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特表2024-542776(R)-3-アミノブタン-1-オールの合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】(R)-3-アミノブタン-1-オールの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/52 20060101AFI20241108BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C12Q1/52
C12N15/54 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532972
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2022080557
(87)【国際公開番号】W WO2023102374
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,606
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/365,961
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521396042
【氏名又は名称】ヴィーブ、ヘルスケア、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】VIIV HEALTHCARE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】マーク、ボブコ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス、フュアースト
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、モーガン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QR06
4B063QS02
(57)【要約】
本発明は、(R)-3-アミノブタン-1-オール(RABO)の合成において有用なアミノトランスアミナーゼに関する。本発明はまた、開示されたアミノトランスアミナーゼを用いる(R)-3-アミノブタン-1-オール(RABO)の調製方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物を調製するための方法であって:
アミノトランスアミナーゼの存在下で4-ヒドロキシ-2-ブタノンをアミン供与体と反応させる工程を含み、
アミノトランスアミナーゼが、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ
アミノトランスアミナーゼが、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む、
方法。
【請求項2】
アミノトランスアミナーゼが配列番号4に対する突然変異X165Nを追加として含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミノトランスアミナーゼが、配列番号4に対する突然変異X215Aを追加として含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アミノトランスアミナーゼが、配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アミノトランスアミナーゼが配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
アミノトランスアミナーゼが配列番号2のアミノ酸配列からなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アミン供与体がメチルベンジルアミンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アミン供与体がR-メチルベンジルアミンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むアミノトランスアミナーゼであって、
配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む、
アミノトランスアミナーゼ。
【請求項10】
配列番号4に対する以下の突然変異:X165NおよびX215Aを追加として含む、請求項9に記載のアミノトランスアミナーゼ。
【請求項11】
配列番号2のアミノ酸配列を含むアミノトランスアミナーゼ。
【請求項12】
配列番号2のアミノ酸配列からなるアミノトランスアミナーゼ。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載のアミノトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチド。
【請求項14】
ポリヌクレオチドが配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
式(I):
【化2】
の化合物の製造のための、
請求項9~12のいずれか一項に記載のアミノトランスアミナーゼの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(R)-3-アミノブタン-1-オール(RABO)の合成方法およびアミノトランスアミナーゼ活性を有するポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
(4R,12aS)-9-{[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]カルバモイル}-4-メチル-6,8-ジオキソ-3,4,6,8,12,12a-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[1’,2’:4,5]ピラジノ[2,1-b][1,3]オキサジン-7-オレートは、ドルテグラビル(DTG)として知られるが、HIVを治療するために他の医薬との組み合わせでナトリウム塩の形態で使用されるインテグラーゼ阻害剤(INSTI)である。米国特許第8,129,385号を参照されたい。
【0003】
DTGは、タンパク質結合および一般的なHIV突然変異体に対する効力にとって重要であるSヘミアミナールキラル中心を含有する。DTGを作製する少なくとも1つの方法によれば、DTGの好ましい立体化学は、最終的な閉環工程において異性体の(R)-3-アミノブタン-1-オール中間体を使用することによって得られる(Johnsら、J.Med.Chem.2013、56、5901~5916頁)。しかし、(R)-3-アミノブタン-1-オール(RABO)は比較的高価であり、DTG生産の主たる原価発生源となり-総費用のほぼ30%を占め得る。小分子キラルアルコールの合成は、低沸点による精製の複雑化を含む多くの理由のため、難しい課題である(Medicines for All Initiative、Process Development Report、Synthesis of (R)-3-aminobutan-1-ol、2019年11月8日)。
【0004】
トランスアミナーゼまたは「アミノトランスアミナーゼ」とは、アミン供与化合物の第一級アミンからアミン受容体化合物のカルボニル基(C=O)へと、アミノ基(-NH2)を転移する酵素能力を有するポリペプチドである。アミノトランスアミナーゼ反応は、ドルテグラビル、より詳細にはRABO中間体の製造方法において使用され得る。WO2018/020380を参照されたい。しかし、現行のこういったアミノトランスアミナーゼ反応は、依然として非効率なRABO生産という結果となっている。
