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特表2024-542764接触保護部を備えた電気的なフィードスルー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】接触保護部を備えた電気的なフィードスルー
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20241108BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241108BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F01N3/08 C
F01N3/24 L
F01N3/20 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532868
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022083999
(87)【国際公開番号】W WO2023099645
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021213735.0
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブリュック
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホジソン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヒルト
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB01
3G091AB14
3G091BA22
3G091CA03
(57)【要約】
本発明は、排ガス流を加熱するための、排ガスを案内する装置内の加熱導体に電気的に接触接続するための電気的なフィードスルー(1)であって、加熱導体がハウジング(2)内に配置されており、ピンとして形成された少なくとも1つの電気的な導体(4)が、ハウジング(2)に設けられた開口(3)を通って案内されていて、かつ加熱導体に導電接続されており、電気的な導体(4)が、ハウジング(2)に対して電気的に絶縁されていて、かつ枠体(6)を用いてハウジング(2)に永続的に接続されている電気的なフィードスルー(1)に関し、ハウジング(2)の外側にある電気的な導体(4)の区分(7)が、接触保護部(11,20,31)によって取り囲まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス流を加熱するための、排ガスを案内する装置内の加熱導体に電気的に接触接続するための電気的なフィードスルー(1)であって、前記加熱導体がハウジング(2)内に配置されており、ピンとして形成された少なくとも1つの電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)に設けられた開口(3)を通って案内されていて、かつ前記加熱導体に導電接続されており、前記電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)に対して電気的に絶縁されていて、かつ枠体(6)を用いて前記ハウジング(2)に永続的に結合されている、電気的なフィードスルーにおいて、
前記ハウジング(2)の外側にある前記電気的な導体(4)の区分(7)が、接触保護部(11,20,31)により取り囲まれていることを特徴とする、電気的なフィードスルー(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(2)が、該ハウジング(2)から突出するカラー(40)を有しており、該カラー(40)が、前記ハウジング(2)に設けられた前記開口(3)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項3】
前記カラー(40)が、その延在長さに沿って、前記ハウジング(2)から離れる方向で円錐形に先細りしていることを特徴とする、請求項2記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項4】
前記電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)の外側で、接続要素(8)を用いて電流を案内する線路(9)に接続されており、前記カラー(40)が、少なくとも部分的に前記接続要素(8)を超えて突出していることを特徴とする、請求項2または3記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項5】
