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特表2024-542808異種圧力媒体相互作動モジュールを使用するエネルギー貯蔵システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】異種圧力媒体相互作動モジュールを使用するエネルギー貯蔵システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/02 20060101AFI20241108BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20241108BHJP
   F01K 27/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
F01K25/02
H02J15/00 E
F01K27/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533223
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022029374
(87)【国際公開番号】W WO2023101718
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111466565.5
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524209707
【氏名又は名称】パワーエイト テック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POWER8 TECH INC.
【住所又は居所原語表記】1484 Pollard Rd #183, Los Gatos, California 95032, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100113398
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 直
(72)【発明者】
【氏名】ディン, リェンチュン
(72)【発明者】
【氏名】スー, キューシュイ
(72)【発明者】
【氏名】リン, ソンユアン
(72)【発明者】
【氏名】タイ, チーチェン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB04
3G081BB07
3G081BB10
(57)【要約】
エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つの異種圧力媒体相互作動モジュール(「モジュール」)と、液体源と、ポンプと、変換器と、第1のパイプラインと、第2のパイプラインとを含む。モジュールは、初期気体を貯蔵する第1の容器と、初期液体を貯蔵する第2の容器とを含む。液体源は、作用液体を貯蔵する。ポンプは、作用液体を調節して液体源からモジュール内に流す。初期液体は、作用液体によって駆動され、初期気体を連続的に圧縮し、第1の容器が第1の圧力エネルギーを蓄え、初期気体は、連続的に膨張して初期液体を駆動し、第1の圧力エネルギーを第2の圧力エネルギーに変換する。第1のパイプを通る第2の圧力エネルギーは、変換器を駆動して電気エネルギーを生成し、変換器を駆動した後の作用液体は、第2のパイプを通って液体源に戻される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムであって、
初期気体を貯蔵するための第1のスペースを形成する第1の容器と、
前記第1の容器の一側に接続され、初期液体を貯蔵する第2のスペースを有する第2の容器とを備え、
前記エネルギー貯蔵システムの第1の動作モードにおいて、前記第2のスペースに作用流体が注入され、前記作用流体によって前記初期液体が前記第1のスペースに向かって流れるように駆動され、更に、前記第1のスペース内の前記初期気体が所定の圧力に達するまで、前記第1のスペース内の前記初期気体を連続的に圧縮して、前記第1の容器が第1の圧力エネルギーを貯蔵し、
第2の動作モードにおいて、前記初期気体を連続的に膨張させて初期液体を排出させ、電気を発生させる変換器の駆動用に、前記第1の圧力エネルギーを第2の圧力エネルギーに変換する、
前記エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
第1の端部と第3の端部とを有する第1の管を更に備え、前記第1の端部は、前記第1の容器に接続され、前記第3の端部は、前記第2の容器に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
