(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】物体の滅菌のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A61L2/20 106
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533105
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 IN2022050510
(87)【国際公開番号】W WO2023148750
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】202221006538
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524208342
【氏名又は名称】ファーマラボ・インディア・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナゲシュワラ・ラオ・エム
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】
本主題は、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するためのシステム(100)および方法(300)に関する。システム(100)および方法(300)において、30%~35%濃度の過酸化水素溶液は、結果として生じる濃縮された過酸化水素の90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するように処理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は、
事前に特定された圧力および事前に特定された流量で30%~35%濃度の過酸化水素溶液を供給するためのポンピングユニット(104)と、
加圧された前記過酸化水素溶液を蒸気化するための、前記ポンピングユニット(104)に接続されている蒸気化ユニット(110)と、
結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、前記蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、前記蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対してパージング手順を実施するために前記蒸気化された過酸化水素を受け入れるための、前記蒸気化ユニット(110)に接続されている乾燥ユニット(112)と、
前記物体の滅菌のために前記濃縮された過酸化水素を受け入れるための、前記乾燥ユニット(112)に接続されている真空チャンバー(116)と、
を含む、システム(100)。
【請求項2】
前記システム(100)は、前記ポンピングユニット(104)、前記蒸気化ユニット(110)、および前記乾燥ユニット(112)に接続されている制御ユニット(120)を含み、前記制御ユニット(120)は、
前記事前に特定された圧力および前記事前に特定された流量で前記過酸化水素溶液を供給するために、前記ポンピングユニット(104)を調整することと、
前記過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するために、前記蒸気化ユニット(110)を調整することと、
90%~95%の範囲にある前記ターゲット濃度値を有する前記濃縮された過酸化水素を取得するために、前記蒸気化された過酸化水素溶液の前記入力体積に対して前記パージング手順を実施するために、前記乾燥ユニット(112)を調整することと、のためのものである、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記乾燥ユニット(112)は、
前記蒸気化された過酸化水素溶液を受け入れるために前記蒸気化ユニット(110)に接続されている第5の入口部(202)と、
乾燥パージガスを受け入れるために前記第5の入口部(202)の遠位に配設されているパージガス入口部(206)と、
前記パージング手順の間に湿ったパージガスを出力するために前記第5の入口部(202)の近位に配設されているパージガス出口部(208)と、
前記パージング手順の後に前記濃縮された過酸化水素を前記真空チャンバーに出力するために、前記乾燥ユニット(110)を前記真空チャンバーに接続する第5の出口部(204)と、
を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記システム(100)は、前記真空チャンバー(116)の内側に配設されている紫外線ランプ(118)を含み、前記紫外線ランプ(118)は、前記真空チャンバー(116)の内側表面の上に堆積されている水フィルムを乾燥させるために、前記過酸化水素が到達することができない前記物体のキャビティーを滅菌するために、および、前記真空チャンバー(116)の内側の真空によって破壊されない前記過酸化水素の残留分子を破壊するために、高エネルギーの冷熱紫外線放射を放出するためのものである、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記システム(100)は、前記真空チャンバー(116)の内側の前記紫外線放射を使用して、前記真空チャンバー(116)の中での前記物体の滅菌をモニタリングするための、前記制御ユニット(120)および前記紫外線ランプ(118)に接続されているスペクトロメーター(126)を含み、モニタリングに基づいて前記制御ユニット(120)によって前記物体が滅菌されていないものとして識別されるケースでは、前記制御ユニット(120)は、前記ポンピングユニット(104)、前記蒸気化ユニット(110)、および前記乾燥ユニット(112)をさらに調整するためのものである、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記ポンピングユニット