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特表2024-542785浮体式風力タービンのための動的ケーブルの引き込み
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】浮体式風力タービンのための動的ケーブルの引き込み
(51)【国際特許分類】
   B63B 75/00 20200101AFI20241108BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20241108BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20241108BHJP
   B63B 21/50 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
B63B75/00
B63B35/00 T
B63B21/00 B
B63B21/50 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533011
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 NO2022050278
(87)【国際公開番号】W WO2023101562
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】20211513
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524206913
【氏名又は名称】コングスベルグ マリタイム アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オネンセン、アーリルド
(72)【発明者】
【氏名】オーイエン、クリスチャン アイヴァー
(72)【発明者】
【氏名】テンフィヨルド、ラーシュ ペッテル
(57)【要約】
船舶5から浮体式風力タービン2への動的ケーブル3の遠隔ケーブル引き込みのためのシステムであって、浮体式風力タービン2に接続される動的ケーブル3に取り付け可能な引き込みワイヤ10を有する、浮体式風力タービン2と、動的ケーブル3を浮体式風力タービン2に接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶5であって、引き込みワイヤは動的ケーブル3に取り付け可能であり、船舶5は引き込みワイヤと浮体式風力タービンに取り付けられた動的ケーブル3とを引っ張るように適合される、船舶5とを有し、引き込み動作の間の船舶5と浮体式風力タービン2との間の相対運動を補償するように適合されているシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶(5)から浮体式風力タービン(2)への動的ケーブル(3)の遠隔ケーブル引き込みのためのシステムであって、
浮体式風力タービン(2)であって、前記浮体式風力タービン(2)に接続される動的ケーブル(3)に取り付け可能な引き込みワイヤ(10)を有する浮体式風力タービン(2)と、
前記動的ケーブル(3)を前記浮体式風力タービン(2)に接続するための動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶(5)であって、前記引き込みワイヤは前記動的ケーブル(3)に取り付け可能であり、前記船舶(5)は、前記引き込みワイヤと前記取り付けられた動的ケーブル(3)とを前記浮体式風力タービンに引っ張るように適合されている、船舶(5)と
を有し、
前記引き込み動作の間の前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の相対移動を補償するように適合されている、システム。
【請求項2】
前記システムは、前記船舶(5)及び/又は前記浮体式風力タービン(2)のいずれかの垂直及び/又は水平運動によって引き起こされる前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の変動する距離によって生じ得る、前記浮体式風力タービン(2)に対する前記引き込みワイヤの移動を補償するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記浮体式風力タービンと前記船舶との間の前記距離を測定するためのセンサをさらに有する、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の相対移動が、少なくとも2つのセンサからのデータを使用することによって間接的に推定され、したがって少なくとも1つの第1のセンサが前記船舶(5)上に配置され、少なくとも1つの第2のセンサが前記浮体式風力プラットフォーム(2)上に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記船舶(5)は、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて前記船舶(5)を制御するように適合された動的位置決めシステム(51)を備える、請求項1から4までの一項に記載のシステム。
【請求項6】
ウィンチ制御(61)システムが、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいて前記船舶上のウィンチ(6)を制御するように適合されている、請求項1から5までの一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記引き込み動作の間の前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の前記相対移動を補償することが、
前記ウィンチ(6)、又は
前記ウィンチ(6)及び前記動的位置決めシステム(51)
によって実行される、請求項1から8までの一項に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの慣性航法システム(INS)(13)をさらに有する、請求項1から9までの一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、衛星航法システム又は慣性計測装置のうちの少なくとも1つをさらに有する、請求項1から10までの一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記慣性計測装置は、モーション・リファレンス・ユニット(MRU)及びモーション・ジャイロ・コンパス(MGC)のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記動的ケーブル(3)のための前記浮体式風力タービン上のハングオフ領域をモニタするために少なくとも1つの第2のセンサをさらに有する、請求項1から12までの一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記浮体式風力プラットフォームから前記船舶(5)に少なくとも1つのセンサ信号を伝達するように適合された第1の通信システム(15)と、
前記少なくとも1つのセンサ信号を受信するための前記船舶上の第2の通信システム(18)と
をさらに有する、請求項1から13までの一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の通信システム(15)及び前記第2の通信システム(18)は、好ましくは海洋ブロードバンド無線(MBR)である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
浮体式風力タービン(2)であって、
前記浮体式風力タービン(2)に接続される動的ケーブル(3)に取り付け可能な引き込みワイヤ(10)を有し、
前記引き込みワイヤは、前記浮体式風力タービンへの前記動的ケーブルの(3)の引き込み動作を実行するために船舶(5)に取り付け可能であり、また前記船舶(5)は、前記引き込み動作の間の前記浮体式風力タービン(2)と前記船舶(5)との間の相対移動を補償するように適合されている、浮体式風力タービン(2)。
【請求項17】
前記船舶(5)は、前記船舶(5)及び/又は前記浮体式風力タービン(2)のいずれかの垂直及び/又は水平運動によって引き起こされる前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の変動する距離によって生じ得る、前記浮体式風力タービン(2)に対する前記引き込みワイヤの移動を補償するように適合されている、請求項16に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項18】
前記浮体式風力タービンと前記船舶との間の前記距離を測定するためのセンサをさらに有する、請求項16又は請求項17に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項19】
少なくとも1つの慣性航法システム(INS)(13)をさらに有する、請求項16から18までの一項に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項20】
衛星航法システムと、好ましくはモーション・リファレンス・ユニット(MRU)又はモーション・ジャイロ・コンパス(MGC)である慣性計測装置(13)とのうちの少なくとも1つをさらに有する、請求項16から19までの一項に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項21】
前記動的ケーブル(3)のためのハングオフ領域をモニタするために少なくとも1つのセンサをさらに有する、請求項16から20までの一項に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項22】
前記少なくとも1つのセンサは、前記動的ケーブルが最終のハングオフ位置にあるときに信号を提供するように適合されている、請求項21に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項23】
引き込まれて前記浮体式風力タービンに接続される前記動的ケーブル(3)のハングオフのために適合されたハングオフ装置をさらに有する、請求項16から22までの一項に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項24】
前記浮体式風力タービンから前記船舶(5)に少なくとも1つの信号を伝達するように適合された通信システム(15)、好ましくは海洋ブロードバンド無線(MBR)をさらに有する、請求項16から23までの一項に記載の浮体式風力タービン(2)。
