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▶ ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ナノ材料組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20241108BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20241108BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20241108BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/58
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
H01M4/80 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533127
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022051726
(87)【国際公開番号】W WO2023102234
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,903
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア エイ イグナチオ デ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ラデシュ ケー ヤダフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド アール ムーディ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS01
5H017CC01
5H017CC25
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017HH01
5H017HH03
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050DA04
5H050DA06
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA09
5H050DA11
5H050DA16
5H050EA02
5H050EA11
5H050EA23
5H050FA16
5H050FA17
5H050GA10
5H050GA11
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA08
5H050HA12
(57)【要約】
ナノ粒子組成物、電界紡糸した不織材料組成物、およびその製造方法を開示する。ナノ粒子は、犠牲ポリマー、並びに第1および第2のイオン種を含む組成物を繊維として電界紡糸し、犠牲ポリマーの少なくとも一部を分解することによって製造することができる。ナノ粒子は電気活性化合物を含んでもよい。ナノ粒子は、触媒活性化合物を含んでもよい。ナノ粒子はさらに、不織材料として調製された組成物に含まれてもよい。不織材料は、電池組成物を調製するために使用されてもよい。電池組成物は、ナノ粒子を含む電極を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径が5μm未満の繊維を含み、電界紡糸した不織材料を備える組成物であって、前記繊維は、
前記電界紡糸した不織層の総重量の40重量%~60重量%で存在する犠牲ポリマーと、並びに
前記犠牲ポリマー上に分散し、前記繊維に沿って分布する第1のイオン種および第2のイオン種と、
を含み、
前記第1のイオン種および前記第2のイオン種は、少なくとも1つの塩のイオン種であり、前記少なくとも1つの塩は、全塩の60重量%以下で存在し、
前記犠牲ポリマーの重量%に対する前記全塩の重量%は、前記犠牲ポリマーの重量%6部に対して前記全塩の重量%1部以上である、
前記繊維を含む、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、前記少なくとも1つの塩は、NiCl、Ni(CHCOO)、ZnSO、Zn(CHCOO)、KCl、KAuCl、CoCl、Co(CHCOO)、CuCl、Cu(NO、PdCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、Ni(NO、Co(NO、Mn(NO、Al(NO、Fe(NO、LiNO、LiHPO、Fe(CHCOO)、NiSO、CoSO、LiSO、MnSO、FeSO、Al(SO、Al(OCH、Al(CHCOO)、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、前記犠牲ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせである、組成物。
【請求項4】
基材、および
電界紡糸によって前記基材上に堆積された繊維からなる第1の繊維層
を含み、前記電界紡糸した不織層を備える組成物であって、前記繊維は、
第1のポリマー、および
前記ポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する第1の複数のナノ粒子を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む、前記第1の複数のナノ粒子
を含む、組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、さらに、
前記電界紡糸によって前記第1の繊維上に堆積された第2の繊維からなる第2の繊維層を備え、前記第2の繊維は、
第2のポリマー、および
前記第2のポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する第2の複数のナノ粒子を含み、前記第2の複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む、前記第2の複数のナノ粒子
を含み、
前記第1の繊維層は、前記第2の繊維層の密実度の少なくとも1.1倍の密実度を有する、組成物。
【請求項6】
請求項4または5に記載の組成物において、前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーは、独立して、1つ以上のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の組成物において、前記基材が集電体であり、またCuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、Niフォイル、織成基材、不織基材、人工固体電解質界面、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の組成物において、前記少なくとも1つの化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、Li(NiAlCo)O、またはそれらの組み合わせを含み、x+y+z=1である、組成物。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載の組成物において、前記基材は、触媒集合体の一部を形成し、二酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、セラミック、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物において、前記少なくとも1つの化合物種は、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせからなる、組成物。
【請求項11】
請求項4に記載の組成物において、前記第1の複数のナノ粒子は第1の化合物種を含み、前記組成物は、さらに、各ナノ粒子が前記第1の化合物種とは異なる第2の化合物種を含む第2の複数のナノ粒子を備える、組成物。
【請求項12】
電池であって、
請求項5~11のいずれか一項に記載の前記組成物を含む電極を備える、電池。
【請求項13】
電池であって、
複数のナノ粒子を含む電界紡糸した不織層を含む電極であって、各ナノ粒子は複数の少なくとも1つの電気活性化合物種を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有する電極を含み、
前記電界紡糸した不織層は、基材と、および電界紡糸によって前記基材上に堆積された繊維とを含み、前記繊維は、
バインダーポリマーと、および
前記バインダーポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布した前記複数のナノ粒子
とを含むものである、電池。
【請求項14】
請求項13に記載の電池において、前記少なくとも1つの電気活性化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、およびLi(NiAlCo)Oであって、x+y+z=1である、電池。
【請求項15】
請求項13または14に記載の電池において、前記基材は集電体であり、またCuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、Niフォイル、織成基材、不織基材、人工固体電解質界面、またはそれらの組み合わせからなる、電池。
【請求項16】
少なくとも1つの塩および犠牲ポリマーを溶媒に溶解して溶液を形成するステップであって、前記溶液は、
前記犠牲ポリマー
第1のイオン種、
第2のイオン種、および
前記溶媒
を含むものである、前記溶液を形成するステップと、
繊維を含む犠牲不織層を形成するよう前記溶液を電界紡糸するステップであって、前記繊維は、
前記犠牲ポリマーおよび、
前記ポリマー上に分散し、前記繊維に沿って分布する前記第1のイオン種および前記第2のイオン種
を含むものである、前記電界紡糸するステップと、
を備える、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記犠牲不織層の少なくとも一部を分解するステップであり、結果として複数のナノ粒子を形成し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含み、前記少なくとも1つの化合物種は、少なくとも前記第1のイオン種および前記第2のイオン種の反応生成物を含み、前記複数のナノ粒子は0.02μm~0.5μmの粒径範囲を有するものである、前記分解するステップを備える、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、
基材上に混合物を紡糸するステップであり、前記混合物は、
バインダーポリマーおよび、
前記複数のナノ粒子、
を含むものである、前記紡糸するステップを備え、
前記混合物の電界紡糸は、結果として第2の繊維を含む第2の不織層を生ずるものであり、前記第2の繊維は、
前記バインダーポリマー、および
前記バインダーポリマー内に分散し、前記繊維全体に分布する前記複数のナノ粒子からのナノ粒子
を含むものである、方法。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載の方法において、前記犠牲ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせからなる、方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法において、前記バインダーポリマーは、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの組み合わせから選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2021年12月03日に出願された米国仮出願第63/285,903号の利益を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ナノ材料組成物並びにその製造方法および使用方法に関する。特に、本開示は、不織材料組成物並びにその製造方法および使用方法に関する。本開示は、さらに、粒子組成物並びにその製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子などのナノ材料は、消費者製品および工業製品において至る所で見られるようになってきている。しかし、ナノ材料のナノおよび/またはメソ構造は、例えば電極集合体および触媒など、様々な用途におけるナノ材料の性能に直接影響を与える。例えば、比較的大きなナノ粒子と比較すると、小さなナノ粒子の方が、体積に対する表面積の比が大きいことに起因して、触媒効率が高くなる傾向がある。さらに、比較的小さなナノ粒子は、転位およびその他の結晶変形の傾向が少ないため、電極集合体での使用が望まれる。さらに、ナノ粒子を含む電極集合体のメソ構造は、集合体の電気化学的性能に大きく影響する可能性がある。例えば、高アスペクト比のナノ材料を含む電極は、高性能リチウムイオン電池での使用が有望視されている。
【0004】
ナノ材料の製造方法は、ナノ構造、メソ構造、およびナノ材料の形態分布に影響を与える。ナノ粒子は、マクロ構造をナノ構造に縮小するトップダウン法、または原子からナノ構造を構築するボトムアップ法によって製造することができる。トップダウン法では、サイズおよび形態が不均一に分布した比較的大きなナノ粒子が生成される一方、多くの廃棄物が発生する。一般的なボトムアップ法には、火炎リアクター工程、プラズマリアクター工程、レーザーリアクター工程、ホットウォールリアクター工程、化学的または気相堆積法、沈殿法、ゾル-ゲル工程などがある。これらの製造方法は、過酷な条件を必要としたり、サイズおよび形態が不均一な分布を持つナノ粒子を生成したり、反応速度論の最適化を必要としたり、ナノ粒子を単離するために大規模な後処理を必要としたりすることが多い。ナノ材料含有電極に関しては、従来の調製はスラリー鋳造で行われてきた。しかし、スラリー鋳造では不均一なメソ構造が形成され、その結果、電子輸送が遅くなる。
【0005】
ナノ粒子の製造プロセスのさらなる改善が必要である。さらに、改善された電気活性ナノ材料および、そのようなナノ材料の製造プロセスが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、一態様において、電界紡糸(electrospun)不織材料を含む組成物について説明する。不織材料は、平均直径が5μm未満の繊維を含む。前記繊維は、前記電界紡糸不織材料の総重量の40重量%~60重量%で存在する犠牲ポリマーと、並びに前記犠牲ポリマー上に分散し、繊維に沿って分布する第1のイオン種および第2のイオン種とを含み、前記第1のイオン種および前記第2のイオン種は、少なくとも1つの塩のイオン種であり、前記少なくとも1つの塩は、全塩の60重量%以下で存在し、前記犠牲ポリマーの重量%に対する前記全塩の重量%は、前記犠牲ポリマーの重量%6部に対して前記全塩の重量%1部以上である。
【0007】
前記少なくとも1つの塩は、NiCl、Ni(CHCOO)、ZnSO、Zn(CHCOO)、KCl、KAuCl、CoCl、Co(CHCOO)、CuCl、Cu(NO、PdCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、Ni(NO、Co(NO、Mn(NO、Al(NO、Fe(NO、LiNO、LiHPO、Fe(CHCOO)、NiSO、CoSO、LiSO、MnSO、FeSO、Al(SO、Al(OCH、Al(CHCOO)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0008】
前記犠牲ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0009】
犠牲ポリマーの重量%に対する全塩量の重量%は、1:6~2:1、1:3~5:3、2:3~5:3、2:3~4:3、または1:3~4:3であってもよい。
【0010】
電界紡糸不織層を含む組成物は、基材、および電界紡糸(エレクトロスピニング)によって前記基材上に堆積された繊維を含む。繊維は、ポリマー、および前記ポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する複数のナノ粒子を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む。複数の繊維が前記第1の繊維層を形成してもよい。組成物は、さらに、前記電界紡糸によって前記第1の繊維層上に堆積された第2の繊維からなる第2の繊維層を含んでもよい。前記第2の繊維は、第2のポリマー、および前記第2のポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する第2の複数のナノ粒子を含み、前記第2の複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含み、前記第1の繊維層は、前記第2の繊維層の密実度の少なくとも1.1倍の密実度を有する。
【0011】
複数のナノ粒子は、各ナノ粒子が第1の化合物種を含む第1の複数のナノ粒子であってもよく、前記組成物は、さらに、各ナノ粒子が前記第1の化合物種とは異なる第2の化合物種を含む第2の複数のナノ粒子を含んでもよい。
【0012】
繊維は、1μm未満の平均直径を有してもよい。ポリマーはバインダーポリマーであってもよい。ポリマーは、1つ以上のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0013】
電界紡糸不織層は、さらに、導電性材料を含んでもよい。導電性材料は炭素粉末であってもよい。前記基材は集電体であってもよい。前記基材は、Cuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、Niフォイル、織成基材、不織基材、人工固体電解質界面、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0014】
少なくとも1つの化合物種は電気活性を有するものであってもよい。前記少なくとも1つの化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、Li(NiAlCo)O、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、x+y+z=1である。少なくとも1つの化合物種は、触媒活性を有していてもよい。前記少なくとも1つの化合物種は、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0015】
電池は、上述の組成物のいずれかを含む電極を含んでもよい。
【0016】
電池は、複数のナノ粒子を含む電極を含んでもよく、各ナノ粒子は複数の少なくとも1つの電気活性化合物種を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの範囲の粒径を有する。電極は、基材と、および、電界紡糸によって前記基材上に堆積された繊維を含む電界紡糸不織層とを含んでもよく、前記繊維は、バインダーポリマーと、および、前記バインダーポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布した前記複数のナノ粒子とを含む。複数のナノ粒子は、0.02μm~0.4μmの範囲の粒径を有することができる。