第2の端部と第4の端部とを有する第2の管を更に備え、前記第2の端部は、前記第2の容器に接続され、前記第4の端部は、前記変換器及び液体源に接続される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記第1の容器と前記第2の容器は、円筒形タンク、多角形タンク、ハニカムタンクの少なくとも1つである、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記第1の容器に配置された第3の管を更に備え、前記第3の管の一端は、前記第1のスペースに接続され、前記第3の管の他端は、外部気体を受け入れて前記初期気体を補充する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記第1の容器に配置された穴カバーを更に備え、前記穴カバーが開いているとき、前記第1のスペースが前記第1の容器の外部空間と連通し、前記穴カバーが閉じているとき、前記第1のスペースと前記第1の容器の外部空間との連通が遮断される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記第1の容器と前記第2の容器との間に配置されたメンテナンスパイプを更に備え、前記メンテナンスパイプが開いているとき、前記第1のスペースが前記第2のスペースと連通し、前記メンテナンスパイプが閉じているとき、前記第1のスペースと前記第2のスペースとの連通が遮断される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記作用流体又は前記初期流体の流量を調整するポンプを更に備える、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
開モードと閉モードとを提供する弁体を更に備え、前記開モードのとき、前記作用流体、前記初期液体、又は前記初期気体が前記弁体を通過し、前記閉モードのとき、前記作用液体、前記初期液体、又は前記初期気体が前記弁体によって停止される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記弁体を動作させ、前記初期気体を所定の圧力に制御し、前記初期気体が前記所定の圧力に達すると、前記初期気体の圧縮を停止する制御信号を出力するコントローラを更に備える、請求項9に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムであって、
複数の異種圧力媒体相互作動モジュールを備え、前記異種圧力媒体相互作動モジュールのそれぞれは、
初期気体を貯蔵する第1のスペースを有する第1の容器と、
前記第1の容器の片側に接続され、初期液体を貯蔵する第2のスペースを有する第2の容器と、
作用液体を貯蔵する液体源と、
前記液体源と前記複数の異種圧力媒体相互作動モジュールとの間に配置されたポンプであって、前記複数の異種圧力媒体相互作動モジュールに入る前記作用液体の速度又は量を調節する当該ポンプと、
前記作用流体を受け入れ、出力する変換器と、
第3のスペースを形成する第1のパイプであって、複数の容器接続ポート、第1の接続点及び第3の接続点を有し、前記容器接続ポートのそれぞれは、前記第2のスペースのそれぞれと前記第3のスペースとを接続し、前記第1の接続点及び前記第3の接続点は、前記第1のパイプの両端に形成され、前記第1の接続点は、前記液体源の第1の端部に接続され、前記第3の接続点は、前記変換器の第1の端部に接続される、当該第1のパイプと、
第4のスペースを形成する第2のパイプであって、前記第2のパイプの第1の端部は、前記変換器の第2の端部に接続され、前記第2のパイプの第2の端部は、前記液体源の第2の端部に接続される、当該第2のパイプと、を備え、
第1の動作モードにおいて、前記作用液体が前記ポンプによって制御され、前記第1のパイプを介して前記第2のスペースに注入され、前記作用液体が前記初期液体を前記第1のスペースに向かって流れるように駆動し、前記初期気体が所定の圧力に達するまで、前記第1のスペース内の前記初期気体を連続的に圧縮し、更に第1の容器に第1の圧力エネルギーを蓄積させ、
第2の動作モードにおいて、前記初期気体が前記ポンプによって制御され、連続的に膨張して前記初期液体を前記第1のパイプに向かって移動させ、前記第1のパイプから排出されるように駆動し、前記第1の圧力エネルギーが第2の圧力エネルギーとなり、前記初期液体が前記作用液体に前記変換器を駆動させ、発電させる、
前記異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
更に、前記作用流体、前記初期液体、前記初期気体、又はこれらの組み合わせによって生成された圧力を感知することによって感知信号を生成する圧力センサを更に備える、請求項11に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
更に、開モード又は閉モードになるように構成された弁体を備え、前記開モードでは、前記作用流体、前記初期流体及び前記初期気体は、前記弁体を通過でき、前記閉モードでは、前記作用流体、前記初期液体及び前記初期気体は、前記弁体によって止められる、請求項11に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