前記接触保護部(11,20,31)が、蓋状のカバー要素により形成されており、該蓋状のカバー要素が、前記電気的な導体(4)の外側領域(7)上に被せられていることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項6】
前記蓋状の要素(20)が、前記ハウジング(2)から突出したカラー(40)内に突入しているか、または前記カラー(40)を包囲していることを特徴とする、請求項5記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項7】
前記ハウジング(2)が第1の電位に対応付けられており、前記電気的な導体(4)が第2の電位に対応付けられており、前記接触保護部(11,20,31)が電位に対応付けられていないことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項8】
前記接触保護部(11,31)が、金属製の格子、孔付き金属薄板またはエキスパンドメタルから形成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項9】
前記接触保護部(11,20,31)が、前記電気的な導体(4)に対して、かつ/または前記電流を案内する線路(9)に対して、かつ/または前記ハウジング(2)に対して電気的に絶縁されて構成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項10】
前記接触保護部(31)の、前記ハウジング(2)に面した開口領域が閉じられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の電気的なフィードスルー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス流を加熱するための、排ガスを案内する装置内の加熱導体に電気的に接触接続するための電気的なフィードスルーであって、加熱導体がハウジング内に配置されており、ピンとして形成された少なくとも1つの電気的な導体が、ハウジングに設けられた開口を通って案内されていて、かつ加熱導体に導電接続されており、電気的な導体が、ハウジングに対して電気的に絶縁されていて、かつ枠体を用いてハウジングに永続的に接続されている、電気的なフィードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
特に内燃機関の排ガス系統において、排ガス後処理のための装置をより迅速に加熱するために、加熱要素が使用される。この加熱要素は、流れる排ガスも、隣接して配置された構造体、例えば触媒を形成するハニカム体または気化要素も加熱する。好適には、加熱はオーム抵抗を利用しながら行われ、これにより電流が導電性の構造体内で熱に変換される。この種の加熱要素は、従来技術において多様な形式で知られている。このような加熱要素には例えば金属製のハニカム体が含まれ、このハニカム体は、ハウジング内に配置されていて、かつ排ガスにより貫流可能である。ハニカム体は、ハウジングを貫通する電気的なフィードスルーを用いて電圧源に導電接続される。
【0003】
このような加熱要素における課題は、一方では、ハニカム体の耐久性の電気的な結合であり、特に、自動車において発生する機械的な負荷、熱負荷、および腐食の影響を考慮しなければならない。さらに、電圧源からハニカム体へのコントロールされた電流の流れを確実にするために、全面的な電気的な絶縁が予め規定された位置において行われることが確実でなければならない。不備のある電気的な絶縁の結果としての短絡は、ハニカム体を通る望ましくない電気伝導につながる可能性があり、したがって場合によってはハニカム体の破壊に寄与してしまうことがある。望ましくない短絡によって人への危険が生じる可能性もある。望ましくない短絡をもたらす可能性のある工程は、特に、組付け工程、車両における修理作業または事故である。
【0004】
特に、加熱要素のハウジングの外側における電気的な接触接続は、自動車の底面における、またはエンジンのすぐ近傍における電気的な接触接続部の位置決めに基づいて、特に強い外的な影響にさらされている。一般的には、このような電気的な接触接続部には、運転中にダスト、汚れ、水、または例えば塩水のような腐食性の媒体が負荷され、このことは持続的に電気的な接触接続の損傷をもたらし得る。
【0005】
従来技術の装置において特に不都合であるのは、上述した外的な影響によって持続的に電気的な絶縁部の破壊が発生し得るか、または例えば塩水などの十分に導電性の媒体によって、基本的には互いに電気的に絶縁されて構成されている2つの区分間を電気的に導電してしまうことである。機械的に十分に丈夫な材料を設ける他に、特に電気化学的な作用に対する頑強性も保証されていなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、加熱可能なハニカム体に接触接続するための電気的なフィードスルーであって、接触保護部も、流体に対する保護部も有しており、これにより、望ましくない短絡や漏れ電流ならびに電気的な絶縁の破壊が回避される、電気的なフィードスルーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電気的なフィードスルーに関する課題は、請求項1に記載の特徴を有する電気的なフィードスルーによって解決される。