(104)は、ソレノイド駆動式のダイヤフラムポンプである、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記システム(100)は、不純物を前記過酸化水素溶液から分離するために前記ポンピングユニット(104)と前記乾燥ユニット(112)との間に配設されているフィルターを含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記システム(100)は、前記ポンピングユニット(104)から受け入れられた前記加圧された過酸化水素溶液を拡散させるための、前記ポンピングユニット(104)と前記蒸気化ユニット(110)との間のディフューザー(106)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記システム(100)は、均一な液滴サイズを有する前記過酸化水素溶液の霧化されたスプレーを発生させるために、前記ディフューザー(106)と前記蒸気化ユニット(110)との間に配設されているノズル(108)を含む、請求項8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記ノズル(108)は、ミスト化ノズルおよび超音波ノズルのうちの1つである、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記真空チャンバー(116)の前記内側表面は、0.4マイクロメートルの表面仕上げを有している、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項12】
物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するための方法(300)であって、前記方法は、
真空チャンバーの内側に前記物体を設置するステップ(302)と、
ポンピングユニットから蒸気化ユニットへの、事前に特定された圧力および事前に特定された流量での30%~35%濃度の過酸化水素溶液の供給を制御ユニットによって調整するステップ(304)と、
前記過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するための前記蒸気化ユニットによる、受け入れられた前記過酸化水素溶液の蒸気化を前記制御ユニットによって調整するステップ(306)と、
結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、前記蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、前記蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対して乾燥ユニットによるパージング手順を前記制御ユニットによって調整するステップ(308)と、
前記真空チャンバーの内側に設置されている前記物体を滅菌するために前記真空チャンバーの中に前記濃縮された過酸化水素を受け入れるステップ(310)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的に、特定の外科手術器具、内視鏡などの再使用可能な医療用デバイスは、患者に感染を引き起こす可能性がある汚染されたデバイスが患者に対して使用され得る可能性を最小化するために、再使用の前に、微生物の生命のすべての形態を破壊または排除するために、主要な滅菌剤によって滅菌されることが可能である。
【0002】
以下の詳細な説明は、図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】一例による、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situ(その場)で生産するためのシステムのブロック図である。
【
図3】一例による、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
特定の外科手術器具などのような再使用可能な医療用デバイスは、蒸気化された過酸化水素滅菌を使用して滅菌されることが可能である。蒸気化された過酸化水素滅菌は、熱に敏感なデバイス(たとえば、医療用デバイスなど)を滅菌するために一般的に使用される低温滅菌である。滅菌は、汚染されたデバイスが患者に使用されないことを確実にするために、再使用の前に行われる。過酸化水素滅菌では、過酸化水素の蒸気が滅菌チャンバーの中に充填され、滅菌されることとなる医療用デバイスが滅菌チャンバーに設置される。さらに、医療用デバイスの露出された表面は、滅菌のために過酸化水素の蒸気に接触する。過酸化水素滅菌を完了した後に、蒸気は、滅菌チャンバーから排出され、水分子および酸素分子に変換される。
【0005】
液体過酸化水素は、可燃性であり、ある場所から別の場所への輸送の間の任意の事故のケースにおいて、爆発する可能性がある。高濃度の液体過酸化水素の取り扱いは、危険を伴い、高濃度の液体過酸化水素が人間または動物と接触する場合には、傷害を引き起こす。したがって、高濃度の過酸化水素は、滅菌プロセスにおける使用のために直接的に輸送されて取り扱われることは不可能である。
【0006】
一般に、過酸化水素滅菌のために、使用される過酸化水素は、30%~35%の濃度の過酸化水素を有する水溶液である。しかし、そのような30%~35%の低い濃度の過酸化水素の使用は、過酸化水素溶液の高い消費を結果として生じさせる。また、そのような濃度の過酸化水素溶液による過酸化水素滅菌の持続期間は、数時間を要する可能性がある。
【0007】
本主題は、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するための例示的なシステムおよび方法を説明する。本明細書で説明されている例示的なシステムおよび方法では、高濃度の過酸化水素の超高純度の蒸気が取得されることが可能である。
【0008】
