wt%、好ましくは少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、最も好ましくは少なくとも0.1wt%の水を含む。
【0095】
タンパク質、繊維、リグニン、脂肪、及び他の構成要素の量は、合計でタンパク質含有組成物の100重量%となる。
【0096】
本発明はさらに、本発明による微細繊維組成物と本発明によるタンパク質含有組成物とを含む混合物に関する。
【0097】
一実施形態では、混合物は、微細繊維組成物とタンパク質含有組成物とを、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.1、最も好ましくは少なくとも0.5、好ましくは最大で100、より好ましくは最大で10、さらにより好ましくは最大で5の重量比で含む。
【0098】
本発明はさらに、本発明による微細繊維組成物と本発明による粗繊維組成物とを含む混合物に関する。
【0099】
一実施形態では、混合物は、微細繊維組成物と粗繊維組成物とを、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.1、最も好ましくは少なくとも0.5、好ましくは最大で100、より好ましくは最大で10、さらにより好ましくは最大で5の重量比で含む。
【0100】
本発明はさらに、本発明による粗繊維組成物と本発明によるタンパク質含有組成物とを含む混合物に関する。
【0101】
一実施形態では、混合物は、粗繊維組成物とタンパク質含有組成物とを、少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.1、最も好ましくは少なくとも0.5、好ましくは最大で100、より好ましくは最大で10、さらにより好ましくは最大で5の重量比で含む。
【0102】
使用済み穀物を加工する方法
本発明はさらに、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物を加工する方法であって、
i)任意選択で、穀物を洗浄するステップであり、タンパク質を穀物から分離して、第1のタンパク質含有液体(22)及び穀物を得る、ステップと、
ii)任意選択で、水を穀物から除去して、懸濁液の総重量に基づいて1~30重量%の穀物を含有する穀物の懸濁液(2)を得て、第2のタンパク質含有液体(23)を得るステップと、
iii)1~30重量%の穀物を含有する穀物の懸濁液(2)を高剪断ミル(3)で処理して、澱粉細胞中に封入されたタンパク質を少なくとも部分的に放出させ、粉砕された穀物繊維(4)を得るステップと
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0103】
適切な量の水と高剪断ミルの使用との組合せにより、澱粉細胞の細胞壁を機械的に開かせるために十分な剪断応力を、使用済み穀物にかけることができる。そのような細胞壁では、タンパク質が捕捉され、これは、開いた際に繊維から分離することができる。このようにして、より高いタンパク質収率が得られる。さらに、より低いタンパク質含有率、特に、15wt%未満の又はそれよりはるかに低いタンパク質の含有率を有する粗繊維画分を得ることができる。繊維の顕微鏡画像により、タンパク質が不在の澱粉層及び/又は細胞において、より開いた澱粉細胞が明らかとなる。本発明者らは、そのような高剪断力を達成することができないミルでは、澱粉層中の澱粉細胞を開くこと、及び/又はタンパク質収率を改善することは、達成できないことをさらに見出した。そのような不適切なミルの例としては、ロールミル及びピンミル(mil)が挙げられる。そのようなミルの適切な例としては、ハンマーミル及び肉乳化機が挙げられる。一つの好ましい実施形態では、高剪断ミルはハンマーミルである。別の好ましい実施形態では、高剪断ミルは肉乳化機である。用語「肉乳化機」は当分野で周知であり、高速及び高剪断力で肉を切断することができる肉切断機を一般に表す。この方法の別の利点は、回収されたタンパク質及び/又は繊維の構造に有害な影響を与える可能性がある、化学薬品の添加の使用が必要でないことである。
【0104】
本発明はさらに、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物を加工する方法であって、
i)任意選択で、上記穀物を洗浄し、それによりタンパク質を穀物から分離し、タンパク質含有液体及び穀物画分が得られる、ステップと、
ii)任意選択で、水を穀物画分から除去して、1~30重量%の穀物の乾物含有率を有する穀物の懸濁液を得るステップと、
iii)1~30重量%の穀物の固形物含有率を有する上記穀物のスラリーをハンマーミル(3)で処理して、タンパク質の結合及び封入された画分を繊維から放出させ、粉砕された穀物を得るステップと
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0105】
本発明の方法の利点は、穀物の澱粉層中に結合及び封入されたタンパク質画分が放出されることである。さらに、穀物スラリーをハンマーミリングすることによって、微細繊維画分も澱粉層から放出される。
【0106】
本発明の方法の任意選択のステップ(i)では、穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物を洗浄し、それによりタンパク質を穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から分離して、第1のタンパク質含有液体(22)及び穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物が得られる。この洗浄ステップは、遊離タンパク質を穀物から除去するために遊離タンパク質を溶解及び/又は分散させることができる溶媒を使用して、行うことができる。好ましい溶媒は水である。穀物中の遊離タンパク質の存在は、ミリングステップなどの本発明の方法中のさらなる加工ステップの効率を低下させることがあり、したがって、すべての遊離タンパク質を除去することが望ましい。用語「遊離タンパク質」とは、繊維から分離することができ、澱粉細胞中に封入されていない、穀物中に存在するタンパク質を意味する。洗浄ステップをフィルター上でさらに行って、元の穀物中に存在する溶媒及び/又は水の量を顕著に変更せずに、追加の水を遊離タンパク質と共に穀物から除去することができる。
【0107】
一実施形態では、ステップ(i)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0108】
本発明の方法の任意選択のステップ(ii)では、水及び/又は溶媒をステップ(i)の穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から除去して、懸濁液の総重量に基づいて1~30重量%の穀物を含有する穀物の懸濁液(2)を得る、及び第2のタンパク質含有液体(23)を得る。穀物が、たとえば本発明の方法のステップ(i)のような洗浄ステップの後に、99wt%を超える水を含む場合は、当分野で知られている任意の慣用手段を使用して水を除去する。そのような慣用手段としては、フィルター、真空フィルター、傾瀉、及び回転ふるいが挙げられる。一実施形態では、このステップ(ii)は、水を、70wt%未満の水のレベルまで除去するステップも含んでいてもよく、その後、新鮮な水を加えて1~30wt%の固形物含有率を有する穀物の懸濁液を得ることができ、その後、これを本発明の方法のステップ(iii)において適切に使用することができる。
【0109】
一実施形態では、ステップ(ii)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0110】
本発明の方法のステップ(iii)では、1~30重量%の穀物を含有する穀物の懸濁液(2)を高剪断ミル(3)で処理して、澱粉細胞中に封入されたタンパク質を少なくとも部分的に放出させ、粉砕された穀物繊維(4)を得る。本発明者ら(inventory)は、懸濁液の1~30重量%の固形物含有率を有する懸濁液を、高剪断ミルを使用してミリングすることは有効であり、澱粉細胞を開かせ、澱粉層からタンパク質を放出させることができることを見出した。懸濁液が1wt%未満の澱粉含有植物性材料の固形物を有する場合は、高剪断ミリングは有効でない及び/又は経済的に実行可能でない。懸濁液が30wt%を超える固形物を有する場合は、懸濁液は、一般に、商業的に関心を持たれる生産性のためには濃すぎる又は粘稠すぎであり、さらに、植物性材料にかけられる剪断力有効性が不十分である。