【0008】
本発明の或る実施例は、排ガス流を加熱するための、排ガスを案内する装置内の加熱導体に電気的に接触接続するための電気的なフィードスルーであって、加熱導体がハウジング内に配置されており、ピンとして形成された少なくとも1つの電気的な導体が、ハウジングに設けられた開口を通って案内されていて、かつ加熱導体に導電接続されており、電気的な導体が、ハウジングに対して電気的に絶縁されていて、かつ枠体を用いてハウジングに永続的に結合されている、電気的なフィードスルーに関し、ここで、ハウジングの外側にある電気的な導体の区分が、接触保護部により取り囲まれている。
【0009】
電気的なフィードスルーは、例えば自動車の排ガス系統の加熱触媒に電気的に接触接続するために用いられる。ハウジングによって空間的に制限された排ガス系統内に導入される電気的な導体は、適切な絶縁部を用いてハウジングに対して電気的に絶縁されている。このためには、例えば、電気的な導体を収容するセラミック製の絶縁スリーブが使用される。セラミック製の絶縁スリーブ自体は、同様に金属製のスリーブ内に収容されており、金属製のスリーブは、ハウジングに耐久性に結合されている。
【0010】
加熱触媒は、好適には、定義された経路に沿って電流により通流され得る金属製のハニカム体によって形成されている。このために、金属製のハニカム体は、電気的な導体に導電接触させられる。
【0011】
電気的なフィードスルーの外側の領域上に配置された接触保護部は、一方では直接的な機械的な損傷を減じるか、または完全に回避することができ、さらに潜在的に導電性の液体が負荷されることを減じることができる。ここでは、特に、接触保護部の構成、ここでは特に材料選択が重要である。腐食性の媒体が電気的な絶縁部に負荷されることを減じることによって、例えば洗浄が回避されることによって、絶縁部を形成するセラミックが損傷することを回避することができる。
【0012】
特に、接触保護部は、電気的な導体への意図しない接触に抗して作用し、特に手または導電性の異物の接触が回避される。この接触保護部は、ここでは特に、電気的な導体、電気的な導体が挿入されているハウジング箇所および電気的な導体と電流を供給する電気的な線路との接続部を遮蔽するために用いられる。接触保護部の別の重要な課題は、あらゆる種類の流体、特に導電性の液体を、電気的な導体、または特に電気的な導体を金属スリーブおよびハウジングに対して電気的に絶縁する絶縁部から遠ざけることである。したがって、接触保護部という概念は、単に短絡を回避するための物理的な接触保護に限定されるのではなく、流体、特に腐食性の流体および/または導電性の流体が電気的な導体に接触することを回避することも示している。
【0013】
ハウジングが、ハウジングから突出するカラーを有しており、このカラーが、ハウジングに設けられた開口を取り囲んでいると、特に有利である。カラーは、例えば、ハウジングに結合される金属リングにより形成することができる。カラーは、好適には、電気的な導体の周方向で完全に周囲に延びるように形成されている。好適には、カラーは、ハウジングの外壁を起点として、ハウジングから離れるように延びており、したがって実質的に円筒形の内室を形成している。この内室内に、電気的な導体の、ハウジングの外側に位置する区分が収容されている。
【0014】
有利な構成では、カラーは、電気的な導体の、ハウジングの外側に位置する領域がカラーによって完全に取り囲まれるまで、ハウジングから突出している。カラーの、ハウジングとは反対の側の端部は、開いて形成されており、好適には電気的な導体に対して環状ギャップを形成している。この環状ギャップは、好適には、異物の侵入が回避されるように構成されており、かつ電気的な導体とカラーとの間の領域への入り込みが不可能であるほど十分に狭く構成されてもいる。
【0015】
別の構成では、カラーは、電気的な導体がカラーを越えて突出しているように構成されており、電気的な導体の突出した領域は、好適には電気的に絶縁されて構成されている。
【0016】
カラーが、その延在長さに沿って、ハウジングから離れる方向で円錐形に先細りしていても有利である。これは、特にカラーの開放端部において十分に狭い環状ギャップを形成するために有利である。
【0017】