【請求項25】
引き込みワイヤを備えた浮体式風力タービン(2)に動的ケーブル(3)を接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶(5)であって、前記引き込みワイヤは前記動的ケーブル(3)に取り付け可能であり、前記船舶(5)は、前記動的ケーブル(3)を前記浮体式風力タービンに引き込むために前記引き込みワイヤを引っ張るように適合されたウィンチ(6)を有し、前記船舶は、前記引き込み動作の間の前記浮体式風力タービン(2)と前記船舶(5)との間の相対移動を補償するように適合されている、船舶(5)。
【請求項26】
前記船舶は、前記船舶(5)及び/又は前記浮体式風力タービン(2)のいずれかの垂直及び/又は水平運動によって引き起こされる前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の変動する距離によって生じ得る、前記浮体式風力タービン(2)に対する前記引き込みワイヤの移動を補償するように適合される、請求項25に記載の船舶(5)。
【請求項27】
前記浮体式風力タービンと前記船舶との間の前記距離を測定するためのセンサをさらに有する、請求項25又は26に記載の船舶(5)。
【請求項28】
少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて前記船舶(5)を制御するように適合された動的位置決めシステム(51)をさらに有する、請求項25から27までの一項に記載の船舶(5)。
【請求項29】
ウィンチ制御(61)システムが、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいて前記ウィンチを制御するように適合されている、請求項25から28までの一項に記載の船舶(5)。
【請求項30】
前記少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
前記ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つをさらに有する、請求項28に記載の船舶。
【請求項31】
前記少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つをさらに有する、請求項29に記載の船舶。
【請求項32】
前記引き込み動作の間の前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の前記相対移動を補償することが、
前記ウィンチ(6)、又は
前記ウィンチ(6)及び前記動的位置決めシステム(51)
によって実行される、請求項25から31までの一項に記載の船舶。
【請求項33】
前記浮体式風力タービン(2)から少なくとも1つのセンサ信号を受信するための通信システム(18)、好ましくは海洋ブロードバンド無線(MBR)(18)をさらに有する、請求項25から32までの一項に記載の船舶(5)。
【請求項34】
請求項1に記載のシステムによる、動的ケーブルの浮体式風力タービンへのケーブル引き込みを実行するための方法であって、
前記浮体式風力タービン上の引き込みワイヤに前記動的ケーブルを取り付けるステップと、
前記動的ケーブルが前記浮体式風力タービン上のハングオフ装置に位置付けられるまで、前記船舶によって前記引き込みワイヤを引っ張るステップと、
前記引き込み動作の間の前記浮体式風力タービンと前記船舶との間の相対移動を補償するステップとを有する、方法。
【請求項35】
前記システムは、前記船舶(5)及び/又は前記浮体式風力タービン(2)のいずれかの垂直及び/又は水平運動によって引き起こされる前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の変動する距離によって生じ得る、前記浮体式風力タービン(2)に対する前記引き込みワイヤの移動を補償するように適合されている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記浮体式風力タービンと前記船舶との間の距離を測定するステップをさらに有する、請求項34又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記浮体式風力タービン上の前記引き込みワイヤのための出口と、前記船舶上の前記引き込みワイヤのための入口との間の距離を測定するステップをさらに有する、請求項34から36までの一項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて動的位置決めシステムによって前記船舶を制御するステップをさらに有する、請求項34から37までの一項に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいてウィンチ制御システムによって前記ウィンチを制御するステップをさらに有する、請求項35から37までの一項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
前記ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つをさらに有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
前記浮体式風力タービンの位置、
前記船舶の位置、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記浮体式風力タービンの運動、
ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む前記船舶の運動、
前記引き込みワイヤ及び前記動的ケーブルの位置、
前記動的ケーブル内の張力、
前記引き込みワイヤ内の張力、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの位置、
前記FWTに対する前記引き込みワイヤの移動、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの位置、
前記FWTに対する前記動的ケーブルの移動、
DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記引き込み動作の間の前記船舶(5)と前記浮体式風力タービン(2)との間の前記相対移動を補償することが、
前記ウィンチ(6)、又は
前記ウィンチ(6)及び前記動的位置決めシステム(51)
によって実行される、請求項34から41までの一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶から浮体式風力タービン(FWT:floating wind turbine)への動的ケーブルの遠隔ケーブル引き込みのためのシステム、浮体式風力タービン(FWT)、及びFWT上の動的ケーブルの引き込み動作を実行するための船舶、並びに動的ケーブルを浮体式風力タービン(FWT)上に引き込むための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるような浮体式風力タービン・パーク内に編成されたFWT、又は個別のFWTは、一般的に、風力タービンによって産出された電気エネルギーを、例えば陸上、海上、又はエクスポート用であり得るその目的地まで移送するための海中電力ケーブルに接続される。海中エクスポート・ケーブルは、海上変換器又は変電所(OSS:offshore converter or substation)に接続され、さらに、配電網に接続され得る。浮体式風力タービン・パーク内の風力タービンは、アレイ間電力ケーブルによって一緒に接続され得る。産出された電気エネルギーをエクスポートするために、アレイ間ケーブルは、海上変換所又は海上変電所にひとまとめにして接続され得る。海上変電所は、一般的に、サイトの配電電圧からより高い電圧に電圧を上げる役割を果たす。グリッド接続ポイントから遠くに位置するプロジェクトに対して、電気エネルギーは、ACからDCに変換され得る。
【0003】
アレイ間電力ケーブルにおける容量は、一般的に、36kV又は66kVである。高容量ケーブル又はエクスポート・ケーブルは、最大220kVまで有し得る。風力タービンのアレイ間動的電力ケーブルは、一般的に、遷移ジョイント内の海中電力ケーブルに接続される。より大きい風力タービン・パークに対して、タービンは、電力がエクスポート・ケーブル内を進む前に、変換器/変電所に向かういくつかの「ストリング」に接続され得る。アレイ間ケーブルは、ケーブルの静的部分の中の低減された断面に対して、遷移ジョイントを有するケーブルの動的部分の中の特定の断面を含み得る。静的部分は事前設置され、動的ケーブル設置物と接続している動的部分に接続され得る。代替的に、タービンaとタービンbとの間のアレイ間ケーブルの全長において1つの動的に寸法決めされた断面のみを有することは可能であるが、これは、製造及び設置に関するコストの問題である。
【0004】
FWTは、生成された電力を収集してエクスポートするために、動的で高容量の海中ケーブル・システムを必要とする。FWTは、一般的に、それらを多かれ少なかれ安定な位置に保持するために海底に係留される。固定位置において海底に立っているモノパイル風力タービンなどの着床式風力タービンとは対照的に、FWTは浮遊しており、したがって、動きを生じる風、潮流、及び波のような外力にさらされる。ケーブルに対する設置プロセスの間に、設置用船舶が移動することがあるばかりでなく、FWTも、船舶に対して移動することがある。したがって、FWTのための設置手順は、一般に、海底に立つ固定設置型WTと比較すると、解決されるべき技術上及び安全上の問題に関してより一層難易度が高い。波と潮流とに加えてFWTの動き及び偏位が、アレイ間動的電力ケーブルに顕著な動的応力を受けさせる。それゆえ、これらのアレイ間動的ケーブルは、浮体式風力タービンに関する大洋からのすべての運動及び荷重、並びにさらに動的ケーブル自体の重量に適合しなければならない。アレイ間動的ケーブルは、電圧及び曲げに敏感であり、損傷の可能性は、アレイ間動的ケーブルをFWT上に設置している間に高い。アレイ間動的ケーブルを浮体式風力タービンに設置して接続するための工程は、複雑で時間がかかる可能性がある。FWTは、波、風及び潮流などの外力にさらされ、外力に反応するので、設置プロセスは、一般に、着床式風力タービン上の設置プロセスと比較してより複雑で敏感である。動的ケーブル設置に対する今日の解決策は、ケーブル設置用船舶に乗船する人員、及び同じく、ウィンチ制御のために浮体式風力タービンに搭乗する人員によるアクセスを必要とする。アレイ間動的ケーブルを浮体式風力タービンに設置するために、アレイ間動的ケーブルを引き込むための引き込みウィンチは、他の必要なインフラ及び器具とともに浮体式風力タービン(FWT)上に事前設置され得る。引き込みウィンチは、浮体式風力タービン上に残される永久システムか、又は使用後に解体される一時的システムのいずれかであり得る。動き補償通路(ギャングウェイ)を有する支援船が、引き込みクルーにFWTへのアクセスを提供するために使用され得る。引き込みウィンチ・システムがFWT上に一時的に設置される場合、3Dクレーンを有する船舶が、引き込みウィンチ・システムを吊り上げる/吊り下げるために使用され得る。動き補償通路及び3Dクレーンは、より高い気象基準(より高い波、より強い風など)における工程を許容し、及び同じく、アレイ間動的ケーブルを浮体式風力タービンにより安全に設置することを提供し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実証的及び試験的プロジェクトから大規模開発に移行する浮体式風力タービンに対して、アレイ間動的ケーブルを浮体式風力タービンに設置して接続するための新規で改善された方法を開発するという業界のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、船舶から浮体式風力タービンへの動的ケーブルの遠隔ケーブル引き込みのためのシステムを提供する。システムは、
