IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアンドピー クレバー リインフォースメント カンパニー エージーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】輸送路面補強システム
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/26 20060101AFI20241108BHJP
   E01C 7/26 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
E01C11/26 A
E01C7/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532825
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2022083702
(87)【国際公開番号】W WO2023099489
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】2117294.5
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524205835
【氏名又は名称】エスアンドピー クレバー リインフォースメント カンパニー エージー
【氏名又は名称原語表記】S&P Clever Reinforcement Company AG
【住所又は居所原語表記】Seewernstrasse 127, CH-6423 Seewen SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ モルドラップ ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】クラバス オルセン
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AC01
2D051AD04
2D051AD05
2D051AH01
2D051EA01
2D051GB01
(57)【要約】
本発明は、輸送路面補強システムであって、第1表面および第2表面を有する基礎層と、第1表面および第2表面を有する上面層と、第1表面および第2表面を有する瀝青層であって、瀝青層の第2表面が基礎層の第1表面に面する、瀝青層と、第1表面および第2表面を有し、基礎層の第1表面の上または基礎層と上面層との間に配置される補強網であって、一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している複数の一次繊維構造と、二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、複数の一次繊維構造は、一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造が二次繊維構造と交差する、複数の二次繊維構造と、少なくとも1つの電気入力部と、を備える補強網と、補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを補強網の電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源と、を備える、輸送路面補強システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送路面補強システムであって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層と、
第1表面及び第2表面を有する上面層と、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層であって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層と、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網であって、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している前記複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の一次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える前記補強網と、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源と、
を備える、輸送路面補強システム。
【請求項2】
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、(複数の)繊維ストランドの束を備える、請求項1に記載の輸送路面補強システム。
【請求項3】
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、少なくとも50%が炭素繊維ストランドによって形成される、請求項1~2のいずれかに記載の輸送路面補強システム。
【請求項4】
前記補強網は、前記電気エネルギーを熱へ変換する、請求項1~3のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項5】
前記複数の一次繊維構造のうちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面は、前記複数の二次繊維構造うちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面と交差する、請求項1~4のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項6】
前記複数の一次繊維構造及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、互いに平行に延びる第1繊維束及び第2繊維束を有し、
交差する二次繊維構造及び/又は一次繊維構造は、前記第1繊維束と前記第2繊維束との間を通る、請求項1~5のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項7】
前記複数の一次繊維構造は、前記複数の二次繊維構造に織り込まれている(前記一次繊維構造が、前記二次繊維構造の上側と上方を交互に通り得る)、請求項1~6のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項8】
前記瀝青層の適用前に、交差する一次繊維構造及び二次繊維構造は、前記第1軸及び/又は前記第2軸に沿って移動可能である(すなわち、前記繊維構造は互いに対して固定されていない)、請求項1~7のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項9】
前記補強網の少なくとも一部は、前記瀝青層の前記第2表面を貫通している(前記瀝青層との一体化を可能にする)、請求項1~8のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項10】
前記電気エネルギーはDC電流である、請求項1~9のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項11】
前記補強網は、前記電源から電気エネルギーを受け取るための少なくとも2つ以上の電気入力部を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項12】
隣接する2つの一次繊維構造の間及び/又は隣接する2つの二次繊維構造の間の距離は、5~40mmの範囲、より好ましくは10~30mmの範囲、より好ましくは12~20mmの範囲、より好ましくは13~17mmの範囲である、請求項1~11のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項13】
前記瀝青層は、前記補強網を前記基礎層に接着する、請求項1~12のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項14】