代替的な構成では、カラーが円筒形に形成されていてもよいし、または例えば段付けされて形成されていてもよい。カラーは、ハウジングにおいて、かつ特に電気的な導体と金属製のハニカム体との接触領域においてハウジング内で発生する熱を導出することができるようにするために、好適には放熱性の要素、例えばリブを有している。好適な材料として、カラーは、高温耐性プラスチック、セラミックまたはアルミニウムから形成されている。
【0018】
カラーは、ハウジングに耐久性に溶接されていてよく、または交換または保守の目的でクリップにより、またはねじ締結部を介して結合されていてよい。さらに、カラーは開口を有していてよく、この開口は、異物の侵入を回避すると同時に、流体の流出が可能になるように構成されている。
【0019】
好適な実施例は、電気的な導体が、ハウジングの外側で、接続要素を用いて、電流を案内する線路に接続されており、カラーが、少なくとも部分的に接続要素を越えて突出していることを特徴とする。
【0020】
金属製のピンとして形成された電気的な導体は、接続要素、例えばねじ被せ可能なクランプを用いて、電気的な供給線路に接続されている。この場合、接続要素は、電気的な導体の、外方に向けられた端部領域を完全に収容することができるので、電気的な導体は完全に取り囲まれており、外部から電気的な導体に接触接続することはもはや不可能である。したがって、カラーは、好適には、接続要素がカラー内に突入するように被せられている。これにより、電気的な導体は、外部からの接触接続に対して完全に保護されている。
【0021】
また、接触保護部が、電気的な導体の外側領域上に被せられている蓋状のカバー要素により形成されている場合も好適である。カラーに対して代替的に、またはカラーに対して補足的に、接触保護部が、蓋状のカバー要素によって形成されていてもよく、このカバー要素は、電気的な導体への望ましくない接触接続を回避するために、電気的な導体の、ハウジングの外側に配置されている領域上に被せられていてよい。蓋状の要素は、好適には、全ての箇所において、電気的な導体と蓋状の要素との間に最小限の間隔が形成されるように形成されている。代替的には、接触保護部が電位を有してないことを確実にするために、狭い箇所または接触箇所において電気絶縁性の中間層を設けることもできる。
【0022】
接触保護部として記載されるカバー要素が、実質的に絶縁部への流体の進入を回避するために設けられている限り、このカバー要素は電気的な導体に導電接続されていてもよい。この場合、カバー要素は、ハウジングとの電気的な短絡が生じ得ないように支承されなければならない。
【0023】
さらに、蓋状の要素が、ハウジングから突出するカラー内に突入しているか、またはカラーを包囲していると有利である。蓋状の要素は、カラーの内径よりも小さな外径を有していてよく、したがって蓋状の要素は、カラー内に係合することができる。同様に、直径の逆の関係も可能であり、その場合には蓋状の要素がカラーを包囲している。蓋状の要素もカラーも、ハウジング表面に対して実質的に平行に延びる領域を形成する段部状の通路を有していてもよい。これにより、カラーと蓋状の要素との間にラビリンス状の構造を形成することができ、このラビリンス状の構造は、特に異物の入り込みおよび侵入を阻止することができる。
【0024】
さらに好適には、ハウジングが第1の電位に対応付けられており、電気的な導体が第2の電位に対応付けられており、接触保護部が電位に対応付けられていないと有利である。このことは、接触保護部との接触により短絡が生じ、かつ周囲に対する危険が生じることを阻止するために有利であり、または必然的に必要である。
【0025】
接触保護部が、金属製の格子、孔付き金属薄板またはエキスパンドメタルから形成されていることも好都合である。これらの材料は容易に成形することができ、異物に対する良好な保護部を形成し、それにもかかわらず流体は流出可能であって、電気的な導体または例えば電気的な絶縁部に滞留しないことを可能にするという利点を有している。
【0026】
さらに、接触保護部が、電気的な導体に対して、かつ/または電流を案内する線路に対して、かつ/またはハウジングに対して電気的に絶縁されて構成されていると有利である。このために、例えばゴム要素またはシリコーンシールを使用することができる。電気的な絶縁部は、特に短絡を回避するために有利である。
【0027】
さらに、接触保護部の、ハウジングに面した開口領域が閉じられていると好都合である。これは、特に、異物の侵入に抗し、または望ましくない介入に抗することを支援する。好適な構成では、接触保護部、または開口領域に配置された絶縁手段は、少なくとも、ハウジングの近傍の接触保護部の基部領域における流体の流出を可能にする小さな開口を有している。
【0028】
本発明の有利な改良形は、従属請求項および以下の図面の説明に記載されている。
【0029】
以下に、本発明を複数の実施例につき図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】電気的なフィードスルーの断面図であり、電気的な導体の外側にある領域が、接触保護部によって取り囲まれている。