- 浮体式風力タービンに接続される動的ケーブルに取り付け可能な引き込みnを有する、浮体式風力タービンと、
- 動的ケーブルを浮体式風力タービンに接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶であって、引き込みワイヤは動的ケーブルに取り付け可能であり、船舶は引き込みワイヤと浮体式風力タービンに取り付けられた動的ケーブルとを引っ張るように適合される、船舶とを有し、
- システムは、引き込み動作の間の船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動(relative movement)を補償するように適合される。
【0007】
システムは、船舶及び/又は浮体式風力タービンのいずれかの垂直及び/又は水平の動きによって生じる、船舶と浮体式風力タービンとの間の変動する距離によって生じ得る、浮体式風力タービンに対する引き込みワイヤの運動を補償するように適合され得る。運動は、軸方向の運動であり得る。
【0008】
システムは、浮体式風力タービンと船舶との間の距離を測定するための第1のセンサをさらに有し得る。第1のセンサは、距離センサ、望ましくは光センサであり得る。船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動は、少なくとも2つのセンサからのデータを使用することによって間接的に推定され得、ここで少なくとも1つのセンサが船舶上に配置され、少なくとも1つの第2のセンサが浮体式風力プラットフォーム上に配置される。少なくとも2つのセンサは、絶対位置センサであり得る。
【0009】
船舶は、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて船舶を制御するように適合された動的位置決めシステム(dynamic positioning system)を備え得る。動的位置決めシステムは、船舶自体のプロペラ/スラスタを使用することによって船舶の位置及び方向を制御する。ウィンチ制御システムは、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいて船舶上のウィンチを制御するように適合され得る。ウィンチ制御システムは、船舶上に設けられ得る。
【0010】
少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動(motion)、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動(mevement)、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0011】
少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0012】
引き込み動作の間の船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を補償することは、ウィンチによって、又はウィンチ及び動的位置決めシステムによって実行され得る。
【0013】
システムは、少なくとも1つの慣性航法システム(INS:inertial navigation system)をさらに有し得る。システムは、衛星航法システム又は慣性計測装置のうちの少なくとも1つをさらに有し得る。慣性計測装置は、モーション・リファレンス・ユニット(MRU:motion reference unit)及びモーション・ジャイロ・コンパス(MGC:motion gyro compass)のうちの少なくとも1つであり得る。動的ケーブルに対する浮体式風力タービン上のハングオフ領域をモニタするための少なくとも1つの第2のセンサが設けられ得る。第2のセンサは、望ましくは光センサであり得る。システムは、浮体式風力プラットフォームから船舶に少なくとも1つのセンサ信号を伝達するように適合された第1の通信システムと、少なくとも1つのセンサ信号を受信するための船舶上の第2の通信システムとをさらに含み得る。第1の通信システム及び第2の通信システムは、海洋ブロードバンド無線(MBR:marine broad band radio)であり得る。
【0014】
船舶から浮体式風力タービンへの動的ケーブルの遠隔ケーブル引き込みのためのシステムが提供される。システムは、浮体式風力タービンに接続される動的ケーブルに取り付け可能な引き込みワイヤを有する浮体式風力タービンを有する。システムは、動的ケーブルを浮体式風力タービンに接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するためのウィンチを有する船舶をさらに有する。引き込みワイヤは、動的ケーブルに取り付け可能である。船舶は、ウィンチ制御システムによって制御されるウィンチによって、引き込みワイヤと浮体式風力タービンに取り付けられた動的ケーブルとを引っ張るように適合される。遠隔ケーブル引き込みのためのシステムは、ウィンチ及びウィンチ制御システムを介する引き込み動作の間の、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を補償するように適合され、ウィンチ制御システムは、引き込み動作の間の、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動によって生じる引き込みワイヤの運動を補償して制御するように適合される。
【0015】
ウィンチ制御システムは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対位置、船舶に対する浮体式風力タービンの速度、及び浮体式風力タービンと船舶との間の方位のうちの少なくとも1つに基づいてウィンチを制御する。浮体式風力タービン上に設けられた計装システムが、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対位置、速度、及び方位を決定し、出力データを船舶上のウィンチ制御システムに提供する。
【0016】
システムは、ウィンチの張力を補償するように適合された動的位置決めシステムをさらに含み得る。ウィンチの張力は、外力によって与えられる。動的位置決めシステムは、環境的影響力、例えば風、波、及び潮流を補償するようにさらに適合され得る。
【0017】
本発明は、浮体式風力タービンに接続される動的ケーブルに取り付け可能な引き込みワイヤを有する浮体式風力タービンを提供し、引き込みワイヤは、動的ケーブルの浮体式風力タービンへの引き込み動作を実行するために船舶に取り付け可能であり、船舶は、引き込み動作の間の浮体式風力タービンと船舶との間の相対運動を補償するように適合される。ケーブルは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を許容するように補償され得る。
船舶は、船舶及び/又は浮体式風力タービンのいずれかの垂直及び/又は水平運動によって生じる、船舶と浮体式風力タービンとの間の変動する距離によって生じ得る、浮体式風力タービンに対する引き込みワイヤの運動を補償するように適合され得る。運動は、軸方向の運動であり得る。
【0018】
浮体式風力タービンは、さらに、浮体式風力タービンと船舶との間の距離を測定するためのセンサを設けられ得る。センサは、距離センサであり得る。浮体式風力タービンは、少なくとも1つの慣性航法システム(INS)をさらに有し得る。
【0019】
浮体式風力タービンは、衛星航法システムと、望ましくはモーション・リファレンス・ユニット(MRU)又はモーション・ジャイロ・コンパス(MGC)である慣性計測装置とのうちの少なくとも1つをさらに有し得る。浮体式風力タービンは、さらに、動的ケーブルに対するハングオフ領域をモニタするために少なくとも1つのセンサを設けられ得る。ハングオフ領域をモニタするためのセンサは、光センサであり得る。少なくとも1つのセンサは、動的ケーブルが最終のハングオフ位置にあるときに信号を提供するように適合され得る。浮体式風力タービンは、引き込まれて浮体式風力タービンに接続される動的ケーブルのハングオフ(hang-off;吊り下げ)のために適合されたハングオフ装置をさらに有し得る。ハングオフ装置は、手動の介入なしに引き込まれて浮体式風力タービンに接続される動的ケーブルのハングオフのために適合され得る。ハングオフ装置は、自動的ハングオフに適合され得る。ハングオフ装置は、機械的ハングオフ装置であり得る。ハングオフ装置は、ハングオフ・クランプ配置であり得る。ハングオフ装置は、係船索故障及び大きい浮体式風力タービン・ドリフトオフを生じた場合にケーブルを開放するために、弱いリンク・システムを含み得る。浮体式風力タービンは、浮体式風力タービンから船舶に少なくとも1つの信号を伝達するように適合された通信システム、望ましくは海洋ブロードバンド無線(MBR)をさらに含み得る。
【0020】
本発明は、引き込みワイヤを設けられた浮体式風力タービンに動的ケーブルを接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶を提供し、引き込みワイヤは動的ケーブルに取り付け可能であり、船舶は動的ケーブルを浮体式風力タービンに引き込むために引き込みワイヤを引っ張るように適合されたウィンチを有し、船舶は引き込み動作の間の浮体式風力タービンと船舶との間の相対運動を補償するように適合される。ケーブルは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を許容するように補償され得る。