前記上面層は、瀝青を1~10重量%含有している、請求項1~13のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項15】
前記補強網は、1平方メートル当たり約150~300gの瀝青、より具体的には、1平方メートル当たり225~300gの瀝青によって含浸されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項16】
前記補強網は、前記瀝青層に予め包み込まれている(前記補強網が、前記網層を完全に包囲する瀝青層を備える)、請求項1~15のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項17】
輸送路面補強システムを形成する方法であって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する上面層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層を設けるステップであって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網を設けるステップであって、前記補強網は、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の前記一次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える、補強網を設けるステップと、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源を設けるステップと、を備える輸送路面補強システムを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1表面及び第2表面を有する基礎層と、第1表面及び第2表面を有する上面層と、第1表面及び第2表面を有する瀝青層であって、瀝青層の第2表面が基礎層の第1表面に面する、瀝青層と、第1表面及び第2表面を有する補強網であって、基礎層の第1表面上又は基礎層と上面層との間に配置されている補強網と、を含む輸送路面補強システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界には、道路、舗道、舗装駐機場、滑走路などの人工的な(土木工学的な)輸送路面(特定の管轄区域では「舗道」又は「人工路面」と総称され、以下では、「輸送路面」と呼ぶが、この語は少なくとも前述のすべてを包含するものである)が多数存在し、例えば、車輪付きの車両が路面上をある位置から別の位置へと安全に移動できるようにするなど、輸送ロジスティクスを改善するために使用されている。このような輸送路面の多くは、季節や気象状況によって気温が大きく変化し得る環境に配設されている。
【0003】
現代の環境では、こうした輸送路面の寿命を延ばし安全性を向上させるために、輸送路面が補強されることがある。寒冷地の輸送路面に対処する際の最大の課題のひとつは、輸送路面の上面を覆う雪や氷である。上面の雪や氷のせいで、輸送路面が、輸送路面上を走行する車両にとって安全でない危険なものになってしまう可能性がある。
【0004】
現在、滑りやすい輸送路面に対処する方法は多数あり、そのうちの1つは塩を撒くことである。しかし、塩は、(砂塵や砂を伴って)周辺環境を汚染してしまう可能性があり、輸送路面及び/又は技術設備や輸送路面を使用する車両の腐食の原因となる可能性もあるので、塩を撒くことは環境に良くない。別の方法は、例えば除雪車などの特殊な機械を使って雪や氷を取り除くことである。これらの手段のいずれを使っても、時間とエネルギーがかかってしまう。国によっては、輸送路面の下に設置された温かい流体が流れる流体ラインを使って輸送路面を温めて、雪や氷を溶かすこともある。この解決策は、非常にコストがかかり、さらに、輸送路面の損傷することによってラインの破損を引き起こす可能性があるので、輸送路面の修復が非常に困難になる可能性があり、ライン自体の修復も困難である。さらに、この解決策は、輸送路面の強度を低下させてしまう可能性があるため、空港の滑走路や道路などでは使用できない場合がある。
【0005】
以前は、アスファルトに炭素繊維を混ぜて導電性のアスファルトを作り、アスファルトに電流を流して温めることができた。しかし、この混合物では、炭素繊維がアスファルトを交通量の激しい用途で使用できるほど十分に補強せず、アスファルトの粘性がバス停留所や空港の飛行機駐機場などでの激しい使用に耐えられないので、高い引張強度を有するアスファルトという課題は解決されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、強度が高く、輸送路面に氷が形成される危険性がある地域で氷や雪を溶かすために輸送路面に熱エネルギーを供給することができる輸送路面を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、輸送路面補強システムは、第1表面及び第2表面を有する基礎層と、第1表面及び第2表面を有する上面層と、第1表面及び第2表面を有する瀝青層であって、瀝青層の第2表面が基礎層の第1表面に面する、瀝青層と、第1表面及び第2表面を有し、基礎層の第1表面の上(又は基礎層と上面層との間)に配置される補強網であって、一次軸に沿って延び、二次軸の方向に互いに離間している複数の一次繊維構造と、二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、複数の一次繊維構造は、一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、複数の二次繊維構造と、少なくとも1つの電気入力部と、を備える補強網と、電気エネルギーを補強網の電気入力部へ送るように構成され、補強網に電気的に接続される電気出力部を有する電源と、を備える。
【0008】
本開示の文脈において、網という語は、メッシュ、グリッド、ネット、ウェブ、又は繊維の網を開示するのに適切な任意の語を意味してよい。したがって、網は表面を画定してよい。
【0009】
本開示において、システムは積層構造として開示されており、各層は第1表面及び第2表面を有してよい。第1表面は、第2表面とは反対方向を向いていてよく、例えば、ある層の第1表面が、当接する又は隣接する層の第2表面に面していてよい。さらに、例えば繊維構造の各ストランド又はストランドの束などの層の一部も、第1表面及び/又は第2表面を有するものとして定義されてよく、第1表面は第2表面とは反対方向を向いている(例示にすぎないが、1つは上を向き、1つは下を向くなど)。層同士は互いに当接するか又は隣接して配置されてよいが、層の一部が別の層と相互作用するか又は別の層に/別の層内に融合されて、2つの層間の境界が明確でない、はっきりしない、又は絶対的なものではないことも理解されるであろう。さらに、ある1つの層の一部が別の層と同一の材料又は成分を有してよく、1つの層の一部が別の層の一部と一体化されてもよい。この一例としては、例えば、繊維構造が瀝青物質でコーティングされており、コーティングされた繊維上に瀝青層が適用される場合に、瀝青コーティングと瀝青層とが同質であり、互いに容易に接着可能なので、両者が互いに融合し及び/又はくっついて、2つの層の間に接着を生じさせてよい。実際、繊維が瀝青層に組み込まれていてもよい。
【0010】
輸送路面補強システムは積層構造であるととらえられてよく、基礎層は輸送路面を敷設するために地表面を整えるように適合される層であるととらえられてよい。上面層は、輸送路面の上面となる層であるととらえられてよく、アスファルト又はコンクリートタイプの層であってよい。これら2つの層の間には、補強層と瀝青層が配置されてよく、瀝青層は、上面を基礎層に結合するように適合されてよく、上面層が適用される前に、補強層を所定の位置に保持するように構成されていてよい。
【0011】
補強層構造は網状であってよく、一次繊維構造と二次繊維構造は空隙によって分離されていてよい。これにより、補強層構造が基礎層上に配置され、瀝青層が補強網と基礎の上に適用されると、瀝青層が、例えば、網の空隙(開口)を介して基礎層と接触する。したがって、上面層が適用されると、基礎の第1表面が、瀝青層及び/又は補強構造を介して、上面層の第2表面に接着、結合又は付着される。
【0012】