【0005】
したがって、RABOの合成方法と、生産効率を向上させかつHIVに向けた特定の抗レトロウイルス治療の全体的な生産費用を究極的に削減する、RABOの合成において有用なアミノトランスアミナーゼとを特定する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、構造式(I):
【0007】
【化1】
の化合物を調製するための方法が提供される。方法は、アミノトランスアミナーゼの存在下で4-ヒドロキシ-2-ブタノンをアミン供与体と反応させる工程を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むアミノトランスアミナーゼが提供され、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、配列番号2のアミノ酸配列を含むアミノトランスアミナーゼが提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、配列番号2のアミノ酸配列からなるアミノトランスアミナーゼが提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、本発明のアミノトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0012】
本発明の最後の態様によれば、構造式(I):
【0013】
【化2】
の化合物の製造のための、本発明のアミノトランスアミナーゼの使用が提供される。
【0014】
本発明はいくつかの点で有利である。具体的には、活性および熱安定性の向上などの改善された特性を有する本開示のアミノトランスアミナーゼを用いるRABOの作製方法は、反応時間を減らすこと、収率/変換率および/または立体化学選択性を改善すること、生産費用を削減すること、ならびに抗レトロウイルス療法を必要とする人々への利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書で使用される場合、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は本明細書で互換的に使用されて、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化、ユビキチン化等)に関わらず、アミド結合によって共有結合で連結された少なくとも2個のアミノ酸のポリマーを表す。D-アミノ酸およびL-アミノ酸ならびにD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物が、本定義の範囲内に含まれる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アミノトランスフェラーゼ」、「トランスアミナーゼ」および「アミノトランスアミナーゼ」という用語は互換的に使用され、アミノ基(-NH)、電子対およびプロトンをアミン供与化合物の第一級アミンからアミン受容体化合物のカルボニル基(C=O)へと転移し、それによってアミン供与化合物を対応するカルボニル化合物へと変換しかつカルボニル受容体化合物を対応する第一級アミン化合物へと変換する、酵素能力を有するポリペプチドを指す(例えば、スキーム1を参照されたい)。
【0017】
【化3】
【0018】
アミノトランスアミナーゼには、本明細書で使用される場合、天然に存在する(野生型)アミノトランスアミナーゼならびにヒトの操作によって生成された天然に存在しない操作されたポリペプチドが含まれる。
【0019】
「残基差異」または「アミノ酸差異」という語句は、参照配列と比較した場合のポリペプチド配列の指定された位置での残基の変化を指す。特定のアミノ酸またはアミノ酸変化が存在するポリペプチド配列の位置は、「Xn」または「n位」として本明細書では記載される場合もあり、ここで、nとは、参照配列に関連して残基位置を指す。例えば、参照配列がセリンを有するX8位での残基差異とは、セリン以外の任意の残基へのX8位での残基の変化を指す。本明細書に開示されるように、本発明のアミノトランスフェラーゼは、参照配列に対して1または2以上の残基差異を含むことができ、複数の残基差異は典型的には、参照配列に対して変化がなされている指定された位置の列記によって示されている。指定された異なる残基による参照配列中の特定の残基の置き換えである、特定の置換突然変異は、慣例の表記法「X(番号)Y」によって表され得、ここで、Xは参照配列中の残基の一文字識別子であり、「番号」は参照配列中の残基位置であり、Yは操作された配列中の残基置換の一文字識別子である。したがって、例えば、「配列番号4に対する突然変異X5Q」とは、配列番号4のN末端から数えて5番目のアミノ酸がQに変化されていることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アミン供与体」または「アミノ供与体」という用語は互換的に使用されて、アミノ基を受容体カルボニル化合物(すなわち、アミノ基受容体)に供与し、それによってカルボニル副生成物となることができるアミノ基を含有する化合物を指す。一実施形態では、本発明で使用されるアミン供与体は、一般構造式:
【0021】
【化4】
を有する。式中、RおよびRは、それぞれ独立して選ばれる場合、非置換であるかまたは1もしくは2以上の酵素的に非阻害性の基で置換されている、アルキル、アルキルアリール基、アリール基である(スキーム1の(A)を参照されたい)。Rは、構造またはキラリティーにおいてRと同一であっても異なってもよい。典型的なアミノ基供与体には、キラルアミノ酸およびアキラルアミノ酸ならびにキラルアミンおよびアキラルアミンが含まれる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「カルボニル副生成物」という用語は、アミノ基供与体上のアミノ基がアミノ基転移反応においてアミノ基受容体に転移される場合にアミノ基供与体から形成されるカルボニル化合物を指す。カルボニル副生成物は一般構造式:
【0023】
【化5】
を有する。式中、RおよびRはアミノ基供与体について上で定義されている(スキーム1の(C)を参照されたい)。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アミノ受容体」、「アミン受容体」、「ケト基質」、「基質」または「基質化合物」という用語は互換的に使用されて、アミノトランスアミナーゼによって媒介される反応においてアミノ基供与体からアミノ基を受容する化合物を含有するカルボニル基を指す(スキーム1の(B)を参照されたい)。
【0025】
