(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】画素駆動回路およびエレクトロウェッティングディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/34 20060101AFI20241108BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241108BHJP
G02F 1/17 20190101ALI20241108BHJP
【FI】
G09G3/34 Z
G09G3/20 612F
G09G3/20 641A
G09G3/20 642A
G09G3/20 670K
G09G3/20 621B
G09G3/20 642E
G09G3/20 624B
G02F1/17
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533145
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2022137320
(87)【国際公開番号】W WO2023185079
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】202210309153.9
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522276596
【氏名又は名称】綿陽恵科光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIANYANG HKC OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Huike Road, Wujia Town, Fucheng District, Mianyang, Sichuan, China
(71)【出願人】
【識別番号】521141718
【氏名又は名称】恵科股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HKC Corporation Limited
【住所又は居所原語表記】1F-3F, 5F-7F of Factory Building 1, 7F of Factory Building 6, Huike Industrial Park, No.1 Industrial 2nd Road, Shilong Community, Shiyan Street, Baoan District, Shenzhen, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】樊 涛
(72)【発明者】
【氏名】袁 海江
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
【Fターム(参考)】
2K101AA11
2K101CA06
2K101EC08
2K101EC76
2K101ED13
2K101ED25
2K101ED41
2K101EE02
2K101EJ21
5C080AA09
5C080AA18
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD09
5C080DD18
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
(57)【要約】
本発明は、画素駆動回路およびエレクトロウェッティングディスプレイを提供する。前記画素駆動回路は、タイミング制御部、第1スイッチング部、第2スイッチング部および給電部を含む。給電部は、一定の駆動電圧を供給する。1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含む。第1期間内に、タイミング制御部は、第1スイッチング部をオン制御し、第2スイッチング部をオフ制御し、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極をアースに導通させる。第2期間内に、タイミング制御部は、第1スイッチング部をオフ制御し、第2スイッチング部をオン制御し、エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極をアースに導通させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロウェッティングディスプレイに応用される画素駆動回路であって、
タイミング制御部、第1スイッチング部、第2スイッチング部および給電部を含み、
前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部の制御端および前記第2スイッチング部の制御端にそれぞれ電気的に接続され、
前記第1スイッチング部は、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極とアースとの間に直列に接続され、
前記第2スイッチング部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極とアースとの間に直列に接続され、
前記給電部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極にそれぞれ電気的に接続され、
前記給電部は、一定の駆動電圧を供給し、
前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部および第2スイッチング部を周期的に制御し、
1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含み、
前記第1期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオン制御し、前記第2スイッチング部をオフ制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極をアースに導通させ、
前記第2期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオフ制御し、前記第2スイッチング部をオン制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極をアースに導通させることを特徴とする画素駆動回路。
【請求項2】
1つの制御期間では、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と第2電極との電圧差は反転することを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項3】
前記1つの制御期間は、第3期間および第4期間をさらに含み、
前記第3期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオン制御し、前記第2スイッチング部をオン制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極のいずれもアースに導通させ、
前記第4期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオフ制御し、前記第2スイッチング部をオフ制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極のいずれも前記給電部に導通させることを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項4】