補強網の一次繊維構造及び二次繊維構造は、導電性を有する繊維の形態をしていてよく、電源からの電流を、繊維の第1部分から、繊維の第1部分から離れた繊維の第2部分へ流すことができる。したがって、一次繊維構造及び/又は二次繊維構造は、電気エネルギーを補強網のある部分から補強網の別の部分へ伝達するために使用されてよい。このように、補強網の一次繊維ストランド及び/又は二次繊維ストランドは電気的に接続されており、電流は、一次繊維ストランドから別の一次繊維ストランドへ及び/又は二次繊維ストランドへと流れる、又はその逆に流れることができる。例えば、補強網の第1部分を第1極とし、補強網の第2部分を反対の第2極(例えば接地)とすることによって、第1極から第2極へ電流が流れるようにすることができる。
【0013】
このように、補強網は電気閉回路を画定してよく、この回路では、補強網の1つ又は複数の位置において、電流が輸送路面システムの上面層に伝達される熱エネルギーへと変換されてよい。このように、電気エネルギーを補強システムへ送りこむことによって、補強システムが電気エネルギーを補強網の1つ又は複数の位置へと分配し、電気エネルギーが熱エネルギーへ変換され、熱エネルギーによって上面層の第1表面が水の凍結温度(海面位で約0℃)より高い温度まで温められるので、第1表面上にある雪、水、液体によって輸送路面の第1表面上に氷が形成されない。
【0014】
上面層は、アスファルト層やターマック層などの層であってよく、粘性層であってもよい。補強網は、全体として低い伸長特性、例えば5%以下の伸長特性を有する、及び/又は、高い引張強度を有する網であってよく、これにより、上面層に力が加えられたときに、補強網によって、加えられた力から離れる方向へ上面網が粘性流動することが防止され、上面層の形状維持能力が高められる。これは、上面がコンクリートなどの引張強度の低い材料で構成されている場合にも適用でき、コンクリートの強度を高めることができる。このように、補強網は上面層の引張強度を高めることができる。
【0015】
電源は、補強網に接続されてよく、例えば、AC電圧又はDC電圧の電流の形態で電気エネルギーを送ることができる電気供給網又は同様の電力源に接続され得る電力貯蔵ユニット、電源、又は電力変換器であってよい。電源は、例えば、電力入力部と電力出力部とを有してよく、電力出力部は、補強網及び/又は輸送路面補強システムと電気的に接続されてよく、電力入力部は、電気幹線及び/又は電力グリッドなどの第2電源に接続されてよい。
【0016】
電源は可変電源であってよく、電気はシステムの実際の必要に応じて補強網へ送られてよい。従って、電源は、例えば温度センサに接続されてよく、温度が低下すると補強網への電力供給が開始されてよい。
【0017】
輸送路面補強システムに温度上昇構造を設けることにより、例えば、特にゲート近傍の領域などの特定の領域から雪をかき出すことが困難である空港環境において、雪氷管理に対処するためのコストを削減することができる。このように、空港の所定の領域から雪を動かす必要をなくすために、雪を融かすことが有利であり得る。
【0018】
補強網は、1本の繊維及び/又は1つの繊維束への1つの電力入力部を介して電源に接続されてよく、電気エネルギーは、補強網への伝導又は誘導によって補強網へ分配されてよい。さらに、補強網は、補強網の複数の位置へ電気エネルギーを導入するために延びる電力入力部に接続されてよい。補強網は1つ又は複数の反対極に接続されてよく、これにより、電気エネルギーを、補強網を介して、第1極(入力)から、1つ又は複数の電気接続部の形態であってよい第2極(出力)へ伝達することができる。
【0019】
例示的な一実施形態において、複数の一次繊維構造の各々及び/又は複数の二次繊維構造の各々は、(複数の)繊維ストランドの束を備えてよい。繊維構造は、複数の繊維ストランドの形態をしていてよく、互いに隣接する複数の繊維ストランドが繊維群を形成し、繊維群が撚り合わされ、編まれ、集められ、又は接着されて繊維構造を形成しており、繊維構造は、その断面において、同じ方向に延びる複数の繊維ストランドを有し、繊維ストランドのうちの少なくとも1つが、繊維ストランドのある長手方向位置から繊維ストランドの別の長手方向位置へ電気を伝導することが可能である。
【0020】
例示的な一実施形態において、複数の一次繊維構造の各々及び/又は複数の二次繊維構造の各々は、少なくとも50%が炭素繊維ストランドによって形成される。炭素繊維ストランドは、高剛性、高引張強度、低重量、高耐薬品性、高耐熱性及び低熱膨張のグラファイト繊維ストランドであってよい。繊維は、5~20マイクロメートルの直径を有してよい。一次繊維構造は繊維ストランドの混合物を有してよく、繊維ストランドの第1部分は第1材料でできていてよく、繊維ストランドの第2部分は第2材料でできていてよく、繊維ストランドの第3部分は第3材料でできていてよい。材料は、繊維構造の使用目的に基づいて選択されてよい。すなわち、繊維構造が高い引張強度を有することが意図される場合には、これを反映するように材料が選択されてよい。さらに、繊維構造の電気伝導率を向上させるために、特定の導電性材料を繊維ストランドへ導入してよく、この特定の導電性材料の電気伝導率は、繊維構造の他のストランドの電気伝導率とは異なっていてよい。一例では、繊維構造の導電率を向上させるため、及び/又は繊維構造の電気抵抗を低減させるために、1つ又は複数の金属ストランドが繊維構造に含まれてよい。
【0021】
例示的な一実施形態では、補強網は電気エネルギーを熱へ変換してよい。熱は熱エネルギーであってよく、熱エネルギーは赤外線熱エネルギーであってよい。熱エネルギーは、繊維構造から上面層へと伝達されてよく、熱エネルギーが上面層を温めてよい。この加熱は、ジュール加熱又は抵抗加熱の形態であってよく、繊維構造を流れる電流によって、輸送路面補強システム内の周囲層へ伝達され得る熱が生じる。熱エネルギーの量は、電流の大きさ、繊維構造の特定の組成、及び/又は繊維構造へ導入される電気の種類、すなわち交流か直流か、に依存し得る。
【0022】
使用される補強網はS&P Carbophalt(登録商標)G200/200であってよく、これは、瀝青を含浸させた炭素繊維網であり、そのマスクサイズは15×15mmである。この炭素繊維は、240.000N/mm2~265.000N/mm2の間の弾性率を有し、1.9%未満の破断伸度を有し、1.5%未満の伸びで200kN/mの引張強度を有し、46~47mm2/mの繊維直径を有するか、又は断面直径で約50~52本の繊維を有する。
【0023】
例示的な一実施形態において、複数の一次繊維構造のうちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面は、複数の二次繊維構造のうちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面と交差してよい。一次繊維構造は第1軸に沿う方向に配設されるように適合されてよく、二次繊維構造は第2軸に沿う方向に配設されるように適合されてよく、第1軸と第2軸とは、両方の軸に平行な平面に沿って略直交してよい(例えば、構造が平坦な表面上に配置される場合)。一次繊維構造及び二次繊維構造は、第1表面及び第2表面(例えば、上面及び下面)を有してよく、一次繊維構造は、一次繊維構造の第1表面が二次繊維構造の第2表面と接触するように二次繊維構造と交差してよく、その逆もまた同様である。つまり、一次繊維構造が二次繊維構造と交差する領域(一次繊維構造が二次繊維構造に面する領域)では、繊維構造及び/又は繊維構造の個々のストランドが互いに直交するということである。このように、交差部には、繊維構造の結び目や曲がりがない。つまり、交差部の高さ/幅が、最大でも、一次繊維構造の直径/高さ及び二次繊維構造の直径/高さとほぼ同じであるということである。
【0024】
例示的な一実施形態において、一次繊維構造に導入される電荷は、1つ又は複数の交差部において二次繊維構造へ伝達されてよく、この伝達は、電気エネルギーの伝導性伝達及び/又は誘導性伝達によるものであってよい。一次繊維構造の繊維の少なくとも1つは、二次繊維構造の繊維の少なくとも1つと接触していてよく、この接触により、帯電粒子が1つの繊維構造から別の繊維構造へと移動することができる。あるいは又は加えて、電荷は、電磁誘導によって、1つの繊維構造から別の繊維構造へ、又は誘導電源から1つ又は複数の繊維構造へ伝達されてよい。