【0111】
一実施形態では、高剪断ミルはハンマーミルである。ハンマーミルは、当分野で知られている任意のハンマーミルであることができる。ハンマーミルは、澱粉細胞を開かせるために必要な高剪断力で作動させることができる。そのような高剪断力は、スクリーンメッシュサイズ、(1つ又は複数の)ハンマーからスクリーンまでの距離、及び(1つ又は複数の)ハンマーの回転速度の適切な設定によって得ることができる。十分な剪断力がかけられているかどうかの決定は、ミリングした穀物中、特に得られた粗繊維組成物中の空の細胞の数を評価することによって、実施することができる。空の澱粉細胞の百分率が、未処理の穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物中の空の澱粉細胞の百分率と比較して増加する場合は、十分な剪断力がかけられている。
【0112】
一実施形態では、スクリーンのメッシュサイズは、最大で5mm、好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1mm、好ましくは少なくとも100μm、より好ましくは少なくとも200μm、最も好ましくは少なくとも500μmである。
【0113】
一実施形態では、(1つ又は複数の)ハンマーからスクリーンまでの距離は、最大で5mm、好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1mm、好ましくは少なくとも100μm、より好ましくは少なくとも200μm、最も好ましくは少なくとも500μmである。
【0114】
別の実施形態では、(1つ又は複数の)ハンマーの回転速度は、少なくとも2,500rpm、好ましくは少なくとも5,000rpm、最も好ましくは少なくとも10,000rpm、好ましくは最大で60,000rpm、より好ましくは最大で50,000rpm、最も好ましくは最大で40,000rpmである。
【0115】
一実施形態では、高剪断ミルは肉乳化機である。肉乳化機は、当分野で知られている任意の肉乳化機であることができる。肉乳化機は、澱粉細胞を開かせるために必要な高剪断力で作動させることができる。そのような高剪断力は、スクリーン、ナイフからスクリーンメッシュサイズまでの距離、及びナイフの回転速度の適切な設定によって得ることができる。十分な剪断力がかけられているかどうかの決定は、ミリングした穀物中、特に得られた粗繊維組成物中の空の細胞の数を評価することによって、実施することができる。空の澱粉細胞の百分率が、未処理の穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物中の空の澱粉細胞の百分率と比較して増加する場合は、十分な剪断力がかけられている。
【0116】
一実施形態では、スクリーンのメッシュサイズは、最大で5mm、好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1mm、好ましくは少なくとも100μm、より好ましくは少なくとも200μm、最も好ましくは少なくとも500μmである。
【0117】
一実施形態では、ナイフからスクリーンまでの距離は、最大で3mm、好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1mm、好ましくは少なくとも350μm、より好ましくは少なくとも400μm、最も好ましくは少なくとも500μmである。
【0118】
別の実施形態では、ナイフの回転速度は、少なくとも1,000rpm、好ましくは少なくとも1,500rpm、最も好ましくは少なくとも2,000rpm、好ましくは最大で20,000rpm、より好ましくは最大で10,000rpm、最も好ましくは最大で5,000rpmである。
【0119】
一実施形態では、ステップ(iii)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。温度は、澱粉細胞をより容易に開かせることができ、微生物が成長しない又は非常にゆっくりとしか成長しないように選択する。
【0120】
本発明はさらに、上記の本発明のプロセスによって得られる又は得ることができる生成物に関する。粉砕された穀物繊維(4)は、組成物が、ステップ(v)で得られた粗繊維組成物よりも高いタンパク質含有率を含むことを除けば、本発明の粗繊維組成物であると考えられる。さらに、第1及び第2のタンパク質含有液体は、全体的なタンパク質収率が、ステップ(vi)で得られたタンパク質含有組成物と比較して、比較的低いことを除けば、本発明によるタンパク質含有組成物であると考えられる。
【0121】
本発明の一実施形態では、粉砕された穀物を、続いて、50~250μmのメッシュサイズを有し、周囲圧力又は増加した圧力下で作動させる、回転ふるい、遠心ふるい、又は他のふるいにおいて篩過及び/又は洗浄して、繊維画分をタンパク質含有画分から分離することができ、穀物は再生水で洗浄することができる。
【0122】
再生水の代わりに、水道水及び/又は脱塩水も穀物を洗浄するステップに使用できることが明らかである。
【0123】
続いて、繊維画分をプレスするステップをねじプレス又はチャンバーフィルタープレスにおいて行って、繊維画分の含水量を低下させることができる。
【0124】
本発明の一実施形態では、本方法は、
(iv)上記粉砕された穀物繊維(4)を回転ふるい(5)又は遠心ふるい(5’)において上記第3のタンパク質含有液体(8)から分離し、それにより上記粉砕された穀物繊維に水が噴霧される、ステップと、
(v)プレス、好ましくはねじプレス(9)又はチャンバーフィルタープレス(9’)において、水を上記粉砕された繊維(7)から除去して、粗繊維組成物及び第4のタンパク質含有液体(10)を得て、任意選択で上記粗繊維組成物を乾燥させるステップと、
(vi)上記第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体を合わせて、1つのタンパク質含有液体(12)を形成し、上記タンパク質を水から分離してタンパク質含有組成物を得て、任意選択で上記タンパク質含有組成物を乾燥させるステップと
をさらに含む。
【0125】
好ましい実施形態では、本方法は、以下の
(iv)上記粉砕された穀物を、回転ふるい(5)又は遠心ふるいにおいて篩過して、上記繊維画分(7)を上記タンパク質含有水(8)から分離し、それにより上記穀物に水を噴霧する、ステップと、
(v)前述の繊維画分(7)を、好ましくはねじプレス(9)又はチャンバーフィルタープレス(9’)においてプレスして、上記繊維画分(7)の含水量を低下させ、上記乾物含有率を増加させるステップであり、粗繊維組成物及びタンパク質含有水流(8)が得られる、ステップと、
(vi)上記回転スクリーン(5)からの上記タンパク質含有水(8)及び上記ねじプレス(9)又はチャンバーフィルタープレス(9’)からの上記水流(10)を合わせ、ミキサー(11)中で混合してタンパク質含有水流(12)を形成し、続いて、沈降させて、濃縮タンパク質画分を水及びタンパク質へとさらに分離するステップと
をさらに含む。
【0126】
本発明の方法のステップ(iv)では、上記粉砕された穀物繊維(4)は、回転ふるい(5)又は遠心ふるい(5’)において上記第3のタンパク質含有液体(8)から分離し、それにより粉砕された穀物繊維に水が噴霧される。
【0127】
一実施形態では、回転ふるいを使用して、粉砕された穀物繊維(4)を第3のタンパク質含有液体から分離する。回転ふるいは、当分野で知られており、そのような粉砕された穀物を液体から分離するために適切な、任意の回転ふるいであることができる。一実施形態では、ふるいのメッシュサイズは、最大で500μm、好ましくは最大で300μm、最も好ましくは最大で200μm、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも50μm、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも50μmである。回転ふるいは、周囲圧力又は増加した圧力下で作動させることができる。好ましくは、回転ふるいは、増加した圧力下で作動させる。