【0017】
前記バインダーポリマーは、1つ以上のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
方法は、基材上に溶液を電界紡糸(エレクトロスピニング)するステップであって、溶液は、バインダーポリマー、溶媒、および複数のナノ粒子を含み、各ナノ粒子は複数の少なくとも1つの化合物種を含み、前記複数のナノ粒子は0.01μm~0.5μmの範囲の粒径を有するものである、前記電界紡糸するステップと、および、バインダーポリマーと、および前記バインダーポリマー内に分散し前記繊維全体に分布した前記複数のナノ粒子とを含む繊維からなる不織層を製造するステップと、を含む。繊維は、5μm未満の平均直径を有してもよい。前記少なくとも1つの化合物種は電気活性を有するものであってもよい。少なくとも1つの化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、およびLi(NiAlCo)Oを含んでもよく、x+y+z=1である。少なくとも1つの化合物種は、触媒活性を有していてもよい。前記少なくとも1つの化合物種は、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0019】
方法は、少なくとも1つの塩および犠牲ポリマーを溶媒に溶解して溶液を形成するステップであって、前記溶液は、前記犠牲ポリマー、第1のイオン種、第2のイオン種、および前記溶媒を含むものである、前記溶液を形成するステップと、繊維を含む犠牲不織材料を形成するよう前記溶液を電界紡糸するステップであり、前記繊維は、前記犠牲ポリマーおよび、前記ポリマー上に分散し、また前記繊維に沿って分布する前記第1のイオン種および前記第2のイオン種を含むものである、前記犠牲不織材料を形成するステップと、並びに、前記犠牲不織材料の少なくとも一部を分解するステップであり、結果として複数のナノ粒子を形成し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含み、前記少なくとも1つの化合物種は、少なくとも前記第1のイオン種および前記第2のイオン種の反応生成物を含み、前記複数のナノ粒子は0.02μ~0.5μmの粒径範囲を有するものである、前記分解するステップと、を含む。
【0020】
本方法は、さらに、基材上にバインダーポリマーおよび、前記複数のナノ粒子を含む混合物を紡糸するステップであって、前記混合物の電界紡糸は、結果として前記バインダーポリマーおよび、前記バインダーポリマー内に分散し、前記繊維全体に分布する前記複数のナノ粒子からのナノ粒子を含む第2の繊維を含む、第2の不織層を生ずるものである、前記混合物を紡糸するステップを含む。
【0021】
少なくとも1つの塩は、LiNO、LiHPO、Co(NO、Ni(NO、Fe(NO、Mn(NO、Al(NO、LiSO、CoSO、NiSO、FeSO、MnSO、Al(SO、Fe(CHCOO)、Al(OCH、Al(CHCOO)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。少なくとも1つの塩は、(NH)AuCl4、NaAuBr、HAuCl、KCl、KAuCl、NaPdCl、KPdBr、PdCl、KPdCl、(NHPDCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、PtCl、KPtCl、(NHPtCl、KPt(NO、KAg(CN)、KCu、Ni(NO、Mg(NO、NiCl、PdCl、Ni(Ac)、NiBr、NiI、NiSO、Pb(CHCOO)、SeCl、Se(CHCOO)、SeBr、ZnSO、Zn(CHCOO)、Zn(NO、ZnCl、FeCl、FeSO、Fe(NO、RuCl、Ru(NO、RhCl、Rh(NO、IrCl、Ir(SO、CuCl、Cu(NO、CuSO、Cu(CHCOO)、SnCl、Sn(CHCOO)、SnSO、Sn(NO、AlCl、Al(SO、Al(NO、MgCl、MgSO、CoCl、Co(CHCOO)、CoSO、Co(NO、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0022】
前記犠牲ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
分解ステップは、熱処理を含んでもよい。熱処理は、500℃~1100℃での熱分解を含んでもよい。
【0024】
本開示の上記の要約は、開示された各実施形態または本開示の全ての実施形態を説明することを意図するものではない。以下の説明では、より特に例示的な実施形態を説明する。本出願中のいくつかの箇所で、例示のリストを通じて指針が提供され、これらの例示は様々な組み合わせで使用され得る。各例において、引用されたリストは、代表的なグループとしてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下の詳述は以下の図を参照し、同じ参照番号は複数の図において類似/同一の構成要素を識別するために使用される場合がある。図面は必ずしも縮尺通りではない。
【0026】
図1図1は、実施形態によるナノ粒子の製造に使用するプロセスの概略図である。
図2図2は、実施形態による電極集合体の製造に使用するプロセスの概略図である。
図3図3は、実施形態による触媒集合体の製造に使用するプロセスの概略図である。
図4A図4Aは、実施形態による電池の概略断面図である。
図4B図4Bは、図4Aの電池に使用する電極の概略断面図である。
図5図5は、実施例1における溶液3の電界紡糸繊維のSEM画像である。
図6図6は、実施例1における溶液5の電界紡糸繊維のSEM画像である。
図7図7は、実施例1における溶液6の電界紡糸繊維のSEM画像である。
図8図8は、図5の不織層の熱分解後に形成されたLiCoOのナノ粒子のTEM画像である。
図9図9は、熱分解後に形成されたLiCoOナノ粒子の高分解能TEM画像である。
図10図10は、図5の不織層の熱分解後に形成されたLiCoOのナノ粒子のX線スペクトルであり、優れた結晶性を示し、アモルファス含有物はない。
図11A】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図11B】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図12】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図13A】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図13B】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図13C】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図13D】実施例2で調製した繊維サンプルのSEM画像である。
図14A図14Aは、実施例5で調製したカソード集合体のSEM画像である。
図14B図14Bは、実施例5のカソード集合体を用いたハーフセル構成のコインセルの放電容量の測定値のプロットである。
図14C図14Cは、実施例5のカソード集合体を用いたハーフセル構成のコインセルの測定されたクーロン効率のプロットである。
【0027】
[定義]
本明細書で使用する全ての科学用語および技術用語は、特に断らない限り、当該技術分野で一般的に使用される意味を有する。本明細書において提供する定義は、本明細書において頻繁に使用する特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0028】
特に断らない限り、「ポリマー(polymer)」および「ポリマー材料(polymeric material)」という用語には、有機ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、ターポリマーなど、およびそれらのブレンドおよび改変体が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、特に限定しない限り、「ポリマー(polymer)」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成には、アイソタクチック対称性、シンジオタクチック対称性、およびアタクチック対称性が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
ここで「密実度(solidity)」という用語は、繊維状材料中の固形材料の相対的な量を意味するために使用し、次式で計算される。
【数1】


ここで、cは密実度、mfは繊維の質量、ρfは繊維の密度、Aは繊維状材料の面積、tは繊維状材料の層厚、bwは繊維状材料の坪量である。密実度と空隙率の関係は、空隙率+密実度=100%である。
【0030】
「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、単数の実体を指すことを意図しているのではなく、特定の例を説明のために使用することができる一般的なクラスを含む。
【0031】
冠詞「a」、「an」、および「the」は、用語「少なくとも1つ(at least one)」と互換的に使用する。リストの後に続く「少なくとも1つの~(at least one of)」および「少なくとも1つの~を備える/含む(comprises at least one of)」という語句は、リスト中の項目のいずれか1つ、およびリスト中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0032】
ここで使用する場合、「または(or)」という用語は、内容が明確に指示しない限り、「および/または(and/or)」を含む通常の意味で一般的に使用する。用語「および/または(and/or)」は、リストアップされた要素の1つまたは全て、あるいはリストアップされた要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0033】
端点による数値範囲の記載は、その範囲に包含される全ての数値を含む(例えば、1~5には1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5など、または、10以下には10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3など)。値の範囲が特定の値「まで(up to)」または「少なくとも(at least)」である場合、その値は範囲内に含まれる。
【0034】
ここで使用する場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える/含む(comprise)」、「備えている/含んでいる(comprising)」等は、その開放的な意味で使用され、一般に、「含むが、これらに限定されない(including, but not limited to)」ことを意味する。「本質的に/ほぼ~からなる(consisting essentially of,)」、「からなる(consisting of)」等は、「からなる(comprising)」等に包含されることが理解されるであろう。本明細書で使用する場合、組成物、製品、方法などに関する「本質的に/ほぼ~からなる(consisting essentially of,)」とは、組成物、製品、方法などの成分が、列挙された成分および組成物、製品、方法などの基本的かつ新規な特性に重大な影響を及ぼさない他の成分に限定されることを意味する。
【0035】
「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」という用語は、特定の状況下で、特定の利点をもたらす可能性のある実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態も、同じ状況または他の状況下で、好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0036】
「上部/頂部(top)」、「下部/底部(bottom)」、「左(left)」、「右(right)」、「上側/上方(upper)」、「下側/下方(lower)」、および他の方向および向きなど、ここで言及する任意の方向は、図を参照して明確にするために本明細書で説明されるものであり、実際のデバイスもしくはシステムまたはデバイスもしくはシステムの使用を限定するものではない。本明細書に記載の装置またはシステムは、多数の方向および向きで使用することができる。
【0037】
「粒径/粒度(particle size)」という用語は、複数の粒子の代表サンプルにおける各粒子の最大寸法を指す。粒径は、透過型電子顕微鏡および/または走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。各粒子の測定サイズは、対象試料がふるい分けされている場合に、同じサイズのふるい開口部を通過する球体に対応する。粒径の範囲が与えられている場合、70wt%以上、80wt%以上、90wt%以上、または95wt%以上のナノ粒子は、その範囲内の粒径を有する。
【0038】
[発明の詳細な説明]
本開示は、様々な用途のナノ材料に関する。特に、本開示は、電気化学反応および化学反応に使用するためのナノ材料に関する。特に、本開示は、不織材料組成物並びにその製造方法および使用方法に関する。本開示はさらに、ナノ粒子組成物並びにその製造方法および使用方法に関する。
【0039】
本開示の実施形態によれば、ナノ粒子は、犠牲ポリマーを用いた電界紡糸(エレクトロスピニング)によって塩から調製することができる。本開示の方法によって作製されたナノ粒子は、ナノ粒子の平均直径によって測定されるように、ナノ粒子サイズの狭い分布を示すことがある。ナノ粒子は、転位または他の結晶変形をほとんどまたは全く有さないことがある。本開示に記載の方法は、拡張性が高く、多くの塩やポリマーマトリクス(母材)に適合する。ここに挙げられていない他の利点も存在する可能性がある。
【0040】
一実施形態によれば、犠牲不織材料は、犠牲ポリマー、少なくとも1つの塩の少なくとも2つのイオン種、および溶媒の溶液を電界紡糸(エレクトロスピニング)することによって合成する。犠牲ポリマーは、犠牲不織材料に含まれる繊維を形成するための繊維形成成分を提供する。繊維は、犠牲ポリマーと、および少なくとも2つのイオン種とを含む。少なくとも2つのイオン種はポリマーに付着する。少なくとも2つのイオン種は、繊維全体に分布している。いくつかの実施形態によれば、犠牲不織材料は分解処理に課する。分解処理は、犠牲不織材料の少なくとも一部を分解し、複数のナノ粒子をもたらす。各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む。化合物種は、少なくとも2つのイオン種の反応生成物である。いくつかの実施形態では、化合物種は、少なくとも2つのイオン種と追加の化合物またはイオン種との反応生成物であってもよい。いくつかの実施形態では、化合物種および/またはナノ粒子は電気活性を有する。いくつかの実施形態では、化合物種および/またはナノ粒子は触媒活性を有する。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、不織層は、バインダーポリマーとナノ粒子の溶液を基材上に紡糸(例えば、電界紡糸)することによって製造する。バインダーポリマーは、繊維を形成するための繊維形成成分を提供する。ナノ粒子はバインダーポリマーに付着する。ナノ粒子は繊維全体に分布する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、犠牲ポリマー、少なくとも1つの塩の少なくとも2つのイオン、および溶媒の溶液を電界紡糸することによって、次いで分解処理によって得られる。
【0042】
本開示の実施形態によれば、ナノ粒子は不織層ナノ材料に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子含有ナノ材料は、電池などの電極集合体において使用し得る。本開示に記載の方法によって作製した電極集合体は、電気化学的酸化/還元反応速度論を強化するために、大きな電極/電解質界面領域を提供することができる。電極集合体は、電極への電解質の十分な浸透を可能にする制御可能な繊維間空隙容積を提供し得る。電極集合体は、高いナノ粒子含有量と短いリチウムイオン輸送経路を提供することができる。ここに列挙されていない他の利点も存在し得る。
【0043】
一実施形態によれば、不織層は複数のナノ粒子を含む。各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの電気活性化合物種を含む。いくつかの実施形態では、不織層は、集電体である基材上に紡糸(例えば、電界紡糸)され、これにより電極集合体が形成される。いくつかの実施形態では、電極集合体はカソード集合体である。いくつかの実施形態では、電極集合体はアノード集合体である。いくつかの実施形態では、カソード集合体は、リチウムイオン電池などの電池に使用することができる。いくつかの実施形態では、アノード集合体は、リチウムイオン電池などの電池において使用され得る。いくつかの実施形態では、カソード集合体およびアノード集合体は、リチウムイオン電池などの電池に使用することができる。
【0044】
本開示の実施形態によれば、ナノ粒子は、少なくとも1つの触媒活性化合物種を含み得る。いくつかの実施形態では、触媒集合体は、ナノ粒子およびバインダーポリマーを電界紡糸(エレクトロスピニング)して不織層を作製することによって製造する。いくつかの実施形態では、不織層は基材上に堆積する。いくつかの実施形態では、触媒集合体は基材を含まない。
【0045】
本開示の実施形態によれば、ナノ粒子は不織材料に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子含有材料は、触媒集合体において使用し得る。本開示に記載の方法によって作製した電極触媒集合体は、凝集を最小限に抑えてナノ粒子の分散を可能にする不織層を提供することができ、したがって、触媒活性化合物が反応を触媒するための各ナノ粒子の表面積を増大させる。触媒の表面積の増大は、所望の反応を行うために必要な触媒化合物の量が少なくて済むため、経済的かつ環境に優しい可能性がある。不織層はまた、触媒の支持体にもなる。ここに列挙されていない他の利点も存在する可能性がある。
【0046】