【0025】
例示的な一実施形態において、複数の一次繊維構造及び/又は複数の二次繊維構造の各々は、互いに平行に延びる第1繊維束及び第2繊維束を有してよく、交差する二次繊維構造及び/又は一次繊維構造は、第1繊維束と第2繊維束との間を通ってよい。一次繊維構造及び/又は二次繊維構造は、複数の個々の繊維ストランドから構成されていてよく、個々の繊維ストランドは、繊維構造の長手方向長さの特定の領域において、物理的に1つに束ねられる(1つの束を形成する)か、又はより小さな複数の束、すなわち複数の繊維ストランドの2つの束に束ねられていてよい。これにより、1つの一次繊維構造が1つの二次繊維構造と交差する領域又はその逆の領域において、その一次繊維構造は、例えば、二次繊維構造の2つの繊維束の間を通っていてよい。したがって、二次繊維構造は、一次繊維構造の第1側と、一次繊維構造の第2側とに位置していてよい。このようにすることで、交差する繊維構造が繊維構造の両側で摩擦を有することになるので、一方の繊維構造が他方の繊維構造に対して動くことを抑制でき、それによって、2つの繊維構造間の接触面積を増大させることができる。さらに、例えば、一次繊維構造が二次繊維構造に取り付けられているような既知の交差部と比較して、交差部の繊維構造の高さを抑えることができる。
【0026】
例示的な一実施形態では、複数の一次繊維構造と複数の二次繊維構造とは織り込まれていてよい。二次繊維構造に対する一次繊維構造の位置を固定するために、一次繊維構造と二次繊維構造との間の織り込みは、一次繊維構造が二次繊維構造と交差する領域に存在してよい。この織り込み構造は、2つの繊維構造が交差する領域/範囲において、一次繊維構造が、二次繊維構造の上側と上方とを交互に通るということである。織り込み構造は、一次構造の繊維が二次構造の繊維と、好ましくは互いに直角に交錯する交錯構造であってよい。交差部における織り込み構造は低密度の織り込み構造であってよく、織り込み領域の1平方センチメートル当たりの交差数は小さくてよく、1平方センチメートル当たりの交差数が3以下であってよい。
【0027】
例示的な一実施形態では、瀝青層が適用される前には、交差する一次繊維構造と二次繊維構造とが、第1軸及び/又は第2軸に沿って移動可能である。つまり、交差領域において、繊維構造同士が互いに対して固定されていないということ、すなわち、一次繊維構造が二次繊維構造に取り付けられておらず、各繊維構造のストランドが実質的に直線的な曲線に沿って擦れ違うように延びていると見なされてよいということである。実質的に直線的な曲線とは、ストランドが、高さの違いによってわずかに曲がることはあっても、交差領域において約90度より大きく曲がることはないことを意味する。つまり、一次繊維構造と二次繊維構造は、一般的に見られるように結び目によって互いに結び付けられていないということである。
【0028】
例示的な一実施形態では、補強網の少なくとも一部が、瀝青層の第2表面を貫通していてよい。瀝青層は、液体層及び/又は粘性層の形態で補強層上に適用されてよく、瀝青層の材料が、一次繊維構造及び/又は二次繊維構造、及び/又は一次繊維構造と二次繊維構造との間の領域に侵入してよい。これにより、補強層を部分的に瀝青層と一体化することができる。いくつかの例では、瀝青層は、瀝青層の一部が補強層の第2側に位置するように導入されてもよく、この場合、瀝青層が基礎層から上面層に向かって延び、補強層が瀝青層内に埋め込まれてもよい。
【0029】
例示的な一実施形態では、電気エネルギーはDC電流であってよい。DC電流は、電源の電気出力部から送られてよく、電気出力部は、DC電流が補強網の繊維構造に沿って流れることができるように、ワイヤを介して補強網に電気的に接続されていてよい。DC電流は、補強網の所定の領域において熱エネルギーへ変換されてよい、又は、DC電流が一方の極から反対の極へ流れるときに、DC電流の一部が、繊維構造のストランド全体及び/又は複数のストランドに沿って常に熱エネルギーへ変換されてもよい。
【0030】
例示的な一実施形態では、補強網は、電源から電気エネルギーを受け取るための少なくとも2つ以上の電気入力部を有してよい。補強構造は、第1電気入力部及び第2電気入力部を有すると定義されてよく、第1電気入力部は正極であるととらえられてよく、第2電気入力部は負極であるととらえられてよく、これにより、電流が正極から負極へ又はその逆に流れることができる。あるいは、各電気入力部が正極と負極の両方であるととらえられてもよく、この場合、補強網は、複数の(すなわち2つ以上の)電気入力部を備えてよく、各電気入力部は、補強網の一部に電流の流れを供給するように構成されていてよい。これは、補強網のサイズが、1つの電気入力部では補強構造全体に電流を供給するのに十分でないようなサイズの場合に該当し得る。このように、補強網が十分な電流を受け取って、十分な熱エネルギーを供給することができるように、補強網は、各々が電源との接続及び/又は別個の電源との接続を有する複数の電気入力部を備えてよい。
【0031】
例示的な一実施形態において、隣接する2つの一次繊維構造間の距離及び/又は隣接する2つの二次繊維構造間の距離は、5~40mmの範囲内、より好ましくは10~30mmの範囲内、より好ましくは12~20mmの範囲内、より好ましくは13~17mmの範囲内であってよい。この距離は、例えば、メッシュのサイズであるととらえられてよく、この距離によって、補強網のメッシュサイズの周囲距離が定義されてよい。例えば、サイズが約15mmの場合、距離によってグリッドの空隙部の内側境界が定義されるので、メッシュは約15mm×15mmのサイズを有するということになる。空隙部には、繊維構造は存在しないが、プラスチックフィルム、瀝青層、又は他の種類の要素などは存在する可能性がある。
【0032】
例示的な一実施形態では、瀝青層は、補強網を基礎層に接着してよい。瀝青層は、少なくとも部分的に基礎層の第1表面に適用されるように適合された層であってよく、補強層は、基礎層の第1表面上に配置されてよく、瀝青層は、補強層上に付加される。その後、上面層が補強層及び/又は瀝青層の上に付加されてよく、瀝青層が上面層の第2表面を基礎層の第1表面に結合させる。補強層は、上面層及び/又は基礎層の間に配置されてよい。
【0033】
例示的な一実施形態では、上面層は、瀝青を1~10重量%有してよい。上面層は、上面層の瀝青を上面層の下に位置する瀝青層の瀝青と結合させることができる瀝青を有してよい。上面層の温度を上げるために、上面層は、補強層によって生じる熱エネルギーが上面層に吸収されるように補強層に近接して配置されてよい。
【0034】
例示的な一実施形態では、補強網には、1平方メートル当たり約150~300gの瀝青、より具体的には1平方メートル当たり225~300gの瀝青が含侵されていてよい。補強網の含浸は、補強網が輸送路面補強システムに適用される前に行なわれてよい。含浸は、一次繊維構造及び/又は二次繊維構造のストランド同士を結合するために行われてよい。加えて又はあるいは、含浸は、設置前に補強網の繊維構造をコーティングするために行われてよく、したがって、補強網は、設置される前に瀝青を含有していてよい。含浸によって、補強網及び/又は瀝青層及び/又は上面層の間の相互作用が補助されるので、輸送路面補強システムに補強網が設けられていると、補強網が上面層のひずみ抵抗を高めることができる。さらに、含浸によって、補強層が補強網から瀝青層へ熱エネルギーを伝達することも補助される。エアポケットは2つの層の間で断熱材として機能してしまう虞があるが、含浸によって、補強層と瀝青層との間に空気が捕捉されてしまうというリスクが低減される。このように、含浸によって、補強層と瀝青層と上面層との間の熱伝導率が向上し、補強層に電気が印加されたときに上面層の温度を上昇させることができる。
【0035】
例示的な一実施形態では、補強網は、瀝青層に予め包み込まれていてよい。つまり、補強網は、補強網のストランド及び/又はストランドの束を完全に包み込む瀝青層を備えてよい。例えば、補強層のストランド同士又はストランドの束同士は互いに当接している一方で、電線のプラスチックコーティングと同じように、ストランド又はストランドの束の外面が瀝青層で覆われていてよい。この予めの包み込みは、ストランド又はストランドの束の外面全体に及んでいてよく、したがって、補強網の設置前には、繊維が外部環境に露出していない。
