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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】歯科インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532727
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 GB2021053124
(87)【国際公開番号】W WO2023099858
(87)【国際公開日】2023-06-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524204470
【氏名又は名称】ランボー・インプラント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラミ・ユシフ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA13
4C159AA15
4C159AA17
4C159AA25
4C159AA27
(57)【要約】
インプラントプラットフォーム及びストラップを含む歯科インプラントであって、ストラップは、下側顎を包囲し、インプラントプラットフォームを下側顎に固着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントプラットフォームとストラップとを備えている歯科インプラントであって、前記ストラップが、前記インプラントプラットフォームを下側顎に固着させるために前記下側顎を包囲するように構成されている、歯科インプラント。
【請求項2】
前記ストラップが、可撓性を有するシートである、請求項1に記載の歯科インプラント。
【請求項3】
前記ストラップが、メッシュを形成するように複数のアパーチャーを有している、請求項1又は2に記載の歯科インプラント。
【請求項4】
穿孔それぞれが、0.7mmの直径を有しているか、又は、多角形の若しくは六角形のアパーチャーの最も狭い幅を横切る0.7mmである、請求項3に記載の歯科インプラント。
【請求項5】
前記ストラップが、前記インプラントプラットフォームに係合するための手段を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項6】
前記ストラップが、金属から作られている、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項7】
前記インプラントプラットフォームが、下顎に挿入するための突起部を備えている、請求項1から6のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項8】
前記インプラントプラットフォームが、クラウンを受容するために、当接部を受容するための当接部受容部分を備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項9】
前記インプラントプラットフォームが、前記ストラップと係合するための手段、及び/又は前記ストラップから係合解除するための手段を備えている、請求項1から8のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項10】
前記インプラントプラットフォームが、下顎に対して前記インプラントプラットフォームを安定化させるための手段を備えている、請求項1から9のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項11】
前記インプラントプラットフォームを安定化させるための前記手段は、前記突起部にバーブを備えている、請求項7に従属する場合の請求項10に記載の歯科インプラント。
【請求項12】
安定化させるための前記手段が、前記インプラントプラットフォームの下顎に面する表面に回転防止スパイクを備えている、請求項10又は11に記載の歯科インプラント。
【請求項13】
前記歯科インプラントの任意の又はすべてのコンポーネントが、オッセオインテグレーションを推進するための材料によってコーティングされている、請求項1から12のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項14】
前記歯科インプラントの任意の又はすべてのコンポーネントが、前記歯科インプラントと前記下側顎の軟部組織との間の摩擦を低減するための材料によってコーティングされているか又は部分コーティングされている、請求項1から13のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項15】
前記歯科インプラントは、クラウンを受け入れるのに適切な当接部をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の歯科インプラント。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の歯科インプラントの一部として使用するのに適切なインプラントプラットフォーム。
【請求項17】
歯科補綴物を受け入れるための受け入れ部分を含むインプラントプラットフォームであって、前記インプラントプラットフォームは、取り付け手段を含み、前記取り付け手段は、ストラップに係合するように構成されており、前記ストラップが前記インプラントプラットフォームを患者の下顎に固着することを可能にする、インプラントプラットフォーム。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか一項に記載の歯科インプラントの一部として使用するのに適切なストラップ。
【請求項19】
インプラントプラットフォームを下顎に固着するためのストラップであって、前記ストラップは、実質的に平坦な可撓性を有するシートと、インプラントプラットフォームに係合するための手段とを含み、前記ストラップは、下顎の周りに巻き付け、インプラントプラットフォームを前記下顎に固着するように構成されている、ストラップ。
【請求項20】
インプラントプラットフォームを下顎に固着するためのストラップであって、前記ストラップは、前記下顎の一部分を包囲するのに十分に大きい長さのものであり、前記インプラントプラットフォームと係合するための手段を含み、前記ストラップは、前記ストラップが前記下顎を包囲するときに、前記手段が前記インプラントプラットフォームと係合することができ、前記インプラントプラットフォームを前記下顎に対して適切な位置に保持することができるように構成されている、ストラップ。
【請求項21】
前記インプラントプラットフォームと係合するための前記手段は、前記ストラップの端部に提供されている、請求項20に記載のストラップ。
【請求項22】
前記インプラントプラットフォームと係合するための前記手段は、前記インプラントプラットフォームを適切な位置に保持しながら、前記下顎の周りでの前記ストラップの締め付けを可能にするように構成されている、請求項20又は21に記載のストラップ。
【請求項23】
インプラントプラットフォームと、請求項18から22のいずれか一項に記載のストラップとを含む、歯科インプラント。
【請求項24】
歯科インプラント及びツールを含むパーツのキットであり、前記歯科インプラントは、ストラップ及びインプラントプラットフォームを含み、前記ストラップは、前記インプラントプラットフォームを患者の下顎に固着するのに適切であり、前記ツールは、前記歯科インプラントを前記下顎の上に植え込むのに適切である、パーツのキット。
【請求項25】
前記ストラップは、請求項18から22のいずれか一項に記載のストラップである、請求項24に記載のパーツのキット。
【請求項26】
前記インプラントプラットフォームは、請求項17に記載のインプラントプラットフォームである、請求項24又は25に記載のパーツのキット。
【請求項27】
アディティブマニュファクチャリングデバイスによる実行のためのコンピューターインストラクションを記憶する不揮発性メモリーであって、前記コンピューターインストラクションは、前記アディティブマニュファクチャリングデバイスによって実行されると、請求項1から15に記載のインプラントプラットフォーム又はストラップを前記アディティブマニュファクチャリングデバイスが製造することを引き起こす、不揮発性メモリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科インプラントに関し、具体的には、下側顎の中へ挿入するための歯科インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラントは、歯科補綴物(たとえば、クラウン、ブリッジ、義歯、顔面補綴物など)を支持するために、又は、歯科矯正用アンカーとして作用するために、顎の骨又は頭蓋骨とインターフェースする外科的コンポーネントである。