【0128】
一実施形態では、遠心ふるいを使用して、粉砕された穀物を第3のタンパク質含有液体から分離する。遠心ふるいは、当分野で知られており、そのような粉砕された穀物を液体から分離するために適切な、任意の遠心ふるいであることができる。一実施形態では、ふるいのメッシュサイズは、最大で500μm、好ましくは最大で300μm、最も好ましくは最大で200μm、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも50μmである。遠心ふるいは、周囲圧力又は増加した圧力下で作動させることができる。好ましくは、遠心ふるいは、増加した圧力下で作動させる。
【0129】
複数の回転ふるい及び遠心ふるい、又は少なくとも1つの回転ふるいと少なくとも1つの遠心ふるいとの組合せを使用することが想定される。
【0130】
本発明の一実施形態では、粉砕された穀物繊維に水を噴霧する。この水は、回転又は遠心ふるいの分離効率を増加させるために加える。
【0131】
一実施形態では、ステップ(iv)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0132】
本発明の方法のステップ(v)では、プレス、好ましくはねじプレス(9)又はチャンバーフィルタープレス(9’)において、水を粉砕された繊維(7)から除去して、粗繊維組成物及び第4のタンパク質含有液体(10)を得る、並びに任意選択で粗繊維組成物を乾燥させる。
【0133】
一実施形態では、ねじプレスを使用して、水を粉砕された穀物繊維から除去する。ねじプレスは、当分野で知られており、水をそのような粉砕された穀物繊維から除去するために適切な、任意のねじプレスであることができる。一実施形態では、スクリーンのメッシュサイズは、最大で300μm、好ましくは最大で200μm、最も好ましくは最大で100μm、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも50μmである。
【0134】
一実施形態では、チャンバーフィルタープレスを使用して、水を粉砕された穀物繊維から除去する。チャンバーフィルタープレスは、当分野で知られており、水をそのような粉砕された穀物繊維から除去するために適切な任意のチャンバーフィルタープレスであることができる。一実施形態では、チャンバーフィルタープレス中のフィルターのメッシュサイズは、最大で300μm、好ましくは最大で200μm、最も好ましくは最大で100μm、好ましくは少なくとも10μm、より好ましくは少なくとも20μm、最も好ましくは少なくとも50μmである。
【0135】
複数のチャンバーフィルタープレス及びねじプレス、又は少なくとも1つのチャンバーフィルタープレスと少なくとも1つのねじプレスとの組合せを使用することが想定される。
【0136】
一実施形態では、ステップ(v)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0137】
本発明の方法のステップ(v)では、粗繊維組成物が得られる。一実施形態では、粗繊維組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0138】
本発明の方法のステップ(vi)では、第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体を合わせて、1つのタンパク質含有液体(12)を形成し、タンパク質を水から分離して、タンパク質含有組成物を得て、任意選択でタンパク質含有組成物を乾燥させる。
【0139】
ステップ(vi)では、第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体を一緒に合わせ、好ましくはミキサー(11)中で混合する。ステップ(i)及び(ii)を省略する場合は、第3及び第4のタンパク質含有液体を合わせ、好ましくはミキサー(11)中で混合する。ミキサーは、当分野で知られている任意のミキサーであることができる。続いて、傾瀉及び濾過を含む任意の慣用手段を使用して、タンパク質を水から分離する。好ましくは、タンパク質及び水は、デカンターユニット(16)中での傾瀉によって分離する。
【0140】
一実施形態では、ステップ(vi)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0141】
本発明の方法のステップ(vi)では、タンパク質含有組成物が得られる。一実施形態では、タンパク質含有組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0142】
一実施形態では、回転スクリーンからの水流及びねじプレス又はチャンバーフィルタープレスからの水流を合わせ、混合して、タンパク質含有水流を形成することができる。
【0143】
その後、このタンパク質含有水流は、当業者の技術に従って、液体サイクロンにおいて非溶解繊維画分、精製タンパク質含有水流、及び低窒素含有率を有する繊維画分へと分離することができ、当業者は、自身の裁量で、適切な条件を設定することができる。
【0144】
好ましい実施形態では、本発明は、微細繊維組成物を得ることであって、タンパク質含有水流(8)を、遠心分離によって、好ましくは液体サイクロン(13)において、及び/又は濾過によって、精製タンパク質含有水流(14)及び微細繊維組成物(15)へと分離することを特徴とする、微細繊維組成物を得ることに関する。
【0145】
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、タンパク質含有組成物を得ることであって、精製タンパク質含有水流(14)を、デカンターユニット(16)中での遠心分離によって、上清(18)及びタンパク質含有組成物(17)へと分離し、任意選択で、上清(18)を穀物フィード中、洗浄ドラム中、及びハンマーミル中で再生し、任意選択で、タンパク質含有組成物(17)を分離除去した後、次のステップで分離されたタンパク質含有粒子(17)を乾燥させることを特徴とする、タンパク質組成物を得ることに関する。
【0146】
タンパク質含有水流から、好ましくはデカンターユニット中での遠心分離によって、タンパク質含有粒子を分離することができる。
【0147】
タンパク質含有水流は、まず、遠心分離の前に濃厚化ステップを受けてもよく、ここで、タンパク質含有粒子を沈降させるためにタンパク質含有水をしばらくの間保持し、その後、さらなる処理のために、好ましくは下側からデカンターユニットに向かってポンピングする。
【0148】
この場合、デカンターユニットは、タンパク質に乏しい水及びタンパク質濃縮物である2つの生成物を生じる。
【0149】
水画分は、粉砕中に正しい含水量を使用するために、穀物の入口、洗浄ドラム、及び任意選択でハンマーミルで再生することができる。
【0150】
最後に、分離されたタンパク質含有粒子は、たとえば乾燥設備において、好ましくは乾燥させる。
【0151】
分離されたタンパク質含有粒子がタンパク質含有組成物を形成する。
【0152】
そのような乾燥機器は、たとえば再水和のための化学的及び物理的特性を保存するために、好ましくは70℃未満の温度及び2~10秒間の好ましい乾燥時間で乾燥させる、好ましくはロータリーフラッシュ乾燥機であり、その後、タンパク質収率は乾物の50~75wt%である。
【0153】
しかし、分離されたタンパク質含有粒子の乾燥は、乾燥後に分離されたタンパク質含有粒子を水又は他の溶媒中に再懸濁させることができる限りは、様々な方法で、様々な乾燥設備によって実現することができる。
【0154】
乾燥濃縮物は、比較的高い量のタンパク質を含み、拡げられるという物理特性を有する。フラッシュ乾燥機の使用は、タンパク質濃縮物におけるより高い水吸収をもたらすため、その水保持能力が理由で、濃縮物を、肉代用品などの植物性製品における大豆代用品として、養魚用餌、動物用飼料、動物用飼料、及び人間消費用の食品としても使用することができる。
【0155】