更に、圧力センサ、弁体およびコントローラーを備え、前記圧力センサ及び前記弁体は、前記コントローラーに接続され、前記コントローラは、前記圧力センサから感知信号を受信するように構成され、前記コントローラは、前記感知信号に基づいて制御信号を生成し、前記弁体を動作させて、前記開モード又は前記閉モードを更に実行するように構成されている、請求項11に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記制御信号を出力して、前記初期気体が前記所定の圧力に到達するように前記弁体を動作させるように構成されている、請求項14に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記異種圧力媒体相互作動モジュールを制御して、前記第1の圧力エネルギーを同期して貯蔵する制御プログラムを実行するように構成されている、請求項14に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記コントローラが異常状態を感知した場合に、通知を生成するように構成されている、請求項14に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項18】
前記変換器と接続され、前記電気エネルギーを貯蔵する拡張エネルギー貯蔵ユニットを更に備える、請求項11に記載の異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム。
【請求項19】
接続され、個別に制御可能な異種圧力媒体相互作動デバイスを有するシステムを使用するエネルギー貯蔵方法であって、
第1の容器に初期気体を供給することと、
第2の容器に初期液体を供給することと、
前記第2の容器に作用液体を入れ前記初期液体を駆動して、前記初期気体を圧縮し圧縮気体にすることによって第1の圧力エネルギーを貯蔵することと、
前記作用液体を放出し、前記第1の圧力エネルギーを第2の圧力エネルギーにすることによって、水力発電機を駆動して発電することと、
前記貯蔵と放出を繰り返し、エネルギーを繰り返し貯蔵及び生成することと、
を含む、前記エネルギー貯蔵方法。
【請求項20】
更に、前記繰り返し実行した後、前記作用液体を回収して再び前記第2の容器に供給することを含む、請求項19に記載のエネルギー貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリーン(再生可能)エネルギー発電の分野に関する。詳しくは、本発明は、異種圧力媒体相互作動モジュール(heterogeneous pressure media and interactive actuation module)を使用するエネルギー貯蔵システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気エネルギーに対する需要のため、科学者たちは、燃焼、核変換、核融合、太陽光、水力、風力等によって電力を生成する発電方法を開発してきた。
【0003】
従来、発電には、石炭と原子力が使用されているが、二酸化炭素及び原子力の反応に使用される反応物質が環境問題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、異種圧力媒体相互作動モジュールを使用するエネルギー貯蔵システム(energy storage system)及び方法を提供する。
【0005】
幾つかの実施形態では、エネルギーストレージ(energy storage)(例えば、異種圧力媒体相互作動モジュール)を提供する。エネルギーストレージは、初期気体を収容する第1の容器と、初期液体を収容する第2の容器とを含む。初期液体に追加の圧力(例えば、水(例えば、作用液体〔working liquid〕)等の流体をポンピングすることによる圧力)が加えられ、これによって初期気体が加圧されると、加圧された気体がエネルギー貯蔵媒体として機能する。気体を加圧する工程と圧力を解放する工程は、エネルギーの貯蔵と放出の機能を果たす。
【0006】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、単一モジュール又は複数の単一モジュールの組み合わせを使用して出力圧力を決定する。
【0007】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、第1の圧力エネルギーを貯蔵する第1の動作モード及び第1の圧力エネルギーを第2の圧力エネルギーに変換する第2の動作モードを実行する。
【0008】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、修理担当者が第1の容器及び第2の容器を修理するための穴カバー及び修理パイプを含む。
【0009】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、圧力を感知する圧力センサを含む。
【0010】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、流体流量を調整する少なくとも1つのポンプを含む。
【0011】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、開モード及び閉モードを有する弁体を含み、これによって、開モード及び閉モード、第1の動作モード又は第2の動作モードの間の切り替えが実行される。