ここで図1を参照すると、本開示の一実施形態によるナノ粒子を製造するための一般的なプロセスが示されている。少なくとも1つの塩12および犠牲ポリマー16を溶解し(矢印1)、溶液20を作製する。いくつかの実施形態では、1つの塩または複数の塩、例えば2つの塩、3つの塩、4つの塩、5つの塩、6つの塩、7つの塩、8つの塩、9つの塩、または10以上の塩が、溶液20に溶解されてもよい。図1に示す例示的な実施形態では、溶液20中に任意の第2の塩14が溶解されている。溶液20は、少なくとも1つの塩の第1のイオン種および第2のイオン種を含む。例えば、図1に描かれているように、いくつかの実施形態では、溶液20は、第1の塩12からの第1のイオン種22、第1の塩12からの第2のイオン種24、犠牲ポリマー16、および溶媒26を含む。1つ以上の追加の任意の塩が溶液20に溶解されるいくつかの実施形態では、溶液20は、1つ以上の追加のイオン種を含む。例えば、図1に描かれているようないくつかの実施形態では、溶液20は、任意の第2の塩14からの第3のイオン種21と、第2の塩14からの第4のイオン種23とを含む。犠牲不織材料30は、溶液20を紡糸(例えば、電界紡糸)する工程(矢印2)を経て作製する。犠牲不織材料30は繊維36を含む。犠牲ポリマー16は、繊維36の繊維形成成分を提供する。したがって、繊維36は、犠牲ポリマー16、および第1のイオン種22、および第2のイオン種24を含む。第1のイオン種22および第2のイオン種24は、ポリマーに付着している。第1のイオン種22および第2のイオン種24は、繊維36に沿って分布している。いくつかの実施形態では、1つ以上の任意の追加の塩が溶液中に溶解される場合、任意の塩からの1つ以上の追加のイオン種は、繊維36に付着される。いくつかの実施形態において、1つ以上の任意の付加的な塩が溶液中に溶解される場合、1つ以上の任意の塩からの1つ以上の付加的なイオン種は、繊維36を横切って分布される。例えば、いくつかの実施形態では、図1に描かれているように、第2の塩14からの第3のイオン種21、および第2の塩14からの第4のイオン種23がポリマーに付着している。第3のイオン種21および第4のイオン種23は繊維36に沿って分布している。犠牲不織材料30は分解処理3に曝され、ブレンド40が得られる。ブレンド40は、複数のナノ粒子42を含む。ブレンド40は、分解されたまたは部分的に分解された繊維46を含んでもよい。複数のナノ粒子42の各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む。化合物種は、少なくとも第1のイオン種22および第2のイオン種24との間の反応生成物である。
【0047】
第1のイオン種22および第2のイオン種24は、溶液20中の少なくとも1つの塩の溶解に起因する。いくつかの実施形態では、第1のイオン種22および第2のイオン種24は、溶液20中の2つ以上の異なる塩の溶解に起因する。図1に示されるようないくつかの実施形態では、第1のイオン種22および第2のイオン種24は、第1の塩12の溶解に起因する。いくつかの実施形態では、任意の追加の塩が溶液20中に溶解される場合、追加のイオン種は、追加の塩の溶解から生じる。例えば、図1において、第3のイオン種21および第4のイオン種23は、溶液20中の第2の塩14の溶解から生じる。いくつかの実施形態では、第1の塩12はLiNOである。いくつかの実施形態では、溶液20は、第1の塩12であるLiNOの溶解からの第1のイオン種22、Liおよび第2のイオン種24、NO を含む。いくつかの実施形態では、第3のイオン種21および第4のイオン種24は、図1に描かれている第2の塩14のような、1つ以上の追加の塩の溶解に起因する。いくつかの実施形態では、第2の塩14はCo(NOである。したがって、溶液20は、第3のイオン種Co2+と、および随意的な第2の塩14、Co(NOの溶解からの追加のNO イオンとを含む。随意的な追加イオン種が溶液20中に存在してもよい。追加のイオン種は、溶媒26中に存在する少なくとも1つの塩またはイオン、例えば、水中に存在するイオン種に加えて、溶液20に添加される任意の塩からのものであってもよい。
【0048】
複数のナノ粒子の各ナノ粒子42は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む。化合物種は、少なくとも第1のイオン種22および第2のイオン種24との間の反応生成物である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42が電気活性を有する少なくとも1つの化合物種を含む場合、少なくとも1つの塩および随意的な追加の塩は、電気活性化合物種を形成するために反応することができるイオン種に溶解する塩の任意の組み合わせであってよい。追加の反応性種が反応に関与してもよい。追加の反応性種は、反応生成物の一部であってもよい。追加の反応種の例には、酸素、硫黄、リン、窒素、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0049】
一実施形態によれば、化合物種は電気活性である。いくつかの実施形態では、電気活性化合物種はカソード活性化合物である。いくつかの実施形態では、電気活性化合物種はリチウムを含む。いくつかの実施形態では、電気活性化合物種は、リチウムおよび1つ以上の金属を含む。カソード活性電気活性化合物種の例としては、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)OおよびLi(NiAlCo)Oが挙げられ、x+y+z=1である。いくつかの実施形態において、カソード電気活性化合物種は、LiCoOである。いくつかの実施形態において、カソード活性電気活性化合物種は、LiNiOである。溶解して、反応してカソード活性電気活性化合物種を形成することができるイオン種を生成する可能性のある塩の例には、これらに限定されないが、LiNO、Co(NO、Ni(NO、Fe(NO、Mn(NO、Al(NO、LiSO、CoSO、NiSO、FeSO、MnSO、Al(SO、Li(CHCOO)、Co(CHCOO)、Ni(CHCOO)、Fe(CHCOO)、FeO(CHCOO)、Mn(CHOO)、AlOH(CHCOO)、Al(CHCOO)、LiHPO、Co(PO、Ni(PO、FePO、Mn(PO、AlPO、HPO、トリエチルホスフェート(CHCHPO、Ni(NO、Co(NO、Mn(NO、Al(NO、Fe(NO、LiNO、LiHPO、Fe(CHCOO)、NiSO、CoSO、Li2SO、MnSO、FeSO、Al(SO、Al(OCH、Al(CHCOO)、およびそれらの水和物が含まれる。いくつかの実施形態では、第1の塩12はLiNOであり、第2の塩14はCo(NO・6HOである。いくつかの実施形態では、第1の塩12はLiNOであり、第2の塩14はNi(NO・6HOである。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子42中の各ナノ粒子は、カソード活性化合物である2つ以上の電気活性化合物種を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、LiCoOおよびLiNiOを含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、電気活性化合物種はアノード活性化合物種である。アノード電気活性化合物種の例としては、Co、CuO、LiTi12(チタン酸リチウム)、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、それらの炭化物、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属アノード材料の例としては、Li金属、MgやCaなどのアルカリ土類金属、およびSi系化合物が挙げられる。Si系化合物は、Si繊維の形態であってもよい。アノード電気活性種のさらなる例としては、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、それらの酸化物、それらの硫化物、それらのリン化物、それらの炭化物、それらの窒化物、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。アノード電気活性化合物種の分子式は、経験式を反映しない場合がある。アノード電気活性種の追加の例としては、Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Sn、およびそれらの組み合わせを含む金属元素または半金属元素の窒化物、酸化物、炭化物が挙げられる。いくつかの実施形態では、アノード電気活性化合物種はケイ素である。いくつかの実施形態では、電気活性化合物種はシリコンであり、シリコンはシリコンファイバー構成である。いくつかの実施形態では、アノード電気活性化合物種はLiTi12である。溶解して、アノード活性電気化合物種を形成するために反応することができるイオン種を生成することができる塩の例としては、これらに限定されないが、KTiO、NaKTiO、NaTi12、LiNO、LiHPO、HTiO、HTi12、HTiO、Co(NO、Ni(NO、Fe(NO、Mn(NO、Al(NO、LiSO、CoSO、NiSO、FeSO、MnSO、Al(SO、Li(CHCOO)、Co(CHCOO)、Ni(CHCOO)、Fe(CHCOO)、FeO(CHCOO)、Mn(CHOO)、AlOH(CHCOO)、Al(CHCOO)、Li(PO)、Co(PO4)、Ni(PO4)、FePO、Mn(PO4)、AlPO、PdSO、Pd(NO、Pd(CHCOO)、PtSO、Pt(NO、Pt(CHCOO)、Pt(SO、Bi(NO、Bi(CHOO)、Ti(SO、Ti(NO、Ti(CHCOO)、SnSO、Sn(NO、Sn(CHCOO)、MgSO、Mg(NO、Mg(CHCOO)、W(SO、W(NO、W(CHCOO)、Ge(SO、Ge(NO、Ge(CHCOO)、PbSO、Pb(NO、Pb(CHCOO)、Zr(SO、Zr(NO、Zr(CHCOO)、Mo(SO、Mo(CHCOO)、Mg(NO、Mg(CHCOO)、Ca(NO、Ca(CHCOO)、およびその水和物が含まれる。いくつかの実施形態において、第1の塩12はHTiOであり、第2の塩14はLi(CHCOO)である。いくつかの実施形態では、第1の塩12はHTiOであり、第2の塩14はLiSOである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、アノード活性化合物種である2つ以上の電気活性化合物種を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、LiTi12およびSiベースの化合物を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子42が触媒活性を有する少なくとも1つの化合物を含む場合、少なくとも1つの塩および随意的な追加の塩は、反応して触媒活性化合物種を形成することができるイオン種に溶解する塩の任意の組み合わせであってよい。追加の反応性種は、触媒活性化合物を形成する反応に関与してもよい。追加の反応性種は、触媒活性化合物の反応生成物の一部であってもよい。反応生成物の一部であり得る追加の反応性種には、酸素、硫黄、リン、窒素、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。触媒活性化合物は多金属であってもよい。多金属触媒活性化合物は、2種類以上の金属を有する。多金属触媒は、その触媒活性の高さから注目されている。多金属触媒には貴金属と非貴金属がある。貴金属系触媒には、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Auなどの元素が含まれる。貴金属は希少であるためコストが高いが、貴金属は触媒効率が高い。貴金属系触媒のコストを下げる手段としては、触媒活性化合物を含むナノ粒子の表面積/体積比を大きくする(例えば、ナノ粒子を小さくする)ことが挙げられる。非貴金属ベースの触媒は、例えば、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、または貴金属ではない任意の遷移金属、ランタニド、またはアクチニドの元素の1つ以上を含むことができる。多金属触媒は、1種以上の貴金属、1種以上の非貴金属、または貴金属と非貴金属の混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、貴金属および非貴金属ベースの触媒活性化合物のハイブリッドを含む。貴金属ベースと非貴金属ベースの触媒のハイブリッドは、コストを低減するために使用することができる。本開示の触媒活性化合物種は、多金属化合物であってもよい。触媒活性化合物種の分子式は、実験(経験)式を反映しない場合がある。触媒活性多金属化合物の例としては、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、PdCuCe、これらの酸化物、これらの硫化物、およびこれらのリン化物を含む。触媒活性化合物は、単一の金属のみを含んでもよい。本開示の触媒活性化合物種は、単一の金属のみを含んでもよい。単一の金属を含む触媒活性化合物の非限定的な例としては、ZnO、ZnP、NiP、NiS、NiCo、NiCu、ZnO、NiO、Cu、AuPt、AuPd、TiO、およびNiOが挙げられる。いくつかの実施形態において、触媒活性化合物種は、TiO、NiCo、NiCu、ZnO、NiO、Cu、AuPt、AuPdである。反応して、触媒活性化合物種を形成することができるイオン種に溶解する可能性のある塩の例としては、これらに限定されるものではないが、TiCl、Ti(CHCOO)、TiOSO、Ti(NO、(NH)AuCl、NaAuBr、HAuCl、KCl、KAuCl、NaPdCl、KPdBr、PdCl、KPdCl、(NHPdCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、PtCl、KPtCl、(NHPtCl、KPt(NO、KAg(CN)、KCu、Ni(NO、Mg(NO、NiCl、PdCl、Ni(CHCOO)、NiBr、NiI、NiSO、Pb(CHCOO)、SeCl、Se(CHCOO)、SeBr、ZnSO、Zn(CHCOO)、Zn(NO、ZnCl、FeCl、FeSO、Fe(NO、RuCl、Ru(NO、RhCl、Rh(NO、IrCl、Ir(SO、CuCl、Cu(NO、CuSO、Cu(CHCOO)、SnCl、Sn(CHCOO)、SnSO、Sn(NO、AlCl、Al(SO、Al(NO、MgCl、MgSO、CoCl、Co(CHCOO)、CoSO、Co(NO、Mn(NO、LiNO、LiHPO、Fe(CHCOO)、LiSO、MnSO、Al(OCH、Al(CHCOO)、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、目的の金属を含む1つ以上の有機前駆体を使用することができる。例えば、チタンイソプロポキシド、Ti[OCH(CHを、触媒TiOから前駆体として使用してもよい。いくつかの実施形態では、第1の塩12は、NiCl、Ni(CHCOO)、ZnSO、Zn(CHCOO)、KCl、またはKAuClである。いくつかの実施形態では、第2の塩14は、CoCl、Co(CHCOO)、CuCl、Cu(NO、PdCl、KPdCl、NaPtCl、またはKPtBrである。
【0052】
いくつかの実施形態では、溶液20に追加の試薬を加えることができる。追加の試薬の例としては、ドーパント、安定化試薬、および還元試薬が挙げられる。還元試薬の例としては、テトラブチルアンモニウム水素化ホウ素、テトラエチルアンモニウム水素化ホウ素、テトラメチルアンモニウム水素化ホウ素、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジヒドリド(2-メトキシエトキシ)アルミン酸二水素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素トリエチルカリウム、水素化ホウ素アルミニウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素アンモニウム、水素化アルミニウムリチウム、およびヒドラジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ドーパントの例としては、二元ヘテロ原子、三元ヘテロ原子、アルカリ金属、遷移金属、炭素粉末、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。安定化試薬の例としては、SiO粒子、洗浄剤、および有機配位子が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、有機配位子は、触媒活性化合物種中の金属に結合していてもよい。
【0053】
犠牲ポリマー16は、一般に、少なくとも部分的に分解可能であるものとなるように選択される。適切な分解処理の例としては、例えば、熱分解、熱酸化、酵素消化、熱機械分解、化学分解、光分解、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。犠牲ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアセチレン、およびこれらの組み合わせを含むポリ炭化水素;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、およびこれらの組み合わせを含むハロポリ炭化水素;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-11、ナイロン-12、パラ系アラミド、カルバミド-メタナール、メラミン-メタナール、およびこれらの組み合わせを含むポリアミド;ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(ビスフェノールAスルホン)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、およびこれらの組み合わせを含むポリスルホン;ポリエチレングリコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(エチレン)オキシド、ポリビニルブチラール、ポリカプロラクトン、およびこれらの組み合わせを含むポリエーテル;ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(グリコール酸)、ポリ-L-乳酸、ポリジオキサノンおよびこれらの組み合わせを含むポリエステル;ポリアニリンを含むポリアミン;フルオロポリアルコールを含むポリアルコール;ポリウレタン;ポリ(メチルメタクリレート)およびポリメチルメタクリレートを含むポリアクリレート;ポリカーボネート;ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナプテン、ポリピロール、およびそれらの組み合わせを含むポリアロマチック;感光性ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、およびポリアクリロニトリルを含むその他のポリマー;それらのコポリマー;それらのブロックポリマー;およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、犠牲ポリマー16は、スチレンブタジエンのコポリマーである、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16は、ポリビニルピロリドンである、またはポリビニルピロリドンを含む。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16は、ナイロン-6、ナイロン-6,6、およびナイロン-6,10のターポリマーである、またはそれを含む。ターポリマーは、例えば、40wt%~50wt%(例えば、45wt%)のナイロン-6、15wt%~25wt%(例えば、20wt%)のナイロン-6,6、および20wt%~30wt%(例えば、25wt%)のナイロン-6,10を含み得る。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16は、ポリビニルアルコールであるか、またはポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16は、ポリエチレングリコールである、またはポリエチレングリコールを含む。犠牲ポリマー16は、直鎖状および分枝状を含む種々のトポロジーを有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の犠牲ポリマーを使用してもよい。
