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  • 特表-二次電池用改良型集電体 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】二次電池用改良型集電体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20241108BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/13
H01M4/525
H01M4/485
H01M4/58
H01M4/505
H01M4/60
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532721
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021134986
(87)【国際公開番号】W WO2023097594
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518234977
【氏名又は名称】ジーアールエスティー・インターナショナル・リミテッド
【住所又は居所原語表記】Flat 10,12/F Technology Park,18 On Lai Street,Shatin,New Territories,Hon Kong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホ、カン・ピウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、インカイ
(72)【発明者】
【氏名】フエン、プリシラ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017DD05
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017EE07
5H017HH01
5H017HH03
5H050AA12
5H050BA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA20
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050DA11
5H050EA23
(57)【要約】
本発明は、基板と、基板の片面または両面に塗布された導電層とを備える、二次電池のための改良型集電体を開示し、導電層は、導電材料料およびバインダ材料を備え、バインダ材料は共重合体を備える。また本明細書において、改良型集電体と電極層とを備える、二次電池のための電極も提供され、電極層は、導電層(複数も可)の表面上に位置する。本発明の改良型集電体を備える電極において、導電層の存在により、基板の腐食が抑制され、電極層と基板との間の界面抵抗が低減される。その結果、本明細書に開示される改良型集電体を用いて作製された電極を備える電池は、非常に優れた電気化学的性能を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板および前記基板の片面または両面に塗布された導電層を備え、前記導電層は導電材料およびバインダ材料を含み、前記バインダ材料は構造単位(a)を含む共重合体を含み、前記構造単位(a)は式(1);
【化1】

ここで、式(1)中のR、R,RおよびRのそれぞれは、独立してH、ヒドロキシ、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲンまたはハロゲン化アルキルである、を有する1つ以上のモノマ単位を含む二次電池用改良型集電体。
【請求項2】
前記共重合体は、構造単位(b)をさらに含み、前記構造単位(b)は式(2);
【化2】

ここで、式(2)中のR,R,RおよびRのそれぞれは、独立してH、アルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、ハロゲン又はハロゲン化アルキルである、を有する1つ以上のモノマ単位を含む請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項3】
前記共重合体中の前記構造単位(a)の比率は、前記共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、少なくとも90モル%である請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項4】
前記共重合体中の前記構造単位(a)の比率は、前記共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、約90モル%~約99.8モル%である請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項5】
前記共重合体中の前記構造単位(b)の比率は、前記共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、約0.1モル%~約10モル%である請求項2に記載の改良型集電体。
【請求項6】
前記共重合体中の前記構造単位(b)に対する前記構造単位(a)のモル比は、約9~約1000である請求項2に記載の改良型集電体。
【請求項7】
前記改良型コレクタは、約5μm~約70μmの厚さを有する請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項8】
前記基板は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、錫、バナジウム、亜鉛、カドミウム、またはそれらの合金、電気導電性樹脂、またはそれらの組み合せからなる群から選択される請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項9】
前記導電材料は、カーボン、カーボンブラック、黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、カーボンファイバ、カーボンナノファイバ、黒鉛化カーボンフレーク、カーボンチューブ、カーボンナノチューブ、活性カーボン、Super P、KS6、気相成長カーボンファイバ(VGCF)、メソポーラスカーボン、およびそれらの組み合せからなる群から選択される請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項10】
前記共重合体の重量平均分子量は、約10,000g/モル~約300,000g/モルである請求項2に記載の改良型集電体。
【請求項11】
前記導電層中の前記導電材料の比率は、前記導電層の総重量に基づいて、約25重量%~約75重量%である請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項12】
前記導電層中の前記共重合体の比率は、前記導電層の総重量に基づいて、約25重量%~約75重量%である請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項13】
前記ヒドロキシアルキルは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシ(メチル)プロピル、ヒドロキシ(メチル)ブチル、およびそれらの組み合せからなる群から選択される請求項1に記載の改良型集電体。
【請求項14】
前記アシルオキシアルキルは、アシルオキシメチル、アシルオキシエチル、アシルオキシプロピル、アシルオキシ(メチル)プロピル、アシルオキシ(メチル)ブチル、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項2に記載の改良型集電体。
【請求項15】
請求項1の改良型集電体と電極層とを備え、前記電極層は前記導電層の表面に位置し、かつ電極活物質および結着剤を含む電極。
【請求項16】
前記電極活物質は、LiCoO、LiNiO,LiNi1-x、LiNiMn,LiCoNi、Li1+zNiMnCo1-x-y,LiNiCoAl,LiV,LiTiS,LiMoS,LiMnO,LiCrO,LiMn,LiMnO,LiFeO,LiFePO、およびそれらの組合せからなる群から選択される正極活物質であり、各xは独立して0.1から0.9、各yは独立して0から0.9、各zは独立して0から0.4、かつMはCo,Mn,Al,Fe,Ti,Ga,Mg、およびそれらの組み合せからなる群から選択される請求項15に記載の電極。
【請求項17】
前記電極活物質は、NaC,NaFeO,NaNiO,NaCrO,NaVO,NaTiO、NaFePO、Na(PO、Na(PO,NMc型混合酸化物、プルシアンブルー型ナトリウム化合物、およびそれらの組み合せからなる群から選択される正極活物質である請求項15に記載の電極。
【請求項18】
前記電極活物質は、天然黒鉛粒子、合成黒鉛粒子、硬質カーボン、軟質カーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、錫粒子、SnO,SnO、LiTi12粒子、Si粒子、Si-C複合粒子、およびそれらの組合せからなる群から選択される負極活物質である請求項15に記載の電極。
【請求項19】
前記結着剤は、ハロゲン、O,N,Sまたはそれらの組合せを含有する1つ以上の官能基を含むポリマを含む請求項15に記載の電極。
【請求項20】
各官能基は、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、硫酸、硫酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、リン酸、リン酸塩、硝酸、硝酸塩、アミド、ヒドロキシル、ニトリル、エステル、エポキシ、―NH、およびそれらの組み合せからなる群から独立して選択される請求項19に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の分野に関する。特に、本発明は、二次電池の電池電極における改良型集電体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の電池の中で、特にリチウムイオン電池(LIB)は、優れたエネルギ密度、長期のサイクル寿命、および高い放電能力により、特に家電製品において過去数十年にわたり様々な用途に幅広く利用されるようになっている。電気自動車(EV)およびグリッドエネルギ貯蔵の急速な市場の発展により、高性能で低コストのLIBは、現在、大規模エネルギ貯蔵デバイスのための最も有望な選択肢の1つを提供している。しかし、現在のリチウムイオン電池技術には、特にリチウムイオン電池の電極に関して多くの問題が未だ存在している。
【0003】
一般に、リチウムイオン電池の電極は、集電体に有機ベースのスラリーをキャストすることによって製造される。スラリーは、有機溶媒中に電極活物質、導電性カーボン、およびバインダを含む。バインダは、良好な電気化学的安定性をもたらし、電極活物質を結び付け、電極の製造において集電体に付着させる。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、現在、商業用リチウムイオン電池産業において最も一般的に使用されるバインダの1つである。しかし、PVDFは水に溶けず、たとえば可燃性かつ毒性のあるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)など一部の特定の有機溶媒にしか溶解しないため、特定の取扱いを必要とする。
【0004】
NMP蒸気を回収するために、乾燥プロセス中にNMP回収システムを設置する必要がある。これは大規模な設備投資を必要とするため、製造プロセスに大きなコストを生む。本発明は、有機ベースのスラリーの欠点を前提として、たとえば水性溶媒(最も一般的には水)などのより安価で環境に優しい溶媒を利用する水性スラリーの使用が好適とされる。これらの水性溶媒は、NMPよりも大幅に安全かつ取扱いが容易で、回収システムの実装を必要としない。
【0005】
しかしながら、リチウムイオン電池の製造において、水性スラリーの使用には問題が伴う。特に、電極活物質は、水と反応し、集電体に不所望の影響を及ぼす場合がある。たとえばニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)などのニッケル含有正極活物質が使用される場合、それらは水と強く反応して塩基性溶液を形成するため、複雑な問題が特に顕著になる。その結果、ニッケルを含む水性スラリーを集電体にコーティングして正極が形成される場合、スラリーの塩基性が集電体を腐食させる可能性が高い。この問題により、ニッケル含有正極活物質の比容量が高いにもかかわらず、そのような活物質を水性電池製造に使用することが強く妨げられる。
【0006】
また、既存のリチウムイオン電池技術において、集電体に影響を及ぼす他の問題がいくつかある。典型的な電極は、集電体と、集電体の片面または両面に位置する電極層とを備え、電極層が集電体と接触する電極層-集電体界面が存在する。この界面は、電極層と集電体との間を移動する電子の電気抵抗源として作用する。電池における電極層と集電体との間の界面抵抗は、電池の全体内部抵抗に大きく寄与し、電池の電気化学的性能を不十分なものにする。
【0007】
前記問題がリチウムイオン電池に特有ではないことは注目に値する。たとえばナトリウムイオン電池などの他の種類の電池も、同様の問題に直面し得る。
【0008】
上述した問題の観点から、集電体にもたらされる損傷を緩和し、または電池電極における電極層と集電体との間の界面抵抗を小さくするための試みが行われてきた。
【0009】
US特許出願公開第20130295458A1号には、金属箔と、導電性粒子、結着剤、および有機酸を含む層とを備える集電体が開示され、この層は金属箔の片面または両面に設けられる。好適には、金属箔との優れた接着性および高いイオン透過性により、多糖類およびその誘導体が結着剤として使用される。有機酸は、結着剤に対する架橋剤となり、導電性粒子が金属箔により強固に付着することを可能にする。そのような構成により、前記集電体を備える電気化学素子の内部抵抗およびインピーダンスが低減され得ると考えられる。しかしながら、このシステムの欠点は、金属箔への導電性粒子の付着を促すために追加の架橋剤の必要があり、この機能を果たすには単純な結着剤の使用では不十分であるという点である。集電体の形成において金属箔と接触する際、架橋剤として有機酸が層内に含まれると、下にある金属箔の経時的な腐食を生じさせる可能性が高い。
【0010】
したがって、本発明の目的は、電池電極に使用される改良型集電体を提示することであり、改良型集電体は、従来の集電体の上記問題による影響を受けにくく、そのような電極を備える任意の電池の電気化学的性能を向上させることができる。
【発明の概要】
【0011】
上述した要望は、本明細書に開示される様々な態様および実施形態によって満たされる。1つの態様において、本明細書には、基板と、基板の片面または両面に塗布された導電層とを備える二次電池用改良型集電体が提供され、導電層は導電材料およびバインダ材料を含み、バインダ材料は構造単位(a)を含む共重合体を含み、構造単位(a)は式(1)
【0012】
【化1】

を有する1つ以上のモノマ単位を含み、式(1)中のR、R、R、およびRの各々は、独立して、H、ヒドロキシル、アルキル、またはヒドロキシアルキルである。
【0013】
いくつかの実施形態において、共重合体は、構造単位(b)をさらに備え、構造単位(b)は式(2)
【0014】
【化2】

を有する1つ以上のモノマ単位を含み、式(2)中のR、R、R、およびRの各々は、独立して、H、アルキル、アシルオキシ、またはアシルオキシアルキルである。
【0015】
別の態様において、本明細書には、改良型集電体と、導電層の表面上に位置する電極層とを備える電極が提供され、電極層は、電極活物質および結着剤を含む。
【0016】
本明細書に開示される本発明は、電池電極内の集電体に影響を及ぼす上記問題を解決する。第1に、改良型集電体の導電層は、基板と、電極層中のアルカリ電極活物質との間の物理的障壁として機能し得る。これは、電極内の導電性を損なうことなく、基板の腐食を防止する。
【0017】
第2に、改良型集電体の導電層中の導電材料は、電極層と改良型集電体自体との間の界面抵抗を低減し、電極の出力性能を向上させる。
【0018】
さらに、改良型集電体の導電層に水性電極スラリーを塗布して電極を形成する場合、導電層が電極スラリーに溶解して流体に戻るリスクが存在する。これにより、導電層の剥離がもたらされ得る。本明細書に開示される改良型集電体の導電層中のバインダ材料は、基板への優れた接着性を有することにより、電極の機械的強度を高め、そのような導電層の剥離を防止する。
【0019】
上述の利点の結果、本発明の改良型集電体を用いて製造された電極を備える電池は、非常に優れた電気化学的性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a図1aおよび図1bは、本明細書に開示される、電極内の改良型集電体の2つの異なる実施形態の簡略図を示す図である。
図1b図1aおよび図1bは、本明細書に開示される、電極内の改良型集電体の2つの異なる実施形態の簡略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1つの態様において、本明細書は電池用電極における改良型集電体が提供され、改良型集電体は基板と、基板の片面または両面に位置する導電層とを備える。導電層自体は、バインダ材料および導電材料を含み、バインダ材料は適切な共重合体を含む。導電層は、基板に導電性スラリーをコーティングすることによって製造することができ、導電性スラリーは導電材料、バインダ材料、および水性溶媒を含む。別の態様において、本明細書には改良型集電体と、改良型集電体の上に位置する電極層とを備える電極が提供され、電極層は、電極活物質および結着剤を含み、導電剤をさらに含んでもよい。電極層は、本発明の改良型集電体に電極スラリーをコーティングすることによって製造することができ、電極スラリーは、電極活物質、結着剤、および水性溶媒(および選択的に導電剤)を含む。
【0022】
「電極」という用語は、「正極」または「負極」を指す。
【0023】
「電極構成要素」という用語は、電極活物質、導電剤、および結着剤を含むが、これらに限定されず、電極の電極層中に存在する任意の物質を指す。
【0024】
「正極」という用語は、正極と相互置換的に使用される。同様に、「負極」という用語は、負極と相互置換的に使用される。
【0025】
「バインダ」、「バインダ材料」、または「結着剤」という用語は、材料(複数も可)を定位置に保持し、表面に付着させるために使用される化学化合物、化合物の混合物、またはポリマを指す。いくつかの実施形態において、バインダ材料は、導電材料を定位置に保持し、基板に付着させて改良型集電体を形成するために使用される化学化合物、化合物の混合物、またはポリマを指す。いくつかの実施形態において、結着剤は、電極材料および/または導電剤を定位置に保持し、改良型集電体に付着させて電極を形成するために使用される化学化合物、化合物の混合物、またはポリマを指す。いくつかの実施形態において、電極は、導電材料または導電剤を含まない。いくつかの実施形態において、バインダ材料および結着剤の各々は、たとえば水などの水性溶媒中で独立してコロイドを形成する。いくつかの実施形態において、バインダ材料および結着剤の各々は、たとえば水などの水性溶媒中で独立して溶液または分散系を形成する。
【0026】
「導電材料」または「導電剤」という用語は、良好な導電性を有する材料を指す。したがって、導電材料は、導電性を高めるために、改良型集電体の製造時に添加される場合が多い。いくつかの実施形態において、導電剤は、電極の導電性を高めるために、電極の形成時に電極活物質と混合される。いくつかの実施形態において、導電材料および導電剤の各々は、独立して化学的に活性である。いくつかの実施形態において、導電材料および導電剤の各々は、独立して化学的に不活性である。
【0027】
「ポリマ」という用語は、同じ種類か異なる種類かにかかわらずモノマを重合させることによって調製された化合物を指す。「ポリマ」という一般名称には、「単独重合体」または「共重合体」が包含される。
【0028】
「単独重合体」という用語は、同じ種類のモノマの重合によって調製されたポリマを指す。
【0029】
「共重合体」という用語は、2つ以上の異なる種類のモノマの重合によって調製されたポリマを指す。
【0030】
「水性溶媒」という用語は、主成分として水を含み、水に加えて1つ以上の副成分を含む溶液、または水のみからなる溶液を指す。
【0031】
スラリーに関して、「水性」という用語は、スラリーの溶媒が水性溶媒であることを意味する。電極または電池の製造モードに関して、「水性」という用語は、電極または電池の少なくとも1つの要素が全体的または部分的に水性スラリーを用いて形成されることを意味する。
【0032】
「不飽和」という用語は、1つ以上の不飽和単位を有する部分を指す。
【0033】
「アルキル」または「アルキル基」という用語は、飽和、非分岐、または分岐脂肪族炭化水素から水素原子を除去することで得られる一般式C2n+1を有する1価の基を指し、nは整数である。
【0034】
「シクロアルキル」または「シクロアルキル基」という用語は、単環または複数の縮合環を有する飽和または不飽和環状非芳香族炭化水素ラジカルを指す。シクロアルキル基の例は、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどのC-Cシクロアルキル基、および飽和環式および二環式テルペン、およびたとえばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルなどのC-Cシクロアルケニル基、および不飽和環式および二環式テルペンを含むが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、非置換であってよく、あるいは1または2個の適切な置換基によって置換され得る。さらに、シクロアルキル基は、単環式または多環式であってよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、少なくとも5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を含む。