このタンパク質濃縮物の利点は、その物理特性及び非飽和脂肪酸の存在により、濃縮物を食品として使用することが可能となることである。
【0156】
このタンパク質濃縮物の別の利点は、予想外に、濾過プロセスを受けた繊維のおよそ30%が60マイクロメートルより小さく、繊維は、これらを人間の栄養において健康に良い食物繊維として適切にする特殊な特性を有し、健康な腸管内菌叢に重要な貢献をすることである。
【0157】
濾過プロセス後に得られた、これらのより小さな繊維は、本説明中において微細繊維組成物とも呼ぶ。さらに、タンパク質濃縮物は、上述のタンパク質含有組成物とも呼ぶ。
【0158】
タンパク質濃縮物は、押出し形成技術においても使用することができる。
【0159】
この方法の追加の利点は、プロセス全体が、穀物自体に由来する水を使用し、開始の水は開始時にのみ必要であることである。比較的大きな水流は可能な限り再生されて、存在するタンパク質を回収し、それを食料製品として使用する。
【0160】
残りの乾燥繊維画分は、好ましくは段階的な温度ゾーンを有する、バイオマス燃焼工場の短周期燃料として価格設定(valorize)することができる。繊維中に15wt%未満の総タンパク質又はそれ以下の低窒素含有率により、この繊維画分を、たとえばビール醸造所を温めるための環境に優しい燃料として、又は燃焼及び発電を通じたトータルエネルギー供給のために使用することが可能となる。
【0161】
本発明の方法の別の利点は、方法を適用するための装置は、必ずしも醸造所などの固定位置に位置する必要はなく、他の位置でも使用することができ、たとえば、穀物と同様の、有機残留流を加工する貯蔵位置にさえ動かすことができることである。
【0162】
本発明による粗繊維及び微細繊維組成物の両方の乾燥繊維画分は、ヘミセルロース、セルロース、リグニン、グルカン、及びキシランからなる繊維の栄養源としても道を見つけることができ、動物用飼料、動物用飼料、又は人間の食品において添加剤として使用することができる。
【0163】
本発明の方法の第1の変形実施形態では、穀物は、まず回転ふるいにおいて予洗を受け、続いて、ねじプレスにおける事前プレスで含水量の低下を再度得た後、ハンマーミルに送り、本発明の方法におけるようにさらに処理して、残留タンパク質の繊維を取り除く。
【0164】
この第1の変形実施形態では、第1の回転スクリーンにおける予洗からの洗浄水及び第1のねじプレスからのプレス水もミキサーに送り、ここで、タンパク質含有水を合わせた後、液体サイクロン中でさらに分画する。
【0165】
本発明の方法の第2の変形実施形態では、液体サイクロンとデカンターユニットの間のサイクロンフィルターによる追加の濾過ステップを挿入する。
【0166】
デカンターユニットから回収された繊維画分は、150~260g/kgの乾物の量のタンパク質を依然として含み、これは、反応器における追加のプロセスによってさらに回収することができる。
本発明はさらに、
(vii)タンパク質含有液体(12)を遠心分離及び濾過して、微細繊維組成物(15)及びタンパク質含有組成物(17)を得て、任意選択で、組成物(15)及び/又は(17)を別々に乾燥させるステップ
をさらに含む方法に関する。
【0167】
ステップ(vii)では、ステップ(vi)で得られたタンパク質含有液体(12)を、遠心分離及び濾過によって、タンパク質含有組成物及び微細繊維組成物へとさらに分画する。微細繊維組成物は、タンパク質と一緒にプレス及びフィルターを通過するほど十分に小さい穀物の微細繊維からなる。好ましくは、遠心分離及び濾過は、液体サイクロン(13)などのサイクロンフィルターを使用して行う。サイクロンフィルターは、当分野で知られており、微細繊維及びタンパク質を分離することができる任意のサイクロンフィルターであることができる。好ましくは、サイクロンフィルターは液体サイクロンである。
【0168】
一実施形態では、ステップ(vii)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0169】
本発明の方法のステップ(vii)では、微細繊維組成物が得られる。一実施形態では、微細繊維組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0170】
本発明の方法のステップ(vii)では、タンパク質含有組成物が得られる。一実施形態では、タンパク質含有組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0171】
第3の変形実施形態では、酵素的プロセスである追加のプロセスを反応器中に加える。
【0172】
第4の変形実施形態では、ここでは化学的プロセスとなった追加のプロセスも反応器中で加える。
【0173】
反応器中のどちらの追加のプロセスも、依然として穀物の澱粉層中にある追加のタンパク質を放出させることを目的とする。
【0174】
本発明はさらに、
(viii)1~30重量%の粉砕された穀物を含むステップ(v)の粗繊維組成物(30)の懸濁液を、澱粉細胞壁を加水分解することができる酵素と接触させ、インキュベートして、酵素処理した繊維画分を得るステップと、
(ix)任意選択で、酵素処理した繊維画分を、回転ふるい(5’)又は遠心ふるいにおいて、第5のタンパク質含有液体(8’)から分離するステップであり、酵素処理した繊維画分に水を噴霧する、ステップと、
(x)任意選択で、水を、好ましくはねじプレス(9’)又はチャンバーフィルタープレス(示さず)において、酵素処理した繊維画分から除去して、粗繊維組成物及び第6のタンパク質含有液体(10)を得るステップと、
(xi)第5及び第6のタンパク質含有液体を、任意選択で第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体と合せて、1つのタンパク質含有液体(12’)を形成し、タンパク質を水から分離してタンパク質含有組成物を得て、任意選択でタンパク質含有組成物を乾燥させるステップと
をさらに含む方法に関する。
【0175】
本発明はさらに、粗繊維組成物を穀物、好ましくは使用済みビール粕穀物から生成する方法であって、
(i)穀物の粗繊維を含む繊維組成物の懸濁液を、澱粉細胞壁を加水分解することができる酵素と接触させ、インキュベートして、酵素処理した繊維画分を得るステップであり、粗繊維組成物が、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも65wt%(wt%)の不溶性高分子量食物繊維(不溶性HMWDF)及び15wt%未満のタンパク質を含み、1~30重量%の粗繊維組成物を含むことを特徴とする、ステップと、
(ii)任意選択で、酵素処理した繊維画分を、回転ふるい(5’)又は遠心ふるいにおいて、第5のタンパク質含有液体(8’)から分離するステップであり、酵素処理した繊維画分に水を噴霧する、ステップと、
(iii)任意選択で、水を、好ましくはねじプレス(9’)又はチャンバーフィルタープレス(示さず)において、酵素処理した繊維画分から除去して、粗繊維組成物及び第6のタンパク質含有液体(10)を得るステップと、
(iv)第5及び第6のタンパク質含有液体を、任意選択で第1、第2、第3、及び/又は第4のタンパク質含有液体と合せて、1つのタンパク質含有液体(12’)を形成し、タンパク質を水から分離してタンパク質含有組成物を得て、任意選択でタンパク質含有組成物を乾燥させるステップと
を含む、方法に関する。
【0176】
澱粉細胞壁材料の酵素的加水分解は、比較的低いタンパク質含有率及び/又は低量の遊離タンパク質を有する粗繊維に対してより有効である。用語「遊離タンパク質」とは、繊維から分離することができ、澱粉細胞中に封入されていないタンパク質を意味する。本発明者らは、遊離タンパク質の存在が酵素活性を有意に低下させることを見出し、これはプロセスの経済的実現可能性に対して一般に不利である。したがって、低いタンパク質含有率を有する及び/又は上記同定した方法で得られた粗繊維組成物を酵素で処理することが有利である。この酵素的プロセスでは、タンパク質の総量、特に窒素の量を、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて6wt%未満のレベルのタンパク質までにさえ、相当に低下させることができる。さらに、この酵素的プロセスで得られたタンパク質含有水流をプロセス中の他の箇所で得られたタンパク質含有水流と混合し、上記に示したように加工して、本発明のタンパク質含有組成物を得ることができるため、タンパク質の収率を増加させることができる。