【0036】
例示的な一実施形態では、上面層は、瀝青を1平方メートル当たり約300~450グラム含有してよい。上面層は、冬場には上面層を柔らかく保つ一方で、夏場には上面層を硬く保てるポリマーを所定量含有してよく、このポリマーは、周囲環境の温度及び/又は上面層の温度に反応してよい。
【0037】
一実施形態では、瀝青層は、水と瀝青の乳化混合物の形態で補強網及び/又は基礎層に適用されてよい。
【0038】
一実施形態では、上面層の高さは約30mmであってよく、これは高速道路グレードの輸送路面の上面層に適している。上面層の高さは、瀝青層の上に薄層を有する約20mmであってもよい。他の実施形態では、上面層の高さは50mm以下であってよい。
【0039】
輸送路面システムは、上から下に向かって順に、アスファルト摩耗面、アスファルト中間層、アスファルト基層、骨材基盤、下層土から構成されていてよい。当業者であれば、本開示に基づいて、補強システムが輸送路面システムのどの層に使用されてもよいこと、及び、実験に基づいて、熱エネルギーがシステムの最上層に達することを可能にすることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システムの分解図である。
図2】本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システムの断面図である。
図3a】本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システムの、二次繊維構造と交差し得る一次繊維構造の概略図である。
図3b】本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システムの、二次繊維構造と交差し得る一次繊維構造の概略図である。
図3c】本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システムの、二次繊維構造と交差し得る一次繊維構造の概略図である。
図4A】通常画像の概略図と、可視光画像と重ね合わせられた赤外線画像の概略図である。
図4B】通常画像の概略図と、可視光画像と重ね合わせられた赤外線画像の概略図である。
図5A】写真下部付近で2本のスレッドを切断した状態のメッシュの目視写真と赤外線写真を重ね合わせた模式図であり、コイルの中心を含む部分と、温度番号の下にそれよりも冷たい部分との両方が見える。
図5B】写真下部付近で2本のスレッドを切断した状態のメッシュの目視写真と赤外線写真を重ね合わせた模式図であり、コイルの中心を含む部分と、温度番号の下にそれよりも冷たい部分との両方が見える。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明の好ましい実施形態による輸送路面補強システム2の概略分解図を示しており、輸送路面補強システム2は、基礎層4を備え、基礎層は、輸送路面を敷設するための堅固な基礎として機能し得る砂利又は任意の種類の安定化砂利の層であってよい。基礎層4は、地表に配置されてよく、輸送路面システムから印加される圧力を地面に分散させる安定した表面を提供する。基礎層は、地面に面する第2表面6と、例えば大気に面するなど、反対方向を向く第1表面8とを有してよい。
【0042】
輸送路面補強システムは補強網10をさらに備えてよく、補強網10は基礎層4の第1表面8の上に配置されてよく、基礎層4の上に配置されると、補強網10の第2表面12は基礎層4と当接してよい。
【0043】
補強網は、S&P Carbophalt(登録商標)G200/200の形態であってよく、これは15×15mmのマスクサイズを有する瀝青含浸炭素繊維網である。この炭素繊維は、240.000N/mm2~265.000N/mm2の間の弾性率を有してよく、1.9%未満の破断伸度を有し、1.5%未満の伸度で200kN/mの引張強度を有し、46~47mm2/mの繊維直径を有するか、又は断面直径で約50~52本の繊維を有する。
【0044】
一次繊維構造22は一方向Xに延びていてよく、二次繊維構造24は第2方向Yに延びていてよく、方向Xと方向Yは同一平面上にあり、方向Xは方向Yに対して角度をなしていてよい。一次繊維構造が二次繊維構造と交差する領域において、XとYとの間の角度は、約90度であるか、又は85度~95度の間であってよい。
【0045】
輸送路面補強システムは瀝青層26をさらに備えてよく、瀝青層26は第1表面28及び第2表面30を有してよく、第2表面30は補強網10及び/又は基礎層4に面する。瀝青層は、瀝青を水などの液体物質に混合した乳剤の形態で基礎層4及び/又は補強網に適用されてよい。乳剤が基礎層4及び補強網に塗布されると、液体が蒸発し、瀝青が輸送路面システムの独立した層として残る。
【0046】
輸送路面システムの瀝青層が適切に準備されたら、上面層32が瀝青層26の上に適用されてよく、上面層32は第1表面34及び第2表面36を有する。瀝青層は、基礎層4の第1表面8及び上面層32の第2表面36と接触してよい。このように、瀝青層26は、上面層32を基礎層に接着するために使用されてよい。さらに、輸送路面補強システムに補強網10が存在していることによって、張力装置としての補強網10が、上面層及び/又は瀝青層の引張強度を増加させることができ、それによって、X方向及びY方向ならびに高さ方向において、上面層の抵抗を高めることができる。
【0047】
層の敷設時に、ロードローラなどの重力及び/又は振動で層を圧縮する重機を使って層を圧縮してよく、そうすることで、敷設後に層が互いに分離してしまうリスクが低減される。
【0048】
補強網10は第1電気接続部16及び第2電気接続部18を有してよく、電源20が第1電気接続部16及び第2電気接続部18に取り付けられて、第1繊維構造22及び/又は第2繊維構造24を通して補強網10に電流を流すことができる。繊維構造は、繊維構造の抵抗及び/又はインピーダンスによって電流を熱エネルギー、すなわち熱へ変換する種類のものであってよく、この熱は繊維構造から輸送路面システムの上面層へ伝達されてよい。
【0049】
輸送路面補強システム2は、一方で、道路、滑走路に沿って延在し、側縁、すなわち道路、滑走路、誘導路が終わる箇所を有してよく、他方で、輸送路面システムは、短距離又は長距離にわたって延在してもよく、輸送路面システムは、全長及び/又は全幅に沿って特許請求の範囲に規定されたすべての層を有してもよい。
【0050】
図2は、本開示による輸送路面補強システム2(図1に示す)の概略断面図である。システム2の最下層は基礎層4であるととらえられてよく、基礎層4の上面8は瀝青層26の下面30に当接している。本例では、瀝青層26は補強網10を全方向から包み込んでいてよく、補強網は瀝青物質のみと接触している。さらに、補強網10は輸送路面補強システムに敷設される前に瀝青物質でコーティングされてよく、瀝青層26が適用されると、補強網の瀝青コーティングと結合及び/又は一体化する。
【0051】
図3a~図3cは、一次繊維構造22が二次繊維構造24と交差し得る、本発明の好ましい実施形態による概略的な実施形態を示す。図3aでは、二次繊維構造は、第1束24aと第2束24bとに分割されていてよく、第2束は構造の上面14(図1に示す)上で一次繊維構22の上側を通ってよく、第2束は下側を通ってよい。これらの束は、一次繊維構造及び/又は二次繊維構造の間で入れ替えられてもよく、一次繊維構造を2つの束に分割してもよい。図3bは、一次繊維構造22が二次繊維構造24の下を通るという非常にシンプルな実施形態を示す。一次繊維構造22が二次繊維構造24の上を通るというように逆であってもよい。図3cは別の実施形態を示しており、一次繊維構造22と二次繊維構造24の両方がそれぞれ、2つの束22a、22b及び24a、24bに分割されており、上から下へ向かって一次構造と二次構造が交互になっていてよく、その逆でもよい。
【0052】