【0003】
歯科インプラントは、インプラントの材料(たとえば、チタンなど)が骨との親密な結合を形成する生物学的なプロセスであるオッセオインテグレーションに依存する。インプラントフィクスチャーは、最初に、それがオッセオインテグレートしやすいように設置され、次いで、歯科補綴物が追加される。歯科補綴物がインプラントに取り付けられる前か、又は、歯科補綴物を保持するための当接部がインプラントに接続される前のいずれかに、オッセオインテグレーションのために、さまざまな量の治癒時間が必要とされる。
【0004】
手術前、手術中、及び手術後に関係して、現在の処置に関係する多数のリスク及び合併症が存在している。たとえば、インプラントの成功又は失敗に影響を与える手術前の条件は、治療を受ける人の健康、オッセオインテグレーションの可能性に影響を与える医薬品、ならびに、口の中の骨及び組織の健康を含む。オッセオインテグレートされた歯科インプラントの長期的な成功のための前提条件は、健康な骨及び歯肉である。抜歯後に骨又は歯肉のいずれかは委縮又は退化する可能性があるので、補綴前処置(たとえば、骨移植、サイナスリフト、又は歯肉移植など)は、理想的な骨及び歯肉を再生成することを必要とされる場合がある。
【0005】
著しい骨の喪失が存在する場合、歯交換方法として従来のインプラントを設置することは非常に困難である。骨を交換するために、下顎又は顎の枝(ramous)からの自家骨移植などのような代替的な方法が利用可能である。これらの処置は、60%の成功率を有するのみであり、加えて、患者にとって不快である可能性がある。術後の感染のリスクの増加、及び、処置自体の困難さ(それは、歯科医への要求が非常に厳しい)などのような要因は、骨移植又は骨の一体化の失敗が一般的であるということを意味している。
【0006】
歯科インプラントの設置は、外科的処置であり、感染、過度の出血、及び、インプラントの周りの組織のフラップの壊死を含む、外科手術のリスクを伴う。また、近隣の解剖学的構造(たとえば、下歯槽神経、上顎洞、及び血管など)は、骨切り術が生成されるか又はインプラントが設置されるときに、損傷される可能性がある。インプラントの安定性を提供するようにインプラントを骨の中に設置することができないことは(インプラントの1次的安定性と称される)、オッセオインテグレートする失敗のリスク、及び、周囲の組織へのさらなる損傷を増加させる。
【0007】
また、現在の処置は、生体力学的な要因に関係するリスクも伴い、ここでは、インプラントの幾何学形状は、片持ち梁状の延長部が存在しているときなど(歯根よりも少ないインプラント、又は、歯を支持するインプラントよりも長い歯、又は、不十分なクラウンと歯根との比率)、自然の歯が行うのと同じように歯を支持しない。同様に、骨の不足又は低い直径のインプラントと一緒に歯を削ることは、生体力学的なリスクを増加させる。最後に、技術的な問題が存在しており、そこでは、破壊に起因して、又は、インプラントが支持するように意図している歯の保持力の喪失に起因して、インプラント自体が機能しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、インプラントプラットフォーム及びストラップを含む歯科インプラントであって、ストラップは、インプラントを下側顎に固着するように、下側顎を包囲するのに適切である、歯科インプラントに関する。
【0009】
「歯科インプラント」という用語は、アッセンブリ(たとえば、インプラントプラットフォーム、ストラップ、及び当接部)を意味するように意図されている。インプラントプラットフォームは、当接部を受け入れることができる可能性がある。当接部は、歯科補綴物(たとえば、クラウン、ブリッジ、若しくは義歯)を固定するのに適切であることが可能であり、又は、クラウン、ブリッジ、若しくは義歯、又は他の補綴物を固定するための任意の他の適切な手段であることが可能である。1つの実施形態では、インプラントは、歯科補綴物も含む。
【0010】
ストラップは、可撓性を有するシートであることが可能である。ストラップは、メッシュを形成する複数のアパーチャーを有することが可能である。アパーチャーは、形状に関して円形又は六角形であることが可能である。アパーチャーは、0.7mmの直径を有することが可能であり、又は、六角形であるときには、0.7mmの最も幅広い寸法を有することが可能である。アパーチャーは、下側顎の骨のための「呼吸スペース」を提供し、それによって、インプラントに応答して再吸収する骨の自然な傾向を緩和し、また、骨がオッセオインテグレートすることを促すためのアパーチャーを提供する。
【0011】
ストラップは、下側顎を完全に包囲するように構成されている。下側顎の周りの組織は、ストラップが骨に対して座るように、歯科医によって下顎から係合解除されることが可能であり(「エレベートされる(elevated)」としても知られる)、次いで、組織は再固定されることが可能である。この配置は、その形状に起因して、ならびに、血液供給及び脳神経が、下側顎の中央を通るチャネル(孔)の中にあるので、下側顎に対して特異的に機能する。したがって、歯科医は、神経又は血液供給を損傷することなく、下側顎を取り囲む組織を変位させることが可能である。そうであるので、骨の周りにストラップを巻き付けるメカニズムは、この特定の解剖学的構造に対して、その解剖学的構造を損傷することなく可能である。この配置は、骨の中へドリル加工する必要性を回避する。
【0012】
ストラップは、インプラントプラットフォームに係合するための手段を含むことが可能である。インプラントプラットフォームは、下顎に面する表面を含むことが可能であり、下顎に面する表面は、実質的に平坦であることが可能であり、下顎表面の上に座るように構成されることが可能である。別の実施形態では、下顎に面する表面は、下顎の中への挿入のための突起部を含む。代替的な実施形態において、突起部が存在している場合、又は、保持力が不十分である場合、パイロット孔部が、随意的に、適切な位置に歯科医によって生成されることが可能であり、ここでは、そのような孔部は、皮質骨を通してドリル加工されることとなるが、下顎の皮質板を穿刺することとはならない。突起部は、パイロット孔部の中へ挿入されることが可能である。下側顎の骨質量の中へ植え込まれる従来のインプラントに関して、インプラントのための十分なアンカー固定を提供するために、及び、下側顎の中を通る神経にインプラントが接近することを防止するために、最小体積の骨が必要とされるということが認識されるであろう。したがって、弱くなった又は細くなった下側顎を有する患者にとって、植え込み部位において利用可能な骨の体積を増加させることが必要である可能性がある。
【0013】
実施形態の歯科インプラントは、ストラップによって下側顎にアンカー固定され、下側顎の骨構造を貫通する必要がないので、したがって、本明細書で説明されている実施形態は、骨移植又は骨のディストラクション(distraction)の必要性を回避する。パイロット孔部が必要とされる場合、必要とされる深さは、従来のインプラントよりも著しく小さい。歯科インプラントは、下側顎の上の任意の歯を交換するために使用されることが可能である。好ましくは、歯科インプラントは、下側顎の遠位部分における歯を交換するのに適切である。
【0014】
ストラップは、下側顎の一部分を完全に包囲するのに十分に長くなるように構成されている。したがって、ストラップは、形状に関して、2つの端部及び2つの長い側部を有する実質的に長方形になっている。ストラップは、周囲の組織がストラップの周りのその位置に戻されることが可能であるように、細くなっていることが可能であり、それによって、そのエリアへの外傷を最小化する。好ましくは、ストラップは、厚さに関して0.05mmから0.25mmの間にある。
【0015】
ストラップ端部は、もとの歯根があった位置において下側顎の上部表面において出会うことが可能である。ストラップ端部は、互いに取り付けるための、若しくは、インプラントプラットフォームに取り付けるための、又は、その両方に取り付けるための手段を含む。ストラップは、それが下側顎に対して円周方向に又は軸線方向に移動することができないように固定されることが可能である。これは、たとえば、咀嚼する間などに、下側顎及び周囲の歯に作用する横方向の力及び咬合力が最小化されることを保証する。ストラップは、可撓性であることが可能である。ストラップは、下側顎に対してフィットするように弾性的に変形可能であり得る。
【0016】