前記第3期間は、前記第1期間と前記第2期間との間にあるか、または、前記第4期間は、前記第1期間と前記第2期間との間にあることを特徴とする請求項3に記載の画素駆動回路。
【請求項5】
前記エレクトロウェッティング画素デバイスは、前記第1期間および前記第2期間内に動作状態にあり、前記第3期間および前記第4期間内に動作しないことを特徴とする請求項3に記載の画素駆動回路。
【請求項6】
前記エレクトロウェッティング画素デバイスは、動作状態から非動作状態に変換し、さらに、非動作状態から動作状態に変換することを特徴とする請求項4に記載の画素駆動回路。
【請求項7】
前記エレクトロウェッティング画素デバイスにおけるインクは、収縮状態から拡散状態に変換し、さらに、拡散状態から収縮状態に変換することを特徴とする請求項6に記載の画素駆動回路。
【請求項8】
前記第1スイッチング部は、前記タイミング制御部から出力される第1パルス信号によって制御され、
前記第2スイッチング部は、前記タイミング制御部から出力される第2パルス信号によって制御され、
前記エレクトロウェッティング画素デバイスの階調輝度は、前記第1パルス信号および前記第2パルス信号のデューティ比に関連することを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項9】
第1限流部および第2限流部をさらに含み、
前記第1限流部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と前記給電部との間に直列に接続され、
前記第2限流部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項10】
前記第1限流部は、第1抵抗を含み、
前記第1抵抗は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項9に記載の画素駆動回路。
【請求項11】
前記第2限流部は、第2抵抗を含み、
前記第2抵抗は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項9に記載の画素駆動回路。
【請求項12】
前記給電部から出力される駆動電圧は、前記第1限流部によって前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極に印加され、前記第2限流部によって前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極に印加されることを特徴とする請求項9に記載の画素駆動回路。
【請求項13】
前記第1スイッチング部は、第1スイッチ管を含み、
前記第1スイッチ管の制御端は、前記タイミング制御部に電気的に接続され、
前記第1スイッチ管は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極とアースとの間に直列に接続されることを特徴とする請求項1または3に記載の画素駆動回路。
【請求項14】
前記第1スイッチ管は、NMOS管であることを特徴とする請求項13に記載の画素駆動回路。
【請求項15】
前記第1スイッチ管は、前記タイミング制御部から出力される第1制御信号によって制御され、
前記第1制御信号がハイレベルの場合、前記第1スイッチ管をオンにし、前記第1制御信号がローレベルの場合、前記第1スイッチ管をオフにすることを特徴とする請求項14に記載の画素駆動回路。
【請求項16】
前記第2スイッチング部は、第2スイッチ管を含み、
前記第2スイッチ管の制御端は、前記タイミング制御部に電気的に接続され、
前記第2スイッチ管は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極とアースとの間に直列に接続されることを特徴とする請求項1または3に記載の画素駆動回路。
【請求項17】
前記第2スイッチ管は、NMOS管であることを特徴とする請求項16に記載の画素駆動回路。
【請求項18】
前記第2スイッチ管は、前記タイミング制御部から出力される第2制御信号によって制御され、
前記第2制御信号がハイレベルの場合、前記第2スイッチ管をオンにし、前記第2制御信号がローレベルの場合、前記第2スイッチ管をオフにすることを特徴とする請求項17に記載の画素駆動回路。
【請求項19】
エレクトロウェッティングディスプレイであって、
第1基板、第2基板、表示パネルおよび請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の画素駆動回路を含むことを特徴とするエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項20】
前記表示パネルは、前記第1基板と前記第2基板との間に設置され、
前記表示パネルは、アレイに配列されるエレクトロウェッティング画素デバイスを含み、
前記画素駆動回路は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスに電気的に接続されることを特徴とする請求項19に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2022年3月28日に出願された中国出願番号202210309153.9の優先権を主張するものであり、その優先権のすべての内容が本明細書に組み込まれるものとする。
本発明は、ディスプレイ技術領域に関し、特に、画素駆動回路およびエレクトロウェッティングディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の主流となるディスプレイとしては、主にLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)ディスプレイおよびOLED(Organic Light-Emitting Diode:有機発光ダイオード)ディスプレイがある。しかしながら、LCDディスプレイは、バックライトモジュールを光源とする必要があり、OLEDディスプレイは、有機発光材料が励起状態で自ら発光し、表示効果が環境光によって影響されやすく、環境光が強い場合、LCDディスプレイおよびOLEDディスプレイは、いずれも表示輝度を高めることで表示効果を向上させる必要がある。
【0003】
エレクトロウェッティングディスプレイは、その表示原理が反射発光であるため、強い照射環境でも優れた視認性を保証することができる。エレクトロウェッティングディスプレイは、携帯性に優れ、薄型、軽量、フレキシブル、高コントラスト、低消費電力、高速応答などの利点を有し、ディスプレイ分野で重要な地位を占めている。近年、エレクトロウェッティングディスプレイの研究については、すでに良好な発展を促進しているが、現在のエレクトロウェッティングディスプレイには、電荷捕獲やインクスプリットの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、エレクトロウェッティングディスプレイの電荷捕獲やインクスプリットの問題を解決可能な画素駆動回路およびエレクトロウェッティングディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様では、本発明の実施例は、エレクトロウェッティングディスプレイに応用される画素駆動回路を提供し、タイミング制御部、第1スイッチング部、第2スイッチング部および給電部を含む。前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部の制御端および前記第2スイッチング部の制御端にそれぞれ電気的に接続される。