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特表2024-542777多発血管炎、好酸球増多症候群、好酸球増多症候群、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSWNP)又は鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSSNP)の処置における使用のためのインターロイキン5結合タンパク質投与レジメン
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  • 特表-多発血管炎、好酸球増多症候群、好酸球増多症候群、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSWNP)又は鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSSNP)の処置における使用のためのインターロイキン5結合タンパク質投与レジメン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】多発血管炎、好酸球増多症候群、好酸球増多症候群、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSWNP)又は鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSSNP)の処置における使用のためのインターロイキン5結合タンパク質投与レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241108BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241108BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241108BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241108BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241108BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20241108BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241108BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P7/00
A61P11/02
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/26
C07K16/24
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532973
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022084075
(87)【国際公開番号】W WO2023099668
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,513
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/086689
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/349,622
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ダレン、ジェイ、オースティン
(72)【発明者】
【氏名】アリエノール、シー、バージェス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、ピー、バード
(72)【発明者】
【氏名】マーナ、エイ、モンク
(72)【発明者】
【氏名】イザベル、ジェイ、プーリケン
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ、エイ、シューマン
(72)【発明者】
【氏名】キアーラ、ゼッキン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB16
4C076CC10
4C076CC14
4C076CC26
4C076DD09
4C076DD49
4C076DD51
4C076DD67
4C076FF11
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA23
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物に関する。本開示の組成物及び抗原結合性タンパク質は、EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPなどのIL-5媒介性疾患の処置に有用であり、約6か月ごとに1回投与することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPから選択されるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記医薬組成物。
【請求項2】
約100mg又は約200mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
CRSsNP又はCRSwNPの処置における使用のための、約100mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、請求項1又は請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
EGPA又はHESの処置における使用のための、約200mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、請求項1又は請求項2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、皮下投与用である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、約6か月ごとに1回の頻度で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組組成物が、HES又はEGPAを処置するために投与され、100mgの用量が2回、約6か月ごとに1回の頻度で、例えば別々に又は連続して、投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、HES又はEGPAを処置するために投与され、100mgの用量が2回、約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、ヒト対象に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ヒト対象が、(a)処置開始時のスクリーニングにおいて、(i)血液1μLあたりの好酸球細胞数が200以上若しくは300以上、又は、(ii)血液1μLあたりの好酸球細胞数が150以上、又は、(iii)血液1μLあたりの好酸球細胞数が100以上であるという血中好酸球の絶対数を有する、かつ/或いは、(b)過去12か月において、血液1μLあたりの好酸球が300以上であるという血中好酸球数を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、前記抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
対象に、約100mg~約300mgの用量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPから選択されるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記抗原結合性タンパク質。
【請求項18】
前記IL5媒介性疾患が、EGPA及びHESから選択され、前記用量が約200mgである、請求項17に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
【請求項19】
200mgの前記用量の投与が、100mgの用量が2回、例えば別々に、連続して又は同時に、投与されることにより行われる、請求項18に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
【請求項20】
対象に、約100mgの用量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、CRSsNP及びCRSwNPから選択されるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、抗原結合性タンパク質。
【請求項21】
EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPから選択されるIL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とするヒト対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法。
【請求項22】
処置される前記IL-5媒介性疾患が、EGPA及びHESから選択され、かつ、約200mgの前記抗原結合性タンパク質が、約6か月ごとに1回の頻度で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
200mgの前記抗原結合性タンパク質の投与が、100mgの用量が2回、例えば別々に、連続して又は同時に、投与されることにより行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処置される前記IL-5媒介性疾患が、CRSsNP及びCRSwNPから選択され、かつ、約100mgの前記抗原結合性タンパク質が、約6か月ごとに1回の頻度で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記IL-5媒介性疾患がHESであり、かつ、前記ヒト対象が、処置開始時に>1500の好酸球/μLのスクリーニング血中好酸球数を有する、或いは、前記ヒト対象が、既にHESと診断され、既に標準的なHES療法を受けており、≧1000の細胞/μLを有する患者である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記IL-5媒介性疾患が、多発血管炎を伴う再発寛解型又は難治性の好酸球性肉芽腫症であるEGPAである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
(i)前記IL-5媒介性疾患がCRSsNPであり、かつ、前記ヒト対象が、鼻粘膜の好酸球レベルが上昇した2型又は好酸球性エンドタイプを有してもよく、例えば、前記ヒト対象が、≧150/μLの血中好酸球、例えば、≧300/μLの血中好酸球を有していてもよい、或いは、(ii)前記IL-5媒介性疾患がCRSwNPであり、かつ、前記ヒト対象が、最大スコア8のうち少なくとも5の内視鏡NPスコアを有し、各鼻腔の最小スコアが2である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
a)EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPからなる群から選択される状態を有する対象を同定すること;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法。
【請求項29】
EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPから選択されるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、
a)約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質、及び、
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、プレフィルドシリンジであって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記プレフィルドシリンジ。
【請求項30】
前記プレフィルドシリンジが、約100mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、請求項29に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項31】
前記プレフィルドシリンジが、約200mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、請求項29に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項32】
前記プレフィルドシリンジが、前記抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、請求項29~31のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項33】
EGPA、HES、CRSsNP及びCRSwNPなどのIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、請求項29~32のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
【請求項34】
安全シリンジデバイス(SSD)又は自動注射器で提供される、請求項29~33のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な用量及び投与レジメンにおける、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)を含む医薬組成物に関する。特に、本発明は、IL-5媒介性疾患の処置のための、新規な用量及び投与レジメンにおける、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)又は前記抗原結合性タンパク質を含む医薬組成物の使用に関する。本発明はさらに、前記新規な用量又は投与レジメンによるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための、抗原結合性タンパク質又は前記抗原結合性タンパク質を含む医薬組成物を対象とする。本発明はさらに、新規な用量及び投与レジメンの下で、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)又は前記抗原結合性タンパク質を含む医薬組成物を投与することにより、IL-5媒介性疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は、炎症、気道の狭窄及び可逆性気道閉塞を特徴とする慢性の不均質な肺疾患である。コントロール不良の喘息を有する患者はこの疾患の継続する症状及び急性増悪に苦しむ。増悪は特に活動不能状態であり、このため、経口/全身性コルチコステロイドを通常用いる患者処置を必要とする。喘息増悪の頻度は好酸球気道炎症に密接に関連づけられるようである(FitzGerald&Gibson,Prevention.Thorax.2006年;61:992~999頁)。
【0003】
持続性好酸球炎症が、重度の喘息を有する患者の50%超の特徴である(Chungら,Eur.Respir.J.,2014年;43:343~73頁)。好酸球炎症を標的とするいくつかのモノクローナル抗体、例えば、インターロイキン-5(IL-5)又はその受容体(IL-5R)のいずれかを標的とする3つ:メポリズマブ(Nucala)、レスリズマブ(Cinqair)及びベンラリズマブ(Fasenra)などが、好酸球性表現型を有する喘息のための販売認可を受けている。3つすべてが、治療に応答する可能性が高い患者を予測するためのバイオマーカーとして血中好酸球を利用することによって、好酸球性表現型を有する喘息の患者において、喘息増悪を軽減し、かつ肺機能及び健康関連の生活の質を改善することが示されている。
【0004】
IL-5は分泌型タンパク質である。IL-5は、多くの異なる疾患において、例えば、喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息、慢性閉塞性肺疾患、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、水疱性類天疱瘡、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、中等度のアトピー性皮膚炎及び重度のアトピー性皮膚炎、並びに、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、炎症性腸疾患(IBD)、並びに、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、並びに、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)などにおいて役割を果たしている。これらの重篤な疾患に、世界中で数億人が冒されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の見地から、喘息のためのより効果的な処置が必要であることは明らかである。特に、低減された投与プロファイルを有する、好酸球性喘息などのIL-5媒介性疾患のための有効な処置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息、並びに、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)及び皮膚炎などを処置するために好適であるとともに、有効であり、かつ、低減された投与プロファイルを有する、新規な用量での組成物、投与レジメン及び処置方法を提供する。
【0007】
第1の態様において、本発明は、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記医薬組成物を提供する。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、対象に、約100mg~約300mgの用量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記抗原結合性タンパク質を提供する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合しており、
前記医薬組成物が、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与するためのものである、前記医薬組成物を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、IL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とする対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、対象におけるIL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、
a)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息からなる群から選択される疾患を有する対象を同定するステップ;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与するステップ
を含み、これにより、前記対象における疾患を処置し、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
前記方法が、
a)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息からなる群から選択される状態を有する対象を同定するステップ;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与するステップ
を含み、これにより、前記対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、
a)約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質、及び、
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、プレフィルドシリンジであって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記プレフィルドシリンジを提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質を約100mg含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、約100mgの抗原結合性タンパク質を投与することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。さらなる実施形態において、重鎖Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。
【0017】
いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である。
【0019】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、皮下投与用である。
【0020】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、6か月ごとに1回の頻度で投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される。
【0021】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒト対象に投与される。
【0022】
いくつかの実施形態において、対象(処置前)は、1μLあたり150細胞以上という血中好酸球の絶対数を有する。さらなる実施形態において、対象(処置前)は、1μLあたり200細胞以上という血中好酸球の絶対数を有する。
【0023】
さらなる実施形態において、対象は、<10mgL-1の高感度C反応性タンパク質(hsCRP)も有していてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及びポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、抗原結合性タンパク質と、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、IL-5媒介性疾患は、喘息である。さらなる実施形態において、喘息は、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息からなる群から選択される。好ましくは、喘息は、好酸球性の表現型を有する喘息(すなわち、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息又は重度の好酸球性喘息、特に、重度の好酸球性喘息)である。さらなる実施形態において、喘息は、重度の喘息である。
【0026】
いくつかの実施形態において、IL-5媒介性疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)及び皮膚炎から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1:研究設計のグラフィック要約。28Y042-7F11-1の計画された単回漸増皮下(SC)用量は、2、10、30、100及び300mgであった。2mgの開始用量を超える実際の用量レベルが、新たに明らかになったデータに基づいて確認された。計画されたコホートサイズが示される;追加の参加者が、28Y042-7F11-1の薬物動態学又は薬力学を特徴付けるために、必要な場合、コホートに加えられることになった。各コホートにおいて、参加者は、28Y042-7F11-1又はプラセボの投与を受けるために3:1で無作為化された。最大で12名の参加者の追加コホートが、必要であると考えられる場合、追加の用量レベルを試験するために、又は、既に試験された用量レベルを繰り返すために、加えられることになった;しかし、用量は300mgを超えることはなかった。計画されたサンプルサイズが48名の参加者であり、許容される最大サンプルサイズが、(途中で離脱した参加者に代わる交代者を除いて)n=72名の参加者であった。
図2図2:血中好酸球数(BEC)データ(GI/L)の幾何平均(及び95%CI)。注:95%信頼区間(CI)は、少なくとも3名の参加者が統計学的分析に寄与するときにだけ表示される。
図3図3:ベースラインの血中好酸球データに対する比の調整された幾何平均(及び95%CI)。分析が、処置、予定時点、及び、予定時点までの処置の相互作用の固定されたカテゴリカル効果、並びに、対数 ベースラインの血中好酸球数、及び、対数 予定時点までのベースラインの血中好酸球数の相互作用の固定された連続共変量を用いた対数変換データでのMMRMモデルを使用して行われた。Teoplitz共分散構造が使用された。注:比=0.22における参照線は、第3b相メポリズマブMUSCA試験において観察されるような、ベースラインからの78%の減少を示している。比=0.16における参照線は、メポリズマブMENSAピボタル第3相試験において観察されるような、ベースラインからの84%の減少を示している。
図4図4:血清中総IL-5データ(ng/L)の幾何平均(及び95%CI)。定量下限値(LLQ=16.38ng/L)を下回る値はLLQ/2にされた。LLQは水平の参照線によって示される。注:95%CIは、少なくとも3名の参加者が統計学に寄与し、かつ少なくとも1つの値が定量下限値を下回らないときにだけ表示される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0029】