ある実施形態において、アパーチャーの代わりに、ストラップは、チェーンメール(chainmail)の構造と同様の2次元シート構造を形成するように、少なくとも2つの直交する方向にリング構造に隣接する他のリングと連結される複数のループ又はリング(たとえば、金属リングなど)から構成されることが可能である。小さな金属リングは、機械加工されるか、アディティブマニュファクチャリング、レーザー切断、又は任意の他の適切な技術を使用して作り出されることが可能である。個々のループが形成される場合には、これらのループは、その後に、上記に説明された様式で互いに連結されることが可能である。代替的に、リングがアディティブマニュファクチャリングを使用して生成される場合には、リングは、リングが成長するにつれて、及び、リングが閉じられる前に、それらがすでに連結されるような方式で生成されることが可能である。また、金属ループの中の孔部は、ストラップアパーチャーに関して議論されているように、下側顎の骨のための「呼吸スペース」を提供する。
【0017】
代替的に、ストラップは、織られたスレッドから構成されることが可能であり、又は、そのように構成されているセクションを含むことが可能である。織られた構造体は、アパーチャーが隣接するスレッドの間に残されないように織られることが可能であり、又は、たとえば、隣接するスレッドの間に少なくとも1つのスレッドの幅のアパーチャーを提供するために、より緩く織られることが可能である。緩く織られたスレッドは、ストラップのアパーチャーと同様の利益を提供する(たとえば、「呼吸スペース」)。織られたスレッドは、金属であることが可能である。代替的に、織られたスレッドは、ポリマー材料(たとえば、ポリプロピレン又はPTFEなど)であることが可能である。織られたスレッドは、可撓性を可能にするのに十分に細くなっていることが可能である。構造体は、長方形形状の織られたシートに似ていることが可能である。
【0018】
ストラップ構造体が金属スレッド又はチェーンメールから作られている場合、それは、周辺縁部において(端部及び/又は長い側縁部において)レーザー溶接された交差点を含むことが可能であり、スレッドを適切な位置に固定し、ストラップの安定性を増加させる。代替的に、織られた材料の端部及び長い側縁部のうちのいくつか又はすべては、化学的な処理、機械的な処理、熱処理、又は溶媒処理によって、結合されることが可能である。ストラップは、代替的に、チェーンメール及び織られたスレッドの組み合わせから構成されることが可能であり、周辺縁部は、上記に議論されている方法のいずれかによって結合されることが可能である。
【0019】
ストラップは、骨と一体化できる金属材料を含むことが可能である。金属材料は、チタンであることが可能である。代替的に、材料は、医療用グレードのスチール、コバルトクロム、ジルコニウム、チタン合金、又は、医療用グレードのポリマーであることが可能である。追加的に又は代替的に、歯科インプラントとして使用するのに適切な機械的特性(すなわち、適当な摩耗特性、引張強度及び圧縮強度、破壊靭性)を含む任意の材料が、使用されることが可能である。
【0020】
1つの実施形態では、ストラップは、ストラップの一部分に形状記憶特性を導入するために処理可能である。これは、普通ではない解剖学的構造を有する患者にとって有用である可能性がある(たとえば、典型的な下側顎断面は、実質的に楕円体であるが、下側顎は、ファビフォーム(fabiform)又は「豆形状」であることも考えられ得る)。患者がそのような解剖学的構造を有する場合、包囲するストラップと下側顎の凹形部分との間にギャップが存在することとなる。したがって、1つの実施形態では、NiTi合金を含むストラップは、そのような骨形状にフィットすることができる、より硬くて湾曲した部分を形成するように熱処理されることが可能である。歯科医は、X線又はCTスキャンを使用し、患者の解剖学的構造を確立し、この特性が必要であるかどうかを確立することが可能である。
【0021】
ストラップは、下側顎を完全に包囲するように構成されている。これは、植え込み処置をより安全にする。下顎に応じて、特定の状況では、ドリル加工が必要とされない可能性があるので、したがって、骨の破壊のリスク、又は、脳神経の中へのドリル加工、又は、骨の中心部での血液供給が、著しく低減されるか又は少なくとも緩和される。
【0022】
ストラップは、それが可撓性であるように構成されており、さまざまな幾何学形状の下側顎に対して緊密にフィットすることが可能であり、したがって、さまざまな患者にとって適切であることが可能である。ストラップは、それが単一の歯の幅であるようにサイズ決めされることが可能である。代替的に、ストラップは、患者の解剖学的構造に応じて、サイズに関して調節可能であり得る。歯科医は、患者の解剖学的構造を確立するために、X線又はCTスキャンを使用するオプションを有することが可能であり、ストラップは、患者の解剖学的構造に応答して、植え込みの前に歯科医によって、フィットするように機械加工されるか、又は、単に適切なサイズにカットされることが可能であり、それによって、多様性及び患者カスタマイズ性を提供する。
【0023】
好ましくは、ストラップは、下側顎に圧力を働かせるほどにはきつくなく、骨がオッセオインテグレートすることを可能にするのに十分に親密に座る。これは、骨の中へのドリル加工なしに歯インプラントを植え込む方式を提供する。しかし、実際には、及び、歯科医のオプションで、円筒形状の下顎突起をとるために、浅いパイロット孔部が生成されることが可能であり、それは、有利であることとなる。
【0024】
ストラップは、インプラントプラットフォームに係合するための手段を含むことが可能である。インプラントプラットフォームに係合するための手段は、インプラントプラットフォームの上の相補的な特徴と係合する片持ち梁アーム又は受け入れアパーチャーを含むことが可能である。ストラップは、インプラントプラットフォームに取り付けるように構成されており、インプラントプラットフォームを下側顎に対して適切な位置に保持する。ストラップは、代わりに、適切な締結具を有する任意のタイプのインプラントに取り付けられることが可能である。
【0025】
ストラップは、たとえば、インプラントプラットフォームの第1の側部に恒久的に取り付けられることが可能であり、インプラントプラットフォーム及びストラップのいずれか又は両方は、取り付け手段を含むことが可能であり、ストラップがインプラントプラットフォームの第1の側部とは反対側においてインプラントプラットフォームに取り付けることが可能であるようになっている。たとえば、ストラップは、プラットフォームにすでに固着されていることが可能であり、使用時に、ストラップの自由端部は、下側顎の周りに巻かれ、次いで、自由端部は、ストラップの反対側端部に接続されるか、又は、プラットフォームに直接的に接続される。
【0026】
代替的に、ストラップは、コードを含み、コードは、インプラントプラットフォームの上のアイレット又は他のフープ構造体に結び付けられることが可能である。ストラップの上の取り付け手段は、ストラップの端部の一方において少なくとも1つの緩い端部又はコードを含むことが可能である。代替的に、ストラップは、ストラップの角部のうちの2つ又は4つにおいて、2つの又は4つのコードを含むことが可能である。ストラップが1つの端部のみに1つの又は2つのコードを含む場合、ストラップは、他方の端部においてインプラントプラットフォームに取り付けるための代替的な手段を含むことも可能である。
【0027】
取り付け手段は、ストラップをインプラントプラットフォームに取り付けるように構成されることが可能であるだけでなく、使用時に、ストラップとインプラントプラットフォームとの間の接続を維持又は増加させながら、下側顎の周りにストラップを締め付けること(好ましくは、徐々に締め付けること)も可能にするように構成されることが可能である。別の実施形態では、ストラップは、片側においてインプラントプラットフォームに恒久的に取り付けられていない。その代わりに、上記に説明されている徐々に締め付け可能な取り付け手段は、インプラントプラットフォームの両側に提供されることが可能である。
【0028】
代替的に、ストラップ及びインプラントプラットフォームは、ストラップがインプラントプラットフォームの一方の側部にしっかりとアンカー固定されることが可能であり、ストラップがアンカー固定されている側部とは反対の側部に、徐々に締め付け可能な取り付け手段が提供されるように構成されることが可能である。さらに別の実施形態では、徐々に締め付ける手段が提供されることが可能であり、それは、2つのストラップ端部の互いに対する相対的な徐々に締め付ける移動を可能にし、それによって、そのような締め付ける移動は、締め付け手段との締め付け係合を増加させる。インプラントプラットフォームは、締め付け手段に接続されることが可能であり、たとえば、下側顎に最も近い締め付け手段の側部とは反対側の締め付け手段の上にそれが載るようになっている。摩擦がインプラントプラットフォームを下側顎にアンカー固定する程度までストラップが締め付けられることは必須ではない。その代わりに、アンカー固定は、好ましくは、ストラップとの又はその中のアパーチャーとのオッセオインテグレーションによって提供される。