【0021】
船舶は、船舶及び/又は浮体式風力タービンのいずれかの垂直及び/又は水平運動によって生じる、船舶と浮体式風力タービンとの間の変動する距離によって生じ得る、浮体式風力タービンに対する引き込みワイヤの運動を補償するように適合され得る。
【0022】
運動は、軸方向の運動であり得る。船舶は、浮体式風力タービンと船舶との間の距離を測定するためのセンサをさらに含み得る。
【0023】
船舶は、さらに、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて船舶を制御するように適合された動的位置決めシステムを設けられ得る。ウィンチ制御システムは、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいてウィンチを制御するように適合され得る。
【0024】
少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つをさらに有し得る。
【0025】
少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つをさらに有し得る。
【0026】
引き込み動作の間の船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を補償することは、ウィンチによって、又はウィンチ及び動的位置決めシステムによって実行され得る。
【0027】
船舶は、浮体式風力タービンから少なくとも1つのセンサ信号を受信するために、通信システム、望ましくは海洋ブロードバンド無線(MBR)を設けられ得る。
【0028】
本発明は、上記のシステムに従って動的ケーブルの浮体式風力タービンへのケーブル引き込みを実行するための方法をも提供する。方法は、浮体式風力タービン上の引き込みワイヤに動的ケーブルを取り付けるステップと、動的ケーブルが浮体式風力タービン上のハングオフ装置内に設置されるまで船舶によって引き込みワイヤを引っ張るステップと、引き込み動作の間の浮体式風力タービンと船舶との間の相対運動を補償するステップとを有する。ケーブルは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を許容するように補償され得る。船舶による引張りは、船舶上のウィンチによって実行され得る。
【0029】
システムは、船舶及び/又は浮体式風力タービンのいずれかの垂直及び/又は水平運動によって生じる、船舶と浮体式風力タービンとの間の変動する距離によって生じ得る、浮体式風力タービンに対する引き込みワイヤの運動を補償するように適合され得る。
【0030】
運動は、軸方向の運動であり得る。方法は、浮体式風力タービンと船舶との間の距離を測定するステップをさらに有し得る。距離は、浮体式風力タービン上の引き込みワイヤに対する出口と、船舶上の引き込みワイヤに対する入口との間で測定され得る。
【0031】
方法は、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて動的位置決めシステムによって船舶を制御するステップをさらに有し得る。方法は、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいてウィンチ制御システムによってウィンチを制御するステップをさらに有し得る。少なくとも1つの第1の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有する。
【0032】
少なくとも1つの第2の入力パラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有する。
【0033】
引き込み動作の間の船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動を補償することは、ウィンチによって、又はウィンチ及び動的位置決めシステムによって実行される。
【0034】
このコンセプトに伴うアイデアは、アレイ間動的ケーブルの引き込みを設置又は実行する船舶から設置されて操作され得る動的ケーブル引き込みシステムを、FWTなど、浮遊しておりしたがって移動している設置物の上に作成することである。本発明のコンセプトにおける船舶は浮遊しており、動的位置決めによって実質的に定位置を維持される。しかしながら、船舶はまた、上記で説明したようなDPシステムを有しないアクティブ・ウィンチの使用によって引き込み動作を実行し得る。FWTの各々に設置された引き込みウィンチの必要性を排除すること、並びに建造段階の間のFWTへの及びFWTからの人員及び機器の移動の必要性を低減することで、産業上の課題が対処される。ある規模の風力パーク、特に大規模の風力パークに対して、その概説された方法論を有する本発明のシステムは、
1.アレイ間動的ケーブル設置の総コストを低減する。
2.ケーブルの引き込み及びハングオフの間のFWTへの及びFWTからの人員及び重い機器の移動を回避し、それによって安全性を高める。
3.支援船及び人員の調整の必要性を低減することによって海上スケジュール(marine schedule)における柔軟性を向上させる。
4.FWT及び船舶上での容易な器材設置(retrofit)によって、今後のケーブルの切断/接続を実行するための移動時間を低減する。
【0035】
本発明による遠隔動的ケーブル引き込みシステムは、動的ケーブルの設置及び接続工程に対する産業上の課題に対処する。新しい解決策は、今日の解決策と比較して設置がより速い、より標準化された工程を提供し、浮遊体上の機器及び人員の必要性を低減し、工程におけるROVの必要性を低減する。
【0036】
新しい解決策は、同期されたDPシステム及びウィンチ制御システムに対する実現性を提供する工程において、強化された安全性を提供する。DP制御システムはまた、引き込み動作の間の改善された工程概要に対するシステムを提供され得る。DP制御システムは、半自動故障処理のためにウィンチ制御システムに統合され得る。船舶上のウィンチ制御システムとDP制御システムとの間の統合は、これらのシステムが互いにモニタすることを可能にし得る。これは、船舶のDP又はウィンチが故障した場合に、向上したオペレータの認知と補償動作を自動的にトリガする能力とを提供し、それは、工程安全性を向上させて電力ケーブルに対する損傷を防止する。向上した安全性のため、DPシステム及びウィンチ制御システムは、船舶のブリッジ上に共同設置され得る。
【0037】
特別な強化された任務実行機能を有するDPシステムが、船舶上で位置及び方向を制御する。DPシステムは、動的位置決めオペレータのためのインターフェースを有し得る。このDPシステムはまた、繰り出し/巻き取り命令、動的位置決め(DP:dynamic positioning)/動的位置決めオペレータ(DPO:dynamic positioning operator)システムからのセットポイント、及びウィンチ制御システムに対するDP/DPOシステムのシステム・ステータスを提供する。ウィンチ制御システムは、ワイヤ長、ワイヤ張力、及びウィンチ制御システムのシステム・ステータスに対するデータをDP/DPOシステムに提供し得る。ウィンチ制御システムはまた、ローカル人間機械インターフェース(HMI:human machine interface)を提供され得る。ウィンチ制御システムは、ウィンチから速度及びセットポイントを受信し得る。ウィンチ制御システムは、DP/DPOシステム、ローカルHMI、及びウィンチから受信された命令及びデータに基づいてウィンチを制御する。
【0038】
新しい遠隔動的ケーブル引き込み解決策に伴う利点は、以下を含む。
・ 動的ケーブル引き込み及びハングオフ工程は、安全について妥協することなく、知られている解決策と比較してより速く、且つより高波の状態において実行され得る。
・ FWT上で必要な事前配備される機器は顕著に低減され、FWT上の引き込みウィンチは不要である。
・ 動的ケーブル引き込み及び動的ケーブルの一時的ハングオフは、FWT上の人員なしにケーブル設置/引き込み船舶から遠隔で実行され得るので、工程を支援するための第2の船舶の必要性は、顕著に低減される。
・ 水面で拾い上げられ得る事前設置されたメッセンジャー・ワイヤを用いて、ROVの必要性が低減される。
【0039】
本発明のDP遠隔動的ケーブル引き込み解決策を実施する基準研究は、顕著なコスト低減を示す。
・ 工程安全性について妥協しない、向上した操作性及び生産性
・ 人の相互作用を低減された、自動化された定位置船舶(automated consistent vessel)及びウィンチの操作のための統合的DP及びウィンチ制御
【0040】
次に、例示的な実施例が、以下の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】浮体式風力タービンがアレイ間電力ケーブル3を用いて相互接続される、海上風力タービン・パーク内の3基の浮体式風力タービン2を示す。浮体式風力タービンは、係船索及びアンカー4によって海底に係留される。
図2】浮体式風力タービン上にアレイ間動的電力ケーブルを設置するための遠隔動的ケーブル引き込みコンセプトの実例を示す。
図3】遠隔動的ケーブル引き込みコンセプトを使用してアレイ間動的ケーブルの浮体式風力タービンへの設置を可能にするための浮体式風力タービン上の例示的な機器を示す。
図4】設置用船舶の上の引き込みウィンチ・システムの実例を示す。
図5】安全操作のための動的作業領域を含む設置用船舶のDP制御システムの強化された機能を有する実例を示す。
図6】設置用船舶に乗船する人員によって手動でも操作され得る、組み合わされたDP及びウィンチ制御システムを示す。
図7】浮体式風力タービン上に設置される動的ケーブルに対する例示的な遠隔ハングオフ接続を示す。
図8】浮体式風力タービン上の器具、引き込みウィンチ、及び設置用船舶上の動的位置決めシステムの間のコンセプト統合を示す。
図9】第1の浮体式風力タービンにおける第1のアレイ間動的ケーブル端の「直接クロスホール」におけるステップ(1)~(4)を示す。
図10】第1の浮体式風力タービンにおける第1のアレイ間動的ケーブル端の「直接クロスホール」におけるステップ(5)~(7)を示す。
図11】第1の浮体式風力タービンにおける第1のアレイ間動的ケーブル端の「直接クロスホール」におけるステップ(8)~(10)を示す。
図12】第1の浮体式風力タービンと第2の浮体式風力タービンとの間のアレイ間動的ケーブル設置の実例を示す。
図13】第2の浮体式風力タービンにおけるアレイ間動的ケーブル引き込及びハングオフに対する船舶手法の実例を示す。