物体(とりわけ、医療用デバイス)の過酸化水素滅菌を実施するために、物体は、真空チャンバーの内側に設置される。一例では、医療用デバイスは、外科用メス、フロープローブ、内視鏡などであることが可能である。一例では、複数の医療用デバイスが、真空チャンバーの内側に設置されることが可能である。真空チャンバーの内側に物体を設置した後に、ポンピングユニットは、事前に特定された圧力および事前に特定された流量で、30%~35%濃度の過酸化水素溶液を蒸気化ユニットに供給し、蒸気化ユニットは、ポンピングユニットに接続されている。さらに、加圧された過酸化水素溶液の水分内容物は、蒸気化ユニットによって微細な水蒸気に蒸気化される。過酸化水素溶液の微細な水蒸気は、蒸気化ユニットに接続されている乾燥ユニットに流れる。微細な水蒸気は、経路を塞ぐことなく過酸化水素溶液への好都合なフローを可能にする。さらに、パージング手順が、蒸気化された過酸化水素溶液に対して実施される。パージング手順は、蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するために、乾燥ユニットによって実施される。乾燥ユニットは、蒸気化ユニットに接続されている。水蒸気は、結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで抽出される。90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値を有する濃縮された過酸化水素は、物体を滅菌するために、真空チャンバーによって受け入れられ、滅菌されることとなる物体が真空チャンバーの中に設置される。
【0009】
さらに、ポンピングユニット、蒸気化ユニット、および乾燥ユニットは、制御ユニットに接続されており、制御ユニットは、ポンピングユニット、蒸気化ユニット、および乾燥ユニットのそれぞれを調整する。一例では、制御ユニットは、事前に特定された圧力および事前に特定された流量で過酸化水素溶液を供給するように、ポンピングユニットを調整する。一例では、制御ユニットは、過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するように、蒸気化ユニットを調整する。一例では、制御ユニットは、90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値を有する濃縮された過酸化水素を取得するために、蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対してパージング手順を実施するように、乾燥ユニットを調整する。
【0010】
蒸気化された過酸化水素溶液は、過酸化水素のフローの非一貫性および汚染を回避する。真空チャンバーに進入する前に、過酸化水素溶液は、湿気がない。また、ガス、粒子、および水蒸気は、真空チャンバーに進入する過酸化水素溶液から分離されている。90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値を有する濃縮された過酸化水素は、超高純度であり、真空チャンバーの内側に設置されている物体の短時間で効率的な滅菌を確実にする。高濃度の過酸化水素は、30%~35%濃度の過酸化水素溶液を使用してin-situで生産され、したがって、そのような高濃度は、過酸化水素滅菌を実施するユーザーに少しの傷害をも引き起こさない。
【0011】
本主題のこれらのおよび他の利点は、以下の説明において、
図1~
図2に関連してより詳細に説明されることとなる。マシンツールが実装および使用される様式は、
図1~
図2に関して詳細に説明されるものとする。
【0012】
説明は、単に本主題の原理を図示するに過ぎないということが留意されるべきである。したがって、当業者は、本明細書では明示的に説明されていないが、本主題の原理を具現化し、本主題の範囲内に含まれるさまざまな配置を考案することができることとなるということが認識されることとなる。そのうえ、本明細書に記載されているすべての例は、本主題の原理を理解する際に読者を補助することのみを意図している。そのうえ、本主題の原理、態様、および実装形態、ならびに、その特定の例を記載する本明細書におけるすべての記述は、その均等物を包含することを意図している。
【0013】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。可能な限り、同じ参照数字が、同じまたは同様のパーツを指すために、図面および以下の説明において使用されている。本説明において、いくつかの例が説明されているが、修正例、適合例、および他の実装形態も可能である。したがって、以下の詳細な説明は、開示されている例を限定するものではない。代わりに、開示されている例の適正な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが可能である。
【0014】
図1は、一例による、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するためのシステム100のブロック図を示している。システム100は、過酸化水素および紫外線放射を使用して、物体(とりわけ、再使用可能な医療用デバイス)の滅菌のために使用される。医療用デバイスの例は、それに限定されないが、内視鏡、外科用メス、カテーテル、医療用インプラントなどを含む。システム100は、ヘルスケア、半導体、製薬、衛生的な滅菌、汚染除去、およびプラズマエッチング、ならびに、他の同様のプロセスにおいて使用されることが可能である。システム100は、貯蔵タンク102を含む。貯蔵タンク102は、流体(たとえば、過酸化水素溶液)を貯蔵することができるタンクであることが可能である。貯蔵タンク102は、30%~35%の範囲にある濃度の過酸化水素溶液を貯蔵することが可能である。貯蔵タンク102は、任意の形状を有することが可能であり、過酸化水素溶液の化学的特性に耐えることができる材料から作製されることが可能である。
【0015】