【0029】
インプラントプラットフォームは、形状に関して概して直方体であることが可能である。インプラントプラットフォームは、使用時に骨表面に接触する1つの表面を有することが可能である。骨接触表面は、インプラントプラットフォームの「底部」面であることが可能である。インプラントプラットフォームは、骨接触表面の反対側に位置する第2の表面を有することが可能である。第2の表面は、当接部及び歯科補綴物を保持するように構成されているエリアを含むことが可能である。歯科補綴物は、プラットフォームの中央に座ることが可能であり、したがって、歯インプラント保持エリアは、プラットフォームの中央にあることが可能である。プラットフォームは、骨の移植又はディストラクションの必要性なしに、凹んだ骨組織の場合に、歯インプラントのための固定エリアを提供することが可能である。
【0030】
歯インプラント保持表面は、インプラントプラットフォームの「上部」表面であることが可能である。インプラントプラットフォームの上部表面は、追加的に、ストラップをインプラントプラットフォームに取り付けるための取り付け手段を有することが可能である。ストラップ取り付け手段は、ストラップの上の片持ち梁アーム又は受容開口部に係合するのに適切な突出部、又は締結具、一連の突出部/締結具であることが可能である。ストラップ取り付け手段は、歯インプラント保持エリアの片側又は両側に提供されることが可能である。ストラップ取り付け手段は、ストラップの上の係合特徴とインターフェース接続することができる突出部/締結具を含むことが可能である。「係合手段」及び「取り付け手段」という用語は、本明細書で相互交換可能に使用されている。突出部/締結具は、インプラントプラットフォームと一体的に形成されることが可能である。突出部/締結具は、インプラントプラットフォームの中へ機械加工されることが可能である。
【0031】
代替的に、突出部/締結具は、インプラントプラットフォームに固着された別個のコンポーネントであることが可能である。
【0032】
締結具は、ワイヤーロックピンタイプ締結具、プッシュマウントを備えたケーブルクランプ、ネイルケーブルクリップ、バックルタイプクリップ、又は、緩い端部を表面に取り付けるのに適切な任意の他の締結手段であることが可能である。代替的に又は加えて、歯科医は、ループフィクスチャーの周りでの外科結び又は固め結びでストラップの上の締結手段を結ぶことが可能である。複数の締結具が存在することが可能である。
【0033】
インプラントプラットフォームは、骨と一体化することができる金属材料を含むことが可能である。金属材料は、チタンであることが可能である。代替的に、材料は、医療用グレードのスチール、コバルトクロム、ジルコニウム、チタン合金、又は医療用グレードのポリマーであることが可能である。追加的に又は代替的に、歯科インプラントとして使用するのに適切な機械的特性(すなわち、適当な摩耗特性、引張強度及び圧縮強度、破壊靭性)を含む任意の材料が、使用されることが可能である。
【0034】
骨接触表面は、下側顎の上部表面の輪郭にフィットするように湾曲していることが可能である。骨接触表面は、コーティングされることが可能である。コーティングは、ヒドロキシアパタイト、フッ化物、又はカルシウムベースの材料であることが可能である。コーティングは、表面積を増加させるための、又は、骨取り付け若しくは内方成長を推進するための任意の他の材料であることが可能である。骨接触表面は、同様に又は代わりに、たとえば、サンドブラスト技法を使用して粗面化され、骨への取り付け又は内方成長のための表面積を増加させることが可能である。
【0035】
ある実施形態において、下顎に面する表面は、下顎に対してプラットフォームを安定化させるための手段を含むことが可能である。インプラントプラットフォームを安定化させるための手段は、下顎に係合して回転を防止するためのスパイクを含むことが可能である。スパイクは、下顎に面する突起部の周りに同心円状に位置決めされている円形配列で提供されることが可能である。しかし、スパイクは、他の構成であることも可能であるということが理解されるであろう。スパイクは、ピラミッド形状の、四角錐形状の、円錐形状の突出部であることが可能である。骨表面に係合するための他の適切な幾何学形状も想定される。
【0036】
プラットフォームの中央は、当接部にとって適切な凹部を有することが可能である。代替的に、インプラントプラットフォームは、当接部を受け入れるための突起部を含む。突起部又は凹部の幾何学形状は、当接部に対して相補的であることが可能であり、2つのコンポーネントが一緒にフィットすることができるようになっている。当接部受け入れ突起部は、一旦接続されたときに当接部を突起部にアンカー固定する手段を含むことが可能である。このアンカー固定手段は、機械的な手段、コーティング、又は任意の他の適切な手段であることが可能である。当接部をアンカー固定する手段は、当接部及び突起部の係合表面の上のネジ切りであることが可能である。1つの実施形態では、突起部の外側表面の上のネジ切りは、当接部の内側表面の上のネジ山に対して相補的であることが可能である。当接部受け入れ突起部は、歯科補綴物を位置決めするためのガイドを含むことが可能である。
【0037】
説明されている配置の利益は、当接部及び歯科補綴物が交換可能であり得るということである。現在の処置の間に、インプラントが骨の中へ直接的に挿入されるときに、それは、周囲の骨と融合し、したがって、インプラントの交換が必要である場合、除去処置の間に骨の破壊のリスクが高い。本発明の配置では、インプラントプラットフォームは、適切な位置に留まることが可能であり、当接部及びクラウンは、必要な回数だけ交換されることが可能である。たとえば、インプラントを備えた若い世代ほど、彼らの寿命時間に交換インプラントを必要とする可能性が高い。その理由は、時間の経過とともに及び加齢によって骨が自然に再吸収するからである。再吸収された骨は、取り付けるためのより少ない材料を提供し、したがって、交換インプラントのためにさらなるドリル加工が必要とされる場合、インプラントは、脳神経及び血液供給に徐々に近付いていく。
【0038】
ある実施形態において、下顎に面する突起部の代わりに、インプラントプラットフォームは、底部(又は、骨表面に面する側部)において小さな孔部を含むことが可能である。パイロットスクリューは、孔部を通して挿入されることが可能であり、下にある骨の中へねじ込まれることが可能である。スクリューのヘッドは、孔部よりも大きくなっていることとなり、スクリューのネジ山付きパーツのみが孔部を通ってフィットすることができるようになっている。したがって、パイロットスクリューがインプラントプラットフォームの下の骨の中へねじ込まれたときに、インプラントプラットフォームは、骨とスクリューのヘッドとの間に挟まれる。
【0039】
代替的に、パイロットスクリュー又は下顎に面する突起部の上に追加的なアンカー固定手段が存在しており、それと周囲の骨との間の接触の表面積を増加させる。これらの構成は、インプラントにさらなる安定性を提供し、インプラントプラットフォームの任意の不必要で潜在的に有害な移動を防止する。これは、骨がインプラント及び又はストラップとオッセオインテグレートするための時間を有する前に、植え込みの直後にとりわけ重要である。
【0040】
パイロットスクリューが必要とされる実施形態では、パイロットスクリューは、下側顎に対して小さくなっていることが可能である。パイロットスクリューは、長さに関して1~4mmであることが可能である。したがって、それは、中心に位置決めされている脳神経又は血液供給を損傷するリスクをもたらさない。
【0041】
実施形態によれば、(i)下顎の頂部側に歯槽頂切開を行い;(ii)歯茎/歯肉のフラップを下顎の周りに円周方向に反射させ、歯茎と骨との間にいくらかのスペースを生成し;(iii)下側顎の上側表面と接触するように、下顎の上部表面の上にインプラントプラットフォームをフィットさせ;(iv)下側顎の周りにストラップを巻き付け;(v)ストラップ端部をインプラントプラットフォームに固定し、それによって、インプラントプラットフォームを下顎に固定するように、歯科医に指示するステップを含む、トレーニングの方法が存在している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】露出された下顎の斜視図である。
図2】下顎の上のインサイチュ(in-situ)でのインプラントプラットフォームを示す図である。
図3】下顎を包囲するストラップを備えたインプラント、インプラントプラットフォーム、及びストラップを示す図である。
図4】下顎を包囲するストラップを備えたインプラント、インプラントプラットフォーム、及びストラップを示す図である。