【0012】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態では、初期気体を所定の圧力に制御するために弁体を動作させるコントローラを含み、初期気体が所定の圧力に達すると初期気体の圧縮が停止する。
【0013】
前述の異種圧力媒体相互作動モジュールに基づく一実施形態は、弁体を制御し、圧力センサからの感知信号を受信するコントローラーを含み、これにより第1の動作モードと第2の動作モードを実現する。コントローラは、動作モードを自動的に切り替えるように構成されている。
【0014】
一実施形態は、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムを含み、このシステムは、第1のパイプ及び第2のパイプを介して、複数の異種圧力媒体相互作動モジュール、液体源及び変換器を接続し、これにより、作用液体の流入により加圧された初期気体を使用してエネルギーを貯蔵する。蓄えられたエネルギーを放出する過程では、加圧された初期気体が放出され、これにより、初期液体が押され、作用流体が第2の容器から排出される。作用流体は、発電機を駆動して電気を発生させる。
【0015】
一実施形態は、異種圧力媒体(例えば、異なる種類又は異なる密度の流体)と、異種圧力エネルギーを使用してエネルギーの貯蔵と放出を繰り返すことができる相互作動エネルギー貯蔵方法を含む。
【0016】
前述の実施形態の機能及び目的又は他の目的を達成するために、本開示は、第1の動作モード及び第2の動作モードを実行可能な異種圧力媒体相互作動モジュールを提供する。第1の動作モードが実行されると、異種圧力媒体相互作動モジュールは、作用流体を受け入れる。第2の動作モードが実行されると、異種圧力媒体相互作動モジュールは、変換器に接続され、作用流体を変換器に押し出す。異種圧力媒体相互作動モジュールは、第1の容器及び第2の容器を含む。第1の容器は、初期気体を貯蔵するための第1のスペースを形成する。第2の容器は、第1の容器の一側に配置される。第2の容器は、第1の容器に接続される。更に、第2の容器は、初期液体を貯蔵する第2のスペースを形成する。第1の動作モードが実行されると、第2のスペースに作用液体が注入され、作用液体によって初期液体が第1のスペースに向かって流れるように駆動され、その後、初期気体が所定の圧力に達するまで、初期気体が第1のスペースで連続的に圧縮され、これによって第1の容器に第1の圧力エネルギーが貯蔵される。第2の動作モードが実行されると、加圧された初期気体は、連続的に膨張し、初期液体を第2の容器に排出するよう駆動し、これにより作用流体が第2の容器から押し出され、変換器を駆動して発電する。
【0017】
前述の実施形態の機能及び目的又は他の目的を達成するために、本開示は、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムを提供する。異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムは、複数の異種圧力媒体相互作動モジュールと、液体源と、ポンプと、変換器と、第1のパイプと、第2のパイプとを含む。異種圧力媒体相互作動モジュールのそれぞれは、更に、第1の容器及び第2の容器を含む。第1の容器は、初期気体を貯蔵する第1のスペースを形成する。第2の容器は、第1の容器の一側に配置される。第2の容器は、第1の容器に接続される。第2の容器は、初期液体を貯蔵するための第2のスペースを形成する。液体源(例えば、貯水槽又は貯水池)は、作用液体を貯蔵する。ポンプは、液体源と異種圧力媒体相互作動モジュールとの間に配置されている。ポンプは、液体源の作用液体を調節して異種圧力媒体相互作動モジュールに流し込む。変換器は、作用流体を受け取り、排出する。第1のパイプは、第3のスペースを形成する。第1のパイプは、複数の接続ポート、第1の接続点及び第3の接続点を有する。各接続ポートは、各第2のスペース及び各第3のスペースと接続する。第1の接続点と第3の接続点は、それぞれ第3のスペースと接続する。第1の接続点と第3の接続点は、第1のパイプの両端に形成される。第1の接続点は、液体源の第1の端部に接続され、第3の接続点は、変換器の第1の端部に接続される。第2のパイプは、第4のスペースを形成する。第2のパイプの第1の端部は、変換器の第2の端部に接続され、第2のパイプの第2の端部は、液体源の第2の端部に接続される。第1の動作モードが実行されると、ポンプによって、作用液体が液体源から第1のパイプを通って第2のスペースに注入され、この作用液体によって初期液体が、第1のスペースに向かって/第1のスペース内に、流れるように駆動され、これによって、第1のスペース内の初期気体が所定の圧力に達するまで、第1のスペース内の初期気体が連続的に圧縮され、これによって、第1の容器に第1の圧力エネルギーが貯蔵される。第2の動作モードが実行されると、初期気体が連続的に膨張され、初期液体を駆動して第1のパイプに排出し、第1の圧力エネルギーを第2の圧力エネルギーに変換する。その後、初期液体/作用液体は、第1のパイプを介して変換器を駆動して電気エネルギーを生成する。貯蔵放出サイクルの最後に、作用液体は、変換器を駆動した後、第2のパイプを通過して液体源に戻り(例えば、放出モード)、その後、ポンプが液体源の作用液体を異種圧力媒体相互作動モジュールに再び注入する(例えば、エネルギー貯蔵モード)。