システム100は、第1の入口部(図示せず)および第1の出口部(図示せず)を有するポンピングユニット104をさらに含む。ポンピングユニット104は、事前に特定された流量および事前に特定された圧力で正確な体積の過酸化水素溶液をディスペンスすることができるポンプである。ポンピングユニット104の第1の入口部は、貯蔵タンク102に接続されており、貯蔵された過酸化水素溶液を貯蔵タンク102から取り込む。一例では、ポンピングユニット104は、1ストローク当たり15マイクロリットルの正確な体積の過酸化水素溶液をディスペンスすることができるソレノイド駆動式のダイヤフラムポンプである。一例では、ポンピングユニット104によってディスペンスされる過酸化水素溶液の体積は、おおよそ5マイクロリットルと17マイクロリットルとの間で調節されることが可能であり、したがって、任意の量の物体の滅菌のためのパラメーターにフィットするようにポンピングユニット104が較正されることを可能にする。ポンピングユニット104は、0Hz~20Hzの間で動作されることが可能である。ポンピングユニット104は、自吸式であり、液体とガスとの両方をポンプ送りすることができる。ポンピングユニット104は、高い再現性を有しており、寿命時間全体にわたって安定したポンピング特質を有している。一例では、ポンピングユニット104は、最大動作圧力1barを有している。
【0016】
システム100は、第2の入口部(図示せず)および第2の出口部(図示せず)を有するディフューザー106をさらに含む。ディフューザー106は、システム100の中の過酸化水素溶液のフローを均一に維持するためのものである。ディフューザー106の第2の入口部は、ポンピングユニット104の第1の出口部に接続されており、加圧された過酸化水素溶液をポンピングユニット104から受け入れる。ディフューザー106は、加圧された過酸化水素溶液の液体粒子形成がゆっくりと徐々に行われなければならないような様式で、第2の出口部を介して、加圧された過酸化水素溶液をさらに拡散させる。一例では、ディフューザー106は、多孔性の金属ディフューザーであることが可能である。多孔性の金属ディフューザーは、加圧された過酸化水素溶液の層流を維持する。そのような層流は、滅菌の間の加圧された過酸化水素溶液の中の粒子の最小変位を結果として生じさせる。ディフューザー106は、焼結されたステンレス鋼またはニッケル膜フィルターから作製されたディフューザーエレメント(図示せず)を含む。一例では、ディフューザー106のハウジング(図示せず)は、316Lステンレス鋼から作製されることが可能である。ディフューザー106は、摂氏100度の最大動作温度で動作することが可能である。一例では、ディフューザー106は、加圧された過酸化水素溶液を4barの最大差圧で拡散させることが可能である。
【0017】
システム100は、第3の入口部(図示せず)および第3の出口部(図示せず)を有するノズル108をさらに含む。ノズル108の第3の入口部は、ディフューザー106の第2の出口部と接続されている。ノズル108の第3の入口部は、拡散された過酸化水素溶液をディフューザー106から受け入れ、次いで、拡散された過酸化水素溶液を霧化されたスプレーに変換する。一例では、ノズル108は、均一な液滴サイズ、一貫したスプレー角度、および、より低い圧力での、拡散された過酸化水素溶液の霧化されたスプレーのためのミスト化ノズルである。ミスト化ノズルは、ミスト化ノズルの目詰まりを最小化するために、一体化されたフィルター(図示せず)を含むことが可能である。それによって、ミスト化ノズルの寿命を最大化する。一例では、ミスト化ノズルは、ステンレス鋼316から作製されることが可能である。一例では、ミスト化ノズルは、1時間当たり1000ミリリットルの最大フローおよび3barの最大圧力を発生させることが可能である。ミスト化ノズルは、それらの非常に小さな液滴サイズおよび比較的に小さな流量によって特徴付けられる。入って来る過酸化水素溶液の圧力は、霧化プロセスを駆動するために使用される。入って来る過酸化水素溶液の圧力が高いほど、ますます微細な液滴を生産する。
【0018】
一例では、ノズル108は、超音波ノズルであることが可能である。超音波ノズルは、高周波数の音波を機械的エネルギーに変換することによって動作され、機械的エネルギーは、液体の中へ伝達され、定常波を生成する。液体が超音波ノズルの霧化表面を退出するとき、それは、均一なミクロンサイズの液滴の微細なミストに分解される。ミスト化ノズルとは異なり、超音波ノズルは、スプレーを生産するために高い圧力を使用して小さなオリフィスを通して過酸化水素溶液を押し出すのではない。超音波ノズルでは、過酸化水素溶液は、圧力なしに、比較的に大きなオリフィスを備えた超音波ノズルの中心を通して給送され、超音波ノズルの中の超音波振動に起因して霧化される。超音波ノズルを動作させるために必要とされるパワーは、1ワットと8ワットとの間にある。
【0019】
システム100は、第4の入口部(図示せず)および第4の出口部(図示せず)を有する蒸気化ユニット110をさらに含む。蒸気化ユニット110の第4の入口部は、ノズル108の第3の出口部に接続されている。蒸気化ユニット110は、ノズル108から受け入れられた過酸化水素溶液の霧化されたスプレーを蒸気化するためのものである。蒸気化ユニット110は、フロー制御バルブ(図示せず)および蒸気化チャンバー(図示せず)を含むことが可能である。フロー制御バルブは、蒸気化ユニット110の第4の入口部において受け入れられた過酸化水素溶液の霧化されたスプレーのフローを制御し、所望の量の過酸化水素溶液が蒸気化チャンバーにディスペンスされるようになっている。蒸気化チャンバーにおいて、フロー制御バルブからディスペンスされた過酸化水素溶液の霧化されたスプレーは、蒸気に変換される。過酸化水素溶液の蒸気は、システムの内側表面の内側にスケールを形成せず、スケールは、そうでなければ形成されることとなり、システムは、そのようなスケールに起因してチョックされる(chocked)可能性がある。蒸気化ユニット110は、摂氏150度の最大動作温度で動作するように構成されている。蒸気化ユニット110は、316Lステンレス鋼から作製された接液表面を有している。蒸気化ユニット110は、蒸気化ユニット110からディスペンスされる蒸気を制御するためのピエゾ制御バルブを含むことが可能である。蒸気化ユニット110は、毎分0.5立方センチメートルの最大流量を発生させることが可能である。システム100の蒸気化ユニット110は、蒸気変換の前の過酸化水素溶液または蒸気変換の後の蒸気のいずれかを質量流量によって測定するように形成されており、流量が圧力または温度の変化によって影響を受けないようになっている。