図5】下顎をさらに包囲するストラップを備えたインプラント、インプラントプラットフォーム、及びストラップを示す図である。
図6】ストラップが下顎及びインプラントプラットフォームを包囲し、インプラントプラットフォームに固定された状態のインプラントを示す図である。
図7】下顎及びインプラントプラットフォームを包囲するストラップを備えたインプラント、ならびに、ネジ山付きフェルールを示す図である。
図8】下顎及びインプラントプラットフォームを包囲するストラップを備えたインプラント、ならびに、ネジ山付きフェルールを示す図である。
図9図9A及び図9Bは、実施形態によるインプラントプラットフォームの上面及び下面斜視図である。
図10】実施形態によるインプラントプラットフォームを描く図である。
図11A】実施形態による当接部を示す図である。
図11B】実施形態によるインプラントプラットフォームに固着された当接部を示す図である。
図12A】実施形態によるインプラントプラットフォームを示す図である。
図12B】実施形態によるインプラントプラットフォームに固着された当接部を示す図である。
図13A】実施形態によるストラップを示す図である。
図13B】ストラップの上のアパーチャーを示す図である。
図14】実施形態によるストラップを示す図である。
図15図15A図15Dは、実施形態によるさまざまなストラップバックル幾何学形状を示す図である。
図16図16A及び図16Bは、実施形態によるバックルを示す図である。
図17図17A及び図17Bは、実施形態によるストラップを示す図である。
図18図18A及び図18Bは、実施形態によるインプラントプラットフォームを示す図である。
図19図19A図19Dは、実施形態によるインプラントを示す図である。
図20図20A図20Dは、実施形態によるインプラントを示す図である。
図21図21A図21Dは、実施形態によるインプラントアッセンブリを示す図である。
図22図22A図22Dは、実施形態によるネジ山付きフェルール及びツールを示す図である。
図23図23A及び図23Bは、実施形態によるインプラントプラットフォームを示す図である。
図24】実施形態によるインプラントプラットフォームを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1から図8は、インプラントの挿入の間のさまざまな段階における下側顎10を示している。インプラントは、下顎10の中への挿入のためのインプラントプラットフォーム14と、インプラントプラットフォーム14を適切な場所に固定するためのストラップ40と、インプラントプラットフォーム14に固定可能であり、インプラントクラウン(図示せず)を受け入れるための(図11に示されているような)当接部30とを含む。したがって、インプラントプラットフォーム、ストラップ、当接部、及び組み合わせのさまざまな例が、図9から図24に示されている。
【0044】
図1は、下側顎10を描いている。処置の前に、下側顎10のセクションは、植え込みのための部位12を示すために、下顎を包囲する周囲の組織を変位させる/係合解除する/「エレベートする」ことによって露出される。たとえば図1において、下顎10を取り囲むセクションが係合解除されており、おおよそ黒いボックスの中の組織のセクションは、骨を露出するように変位されている。これは、適当な神経ブロック剤を使用して患者に麻酔をかけることによって行われることが可能である。歯槽頂切開が、外科用メスを使用して、奥歯及び前歯が存在する頂部側(咬合側)において行われる。骨膜エレベーターが、歯茎/歯肉のフラップを反射させるために使用され、歯科医は、フラップを円周方向に反射させ続けることが可能である。これは、歯茎と顎との間にいくらかのスペースを生成する。次いで、歯科医は、必要と認められる場合には、顎骨を削ることが可能である。
【0045】
図2では、インプラントのための部位12は、インプラントのために露出されている。いくつかの実施形態において、インプラントは、部位12において下顎の上に直接的に設置されている。他の実施形態において、インプラントプラットフォーム14を受け入れるために、小さな孔部が、2.5mmの最大深さまでドリル加工されている。小さな孔部が使用される場合、インプラントプラットフォーム14のベースにおける突起部が、小さな孔部の中へ挿入され、それを適切な位置に固定し、インプラントプラットフォーム14の残りの部分が下顎の上に座るようになっている。
【0046】
図3に示されているように、ストラップ40の端部は、インプラントプラットフォーム14と接続しており、下顎10の周りに巻き付けられている。図3では、ストラップの実施形態が示されており、開口部48を備えたストラップ40の第1の端部は、インプラントプラットフォーム14の当接部受け入れ突起部20の上にループ状にされている。インプラントの配向は、骨の上のストラップ40のドレープによって影響を及ぼされ、したがって、歯科医は、下顎10の上のストラップ40のドレープを調節することによって、インプラントプラットフォームの配向を調節するための機会を提供され、インプラント設置を周囲の歯にマッチさせることを可能にする。
【0047】
図4に描かれているように、ストラップ40は、下顎の周りに巻き付けられており、ストラップ40の係合特徴52がインプラントプラットフォーム14の上の突出部60(図20Dに示されている例では、4つのそのような突出部が示されているが、とりわけ本明細書で開示されている他の図から、他の数の突出部が代わりに提供されることも可能であるということが認識されるであろう)に係合するように整合されている。示されている実施形態では、ストラップ40の第2の端部における細長い開口部62は、当接部受け入れ突起部20の上にループ状にして戻すことによって、インプラントプラットフォーム14と接続し、ストラップ40の端部をストラップ40の残りの部分に対して整合させる。
【0048】
図4は、下顎10の周りにループ状にされているストラップ40を描いている。ストラップ40の表面は平坦であり、ストラップ40が骨の上に平坦にされることを保証する。ストラップ40の表面は、骨の凸形表面に対してコンプライアントであり、親密な接触を生成する。しかし、ストラップ40は、骨の凹形表面をブリッジしている。別の実施形態では、ストラップ40は、インプラントプラットフォーム14の突起部20の上にストラップ40の端部をループ状にする前に、最初に下顎の骨の周りに緩く巻き付けられている。
【0049】
図5は、突起部20の上にしっかりとループ状にされている(細長い開口部62を備えた)ストラップ40の端部を図示しており、係合特徴52と突出部60との間の係合を示している。
【0050】
図6は、露出された下側顎の上のインサイチュでのインプラントプラットフォーム14及びストラップ40の斜視図を示す概略図である。図6に示されているように、ストラップ40の緩い端部は、骨の表面の上に滑らかにされている。いくつかのケースでは、ストラップ40の緩い端部は、縫合糸を使用してさらに固定されるか又は除去されることが可能である。
【0051】
図7が示すように、いくつかの実施形態において、ネジ山付きフェルール78は、インプラントプラットフォーム14の突起部20の上に静かにガイドされ、ネジ山付きフェルール78とインプラントプラットフォーム14との間にストラップ40を挟む。図8によって図示されているように、ネジ山付きフェルール78は、ストラップ40の2つの端部を一緒にしっかりと保持して固定する。図8は、下側顎10の上のインサイチュでのインプラントプラットフォーム14、ストラップ40、及びネジ山付きフェルール78を示す概略図である。
【0052】
後続の図に示されることとなるように、当接部30が、インプラントプラットフォーム14及び/又はネジ山付きフェルール78に固着される。その後に、クラウン又は交換歯が、当接部30の上にフィットされ、歯がインプラントの上方に及び周囲の歯と同じレベルに座るようになっている。
【0053】
インプラントの特定の特徴が、下記に議論されている。
【0054】
図9は、実施形態によるインプラントプラットフォーム14を図示している。インプラントプラットフォーム14は、下側顎に係合するための下顎に面する表面16と、当接部受け入れ表面24とを含む。当接部受け入れ表面24は、インプラントの上側表面とも称される。当接部受け入れ表面24は、当接部を受け入れるための突起部20を含む。示されているように、突起部20は、幾何学形状に関して実質的に円筒形状になっている。いくつかの実施形態において、インプラントプラットフォーム14の当接部受け入れ表面24は、ストラップ40と係合するための少なくとも1つの突起部も含む。
【0055】