【0035】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素の任意の炭素原子から水素原子を除去することで得られる1価の基を指す。同様に、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素の任意の炭素原子から水素原子を除去することで得られる1価の基を指す。さらに、「エニニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素の任意の炭素原子から水素原子を除去することで得られる1価の基を指す。アルケニル、アルキニル、またはエニニルの不飽和脂肪族炭化水素は、分岐または非分岐であってよい。
【0036】
「アルコキシ」という用語は、前述で定義したように、酸素原子を介して主炭素鎖に結合したアルキル基を指す。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどを含む。上記で定義したアルコキシは、置換または非置換であってよく、置換基は、重水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、メルカプト、ニトロなどであってよいが、これらに限定されない。
【0037】
「アルキレン」という用語は、分岐または非分岐飽和炭化水素から2個の水素原子を除去することで得られる飽和2価炭化水素基を指す。アルキレン基の例は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、イソプロピレン(-CH(CH)CH-)などを含む。アルキレン基は、任意選択的に、本明細書で説明される1つ以上の置換基で置換される。
【0038】
「アリール」または「アリール基」という用語は、単環式または多環式芳香族炭化水素から水素原子を除去することで得られる有機ラジカルを指す。アリール基の非限定的な例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トラニル、セキシフェニル、フェナントレニル、アントラセニル、コロネニル、およびトラニルフェニルを含む。アリール基は、非置換であってよく、あるいは1つ以上の適切な置換基で置換され得る。さらに、アリール基は、単環式または多環式であってよい。いくつかの実施形態において、アリール基は、少なくとも6、7、8、9、または10個の炭素原子を含む。
【0039】
「アルキルアミノ」という用語は、第1級または第2級アミンから水素原子を除去することで得られる基を指す。アルキルアミノは、「N-アルキルアミノ」および「N,N-ジアルキルアミノ」という用語を包含し、ここでアミノ基は、それぞれ1または2つのアルキル基で独立して置換される。アルキルアミノ基は、任意選択的に、本明細書で説明される1つ以上の置換基で置換される。
【0040】
「アルキルチオ」という用語は、2価硫黄原子に結合した分岐または非分岐アルキル基を含む基を指す。アルキルチオ基のいくつかの非限定的な例は、メチルチオ(CHS-)を含む。アルキルチオ基は、任意選択的に、本明細書で説明される1つ以上の置換基で置換される。
【0041】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、硫黄(S)、窒素(N)、リン(P)、またはケイ素(Si)の1つ以上を指し、窒素(N)、硫黄(S)、またはリン(P)の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、または置換可能な複素環窒素、たとえば(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおける)N、(ピロリジニルにおける)NH、または(N-置換ピロリジニルにおける)NRを含む。
【0042】
「カルボニル」という用語は、-(C=O)-を指す。
【0043】
「アシル」という用語は、-(C=O)-Zを指し、Zはアルキルである。
【0044】
「アシルオキシ」という用語は、-O-(C=O)-Zを指し、Zはアルキルである。
【0045】
「アシルオキシアルキル」という用語は、-Y-O-(C=O)-Zを指し、Zはアルキルであり、Yはアルキレンである。
【0046】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、-Y-O-Hを指し、Yはアルキレンである。したがって、ヒドロキシアルキルは、アルキレンに結合したヒドロキシルからなる。
【0047】
「アミド」という用語は、-NH(C=O)-Rを指す。
【0048】
「脂肪族」という用語は、非芳香族炭化水素またはそこから得られる基を指す。脂肪族化合物のいくつかの非限定的な例は、アルカン、アルケン、アルキン、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む。いくつかの実施形態において、「脂肪族」という用語は、C~C30アルキル基、C~C30アルケニル基、C~C30アルキニル基、C~C30アルキレン基、C~C30アルケニレン基、またはC~C30アルキニレン基を指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含む。
【0049】
「芳香族」という用語は、任意選択的にヘテロ原子または置換基を含む、芳香族炭化水素環を備える基を指す。そのような基の例は、フェニル、トリル、ビフェニル、o-ターフェニル、m-ターフェニル、p-ターフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、トリフェニレニル、およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0050】
「置換」という用語は、化合物または化学部分の少なくとも1つの水素原子が第2の化学部分で置き換えられた化合物または化学部分を説明するために使用される。置換基の例は、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、エニニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アルキルチオ、イミン、シアノ、アミド、ホスホナト、ホスフィナト、カルボキシル、チオカルボニル、スルホニル、スルホンアミド、アシル、ホルミル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、オキソ、ハロアルキル(たとえばトリフルオロメチル)、単環式または縮合または非縮合多環式であってよい炭素環式シクロアルキル(たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル)または単環式または縮合または非縮合多環式であってよいヘテロシクロアルキル(たとえばピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、またはチアジニル)、単環式または縮合または非縮合多環式であってよい炭素環式または複素環式アリール(たとえばフェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはベンゾフラニル)、アミノ、モノアルキルアミノ、およびジアルキルアミノ、o-低級アルキル、o-アリール、アリール、アリール-低級アルキル、-COCH、-CONH、-OCHCONH、-NH、-SONH、-OCHF、-CF、-OCF、-NH(アルキル)、-N(アルキル)、-NH(アリール)、-N(アルキル)(アリール)、-N(アリール)、-CHO、-CO(アルキル)、-CO(アリール)、-CO(アルキル)、および-CO(アリール)を含むが、これらに限定されず、そのような部分は、任意選択的に、たとえば-OCHO-などの縮合環構造またはブリッジによって置換され得る。これらの置換基は、任意選択的に、そのような基から選択された置換基でさらに置換され得る。本明細書に開示される全ての化学基は、特に指定されない限り、置換が可能である。
【0051】
「直鎖」という用語は、副鎖または環状構造を備えない有機化合物または有機質部分を指し、すなわち、有機化合物または有機質部分の炭素原子は全て単一の直線配列を形成する。直鎖化合物または部分は、置換または非置換であってよく、飽和または不飽和であってよい。
【0052】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0053】
「モノマ単位」という用語は、ポリマ構造に対して単一のモノマから得られる構成単位を指す。
【0054】
「構造単位」という用語は、ポリマ内の同じモノマ型から得られる合計モノマ単位を指す。
【0055】
「ホモジナイザ」という用語は、材料を均質化するため、すなわち材料を流体全体に均一に分散させるために使用され得る装置を指す。本明細書において均質化が開示される場合、任意の従来のホモジナイザが均質化プロセスに使用され得る。ホモジナイザのいくつかの非限定的な例は、攪拌ミキサ、遊星攪拌ミキサ、ブレンダ、および超音波処理器を含む。
【0056】
「遊星ミキサ」という用語は、容器と、容器内で遊星運動を行うブレードとを備える、均質な混合物を生成するために異なる材料を混合または攪拌するために使用され得る装置を指す。いくつかの実施形態において、遊星ミキサは、少なくとも1つの遊星ブレードと、少なくとも1つの高速分散ブレードとを備える。遊星ブレードおよび高速分散ブレードは、それぞれの軸で回転し、また容器の周囲を連続的に回転する。回転速度は、回転体が1分間に完了する回転数を指す毎分回転数(rpm)単位で表され得る。
【0057】
「超音波処理器」という用語は、試料内の粒子を攪拌するために超音波エネルギを印加することが可能な装置を指す。超音波処理器のいくつかの非限定的な例は、超音波バス、プローブ型超音波処理器、および超音波フローセルを含む。
【0058】
「塗布する」という用語は、物質を表面上に敷く、または塗り広げる行為を指す。
【0059】
「集電体」という用語は、二次電池の放電または充電中に電極に流れる電流を伝導することが可能な導電性基板を指す。集電体のいくつかの非限定的な例は、単一金属層または単一基板、およびたとえばカーボンブラックベースの導電層などの導電層が重ねられた単一金属層または単一基板を含む。いくつかの実施形態において、集電体は、電極層と接触していてよい。
【0060】
「改良型集電体」という用語は、基板の片面または両面に導電層が塗布された基板を指す。
【0061】
「電極層」という用語は、電気化学的活物質を含む層を指す。いくつかの実施形態において、電極層は集電体、改良型集電体、または基板と接触している。いくつかの実施形態において、電極層は集電体、改良型集電体、または基板にコーティングを塗布し、塗膜を乾燥させることによって作られる。いくつかの実施形態において、電極層は集電体または改良型集電体の表面上に位置する。他の実施形態において、3次元多孔質集電体または改良型集電体が電極層と共形にコーティングされる。
【0062】
「ドクターブレーディング」という用語は、剛性または可撓性の基板に大面積の膜を製造するためのプロセスを指す。コーティングの厚さは、コーティングブレードとコーティング表面との間の調整可能なギャップ幅によって制御可能であり、これにより可変の湿潤層厚さの堆積が可能になる。
【0063】
「室温」という用語は、約18℃~約30℃、たとえば18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30℃の室内温度を指す。いくつかの実施形態において、室温は、約20℃+/-1℃または+/-2℃または+/-3℃の温度を指す。他の実施形態において、室温は、約22℃~約25℃の温度を指す。
【0064】
「固形分」という用語は、蒸発後に残っている不揮発性材料の量を指す。
【0065】
「剥離強度」という用語は、たとえば集電体および電極層のように互いに接着された2つの材料を分離するために必要な力の大きさを指す。これは、そのような2つの材料間の結合強度の尺度であり、通常、N/cmで表される。
【0066】
「接着強度」という用語は、基板と基板に接着されたバインダ材料とを分離するために必要な力の大きさを指す。これは、そのような2つの材料間の接着強度の尺度であり、通常、N/cmで表される。
【0067】
「Cレート」という用語は、AhまたはmAhの総蓄電容量単位で表される、セルまたは電池の充電または放電率を指す。たとえば、1Cのレートは、1時間に貯蔵エネルギの全てを利用することを意味し、0.1Cは、1時間にエネルギの10%または10時間で全エネルギを利用することを意味し、5Cは、12分で全エネルギを利用することを意味する。
【0068】
「アンペア時(Ah)」という用語は、電池の蓄電容量を明示する際に使用される単位を指す。たとえば、1Ah容量を有する電池は、1アンペアの電流を1時間または0.5Aの電流を2時間供給することができる。したがって、1アンペア時(Ah)は、3,600クーロンの電荷と同等である。同様に、「ミリアンペア時(mAh)」という用語も、電池の蓄電容量の単位を指し、1アンペア時の1/1,000である。
【0069】
「電池サイクル寿命」という用語は、電池の公称容量が初期定格容量の80%未満に低下するまでに電池が実施可能な充電/放電サイクル全体の数を指す。
【0070】
「容量」という用語は、たとえば電池などの電気化学セルが保持することが可能な電荷の総量を指す、電気化学セルの特性である。容量は、通常、アンペア時単位で表される。「比容量」という用語は、たとえば電池などの電気化学セルの単位重量当たりの容量出力を指し、通常、Ah/kgまたはmAh/gで表される。
【0071】
以下の説明において、本明細書に開示される全ての数値は、それらに関連して「約」または「おおよそ」という言葉が使用されるかにかかわらず、近似値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または場合によっては10~20パーセント変動し得る。下限Rおよび上限Rを有する数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内にある任意の数値が明示的に開示される。特に、範囲内の数字R=R+k(R-R)が明示的に開示され、kは0パーセント~100パーセントの範囲の変数である。さらに、上記で定義した2つのR数によって定義される任意の数値範囲も明示的に開示される。
【0072】
本明細書において、単数形への言及は全て複数形への言及を含み、逆も同様である。本明細書において、文脈上可能であれば、「水性溶媒」への言及は具体的に水を指す場合もある。
【0073】
電池電極は、一般に、集電体と、集電体の片面または両面に位置する電極層とを備える。典型的には、電極は電極活物質および結着剤を溶媒中に分散させて電極スラリーを形成し、その後、集電体に電極スラリーをコーティングし、乾燥させて電極層を形成することによって作製される。上記電極スラリー(およびその結果得られる電極層)は、導電性カーボンをさらに含んでもよい。電極層中に存在する構成要素にかかわらず、電極の電極層と集電体との間の不連続性は、電極層と集電体との間に大きな界面抵抗が存在することを意味する。そのような電極を備える電池は、そのような界面抵抗の結果、最適未満の電気化学的性能を有することになる。
【0074】
電池の中で、リチウムイオン電池は、最も幅広く研究および使用されているものの1つである。リチウムイオン電池のための一般的な電極スラリー組成は、結着剤としてのPVDFおよび溶媒としてのNMPを含むが、NMPの使用は回収システムに関連する追加のコストがかかることに加えて、環境、健康、および安全上の大きなリスクを示す。したがって、たとえば水などの水性溶媒を含む水性電極スラリーが代替案として提案されている。そのような電極スラリーを用いて製造された電極を備えるリチウムイオン電池は、環境、健康、および安全上のリスクが低減される。
【0075】
しかしながら、たとえばNMCなどのニッケル含有正極活物質を含む水性スラリーを用いて製造された正極は、そのようなスラリーの塩基性が高いために、集電体の腐食が特に顕著である。
【0076】
上述した問題を解決するために、本発明の発明者は、基板と、基板の片面または両面に位置する導電層とを備える、新規の改良型集電体の使用を提案している。電池電極において、本明細書に開示される改良型集電体の導電層は、電極層と改良型集電体との間の界面抵抗を低減し、基板と電極層との間の物理的障壁として機能することにより、基板の腐食傾向を緩和するために役立つ。また、本発明の導電層は、水性電極スラリーが導電層の上に塗布された場合に流体に戻らないという強みを有する。
【0077】
本明細書で説明される改良型集電体は、基板の片面または両面に導電層が塗布された基板を指し、導電層は導電材料およびバインダ材料を含む。図1aは、電極100における、10で表される本発明の改良型集電体の実施形態の簡略図を示す。改良型集電体10は、基板101の片面に導電層102が塗布された基板101を備える。電池電極の製造において、電極層20は、導電層102の表面に位置してよい。
【0078】
図1bは、電極110における、11によって表される本発明の改良型集電体の別の実施形態の簡略図を示す。改良型集電体11は、基板111の両面に導電層112aおよび112bが塗布された基板111を備える。電池電極の製造プロセスにおいて、電極層21aおよび21bは、それぞれ導電層112aおよび112bの表面に塗布され得る。
【0079】
電池システムに適用された場合、本発明の改良型集電体内の基板は、特に、正極活物質の電気化学反応によって生じる電子を収集するため、または電気化学反応に必要な電子を供給するために機能する。
【0080】
いくつかの実施形態において、基板は、ホイル、シート、フィルム、または3次元網構造を有する多孔質体の形状であってよい。いくつかの実施形態において、基板は、ポリマまたは金属材料または金属化ポリマで作られ得る。いくつかの実施形態において、基板は共形カーボン層で被覆される。いくつかの実施形態において、基板は単一の材料で作られる。他の実施形態において、基板は複数の材料で作られる。
【0081】
いくつかの実施形態において、基板は金属である。いくつかの実施形態において、基板は、単層構造を有する。いくつかの実施形態において、基板は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、それらの合金、導電性樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0082】
特定の実施形態において、基板は外側層および内側層を備える2層構造を有し、外側層は導電性添加剤を含み、内側層は絶縁材料または別の導電性添加剤を含み、たとえば、導電性樹脂層を備えるアルミニウムまたはアルミニウム層でコーティングされたポリマ絶縁材料である。いくつかの実施形態において、導電性添加剤は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、それらの合金、導電性樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態において、基板は、外側層、中間層、および内側層を備える3層構造を有し、外側層および内側層は導電性添加剤を含み、中間層は絶縁材料または別の導電性添加剤を含み、たとえば両面に金属フィルムがコーティングされたプラスチックである。特定の実施形態において、外側層、中間層、および内側層の各々は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、金、銀、クロム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、カドミウム、それらの合金、導電性樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。
【0084】
いくつかの実施形態において、絶縁材料は、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポエリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリ(ビニルエステル)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたポリマ材料である。特定の実施形態において、基板は、3より多い数の層を有する。
【0085】
いくつかの実施形態において、導電層は導電材料およびバインダ材料を含む。特定の実施形態において、導電層は、界面活性剤または分散剤をさらに含む。
【0086】
本発明の改良型集電体および電極層を備える電池電極において、改良型集電体の導電層中の導電材料は、電極層と改良型集電体の基板との間を移動する電子のための導電性経路を提供する。これにより、電極層と改良型集電体との間、すなわち電極層-改良型集電体界面の界面抵抗が著しく低減される。
【0087】
いくつかの実施形態において、導電層中の導電材料は天然グラファイト微粒子、合成グラファイト微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、カーボンブラック、グラファイト、膨張グラファイト、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、カーボンファイバ、カーボンナノファイバ、黒鉛化カーボンフレーク、カーボンチューブ、カーボンナノチューブ、活性炭、Super P、KS6、気相成長カーボンファイバ(VGCF)、メソポーラスカーボン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
本発明の改良型集電体および電極層を備える電池電極において、改良型集電体の導電層中のバインダ材料は、導電層中の構成要素を互いに、かつ基板との接着に提供される。
【0089】
いくつかの実施形態において、導電層中のバインダ材料は共重合体を含む。いくつかの実施形態において、共重合体は構造単位(a)および構造単位(b)を含む。いくつかの実施形態において、構造単位(a)は共重合体の親水性部分を構成する。いくつかの実施形態において、構造単位(b)は共重合体の疎水性部分を構成する。