「抗原結合性ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合することができる抗体、抗体断片及び他のタンパク質コンストラクトを示す。
【0030】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン様ドメインを有する分子(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgE)を指すために最も広い意味で本明細書中では使用され、モノクローナル抗体、組換え抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体、及びヘテロコンジュゲート抗体;単一可変ドメイン(例えば、ドメイン抗体(DAB))、抗原結合性抗体断片、Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド連結Fv、単鎖Fv、ジスルフィド連結scFv、ジアボディー、TANDABなど、並びに、前述のいずれかの改変型を含む(代替的(alternative)な「抗体」フォーマットの概要については、Holliger and Hudson,Nature Biotechnology,2005年,Vol.23,No.9,1126~1136頁を参照のこと)。代替的な抗体フォーマットもまた企図され、これらは、抗原結合性タンパク質の1つ又は2つ以上のCDRが、好適な非免疫グロブリンタンパク質のスキャフォールド又は骨格(例えば、アフィボディー、SpAスキャフォールド、LDL受容体クラスAドメイン、アビマー又はEGFドメインなど)に配置され得る代替的なスキャフォールドを含む。
【0031】
抗体は、ラット、マウス、霊長類(例えば、カニクイザル、旧世界ザル又は大型類人猿)、ヒト又は他の供給源(例えば、抗体分子をコードする、分子生物学技術を使用して生成される核酸など)に由来し得る。
【0032】
抗体は、定常領域を含んでいてもよく、定常領域は、どのようなアイソタイプ又はサブクラスのものであってもよい。定常領域は、IgGアイソタイプ、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG又はそれらのバリアントであってもよい。抗原結合性タンパク質の定常領域は、IgGであってもよい。
【0033】
抗原結合性タンパク質は、抗体が増強されたエフェクター機能/ADCC及び/又は補体活性化を有するように変異した定常ドメインから選択される1つ又は2つ以上の修飾を含んでもよい。
【0034】
「抗体バリアント」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって(例えば、異なるアミノ酸側鎖を有することによって)、少なくとも1つの重鎖、軽鎖又はこれらの組合せにおける翻訳後修飾又は他の修飾によって、或いは、これらの組合せによって、親抗体と異なり、親抗体と比較して構造的変化(例えば、異なるアミノ酸側鎖、異なる翻訳後修飾又は他の修飾)をもたらす抗体を意味する。構造的変化は、LC-MS、直接の配列決定などの当技術分野で周知の様々な方法によって直接的に、又は、等電点電気泳動及び同様な方法などの方法を介して間接的に、決定され得る。そのような方法は、当業者に周知である。
【0035】
特に、本明細書で言及される「本発明の抗原結合性タンパク質」は、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質であって、前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記抗原結合性タンパク質、並びに、本明細書に記載されるような抗原結合性タンパク質のバリアント又は具体的実施形態のいずれかを指す。重鎖Fcドメインにおけるアミノ酸のナンバリング(すなわち、252位におけるチロシン残基、254位におけるスレオニン残基及び256位におけるグルタミン酸残基)は、Edelmanら,(1969) Proc.Natl.Acad.USA,63:78-85[PMID:5257969]に記載されるように、EUナンバリングを使用して導出された。
【0036】
本発明の抗原結合性タンパク質は、本発明の医薬組成物、投与レジメン又は処置方法のいずれにおいても使用可能である。本発明の抗原結合性タンパク質は、抗体であり得、例えば、IgG1抗体であり得る。
【0037】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるかに、例えば、測定システムの限界に、部分的に依存する。
【0038】
例えば、「約」は、当技術分野における慣例に従って、±10%を意味し得る。或いは、「約」は、所与の値の±20%、±10%、±5%又は±1%の範囲を意味し得る。或いは、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、値の桁内、5倍以内又は2倍以内を意味し得る。特定の値が本出願及び特許請求の範囲において記載される場合、別途規定される場合を除き、特定の値についての許容される誤差範囲内であることを意味する、「約」という用語が想定されるものとする。また、値の範囲及び/又は部分範囲(subrange)が与えられる場合、範囲及び/又は部分範囲は、範囲及び/又は部分範囲の端点を含むことができる。「インターロイキン-5」又は「IL-5」という用語は、本明細書で使用される場合、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含むヒトIL-5を含む。「インターロイキン-5受容体」又は「IL-5R」という用語は、本明細書で使用される場合、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むヒトIL-5R受容体サブユニットアルファアイソフォーム1を含む。
【0039】
「特異的に結合する」という用語は、抗原結合性タンパク質に関連して本明細書で使用される場合、抗原結合性タンパク質が標的抗原に、並びに、標的抗原内の別個のドメイン又は別個のアミノ酸配列に、他の(例えば、無関係の)タンパク質に対する結合を伴うことなく、又は、有意に伴うことなく、結合することを意味する。しかし、この用語は、抗原結合性タンパク質が、密接に関連した分子(例えば、高度の配列同一性を有する分子、或いは、別の属又は種に由来する分子)との交差反応性も有し得るという事実を排除しない。本明細書に記載される抗原結合性タンパク質は、密接に関連した分子に結合するよりも少なくとも2倍大きい、5倍大きい、10倍大きい、50倍大きい、100倍大きい、又は1000倍大きい親和性でヒトIL-5に結合してもよい。
【0040】
抗原結合性タンパク質-標的抗原相互作用の結合親和性(K)は、1mM以下、100nM以下、10nM以下、2nM以下又は1nM以下であってもよい。或いは、Kは、5nM~10nM又は1nM~2nMであってもよい。Kは、1pM~500pM又は500pM~1nMであってもよい。抗原結合性タンパク質の結合親和性は、会合定数(K)と、解離定数(K)とによって決定される(K=K/K)。結合親和性は、BIACORE(商標)によって、例えば、試験抗体がプロテインAコーティングセンサー表面に捕捉され、この表面を覆って標的抗原を流すことによって測定され得る。或いは、結合親和性は、FORTEBIOによって、例えば、試験抗体受容体がプロテインAコーティングニードルに捕捉され、この表面を覆って標的抗原を流すことを用いて測定され得る。
【0041】
は、1×10-3Ms-1以下、1×10-4Ms-1以下又は1×10-5Ms-1以下であってもよい。Kは、1×10-5Ms-1~1×10-4Ms-1又は1×10-4Ms-1~1×10-3Ms-1であってもよい。遅いKは、抗原結合性タンパク質-標的抗原複合体の遅い解離及び標的抗原の改善された中和をもたらす場合がある。
【0042】
「特異的な抗原結合活性」という用語は、本明細書で使用される場合、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定されるような抗原結合活性を意味する。IL-5特異的結合活性は、BIACORE(商標)装置を使用するSPRによって、例えば、結合モードで実行されて決定されてもよい。これは、サンプル中の総タンパク質(例えば、28Y042-7F11-1)含有量によって除される結合活性である。
【0043】
「FcRn結合活性」という用語は、本明細書で使用される場合、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定されるような新生児Fc(FcRn)受容体結合活性を意味する。FcRn結合は、BIACORE(商標)装置を使用して決定されてもよい。これは、サンプルの総タンパク質濃度によって除される、FcRn受容体に対する結合活性である。
【0044】
特異的抗原結合及びFcRn結合のためのSPR法では、28Y042-7F11-1の参照標準物質を使用する。28Y042-7F11-1参照標準物質は、方法が適切に実施されていることを保証するために、システム適合性及びサンプル比較可能性のデータを得るようにアッセイにおいて使用され得る。参照標準物質は、較正曲線の確立を可能にすることができ、サンプルの濃度は、曲線から内挿される。
【0045】
「単離された」によって、抗原結合性タンパク質などの分子が、自然界において見出されることがある環境から取り出されることが意図される。例えば、分子が、自然界において通常は存在するであろう物質から除かれて精製されてもよい。例えば、分子のサンプル中の量は、総質量の95%であってもよい。
【0046】
「VH」及び「VL」という用語は、それぞれ、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を指すために本明細書中で使用される。
【0047】
「CDR」は、抗原結合性タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。これは免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の超可変領域である。3つの重鎖CDR(又はCDR領域)及び3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)が免疫グロブリンの可変部分に存在する。したがって、「CDR」は、本明細書で使用される場合、3つすべての重鎖CDR、3つすべての軽鎖CDR、すべての重鎖CDR及び軽鎖CDR、又は、少なくとも1つのCDRを示し、この場合、少なくとも1つのCDRはCDRH3である。フレームワーク領域がこれらのCDR領域のそれぞれの後に続く。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の許容されるフレームワーク1領域、フレームワーク2領域及びフレームワーク3領域が、当業者によって容易に認識される。許容される重鎖定常領域(ヒンジ領域を含む)及び軽鎖定常領域も同様に、当業者によって容易に認識される。許容される抗体アイソタイプが同様に、当業者によって容易に認識される。
【0048】
本明細書全体を通じて、可変ドメイン配列及び全長抗体配列におけるアミノ酸残基は、Kabatナンバリング規則に従ってナンバリングされる。同様に、本明細書において使用される「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」という用語は、Kabatナンバリング規則に従う。
【0049】
可変ドメイン配列及び全長抗体配列におけるアミノ酸残基のための代替的なナンバリング規則が存在することは、当業者に明らかであろう。CDR配列のための代替的なナンバリング規則もまた存在する。例えば、Chothiaナンバリング規則に従って示されるCDR配列である。抗体の構造及びタンパク質折り畳みは、他の残基がCDR配列の一部であるとみなされること、及び、当業者によってそうであるように理解されるであろうことを意味し得る。
【0050】
当業者に利用可能であるCDR配列のための他のナンバリング規則には、「AbM」法(University of Bath)及び「contact」法(University College London)が含まれる。Kabat法、Chothia法、AbM法及びcontac法の少なくとも2つを使用する最小重複領域が、「最小結合単位」を与えるために決定され得る。最小結合単位は、CDRの下位部分であってもよい。
【0051】
「喘息」という用語は、本明細書で使用される場合、可逆性気流閉塞及び気管支痙攣を特徴とする気道の炎症性疾患を意味する。一般的な症状は、喘鳴、咳嗽、胸部絞扼感及び息切れを含む。喘息は、慢性気道炎症を通常特徴とする不均質な疾患である。喘息は、不定の呼気気流制限と一緒になって、経時的及び強度的に変化する呼吸器症状、例えば、喘鳴、息切れ、胸部絞扼感及び咳嗽などの病歴によって定義される。
【0052】
本発明の方法において、対象における喘息の診断は、Global Initiative for Asthma(GINA)によって提供されるガイダンス、Global Strategy for Asthma Management and Prevention(2016年更新)の文書に従ってなされてもよい。当業者は、下記に示される、成人、青年期男女及び6歳~11歳の小児における喘息についての臨床診療及び診断基準のためのGINA診断フローチャート(表1)、同様にまた、ガイダンスの他の態様(例えば、妊婦などについて)に精通している。表2及び表3も参照のこと。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
本発明の方法において、「喘息」は、「軽度の喘息」、「中等度の喘息」又は「重度の喘息」であってもよい。本発明の方法において、喘息の重症度は、GINAガイダンスに従って評価され得る。特に、喘息の重症度は、症状及び増悪をコントロールするために必要とされる処置レベルから遡及的に評価され得る。例えば、喘息の重症度は、患者が数か月間にわたるコントローラー処置を受けて、また、適切である場合、処置のステップダウンが、患者の最小の効果的処置レベルを見出すために試みられている場合に、評価され得る。喘息の重症度は静的な特徴でなく、数か月又は数年にわたって変化する場合がある。
【0057】
喘息の重症度は、患者が数か月間にわたる定型的なコントローラー処置を受けている場合に評価され得る:
・「軽度の喘息」は、ステップ1又はステップ2の処置(WO2018215964の図9を参照のこと)により、すなわち、必要に応じたリリーバー医薬品単独により、又は、低強度のコントローラー処置、例えば、低用量のICS、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト又はクロモン系化合物など、により、十分にコントロールされる喘息である。
・「中等度の喘息」は、ステップ3の処置(WO2018215964の図9を参照のこと)、例えば、低用量のICS/LABAにより十分にコントロールされる喘息である。
・「重度の喘息」は、ステップ4又はステップ5の処置(WO2018215964の図9を参照のこと)、例えば、喘息が「コントロール不良」になることを防止するために高用量のICS/LABAが必要とされる喘息、又は、この処置にもかかわらず「コントロール不良」のままである喘息である。コントロール不良の喘息の多くの患者は、不十分又は不適切な処置のために、或いは、アドヒアランス又は併存疾患(例えば、副鼻腔炎又は肥満など)による持続的な問題のために、処置困難であり得るが、重度の喘息に関する欧州呼吸器学会/米国胸部学会対策員会(European Respiratory Society/American Thoracic Society Task Force on Severe Asthma)は、「重度の喘息」の定義が、難治性喘息の患者及び併存疾患の処置に対する応答が不完全である患者については改訂されなければならないと考えた。表4もまた、喘息の重症度の評価の期間中に参照され得る。
【0058】
【表4】
【0059】
本発明の方法において、「喘息」は、「軽度の好酸球性喘息」、「中等度の好酸球性喘息」又は「重度の好酸球性喘息」であってもよい。
【0060】
「軽度の好酸球性喘息」は、好酸球性表現型を有する軽度の喘息である。例えば、軽度の好酸球性喘息を有する対象は、軽度の喘息、及び、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が150以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が200以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が300以上又は過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が350以上であるという血中好酸球を有してもよい。
【0061】
「中等度の好酸球性喘息」は、好酸球性表現型を有する中等度の喘息である。例えば、中等度の好酸球性喘息を有する対象は、中等度の喘息、及び、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が150以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が200以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が300以上又は過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が350以上であるという血中好酸球を有してもよい。
【0062】
「重度の好酸球性喘息」は、好酸球性表現型を有する重度の喘息である。例えば、重度の好酸球性喘息を有する対象は、重度の喘息、及び、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が150以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が200以上、過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が300以上(好ましい)又は過去12か月において血液1μLあたりの好酸球数が350以上であるという血中好酸球を有してもよい。
【0063】
重度の好酸球性喘息を有する対象はまた、表5に記載される基準をその1つ又は2つ以上で満たしてもよい。
【0064】
【表5】
【0065】
重要なことに、これらの基準による重度の好酸球性喘息を有する対象は、血液1μLあたり150未満の好酸球を処置開始時に有してもよい。
【0066】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、患者への投与のために好適である組成物を意味する。
【0067】
「治療上有効な量」という用語は、本明細書中で使用される場合、処置される状態(例えば、喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息など)の1つ又は2つ以上の症状の処置又は管理における治療上の利益をもたらす薬剤(例えば、抗原結合性タンパク質又は医薬組成物など)の量を意味する。喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息を含む-喘息の1つ又は2つ以上の症状のそのような処置又は管理の例には、1)喘息増悪の頻度の低減;2)経口コルチコステロイド若しくは全身性コルチコステロイド、入院、及び/又は、救急部門(ED)来院を必要とする最初の臨床的に有意な増悪までの時間の短縮;3)入院(挿管及び集中処置室移送を含む)又はED来院を必要とする増悪の頻度の低減;4)入院又はED来院を必要とする最初の増悪までの時間の短縮;5)臨床での気管支拡張薬前FEV1におけるベースラインからの変化;6)臨床での気管支拡張薬後FEV1におけるベースラインからの変化;7)喘息コントロール質問票(Asthma Control Questionnaire:ACQ)スコアにおけるベースラインからの変化;8)スパイロメトリー(例えば、設定された時間間隔が0.5秒、1.0秒(FEV1)、2.0秒及び3.0秒での肺活量(VC)、努力肺活量(FVC)、強制呼気量(FEV)、25~75%の強制呼気流量(FEF25-75)及び最大換気量(MVV)総肺気量、一回換気量(idal volume)、残気量、予備呼気量、予備吸気量、深吸気量、吸気肺活量、肺活量、機能的残気量、総肺気量のパーセントとして表される残気量、肺胞ガス量、誘導気道の容量を含む肺の実際の容量、努力肺活量など)によって評価されるような肺機能の改善;並びに、9)コントロール用のステロイド(例えば、経口ステロイド又はどのような経路によってでも投与されるステロイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロンなど)を必要とする喘息増悪の低減、が含まれる。コントロール用のステロイドを必要とする喘息増悪のそのような低減は、ステロイド(例えば、経口ステロイド)を必要とする増悪のおよそ50%の低減であってもよい。
【0068】
治療上有効な量及び処置レジメンは、一般には経験的に決定され、処置される患者の年齢、体重及び健康状態、並びに、処置される疾患又は障害などの要因に依存してもよい。そのような要因は主治医の範囲内である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、指定された状態を改善すること又は安定化させること、状態の症状を軽減すること又は排除すること、状態の進行を緩徐させること又は排除すること、及び、状態の再発を以前に罹患した患者又は対象において予防すること又は遅延させることを指す。
【0070】
本開示の方法、抗原結合性タンパク質及び組成物は、実行可能な治療的処置を構成するために、完全な治癒をもたらす必要はなく、或いは、疾患のどの症状も又は顕在化(manifestation)も根絶する必要はない。当技術分野で認識されるように、処置方法において治療剤として用いられる薬物は、所与の疾患状態の重症度を軽減させることがあり、しかし、有用な治療剤とみなされるために、疾患のすべての顕在化をなくす必要はない。疾患の影響を(例えば、その症状の数又は重症度を低減することによって、或いは、別の処置の有効性を増大させることによって、或いは、別の有益な効果をもたらすことによって)単に低減させること、或いは、疾患が対象において生じる可能性を(例えば、疾患の発症を遅らせることによって)低下させること、或いは、疾患が対象において悪化する可能性を低下させることで十分である。
【0071】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトの体又は動物の体を指す。「個体」、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。対象は、典型的にはヒトである。対象はまた、哺乳動物、例えば、マウス、ラット又は霊長類(例えば、マーモセット又はサル)などであってもよい。対象は非ヒト動物であり得る。本開示の抗原結合性タンパク質、組成物及び方法はまた、獣医学的用途を有する。処置される対象は、農場動物、例えば、雌牛(cow)若しくは雄牛(bull)、ヒツジ、ブタ、ウシ(ox)、ヤギ又はウマであってもよく、或いは、家庭用動物、例えば、イヌ又はネコなどであってもよい。動物はどのような年齢であってよく、或いは、成熟した成体動物であってもよい。対象は、成人対象(≧18歳)、又は、青年期対象(≧12歳であるが18歳未満)、又は、小児対象(<12歳)であってもよい。対象は、6歳~<18歳であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、IL-5又はIL-5Rを標的とする薬剤を含む処置から、本明細書に記載される抗原結合性タンパク質を含む処置に切り替えられた対象である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、メポリズマブ、レスリズマブ又はベンラリズマブを含む処置から、本明細書に記載される抗原結合性タンパク質を含む処置に切り替えられた対象である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、IL-5又はIL-5Rを標的とする薬剤を含む非生物学的処置により処置されている対象である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、喘息のための非生物学的処置により、例えば、コルチコステロイド及び/又は他のコントローラー、例えば、長時間作用型ベータ2-アゴニスト(LABA)及び/又は長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、により処置されている対象である。コルチコステロイドは、毎日吸入されるものであり得る。一実施形態において、本明細書に記載される対象は、毎日、コルチコステロイド、例えば、フルチカゾンなどを、例えば、吸入によって投与されていてもよく、例えば、対象は、TRELEGY又はRELVARであるコルチコステロイドを投与されていてもよい。一実施形態において、対象は、≧440マイクログラムのプロピオン酸フルチカゾン、又は、GINA2020ガイドラインに従って臨床的に匹敵する量での別のそのような薬剤を投与されていてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、IL-5又はIL-5Rを標的とする薬剤を含む処置から、本明細書に記載される抗原結合性タンパク質を含む処置に切り替えられた対象であって、喘息のための非生物学的処置により処置されている対象である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される対象は、IL-5又はIL-5Rを標的とする薬剤、例えば、メポリズマブ、レスリズマブ又はベンラリズマブを含む処置から、本明細書に記載される抗原結合性タンパク質を含む処置に切り替えられた対象であって、喘息のための非生物学的処置により、例えば、コルチコステロイド及び/又は他のコントローラー、例えば、長時間作用型ベータ2-アゴニスト(LABA)及び/又は長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)など、により処置されている対象である。いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質は、28Y042-7F11-1である。