図9A及び図9Bに示されている実施形態では、インプラントプラットフォーム14は、湾曲した上側表面24を含む。湾曲した上側表面24は、ストラップ40の曲がり又はよじれを防止する湾曲で、ストラップが表面の上に垂らして掛けられることを可能にする。上側表面の湾曲は、ストラップ40が下側顎の骨に対して緊密に座ることをさらに保証し、ストラップ40と下側顎の骨との間の接触面積を増加させる。表面積の増加は、ストラップ40と下側顎の骨とのオッセオインテグレーションに有益である。
【0056】
インプラントプラットフォーム14は、インプラントプラットフォーム14の下側に、下顎に面する表面16を含む。下顎に面する表面16は、本明細書では、ベース表面16とも称される。インプラントプラットフォーム14は、下顎に面する表面16の上に突起部18(又は、スピゴット)を有している。突起部18は、下顎10の中の(通常はドリル加工された)孔部の中への挿入のためのものである。突起部18は、円錐台形状の終端部を備えた円筒形状になっている。使用時に、突起部18は、下顎の中へ延在しており、下顎10に対するインプラントプラットフォーム14の横方向移動を制限する。
【0057】
ある実施形態において、インプラントプラットフォーム14の下顎に面する表面16は、部位12において下顎の骨に係合するための複数のスパイク22を含む。スパイク22は、インプラントプラットフォーム14をさらに安定化させ、下顎10に対するインプラントプラットフォーム14の横方向移動及び回転を防止する。スパイク22によって提供される表面積の増加、及び、骨との緊密な接触は、下顎に面する表面16と部位12における骨との間のオッセオインテグレーションを促す。示されているように、ある実施形態において、スパイク22は、円形配列になっており、ベース突起部18の周りに同心円状に位置決めされている。しかし、スパイクは、他の構成であってもよいということが理解されるであろう。スパイク22は、ピラミッド形状の、四角錐形状の、円錐形状の突出部である。骨表面に係合するための他の適切な幾何学形状も想定される。
【0058】
図10は、実施形態によるインプラントプラットフォーム14を示している。スパイク22は、ベース表面16の周辺部の周りに位置決めされている。上側表面24の湾曲は、より大きくなっており、ストラップがよじれるのをさらに保護し、インサイチュにあるときに、下顎の周りにストラップをガイドする。
【0059】
図11Aは、実施形態による当接部30を示している。当接部30のベース表面31は、インプラントプラットフォーム14の上側表面24に一致するように輪郭決めされている。このように、当接部30は、歯科医によって正しい位置に容易にガイドされることが可能である。当接部30は、交換されることとなる歯の位置及びタイプに適するように、より細長くなっていることが可能であり、又は、示されているように、低減された高さを有することが可能である。図11Bは、インプラントプラットフォーム14の上の適切な位置にある当接部30を示している。当接部30は、受け入れ部分33を含み、受け入れ部分33は、クラウンを受け入れるように形状決めされており、ソケットヘッド螺旋スクリューを受け入れるように形状決めされている。
【0060】
図12Aは、実施形態によるインプラントプラットフォーム14を示している。インプラント側部26は、滑らかな丸みを帯びた表面を有しており、インプラントプラットフォーム14を粗い表面及び鋭い縁部よりも周囲の軟部組織と調和したものにし、したがって、インプラントプラットフォーム14に対する身体による有害反応が最小化される。ある実施形態において、インプラントプラットフォーム14は、突起部20の上に回転防止リブ32をさらに含む。図12Aに示されている実施形態では、リブ32は、突起部20の長手方向に延在しており、突起部20から半径方向に突出している。リブ32は、マッチする又は同様の内部溝部を含む当接部がインプラントプラットフォーム14に対して回転することを防止する。
【0061】
図12Aに示されているインプラントは、下顎突起部18の上にバーブ28を含む。図示されている実施形態において、バーブ28は、リブの上に形成されており、リブは、半径方向に突き出ており、下顎突起部18の長手方向に延在している。しかし、バーブ28が下顎突起部18の上に直接的に提供される実施形態も想定される。バーブ28は、下顎10の骨との追加的な係合を提供し、オッセオインテグレーションを推進する。示されているように、実施形態では、バーブ28は、鋸歯状の又はほぼ鋸歯状の形状のプロファイルを有しており、表面27が、下顎突起部18の長手方向軸線に対して斜めの角度で傾斜されている。表面27の構成は、表面が下顎10の中への挿入の方向から離れるように傾斜されているので、下顎10の中へドリル加工された孔部の中への下顎突起部18の容易な移動を可能にするということが認識されるであろう。また、バーブ28は、下顎突起部18の軸線に対して垂直に又は実質的に垂直に延在する表面を有している。したがって、使用時に、表面29は、インプラントプラットフォーム14のベースに対して平行又は実質的に平行である。表面29は、インプラントが垂直方向に引っ張られたとした場合に骨に係合し、下顎10に対して垂直方向に移動することに抵抗する。したがって、バーブ28は、インプラントプラットフォーム14の一方向の挿入を促進し、インプラントプラットフォーム14の除去に抵抗する。図12Bは、当接部がその上側表面24の上に位置決めされた状態の、図12Aのインプラントプラットフォーム14を図示している。
【0062】
図13A及び図13Bから図17は、実施形態によるストラップ40の概略図である。ストラップ40は、2つの端部とその間に延在するセクションとを有する所定の長さの実質的に平坦な材料を含む。ある実施形態において、ストラップ40は、厚さに関しておおよそ0.05mmから0.25mmの間にある。実施形態のストラップ40は、チタンから形成されているが、他の適切な材料が使用されることも可能であるということが理解されるであろう。
【0063】
示されているストラップ40は、複数のアパーチャー42を含む。アパーチャー42は、ストラップ40の中へ機械加工され、メッシュ状の幾何学形状を形成している。ある実施形態において、アパーチャーは、ストラップ40の中へエッチングされている。これは、たとえば、レーザーテクスチャリング又はアブレーションプロセス又は化学エッチングプロセスを使用して行われることが可能である。ある実施形態において、アパーチャーの代わりに、ストラップは、3次元チェーンメール構造体から形成されている。ストラップの厚さを最小化すること、及び、アパーチャーを追加することは、ストラップ40を可撓性にし、下顎10の輪郭に一致することができるようにする。ストラップ40は、2つの端部部分を含む細長い形状であり、アパーチャーを有するセクションが、それらの間に延在している。
【0064】
図13Bに描かれているように、いくつかの実施形態では、アパーチャー42は、0.7mmの直径を有する丸形の孔部を含み、他の実施形態では、アパーチャー42は、0.7mmの幅の平坦部を横切る六角形の孔部を含む。おおよそ0.7mmのアパーチャーのサイズ決めが、オッセオインテグレーションを推進するのに最適である。六角形のアパーチャーは、増加した可撓性及び応力抵抗をストラップ40に提供する。図13Bに示されているように、アパーチャー42は、円形の、六角形の、三角形の、又は任意の適切な形状であることが可能である。
【0065】
ストラップ40は、たとえば図14に示されているように、スカロップ形の縁部56を含み、それは、穿孔されたセクションの側部に沿って延在している。スカロップ形の縁部は、インサイチュにあるときに周囲の骨に混ぜ合わさることを可能にし、ストラップ40と下顎10の骨との間のオッセオインテグレーションを推進する。
【0066】
ここで、ストラップ40の特定の実施形態が議論されることとなる。ストラップ401、402、及び403は、開口部48を含み、インプラントプラットフォーム14の突起部20は、インサイチュにあるときに開口部48を通って突出する。このように、ストラップ401、402、又は403は、インプラントプラットフォーム14に係合し、それを下側顎10に固着することが可能である。図14及び図17Aに示されているように、いくつかの実施形態において、ストラップ404、407は、実質的に円形の形状の開口部を含む。図17Bは、代替的な実施形態を示しており、そこでは、開口部が非円形又は長円形であり、患者の解剖学的構造に対する多様性、及び、歯科医にとってのフィッティングの容易さを可能にする。
【0067】