【0054】
犠牲ポリマー16の分子量は、電界紡糸(エレクトロスピニング)プロセス2に適合するように選択することができる。一般に、高分子量ポリマーは、低分子量ポリマーを含む溶液20よりも高い粘度を有する溶液20をもたらす可能性のある、増加した鎖の絡み合いと関連する。電界紡糸に課される溶液20の粘度は、繊維形成に影響を及ぼす。例えば、低粘度の溶液は、不連続な繊維形成または電界噴射(エレクトロスプレーイング)をもたらすおそれがある。高すぎる粘度を有する溶液は、エレクトロスピニング機械の目詰まり、および/またはビーディングおよび不連続な繊維形成をもたらすおそれがある。選択するポリマー(化学構造および分子量)に応じて、エレクトロスピニングに適した溶液は、室温で測定して20cP~1000cPの粘度を有するものとすることができる。粘度は、粘度計(例えば、AMETEK Brookfield社から入手可能なBrookfield LV DV-I Prime Viscometer、マサチューセッツ州ミドルボロ)を用いて、設定温度、例えば25℃で測定することができる。いくつかの実施形態において、溶液20は、20cP以上、50cP以上、100cP以上、200cP以上、または500cP以上の粘度を有する。溶液は、1000cP以下、800cP以下、または600cP以下の粘度を有してもよい。
【0055】
さらに、犠牲ポリマー16の分子量は繊維の平均直径に影響を与える可能性がある。一般に、高分子量ポリマーは、低分子量ポリマーで形成された繊維よりも大きな平均直径を有する繊維をもたらす。
【0056】
いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、15,000g/mol以上、25,000g/mol以上、50,000g/mol以上、100,000g/mol以上、250,000g/mol以上、500,000g/mol以上、750,000g/mol以上、1,000,000g/mol以上、または1,500,000g/mol以上である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、25,000g/mol以下、50,000g/mol以下、100,000g/mol以下、250,000g/mol以下、500,000g/mol以下、1,000,000g/mol以下、または1,500,000g/mol以下である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、15,000g/mol~1,500,000g/mol、15,000g/mol~1,000,000g/mol、15,000g/mol~500,000g/mol、15,000g/mol~250,000g/mol、15,000g/mol~100,000g/mol、15,000g/mol~50,000g/mol、または15,000g/mol~25,000g/molである。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、25,000g/mol~1,500,000g/mol、25,000g/mol~1,000,000g/mol、25,000g/mol~500,000g/mol、25,000g/mol~250,000g/mol、25,000g/mol~100,000g/mol、または25,000g/mol~50,000g/molである。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、50,000g/mol~1,500,000g/mol、50,000g/mol~1,000,000g/mol、50,000g/mol~500,000g/mol、50,000g/mol~250,000g/mol、または50,000g/mol~100,000g/molである。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、100,000g/mol~1,500,000g/mol、100,000g/mol~1,000,000g/mol、100,000g/mol~500,000g/mol、または100,000g/mol~250,000g/molである。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、250,000g/mol~1,500,000g/mol、250,000g/mol~1,000,000g/mol、または250,000g/mol~500,000g/molである。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、500,000g/mol~1,500,000g/mol、または500,000g/mol~1,000,000g/molである。いくつかの実施形態において、犠牲ポリマー16の質量平均分子量は、1,000,000g/mol~1,500,000g/molである。いくつかの実施形態において、複数の犠牲ポリマーが使用されてもよく、異なる犠牲ポリマーは、異なる質量平均分子量を有してもよい。
【0057】
犠牲ポリマー16の分子量の分散度は、繊維36の特性に影響を与える可能性がある。分子量の分散性は、分散度(DM)として定量化することができる。DMはポリマーの個々の分子量の分布である。DMは、質量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った商として計算される。MwとMnは、粘度測定、サイズ排除クロマトグラフィー、質量分析など様々な方法を用いて決定することができる。一般に、小さいDMが好ましい。DMが大きいポリマーを電界紡糸(エレクトロスピニング)すると、繊維平均径や液滴形成が安定しないことがある。望ましい下限はないが、実際には、犠牲ポリマー16のDMは、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、または1.8以上であってもよい。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、2.0以下、1.8以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、または1.1以下であり得る。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.0~2.0、1.0~1.8、1.0~1.4、1.0~1.3、1.0~1.2、または1.0~1.1である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.1~2.0、1.1~1.8、1.1~1.4、1.1~1.3、または1.1~1.2である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.2~2.0、1.2~1.8、1.2~1.4、または1.2~1.3である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.3~2.0、1.3~1.8、または1.3~1.4である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.4~2.0、または1.4~1.8である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16のDMは、1.8~2.0である。いくつかの実施形態において、複数の犠牲ポリマーが使用されてもよく、異なる犠牲ポリマーは異なるDM値を有してもよい。
【0058】
溶液20中に存在する全塩の量に対する犠牲ポリマー16の量は、電界紡糸繊維36およびナノ粒子42の特性に影響を及ぼす可能性がある。「全塩(total salts)」という用語は、溶液20中に存在し得る少なくとも1つの塩および任意の追加の塩の量を含む。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の重量%に対する全塩の重量%は、犠牲ポリマー1部に対して、全塩の1部以上、2部以上、3部以上、4部以上、5部以上、6部以上、7部以上、8部以上、または9部以上である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の重量%に対する全塩の重量%は、犠牲ポリマー1部に対して全塩の10部以下、9部以下、8部以下、7部以下、6部以下、5部以下、4部以下、3部以下、または2部以下である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマー16の重量%に対する全塩の重量%は、1:6~2:1、1:3~5:3、2:3~5:3、2:3~4:3、または1:3~4:3である。
【0059】
溶媒26は一般に、少なくとも1つの塩12および任意の追加塩がそれぞれのイオン種に解離し、犠牲ポリマー16を溶解できるように選択される。さらに、溶媒26は、一般に、電界紡糸(エレクトロスピニング)に適合するように選択される。このように、溶媒26は、犠牲ポリマーを溶解することにより、溶液20を電界紡糸するのに適した粘度になるように選択することができる。溶媒は、1つ以上のプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性溶媒、親水性溶媒、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。適切な溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、エタノール、エーテル、アセトン、四塩化炭素、アニソール、酢酸、ベンゼン、ジオキサン、石油エーテル、アセトニトリル、ヘキサン、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、キシレン、メタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、水、ベンジルアルコール、トルエン、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。溶媒は水性であってもよい。塩およびポリマーの溶解度を高めるために、溶媒のpHを調整してもよい。pHは、有機酸もしくは塩基、または無機酸もしくは塩基を用いて調整することができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、イソプロパノールおよびジメチルホルムアミドの混合物であるか、またはイソプロパノールおよびジメチルホルムアミドの混合物を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、エタノールである、またはエタノールを含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、アセトンである、またはアセトンを含む。
【0060】
この溶液20に電界紡糸(エレクトロスピニング)を課し(図1の矢印2)、犠牲不織材料30を作製する。電界紡糸は、微細繊維製造に使用される電気流体力学的プロセスである。一般に、電界紡糸は、溶液を帯電させてジェットを形成し、次いでジェットを延伸して繊維を形成するプロセスである。パラメータによって、電界紡糸のプロセスは、1本の長い繊維を形成することもあれば、多数の短い繊維を形成することもある。エレクトロスピニング法の溶液パラメータおよび処理パラメータは、繊維の適切な平均直径と組成になるように調整することができる。溶液パラメータには、溶液の粘度、ポリマー濃度、犠牲ポリマーの分子量が含まれる。加工パラメータには、導電率、表面張力、電圧、先端からコレクターまでの距離、供給速度、コレクターの種類、コレクターの動き、湿度、圧力、温度が含まれる。処理パラメータは、繊維形成ポリマーおよび溶液20中の溶媒または溶媒に依存する。印加電圧は、繊維の特性に影響を与える可能性がある。エレクトロスピニングの条件には、通常4kV~30kVの電圧が含まれる。ターゲットからコレクターまでの距離は、繊維特性に影響を与える可能性がある。エレクトロスピニング条件は、典型的には、2cm~39cmのターゲットからコレクターまでの距離を有する。いくつかの実施形態では、犠牲不織材料は、回転シリンダーコレクター上に堆積される。いくつかの実施形態では、犠牲不織材料は、固定コレクター上に堆積される。いくつかの実施形態では、溶液20は、従来のエレクトロスピニング、同軸エレクトロスピニング、エマルジョンエレクトロスピニング、またはモルトエレクトロスピニングを課すことができる。
【0061】
溶液20中の全固形分の重量%は、犠牲不織材料30の特性に影響を与える可能性がある。全固形分には、第1の塩、随意的な追加の塩、任意の追加成分、および犠牲ポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、溶液20中の全固形分の重量%は、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、または40%以上である。いくつかの実施形態では、溶液中の全固形分の重量%は、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下である。いくつかの実施形態では、全固形分の重量%は、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、10%~15%、15%~50%、15%~40%、15%~30%、15%~20%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~50%、30%~40%、40%~50%、10%~20%、20%~30%である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマーがナイロンである場合、固形分の全重量%は10%~25%である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマーが酢酸セルロースである場合、溶液中の全固形分の重量%は少なくとも20%~30%である。
【0062】
犠牲不織材料30は、繊維36を含む。繊維36は、単一の繊維であってもよいし、複数の繊維であってもよい。犠牲ポリマー16は、繊維36の繊維形成成分である。したがって、繊維36は、犠牲ポリマー16、および第1のイオン種22および第2のイオン種24を含む。第1のイオン種22および第2のイオン種24は、ポリマー16に付着し、繊維36にわたって付着する。付着力の例には、金属-リガンド相互作用、静電引力、π-πスタッキング、およびそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、第1のイオン種22および第2のイオン種24は、繊維36にわたって均一に分散している。各繊維36は平均直径を有する。平均直径は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を含む様々な技術を用いて測定することができる。場合によっては、繊維をナノファイバーとして特徴付けることができる。しかしながら、本開示の繊維は、必ずしもサブミクロン直径の繊維に限定されない。いくつかの実施形態では、繊維36は、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1.5μm以下、1.2μm以下、1.0μm以下、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、または0.2μm以下の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は、0.1μm以上、0.2μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.8μm以上、1.0μm以上、または1.2μm以上の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は、0.1μm~5μ、0.1μm~4μm、0.1μm~3μm、0.1μm~2μm、0.5μm~5μm、0.5μm~4μm、0.5μm~3μm、0.5μm~2μm、0.8μm~5μm、0.8μm~4μm、0.8μm~3μ、0.8μm~2μm、1μm~5μm、1μm~4μm、1μm~3μm、0.1μm~1.5μm、0.2μm~1.5μm、0.4μm~1.5μm、0.6μm~1.5μm、0.8μm~1.5μm、1.0μm~1.5μm、または1.2μm~1.5μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は、0.1μm~1.2μm、0.2μm~1.2μm、0.4μm~1.2μm、0.6μm~1.2μm、0.8μm~1.2μm、または1.0μm~1.2μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は、0.1μm~1.0μm、0.2μm~1.0μm、0.4μm~1.0μm、0.6μm~1.0μm、または0.8μm~1.0μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は0.1μm~0.8μm、0.2μm~0.8μm、0.4μm~0.8μm、または0.6μm~0.8μmの平均直径を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、繊維36の平均直径が小さいほど、分解処理3の後に形成されるナノ粒子42のサイズが小さくなる。一般に、平均直径がより小さい繊維は、より小さいナノ粒子42の形成に関連する。一部の実施形態では、繊維の平均直径が小さいほど、分解処理3に必要なエネルギー(例えば、熱エネルギー)が少なくて済む。
【0064】