【0090】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合体における構造単位(a)は、式(1)
【0091】
【化3】

を有する1つ以上のモノマ単位(複数も可)を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、式(1)中のR、R、R、およびRは、独立して、H、ヒドロキシル、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルである。特定の実施形態において、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、R、およびRの少なくとも2つは同じである。他の実施形態において、R、R、R、およびRの各々は互いに異なる。
【0093】
いくつかの実施形態において、アルキル基は、一般式C2n+1を有し、nは1~40、1~20、または1~8の整数である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、C~C40アルキル基、C~C30アルキル基、C~C20アルキル基、C~C10アルキル基、C~C40アルキル基、C~C30アルキル基、C~C20アルキル基、C~C10アルキル基、C10~C40アルキル基、C10~C30アルキル基、およびC10~C20アルキル基からなる群から選択され得る。
【0094】
アルキル基の例は、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルなどのC~Cアルキル基を含むが、これらに限定されない。より長いアルキル基は、ノニル基およびデシル基を含む。アルキル基は、非置換であってよく、あるいは1つ以上の適切な置換基で置換され得る。さらに、アルキル基は、分岐または非分岐であってよい。いくつかの実施形態において、アルキル基は、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシアルキル基は、C~C40ヒドロキシアルキル基、C~C30ヒドロキシアルキル基、C~C20ヒドロキシアルキル基、C~C10ヒドロキシアルキル基、C~C40ヒドロキシアルキル基、C~C30ヒドロキシアルキル基、C~C20ヒドロキシアルキル基、C~C10ヒドロキシアルキル基、C10~C40ヒドロキシアルキル基、C10~C30ヒドロキシアルキル基、C10~C20ヒドロキシアルキル基からなる群から選択され得る。
【0096】
ヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシメチルプロピル、ヒドロキシブチル、およびヒドロキシメチルブチル、ヒドロキシジメチルプロピル、ヒドロキシメチルペンチル、ヒドロキシジメチルブチル、ヒドロキシエチルブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシネオペンチル、ヒドロキシネオペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、およびヒドロキシオクチルを含むが、これらに限定されない。ヒドロキシアルキル基内のアルキル基は、分岐または非分岐であってよい。
【0097】
いくつかの実施形態において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0098】
ハロゲン化アルキルのいくつかの非限定的な例は、フッ化メチル、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチルアスタチド、フッ化エチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、エチルアスタチド、フッ化プロピル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、およびプロピルアスタチドを含む。
【0099】
一般に、構造単位(a)は親水性である。このため、構造単位(a)内のモノマ単位(複数も可)における式(1)のR、R、R、およびRの各々が長い炭化水素鎖を独立して含むことはない。構造単位(a)のモノマ単位(複数も可)内の長い炭化水素鎖(複数も可)の存在は、共重合体における構造単位(a)の親水性を損失させる。これにより、導電層の製造中にバインダ材料の全体分散に影響が及び、その結果、均質性に影響が及び得る。これは、基板-導電層界面にわたる接着性に一貫性のなさをもたらすだけでなく、電極層と基板との間の電子の移動を容易にするために開発された導電性ネットワークも著しく弱くなる可能性があり、電極層と改良型集電体との間の界面抵抗が増大する。いくつかの実施形態において、アルキル基およびヒドロキシアルキル基は、それぞれC~Cアルキル基およびC~Cヒドロキシアルキル基である。
【0100】
逆に、構造単位(a)内のモノマ単位(複数も可)における式(1)のR、R、R、およびRの各々は、独立してヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであることは望ましくない。過剰な量のヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルを含む構造単位(a)は、共重合体鎖内および異なる共重合体鎖間の両方で、ヒドロキシル基および/またはヒドロキシアルキル基間の過剰な水素結合相互作用をもたらし得る。その結果、導電層の製造時に、生成されるバインダ材料および導電性スラリー内の他の材料(複数も可)(たとえば導電材料)の凝集および不十分な分散が誘発される。いくつかの実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの3つ以下がヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルである。特定の実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの2つ以下がヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルである。特定の実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの1つのみがヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルである。他の実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの1つのみがヒドロキシルである。特定の実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの1つのみがヒドロキシルであり、式(1)のR、R、R、およびRの残りの3つが独立してアルキルまたはHである。さらなる実施形態において、式(1)のR、R、R、およびRの1つのみがヒドロキシルであり、式(1)のR、R、R、およびRの残りの3つが独立してHである。
【0101】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合体における構造単位(b)は、式(2)
【0102】
【化4】

を有する1つ以上のモノマ単位(複数も可)を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの各々は、独立して、H、アルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、ハロゲン、またはハロゲン化アルキルである。特定の実施形態において、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、アシルオキシまたはアシルオキシアルキルである。いくつかの実施形態において、R、R、R、およびRの少なくとも2つは同じである。他の実施形態において、R、R、R、およびRの各々は互いに異なる。
【0104】
アシルオキシ基は、-O-(C=O)-Zの構造を有し、Zはアルキル基を指す。
【0105】
アシルオキシアルキル基は、-Y-O-(C=O)-Zの構造を有し、Yはアルキレン基を指し、Zはアルキル基を指す。
【0106】
いくつかの実施形態において、アシルオキシ基またはアシルオキシアルキル基の各々におけるアルキル基(Z)は、独立して、C~C40アルキル基、C~C30アルキル基、C~C20アルキル基、C~C10アルキル基、C~C40アルキル基、C~C30アルキル基、C~C20アルキル基、C~C10アルキル基、C10~C40アルキル基、C10~C30アルキル基、C10~C20アルキル基からなる群から選択され得る。
【0107】
アシルオキシ基またはアシルオキシアルキル基の各々におけるアルキル基の例は、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルなどのC~Cアルキル基を含むが、これらに限定されない。より長いアルキル基は、ノニル基およびデシル基を含む。アルキル基は、非置換であってよく、あるいは1つ以上の適切な置換基で置換され得る。さらに、アルキル基は、分岐または非分岐であってよい。いくつかの実施形態において、アルキル基は、少なくとも2、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、アシルオキシアルキル基内のアルキレン基(Y)は、独立して、C~C40アルキレン基、C~C30アルキレン基、C~C20アルキレン基、C~C10アルキレン基、C~C40アルキレン基、C~C30アルキレン基、C~C20アルキレン基、C~C10アルキレン基、C10~C40アルキレン基、C10~C30アルキレン基、C10~C20アルキレン基からなる群から選択され得る。アシルオキシアルキル基内のアルキレン基は、分岐または非分岐であってよい。アシルオキシアルキル基内のアルキレン基の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、イコシレン、およびそれらの立体異性体を含むが、これらに限定されない。アシルオキシアルキル基のいくつかの非限定的な例は、アシルオキシメチル、アシルオキシエチル、アシルオキシプロピル、アシルオキシ(メチル)プロピル、およびアシルオキシ(メチル)ブチルを含む。
【0109】
構造単位(b)の疎水性にもかかわらず、構造単位(b)内のモノマ単位(複数も可)における式(2)のR、R、R、およびRの各々が独立して長い炭化水素鎖を備えることは望ましくない。構造単位(b)内のモノマ単位(複数も可)における過剰な長い炭化水素鎖は、導電性スラリー内での構造単位(b)と水性溶媒(たとえば水)との相互作用を不十分にし、共重合体鎖全体の凝集を促進する。また、異なる共重合体鎖間の巻付き運動が生じ、小型球状構造が形成される。その結果、そこから生成されたバインダ材料および導電性スラリー内の他の材料は、適切に分散することができない。いくつかの実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの3つ以下は、アルキル、アシルオキシ、またはアシルオキシアルキルである。特定の実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの2つ以下は、アルキル、アシルオキシ、またはアシルオキシアルキルである。特定の実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの1つのみがアシルオキシまたはアシルオキシアルキルである。他の実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの1つのみがアシルオキシである。特定の実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの1つのみがアセトキシであり、式(2)のR、R、R、およびRの残りの3つが独立してアルキルまたはHである。さらなる実施形態において、式(2)のR、R、R、およびRの1つのみがアセトキシであり、式(2)のR、R、R、およびRの残りの3つが独立してHである。
【0110】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(a)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、約90モル%~約100モル%、約91モル%~約100モル%、約92モル%~約100モル%、約93モル%~約100モル%、約94モル%~約100モル%、約95モル%~約100モル%、約96モル%~約100モル%、約90モル%~約99.8モル%、約91モル%~約99.8モル%、約92モル%~約99.8モル%、約93モル%~約99.8モル%、約94モル%~約99.8モル%、約95モル%~約99.8モル%、約96モル%~約99.8モル%、約90モル%~約99.5モル%、約91モル%~約99.5モル%、約92モル%~約99.5モル%、約93モル%~約99.5モル%、約94モル%~約99.5モル%、約95モル%~約99.5モル%、約96モル%~約99.5モル%、約90モル%~約99モル%、約91モル%~約99モル%、約92モル%~約99モル%、約93モル%~約99モル%、約94モル%~約99モル%、約95モル%~約99モル%、約90モル%~約98.5モル%、約91モル%~約98.5モル%、約92モル%~約98.5モル%、約93モル%~約98.5モル%、約94モル%~約98.5モル%、約95モル%~約98.5モル%、約90モル%~約98モル%、約91モル%~約98モル%、約92モル%~約98モル%、約93モル%~約98モル%、約94モル%~約98モル%、または約95モル%~約98モル%である。
【0111】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(a)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、100モル%未満、99.9モル%未満、99.8モル%未満、99.7モル%未満、99.6モル%未満、99.5モル%未満、99.4モル%未満、99.3モル%未満、99.2モル%未満、99.1モル%未満、99モル%未満、98.8モル%未満、98.5モル%未満、98モル%未満、97モル%未満、96モル%未満、95モル%未満、94モル%未満、93モル%未満、または92モル%未満である。いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(a)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、90モル%以上、91モル%以上、92モル%以上、93モル%以上、93.5モル%以上、94モル%以上、94.5モル%以上、95モル%以上、95.5モル%以上、96モル%以上、96.5モル%以上、97モル%以上、97.5モル%以上、または98モル%以上である。
【0112】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(b)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、約0.1モル%~約モル10%、約0.1モル%~約9モル%、約0.1モル%~約8モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.5モル%~約10モル%、約0.5モル%~約9モル%、約0.5モル%~約8モル%、約0.5モル%~約7モル%、約0.5モル%~約6モル%、約0.5モル%~約5モル%、約0.5モル%~約4モル%、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約9モル%、約1モル%~約8モル%、約1モル%~約7モル%、約1モル%~約6モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約4モル%、約1.5モル%~約10モル%、約1.5モル%~約9モル%、約1.5モル%~約8モル%、約1.5モル%~約7モル%、約1.5モル%~約6モル%、約1.5モル%~約5モル%、約2モル%~約10モル%、約2モル%~約9モル%、約2モル%~約8モル%、約2モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%、または約2モル%~約5モル%である。
【0113】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(b)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、10モル%未満、9モル%未満、8モル%未満、7モル%未満、6モル%未満、5モル%未満、4.5モル%未満、4モル%未満、3.5モル%未満、3モル%未満、2.5モル%未満、または2モル%未満である。いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合における構造単位(b)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.4モル%以上、0.6モル%以上、0.8モル%以上、1モル%以上、1.2モル%以上、1.4モル%以上、1.6モル%以上、1.8モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、4モル%以上、5モル%以上、6モル%以上、7モル%以上、または8モル%以上である。
【0114】
バインダ材料内の共重合体における構造単位(a)と構造単位(b)との相対的な比率は、バインダ材料の機能性(すなわち接着強度、水性溶媒中の分散性、および水性溶媒中の再溶解に対する耐性)を左右する点で重要である。バインダ材料の共重合体における構造単位(a)と構造単位(b)とのモル比が、本明細書に開示される範囲内にある場合、バインダ材料は、非常に優れた接着強度を示すことが観察される。さらに、本発明で使用されるバインダ材料は、水性溶媒中に均質に分散することが可能であり、改良型集電体の製造において、そこから形成される導電性スラリーの優れた加工性を可能にする。最も重要な点として、バインダ材料は水性溶媒中の再溶解に対する高レベルの耐性を示す。これは特に、電極の形成において、バインダ材料含有導電層の表面に電極層スラリーが塗布される際に顕著である。本明細書に開示されるバインダ材料は、水性溶媒と接触しても流体に戻ることなく、導電層を基板に結合する接着能力を保持することが可能であることが観察される。これにより、基板と電極層との間に物理的障壁を形成する導電層が損なわれず基板上に維持され、基板の腐食の可能性を軽減するために役立つ。この導電層の存在により、電極層と改良型集電体との間の界面抵抗が低減され、電池の電気化学的性能が向上する。
【0115】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合体における構造単位(b)に対する構造単位(a)のモル比は、約9~約1000、約9~約900、約9~約800、約9~約700、約9~約700、約9~約600、約9~約500、約9~約400、約9~約300、約9~約200、約9~約150、約9~約100、約10~約1000、約10~約900、約10~約800、約10~約700、約10~約600、約10~約500、約10~約400、約10~約300、約10~約200、約10~約150、約10~約100、約12~約500、約12~約300、約12~約100、約14~約500、約14~約300、約14~約100、約16~約500、約16~約300、約16~約100、約18~約500、約18~約300、約18~約100である。
【0116】
いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合体における構造単位(b)に対する構造単位(a)のモル比は、1000未満、800未満、600未満、400未満、200未満、100未満、80未満、60未満、40未満、30未満、20未満、または15未満である。いくつかの実施形態において、バインダ材料の共重合体における構造単位(b)に対する構造単位(a)のモル比は、9超え、10超え、12超え、14超え、16超え、18超え、20超え、30超え、40超え、50超え、100超え、250超え、500超え、または700超え、である。
【0117】
いくつかの実施形態において、バインダ材料内の共重合体の重量平均分子量(M)は、約10,000g/モル~約300,000g/モル、約15,000g/モル~約300,000g/モル、約20,000g/モル~約300,000g/モル、約30,000g/モル~約300,000g/モル、約40,000g/モル~約300,000g/モル、約50,000g/モル~約300,000g/モル、約75,000g/モル~約300,000g/モル、約100,000g/モル~約300,000g/モル、約125,000g/モル~約300,000g/モル、約150,000g/モル~約300,000g/モル、約200,000g/モル~約300,000g/モル、約10,000g/モル~約200,000g/モル、約15,000g/モル~約200,000g/モル、約20,000g/モル~約200,000g/モル、約30,000g/モル~約200,000g/モル、約40,000g/モル~約200,000g/モル、約50,000g/モル~約200,000g/モル、約75,000g/モル~約200,000g/モル、約100,000g/モル~約200,000g/モル、約10,000g/モル~約150,000g/モル、約15,000g/モル~約150,000g/モル、約20,000g/モル~約150,000g/モル、約30,000g/モル~約150,000g/モル、約40,000g/モル~約150,000g/モル、約50,000g/モル~約150,000g/モル、約75,000g/モル~約150,000g/モル、または約100,000g/モル~約150,000g/モルである。
【0118】