ストラップ40は、係合及び受け入れメカニズムを含む。図13Aに示されているように、ストラップ401、402、及び403の端部部分は、バーブ付きセクション44を含む。バーブ付きセクション44は、複数の係合特徴52を含む。図13Aに示されているように、ある実施形態において、係合特徴52は、2つの対向する方向に配向されている複数の片持ち梁ロッキングアーム80を含む。ストラップ40の反対側端部は、受け入れセクション46を含む。図13Aに示されている実施形態では、ストラップ401、402、及び403は、バーブ付きセクション44を受け入れるのに適切な1対のアパーチャー50を有する受け入れセクション46を含む。バーブ付きセクションは、両方のアパーチャー50を通して挿入されることが可能であり、片持ち梁アーム80は、アパーチャー50の周辺部に係合し、それによって、ストラップの端部を一緒にロックする。
【0068】
図13Aに示されている実施形態では、複数の片持ち梁ロッキングアーム80は、異なるサイズの下顎に適する一連のサイズ決めオプションを提供する。ストラップ401、402又は403の必要な長さに応じて、適当な片持ち梁アーム80が係合される。アパーチャー50は、ストラップ401、402、又は403の穿孔されたセクションに近接して、幅の広いセクションを有しており、それを通ってバーブ付きセクション44がフィットすることが可能である。また、アパーチャー50は、ストラップ401、402、及び403の端部に近接して幅の狭いセクションを有しており、それは、バーブ付きセクション44がそれを通ってフィットするには狭すぎる。使用時に、バーブ付きセクションは、アパーチャー50のより幅の広いセクションの中へ挿入され、また、解放されると、ストラップ401、402、又は403は、アパーチャー50の幅の狭いセクションの中に座る。バーブ付きセクション44の片持ち梁ロッキングアーム80は、アパーチャー50の幅の狭いセクションの周辺部に係合し、ストラップ端部を一緒に固定する。
【0069】
いくつかの実施形態において、図14及び図15Aから図15Dに示されているように、ストラップ404、405、及び406は、受け入れアパーチャーの代わりにバックル54を含む受け入れセクション46を含む。バックル54は、ストラップ404、405、406のバーブ付きセクション44を受け入れるのに適切である。ストラップ404及び405のバーブ付きセクション44は、1つの方向のみに面する片持ち梁アーム80を含む。ストラップ406のバーブ付きセクション44は、複数のタブ82を含み、複数のタブ82は、ストラップ406の残りの部分に対して平面の外にある。バックル54は、1対の開口部を含み、バーブ付きセクション44は、1対の開口部を通して編み込まれる。使用時に、バーブ付きセクション44は、バックルの第1の面から第1の開口部を通して挿入され、第2の反対側の面においてバックル54を退出する。第1の開口部と第2の開口部との間において、バーブ付きセクション44は、係合部分58(図15A及び図15B)又は係合部分55(図15C及び図15D)を介してバックルと係合する。図14図15A、及び図15Bに示されているストラップ404及び405のバックル54は、開口部間に位置決めされている片持ち梁セクション58の係合部分を含む。片持ち梁セクション58は、係合歯を担持しており、バーブ付きセクション44のそれぞれの片持ち梁スプリングアーム80によって担持されている歯に向けて係合歯を付勢しており、それによって、ストラップをバックル54と係合させる。ストラップの自由端部は、(図14に示されているように)バックル54の係合メカニズムの中へガイドされる。図16A及び図16Bに示されているように、いくつかの実施形態において、バックル54は、3D構造体を含む。図16Bは、図16Aのバックル54の断面図を示しており、それによって、ストラップ材料は、両側から選択的にエッチングされて、ブロックセクションの中に長方形のトンネルを生成しており、バーブ付きセクション44が長方形のトンネルを通してガイドされる。
【0070】
図15C及び図15Dにおいて、ストラップ406は、タブ82を含むバーブ付きセクション44を有しており、タブ82は、ストラップ406によって画定された2次元の平面から押し出されており、たとえば、それらがストラップ406の平面に対して斜めの角度で突出するようになっている。この実施形態では、バックル54は、2つの開口部55を含み、2つの開口部55は、タブ82を受け入れるのに適切であり、ストラップ406が下顎の周りに締め付けられるときに、タブ82がその上をラチェットするようになっている。2つの孔部55が示されているが、任意の適切な数の孔部55が包含されるということが認識されるであろう。タブ82及び孔部55は、ジップタイの様式と同様の様式で一緒にロックし、バックル54からバーブ付きセクション44を解放することとなる方向に引っ張り離すことに抵抗する。
【0071】
したがって、ストラップ404、405、及び406は、複数のポイントにおいてバックル54にしっかりと係合し、それによって、安定性を増加させ、複数のポイントにわたって荷重を分散する。バックル54は、片持ち梁ロッキングアーム80が膨らみ、アパーチャー50を通って滑り抜ける可能性のある、より小さな幾何学形状の下顎にとりわけ有用である。
【0072】
別の実施形態によるストラップ407が、図17Aに示されている。開口部48は、(図3に示されているように)インプラントプラットフォーム14を下顎に固定するときに、インプラントプラットフォーム14の突起部20の上に設置可能であるように構成されている。ストラップ407のバーブ付きセクション44は、複数の片持ち梁アーム84を2列に含み、第1の列の片持ち梁アーム84は、第2の列の片持ち梁アーム84とは反対方向に延在している。バーブ付きセクション44は、図17Aに示されているように、列間に位置決めされている細長い開口部62を含む。細長い開口部62は、図4に示されているように、ストラップ40が下顎の周りにループ状にされた後に、インプラントプラットフォーム14の突起部20の上にループ状になるように構成されている。バーブ付きセクション44の片持ち梁アーム84は、インプラントプラットフォーム14の上のマッチする特徴60(たとえば、図18A及び図18Bに示されている突出部60)と屈曲して係合するように設計されている。
【0073】
図17Bに示されている代替的な実施形態では、バーブ付きセクションの代わりに、ストラップ408は、ストラップ407の片持ち梁アーム84の列の代わりに、2列のアパーチャー86を含む。アパーチャー86の列は、インプラントプラットフォーム14の上のマッチする特徴60と係合するように構成されており、ストラップ408の第2の端部を適切な位置に固定する。
【0074】
図18A及び図18Bに図示されているように、インプラントプラットフォームの実施形態は、インプラントプラットフォーム14の上側表面24の上に突出部60を含み、突出部60は、片持ち梁アーム84又は(図20Dにおいて参照されるような)開口部86と係合するのに適切である。図19Dに示されているように、ストラップ407のアーム84は、インプラントプラットフォーム14の突出特徴60に係合する。ある実施形態では、インプラントプラットフォームの上側表面24の上に、4つの突出部60が存在している。好ましくは、荷重を分散するために、及び、材料が剪断されて落とされるリスクを低減するために、おおよそ6つの突出部60が存在している。図18Aに図示されている実施形態から見られることが可能であるように、突出部60(又は、少なくとも、インプラントプラットフォーム14の縁部(下顎の周りにループ状にした後に、その縁部から、ストラップ407がインプラントプラットフォーム14にアプローチすることを要求される)に最も近い突出部60)が湾曲しているということが想定される。それによって、突出部60の形状は、下顎及びインプラントプラットフォーム14の周りに締め付けられている間に、片持ち梁アーム84が突出部60の上を比較的に容易に滑動することを可能にする。所望の締め付けが実現されると、ユーザーは、片持ち梁アーム84と突出部60との間の係合を促進するために、単に、片持ち梁アーム84をインプラントプラットフォーム14の上部表面に向けて下向きに移動させることを必要とする。
【0075】
図20は、インプラントプラットフォーム14の上側表面24の上の突出部60の上にループ状になって係合するように構成されているストラップ408を示している。複数のアパーチャー86は、細長い開口部62を取り囲んでおり、細長い開口部62は、使用時に、インプラントプラットフォーム14の突起部20の上にループ状になる。図20Dは、単なる図示の明確化のために、ストラップ408の他方の端部とインプラントプラットフォーム14との係合を示すことを省略しているということが強調される。使用時に、図20Dに示されている係合が影響を受けるときまでに、ストラップ408の他方の端部は、すでに突起部20の周りに設置されており、ストラップ408は、下顎の周りにループ状にされているということが認識されるであろう。
【0076】
