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特表2024-542756キラル3,5-二置換モルホリン化合物の合成方法及びその有用な中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】キラル3,5-二置換モルホリン化合物の合成方法及びその有用な中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 215/12 20060101AFI20241108BHJP
   C07D 265/30 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C07C215/12
C07D265/30 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532837
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2022136254
(87)【国際公開番号】W WO2023098882
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/135094
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/136466
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524049206
【氏名又は名称】ベイジーン スイッツァランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スン, ユアンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, チン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジアンジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ライ, シンジョン
(72)【発明者】
【氏名】デーアベルク, イェルク
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006BJ50
4H006BN10
(57)【要約】
本明細書は、がんなどの増殖性疾患を治療するためのミトコンドリア由来のカスパーゼ活性化因子(SMAC)模倣物として有用な化合物の調製に用いることができるキラル3,5-二置換モルホリン化合物のジアステレオマーを調製する選択的な合成方法及び中間体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VI)の化合物、
【化25】
又はその薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ又は溶媒和物であって、
ここで、
及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-5アルキルである化合物。
【請求項2】
及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
及びRはメチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物を含む固体形態。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物を含み、
2θ=22.5°、27.1°又は27.3°±0.2°における1つ、2つ又は3つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する結晶形態。
【請求項8】
前記X線粉末回折パターンはさらに2θ=15.3°、22.4°又は24.2±0.2°における1つ、2つ又は3つのピークを含む、請求項7に記載の結晶形態。
【請求項9】
前記結晶形態が約91℃~約93℃の融点温度を有する、請求項7又は8に記載の結晶形態。
【請求項10】
前記結晶形態が無水である、請求項7~9のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項11】
式(VIII)の化合物、
【化26】
又はその薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ又は溶媒和物を調製する方法であって、
前記方法は、式(VII)の化合物
【化27】
を、
触媒の存在下、溶媒中で水素(H)と接触させることを含み、
ここで、
及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-5アルキルである方法。
【請求項12】
前記溶媒はメタノール、エタノール又はイソプロパノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒はPd(OH)/C又はPd/Cである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記水素(H)の圧力は約1~約10atmであり、前記接触は約25℃~約55℃の温度で行われる、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水素(H)の圧力は約1~約5atmである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水素(H)の圧力は約1~約3atmである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記式(VII)の化合物は、式(VI)の化合物
【化28】
を、
酸と接触させることによって調製される、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記酸はTfOHであり、前記接触は約20℃~約140℃の温度で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記式(VI)の化合物は、式(IV)の化合物
【化29】
と、
式(V)の化合物
【化30】
との混合物を還元剤と接触させることによって調製される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記還元剤はNaBHであり、前記接触はメタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で、約15℃~約35℃の温度で行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記式(VI)の化合物は固体形態である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
及びRはメチル基である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記式(VI)の化合物は、前記式(VI)の化合物の結晶性形態を含み、前記結晶形態は2θ=22.5°、27.1°又は27.3°±0.2°における1つ、2つ又は3つのピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記X線粉末回折パターンはさらに2θ=15.3°、22.4°又は24.2°±0.2°における1つ、2つ又は3つのピークを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記結晶形態は約91℃~約93℃の融点温度を有する、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
無水である、請求項23~25のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項27】
前記式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物は、式(II)の化合物
【化31】
を、
式(III)の化合物
【化32】
と、
適切な塩基の存在下、適切な溶媒中で接触させることによって調製される、請求項11~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記適切な塩基は2,6-ルチジンであり、前記適切な溶媒はジクロロメタンであり、前記接触は約0℃~約40℃の温度で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記式(II)の化合物は、式(I)の化合物
【化33】
を、
適切な塩基の存在下、適切な溶媒中でPhCHOに接触させることによって調製される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記適切な塩基はNaHCOであり、前記適切な溶媒はメタノールであり、前記接触は約20℃~約40℃の温度で行われる、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、がんなどの増殖性疾患を治療するためのミトコンドリア由来のカスパーゼ活性化因子(SMAC)模倣物として有用な化合物の調製に用いることができるキラル3,5-二置換モルホリン化合物を調製する合成方法及び中間体を提供する。
【背景技術】
【0002】
異常なタンパク質リン酸化と疾患の原因又は結果との間にある関連は、20年以上前から知られている。従って、プロテインキナーゼは薬物標的の非常に重要なグループになっている
(Cohen, Nature, 1:309-315 (2002);GaestelらCurr.Med.Chem.14: 2214-223 (2007);GrimmingerらNat. Rev. Drug Disc. 9(12):956-970 (2010)を参照)。様々なプロテインキナーゼ阻害剤が、がんや、リウマチ様関節炎及び乾癬を含む慢性炎症性疾患などの様々な疾患の治療において臨床的に使用されている(Cohen, Eur. J. Biochem., 268:5001-5010 (2001);Protein Kinase Inhibitors for the Treatment of Disease: The Promise and the Problems, Handbook of Experimental Pharmacology, Springer Berlin Heidelberg, 167 (2005)を参照)。
【0003】
アポトーシスは、高等生物における細胞の発生及びホメオスタシスにおいて重要な役割を果たし、損傷した細胞又は望ましくない細胞を排除する厳密に調節されたプロセスである(Kerr, J. F.ら, Br J Cancer, 1972, 26, 239-257)。アポトーシスプロセスにおける異常は、がん、自己免疫疾患及び炎症を含む多くのヒト疾患に関与している(Nicholson, D. W.ら, Nature, 2000, 407, 810-816)。実際、抗アポトーシスはがんの特徴である(Hanahan, D.ら, cell 2000, 100, 57-70;Hanahan, D.ら, cell, 2011, 144, 646-674)。