図2】電気的なフィードスルーの断面図であり、蓋状のカバーが電気的な導体の上に被せられている。
図3図1に示した接触保護部を備えた断面図であり、電気的な導体と接触保護部との間に付加的に絶縁手段が設けられている。
図4】ハウジングから突出したカラーを備える、電気的なフィードスルーを示す斜視図である。
図5】カラーに係合し、これによりラビリンス状の構造を形成する、蓋状のカバーを示す概略図である。
図6】ハウジングから突出することができる、カラーの互いに異なる3つの実施形態を示す図である。
図7】電気的なフィードスルーを示す斜視断面図であり、カラーが、ハウジングから、電気的な接触接続のために使用される接続要素のセンタリングスリーブに至るまで案内されている。
図8】電気的なフィードスルーの断面図であり、カバー要素が電気的な導体に被せられており、これによりカバー要素と金属スリーブとの間に空隙が形成される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、電気的なフィードスルー1が示されている。ハウジング2は開口3を有しており、この開口3を通って金属製のピンによって形成された電気的な導体4が案内されている。導体4は、金属スリーブ6内に収容されているスリーブ状の絶縁部5によって取り囲まれている。金属スリーブ6自体は、ハウジング2に溶接されている。
【0032】
電気的な導体4は、その軸方向の延在方向で金属スリーブ6および絶縁部5を越えて突出しており、したがってハウジング2の外側に位置する領域7を形成している。この領域7では、電気的な導体4が接続要素8によって電気的な供給線路9に接続されており、これにより電気的な導体4は第1の電圧電位に対応付けられている。ハウジング2は、通常、第2の電圧電位に対応付けられている。
【0033】
波形の矢印10により、図1には、ハウジング2の内部から熱を導出する、電気的な導体4から周囲への熱輸送が図示されている。熱搬出は、特に、図1に示されているような接触保護部11によって完全に阻止されてはならず、または実質的に妨げられてはならない。
【0034】
接触保護部11は、電気的な導体4の外側領域7、接続要素8および電気的な供給線路9の一部を取り囲んでいる。接触保護部11は、好適には絶縁部5上に載置されているので、この接触保護部11は、電気的な導体4に導電接続していない。絶縁部5または電気的な導体4との接触位置において、接触保護部11への電流導入を阻止する絶縁性の要素12が付加的に設けられてもよい。電気的な供給線路9に対しても、接触保護部11を電気的に切り離すために、絶縁性の要素12が設けられていてよい。
【0035】
図2は、既に図1に示されているような電気的なフィードスルー1の断面を示している。同一の要素のための参照符号は、図2においても後続の図面においても、図1に示した参照符号に一致する。
【0036】
接触保護部20として、図2では蓋状のカバー要素が設けられており、カバー要素は、電気的な導体4上に押し被せられていて、ハウジング2または絶縁部5または金属スリーブ6の上に下ろされている。好適には、この接触保護部20は導電性ではなく、したがって電気絶縁的に作用するように構成されている。これによって、別の絶縁手段を設ける必要がない。
【0037】
図2に示した接触保護部は、特に、絶縁部5への腐食性の媒体の進入に対する保護部をも成しており、これによって、特に電気的腐食、ひいては絶縁部5の潜行的な破壊は回避される。したがって、定期的に酸化物セラミックから形成されている絶縁部5を洗浄することも回避することができる。
【0038】
図2に示した接触保護部20を、特に好適には図1に示した接触保護部11と組み合わせることができ、これにより、電気的な導体4および電流を案内する全ての要素への望ましくない接触に対する保護が、絶縁部5への流体および腐食性の媒体の進入に対する保護と同程度に達成される。
【0039】
図3は、同じく図1および図2の電気的なフィードスルー1の断面を示している。
【0040】
電気的な導体4は、その軸方向の端部に絶縁手段30を有しており、この絶縁手段30は、電気的な導体4を接触保護部31から離間させる。さらに、接触保護部31を金属スリーブ6に対して離間させる絶縁性の手段32と、電気的な供給線路9に対する絶縁作用を発生させる絶縁手段33とが設けられている。この場合、絶縁性の手段32は、接触保護部31の、ハウジング2に面した開口領域を閉じている。
【0041】
接触保護部31は、外部から作用する力に対抗することができる十分に剛性の材料から形成されていることにより、電気的な導体4への望ましくない接触を物理的に防止するように構成されているので、電気的な導体4と接触保護部31との接触に至るまでの変形は起こり得ない。接触保護部31は、好適にはエキスパンドメタルから、孔付き金属薄板からまたは網状の金属構造体から形成することができる。代替的には、非導電性の材料も考慮することができ、これによって電気的な絶縁は容易になるだろう。