図14】設置用船舶が、最初に、浮体式風力タービンに接続された事前設置されたメッセンジャー・ワイヤを用いてアレイ間ケーブル・クロスホールを実行するために第2の浮体式風力タービンの近くに位置決めされる、第2の浮体式風力タービンにおけるアレイ間動的ケーブルのクロスホール工程のためのステップの実例を示す。
図15】アレイ間動的ケーブルが、浮体式風力タービン上のガイド・チューブ及び浮体式風力タービン上のケーブル・ハングオフを介して引き込まれる、第2の浮体式風力タービンにおける第2のアレイ間動的ケーブル端の引き込み及びハングオフ工程に対するステップの実例を示す。
図16】メッセンジャー・ワイヤが引き込みシステムから切断され、設置用船舶から開放される、第2の浮体式風力タービンにおける第2のアレイ間動的ケーブル端の引き込及びハングオフ工程の最後のステップの実例を示す。
図17】アレイ間動的ケーブルが海底の湿式貯蔵(wet store)から回収される、回収及び引き込み動作に対するステップの実例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
例示的な実施例が、図面を参照しながら説明される。実例は、本発明を制限するものと見なされるべきではない。同じ参照番号が、全図面において及び説明全体を通して同じ又は同様の特徴に対して使用される。
【0043】
図1は、海上風力タービン・パーク内の3基の浮体式風力タービン2を示す。浮体式風力タービンは、アレイ間電力ケーブル3を用いて相互接続される。浮体式風力タービンは、係船索及びアンカー4によって海底に係留される。
【0044】
図2は、浮体式風力タービン上にアレイ間動的電力ケーブルを設置するための遠隔動的ケーブル引き込みコンセプトの実例を示す。
【0045】
図2は、船舶5からFWT2への動的ケーブル3の遠隔ケーブル引き込みのためのシステムを示す。浮体式風力タービン2は、浮体式風力タービン2に接続される動的ケーブル3に取り付け可能な引き込みワイヤ10を設けられ得る。FWTはまた、浮体式風力タービン2に取り付け可能な動的ケーブル3に対するハングオフ装置を設けられ得る。ハングオフ装置は、後で詳細に説明される。システムはまた、浮体式風力タービン2に動的ケーブル3を接続するために動的ケーブル引き込み動作を実行するための船舶5を含んでもよく、引き込みワイヤは、動的ケーブル3に取り付け可能である。船舶5は、引き込みワイヤと、浮体式風力タービンに取り付けられた動的ケーブル3とを引っ張るように適合されたウィンチ6を設けられ得る。システムは、引き込み動作の間の船舶5と浮体式風力タービン2との間の相対運動を補償するように適合され得る。相対運動は、例えば、船舶が移動することを決定するときに誘発及び/又は生成される波又は潮流であり得る。
【0046】
システムは、FWT2と船舶5との間の相対距離と、FWT2及び船舶5の縦方向及び/又は横方向の運動による、引き込みワイヤ上の運動を補償するように適合され得る。これは、引き込みワイヤの運動を浮体式風力タービン2の運動と同期させることを可能にする。
【0047】
浮体式風力タービンと船舶との間の距離を測定するための第1のセンサが、FWT及び/又は船舶の上に設けられ得る。第1のセンサは、一般的に、距離センサであり得る。距離センサは、光センサであり得る。光センサは、レーザ又はIRセンサであり得る。レーダー又は超音波のような他の距離センサも、システム及びシステム要件に応じて使用され得る。
【0048】
船舶5と浮体式風力タービン2との間の相対運動は、代替的に、少なくとも2つのセンサからのデータを使用することによって間接的に推定され得、ここで少なくとも1つのセンサが船舶5の上に配置され、少なくとも1つのセンサが浮体式風力プラットフォーム2の上に配置される。少なくとも2つのセンサは、絶対位置センサであり得る。
【0049】
船舶5は、動的位置決めシステム51を設けられ得る。動的位置決め(DP)は、1つ又は複数の位置基準に関してそれ自体のプロペラ及びスラスタ使用することによって船舶の位置及び方向を自動的又は半自動的に制御することを伴う。動的位置決め(DP)システムは、船舶の位置が所与のパラメータ内に固定されることを維持し得るか、又は船舶にとって動的位置決めシステムはなくてはならない方法で船舶を操縦し得る。動的位置決め(DP)システムは、いくつかの入力パラメータに基づいて船舶を操縦し得る。これらの入力パラメータは、例えば、
- ロケーション、方向、速度のためのセンサ;
- 風、波、潮流などの外部要因のためのセンサ;及び
- 位置を維持する又は特定のパターンで移動するなどの任務を実行するためのユーザからの入力から生じ得る。動的位置決め(DP)システムの制御アルゴリズムは、センサとユーザとの入力パラメータを取り込み、外力における変化を伴う場合でも搭載されたプロペラ及びスラスタを制御することによって船舶の操縦を実行する。
【0050】
DPシステムは、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて船舶5を制御するように適合されてもよく、そのパラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- ウィンチ制御システムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0051】
ウィンチ制御61システムは、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいて船舶上のウィンチ6を制御するように適合され、そのパラメータは、
- 浮体式風力タービンの位置、
- 船舶の位置、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動、
- ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動、
- 引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置、並びに、
- 動的ケーブル内の張力、
- 引き込みワイヤ内の張力、
- FWTに対する引き込みワイヤの位置、
- FWTに対する引き込みワイヤの運動、
- FWTに対する動的ケーブルの位置、
- FWTに対する動的ケーブルの運動、
- DPシステムからの出力、
のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0052】
システムは、衛星航法システム又は慣性計測装置であり得る少なくとも1つの慣性航法システム(INS)13を設けられ得る。慣性計測装置は、モーション・リファレンス・ユニット(MRU)及びモーション・ジャイロ・コンパス(MGC)のうちの少なくとも1つであり得る。
【0053】
船舶は、動的位置決めシステムを設けられても設けられなくてもよい。
【0054】
船舶がDPシステムを設けられない場合、例示的なコンセプト・システムは、船舶上のウィンチと浮体式風力タービン上の器具とを含む。浮体式風力タービン上の器具と通信することによって、ウィンチは、浮体式風力タービン及び船舶の運動を補償する。これは、浮体式風力タービン上の動的ケーブルのためのガイド・チューブに対する引き込みワイヤの運動を制御することを可能にする。ウィンチは、船舶と浮体式風力タービン(FWT)の両方の上における運動を補償することができるアクティブ・ウィンチである。アクティブ・ウィンチは、ウィンチ制御システムによって制御される。船舶の位置は、例えば、「ジョイスティック」モードで手動で制御され得る。計装システムは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対位置、速度、及び方位を決定し、出力データを船舶上のウィンチ制御システムに提供する。ウィンチ制御システムは、引き込み動作の間の船舶と浮体式風力タービンとの間の相対運動によって生じたケーブルの運動を、船舶及び浮体式風力タービンからのセンサ・データを使用することによって正確に補償して制御するように適合される。決定は実時間で提供され、データは連続した出力をウィンチ制御システムに提供され得る。決定は準実時間で又は周期的に提供され、データは、工程の要件に応じてほぼ連続した又は断続的な出力をウィンチ制御システムに提供されてもよい。システム(船舶処理装置)の一部は船舶上に設置され、別の部分(遠隔運動システム)は浮体式風力タービン上に設置される。システムの2つの部分は、海洋ブロードバンド無線(MBR)データ・リンクを介して通信し得る。
【0055】
船舶がDPシステムを設けられる場合、例示的なコンセプトは、船舶上のウィンチと、浮体式風力タービン上のDP制御システム及び器具とを含む。ウィンチは、ウィンチ制御システムによって制御される。DP制御システム及びウィンチ制御システムは、ケーブルを引き込む間の船舶とFWTとの間の相対運動を最適に補償するように適合される。計装システムは、船舶と浮体式風力タービンとの間の相対位置、速度、及び方位を決定し、出力データを船舶上のDPシステム及びウィンチ制御システムに提供する。決定は実時間で提供され、データは、連続した出力をDPシステム及びウィンチ制御システムに提供し得る。決定は実時間で提供され、データは、連続した出力をウィンチ制御システムに提供し得る。決定は準実時間で又は周期的に提供され、データは、工程の要件に応じて、ほぼ連続した又は断続的な出力をウィンチ制御システムに提供され得る。船舶DPシステムは、環境的影響力に加えてウィンチ張力(外力)を補償する。船舶上の船舶処理装置は、浮体式風力タービンから実時間の位置を受信し、相対位置、速度、及び方位を計算し、これらのデータをDP及びウィンチ制御システムに出力し得る。遠隔運動システムは、浮体式風力タービン上に設けられる。遠隔運動システムは、慣性計測装置と、処理装置と、バッテリとを含み得る。遠隔運動システム及び船舶処理装置は、海洋ブロードバンド無線(MBR)データ・リンクを介して通信し得る。これらのシステムのさらなる詳細は、後で説明される。
【0056】