【0004】
アポトーシスは、細胞死受容体の外因性刺激又は細胞内のミトコンドリアが放出する内因性刺激によって誘発され得る(Elmore, S., ToxicolPathol, 2007, 35, 495-516)。アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)は、外因性及び内因性のアポトーシス経路における重要な負の調節因子である。IAPはバキュロウイルスにおいて最初に同定され、且つ感染細胞のアポトーシスを阻害することができる(Birnbaum, M. J.ら, J Virol, 1994, 68, 2521-2528)。IAPは、バキュロウイルスIAPリピート(BIR)ドメインの存在を特徴とする。BIRドメインは長さが約70~80アミノ酸であり、IAP機能に関与するタンパク質-タンパク質相互作用を促進することができるZN結合モチーフを含む(Yang, Y.L., Cell Res, 2000, 10, 169-177)。ヒトIAPファミリーは、ニューロンIAP(BIRC1)、細胞IAP1(cIAP1、BIRC2)、細胞IAP2(cIAP2、BIRC3)、X染色体連鎖のIAP(XIAP、BIRC4)、サバイビン(BIRC5)、ユビキチン結合BIRドメインアポロン(apollon)(BIRC6)、メラノーマIAP(ML-IAP、BIRC7)及びIAP様タンパク質2(BIRC8)の8つのタンパク質を含む。これらのうち、cIAP1、cIAP2及びXIAPはアポトーシス調節において直接的な役割を果たす(Salvesen,G.S.ら, Nat Rev Mol Cell Bio, 2002, 3, 401-410)。
【0005】
cIAP1及びcIAP2(cIAP)は、それらのユビキチンリガーゼ活性を介して、TNF-αによって誘導されるものなどのカスパーゼ-8依存性の外部アポトーシス経路を阻害する(Derakhshan, A.ら, Clin Cancer Res, 2017, 23, 1379-1387)。TNF-αがその受容体TNFR1に結合すると、cIAP及び1型腫瘍壊死因子受容体関連デスドメイン(TRADD)、受容体相互作用セリン/スレオニンキナーゼ1(RIPK1)及びTNF受容体関連因子(TRAF)が動員されて複合体Iを形成し、炎症、増殖、細胞生存を促進することが知られている典型的な核内因子κB(NF-κB)経路を活性化する(Samuel T.ら, J Biol Chem, 2006, 281, 1080-1090;Vince J. E.ら, J Biol Chem, 2009, 284, 35906-35915;Wang C.ら, Nature, 2001, 412, 346-351)。
【0006】
XIAPは、カスパーゼ活性化を直接妨げるそのBIRドメインを介して、外因性及び内因性アポトーシス経路の両方を阻害する唯一のIAPタンパク質である(Deveraux Q.L.ら, Nature, 1997, 388, 300-304)。XIAPのBIR2ドメイン及び先行リンカー領域は、IAP結合モチーフ(IBM)及びカスパーゼ-3及びカスパーゼ-7(外因性及び内因性アポトーシスによって共有される実行カスパーゼ)の活性部位に関連し、且つそれらの機能を阻害する(Chai J.ら, Cell, 2001, 104, 769-780;Riedl S. J.ら, Cell, 2001, 104, 791-800)。XIAPは、そのBIR3ドメインを介してプロカスパーゼ-9に結合し、且つカスパーゼ-9(内因性経路における重要な誘導型カスパーゼ)の二量体化及びその後の活性化を阻害する(Shiozaki E.N.ら, Mol Cell, 2003, 11, 519-527)。
【0007】
cIAP1、cIAP2及びXIAPタンパク質は、種々の腫瘍型において広範に発現される。さらに、cIAP及びXIAPの陽性発現は高悪性度のがん及び予後不良と関連している(Che X.ら, Urol Oncol, 2012, 30, 450-456;Yang C.ら, J Exp Clin Cancer Res, 2016, 35, 158)。さらに、これらのIAPのダウンレギュレーション又は枯渇は、外因性又は内因性アポトーシス刺激に対する感受性を回復させることが示されている(Gu H.ら, Aging(Albany NY), 2018, 10, 1597-1608)。まとめると、IAPタンパク質を標的とすることは潜在的な抗腫瘍ストラテジーを提供する。
【0008】
低pIの直接IAP結合タンパク質(DIABLO)としても知られる第2のミトコンドリア由来カスパーゼ活性化因子(SMAC)は、アポトーシスを促進するcIAP1、cIAP2及びXIAPの内因性アンタゴニストである(Du C.ら, Cell, 2000, 102, 33-42;Verhagen A. M.ら, Cell, 2000, 102, 43-53)。SMACは通常ミトコンドリアに隔離され、且つ細胞がアポトーシスを受けると細胞質ゾルに放出される。細胞質ゾルにおいて,SMACのN末端ミトコンドリア標的化配列は切断されて、テトラペプチド(Ala-Val-Pro-Ile)を露出し、それによりSMACがIAPのBIRドメインと相互作用することを可能にする(Chai J.ら, Nature, 2000, 406, 855-862)。cIAP1及びcIAP2のBIR3ドメインへのSMACの結合は、それらのE3ユビキチンリガーゼ活性を刺激し、且つそれらのプロテアソーム分解を誘導する。cIAPタンパク質の損失はRIPK1、カスパーゼ-8及びFasデスドメイン関連タンパク質(FADD)を含む複合体IIの形成を促進し、且つTNF-α媒介性アポトーシスを誘発する(Dueber E. C.ら, Science, 2011, 334, 376-380)。二量体化したSMACは、XIAPのBIR2及びBIR3ドメインに結合し、且つそれとカスパーゼ-3、カスパーゼ-7及びカスパーゼ-9との相互作用を破壊し、カスパーゼ依存性アポトーシスをもたらす(Micheau, O.ら, Cell, 2003, 114, 181-190;Chai J.ら, Cell, 2001, 104, 769-780;Liu Z.ら, Nature, 2000, 408, 1004-1008)。
【0009】
SMAC模倣物は、SMACのN末端(Ala-Val-Pro-Ile)を模倣する4つのアミノ酸を含む低分子である。SMACと同様に、SMAC模倣物はIAPのBIRドメインに結合し、がん細胞のアポトーシスを促進するIAPの機能に拮抗する(Chai J.ら, Cell, 2001, 104, 769-780;Dueber E. C.ら, Science, 2011, 334, 376-380;Liu Z.ら, Nature, 2000, 408, 1004-1008;Verhagen A. M.ら, Cell, 2000, 102, 43-53)。まとめると,SMAC模倣物は新規のがん治療候補となる。
【0010】
2021年6月3日に出願されたPCT/CN2021/098123は、SMAC模倣物としての化合物の群を教示し、且つR,R-3,5-ジメチルモルホリンの部分が、この出願におけるSMAC模倣物のほとんどにおいて必要とされることを教示している。しかしながら、SMAC模倣物の調製に有用なR,R-3,5-ジメチル-モルホリン中間体を調製するための立体選択的合成方法は、本分野において利用可能であるものがいまだにない。
【0011】
Dieter Endersら, Synthesis, 1994(01), 66-72は、合成中間体として(S,S)-ビス(β-ヒドロキシイソプロピル)アミン及びメソ-ビス(β-ヒドロキシイソプロピル)アミンの等モル混合物を生成する3,5-ジメチルモルホリンのジアステレオランダム合成経路を報告している。G. Cignarellaら、Gazz. Chim. Ital., 1962, 92, 3-16は、0.2mm Hgで、沸点が133~135℃である油状の2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)、及び2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)のジアステレオランダム合成経路を報告している。L. Fontanellaら, Il Farmaco, Ed. Sci., 1982, 37(6), 378-386は、2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)の別のジアステレオランダム合成経路を報告している。
【0012】
従って、医薬製造、特に医薬の品質及びコストを制御するという目的のために、ある種のSMAC模倣物の調製に有用な中間体を調製するための立体選択的合成方法を開発する必要がある。
このセクションにおける任意の参考文献の引用又は特定は、前記参考文献が本願の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Cohen, Nature, 1:309-315 (2002)
【非特許文献2】GaestelらCurr.Med.Chem.14: 2214-223 (2007)
【非特許文献3】GrimmingerらNat. Rev. Drug Disc. 9(12):956-970 (2010)
【非特許文献4】Cohen, Eur. J. Biochem., 268:5001-5010 (2001)
【非特許文献5】Kerr, J. F.ら, Br J Cancer, 1972, 26, 239-257
【非特許文献6】Nicholson, D. W.ら, Nature, 2000, 407, 810-816
【非特許文献7】Hanahan, D.ら, cell 2000, 100, 57-70
【非特許文献8】Hanahan, D.ら, cell, 2011, 144, 646-674
【非特許文献9】Elmore, S., ToxicolPathol, 2007, 35, 495-516
【非特許文献10】Birnbaum, M. J.ら, J Virol, 1994, 68, 2521-2528
【発明の概要】
【0014】
本明細書は、式(VIII)の化合物、
【化1】
その薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ及びその溶媒和物を調製するためのジアステレオ選択的方法を提供し、
前記方法は式(VII)の化合物
【化2】
を、
触媒の存在下、溶媒中で水素(H)と接触させることを含む。
式中、R及びRは本明細書で提供するとおりである。
【0015】
一実施形態において、式(VII)の化合物は、式(VI)の化合物
【化3】
を、
酸と接触させることによって調製される。
【0016】
一実施形態において、式(VI)の化合物は、式(IV)の化合物
【化4】
と、
式(V)の化合物
【化5】
との混合物を還元剤と接触させることによって調製される。
【0017】
一実施形態において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物は、式(II)の化合物
【化6】
と、
式(III)の化合物
【化7】
を接触させることによって調製される。