前記第1スイッチング部は、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極とアースとの間に直列に接続される。前記第2スイッチング部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極とアースとの間に直列に接続される。前記給電部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極にそれぞれ電気的に接続される。前記給電部は、一定の駆動電圧を供給する。前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部および前記第2スイッチング部を周期的に制御する。1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含む。前記第1期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオン制御し、前記第2スイッチング部をオフ制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極をアースに導通させる。前記第2期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオフ制御し、前記第2スイッチング部をオン制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極をアースに導通させる。
【0006】
第2態様では、本発明の実施例は、エレクトロウェッティングディスプレイを提供し、第1基板、第2基板、表示パネルおよび第1態様のいずれかの前記画素駆動回路を含む。前記表示パネルは、前記第1基板と前記第2基板との間に設置される。前記表示パネルは、アレイに配列されるエレクトロウェッティング画素デバイスを含む。前記画素駆動回路は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスに電気的に接続される。
【0007】
従来技術に比べて、本発明の実施例の有益な効果は以下の通りある。
画素駆動回路でエレクトロウェッティング画素デバイスを駆動する場合、タイミング制御部は、第1スイッチング部および第2スイッチング部を周期的に制御して、第1スイッチング部および第2スイッチング部を周期的にオンオフにする。1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含む。第1期間内に、タイミング制御部は、第1スイッチング部をオン制御し、第2スイッチング部をオフ制御し、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極をアースに導通させ、エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極を給電部に導通させ、給電部から出力される駆動電圧でエレクトロウェッティング画素デバイスを動作させる。第2期間内に、タイミング制御部は、第1スイッチング部をオフ制御し、第2スイッチング部をオン制御し、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極を給電部に導通させ、エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極をアースに導通させ、給電部から出力される駆動電圧でエレクトロウェッティング画素デバイスを動作させる。1つの制御期間では、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と第2電極との電圧差が反転し、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極での電荷蓄積による電荷捕獲やインクスプリットの問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、当然ながら、以下に説明される図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティング画素デバイスの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る画素駆動回路によるエレクトロウェッティング画素デバイスへの駆動を示すタイミングチャートである。
【
図3】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティング画素デバイスの接続を示す図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係るエレクトロウェッティング画素デバイスの構成を示す図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係るエレクトロウェッティング画素デバイスの接続を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、限定ではなく例示するために、本発明の実施形態を完全に理解するために、特定のシステム構造、および技術のような特定の詳細が提供される。しかしながら、当業者は、この発明が、これらの具体的な詳細なしに、他の実施形態でも実施されてよいことを知るものとする。他の場合には、周知のシステム、装置、回路および方法の詳細な説明は省略されるので、本発明は、不要な詳細によって不明瞭にされることなく説明される。
【0010】
本発明の明細書および請求項で使用される場合に、「含む」という用語は、記載された特徴、全体、工程、操作、要素、および/またはモジュールの存在を示すが、1つ以上の他の特徴、全体、工程、操作、要素、モジュール、および/またはそれらの集合の存在または追加を除外しないということを理解するものとする。
【0011】
本発明の明細書および請求項において使用されるように、用語「の場合に」は、文脈に応じて「のときに」、「一旦すると」、「の決定に応答して」、または「の検出に応答して」として解釈してよい。同様に、「が決定された場合に」または「[記載された状態または事象]が検出された場合に」という語句は、文脈に応じて、「一旦決定されると」または「の決定に応答して」または「[記載された状態または事象]が一旦検出されると」または「[記載された状態または事象]の検出に応答して」を意味するものとして解釈してよい。
【0012】
さらに、本発明の明細書および請求項の説明において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に差別化された説明の目的のために意図されるが、相対的に重要な表示または暗示として理解されないものとする。
【0013】
本発明の明細書において「一実施例」または「一部の実施例」などと言及することは、本発明の1つ以上の実施例が、実施例を参照して説明した特定の特徴、構造、または特性を有することを意味する。従って、本明細書の異なる部分に現れるフレーズ「1つの実施例で」、「一部の実施例で」、「一部の他の実施例で」、「一部の追加の実施例で」などは、特に強調しない限り、必ずしも同じ実施例を参照することを意味するのではなく、「1つ以上の実施例、ただし全ての実施例ではない」を意味する。用語「含む」、「包含する」、「有する」およびそれらの変形は、特に強調しない限り、「含むが限定されない」を意味する。
【0014】