【0020】
システム100は、第5の入口部(
図1には示されていない)および第5の出口部(
図1には示されていない)を有する乾燥ユニット112をさらに含む。乾燥ユニット112は、
図2において詳細に説明されている。
図2は、一例による、乾燥ユニット112の概略図を示している。乾燥ユニット112の第5の入口部202および第5の出口部204が、
図2に示されている。乾燥ユニット112の第5の入口部202は、蒸気化ユニット110の第4の出口部に接続されており、蒸気化された形態の過酸化水素溶液を受け入れる。さらに、乾燥ユニット112は、パージガス入口部206およびパージガス出口部208を含む。パージガス入口部206は、乾燥パージガスを受け入れるために、第5の入口部202の遠位に配設されている。乾燥パージガスは、過酸化水素溶液の蒸気化された形態で内側膜ナノチューブの外側壁の環状の部分を通過し、過酸化水素溶液の水分内容物が膜壁を通して乾燥パージガスによって吸収されるようになっている。水分内容物を吸収した後に、パージガスは、湿った状態になり、過酸化水素は、90%~95%のターゲット濃度値まで到達する。パージガス出口部208は、第5の入口部202の近位に配設されており、パージング手順の後に湿ったパージガスを出力する。さらに、第5の出口部204は、パージング手順の後に乾燥されて濃縮された過酸化水素を出力するためのものである。一例では、乾燥ユニット112は、ナフィオン蒸気ドライヤーである。
【0021】
図1に戻ると、システム100は、隔離バルブ114と、第6の入口部(図示せず)および第6の出口部(図示せず)を有する真空チャンバー116と、を含む。隔離バルブ114は、乾燥ユニット112を真空チャンバー116から隔離するために、乾燥ユニット112と真空チャンバー116との間に配設されており、乾燥されて濃縮された過酸化水素が、要件にしたがって真空チャンバー116に流入することができるようになっている。
【0022】
真空チャンバー116の第6の入口部は、隔離バルブ114を介して乾燥ユニットに接続されており、乾燥されて濃縮された過酸化水素を受け入れる。一例では、真空チャンバー116は、316Lステンレス鋼またはアルミニウムから作製されている。真空チャンバー116は、0.4マイクロメートルの表面仕上げを有する内側表面(図示せず)を含む。0.4マイクロメートルの表面仕上げは、鏡面仕上げと同等である。1つの例において、真空チャンバー116は、単一のドアを含むことが可能であり、ドアは、滅菌のために物体を設置するために、および、滅菌された物体を除去するために、開閉可能である。1つの例において、真空チャンバー116は、二重ドアを含むことが可能であり、二重ドアは、滅菌のために物体を設置するために、および、滅菌された物体を除去するために、開閉可能である。1つの例において、真空チャンバー116は、40リットルから1000リットルの範囲にある体積を有している。真空チャンバー116のドアは、スライド動作式のドア、ヒンジ動作式のドア、および磁気シリンダー動作式のドアのうちの1つである。
【0023】
一例では、真空チャンバー116は、真空チャンバー116の内側に配設されている紫外線ランプ118を含む。紫外線ランプ118は、高エネルギーの冷熱紫外線放射を放出するためのものである。そのような高エネルギーの冷熱紫外線放射は、真空チャンバー116の内側表面の上に堆積された水フィルムを乾燥させるためのものであり、また、真空チャンバーの内側の真空によって破壊されない過酸化水素の残留分子を破壊するためのものである。加えて、高エネルギーの冷熱紫外線放射は、過酸化水素が到達可能でない物体のキャビティーを滅菌するためのものである。したがって、物体は、高濃度の過酸化水素および高エネルギーの冷熱紫外線放射の組み合わせに起因して、完全に滅菌される。H2Oの共振周波数に対応する185nm(おおよそ6.7eV)における真空の中の高エネルギーの冷熱紫外線放射は、基材の上の分子結合を迅速に溶解させるために使用され、その後に、自由ガス分子が抽出されることが可能である。そのようなプロセスは、特殊な合成石英ガラスから構成された供給源の極めて高い光子収率に起因して、高度に効率的である。
【0024】
システム100は、制御ユニット120をさらに含み、制御ユニット120は、ポンピングユニット104、蒸気化ユニット110、および乾燥ユニット112に接続されている。制御ユニット120は、90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値を有する濃縮された過酸化水素を生産するために、ポンピングユニット104、蒸気化ユニット110、および乾燥ユニット112のそれぞれの動作を同時に調整する。たとえば、制御ユニット120は、事前に特定された圧力および事前に特定された流量で過酸化水素溶液を供給するために、ポンピングユニット104を調整する。さらに、制御ユニット120は、過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するために、蒸気化ユニット110を調整する。制御ユニット120は、90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値を有する濃縮された過酸化水素を取得するために、蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対してパージング手順を実施するために、乾燥ユニット112をさらに調整する。
【0025】