【0018】
一実施形態において、式(II)の化合物は、式(I)の化合物
【化8】
を、
PhCHOに接触させることによって調製される。
【0019】
本明細書は式(VI)の化合物、
【化9】
その薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ及びその溶媒和物を提供し、
式中、R及びRは本明細書で提供するとおりである。
【0020】
本明細書は以下の構造を有する化合物6を提供し、その名称は(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)である。
【化10】
【0021】
一実施形態において、化合物6は2θ=約22.54°、27.09°及び27.30°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを有する結晶形態である。
【0022】
本明細書は、2021年6月3日に出願されたPCT/CN2021/098123に開示されているSMAC模倣物の調製に有用なプロセス及び中間体を提供する。
【0023】
本発明の実施形態は、非限定的な実施形態を例示することを意図した詳細な説明及び実施例を参照することによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】化合物2のH核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
【0025】
図2】化合物6のH NMRスペクトルを示す。
【0026】
図3】化合物7のH NMRスペクトルを示す。
【0027】
図4】化合物8のH NMRスペクトルを示す。
【0028】
図5】化合物6のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0029】
図6】化合物6の示差スキャン熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0030】
図7】化合物6の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、不定冠詞「一つの」及び「一種の」ならびに定冠詞「前記」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数及び単数の指示対象を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、組成物の成分の量又は重量パーセントに関連して使用される「約」及び「およそ」という用語は、指定された量又は重量パーセントで得られるものと同等の薬理効果を提供すると当業者によって認識される量又は重量パーセントを意味する。ある特定の実施形態において、「約」及び「およそ」という用語は、この文脈で使用される場合、指定された量又は重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、又は5%以内の量又は重量パーセントを包含する。
【0033】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「約」及び「およそ」という用語は、特定の固体形態を特徴付けるために提供される値又は値の範囲、例えば融解、脱水、脱溶媒、又はガラス転移温度を説明するものなどの特定の温度又は温度範囲や、温度又は湿度の関数としての質量変化などの質量変化や、例えば質量又はパーセンテージで表される溶媒又は水の含有量や、例えばIR又はラマン分光法(Raman spectroscopy)又はXRPDによる分析などにおけるピーク位置と併せて使用される場合、前記値又は値の範囲が、前記固体形態を依然として示しながらも、当業者によって妥当であると見なされる程度まで逸脱し得ることを示す。結晶形態及び非晶質固体を特徴付けるために使用される技術には、熱重量分析(TGA)、示差スキャン熱量測定(DSC)、X線粉末回折(XRPD)、単結晶X線回折、振動分光法(例えば、赤外(IR)及びラマン分光法)、固体及び溶液核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、スキャン型電子顕微鏡法(SEM)、電子結晶学的及び定量的分析、粒子径分析(PSA)、表面積分析、溶解度研究及び溶解研究が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、「約」及び「およそ」という用語は、この文脈で使用される場合、指示する値又は値の範囲が、列挙された値又は値の範囲の30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、又は0.25%以内で変動してもよいことを示す。例えば、いくつかの実施形態において、XRPDピーク位置の値は、特定のXRPDピークを依然として示しながら、2θ=±0.2°(又は2θが±0.2度)まで変動する可能性がある。
【0034】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「純粋な」、すなわち他の結晶性又は非晶質固体を実質的に含まない結晶性化合物は、約10重量%未満の1つ以上の他の結晶性又は非晶質固体、約5重量%未満の1つ以上の他の結晶性又は非晶質固体、約3重量%未満の1つ以上の他の結晶性又は非晶質固体、又は約1重量%未満の1つ以上の他の結晶性又は非晶質固体を含有する。
【0035】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「実質的に物理的に純粋な」固体形態は、他の固体形態を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に物理的に純粋な結晶形態は、約10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満の1つ以上の他の固体形態を含む。他の固体形態の検出は、当業者に明らかな任意の方法によって達成することができ、回折分析、熱分析、元素燃焼分析及び/又は分光分析が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「実質的に化学的に純粋な」固体形態は、他の化合物(すなわち、化学的不純物)を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に化学的に純粋な固体形態は、約10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満の1つ以上の他の化学化合物を含む。他の化合物の検出は、当業者に明らかな任意の方法によって達成することができ、質量分析、分光分析、熱分析、元素燃焼分析、及び/又はクロマトグラフィー分析などの化学分析方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、別の化合物、固体形態、又は組成物を「実質的に含まない」化合物、固体形態、又は組成物は、ある特定の実施形態において、化合物、固体形態、又は組成物が、約10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満の別の化合物、固体形態、又は組成物を含有することを意味する。
【0038】
「アルキル」基は、1~10個の炭素原子、典型的には1~8個の炭素原子、又はいくつかの実施形態において、1~6個、1~4個、又は2~6個、又は2~4個の炭素原子を有する、飽和、部分飽和、又は不飽和の直鎖状又は分岐状の非環式炭化水素である。代表的なアルキル基としては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、及び-n-ヘキシルが挙げられ、飽和分岐アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、-tert-ペンチル、-2-メチルフェニル、-3-メチルフェニル、-4-メチルフェニル、2,3-ジメチルブチル等が挙げられる。不飽和アルキル基の例としてはビニル、アリル、-CH=CH(CH)、-CH=C(CH、-C(CH)=CH、-C(CH)=CH(CH)、-C(CHCH)=CH、-C≡CH、-C≡C(CH)、-C≡C(CHCH)、-CHC≡CH、-CHC≡C(CH)及び-CHC≡C(CHCH)等が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。本明細書に記載されるアルキル基が「置換された」と称される場合、それらは、本明細書に開示される例示的な化合物及び実施形態において見出されるもの、及びハロゲン(塩素、ヨウ素、臭素、又はフッ素)、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、チオール、チオエーテル、イミン、イミド、アミジン、グアニジン、エナミン、アミノカルボニル、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィン、チオカルボニル、スルフィニル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、尿素、カルバメート、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、N-オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、B(OH)、又はO(アルキル)アミノカルボニルなどの任意の1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
「シクロアルキル」基は、3~10個の炭素原子を有する飽和又は部分飽和の環状アルキル基であり、単環又は複数の縮合環又は架橋環を有し、選択的に1~3個のアルキル基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~8個の環員を有し、他の実施形態において、環炭素原子の数は、3~5、3~6、又は3~7の範囲である。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどの単環式構造、又は1-ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチルなどの多環式又は架橋環構造が挙げられる。不飽和シクロアルキル基の例としては、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニルが挙げられる。シクロアルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。このような置換シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
【0040】