エレクトロウェッティング画素デバイスの動作原理は以下の通りである。エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と第2電極との間へ直流駆動電圧を印加することで、エレクトロウェッティング画素デバイスにおけるインクの収縮、拡散を実現し、さらに、光学スイッチングの機能を実現する。エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極へ電圧を印加しない場合、インクが絶縁媒体の表層に均一に拡散し、エレクトロウェッティング画素デバイスがインクの色である全面暗の状態になり、すなわち、エレクトロウェッティング画素デバイスが「オフ」状態である。エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極へ電圧を印加すると、インクの収縮が開始し、駆動電圧および表面張力により、インクが一側に向けて油滴状に収縮し、エレクトロウェッティング画素デバイスが基板の色を反射する状態になり、すなわち、エレクトロウェッティング画素デバイスが「オン」状態である。
【0015】
現在、エレクトロウェッティング画素デバイスにおけるインクの収縮程度を制御する駆動形態としては、主に、第1電極および第2電極へ印加される直流電圧の大きさを調整することであり、電圧が大きいほどインクの収縮程度が大きくなり、エレクトロウェッティング画素デバイスの階調輝度が高くなる。しかしながら、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極へ直流電圧を長時間に亘って印加すると、エレクトロウェッティング画素デバイスでの電荷捕獲やインクスプリットの現象が発生しやすく、諧調電圧のばらつき、インクの復帰が遅いか、またはインクが復帰できないといった問題を引き起こす。
第1実施例
【0016】
上記の問題を基にして、本発明の実施例は、画素駆動回路を提供する。
図1に示すように、画素駆動回路は、タイミング制御部100、第1スイッチング部200、第2スイッチング部300および給電部400を含む。タイミング制御部100は、第1スイッチング部200の制御端および第2スイッチング部300の制御端にそれぞれ電気的に接続される。第1スイッチング部200は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極とアースとの間に直列に接続される。第2スイッチング部300は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極とアースとの間に直列に接続される。給電部400は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極およびエレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極にそれぞれ電気的に接続される。
【0017】
具体的には、画素駆動回路でエレクトロウェッティング画素デバイス500を駆動する場合、タイミング制御部100は、第1スイッチング部200および第2スイッチング部300を周期的に制御して、第1スイッチング部200および第2スイッチング部300を周期的にオンオフにする。1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含む。第1期間内に、タイミング制御部100は、第1スイッチング部200をオン制御し、第2スイッチング部300をオフ制御し、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極をアースに導通させ、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極を給電部400に導通させ、給電部400から出力される駆動電圧でエレクトロウェッティング画素デバイス500を動作させる。第2期間内に、タイミング制御部100は、第1スイッチング部200をオフ制御し、第2スイッチング部300をオン制御し、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極を給電部400に導通させ、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極をアースに導通させ、給電部400から出力される駆動電圧でエレクトロウェッティング画素デバイス500を動作させる。1つの制御期間では、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と第2電極との電圧差が反転し、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極および第2電極での電荷蓄積による電荷捕獲やインクスプリットの問題を防止することができる。
【0018】
本発明の1つの実施例では、1つの制御期間は、第3期間および第4期間をさらに含む。第3期間内に、タイミング制御部100は、第1スイッチング部200をオン制御し、第2スイッチング部300をオン制御することで、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極および第2電極のいずれもアースに導通させる。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500は動作しない。第4期間内に、タイミング制御部100は、第1スイッチング部200をオフ制御し、第2スイッチング部300をオフ制御することで、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極および第2電極のいずれも給電部400に導通する。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500は動作しない。第3期間は、第1期間と第2期間との間にあるか、または、第4期間は、第1期間と第2期間との間にある。
【0019】
具体的には、エレクトロウェッティング画素デバイス500は、第1期間および第2期間内にいずれも動作状態にあるとともに、第1期間から第2期間へ移行する場合、第1電極および第2電極の電圧が反転する。エレクトロウェッティング画素デバイス500は、第3期間および第4期間内に動作せず、第3期間が第1期間と第2期間との間にあるか、または、第4期間が第1期間と第2期間との間にある。これにより、エレクトロウェッティング画素デバイス500は、動作状態から非動作状態に変換し、さらに、非動作状態から動作状態に変換することができ、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極および第2電極に直流電圧を長時間に亘って印加することで引き起こされる電荷蓄積による電荷捕獲の問題を防止する。エレクトロウェッティング画素デバイス500におけるインクは、収縮状態から拡散状態に変換し、さらに、拡散状態から収縮状態に変換し、インクの急速な収縮、拡散を実現することができ、インクスプリット現象の発生を防止する。
【0020】
例示的には、
図2に示すように、タイミング制御部100の1つの駆動期間は、T1、T2、T3およびT4を含む。タイミング制御部100は、第1パルス信号PWM1を出力して第1スイッチング部200を制御し、第2パルス信号PWM2を出力して第2スイッチング部300を制御する。
【0021】