犠牲不織材料30は分解処理(矢印3)を受け、ブレンド40が得られる。ブレンド40は複数のナノ粒子42を含む。ブレンド40は、分解された又は部分的に分解された繊維46を含んでもよい。分解処理3は、少なくとも第1のイオン種22と第2のイオン種24との間の化学反応を促進し、少なくとも1つの化合物種をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、追加の種が反応生成物の一部であってもよい。追加の反応種の例には、酸素、硫黄、リン、窒素、およびそれらの組み合わせが含まれる。ナノ粒子42は、結晶構造で集合した複数の化合物種から形成される。いくつかの実施形態では、化合物種は電気活性である。適切な電気活性化合物種の例としては、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、およびLi(NiAlCo)Oが挙げられ、x+y+z=1である。いくつかの実施形態では、化合物種は触媒活性である。好適な触媒活性化合物の例としては、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、PdCuCe、およびそれらの酸化物、硫化物、リン化物が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は狭い粒度分布を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.005μm~0.5μm、0.005μm~0.4μm、0.005μm~0.3μm、0.005μm~0.2μm、0.005μm~0.1μm、0.005μm~0.05μm、0.005μm~0.05μm、0.005μm~0.04μm、0.005μm~0.03μm、0.005μm~0.02μm、または0.005μm~0.01μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.01μm~0.5μm、0.01μm~0.4μm、0.01μm~0.3μm、0.01μm~0.2μm、0.01μm~0.1μm、0.01μm~0.05μm、0.01μm~0.04μm、0.01μm~0.03μm、または0.01μm~0.02μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.02μm~0.5μm、0.02μm~0.4μm、0.02μm~0.3μm、0.02μm~0.2μm、0.02μm~0.1μm、0.02μm~0.05μm、0.02μm~0.04μm、または0.02μm~0.03μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.03μm~0.5μm、0.03μm~0.4μm、0.03μm~0.3μm、0.03μm~0.2μm、0.03μm~0.1μm、0.03μm~0.05μm、または0.03μm~0.04μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.04μm~0.5μm、0.04μm~0.4μm、0.04μm~0.3μm、0.04μm~0.2μm、0.04μm~0.1μm、または0.04μm~0.05μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.05μm~0.5μm、0.05μm~0.4μm、0.05μm~0.3μm、0.05μm~0.2μm、または0.05μm~0.1μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子42は、0.1μm~0.5μm、0.1μm~0.4μm、0.1μm~0.3μm、または0.1μm~0.2μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.2μm~0.5μm、0.2μm~0.4μm、または0.2μm~0.3μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、0.3μm~0.5μmまたは0.3μm~0.4μmの粒径範囲を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は0.4μm~0.5μmの粒径範囲を有する。
【0066】
分解処理3は、一般に、犠牲不織材料30の少なくとも一部を分解するように選択される。犠牲不織材料30は、繊維36を含む。繊維は、第1イオン種22および第2イオン種24を含む。分解処理により、犠牲不織材料30とブレンド40との間に質量差が生じる。ブレンド40は、複数のナノ粒子を含む。ブレンド40は、分解された又は部分的に分解された繊維36を含んでもよい。分解の程度は、犠牲不織材料30とブレンド40との間の質量の差として特徴付けることができる。犠牲ポリマーの分解は、質量変化に寄与し得る。第1の塩および第2の塩の分解が質量変化に寄与する場合がある。分解の程度は、溶液20に添加された犠牲ポリマーおよび塩の初期総質量とブレンド40の質量との商として測定することができる。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の25%以上、50%以上、または75%以上を分解する。いくつかの実施形態では、分解処理3は、不織材料30の99%以下、95%以下、90%以下、75%以下、50%以下、または25%以下を分解する。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~75%、25%~50%、または25%~50%を分解し得る。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の50%~99%、50%~95%、50%~90%、または50%を分解し得る。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の75%~99%、75%~95%、または75%~90%を分解してもよい。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の90%~99%、または90%~95%を分解してもよい。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲不織材料30の95%~99%を分解してもよい。
【0067】
分解処理3は、一般に、犠牲ポリマー16の少なくとも一部を分解することによって繊維36の少なくとも一部を分解し、分解繊維46をもたらすように選択される。適切な分解処理の例としては、熱分解、熱酸化、酵素消化、熱機械分解、化学分解、光分解、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、ブレンド40は分解後処理に供される。分解後処理の一例は、ブレンド40をふるい分けして、分解された繊維36からナノ粒子の少なくとも一部を分離することである。いくつかの実施形態では、特定のサイズ範囲のナノ粒子を、フィルタリングを介してブレンド40から分離することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、分解処理3は、熱分解の形態での熱分解を含む。熱分解は、不活性雰囲気(例えば、酸素がほとんどない)中における高温での材料の熱分解である。いくつかの実施形態では、繊維36の燃焼を促進するために、熱分解中に酸素などのガスを添加してもよい。いくつかの実施形態では、分解処理3は、400℃以上、500℃以上、少なくとも600℃以上、少なくとも700℃以上、または800℃以上の温度での熱分解を含む。いくつかの実施形態では、分解処理3は、500℃以下、600℃以下、700℃以下、800℃以下、900℃以下、1000℃以下、または1100℃以下の温度での熱分解を含む。いくつかの実施形態では、分解処理3は、400℃~1100℃、400℃~1000℃、400℃~900℃、400℃~800℃、400℃~700℃、400℃~600℃、400℃~700℃、500℃~1100℃、500℃~1000℃、500℃~900℃、500℃~800℃、500℃~700℃、または500℃~600℃など、犠牲ポリマーを所望の程度まで分解するのに有効な温度での熱分解を含む。いくつかの実施形態では、熱分解の温度は、熱分解プロセス全体を通して変更することができる。
【0069】
一部の実施形態では、熱分解処理により、個々のナノ粒子の周囲に炭素質層の形で人工的な固体電解質界面が形成される。透過型電子顕微鏡を使用して、炭素質層の厚さを測定することができる。いくつかの実施形態では、炭素質層の厚さは、10nm以下、5nm以下、2nm以下、または1nm以下である。いくつかの実施形態では、炭素質層の厚さは、1nm以上、2nm以上、または5nm以上である。いくつかの実施形態では、炭素質層の厚さは、1nm~10nm、1nm~5nm、または1nm~2nmである。いくつかの実施形態では、炭素質層は、2nm~10nm、または2nm~5nmの厚さである。いくつかの実施形態において、炭素質層は5nm~10nmの厚さである。炭素質層は、電気活性ナノ粒子の結晶格子内外へのリチウムイオンの拡散を妨げないことがある。いくつかの実施形態では、人工固体電解質界面は、容量減退を減少させることによって電池寿命を改善することができる。
【0070】
一部の実施形態では、熱分解は繊維36の炭化を含み、元素炭素である分解繊維46をもたらす。いくつかの実施形態では、繊維36は部分的に熱分解され、炭素、犠牲ポリマー16、および熱分解プロセス中に犠牲ポリマー16中の様々な結合を切断することによって形成された低分子量ポリマーを含む分解繊維46を生じる。不完全な熱分解は、残ったポリマーと低分子量ポリマーが電極集合体の受動層として機能する可能性があるため、有益な場合がある。繊維36の不完全な熱分解は、残りのポリマーおよび低分子量ポリマーが触媒集合体の支持体として機能する可能性があるため、有益な場合がある。
【0071】
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示の方法により製造された繊維のナノスケール異方性により、550℃という低い熱分解温度でイオン種を電気活性ナノ粒子に変換し、結晶性の高いナノ粒子を製造することができると考えられる(例えば、図7参照)。対照的に、電気活性物質を製造するための他の多くのプロトコルでは、700℃より高い温度を必要とする。他のプロトコルと比較して熱分解温度が低下することで、エネルギーおよび経済的な節約につながる可能性がある。一実施形態によれば、本開示の電気活性ナノ粒子は高度に安定である。例えば、いくつかの実施形態において、本開示のカソード電気活性ナノ粒子は、100サイクル以上の充放電後に安定である。ナノ粒子を作製するための本開示の方法はまた、ナノ粒子に人工固体電解質界面を適用するために使用される工程数の減少を可能にし得る。例えば、多くのプロトコルは、原子層堆積法、分子層堆積法、化学気相成長法、またはゾル-ゲル法を用いて、独立した後処理段階として人工固体電解質界面を適用する。対照的に、本開示のいくつかの実施形態では、熱分解処理によって、ナノ粒子上の炭素薄層から人工固体電解質界面をその場で形成することができる。
【0072】
本開示のプロセスは、組成物を調製するために使用され得る。一実施形態によれば、組成物は、電界紡糸した不織層を含む。前記電界紡糸した不織層は、基材、および電界紡糸によって基材上に堆積された繊維を含み得る。繊維は、ポリマー、および、ポリマー上に分散し前記繊維全体に分布する複数のナノ粒子から構成されてもよい。前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有する。各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は電極集合体を製造するために使用する。
【0073】
一実施形態によれば、組成物は、基材、および、電界紡糸によって基材上に堆積された2つの繊維層を含む。繊維層は、ポリマーからなる繊維および、ポリマー上に分散し前記繊維全体に分布する複数のナノ粒子を含み得る。各繊維層は異なる密実度を有することができ、一方の層は他方の層よりも少なくとも1.1倍高い密実度を有する。いくつかの実施形態では、より高い密実度を有する層が基材に隣接して最初に堆積し、より低い密実度を有する層が最初の層上に後に堆積する。複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有することができる。各ナノ粒子は、複数の少なくとも1種の化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は電極集合体を作製するために使用する。
【0074】
一実施形態によれば、組成物は、基材および、電界紡糸(エレクトロスピニング)によって前記基材上に堆積された繊維層を含む電界紡糸不織層を含む。前記繊維層は前記繊維を含んでもよく、各繊維は0.1μm~5μmの繊維径を有する。前記繊維は、ポリマーおよび、前記ポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する複数のナノ粒子を含むことができる。前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有することができる。各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は電極集合体を作製するために使用する。
【0075】
図2は、電極集合体60の製造に使用されるプロセスの概略図である。いくつかの実施形態では、電極集合体60はカソード集合体である。いくつかの実施形態では、電極集合体60はアノード集合体である。溶液50は、不織層62を製造する基材64上に紡糸(例えば、電界紡糸)4する。溶液50は、電気活性を有する化合物種を含むナノ粒子42、導電性材料54、およびバインダーポリマー56を含み、これらは全て溶媒52に溶解している。電気活性化合物は、任意の電気活性化合物種または電気活性化合物種の組み合わせを含むことができる。カソード電気活性化合物種の例としては、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、およびLi(NiAlCo)Oが挙げられ、x+y+z=1である。アノード活性電気活性化合物種の例としては、Co、CuO、LiTi12(チタン酸リチウム)、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiOおよびそれ故の炭化物、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。アノード電気活性種のさらなる例としては、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、それらの酸化物、それらの硫化物、それらのリン化物、それらの炭化物、それらの窒化物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。アノード活性電気活性種のさらなる例としては、Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Sn、およびそれらの組み合わせを含む金属元素または半金属元素の窒化物、酸化物、炭化物が挙げられる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は、図1を参照して説明したプロセスを使用して調製した可能性がある。
【0076】
溶液50にエレクトロスピニング4を課して、不織層62を作製する。不織層62は繊維66を含む。バインダーポリマー56は、繊維66の繊維形成成分である。したがって、繊維66はバインダーポリマー56を含む。導電性材料54およびナノ粒子42は、バインダーポリマー56に結合し、繊維66に沿って分布する。いくつかの実施形態では、導電性材料54およびナノ粒子42は、繊維66に沿って均一に分布している。いくつかの実施形態では、繊維66は単繊維である。いくつかの実施形態では、繊維66は複数の繊維である。図1に記載したプロセスを参照して議論された任意のエレクトロスピニング法を使用し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は狭い粒度分布を有する。ナノ粒子は、本明細書の他の箇所に開示した任意の粒径範囲を有してよい。溶媒52は、ナノ粒子42および導電性材料54の分散、好ましくは均一な分散、およびバインダーポリマー56の溶解を可能にするように選択することができる。溶媒52は、ナノ粒子42の成分イオンへの溶解を最小限にするように選択することができる。溶媒52は、好ましくは、エレクトロスピニングプロセスに適合するように選択される。適切な溶媒には、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性溶媒、親水性溶媒、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、エタノール、エーテル、アセトン、四塩化炭素、アニソール、酢酸、ベンゼン、ジオキサン、石油、エーテル、アセトニトリル、ヘキサン、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、キシレン、メタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、水、ベンジルアルコール、トルエン、およびこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。溶媒は水性であってもよい。ナノ粒子の溶解度を低下させるために、溶媒のpHを調整してもよい。バインダーポリマーの溶解性を高めるために、pHを調整してもよい。pHは、有機酸もしくは塩基、または無機酸もしくは塩基を用いて調整することができる。
【0078】
バインダーポリマー56は一般に、ナノ粒子42および導電性材料54を結合するように選択される。バインダーポリマー自体が導電性であってもよい。バインダーポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアセチレンなどを含むポリ炭化水素;ポリ塩化(ビニル)、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(テトラフルオロエチレン)などを含むハロポリ炭化水素;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-11、ナイロン-12、パラ-アラミド、カルバミド-メタナール、メラミン-メタナールなどのポリアミド;ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(ビスフェノールAスルホン)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホンなどのポリスルホン;ポリエチレングリコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(エチレン)オキシド、ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル類;ポリエチレンテレフタレート、ポリ(グリコール酸)、ポリ-L-乳酸、ポリジオキサノンなどのポリエステル類;ポリアニリンなどのポリアミン類;フッ素ポリアルコールなどのポリアルコール類;ポリウレタン類;ポリカーボネート類;ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナプテン、ポリピロール、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)などのポリアロマチック類;ポリイミド;感光性ポリマー;ポリアクリレート、ポリビニルピロリドンを含む他のポリマー;およびブロックポリマー、例えばスチレンブタジエンなどのコポリマー;それらのコポリマー;それらのブロックポリマー;およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、バインダーポリマー56は、スチレンブタジエンコポリマーである。いくつかの実施形態において、バインダーポリマー56は、ポリフッ化ビニリデンである。