「アリール」は基、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合環(例えば、ナフチル又はアントリル)を有する6~14個の炭素原子の芳香族炭素環式基である。いくつかの実施形態において、アリール基は、6~14個の炭素原子を有し、他の実施形態において、アリール基の環部分は、6~12個、又はさらには6~10個の炭素原子を含有する。具体的なアリール基としては、フェニル、ビフェニル、ナフチルなどが挙げられる。アリール基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。「アリール基」という語句はまた、縮合芳香族-脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの縮合環を含有する基を含む。
【0041】
「ヘテロアリール」基は、ヘテロ芳香族環系中の環原子として1~4個のヘテロ原子を有し、残りの原子が炭素原子であるアリール環系である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、3~6個の環原子を含有し、他の実施形態において、基の環部分に6~9個又はさらには6~10個の原子を含有する。適切なヘテロ原子としては、酸素、硫黄及び窒素が挙げられる。ある特定の実施形態において、ヘテロアリール環系は、単環式又は二環式である。非限定的な例としては、以下の基が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル(例えば、ベンゾ[d]イソオキサゾリル)、チアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル(例えば、インドリル-2-オニル又はイソインドリン-1-オニル)、アザインドリル(ピロロピリジニル又は1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d]イミダゾリル)、イミダゾピリジニル(例えば、アザベンゾイミダゾリル又は1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジニル)、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル)、ベンゾオキサゾリル(例えば、ベンゾ[d]オキサゾリル)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソキサゾロピリジニル、チオナフチル、プリニル、キサンプリニル、アデニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル(例えば、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル)、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル及びキナゾリニルである。
【0042】
「ヘテロシクリル基」は、芳香族(ヘテロアリールとも呼ばれる)又は非芳香族シクロアルキルであり、1~4個の環炭素原子は独立して、O、S及びNからなる群からのヘテロ原子で置換されている。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、3~10個の環員を含むが、他のそのような基は、3~5個、3~6個、又は3~8個の環員を有する。ヘテロシクリル基はまた、任意の環原子(すなわち、複素環の任意の炭素原子又はヘテロ原子)において他の基に結合されてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。ヘテロシクリル基は、イミダゾリル、イミダゾリニル及びイミダゾリジニル(例えば、イミダゾリジン-4-オンまたはイミダゾリジン-2,4-ジオニル)などの不飽和、部分飽和及び飽和環系を含む。ヘテロシクリル基という語句は、1-アミノテトラリン及び2-アミノテトラリン、ベンゾトリアゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d]イミダゾリル)、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、及びベンゾ[1,3]ジオキソリルなどの縮合芳香族及び非芳香族基を含有するものを含む縮合環種を含む。前記語句はまた、ヘテロ原子を含む架橋多環式環系(例えば、キヌクリジニルが挙げられるが、これに限定されない)を含む。ヘテロシクリルの代表例には、アジリジニル、アゼチジニル、アゼパニル、オキセタニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル(例えば、イミダゾリジン-4-オニルまたはイミダゾリジン-2,4-ジオニル)、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル(例えば、ベンゾ[d]イソオキサゾリル)、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル(例えば、ピペラジン-2-オニル)、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル(例えば、テトラヒドロ-2H-ピラニル)、テトラヒドロチオピラニル、オキサチオラニル、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロジチエニル、ジヒドロジチオニル、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デシル、ホモピペラジニル、キヌクリジニル、インドリル(例えば、インドリル-2-オニルまたはイソインドリン-1-オニル)、インドリニル、イソインドリル、イソインドリニル、アザインドリル(ピロロピリジニルまたは1H-ピロロ[2,3-b]ピリジニル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1H-ベンゾ[d]イミダゾリルまたは1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オニル)、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチエニル、ベンゾオキサチオラニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル(すなわち、ベンゾ[d]オキサゾリル)、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジニル(例えば、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジニル、1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジニル)、イミダゾピリジニル(例えば、アザベンズイミダゾリルまたは1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジニル)、トリアゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、プリニル、キサンプリニル、アデニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル(例えば、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル)、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チオナフチル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジチエニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジニル、テトラヒドロピラゾロピリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロトリアゾロピリジニル、テトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンおよびテトラヒドロキノリニルが含まれるが、これらに限定されない。代表的な非芳香族ヘテロシクリル基は、縮合芳香族基を含む縮合環種を含まない。非芳香族ヘテロシクリル基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、アゼパニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル(例えば、イミダゾリジン-4-オニルまたはイミダゾリジン-2,4-ジオニル)、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル(例えば、ピペラジン-2-オニル)、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル(例えば、テトラヒドロ-2H-ピラニル)、テトラヒドロチオピラニル、オキサチオラニル、ジチアニル、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニル、またはテトラヒドロピリミジン-2(1H)-オンが挙げられる。代表的な置換ヘテロシクリル基は一置換又は一回以上置換されてもよく、例えばピリジル又はモルホリニルであるがそれに限定されず、2-置換、3-置換、4-置換、5-置換又は6-置換され、又は様々な置換基(例えば以下に列挙されるもの)で二置換される。
【0043】
「シクロアルキルアルキル」基は、式:-アルキル-シクロアルキルの基であり、ここでアルキルおよびシクロアルキルは、上記定義されたとおりである。置換されたシクロアルキルアルキル基は、基のアルキル、シクロアルキル、またはアルキルおよびシクロアルキル部分の両方で置換されていてもよい。代表的なシクロアルキルアルキル基としては、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロプロピル、エチルシクロブチル、エチルシクロペンチル、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロペンチル、プロピルシクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
「アラルキル」基は、式:-アルキル-アリールの基であり、ここで、アルキルおよびアリールは、上記定義されたとおりである。置換されたアラルキル基は、基のアルキル、アリール、またはアルキルおよびアリール部分の両方で置換されていてもよい。代表的なアラルキル基としては、ベンジルおよびフェネチル、及び4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