以下、様々な例示的な実施形態及び詳細について、必要な場合には図を参照しながら説明する。図は縮尺通りに描かれている場合とそうでない場合があること、及び、同様の構造又は機能を有する要素は、図全体を通して同様の参照数字で表されていることに留意されたい。また、図は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることにも留意すべきである。図は、本開示の網羅的な説明を意図するものではなく、本開示の範囲の限定を意図するものでもない。加えて、図示の実施形態は、示された全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施形態に関して記載された態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように説明されていなくても又はそのように明示的に記載されていなくても、他の任意の実施形態において実施されてよい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている通りである。
【0053】
「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」、ならびに「一次」、「二次」、「三次」などの語は、特定の順序を意味するために使用されるものではなく、個々の要素を識別するために使用されるものである。さらに、「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」、ならびに「一次」、「二次」、「三次」などの語は、いかなる順序や重要度を示すために使用されるものではなく、むしろ、ある要素を別の要素と区別するために使用されるものである。「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」、ならびに「一次」、「二次」、「三次」などの語は、本明細書でも他のところでも、識別目的のみに使用されており、特定の空間的又は時間的順序を示すことを意図していないことに留意されたい。
【0054】
さらに、第1要素があるからといって、第2要素が存在するという訳ではなく、その逆もまた然りである。
【0055】
なお、「備える」という語は、列挙された要素以外の要素やステップの存在を必ずしも排除するものではないことに留意されたい。
【0056】
要素の前に付く「a」又は「an」という語は、そのような要素が複数存在することを排除するものではないことに留意されたい。
【0057】
さらに、いかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
【0058】
特徴を示し説明してきたが、これらの特徴は特許請求される発明を限定することを意図するものではなく、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に記載される特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変形がなされてもよいことは自明であると理解されるであろう。したがって、本明細書及び図面は、制限的なものではなく、例示的なものとみなされるべきである。特許請求される発明は、添付の特許請求の範囲内のすべての代替物、変更物、及び均等物をカバーすることを意図している。
【0059】
実験データ
【0060】
実験1
炭素繊維メッシュと炭素繊維スレッドを使用して、4点プローブ法と赤外線加熱画像を用いて導電率を測定する実験を行った。試験レポートはデンマーク技術研究所によって作成され、試験レポート番号は933984である。
【0061】
試験
グリッドの面積又は表面抵抗率を測定するために拡張された4点プローブ法による炭素繊維メッシュの導電率測定。赤外線加熱画像はメッシュの加熱を示す。
【0062】
試験方法
炭素繊維スレッド又は長方形のメッシュ片に使用される4点プローブ法。外側電極を介して電流を流し、内側電極で電圧を測定する。内側電極間の距離を測定する。下の写真(図)を参照のこと。同じ方法で個々のスレッドも測定する。大きな長方形片には別体の電源が使用され、個々のスレッドには電圧測定と電流源が一体化したソースメータが使用された。サンプルが温かくなるのを避けるため、測定は素早く行われた。
【0063】
サンプル
瀝青を含む炭素繊維メッシュ。経糸方向に細いスレッドがあり、緯糸方向に太いスレッドがある。織る際に、緯糸は二重になる。メッシュは、両方向において、スレッドの間隔が約20mmである。
【0064】
測定は個々のスレッドに対して両方向から行われる。緯糸方向及び経糸方向の両方に10本のスレッドを有する、幅20cm、長さ約100cmの片。スレッドを1本及び2本切った状態での抵抗値の変化も測定した。糸巻きから出た1本のスレッドに対する測定も行われた。最後に、スレッドを切断した片の赤外線写真と、加熱試験に使用した大きなセクションの赤外線写真とを撮影した。
【0065】
設備
2017年6月20日に校正されたケースレー(Keithley)2400ソースメータシリーズ番号945453、ケースレー2260B-30-108。2019年1月11日に校正を受けたベンチ電源、距離測定装置。
【0066】
試験結果
測定データは同封されている。概要を以下の表1に示す。
【表1】
【0067】
スレッド1本当たりの抵抗は、瀝青と砂を使ったスレッドの測定値の間で非常によく似ている。例外は緯糸方向のスレッド1本で、測定したスレッドのうちの1本が平均値を引き上げた。
【0068】
より大きなセクションの抵抗の計算方法の例
【数1】
【0069】
炭素繊維メッシュの大きな片の抵抗Rは、次のように計算される。幅Wを1.2メートル、長さLを26メートルとすると、抵抗R=σs*L/W=0.35オーム*26メートル/1.2メートル=7.6オーム。
【0070】
230Vでの電力Pは、P=U2/R=(230V)2/7.6Ohm=7.0kWで、26m*1.2m=31.2m2、243W/m2で、電流は30.3Aである。これで温度がどれだけ高くなるかは、表面の冷却に依存する。
【0071】
スレッドを1本又は2本切断することの影響。
【0072】
緯糸方向の測定(サンプルF)では、スレッドを0本、1本、2本切断した状態で測定が行われた。その結果、抵抗はわずかに増加した。縦糸のみが導通している場合、10本中1本及び2本が切断されると、抵抗はR=R1/10からR1/9、R1/8へ大きくなるはずである。
【表2】
【0073】
範囲の加熱
経糸方向に34本のスレッドを有する66cm×101cmの大きなセクションをIRカメラでモニタしながら加熱した。図4Aは通常の写真を示し、図4BはIR写真と可視光写真を重ねたものを示す。メッシュの温度は均一ではないが、これは、各部で伝達されるパワーの違いというよりも、下の床との接触の違いによるものと思われる。顕著に熱くなっている箇所や冷たくなっている箇所は見られない。
【0074】
炭素繊維メッシュと炭素繊維スレッドを用いて、メッシュ瀝青と共に炭素繊維の誘導加熱を測定する実験を行った。試験レポートはデンマーク技術研究所によって作成され、試験レポート番号は942752である。
【0075】
実験1によると、電流はメッシュの横方向、つまり横方向のスレッドに流れるようである。つまり、切断されたスレッドがある場合、スレッドが切断された場所の両側で熱生産があるようである。
【0076】
実験2
瀝青を含む炭素繊維メッシュの誘導加熱
【0077】
試験方法
磁場を発生させるコイル上の厚さ14mmの絶縁プレートの上にメッシュを配置する。絶縁プレートによって、ほとんど制限なくメッシュを加熱でき、水冷コイルがメッシュを冷やさないことが保証される。周波数は66k Hz、コイルに流れる電流は320A、コイルは、内径40mmを有し、6mmのコバーチューブで構成されており、巻き数は10である。電力は約1.7kWである。
【0078】
サンプル
瀝青を含む炭素繊維メッシュ。経糸方向に細いスレッドがあり、緯糸方向に太いスレッドがある。織る際に、緯糸は二重になる。メッシュは、両方向ともにおいてスレッド間の間隔が約20mmである。
【0079】
設備
コイルを有するウルトラフレックスパワーインダクションシステム。内径40mm。
【0080】
テスト結果
誘導コイルから生じる磁場によって、メッシュの加熱が大きくなることが観察できる。これは、図5Aに示されるコイルの位置の周辺で観察される。磁場が端に近づくようにメッシュを切断すると、電流が通るスレッドの数が少なくなり、加熱が大きくなる。
【0081】
図5Aは、写真の下部付近で2本のスレッドが切断された状態のメッシュの目視写真とIR写真を重ね合わせたものである。図5Bは、コイルの中心を含む部分と、温度の数値の下にある別の冷たい部分との両方を示している。これは、縦のスレッドと横のスレッドの接続が欠けていることを示している可能性がある。