制御ユニット120は、処理リソースを含むことが可能である。処理リソースは、マイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー、中央処理装置、ステートマシン、論理回路、および/または、コンピューター可読のインストラクションに基づいて信号およびデータを操作する任意の他のデバイスを含むことが可能である。さらに、「プロセッサー」とラベル付けされている任意の機能的ブロックを含む、図に示されているさまざまなエレメントの機能は、専用のハードウェア、ならびに、コンピューター可読のインストラクションを実行することができるハードウェアの使用を通して提供されることが可能である。
【0026】
システム100は、真空ポンプ122をさらに含み、真空ポンプ122は、真空チャンバー116および乾燥ユニット112に接続されている。真空ポンプ122は、真空チャンバー116の第6の出口部に接続されており、滅菌が完了したときに、真空ポンプ122が過酸化水素蒸気を真空チャンバー116から排出するように動作し、触媒コンバーター124に接続されている真空ポンプ122の出口部から外へ排気し、任意の残留過酸化水素粒子を回避するようになっている。加えて、真空ポンプ122は、乾燥ユニット112のパージガス出口部(
図1には示されていない)に接続されている。
【0027】
さらに、システム100は、スペクトロメーター126を含む。スペクトロメーター126は、物理現象(たとえば、システム100の中での物体の滅菌)のスペクトル成分を分離および測定するために使用される。スペクトロメーター126は、制御ユニット120および紫外線ランプ118に接続されており、真空チャンバー116の内側の紫外線放射を使用して、真空チャンバー116の中での物体の滅菌をモニタリングする。一例では、スペクトロメーター126は、HR4000複合格子スペクトロメーター(Composite-grating Spectrometer)および200nm~1100nm高分解能スペクトロメーターのうちの1つである。スペクトロメーター126は、グラフィカルユーザーインターフェースを備えた分光法ソフトウェアに接続されており、真空チャンバー116の内側の水蒸気および過酸化水素濃度を分析することによって、完全な滅菌プロセスを視察および制御することが可能である。スペクトロメーター126は、クリーニングまたは冷熱滅菌プロセスの前および後のすべての種類のガスおよび蒸気を効率的にモニタリングすることが可能である。
【0028】
一例では、データ(たとえば、水蒸気および過酸化水素濃度の分析に関係付けられるデータなど)は、制御ユニット120に連結されているストレージデバイス(図示せず)の中に記憶されることが可能である。ストレージデバイスは、たとえば、揮発性のメモリー(たとえば、スタティックランダムアクセスメモリー(SRAM)およびダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)など)および/または不揮発性のメモリー(たとえば、リードオンリーメモリー(ROM)、消去可能なプログラマブルROM、フラッシュメモリー、ハードディスク、光ディスク、および磁気テープなど)を含む、任意の非一時的なコンピューター可読の媒体を含むことが可能である。ストレージデバイスは、活動データを記憶することが可能である。一例では、活動データは、真空チャンバー116の内側の過酸化水素濃度を含む。
【0029】
一例では、システム100は、インターフェース(図示せず)を含む。インターフェースは、さまざまなインターフェース、たとえば、ユーザーのためのインターフェースを含むことが可能である。インターフェースは、データ出力デバイスを含むことが可能である。インターフェースは、さまざまな通信および電子デバイスとのシステム100の通信を容易にすることが可能である。一例では、インターフェースは、システム100と1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス(図示せず)との間のワイヤレス通信を可能にすることができる。
【0030】
真空チャンバー116の内側に設置されている物体が、スペクトロメーター126によるモニタリングに基づいて制御ユニット120によって滅菌されていないものとして識別されるケースでは、制御ユニットは、滅菌されていない物体を十分に滅菌するために、ポンピングユニット104、蒸気化ユニット110、および乾燥ユニット112をさらに調整することとなる。
【0031】
一例では、システム100は、ポンピングユニット104とディフューザー106との間に配設されている真空脱ガス装置(図示せず)を含むことが可能である。真空脱ガス装置は、半浸透性の膜に真空を印加することによって、溶解されたガスを過酸化水素溶液から除去する。このために、過酸化水素溶液は、真空脱ガス装置のシールされたチャンバーの内側の短い長さのテフロン(登録商標)キャピラリーを通って流れる。シールされたチャンバーは、環境に対して完全にシールされており、真空は、ポンプ(図示せず)によって印加される。一例では、ポンプは、真空ポンプであることが可能である。この真空に起因して、テフロンキャピラリーを通り抜ける過酸化水素溶液の中の任意の溶解されたガスは、その半浸透性の膜壁を通って除去される。テフロン材料の高い効率は、シールされたチャンバーの内側での非常に短い長さのキャピラリーの使用を可能にする。
【0032】
一例では、システム100は、固体不純物を過酸化水素溶液から分離するために、ポンピングユニット104と乾燥ユニット112との間にフィルター(図示せず)を含むことが可能である。一例では、フィルターは、ポンピングユニット104とディフューザー106との間に配設されている。フィルターは、0.1ミクロンから5ミクロンの不純物を濾過することが可能である。
【0033】