【0079】
電極集合体60では、基材64を集電体に選択することができる。電極集合体は、当該技術分野で知られている集電体の材料および種類に適合することができる。例えば、基材64は、Cu、Al、Ni、Ti、Pt、ステンレス鋼、炭素、またはそれらの任意の組み合わせなど、電流を収集することができる1つまたは複数の材料を含むことができる。集電体材料は、フォイル、メッシュ、発泡体、織成層、または不織層の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、前記基材は、Cuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、またはNiフォイルを含む。集電体材料は、追加の基材の表面を被覆してもよい。集電体は、人工的な二重固体-電解質界面であってもよい。いくつかの実施形態では、不織層62を基材64に接着させるために、公知の機械的および/または化学的処理などのエレクトロスピニング後の処理を使用してもよい。
【0080】
導電性材料54は、電極集合体60の電子伝導性およびイオン伝導性を高めるように選択することができる。当該技術分野で知られている任意の適切な導電性材料を使用することができる。適切な導電性材料の例としては、炭素粉末、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイン、ブロンズ、銅、タングステン、炭素鋼、銀、金、アルミニウム、亜鉛、INCONEL(American Special Metals、Corpから入手可能、フロリダ州マイアミ)、HASTELLOY(Hastelloy International Corporationから入手可能、インディアナ州ティプトン)、KOVAR(CRS Holdings Inc.から入手可能、オクラホマ州オクラホマシティ)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示の方法によって作製された電極集合体は、従来のスラリーキャスト電極と比較して、電気化学的酸化および還元反応速度論の向上を可能にする、大きな電極/電解質界面領域を有する不織層62をもたらすと考えられる。さらに、不織層62を製造するために電界紡糸(エレクトロスピニング)を使用することにより、電極への電解液の良好な浸透を可能にする繊維間空隙容積の調整が可能になる可能性がある。さらに、サブマイクロメートル繊維66は、凝集を最小限に抑えたナノ粒子42の分散を可能にする可能性がある。また、サブマイクロメートル繊維66は、短いリチウムイオン輸送経路を可能にし得る高いナノ粒子含有量を有し得る。さらに、本開示の方法は、幅広いナノ粒子種およびポリマーの組み合わせの選択に広く適応可能であり得る。
【0082】
電極集合体は電池に使用することができる。バッテリーの種類には、アルカリ、アルミニウム-空気、原子、ブンゼン、木立、水銀、溶融塩、オキシ水酸化ニッケル、有機ラジカル、酸化銀、酸化亜鉛、亜鉛-炭素、亜鉛-塩化物、アルミニウム-イオン、カルシウム、バナジウム酸化還元、亜鉛-臭素、亜鉛-セリウム、鉛-酸、リチウムイオン、リチウム金属、マグネシウムイオン、金属-空気、ニッケル-カドミウム、ニッケル水素、ニッケル鉄、ニッケル水素、ポリマーベース、多硫化物-臭化物、カリウムイオン、亜鉛イオンが含まれるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、カソード集合体は、リチウムイオン電池に使用される。リチウムイオン電池には、リチウム-コバルト酸化物、リチウム-シリコン、リチウム-マンガン酸化物、リチウム-ポリマー、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物、リチウム-硫黄、リチウム-チタネート、およびリチウム-セラミック電池が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
いくつかの実施形態では、電池はリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池のカソード集合体において使用され得るカソード電気活性化合物種の例は、本明細書の他の箇所で議論される。リチウムイオン電池アノード集合体において使用され得るアノード電気活性化合物種の例は、本明細書の他の箇所で議論される。いくつかの実施形態では、カソード集合体および/またはアノード集合体の少なくとも一部は、図2を参照するプロセスで説明するようにして得られる。
【0084】
図4Aは、一般的なリチウムイオン電池100を示している。電池100は、カソード120、アノード122、電解質104、およびセパレータ106を有する。電解質104は、例えばポリマー電解質、液体電解質など、任意の適切なものを使用することができる。電解質の例としては、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiBF(四フッ化ホウ酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、およびそれらの任意の組み合わせの溶液が挙げられる。電解質溶液は、1つ以上の有機溶媒中で調製することができる。有機溶媒の例には、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートを含むカーボネート有機溶媒;およびアセトニトリルを含む他の有機溶媒;およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(CELGARD)のような高分子多孔質膜;チタニア(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、シリカ(SiO)の薄い酸化物コーティングを有する改質高分子膜;およびポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールのような高分子ネットワーク内に共有結合されたSiOナノ粒子を含むもののようなハイブリッド有機-有機集合体を含む、任意の適切なセパレータ106を使用することができる。いくつかの実施形態では、複数のセパレータを使用することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、カソード120および/またはアノード122は、電極集合体60を含む。電極集合体60は、基材64の上に堆積される不織層62を含む(図4B)。いくつかの実施形態では、電極集合体60はカソード120に含まれる。いくつかの実施形態では、電極集合体60はアノード122に含まれる。いくつかの実施形態では、電極集合体60は、カソード120およびアノード122に含まれる。
【0086】
図3は、触媒集合体600の製造に使用するプロセスの概略図である。溶液500は、不織層620を生成する基材640上に紡糸(例えば、電界紡糸;矢印5)される。溶液500は、溶媒520に溶解したナノ粒子42およびバインダーポリマー560を含む。ナノ粒子42は、任意の触媒活性化合物種を含むことができる。触媒活性化合物種の例は、本明細書の他の箇所で説明する。例示的な実施形態において、ナノ粒子42は、図1に関して説明したプロセスを使用して調製されたものであってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は狭い粒度分布を有する。ナノ粒子42は、本明細書の他の箇所に開示するように、任意の粒径範囲を有してよい。
【0088】
バインダーポリマー560は、一般に、ナノ粒子42を結合するように選択される。バインダーポリマー560は、バインダーポリマー56を参照して説明した任意のバインダーポリマーであってよい。
【0089】
溶媒520は、バインダーポリマー560を溶解すると同時に、ナノ粒子42の分散、好ましくは均一な分散を可能にするように選択され得る。溶媒520は、成分イオンへのナノ粒子42の溶解を低減または最小化するように選択することができる。溶媒520は、溶媒52を参照して説明した任意の溶媒であってよい。
【0090】
溶液500に電界紡糸(エレクトロスピニング)5を課して、不織層620を作製する。不織層620は繊維42を含む。バインダーポリマー560は、繊維660の繊維形成成分である。したがって、繊維660はバインダーポリマー560を含む。ナノ粒子42は、バインダーポリマー560に結合し、繊維660に沿って分布する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子42は繊維660に沿って均一に分布している。いくつかの実施形態では、繊維660は単一繊維である。いくつかの実施形態では、繊維660は複数の繊維である。図1に記載されたプロセスを参照して議論された任意のエレクトロスピニング法を使用することができる。
【0091】
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示の方法を介して作製した触媒集合体は、凝集を最小限に抑えてナノ粒子42の分散を可能にするサブマイクロメートルファイバーを可能にすると考えられる。ナノ粒子の凝集が最小限に抑えられることにより、ナノ粒子の表面積が増大し、触媒活性化合物種が反応を触媒する能力が向上する可能性がある。さらに、触媒の表面積の増大は、所望の反応を行うために必要な触媒の量が少なくて済むため、経済的および環境に優しい可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、繊維660は、より大きな触媒ターンオーバーおよび安定性を可能にし得る触媒の支持体を提供し得る。
【0092】
触媒集合体600では、基材640は一般に不織層620を支持するように選択される。基材640は、不織層620に物理的支持を与えることができる。物理的支持を提供する基材としては、金属、紙、プラスチックなどが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、ナノ粒子中の化合物の触媒活性を変化させないように選択することができる。触媒の反応性に影響を与えない前記基材の例としては、二酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、セラミック含有材料などが挙げられる。基材は、ナノ粒子中の化合物の触媒活性を促進するように選択することができる。ナノ粒子中の化合物の触媒活性を促進し得る基材の例としては、カーボンナノチューブおよび他の炭素構造体が挙げられるが、これらに限定されない。基材640は、単層であってもよいし、多層であってもよい。多層基材の各層は、異なる材料で作られてもよい。例えば、2層基材の場合、不織層620と接触している層は二酸化ケイ素を含み、不織層と接触していない層は金属であってもよい。いくつかの実施形態では、不織層は、公知の機械的および/又は化学的方法を用いて基材640に接着されてもよい。
【0093】
触媒集合体600は、反応を触媒するために使用することができる。適切な量の触媒集合体を試薬に曝露して、1つ以上の試薬の化学変換を触媒することができる。例えば、PtPdOからなるナノ粒子を含む触媒集合体600は、メタンの燃焼を触媒するために使用することができる。別の例では、NiO製のナノ粒子を含む触媒集合体600は、アルデヒド、アミン、およびアルキンのカップリング反応を触媒してプロパルギルアミンを生成するために使用することができる。さらに別の例では、CuNi、CuCo、またはCuFeからなるナノ粒子、またはそれらの組み合わせを含む触媒集合体600を使用して、プロピレンのアクロレインへの部分酸化を触媒することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、不織層620は、基材640から除去され、触媒として使用し得る。この実施形態では、バインダーポリマーがナノ粒子の支持体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0095】
非網羅的な例示的側面のリストを以下に提供する。これらの態様の特徴のいずれか1つまたは複数を、本明細書に記載される別の例、実施形態、または態様のいずれか1つ、または複数の特徴と組み合わせることができる。
【0096】
[実施形態A.組成物]
実施形態1Aによれば、組成物は、平均直径が5μm未満の繊維からなる電界紡糸した不織材料を含み、前記電界紡糸した不織材料の総重量の40重量%~60重量%で存在する犠牲ポリマーと、並びに犠牲ポリマー上に分散し、前記繊維に沿って分布する第1のイオン種および第2のイオン種であって、前記第1のイオン種および前記第2のイオン種は、少なくとも1つの塩のイオン種であり、前記少なくとも1つの塩は、全塩の60重量%以下で存在し、前記犠牲ポリマーの重量%に対する全塩の重量%は、前記犠牲ポリマーの重量%6部に対して前記全塩の重量%1部以上である。
【0097】
実施形態2Aは、実施形態1Aに記載の組成物であって、少なくとも1つの塩が、NiCl、Ni(CHCOO)、ZnSO、Zn(CHCOO)、KCl、KAuCl、CoCl、Co(CHCOO)、CuCl、Cu(NO、PdCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、Ni(NO、Co(NO、Mn(NO、Al(NO、Fe(NO、LiNO、LiHPO、Fe(CHCOO)、NiSO、CoSO、LiSO、MnSO、FeSO、Al(SO、Al(OCH、Al(CHCOO)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
実施形態3Aは、犠牲ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、またはそれらの組み合わせである、先行する実施形態のいずれか1つの組成物である。いくつかの実施形態では、犠牲ポリマーは、1つ以上のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはそれらの組み合わせからなる。
【0099】
実施形態4Aは、犠牲ポリマーの重量%に対する全塩の重量%が、1:6~2:1、1:3~5:3、2:3~5:3、2:3~4:3、または1:3~4:3である、先の実施形態のいずれか1つの組成物である。
【0100】
実施形態5Aは、繊維が、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1.5μm以下、または1μm以下の平均直径を有する、先の実施形態のいずれか1つの組成物である。
【0101】
実施形態6Aは、少なくとも1つの化合物種が電気活性である、先行する実施形態のいずれか1つの組成物である。
【0102】
実施形態7Aは、実施形態6Aに記載の組成物であって、少なくとも1つの化合物種が、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、Li(NiAlCo)O、またはそれらの組み合わせであって、x+y+ z=1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、Co、CuO、LiTi12、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、およびその炭化物;LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、これらの酸化物、これらの硫化物、これらのリン化物、これらの炭化物、これらの窒化物;Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Snの窒化物、酸化物、炭化物;シリコン;またはそれらの組み合わせを含む。
【0103】
実施形態8Aは、少なくとも1つの化合物種が触媒活性を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物である。
【0104】
実施形態9Aは、実施形態8Aに記載の組成物であって、少なくとも1つの化合物種が、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO,NiO、またはその組み合わせを含む。
【0105】
実施形態10Aは、各ナノ粒子が第1の化合物種を含む第1の複数のナノ粒子および、各ナノ粒子が第1の化合物種とは異なる第2の化合物種を含む第2の複数のナノ粒子を含む組成物であって、第1および第2の複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有する、組成物である。
【0106】
[実施形態B.組成物]
実施形態1Bによれば、組成物は、基材、および、電界紡糸によって前記基材上に堆積された繊維からなる電界紡糸不織層を含み、前記繊維は、ポリマー、および、ポリマー上に分散し、前記繊維全体に分布する複数のナノ粒子を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含む。
【0107】
実施形態2Bは、第1の繊維層を形成する複数の繊維を含む実施形態1Bの組成物である。
【0108】
実施形態3Bは、実施形態1B~2Bのいずれか一方に記載の組成物であって、電界紡糸(エレクトロスピニング)によって第1の繊維上に堆積された第2の繊維を含む第2の繊維層をさらに含み、第2の繊維は、第2のポリマーおよび、第2のポリマー上に分散され繊維全体に分布する第2の複数のナノ粒子を含み、第2の複数のナノ粒子は、0.1μm~0.5μmであり、各ナノ粒子は複数の少なくとも1つの化合物種を含み、第1の繊維層は、第2の繊維層の密実度の少なくとも1.1倍である密実度を有する。
【0109】
実施形態4Bは、繊維が、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1.5μm以下、1.0μm以下、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、または0.2μm以下の平均直径を有する、実施形態1B~3Bのいずれか1つに記載の組成物である。いくつかの実施形態では、繊維は少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.4μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1.0μm、少なくとも1.2μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、繊維36は、0.1μm~5μm、0.1μm~4μm、0.1μm~3μm、0.1μm~2μm、0.5μm~5μm、0.5μm~4μm、0.5μm~3μm、0.5μm~2μm、0.8μm~5μm、0.8μm~4μm、0.8μm~3μm、0.8μm~2μm、1μm~5μm、1μm~4μm、1μm~3μm、0.1μm~1.5μm、0.2μm~1.5μm、0.4μm~1.5μm、0.6μm~1.5μm、0.8μm~1.5μm、1.0μm~1.5μm、または1.2μm~1.5μmの平均直径を有する。
【0110】
実施形態5Bは、ポリマーがバインダーポリマーである、実施形態1B~4Bのいずれか1つに記載の組成物である。
【0111】