【0073】
一実施形態において、処置される対象は、以下のようなコルチコステロイドの最大1日用量(μg)の投与を受けている:ジプロピオン酸ベクロメタゾン(コロフルオロカルボネート(chorofluorocarbonate)-CFC)=約1000、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(ヒドロフルオロアルカン噴射剤-HFA)=約400、ブデソニド(DPI)=約800、シクレソニド(HFA)=約320、プロピオン酸フルチカゾン(乾燥粉末吸入剤-DPI)=約500、フロ酸フルチカゾン(DPI)=約100、フロ酸モメタゾン=約440、トリアムシノロンアセトニド=約2000。
【0074】
本明細書で使用される場合、「6か月ごとに1回」という用語は、約183日からなる典型的な6か月の期間において、対象は、本発明の抗原結合性タンパク質の用量が1日だけ投与され、それ以外の日には、対象は、本発明の抗原結合性タンパク質の用量が投与されないことを意味する。6か月ごとに1回の投与はまた、「Q26W」(26週ごとに1回の投与を指す)と称してもよい。本明細書で言及される「約6か月ごとに1回」は、6か月ごとに1回の、意図された投与レジメンを指すが、これは、患者コンプライアンスの許容度を伴い、したがって、患者のスケジュールに依存して最大4週までの変動を許容する。
【0075】
どのようなタイプの範囲でも、本明細書に規定される範囲には、記載された特定の範囲内にあるすべての値、及び、特定の範囲についての端点に近い値が含まれる。
【0076】
所望であれば、本開示の抗体又は抗原結合性タンパク質の(例えば、医薬組成物としての)有効用量が、単位剤形(unit dosage form)として投与されてもよい。用量の投与は、2時間~24時間、例えば、2時間~12時間又は2時間~6時間などの期間にわたる、緩徐持続注入によるものであってもよい。そのような投与は、副作用の低下をもたらす場合がある。
【0077】
抗原結合性タンパク質
本明細書に記載される抗原結合性タンパク質(28Y042-7F11-1)の長期にわたる薬物動態学的(PK)特徴及び薬理学的特徴は、IL-5についてのクリアランスを低下させ、かつIL-5についての親和性を増大させることによって達成され、これらの特徴によって、メポリズマブ及びレスリズマブについての4週ごとの、又は、ベンラリズマブについての8週ごと(最初の3回の投与については4週ごと)の現在のレジメンとは対照的に、26週ごとの単回投与が可能になると考えられる。
【0078】
本発明の説明
一態様において、本発明は、対象に、約100mg~約300mgの量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息(例えば、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息)の処置における使用のための、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記抗原結合性タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む。
【0079】
IL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、前記重鎖Fcドメインのアミノ末端は、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している。このIL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、本発明の化合物であり、国際特許出願公開番号WO2018215964に開示されている。
【0080】
一実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、抗原結合性タンパク質であって、前記抗原結合性タンパク質が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、前記抗原結合性タンパク質である。
【0081】
別の実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、抗原結合性タンパク質であって、前記抗原結合性タンパク質が、任意選択で、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、前記抗原結合性タンパク質である。
【0082】
一実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、重鎖及び軽鎖を含む抗体であって、
a)前記重鎖が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列と、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列と、配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列とを有する重鎖可変領域を含み;
b)前記軽鎖が、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列と、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列と、配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列とを有する軽鎖可変領域を含む、前記抗体である。抗体は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列、及び/又は、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインをさらに含むことができる。重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、例えば、ヒトIgG1 Fcドメインであり得る。
【0083】
別の実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、重鎖及び軽鎖を含む抗体であって、
a)前記重鎖が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を含み;
b)前記軽鎖が、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を含む、前記抗体である。抗体は、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインをさらに含むことができる。重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメイン、例えば、ヒトIgG1 Fcドメインであり得る。
【0084】
別の実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である。
【0085】
本発明の抗原結合性タンパク質は、IL-5に結合する能力を保持する上記のもののバリアントであり得、例えば、有用なバリアントは、KINEXA相親和性分析によって約25℃で決定される、ヒトIL-5に少なくとも約10pMの結合親和性で結合するもの、又は、BIACORE T200を用いて約37℃で決定される、ヒトIL-5に少なくとも約30pM(例えば、約39pM)の結合親和性で結合するものであり得る。有用なバリアントはまた、ヒトFcRnに対して、pH6.0(BIACORE T200を用いて37℃で決定される)で少なくとも約150nMの結合親和性、及び、pH7.4(BIACORE T200を用いて37℃で決定される)で少なくとも約16100nMの結合親和性を有し得る。有用なバリアントはまた、少なくとも約20日、例えば、約24日のカニクイザル血清中で決定される改善された半減期(PK)を有していてもよい。例えば、有用なバリアントには、本明細書に記載の配列のいずれかと少なくとも約90%の同一性、例えば、本明細書に記載の配列のいずれかと約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約100%の同一性を有する抗体が含まれ得る。例えば、バリアントは、配列番号3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約90%の同一性、例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約100%の同一性を有する重鎖可変領域配列;及び/又は、配列番号4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約90%の同一性、例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約100%の同一性を有する軽鎖可変領域配列を含む抗体であり得;バリアントは、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含んでもよく、また、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)もさらに含んでもよく、重鎖Fcドメインのアミノ末端は、重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している。
【0086】
バリアントはまた、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約90%の同一性、例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約100%の同一性を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約90%の同一性、例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、約100%の同一性を有する軽鎖とを含む抗体であり得る。
【0087】
一実施形態において、本発明は、ヒト対象に、約100mg~約300mgの用量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、喘息、例えば、好酸球性喘息(例えば、中等度又は重度の好酸球性喘息)の処置における使用のための、IL-5に結合する抗体であって、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、抗体を提供する。
【0088】
配列番号1に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号2に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む28Y042-7F11-1は、本発明の抗体の一例である。28Y042-7F11-1又は本開示の抗原結合性タンパク質は、ヒトIL-5に結合し、その活性に拮抗する。
【0089】
28Y042-7F11-1は、組換えヒト化モノクローナル抗体(IgG1、カッパ)である。28Y042-7F11-1は、2本の軽鎖と2本の重鎖とを有する。
【0090】
28Y042-7F11-1重鎖可変領域は、配列番号15に示される核酸配列によってコードされる。28Y042-7F11-1軽鎖可変領域は、配列番号16に示される核酸配列によってコードされる。
【0091】
28Y042-7F11-1全長重鎖は、配列番号17に示される核酸配列によってコードされる。28Y042-7F11-1全長軽鎖は、配列番号18に示される核酸配列によってコードされる。製造中、核酸配列はリーダー配列を含んでいてもよく、したがって、28Y042-7F11-1全長重鎖は、配列番号13に示される核酸配列によってコードされてもよく、28Y042-7F11-1全長軽鎖は、配列番号14に示される核酸配列によってコードされてもよい。
【0092】
28Y042-7F11-1の重鎖及び軽鎖は、1つのジスルフィド結合で共有結合しており、重鎖は2つのジスルフィド結合で互いに結合しているため、典型的なIgG分子となっている。
【0093】
本明細書に記載の抗原結合性タンパク質は、任意の数の通常の技術によって産生されてもよい。例えば、抗原結合性タンパク質は、組換え発現系において発現されてもよく、また組換え発現系から精製されてもよい。一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号1及び配列番号2を含むポリペプチドの発現に好適な条件下で宿主細胞を培養する方法によって産生され、組成物は、発現され、任意選択で精製され、任意選択で医薬組成物内に製剤化される。
【0094】
組成物を製造するために、複数の様々な発現系及び精製レジメが使用され得る。一般に、宿主細胞は、抗体をコードする組換え発現ベクターで形質転換される。哺乳動物由来の真核細胞株(例えば、CHO、Perc6、HEK293、HeLa、NS0)を含む広範な宿主細胞が使用され得る。好適な宿主細胞としては、CHO(例えば、CHOK1及びCHO-DG44)などの哺乳動物細胞が挙げられる。
【0095】
宿主細胞は、単離された宿主細胞であってもよい。宿主細胞は、通常、多細胞生物(例えば、植物又は動物)の一部ではない。宿主細胞は、非ヒト宿主細胞であってもよい。
【0096】
真核生物又は哺乳動物の細胞宿主と使用するための適切なクローニング及び発現ベクター並びにクローニングの方法は当技術分野で知られている。
【0097】
細胞は、抗原結合性タンパク質の発現を促進する条件下で培養されてもよい。例えば、生産用バイオリアクターが使用されて細胞を培養する。生産用バイオリアクターの容量は(i)約20,000リットル、約10,000リットル;約5,000リットル;約2,000リットル;約1,000リットル;若しくは約500リットル;又は(ii)500~20,000リットル;500~10,000リットル;500~5,000リットル;1,000~10,000リットル;若しくは2,000~10,000リットルであってもよい。例えば、細胞は、生産用バイオリアクターでpH約6.75~pH約7.00にて培養されてもよい。或いは、細胞は、生産用バイオリアクターで約12日~約18日間培養されてもよい。或いは、細胞は、pH約6.75~pH約7.00の生産用バイオリアクターで、約12日~約18日間培養されてもよい。この培養ステップは、脱アミド化抗体バリアントのレベルを制御する、例えば、脱アミド化抗体バリアントのレベルを低下させるのに役立つことがある。
【0098】
抗原結合性タンパク質は、従来のタンパク質精製手順によって回収及び精製されてもよい。例えば、抗原結合性タンパク質は、培養培地から直接採取してもよい。細胞培養液の回収は、清澄化、例えば、遠心分離及び/又は深層ろ過を介してもよい。抗原結合性タンパク質の回収に続いて、十分な純度を確保するための精製が行われる。
【0099】
精製には1つ又は2つ以上のクロマトグラフィーステップ、例えば、1つ又は2つ以上のクロマトグラフィー樹脂ステップ;及び/又は1つ又は2つ以上のろ過ステップ、が使用されてもよい。例えば、樹脂、例えば、プロテインA、G又はLを使用するアフィニティークロマトグラフィーが、組成物を精製するために使用されてもよい。代替的に又はそれに加えて、イオン交換樹脂、例えば、カチオン交換が、抗原結合性タンパク質を精製するために使用されてもよい。代替的に又はそれに加えて、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂が、抗原結合性タンパク質の精製に使用されてもよい。或いは、精製ステップは、アフィニティークロマトグラフィー樹脂ステップ、その後、カチオン交換樹脂ステップ、その後、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂ステップを含む。
【0100】
例えば、採取物は、プロテインA樹脂と接触させる。組成物を含む溶液は、プロテインA樹脂から溶離され、pH3.3~3.7で15~240分間処理されてもよい。このプロテインA樹脂ステップは、凝集抗体バリアントのレベルを制御する、例えば、凝集抗体バリアントのレベルを減少させるのに役立つことがある。
【0101】
その後、抗原結合性タンパク質を含む溶液は、深層ろ過及び/又は二重層ろ過によってさらに清澄化されてもよい。
【0102】
代替的に又はそれに加えて、アニオン交換樹脂が使用されてもよい。抗原結合性タンパク質を含む溶液は、負荷pH8.3~8.7のアニオン交換樹脂(例えば、Q-SEPHAROSE(商標)Fast Flowアニオン交換クロマトグラフィー)と接触させてもよい。組成物を含む溶液は、アニオン交換樹脂から溶離され、96時間以下保持されてもよい。このアニオン交換樹脂ステップは、脱アミド化抗体バリアントのレベルを制御する、例えば、脱アミド化抗体バリアントのレベルを低下させるのに役立つことがある。
【0103】
任意選択で、組成物を含む溶液にグアニジン及び/又は硫酸アンモニウムが加えられ、15~240分間保持されてもよい。
【0104】
代替的に又はそれに加えて、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂が使用されてもよい。抗原結合性タンパク質を含む溶液は、疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂(例えば、SEPHAROSE(商標)fast flowクロマトグラフィー)と、12~27gタンパク質/L樹脂の負荷比で接触させてもよい。例えば、抗原結合性タンパク質を含む溶液は、約9~約11の溶離勾配容量(ベッドボリューム;BV)を使用して溶離されてもよい。疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂からの溶離時には、約17~約23の溶離ピークカットストップ(最大ピーク高さのパーセンテージ)が使用されてもよい。この疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂ステップは、凝集抗体バリアントのレベルを制御する、例えば、凝集抗体バリアントのレベルを減少させるのに役立つことがある。
【0105】
医薬用途及び処置方法
本発明によるIL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約100mg~約300mg(例えば、100mg)の量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することは、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息(例えば、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息)の処置のための、安全かつ有効な療法を提供し得る。患者は6か月ごとに1回投与される必要があるのみであり、したがってより負担の少ないレジメンとなるため、この投与戦略はまた、患者のコンプライアンスの向上の結果、有効性を増大させ得る。
【0106】
一態様において、本発明は、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息(例えば、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息)を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とする対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0107】
一実施形態において、IL-5媒介性疾患は、喘息である。喘息は、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息からなる群から選択されてもよい。さらなる実施形態において、喘息は、好酸球性の表現型を有する、例えば、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息又は重度の好酸球性喘息から選択される。一実施形態において、喘息は、重度の喘息である。
【0108】
また、本発明は、喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とするヒト対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、前記方法を提供する。
【0109】
また、本発明は、喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とするヒト対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗体を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、前記方法を提供する。
【0110】
一態様において、本発明は、対象におけるIL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、
a)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、及び亜好酸球性喘息からなる群から選択される疾患を有する対象を同定すること;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における疾患を処置し、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0111】
一実施形態において、IL-5媒介性疾患は、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)及び皮膚炎から選択される。疾患は、好酸球性の表現型を特徴としてもよい。炎症性腸疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎であり得る。
【0112】
一実施形態において、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)の処置のための、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の使用であって、前記抗原結合性タンパク質が約100mgの量である、前記使用が提供される。
【0113】
一実施形態において、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)の処置のための、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の使用であって、前記抗原結合性タンパク質が約100mgの量である、前記使用が提供される。
【0114】
CRSwNPを有する、処置される対象は、重度のCRSwNPを有していてもよい、及び/又は、SOC療法、例えば、経鼻コルチコステロイドでの処置を受けていてもよい。コルチコステロイド及び/又は手術による治療では、十分な疾患コントロールを提供しないことがある。
【0115】
鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)を有する、処置される対象は、重度のCRSsNPを有していてもよい、及び/又は、標準療法(SOC)、例えば経口コルチコステロイドでの処置を受けていてもよい。コルチコステロイド及び/又は手術による治療では、十分な疾患コントロールを提供しないことがある。鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)は、副鼻腔の炎症性疾患であり、線維症、基底膜肥厚及び杯細胞過形成を特徴とする。米国のCRSsNPサブタイプを有する参加者の最大50%は2型炎症性エンドタイプであり、疼痛は、CRSsNPを有する患者の生活の質を低下させる主な要因である。CRSsNPではCRSwNPに対して粘膜組織に見出される好酸球は少ないが、好酸球性(「2型」)エンドタイプが存在するようである。活性化好酸球は、多数の炎症性メディエーター(顆粒タンパク質、脂質メディエーター、サイトカイン、ケモカイン及び成長因子、例えば、TGF-βを含む)を分泌するため、それらの存在がCRSsNPに存在する病理学的特徴に寄与している可能性が高い。したがって、本発明に従って処置されるCRSsNPを有する患者は、鼻粘膜の好酸球レベルが上昇した2型又は好酸球性エンドタイプであり得、例えば、≧150の細胞/μLの血中好酸球、例えば≧300の細胞/μLの血中好酸球を有し得る。
【0116】
一実施形態において、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)の処置のための、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の使用であって、前記抗原結合性タンパク質が約200mgの量である、前記使用が提供される。
【0117】
処置をされるEGPAを有する対象は、多発血管炎を伴う再発寛解型又は難治性の好酸球性肉芽腫症であってもよい。本発明による処置は、他のSOC処置、例えばプレドニゾロン/プレドニゾンによる経口コルチコステロイド(OCS)療法に加えてもよい。
【0118】
一実施形態において、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、好酸球増多症候群(HES)の処置のための、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の使用であって、前記抗原結合性タンパク質が約200mgの量である、前記使用が提供される。
【0119】