【0018】
上記の目的又は他の目的を達成するために、本開示が提供する、異種圧力媒体相互作動を使用するエネルギー貯蔵方法は、(a)第1の容器内に初期気体を供給するステップと、(b)第2の容器に初期液体を供給するステップと、(c)第2の容器に作用液体を供給し、初期液体を駆動して初期気体を圧縮し、第1の圧力エネルギーを貯蔵するステップと、(d)第1の圧力エネルギーを解放して初期液体を駆動し、作用流体に作用して第2の圧力エネルギーを出力するステップと、(e)ステップ(c)~(d)を繰り返し実行し、第1の圧力エネルギーと第2の圧力エネルギーを切り替えてエネルギーを貯蔵及び出力するステップとを有する。
【0019】
従来の電気エネルギー生成システムとは異なり、本開示の異種圧力媒体相互作動モジュール並びに異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムは、閉鎖循環系であってもよい。本開示は、圧力エネルギーを生成するための媒体として初期気体及び初期液体を使用し、圧力エネルギーの貯蔵及び放出によって変換器(変換器等)を駆動して電気エネルギーを生成する。更に、変換プロセス中に発生する可能性のある損失(熱損失等)は、初期気体又は液体を追加/補充するだけで迅速に補償できる。本開示は、少なくとも以下の利点を有する。
【0020】
(a)原料の入手の容易さ:本開示で使用される初期気体、初期液体、及び作用流体は、水、周囲の空気等の天然に存在する物質であり、容易に入手できる。
【0021】
(b)電気エネルギーの計画の柔軟性:本開示は、モジュール設計を提供するものであり、この設計に基づき、実際の電気エネルギー要件に従って、マイクロ、スモール、ミディアム及びラージ発電所を建設でき、例えば、キロワット(kW)からギガワット(GW)(及びこれ以上)程度の電気エネルギーを提供できる。
【0022】
(c)スペースの効率的な利用:本開示のエネルギー貯蔵システムは、地下又は建物の下に設置できるため、本来の使用スペースを占有せず、外部環境への影響を低減できる。
【0023】
(d)電気エネルギーの安全な生成:本開示のエネルギー貯蔵システムは、危険物を使用しないため、住宅、学校、都市、公共施設、およびその他の場所に設置できる。
【0024】
(e)低いメンテナンスコスト:本開示は、水、周囲の空気およびその他の物質等の環境から容易に得られる物質を使用する。したがって、効率が低下した場合、天然ガス、石炭、核変換物質等を購入する必要なく、初期気体、初期液体、及び作用流体の少なくとも1つを追加/補充するだけで、元のエネルギー貯蔵及び放出の効率を回復できる。
【0025】
(f)自動制御システム:本開示は、制御弁を使用して、第1の動作モードと第2の動作モードとの間を切り替え、初期気体、初期液体、及び作用液体の移動を操作及び制御するコントローラを提供する。
【0026】
(g)電力網の互換性:本開示は、エネルギー(圧力エネルギー、水力エネルギー等)によって電気エネルギー(又は電力)を生成するように変換器を駆動し、この電気エネルギーは、既存の電力網システムに直接送信/転送でき、電力網システムの主電力源又はバックアップ電力として使用できる。
【0027】
(h)残余電力の貯蔵と変換:本開示は、残余/未使用電力又はバックアップ電力を緊急補助的に使用するために貯蔵し、ここでは、これらを総称して残余電力と呼ぶ。本開示は、残余電力を使用してポンプを駆動し、異種圧力媒体相互作動モジュールによって残余電力を圧力エネルギーに変換し、残余電力を貯蔵する効果を達成する。本開示は、電力需要の増加に応じて、いつでも、圧力エネルギーを電気エネルギーに瞬時に変換して不足する電力を補うことができる。
【0028】
他の実施形態、態様、特徴及び利点は、本開示の全体から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】幾つかの実施形態におけるエネルギーストレージの三次元概略図である。
【0030】
図2A】幾つかの実施形態における、図1の第1の動作モードを実行するエネルギーストレージの動作を示す概略図である。
【0031】
図2B】幾つかの実施形態における、図1の第2の動作モードを実行するエネルギーストレージの動作を示す概略図である。
【0032】
図3】幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵装置の三次元概略図である。
【0033】
図4A】幾つかの実施形態における、図3のエネルギー貯蔵装置の動作を示す概略図である。
【0034】
図4B】幾つかの実施形態における、図3の第2の動作モードを実行するエネルギー貯蔵装置の動作を示す概略図である。
【0035】
図5】幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵装置の三次元概略図である。