【0082】
本明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示されている各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等又は類似の目的を果たす代替特徴で置き換えられてよい。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示される各特徴は、同等又は類似の特徴の一連の一般的なものの一例でしかない。さらに、本明細書(添付の特許請求の範囲及び図面を含む)に開示された特徴のすべて、及び/又は開示された方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせられてよい。
【0083】
従って、本発明の多くの異なる実施形態が好ましい特徴とともに上述されてきたが、記載された、図示された、及び/又は添付の特許請求の範囲で特許請求される特徴のうちの1つ、又は複数、又はすべてが、任意の実施形態において、単独で、又は様々な組み合わせで使用されてよい。このように、任意の1つ又は複数の特徴を、記載、図示、及び/又は特許請求される特徴の組み合わせのいずれかに対して削除、置換、及び/又は追加してよい。疑義を避けるために、任意の実施形態の任意の1つ又は複数の特徴を、任意の実施形態からの任意の他の1つの特徴又は複数の特徴と組み合わせて、及び/又は別の実施形態において別々に使用してもよい。
【0084】
従って、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されたものである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4A
図4B
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送路面補強システムであって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層と、
第1表面及び第2表面を有する上面層と、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層であって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層と、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網であって、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している前記複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の二次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える前記補強網と、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源と、
を備える、輸送路面補強システム。
【請求項2】
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、複数の繊維ストランド又は繊維ストランドの束を備える、請求項1に記載の輸送路面補強システム。
【請求項3】
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、少なくとも50%が炭素繊維ストランドによって形成される、請求項1~2のいずれかに記載の輸送路面補強システム。
【請求項4】
前記補強網は、前記電気エネルギーを熱へ変換する、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項5】
前記複数の一次繊維構造のうちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面は、前記複数の二次繊維構造うちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面と交差する、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項6】
前記複数の一次繊維構造及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、互いに平行に延びる第1繊維束及び第2繊維束を有し、
交差する二次繊維構造及び/又は一次繊維構造は、前記第1繊維束と前記第2繊維束との間を通る、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項7】
前記複数の一次繊維構造は、前記複数の二次繊維構造に織り込まれている、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項8】
前記瀝青層の適用前に、交差する一次繊維構造及び二次繊維構造は、前記第一次軸及び/又は前記第二次軸に沿って移動可能である、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項9】
前記補強網の少なくとも一部は、前記瀝青層の前記第2表面を貫通している、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項10】
前記電気エネルギーはDC電流である、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項11】
前記補強網は、前記電源から電気エネルギーを受け取るための少なくとも2つ以上の電気入力部を有する、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項12】
隣接する2つの一次繊維構造の間及び/又は隣接する2つの二次繊維構造の間の距離は、5~40mmの範囲、より好ましくは10~30mmの範囲、より好ましくは12~20mmの範囲、より好ましくは13~17mmの範囲である、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項13】
前記瀝青層は、前記補強網を前記基礎層に接着する、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項14】
前記上面層は、瀝青を1~10重量%含有している、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項15】
前記補強網は、1平方メートル当たり約150~300gの瀝青、より具体的には、1平方メートル当たり225~300gの瀝青によって含浸されている、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項16】
前記補強網は、前記瀝青層に予め包み込まれている、請求項に記載の輸送路面補強システム。
【請求項17】
輸送路面補強システムを形成する方法であって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する上面層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層を設けるステップであって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網を設けるステップであって、前記補強網は、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の前記二次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える、補強網を設けるステップと、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源を設けるステップと、を備える輸送路面補強システムを形成する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