処置されるHESを有する対象は、同定可能な非血液学的な二次的原因を伴わない、コントロールが不十分な好酸球増多症候群を有していてもよい。本発明による処置は、他のSOC処置、例えばプレドニゾロン/プレドニゾンによる経口コルチコステロイド(OCS)療法に加えてもよい。
【0120】
HESの現在の定義及び診断では、以下の基準を使用する:
1. 2回の検査(≧1か月の間隔)で>1500の好酸球/μLの血中好酸球増多
2. 組織好酸球増多に起因する臓器障害及び/又は機能障害;並びに
3. 臓器損傷の主な原因としての、他の疾患又は状態の除外。
【0121】
HESを有する、治療される対象は、1μLあたりの好酸球数が>1500であるというスクリーニング血中好酸球数(上記の定義による)を有していてもよいし、或いは、HESを有する、治療される対象は、既にHESと診断され、既に標準HES療法を受けているが、それでも依然として1μL当たりの細胞数が≧1000である患者であってもよい。
【0122】
投与される用量が200mgである場合(例えば、HES又はEGPA療法の場合)、これは、1単位又は複数単位(例えば、それぞれ100mgの活性成分を含む2単位)に含まれてもよく、各単位用量は、別々に、連続して又は同時に、投与されてもよい。
【0123】
本明細書に記載されるように処置される対象は、成人ヒト対象(≧18歳)、又は青年期対象(≧12歳であるが18歳未満)、又は小児対象(<12歳)であり得る。対象は、6歳~<18歳であってもよい。一実施形態において、本明細書で詳述される投与量は、成人対象、及び、<18歳だが体重が40kg以上の対象(例えば、小児/青年期)にも投与される。<18歳だが体重が<40kgの対象については、特定の体重帯に基づいて、目標の成人曝露量に可能な限り近づけるために、固定用量(flat dose)アプローチが採用される。
【0124】
一態様において、本発明は、対象におけるIL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、対象に、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、これにより、前記対象における疾患を処置し、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0125】
本明細書に記載されるように、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含んでもよい。一実施形態において、重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。さらなる実施形態において、重鎖Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。
【0126】
一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む。さらなる実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である。
【0127】
一実施形態において、方法は、約100mgの抗原結合性タンパク質を投与することを含む。
【0128】
一実施形態において、方法は、抗原結合性タンパク質を皮下投与することを含む。
【0129】
一実施形態において、対象は、ヒト対象である。
【0130】
好ましくは、対象は、(処置前、例えば、処置前12か月のいずれかの時点において)、1μLあたり100細胞以上という血中好酸球の絶対数、例えば、1μLあたり150細胞以上、1μLあたり200細胞以上、1μLあたり250細胞以上、1μLあたり300細胞以上又は1μLあたり350細胞以上からなる群から選択される血中好酸球の絶対数を有する。
【0131】
一実施形態において、IL-5媒介性疾患の処置のための、約6か月ごとに1回の頻度での投与用の医薬の製造における、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の使用であって、前記医薬が、約100mg~約300mgの量の抗原結合性タンパク質を含む、前記使用が提供される。
【0132】
別の態様において、本発明は、対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
前記方法が、
a)喘息、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息からなる群から選択される状態を有する対象を同定すること;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
を含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメイン(例えば、IgG1 Fc)を含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法を提供する。
【0133】
本発明はまた、対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
前記方法が、
a)喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)を有する対象を同定すること、並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、前記方法を提供する。
【0134】
本発明はまた、対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
前記方法が、
a)喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)を有する対象を同定すること、並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗体を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、前記方法を提供する。
【0135】
本開示の方法の一実施形態は、
a)対象における血中好酸球の絶対数の第1の測定を行うこと;
b)対象に、治療上有効な量の抗原結合性タンパク質を投与した後に、対象における血中好酸球の絶対数の第2の測定を行うこと;並びに
c)第1の測定値及び第2の測定値を比較して、治療の有効性を決定すること
をさらに含む。
【0136】
本開示の方法の一実施形態は、
a)対象における血中好酸球の絶対数の第1の測定を行うこと;
b)対象に、治療上有効な量の抗原結合性タンパク質を投与した後に、対象における血中好酸球の絶対数の第2の測定を行うこと;並びに
c)第1の測定値及び第2の測定値を比較すること
をさらに含み、対象は、1μLあたり150細胞以上、1μLあたり200細胞以上、及び、1μLあたり350細胞以上からなる群から選択される血中好酸球の絶対数を有する。
【0137】
一実施形態において、方法は、約100mgの抗原結合性タンパク質を投与することを含む。
【0138】
一実施形態において、方法は、抗原結合性タンパク質を皮下投与することを含む。
【0139】
一実施形態において、対象(処置前)は、1μLあたり150細胞以上(例えば、1μLあたり200細胞以上)からなる群から選択される血中好酸球の絶対数を有する。
【0140】
いくつかの実施形態において、血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、前記方法が、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を対象に投与することを含み、血中好酸球の絶対数が処置前のベースラインと比較して維持されるか又は減少する、前記方法が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、喘息を処置する方法であって、前記方法が、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を対象に投与することを含み、血中好酸球の絶対数が処置前のベースラインと比較して維持されるか又は減少する、前記方法が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、対象へのIL-5に結合する抗原結合性タンパク質の単回投与から少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約8、約10、約12、約15、約18、約20、約24、約26、約30、約32、約36、約40又は約50週後、血中好酸球数は、投与前のベースラインと比較して、≧50%、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、≧75%、≧80%、≧85%、≧90%、≧95%減少する。いくつかの実施形態において、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から少なくとも約26週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、≧50%、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、≧75%、≧80%減少する。いくつかの実施形態において、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から少なくとも約32週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、≧50%、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、≧75%、≧80%減少する。いくつかの実施形態において、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から少なくとも約36週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、≧50%、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、≧75%、≧80%減少する。いくつかの実施形態において、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から少なくとも約40週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、≧50%、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、≧75%、≧80%減少する。いくつかの実施形態において、100mgのIL-5に結合する抗原結合性タンパク質が対象に投与され、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から24週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、少なくとも約80%減少する。いくつかの実施形態において、100mgのIL-5に結合する抗原結合性タンパク質が対象に投与され、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から26週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、少なくとも約82%減少する。いくつかの実施形態において、300mgのIL-5に結合する抗原結合性タンパク質が対象に投与され、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から26週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、少なくとも約83%減少する。いくつかの実施形態において、300mgのIL-5に結合する抗原結合性タンパク質が対象に投与され、対象への抗原結合性タンパク質の単回投与から24週後、血中好酸球の絶対数は、投与前のベースラインと比較して、少なくとも約80%減少する。いくつかの実施形態において、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列と、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列と、配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列とを有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列と、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列と、配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列とを有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含む。いくつかの実施形態において、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質は、重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、重鎖Fcドメインのアミノ末端を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、喘息は、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息又は亜好酸球性喘息を含む。いくつかの実施形態において、喘息は、重度の喘息、例えば、重度の好酸球性喘息を含む。
【0141】
本明細書に記載される投与レジメンは、ヒト対象又は動物対象におけるIL-5媒介性疾患、特に、喘息の処置における使用のためのものである。一実施形態において、対象はヒトである。
【0142】
喘息は、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、好酸球性喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息又は亜好酸球性喘息から選択されてもよい。一実施形態において、喘息は、軽度又は中等度の喘息である。一実施形態において、喘息は、重度の喘息である。本発明は、好酸球性表現型を有する喘息を有する対象において、特定の使用を見出している。したがって、さらなる実施形態において、喘息は、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息である。
【0143】
医薬組成物
抗原結合性タンパク質を医薬組成物として提供することは一般的である。一実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質を含む医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質と、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0144】
一態様において、本発明は、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記医薬組成物を提供する。
【0145】
一実施形態において、医薬組成物は、約100mgの量の本発明の抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0146】
一実施形態において、医薬組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質を含み、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む。
【0147】
一実施形態において、医薬組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質を含み、重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。重鎖Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインであり得る。
【0148】
一実施形態において、医薬組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質を含み、抗原結合性タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む。
【0149】
本発明はまた、約100mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、前記医薬組成物を提供する。
【0150】
一実施形態において、医薬組成物は、本発明の抗原結合性タンパク質を含み、抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である。
【0151】
本発明はまた、約100mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、前記医薬組成物を提供する。
【0152】
一実施形態において、医薬組成物は、皮下投与用に製剤化される。特に、医薬組成物は、ヒト対象への投与用に製剤化されてもよい。対象(処置前)は、1μLあたり150細胞以上(例えば、1μLあたり200細胞以上)からなる群から選択される血中好酸球の絶対数を有してもよい。
【0153】
一実施形態において、医薬組成物は、対象に約3か月ごとに1回、約4か月ごとに1回、約5か月ごとに1回又は約6か月ごとに1回の頻度で投与するための医薬組成物である。さらなる実施形態において、医薬組成物は、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与するための医薬組成物である。
【0154】
一実施形態において、医薬組成物は、約13週ごとに1回(Q13W)、約17週ごとに1回(Q17W)、約22週ごとに1回(Q22W)又は約26週ごとに1回(Q26W)の投与間隔(又は処置サイクル)で投与される。さらなる実施形態において、医薬組成物は、対象に約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与するための医薬組成物である。
【0155】
さらなる態様において、本発明は、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息(例えば、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息、亜好酸球性喘息)の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合しており、
前記医薬組成物が、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与するためのものである、前記医薬組成物を提供する。一実施形態において、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む。
【0156】
本発明はまた、喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含み、
前記医薬組成物が、ヒト対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与するためのものである、前記医薬組成物を提供する。
【0157】
本発明はまた、喘息(例えば、軽度、中等度又は重度の喘息、例えば、軽度、中等度又は重度の好酸球性喘息)の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗体を含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含み、
前記医薬組成物が、ヒト対象に約6か月ごとに1回投与するためのものである、前記医薬組成物を提供する。
【0158】
28Y042-7F11-1又は本開示の抗原結合性タンパク質は、抗体と賦形剤とを含む凍結乾燥粉末として提供することができ、凍結乾燥粉末は、薬学的に許容される担体(例えば、滅菌水)で再構成することができる。この再構成された医薬組成物は、その後、(例えば、さらに希釈して)、皮下又は静脈内のいずれかで投与することができる。28Y042-7F11-1又は本開示の抗原結合性タンパク質はまた、抗体と賦形剤と薬学的に許容される担体とを含む液体製剤として提供することができる。この液体医薬組成物は、その後、(例えば、さらに希釈して)、皮下又は静脈内のいずれかで投与することができる。
【0159】
本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の精製調製物を含んでもよい。例えば、医薬調製物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、本明細書に記載の抗原結合性タンパク質の精製調製物を含んでもよい。
【0160】
典型的には、このような医薬組成物は、許容される医薬実務に必要とされる公知の、薬学的に許容される担体を含む。このような担体の例としては、滅菌担体、例えば、生理食塩水、リンゲル液又はデキストロース溶液が挙げられ、任意選択で、好適な緩衝剤により、pHが5~8となるように緩衝化される。
【0161】
医薬組成物は、注射又は注入(例えば、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内又は門脈内、特に皮下)によって投与されてもよい。このような組成物は、好適には、視認される粒子状物質を含まない。
【0162】
本明細書に記載される製剤は、安定な医薬組成物である。
【0163】
好ましくは、医薬組成物は、水性液体製剤を含む。医薬組成物は、pH5~8であってもよい。例えば、医薬組成物は、pH5.5~7.5、例えば、pH5.8~7.2、5.9~6.7又は6.0~6.5であってもよい。特に、医薬組成物は、pH約6.0である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、pH約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5又は約6.6である。
【0164】
このような医薬組成物を調製するための方法は、当業者に周知である。医薬組成物は、抗原結合性タンパク質を単位剤形で、任意選択で使用説明書とともに含んでもよい。医薬組成物は、当業者に周知であるか又は明らかな方法に従って、投与前に再構成するために凍結乾燥(フリーズドライ)されてもよい。抗体がIgG1アイソタイプを有する場合、このアイソタイプの抗体の銅媒介性分解の程度を低下させるために、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)又はEDTA又はヒスチジンなどの銅のキレート剤が、医薬組成物に加えられてもよい。医薬組成物はまた、可溶化剤、例えば、アルギニン、界面活性剤/抗凝集剤、例えば、ポリソルベート80、及び、バイアルのヘッドスペースの酸素を置換するための不活性ガス、例えば、窒素を含んでいてもよい。
【0165】
本開示の組成物は、ヒスチジン、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、リン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝剤をさらに含んでいてもよく、緩衝剤は、5.8~7.2のpH又はpH6.0~pH6.6のpHを提供し、pH値は、6.0であることが好ましい。本開示の組成物中の緩衝剤は、約10~約30mM、約10~約20mM、約20mM又は約15.5mMで存在していてもよい。一実施形態において、組成物は、約5~約50mM、例えば、約10~約50mM、約10~約30mM又は約10~約20mMのヒスチジンを含む。例えば、本開示の組成物中の緩衝剤は、約20mMのヒスチジンで存在する。
【0166】
いくつかの実施形態において、組成物は、界面活性剤を含む。「界面活性剤」は、親水基及び疎水基の両方を含むその化学組成のために、固体-固体界面、固体-液体界面、液体-液体界面及び液体-気体界面の表面でその効果を発揮し得る表面活性剤である。界面活性剤は、タンパク質が吸着し凝集する可能性のあり得る気体-水界面及び/又は水-固体界面において、希薄溶液中のタンパク質の濃度を低下させ得る。界面活性剤は、タンパク質製剤中の疎水性界面に結合し得る。いくつかの非経口的に(parentally)許容される非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート基又はポリエーテル基のいずれかを含む。ポリソルベート20及び80、特にポリソルベート80(PS80)は、本発明の組成物において好適な界面活性安定化剤である。したがって、本開示の組成物は、ポリソルベート80をさらに含んでもよい。ポリソルベート80は、約0.01~約0.1%重量/体積、例えば、約0.01%~約0.05%又は約0.01~約0.03%w/vで存在してもよい。例えば、ポリソルベート80は、本開示の組成物中に約0.02%重量/体積(0.02%w/v)で存在してもよい。
【0167】
本開示の組成物は、製剤の安定性に寄与し得るEDTAをさらに含んでいてもよい。EDTAは、約0.01~約0.1mM、例えば、約0.02~約0.08mM又は約0.03~約0.06mMで存在してもよい。例えば、EDTAは、約0.05mMで存在してもよい。本開示の組成物は、20~60mM ヒスチジンを含んでもよい。本開示の組成物は、30~110mM アルギニンを含んでもよい。本開示の組成物は、0~30mM メチオニンを含んでもよい。本開示の組成物は、0~110mM グリシンを含んでもよい。本開示の組成物は、0~350mM トレハロースを含んでもよい。
【0168】
本開示の組成物は、糖をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、ポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ポリオールは、糖であり、好ましくは非還元糖である。いくつかの実施形態において、非還元糖は、トレハロースである。したがって、本開示の組成物は、トレハロースをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、約100mM~約250mM、例えば、約150mM~約200mM、特に、約160mM~約190mM、のトレハロースを含む。例えば、トレハロースは、約180mMで存在してもよい。