「ヘテロシクリルアルキル」基は、式:-アルキル-ヘテロシクリルの基であり、ここで、アルキルおよびヘテロシクリルは、上記定義されたとおりである。置換されたヘテロシクリルアルキル基は、基のアルキル、ヘテロシクリル、またはアルキルおよびヘテロシクリル部分の両方で置換されていてもよい。代表的なヘテロシクリルアルキルとしては、4-エチル-モルホリニル、4-プロピルモルホリニル、フラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピリジン-3-イルメチル、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、およびインドール-2-イルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される基(アルキル基を除く)が「置換された」と称される場合、それらは、任意の適切な1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。置換基の実例は、本明細書に開示される例示的な化合物および実施形態において見出されるもの、及びハロゲン(塩素、ヨウ素、臭素、またはフッ素)、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミン、アルキルアミン、カルボキシル、ニトロ、シアノ、チオール、チオエーテル、イミン、イミド、アミジン、グアニジン、エナミン、アミノカルボニル、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィン、チオカルボニル、スルフィニル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、尿素、カルバメート、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、N-オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、酸素(
【化11】
)、B(OH)、O(アルキル)アミノカルボニル、シクロアルキル基であって、それは単環又は縮合又は非縮合の多環(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル)であってもよく、又は複素環基であって、それは単環又は縮合又は非縮合の多環(例えばピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル又はチアジニル)であってもよいもの、単環式または縮合又は非縮合の多環式アリールまたはヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニルまたはベンゾフラニル)アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、およびヘテロシクリルアルコキシである。
【0046】
「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、臭素またはフッ素である。
【0047】
「ヒドロキシアルキル」基は、1つ以上のヒドロキシ基で置換された、上記のアルキル基である。
【0048】
「アルコキシ」基は、-O-(アルキル)であり、ここで、アルキルは、上記定義されたとおりである。
【0049】
「アルコキシアルキル」基は、-(アルキル)-O-(アルキル)であり、ここで、アルキルは、上記定義されたとおりである。
【0050】
「アミン」基は、式:-NHの基である。
【0051】
「ヒドロキシルアミン」基は、式:-N(R)OH又は-NHOHの基であり、ここで、Rは、本明細書で定義される置換され、または置換されていないアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキルである。
【0052】
「アルコキシアミン」基は、式:-N(R)O-アルキルまたは-NHO-アルキルの基であり、ここで、Rは、上記定義されたとおりである。
【0053】
「アラルコキシアミン」基は、式:-N(R)O-アリールまたは-NHO-アリールの基であり、ここで、Rは、上記定義されたとおりである。
【0054】
「アルキルアミン」基は、式:-NH-アルキルまたは-N(アルキル)の基であり、ここで、各アルキルは独立して、上記定義されたとおりである。
【0055】
「アミノカルボニル」基は、式:-C(=O)N(R、-C(=O)NH(R)又は-C(=O)NHの基であり、ここで、各Rは、上記定義されたとおりである。
【0056】
「アシルアミノ」基は、式:-NHC(=O)(R)又は-N(アルキル)C(=O)(R)の基であり、ここで、各アルキルおよびRは独立して、上記定義されたとおりである。
【0057】
「O(アルキル)アミノカルボニル」基は、式:-O(アルキル)C(=O)N(R、-O(アルキル)C(=O)NH(R)又は-O(アルキル)C(=O)NHの基であり、ここで、各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0058】
「N-オキシド」基は、式:-N-Oの基である。
【0059】
「カルボキシ」基は、式:-C(=O)OHの基である。
【0060】
「ケトン」基は、式:-C(=O)(R)の基であり、ここで、Rは上記定義された通りである。
【0061】
「アルデヒド」基は、式:-CH(=O)の基である。
【0062】
「エステル」基は、式:-C(=O)O(R)又は-OC(=O)(R)の基であり、ここで、Rは上記定義されたとおりである。
【0063】
「尿素」基は、式:-N(アルキル)C(=O)N(R、N(アルキル)C(=O)NH(R)、-N(アルキル)C(=O)NH、-NHC(=O)N(R、-NHC(=O)NH(R)又は-NHC(=O)NH の基であり、ここで各アルキル及びRは独立して、上記定義されたとおりである。
【0064】
「イミン」基は、式:-N=C(R又は-C(R)=N(R)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0065】
「イミド」基は、式:-C(=O)N(R#)C(=O)(R)又は-N((C=O)(R))の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0066】
「カルバメート」基は、式:-OC(=O)N(R、-OC(=O)NH(R)、-N(R)C(=O)O(R)又は-NHC(=O)O(R)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0067】
「アミジン」基は、式:-C(=N(R))N(R、-C(=N(R))NH(R)、-C(=N(R))NH、-C(=NH)N(R、-C(=NH)NH(R)、-C(=NH)NH、-N=C(R)N(R、-N=C(R)NH(R)、-N=C(R)NH、-N(R)C(R)=N(R)、-NHC(R)=N(R)、-N(R)C(R)=NH又は-NHC(R)=NHの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0068】
「グアニジン」基は、式:-N(R)C(=N(R))N(R、-NHC(=N(R))N(R、-N(R)C(=NH)N(R、-N(R)C(=N(R))NH(R)、-N(R)C(=N(R))NH、-NHC(=NH)N(R、-NHC(=N(R))NH(R)、-NHC(=N(R))NH、-NHC(=NH)NH(R)、-NHC(=NH)NH、-N=C(N(R、-N=C(NH(R))又は-N=C(NHの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0069】
「エナミン」基は、式:-N(R)C(R)=C(R、-NHC(R)=C(R、-C(N(R)=C(R、-C(NH(R))=C(R、-C(NH)=C(R、-C(R)=C(R)(N(R)、-C(R)=C(R)(NH(R))又は-C(R)=C(R)(NH)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0070】
「オキシム」基は、式:-C(=NO(R))(R)、-C(=NOH)(R)、-CH(=NO(R))又は-CH(=NOH)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0071】
「ヒドラジド」基は、式:-C(=O)N(R)N(R、-C(=O)NHN(R、-C(=O)N(R)NH(R)、-C(=O)N(R)NH、-C(=O)NHNH(R又は-C(=O)NHNHの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0072】
「ヒドラジン」基は、式:-N(R)N(R、-NHN(R、-N(R)NH(R)、-N(R)NH、-NHNH(R又は-NHNHの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0073】
「ヒドラゾン」基は、式:-C(=N-N(R)(R、-C(=N-NH(R))(R、-C(=N-NH)(R、-N(R)(N=C(R)又は-NH(N=C(R)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0074】
「アジド」基は、式:-Nの基である。
【0075】
「イソシアネート」基は、式:-N=C=Oの基である。
【0076】
「イソチオシアネート」基は、式:-N=C=Sの基である。
【0077】
「シアネート」基は、式:-OCNの基である。
【0078】
「チオシアネート」基は、式:-SCNの基である。
【0079】
「チオエーテル」基は、式:-S(R)の基であり、ここでRは、上記定義されたとおりである。
【0080】
「チオカルボニル」基は、式:-C(=S)(R)の基であり、ここでRは、上記定義されたとおりである。
【0081】
「スルフィニル」基は、式:-S(=O)(R)の基であり、ここでRは、上記定義されたとおりである。
【0082】
「スルホン」基は、式:-S(=O)(R)の基であり、ここでRは、上記定義されたとおりである。
【0083】
「スルホニルアミノ」基は、式:-NHSO(R)又は-N(アルキル)SO(R)の基であり、ここで各アルキル及びRは、上記定義されたとおりである。
【0084】
「スルホンアミド」基は、式:-S(=O)N(R又は-S(=O)NH(R)又は-S(=O)NHの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0085】
「ホスホネート」基は、式:-P(=O)(O(R))、-P(=O)(OH)、-OP(=O)(O(R))(R)又は-OP(=O)(OH)(R)の基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0086】
「ホスフィン」基は、式:-P(Rの基であり、ここで各Rは独立して、上記定義されたとおりである。
【0087】
「互変異性体」は、互いに平衡状態にある化合物の異性体形態を指す。異性体形態の濃度は、化合物が置かれる環境に依存し、例えば、化合物が固体であるか、または有機又は水溶液中にあるかに応じて変動する可能性がある。例えば、水溶液中で、ピラゾールは、互いの互変異性体と呼ばれる以下の異性体形態を示す可能性がある。
【化12】
【0088】
当業者には容易に理解されるように、種々の官能基および他の構造が互変異性を示す可能性があり、化合物6のすべての互変異性体がいずれも本発明の範囲内にある。
【0089】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、別途説明されない限り、1つまたは複数の指定された成分を(示されている場合、1つまたは複数の指定された量で)含む生成物、及び1つまたは複数の指定された量の1つまたは複数の指定された成分の組み合わせから直接的または間接的に得られる任意の生成物を含むものとする。「薬学的に許容される」とは、製剤中の希釈剤、賦形剤または担体が、製剤の1つ以上の他の成分と適合性でなければならず、投与を受ける人に有害であってはならないことを意味する。