本明細書で使用される場合、「補因子」という用語は、反応を触媒する際に酵素との組み合わせで機能する非タンパク質化合物を指す。本明細書で使用される場合、「補因子」は、補酵素と呼ばれる場合もある、ビタミンBファミリーの化合物PLP、PN、PL、PM、PNPおよびPMPを包含することが意図される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ピリドキサール-リン酸」、「PLP」、「ピリドキサール-5’-リン酸」、「PYP」および「P5P」という用語は本明細書では互換的に使用されて、アミノトランスアミナーゼ反応において補因子として作用する化合物を指す。一部の実施形態では、ピリドキサールリン酸は、構造1-(4’-ホルミル-3’-ヒドロキシ-2’-メチル5’-ピリジル)メトキシホスホン酸、CAS番号[54-47 R2 7]により定義される。ピリドキサール-5’-リン酸は、ピリドキサール(ビタミンBとしても知られる。)のリン酸化および酸化によりin vivoで産生され得る。アミノトランスアミナーゼ酵素を使用するアミノ基転移反応において、アミノ供与体のアミノ基が補因子に転移されてケト副生成物を生成し、一方、ピリドキサール-5’-リン酸はピリドキサミンリン酸へと変換される。ピリドキサール-5’-リン酸は、異なるケト化合物(アミノ受容体)との反応により再生される。ピリドキサミンリン酸からアミノ受容体へのアミノ基の転移は、アミンを産生し、補因子を再生する。一部の実施形態では、ピリドキサール-5’リン酸は、ピリドキシン(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)ならびにそれらのリン酸化対応物;ピリドキシンリン酸(PNP)およびピリドキサミンリン酸(PMP)を含む、ビタミンBファミリーの他のメンバーによって置き換えられ得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「酵素」という用語は、生物学的触媒として機能する一連のタンパク質を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「生物学的触媒」という用語は、有機化合物の化学反応または化学変換を促進する線状ポリペプチドを意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「コード配列」とは、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、遺伝子)の部分を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」または「野生型」とは、自然において見出される形態を指す。例えば、天然に存在するもしくは野生型のポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列とは、天然における供給源から単離されることができ、ヒトの操作により意図的に改変されていない、生物中に存在する配列である。
【0031】
本明細書で使用される場合、例えば、細胞、核酸またはポリペプチドを参照して使用される場合の「組換え」または「操作された」または「天然に存在しない」とは、材料、または当該材料の天然形態もしくはネイティブ形態に相当する材料であって、そうでなければ天然において存在しないと思われる様式で改変されている、またはそれらと同一であるが合成材料からおよび/もしくは組換え技法を使用する操作により生産もしくは導出されている材料を指す。非限定的な例には、とりわけ、ネイティブ(非組換え)形態の細胞内では見出されない遺伝子を発現する組換え細胞、またはそうでなければ異なるレベルで発現されるネイティブ遺伝子を発現する組換え細胞が含まれる。
【0032】
クエリ核酸配列と対象核酸配列の間の「同一性パーセント」または「同一性%」とは、パーセンテージとして表される「同一性」値であり、適切なアルゴリズム(例えば、Needleman-WunschまたはGenePAST/KERR)またはソフトウェア(例えば、DNASTAR LasergeneまたはGenePAST/KERR)を使用してペアワイズグローバルシーケンスアラインメントが実行された後、クエリ配列の全長にわたって、適切なアルゴリズム(例えば、BLASTN、FASTA、Needleman-Wunsch、Smith-Waterman、LALIGN、またはGenePAST/KERR)またはソフトウェア(例えば、DNASTAR Lasergene、GenomeQuest、EMBOSS needleまたはEMBOSS infoalign)を使用して算出される。重要なことに、クエリ核酸配列は、本明細書において、特に請求項の1または2以上において開示されている核酸配列によって説明され得る。
【0033】
クエリアミノ酸配列と対象アミノ酸配列の間の「同一性パーセント」または「同一性%」とは、パーセンテージとして表される「同一性」値であり、適切なアルゴリズム(例えば、Needleman-WunschまたはGenePAST/KERR)またはソフトウェア(例えば、DNASTAR LasergeneまたはGenePAST/KERR)を使用してペアワイズグローバルシーケンスアラインメントが実行された後、クエリ配列の全長にわたって、適切なアルゴリズム(例えば、BLASTP、FASTA、Needleman-Wunsch、Smith-Waterman、LALIGN、またはGenePAST/KERR)またはソフトウェア(例えば、DNASTAR Lasergene、GenomeQuest、EMBOSS needleまたはEMBOSS infoalign)を使用して算出される。重要なことに、クエリアミノ酸配列は、本明細書において、特に請求項の1または2以上において開示されているアミノ酸配列によって説明され得る。
【0034】
クエリ配列は、対象配列と100%同一であってもよく、または対象配列と比較してある特定の整数までのアミノ酸変更を含んでもよく、その結果、同一性%は100%未満である。例えば、クエリ配列は、対象配列と少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一である。そのような変更には、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的置換および非保存的置換を含めて)、または挿入が含まれ、この場合、前記変更は、クエリ配列のアミノ末端の位置またはカルボキシ末端の位置、あるいは、それらの末端の位置の間のどこかで生じてもよく、クエリ配列中のアミノ酸のうちに個別にまたはクエリ配列内の1もしくは2以上の連続した群のいずれかに散在して、生じてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「参照配列」とは、配列比較のための基盤として使用される定義された配列を指す。参照配列は、より大きな配列の部分セット、例えば、完全長の遺伝子またはポリペプチド配列のセグメントであり得る。一般に、参照配列は、少なくとも20のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の長さ、少なくとも25残基の長さ、少なくとも50残基の長さ、または核酸もしくはポリペプチドの完全長である。2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、それぞれ、(1)当該2種の配列の間で類似である配列(すなわち、完全な配列の一部)を含むことができ、かつ(2)当該2種の配列の間で異なる配列をさらに含むことができることから、2種の(または2種超の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列比較は、通常には、配列類似性の局所的領域を特定および比較するために、当該2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を、「比較ウインドウ」にわたって比較することによって行われる。一部の実施形態では、「参照配列」は、一次アミノ酸配列に基づくことができ、ここで、当該参照配列は、当該一次配列において1または2以上の変化を有することができる配列である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「改善された酵素特性」とは、野生型アミノトランスアミナーゼ酵素または改善され操作された別のアミノトランスアミナーゼなどの参照アミノトランスアミナーゼと比較して、任意の酵素特性において改善を呈するアミノトランスアミナーゼポリペプチドを指す。