実施形態6Bは、ポリマーが、1つ以上のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1B~5Bのいずれか1つの組成物である。
【0112】
実施形態7Bは、エレクトロスパン不織層が導電性材料をさらに含む、実施形態1B~6Bのいずれか1つの組成物である。
【0113】
実施形態8Bは、実施形態7Bの組成物であり、導電性材料は炭素粉末である。
【0114】
実施形態9Bは、実施形態1B~7Bのいずれか1つの組成物であり、基材は集電体である。
【0115】
実施形態10Bは、基材が、Cuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、Niフォイル、織成基材、不織基材、人工固体電解質界面、またはそれらの組み合わせからなる、実施形態9Bの組成物である。
【0116】
実施形態11Bは、実施形態1B~10Bのいずれか1つの組成物であり、基材は、二酸化ケイ素、二酸化アルミニウム、セラミック、またはそれらの組み合わせからなる。
【0117】
実施形態12Bは、少なくとも1つの化合物種が電気活性である、実施形態1B~11Bのいずれか1つの組成物である。
【0118】
実施形態13Bは、実施形態12Bの組成物であって、少なくとも1つの化合物種が、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、Li(NiAlCo)O、またはそれらの組み合わせを含み、x+y+z=1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、Co、CuO、LiTi12、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、およびその炭化物、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、これらの酸化物、これらの硫化物、これらのリン化物、これらの炭化物、これらの窒化物;Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Snの窒化物、酸化物、炭化物;シリコン;またはそれらの組み合わせを含む。
【0119】
実施形態14Bは、実施形態1B~13Bのいずれか1つに記載の組成物であって、少なくとも1つの化合物種が触媒活性を有する。
【0120】
実施形態15Bは、実施形態14Bに記載の組成物であり、ここで、少なくとも1つの化合物種は、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、ZnO、ZnP、NiP、NiS、NiCo、NiCu、ZnO、NiO、Cu、AuPt、AuPd、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含む。
【0121】
実施形態16Bは、複数のナノ粒子が、各ナノ粒子が第1の化合物種を含む第1の複数のナノ粒子であり、組成物が、各ナノ粒子が第1の化合物種とは異なる第2の化合物種を含む第2の複数のナノ粒子をさらに含む、実施形態1Bの組成物である。
【0122】
[実施形態C.電池]
実施形態C1は、実施形態AまたはBのいずれか1つの組成物を含む電極を備える電池である。
【0123】
実施形態C2は、複数のナノ粒子を含む電極であって、各ナノ粒子は複数の少なくとも1つの電気活性化合物種を含み、前記複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有する、電極を含む電池である。
【0124】
実施形態C3は、実施形態C1またはC2に記載の電池であって、電極が、基材および、電界紡糸(エレクトロスピニング)によって基材上に堆積された繊維を含む電界紡糸不織層であって、繊維が、バインダーポリマーおよび、バインダーポリマー上に分散され繊維全体に分散された複数のナノ粒子を含む、電池である。
【0125】
実施形態C4は、複数のナノ粒子が、0.02μm~0.4μmの範囲の粒径を有する、実施形態C1~C3のいずれか1つの電池である。
【0126】
実施形態C5は、実施形態C1~C4のいずれか1つに記載の電池であって、前記少なくとも1つの電気活性化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、およびLi(NiAlCo)Oを含み、x+y+z=1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、Co、CuO、LiTi12、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、およびその炭化物、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、これらの酸化物、これらの硫化物、これらのリン化物、これらの炭化物、これらの窒化物;Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Snの窒化物、酸化物、炭化物;シリコン;またはそれらの組み合わせを含む。
【0127】
実施形態C6は、繊維が1.5μm未満の平均直径を有する、実施形態C1~C5の1つの電池である。
【0128】
実施形態C7は、バインダーポリマーが、1つまたは複数のポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態C1~C6の1つの電池である。
【0129】
実施形態C8は、基材が集電体である、実施形態C1~C7のいずれか1つの電池である。
【0130】
実施形態C9は、実施形態C8の電池であって、基材は、Cuフォイル、Alフォイル、Ptフォイル、Niフォイル、織成基材、不織基材、人工固体電解質界面、またはそれらの組み合わせからなる。
【0131】
[実施形態D.方法]
実施形態D1は、基材上に溶液を電界紡糸するステップであって、溶液は、バインダーポリマー、溶媒、および複数のナノ粒子を含み、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含み、複数のナノ粒子は、0.01μm~0.5μmの粒径範囲を有する、複数のナノ粒子を含むものである、該電界紡糸するステップと、並びにバインダーポリマー、バインダーポリマー内に分散し、また繊維全体に分布する複数のナノ粒子を含む繊維からなる不織層を製造するステップと、を備える方法である。
【0132】
実施形態D2は、実施形態D1の方法であって、繊維は、5μm未満の平均直径を有する。
【0133】
実施形態D3は、実施形態D1またはD2の方法であって、少なくとも1つの化合物種が電気活性である。
【0134】
実施形態D4は、実施形態D1~D3のいずれか1つに記載の方法であって、少なくとも1つの化合物種は、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、および、Li(NiAlCo)Oであリ、x+y+z=1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、Co、CuO、LiTi12、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、およびその炭化物、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、その酸化物、その硫化物、そのリン化物、その炭化物、その窒化物;Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Snの窒化物、酸化物、炭化物;シリコン;またはそれらの組み合わせを含む。
【0135】
実施形態D5は、実施形態D1~D4のいずれか1つに記載の方法であって、少なくとも1つの化合物種が触媒活性を有する。
【0136】
実施形態D6は、実施形態D5の方法であって、少なくとも1つの化合物種が、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含む。
【0137】
実施形態D7は、少なくとも1つの塩および犠牲ポリマーを溶媒に溶解して溶液を生成するステップであって、前記溶液は、前記犠牲ポリマー、第1のイオン種、第2のイオン種、および前記溶媒を含むものである、前記溶液を形成するステップと、繊維を含む犠牲不織材料を形成するよう前記溶液を電界紡糸するステップであって、前記繊維は、前記犠牲ポリマーおよび、前記ポリマー上に分散し、また前記繊維に沿って分布する第1のイオン種および第2のイオン種を含むものである、前記犠牲不織材料を形成するステップと、並びに前記犠牲不織材料の少なくとも一部を分解するステップであり、結果として複数のナノ粒子を形成し、各ナノ粒子は、複数の少なくとも1つの化合物種を含み、前記少なくとも1つの化合物種は、少なくとも前記第1のイオン種および前記第2のイオン種の反応生成物を含み、前記複数のナノ粒子は、0.02μm~0.5μmの粒径範囲を有するものである、前記分解するステップと、を備える方法である。
【0138】
実施形態D8は、実施形態D7の方法であって、さらに、基材上にバインダーポリマーおよび複数のナノ粒子を含む混合物を紡糸するステップであって、混合物は、混合物の電界紡糸(エレクトロスピニング)が、結果としてバインダーポリマーおよび、バインダーポリマー内に分散し、また繊維全体に分布する複数のナノ粒子からのナノ粒子を含む第2の繊維を含む第2の不織層をもたらすものである、該混合物を紡糸するステップを備える。
【0139】
実施形態D9は、実施形態D7またはD8の方法であって、少なくとも1つの塩が、LiNO、LiHPO、Co(NO、Ni(NO、Fe(NO、Mn(NO、Al(NO、LiSO、CoSO、NiSO、FeSO、MnSO、Al(SO、Fe(CHCOO)、Al(OCH、Al(CHCOO)、またはそれらの組み合わせである。
【0140】
実施形態D10は、実施形態D1~D9のいずれか1つに記載の方法であって、少なくとも1つの塩が、(NH)AuCl4、NaAuBr、HAuCl、KCl、KAuCl、NaPdCl、KPdBr、PdCl、KPdCl、(NHPDCl、KPdCl、NaPtCl、KPtBr、PtCl、KPtCl、(NHPtCl、KPt(NO、KAg(CN)、KCu、Ni(NO、Mg(NO、NiCl、PdCl、Ni(Ac)、NiBr、NiI、NiSO、Pb(CHCOO)、SeCl、Se(CHCOO)、SeBr、ZnSO、Zn(CHCOO)、Zn(NO、ZnCl、FeCl、FeSO、Fe(NO、RuCl、Ru(NO、RhCl、Rh(NO、IrCl、Ir(SO、CuCl、Cu(NO、CuSO、Cu(CHCOO)、SnCl、Sn(CHCOO)、SnSO、Sn(NO、AlCl、Al(SO、Al(NO、MgCl、MgSO、CoCl、Co(CHCOO)、CoSO、Co(NO、またはその組み合わせを含む。
【0141】
実施形態D11は、実施形態D1~D10のいずれか1つの方法であって、犠牲ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、またはこれらの組み合わせを含む。
【0142】
実施形態D12は、実施形態D1~D11のいずれか1つの方法であって、少なくとも1つの化合物種が電気活性である。
【0143】
実施形態D13は、実施形態D12の方法であって、少なくとも1つの化合物種が、LiCoO、LiFePO、LiMn、LiNiO、Li(NiMnCo)O、Li(NiAlCo)O、またはそれらの組み合わせからなり、x+y+z=1である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化合物種は、Co、CuO、LiTi12、SiO、Fe、AlNi、CuCo、PdNiBi、TiO、Sn、NiO、およびこれらの炭化物からなり、LiAl合金、LiSi合金、LiBi合金、LiCd合金、AlMg合金、LiMg合金、LiSn合金、LiSb合金、FeSn合金、SnSb合金、SnCu合金、LiGe合金、LiPb合金、これらの酸化物、これらの硫化物、これらのリン化物、これらの炭化物、これらの窒化物;Li、Co、Pd、Pt、W、Mo、Zr、Fe、Al、Ni、Ti、Snの窒化物、酸化物、炭化物;シリコン;またはそれらの組み合わせを含む。
【0144】
実施形態D14は、実施形態D1~D13のいずれか1つの方法であって、少なくとも1つの化合物種が触媒活性を有する。
【0145】
実施形態D15は、実施形態D14の方法であって、少なくとも1つの化合物種が、PbSe、AuPt、AuPd、PtPd、PtRu、PtAg、PtCu、FeRu、FeCu、FeRh、CuCe、AuCu、PtIr、NiCu、NiSn、NiAl、PtAl、PtMg、PtSn、PtCo、PdCo、PdTi、PtRh、NiAu、RhAg、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の化合物種は、ZnO、ZnP、NiP、NiS、NiCo、NiCu、ZnO、NiO、Cu、AuPt、AuPd、TiO、NiO、またはそれらの組み合わせを含む。
【0146】
実施形態D16は、実施形態D1~D15のいずれか1つの方法であって、分解することが熱処理を含む。
【0147】
実施形態D17は、実施形態D16の方法であって、熱処理が500℃~1100℃での熱分解を含む。いくつかの実施形態では、分解処理3は、犠牲ポリマーを所望の程度まで分解するのに有効な温度、例えば、400℃~1100℃、400℃~1000℃、400℃~900℃、400℃~800℃、400℃~700℃、400℃~600℃、400℃~700℃、500℃~1100℃、500℃~1000℃、500℃~900℃、500℃~800℃、500℃~700℃、または500℃~600℃での熱分解を含む。
【0148】
実施形態D18は、実施形態D1~D17のいずれか1つの方法であって、溶媒が、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、水、ベンジルアルコール、トルエン、N,N’-ジメチルホルムアミド、酢酸、ギ酸、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0149】
実施形態D19は、実施形態D18の方法であって、第1の溶媒および第2の溶媒が、それぞれ独立して、イソプロパノール、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、水、ベンジルアルコール、トルエン、N,N’-ジメチルホルムアミド、酢酸、ギ酸、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0150】
実施形態D20は、実施形態D1~D19のいずれか1つの方法であって、バインダーポリマーが、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリアルコール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアロマチック、感光性ポリマー、ポリイミド、ポリビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0151】
実施形態D21は、実施形態D1~D20のいずれか1つの方法であって、複数のナノ粒子が、0.02μm~0.4μmの範囲の粒径を有する。
【0152】
実施形態D22は、実施形態D21の方法であって、第1の繊維および第2の繊維はそれぞれ独立して、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1.5μm以下、1.2μm以下、1.0μm以下、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、または0.2μm以下の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、第1の繊維および第2の繊維はそれぞれ独立して、少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.4μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1.0μm、少なくとも1.2μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、第1の繊維および第2の繊維はそれぞれ独立して、0.1μm~5μm、0.1μm~4μm、0.1μm~3μm、0.1μm~2μm、0.5μm~5μm、0.5μm~4μm、0.5μm~3μm、0.5μm~2μm、0.8μm~5μm、0.8μm~4μm、0.8μm~3μm、0.8μm~2μm、1μm~5μm、1μm~4μm、1μm~3μm、0.1μm~1.5μm、0.2μm~1.5μm、0.4μm~1.5μm、0.6μm~1.5μm、0.8μm~1.5μm、1.0μm~1.5μm、または1.2μm~1.5μmの平均直径を有する。
【0153】
[実施形態E.組成物]
実施形態E1は、実施形態Dのいずれか1つの方法によって調製される組成物である。
【0154】
<実施例>
例示的なナノ粒子を調製する方法およびそのようなナノ粒子の可能な用途は、以下の実施例によって例示される。特定の実施例、材料、量、および手順は、本開示の範囲および精神に従って広く解釈されることを理解されたい。
【0155】
<実施例1>
実施例1では、複数のナノ粒子を生成するプロセスを説明し、各ナノ粒子はカソード電気活性を有する電気活性化合物種を含む。エレクトロスピニングとその後の熱処理のために7つの溶液を調製した。
【表1】
【0156】
<溶液1>
イソプロピルアルコール(IPA)およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1:1(v/v)の混合溶媒中で、5%(w/v)のポリビニルピロリドン(PVP)および5%(w/v)の全硝酸リチウムおよびコバルト(Li:Coモル比1:1)の溶液を、リチウムコバルト酸化物(LiCoO、LCO)繊維の電界紡糸(エレクトロスピニング)前駆体として使用した。前駆体溶液は、0.9577gの硝酸リチウム(LiNO)および4.074gの硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)を100mLの混合溶媒(50mLのIPAおよび50mLのDMF)に溶解して調製した。5.0gのPVPを、塊にならないように磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと加えた。前駆体溶液を室温で一晩撹拌し、PVPと金属塩を完全に溶解させた。
【0157】
<溶液2>
ポリビニルピロリドン(PVP)5%(w/v)および硝酸リチウムおよび硝酸ニッケル合計5%(w/v)(Li:Niモル比1:1)をIPAおよびDMFの1:1(v/v)混合溶媒に溶解した溶液を、リチウムコバルト酸化物(LiNiO、LNO)繊維のエレクトロスピニング前駆体として使用した。前駆体溶液は、0.9580gの硝酸リチウム(LiNO)と4.050gの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO・6HO)を100mLの混合溶媒(50mLのIPAおよび50mLのDMF)に溶解することにより調製した。5.0gのPVPを、塊にならないように磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと加えた。前駆体溶液を室温で一晩撹拌し、PVPと金属塩を完全に溶解させた。