システム100の動作の間に、滅菌されることとなる物体(たとえば、医療用デバイスなど)が真空チャンバー116の内側に設置されているということを、制御ユニット120が決定するときに、制御ユニット120は、ポンピングユニット104から蒸気化ユニット110への、事前に特定された圧力および事前に特定された流量での30%~35%濃度の過酸化水素溶液の供給を調整する。ポンピングユニット104から蒸気化ユニット110への30%~35%濃度の過酸化水素溶液の供給の間に、過酸化水素溶液は、ディフューザー106によって拡散され、さらに、均一な液滴サイズを有する過酸化水素溶液の霧化されたスプレーが、ノズル108によって発生させられる。制御ユニット120は、過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するための蒸気化ユニットによる、過酸化水素溶液の受け入れられた霧化されたスプレーの蒸気化をさらに調整する。さらに、制御ユニット120は、結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対して乾燥ユニット112によるパージング手順を調整する。さらに、真空チャンバー116は、真空チャンバー116の内側に設置されている物体を滅菌するために、隔離バルブ114を介して乾燥ユニット112から、濃縮された過酸化水素を受け入れる。加えて、高エネルギーの冷熱紫外線放射を放出する紫外線ランプ118は、真空チャンバーの内側表面の上に堆積された水フィルムを乾燥させ、過酸化水素が到達することができない物体のキャビティーを滅菌し、真空チャンバーの内側の真空によって破壊されない過酸化水素の残留分子を破壊する。真空チャンバー116の内側に設置されている物体を滅菌する間に、真空チャンバー116は、スペクトロメーター126によってモニタリングされ、モニタリングデータは、制御ユニット120に通信される。モニタリングに基づいて制御ユニット120によって物体が滅菌されていないものとして識別されるケースでは、制御ユニット120は、真空チャンバー116の内側に設置されている物体を効率的に滅菌するために、ポンピングユニット104、蒸気化ユニット110、および乾燥ユニット112をさらに調整することとなる。
【0034】
図3は、一例による、物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで生産するための方法300のフローチャートを示している。方法300が説明されている順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、任意の数の説明されているステップは、方法300または代替的な方法を実装するために任意の順序で組み合わせられることが可能である。さらに、特定のステップは、簡潔および明確にするためにフローチャートにおいて省略されている。方法300はシステム100に関して説明されているということが留意され得る。
【0035】
図3を参照すると、ステップ302において、真空チャンバー116のドアを開けることによって、物体が真空チャンバー116の内側に設置される。一例では、物体は、内視鏡などのような医療用デバイスである。一例では、物体は、真空チャンバー116の内側に手動で設置されることが可能である。一例では、物体は、ロボットアームを使用して真空チャンバー116の内側に設置されることが可能である。真空チャンバー116の内側に物体を設置した後に、真空チャンバー116のドアが、手動でまたは電子的のいずれかで閉められる。
【0036】
ステップ304において、ポンピングユニット104からの30%~35%濃度の過酸化水素溶液の供給が、制御ユニット120によって調整される。制御ユニット120は、ポンピングユニット104を調整し、過酸化水素溶液が、事前に特定された圧力および事前に特定された流量でポンピングユニット104から蒸気化ユニット110へさらに供給されるようになっている。
【0037】
ステップ306において、制御ユニット120は、結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対して乾燥ユニット112によるパージング手順を調整する。そのような高濃度の過酸化水素は、他の場所から滅菌場所へ輸送される場合には使用することが困難である。
【0038】
ステップ308において、濃縮された過酸化水素が、真空チャンバーの中に受け入れられる。濃縮された過酸化水素を受け入れた後に、真空チャンバーの内側に設置されている物体は、濃縮された過酸化水素を使用して滅菌される。
【0039】
システム100および方法に関する実装形態が説明されているが、本主題は、必ずしも、説明されている特定の特徴に限定されるわけではないということが理解されるべきである。むしろ、特定の特徴は、実装形態として開示されている。
【符号の説明】
【0040】
100 システム
102 貯蔵タンク
104 ポンピングユニット
106 ディフューザー
108 ノズル
110 蒸気化ユニット
112 乾燥ユニット
114 隔離バルブ
116 真空チャンバー
118 紫外線ランプ
120 制御ユニット
122 真空ポンプ
124 触媒コンバーター
126 スペクトロメーター
202 第5の入口部
204 第5の出口部
206 パージガス入口部
208 パージガス出口部
300 方法
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで
濃縮するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は、
事前に特定された圧力および事前に特定された流量で30%~35%濃度の過酸化水素溶液を供給するためのポンピングユニット(104)と、
加圧された前記過酸化水素溶液を蒸気化するための、前記ポンピングユニット(104)に接続されている蒸気化ユニット(110)と、
結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、前記蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、前記蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対してパージング手順を実施するために前記蒸気化された過酸化水素を受け入れるための、前記蒸気化ユニット(110)に接続されている乾燥ユニット(112)と、
前記物体の滅菌のために前記濃縮された過酸化水素を受け入れるための、前記乾燥ユニット(112)に接続されている真空チャンバー(116)と、