いくつかの実施形態において、バインダ材料内の共重合体の重量平均分子量は、300,000g/モル未満、250,000g/モル未満、200,000g/モル未満、175,000g/モル未満、150,000g/モル未満、125,000g/モル未満、100,000g/モル未満、90,000g/モル未満、80,000g/モル未満、70,000g/モル未満、60,000g/モル未満、または50,000g/モル未満である。いくつかの実施形態において、バインダ材料内の共重合体の重量平均分子量は、10,000g/モル超え、15,000g/モル超え、20,000g/モル超え、25,000g/モル超え、30,000g/モル超え、35,000g/モル超え、40,000g/モル超え、50,000g/モル超え、60,000g/モル超え、70,000g/モル超え、80,000g/モル超え、100,000g/モル超え、または150,000g/モル超え、である。
【0119】
いくつかの実施形態において、20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、約5mPa・s~約80mPa・s、約8mPa・s~約80mPa・s、約10mPa・s~約80mPa・s、約15mPa・s~約80mPa・s、約20mPa・s~約80mPa・s、約25mPa・s~約80mPa・s、約30mPa・s~約80mPa・s、約35mPa・s~約80mPa・s、約40mPa・s~約80mPa・s、約5mPa・s~約50mPa・s、約8mPa・s~約50mPa・s、約10mPa・s~約50mPa・s、約15mPa・s~約50mPa・s、約20mPa・s~約50mPa・s、約25mPa・s~約50mPa・s、約30mPa・s~約50mPa・s、約5mPa・s~約30mPa・s、約10mPa・s~約30mPa・s、約15mPa・s~約30mPa・s、または約5mPa・s~約25mPa・sである。
【0120】
いくつかの実施形態において、20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、80mPa・s未満、70mPa・s未満、60mPa・s未満、50mPa・s未満、45mPa・s未満、40mPa・s未満、35mPa・s未満、30mPa・s未満、25mPa・s未満、20mPa・s未満、15mPa・s未満、10mPa・s未満、または8mPa・s未満である。いくつかの実施形態において、20℃のDI水中の濃度4%のバインダ材料の粘度は、5mPa・s超え、7mPa・s超え、10mPa・s超え、15mPa・s超え、20mPa・s超え、25mPa・s超え、30mPa・s超え、35mPa・s超え、40mPa・s超え、45mPa・s超え、50mPa・s超え、60mPa・s超え、または70mPa・s超え、である。
【0121】
本発明で使用されるバインダ材料は、強力な接着能力を示す。いくつかの実施形態において、バインダ材料と基板との間の接着強度は、約2N/cm~約8N/cm、約2N/cm~約7.5N/cm、約2N/cm~約7N/cm、約2N/cm~約6.5N/cm、約2N/cm~約6N/cm、約2N/cm~約6N/cm、約2N/cm~約5.5N/cm、約2N/cm~約5N/cm、約2N/cm~約4.5N/cm、約2N/cm~約4N/cm、約2N/cm~約3.8N/cm、約2N/cm~約3.6N/cm、約2N/cm~約3.4N/cm、約2N/cm~約3.2N/cm、約2N/cm~約3N/cm、約2.5N/cm~約8N/cm、約3N/cm~約8N/cm、約3.5N/cm~約8N/cm、約4N/cm~約8N/cm、約4.5N/cm~約8N/cm、約5N/cm~約8N/cm、約5.5N/cm~約8N/cm、約6N/cm~約8N/cm、約3N/cm~約7N/cm、約3N/cm~約6N/cm、約3N/cm~5.5N/cm、または約4N/cm~約6N/cmである。
【0122】
いくつかの実施形態において、バインダ材料と基板との間の接着強度は、8N/cm未満、7.5N/cm未満、7N/cm未満、6.5N/cm未満、6N/cm未満、5.5N/cm未満、5N/cm未満、4.5N/cm未満、4N/cm未満、3.8N/cm未満、3.6N/cm未満、3.4N/cm未満、3.2N/cm未満、3N/cm未満、2.8N/cm未満、または2.6N/cm未満である。いくつかの実施形態において、バインダ材料と基板との間の接着強度は、2N/cm超え、2.2N/cm超え、2.4N/cm超え、2.6N/cm超え、2.8N/cm超え、3N/cm超え、3.2N/cm超え、3.4N/cm超え、3.6N/cm超え、3.8N/cm超え、4N/cm超え、4.5N/cm超え、5N/cm超え、5.5N/cm超え、6N/cm超え、6.5N/cm超え、7N/cm超え、または7.5N/cm超え、である。
【0123】
改良型集電体の導電層中のバインダ材料および導電材料の各々の比率は、変形しない導電層構造を形成する際に導電層の有効性を左右し、基板の腐食傾向を軽減し、電極層と改良型集電体との間の界面抵抗を最小限にする点で最重要である。導電層中の導電性材料の量が不十分であると、電極層と基板との間の電子の効率的かつ効果的な移動を促進するのに不十分な被覆率で導電性ネットワークが形成され、界面抵抗が上昇する可能性がある。一方、導電層中のバインダ材料の量が不足すると、導電層全体を定位置に保持することが困難になり得る。導電層は、外部環境のわずかな変化(たとえば傷、圧力など)を受けると、内部の構成要素がばらばらになって容易に崩壊し得る。その結果、基板の腐食に関連する問題が持続する可能性がある。
【0124】
いくつかの実施形態において、改良型集電体の導電層中のバインダ材料および導電材料の各々の比率は、独立して、導電層の総重量に基づいて、約20重量%~約75重量%、約25重量%~約75重量%、約30重量%~約75重量%、約35重量%~約75重量%、約40重量%~約75重量%、約45重量%~約75重量%、約50重量%~約75重量%、約55重量%~約75重量%、約60重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約70重量%、約30重量%~約70重量%、約35重量%~約70重量%、約40重量%~約70重量%、約45重量%~約70重量%、約50重量%~約70重量%、約55重量%~約70重量%、約20重量%~約65重量%、約25重量%~約65重量%、約30重量%~約65重量%、約35重量%~約65重量%、約40重量%~約65重量%、約45重量%~約65重量%、約50重量%~約65重量%、約20重量%~約60重量%、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約60重量%、約35重量%~約60重量%、約40重量%~約60重量%、約45重量%~約60重量%、約20重量%~約55重量%、約25重量%~約55重量%、約30重量%~約55重量%、約35重量%~約55重量%、約40重量%~約55重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、約30重量%~約50重量%、または約35重量%~約50重量%である。
【0125】
いくつかの実施形態において、改良型集電体の導電層中のバインダ材料および導電材料の各々の比率は、独立して、導電層の総重量に基づいて、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、50重量%未満、45重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、または25重量%未満である。いくつかの実施形態において、改良型集電体の導電層中のバインダ材料および導電材料の各々の比率は、独立して、導電層の総重量に基づいて、20重量%超え、25重量%超え、30重量%超え、35重量%超え、40重量%超え、45重量%超え、50重量%超え、55重量%超え、60重量%超え、65重量%超え、または70重量%超え、である。
【0126】
特定の実施形態において、導電層は、界面活性剤または分散剤をさらに含む。これらの表面活性剤は、スラリー内の導電材料の分散性を向上させるために、導電性スラリーの製造中に添加され得る。導電性スラリー内で導電材料を分散させることが可能であり、かつ製造された導電層の全体性能に影響を及ぼさないものであるべきという点を除き、使用される界面活性剤または分散剤の種類に関して特に制限はない。他の実施形態において、導電層は、界面活性剤または分散剤を備えない。
【0127】
いくつかの実施形態において、導電層中の界面活性剤または分散剤の比率は、導電層の総重量に基づいて、約0重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%、約1.5重量%~約5重量%、約2重量%~約5重量%、約2.5重量%~約5重量%、約3重量%~約5重量%、約0重量%~約4重量%、約0.5重量%~約4重量%、約1重量%~約4重量%、約1.5重量%~約4重量%、約2重量%~約4重量%、約0重量%~約3重量%、約0.5重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約0重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2.5重量%、約1重量%~約2.5重量%、約1.5重量%~約2.5重量%、または約2重量%~約2.5重量%である。
【0128】
いくつかの実施形態において、導電層中の界面活性剤または分散剤の比率は、導電層の総重量に基づいて、5重量%未満、4.5重量%未満、4重量%未満、3.5重量%未満、3重量%未満、2.5重量%未満、2重量%未満、1.5重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満である。いくつかの実施形態において、導電層中の界面活性剤または分散剤の比率は、導電層の総重量に基づいて、0重量%超え、0.5重量%超え、1重量%超え、1.5重量%超え、2重量%超え、2.5重量%超え、3重量%超え、3.5重量%超え、4重量%超え、または4.5重量%超え、である。
【0129】
電極内の改良型集電体の厚さは、それが電池内で占める容積、電極層中の電極活物質が利用可能な空間、および電池の容量に影響を及ぼし得る。特定の実施形態において、改良型集電体は、約5μm~約70μm、約5μm~約60μm、約5μm~約50μm、約5μm~約40μm、約5μm~約30μm、約5μm~約20μm、約10μm~約70μm、約10μm~約60μm、約10μm~約50μm、約10μm~約40μm、約10μm~約30μm、約15μm~約70μm、約15μm~約60μm、約15μm~約50μm、約15μm~約40μm、約15μm~約30μm、約20μm~約70μm、約20μm~約60μm、約20μm~約50μm、約20μm~約40μm、約25μm~約70μm、約25μm~約60μm、約25μm~約50μm、約20μm~約40μm、約25μm~約70μm、約25μm~約60μm、約25μm~約50μm、または約25μm~約40μmの厚さを有する。
【0130】
いくつかの実施形態において、改良型集電体は、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、または10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、改良型集電体は、5μm超え、10μm超え、15μm超え、20μm超え、25μm超え、30μm超え、40μm超え、50μm超え、または60μm超えの厚さを有する。
【0131】
改良型集電体における基板の厚さは、それが改良型集電体および/または電極内で占める容積に影響を及ぼし得る。これは、導電層中の導電材料料およびバインダ材料、および/または電極層中の電極活物質のための利用可能な空間に影響を及ぼし得る。したがって、電池システムの導電性、導電層の基板への結合能力、ならびに電池の容量が影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態において、改良型集電体における基板は、約5μm~約50μm、約5μm~約45μm、約5μm~約40μm、約5μm~約35μm、約5μm~約30μm、約5μm~約25μm、約10μm~約50μm、約10μm~約45μm、約10μm~約40μm、約10μm~約35μm、約10μm~約30μm、約15μm~約50μm、約15μm~約45μm、約15μm~約40μm、約15μm~約35μm、約20μm~約50μm、約20μm~約45μm、または約20μm~約40μmの厚さを有する。
【0132】
いくつかの実施形態において、改良型集電体における基板は、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、または10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、改良型集電体における基板は、5μm超え、10μm超え、15μm超え、20μm超え、25μm超え、30μm超え、35μm超え、40μm超え、または45μm超えの厚さを有する。
【0133】
いくつかの実施形態において、改良型集電体における導電層は、約1μm~約20μm、約1μm~約16μm、約1μm~約12μm、約1μm~約10μm、約2μm~約20μm、約2μm~約16μm、約2μm~約12μm、約2μm~約10μm、約3μm~約20μm、約3μm~約16μm、約3μm~約12μm、約3μm~約10μm、約4μm~約20μm、約4μm~約16μm、約4μm~約12μm、または約4μm~約10μmの厚さを有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、改良型集電体における導電層は、20μm未満、18μm未満、16μm未満、14μm未満、12μm未満、10μm未満、8μm未満、6μm未満、または4μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、改良型集電体における導電層は、1μm超え、2μm超え、4μm超え、6μm超え、8μm超え、10μm超え、12μm超え、14μm超え、16μm超え、または18μm超えの厚さを有する。
【0135】
上述したように、いくつかの実施形態において、本発明の改良型集電体における導電層は、導電性スラリーを介して生成される。いくつかの実施形態において、導電性スラリーは、導電材料料、バインダ材料、および溶媒を備える。いくつかの実施形態において、バインダ材料は、上述したような共重合体を備える。いくつかの実施形態において、導電性スラリー中の溶媒は、水性溶媒である。
【0136】
特定の実施形態において、水性溶媒は水である。いくつかの実施形態において、水性溶媒は、水道水、ボトル詰めの水、精製水、純水、蒸留水、脱イオン水(DI水)、DO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0137】
いくつかの実施形態において、導電性スラリー中の水性溶媒は、水に加えてマイナー成分をさらに備える。いくつかの実施形態において、水とマイナー成分との体積比は、51:49~99:1である。水性溶媒のマイナー成分として、任意の水混和性または揮発性溶媒が使用され得る。マイナー成分のいくつかの非限定的な例は、アルコール、低級脂肪族ケトン、低級アルキルアセテート、およびそれらの組み合わせを含む。マイナー成分の添加により、導電性スラリーの加工性が向上し得る。
【0138】
アルコールのいくつかの非限定的な例は、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、およびそれらの組み合わせなどのC~Cアルコールを含む。低級脂肪族ケトンのいくつかの非限定的な例は、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびそれらの組み合わせを含む。低級アルキルアセテートのいくつかの非限定的な例は、酢酸エチル(EA)、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル(BA)、およびそれらの組み合わせを含む。水混和性溶媒または揮発性溶媒の他のいくつかの非限定的な例は、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ピリジン、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、γ-バレロラクトン(GVL)、フルフリルアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、ジエタノールアミン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジヒドロレボグルコセノン(Cyrene(登録商標))、N,N’-ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、およびジメチルイソソルビド(DMI)を含む。いくつかの実施形態において、マイナー成分は、導電性スラリーの水性溶媒中に存在しない。
【0139】
いくつかの実施形態において、導電性スラリーの固形分は、導電性スラリーの総重量に基づいて、約5重量%~約25重量%、約6重量%~約25重量%、約7重量%~約25重量%、約8重量%~約25重量%、約9重量%~約25重量%、約10重量%~約25重量%、約11重量%~約25重量%、約12重量%~約25重量%、約13重量%~約25重量%、約14重量%~約25重量%、約15重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約6重量%~約20重量%、約7重量%~約20重量%、約8重量%~約20重量%、約9重量%~約20重量%、約10重量%~約20重量%、約5重量%~約17重量%、約6重量%~約17重量%、約7重量%~約17重量%、約8重量%~約17重量%、約9重量%~約17重量%、約10重量%~約17重量%、約5重量%~約15重量%、約6重量%~約15重量%、約7重量%~約15重量%、約8重量%~約15重量%、約9重量%~約15重量%、または約10重量%~約15重量%である。
【0140】
いくつかの実施形態において、導電性スラリーの固形分は、導電性スラリーの総重量に基づいて、25重量%未満、23重量%未満、20重量%未満、19重量%未満、18重量%未満、17重量%未満、16重量%未満、15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、または6重量%未満である。いくつかの実施形態において、導電性スラリーの固形分は、導電性スラリーの総重量に基づいて、5重量%超え、6重量%超え、7重量%超え、8重量%超え、9重量%超え、10重量%超え、11重量%超え、12重量%超え、13重量%超え、14重量%超え、15重量%超え、16重量%超え、17重量%超え、18重量%超え、19重量%超え、20重量%超え、または22重量%超え、である。
【0141】
導電性スラリーを生成するために用いられる方法には、スラリーの全ての構成要素(たとえば導電材料料、バインダ材料、水性溶媒)が、均質なスラリーを形成するためにたとえばホモジナイザの使用によって均一に混合されるべきであることを除き、特に制限はない。いくつかの実施形態において、導電性スラリーの全ての構成要素は、単一のバッチでホモジナイザに加えられる。他の実施形態において、導電性スラリーの各構成要素は、1つ以上のバッチでホモジナイザに加えられてよく、各バッチは、1つ以上の構成要素を備えてよい。ただし、導電性スラリーが界面活性剤または分散剤を含む場合、界面活性剤または分散剤の作用によって導電材料料がスラリー中に良好に分散され得ることを確実にするために、界面活性剤または分散剤は、導電材料を加える前にホモジナイザに加えられることが好適である。
【0142】
本明細書において、粒子凝集を低減または除去し、導電性スラリーの様々な構成要素の均質な分散を促進することが可能な任意のホモジナイザが使用され得る。いくつかの実施形態において、ホモジナイザは、遊星攪拌ミキサ、攪拌ミキサ、ブレンダ、または超音波処理器である。攪拌速度および所要時間には、導電性スラリーが基板にコーティングされた場合にコーティングが均質であり得ることを確実にするために、水性溶媒中の導電材料料およびバインダ材料の良好な分散を可能にするのに十分であるべきことを除き、特に制限はない。
【0143】
また、導電性スラリーの均質化が発生する温度には、水性溶媒を沸騰させるほど高くないと同時に、スラリーが加工性に影響を及ぼすほど高い粘度でなく、バインダ材料がスラリーに容易に溶解し得ることを確実にするために十分高くなくてはならないことを除き、特に制限はない。いくつかの実施形態において、導電性スラリーの均質化は、約20℃~約95℃、約25℃~約95℃、約30℃~約95℃、約20℃~約75℃、約25℃~約75℃、約30℃~約75℃、約35℃~約75℃、約40℃~約75℃、約20℃~約60℃、約25℃~約60℃、約30℃~約60℃、約35℃~約60℃、約40℃~約60℃、約25℃~約50℃、または約30℃~約50℃の温度で起こる。
【0144】
いくつかの実施形態において、導電性スラリーの均質化は、95℃未満、85℃未満、75℃未満、65℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、35℃未満、30℃未満、または25℃未満の温度で発生する。いくつかの実施形態において、導電性スラリーの均質化は、20℃超え、25℃超え、30℃超え、35℃超え、40℃超え、45℃超え、50℃超え、55℃超え、60℃超え、65℃超え、70℃超え、または75℃超えの温度で起こる。
【0145】
いくつかの実施形態において、導電性スラリーの均質化の後、スラリーは、導電層膜を形成するために基板の片面または両面にコーティングされ得る。導電性スラリーのコーティングに用いられる装置および条件には、結果的に均質で平坦かつ平滑なコーティング層が形成されるべきであることを除き、特に制限はない。特定の実施形態において、コーティングプロセスは、ドクターブレードコータ、スロットダイコータ、転写コータ、スプレーコータ、ロールコータ、グラビアコータ、浸漬コータ、またはカーテンコータを用いて行われる。
【0146】
いくつかの実施形態において、導電性スラリーを基板にコーティングした後、コーティングは本発明の改良型集電体を形成するために乾燥される。本明細書において、結果として得られる導電層を基板に取り付けるためにコーティングを乾燥させることが可能な任意の装置が使用され得る。そのような乾燥装置のいくつかの非限定的な例は、バッチ乾燥オーブン、コンベア乾燥オーブン、およびマイクロ波乾燥オーブンを含む。