その改善が望ましい酵素特性には、それらに限定されないが、酵素活性(基質の変換パーセントで表され得る)、熱安定性、溶媒安定性、pH活性プロファイル、補因子要件、阻害剤に対する不応性(例えば、基質または生成物阻害)、立体特異性および立体選択性(エナンチオ選択性を含めて)が含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「向上されたまたはより高い酵素活性」とは操作されたアミノトランスアミナーゼポリペプチドの改善された活性を指し、これは、参照アミノトランスアミナーゼ酵素と比較して、比活性(例えば、生成された生成物/時間/タンパク質重量)の向上または生成物への基質の変換パーセント(例えば、指定された量のアミノトランスアミナーゼを使用する指定された期間内での生成物に対する基質の量に関する変換パーセント)の向上によって表され得る。酵素活性を決定する例示的な方法は、実施例において提供される。酵素活性に関連する任意の特性は、Km、Vmaxまたはkcarの古典的酵素特性を含めて、影響を及ぼされ得るが、これらの変化は向上された酵素活性をもたらすことができる。酵素活性の改善は、対応する野生型アミノトランスアミナーゼ酵素の酵素活性の親に対する約1.1倍の改善(FIOP)から、天然に存在するアミノトランスアミナーゼまたはアミノトランスアミナーゼポリペプチドが由来した操作された別のアミノトランスアミナーゼよりも、2FIOP、5FIOP、10FIOP、20FIOP、25FIOP、50FIOP、75FIOP、100FIOPと同じ程度、またはそれ超の酵素活性まであり得る。アミノトランスアミナーゼ活性は、標準アッセイのいずれか1つによって、例えば反応体または生成物の分光光度的特性の変化をモニタリングすることによって測定され得る。一部の実施形態では、生成される生成物の量は、o-フタルジアルデヒド(OPA)誘導体化の後に、UV吸光度または蛍光検出と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離を使用する既知のアッセイによって測定され得る。酵素活性の比較は、本明細書でさらに詳細に記載される通り、酵素の定義された調製、設定条件下での定義されたアッセイ、および1または2以上の定義された基質を使用してなされる。一般に、ライセートが比較される場合、細胞の数およびアッセイされるタンパク質の量、ならびに、宿主細胞によって産生されかつライセート中に存在する酵素の量の変動を最小限に抑えるように、同一の発現系および同一の宿主細胞の使用が決定され得る。
【0038】
遺伝的にコード化されたアミノ酸に使用される略語は従来どおりであり、以下の通りである。
【0039】
【表1】
【0040】
発明の記載
本開示は、一部の実施形態では医薬成分(R)-3-アミノブタン-1-オール(RABO)を生成するアミノ受容体基質化合物の選択的アミノ基転移にとって有用な、アミノトランスアミナーゼ活性を有するアミノトランスアミナーゼを提供する。ある実施形態では、アミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換することができるアミノトランスアミナーゼ活性を有する。さらなる実施形態では、アミノ受容体基質化合物は4-ヒドロキシ-2-ブタノンである。さらに、本開示は、本発明のアミノトランスアミナーゼをコードする核酸配列を提供する。
【0041】
本開示のアミノトランスアミナーゼは、配列番号4の参照アミノトランスアミナーゼポリペプチドと比較して、反応収率および/または熱安定性などの、改善された酵素特性を有するように操作された天然に存在しないアミノトランスアミナーゼである。
【0042】
第1の態様によれば、本発明は、構造式(I):
【0043】
【化6】
の化合物を調製するための方法を提供する。方法は、アミノトランスアミナーゼの存在下で4-ヒドロキシ-2-ブタノンをアミン供与体と反応させる工程を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む。
【0044】
第2の態様によれば、本発明は、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むアミノトランスアミナーゼを提供し、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む。
【0045】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対する突然変異X165Nを追加として含む、すなわち、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223PおよびX165Nを含む。
【0046】
別の実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対する突然変異X215Aを追加として含む、すなわち、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223PおよびX215Nを含む。
【0047】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223P、X165NおよびX215Aを含む。
【0048】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含む。
【0049】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223PおよびX165Nを含む。
【0050】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223PおよびX215Aを含む。
【0051】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%、85%、90%または95%同一であるアミノ酸配列を含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223P、X165NおよびX215Aを含む。
【0052】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、配列番号2のアミノ酸配列からなる。
【0053】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、アミン供与体を提供する。一実施形態では、アミン供与体は、式CNのイソプロピルアミンである。一実施形態では、アミン供与体は、式CNのメチルベンジルアミンである。ある実施形態では、アミン供与体は、式CCH(NH)CHのR-メチルベンジルアミンである。
【0054】
一実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、補因子を必要とする。一実施形態では、補因子は、ビタミンBファミリー化合物を含む。一実施形態では、ビタミンBファミリー化合物は、PLP、PN、PL、PM、PYP、P5P、PNPおよびPMPからなる群から選択される。一実施形態では、補因子はPLPを含む。
【0055】
一実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定の方法、または本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼを提供し、
アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含み、アミノトランスアミナーゼは配列番号4の酵素よりも高い活性を呈する。
【0056】
一実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、