【0169】
組成物はまた、可溶化剤、例えば、アルギニン、例えば、L-アルギニン-HClを含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、約10mM~約120mM、例えば、約20mM~約100mM、特に、約30mM~約50mM、のアルギニンを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、約40mMのアルギニンを含む。
【0170】
一実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及びポリソルベート80から選択される1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及びポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、グリシンを含む。
【0171】
一実施形態において、医薬組成物は、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80を含む。
【0172】
予想されるように、利用される任意の賦形剤は、薬学的に許容されるものであり、組成物の他の成分(他の賦形剤及び活性成分)と適合性がある。本発明の別の態様に従って、約100mg~約300mg(好ましくは100mg)の量の本発明の抗原結合性タンパク質を薬学的に許容される賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を調製するプロセスもまた提供される。
【0173】
本発明によるIL-5媒介性疾患の処置における使用のための医薬組成物は、皮下投与されてもよい。そのような組成物は、製薬の分野において公知の任意の方法によって、例えば、活性成分を賦形剤と組み合わせることによって、調製されてもよい。
【0174】
一実施形態において、本発明は、ヒト対象又は動物対象において、約100mg~約300mgの量で、約6か月ごとに1回の頻度での皮下投与による、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息の処置における使用のための、本明細書に開示された抗原結合性タンパク質を提供する。
【0175】
さらなる態様において、本発明は、ヒト対象又は動物対象において、約30mg~約300mg又は約30~約200mgの量で、約6か月ごとに1回の頻度での皮下投与による、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息の処置における使用のための、本明細書に開示された抗原結合性タンパク質を提供し、例えば、投与量は、6か月ごとに1回の頻度で投与される、約30mg~約100mg、例えば、40mg以上、50mg以上、60mg以上、70mg以上、80mg以上又は90mg以上であり得る。
【0176】
医薬組成物は、単位用量あたり所定量の活性成分を含む単位剤形で提供されてもよい。好ましい単位剤形の組成物は、丸1日分の用量若しくは副用量(sub-dose)又はその適切な割合の活性成分を含むものである。したがって、1日分の推奨用量の副用量を含む単位用量は、1日分の総用量に調整するために複数回投与されてもよい。例えば、特定の日の用量が100mgである場合、これを1単位に含ませてもよく、或いは、複数単位(例えば、それぞれ50mgの活性成分を含む2単位)に含ませてもよい。一実施形態において、医薬組成物は、単位剤形である。
【0177】
プレフィルドシリンジ(pre-filled syringe)
本発明は、約100mg~約300mgの本発明の抗原結合性タンパク質を含む、プレフィルドシリンジを提供する。一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物を含むプレフィルドシリンジが提供される。
【0178】
一態様において、本発明は、
a)約100mg~約300mg(例えば、約100mg)の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質、及び、
b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、プレフィルドシリンジであって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記プレフィルドシリンジを提供する。
【0179】
さらなる態様において、本発明は、約30mg~約300mg又は約30mg~約200mgの本発明の抗原結合性タンパク質を含む、プレフィルドシリンジを提供し、例えば、プレフィルドシリンジは、約30mg~約100mg、例えば、40mg以上、50mg以上、60mg以上、70mg以上、80mg以上、90mg以上の抗原結合性タンパク質を含み得る。
【0180】
一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物を含むプレフィルドシリンジが提供される。
【0181】
一実施形態において、抗原結合性タンパク質の重鎖可変領域は、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む。別の実施形態において、重鎖Fcドメインは、IgG1 Fcドメインである。さらなる実施形態において、重鎖Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインである。
【0182】
一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む。したがって、本発明はまた、約100mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、プレフィルドシリンジであって、前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を有する重鎖と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を含む、前記プレフィルドシリンジを提供する。
【0183】
一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である。したがって、本発明はまた、約100mgの、IL-5に結合する抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、プレフィルドシリンジであって、前記抗体が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、前記プレフィルドシリンジを提供する。
【0184】
一実施形態において、プレフィルドシリンジは、皮下投与用である。さらなる実施形態において、プレフィルドシリンジは、ヒト対象に投与される。対象(処置前)は、1μLあたり150細胞以上(例えば、1μLあたり200細胞以上)からなる群から選択される血中好酸球の絶対数を有してもよい。
【0185】
一実施形態において、プレフィルドシリンジは、約6か月ごとに1回の頻度で投与される。一実施形態において、プレフィルドシリンジは、約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される。
【0186】
一実施形態において、プレフィルドシリンジは、水性液体製剤を含む。製剤は、本明細書に記載される可溶化剤、例えば、アルギニン、界面活性剤/抗凝集剤、例えば、ポリソルベート80、ポリオール、例えば、糖、及び/又は緩衝剤を含んでいてもよい。
【0187】
プレフィルドシリンジは、ヒスチジン、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、リン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される緩衝剤を含んでいてもよく、緩衝剤は、pH5.8~pH7.2のpH又はpH6.0~pH6.6のpHを提供し、pH値は6.0であることが好ましい。緩衝剤は、約10~約30mM、約10~約20mM、約20mM又は約15.5mMで存在していてもよい。一実施形態において、プレフィルドシリンジ中に存在する製剤は、約5~約50mM、例えば、約10~約50mM、約10~約30mM又は約10~約20mMのヒスチジンを含む。例えば、緩衝剤は、約20mMのヒスチジンで存在する。
【0188】
いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、界面活性剤を含む。ポリソルベート20及び80、特にポリソルベート80(PS80)は、本発明の組成物において好適な界面活性安定化剤である。したがって、プレフィルドシリンジ中に存在する製剤は、ポリソルベート80をさらに含んでもよい。ポリソルベート80は、約0.01~0.1%重量/体積、例えば、約0.01%~約0.05%又は約0.01~約0.03%w/vで存在してもよい。例えば、ポリソルベート80は、製剤中に約0.02%重量/体積(0.02%w/v)で存在してもよい。
【0189】
プレフィルドシリンジは、EDTAをさらに含んでいてもよい。EDTAは、約0.01~0.1mM、例えば、約0.02~約0.08mM又は約0.03~約0.06mMで存在してもよい。例えば、EDTAは、約0.05mMで存在してもよい。
【0190】
プレフィルドシリンジは、糖をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジ中に存在する製剤は、ポリオールを含む。いくつかの実施形態において、ポリオールは、糖であり、好ましくは非還元糖である。いくつかの実施形態において、非還元糖は、トレハロースである。プレフィルドシリンジ中に存在する組成物は、トレハロースをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジ中に存在する製剤は、約100mM~約250mM、例えば、約150mM~約200mM、特に、約160mM~約190mMのトレハロースを含む。例えば、トレハロースは、約180mMで存在してもよい。
【0191】
プレフィルドシリンジはまた、可溶化剤、例えば、アルギニン、例えば、L-アルギニン-HClを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジ中に存在する製剤は、約10mM~約120mM、例えば、約20mM~約100mM、特に、約30mM~約50mMのアルギニンを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、約40mMのアルギニンを含む。
【0192】
特に、水性液体製剤は、pH約6.0である。特に、水性液体製剤は、pH約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5又は約6.6である。製剤は、好ましくは、抗原結合性タンパク質と、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む。賦形剤は、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及びポリソルベート80のうちの1つ又は2つ以上から選択されてもよい。さらなる実施形態において、賦形剤は、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及びポリソルベート80を含む。さらなる実施形態において、プレフィルドシリンジは、抗原結合性タンパク質と、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、約0.01~約0.1mM、例えば、約0.02~約0.08mM又は約0.03~約0.06mMで存在するEDTAを含んでいてもよい。例えば、EDTAは、約0.05mMで存在してもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、20~60mM ヒスチジンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、30~110mM アルギニンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、0~30mM メチオニンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、0~110mM グリシンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、プレフィルドシリンジは、0~350mM トレハロースを含んでもよい。
【0194】
一態様において、本発明は、IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、本明細書に開示されるプレフィルドシリンジを提供する。IL-5媒介性疾患は、喘息であり得る。特に、喘息は、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、軽度の好酸球性喘息、中等度の好酸球性喘息、重度の好酸球性喘息、コントロール不良の好酸球性喘息、好酸球性喘息及び亜好酸球性喘息からなる群から選択される。喘息は、軽度又は中等度の喘息、例えば、軽度又は中等度の好酸球性喘息であってもよい。喘息は、重度の喘息、例えば、重度の好酸球性喘息であってもよい。
【0195】
一実施形態において、プレフィルドシリンジは、安全シリンジデバイス(safety syringe device:SSD)又は自動注射器で提供される。そのようなデバイスは、当業者に周知である。
【0196】
組合せ療法
ある特定の実施形態において、本発明による抗原結合性タンパク質は、IL-5媒介性疾患、例えば、喘息を処置する1つ又は2つ以上(例えば2つ)の他の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0197】
これらの追加の治療剤は、同じ投与経路又は異なる投与経路を介して投与されてもよい。さらに、これらは、本発明による抗原結合性タンパク質又は医薬組成物と同じ投与量/投与レジメンで投与されてもよい。
【0198】
追加の治療剤が利用される場合、一実施形態において、抗原結合性タンパク質及び追加の治療剤の組み合わさった作用は、総和又はそれぞれが別々に作用するよりも大きい。したがって、2つ以上の治療剤の組合せは、相乗効果をもたらすことがある。
【0199】
1つ又は2つ以上の追加の治療剤との組合せ療法には、共投与(同時投与)、逐次投与又は連続投与が含まれる。組合せの使用が意図される薬剤は、別々の組成物に製剤化されてもよく、或いは、すべての薬剤に同じ投与レジメンが使用され得る場合は、単一の医薬組成物に製剤化されてもよい。
【0200】
条項
要約すると、本開示は、以下を含む。
条項1. 約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記医薬組成物。
条項2. 約100mg又は約200mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、条項1に記載の医薬組成物。
条項3. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項1又は条項2に記載の医薬組成物。
条項4. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項5. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項6. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項7. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項8. 前記医薬組成物が、皮下投与用である、条項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項9. 約6か月ごとに1回の頻度で投与される、条項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項10. 約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される、条項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項11. ヒト対象に投与される、条項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項12. 前記ヒト対象が、1μLあたり200細胞以上又は300細胞以上という血中好酸球の絶対数(BEC)を有する、条項11に記載の医薬組成物。
条項13. 前記抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項14. 前記抗原結合性タンパク質と、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項15. IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、条項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
条項16. 前記IL-5媒介性疾患が、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)又は皮膚炎である、条項15に記載の医薬組成物。
条項17. 前記疾患が、HES、EGPA、CRSsNP又はCRSwNPである、条項16に記載の医薬組成物。
条項18. EGPAが、多発血管炎を伴う再発寛解型又は難治性の好酸球性肉芽腫症である、条項16又は条項17に記載の医薬組成物。
条項19. 対象に、約100mg~約300mgの用量で、約6か月ごとに1回の頻度で投与することによる、IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記抗原結合性タンパク質。
条項20. 前記用量が約100mgである、条項19に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項21. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項19又は条項20に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項22. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項19~21のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
項目23. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項19~22のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項24. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項19~23のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項25. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項19~24のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項26. 前記対象に皮下投与される、条項19~25のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項27. ヒト対象、例えば、成人ヒト対象又は小児ヒト対象に投与される、条項19~26のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項28. 前記ヒト対象が、1μLあたり200細胞以上又は300細胞以上という血中好酸球の絶対数を有する、条項27に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項29. 前記IL-5媒介性疾患が、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)又は皮膚炎から選択される、条項19~28のいずれか一項に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項30. EGPAが、多発血管炎を伴う再発寛解型又は難治性の好酸球性肉芽腫症である、条項29に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項31. (i)前記疾患がCRSsNPであり、かつ、前記ヒト対象が、鼻粘膜の好酸球レベルが上昇した2型又は好酸球性エンドタイプを有していてもよく、例えば、前記ヒト対象が、≧150/μLの血中好酸球、例えば、≧300/μLの血中好酸球を有していてもよく、或いは、(ii)前記疾患がCRSwNPであり、かつ、前記ヒト対象が、最大スコア8のうち少なくとも5の内視鏡NPスコアを有し、各鼻腔の最小スコアが2である、条項29に記載の使用のための抗原結合性タンパク質。
条項32. IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物であって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合しており、
前記医薬組成物が、対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与するためのものである、前記医薬組成物。
条項33. 約100mgの前記抗原結合性タンパク質を含む、条項32に記載の使用のための医薬組成物。
条項34. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項32又は条項33に記載の使用のための医薬組成物。
条項35. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項32~34のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項36. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項32~35のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項37. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項32~36のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項38. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項32~37のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項39. 前記医薬組成物が、皮下投与用である、条項32~38のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項40. ヒト対象に投与される、条項32~39のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項41. 前記ヒト対象が、1μLあたり200細胞以上又は300細胞以上という血中好酸球の絶対数を有する、条項40に記載の使用のための医薬組成物。
条項42. 前記IL-5媒介性疾患が、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)又は皮膚炎から選択される、条項32~41のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項43. 前記抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項32~42のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項44. 前記抗原結合性タンパク質と、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項32~43のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
条項45. IL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、それを必要とする対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与することを含み、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法。
条項46. 前記IL-5媒介性疾患が、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリポーシス(NP)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)又は皮膚炎から選択される、条項45に記載の方法。
条項47. 前記喘息が、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)からなる群から選択される、条項48に記載の方法。
条項48. 対象におけるIL-5媒介性疾患を処置する方法であって、
前記方法が、
a)多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)からなる群から選択される疾患を有する対象を同定すること;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、前記対象における前記疾患が処置され、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法。