【0147】
乾燥のために用いられる条件には、乾燥条件が、導電層が基板に強力に接着することを確実にするのに十分であるべきことを除き、特に制限はない。ただし、100℃を超える温度で導電層を乾燥させると、結果として得られる改良型集電体の不所望の変形が生じ、そこから作製される任意の電極の性能に影響を及ぼす場合がある。乾燥温度は、水性溶媒が導電層から十分に除去されることを確実にするために、たとえば乾燥時間などの他の乾燥条件に対して最適化されるべきである。
【0148】
いくつかの実施形態において、改良型集電体は導電層の密度を高めるために、乾燥後に機械的に圧縮され、その後、改良型集電体上に電極層が形成されると、完成した電極が形成され得る。他の実施形態において、改良型集電体は圧縮されない。
【0149】
いくつかの実施形態において、基板上の導電性スラリーのコーティングおよび乾燥後、圧縮されるか、されないかにかかわらず、結果として得られる改良型集電体における導電層は、約0.1μm~約5.0μmの厚さを有する。導電層の厚さは、改良型集電体の総体積に影響を及ぼし、その結果、改良型集電体を備える電極によって占める総体積、および電極の電極層に必要な電極活物質の対応する量に影響を及ぼす。従って、電極を備える電池の容量に影響を及ぼす。
【0150】
特定の実施形態において、本発明の改良型集電体における導電層の厚さは、約0.1μm~約5.0μm、約0.1μm~約4.5μm、約0.1μm~約4μm、約0.1μm~約3.5μm、約0.1μm~約3μm、約0.1μm~約2.5μm、約0.1μm~約2μm、約0.5μm~約5.0μm、約0.5μm~約4.5μm、約1.0μm~約4.0μm、約1.0μm~約3.5μm、約1.0μm~約3.0μm、約1.0μm~約2.5μm、約1.0μm~約2.0μmである。いくつかの実施形態において、導電層の厚さは、5.0μm未満、4.5μm未満、4.0μm未満、3.5μm未満、3.0μm未満、2.5μm未満、2.0μm未満、1.5μm未満、1.0μm未満、0.5μm未満、または0.3μm未満である。いくつかの実施形態において、導電層の厚さは、0.1μm超え、0.2μm超え、0.5μm超え、1.0μm超え、1.2μm超え、1.5μm超え、1.8μm超え、2.0μm超え、2.5μm超え、3.0μm超え、3.5μm超え、または4.0μm超え、である。
【0151】
その後、電極は本発明の改良型集電体を用いて、改良型集電体上に電極層を形成することによって作製され得る。電極層の組成には特定の制限はなく、そのような電極が良好な電気化学的性能を実現することができれば、当技術分野において知られている任意の組成が本発明での使用に適している。そのような電極層の組成は、製造される電池の種類、ならびに電極層が電池の負極で使用されるか正極で使用されるかに依存する。いくつかの実施形態において、電池の種類は、一次電池または二次電池であってよい。電池の種類のいくつかの非限定的な例は、アルカリ電池、アルミニウム空気電池、リチウム電池、リチウム空気電池、マグネシウム電池、酸化銀電池、亜鉛空気電池、アルミニウムイオン電池、鉛酸電池、リチウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、カリウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム空気電池、シリコン空気電池、亜鉛イオン電池、およびナトリウム硫黄電池を含む。さらに、使用される電解質の状態(すなわち液体状態または固体状態)に依存して、電池は従来の電池(液体電解質が使用される場合)またはソリッドステート電池(固体電解質が使用される場合)に分類され得る。
【0152】
いくつかの実施形態において、電極層は、電極活物質および結着剤を備える。特定の実施形態において、電極層は導電剤をさらに含む。電極層中の電極活物質は、正極活物質または負極活物質であってもよい。電極層が正極活物質を含む場合、電極層は正極電極層である。電極層が負極活物質を含む場合、電極層は負極電極層である。
【0153】
いくつかの実施形態において、電極活物質は正極活物質である。いくつかの実施形態において、正極活物質は、LiCoO、LiNiO、LiNi1-x、LiNiMn、LiCoNi、Li1+zNiMnCo1-x-y、LiNiCoAl、LiV、LiTiS、LiMoS、LiMnO、LiCrO、LiMn、LiMnO、LiFeO、LiFePO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、各xは独立して0.1~0.9であり、各yは独立して0~0.9であり、各zは独立して0~0.4であり、Mは、Co、Mn、Al、Fe、Ti、Ga、Mg、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、前記一般式中の各xは、独立して、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、および0.9から選択され、前記一般式中の各yは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、および0.9から選択され、前記一般式中の各zは、独立して、0、0.025、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.225、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、および0.4から選択される。いくつかの実施形態において、前記一般式中の各x、y、およびzは、独立して、0.01間隔を有する。
【0154】
特定の実施形態において、正極活物質はLiNiMn、Li1+zNiMnCo1-x-y(NMC)、LiNiCoAl(NCA)、LiCoNi、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、各xは独立して0.4~0.6であり、各yは独立して0.2~0.4であり、各zは独立して0~0.1である。他の実施形態において、正極活物質はLiCoO、LiNiO、LiV、LiTiS、LiMoS、LiMnO、LiCrO、LiMn、LiFeO、またはLiFePOではない。さらなる実施形態において、正極活物質は、LiNiMn、Li1+zNiMnCo1-x-y、LiNiCoAl、またはLiCoNiではなく、各xは独立して0.1~0.9であり、各yは独立して0~0.45であり、各zは独立して0~0.2である。特定の実施形態において、正極活物質は、Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)であり、-0.2≦x≦0.2、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、およびa+b+c≦1である。いくつかの実施形態において、正極活物質は、一般式Li1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)を有し、0.33≦a≦0.92、0.33≦a≦0.9、0.33≦a≦0.8、0.4≦a≦0.92、0.4≦a≦0.9、0.4≦a≦0.8、0.5≦a≦0.92、0.5≦a≦0.9、0.5≦a≦0.8、0.6≦a≦0.92、または0.6≦a≦0.9、0≦b≦0.5、0≦b≦0.4、0≦b≦0.3、0≦b≦0.2、0.1≦b≦0.5、0.1≦b≦0.4、0.1≦b≦0.3、0.1≦b≦0.2、0.2≦b≦0.5、0.2≦b≦0.4、または0.2≦b≦0.3、0≦c≦0.5、0≦c≦0.4、0≦c≦0.3、0.1≦c≦0.5、0.1≦c≦0.4、0.1≦c≦0.3、0.1≦c≦0.2、0.2≦c≦0.5、0.2≦c≦0.4、または0.2≦c≦0.3である。いくつかの実施形態において、正極活物質は、一般式LiMPOを有し、MはFe、Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Ge、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0155】
いくつかの実施形態において、正極活物質は、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO、LiMnFePO、LiMnFe(1-x)PO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、0<x<1である。いくつかの実施形態において、正極活物質はLiNiMnであり、0.1≦x≦0.9、0≦y≦2である。特定の実施形態において、正極活物質はxLiMnO・(1-x)LiMOであり、Mは、Ni、Co、Mn、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、0<x<1である。いくつかの実施形態において、正極活物質はLi(PO、またはLiVPOFである。特定の実施形態において、正極活物質は一般式LiMSiOを有し、Mは、Fe、Co、Mn、Ni、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0156】
特定の実施形態において、正極活物質はCo、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Ge、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたドーパントでドープされる。いくつかの実施形態において、正極活物質はCo、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Ru、Si、またはGeでドープされない。特定の実施形態において、正極活物質はAl、Sn、またはZrでドープされない。
【0157】
いくつかの実施形態において、正極活物質はLiNi0.33Mn0.33Co0.33(NMC333)、LiNi0.4Mn0.4Co0.2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2(NMC532)、LiNi0.6Mn0.2Co0.2(NMC622)、LiNi0.7Mn0.15Co0.15、LiNi0.7Mn0.1Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)、LiNi0.92Mn0.04Co0.04、LiNi0.85Mn0.075Co0.075、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.88Co0.1Al0.02、LiNiO(LNO)またはそれらの組み合わせである。
【0158】
他の実施形態において、正極活物質はLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、またはLiMnOである。さらなる実施形態において、正極活物質はLiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiNi0.4Mn0.4Co0.2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2、LiNi0.6Mn0.2Co0.2、LiNi0.7Mn0.15Co0.15、LiNi0.7Mn0.1Co0.2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1、LiNi0.92Mn0.04Co0.04、LiNi0.85Mn0.075Co0.075、LiNi0.8Co0.15Al0.05、またはLiNi0.88Co0.1Al0.02である。
【0159】
特定の実施形態において、正極活物質はコアおよびシェル構造を有するコアシェル複合体を含み、またはコアシェル複合体であり、コアはLi1+xNiMnCoAl(1-a-b-c)、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiCrO、LiTi12、LiV、LiTiS、LiMoS、LiCoNi、LiMnNi、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたリチウム遷移金属酸化物を含み、-0.2≦x≦0.2、0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、およびa+b+c≦1である。いくつかの実施形態において、シェルもまたリチウム遷移金属酸化物を含む。特定の実施形態において、シェルのリチウム遷移金属酸化物は、コアに使用されたリチウム遷移金属酸化物の上記群から選択される。他の実施形態において、シェルは遷移金属酸化物を含む。特定の実施形態において、シェルの遷移金属酸化物は、Fe、MnO、Al、MgO、ZnO、TiO、La、CeO、SnO、ZrO、RuO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、シェルはリチウム遷移金属酸化物および遷移金属酸化物を含む。
【0160】
特定の実施形態において、コアおよびシェルの各々が独立して2つ以上のリチウム遷移金属酸化物を含む。いくつかの実施形態において、コアまたはシェルの一方は、1つのみのリチウム遷移金属酸化物を含み、他方は2つ以上のリチウム遷移金属酸化物を含む。コアおよびシェル内のリチウム遷移金属酸化物は同じであってよく、あるいは異なるか、部分的に異なってよい。いくつかの実施形態において、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物は、コア全体に均一に分布している。特定の実施形態において、2つ以上のリチウム遷移金属酸化物は、コア全体に均一に分布していない。
【0161】
いくつかの実施形態において、コアおよびシェル内の金属酸化物の各々は独立して、Co、Cr、V、Mo、Nb、Pd、F、Na、Fe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、Si、Ge、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたドーパントでドープされる。いくつかの実施形態において、正極活物質は、コアシェル複合体ではない。
【0162】
いくつかの実施形態において、電極活物質はナトリウムイオン電池のための正極活物質である。いくつかの実施形態において、正極活物質は式Naを満たすプルシアンブルー型のナトリウム化合物であり、式中、Mは1つ以上の金属であり、AはO、P、N、C、H、またはハロゲンの1つ以上を含む1つ以上のアニオンである。特定の実施形態において、ナトリウムイオン電池のための正極活物質は、リチウムがナトリウムに置き換えられた、上述した正極活物質のナトリウム類似物質である。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用正極活物質はNaCoO、NaFeO、NaNiO、NaCrO、NaVO、およびNaTiO、NaFePO、Na(PO、Na(PO、NMC型混合酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用正極活物質は、たとえばナフタレンジイミドニナトリウム、ドープキノン、プテリジン誘導体、ポリイミド、ポリアミック酸、またはそれらの組み合わせなどの有機材料である。
【0163】
いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用正極活物質は、コアおよびシェル構造を有するコアシェル複合体を含み、またはコアシェル複合体である。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用正極活物質はドーパントでドープされる。リチウムイオン電池のための正極活物質に関して上記で挙げたものと同じドーパントが、ナトリウムイオン電池用正極活物質をドープするために使用され得る。
【0164】
いくつかの実施形態において、正極活物質粒子の平均径は約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約50μm、約0.5μm~約50μm、約0.5μm~約30μm、約0.5μm~約20μm、約1μm~約20μm、約2.5μm~約20μm、約5μm~約20μm、約7.5μm~約20μm、約10μm~約20μm、約15μm~約20μm、約2.5μm~約50μm、約5μm~約50μm、約10μm~約50μm、約15μm~約50μm、約20μm~約50μm、または約50μm~約100μmである。
【0165】
いくつかの実施形態において、正極活物質粒子の平均径は100μm未満、80μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、7.5μm未満、5μm未満、2.5μm未満、1μm未満、0.75μm未満、または0.5μm未満である。いくつかの実施形態において、正極活物質粒子の平均径は、0.1μm超え、0.25μm超え、0.5μm超え、0.75μm超え、1μm超え、2.5μm超え、5μm超え、7.5μm超え、10μm超え、15μm超え、20μm超え、30μm超え、40μm超え、または50μm超え、である。
【0166】
いくつかの実施形態において、電極活物質は負極活物質である。いくつかの実施形態において、負極活物質は天然グラファイト微粒子、合成グラファイト微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、Li1512微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0167】
特定の実施形態において、負極活物質は金属元素または非金属元素でドープされる。いくつかの実施形態において、金属元素はFe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、非金属元素はB、Si、Ge、N、P、F、S、Cl、I、Se、またはそれらの組み合わせである。
【0168】
いくつかの実施形態において、負極活物質はコアおよびシェル構造を有するコアシェル複合体を含み、またはコアシェル複合体であり、コアおよびシェルの各々は独立して、天然グラファイト微粒子、合成グラファイト微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、Li1512微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0169】
特定の実施形態において、コアシェル複合体の形態である負極活物質は炭素質材料を含むコアと、炭素質材料コア上にコーティングされたシェルとを含む。いくつかの実施形態において、炭素質材料はソフトカーボン、ハードカーボン、天然グラファイト微粒子、合成グラファイト微粒子、メソカーボンマイクロビーズ、キッシュグラファイト、熱分解カーボン、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチベースのカーボンファイバ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、シェルは天然グラファイト微粒子、合成グラファイト微粒子、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、Sn微粒子、SnO、SnO、Li1512微粒子、Si微粒子、Si-C複合微粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0170】
特定の実施形態において、負極活物質は金属元素または非金属元素でドープされない。いくつかの実施形態において、負極活物質はFe、Ni、Mn、Al、Mg、Zn、Ti、La、Ce、Sn、Zr、Ru、B、Si、Ge、N、P、F、S、Cl、I、またはSeでドープされない。
【0171】
いくつかの実施形態において、電極活物質はナトリウムイオン電池用負極活物質である。リチウムイオン電池において、使用される負極活物質の多数の実施形態は、ナトリウムイオン電池用負極活物質としての使用にも適しているが、グラファイトは材料内の孔が小さすぎてナトリウムイオンを保持できないために、好適ではない。またLi1512微粒子も、ナトリウムイオン電池における反応機構に影響を及ぼすリチウムが存在するため、ナトリウムイオン電池用負極活物質として好適ではない。
【0172】
いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用負極活物質はハードカーボン、ソフトカーボン、たとえばSnOおよびSnOなどの酸化スズ、たとえばNaTi(POおよびNaTi、SnS、NbS、SbO(0<x≦2)などのチタン酸ナトリウム、Sn-P化合物および複合体、ナトリウム合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用負極活物質は、式Naを満たすプルシアンブルー型のナトリウム化合物であり、式中、Mは1つ以上の金属であり、Aは、O、P、N、C、H、またはハロゲンの1つ以上を含む1つ以上のアニオンである。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用正極活物質は、たとえばナフタレンジイミドニナトリウム、ドープキノン、プテリジン誘導体、ポリイミド、ポリアミック酸、またはそれらの組み合わせなどの有機材料である。
【0173】
いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用負極活物質はコアおよびシェル構造を有するコアシェル複合体を含み、またはコアシェル複合体である。いくつかの実施形態において、ナトリウムイオン電池用負極活物質は、Sb、Sn、P、S、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、As、Bi、Ti、Mo、Se、Te、Co、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された1つ以上の要素でドープされる。
【0174】