4-ヒドロキシ-2-ブタノン 約70g/L、約80g/L、約90g/Lもしくは約100g/L、約1.5M、約1.75M、約2.0M、約2.25Mもしくは約2.5Mのイソプロピルアミンまたは約1.0M、約1.25もしくは約1.5MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8、約pH9、約pH10または約pH11で、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃~約45℃で、約20時間、約24時間、約28時間、約32時間、約36、約40、約44または約48時間にわたって測定する場合、より高い活性を呈する。一実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8.0、約pH8.1、約pH8.2、約pH8.3、約pH8.4またはpH8.5で、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃または約45℃で、約20時間にわたって測定する場合、配列番号4に対してより高い活性を呈する。一実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8.5、約40℃で、約20時間にわたって測定する場合、より高い活性を呈する。
【0057】
ある実施形態では、本発明のまたは本発明の方法で使用されるアミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換するトランスアミナーゼ活性を有するが、適切な反応条件下で(例えば、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8.5、40℃~45℃で、24時間にわたって測定する場合)、配列番号4の参照ポリペプチドの活性に対して、少なくとも約300、310、320、330、340、350、400、450、500、510、520、530、540、1000FIOPまたはそれ以上、向上されている活性である。ある実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換するトランスアミナーゼ活性を有するが、配列番号4の参照ポリペプチドの活性に対して少なくとも約300FIOP~500FIOP向上されている活性である。ある実施形態では、アミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換するトランスアミナーゼ活性を有するが、配列番号4の参照ポリペプチドの活性に対して少なくとも約350FIOP~550FIOP向上されている活性である。ある実施形態では、アミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換するトランスアミナーゼ活性を有するが、約360FIOP~約540FIOP向上されている活性である。
【0058】
したがって、ある実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定の方法、または本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼを提供し、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含み、アミノトランスアミナーゼは、300超のFIOPにより測定する場合、配列番号4の酵素と比較して向上された活性を呈する。
【0059】
ある実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定の方法、または本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼを提供し、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209L、X223P、X165NおよびX215Aを含み、アミノトランスアミナーゼは、500超のFIOPにより測定する場合、配列番号4の酵素と比較して向上された活性を呈する。ある実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、実施例4に記載の通り、式(I)へと基質化合物を変換することができるトランスアミナーゼ活性を有するが、適切な反応条件下で(例えば、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8.5、40℃~45℃で、20時間にわたって測定する場合)、約48時間、約36時間、約24時間、約20時間の反応時間内、またはさらにより短い長さの時間で、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の変換パーセントである。ある実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、約20~48時間、例えば約20時間、約24時間、約30時間、約35時間、約40時間、約45時間または約48時間の反応時間内で、少なくとも約90%の変換パーセントで式(I)へと基質化合物を変換することができる。一実施形態では、変換パーセントは、約20~48時間、例えば約20時間、約24時間、約30時間、約35時間、約40時間、約45時間または約48時間の反応時間内で、少なくとも約95%である。一実施形態では、アミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換することができるトランスアミナーゼ活性を有するが、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 約70g/L、約80g/L、約90g/Lもしくは約100g/L、約1.5M、約1.75M、約2.0M、約2.25Mもしくは約2.5Mのイソプロピルアミンまたは約1.0M、約1.25、もしくは約1.5MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8、約pH9、約pH10または約pH11で測定する場合、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃または約45℃の、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間にわたる適切な反応条件下で、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超のエナンチオマー過剰の範囲内である。一実施形態では、アミノトランスアミナーゼは、式(I)へと基質化合物を変換することができるトランスアミナーゼ活性を有するが、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4MのR-メチルベンジルアミンを使用して、約pH8.5で測定する場合、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃または約45℃の、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間にわたる適切な反応条件下で、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超のエナンチオマー過剰の範囲内である。
【0060】
一実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定の方法、または本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼを提供し、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、かつアミノトランスアミナーゼは、配列番号4に対して以下の突然変異:X5Q、X8A、X31Q、X54C、X61I、X94I、X102K、X136W、X162G、X181W、X187I、X199I、X209LおよびX223Pを含み、アミノトランスアミナーゼは、配列番号4の酵素よりも大きい熱安定性を呈する。一実施形態では、本発明のアミノトランスアミナーゼは、配列番号4の酵素よりも50℃で向上された活性を呈する。