【0177】
「澱粉細胞壁を加水分解することができる酵素」という言葉は、澱粉細胞壁中に存在するオリゴマー及び/又はポリマーを加水分解することができる酵素又は酵素の組合せを意味する。そのようなオリゴマー及び/又はポリマーの例としては、セルロース、ヘミセルロース、アラビノキシラン、及びフェルラ酸が挙げられる。そのような酵素は、一般にタンパク質及び/又はペプチドを加水分解することができない。言い換えれば、タンパク質は、本発明の酵素的プロセス中に無影響のまま保たれる。適切な酵素の例としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びその組合せが挙げられる。好ましくは、酵素は、セルラーゼ、ヘミセルロース、キシラナーゼ、及びその組合せから選択される。最も好ましくは、酵素はセルラーゼである。一実施形態では、酵素はセルラーゼ及びキシラナーゼを含む。さらなる実施形態では、酵素はセルラーゼ及びヘミセルラーゼを含む。さらなる実施形態では、酵素はヘミセルラーゼ及びキシラナーゼを含む。一実施形態では、酵素はセルラーゼ及びグルカナーゼを含む。
【0178】
本発明の一実施形態では、プロセス中の酵素の量は、粗繊維組成物の総乾重量(すなわち、プロセス中で使用する0.5g/kgの繊維組成物)に基づいて少なくとも0.05wt%の酵素である。好ましくは、粗繊維組成物の総乾重量に基づいて、少なくとも0.1wt%の酵素、より好ましくは少なくとも0.15wt%の酵素、最も好ましくは少なくとも0.2wt%の酵素、好ましくは最大で10wt%の酵素、より好ましくは最大で8wt%の酵素、さらにより好ましくは最大で6wt%、最も好ましくは最大で5wt%である。「粗繊維組成物の総重量」とは、上述のプロセスのステップ(vii)又はステップ(i)中に提示した粗繊維組成物の乾重量を意味する。
【0179】
さらなる実施形態では、プロセス中の懸濁液は、懸濁液の総重量に基づいて少なくとも1wt%の粗繊維組成物を含む。好ましくは、懸濁液は、懸濁液の総重量に基づいて、少なくとも2wt%の粗繊維組成物、より好ましくは少なくとも5wt%の粗繊維組成物、好ましくは最大で30wt%の粗繊維組成物、より好ましくは最大で25wt%の粗繊維組成物、最も好ましくは最大で20wt%の粗繊維組成物を含む。
【0180】
一実施形態では、懸濁液の温度は、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも50℃、好ましくは最大で90℃、より好ましくは最大で80℃、最も好ましくは最大で70℃である。上述のプロセスのステップ(vii)又はステップ(i)中、温度は、酵素を懸濁液に加える前、その間、又はその後に所望の温度にしてもよい。好ましくは、酵素は、所望の温度に達成した後に加える。
【0181】
一実施形態では、インキュベーション時間は、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも5時間、最も好ましくは少なくとも10時間、好ましくは最大で48時間、より好ましくは最大で36時間、最も好ましくは最大で24時間である。インキュベーション時間は、一般に、所望のタンパク質の低下によって決定する。
【0182】
本発明のプロセスにおける残りのステップの具体的な実施形態は、非酵素的プロセスについて上述されており、酵素的プロセスにも適用される。
【0183】
本発明の方法のステップ(x)では、粗繊維組成物が得られる。一実施形態では、粗繊維組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0184】
本発明の方法のステップ(xi)では、タンパク質含有組成物が得られる。一実施形態では、タンパク質含有組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0185】
本発明はさらに、
(xii)タンパク質含有液体(12’)を遠心分離及び濾過して、微細繊維組成物(27’)及びタンパク質含有組成物(28’)を得て、任意選択で、組成物(27’)及び/又は(28’)を別々に乾燥させるステップ
をさらに含む方法に関する。
【0186】
ステップ(xii)では、ステップ(xi)で得られたタンパク質含有液体(12’)を、遠心分離及び濾過によって、タンパク質含有組成物及び微細繊維組成物へとさらに分画する。微細繊維組成物は、タンパク質と一緒にプレス及びフィルターを通過するほど十分に小さい穀物の微細繊維を含む。好ましくは、遠心分離及び濾過は、液体サイクロン(13)などのサイクロンフィルターを使用して行う。サイクロンフィルターは、当分野で知られており、微細繊維及びタンパク質を分離することができる任意のサイクロンフィルターであることができる。好ましくは、サイクロンフィルターは液体サイクロンである。
【0187】
一実施形態では、ステップ(xii)における懸濁液の温度は、室温を超える温度に維持する。好ましくは、懸濁液の温度は、少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも35℃、最も好ましくは少なくとも40℃、好ましくは最大で80℃、より好ましくは最大で75℃、最も好ましくは最大で70℃である。
【0188】
本発明の方法のステップ(xii)では、微細繊維組成物が得られる。一実施形態では、微細繊維組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0189】
本発明の方法ステップ(xii)では、タンパク質含有組成物が得られる。一実施形態では、タンパク質含有組成物を乾燥させる。乾燥方法は、当分野で知られている任意の乾燥方法であることができる。適切な乾燥方法としては、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥が挙げられる。
【0190】
本発明の一実施形態では、穀物は使用済みビール粕穀物である。
【0191】
本発明はまた、本発明の方法及び/又は上述の代替方法を適用するための装置であって、ハンマーミル、回転スクリーン、ねじプレス又はチャンバーフィルター、ミキサー、液体サイクロン、及びデカンターユニットが、高品質タンパク質濃縮物及び低窒素繊維を穀物から回収するための連続的又は半連続的なプロセスを可能にするような様式で、互いに連結されている装置にも関する。
【0192】
本発明はまた、第2、第3、及び第4の変形実施形態を適用するための装置にも関する。
【0193】
穀物からの残りの窒素に乏しい繊維は、人間の食品、動物用飼料、又は動物用飼料における繊維に富んだ添加剤として使用することができる。
【0194】
穀物からの残りの窒素に乏しい繊維は、再生可能エネルギー生成のための短周期バイオマスとしても使用することができる、又は遅延燃焼のためのペレットへと加工することができる。
【0195】
前述の組成物は、上述の方法から得ることができる。
【0196】
前述の組成物が前述の方法と同じ及び/又は追加の利点を提供することは、明らかである。
【0197】
本発明の特長をより良好に実証するために、本発明による、タンパク質に富んだ濃縮物及び低窒素繊維を穀物から回収するプロセスの一部の好ましい実施形態を、いかなる限定的特徴も有さない実施例として、添付の図面を参照して、以下に記載する。
【0198】
図1は、タンパク質に富んだ濃縮物及び低窒素繊維を穀物から回収するための、本発明による本発明の方法を適用するための器具の流れ図1を模式的に示す。
-第1のフェーズでは、穀物2を供給し、フィルターメッシュサイズ、刃の鋭さ、及び回転速度に関して穀物の種類及びその乾物含有率に従って適応させた立体配置を有するハンマーミル3又は肉乳化機(示さず)内に送る。
-第2のフェーズでは、第1のフェーズから得られる砕いて掻き取った混合物4を回転ふるい5において篩過し、これに水6を噴霧して、繊維画分7をタンパク質含有水8から分離することができる。