【0042】
接触保護部31および/または絶縁手段32は、好適には、流体の流出を可能にすると同時に、異物の侵入が効果的に阻止されるように微細に構成されている開口を有している。
【0043】
図4は、先行する図面に示した電気的なフィードスルー1の斜視断面図を示している。上述した要素、つまりハウジング2、電気的な導体4、絶縁部5、金属スリーブ6、接続要素8に加えて、図4は、ハウジング2から突出したカラー40を示している。カラー40は、図4の実施例では円錐形に先細りして構成されており、したがってハウジング2から電気的な導体4の軸方向の端部領域に向かう方向で徐々に狭まっている。
【0044】
好適には、電気的な接触を回避すると同時に異物の侵入を阻止するために、電気的な導体4または接続要素8とカラー40との間に、少なくとも1.5mmの幅の周方向に延びる環状ギャップが残っている。
【0045】
カラー40は、円筒形を有していてもよいし、または例えば段付けされて形成されていてもよい。流体の流出を可能にする、相応に寸法設定された開口が設けられていてよい。好適には、カラー40は、例えばハウジング2の材料と一致する金属製の材料から形成されている。高温耐性のプラスチックまたはセラミックも想定可能である。
【0046】
カラー40の高さは変化させることができ、例えば接続要素8の別の部分も一緒に取り囲むことができる。さらに、電気絶縁性の要素を付加的に設けることもできる。
【0047】
特に好適には、カラー40を接触保護部11,20,31のうちの1つと組み合わせることができる。接触保護部は、カラー40内に係合しているか、またはカラー40を包囲することができ、したがって望ましくない接触に対する効果的な保護部を形成することができる。
【0048】
図5は、カラー40内に突入する、例えば図2に符号20で示したような蓋状の接触保護部の断面図を示している。2つの要素20,40間に、絶縁手段を設けることができる。
【0049】
図6は、カラー50の3つの斜視図を示しており、カラー50は、図6には示されていないハウジングから突出して、電気的な導体の少なくとも一部を取り囲むことができる。
【0050】
図面の左部には、円錐形に先細りして延びるカラー50が示されており、このカラー50は、扁平な上側の縁部を有していて、基部領域4において流出スリット51を有しており、これらの流出スリット51は、好適には周方向で互いに90度だけずらされて配置されている。
【0051】
流出スリットは、自動車での使用時に、カラー50の図示の構成では約2mmの高さを有している。
【0052】
真ん中の変化形は、カラー50を示している。このカラー50は、周方向で互いに180度だけ離間した2つの流出スリット52を有しており、これらの流出スリット52は、4mmの高さを有している。カラー50は上端部に、周方向で環状に延びるように構成された滴下縁部53を有しており、この滴下縁部53は特に、カラー50と電気的なフィードスルー(図示せず)との間に形成された間隙内への流体の侵入を阻止することが望ましい。
【0053】
右側の変化形は、流出スリットを有さず、真ん中に既に示した滴下縁部53を備えるカラー50を示している。図6に示したカラー50の様々な特徴は、互いに任意に組み合わせることができる。
【0054】
図7は、既に図4に示したような電気的なフィードスルー1の斜視図を示しており、カラー60は、ここでは接続要素8の下端部を明らかに越えて案内されている。
【0055】
参照符号61で示されたセンタリングスリーブは、L字形の横断面を有する環状要素として形成されていて、カラー60内で電気的な導体4をセンタリングするために用いられる。このセンタリングスリーブ61は、組付け後に除去され、これにより周方向で環状に延びる空隙がカラー60と接続要素8との間に形成される。
【0056】
カラー60内への流体の進入を最適化する要因は、特に周方向に延びる空隙の幅であり、他方では、カラー60と接続要素8との間の軸方向のオーバラップの長さである。
【0057】
図8は、電気的なフィードスルー1の断面図を示しており、電気的な導体4上に、例えば接続要素8の一部であってよい、蓋状のカバー70が押し被せられている。
【0058】
カバー70と金属スリーブ6との間には、金属スリーブ6の半径方向の幅を有する空隙71が生じる。さらに、金属スリーブ6とカバー70との間には、軸方向のオーバラップが生じている。カバー70を適合させることにより、空隙71の幅およびオーバラップの長さを適合させることができる。2mm以下の幅の空隙は、流体が侵入し、ひいては絶縁部5に負荷されることを阻止するために特に有利であることが判った。
【0059】