【0158】
<溶液3>
リチウムコバルト酸化物(LiCoO、LCO)繊維のエレクトロスピニング前駆体として、エタノール(EtOH、190プルーフ)中の5%(w/v)ナイロンSVP 651および5%(w/v)全硝酸リチウムおよびコバルト(Li:Coモル比1:1)の溶液を使用した。前駆体溶液は、0.9577gの硝酸リチウム(LiNO)および4.074gの硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)を100mLのEtOHに溶解することにより調製した。5.0gのSVP 651を、凝集を防ぐために磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと添加した。前駆体溶液を還流条件下で60℃に加熱しながら一晩撹拌し、全ての固体を完全に溶解させた。
【0159】
<溶液4>
リチウムコバルト酸化物(LiNiO、LNO)繊維のエレクトロスピニング前駆体として、エタノール(EtOH、190プルーフ)中の5%(w/v)ナイロンSVP 651および5%(w/v)全リチウムおよびニッケル硝酸塩(Li:Niモル比1:1)の溶液を使用した。前駆体溶液は、0.9580gの硝酸リチウム(LiNO)および4.050gの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO))・6HO)を100mLのEtOHに溶解することによって調製した。5.0gのSVP 651を、凝集を防ぐために磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと添加した。前駆体溶液を還流条件下で60℃に加熱しながら一晩撹拌し、全ての固体を完全に溶解させた。
【0160】
<溶液5>
7.5%(w/v)のナイロンSVP 651および10%(w/v)の全リチウム、ニッケル、マンガンおよびコバルト硝酸塩(Li:Ni:Mn:Coモル比1:0.8:0.1:0.1)をエタノール(EtOH、190プルーフ)に溶解した溶液を、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC 811)繊維のエレクトロスピニング前駆体として使用した。前駆体溶液は、1.941gの硝酸リチウム(LiNO)、6.540gの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO))・6HO)、0.7054gの硝酸マンガン(II)四水和物(Mn(NO))・4HO)および0.8103gの硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)を100mLのEtOHに溶解することにより調製した。7.5gのSVP 651を、凝集を防ぐために磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと添加した。前駆体溶液を還流条件下で60℃に加熱しながら一晩撹拌し、全ての固体を完全に溶解させた。
【0161】
<溶液6>
7.5%(w/v)のナイロンSVP 651および10%(w/v)の全リチウム、ニッケル、コバルトおよびアルミニウム硝酸塩(Li:Ni:Co:Alモル比1:0.8:0.15:0.05)をエタノール(EtOH,190プルーフ)に溶解した溶液を、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)繊維のエレクトロスピニング前駆体として使用した。前駆体溶液は、1.8944gの硝酸リチウム(LiNO)、6.3909gの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO))・6HO)、1.201gの硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)、および0.5152gの硝酸アルミニウム(III)非水和物(Al(NO・9HO)を100mLのEtOHに溶解することにより調製した。7.5gのSVP 651を、凝集を防ぐために磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと添加した。前駆体溶液を還流条件下で60℃に加熱しながら一晩撹拌し、全ての固体を完全に溶解させた。
【0162】
<溶液7>
7.5%(w/v)のナイロンSVP 651および10%(w/v)の全リチウム、ニッケル、マンガン、およびコバルト硝酸塩(Li:Ni:Mn:Coモル比1:0.6:0.2:0.2)をエタノール(EtOH、190プルーフ)に溶解した溶液を、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC 622)繊維のエレクトロスピニング前駆体として使用した。前駆体溶液は、1.941gの硝酸リチウム(LiNO)、4.9050gの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO))・6HO)、1.4108gの硝酸マンガン(II)四水和物(Mn(NO))・4HO)および1.6206gの硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO・6HO)を100mLのEtOHに溶解することにより調製した。7.5gのSVP 651を、凝集を防ぐために磁気撹拌しながら溶液にゆっくりと添加した。前駆体溶液を還流条件下で60℃に加熱しながら一晩撹拌し、全ての固形分を完全に溶解させた。
【0163】
<エレクトロスピニング(電界紡糸)>
溶液1~6のサンプルは、ペンダント式滴下装置、すなわちシリンジにポリマー溶液を充填して調製した。注射器に取り付けた針に高電圧をかけ、ポリマー溶液を所定のポンプ速度で送液する。ポリマー溶液の液滴が針から出ると、静電界(場)の影響を受けてテイラーコーンを形成する。十分に高い電圧では、テイラーコーンからジェットが放出され、それが伸長して微細繊維が形成され、コレクターとして機能する回転マンドレルに取り付けられたメディア上に堆積する。
【0164】
繊維は、シリンダー(直径10.16cm、300rpmで回転)に巻き付けた支持層上に、24kVの電圧で、ポリマー溶液または溶液を供給するシリンジまたはシリンジから10.16cmの距離で、0.02mL/分のポンプ速度でエレクトロスピニングして形成した。エレクトロスピニング後、形成された微細繊維は、その後の550℃で1時間の熱処理の前に、デシケーター中に保存した。
【0165】
溶液1~6から調製したサンプルからの6つの不織繊維層を、溶液1~6を別々に4回電界紡糸することにより、坪量70g/m、固形分28%の厚さ0.2mmのスパンボンド ナイロン スクリム(Media Grade 23200)上に別々に堆積させた。溶液は同じポンプ速度(0.02mL/分)で同じ時間(5分間)供給した。
【0166】
図5は、実施例1のエレクトロスピニング溶液3から形成された繊維の走査型電子顕微鏡像を示す。
【0167】
図6は、実施例1のエレクトロスピニング溶液5から形成された繊維の走査型電子顕微鏡画像を示す。
【0168】
図7は、実施例1のエレクトロスピニング溶液6から形成された繊維の走査型電子顕微鏡画像を示す。
【0169】
<熱処理>
全てのサンプルは、紡糸したままの不織物を正極活物質に変換するために、エレクトロスピニング後の処理を施した。エレクトロスピニング後、形成された繊維を基材から剥がし、アルミニウム箔を敷いたセラミックボートに入れた。石英管炉に試料を投入する前に、炉を100℃に予熱し、炉壁から水分を除去するためのパージガスとして乾燥圧縮空気を用いて、高温で20分間維持した。次に、電気紡糸した繊維を管状炉に入れ、同じ乾燥圧縮空気を用いて550℃で1時間熱処理した。加熱ランプには20℃/分の加熱速度を使用した。
【0170】
図8および図9は、溶液3から作成した犠牲不織材料に分解処理を施した後に形成されたLiCoOナノ粒子の透過型電子顕微鏡像である。図9は、個々の高結晶性ナノ粒子の周囲に、その場で形成された均一な薄いアモルファスカーボンコーティングを示している。
【0171】
熱処理した試料は、反射モードの回折計を用いたX線散乱分光法によって結晶化度を測定した。D8 DISCOVER 2次元X線マイクロ回折計(Bruker Corporationから入手可能、マサチューセッツ州ビレリカ)は、2次元VANTEC検出器、ビデオカメラ/レーザーアライメントシステム、およびグラファイトモノクロメーターで調整されたCo KαX線放射点光源(1=1.79オングストローム)を備えている。また、様々なサイズの点コリメータおよびx、y、z試料ステージも装備されている。試料は、結晶が微粉末に破壊されることなく、受け取ったままのペーストを用いてSiウェハーに固定された。試料はx、y、z方向に別々にアライメントされた。800μmのコリメータを使用し、試料から検出器までの距離は20cmに保った。20/10、40/20、60/30、
でそれぞれ20フレームを600秒間スキャンした。エリア検出器画像は、平均化積分アルゴリズムを用いて、一次元強度対2θデータセットに変換した。GADDSの使用によりパターンを極座標に変換した。
【0172】
図10は、溶液3から作成した犠牲不織材料に分解処理を施した後に形成されたLiCoOナノ粒子のX線スペクトルである。ナノ粒子は高い結晶性を示し、アモルファスは含まれていない。
【0173】
[実施例2A]
実施例2Aは、カソード集合体の製造プロセスを説明する。実施例1に従って生成されたナノ粒子が単離される。単離されたナノ粒子とバインダーポリマーは、電界紡糸により集電体基材上に不織層を形成する。
【0174】
実施例1の熱処理ステップの後、ナノ粒子は、濾過およびふるい分けなどの従来の技術を用いてサンプルから単離することができる。さらに、所望のサイズのナノ粒子は、追加のフィルター技術を用いて隔離することができる。
【0175】
単離されたナノ粒子、導体材料、およびバインダーポリマーは、均一な混合物を生成する溶媒に溶解させることができる。溶媒は、ナノ粒子の構成イオン種への解離を抑制するように選択することができる。この溶液は、回転マンドレルに取り付けられた媒体が集電体として好適な材料であることを除いて、実施例1で提供された条件に従って電界紡糸してもよい。回転マンドレルに取り付けられた媒体が集電体として適切な材料でない場合、不織層は、マンドレル媒体から除去され、電界紡糸プロセスの後に集電体として適切な材料に付着され得る。
【0176】
不織層は、電界紡糸後の処理を施してもよい。例えば、不織層をデシケーターに入れたり、公知の機械的および化学的処理によって不織層を集電体に付着させたりすることができる。
【0177】
[実施例2B]
サンプルは、ポリマー、カーボンブラック粒子、溶媒を含む3つの混合物から調製された。カーボンブラック粒子は、コバルト酸リチウム(LiCoO、LCO)粒子の代わりに使用した。
【0178】
<混合物1>
PVdF10%(w/v)とティムカル・スーパーC65導電性カーボンブラック30%(w/w)をDMFとアセトン6:4(v/v)の混合溶媒中で混合した。この混合物をFlackTek 330-100スピードミキサーを用いて2000rpmで10分間混合した後、試験用エレクトロスピニング溶液として使用した。
【0179】
<混合物2>
10%(w/v)のPVdFと50%(w/w)のティムカル・スーパーC65導電性カーボンブラックを、6:4(v/v)のDMFとアセトンの混合溶媒中で混合した。この混合物をFlackTek 330-100スピードミキサーを用いて2000rpmで20分間混合した後、試験用エレクトロスピニング溶液として使用した。
【0180】
<混合物3>
15%(w/v)のPVdFと3.8%(w/w)のティムカル・スーパーC65導電性カーボンブラックを、6:4(v/v)のDMFとアセトンの混合溶媒中で混合した。この混合物をFlackTek 330-100スピードミキサーを用いて2000rpmで20分間混合した後、試験用エレクトロスピニング溶液として使用した。このC65固形分の割合は、現在の商業用途で使用されている導電性材料の数と一致しており、通常3%(w/w)である。
【0181】
<エレクトロスピニング>
混合物1~3のサンプルは、実施例1に関して上述したように、ペンダントドロップ装置を用いて調製した。
【0182】
円筒に巻いた支持層(Reynolds Wrap Aluminum Foil Wrap)(直径10.16cm、300rpmで回転する)上に、様々な電圧とポンプ速度で、設定運転時間5分のエレクトロスピニングにより繊維を形成した。
【0183】
混合物1を用いて2つの試料を調製し、実施した。両試料とも、シリンジからコレクターまでの距離は8cm、流速は0.75mL/時で行った。サンプル1Aは20kVの電圧で、サンプル1Bは15kVの電圧で採取した。その後、両試料を切断してSEMスタブに接着し、視認性を高めるために銀を使用してスパッタコーティングし、SEM(JEOL JSM-5900LV)を使用して分析し、プログラムのスカラー測定ツールを使用して繊維径などの特性を記録した。SEM画像を図11A(試料1A)および図11B(試料1B)に示す。
【0184】
試料サンプル2は、混合物2を用い、シリンジからコレクターまでの距離10cm、電圧8kV、ポンプ速度1mL/時で行った。その後、試料を切断してSEMスタブに接着し、視認性を高めるために銀を使用してスパッタコーティングし、SEM(JEOL JSM-5900LV)を使用して分析した。SEM像を図12に示す。
【0185】
混合物3を用いて4つの試料(3A、3B、3C、3D)を実施した。各試料は、シリンジからコレクターまでの距離を10cmとして調製した。最初の2つ(3Aおよび3B)はいずれも7.5mL/時の速度で運転し、1つの試料(3A)は20kVの電圧で、もう1つ(3B)は30kVの電圧で実施した。最後の2つ(3Cおよび3D)はいずれも25kVの電圧で、ポンプ速度は10mL/時(3C)および5mL/h(3D)であった。その後、試料を切断してSEMスタブに接着し、視認性を高めるために銀をスパッタコーティングし、SEM(JEOL JSM-5900LV)を用いて分析した。SEM画像を図13A(試料3A)、13B(試料3B)、13C(試料3C)、13D(試料3D)に示す。
【0186】
[実施例3]
実施例2の正極集合体は、リチウムイオン電池に使用することができる。
【0187】
電池設定における実施例2のカソード集合体の有効性は、リチウムイオンコインセルにカソード集合体を採用することによって試験することができる。実施例2のカソード集合体を含むリチウムイオンコインセルは、C-レート、高速および低速の充放電速度における面容量および体積容量、容量保持、エネルギー密度、および使用過程におけるカソードの安定性を含む、カソード集合体の様々な特性を評価するために使用され得る。
【0188】
[実施例4]
触媒集合体は、実施例1および実施例2に記載されたプロセスを用いて製造することができるが、いくつかの相違点がある。第一に、カソード活性化合物を含むナノ粒子の代わりに、触媒集合体のナノ粒子は触媒活性化合物を含む。そのため、電界紡糸する溶液を作るために使用する塩は、反応して触媒活性化合物を形成することができるイオン種に溶解する可能性のある塩である。第二に、集電基材の代わりに、触媒反応を助けるか、または妨げない材料で基材を作る。第三に、触媒集合体には導電性部材が不要な場合がある。
【0189】
[実施例5]
実施例1の活物質を使用した正極集合体は、従来のスラリーキャスティング法により作製し、リチウムイオン電池に使用することができる。
【0190】
電池環境におけるカソード集合体の有効性は、カソード集合体をリチウムイオンコインセルに採用して試験することができる。カソード集合体を含むリチウムイオンコインセルは、Cレート、高速および低速の充放電速度における面容量および体積容量、容量保持、エネルギー密度、および使用過程におけるカソードの安定性を含む、カソード集合体の様々な特性を評価するために使用され得る。
【0191】
<混合物4>
a)実施例1の溶液7から記載したように製造されたLiNi0.6Mn0.2Co0.2(NMC 622)ナノ粒子、b)N-メチル-2ピロリドン中の8wt%のポリフッ化ビニリデン(PVdF、分子量=630,000g/mol)、およびc)ティムカル・スーパーC65導電性カーボンブラックの混合物を、FlackTek 330-100スピードミキサーを用いて94:3:3の質量比で、2000rpmで10分間混合した。
【0192】
<スラリー鋳造によるカソード集合体>
混合物4を、AFA-III Automatic Thick Film Coater(MTI Corporationから入手可能)を用いたスラリーキャストにより、アルミニウム箔集電体(厚さ14~15μm)上に湿潤フィルム(厚さ150~180μm)として塗布した。その後、フィルムを15mmHgで110℃に加熱した真空オーブン(Fisher Scientific社製Isotemp Vacuum Oven Model 282A)に移し、少なくとも1時間乾燥させた。その後、乾燥したカソード集合体を、MSK-HRP-01(MTI Corporation製)などの卓上熱間圧延プレスを用いて、周囲温度で最終厚さ60μmにカレンダー処理した。乾燥ベースの総質量負荷は約10mg/cmである。
【0193】
実施例1のNMC622を用いた正極集合体のSEM画像を図14Aに示す。
【0194】
<コインセル集合体および試験>
カソード集合体をアルゴングローブボックスに移し、セルガードセパレーターで分離されたリチウム金属箔に対してハーフセル構成で、電解液として3/7炭酸エチル/炭酸エチルメチル溶媒混合物中の1M LiPFを使用したCR2032コインセルの正極として使用した。a)0.1Cレートでの初期充電、b)0.1Cレートでの3回の充放電サイクル、c)総放電容量が初期放電容量の少なくとも10%に低下するまで1Cレートでの充放電サイクル(サイクル1から測定)。
【0195】
充放電サイクル数の増加に伴う放電容量の測定値のプロットを図14Bに示す。充放電サイクル数の増加に伴うクーロン効率の測定値のプロットを図14Cに示す。
【0196】
本明細書で引用する全ての参考文献および刊行物は、本開示と直接矛盾する可能性がある範囲を除き、参照によりその全体が本開示に明示的に組み込まれる。特定の実施形態が本明細書において図示および説明されているが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な代替実施形態および/または同等の実施形態を図示および説明された特定の実施形態に代えることができることが理解されるであろう。本開示は、本明細書に記載された例示的な実施形態および実施例によって不当に限定されることを意図しておらず、そのような実施例および実施形態は、本開示の範囲がここに記載された特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した例示としてのみ提示される。
【0197】
全ての見出しは、読者の便宜のためのものであり、特に指定しない限り、見出しに続く本文の意味を限定するために使用されるべきではない。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
【国際調査報告】