【0061】
本発明はまた、本発明の第2の態様で定義されるアミノトランスアミナーゼを含む組成物も提供する。
【0062】
ある実施形態では、アミノトランスアミナーゼは固定化アミノトランスアミナーゼである。ある実施形態では、固定化アミノトランスアミナーゼはタンパク質固定化ビーズに連結されている。
【0063】
本発明の方法は、ブタノンをアミン供与体と反応させる工程を含む。ブタノンはメチルエチルケトンとしても知られるが、式CHC(O)CHCHの有機化合物である。
【0064】
ある実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定のアミノトランスアミナーゼまたは本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは配列番号1のヌクレオチド配列を含む。ある実施形態では、ポリヌクレオチドは配列番号1のヌクレオチド配列からなる。
【0065】
ある実施形態では、本発明は、本発明の第1の態様で規定のアミノトランスアミナーゼまたは本発明の第2の態様で規定のアミノトランスアミナーゼをコードするポリヌクレオチドのDNA配列を提供する。操作されたポリペプチドの配列が既知である場合、酵素をコードするポリヌクレオチドは、既知の合成法にしたがって、標準固相法によって調製され得る。一部の実施形態では、約100塩基までの断片が個別に合成され、次いで連結され(例えば、酵素的もしくは化学的連結法、またはポリメラーゼ媒介法によって)、所望の任意の連続配列を形成することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、例えば、通常には自動化された合成法で実施されるように、例えば、Beaucageら、1981、Tet Lett 22:1859~69頁に記載の古典的なホスホラミダイト法またはMatthesら、1984、EMBO J.3:801~05頁に記載の方法を使用する化学合成によって調製され得る。ホスホラミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドが、例えば、自動DNA合成装置で合成され、精製され、アニーリングされ、ライゲーションされかつ適正なベクターにクローニングされる。加えて、本質的に、任意の核酸が、様々な商業的供給源、The Great American Gene Company、Ramona、CA、ExpressGen Inc、Chicago、IL、Operon Technologies Inc、Alameda、CA、およびその他多数のうちのいずれかから入手され得る。
【0066】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示する。
【実施例
【0067】
[実施例1]
アミノトランスフェラーゼ粉末の生産-振とうフラスコ手順
目的のアミノトランスフェラーゼをコードするプラスミドを含有する大腸菌(E.coli)の単一微生物コロニーは、クロラムフェニコール30μg/mLおよび1%グルコースを含有するLuria Bertoniブロス50mLに接種された。細胞を、インキュベーター中で30℃、250rpmで振とうしながら一晩(少なくとも16時間)増殖させた。培養物は、およそ0.2のOD600を与えるようにクロラムフェニコール30μg/mL(0.1mMピリドキシンで補充された)を含有する2×YT 1000mL中に希釈され、30℃、250rpmで振とうしながら増殖させた。アミノトランスフェラーゼ遺伝子の発現は、培養物のOD600が0.6~0.8である場合に、最終濃度1mMまでイソプロピルβ D-チオガラクトシド(IPTG)の添加によって誘導された。次いで、インキュベーションは一晩(少なくとも16時間)継続された。細胞は遠心分離(3738RCF、20分、4℃)によって回収され、上清は廃棄された。ペレットは-80℃で2時間凍結された。次いで、ペレットは解凍され、最終ペレット塊1グラムあたり40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)4mLの割合で再懸濁された(例えば、凍結ペレット10gを緩衝液40mLに懸濁した)。再懸濁後、細胞は、200umメッシュを通して濾過され、その後に、12000psigでマイクロフルイダイザーに2回通された。細胞デブリは遠心分離(15,777RCF、40分、4℃)によって除去された。透明なライセート上清は採取され、プールされ、凍結乾燥させて、粗アミノトランスフェラーゼ酵素の乾燥粉末を得た。
【0068】
[実施例2]
アミノトランスフェラーゼ粉末の生産-発酵手順
凍結ワーキングストック(目的のアミノトランスフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドを含有する大腸菌)の一定分量が冷凍庫から取り出され、室温で解凍された。このワーキングストック300μLは、1Lフラスコ中にクロラムフェニコール30μg/mlと1%グルコースを含有するM9YEブロス(塩化アンモニウム1.0g/L、塩化ナトリウム0.5g/L、リン酸一水素二ナトリウム6.0g/L、リン酸二水素カリウム3.0g/L、Procelys Springer 0251酵母エキス2.0g/L、脱イオン水1L/L)250mlの一次シード段階へと接種され、200rpmで振とうしながら37℃で増殖させた。培養物のOD600が0.5~1.0であった場合、フラスコは、インキュベーターから取り出され、二次シード段階を接種するために即座に使用された。
【0069】
二次シード段階は、ベンチスケールの5L発酵槽中で、増殖培地(硫酸アンモニウム0.88g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物0.98g/L;リン酸水素二カリウム12.5g/L、リン酸二水素カリウム6.25g/L、Procelys Springer 0251酵母エキス3.3g/L、クエン酸鉄アンモニウム0.083g/L、ポリプロピレングリコール消泡剤0.5ml/L、および微量元素溶液8.3ml/L、工程水1L/L。微量元素溶液は、塩化カルシウム二水和物2g/L、硫酸亜鉛七水和物2.2g/L、硫酸マンガン一水和物0.5g/L、硫酸銅五水和物1g/L、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.1g/Lおよび四ホウ酸ナトリウム十水和物0.02g/L、脱イオン水1L/Lを含有した)4Lを使用して実施された。増殖培地は、121℃で40分間滅菌された。滅菌後、フィードストック溶液40ml/Lが添加された(フィードストック溶液は、硫酸アンモニウム12g/L、硫酸マグネシウム七水和物5.1g/L、デキストロース一水和物500g/L、工程水1L/Lを含有し、121℃で30分間滅菌した)。発酵槽はOD600 0.5~1.0の一次シード2mlで接種され、クロラムフェニコール30μg/mlで補充され、37℃、300rpm、0.5vvmエアレーションでインキュベートされた。培養物のOD600が0.5~1.0であった場合、二次シードは即座に最終段階の発酵へと移された。
【0070】