【0090】
「固体形態」という用語は、液体または気体状態ではない物理的形態を指す。本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「固体形態」という用語は、化合物6に関して本明細書で使用される場合、液体または気体状態ではない化合物6を含む物理的形態を指す。固体形態は、結晶形態またはその混合物であってもよい。ある特定の実施形態において、固体形態は液晶であってもよい。ある特定の実施形態において、「化合物6を含む固体形態」という用語は、化合物6を含む結晶形態を含む。ある特定の実施形態において、化合物6の固体形態は、形態A、非晶質固体、またはそれらの混合物である。
【0091】
本明細書で使用される場合、別途説明されない限り、「結晶」という用語が、化合物、物質、修飾、材料、成分、または生成物を説明するために使用される場合、別段の指定がない限り、前記化合物、物質、修飾、材料、成分、または生成物が、X線回折によって決定される場合に実質的に結晶性であることを意味する。例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第21版,Lippincott, Williams and Wilkins, Baltimore, MD (2005);The United States Pharmacopeia, 第23版, 1843-1844 (1995)を参照されたい。
【0092】
「結晶形態」または「結晶性形態」という用語は、結晶の固体形態を指す。ある特定の実施形態において、物質の結晶形態は、非晶質固体および/または他の結晶形態を実質的に含まなくてもよい。ある特定の実施形態において、物質の結晶形態は、約1重量%未満、約2重量%未満、約3重量%未満、約4重量%未満、約5重量%未満、約6重量%未満、約7重量%未満、約8重量%未満、約9重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、約35重量%未満、約40重量%未満、約45重量%未満、または約50重量%未満の1つ以上の非晶質固体および/または他の結晶形態を含む可能性がある。ある特定の実施形態において、物質の結晶形態は、物理的および/または化学的に純粋であってもよい。ある特定の実施形態において、物質の結晶形態は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、または約90%物理的および/または化学的に純粋であってもよい。
【0093】
「非晶質」または「非晶質固体」という用語は、別途説明されない限り、言及されている物質、成分または生成物が、X線回折によって決定される場合に実質的に非晶質であることを意味する。特に、「非晶質固体」という用語は、無秩序な固体形態、すなわち、結晶が長距離秩序を欠く固体形態を表す。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、他の非晶質固体および/または結晶形態を実質的に含まなくてもよい。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、約1重量%未満、約2重量%未満、約3重量%未満、約4重量%未満、約5重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満、約30重量%未満、約35重量%未満、約40重量%未満、約45重量%未満、または約50重量%未満の1つ以上の他の非晶質固体および/または結晶形態を含有する可能性がある。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、物理的および/または化学的に純粋であってもよい。ある特定の実施形態において、物質の非晶質固体は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、または約90%物理的および/または化学的に純粋であってもよい。
【0094】
「ジアステレオマー比」または「d.r.」という用語は、混合物中の一方のジアステレオマーのモルパーセントと他方のジアステレオマーのモルパーセントとの比を指す。
【0095】
本明細書で使用される「溶媒和物」および「溶媒和された」という用語は、別途説明されない限り、溶媒を含有する物質の固体形態を指す。「水和物」および「水和」という用語は、溶媒が水である溶媒和物を指す。「溶媒和物の多形」は、特定の溶媒和物組成物が1つより多い固体形態で存在することを意味する。同様に、「水和物の多形」は、特定の水和物組成物が1つより多い固体形態で存在することを意味する。本明細書で使用される「脱溶媒溶媒和物」という用語は、溶媒和物から溶媒を除去することによって作製することができる物質の固体形態を指す。本明細書で使用される「溶媒和物」および「溶媒和された」という用語は、塩、共結晶、または分子錯体の溶媒和物を指していてもよい。本明細書で使用される「水和物」および「水和」という用語は、塩、共結晶、または分子錯体の水和物を指していてもよい。
【0096】
本明細書で使用される「1つ以上の薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される非毒性の酸または塩基(無機酸と無機塩基および有機酸と有機塩基を含む)から調製される塩を指す。適切な薬学的に許容される塩としては、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、且つ妥当な利益/リスク比に相応する塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、本明細書に開示される化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで、または遊離塩基官能基を適切な有機酸と反応させることによって、又は酸性基を適切な塩基と反応させることによって別々に調製することができる。
【0097】
化合物は、1つ以上の原子において、不自然な割合の原子同位体を含む可能性があることにも留意すべきである。例えば、化合物は、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、硫黄-35(35S)又は炭素-14(14C)の放射性同位体で放射性標識されてもよく、又は重水素(H)、炭素-13(13C)又は窒素-15(15N)で同位体濃縮されてもよい。本明細書で使用される「アイソトポログ」は、同位体濃縮された化合物である。「同位体濃縮された」という用語は、原子が、前記原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有することを意味する。「同位体濃縮された」は、その中に含有される少なくとも1つの原子が、前記原子の天然同位体組成とは異なる同位体組成を有する化合物を指していてもよい。「同位体組成」という用語は、所与の原子が存在する各同位体の量を指す。放射性標識され、同位体濃縮された化合物は、治療剤(例えば、がん及び炎症治療薬)、研究試薬(例えば、結合アッセイ試薬)、および診断薬(例えば、インビボ造影剤)として有用である。本明細書に記載される化合物の全ての同位体変種(放射性であるか否かにかかわらず)は、いずれも本明細書が提供する実施形態の範囲内に包含されることが意図される。いくつかの実施形態において、化合物のアイソトポログが提供され、例えば、アイソトポログは重水素、炭素-13又は窒素-15濃縮された化合物である。
【0098】
さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、前記構造または前記構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈されるべきである。
調製方法
【0099】
本明細書は、2021年6月3日に出願されたPCT/CN2021/098123に開示されているSMAC模倣物の調製に有用なプロセス及び中間体を提供する。
【0100】
限定ではなく例として、式(VIII)の化合物は、以下に示す手段1および本明細書に記載の実施例に概説されるように調製することができる。
【化13】
【0101】
本明細書は式(VIII)の化合物、
【化14】
又はその薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ又は溶媒和物を調製する方法を提供し、
前記方法は式(VII)の化合物
【化15】
を、
触媒の存在下、適切な溶媒中で水素(H)と接触させることを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-5アルキルである。
【0103】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-4アルキルである。
【0104】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-3アルキルである。
【0105】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていないC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたC1-2アルキルである。
【0106】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていないC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたC1-2アルキルである。
【0107】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたメチル基である。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたメチル基である。
【0108】
いくつかの実施形態において、R及びRは置換されていないメチル基である。
【0109】
一実施形態において、溶媒はメタノール、エタノール又はイソプロパノールである。
【0110】
一実施形態において、触媒はPd(OH)/C又はPd/Cである。
【0111】
一実施形態において、接触は約25℃~約55℃の温度で行われる。
【0112】
一実施形態において、水素(H)の圧力は約1~約10atmである。一実施形態において、水素(H)の圧力は約1~約5atmである。一実施形態において、水素(H)の圧力は約1~約3atmである。一実施形態において、水素(H)の圧力は約1atmである。
【0113】
一実施形態において、式(VII)の化合物は式(VI)の化合物
【化16】
を、
酸と接触させることによって調製される。
【0114】
一実施形態において、酸はTfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)である。
【0115】