【0036】
図6】幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システムの三次元概略図である。
【0037】
図7】幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システムの三次元概略図である。
【0038】
図8】幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システムの三次元概略図である。
【0039】
図9】幾つかの実施形態における、異種圧力媒体相互作動を使用するエネルギー貯蔵装置のための方法の概略的フローチャートである。
【0040】
図10】幾つかの実施形態における、図7のエネルギー貯蔵システムの電力ネットワークへの適用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
好ましい実施形態の詳細な説明(DETAILED DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENTS)
本発明の目的、特徴及び効果を十分に明瞭にするために、以下、添付図面を参照して具体的な実施形態を説明する。説明は、以下の通りである。
【0042】
本明細書において、「不定冠詞(a又はan)」は、ここに記載するユニット、要素及び部品を説明するために使用される。これは、単に説明の便宜のためであり、本発明の範囲に一般的な意味を与えるものである。したがって、明確に別段の記載がない限り、この表現は、「1つ」又は「少なくとも1つ」を含むと理解されるべきであり、単数形の表現は、複数形も含むと理解されるべきである。
【0043】
本明細書において、「含む(include)」、「備える/含む(comprise)」、「有する(have)」、又は他の類似の用語は、非排他的な包含を含意する。例えば、複数の特徴を含む要素、構造、製品、又は装置は、ここに列挙された要件に限定されるものではなく、明示的に列挙されていないが、要素、構造、製品、又は装置に一般的に内在する特徴を含んでいてもよい。これに加えて、明確に別段の記載がない限り、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を指す。
【0044】
図1は、幾つかの実施形態におけるエネルギーストレージ10の三次元概略図である。図1において、エネルギーストレージ10は、第1の動作モードM1及び第2の動作モードM2を実行する異種圧力媒体相互作動モジュールを備える。図2Aは、第1の動作モードM1を実行するエネルギーストレージ10の動作を示す概略図であり、図2Bは、第2の動作モードM2を実行するエネルギーストレージ10の動作を示す概略図である。
【0045】
第1の動作モードM1が実行されると、エネルギーストレージ10は、作用流体WLを受け取る。第2の動作モードM2が実行されると、エネルギーストレージ10は、作用流体WLを、エネルギーストレージ10と連通接続された変換器(図4Bに示す変換器4等)に押し出す。変換器は、液体ポンプ、ターボポンプ、液体発電機、液体タービン発電機、又は液圧タービン発電機等であり得る。一実施形態では、第1の動作モードM1と第2の動作モードM2は、異なる時間帯に運転される。例えば、第1の動作モードM1は、オフピーク電力消費期間に実行され、第2の動作モードM2は、ピーク電力消費期間に実行される。しかしながら、ある実施形態において、例えば、複数のエネルギーストレージが存在する場合、複数のエネルギーストレージが異なるモードで動作してもよい。例えば、第1のエネルギーストレージが第1の動作モードM1を実行し、第2のエネルギーストレージが第2の動作モードM2を実行してもよい。このように、第1の動作モードM1及び第2の動作モードM2は、同時に実行できる。
【0046】
図2Aに示すように、第1の動作モードM1が実行されると、作用流体WLがエネルギーストレージ10に注入される。作用流体WLは、液体源から供給してもよい。例えば、液体源は、作用流体WLを貯蔵するための装置又は機器として機能できる水タンク、貯水槽、給水塔等であってもよい。図2Aに示す矢印は、第1の動作モードM1中の作用流体WLの流路を表している。
【0047】
図2Bに示すように、第2の動作モードM2が実行されると、作用流体WLは、エネルギーストレージ10から排出される。このようにして、作用流体WLを変換器に排出し、変換器を駆動して発電できる。図2Bに示す矢印は、第2の動作モードM2中の作用流体WLの流路を表している。
【0048】
幾つかの実施形態では、作用流体WLは水であり得る。但し、他の流体又は液体、例えば、有機溶媒、無機溶媒、溶融塩、流動性イオン塩、超臨界流体及び様々な気体又は他の流動性物質又は圧力発生物質及び機構等も、本開示の範囲に含まれる。
【0049】