本発明の改良型集電体は、特に、電極層が水性スラリーを用いて形成され、ニッケル含有正極活物質を含む電極での使用に適している。そのようなスラリーは、塩基性が高いため、従来の集電体(最も一般的にはアルミニウム箔)を腐食させる。しかしながら、本発明の改良型集電体上に水性塩基性正極スラリーをコーティングして正極が形成される場合、改良型集電体内の導電層は、従来の集電体(ここでは改良型集電体の基板)がスラリーと接触するのを防止するための物理的障壁を形成する。したがって、基板の腐食が防止される。それでもなお、本発明の改良型集電体は、任意の適切な電極活物質(正極活物質および負極活物質の両方)を含む、任意の種類の電池のための、改良型集電体上に電極層を形成する任意の方法を用いた電極での使用に適している。
【0175】
電極層に使用される結着剤に特に制限はないが、結着剤は結合として所望の特性を有するべきである。さらに、電極層がスラリーで生成される場合、結着剤は均一で平滑なコーティングを確実にするために電極スラリー中に良好に分散され得ることが好適である。本明細書で使用される結着剤を含む電極スラリーの改良型集電体へのコーティングは、下地となる改良型集電体内の導電層を溶解できなくすべきである。いくつかの実施形態において、改良型集電体内の導電層の溶解を生じさせる傾向を有さない限り、様々な種類の結着剤が電極層に使用され得る。いくつかの実施形態において、結着剤は水性である。
【0176】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤は、ポリマを含む。いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤ポリマは共重合体である。他の実施形態において、電極層中の結着剤ポリマは単独重合体である。
【0177】
特定の実施形態において、電極層中の結着剤は、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド(PAM)、アクリル酸-アクリロニトリル-アクリルアミド共重合体、ラテックス、アルギン酸塩、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン)-ヘキサフルオロプロペン(PVDF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリイソプレン、ポリアニリン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、キトサン、デンプン、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、ジェランガム、グアーガム、カラヤガム、タラガム、トラガカントガム、カゼイン、アミロース、ペクチン、PEDOT:PSS、カラギーナン、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態において、電極層中の結着剤はスチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミドアクリル酸-アクリロニトリル-アクリルアミド共重合体、ラテックス、アルギン酸塩、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン)-ヘキサフルオロプロペン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリイソプレン、ポリアニリン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、キトサン、デンプン、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、ジェランガム、グアーガム、カラヤガム、タラガム、トラガカントガム、カゼイン、アミロース、ペクチン、PEDOT:PSS、またはカラギーナンを含まない。特定の実施形態において、電極層中の結着剤はたとえばPVDF、PVDF-HFP、またはPTFEなどのフッ素含有ポリマを含まない。
【0178】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤はハロゲン、O、N、S、またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の官能基を含む。適切な官能基のいくつかの非限定的な例は、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、チオール、アルキルチオ、イミン、シアノ、アミド、アミノ(第1級、第2級、または第3級)、カルボキシル、エポキシ、ケトン、アルデヒド、エステル、ヒドロキシル、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、官能基はカルボン酸(すなわち-COOH)、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、硫酸、硫酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、リン酸、リン酸塩、硝酸、硝酸塩、アミド、ヒドロキシル、ニトリル、エステル、エポキシ、または-NHである、またはこれらを含む。
【0179】
特定の実施形態において、電極層中の結着剤は以下に記載するような組成を有する共重合体を含む。結着剤中の親水性官能基の存在により、共重合体が水性溶媒中に良好に分散することが可能であるとともに、様々な電極構成要素が互いに結合され得ることが確実になる。一方、結着剤中の疎水性官能基の存在は、結着剤が自己凝集して分散を損なうことがなく、共重合体を含む電極スラリーが加工性に影響を及ぼすほど高い粘度にならないことを確実にする。親水性および親水性の両方の効果を組み合わせることは、加工性の高い水性電極スラリーの溶媒中に分散した状態を保ちながら様々な電極構成要素が互いに良好に結合することを意味する。そのようなスラリーを用いて生成された電極スラリーは、平滑かつ均質であり、そのような電極を備える電池は、優れた容量および電気化学的性能を有する。
【0180】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤は酸性基含有モノマから得られた構造単位(i)を含み、酸性基はカルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、硝酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。上記で挙げた酸は、それらの塩および誘導体も含む。いくつかの実施形態において、酸の塩はアルカリ金属カチオンを備える。アルカリ金属カチオンを形成するアルカリ金属の例は、リチウム、ナトリウム、およびカリウムを含む。いくつかの実施形態において、酸の塩はアンモニウムカチオンを含む。
【0181】
いくつかの実施形態において、カルボン酸はアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-ブチルクロトン酸、桂皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、テトラコン酸、またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態において、カルボン酸は2-エチルアクリル酸、イソクロトン酸、シス-2-ペンテン酸、トランス-2-ペンテン酸、エンゲル酸、チグリン酸、3,3-ジメチルアクリル酸、3-プロピルアクリル酸、トランス-2-メチル-3-エチルアクリル酸、シス-2-メチル-3-エチルアクリル酸、3-イソプロピルアクリル酸、トランス-3-メチル-3-エチルアクリル酸、シス-3-メチル-3-エチルアクリル酸、2-イソプロピルアクリル酸、トリメチルアクリル酸、2-メチル-3,3-ジメチルアクリル酸、3-ブチルアクリル酸、2-ブチルアクリル酸、2-ペンチルアクリル酸、2-メチル-2-ヘキセン酸、トランス-3-メチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-3-プロピルアクリル酸、2-メチル-3-プロピルアクリル酸、2,3-ジエチルアクリル酸、3,3-ジエチルアクリル酸、3-メチル-3-ヘキシルアクリル酸、3-メチル-3-tert-ブチルアクリル酸、2-メチル-3-ペンチルアクリル酸、3-メチル-3-ペンチルアクリル酸、4-メチル-2-ヘキセン酸、4-エチル-2-ヘキセン酸、3-メチル-2-エチル-2-ヘキセン酸、3-tert-ブチルアクリル酸、2,3-ジエチル3-エチルアクリル酸、3,3-ジメチル-2-エチルアクリル酸、3-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、2-メチル-3-イソプロピルアクリル酸、トランス-2-オクテン酸、シス-2-オクテン酸、トランス-2-デセン酸、α-アセトキシアクリル酸、β-トランス-アリロキシアクリル酸、α-クロロ-β-E-メトキシアクリル酸、またはそれらの組み合わせである。
【0182】
いくつかの実施形態において、スルホン酸はビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリル酸、2-メチルプロプ-2-エン-1-スルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0183】
いくつかの実施形態において、硫酸はアリル硫酸水素、ビニル硫酸水素、4-アリルフェノール硫酸、またはそれらの組み合わせである。
【0184】
いくつかの実施形態において、ホスホン酸はホスホノキシエチルアクリレート、ホスホノキシエチルメタクリレート、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、3-ブテニルホスホン酸、スチレンホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、(2-クロロ-2-フェニル-ビニル)-ホスホン酸、アクリルアミドアルキルホスホン酸、メタクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、アクリロイルホスホン酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、エチレン2-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、エチル-メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0185】
いくつかの実施形態において、リン酸はモノ(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ホスホキシエチルメタクリレート、3-クロロ-2-ホスホリルオキシプロピルメタクリレート、ホスホリルオキシポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート、ホスホリルオキシポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-クロロ-2ヒドロキシプロピルホスフェート、アリル水素ホスフェート、ビニル水素ホスフェート、アリル水素ピロホスフェート、ビニル水素ピロホスフェート、アリル水素トリポリホスフェート、ビニル水素トリポリホスフェート、アリル水素テトラポリホスフェート、ビニル水素テトラポリホスフェート、アリル水素トリメタホスフェート、ビニル水素トリメタホスフェート、イソペンテニルホスフェート、イソペンテニルピロホスフェート、またはそれらの組み合わせである。
【0186】
いくつかの実施形態において、硝酸は硝酸アリル水素、硝酸エテニル水素、またはそれらの組み合わせである。
【0187】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(i)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、約15モル%~約95モル%、約15モル%~約85モル%、約15モル%~約75モル%、約15モル%~約65モル%、約15モル%~約55モル%、約20モル%~約95モル%、約20モル%~約90モル%、約20モル%~約80モル%、約20モル%~約70モル%、約20モル%~約60モル%、約20モル%~約50モル%、約25モル%~約95モル%、約25モル%~約85モル%、約25モル%~約75モル%、約25モル%~約65モル%、約25モル%~約55モル%、約30モル%~約95モル%、約30モル%~約85モル%、約30モル%~約75モル%、約30モル%~約65モル%、約35モル%~約95モル%、約35モル%~約85モル%、約35モル%~約75モル%、約35モル%~約65モル%、約40モル%~約95モル%、約40モル%~約85モル%、約40モル%~約75モル%、約40モル%~約65モル%、約45モル%~約95モル%、約45モル%~約85モル%、約45モル%~約75モル%、約50モル%~約95モル%、約50モル%~約85モル%、約50モル%~約75モル%、約55モル%~約95モル%、約55モル%~約85モル%、約55モル%~約75モル%、約60モル%~約95モル%、または約60モル%~約85モル%である。
【0188】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(i)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、95モル%未満、85モル%未満、75モル%未満、65モル%未満、55モル%未満、45モル%未満、35モル%未満、または25モル%未満である。いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(i)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、15モル%超え、25モル%超え、35モル%超え、45モル%超え、55モル%超え、65モル%超え、75モル%超え、または85モル%超え、である。
【0189】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤は、アミド基含有モノマ、ヒドロキシル基含有モノマ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマから得られる構造単位(ii)をさらに含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、アミド基含有モノマはアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-イソブチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(メトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)メタクリルアミド、N-(プロポキシメチル)メタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシルメタクリルアミドN-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス-アクリルアミド(MBA)、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、またはこれらの組み合わせである。
【0191】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマはヒドロキシル基を有するC~C20アルキルまたはC~C20シクロアルキルを含有するアクリレートまたはメタクリレートである。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基含有モノマは、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、5-ヒドロキシペンチルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、アリルアルコール、またはこれらの組み合わせである。
【0192】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(ii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、約5モル%~約50モル%、約5モル%~約45モル%、約5モル%~約40モル%、約5モル%~約35モル%、約5モル%~約30モル%、約5モル%~約25モル%、約10モル%~約50モル%、約10モル%~約45モル%、約10モル%~約40モル%、約10モル%~約35モル%、約10モル%~約30モル%、約15モル%~約50モル%、約15モル%~約45モル%、約15モル%~約40モル%、約20モル%~約50モル%、約20モル%~約45モル%、約20モル%~約40モル%、または約25モル%~約50モル%である。
【0193】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(ii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、50モル%未満、45モル%未満、40モル%未満、35モル%未満、30モル%未満、25モル%未満、20モル%未満、または15モル%未満である。いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(ii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、5モル%超え、10モル%超え、15モル%超え、20モル%超え、25モル%超え、30モル%超え、35モル%超え、または40モル%超え、である。
【0194】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤はニトリル基含有モノマ、エステル基含有モノマ、エポキシ基含有モノマ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたモノマから得られる構造単位(iii)をさらに含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマはα,β-エチレン性不飽和ニトリルモノマである、またはα,β-エチレン性不飽和ニトリルモノマを備える。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマはアクリロニトリル、α-ハロゲノアクリロニトリル、α-アルキルアクリロニトリル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、ニトリル基含有モノマはα-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、α-フルオロアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-エチルアクリロニトリル、α-イソプロピルアクリロニトリル、α-n-ヘキシルアクリロニトリル、α-メトキシアクリロニトリル、3-メトキシアクリロニトリル、3-エトキシアクリロニトリル、α-アセトキシアクリロニトリル、α-フェニルアクリロニトリル、α-トリルアクリロニトリル、α-(メトキシフェニル)アクリロニトリル、α-(クロロフェニル)アクリロニトリル、α-(シアノフェニル)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、またはそれらの組み合わせである。
【0196】
いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマはC~C20アルキルアセテート、C~C20アルキルメタクリレート、シクロアルキルアクリレート、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、エステル基含有モノマは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、3,3,5-トリメチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、パーフルオロオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、またはそれらの組み合わせである。
【0197】
いくつかの実施形態において、エポキシ基含有モノマはビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリル2,3-エポキシプロピルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、3,4-エポキシ-1-ブテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキサン、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチレン、エポキシ-4-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカジエン、またはそれらの組み合わせである。
【0198】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(iii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、約5モル%~約80モル%、約5モル%~約70モル%、約5モル%~約60モル%、約5モル%~約50モル%、約5モル%~約40モル%、約5モル%~約30モル%、約10モル%~約80モル%、約10モル%~約70モル%、約10モル%~約60モル%、約10モル%~約50モル%、約10モル%~約40モル%、約15モル%~約80モル%、約15モル%~約70モル%、約15モル%~約60モル%、約15モル%~約50モル%、約15モル%~約40モル%、約20モル%~約80モル%、約20モル%~約70モル%、約20モル%~約60モル%、約20モル%~約50モル%、約25モル%~約80モル%、約25モル%~約70モル%、約25モル%~約60モル%、約25モル%~約50モル%、約30モル%~約80モル%、約30モル%~約70モル%、約30モル%~約60モル%、約35モル%~約80モル%、約35モル%~約70モル%、約35モル%~約60モル%、約40モル%~約80モル%、約40モル%~約70モル%、約45モル%~約80モル%、約45モル%~約70モル%、約50モル%~約80モル%、または約50モル%~約70モル%である。