一実施形態において、接触は約0℃~約160℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約20℃~約140℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約40℃~約120℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約50℃~約100℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約70℃~約90℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約80℃の温度で行われる。
一実施形態において、式(VI)の化合物は、式(IV)の化合物
【化17】
と、
式(V)の化合物
【化18】
との混合物を還元剤と接触させることによって調製される。
【0116】
一実施形態において、還元剤はNaBHであり、且つ接触はメタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で、約15℃~約35℃の温度で行われる。
【0117】
一実施形態において、R及びRはメチル基であり、且つ式(VI)の化合物は約25℃で固体形態を呈する。
【0118】
一実施形態において、式(VI)の化合物は約25℃で結晶性形態を呈する。
【0119】
一実施形態において、式(VI)の化合物の融点温度は約91℃~約93℃である。
【0120】
一実施形態において、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との混合物は、式(II)の化合物
【化19】
と、
式(III)の化合物
【化20】
を接触させることによって調製される。
【0121】
一実施形態において、接触は適切な塩基の存在下、適切な溶媒中で行われる。一実施形態において、塩基は2,6-ルチジンである。一実施形態において、溶媒はジクロロメタンである。一実施形態において、接触は約-10℃~約50℃で行われる。一実施形態において、接触は約0℃~約40℃で行われる。一実施形態において、接触は約5℃~約20℃で行われる。
【0122】
一実施形態において、式(II)の化合物は、式(I)の化合物
【化21】
を、
PhCHOに接触させることによって調製される。
【0123】
一実施形態において、接触は適切な塩基の存在下、適切な溶媒中で行われる。一実施形態において、塩基はNaHCOである。一実施形態において、溶媒はメタノールである。一実施形態において、接触は約0℃~約120℃で行われる。一実施形態において、接触は約20℃~約100℃で行われる。一実施形態において、接触は約40℃~約80℃の温度で行われる。一実施形態において、接触は約62℃の温度で行われる。
化合物
【0124】
本明細書は式(VI)の化合物、
【化22】
【0125】
その薬学的に許容される塩、固体形態、エナンチオマー、アイソトポログ及びその溶媒和物を提供する。
【0126】
一実施形態において、式(VI)の化合物は固体形態である。一実施形態において、式(VI)の化合物は結晶性形態である。一実施形態において、本明細書は式(VI)の化合物を含む固体形態を提供する。一実施形態において、本明細書は式(VI)の化合物を含む結晶性形態を提供する。
【0127】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-5アルキルである。
【0128】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-4アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-5アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-4アルキルである。
【0129】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された直鎖状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換された分岐状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない直鎖状C1-3アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない分岐状C1-3アルキルである。
【0130】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていないC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたC1-2アルキルである。
【0131】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていないC1-2アルキルである。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたC1-2アルキルである。
【0132】
いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されていない又は置換されたメチル基である。いくつかの実施形態において、R及びRは独立して、置換されたメチル基である。
化合物6
【0133】
本明細書は以下の構造を有する化合物6を提供し、その名称は(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)である。
【化23】
【0134】
一実施形態において、化合物6は固体形態である。一実施形態において、化合物6は結晶性形態である。一実施形態において、本明細書は化合物6を含む固体形態を提供する。
形態A
【0135】
ある特定の実施形態において、本明細書は化合物6の形態Aを提供するが、これは例に過ぎず限定するものではない。
【0136】
一実施形態において、形態Aは化合物6の固体形態である。一実施形態において、形態Aは化合物6の無水固体形態である。別の実施形態において、形態Aは結晶性である。別の実施形態において、形態Aは2θ=約22.5°、27.1°及び27.3°におけるピークを含むX線粉末回折パターンを有する。別の実施形態において、形態Aの融点温度は約91℃~約93℃である。
【0137】
ある特定の実施形態において、本明細書が提供する形態Aは、再結晶実験及び貧溶媒再結晶実験によって得られる。ある特定の実施形態において、形態Aは特定の溶媒系から得られ、前記溶媒系はトルエン、ヘプタン、水、メタノール及びそれらの混合物を含む。
【0138】
一実施形態において、形態Aを調製する方法は以下のステップを含む。1)化合物6を、n-ヘプタン(例えば、少なくとも約75体積%のn-ヘプタン)を含有する溶媒(例えばトルエン)混合物と混合する。2)一定の温度(例えば、約0℃~約10℃、例えば約5℃)である時間(例えば約1時間~約6時間、例えば約3時間)撹拌する。3)固体を収集し、選択的に乾燥させる。
【0139】
一実施形態において、形態Aを調製する方法は以下のステップを含む。1)化合物6を、n-ヘプタンを含有する溶媒(例えばメタノール)混合物と混合する。2)一定の温度(例えば、約0℃~約75℃の間、例えば約50℃)まで加熱し、ある時間(例えば約1時間~約6時間、例えば約3時間)保持する。3)第2温度(例えば約0℃~約50℃の間、例えば約25℃)に冷却する。4)固体を収集し、選択的に乾燥させる。
【0140】
ある特定の実施形態において、本明細書が提供する固体形態(例えば化合物6の形態A)は、例えばX線粉末回折測定によって指示される場合に、実質的に結晶性である。一実施形態において、形態Aは図5に示されるX線粉末回折パターンを有する。一実施形態において、図5に示されるように、形態Aは2θ=約9.3°、9.6°、13.6°、13.8°、14.7°、15.3°、15.5°、15.7°、16.7°、16.8°、17.0°、18.6°、19.2°、20.6°、21.0°、22.4°、22.5°、24.0°、24.2°、25.3°、25.9°、26.4°、27.1°、27.3°、28.4°、28.7°、29.3°、29.9°、30.1°、31.0°、31.5°、34.1°、34.8°、35.4°、37.1°、37.7°、38.2°又は39.0°に1つ又は複数の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。特定の実施形態において、形態Aは2θ=約13.6°、13.8°、14.7°、15.3°、15.5°、21.0°、22.4°、22.5°、24.0°、24.2°、27.1°又は27.3°に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、又は12個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Aは2θ=約14.7°、15.3°、15.5°、22.4°、22.5°、24.0°、24.2°、27.1°又は27.3°に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Aは2θ=約15.3°、22.4°、22.5°、24.2°、27.1°又は27.3°に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Aは2θ=約22.5°、27.1°又は27.3°に、1つ、2つ又は3つの特徴的なX線粉末回折ピークを有する。別の実施形態において、形態Aは表1に記載される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、又は38個の特徴的なX線粉末回折ピークを有する。
【0141】
一実施形態において、本明細書は実質的に図6に記載のDSCサーモグラムを有する形態Aを提供し、約25℃~約150℃に加熱した場合、前記サーモグラムは開始温度が約91℃であり、ピーク温度が約92℃である吸熱事象を含む。
【0142】
一実施形態において、本明細書は図7に記載の代表的なTGAサーモグラムに実質的に対応するTGAサーモグラムを有する形態Aを提供する。ある特定の実施形態において、約20℃~約300℃に加熱された場合、結晶性形態は、約30℃と約150℃との間でサンプルの総質量1%の総質量減少を含むTGAサーモグラムを示す。従って,ある特定の実施形態において、およそ環境温度~約150℃に加熱された場合、結晶性形態はその総質量の約0.1%~約5%、例えば、約0.5%又は約3%減少する。
【0143】
一実施形態において、本明細書は実質的に図2に記載のH NMRスペクトルを有する形態Aを提供する。
【0144】
さらに別の実施形態において、形態Aは実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Aは、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な形態Aの純度は約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上又は約99.8%以上である。
【0145】
図示された構造と前記構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、図示された構造はより重視されるべきであることに留意されたい。
【実施例