条項49. 前記方法が、約100mg又は約200mgの前記抗原結合性タンパク質を投与することを含む、条項47~48のいずれか一項に記載の方法。
条項50. 前記IL-5媒介性疾患が、多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)又は好酸球増多症候群(HES)であり、前記方法が、約200mgの量の前記抗原結合性タンパク質を投与することを含む、条項49に記載の方法。
条項51. 前記IL-5媒介性疾患が、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、及び鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)から選択され、前記方法が、約100mgの量の前記抗原結合性タンパク質を投与することを含む、条項49に記載の方法。
条項52. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項47~51のいずれか一項に記載の方法。
条項53. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項47~52のいずれか一項に記載の方法。
条項54. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項47~53のいずれか一項に記載の方法。
条項55. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項47~54のいずれか一項に記載の方法。
条項56. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項47~55のいずれか一項に記載の方法。
条項57. 前記抗原結合性タンパク質が皮下投与される、条項47~56のいずれか一項に記載の方法。
条項58. 前記対象が、ヒト対象である、条項47~57のいずれか一項に記載の方法。
条項59. 前記対象が、(a)処置開始時のスクリーニングにおいて、(i)血液1μLあたりの好酸球細胞数が200以上若しくは300以上、又は、(ii)血液1μLあたりの好酸球細胞数が150以上であるという血中好酸球の絶対数を有する、かつ/或いは、(b)過去12か月において、血液1μLあたりの好酸球数が300以上であるという血中好酸球数を有する、条項47~58のいずれか一項に記載の方法。
条項60. 対象における血中好酸球の絶対数を減少させる方法であって、
前記方法が、
a)多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)、好酸球増多症候群(HES)、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)からなる群から選択される状態を有する対象を同定すること;並びに
b)前記対象に、約100mg~約300mgの量の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質を、約6か月ごとに1回の頻度で投与すること
を含み、これにより、対象における血中好酸球の絶対数を減少させ、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記方法。
条項61. 前記方法が、約100mg又は約200mgの前記抗原結合性タンパク質を投与することを含む、条項63に記載の方法。
条項62. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項60又は条項61に記載の方法。
条項63. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項60~62のいずれか一項に記載の方法。
条項64. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項60~63のいずれか一項に記載の方法。
条項65. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項60~64のいずれか一項に記載の方法。
条項66. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項60~65のいずれか一項に記載の方法。
条項67. 前記抗原結合性タンパク質が皮下投与される、条項60~66のいずれか一項に記載の方法。
条項68. 前記対象が、ヒト対象である、条項60~67のいずれか一項に記載の方法。
条項69. 前記対象が、1μLあたり200細胞以上又は300細胞以上という血中好酸球の絶対数を有する、条項60~68のいずれか一項に記載の方法。
条項70. a)約100mg~約300mg(例えば、総容量約1mL中、約100mg~約300mg)の、IL-5に結合する抗原結合性タンパク質、及び、b)薬学的に許容される賦形剤を含む、プレフィルドシリンジであって、
前記抗原結合性タンパク質が、配列番号5に示されるCDRH1アミノ酸配列、配列番号6に示されるCDRH2アミノ酸配列及び配列番号7に示されるCDRH3アミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8に示されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号9に示されるCDRL2アミノ酸配列及び配列番号10に示されるCDRL3アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むとともに、252位にチロシン残基、254位にスレオニン残基及び256位にグルタミン酸残基を有する重鎖Fcドメインを含み、
前記重鎖Fcドメインのアミノ末端が、前記重鎖可変領域のカルボキシ末端に結合している、前記プレフィルドシリンジ。
条項71. 前記プレフィルドシリンジが、約100mg又は約200mgの抗原結合性タンパク質を含む、条項70に記載のプレフィルドシリンジ。
条項72. 前記抗原結合性タンパク質の前記重鎖可変領域が、配列番号19に示される重鎖FR4アミノ酸配列をさらに含む、条項70又は条項71に記載のプレフィルドシリンジ。
条項73. 前記重鎖Fcドメインが、IgG1 Fcドメインである、条項70~72のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項74. 前記重鎖Fcドメインが、ヒトIgG1 Fcドメインである、条項70~73のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項75. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列と、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列とを含む、条項70~74のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項76. 前記抗原結合性タンパク質が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む抗体である、条項70~75のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項77. 前記プレフィルドシリンジが、皮下投与用である、条項70~76のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項78. 対象に約6か月ごとに1回の頻度で投与される、条項70~77のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項79. 対象に約26週ごとに1回(Q26W)の頻度で投与される、条項70~77のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項80. ヒト対象に投与される、条項70~79のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項81. 前記抗原結合性タンパク質と、ヒスチジン、トレハロース、アルギニン、EDTA及び/又はポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項80に記載のプレフィルドシリンジ。
条項82. 前記抗原結合性タンパク質と、約20mM ヒスチジン、約180mM トレハロース、約40mM アルギニン、約0.05mM EDTA及び約0.02%重量/体積 ポリソルベート80とを含むpH約6.0の水性液体製剤を含む、条項70~81のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項83. IL-5媒介性疾患の処置における使用のための、条項70~82のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
条項84. 前記IL-5媒介性疾患が、HES、EGPA、CRSsNP又はCRSwNPから選択される、条項88に記載のプレフィルドシリンジ。
条項85. 安全シリンジデバイス(SSD)又は自動注射器で提供される、条項74~84のいずれか一項に記載のプレフィルドシリンジ。
【実施例
【0201】
下記の実施例により、本発明の種々の限定されない態様が例示される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【0202】
インターロイキン-5(IL-5)は、骨髄における好酸球の成長及び分化、並びに、組織内におけるそれらの動員及び活性化を媒介する(Corren,Discov.Med.2012年;13(71):305~312頁)。好酸球の循環半減期は、およそ8~18時間であるが、好酸球は組織においてはより長く(数日間~数週間)持続し得る(Kovalszki&Weller,Eosinophilia.2016年;43(4):607~617頁)。IL-5の阻害により、重要な好酸球成長因子が除かれる。好酸球の短い循環半減期を考慮すると、IL-5の阻害は、循環集団の急速な減少をもたらす。IL-5を標的とするモノクローナル抗体(mAb)、例えば、重度の好酸球性喘息の処置のために現在承認され、他の適応症のために開発中であるメポリズマブなどを用いて、好酸球を減少させることが、数多くの障害のための治療戦略として特定されている(Legrand&Klion,J.Allergy Clin.Immunol.Pract.2015年;3(2):167~174頁)。
【0203】
28Y042-7F11-1は、拡張された薬理のヒト化モノクローナル抗体(免疫グロブリンG1[IgG1]、カッパ)である。これは、好酸球細胞表面に発現するIL-5受容体複合体に対するヒトIL-5の結合を阻止することによって、IL-5シグナル伝達を阻害する。抗IL-5モノクローナル抗体の4週ごとの投与による処置は、十分に忍容性があり、重度の好酸球性喘息を有する患者における付加型(add-on)の維持処置として承認されている。28Y042-7F11-1は、より長い投与間隔により投与される場合、他のIL-5標的モノクローナル抗体と類似する有効性及び利益:リスクプロファイルを与えることが予想される。
【0204】
実施例1:投与量研究
本実施例は、低量~中量の1日用量の吸入コルチコステロイド(ICS)又はICS/長時間作用型β-アゴニスト(LABA)及び短時間作用型β-アゴニスト(SABA)で維持される、軽度~中等度の喘息を有する参加者において皮下投与される28Y042-7F11-1の安全性、忍容性、免疫原性、PK及びPDを調査するための、単回漸増用量のファーストインヒューマン(first time in human:FTIH)研究であった。
【0205】
方法
研究設計
28Y042-7F11-1のファーストインヒューマン研究設計の概要が図1に示される。それぞれの参加者が、図1に示されるように、28Y042-7F11-1又はプラセボの単回用量の投与を受けた。
【0206】
参加者
適格な参加者は、28Y042-7F11-1の単回漸増用量の後における血中好酸球数の減少を調査することを容易にするために、かつ、28Y042-7F11-1の予想された長期にわたる半減期及びより大きいIL-5親和性を考慮して、ヒトにおいて予期される長期の血中好酸球減少を定量化するために、スクリーニング時において≧200の細胞/μLの血中好酸球数を有することが必要であった。血中好酸球の事前スクリーニング評価を実行した。参加者は、血中好酸球レベルが≧200の細胞/μLであることを実証する投与前12週以内での記録された血液検査結果を有する場合、血中好酸球の事前スクリーニング来院を省略し、スクリーニング来院に直接進む資格があった。
【0207】
スクリーニングが成功して完了した後、軽度~中等度の喘息を有し、血中好酸球がスクリーニング時において≧200の細胞/μLである48名の参加者が無作為化され、投薬が施された。参加者は、検証された内部ソフトウェアを使用して研究開始前に、Biostatisticsによって作成される無作為化スケジュールに従って無作為化された。それぞれの用量コホートにおける参加者を3:1(活性薬:プラセボ)の比で割り当てた。
【0208】
追跡調査期間(follow-up period)は、予測された血中好酸球プロファイルに基づいて、投与後最長40週であり、かつ用量依存的であった。2mg及び10mgの28Y042-7F11-1の投与を受けるコホートにおける参加者は、最長32週、診療所に通い、30mg及び100mgの28Y042-7F11-1の投与を受けるコホートにおける参加者は、最長36週、診療所に通い、300mgの投与を受けるコホートにおける参加者は、最長40週、診療所に通った。
【0209】
処置
本明細書で使用される場合、「研究処置」という用語により、プロトコール設計に従って参加者が受ける製品の任意の組合せを記述する場合がある。
【0210】
【表6】
【0211】
薬物動態評価
28Y042-7F11-1の血漿中濃度を決定するための血液サンプルは、研究の一部として設計される薬物動態サンプリング時点で収集された。血液サンプルは、留置カニューレを介して(又は直接の静脈穿刺によって)取得され、エチレンジアミン四酢酸三カリウム(K3EDTA)チューブに収集された。血液サンプルの処理(すなわち、遠心分離、それに続いて、得られた血漿の採取及び-70℃での保管)は、収集から2時間以内に行われた。
【0212】
28Y042-7F11-1の濃度は、現在承認されている生体分析方法論を使用して血漿サンプルにおいて決定された。生データは、生体分析実施施設で保管された。
【0213】
薬力学バイオマーカー
血清中総IL-5レベルを標的会合のマーカーとして測定するために、血清サンプルが、本研究の期間中に収集された。加えて、血中好酸球レベルが、薬理学的応答のマーカーとして、血液学パネルの一部として測定された。サンプルは、研究の一部として設計される時点で収集された。
【0214】
結果
血漿28Y042-7F11-1の薬物動態パラメータ
軽度~中等度の喘息を有する参加者における異なる用量(2mg~300mg)の28Y042-7F11-1の単回SC投与の後に得られた血漿28Y042-7F11-1のPKパラメータを、表7にまとめる。
【0215】
【表7】
【0216】
2~300mgのSC用量範囲にわたって、28Y042-7F11-1のAUC(0-∞)、AUC(0-t)及びCmaxが、28Y042-7F11-1の増量とともに増加した。中央値tmaxは、調査された用量全体にわたって8~14日の範囲であった。28Y042-7F11-1の幾何平均t1/2は、用量全体にわたって38~53日の範囲であり、用量依存的はでなかった(38~44日は、%AUCexが>20%であった2mgの用量及びt1/2が計算された期間を除いて、4/6名の参加者において得られたt1/2の2倍未満であった)。標的媒介性沈着の証拠はなかった。28Y042-7F11-1のCL/Fにおける感知できる変化が、調査された2mg~300mgのSC用量範囲の全体にわたって(2mgの用量を除いて)認められず、幾何平均値が0.0807~0.160L/日(2mgを除くと0.118~0.160L/日)の範囲であった。同様に、28Y042-7F11-1のVz/Fが、調査された用量の全体にわたって一致しており、幾何平均値が6~9Lの範囲であった。AUC(0-∞)の幾何平均の外挿部分は小さく、(2mgの用量[24%]を除いて)0.9~8%の範囲であった。
【0217】
28Y042-7F11-1全身曝露(Cmax及びAUC)における変動性(%CVb)は、一般には低~中程度であった(7~59%)。
【0218】
血中好酸球数
ベースラインにおいて、幾何平均での血中好酸球数がプラセボ群(0.359GI/L)と用量群(0.288GI/L~0.398GI/Lの範囲)との間で類似しており、最も低いベースライン幾何平均での血中好酸球数が2mg群について測定され、最も高いベースライン幾何平均での血中好酸球数が30mg群について測定された。血中好酸球数の減少が、(プラセボ群では変化がほとんどないことと比較して)すべての用量群で最初の投与後評価(24時間)から明白であり、最大の減少がほとんどの用量群について8週目に認められた。8週目に至るまで、血中好酸球数減少の大きさにおける用量群間の明確な違いはなかった。しかし、減少の持続期間における用量関連の違いがあり、血中好酸球の抑制が用量の増加に伴ってより長く維持された(図2)。
【0219】
ベースラインの血中好酸球数における違いについて調整された血中好酸球データについての対ベースライン比の混合モデル反復測定(Mixed Model Repeated Measures:MMRM)分析の結果が図3に示される。
【0220】
26週目(6か月)において、ベースラインからの80%超の血中好酸球減少が100mg群及び300mg群で認められ、ベースラインの血中好酸球に対する調整された幾何平均比は、それぞれ、0.199及び0.186であった(表8)。プラセボに対する比較でのこれらの群についての調整された幾何平均の比は、それぞれ、0.178及び0.166であった(すなわち、82%及び83%の減少)。血中好酸球数におけるベースラインに対するプラセボ調整比が、26週の時点で0.25未満(すなわち、血中好酸球数における75%超の減少)である確率は、100mg群については95%であり、300mg群については96%であった(図3及び表8)。
【0221】
【表8】
【0222】
血中好酸球における減少の大きさが早期の時点ではすべての群について類似していたので、4パラメータ用量応答Emaxベイズモデルをどの時点においても適合させることは適切でなかった。用量-応答の関係性の分析は、測定値をすべてのコホートにおいて有し、関心のある最も重要な時点である26週目の時点でのみベイズモデルによって行われた。本分析の結果が、表9に示される。
【0223】
【表9】
【0224】
ベイズ分析はMMRM分析の裏付けとなっており、ベースラインからの79%及び83%の血中好酸球減少がそれぞれ、100mg群及び300mg群で認められた(表9)。プラセボに対する比較でのこれらの群についての調整された幾何平均の比は、それぞれ、0.206及び0.167であった(すなわち、79%及び83%の減少)。血中好酸球数におけるベースラインに対するプラセボ調整比が、26週の時点で0.25未満(すなわち、血中好酸球数における75%超の減少)である確率は、100mg群については87%であり、300mg群については96%であった(表9)。
【0225】
第2の感受性分析が、計画された来院日時の許容される時間枠の範囲内で評価が得られることを保証するための時間枠設定の適用後に実行された。26週目において、処置群のすべてで、1名の参加者が時間逸脱のために除外された。それにもかかわらず、結果は主分析と類似しており、血中好酸球数におけるベースラインに対するプラセボ調整比が26週の時点で0.25未満(すなわち、血中好酸球数における75%超の減少)である確率が100mg群については90%であり、300mg群については97%であった。
【0226】
血清中総IL-5
ベースラインにおける幾何平均での血清中総IL-5(すなわち、遊離IL-5プラス28Y042-7F11-1結合IL-5)値は、プラセボ群については(9.206ng/L)であり、用量群の値(10.376~15.109ng/L)よりもわずかに低かった。一般に、大多数の参加者が、それぞれの用量群におけるアッセイの定量限界を下回るベースライン値を有していた。1週目(8日目)以降、用量群におけるすべての参加者が、測定可能な濃度の血清中総IL-5を有していた。ベースラインからの血清中総IL-5における増加が、研究来院すべての用量群のすべてについて認められた。しかし、明確な用量応答は観察されなかった。一方、プラセボ群の幾何平均血清中総IL-5値は、研究期間中、ベースラインと類似したままであった(図4)。
【0227】
探索的バイオマーカーの結果
探索的喘息バイオマーカーの評価が、本研究において実行された。好酸球由来神経毒(EDN)、エオタキシン、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、単球走化性タンパク質4(MCP-4/CCL13)、並びに、胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC/CCL17)のレベルが、-1日目、29日目及び127日目に測定された。好酸球由来神経毒のレベルにおける減少が、28Y042-7F11-1処置により見られ、一方で、それ以外のマーカーに関しては変化が認められなかった。これらの結果は、同じバイオマーカーパネルを使用するメポリズマブ処置による知見を反映している。
【0228】
安全性結果
本研究では、28Y042-7F11-1の2mg、10mg、30mg、100mg及び300mgの単回皮下用量の安全性及び忍容性を、軽度~中等度の喘息を有する参加者において、成人でのプラセボと比較されるように評価した。28Y042-7F11-1用量のすべては、参加者によって十分に忍容性が認められた。処置時の有害事象の発生率は、プラセボに関しては92%であり、すべての用量においては81%であった。重大な有害事象、又は研究からの離脱に至る有害事象は報告されなかった。
【0229】
結論
検討された用量範囲にわたって、28Y042-7F11-1は、8~14日の中央値実測tmaxを伴ってゆっくり吸収され、6~9Lの見かけの分布容積に分布した。この容積は、およその血漿及び間質腔に対応しており、可溶性リガンドを標的とする典型的なモノクローナル抗体について報告される値と一致している。tmax後、28Y042-7F11-1の血漿濃度は、38~53日の幾何平均t1/2及び0.0807~0.160L/日の見かけクリアランスを伴って単一指数関数的様式で低下した。別の抗IL-5モノクローナル抗体であるメポリズマブ(Nucala P1)と比較した場合、これらの値は、半減期におけるおよそ2倍の増加及び見かけクリアランスにおけるおよそ2分の1の低下を表している。幾何平均での薬物動態パラメータ(Vz/F、CL/F及びt1/2)は、検討された用量範囲の全体にわたって一貫しており、したがって、標的媒介沈着の証拠を伴うことなく、用量とは無関係であり、このことは、28Y042-7F11-1のPKが線形であることを暗示していた。さらに、2mgの用量を除いて、10~300mgのSC用量範囲にわたってのCmax及びAUC(0-∞)についての用量比例性からの大きな逸脱はなかった。
【0230】
本研究において長期の期間にわたって(投与後最長40週)調査された28Y042-7F11-1単回SC用量(2~300mg)の広い範囲に起因して、血中好酸球数の用量応答を評価することが可能であった。顕著な血中好酸球数減少が2日目(24時間)での最初の投与後評価から観察され、最大の減少がほとんどの用量群について8週目に認められた。減少は8週目まで用量非依存的であったが、明確な用量応答が、ベースラインに向かって戻る場合について明白であった。26週目(6か月)において、ベースラインの血中好酸球数について調整した後でプラセボと比較される血中好酸球減少は、100mg群及び300mg群でそれぞれ、82%及び83%であった。これらの減少は、承認された治療用量でのメポリズマブにより報告される減少(製品情報[PI])と類似していた。血中好酸球数におけるベースラインに対するプラセボ調整比が、26週の時点で<0.25(すなわち、血中好酸球数における>75%の減少)である確率は、100mg群については95%であり、300mg群については96%であった(MMRM分析)。これらの確率は、80%の事前に定義された成功基準を超えていた。これらの結果は、28Y042-7F11-1のIL-5に対する親和性の増加、並びに、抗体の半減期における増加を反映している。
【0231】
結論として:
・ 28Y042-7F11-1は、最大300mg SCの28Y042-7F11-1の単回用量を受ける軽度/中等度の喘息を有する成人参加者において十分に忍容性が認められた。
・ 幾何平均終末相半減期(38~53日)が、可溶性リガンドを標的とする従来のIgG1モノクローナル抗体と比較して、およそ2倍増加している。
・ 28Y042-7F11-1は、血中好酸球数を減少させ、明確な用量応答が、ベースラインに向かって戻る場合について観察された。26週目において、プラセボと比較される調整された減少は、100mg群及び300mg群でそれぞれ、82%及び83%であった。両方の用量が、26週目におけるベースラインの血中好酸球数に対するプラセボ調整比についての事前に定義された成功基準を満たした。
【0232】
本研究と、モデル情報に基づく薬物開発(MIDD)原理とからの結果を使用して、確立された第3相メポリズマブ様血中好酸球の薬理に最もよく適合する28Y042-7F11-1の用量及び投与頻度は、患者がその次回投与を遅らせなければならないさらなる柔軟性(例えば、4週の柔軟性を与える)を伴う場合には、6か月ごとに1回(又は26週ごとに1回(Q26W)(6か月ごとに1回及びQ26Wという用語は交換可能に使用される)の100mgである。
【0233】
実施例2:第III相臨床プロトコール-喘息