オーバラップの長さは、好適には少なくとも5mmであり、これは、流体の進入を阻止するかまたは著しく減じるために、同様に特に有利であることが判った。
【0060】
個別の実施例の様々な特徴は、上述したようにまたは類似の形式で相互に組み合わせることも可能である。
【0061】
図1図8に示した実施例は、特に限定すべき特徴を有するものではなく、本発明の考察の明確化に用いられるものにすぎない。
【符号の説明】
【0062】
1 電気的なフィードスルー
2 ハウジング
3 開口
4 電気的な導体
5 絶縁部
6 金属スリーブ
7 電気的な導体の外側に位置する領域
8 接続要素
9 電気的な供給線路
10 矢印 熱輸送
11 接触保護部
12 電気絶縁性の要素
20 接触保護部
30 電気絶縁性の要素
31 接触保護部
32 電気絶縁性の要素
33 電気絶縁性の要素
40 カラー
50 カラー
51 流出スリット
52 流出スリット
53 滴下縁部
60 カラー
61 センタリングスリーブ
70 カバー要素
71 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス流を加熱するための、排ガスを案内する装置内の加熱導体に電気的に接触接続するための電気的なフィードスルー(1)であって、前記加熱導体がハウジング(2)内に配置されており、ピンとして形成された少なくとも1つの電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)に設けられた開口(3)を通って案内されていて、かつ前記加熱導体に導電接続されており、前記電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)に対して電気的に絶縁されていて、かつ枠体(6)を用いて前記ハウジング(2)に永続的に結合されている、電気的なフィードスルーにおいて、
前記ハウジング(2)の外側にある前記電気的な導体(4)の区分(7)が、接触保護部(11,20,31)により取り囲まれていることを特徴とする、電気的なフィードスルー(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(2)が、該ハウジング(2)から突出するカラー(40)を有しており、該カラー(40)が、前記ハウジング(2)に設けられた前記開口(3)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項3】
前記カラー(40)が、その延在長さに沿って、前記ハウジング(2)から離れる方向で円錐形に先細りしていることを特徴とする、請求項2記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項4】
前記電気的な導体(4)が、前記ハウジング(2)の外側で、接続要素(8)を用いて電流を案内する線路(9)に接続されており、前記カラー(40)が、少なくとも部分的に前記接続要素(8)を超えて突出していることを特徴とする、請求項2または3記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項5】
前記接触保護部(11,20,31)が、蓋状のカバー要素により形成されており、該蓋状のカバー要素が、前記電気的な導体(4)の外側領域(7)上に被せられていることを特徴とする、請求項2記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項6】
前記蓋状の要素(20)が、前記ハウジング(2)から突出したカラー(40)内に突入しているか、または前記カラー(40)を包囲していることを特徴とする、請求項5記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項7】
前記ハウジング(2)が第1の電位に対応付けられており、前記電気的な導体(4)が第2の電位に対応付けられており、前記接触保護部(11,20,31)が電位に対応付けられていないことを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項8】
前記接触保護部(11,31)が、金属製の格子、孔付き金属薄板またはエキスパンドメタルから形成されていることを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項9】
前記接触保護部(11,20,31)が、前記電気的な導体(4)に対して、かつ/または前記電流を案内する線路(9)に対して、かつ/または前記ハウジング(2)に対して電気的に絶縁されて構成されていることを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【請求項10】
前記接触保護部(31)の、前記ハウジング(2)に面した開口領域が閉じられていることを特徴とする、請求項1記載の電気的なフィードスルー(1)。
【国際調査報告】