実施形態において、アッセンブリは、リテイニングワッシャー70をさらに含む。リテイニングワッシャー70は、さらなる固定手段を提供する。ある実施形態において、リテイニングワッシャー70は、図19Bに示されているように、平坦なプレートを含む。リテイニングワッシャー70は、形状に関して円形又は多角形であることが可能である。ある実施形態において、リテイニングワッシャー70は、スプリング荷重式のリテイニングワッシャーである。
【0077】
図19Bの平坦なプレートリテイニングワッシャー70は、突起部20の外径よりも小さい内径を有している。半径方向のカットが、リテイニングワッシャー70の内側周囲部に沿って提供されており、可撓性の内向きに面する舌部を生成し、それは、リテイニングワッシャー70がその小さな内径にもかかわらず突起部20の上に下向きに押されるときに、上向きに屈曲し、それによって、リテイニングワッシャー70が突起部20の上に適用されることを可能にする。突起部20は、リテイニングワッシャー70の内径とおおよそ同じか又はそれよりも小さい直径を有する円周方向溝部を含む。したがって、リテイニングワッシャー70は、リテイニングワッシャー70が溝部に到達してスナップフィットタイプのアクションで突起部20と係合するまで、突起部20の上に下向きに押し下げられることが可能である。ある実施形態において、リテイニングワッシャー70は、リテイニングワッシャー70がインサイチュにあるときに、ストラップ408が突出部60の上をスライドすることを可能にするが反対方向にスライドすることは可能にしないように、スプリング付きになっていることが可能である。
【0078】
代替的に、図21Cならびに図22A図22B、及び図22Cに図示されているように、リテイニングワッシャー70の代わりに、ネジ山付きフェルール78が使用されている。ネジ山付きフェルール78は、ネジ山付き表面を含み、ネジ山付き表面は、インプラントプラットフォーム14のネジ山付き突起部20に固定可能である。ネジ山付き表面を介してネジ山付きフェルール78を固定することによって、接続がより滑らかになり、軟部組織が表面の上に混ぜ合わさることを可能にする。随意的に、複数の溝部71が、図22Aに示されているように、ネジ山付きフェルール78の中に提供されることが可能であり、ネジ山付きフェルールがツール72(図22Cに示されている)によってねじ込まれることを可能にし、ツール72は、ネジ山付きフェルール78のねじ込みを可能にするように設計されている。ツール72の内側表面にある相補的な突出部76は、ネジ山付きフェルール78にある溝部71と一致している。ツール72の中の中空凹部の直径は、ネジ山付きフェルール78の外側表面に緊密にマッチしている。インプラントプラットフォーム14の突起部20の外部表面にあるネジ山は、より細かい送り込み(feed in)を可能にするように、及び、スクリューネジ山エリアを通して荷重を分散するためのより大きな表面積を可能にするために、細かくなっており、増加した安定性を提供する。ある実施形態において、突起部20のネジ山の外部直径は、3.5mmであり、螺旋ネジ山の標準ピッチは、0.6mmであり、螺旋ネジ山の細かいピッチは、0.35mmである。
【0079】
いくつかの実施形態において、ネジ山は、突起部20の上部まで延在しておらず、ネジ山付きフェルール78がネジ山の鋭い縁部をカバーすることを可能にし、周囲の軟部組織を保護する。実施形態による図23A及び図23Bに示されているように、ネジ山付きフェルール78は、軟部組織を保護するために、ネジ山の露出された鋭い縁部をカバーするために滑らかで丸みを帯びた上部表面を含む。
【0080】
説明されている実施形態において、孔部48が、インプラント突起部20の上に設置され、次いで、ストラップ40が、下顎10の周りに巻き付けられ、細長い孔部62が、突起部20の上に滑らされる。いくつかの実施形態において、ストラップ40の端部は、図13Aに示されているように、たとえば、丸みを帯びたストラップ401、402、及び403である。いくつかの実施形態において、ストラップ40の一方又は両方の端部は、たとえば、図17Aに示されている四角形にされたストラップ407であり、増加した数の係合特徴52が追加されることを可能にし、したがって、ストラップ407とインプラントプラットフォーム14の上側表面24との間の係合ポイントの数を増加させる。
【0081】
インプラントプラットフォーム14の代替的な実施形態が、図23A及び図23Bに示されている。図23Aに示されているように、インプラントプラットフォーム14の上側表面24は、ストラップ40をガイドするために、及び、ストラップ40が広がるリスクを低減するために、側壁部38を含む。これは、ストラップ408の使用によって、とりわけ有用であり、ここでは、細長いスロット62のいずれかの側の材料が細くなっており、アパーチャー開口部86と突出部60との間の係合は、細長いスロット62が変形して緩むことを引き起こす可能性がある。側壁部38は、ストラップを安定化させる。同様に、図23Bに示されている実施形態では、インプラントプラットフォーム14は、同じ目的のためにアライメント溝部39を含み、細長いスロット62の側部とインプラントプラットフォーム14との間のぴったりとしたフィットを可能にする。
【0082】
図21Aは、突起部20の上のアライメントノッチ88を示している。アライメントノッチは、クラウン又はブリッジの位置決め及び配向を補助する。
【0083】
図24に示されているさらなる実施形態では、インプラントプラットフォーム14は、2つ以上の下顎突起部18を含む。突起部18は、下顎10に対するインプラントプラットフォーム14の回転を防止し、したがって、利用可能な骨構造又は患者の解剖学的構造に起因してこれがリスクである多くの状況に有用である。
【0084】
説明されている実施形態のいずれにおいても、インプラントプラットフォーム14及び/又はストラップ40の表面は、滑らかで及び/又は研磨された表面であり、軟部組織が滑らかに収まることを可能にする。ある実施形態において、表面は、低摩擦表面を提供する窒化チタンによってコーティングされている。代替的に、実施形態のいずれにおいても、インプラントプラットフォーム14又はストラップ40の表面は、粗面化されている。粗面化された表面は、オッセオインテグレーションを強化する。説明されている実施形態のいずれにおいても、いくらかの又はすべての表面は、ヒドロキシアパタイトでコーティングされており、それは、オッセオインテグレーションを強化することが知られている表面構造を提供する。
【0085】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際に、本明細書で説明されている新規のデバイス及び方法は、さまざまな他の形態で具現化されることが可能である。そのうえ、本明細書で説明されているデバイス、方法、及び製品の形態におけるさまざまな省略、置換、及び変更は、本発明の精神から逸脱することなく行われることが可能である。添付の特許請求の範囲及びその均等物は、本発明の範囲及び精神の中に入ることとなるような形態又は修正をカバーするように意図されている。
【符号の説明】
【0086】
10 下側顎、下顎
12 植え込みのための部位
14 インプラントプラットフォーム
16 下顎に面する表面
18 下顎突起部
20 当接部受け入れ突起部
22 スパイク
24 上側表面
26 インプラント側部
27 表面
28 バーブ
29 表面
30 当接部
31 ベース表面
32 回転防止リブ
33 受け入れ部分
38 側壁部
39 アライメント溝部
40 ストラップ
42 アパーチャー
44 バーブ付きセクション
46 受け入れセクション
48 開口部
50 アパーチャー
52 係合特徴
54 バックル
55 係合部分、開口部、孔部
56 スカロップ形の縁部
58 係合部分
60 突出部
62 細長い開口部
70 リテイニングワッシャー
71 溝部
72 ツール
76 相補的な突出部
78 ネジ山付きフェルール
80 片持ち梁ロッキングアーム
82 タブ
84 片持ち梁アーム
86 アパーチャー、開口部
88 アライメントノッチ
401 ストラップ
402 ストラップ
403 ストラップ
404 ストラップ
405 ストラップ
406 ストラップ
407 ストラップ
408 ストラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図15(c)】
図15(d)】
図16(a)】
図16(b)】
図17(a)】
図17(b)】
図18(a)】
図18(b)】
図19(a)】
図19(b)】
図19(c)】
図19(d)】
図20(a)】
図20(b)】
図20(c)】
図20(d)】
図21(a)】
図21(b)】
図21(c)】
図21(d)】
図22(a)】
図22(b)】
図22(c)】
図22(d)】
図23(a)】
図23(b)】
図24
【国際調査報告】