-好ましくは、次の段階で、繊維画分7を、ねじプレス又はチャンバーフィルタープレスであることができるプレス9においてプレスすることによって脱水し、その後、回転スクリーン5からのタンパク質含有水8及びプレスからの水流10を合わせ、ミキサー11で1つのタンパク質含有水流12へと混合し、水流12は、
-その後、続くフェーズにおいて、液体サイクロン13によって、90~100%の非溶解繊維、精製タンパク質含有水流14、及び低窒素含有率を有する純粋な繊維画分15へと分離することができ、その後、タンパク質含有水流14は、
-その後、続く段階において、デカンターユニット16中での遠心分離によって、懸濁させたタンパク質含有粒子流17及び上清18へと分離することができ、これは、穀物フィードにおいて、洗浄ドラム及びハンマーミルから再生される。
【0199】
穀物をハンマーミルで加工する間、穀物は、1~30重量%の穀物の固形物含有率を有する懸濁液中にある。
【0200】
穀物のハンマーミルでの加工中、懸濁液中の穀物は、懸濁液の総重量に対して、好ましくは少なくとも2wt%の穀物、より好ましくは少なくとも5wt%の穀物、最大で17wt%の穀物、より好ましくは最大で15wt%の穀物の固形物含有率を含む。
【0201】
これにより、澱粉及び胚乳層をより良好に破壊することができ、したがってタンパク質をこれらの層から放出させることができるように、ハンマーミルが所望の剪断応力を生じることが可能となり、絶対的にこれらの層からのタンパク質のより高い収率がもたらされる。
【0202】
ここで、ハンマーミルによって乾燥グレイン又はビール粕穀物を加工することは、穀物の澱粉及び胚乳層が開くことをもたらさないことに注目されたい。
【0203】
ビール粕穀物に加えて、たとえばビール醸造プロセスに由来する他の副産物も使用することができる。同様に、トラブ(trub)を上述の方法によって加工することができ、ここで、トラブは、好ましくは、懸濁液中の穀物をハンマーミルで加工した後に加える。
【0204】
しかし、これは必要ではなく、トラブを本発明による方法の後のステップで加えることも可能である。
【0205】
ここでトラブとは、麦芽汁を渦巻又はホップ濾し器において篩過又は濾過することによって除去される、凝結タンパク質及びホップコーンなどの麦芽汁中の固形粒子をいう。
【0206】
さらに、前述の方法によって、トラブの加工中に懸濁液中のグレイン又は穀物を使用せずに、トラブを加工することも可能である。
【0207】
低窒素含有率を有する純粋な繊維画分は、粗繊維組成物とも呼ばれ、再利用可能な材料へと加工するため、又は持続可能なエネルギーの生成のための短周期バイオマスとして使用するために、放出される。
【0208】
この純粋な繊維画分15は乾燥繊維画分であり、前記微細繊維組成物である。
【0209】
この場合の懸濁させたタンパク質含有粒子流17は前述のタンパク質含有組成物である。
【0210】
或いは、第1のフェーズの後、化学薬品、たとえば酵素を、粉砕された穀物の後処理に使用することもできる。この処理により、さらにより多くのタンパク質をグレイン又はビール粕穀物から放出させ、より高いタンパク質収率及びより低い窒素(又はタンパク質)含有率を有する粗繊維組成物をもたらすことが可能となる。
【0211】
図2は、穀物2がまず回転ふるい20における予洗を受け、その後、プレス21における事前プレスを受けた後、ハンマーミル3へと送られ、図1の実施形態のようにさらに処理されて残留タンパク質の繊維を取り除く、第1の変形装置の流れ図19を模式的に示す。この第1の変形装置では、第1の回転スクリーン20における予洗からの洗浄水22及び第1のプレス21からのプレス水23をミキサー11へと送り、ここで、図1の実施形態のようにタンパク質含有水を合わせた後、液体サイクロン13中でさらに分画する。
【0212】
図3は、第2の変形装置の流れ図24を模式的に示し、穀物2を図2に記載のように処理するが、ここでは、液体サイクロン13とデカンターユニット16の間のサイクロンフィルター25における追加の濾過ステップを有する。
【0213】
図4は、第3の変形装置の流れ図29を模式的に示し、穀物2を図3に記載のように処理するが、ここでは、酵素的プロセスを用いた、反応器31における繊維画分30の別々の後処理が続く。
【0214】
図3のプロセスの第2のプレス9から来る繊維画分30をここで別々の反応器31に送り、ここで、この画分を、セルラーゼ及びキシラナーゼ酵素と共に、好ましくはpH<6及び30~60℃の温度でインキュベートする。至適条件下でのインキュベーションの後、図3の第2の変形装置のように残りの繊維を洗浄し、プレスし、図3のように、ただし、回転乾燥機5’、プレス9’、混合容器11’、液体サイクロン13’、サイクロンフィルター25’、及びデカンターユニット16’を用いた別々の装置で、さらに加工もする。
【0215】
生じる繊維画分28’は、50g/kg未満の乾物の残留タンパク質含有率を有する。穀物からさらに回収されたタンパク質をプレス水及び洗浄水として使用し、同じタンパク質産物28’へと加工する。
【0216】
図5は、第4の変形装置の流れ図32を模式的に示し、穀物2を図3に記載のように処理するが、ここでは、化学的プロセスを用いた、反応器における組み込まれた後処理による閉サイクルが続く。
【0217】
図3のプロセスの第2のプレス9から来る繊維画分30をここで別々の反応器31に送り、ここで、アルカリ性の塩を用いてこの画分をpH9~好ましくはpH10.5にし、温度を20~100℃にする。好ましくは、温度をより高くして、反応時間を短縮させる。
【0218】
化学反応の完了後、図3のプロセスに示すように、残りの繊維画分を洗浄し、プレスし、混合容器11、液体サイクロン13、サイクロンフィルター25、及びデカンターユニット16を有する1つの既に存在するループへと送り、追加の回収されたタンパク質28を穀物から生成する。
【0219】
本発明の方法及び本発明による変形方法は単純であり、固形繊維画分を水性タンパク質含有画分から分離することによって、ビールを生成した後の残りの穀物を連続的又は半連続的なプロセスで加工することを可能にし、ここで、化学薬品は加えない又は非常にわずかしか加えず、2つの画分の分離は排他的に又は主に機械的手段によって達成され、天然の高品質タンパク質濃縮物及び低窒素繊維の単離がもたらされる。
【0220】
さらに本発明によれば、微細繊維組成物及び/若しくは粗繊維組成物並びに/又はタンパク質含有組成物を使用して、前述の組成物のうちの2つ以上を含む混合物を調製することができる。
【0221】
特定の混合物中のこれらの組成物の比率は、顧客の希望及び/又はそれを加工する最終産物に応じて調節することができる。
【0222】
本発明による、微細繊維組成物や粗繊維組成物及びタンパク質含有組成物、並びにこれらの組成物のうちの2つ以上の混合物は、多種多様な応用において使用することができる。
【0223】
本発明は、食品応用、塗料、建築の応用、紙及び紙製品、織物、たとえば繊維処理、革の潤滑、在宅ケア組成物、柔軟剤、洗濯の応用における織物のケア、保健医療の応用、剥離剤、水系コーティング、パーソナルケア又は化粧品の応用、乳濁液重合、床材、自動車部品、窓枠、台所カウンター、容器閉じ具、ランチボックス、閉じ具、医療装置、家庭用用品、食品容器、食器洗い機、屋外家具、吹込み成形ボトル、使い捨ての不織布、ケーブル及びワイヤー、パッケージング、コイル被覆の応用、缶コーティング、自動車補修塗料、採鉱、採油、燃料添加剤、並びに自動車の応用における、前述の組成物のうちの1つ若しくは複数及び/又はその混合物の使用に関する。
【0224】
これらの使用のそれぞれは別々に検討され、明確にかつ個々に開示されることを意図する。
【実施例
【0225】
本発明を、以下の実施例においてさらに実証する。
【0226】
実施例1:タンパク質含有組成物、粗繊維組成物、及び微細繊維組成物を得るための方法
水を2トンのビール粕穀物(BSG)(23.6重量%の乾物)に加え、5重量%のビール粕穀物を有する懸濁液が得られる。懸濁液を50℃の温度にし、2mmのメッシュサイズを有するふるいを有するハンマーミルで粉砕する。ミリングした懸濁液を、150μmのメッシュサイズを有する回転ふるいに50℃の温度で通過させる。スクリーニングステップ中に水を加えて、繊維画分を洗浄する。タンパク質に富んだ水流を収集する。その後、繊維に富んだ画分を、ねじプレスに50℃の温度で通過させて、水を繊維から除去する。45wt%の乾物を有する繊維に富んだ画分が得られる。