T1期間では、第1パルス信号PWM1がハイレベル、第2パルス信号PWM2がローレベルであり、第1スイッチング部200をオンにし、第2スイッチング部300をオフにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極の電圧がゼロ、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極の電圧がVであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と第2電極との電圧差がーVであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500におけるインクが収縮する。
【0022】
T2期間では、第1パルス信号PWM1がハイレベル、第2パルス信号PWM2がハイレベルであり、第1スイッチング部200をオンにし、第2スイッチング部300をオンにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極の電圧がゼロ、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極の電圧がゼロであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と第2電極との電圧差がゼロであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500におけるインクが拡散して初期状態に復帰する。
【0023】
T3期間では、第1パルス信号PWM1がローレベル、第2パルス信号PWM2がハイレベルであり、第1スイッチング部200をオフにし、第2スイッチング部300をオンにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極の電圧がV、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極の電圧がゼロであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と第2電極との電圧差がVであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500におけるインクが収縮する。
【0024】
T4期間では、第1パルス信号PWM1がローレベル、第2パルス信号PWM2がローレベルであり、第1スイッチング部200をオフにし、第2スイッチング部300をオフにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極の電圧がV、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極の電圧がV、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と第2電極との電圧差がゼロであり、エレクトロウェッティング画素デバイス500におけるインクが拡散して初期状態に復帰する。
【0025】
従来のエレクトロウェッティング画素デバイス500は、給電部400の出力電圧を変えることで諧調輝度を調節する。本発明の画素駆動回路は、第1パルス信号PWM1のデューティ比および第2パルス信号PWM2のデューティ比を制御することで、エレクトロウェッティング画素デバイス500の階調輝度の調節を実現し、給電部400によって1つの一定の直流駆動電圧が供給されるだけでよく、給電部400への要件が低く、さらに、画素駆動回路の設計、生産コストを低減することができる。
【0026】
図3に示すように、第1スイッチング部200は、第1スイッチ管Q1を含む。第1スイッチ管Q1の制御端は、タイミング制御部100に電気的に接続される。第1スイッチ管Q1は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極とアースとの間に直列に接続される。
【0027】
具体的には、タイミング制御部100から出力される第1制御信号は、第1スイッチ管Q1をオンオフ制御する。例示的には、タイミング制御部100から出力される第1制御信号がハイレベルの場合、第1スイッチ管Q1をオンにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極をアースに導通させる。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極電圧はゼロである。タイミング制御部100から出力される第1制御信号がローレベルの場合、第1スイッチ管Q1をオフにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極をアースに導通させない。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極電圧は、給電部400から供給される駆動電圧である。
【0028】
例示的には、第1スイッチ管Q1は、NMOS管である。
【0029】
図3に示すように、第2スイッチング部300は、第2スイッチ管Q2を含む。第2スイッチ管Q2の制御端は、タイミング制御部100に電気的に接続される。第2スイッチ管Q2は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極とアースとの間に直列に接続される。
【0030】
具体的には、タイミング制御部100から出力される第2制御信号は、第2スイッチ管Q2をオンオフ制御する。例示的には、タイミング制御部100から出力される第2制御信号がハイレベルの場合、第2スイッチ管Q2をオンにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極をアースに導通させる。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極電圧はゼロである。タイミング制御部100から出力される第2制御信号がローレベルの場合、第2スイッチ管Q2をオフにし、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極をアースに導通させない。この場合、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極電圧は、給電部400から供給される駆動電圧である。
【0031】
例示的には、第2スイッチ管Q2は、NMOS管である。
第2実施例
【0032】
図4は、本発明の他の実施例に係るエレクトロウェッティング画素デバイス500の構成を示す図である。
図4に示されるものを参照し、画素駆動回路は、第1限流部600および第2限流部700をさらに含む。第1限流部600は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と給電部400との間に直列に接続され、第2限流部700は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極と給電部400との間に直列に接続される。
【0033】
具体的には、給電部400から出力される駆動電圧は、第1限流部600によってエレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極に印加され、第2限流部700によってエレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極に印加される。第1限流部600および第2限流部700は、電流を制限する機能を有し、エレクトロウェッティング画素デバイス500を流れる電流の過大によるエレクトロウェッティング画素デバイス500への損傷を防止する。
【0034】