最終段階の発酵は、10L発酵槽中ベンチスケールで、増殖培地(硫酸アンモニウム0.88g/L、クエン酸三ナトリウム二水和物0.98g/L;リン酸水素二カリウム12.5g/L、リン酸二水素カリウム6.25g/L、Procelys Springer 0251酵母エキス3.3g/L、クエン酸鉄アンモニウム0.083g/L、ポリプロピレングリコール消泡剤0.5ml/L、および微量元素溶液8.3ml/L、工程水1L/L。微量元素溶液は、塩化カルシウム二水和物2g/L、硫酸亜鉛七水和物2.2g/L、硫酸マンガン一水和物0.5g/L、硫酸銅五水和物1g/L、モリブデン酸アンモニウム四水和物0.1g/Lおよび四ホウ酸ナトリウム十水和物0.02g/L、脱イオン水1L/Lを含有した)6Lを使用して実施された。増殖培地は、121℃で40分間滅菌された。滅菌後、増殖培地は、ピリドキシン塩酸塩0.035g/Lおよびフィードストック溶液(フィードストック溶液は、硫酸アンモニウム12g/L、硫酸マグネシウム七水和物5.1g/L、デキストロース一水和物500g/L、工程水1L/Lを含有し、121℃で30分間滅菌した)40ml/Lで補充された。
【0071】
発酵槽はOD600 0.5~1.0の二次シード500mlで接種され、37℃および0.5vvmエアレーションでインキュベートされた。溶存酸素は可変速撹拌により30%に制御され、pHは17.5%v/v水酸化アンモニウム溶液の添加によりp7.0に維持された。培養物の増殖は、フィードストック溶液(硫酸アンモニウム12g/L、硫酸マグネシウム七水和物5.1g/L、デキストロース一水和物500g/L、工程水1L/L、121℃で30分間滅菌した)の添加により維持された。培養物が80+/-10のOD600に達した後、温度は30℃に低下され、イソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)は最終濃度1mMまで添加された。発酵はさらに18時間継続された。回収時に、培養物は8℃に冷却された。細胞は、Sorvall RC12BP遠心分離機で、4℃、5000Gで40分間の遠心分離により採取された。次いで、回収した細胞ペレットは-80℃で凍結され、下流の処理および回収まで保存された。
【0072】
[実施例3]
アミノトランスフェラーゼ触媒の生産-固定化手順
凍結乾燥粗アミノトランスフェラーゼのタンパク質含有量は、ブラッドフォードアッセイによって定量化された。粗酵素15gの添加は、樹脂1グラムあたり27mgのタンパク質の最終タンパク質濃度へと算出され(500~650mg)、50mLの三角フラスコ中に計量された。再懸濁緩衝液(KH2PO4 1.14g/L、K2HPO4 5.47g/LおよびPLP 1.6g/L)15mLが添加され、タンパク質懸濁液は反転により穏やかに混合された。
【0073】
Puroliteエポキシメタクリレート樹脂(ECR8206F/5730)は、ガラス製125mLエルレンマイヤーフラスコ中に計量された。3M高塩固定化緩衝液は、固定化中の最終濃度が1.8Mであるように、調製された。K2HPO4 121.09gおよびKH2PO4 25.91gは、水250mLに添加され、加熱により溶解させた。溶液は放冷され、22.5mLはガラス製125mLエルレンマイヤーフラスコ中の樹脂15gに添加された。次いで、タンパク質溶液は、樹脂および緩衝液へと添加され、パラフィルムでカバーされ、週末の間25℃、115rpmでインキュベートされた。
【0074】
樹脂は、正方形の200umメッシュ上へとデカントされ、ブフナー漏斗を通して濾液が透明になるまで洗浄緩衝液(K2HPO4 1.25g/LおよびKH2PO4 0.35g/L)で洗浄された。樹脂は、ペーパータオルを用いて汚れを吸い取り、乾燥し、使用まで4℃で保存された。
【0075】
[実施例4]
アミンへとケトン基質を変換することができるArthrobacter属種のアミノトランスフェラーゼのバリアントの特定のためのハイスループットスクリーニング。
実施例2で記載の通りに構築された、Arthrobacter属種のアミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子(配列番号4)は、下記の方法を使用して突然変異誘発され、改変したDNA分子の集団は適切な大腸菌宿主株を形質転換するために使用された。抗生物質耐性形質転換体が選択され、処理を施されて、所望の反応条件下で反応(基質化合物と式(I))を実行する改善した能力を備えるアミノトランスフェラーゼを発現するものを特定した。細胞の選択、増殖、アミノトランスフェラーゼバリアント酵素の誘導発現および細胞ペレットの採取は、下記の通りとした。
【0076】
アミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子を担持する組換え大腸菌コロニーは、Q-PIX分子デバイスロボットコロニーピッカー(Genetix USA、Inc.、Boston、MA)を使用して、各ウェルにLBブロス180μL、1%グルコースおよびクロラムフェニコール(CAM)30μg/mLを含有する、96ウェルシャローウェルマイクロタイタープレートに採取された。細胞は、200rpmで振とうしながら30℃および湿度85%で一晩増殖させた。次いで、この培養物の一定分量20μLは、2×YTブロス380μLおよびCAM 30μg/mLを含有する96ディープウェルプレートへと移され、ピリドキシン100μLで補充された。ディープウェルプレートを30℃および湿度85%、250rpmで振とうしながら2~3時間インキュベートした後、培養細胞内での組換え遺伝子発現は、最終濃度1mMまでIPTGの添加によって誘導された。次いで、プレートは30℃および湿度85%、250rpmで振とうしながら18時間インキュベートされた。細胞は遠心分離(3738RCF、10分、4℃)によりペレット化され、溶解緩衝液200μLに再懸濁され、室温で2時間振とうすることにより溶解させた。早期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼ用の溶解緩衝液は、25mMトリエタノールアミン、pH7.5、リゾチーム1mg/mL、ポリミキシンB硫酸塩500μg/mLおよび1mMピリドキサールリン酸から構成された。
【0077】
後期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼ用の溶解緩衝液は、100mMリン酸カリウム、pH8.0、リゾチーム1mg/mL、ポリミキシンB硫酸塩500μg/mLおよび1mMピリドキサールリン酸(PLP)から構成された。プレートは空気透過性ナイロンシールで密封された後、室温で2時間激しく振とうされた。細胞デブリは遠心分離(3738RCF、10分、4℃)によりペレット化され、透明な上清は直接アッセイされるかまたは使用するまで4℃で保存された。
【0078】
早期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼのスクリーニングの場合、イソプロピルアミンはアミン供与体として使用された。すべてのプレートについて、ケトン、アミン供与体、共溶媒および1mM PLPは反応混合濃縮物液として予備混合され、ライセートの添加により最終濃度まで希釈されて反応を開始させた。Costarディープウェルプレートの各ウェルは、反応混合濃縮物で装入され、これに続いてBiomek FXロボット装置(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して、回収したライセート上清を添加した。プレートは、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃、4秒間熱融着され、650rpm(INFORS Thermotron)で20時間インキュベートされた。突然変異体の条件は下にまとめられている。反応物は、実施例5に記載の通りに分析用に調製された。
【0079】
配列番号4:30%ライセート、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 77g/L、1.5Mイソプロピルアミン(pH10)、5%v/vメタノール、30℃。