図3a~図3cは、一次繊維構造22が二次繊維構造24と交差し得る、本発明の好ましい実施形態による概略的な実施形態を示す。図3aでは、二次繊維構造は、第1束24aと第2束24bとに分割されていてよく、第2束は構造の上面14(図1に示す)上で一次繊維構22の上側を通ってよく、第束は下側を通ってよい。これらの束は、一次繊維構造及び/又は二次繊維構造の間で入れ替えられてもよく、一次繊維構造を2つの束に分割してもよい。図3bは、一次繊維構造22が二次繊維構造24の下を通るという非常にシンプルな実施形態を示す。一次繊維構造22が二次繊維構造24の上を通るというように逆であってもよい。図3cは別の実施形態を示しており、一次繊維構造22と二次繊維構造24の両方がそれぞれ、2つの束22a、22b及び24a、24bに分割されており、上から下へ向かって一次構造と二次構造が交互になっていてよく、その逆でもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
試験方法
磁場を発生させるコイル上の厚さ14mmの絶縁プレートの上にメッシュを配置する。絶縁プレートによって、ほとんど制限なくメッシュを加熱でき、水冷コイルがメッシュを冷やさないことが保証される。周波数は66k Hz、コイルに流れる電流は320A、コイルは、内径40mmを有し、6mmのチューブで構成されており、巻き数は10である。電力は約1.7kWである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
従って、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されたものである。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されている内容である。
(項目1)
輸送路面補強システムであって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層と、
第1表面及び第2表面を有する上面層と、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層であって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層と、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網であって、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している前記複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の一次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える前記補強網と、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源と、
を備える、輸送路面補強システム。
(項目2)
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、(複数の)繊維ストランドの束を備える、項目1に記載の輸送路面補強システム。
(項目3)
前記複数の一次繊維構造の各々及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、少なくとも50%が炭素繊維ストランドによって形成される、項目1~2のいずれかに記載の輸送路面補強システム。
(項目4)
前記補強網は、前記電気エネルギーを熱へ変換する、項目1~3のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目5)
前記複数の一次繊維構造のうちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面は、前記複数の二次繊維構造うちの1つの少なくとも第1表面及び/又は第2表面と交差する、項目1~4のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目6)
前記複数の一次繊維構造及び/又は前記複数の二次繊維構造の各々は、互いに平行に延びる第1繊維束及び第2繊維束を有し、
交差する二次繊維構造及び/又は一次繊維構造は、前記第1繊維束と前記第2繊維束との間を通る、項目1~5のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目7)
前記複数の一次繊維構造は、前記複数の二次繊維構造に織り込まれている(前記一次繊維構造が、前記二次繊維構造の上側と上方を交互に通り得る)、項目1~6のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目8)
前記瀝青層の適用前に、交差する一次繊維構造及び二次繊維構造は、前記第1軸及び/又は前記第2軸に沿って移動可能である(すなわち、前記繊維構造は互いに対して固定されていない)、項目1~7のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目9)
前記補強網の少なくとも一部は、前記瀝青層の前記第2表面を貫通している(前記瀝青層との一体化を可能にする)、項目1~8のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目10)
前記電気エネルギーはDC電流である、項目1~9のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目11)
前記補強網は、前記電源から電気エネルギーを受け取るための少なくとも2つ以上の電気入力部を有する、項目1~10のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目12)
隣接する2つの一次繊維構造の間及び/又は隣接する2つの二次繊維構造の間の距離は、5~40mmの範囲、より好ましくは10~30mmの範囲、より好ましくは12~20mmの範囲、より好ましくは13~17mmの範囲である、項目1~11のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目13)
前記瀝青層は、前記補強網を前記基礎層に接着する、項目1~12のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目14)
前記上面層は、瀝青を1~10重量%含有している、項目1~13のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目15)
前記補強網は、1平方メートル当たり約150~300gの瀝青、より具体的には、1平方メートル当たり225~300gの瀝青によって含浸されている、項目1~14のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目16)
前記補強網は、前記瀝青層に予め包み込まれている(前記補強網が、前記網層を完全に包囲する瀝青層を備える)、項目1~15のいずれか1項に記載の輸送路面補強システム。
(項目17)
輸送路面補強システムを形成する方法であって、
第1表面及び第2表面を有する基礎層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する上面層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有する瀝青層を設けるステップであって、前記瀝青層の前記第2表面は前記基礎層の前記第1表面に面する、前記瀝青層を設けるステップと、
第1表面及び第2表面を有し、前記基礎層の前記第1表面の上、又は、前記基礎層と前記上面層との間に配置される補強網を設けるステップであって、前記補強網は、
一次軸に沿って延びる複数の一次繊維構造であって、二次軸の方向に互いに離間している複数の一次繊維構造と、
前記二次軸に沿って延びる複数の二次繊維構造であって、前記複数の前記一次繊維構造は、前記一次軸の方向に互いに離間しており、少なくとも1つの一次繊維構造は、二次繊維構造と交差する、前記複数の二次繊維構造と、
少なくとも1つの電気入力部と、を備える、補強網を設けるステップと、
前記補強網に電気的に接続され、電気エネルギーを前記補強網の前記電気入力部へ伝達するように構成された電気出力部を有する電源を設けるステップと、を備える輸送路面補強システムを形成する方法。
【国際調査報告】