船舶が動的位置決め(DP)システムを設けられる場合、2×6自由度(DOF:degrees-of-freedom)の運動を測定すること及び2×6自由度(DOF)の運動を補償することが、DP制御システムとウィンチ制御システムとを同期させることによって達成される。DP制御システム及びウィンチ制御システムは、船舶と浮体式風力タービンとが一緒に接続される工程の間に、安全マージンを維持するために同期される。DP制御システム及びウィンチ制御システムは、ケーブルを引き込む間の船舶とFWTとの間の相対運動を最適に補償するように適合される。DP制御システムとウィンチ制御システムとの同期は、浮体式風力タービンの位置(例えば、浮体式風力タービン上のセンサを用いて測定される)、動的位置決めシステムによって提供される船舶の位置、ウィンチ/ウィンチ制御システムによって提供される引き込みケーブルの位置、並びにDPシステム及びウィンチ/ウィンチ制御システムの動作ステータスのうちの少なくとも1つを伴い得る。DP制御システム及びウィンチ制御システムは一緒に作動し、上記で説明されてリストアップされた入力パラメータに基づいて互いの動作を知る。DP制御システム及びウィンチ制御システムの各々は、他のシステムのステータスも知っている。ステータスは、障害/エラー条件又はシステムが正常に動作しているかどうかの形式であり得る。これは、障害/エラーが発生した場合にシステムのセキュリティを改善するために使用され得る。DP制御システム又はウィンチ制御システムのうちの1つが動作中に故障した場合、すなわち船舶及び引き込みワイヤの正確な位置を保持することができなくなった場合、残りの動作制御システム(DP又はウィンチ制御システム)は、増加された安全マージンを有する位置に船舶及びワイヤを移動させる。引き込みワイヤ(取り付けられた動的ケーブルを伴う)は、例えば安全な位置に誘導され、動作は反転されるか又は動作は中断され得る。
【0057】
ウィンチ又はDPシステムの故障のいくつかの実例:
実例a):ウィンチはロックされて補償することはできない->次いで、船舶がFWTの近くに移動して動的電力ケーブルを下ろし、それをFWTの近くの臨界点から離れて保持する。
実例b):DPが機能せず、船舶は位置を保持しない->ウィンチが引き込みワイヤを繰り出して動的ケーブルを海底に下ろし、緊急切断に備える。
【0058】
上記で説明したように、図2は、浮体式風力タービン(FWT)2に対する例示的な遠隔動的ケーブル引き込みコンセプト1を示す。引き込まれるケーブルは、浮体式風力タービン2に接続されるアレイ間動的ケーブル3である。浮体式風力タービンは、海上風力タービンプラントの一部であり得る。前に説明されたように、アレイ間動的ケーブルは、電圧及び曲げに敏感であり、損傷の可能性は、設置している間に高い。浮体式風力タービン2は、図2の実例において、アレイ間動的ケーブル3のためのガイド・チューブ20を設けられる。以下で詳細に説明されるように、浮遊体計装キット7は、メッセンジャー・ワイヤ10をモニタするために設けられる。
【0059】
設置用船舶5は、動的位置決めシステム(DP)及び引き込みウィンチ6を設けられ得る。ウィンチ6は、ウィンチ制御システムを設けられる。ウィンチ制御システムは、船舶5の上に配置される。ウィンチ制御システムは、ウィンチ・パラメータをDP制御システムに提供するために、及びDP制御システムによってウィンチ6を制御するために、DP制御システムに接続される。DPシステムは、ウィンチ制御システムに統合され得る。システムの統合は、統合されたDP及びウィンチ制御システムのオペレータに、改善された工程概要を提供し得る。
【0060】
引き込みウィンチ6は、ガイド・チューブ20を介してアレイ間動的ケーブル3に接続されたメッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ10を引き込む。メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ10は、メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ10を支持してガイドする、浮体式風力タービン・デッキ上のローラ又は滑車の上を進む。ローラ及び滑車はまた、設置用船舶5上に設けられ、メッセンジャー/引き込みワイヤ10が船舶上に来て、さらに引き込みウィンチ6に到達する前に船舶のデッキの上に来たとき、メッセンジャー/引き込みワイヤ10を支持してガイドし得る。設置用船舶5及び浮体式風力タービン2は、信号を浮体式風力タービン2上の器具から設置用船舶5に伝達するためにワイヤレス通信を提供される。
【0061】
一般的に浮体式風力タービン2上に設けられる機器の実例が、図3に示される。第1の滑車/ガイド11は、浮体式風力タービン上のガイド・チューブ20内でメッセンジャー/引き込みワイヤ10を中心に集めるように配置される。滑車/ガイド11は、ガイド・チューブ・ハングオフ16の上に配置される。第2の滑車/ガイド12は、メッセンジャー・ワイヤ10が浮体式風力プラットフォームを出て設置用船舶5の上を進む前に、浮体式風力タービン2からのメッセンジャー・ワイヤを支持して偏向させるために配置される。遠隔ケーブル・ハングオフに対する上面のガイド・チューブ・ハングオフ装置16が、ガイド・チューブ20の上部に設けられる。これは、メッセンジャー・ワイヤ及びアレイ間動的ケーブル3がガイド・チューブ20を出る場所である。1つ又は複数のセンサが、動的ケーブル3に対するハングオフ領域をモニタするために設けられ得る。センサは、例えば、レーザ若しくはIRセンサ又はレーダーの形態の距離センサであり得る。センサは、光センサ、例えばカメラ又はビデオ・カメラであり得る。第1のカメラ14は、動的ケーブル・ハングオフ領域をモニタするために配置され得る。第2のカメラ17は、さらなる滑車/ガイド12の中のメッセンジャー・ワイヤ10をモニタするために配置され得る。第2のカメラ17はまた、さらなる滑車/ガイド12からのメッセンジャー・ワイヤの出口をモニタし得る。第1及び第2のカメラは、例えばビデオ・カメラであり得る。FWTは、動的ケーブルが最終のハングオフ位置にあるときに信号を提供するように適合された少なくとも1つのセンサを設けられ得る。
【0062】
浮体式風力タービンは、慣性航法システム(INS)13を設けられ得る。慣性航法システム13は、浮体式風力タービン2の位置及び運動を測定するために、衛星航法システム(例えば、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)又はGPS)及び慣性計測装置(MRU又はMGC)のうちの少なくとも1つを含み得る。衛星航法システムは、例えば、GNSS、GPS、GLOANASS、BeiDou、Galileo、QZSS、IRNASS、又はNavICであり得る。慣性航法システム(INS)は、メッセンジャー・ワイヤが浮体式風力タービンを出る第2の滑車/ガイド12の近くに取り付けられ得る。これは、浮体式風力タービンの運動、すなわちヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーをモニタすることを可能にする。浮体式風力タービン2は、さらに、浮体式風力タービンに搭載された浮遊器具からの信号、例えば慣性航法システム(INS)、センサ、及びカメラからの信号を設置用船舶に伝達するために通信システム(トランシーバ)15を設けられ得る。通信システムは、例えば、海洋ブロードバンド無線(MBR)であり得るが、他のワイヤレス通信システムも使用され得る。浮遊体上の器具は、事前設置され得る。浮遊体上の設置物は、取り外し可能であり得る。同じく、メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ10は、浮体式風力タービン2上に事前設置され得る。浮体式風力タービンは、浮体式風力タービン2と船舶5との間の相対距離を測定するための距離センサを設けられ得る。距離センサは、例えば、レーザ、IRセンサ、超音波センサ、又はレーダーであり得る。
【0063】
設置用船舶5上の引き込みウィンチ・システムは、引き込みワイヤをルーティングして支持するために、様々な位置において様々な滑車配置を用いて適合され得る(例えば、図4参照)。これは、様々な船舶の敷設スプレッド、例えば船尾の上又は舷側の上に設置された動的ケーブルを用いる水平敷設スプレッド(HLS:Horizontal Lay Spread)、ムーンプールを通して又は舷側の上に設置された動的ケーブルを用いる垂直敷設スプレッド(VLS:Vertical Lay Spread)の中で実施されるコンセプトを可能にする。
【0064】
浮体式風力タービン上のメッセンジャー・ワイヤは、動的ケーブル及び引き込みウィンチに対して開放及び接続するために、様々な配置において事前設置され得る。ハングオフ装置はまた、動的ケーブルを一時的にハングオフすること及び投棄する場合に引き込みウィンチ・ワイヤを開放することができるように、メッセンジャー・ワイヤ配置の中に組み込まれ得る。
【0065】
浮体式風力タービン2に搭載された遠隔ケーブル・ハングオフは、機械的配置、ハングオフ・クランプ設計に組み込まれた機構、ハングオフ・フランジに組み込まれた機構、又はクランプとハングオフ・フランジが組み合わされた機構であり得る。組み合わされたハングオフ・フランジ機構は、ダイバーレス曲げ補強コネクタに類似する遠隔操作コネクタ設計であり得る。浮体式風力タービン2に引き込まれて接続される動的ケーブル3のハングオフが、手動の介入なしに実行され得る。自動ハングオフは、浮遊体上の人員なしにハングオフ動作を実行することを可能にする。実例は、回転してケーブル終端ヘッド内の溝又はサポート内で把持する3つのラッチ・ドッグを有するシステムの使用であり得る。3つのラッチ・ドッグは、ガイド・チューブの上部に搭載される。ラッチ・ドッグは、大きい浮体式風力タービンが、例えば係船索故障に起因して漂流する場合、浮体式風力タービンからケーブルを開放する弱いリンクを含み得る。
【0066】
設置用船舶5上の引き込みウィンチ6が、図4においてより詳細に示される。引き込みウィンチ(PIW:pull-in winch)は、PIW制御システム61を設けられる。制御システム61はまた、引き込みウィンチを手動で制御し得る設置用船舶5に乗船する人員62(PIWの局所HMI)の形態のバックアップを有し得る。制御システムは、浮体式風力タービン上のトランシーバ15と通信するために通信システム18に接続される。通信システムは、海洋ブロードバンド無線(MBR)であり得る。設置用船舶の上の機器はまた、メッセンジャー/引き込みワイヤ10を支持して偏向させるために滑車/ガイド配置63を含み得る。滑車/ガイド配置は、船舶が位置及び方向を最適化することを可能にし得る。設置用船舶5上の動的位置決めシステム(DP)51(図6)はまた、浮体式風力タービン2上のセンサシステムからの入力にも基づいて、動的ケーブル引き込み動作の間に設置用船舶5を制御するために特別な強化された任務の機器機能を与えられ得る。設置用船舶5上の動的位置決めシステム51は、引き込みウィンチ制御システム61との通信を可能にするため、及び引き込みウィンチ制御システム61を制御するために、通信モジュールを有し得る。システム故障の場合のセキュリティ・システムとして、DPシステム及び引き込みウィンチ制御システムが、設置用船舶5に乗船する人員による制御のために手動制御52、64を設けられ得る。
【0067】