を含む、システム(100)。
【請求項2】
前記システム(100)は、前記ポンピングユニット(104)、前記蒸気化ユニット(110)、および前記乾燥ユニット(112)に接続されている制御ユニット(120)を含み、前記制御ユニット(120)は、
前記事前に特定された圧力および前記事前に特定された流量で前記過酸化水素溶液を供給するために、前記ポンピングユニット(104)を調整することと、
前記過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するために、前記蒸気化ユニット(110)を調整することと、
90%~95%の範囲にある前記ターゲット濃度値を有する前記濃縮された過酸化水素を取得するために、前記蒸気化された過酸化水素溶液の前記入力体積に対して前記パージング手順を実施するために、前記乾燥ユニット(112)を調整することと、のためのものである、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記乾燥ユニット(112)は、
前記蒸気化された過酸化水素溶液を受け入れるために前記蒸気化ユニット(110)に接続されている第5の入口部(202)と、
乾燥パージガスを受け入れるために前記第5の入口部(202)の遠位に配設されているパージガス入口部(206)と、
前記パージング手順の間に湿ったパージガスを出力するために前記第5の入口部(202)の近位に配設されているパージガス出口部(208)と、
前記パージング手順の後に前記濃縮された過酸化水素を前記真空チャンバーに出力するために、前記乾燥ユニット(110)を前記真空チャンバーに接続する第5の出口部(204)と、
を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記システム(100)は、前記真空チャンバー(116)の内側に配設されている紫外線ランプ(118)を含み、前記紫外線ランプ(118)は、前記真空チャンバー(116)の内側表面の上に堆積されている水フィルムを乾燥させるために、前記過酸化水素が到達することができない前記物体のキャビティーを滅菌するために、および、前記真空チャンバー(116)の内側の真空によって破壊されない前記過酸化水素の残留分子を破壊するために、高エネルギーの冷熱紫外線放射を放出するためのものである、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記システム(100)は、前記真空チャンバー(116)の内側の前記紫外線放射を使用して、前記真空チャンバー(116)の中での前記物体の滅菌をモニタリングするための、前記制御ユニット(120)および前記紫外線ランプ(118)に接続されているスペクトロメーター(126)を含み、モニタリングに基づいて前記制御ユニット(120)によって前記物体が滅菌されていないものとして識別されるケースでは、前記制御ユニット(120)は、前記ポンピングユニット(104)、前記蒸気化ユニット(110)、および前記乾燥ユニット(112)
を調整するためのものである、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記ポンピングユニット(104)は、ソレノイド駆動式のダイヤフラムポンプである、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記システム(100)は、不純物を前記過酸化水素溶液から分離するために前記ポンピングユニット(104)と前記乾燥ユニット(112)との間に配設されているフィルターを含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記システム(100)は、前記ポンピングユニット(104)から受け入れられた前記加圧された過酸化水素溶液を拡散させるための、前記ポンピングユニット(104)と前記蒸気化ユニット(110)との間のディフューザー(106)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記システム(100)は、均一な液滴サイズを有する前記過酸化水素溶液の霧化されたスプレーを発生させるために、前記ディフューザー(106)と前記蒸気化ユニット(110)との間に配設されているノズル(108)を含む、請求項8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記ノズル(108)は、ミスト化ノズルおよび超音波ノズルのうちの1つである、請求項9に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記真空チャンバー(116)の前記内側表面は、0.4マイクロメートルの表面仕上げを有している、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項12】
物体の滅菌のために過酸化水素をin-situで
濃縮するための方法(300)であって、前記方法は、
真空チャンバーの内側に前記物体を設置するステップ(302)と、
ポンピングユニットから蒸気化ユニットへの、事前に特定された圧力および事前に特定された流量での30%~35%濃度の過酸化水素溶液の供給を制御ユニットによって調整するステップ(304)と、
前記過酸化水素溶液の水分内容物を微細な水蒸気に蒸気化するための前記蒸気化ユニットによる、受け入れられた前記過酸化水素溶液の蒸気化を前記制御ユニットによって調整するステップ(306)と、
結果として生じる濃縮された過酸化水素が90%~95%の範囲にあるターゲット濃度値に到達するまで、前記蒸気化された過酸化水素溶液から水蒸気を抽出するように、前記蒸気化された過酸化水素溶液の入力体積に対して乾燥ユニットによるパージング手順を前記制御ユニットによって調整するステップ(308)と、
前記真空チャンバーの内側に設置されている前記物体を滅菌するために前記真空チャンバーの中に前記濃縮された過酸化水素を受け入れるステップ(310)と、
を含む、方法。
【国際調査報告】