【0199】
いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(iii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、80モル%未満、70モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、40モル%未満、30モル%未満、20モル%未満、または15モル%未満である。いくつかの実施形態において、結着剤における構造単位(iii)の比率は、共重合におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、5モル%超え、15モル%超え、25モル%超え、35モル%超え、45モル%超え、55モル%超え、または60モル%超え、である。
【0200】
いくつかの実施形態において、電極層は、導電剤をさらに含む。導電剤の存在により、電極内の電極層の導電特性が向上する。したがって、電極層が導電剤を備えることは有利であり得る。任意の適切な材料が導電剤として作用し得る。本発明の改良型集電体の導電層での使用に適した導電材料料の任意の実施形態は、電極層で導電剤として使用するためにも適している。他の実施形態において、導電剤は改良型集電体の導電層で使用される導電材料料ではない。改良型集電体の電極層で使用される導電剤と、導電層で使用される導電材料料とは、同じであってよく、異なってよく、または部分的に異なってもよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、導電剤はポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリチオフェン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された導電性ポリマを含む。いくつかの実施形態において、導電性ポリマは同時に2つの役割を果たし、導電剤としてだけではなく結着剤としての役割も果たす。他の実施形態において、導電剤は導電性ポリマを含まない。
【0202】
いくつかの実施形態において、電極層中の電極活物質の比率は、電極層の総重量に基づいて、約60重量%~約99重量%、約70重量%~約99重量%、約75重量%~約99重量%、約80重量%~約99重量%、約85重量%~約99重量%、約90重量%~約99重量%、約60重量%~約95重量%、約65重量%~約95重量%、約70重量%~約95重量%、約75重量%~約95重量%、約80重量%~約95重量%、約85重量%~約95重量%、約60重量%~約90重量%、約65重量%~約90重量%、約70重量%~約90重量%、約75重量%~約90重量%、約80重量%~約90重量%、約60重量%~約85重量%、約70重量%~約85重量%、約75重量%~約85重量%、約60重量%~約80重量%、約65重量%~約80重量%、または約70重量%~約80重量%である。
【0203】
いくつかの実施形態において、電極層中の電極活物質の比率は、電極層の総重量に基づいて、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、85重量%未満、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、または65重量%未満である。いくつかの実施形態において、電極層中の電極活物質の比率は、電極層の総重量に基づいて、60重量%超え、65重量%超え、70重量%超え、75重量%超え、80重量%超え、85重量%超え、90重量%超え、または95重量%超え、である。
【0204】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤および導電剤の比率は、各々独立して、電極層の総重量に基づいて、約1%~約20%、約2%~約20%、約3%~約20%、約4%~約20%、約5%~約20%、約6%~約20%、約7%~約20%、約8%~約20%、約9%~約20%、約10%~約20%、約11%~約20%、約12%~約20%、約13%~約20%、約14%~約20%、約15%~約20%、約1%~約15%、約2%~約15%、約3%~約15%、約4%~約15%、約5%~約15%、約6%~約15%、約7%~約15%、約8%~約15%、約9%~約15%、約10%~約15%、約1%~約10%、約2%~約10%、約3%~約10%、約4%~約10%、約5%~約10%、約1%~約5%、約2%~約5%、または約3%~約5%である。
【0205】
いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤および導電剤の比率は、各々独立して、電極層の総重量に基づいて、20重量%未満、19重量%未満、18重量%未満、17重量%未満、16重量%未満、15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、または6重量%未満である。いくつかの実施形態において、電極層中の結着剤および導電剤の比率は、各々独立して、電極層の総重量に基づいて、1重量%超え、2重量%超え、3重量%超え、4重量%超え、5重量%超え、6重量%超え、7重量%超え、8重量%超え、9重量%超え、10重量%超え、11重量%超え、12重量%超え、13重量%超え、14重量%超え、または15重量%超え、である。
【0206】
いくつかの実施形態において、電極の電極層は電極特性を向上させるための他の添加剤をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、添加剤は界面活性剤、分散剤、および可撓性向上添加剤、塩、イオン伝導性ポリマ、および無機固体電解質を含んでよい。
【0207】
特定の実施形態において、電極スラリーは電極の電極層を形成するために使用され、本発明の改良型集電体上にコーティングされ、その後、乾燥される。いくつかの実施形態において、電極スラリーはたとえば電極活物質、結着剤、および導電剤など、電極層を形成するための様々な電極構成要素に加えて、溶媒を含む。いくつかの実施形態において、電極スラリーの溶媒は水性溶媒である。導電性スラリーの溶媒としての使用に適した任意の水性溶媒は、電極スラリーの溶媒としての使用にも適している。特定の実施形態において、導電性スラリーおよび電極スラリーの両方が水性溶媒を用いる場合、2つのスラリーの水性溶媒の組成は同じであってよく、異なってよく、または部分的に異なってもよい。
【0208】
いくつかの実施形態において、電極スラリーの固形分は電極スラリーの総重量に基づいて、約40重量%~約80重量%、約40重量%~約75重量%、約40重量%~約70重量%、約40重量%~約65重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約55重量%、約45重量%~約80重量%、約45重量%~約75重量%、約45重量%~約70重量%、約45重量%~約65重量%、約45重量%~約60重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約75重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約65重量%、約55重量%~約80重量%、約55重量%~約75重量%、約55重量%~約70重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約75重量%、約65重量%~約80重量%、約65重量%~約75重量%、または約70重量%~約80重量%である。
【0209】
いくつかの実施形態において、電極スラリーの固形分は電極スラリーの総重量に基づいて、80重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、または50重量%未満である。いくつかの実施形態において、電極スラリーの固形分は電極スラリーの総重量に基づいて、40重量%超え、45重量%超え、50重量%超え、55重量%超え、60重量%超え、65重量%超え、または70重量%超え、である。
【0210】
様々な電極構成要素から電極スラリーを生成するために用いられる方法には、全ての電極構成要素が、均質な電極スラリーを形成するために、たとえばホモジナイザでの混合によって混合されるべきであることを除き、特に制限はない。いくつかの実施形態において、電極スラリーを生成するために使用される全ての材料が単一バッチでホモジナイザに加えられる。他の実施形態において、電極スラリーの各電極構成要素は1つ以上のバッチでホモジナイザに加えられてよく、各バッチは、複数の電極構成要素を含んでもよい。本明細書において、電極スラリー中で粒子凝集を低減または除去し、および/または電極構成要素の均質な分散を促進することが可能な任意のホモジナイザが使用され得る。均質な分散は、良好な電池性能を有する電池を製造する上で重要な役割を果たす。いくつかの実施形態において、ホモジナイザは遊星攪拌ミキサ、攪拌ミキサ、ブレンダ、または超音波処理器である。
【0211】
電極スラリーを形成するために用いられる条件には、そのような条件が、スラリー中の電極構成要素の分散が良好である均質なスラリーを生成するために十分なものであるべきことを除き、特に制限はない。電極スラリーを均質化するために用いられる所要時間または温度または攪拌速度は、期間、温度、および攪拌速度が、電極スラリー中の様々な電極構成要素の均質な分散および電極スラリーが容易に加工されることを確実にするのに十分なものであるべきことを除き、特に制限はない。
【0212】
いくつかの実施形態において、電極スラリーの均質化の後、電極スラリーは電極層を形成するために、本発明の改良型集電体の片面または両面にコーティングされ得る。スラリーのコーティングに用いられる装置および条件には、均質で平坦かつ平滑な電極層膜が形成されるべきであることを除き、特に制限はない。特定の実施形態において、コーティングプロセスはドクターブレードコータ、スロットダイコータ、転写コータ、スプレーコータ、ロールコータ、グラビアコータ、浸漬コータ、またはカーテンコータを用いて行われる。いくつかの実施形態において、電極スラリーは改良型集電体に直接塗布される。他の実施形態において、電極スラリーは自立型電極層を形成するために、まず剥離膜に塗布される。自立型電極層は、その後、改良型集電体と組み合わせられ、電極層を形成するために押圧される。
【0213】
いくつかの実施形態において、本発明の改良型集電体に電極スラリーをコーティングした後、コーティングは乾燥される。本明細書において、改良型集電体に電極層を貼り付けるためにコーティングを乾燥させることができる任意の装置が使用され得る。
【0214】
乾燥のために用いられる条件には、電極層が改良型集電体に強力に付着することを確実にするために十分なものであることを除き、特に制限はない。ただし、100℃を超える温度で電極スラリーを乾燥させると、電極の不所望の変形が生じ、結果として得られる電極の性能に影響を及ぼす場合がある。いくつかの実施形態において、結果として得られる電極は電極の密度を高めるために、膜の乾燥後に機械的に圧縮される。
【0215】
特定の実施形態において、電極層の厚さは約5μm~約90μm、約5μm~約50μm、約5μm~約25μm、約10μm~約90μm、約10μm~約50μm、約10μm~約30μm、約15μm~約90μm、約20μm~約90μm、約25μm~約90μm、約25μm~約80μm、約25μm~約70μm、約25μm~約50μm、約30μm~約90μm、または約30μm~約80μmである。いくつかの実施形態において、電極層の厚さは5μm超え、10μm超え、15μm超え、20μm超え、25μm超え、30μm超え、40μm超え、50μm超え、60μm超え、70μm超え、または80μm超え、である。いくつかの実施形態において、電極層の厚さは90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、または10μm未満である。
【0216】
いくつかの実施形態において、電極層の表面密度は約1mg/cm~約50mg/cm、約2.5mg/cm~約50mg/cm、約5mg/cm~約50mg/cm、約10mg/cm~約50mg/cm、約15mg/cm~約50mg/cm、約20mg/cm~約50mg/cm、約30mg/cm~約50mg/cm、約1mg/cm~約30mg/cm、約2.5mg/cm~約30mg/cm、約5mg/cm~約30mg/cm、約10mg/cm~約30mg/cm、約15mg/cm~約30mg/cm、約20mg/cm~約30mg/cm、約1mg/cm~約20mg/cm、約2.5mg/cm~約20mg/cm、約5mg/cm~約20mg/cm、約10mg/cm~約20mg/cm、約1mg/cm~約15mg/cm、約2.5mg/cm~約15mg/cm、約5mg/cm~約15mg/cm、または約10mg/cm~約15mg/cmである。
【0217】
いくつかの実施形態において、電極層の表面密度は50mg/cm未満、40mg/cm未満、30mg/cm未満、20mg/cm未満、15mg/cm未満、10mg/cm未満、5mg/cm未満、または2.5mg/cm未満である。いくつかの実施形態において、電極層の表面密度は1mg/cm超え、2.5mg/cm超え、5mg/cm超え、10mg/cm超え、15mg/cm超え、20mg/cm超え、30mg/cm超え、または40mg/cm超え、である。
【0218】
本発明の改良型集電体を備える電極において、電極層は改良型集電体に対する強力な接着を示す。電極層は、改良型集電体に対する高い剥離強度を有することが重要であり、これによって電極の剥離または分離が防止され、電極の機械的安定性および電極を備える電池のサイクル性に大きな影響を及ぼす。したがって、電極は厳しい電池製造に耐えるのに十分な剥離強度を有するべきである。
【0219】
いくつかの実施形態において、電極層と改良型集電体との間の剥離強度は約1.0N/cm~約8.0N/cm、約1.0N/cm~約6.0N/cm、約1.0N/cm~約5.0N/cm、約1.0N/cm~約4.0N/cm、約1.0N/cm~約3.0N/cm、約1.0N/cm~約2.5N/cm、約1.0N/cm~約2.0N/cm、約1.2N/cm~約3.0N/cm、約1.2N/cm~約2.5N/cm、約1.2N/cm~約2.0N/cm、約1.5N/cm~約3.0N/cm、約1.5N/cm~約2.5N/cm、約1.5N/cm~約2.0N/cm、約1.8N/cm~約3.0N/cm、約1.8N/cm~約2.5N/cm、約2.0N/cm~約6.0N/cm、約2.0N/cm~約5.0N/cm、約2.0N/cm~約3.0N/cm、約2.0N/cm~約2.5N/cm、約2.2N/cm~約3.0N/cm、約2.5N/cm~約3.0N/cm、約3.0N/cm~約8.0N/cm、約3.0N/cm~約6.0N/cm、または約4.0N/cm~約6.0N/cmである。
【0220】
いくつかの実施形態において、電極層と改良型集電体との間の剥離強度は1.0N/cm超え、1.2N/cm超え、1.5N/cm超え、2.0N/cm超え、2.2N/cm超え、2.5N/cm超え、3.0N/cm超え、3.5N/cm超え、4.0N/cm超え、4.5N/cm超え、5.0N/cm超え、5.5N/cm超え、6.0N/cm超え、6.5N/cm超え、または7.0N/cm超え、である。いくつかの実施形態において、電極層と改良型集電体との間の剥離強度は8.0N/cm未満、7.5N/cm未満、7.0N/cm未満、6.5N/cm未満、6.0N/cm未満、5.5N/cm未満、5.0N/cm未満、4.5N/cm未満、4.0N/cm未満、3.5N/cm未満、3.0N/cm未満、2.8N/cm未満、2.5N/cm未満、2.2N/cm未満、2.0N/cm未満、1.8N/cm未満、または1.5N/cm未満である。
【0221】
いくつかの実施形態において、改良型集電体を備える電極が形成されると、電極は対電極および電解質と組み立てられ、電池が形成され得る。電極が正極である場合、対電極は負極であり、電極が負極である場合、対電極は負極である。
【0222】
いくつかの実施形態において、電解質は液体電解質である。そのような液体電解質は、電解質溶媒および塩を含む。いくつかの実施形態において、電解質溶媒は水であり、液体電解質は水性溶媒である。他の実施形態において、電解質溶媒は1つ以上の有機溶媒で構成された液体であり、液体電解質は非水性電解質である。いくつかの実施形態において、各有機溶媒は炭酸塩系、エステル系、エーテル系、または他の非プロトン性溶媒から選択される。炭酸塩系溶媒のいくつかの非限定的な例は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、およびそれらの組み合わせを含む。エステル系溶媒のいくつかの非限定的な例は、酢酸メチル、プロパン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ジメチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびそれらの組み合わせを含む。エーテル系溶媒のいくつかの非限定的な例は、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、およびそれらの組み合わせを含む。他の非プロトン系溶媒のいくつかの非限定的な例は、臭化メチル、臭化エチル、ギ酸メチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、液体電解質は従来のリチウムイオン電池用である。液体電解質中の塩は、リチウム塩である。いくつかの実施形態において、従来のリチウムイオン電池用液体電解質中に存在するリチウム塩は、LiPF、LiBO、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiCl、LiI、LiNO、LiB(C、LiSOCF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiC、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0224】
いくつかの実施形態において、液体電解質は従来のナトリウムイオン電池用である。液体電解質中の塩は、ナトリウム塩である。いくつかの実施形態において、従来のナトリウムイオン電池用液体電解質中に存在するナトリウム塩は、リチウムがナトリウムに置き換えられた、上述したリチウム塩のナトリウム類似物質である。そのようなナトリウム塩は、NaPF、NaBF、NaN(SOCF、NaN(SOF)、NaClO、NaSOCF、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、従来のナトリウムイオン電池用液体電解質中に存在する塩は、NaMFの1つ以上であり、各々x=4または6であり、各Mは、Al3+、B3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、La3+、P5+、As5+、およびそれら組み合わせからなる群から選択される。
【0225】
いくつかの実施形態において、電解質は固体電解質である。いくつかの実施形態において、固体電解質はポリマ電解質である。そのようなポリマ電解質は、イオン伝導性ポリマならびに塩を含む。いくつかの実施形態において、イオン伝導性ポリマはポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリエチレン誘導体、アルキレンオキシド誘導体、リン酸ポリマ、ポリ-リジン、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン1つ以上のイオン解離性基を含むポリマ、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、イオン伝導性ポリマはポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(P(HEMA))、ポリホスホネート(PPh)、ポリシロキサン、ポリアミド(PA)、ポリジラクトン、ポリジエステル、ポリファスファゼン(PPHOS)、ポリウレタン(PU)、それらの共重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0226】
いくつかの実施形態において、ポリマ電解質は固体リチウムイオン電池用である。特定の実施形態において、固体リチウムイオン電池用ポリマ電解質中に存在する塩は、上述したリチウム塩の1つ以上である。同様に、いくつかの実施形態において、ポリマ電解質は固体ナトリウムイオン電池用である。特定の実施形態において、固体ナトリウムイオン電池用ポリマ電解質中に存在する塩は、上述したナトリウム塩の1つ以上である。
【0227】