図5は、設置用船舶5上のDP制御システムがいかにして、現在の動作ステップにおいて設置用船舶を位置付けるのに安全な作業領域の決定を含み得るかの実例である。設置用船舶が動的ケーブルに直接接続されるとき、作業領域は、例えば曲げ又は引きずりによる動的ケーブルの損傷を回避する限界によって定義される。動的ケーブルがメッセンジャー/引き込みワイヤに接続された後、設置用船舶の位置及び方向の限界が、引き込みウィンチの動作角度及び長さによって定義される。定義された限界は、オペレータが安全な動作領域の外側に設置用船舶を移動させること又は方向付けることを防止するために、DP制御システムによって使用され得る。設置用船舶がこれらの限界に接近した場合、警報及び警告もまた、オペレータに対して出され得る。
【0068】
浮体式風力タービン2(FWT)器具、船舶の引き込みウィンチ(PIW)システム6、及び設置用船舶5の動的位置決め(DP)システム51は、浮体式風力タービン2に搭載されたアレイ間動的ケーブルの引き込み動作手順の任務を達成するために一緒に作動する。図8は、浮体式風力タービン2の器具キット7、引き込みウィンチ6、及び動的位置決めシステム51の間の統合のこのコンセプトを示す。浮体式風力タービン2の器具は、浮体式風力タービン2の位置及び運動(ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、ヨー)を測定する。これらの位置及び運動のパラメータは、設置用船舶5に送信される。引き込みウィンチ6制御システム61及び動的位置決めシステム51は、浮体式風力タービン上の器具7から位置及び運動のパラメータを受信する。動的位置決めシステム51は、設置用船舶の位置と、浮体式風力タービン上の器具7からの位置及び運動のパラメータとを含むいくつかのパラメータに基づいて設置用船舶5を制御し、制御されたケーブル引き込み及びハングオフ動作を可能にするために、浮体式風力タービン2と設置用船舶との間の相対運動を補償する。動的位置決めシステム51はまた、図8に示されるように、引き込みウィンチ6を制御するウィンチ制御システム61に入力パラメータを提供する。
【0069】
ウィンチ制御システム61の船舶DPシステム51との統合は、協調的な船舶位置決め及びウィンチ繰り出し/巻き取り動作を実行すること、及び同じく、船舶DPのインシデント又はウィンチ故障の場合に全体的安全性を向上させることを可能にする。搭乗する人員なしに動的ケーブル引き込み動作を実行するために、浮体式風力タービン2は、さらに、上記で説明されたようにガイド・チューブ20及び滑車配置11、12を介してルーティングされた事前設置のメッセンジャー・ワイヤ10を有する。搭乗する人員なしに動的ケーブル・ハングオフ動作を実行するために、浮体式風力タービン2は、自動ハングオフ・クランプ配置31を設けられる。自動ハングオフ・クランプ配置は、浮遊体の上面に置かれ、一般的に、実例が図7に示されるガイド・チューブ16端の上面に置かれ得る。
【0070】
図7は、FWT上の自動ハングオフ装置の実例を示す。ガイド・チューブ20は、遠隔ケーブル・ハングオフのために上面ハングオフ・フランジ配置/インターフェース16を設けられる。アレイ間動的ケーブル3は、ばね仕掛けのラッチ配置31を有するハングオフ・クランプを設けられ得る。アレイ間動的ケーブル3がガイド・チューブ20を通して引き上げられてガイド・チューブ16の上面を出るとき、ばね仕掛けのラッチ配置31が膨張し、アレイ間動的ケーブル3をハングオフ・プレートの上部の位置に固定し、アレイ間動的ケーブルが滑り落ちてガイド・チューブ20に戻るのを防止する。引き込み動作においてケーブルをガイドするときのガイド・チューブのさらなる機能が説明される。
【0071】
図8は、浮体式風力タービン2上の器具キット7、引き込みウィンチ6、及び設置用船舶上の動的位置決め(DP)システム51の間のコンセプト統合を示す。浮体式風力タービン上の器具は、浮体式風力タービン位置及び浮体式風力タービン運動についての情報を、ウィンチの制御システム61と動的位置決めシステムとに分配する。引き込みウィンチは、メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ長及びメッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ張力についての情報をDPシステム51に送り得る。引き込みウィンチ制御システム61は、動的位置決め(DP)システム51からメッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ長のセットポイントを受信し得る。ウィンチ制御システムは、船舶運動、浮体式風力タービンの運動、及び浮体式風力タービン上の遠隔運動システムからの相対運動に対して別々の信号を受信する。
【0072】
上記で説明されたシステムに対して動的ケーブルの浮体式風力タービンへのケーブル引き込みを実行するための方法が開示される。動的ケーブルは、浮体式風力タービン上の引き込みワイヤに取り付けられる。船舶によって引き込みワイヤを引っ張ることは、動的ケーブルが浮体式風力タービン上のハングオフ装置に位置付けられるまで実行される。引き込みワイヤの引張りは、船舶を移動させることで、引き込みワイヤをけん引することによって及び/又は手繰り寄せることによって実行され得る。手繰り寄せることは、ウィンチの使用によって、又は(例えば、ヒーブ補償システムにおけるような)滑車の使用によって実行され得る。滑車は、動的補償を実行する。ウィンチは、動的に制御され得る。浮体式風力タービンと船舶との間の相対運動は、引き込み動作の間に補償される。
【0073】
システムは、浮体式風力タービン2と船舶5との間の相対距離と、浮体式風力タービン2及び船舶5の縦方向の運動による、引き込みワイヤ上の運動を補償するように適合される。引き込み動作を制御するために、浮体式風力タービンと船舶との間の距離が測定され得る。距離は、浮体式風力タービン上の引き込みワイヤに対する出口と、船舶上の引き込みワイヤに対する入口との間で測定され得る。出口/入口点は、周囲の状況に応じて、出発点/入口点であってもよく、又はその逆であってもよい。船舶は、少なくとも1つの第1の入力パラメータに基づいて動的位置決めシステムによって制御され得る。ウィンチは、少なくとも1つの第2の入力パラメータに基づいてウィンチ制御システムによって制御され得る。少なくとも1つの第1の入力パラメータは、浮体式風力タービンの位置;船舶の位置;ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動;引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置;ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動;並びに動的ケーブル内の張力;引き込みワイヤ内の張力;FWTに対する引き込みワイヤの位置;FWTに対する引き込みワイヤの運動;FWTに対する動的ケーブルの位置;FWTに対する動的ケーブルの運動;ウィンチ制御システムからの出力のうちの少なくとも1つを有する。少なくとも1つの第2の入力パラメータは、浮体式風力タービンの位置;船舶の位置;ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む浮体式風力タービンの運動;ヒーブ、スウェイ、サージ、ロール、ピッチ、及びヨーのうちの少なくとも1つを含む船舶の運動;引き込みワイヤ及び動的ケーブルの位置;並びに動的ケーブル内の張力;引き込みワイヤ内の張力;FWTに対する引き込みワイヤの位置;FWTに対する引き込みワイヤの運動;FWTに対する動的ケーブルの位置;FWTに対する動的ケーブルの運動;及びDPシステムからの出力のうちの少なくとも1つを有する。
【0074】
ケーブル引き込み動作
上述のように、ケーブルは、電圧及び曲げに敏感であり、引き込み手順は入念に実行されなければならない。浮体式風力タービンの上で実行されるケーブル引き込みは、浮体式風力タービン上のヒーブ/偏位に対する張力モニタリングを制限する。船舶からの引き込みは、着床式タービンから知られており、張力モニタリングは、(DP上で操作される場合)船舶のヒーブ/偏位に対して制限される。船舶から浮体式風力タービンへの引き込みは、船舶と浮体式風力タービンの両方の相対距離/運動をモニタして補償することを伴い得る。前に説明したように、着床式風力タービンとは対照的に、浮体式風力タービン(FWT)は浮遊しており、したがって、風、潮流、及び運動で生じる波のような外力にさらされる。ケーブルに対する設置プロセスの間、設置用船舶が動いているばかりでなく、FWTも船舶に対して動いている。ケーブルは、小半径の曲げ、並びに動作及び動作に関与する機器に厳しい要求を課す張力に対して脆弱である。したがって、FWTに対する設置手順は、一般に、海底に立つ固定設置型風力タービンと比較すると、解決されるべき技術上及び安全上の問題に関してより一層難易度が高い。説明された引き込み解決策は、通常動作の間及び不測の事態のシナリオの間に、浮遊体の運動、引き込みウィンチ、及び(船舶がDP船舶である場合)DPセットポイントを連係させるための自動化システムを含む。
【0075】
第1の浮体式風力タービンにおける第1のアレイ間動的ケーブル端の直接クロスホール
図9は、設置用船舶5によって第1の浮体式風力タービン2において第1のアレイ間動的ケーブル端の直接クロスホールを実行するために準備する、図9において括弧で示される異なるステップ(1)~(4)を示す。浮体式風力タービンは、海底に連結するための係船索4を有する。
【0076】
動作の開始において、設置用船舶は、浮体式風力タービンの近くに位置付けられ得る。図9のステップ(1)からステップ(4)における動作タスク:
1.設置用船舶5が、海面上の浮体式風力タービン上に事前設置されたメッセンジャー・ワイヤ10を拾い上げてもよく、又はメッセンジャー・ワイヤ10が、ROVによって海面下で拾い上げられてもよい。
2.海中にルーティングされたメッセンジャー・ワイヤ端は、設置用船舶又はROVによって拾い上げられ、設置用船舶5の船上で設置用船舶5に搭載されたアレイ間動的ケーブル3の上面に接続される。
3.浮体式風力タービン上で上面にルーティングされたメッセンジャー・ワイヤ端は、船舶の引き込みウィンチ6に接続される。
4.船舶の位置及び方向は、アレイ間動的ケーブル3を浮体式風力タービン2にクロスホールするために、手順の限界の中で最適化される。
【0077】
設置用船舶は、今や、第1のアレイ間動的ケーブルの第1の浮体式風力プラットフォームへのクロスホールを実行する準備ができている。図10の動作ステップ(5)~(7):
5.アレイ間動的ケーブルの第1の端部は、設置用船舶からクロス・ホール深度に配備される。ケーブルは、曲げに敏感であり、ケーブルを損傷しない容認できるケーブルの曲げを提供するクロス・ホール深度が決定される。