【0146】
実施例
略語
以下の実施例は、限定ではなく例示として提示される。説明および実施例において、以下の略語が使用される。
【表A】

合成実施例
【0147】
以下の合成実施例は、限定ではなく例示として提示され、本明細書が提供する化合物を調製する方法を示す。2018年に発行されたChemdraw 18.0.0.231 (Cambridgesoft, Perkin Elmer, Waltham, MA)を使用して化学構造を描写し、化学構造の名称を生成した。
実施例1:(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン塩酸塩の合成
【化24】
【0148】
(R)-2-(ベンジルアミノ)プロパン-1-オール(2):5Lの3つ口丸底フラスコに2.0LのMeOH(10V)、200.0gのPhCHO(1.0当量)、162.8gの(R)-アラニノール(1.15当量)及び237.6gのNaHCO(1.5当量)を25~35℃で攪拌しながら添加して、懸濁液を形成する。62℃の内部温度で4時間加熱還流を続けた後、バッチを20~25℃に冷却し、且つ濾過して溶解していない固体を除去し、MeOH(1V)で濾過ケーキを洗浄する。
【0149】
濾液を、乾燥した清浄な5Lの3つ口丸底フラスコに移す。フラスコに39.2gのNaBH(0.55当量)をゆっくりと少しずつ添加し、同時に内部温度を25℃~35℃に制御する(発泡及び発熱に注意)。反応混合物を10-30℃で16時間撹拌する。
【0150】
HPLCが反応終了を指示した後、NHCl(水11.5mL中の11.5g)でバッチの反応を停止させる。バッチを0.5時間撹拌し、且つ真空下で約700mL(約3V)に濃縮する。反応混合物を500mLのMTBEで(約2 V)に交換する。1.2LのMTBEを残渣に添加し、且つ反応混合物を20~35℃で0.5時間撹拌する。バッチを珪藻土パッドで濾過し、且つ1.0LのMTBEで洗浄する。濾液を真空下で乾燥するまで濃縮する。
【0151】
粗油状を呈する(R)-2-(ベンジルアミノ)プロパン-1-オール(2)295.2gが得られ、HPLC純度は98.2%であり、H NMRスペクトルは図1に示すとおりである。
【0152】
N-ベンジル-N-((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-D-アラニン酸メチルエステル(4)および(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン-2-オン(5):
【0153】
5Lの3つ口丸底フラスコに、1.8LのDCM、216.3gの(S)-(-)-乳酸メチル(1.25当量)及び240.3gの2,6-ルチジン(1.35当量)を10℃~30℃で撹拌しながら添加する。フラスコを脱気し、窒素を3回再充填する。バッチを-40℃~-20℃に冷却する。温度を-35℃~-25℃に制御しながら、1.5時間かけて609.9gのTfO(1.3当量)を反応混合物に滴下する。次いで反応混合物を-5℃~0℃に昇温し、1時間撹拌する。600mLの氷水を反応混合物に添加し、反応混合物を0℃で0.5時間撹拌する。0℃で有機相を分離し、且つ5Lの3つ口丸底フラスコに移す。フラスコに430.1gのDIPEA(2.2当量)を0℃で添加し、次いで600mLのDCM中の上記プロセスからの295.2gの粗(R)-2-(ベンジルアミノ)プロパン-1-オール(2)(1.0当量)の溶液を、0℃で1時間かけて添加する。反応混合物を10℃~15℃に昇温し、16時間撹拌する。反応混合物を水(1L × 3)で洗浄する。
【0154】
DCM相を分離し、合わせ、真空下で乾燥するまで濃縮する。反応混合物に1.2LのMTBEを添加して反応混合物を溶解する。反応混合物を10℃~20℃で0.5時間撹拌し、濾過する。濾過ケーキをMTBE(400mL)で洗浄する。有機相を合わせ、真空下で乾燥するまで濃縮して、463.2gの粗生成物を、N-ベンジル-N-((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-D-アラニン酸メチルエステル(4)(55.1%,a/a)と(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン-2-オン(5)(34.1%, a/a)との混合物(89.2%,a/a)として得る。
【0155】
(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6):
【0156】
5Lの3つ口丸底フラスコに、2.3LのMeOH及び463.2gのN-ベンジル-N-((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)-D-アラニン酸メチルエステル(4)と(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン-2-オン(5)との混合物(1.0当量)を添加する。反応混合物に、146.6gのNaBH(2.0当量)を20~30℃で少しずつ添加する。反応混合物をさらに16時間撹拌する。
【0157】
NHCl水溶液(200mLのHO中に40g)を混合物に添加して、反応を停止させる。真空下で反応混合物を濃縮してMeOHの大部分を除去し、1Lのn-ヘプタンと交換し、次いで1.0Lの水及び2.0Lのn-ヘプタンで湿式粉砕する。
【0158】
反応混合物を濾過する。濾過ケーキをn-ヘプタン(500mL)で洗浄し、回収し、50℃で真空乾燥する。
【0159】
257.0gの黄色固体状を呈する(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)を得て、3ステップの収率は約61%であった。得られた固体は97.3%の化学純度を有し、d.r. :99.3:0.7であり、H NMRは図2に示すとおりである。
【0160】
予想外の結果として、(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)は結晶固体であり、形態Aとして同定された。さらに、予想外の結果としては、(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)は、開示された条件下で反応混合物から選択的に結晶化する。この方法は、望ましくないジアステレオマー及び他の副生成物を除去する。さらに,この方法は高いd.rを有する所望のジアステレオマーを生成する。
【0161】
(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)のd.r.を向上させるためのプロセス:
【0162】
1Lの3つ口丸底フラスコに、127mL(2V)のトルエン、635mLのn-ヘプタン(10V)及び63.5gの(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)(1.0当量,d.r.:99.4:0.6)を添加する。反応混合物を100℃で攪拌して透明な溶液を形成し、次いで100℃でさらに1時間撹拌する。反応混合物を2時間かけて5℃に冷却し、さらに1時間撹拌する。反応混合物を濾過する。回収した固体を127mL(2V)のn-ヘプタンで洗浄し,50℃で真空乾燥する。
【0163】
59.5gの黄色固体状を呈する(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)が得られ、収率は約93%であった。得られた固体も形態Aとして同定され、98.4%の化学純度を有し、d.r.>98.5:1.5であった。
【0164】
(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン(7):
【0165】
20℃~35℃で、500mLの清浄で乾燥した3つ口フラスコに、180mLのTfOH(3.0V)及び58.5gの(2R,2’R)-2,2’-(ベンジルアザンジイル)ビス(プロパン-1-オール)(6)(1.0当量,d.r. :>98.5:1.5)を撹拌しながら少しずつ添加する。80℃で反応混合物を16時間撹拌し、次いで20℃~30℃に冷却する。0℃~10℃で、反応混合物に20%NaOH水溶液(500g)を撹拌しながらゆっくりと滴下する(pH>12を保証する)。反応混合物をMTBE(250mL×2)で抽出する。MTBE相を合わせ、濾過する。真空下で濾液を濃縮する。
【0166】
51.2gの油状を呈する(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン(7)が得られ、収率は89%であり、純度は99.6%であり、e.e.>99.0%であり、d.r.>98.5:1.5であり、且つ得られた物質は図3に提供するとおりのH NMRスペクトルを示す。
【0167】
(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン塩酸塩(8):
【0168】
清浄で乾燥した500mLの3つ口フラスコに、255mLのMeOH(5V)、51.0gの(3R,5R)-4-ベンジル-3,5-ジメチルモルホリン(7)(1.0当量)及び3.6gのPd(OH)/C(Kaili Catalyst Co.製の7%wt対比化合物7、0.5mol%Pd、含水率65%)を添加する。オートクレーブを脱気し、水素を3回再充填する。1atmの水素下、35℃~40℃で反応混合物を16時間撹拌する。反応混合物を窒素下で濾過する。回収した固体を100mLのMeOHで洗浄する。濾液に100mLのHCl(1,4-ジオキサン中4M)を添加してpH<3とする。反応混合物を1時間撹拌し、真空下で濃縮し、次いでイソプロパノール(150mL × 2)と交換する。反応混合物を、51mLのイソプロパノール(1V)及び102mLのn-ヘプタン(2V)と一緒に16時間撹拌する。反応混合物を濾過する。回収した固体を51mLのn-ヘプタンで洗浄し、真空オーブン内で、50℃で16時間乾燥させる。
【0169】
32.4gの固体状を呈する(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン塩酸塩(8)が得られ、収率は86%であった。得られた固体は図4に提供されるH NMRスペクトルを示す。
形態A
【0170】
形態Aは化合物6の無水結晶固体形態である。この形態は、トルエンとn-ヘプタンとの混合物又はメタノールとn-ヘプタンとの混合物からの再結晶によって得られる。
【0171】
形態Aは、図5に示す結晶XRPDパターンを有する。形態AのTGA及びDSCサーモグラムはそれぞれ図6及び図7に示すとおりである。DSCサーモグラムは、熔融/分解に対応する、開始温度が91.2℃で、ピーク温度が92.3℃である主な事象のみを示す。150℃までに、1%のTGA重量減少が観察された。
【0172】
図5は形態AのXRPDパターンを提供する。形態AのX線回折ピークのリストは以下の表1に示すとおりである。
【0173】
【表1】
【0174】
XRPDパターンを測定する条件は以下の表2に示すとおりである。
【0175】
【表2】
【0176】
多くの参考文献が引用されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】