【0080】
配列番号6:30%ライセート、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、2.5Mイソプロピルアミン(pH10)、5%v/vイソプロパノール、30℃。
【0081】
配列番号8:25%ライセート、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 130g/L、2.5Mイソプロピルアミン(pH10.75)、25%v/v DMSO、45℃。
【0082】
後期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼ(例えば、配列番号10、12、2)のスクリーニングの場合、R-メチルベンジルアミン(R-MBA)はアミン供与体として使用された。一部の例では、アセトフェノン副生成物によるプレインキュベーション段階が含まれた。プレインキュベーションの場合、Costarディープウェルプレートの各ウェルは、50%アセトフェノンのDMSO 18μLで装入され、これに続いてBiomek FXロボット装置(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して、回収したライセート上清71.1μLを添加した。プレートは、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃、4秒間熱融着され、40℃、850rpm(INFORS Thermotron)で20時間インキュベートされた。
【0083】
すべてのプレートについて、ケトンおよびアミン供与体は反応混合濃縮物液として予備混合され、プレインキュベートしたライセートへの添加により最終濃度まで希釈されて反応を開始させた。Costarディープウェルプレートの各ウェルは、Biomek FXロボット装置(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して、反応混合濃縮物で装入された。プレートは、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃、4秒間熱融着され、650rpm(INFORS Thermotron)で20時間インキュベートされた。突然変異体の条件は下にまとめられている。反応物は、実施例5に記載の通りに分析用に調製された。
【0084】
配列番号10:35.5%ライセート、アセトフェノン、次いで4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4M R-MBA(pH8.5)とプレインキュベーション、40℃。
【0085】
配列番号12:35.5%ライセート、アセトフェノン、次いで4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4M R-MBA(pH8.5)とプレインキュベーション、45℃。
【0086】
配列番号2:35.5%ライセート、アセトフェノン、次いで4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4M R-MBA(pH8.5)とプレインキュベーション、35~45℃。
【0087】
温度曝露での後期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼのスクリーニングの場合、反応は以下のように進行した。高温での曝露は、向上した安定性に相関する突然変異を特定することを可能にした。ケトンとアミン供与体は反応混合濃縮物液として予備混合され、ライセートの添加により最終濃度まで希釈され反応を開始させた。Costarディープウェルプレートの各ウェルは、反応混合濃縮物で装入され、これに続いてBiomek FXロボット装置(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して、回収したライセート上清を添加した。プレートは、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃、4秒間熱融着され、650rpm(INFORS Thermotron)で20時間インキュベートされた。突然変異体の条件は下にまとめられている。反応物は、実施例5に記載の通りに分析用に調製された。
【0088】
配列番号12:44.55%ライセート、4-ヒドロキシ-2-ブタノン 100g/L、1.4M R-MBA(pH8.5)、50℃。配列番号12は、上に提供の試験条件下で、配列番号10に勝る1.428のFIOPを有する。
【0089】
上記実施例4において、アミンへと基質化合物を変換するアミノトランスフェラーゼの上記反応は以下のように示され得る。
【0090】
【化7】
【0091】
[実施例5]
アミンへとケトン基質を変換することができるArthrobacter属種のアミノトランスフェラーゼのバリアントの特定のためのハイスループット分析法。
マーフィー試薬によるアミン生成物の誘導体化:
一晩の反応の後、プレートはインキュベーターから取り出され、シールは除去され、反応物は水で希釈された。早期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼの場合、試料は3倍に希釈された。後期段階の操作されたアミノトランスフェラーゼの場合、試料は10倍に希釈された(2段階で)。プレートは、アルミニウム/ポリプロピレンラミネートヒートシールテープで165℃、4秒間熱融着され、10分間振とうされ、次いで3738RCFで10分間遠心分離されてデブリを沈殿させた。
【0092】
1%マーフィー試薬(アセトニトリル中10g/L)が調製された。1M NaHCO3 30μLは新しい96ディープウェルプレートへと移され、これに続いて10倍希釈上清20μLおよび1%マーフィー試薬200μLが移された。プレートは密封され、40℃、850rpm(INFORS Thermotron)で1時間インキュベートされた。
【0093】
等量の2N HCl:アセトニトリル 1:9の添加により誘導体化はクエンチされた。プレートは5分間混合され、次いで3738RCFで10分間遠心分離されてデブリを沈殿させた。シールは除去され、上清20μLは新しいシャローウェルポリプロピレンプレート中のアセトニトリル180μLへと移された。プレートは再度密封され、混合され、UPLCにより分析された。
【0094】
マーフィー試薬による誘導体化の後のアミン生成物を定性的に決定するUPLC法:式IIIのアミンへの式Iのケトン基質(市販の4-ヒドロキシ-2-ブタノン、CAS番号590-90-9)の酵素変換は、0.05%トリフルオロ酢酸の水(移動相A)と0.05%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル(移動相B)との勾配を使用するAgilent Zorbax SB-C18 RRHDカラム(3.0×50mm、1.8μm)を装備したAgilent1290 UPLCを流速1.5mL/分、カラム温度60℃で使用して、決定された。本方法は、A:B 75:25の比から始まり、0.2分間保持が続き、これに、A:B 56:44への0.4分間の勾配、次いでA:B 0:100への0.15分間のパージ勾配、A:B 0:100での0.15分保持およびA:B 80:20への0.1分間の勾配および最後にA:B 80:20での0.25分保持、が続いた。化合物の溶出は340でモニタリングされたが、0.58分で過剰のマーフィー試薬が溶出し、これに続いて0.66で誘導体化したRABOが溶出し、0.84分で過剰のアミン供与体(R-MBA)ケトンが狭いピークとして溶出した。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】





【国際調査報告】