予測的な本実施例は、意図された第III相臨床研究を記載する。各プラセボ対照増悪研究は、28Y042-7F11-1の100mg SCの2回の反復用量投与を調査するために12か月継続し、吸入コルチコステロイド(ICS)プラス追加のコントローラー療法に対する、好酸球性表現型の喘息を有し、反復増悪の履歴(過去12か月間に≧2回)を有する成人及び青年期(≧12歳)患者、抗IL-5処置から臨床的利益を受けることが示されている集団における効果を調査する。12か月の研究では、28Y042-7F11-1を2回反復投与することができ、12か月の研究は、26週ごとの28Y042-7F11-1 100mg SCの、臨床的に有意な増悪の頻度及び他の関連アウトカムに対する有効性、並びに、適切な曝露による安全性プロファイルを評価するのに十分な長さである。
【0234】
最短1週間(最長6週間)の導入期間の後、375名の適格な対象が、2:1で無作為化されて、28Y042-7F11-1 100mg SC(n=350)又は対応するプラセボ(n=175)の投与を受ける。最初の注射は、無作為化時に施される。対象は、2週目での来院、4週目での来院、次いで、その後は4週間隔での来院を有することになり、26週目で、2回目の注射を施すためにさらなる来院を伴う。最後の来院(研究来院の終了)は52週目に行われる。対象は、12か月の非盲検延長研究を続ける選択肢を有し、ここでは、28Y042-7F11-1の投与を既に受けた対象は2回までのさらなる追加投与を受け、また、以前にプラセボの投与を受けた対象は28Y042-7F11-1の2回までの投与を受ける。
【0235】
適格な対象は、中用量~高用量のICSと、少なくとも1つの他のコントローラーとを受ける、喘息の確定診断を有する成人及び青年期男女(≧12歳)である。対象は、既存の治療にもかかわらず、過去12か月に≧2回の増悪によって示されるように、コントロール不良の喘息を有する必要がある。対象は、スクリーニング時に≧150の細胞/μLの、又は、スクリーニング前の12か月間に≧300の細胞/μLの血中好酸球レベルを有する必要がある。
【0236】
主要アウトカム評価項目は、12か月の処置期間にわたる臨床的に有意な増悪(すなわち、全身性コルチコステロイド及び/又はER来院及び/又は入院を必要とする増悪)の頻度である。増悪に加えて、他の有効性評価項目は、肺機能(気管支拡張薬前及び気管支拡張薬後FEV1)、喘息コントロール(喘息コントロール質問票(Asthma Control Questionnaire)-ACQ-5)、セントジョージ呼吸器質問票(St Georges Respiratory Questionnaire:SGRQ)を用いて測定される生活の質、並びに、喘息に起因する最大流量、救急使用、毎日の症状及び夜間覚醒を含む日誌カード(diary card)パラメータを含む。喘息コントロール及び処置に対する応答の他の評価項目もまた、研究全体を通じて評価される。
【0237】
血中好酸球は処置期間全体にわたって測定され、PKサンプルが少量収集される(投与前、2週目、12週目、26週目、28週目、40週目及び52週目)。本研究は、反復投与後の安全性アウトカムを堅牢に特徴付けるための包括的な安全性評価及び免疫原性評価を含む。免疫原性は、0週目、2週目、4週目、8週目、12週目、26週目、28週目、30週目、32週目、36週目、40週目及び52週目において投与前に評価される。
【0238】
28Y042-7F11-1は、メポリズマブと類似の臨床プロファイルを示すことが予想される。このことは、薬物動態データ、薬力学データ、安全性データ及び忍容性データを収集した実施例1で説明した研究の結果によって裏付けられている。最大300mg SCの単回用量(計画された治療用量の3倍)が、軽度~中等度の喘息を有するが、血中好酸球が上昇している(スクリーニング時において≧200の細胞/μL)対象において評価された。28Y042-7F11-1は十分に忍容性があり、安全性シグナルは検出されなかった。血中好酸球に対する効果が、メポリズマブの蓄積された薬理学の知識から予測されたとおりであり、全体的な最大血中好酸球抑制が、メポリズマブの100mg SC/75mg IVにより見られる抑制と類似していたが、抑制期間はメポリズマブで以前に見られたものと比較して長くなった。
【0239】
したがって、2つの増悪研究に加えて、現在メポリズマブ又はベンラリズマブのいずれかを受けている成人及び青年期対象(≧12歳)およそ1,700名を登録する12か月間の支援研究もまた提案されている。対象は、既存の治療を継続するか、26週間ごとの28Y042-7F11-1 100mg SCに切り替えられるかのいずれかに、1:1で無作為化される。本研究は、非劣性設計を利用して、26週間ごとの28Y042-7F11-1 100mg SCによる処置が、臨床的に有意な増悪率(すなわち、全身性コルチコステロイド及び/又はER来院及び/又は入院を必要とする増悪)及び喘息コントロールのその他のマーカーに関して、既存の抗IL-5療法に劣らないことを示すことを目的としている。
【0240】
最短1週間(最長6週間)の導入期間の後、1,600名の対象が1:1で無作為化され、28Y042-7F11-1 100mg SCを26週ごとに1回受ける(n=800)か、又は、既存の治療を継続する(n=800)。無作為化時に、対象は、活性28Y042-7F11-1 100mgとプラセボ適合メポリズマブ/ベンラリズマブ(対象の以前の処置に従う)、又は、プラセボ28Y042-7F11-1と活性メポリズマブ 100mg SC/ベンラリズマブ 30mg SC(対象の以前の処置に従う)のいずれかの2回の注射を受ける。その後、診療所来院が4週ごとにあり、以前にメポリズマブを受けていた対象は、メポリズマブ 100mg SC又は適合プラセボの注射を4週ごとに受ける。以前にベンラリズマブを受けていた対象は、ベンラリズマブ 30mg SC又は適合プラセボの注射を8週ごとに受ける。26週目には、28Y042-7F11-1 100mg SC又は適合プラセボの投与のために、さらなる来院がある。処置終了時の来院が52週目に行われ、追跡調査の来院が56週目に行われる。
【0241】
適格な対象は、登録前に少なくとも12か月間、重症喘息に対してメポリズマブ又はベンラリズマブを現在投与されており、(1)増悪頻度が≧50%減少、(2)維持OCS使用が≧50%減少、又は(3)抗IL-5療法を受けている間に過去6か月間に増悪がなく、スクリーニング時のACQ-5スコアが≦1.5であること、によって評価される、抗IL-5療法に対する応答が実証されていることが示されている、成人及び青年期男女(≧12歳)である。対象は、抗IL-5療法を開始する前に、処置医師によって確認されたように、現在の抗IL-5療法から、増悪頻度の減少及び/又は経口コルチコステロイド療法の維持の減少のいずれかにおいて臨床的利益が実証されている必要がある。対象は、抗IL-5療法を受けるのと同様に、喘息の処置のために中用量又は高用量の吸入コルチコステロイドプラス別のコントローラー薬を受けている必要がある。
【0242】
主要アウトカム変数は、12か月の処置期間にわたる臨床的に有意な増悪の頻度である。加えて、他の有効性評価項目は、肺機能(気管支拡張薬投与前及び投与後FEV1)、喘息コントロール質問票(ACQ-5)で評価される喘息コントロール、セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)を使用した生活の質、及び日誌カードパラメータ(喘息に起因する症状、最大流量、救急使用、及び夜間覚醒)である。喘息コントロール及び処置に対する応答の他の評価項目もまた、研究全体を通じて評価される。
【0243】
血中好酸球は処置期間全体にわたって測定される。本研究は、反復投与後の安全性アウトカムを堅牢に特徴付けるための包括的な安全性評価及び免疫原性評価を含む。免疫原性は、0週目、4週目、8週目、12週目、26週目、40週目及び52週目において投与前に評価される。
【0244】
製剤
以前の研究では、28Y042-7F11-1注射剤の液体製剤150mg/mLが利用され、これは、滅菌済防腐剤非含有の、単回使用水溶液としてバイアルで供給された。必要とされた用量レベルは、生理食塩水による希釈により臨床現場で調製され、その後、皮下(SC)用量として注射された(100mgまでの用量については単回注射、300mgの用量については3回の注射)。
【0245】
第3相研究が、以前の製剤に基づいた新しい製剤を使用して開始される。以前の製剤と新しい製剤との間の変更点は、28Y042-7F11-1の濃度が150mg/mLから100mg/mLに低下し、メチオニンが除去され、一部の賦形剤の濃度が低下したことである(表10)。
【0246】
【表10】
【0247】
これらの研究の期間中、28Y042-7F11-1注射剤(100mg/mL)は、皮下投与用に100mgの28Y042-7F11-1を送達する透明なガラス製のプレフィルドシリンジ(PFS)に入った、単回使用の滅菌液体医薬品(DP)として提供される。DPの一次容器及びクロージャーは、硬質プラスチックシールドで覆われた熱可塑性エラストマー針シールド付き、29G薄壁×12.7mmのステンレス鋼針を伴い、ブロモブチルエラストマーゴムプラガーストッパーで密封されている、1mLロングI型ガラス製シリコン処理バレルで構成されている。プレフィルドシリンジは、安全シリンジデバイス、すなわちBD UltraSafe Passive Plus安全デバイスに組み立てられる。
【0248】
表10に詳述されている28Y042-7F11-1製剤は特に安定性が良好であり、推奨される長期保管温度である2~8°Cで最長18か月間保管した後も、医薬品は安定なままであったことが見出された。加えて、医薬品は、-20℃で1か月間、30℃/65%相対湿度(RH)で0.5か月間保管した後、及び、3回の凍結融解サイクルにさらした後も安定なままであった。注射用医薬品(100mg/mL)には、2℃~8℃(36°F~46°F)で保管し、遮光した場合、30か月の保存期間が適用された。
【0249】
実施例3:鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)及び鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)のための投与を決定するためのモデル化
CRSwNPの第3相研究のための提案された28Y042-7F11-1の、26週ごとの100mgの用量及び投与頻度は、モデル情報に基づく薬物開発(MIDD)原理を使用して特定された。28Y042-7F11-1の投与レジメンは、CRSwNP集団におけるピボタル第3相試験においてメポリズマブにより観察される血中好酸球の薬理に、処置期間全体にわたって厳密に適合するように選択された。28Y042-7F11-1のさらなる用量範囲は、CRSwNPにおける提案された第3相プログラムを開始する前には必要ないと考えられる。シミュレーション分析では、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1の100mgのSC用量を超える場合、血中好酸球減少の点では限定され;一方、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが示される。CRSsNPの用量選択にも類似のアプローチが適用され、CRSwNPとCRSsNPとの間で所望の血中好酸球薬理が同等であると想定された。
【0250】
所望の血中好酸球薬理が、メポリズマブを用いたピボタル第3相試験によって報告された。CRSwNPでのメポリズマブのピボタル第3相試験において、ベースラインに対して比較される定常状態での好酸球減少は、4週ごとにメポリズマブ100mg SCを投与した後、84%であった。この減少は、52週での血中好酸球数の幾何平均(std logs)に換算され、4週ごとにメポリズマブ100mg SCの投与を受けたコホートでは、0.06(0.768)GI/Lに相当する。この薬理レベルは、臨床的有効性と関連していた。52週の治療期間の終了時点で、メポリズマブ群の参加者はプラセボ群よりも総内視鏡NPスコアが≧1ポイント改善した参加者の割合が高く(それぞれ50%対28%)、メポリズマブ群では同期間にわたって総内視鏡的NPスコアが悪化した参加者がプラセボ群よりも少なかった(それぞれ22%対30%)。52週時点での総内視鏡NPスコアのベースラインからの変化という追加主要評価項目(co-primary endpoint)については、変化の中央値は、プラセボ群では0であったのに対し、メポリズマブ群では-1.0であった。この評価項目では、メポリズマブが有利に、統計的に有意な改善を示した。さらに、重症好酸球性喘息(CRSwNPが多くの特徴を共有する疾患)では、承認されたメポリズマブの用量である100mg SCを4週ごとに投与した場合の血中好酸球の減少は、第3相試験では86%及び81%であり、年間増悪率比は一貫しておよそ50%減少した。シミュレーション分析は、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1投与レジメンである100mg SCを超える場合、血中好酸球の減少の点では限定されていることを示している。さらに、シミュレーション分析では、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが示される。
【0251】
28Y042-7F11-1の用量及び投与頻度の選択は、以前のメポリズマブの薬理を標的にしており、以下の理由から有効であり、かつ迅速である:
・ 28Y042-7F11-1はメポリズマブと同じIL-5エピトープを標的としているため、同じIL-5中和を介してメポリズマブと同じ血中好酸球の減少を確立することで、これらの研究のために選択されたCRSwNP患者集団及びまたCRSsNP患者集団で類似の臨床的有効性が得られることが予想される。
・ IL-5中和のこれまでの安全性プロファイルは、プラセボと同等である。
【0252】
28Y042-7F11-1の用量選択を裏付けるために使用されたPK-血中好酸球モデルは、メポリズマブの臨床開発中に種々の好酸球状態及び健康な対象における薬物動態サンプル、血中好酸球数測定値、共変量を収集した16件のメポリズマブ研究のデータに基づいて開発された、間接曝露-好酸球モデルに基づく更新モデルである。モデルは、ベースラインの血中好酸球(KRO)、排出速度(KOUT)、最大阻害効果(Imax)、50%の最大阻害薬物効果をもたらす濃度(IC50)及びヒル係数(GAMA)に関してパラメータ化された。対象間変動性が、指数関数的モデルを使用してベースラインの血中好酸球及び最大薬物効果に対して組み込まれた。測定されたベースラインの血中好酸球数は、KRO及びImaxの共変量であった。疾患が、KROについての共変量であった。このモデルは、メポリズマブと比較される28Y042-7F11-1のより長い半減期及び増強された効力を反映するために、同じモデル構造を維持しながら更新された。モデルのIC50パラメータ、対象間変動性及び説明できない残留変動性が、軽度~重度の喘息における28Y042-7F11-1による単回漸増用量第1相研究からのPK及び好酸球のデータに基づいて推定された。最大の達成可能な薬物阻害応答に対する、また、モデル予測のベースライン血中好酸球に対するベースライン好酸球レベルの影響は、メポリズマブと28Y042-7F11-1との間で同じであると仮定された。
【0253】
28Y042-7F11-1のPK-血中好酸球のシミュレーションは、28Y042-7F11-1の第1相研究からのデータに基づいて開発された28Y042-7F11-1のPKモデル及び更新されたPK-血中好酸球モデルに基づいていた。CRSwNPのベースラインにおけるシミュレーションされた好酸球レベルは、メポリズマブ第3相ピボタル試験での実測値(0.39GI/L)を反映していた。CRSsNPのベースラインにおけるシミュレーションされた好酸球レベルは、文献でCRSsNPについて報告された値の範囲を反映していた(0.2~0.4GI/L;J Allergy Clin.Immunol.2020年8月;146(2) 337~343頁)。
【0254】
シミュレーションに利用されたモデルパラメータ値は、パラメータ推測値が中心にあり、共分散がパラメータ推測値の不確実性を反映する多変量正規分布からサンプリングされた。説明できない残留変動性がシミュレーションに含まれていた。シミュレーションの結果が、対数値(logs)の幾何平均及び標準偏差並びに95%予測区間に関して要約された。
【0255】
実施例4:多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)のための投与量を決定するためのモデル化
EGPAの第3相研究のための提案された28Y042-7F11-1の、26週ごとの200mgの用量及び投与頻度は、モデル情報に基づく薬物開発(MIDD)原理を使用して特定された。28Y042-7F11-1の投与レジメンは、EGPA集団におけるピボタル第3相試験においてメポリズマブにより観察される血中好酸球の薬理に、処置期間全体にわたって厳密に適合するように選択された。28Y042-7F11-1のさらなる用量範囲は、提案された第3相プログラムを開始する前には必要ないと考えられる。シミュレーション分析では、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1の200mgのSC用量を超える場合、血中好酸球減少の点では限定され;一方、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが示される。
【0256】
所望の血中好酸球薬理が、EGPAにおけるメポリズマブを用いたピボタル第3相試験によって報告され、本試験では、メポリズマブ群の参加者の32%が36週目と48週目の両方で寛解を達成した(プラセボ群では3%)。本試験において、ベースラインに対して比較される定常状態での好酸球減少は、4週ごとにメポリズマブ300mg SCを投与した後、79%であった。この減少は、治療期間終了時の血中好酸球数の幾何平均(std log)に換算され、4週ごとにメポリズマブ300mg SCの投与を受けたコホートでは0.038(0.9398)GI/Lに相当する。シミュレーション分析は、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1投与レジメンである200mg SCを超える場合、血中好酸球の減少の点では限定されていることを示している。さらに、シミュレーション分析では、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが示される。
【0257】
28Y042-7F11-1の用量及び投与頻度の選択は、以前のメポリズマブの薬理を標的にしており、以下の理由から有効であり、かつ迅速である:
・ 28Y042-7F11-1はメポリズマブと同じIL-5エピトープを標的としているため、同じIL-5中和を介してメポリズマブと同じ血中好酸球の減少を確立することで、本研究のために選択されたEGPA患者集団で類似の臨床的有効性が得られることが予想される。
・ IL-5中和のこれまでの安全性プロファイルは、プラセボと同等である。
【0258】
28Y042-7F11-1の用量選択を裏付けるために使用されたPK-血中好酸球モデルは、メポリズマブの臨床開発中に種々の好酸球状態及び健康な対象における薬物動態サンプル、血中好酸球数測定値、共変量を収集した16件のメポリズマブ研究のデータに基づいて開発された、間接曝露-好酸球モデルに基づく更新モデルである。モデルは、ベースラインの血中好酸球(KRO)、排出速度(KOUT)、最大阻害効果(Imax)、50%の最大阻害薬物効果をもたらす濃度(IC50)及びヒル係数(GAMA)に関してパラメータ化された。対象間変動性が、指数関数的モデルを使用してベースラインの血中好酸球及び最大薬物効果に対して組み込まれた。測定されたベースラインの血中好酸球数は、KRO及びImaxの共変量であった。疾患が、KROについての共変量であった。このモデルは、メポリズマブと比較される28Y042-7F11-1のより長い半減期及び増強された効力を反映するために、同じモデル構造を維持しながら更新された。モデルのIC50パラメータ、対象間変動性及び説明できない残留変動性が、軽度~重度の喘息における28Y042-7F11-1による単回漸増用量第1相研究からのPK及び好酸球のデータに基づいて推定された。最大の達成可能な薬物阻害応答に対する、また、モデル予測のベースライン血中好酸球に対するベースライン好酸球レベルの影響は、メポリズマブと28Y042-7F11-1との間で同じであると仮定された。
【0259】
28Y042-7F11-1のPK-血中好酸球のシミュレーションは、28Y042-7F11-1の第1相研究からのデータに基づいて開発された28Y042-7F11-1のPKモデル及び更新されたPK-血中好酸球モデルに基づいていた。ベースラインにおけるシミュレーションされた好酸球レベルは、EGPAにおけるメポリズマブ第3相ピボタル試験での実測値(すなわち、0.177GI/L)及びより高い値(すなわち、1.0GI/L)を反映し、より高い値は、処置経過中に標的の経口コルチコステロイド用量を4mg/日未満にして、経口コルチコステロイドが漸減される場合の疾患負荷をより反映していた。
【0260】
シミュレーションに利用されたモデルパラメータ値は、パラメータ推測値が中心にあり、共分散がパラメータ推測値の不確実性を反映する多変量正規分布からサンプリングされた。説明できない残留変動性がシミュレーションに含まれていた。シミュレーションの結果が、対数値(logs)の幾何平均及び標準偏差並びに95%予測区間に関して要約された。
【0261】
実施例5:好酸球増多症候群(HES)のための投与量を決定するためのモデル化
HESの第3相研究のための提案された28Y042-7F11-1の、26週ごとに200mgの用量及び投与頻度は、モデル情報に基づく薬物開発(MIDD)原理を使用して特定された。28Y042-7F11-1の投与レジメンは、HES集団におけるピボタル第3相試験においてメポリズマブにより観察される血中好酸球の薬理に、処置期間全体にわたって厳密に適合するように選択された。28Y042-7F11-1のさらなる用量範囲は、提案された第3相プログラムを開始する前には必要ないと考えられる。シミュレーション分析では、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1の200mgのSC用量を超える場合、血中好酸球減少の点では限定され;一方、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが実際に示される。
【0262】
所望の血中好酸球薬理が、HESにおけるメポリズマブを用いたピボタル第3相試験によって報告され、メポリズマブで処置された場合、プラセボと比較して、HESの再燃を経験した参加者又は試験から離脱した参加者が50%少なかった。本試験において、ベースラインに対して比較される定常状態での好酸球減少は、4週ごとにメポリズマブ300mg SCを投与した後、95%であった。この減少は、治療期間終了時の血中好酸球数の幾何平均(std log)に換算され、4週ごとにメポリズマブ300mg SCの投与を受けたコホートでは0.07(1.299)GI/Lに相当する。シミュレーション分析は、追加の利益は、26週ごとに投与される提案された28Y042-7F11-1投与レジメンである200mg SCを超える場合、血中好酸球の減少の点では限定されていることを示している。さらに、シミュレーション分析では、用量がそれよりも少なければ、その用量は所望の血中好酸球の薬理に適合しないため、おそらくは有効ではないことが示される。
【0263】
28Y042-7F11-1の用量及び投与頻度の選択は、以前のメポリズマブの薬理を標的にしており、以下の理由から有効であり、かつ迅速である:
・ 28Y042-7F11-1はメポリズマブと同じIL-5エピトープを標的としているため、同じIL-5中和を介してメポリズマブと同じ血中好酸球の減少を確立することで、本研究のために選択されたHES患者集団で類似の臨床的有効性が得られることが予想される。
・ IL-5中和のこれまでの安全性プロファイルは、プラセボと同等である。
【0264】
28Y042-7F11-1の用量選択を裏付けるために使用されたPK-血中好酸球モデルは、メポリズマブの臨床開発中に種々の好酸球状態及び健康な対象における薬物動態サンプル、血中好酸球数測定値、共変量を収集した16件のメポリズマブ研究のデータに基づいて開発された、間接曝露-好酸球モデルに基づく更新モデルである。モデルは、ベースラインの血中好酸球(KRO)、排出速度(KOUT)、最大阻害効果(Imax)、50%の最大阻害薬物効果をもたらす濃度(IC50)及びヒル係数(GAMA)に関してパラメータ化された。対象間変動性が、指数関数的モデルを使用してベースラインの血中好酸球及び最大薬物効果に対して組み込まれた。測定されたベースラインの血中好酸球数は、KRO及びImaxの共変量であった。疾患が、KROについての共変量であった。このモデルは、メポリズマブと比較される28Y042-7F11-1のより長い半減期及び増強された効力を反映するために、同じモデル構造を維持しながら更新された。モデルのIC50パラメータ、対象間変動性及び説明できない残留変動性が、軽度~重度の喘息における28Y042-7F11-1による単回漸増用量第1相研究からのPK及び好酸球のデータに基づいて推定された。最大の達成可能な薬物阻害応答に対する、また、モデル予測のベースライン血中好酸球に対するベースライン好酸球レベルの影響は、メポリズマブと28Y042-7F11-1との間で同じであると仮定された。
【0265】
28Y042-7F11-1のPK-血中好酸球のシミュレーションは、28Y042-7F11-1の第1相研究からのデータに基づいて開発された28Y042-7F11-1のPKモデル及び更新されたPK-血中好酸球モデルに基づいていた。ベースラインにおけるシミュレーションされた好酸球レベルは、HESにおけるメポリズマブ第3相ピボタル試験での実測値(すなわち、1.46GI/L)を反映していた。
【0266】
シミュレーションに利用されたモデルパラメータ値は、パラメータ推測値が中心にあり、共分散がパラメータ推測値の不確実性を反映する多変量正規分布からサンプリングされた。説明できない残留変動性がシミュレーションに含まれていた。シミュレーションの結果が、対数値(logs)の幾何平均及び標準偏差並びに95%予測区間に関して要約された。