いくつかの実施形態において、固体電解質は無機固体電解質である。特定の実施形態において、無機固体電解質は固体リチウムイオン電池用である。いくつかの実施形態において、固体リチウムイオン電池用の無機固体電解質は、硫化物、たとえばLiS-P、Li4-xGe1-x(LGPS、xは0.1~2)、Li10±1MP12(M=Ge、Si、Sn、Al;X=S,Se)、Li3.833Sn0.833As0.166、LiSnS、B-LiS、xLiS-(100-x)P(xは70~80)、LiS-SiS-LiN、LiS-P-LiI、LiS-SiS-LiI、LiS-B-LiI、Li10SnP12、LiPSX硫銀ゲルマニウム鉱(Xはハロゲン)、たとえばLi3.25Ge0.250.75などのチオ-LISICON化合物、たとえばLi3SX(XはClまたはBr)などのアンチペロブスカイト、リチウム-リン-ヨウ素-酸素硫化物、リチウム-リン-酸素硫化物、リチウム-亜鉛-ゲルマニウム硫化物、リチウム-ゲルマニウム-硫化物、たとえば(La,Li)TiOなどのLLTO系化合物、LiLaCaTa12、LiLaANb12(AはCaおよび/またはSr)、LiNdTeSbO12、LiBO2.50.5、LiSiAlO、LAGP化合物(Li1+xAlGe2-x(PO、式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、たとえばAl-TiO-PLiO-LATP化合物、Li1+xAlTi2-x(PO(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiAlZr2-x(PO(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiTiZr2-x(PO(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、LISICON型固体電解質、LIPON化合物(Li3+yPO4-x、式中、0≦x≦1、0≦y≦1)、ペロブスカイト化合物((La,Li)TiO)、たとえばLiTi(POなどのNASICON化合物、たとえばLiOX(XはClまたはBr)などのアンチペロブスカイト、リチウム-アルミニウム-チタン-ケイ素リン酸塩(LATSP)、リチウム-アルミニウム酸化物、リチウム-バナジウム-ゲルマニウム酸化物、リチウム-亜鉛-ゲルマニウム酸化物、たとえばリチウム-ランタン-亜鉛酸化物、リチウム-ランタン-亜鉛-アルミニウム酸化物などのリチウムが詰まったガーネット、リチウム-ランタン-亜鉛-タンタル酸化物、LiN、リチウム-アルミニウム塩化物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0228】
特定の実施形態において、無機固体電解質は固体ナトリウムイオン電池用である。いくつかの実施形態において、固体ナトリウムイオン電池用の無機固体電解質はリチウムがナトリウムに置き換えられた、上述した固体リチウムイオン電池での使用に適した無機固体電解質のナトリウム類似物質である。いくつかの実施形態において、固体ナトリウムイオン電池用の固体電解質はNASICON型無機固体電解質、たとえば75NaS-25Pなどの硫黄およびリンを含むNaPS硫化物、ナトリウムポリアルミネート、およびそれらの組み合わせである。
【0229】
いくつかの実施形態において、固体電解質はゲル電解質である。そのようなゲル電解質は、ポリマ電解質および電解質溶媒を含む。
【0230】
本発明の改良型集電体における導電層の存在により、改良型集電体を使用する電極を備える電池は、非常に優れた電気化学的性能を示す。従来の集電体と比べて、本発明の改良型集電体は、電極に大幅な改善をもたらし、そのような改善は改良型集電体の導電層に存在する個々の構成要素の各々が寄与することによって可能になる。より具体的には、導電材料料は改良型集電体と電極層との間の界面抵抗を低減することにより、電池内の電極の内部抵抗から生じる容量損失を低減する。また導電層は、基板の腐食を防止するための物理的障壁としても機能する。バインダ材料は、導電材料料粒子間および導電材料料粒子と基板との間により効果的な結合性能を提供するだけではなく、電極全体の機械的強度も向上させる。さらに、導電層を生成するために水性スラリーが使用される場合、導電層中のバインダ材料は後に水性電極スラリーが導電層に塗布された場合にも優れた結合特性を維持し続ける。導電層は、基板から分解したり剥離したりすることがない。
【0231】
以下の例は、本発明の実施形態を例示するために提示されるが、本発明を記載される特定の実施形態に限定することは意図されていない。別段の指示がなければ、全ての部分および割合は、重量によるものである。全ての数値は近似値である。数値範囲が記載される場合、記載された範囲外の実施形態も本発明の範囲内であり得ることを理解すべきである。各例で説明される特定の詳細は、本発明の必須の特徴として解釈されてはならない。
【0232】
本発明は、限られた数の実施形態に関して説明したが、1つの実施形態の特定の特徴は、本発明の他の実施形態に帰するべきではない。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書で言及されていない多数の工程を含んでよい。他の実施形態において、方法は本明細書に挙げられていない任意の工程を含まず、または実質的に含まない。説明された実施形態からの変形例および修正例が存在する。添付の特許請求の範囲は、それらの修正例および変形例を本発明の範囲内に収まるものとしてカバーすることを意図している。
【0233】

正極の複合体積抵抗および正極層と改良型集電体との間の界面抵抗は、電極抵抗測定システム(RM2610、HIOKI)を用いて測定された。
【0234】
導電層に使用されたバインダ材料の粘度は、回転粘度計(NDJ-5S、中国、Shanghai JT Electronic Technology Co.Ltd.)を用いて、20℃のDI水中濃度4%で測定された。
【0235】
例1
A)導電材料料混合物の調製
150gのグラファイト粉末(スイス国ボーディオ、Timcal Ltd製)を500gのDI水に添加した。添加の後、混合物を25℃で1000rpmの速度で75分間攪拌し、導電材料料混合物を形成した。
【0236】
B)バインダ材料溶液の調製
バインダ材料は、当技術分野において既知の方法によって調製した。共重合体の構造単位(a)において、R、R、R、およびRのいずれか3つはHであり、R、R、R、およびRのいずれか1つはヒドロキシルである。共重合体の構造単位(b)において、R、R、R、およびRのいずれか3つはHであり、R、R、R、およびRのいずれか1つはアセトキシである。バインダ材料の共重合体における構造単位(a)および構造単位(b)の比率は、共重合体におけるモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ99モル%および1モル%である。例1のバインダ材料の成分およびそれぞれの比率は、以下の表1に示される。
【0237】
次いで、75gのバインダ材料を750gのDI水に添加し、70℃に加熱した。混合物をマグネット攪拌機を用いて600rpmで30分間攪拌し、バインダ材料溶液を形成した。バインダ材料溶液の固形分は、9.1重量%である。共重合体の重量平均分子量は、130,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、30mPa・sである。
【0238】
C)導電性スラリーの調製
150gのバインダ材料溶液を50gの導電材料料混合物に添加した。添加の後、混合物を25℃で1000rpmの速度で15分間攪拌し、導電性スラリーを形成した。導電性スラリーの固形分は、12.6重量%である。
【0239】
D)改良型集電体の作製
16μmの厚さを有するアルミニウム箔を基板として使用した。基板の両面に間隙幅8μmのドクターブレードコータを用いて導電性スラリーをコーティングした。アルミニウム箔にコーティングされた4.5μmのスラリーは、導電層を形成するために、85℃の電熱オーブンを用いて乾燥した。乾燥時間は約30分であった。
【0240】
E)結着剤溶液の調製
380gの蒸留水が入った丸底フラスコに16gの水酸化ナトリウム(NaOH)を添加した。水酸化ナトリウム溶液を80rpmで30分間攪拌し、第1の懸濁液を得た。
【0241】
第1の懸濁液に36.04gのアクリル酸を添加した。この混合物を80rpmで30分間さらに攪拌し、第2の懸濁液を得た。
【0242】
19.04gのアクリルアミド(AM)を10gのDI水に溶解し、AM溶液を形成した。その後、29.04gのAM溶液を第2の懸濁液に添加した。この混合物を80rpmで45分間さらに攪拌し、第3の懸濁液を得た。
【0243】
第3の懸濁液に、12.92gのアクリロニトリル(AN)を添加した。この混合物を80rpmで10分間さらに攪拌し、第4の懸濁液を得た。
【0244】
さらに、0.015gの水溶性フリーラジカル開始剤(過硫酸アンモニウム、APS、中国、Aladdin Industries Corporation製)を3gのDI水に溶解し、0.0075gの還元剤(重亜硫酸ナトリウム、中国、Tianjin Damao Chemical Reagent Factory製)を1.5gのDI水に溶解した。3.015gのAPS溶液および1.5075gの重亜硫酸ナトリウム溶液を第4の懸濁液に添加した。この混合物を55℃、200rpmで24時間攪拌し、第5の懸濁液を得た。
【0245】
反応が完了した後、第5の懸濁液の温度を25℃に下げた。3.72gのNaOHを400gのDI水に溶解した。その後、pHを7.31に調整するために403.72gの水酸化ナトリウム溶液を第5の懸濁液に滴加し、第6の懸濁液を形成した。結着剤は、200μmのナイロンメッシュを用いて濾過した。結着剤溶液の固形分は、9.00wt.%である。
【0246】
F)正極の作製
12gの導電剤(Super P、スイス国ボーディオ、Timcal Ltd製)および100gの結着剤溶液(固形分9.00wt.%)をオーバーヘッド攪拌機(R20、IKA)で攪拌しながら、74gの脱イオン水に分散させることによって、第1の混合物を調製した。添加の後、第1の混合物を25℃、1,200rpmの速度で約30分間さらに攪拌した。
【0247】
その後、276gのNMC811(中国、Shandong Tianjiao New Energy Co.,Ltd製)をオーバーヘッド攪拌機で攪拌しながら、25℃で第1の混合物に添加することによって、第2の混合物を調製した。次いで、第2の混合物を約10kPaの圧力下で1時間脱気した。第2の混合物を25℃、1,200rpmの速度で約60分間さらに攪拌し、均質化正極スラリーを形成した。
【0248】
均質化正極スラリーを120μmの間隙幅を有するドクターブレードコータを用いて、上記で作製された改良型集電体の表面の両面にコーティングした。改良型集電体にコーティングされた80μmのスラリーは、正極層を形成するために、電熱オーブンを用いて70℃で乾燥した。乾燥時間は約10分であった。次いで、電極を正極層の厚さを23μmに低減するために圧縮した。改良型集電体上の正極層の表面密度は、7.00mg/cmである。正極の体積抵抗率は、2.120Ω・cmである。例1の電極層と改良型集電体との間の界面抵抗を測定し、以下の表1に示す。
【0249】
G)コインセルの組立て
上記で作製した正極の電気化学的性能は、アルゴン充填グローブボックス内で組み立てられたCR2032コイン型Liセルで試験した。正極をコイン型セルアセンブリのためにディスク形状に切り分けた。500μmの厚さを有するリチウム金属箔を対電極として使用した。正極および対電極をセパレータによって隔てた。セパレータは、約25μmの厚さを有する不織布(日本国、MPM)で作られたセラミックコーティング微多孔膜であった。それから、電極アセンブリを真空下の箱型抵抗オーブン(DZF-6020、中国、Shenzhen Kejing Star Technology Co.Ltd.製)内で、105℃で16時間乾燥した。
【0250】
次に、それぞれ3ppm未満の水分および酸素含有量を有する高純度アルゴン雰囲気下で充填電極を保持するケース内に電解質を注入した。電解質は、体積比1:1:1のエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジメチルカーボネート(DMC)の混合物にLiPFを溶解した溶液であった。電解質の充填後、コインセルを標準的な円形状の穿孔器を用いて機械的に押圧した。
【0251】
H)電気化学的測定
コインセルをマルチチャネル電池テスタ(BTS-4008-5V10mA、中国、Neware Electronics Co.,Ltd製)を用いて定電流モードで分析した。コインセルをC/20での1サイクルの後、C/2の速度で充電および放電した。セルの充電/放電サイクル試験は、放電容量を得るために、3.0~4.3V、C/2の電流密度、25℃で行った。例1のコインセルの電気化学的性能を測定し、以下の表1に示す。
【0252】
例2~5、7~9、14~18および比較例1~2、4~5の導電材料料混合物の調製
例2~5、7~9、14~18および比較例1~2、4~5の導電材料料混合物を例1と同じ方法で調製した。
【0253】
例6の導電材料料混合物の調製
導電材料料混合物は、200gのグラファイト粉末を500gのDI水に添加したことを除き、例1と同じ方法で調製した。
【0254】
例10の導電材料料混合物の調製
導電材料料混合物は、グラファイト粉末の代わりに150gのカーボンブラック(スイス国ボーディオ、Timcal Ltd製)を使用したことを除き、例1と同じ方法で調製した。
【0255】
例11の導電材料料混合物の調製
導電材料料混合物は、最初に25gのカーボンブラックが500gのDI水に添加し、25℃、1000rpmの速度で15分間攪拌して混合を形成し、次いで125gのグラファイト粉末を混合物に添加し、25℃、1000rpmの速度で60分間さらに攪拌して導電材料料混合物を形成したことを除き、例1と同じ方法で調製した。
【0256】
例12の導電材料料混合物の調製
導電材料料混合物は、最初に25gの気相成長カーボンナノファイバ(VGCF;日本国、昭和電工株式会社製)を500gのDI水に添加し、25℃、1000rpmの速度で15分間攪拌して混合物を形成し、次いで125gのグラファイト粉末を混合物に添加し、25℃、1000rpmの速度で60分間さらに攪拌して導電材料料混合物を形成したことを除き、例1と同じ方法で調製した。
【0257】
例13の導電材料料混合物の調製
導電材料料混合物は、最初に25gのカーボンナノチューブ(CNT;中国、Jiangsu Cnano Technology Co.Ltd.製)が500gのDI水に添加し、25℃、1000rpmの速度で15分間攪拌して混合物を形成し、次いで125gのグラファイト粉末を混合物に添加し、25℃、1000rpmの速度で60分間さらに攪拌して導電材料料混合物を形成したことを除き、例1と同じ方法で調製した。
【0258】
比較例3の導電材料料混合物の調製
比較例3に関して、導電材料料混合物を調製しなかった。
【0259】
例2のバインダ材料溶液の調製
バインダ溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ98モル%および2モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、110,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、20mPa・sである。
【0260】
例3のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、共重合体の重量平均分子量が20,000g/モルであるように調製したことを除き、例1と同じ方法で調製した。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、6mPa・sである。
【0261】
例4のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ98モル%および2モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、16,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、5mPa・sである。
【0262】
例5のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、共重合体の重量平均分子量が200,000g/モルであるように調製したことを除き、例1と同じ方法で調製した。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、66mPa・sである。
【0263】
例6のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、共重合体の重量平均分子量が120,000g/モルであるように調製したことを除き、例1と同じ方法で調製した。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、32mPa・sである。
【0264】
例7のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ96モル%および4モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、78,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、17mPa・sである。
【0265】
例8のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ96モル%および4モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、80,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、17mPa・sである。
【0266】
例9のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ92モル%および8モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、82,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、17mPa・sである。
【0267】
例10~18および比較例4~5のバインダ材料溶液の調製
例10~18および比較例4~5のバインダ材料溶液は、例1と同じ方法で調製した。
【0268】
比較例1のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液は、バインダ材料の共重合体中の構造単位(a)および構造単位(b)の比率が共重合体中のモノマ単位の総モル数に基づいて、それぞれ89モル%および11モル%であることを除き、例1と同じ方法で調製した。共重合体の重量平均分子量は、75,000g/モルである。20℃のDI水中で濃度4%のバインダ材料の粘度は、13mPa・sである。
【0269】
比較例2のバインダ材料溶液の調製
バインダ材料溶液として、固形分9.1wt.%のポリアクリル酸(PAA)溶液750gを使用した。
【0270】
比較例3のバインダ材料溶液の調製
比較例3に関して、バインダ材料溶液を調製しなかった。
【0271】
例2~5、7~18および比較例1~2の導電性スラリーの調製
例2~5、7~18および比較例1~2の導電性スラリーは、例1と同じ方法で調製した。
【0272】
例6の導電性スラリーの調製
導電性スラリーは、例1と同じ方法で調製した。導電性スラリーの固形分は、14.0重量%である。
【0273】
比較例3の導電性スラリーの調製
比較例3に関して、導電性スラリーを調製しなかった。
【0274】
比較例4の導電性スラリーの調製
導電性スラリーは、150gのバインダ材料溶液が250gの導電材料料混合物に添加したことを除き、例1と同じ方法で調製した。導電性スラリーの固形分は、17.8重量%である。
【0275】
比較例5の導電性スラリーの調製
導電性スラリーは、680gのバインダ材料溶液が50gの導電材料料混合物に添加したことを除き、例1と同じ方法で調製した。導電性スラリーの固形分は、10.0重量%である。
【0276】
例2~18および比較例1~2、4~5の改良型集電体の作製
例2~18および比較例1~2、4~5の改良型集電体は、例1と同じ方法で作製した。
【0277】
比較例3の改良型集電体の作製
比較例3に関して、改良型集電体を作製しなかった。
【0278】
例2~18および比較例1~5の結着剤溶液の調製
例2~18および比較例1~5の結着剤溶液を例1と同じ方法で調製した。
【0279】
例2~13および比較例1~2、4~5の正極の作製
例2~13および比較例1~2、4~5の正極を例1と同じ方法で作製した。
【0280】
例14の正極の作製
正極は、正極の作製において、276gのNMC811を同じ重量のNMC622に置き換えたことを除き、例1と同じ方法で作製した。
【0281】
例15の正極の作製
正極は、正極の作製において、276gのNMC811を同じ重量のNMC532に置き換えたことを除き、例1と同じ方法で作製した。
【0282】
例16の正極の作製
正極は、正極の作製において、276gのNMC811が同じ重量のNCAに置き換えたことを除き、例1と同じ方法で作製した。
【0283】
例17の正極の作製
正極は、正極の作製において、276gのNMC811をコアとしてのNMC532およびシェルとしてのLi0.95Ni0.53Mn0.29Co0.15Al0.03を備える同じ重量のコアシェル正極活物質(C-S)に置き換えたことを除き、例1と同じ方法で作製した。
【0284】
例18の正極の作製
正極は、正極の作製において、276gのNMC811を同じ重量のLFPに置き換えたことを除き、例1と同じ方法で作製した。
【0285】
比較例3の正極の作製
正極は、基板の両面に均質化正極スラリーをコーティングしたことを除き、例1と同じ方法で作製した。使用された基板は、16μmの厚さを有するアルミニウム箔である。正極の体積抵抗率は、11.414Ω・cmである。
【0286】
例2~18および比較例1~5のコインセルの組立て
例2~18および比較例1~5のコインセルは、例1と同じ方法で組み立てた。
【0287】
例2~17および比較例1~3の電気化学的測定
例2~17および比較例1~3のコインセルの電気化学的性能は、例1と同じ方法で測定し、試験結果を以下の表1に示す。
【0288】
例18の電気化学的測定
例18のコインセルの電気化学的性能は、セルの充電/放電サイクル試験を放電容量を得るために、2.00~3.65V、C/2の電流密度、25℃で行ったことを除き、例1と同じ方法で測定した。
【0289】
比較例4の電気化学的測定
比較例4のコインセルの電気化学的性能は、例1と同じ方法で測定した。電極層と改良型集電体との間の界面抵抗は、8.437Ω・cmである。0.5Cでの初期放電容量は164mAh/gであり、50サイクル後の容量保持率は78.03%である。
【0290】
比較例5の電気化学的測定
比較例5のコインセルの電気化学的性能は、例1と同じ方法で測定した。電極層と改良型集電体との間の界面抵抗は、18.385Ω・cmである。0.5Cでの初期放電容量は161mAh/gであり、50サイクル後の容量保持率は78.71%である。
【0291】
【表1】
図1a
図1b
【国際調査報告】