図5に示すように、第1限流部600は、第1抵抗R1を含む。第1抵抗R1は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第1電極と給電部400との間に直列に接続される。第2限流部700は、第2抵抗R2を含む。第2抵抗R2は、エレクトロウェッティング画素デバイス500の第2電極と給電部400との間に直列に接続される。
【0035】
具体的には、設計者は、必要に応じて、第1抵抗R1の抵抗値および第2抵抗R2の抵抗値を設定して適切な限流効果を果たし、エレクトロウェッティング画素デバイス500を破損から保護する。
第3実施例
【0036】
図6は、本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの構成を示す図である。
図6に示すように、エレクトロウェッティングディスプレイは、第1基板601、第2基板602、表示パネル603および上記の画素駆動回路を含む。表示パネル603は、第1基板601と第2基板602との間に位置し、アレイに配列されるエレクトロウェッティング画素デバイスを含む。画素駆動回路がエレクトロウェッティングは、画素デバイスに電気的に接続される。当該エレクトロウェッティングディスプレイは、従来のエレクトロウェッティングディスプレイの電荷捕獲やインクスプリットの問題を解決することができる。動作原理の詳細については、上記の画素駆動回路の説明を参照するため、ここで詳細な説明を省略する。
【0037】
上記の実施例は、単に本発明の技術案を説明することを意図したものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、上記の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者は、上記の実施例に記載された技術案を修正したり、その一部の技術的特徴を同等に置き換えたりしてもよいことを理解するものとする。また、これらの修正や置換は、対応する技術案の本質が本発明の各実施例の技術案の精神および範囲から逸脱することなく、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロウェッティングディスプレイに応用される画素駆動回路であって、
タイミング制御部、第1スイッチング部、第2スイッチング部および給電部を含み、
前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部の制御端および前記第2スイッチング部の制御端にそれぞれ電気的に接続され、
前記第1スイッチング部は、エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極とアースとの間に直列に接続され、
前記第2スイッチング部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極とアースとの間に直列に接続され、
前記給電部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極にそれぞれ電気的に接続され、
前記給電部は、一定の駆動電圧を供給し、
前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部および第2スイッチング部を周期的に制御し、
1つの制御期間は、第1期間および第2期間を含み、
前記第1期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオン制御し、前記第2スイッチング部をオフ制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極をアースに導通させ、
前記第2期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオフ制御し、前記第2スイッチング部をオン制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極をアースに導通させ
、
前記1つの制御期間は、第3期間および第4期間をさらに含み、
前記第3期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオン制御し、前記第2スイッチング部をオン制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極のいずれもアースに導通させ、
前記第4期間内に、前記タイミング制御部は、前記第1スイッチング部をオフ制御し、前記第2スイッチング部をオフ制御することで、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極および第2電極のいずれも前記給電部に導通させ、
前記第3期間は、前記第1期間と前記第2期間との間にあるか、または、前記第4期間は、前記第1期間と前記第2期間との間にあることを特徴とする画素駆動回路。
【請求項2】
第1限流部および第2限流部をさらに含み、
前記第1限流部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と前記給電部との間に直列に接続され、
前記第2限流部は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項3】
前記第1限流部は、第1抵抗を含み、
前記第1抵抗は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項
2に記載の画素駆動回路。
【請求項4】
前記第2限流部は、第2抵抗を含み、
前記第2抵抗は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極と前記給電部との間に直列に接続されることを特徴とする請求項
2に記載の画素駆動回路。
【請求項5】
前記第1スイッチング部は、第1スイッチ管を含み、
前記第1スイッチ管の制御端は、前記タイミング制御部に電気的に接続され、
前記第1スイッチ管は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第1電極とアースとの間に直列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項6】
前記第1スイッチ管は、NMOS管であることを特徴とする請求項
5に記載の画素駆動回路。
【請求項7】
前記第2スイッチング部は、第2スイッチ管を含み、
前記第2スイッチ管の制御端は、前記タイミング制御部に電気的に接続され、
前記第2スイッチ管は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスの第2電極とアースとの間に直列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項8】
前記第2スイッチ管は、NMOS管であることを特徴とする請求項
7に記載の画素駆動回路。
【請求項9】
エレクトロウェッティングディスプレイであって、
第1基板、第2基板、表示パネルおよび請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の画素駆動回路を含み、
前記表示パネルは、前記第1基板と前記第2基板との間に設置され、
前記表示パネルは、アレイに配列されるエレクトロウェッティング画素デバイスを含み、
前記画素駆動回路は、前記エレクトロウェッティング画素デバイスに電気的に接続されることを特徴とするエレクトロウェッティングディスプレイ。
【国際調査報告】