【0267】
実施例6:第III相臨床プロトコール-鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)
予測的な本実施例は、意図された第III相臨床研究を記載する。
【0268】
本実施例は、CRSwNPを有するおよそ250名の成人におけるデペモキマブ(100mg)+標準治療(SoC)の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群第III相研究である。本研究の目的は、52週間にわたり6か月ごとにプレフィルド安全シリンジデバイスを介して現場スタッフによって皮下(SC)投与されるデペモキマブ(100mg)+SoCによる有効性及び安全性を評価することである。デペモキマブの有効性は、52週目での総内視鏡鼻ポリープ(NP)スコアにおけるベースラインからの変化と、49週目から52週目までの平均鼻閉塞VRSスコアにおけるベースラインからの変化との2つの主要評価項目を使用して評価される。
【0269】
研究集団は、CRSwNPを有する成人参加者(18歳)からなる。さらに、参加者は、最大スコア8のうち少なくとも5の内視鏡NPスコアを有し、各鼻腔の最小スコアが2である必要がある。参加者はまた、過去2年以内のいつでも全身性コルチコステロイド(SCS)による事前の処置を受けている必要があり、及び/又は、SCSに対する医学的禁忌/不耐性を有する必要があり、及び/又は、スクリーニング来院時にNPの以前の手術歴が記録されている必要がある。
【0270】
本研究は、4週間の導入期間、続いて、二重盲検、プラセボ対照相としての52週間の処置期間への無作為化を含む。総研究継続期間は、およそ56週である。無作為化は、鼻ポリープのための以前の手術の有無及び国(country)に基づいて階層化される。参加者は1:1の比で、2つの処置群の一方に無作為化され、合計2回(26週間隔)にわたって、デペモキマブSC又はプラセボ(両方ともSoCに加えて)を受ける。
【0271】
研究期間全体(導入期間+処置期間)を通じて、参加者はCRSwNPのSoCを受けている。地域の診療に応じて、SoCは、INCS、生理食塩水による鼻洗、全身性コルチコステロイドの時折の短期クール、及び/又は抗生物質を含む。地域のSoC/処置に応じて、INCS及び/又はLTRAで処置された患者は、可能であれば、研究期間にわたって、中断も用量の変更もなく、これらの処置を継続する必要がある。参加者がスクリーニング前にINCS又はLTRAを受けていない場合、参加者は研究中にいかなるINCS又はLTRAも開始することを禁止される。
【0272】
重要な主要評価項目は以下を含む:
52週目における総内視鏡NPスコアのベースラインからの変化。
52週目から4週間前の期間中における平均鼻閉塞VASスコアにおけるベースラインからの変化。
【0273】
重要な選択基準は以下を含む:
インフォームドコンセント署名時において年齢が18歳以上の男性又は女性。
治験責任医師が評価した内視鏡両側NPスコアが、最大スコア8のうち少なくとも5(各鼻腔の最小スコアは2)。
以下のうちの少なくとも1つを1回目来院時に有していた参加者:
・NP除去のための以前の鼻腔手術;
・過去2年間にNPの処置に少なくとも3日連続して全身性コルチコステロイドを使用したことがある;
・全身性コルチコステロイドが医学的に不適切又は不耐性である。
中等度又は重度の重症度(VRSスコアは2又は3)及び嗅覚喪失を伴う鼻づまり又は鼻閉又は鼻閉塞又は鼻漏(鼻水)の症状と定義される、重度のNP症状を有する参加者。
1回目の来院の少なくとも12週間前に少なくとも2つの異なる症状で説明される慢性副鼻腔炎の症状の存在であって、そのうちの1つが鼻汁(前鼻漏/後鼻漏)、加えて顔面痛/圧迫及び/又は嗅覚の低下若しくは喪失のいずれかでなければならないもの。
【0274】
実施例7:第III相臨床プロトコール-多発血管炎を伴う好酸球性肉芽腫症(EGPA)
予測的な本実施例は、意図された第III相臨床研究を記載する。
【0275】
本実施例は、再発性又は難治性のEGPAの既往歴を有し、安定な免疫抑制療法の伴う場合と伴わない場合で、安定なコルチコステロイド療法を受けている成人参加者において、メポリズマブと比較したデペモキマブ(28Y042-7F11-1)の有効性及び安全性を調査する52週間の無作為化、二重盲検、二重ダミー、並行群間、多施設、非劣性研究である。
【0276】
参加者は、ベースライン(無作為化/2回目の来院2)の少なくとも4週間前に、安定な用量のOCS、すなわち≧7.5mg/日のプレドニゾロン/プレドニゾン(ただし50mg/日を超えない)を受けている必要がある。その他の免疫抑制療法を受けている参加者は、ベースライン(無作為化/2回目の来院2)の少なくとも4週間前に、安定な用量を受けている必要があり、研究期間中は免疫抑制療法を継続しなければならない。
【0277】
参加者は、SoC療法への追加として26週間ごとに2×100mg注射で与えられ、投与される200mgのデペモキマブSCを受けるか、又は標準治療(SoC療法)への追加として4週間ごとに投与される300mgのメポリズマブSCを受けるかに、1:1の比率で無作為に割り当てられる。
【0278】
プロトコール全体にわたって、デペモキマブ処置とは、SoC療法への追加として26週間ごとに投与される200mgのデペモキマブSCを指し、メポリズマブ処置とは、SoC療法への追加として4週ごとに投与されるメポリズマブSCを指す。
【0279】
本研究は、スクリーニング/導入期間(1~4週)、介入期間(52週)及び追跡調査期間(4週)で構成される。
【0280】
およそ192名の参加者がスクリーニングされ、160名の参加者が無作為化される(およそ80名の参加者がデペモキマブ200mgに無作為化され、およそ80名の参加者がメポリズマブ300mgに無作為化される)。
【0281】
介入群及び継続期間:
参加者は、SoC EGPA療法を継続しながら、プレフィルド安全シリンジ(PFS)を使用してSC投与される、26週ごとの(0週目と26週目)デペモキマブ200mg又は4週間ごとのメポリズマブ300mgのいずれかの処置を受ける。処置継続期間は52週であり、その後に、処置を伴わない4週間の追跡調査期間が続く。デペモキマブの最終用量は26週目に投与され、メポリズマブの最終用量は48週目に投与される。
【0282】
主要評価項目
- 36週目及び52週目の両方での寛解
- 寛解はバーミンガム血管炎活動性スコア(Birmingham Vasculitis Activity Score)、BVAS=0、及び、OCS用量≦4mg/日と定義される。
【0283】
EGPAの寛解及び再発は以下の2つの成分を有する:
症状における変化
OCS用量における変化
【0284】
重要な選択基準は以下を含む:
- 年齢≧18歳
- 喘息プラス好酸球増多(>1.0×10/L及び/又は>10%白血球)、プラスEGPAの少なくとも2つの追加の特徴の病歴又は存在に基づき、少なくとも6か月間EGPAと診断されている
- 再発性疾患又は難治性疾患の病歴
ベースラインから少なくとも4週間前の、経口プレドニゾロンの安定な用量が≧7.5mg/日(ただし50mg/日を超えない)である。IS療法を受けている場合は、ベースラインの4週間前から、かつ研究期間中安定している必要がある。
【0285】
実施例8:第III相臨床プロトコール-好酸球増多症候群(HES)
予測的な本実施例は、意図された第III相臨床研究を記載する:本実施例は、標準治療(SoC)を受けているコントロール不良のHESを有する成人(≧18歳)におけるデペモキマブ(28Y042-7F11-1)の52週間の無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間、多施設共同研究である。
【0286】
本研究では、HESの確定診断を有し、無作為化(2回目の来院)の前に少なくとも4週間安定なHES治療を受けている男性及び女性の患者を募集する。適格な参加者は、再燃の病歴(過去12か月間に≧2回再発)を有するコントロール不良のHESを有し、スクリーニング期間中の血中好酸球数が≧1,000個/μLである必要がある。過去のHES再燃は、治療の強化を必要とする、HES関連の臨床症状又は血中好酸球数の悪化が記録されていることと定義される。
【0287】
参加者はスクリーニング来院(1回目の来院)に参加し、スクリーニング活動を開始する前に同意書に署名する必要がある。包含基準及び除外基準を満たす参加者は、2:1の比率で無作為化され、SoC HES療法を継続しながら、6か月ごとにデペモキマブ200mg(2×100mg注射として与えられる)(0週目及び26週目)又はプラセボをSC投与される。
【0288】
研究中の参加者の管理は、定型的な医療ケアに従って行われる、すなわち、参加者は、通常の診療に従って症状の悪化を経験した場合、評価のために治験責任医師に連絡するか、必要に応じて緊急治療を求めるように指示される。治験責任医師は、HESコア評価v2を使用して、HES再発の存在を評価する(予定外の再燃来院)。
【0289】
およそ120名の参加者が無作為化される(およそ80名の参加者がデペモキマブ200mgに無作為化され、40名の参加者がプラセボに無作為化される)。
【0290】
参加者は、SoC HES療法を継続しながら、プレフィルド安全シリンジを介してSC投与される、6か月ごとの(0週目と26週目に)デペモキマブ200mg又はプラセボのいずれかを受ける。研究介入継続期間は52週である。研究介入の最終用量は26週目に投与される。すべての参加者について、最長で4週間、すなわち、最後の用量が投与された後30週までの追加の追跡調査期間がある。
【0291】
主要評価項目
何らかの理由で処置を中止したかどうか、また代替のHES薬を服用したかどうかに関係なく、HESを有する参加者における52週間にわたるHES再燃の頻度に関して、26週間ごとのデペモキマブ200mg SCプラスSoCとプラセボプラスSoCとを比較した場合の比率を決定すること
52週の処置期間中のHES再燃の頻度を決定すること。
HES再燃の定義:
医師が記録した臨床徴候/症状の変化に基づくHES関連の臨床症状で、以下が必要となる:
維持OCS用量の増加
細胞毒性及び/又は免疫抑制HES療法の増加又は追加
処置期間中に盲検下での活性OCSを2コース以上受けたこと(好酸球性再燃)
【0292】
重要な選択基準は以下を含む:
年齢≧18歳、男性及び女性
無作為化前にHESと診断されていること:
≧1か月の間隔で少なくとも2回、血中好酸球数が>1,500/μL、認識可能な非血液学的二次原因がないこと、及び
好酸球増多症に直接関連している可能性のある臓器障害及び/又は機能不全の兆候又は症状
スクリーニング前の12か月以内に2回以上のHES再燃の病歴:
HESに関連する臨床症状又は血中好酸球数の悪化により、OCS又は細胞傷害性/免疫抑制療法の追加又は強化を必要とすること。
【0293】
過去12か月以内に少なくとも1回のHES再燃がみられた場合、HES再燃は、再燃前の4週間にHES療法が減少したことと関連があってはならない。
【0294】
実施例9:第III相臨床プロトコール-鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)
本実施例は予測的な実施例であり、意図された第III相臨床研究を広く記載する。
【0295】
本実施例は、CRSsNPを有し、ベースラインBECが≧300の細胞/μLの≧12歳の参加者に、100mg SCデペモキマブ(28Y042-7F11-1)の有効性及び安全性を研究する無作為化、二重盲検、プラセボ対照並行群第3相研究である。本研究の目的は、52週間26か月ごとに、プレフィルド安全シリンジデバイスを介して現場スタッフによって投与されるデペモキマブ100mg SC+SoCの有効性及び安全性を評価することである。デペモキマブの有効性は、52週目でのLMKCTスコアにおけるベースラインからの変化と、52週目までの平均鼻閉塞VRSスコアにおけるベースラインからの変化との2つの主要評価項目を使用して評価される。
【0296】
研究集団は、CRSsNPの青年期(≧12~17歳)及び成人(≧18歳)の参加者で構成される可能性が高い。加えて、参加者は、スクリーニング時に血中好酸球数(BEC)が≧300個/μL、及びCTスキャンのLMKスコアが≧8、及び無作為化前の両側篩骨混濁を有する可能性が高い。加えて、参加者が適格となるには、顔面疼痛/圧迫感を伴う場合と又は伴わない場合で、1回目の来院の少なくとも連続12週間前までに嗅覚喪失の症状及びあらゆる重症度の鼻漏(前鼻漏/後鼻漏)の症状を有していること、1回目の来院の少なくとも連続12週間前までにNCであること、1回目の来院(日スコア)及び2回目の来院(週平均スコア)でNCスコアが≧2であることが必要である。参加者はまた、1回目の来院(日スコア)及び2回目の来院(週平均スコア)で、sTSS(NC、鼻漏、顔面疼痛/圧迫感)スコアが≧5であることも必要である。参加者はまた、過去2年以内のいつでもSCSによる事前の処置を受けている必要があり、及び/又はSCSに対する医学的禁忌/不耐性を有する必要があり、及び/又はスクリーニング来院時にCRSの以前の手術歴が記録されている必要があり、適切な標準治療による処置にもかかわらず症状が再発している必要がある。参加者(日本在住者を除く)は、スクリーニング前の少なくとも8週間、毎日、鼻腔内コルチコステロイド(INCS)[鼻腔内液体ステロイド洗浄/洗を含む]による処置を受けている必要がある。
【0297】
本研究は、4週間の導入期間、続いて、二重盲検、プラセボ対照相としての52週間の処置期間への無作為化、及び4週間の安全性追跡調査期間を含む。総研究継続期間は、追跡調査期間を含めて、およそ60週である。無作為化は、以前の副鼻腔手術の有無及び国(country)に基づいて階層化される。参加者は1:1の比で、2つの処置群の一方に無作為化され、合計2回(26週間隔)にわたって、デペモキマブSC又はプラセボ(両方ともSoCに加えて)を受ける。研究期間全体(導入期間+処置期間)を通じて、参加者はCRSsNPのSoCを受けている。地域の診療に応じて、SoCは、INCS、生理食塩水による鼻洗、全身性コルチコステロイドの時折の短期クール、及び/又は、抗生物質を含み得る。
【0298】
本研究の主な目的は、プラセボ+SoCと比較したデペモキマブ+SoCの優位性について、以下の主要評価項目で評価することである:
a)ベースラインから52週までの平均鼻づまりVRSスコアの変化
b)CTスキャンでLund Mackayスコア(LMK)スコアを使用して評価した副鼻腔の混濁のベースラインから52週までの変化。
【0299】
配列
配列番号1-全長重鎖
QVTLRESGPALVKPTQTLTLTCTVSGFSLTGSSVHWVRQPPGKGLEWLGVIWASGGTDYNSALMSRLSISKDTSRNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARDPPSGLLRLDYWGRGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号2-全長軽鎖
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLLNSGNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYGASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNVHSFPFTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号3-VH配列
QVTLRESGPALVKPTQTLTLTCTVSGFSLTGSSVHWVRQPPGKGLEWLGVIWASGGTDYNSALMSRLSISKDTSRNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARDPPSGLLRLDYWGRGTLVTVSS
配列番号4-VL配列
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSLLNSGNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYGASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNVHSFPFTFGGGTKLEIKR
配列番号5-CDRH1
GSSVH
配列番号6-CDRH2
VIWASGGTDYNSALMS
配列番号7-CDRH3
DPPSGLLRLDY
配列番号8-CDRL1
KSSQSLLNSGNQKNYLA
配列番号9-CDRL2
GASTRES
配列番号10-CDRL3
QNVHSFPFT
配列番号11-ヒトIL-5(成熟タンパク質)
IPTEIPTSALVKETLALLSTHRTLLIANETLRIPVPVHKNHQLCTEEIFQGIGTLESQTVQGGTVERLFKNLSLIKKYIDGQKKKCGEERRRVNQFLDYLQEFLGVMNTEWIIES
配列番号12-ヒトIL-5受容体サブユニットアルファアイソフォーム1(成熟タンパク質)
DLLPDEKISLLPPVNFTIKVTGLAQVLLQWKPNPDQEQRNVNLEYQVKINAPKEDDYETRITESKCVTILHKGFSASVRTILQNDHSLLASSWASAELHAPPGSPGTSIVNLTCTTNTTEDNYSRLRSYQVSLHCTWLVGTDAPEDTQYFLYYRYGSWTEECQEYSKDTLGRNIACWFPRTFILSKGRDWLAVLVNGSSKHSAIRPFDQLFALHAIDQINPPLNVTAEIEGTRLSIQWEKPVSAFPIHCFDYEVKIHNTRNGYLQIEKLMTNAFISIIDDLSKYDVQVRAAVSSMCREAGLWSEWSQPIYVGNDEHKPLREWFVIVIMATICFILLILSLICKICHLWIKLFPPIPAPKSNIKDLFVTTNYEKAGSSETEIEVICYIEKPGVETLEDSVF
配列番号13-リーダー配列を有する全長重鎖をコードするDNA
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配列番号14-リーダー配列を有する全長軽鎖をコードするDNA
atgggctggtcctgcatcatcctgtttctggtggccaccgccaccggtgtgcacagcgacatcgtgatgacccagtctcccgattcactggccgtgagcctgggcgagagggccaccatcaactgcaagagcagccagagcctcctgaacagcggcaaccagaagaactacctggcctggtaccagcagaaacccggccagccccccaagctgctgatctatggcgcctccaccagggagagcggcgtgccagacaggtttagcggcagcggcagcggcaccgacttcaccctgacaatcagcagcctgcaggccgaggacgtggccgtgtactactgccagaacgtccacagcttccccttcaccttcggcgggggaaccaagctggagatcaagcgtacggtggccgcccccagcgtgttcatcttcccccccagcgatgagcagctgaagagcggcaccgccagcgtggtgtgtctgctgaacaacttctacccccgggaggccaaggtgcagtggaaggtggacaatgccctgcagagcggcaacagccaggagagcgtgaccgagcaggacagcaaggactccacctacagcctgagcagcaccctgaccctgagcaaggccgactacgagaagcacaaggtgtacgcctgtgaggtgacccaccagggcctgtccagccccgtgaccaagagcttcaaccggggcgagtgc
配列番号15-重鎖可変領域をコードするDNA
caggtgaccctgagggagagcggccccgccctggtgaagcccacacagaccctcactctgacctgcaccgtgagcggcttcagcctgaccggctctagcgtccactgggtgaggcagccccccggcaagggcctggagtggctgggcgtgatctgggcaagcggggggacggactacaactcggccctgatgagcaggctctccatcagcaaggacaccagccggaaccaggtggtgctgaccatgaccaacatggaccccgtggacaccgccacctattactgcgccagggaccctccctccggcctgctgaggctggactactggggcaggggaacactagtgaccgtgtccagc
配列番号16-軽鎖可変領域をコードするDNA
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配列番号17-全長重鎖をコードするDNA
caggtgaccctgagggagagcggccccgccctggtgaagcccacacagaccctcactctgacctgcaccgtgagcggcttcagcctgaccggctctagcgtccactgggtgaggcagccccccggcaagggcctggagtggctgggcgtgatctgggcaagcggggggacggactacaactcggccctgatgagcaggctctccatcagcaaggacaccagccggaaccaggtggtgctgaccatgaccaacatggaccccgtggacaccgccacctattactgcgccagggaccctccctccggcctgctgaggctggactactggggcaggggaacactagtgaccgtgtccagcgccagcaccaagggccccagcgtgttccccctggcccccagcagcaagagcaccagcggcggcacagccgccctgggctgcctggtgaaggactacttccccgagcccgtgaccgtgtcctggaacagcggagccctgaccagcggcgtgcacaccttccccgccgtgctgcagagcagcggcctgtacagcctgagcagcgtggtgaccgtgcccagcagcagcctgggcacccagacctacatctgtaacgtgaaccacaagcccagcaacaccaaggtggacaagcgggtggagcccaagagctgtgacaagacccacacctgccccccctgccctgcccccgagctgctgggaggccccagcgtgttcctgttcccccccaagcctaaggacaccctgtacatcaccagagaacccgaggtgacctgtgtggtggtggatgtgagccacgaggaccctgaggtgaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcacaatgccaagaccaagcccagggaggagcagtacaacagcacctaccgggtggtgtccgtgctgaccgtgctgcaccaggattggctgaacggcaaggagtacaagtgtaaggtgtccaacaaggccctgcctgcccctatcgagaaaaccatcagcaaggccaagggccagcccagagagccccaggtgtacaccctgccccctagcagagaggagatgaccaagaaccaggtgtccctgacctgcctggtgaagggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaacggccagcccgagaacaactacaagaccaccccccctgtgctggacagcgatggcagcttcttcctgtacagcaagctgaccgtggacaagagcagatggcagcagggcaacgtgttcagctgctccgtgatgcacgaggccctgcacaatcactacacccagaagagcctgagcctgtcccctggcaag
配列番号18-全長軽鎖をコードするDNA
gacatcgtgatgacccagtctcccgattcactggccgtgagcctgggcgagagggccaccatcaactgcaagagcagccagagcctcctgaacagcggcaaccagaagaactacctggcctggtaccagcagaaacccggccagccccccaagctgctgatctatggcgcctccaccagggagagcggcgtgccagacaggtttagcggcagcggcagcggcaccgacttcaccctgacaatcagcagcctgcaggccgaggacgtggccgtgtactactgccagaacgtccacagcttccccttcaccttcggcgggggaaccaagctggagatcaagcgtacggtggccgcccccagcgtgttcatcttcccccccagcgatgagcagctgaagagcggcaccgccagcgtggtgtgtctgctgaacaacttctacccccgggaggccaaggtgcagtggaaggtggacaatgccctgcagagcggcaacagccaggagagcgtgaccgagcaggacagcaaggactccacctacagcctgagcagcaccctgaccctgagcaaggccgactacgagaagcacaaggtgtacgcctgtgaggtgacccaccagggcctgtccagccccgtgaccaagagcttcaaccggggcgagtgc
配列番号19-重鎖FR4配列
WGRGTLVTVSS
【0300】
本発明は、ここまで十分に記載されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明に多くの変更及び修正がなされ得ることが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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【国際調査報告】