【0227】
ねじプレスから得られる水流を、以前に得られたタンパク質に富んだ水流(タンパク質に富んだ画分)と合せる。このタンパク質に富んだ画分を、100μmのメッシュサイズを有するサイクロンフィルターに50℃の温度で通過させて、タンパク質に富んだ濃縮水から分離し、このようにして、タンパク質画分中の繊維の量を低下させる。タンパク質に富んだ画分を傾瀉し、微細繊維画分から分離する。タンパク質に富んだ画分を、ロータリーフラッシュ乾燥機にて65℃の温度、8秒間の平均滞留時間で乾燥させる。微細繊維画分及び繊維画分も、ロータリーフラッシュ乾燥機にて65℃の温度、8秒間の平均滞留時間で別々に乾燥させる。
【0228】
乾燥画分の収率は、約300kgの粗繊維組成物、32kgの微細繊維組成物、及び137kgのタンパク質含有組成物である。
使用済みビール粕穀物
初期ビール粕穀物は52.8wt%の総食物繊維画を有しており、不溶性HMWDFは50.5wt%であり、可溶性HMWDFは2.3wt%である。これらの値は、標準方法AOAC 2011.25を使用して測定した。
【0229】
繊維画分は、559g/乾重量1kgのNDF値、209g/乾重量1kgのADF値、及び39g/乾重量1kgのADL値によってさらに特徴づけられる。変換すると、タンパク質画分は、17.0wt%のセルロース、35.0wt%のヘミセルロース、及び3.9wt%のリグニンを含む。ヘミセルロースとセルロースとの重量比は8.97であり、ヘミセルロースとリグニンとの重量比は23.0である。セルロース/リグニンの重量比は4.36である。
【0230】
ADF及びADL値は標準方法NEN-ISO 13906:2008に従って決定し、NDF値は標準方法NEN-ISO 16472:2006に従って決定した。
【0231】
ビール粕穀物は、28.9wt%のタンパク質、11wt%の脂肪、3.6wt%の粗製灰、及び5.7wt%の水をさらに含む。タンパク質/脂肪の重量比は2.73である。タンパク質含有組成物は13.6wt%の粗製繊維を含む。
【0232】
共焦点走査レーザー顕微鏡観察を使用して決定して、BSGは、澱粉細胞の総数に基づいて9%の空の澱粉細胞を含有していた。
【0233】
走査電子顕微鏡観察を使用して決定して、BSGは、澱粉細胞の総数に基づいて21.6%の破裂細胞を含有していた。評価した澱粉細胞の総数は1386個であった。BSG試料は、タンパク質で満たされた澱粉細胞及び遊離タンパク質をどちらも含有する。
タンパク質組成物
乾燥タンパク質画分は、23.1wt%の総食物繊維画を有しており、不溶性HMWDFは19.7wt%であり、可溶性HMWDFは3.4wt%である。これらの値は、ここでも標準方法AOAC 2011.25を使用して測定した。
【0234】
タンパク質含有組成物は繊維を含み、157g/乾重量1kgのNDF値、42g/乾重量1kgのADF値、及び5g/乾重量1kgのADL値によってさらに特徴づけられる。変換すると、タンパク質画分は、3.7wt%のセルロース、11.5wt%のヘミセルロース、及び0.5wt%のリグニンを含む。ヘミセルロースとセルロースとの重量比は3.11であり、ヘミセルロースとリグニンとの重量比は23.0である。セルロース/リグニンの重量比は7.40である。
【0235】
タンパク質画分は、55.3wt%のタンパク質、16wt%の脂肪、2.2wt%の粗製灰、及び2.8wt%の水をさらに含む。タンパク質/脂肪の重量比は3.46である。タンパク質含有組成物は1.6wt%の粗製繊維を含み、これは、BSGから得られる慣用のタンパク質画分と比較して非常に低い。さらに、タンパク質画分は10ppmのグルテンを含み、それによりこれがグルテンフリータンパク質産物となる。タンパク質含有組成物中の粒子のd90は61μmである。
【0236】
走査電子顕微鏡観察を使用して決定して、タンパク質含有組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて71.1%の破裂細胞を含有していた(以下の方法を参照)。評価した澱粉細胞の総数は38個であった(タンパク質含有組成物の20枚のSEM画像中)。タンパク質含有組成物は主に遊離タンパク質からなっていた。
微細繊維組成物
乾燥微細繊維組成物は、58.0wt%の総食物繊維画を有しており、不溶性HMWDFは56.3wt%であり、可溶性HMWDFは1.7wt%である。これらの値も標準方法AOAC 2011.25を用いて測定した。
【0237】
微細繊維画分は、654g/乾重量1kgのNDF値、204g/乾重量1kgのADF値、及び46g/乾重量1kgのADL値によってさらに特徴づけられる。変換すると、タンパク質画分は、15.8wt%のセルロース、45.0wt%のヘミセルロース、及び4.6wt%のリグニンを含む。ヘミセルロースとセルロースとの重量比は2.85であり、ヘミセルロースとリグニンとの重量比は9.78である。セルロース/リグニンの重量比は3.43である。
【0238】
微細繊維画分は、28.8wt%のタンパク質、10wt%の脂肪、2.1wt%の粗製灰、及び5.7wt%の水をさらに含む。タンパク質/脂肪の重量比は2.88である。タンパク質含有組成物は14.4wt%の粗製繊維を含む。微細繊維組成物中の粒子のd90は35μmである。
粗繊維組成物
乾燥粗繊維組成物は、78.0wt%の総食物繊維画を有しており、不溶性HMWDFは77.1wt%であり、可溶性HMWDFは0.9wt%である。
【0239】
これらの値は、標準方法AOAC 2011.25を使用して測定した。
【0240】
粗繊維画分は、814g/乾重量1kgのNDF値、305g/乾重量1kgのADF値、及び54g/乾重量1kgのADL値によってさらに特徴づけられる。変換すると、タンパク質画分は、25.1wt%のセルロース、50.9wt%のヘミセルロース、及び5.4wt%のリグニンを含む。ヘミセルロースとセルロースとの重量比は2.03であり、ヘミセルロースとリグニンとの重量比は9.43である。セルロース/リグニンの重量比は4.65である。
【0241】
繊維画分は、13.1wt%のタンパク質、7.6wt%の脂肪、3.2wt%の粗製灰、及び2.4wt%の水をさらに含む。タンパク質/脂肪の重量比は1.72である。タンパク質含有組成物は25.4wt%の粗製繊維を含む。粗繊維組成物中の粒子のd90は400μmである。
【0242】
共焦点走査レーザー顕微鏡観察を使用して決定して、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて43%の空の澱粉細胞を含有していた。遊離タンパク質は検出されなかった。
【0243】
走査電子顕微鏡観察を使用して決定して、粗繊維組成物は、澱粉細胞の総数に基づいて56.8%の破裂細胞を含有していた(以下の方法を参照)。評価した澱粉細胞の総数は2553個であった。遊離タンパク質は検出されなかった。
走査電子顕微鏡観察
処理を行った又は行っていない試料を、溶融プロパン中で低温固定し、液体窒素中で保管した。低温固定した試料を、低温超ミクロトーム(EMFCSを備えたライカウルトラカットUCT(Leica Ultracut UCT)、Leica Microsystems社)を使用して、まずガラスナイフを使用し、その後、ダイアモンドナイフで仕上げて、低温プレーニングした。残りのブロック表面を、霜が消失するまで-80℃で昇華させ、白金を用いて-125℃でスパッタコーティングした。低温プレーニングした表面を低温走査電子顕微鏡(ガタンアルト2500(Gatan Alto 2500)低温調製システムを備えた低温SEM Jeol 6490LA)において分析した。
【0244】
それぞれの試料から十分な数の画像を獲得した(>20枚の画像/試料、少なくとも200~500個の澱粉細胞が得られる)。以下の特長を計数した:閉じた細胞壁によって取り囲まれる細胞、乾物が充填されたか乾物が充填されていないかのどちらかを含有する場合で別々に計数、閉じた細胞壁によって完全に取り囲まれていない細胞についても同じことを行った。かつての澱粉細胞内容物として認識された遊離粒子も計数した。
【0245】