6.設置用船舶5からケーブルの繰り出しを継続して、ケーブルの第1の端部を引き込みウィンチ6で引き込むことを開始すること。この任務は、各動的ケーブルに対する敷設表を有し得る。敷設表は、設置用船舶の位置及び運動、動的ケーブルの繰り出し/巻き取り、任務の分析に基づくウィンチの繰り出し/巻き取りについての詳細な説明である。敷設表は、設置用船舶のオペレータによって順守され、及び/又は動的位置決めシステム内にプログラムされ得る。海中の動作は、一般的に、ROVによってモニタされる。
7.引き込みウィンチによってケーブルの引き込みを継続し、ケーブルがガイド・チューブ20の底に入るとき、カメラ14によって上面の端部をモニタする。設置用船舶の位置が調整され、ケーブルの繰り出しが、ケーブルのガイド・チューブ20への正しい進入を確実にするように実行される。
【0078】
浮体式風力タービン上のアレイ間動的ケーブルの引き込み及びハングオフが、次に実行され得る。図11aは、設置用船舶5によって第1の浮体式風力タービン2において第1のアレイ間動的ケーブル端を引き込んでハングオフするための、括弧で示される異なるステップ(8)~(10)を示す。図11bはまた、ステップ(8)において引き込みワイヤ10に取り付けられてガイド・チューブ20に入るときの、ハングオフ・クランプを有するケーブル3を示し、(ステップ(9)~(10)において)ハングオフ・クランプ31がガイド・チューブを通して引き上げられた後にハングオフ・フランジ/インターフェース16の上面に置かれるケーブル3を示す。
動作ステップ(8)~(10):
8.設置用船舶は、ガイド・チューブの底に入るときのケーブルを注意深くモニタしながら、ケーブルの上面端部をガイド・チューブに引き込むことを継続する。ガイド・チューブの底は、ベルマウス、又は代替の曲げ補強コネクタ(図示されず)を設けられ得る。動的ケーブルに対して、1つの曲げ補強材配置が、FWTに対して適切であり得る。
9.上面のカメラでモニタされながら、ハングオフ・クランプがガイド・チューブを通って上面のハングオフ・フランジ/インターフェースの上に引き上げられるまで、ケーブルを引き込むことを継続し、続いて引き込みを停止する。
10.開放されたラッチ(extracted latch)を有するハングオフ・クランプをハングオフ・フランジ/インターフェース上に下ろす。
【0079】
図12に示されるように、第1のアレイ間動的ケーブルの引き込み及びハングオフが完了した後、設置用船舶は、第1の浮体式風力タービンにおける引き込みウィンチ・ワイヤを切断し、アレイ間ケーブルを第2のFWTに向けて設置することを継続する。ハングオフ・クランプが引っ張られて、ガイド・チューブ・ハングオフ・フランジ/インターフェースを過ぎるまで、引き込み動作は反転され得る。このポイントの後、設置用船舶は、アレイ間ケーブルを設置することを継続する。
【0080】
第2の浮体式風力タービンにおけるアレイ間動的ケーブルの引き込み及びハングオフに対する手法が、図13に示される。設置用船舶5は、第2の浮体式風力タービンにおいてアレイ間動的ケーブルの引き込み及びハングオフを実行するために、浮体式風力タービン2の近くに位置決めされる。第2の浮体式風力タービン2に接近すると、設置用船舶5は回転し、設置用船舶の船首が浮体式風力タービンの外側に向き、船尾が浮体式風力タービンに向いて終了する。次いで、設置用船舶は、船尾を一番前にして浮体式風力タービンに向けて後進する。図13の方法は、船舶の船尾の上にシュートを有する水平敷設システムに対して示される。これは、上記で説明されたように、船舶は回転し、船尾を一番前にして浮遊体に向けて後進しなければならないことを示唆する。図13に示される方法は代替形態であり、他の方法が、浮遊設置物及び船舶に応じて可能であり得る。
【0081】
図14は、第2の浮体式風力タービン2におけるアレイ間動的ケーブル3端のクロスホールを示す。図14では、設置用船舶は、アレイ間動的ケーブル・クロスホール動作タスクを実行するために、浮体式風力タービンの近くに位置付けられる。設置用船舶は、第1の浮体式風力タービンから第2の浮体式風力タービンに向けてアレイ間ケーブル3を配備した。事前設置されたメッセンジャー・ワイヤの海中にルーティングされた端部及び上面にルーティングされた端部が拾い上げられ、第1の浮体式風力タービン2において図9のステップと同様に接続される。
1.設置用船舶5は、その「A&Rワイヤ」(投棄及び回収ワイヤ)上の動的ケーブルを移動深度(transfer depth)まで下げる。移動深度において、引き込みウィンチは、メッセンジャー・ワイヤにおけるたるみを取り除くために引っ張られる。
2.設置用船舶5は、A&R(投棄及び回収)ワイヤを繰り出すことを継続し、動作に対する敷設表に従って引き込みウィンチ6を用いてアレイ間動的ケーブル3の第2の端部を引き込むことを開始する。海中の動作は、一般的に、ROVによってモニタされる。
3.アレイ間動的ケーブルの懸垂線荷重が引き込みウィンチ6に伝達されたとき、A&R(投棄及び回収)ワイヤは、切断される準備ができている。
4.設置用船舶は、A&R(投棄及び回収)ワイヤが切断された後も、ケーブル引き込みを継続する。ROVは、一般的に、A&Rワイヤを切断するために使用される。
【0082】
図15は、第2の浮体式風力タービン2におけるアレイ間動的ケーブル3端の引き込み及びハングオフを示す。ステップ1では、アレイ間動的ケーブルは、ガイド・チューブ20を通って浮体式風力タービン2上に引き込まれる。ステップ2では、アレイ間動的ケーブルは、浮体式風力タービン上にハングオフされる。
【0083】
図16では、メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤが、設置用船舶5から切断される。浮体式風力タービン上で、第2のアレイ間動的ケーブル端の引き込み及びハングオフ動作は、第1のアレイ間動的ケーブル端の引き込み及びハングオフ動作と同様である。ハングオフ・クランプが引っ張られて、ガイド・チューブ・ハングオフ・フランジ/インターフェースを過ぎるまで、工程が反転され得る。
【0084】
湿式貯蔵からの回収及び引き込み
図17A図17Cは、湿式貯蔵からのアレイ間動的ケーブルの回収及び引き込みを示す。湿式貯蔵は、海底にある。
【0085】
ステージ1:
1.湿式貯蔵されたアレイ間動的ケーブルの上面端部の上に設置用船舶5を位置付ける。
2.回収ワイヤを配備してアレイ間動的ケーブルに接続する。
【0086】
ステージ2:
3.アレイ間動的ケーブルを回収し始め、アレイ間動的ケーブルの構成及び着地点(TDP:touch down point)を、一般的にROVによってモニタする。
4.設置用船舶を浮体式風力タービンの近くに引き込み動作のための位置に移動させる。
【0087】
ステージ3:
5.事前設置されたメッセンジャー・ワイヤを浮体式風力タービン上に拾い上げる。
6.海中にルーティングされたメッセンジャー・ワイヤ端をアレイ間動的ケーブルに接続する。
7.上面にルーティングされたメッセンジャー・ワイヤ端を引き込みウィンチに接続する。
上記で説明された引き込み及びハングオフ動作において第2のアレイ間動的ケーブル端のクロスホールに対して説明されたものと同じ方法で、クロスホール、引き込み、及びハングオフを継続する。
【0088】
図9図17に示されるステップは実例にすぎず、遠隔引き込みコンセプトはまた、動的ケーブル設置の敷設計画に従って他のステップにおいて実行され得る。代替方法が、船舶及び敷設スプレッド、動的ケーブルの構成、及び浮遊設置物上のインターフェースに応じて想到され得る。遠隔引き込みコンセプトは、様々な変異体及びシナリオに適合され得る。
【0089】
実例は、浮体式風力タービンに対して示され、説明されるが、動的ケーブル引き込みコンセプトはまた、動的ケーブルを設けられる他の浮遊設置物に対して使用されてもよく、本実例及び本発明は、浮体式風力タービンに限定されない。コンセプトは、浮遊設置物上のFWTに対して上記で説明された機器及び器具を事前設置して統合することが可能な他の浮遊設置物上で使用され得る。
【0090】
実例では、アレイ間動的ケーブルは、浮体式風力タービン間で接続されるが、これは実例にすぎず、動的ケーブルは、一般に、上記で説明された遠隔引き込みコンセプトの使用によって設置され得る。遠隔引き込みウィンチ・コンセプトはまた、動的ケーブルを浮遊設置物に設置するため、及び/又は、特に動的ケーブルによって一緒に接続される多くの浮遊設置物が存在する場合は浮遊設置物間で設置するために使用され得る。引き込み動作を実行するための引き込みウィンチ・コンセプトはまた、浮遊設置物に乗る/乗らない人員及び機器を得ることが困難又は危険である浮遊設置物上で使用され得る。いくつかの浮遊設置物では、より大きい必須機器、例えば引き込み動作を実行するウィンチのための空間は、制限されるか又は利用できない。浮遊設置物上の空間はまた、引き込み動作の間に必要とされる人員にとって制限され得るか、又はあまりに小さくあり得る。
【0091】
ケーブル設置のプロセスは、FWTからのウィンチ制御及び位置信号と組み合わされた船上の動的位置決めを介して、FWTと船舶との相対位置を制御することによって、上記で説明された方法によって遂行され得る。したがって、ケーブル設置は、船舶とFWTとの間の距離をモニタすることによって制御され得る。引き込みワイヤ及びケーブルの運動は、代替的に、FWT上の基準点に対してモニタされ、引き込みシステムによって補償され得る。
【0092】
本発明の望ましい実施例が説明されたが、本コンセプトを組み込む他の実施例が使用され得ることは、当業者には明らかとなろう。上記で示された本発明のこれらの及び他の実例は、実例としてのみ意図されており、本発明の実際の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
【符号の説明】
【0093】
1 ケーブル設置システム
2 浮体式風力タービン
3 動的ケーブル
4 アンカー
5 船舶
6 ウィンチ
7 浮遊体計装キット
8 ステップ
9 ステップ
10 メッセンジャー・ワイヤ/引き込みワイヤ
11 第1の滑車/ガイド
12 第2の滑車/ガイド
13 慣性航法システム
14 第1のカメラ
15 通信システム(トランシーバ)
16 ガイド・チューブ・ハングオフ、ガイド・チューブ・ハングオフ装置/インターフェース
17 第2のカメラ
18 通信システム
20 ガイド・チューブ
31 自動ハングオフ・クランプ配置
32 不明(図11図15の符号)
51 動的位置決めシステム
52 手動制御
61 ウィンチ制御
62 人員
63 滑車/ガイド配置
64 手動制御
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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【国際調査報告】