それぞれの個々の画像の加工は、イメージJ(ImageJ)オープンソースソフトウェアの公式配布であるフィジ(Fiji)を使用して行った。手短に述べると、自動粒子測定(この場合、細胞質タンパク質として定義される)を予備セグメンテーションの後に開始した。特定の閾値レベルを定義することによって、粒子を背景から識別した。次に、セグメント化した画像に対して測定を行った。手短に述べると、粒子の総数、個々の粒子の面積、粒子の総面積、及び背景と比較した粒子の総面積の百分率を測定した。
共焦点走査レーザー顕微鏡観察
試料を1滴の1%(w/v)のグルタルアルデヒドで濡らした。試料ペーストの小片を1%の寒天中に包埋し、0.1Mのリン酸緩衝剤、pH7.0中に1%のグルタルアルデヒド中で固定し、グレードエタノールシリーズ中で脱水し、製造者(Kulzer GmbH社、ドイツWehrheim)によって推奨されるように、Technovit 7100中に包埋した。回転ミクロトームにおいて、ガラスナイフを使用して、固定した試料を切片化し(2μmの切片)。材料の自己蛍光を使用して、共焦点レーザー走査顕微鏡(ライカSP5(Leica SP5)、Leica Mikrosysteme Vertrieb GmbH社、ドイツWetzlar)を使用して、顕微鏡検査を行った。以下の設定を適用した:励起波長:405nm、458nm、及び561nm、発光検出:412~456nm(シアンチャネル)、467~554nm(緑色チャネル)、及び575~790nm(赤色チャネル)。チャネルを合併させてRGB画像を作成した。
【0246】
実施例2:パスタ
以下の組成(g/100g)を有する前述の実施例1からの粗繊維組成物及びタンパク質含有組成物を含むパスタのストランドの生成用:
乾燥混合物:
実施例1の粗繊維組成物 30.0
セモリナフラワー 68.0
グルテン粉末 2.0
液体混合物:
全卵 26.7
水 32.5
パスタの調製:
乾燥成分を混合する
液体成分を混合する
乾燥成分を押出し形成機に入れる
押出し形成機を混練位置にする
液体成分をゆっくりと加える
5分間混ぜる
押出し形成機を押出し形成位置にする
パスタを所望の長さに切断する
パスタを水中で5分間、1:10の比(パスタ:水)でゆでる
【0247】
分析
様々な組成物を比較するために、Stable microsystems社のテキスチャー分析器を使用して硬度及び粘性を比較した。強度には、5本のパスタをパースペックス(perspex)ナイフ刃で切断した(試験を5回繰り返した)。粘性を決定するために、パスタ粘性リグを使用し、毎回5本のパスタを使用した(試験を5回繰り返した)。
【0248】
試験はすべて調理したパスタを使用し、調理液体を流した5分後に行った。
【0249】
実施例1の粗繊維組成物で作ったパスは良好な強度を有しており、簡単に切れず、許容される粘性を有する。ここでは、パスタは、腸内マイクロバイオータに肯定的なことがある、より多くの粗繊維を有する。
【0250】
実施例1の粗繊維組成物の代わりに実施例1のタンパク質含有組成物を使用して、同じパスタを作った。これからも良好なパスタを作ることができ、このパスタは、繊維画分で作ったパスタよりも高い硬度及び低い粘性を有する。さらに、これらのパスタはより柔軟であり、さらに素早く切断されにくい。
【0251】
実施例3:黒パン
実施例1からのタンパク質含有組成物を含む黒パンを、以下の組成(g)で製造する:
実施例1のタンパク質含有組成物 250
オーキッド(Orchid)フラワー 1000
リンデン(Linden)小麦粉 1250
水 1950
酵母 62.5
NaCl 37.5
グルテン粉末 125.0
麦芽粉末 50.0
BV M Sonplus brown 75.0
プロピオン酸カルシウム 7.5
パンの調製:
使用した混練機:Diosna社、スパイラル混練機型。
【0252】
混練機中の乾燥成分を混合する:1分間、設定1。
【0253】
プロピオン酸カルシウムを水に溶かして加える。レベル2で5分間の混練の後に220gの水のみを加える。
混合:5分間、スピード1。(混練ストローク:102回/分)
混練:9.5分間、設定2。(混練ストローク:216回/分)
Bulk grey:36℃/85%の相対湿度の気候チャンバー中で10分間。
【0254】
秤量:4片の900gの生地、ゆるく膨らむ。
【0255】
Bulb rice:36℃/85%の相対湿度の気候チャンバー中で45分間。
【0256】
生地片を手で静かに脱気し、メイクアップ機で並べる。
【0257】
生地の片をグリースしたブレッドペア(bread pairs)に入れる。パンペアの寸法:27cmの長さ。
【0258】
Naris:36℃/85%の相対湿度の気候チャンバー中で60分間。
【0259】
焼成:挿入温度280℃、バーナー位置3。フード温度250℃及び床温度は240℃に設定。蒸気処理。
焼成時間:35分間
冷却:1.5時間
パッケージング:プラスチック中、周囲環境で保管。
【0260】
実施例1のタンパク質含有組成物を用いて作製したパンは、良好なテキスチャーを有しており、よく膨らんだ。パンは良好な柔らかさを有する。この実施例は、小麦粉の一部を実施例1のタンパク質含有組成物で置き換えることができることを示す。
【0261】
実施例4:クッキー
実施例1からの微細繊維組成物を含むビスケットを、以下の組成(g)で製造することができる:
実施例1の微細繊維組成物 11.78
Meneba Kingfisherフラワー 37.12
Meneba Linde全粒小麦粉 8
糖 14.15
水 7.2
マーガリンTrio pure Soft 17.35
NaCl 0.55
ベルコシン(Vercosine)70 DM 1.85
焼成粉末 0.4
ダイスレクチシン(lectithin) 0.4
炭酸水素ナトリウム 0.95
炭酸水素アンモニウム 0.25
ビスケットの調製:
グラニュー糖、ベルコシン、マーガリン、及び大豆レシチンを一緒に、1分間、バタフライ撹拌機を備えたホバート(Hobart)ミキサーの1つ目のスピードで混合する
焼成塩及び粉末を水に溶かし、ホバートに加える
1分間、1つ目の設定で混合する
小麦粉混合物を加え、1分間又はスピード1及びスピード2で30秒間混合する
生地を3mmの厚さまで延ばし、60mmの直径を有する円形状で切り出す
焼成:摂氏180度、17分間
冷却及び梱包
【0262】
実施例1の微細繊維組成物を用いて得られたビスケットは、軽くてフワフワな、砕けやすい構造を有する。クッキーは焼成中によく膨らむ。テキスチャー分析器を用いて測定(3点折り曲げ試験)により、このビスケットが、実施例1の微細繊維組成物を使用しない、匹敵する参照生成よりも、壊すためにより強い力を必要とすることが示される。本実施例4は、小麦粉を、ビスケット中で小麦粉によって部分的に(約25wt%)置き換えることができることを示しており、ビスケットは繊維がより富んでいる。
【0263】
本発明は、いかなる様式でも、例として記載し、図中に示した実施形態に限定されず、本発明による方法は、以下の特許請求の範囲中に定義した本発明の範囲から逸脱せずに、プロセスユニットを有するあらゆる種類の装置において実施することができる。
【0264】
たとえば、加工プロセスユニットの順序は、処理する穀物の種類に応じて以前と変えることができるが、同じプロセスユニットを常に通して実行させる。これには、繊維構造と、結合及び封入タンパク質の濃度と、ふるい、プレス、及びハンマーミルの立体配置との間の相関を使用する。
【0265】
実施例5:酵素的プロセス
30gの実施例1の粗繊維組成物に270gの水を加え、組合せを混合した。懸濁液を50℃の温度にした。続いて、0.3gの酵素を懸濁液に加え、24時間維持した。24時間のインキュベーション時間の後、懸濁液を200μmのスクリーンで篩過し、洗浄した。真空プレスを使用して水を繊維から除去した。ケダール方法を使用して繊維組成物中のタンパク質の量を決定し、以下に集計した。また、本実施例において使用した酵素の種類も表中に示す。
【0266】
【表1】
【0267】
表1の結果から、様々な市販の酵素が、6wt%未満のレベル(その結果1wt%未満の窒素)までにさえ、総タンパク質含有率の低下をもたらすことを推定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】