図1に戻って説明を続けると、エネルギーストレージ10は、第1の容器12と第2の容器14とを含む。図示のように、一実施形態において、エネルギーストレージ10は、一対一の対応関係を有する第1の容器と第2の容器を含む。ここでは、第1の容器12及び第2の容器14を容器と呼ぶが、このような用語は、範囲を特定の形状に限定するものではなく、容器は、液体、気体、又は固体を収容するために使用でき、同時にその発生圧力に耐えることができる限り、任意の形状を有することができる。更に、第1の容器12と第2の容器14の材料と厚みもまた、適用可能な圧力、液体、気体、又は固体に影響を与える/これらを決定する可能性がある。材料は、例えば、ステンレス鋼、鉄等とできる。更に、エネルギーストレージ10を地下に設置したり、他の材料(セメント、コンクリート等)で囲ったりしてもよい。例えば、第1の容器12及び第2の容器14をセメントで囲むことによって、第1の容器12及び第2の容器14の圧力に対する抵抗強度を高めることができる。換言すれば、セメント又はコンクリートに封入することによって、容器自体の壁の厚さ/材料に関する要件を緩和できる。同様に、本開示の地下システムも、容器の壁の厚さ/材料に関する要件を緩和できる。
【0050】
第1の容器12は、初期気体IGを貯蔵するための第1のスペースSP1を形成する。図1では、一例として、第1の容器12を円筒形のタンク本体として示している。しかしながら、第1の容器12は、多角形のタンク本体、ハニカム形状のタンク本体、又は他の形状のタンク本体であってもよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、初期気体IGは、空気、他の流体又は気体、例えば、水素、ヘリウム、窒素又は混合気体(20%水素及び80%ヘリウム等)等を含み、様々な気体又は他の流動性物質又は圧力を発生させることができる物質及び機構も実施形態の範囲に含まれる。更に、初期気体IGは、他の物質状態から変換されてもよい。例えば、気体状態は、固体状態や液体状態から変化したものであってもよい。このような変化は、例えば、温度、圧力等の変化によって生じさせてもよい。幾つかの実施形態では、初期気体IGは、第1のスペースSP1に留まるのみではなく、第2のスペースSP2に入り込んでいてもよい。更に、初期気体IGが第1のスペースSP1全体を満たしていなくてもよい。幾つかの実施形態では、第1のスペースSP1全体を満たすことに加えて、初期気体IGは、第1のスペースSP1の一部のみを満たしてもよい。
【0052】
第2の容器14は、第1の容器12の一側に配置される。一例として、図1では、第2の容器14は、第1の容器12の下側に配置されている。他の実施形態では、第2の容器14は、第1の容器12のいずれの側に配置されてもよく、すなわち、第1の容器12の下側に配置されることに限定されるものではない。第2の容器14は、初期液体ILを貯蔵するための第2のスペースSP2を形成する。第2の容器14が第1の容器12に接続されると、第2のスペースSP2は、第1のスペースSP1と連通する。なお、図1では、第2の容器14も円筒状のタンク本体として例示しており、第2の容器14の説明は、第1の容器12の説明と同様であり、ここでは、説明を簡潔明瞭にするために同じ説明は繰り返さない。第2の容器14の形状は、第1の容器12の形状と同じであってもよく、異なっていてもよい。幾つかの実施形態では、初期液体ILは、第2のスペースSP2に留まるのみではなく、第1のスペースSP1に入り込んでいてもよい。更に、第2のスペースSP2全体を満たすことに加えて、初期液体ILは、第2のスペースSP2の一部のみを満たしていてもよい。
【0053】
幾つかの実施形態では、初期液体ILは、水であってもよい。他の流体又は液体も本発明の実施形態の範囲内であり、例えば、有機溶媒、無機溶媒、溶融塩、流動性イオン塩、超臨界流体及び様々な気体又は他の流動性物質又は圧力発生物質及び機構等が挙げられる。更に、初期液体ILに使用される材料は、作用液体WLの材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。更に、初期液体ILは、他の材料状態から変化したものであってもよく、例えば、液体状態が固体状態又は気体状態から変化したものであってもよい。このような変化は、例えば、温度、圧力等の変化によって生じさせてもよい。
【0054】
例えば、図4A及び図4Bに示すように、第1の動作モードM1が実行されると、作用流体WLは、(図4Aに示すように)第2のスペースSP2に連続的に注入される。注入された作用流体WLは、第2のスペースSP2内の体積を徐々に増加させることによって、第2のスペースSP2内の占有スペースを徐々に増加させ、これによって、第1のスペースSP1内の初期気体IGが所定の圧力に達するまで、初期液体ILを駆動し、第1のスペースSP1内の初期気体IGを連続的に圧縮し、第1の容器12を第1の圧力エネルギーFPE(図3に図示)に到達させ、第1の容器12に第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵させる。初期液体ILの膨張により初期気体IGの分子間距離が短くなるため、初期気体IGが圧縮されてエネルギー蓄積の効果が得られる。所定圧力の値は、数キロパスカルから数メガパスカルまでとすることができる。例えば、所定圧力の値は、4メガパスカル(Mpa)(又はN/m2)から12Mpaの範囲としてもよい。初期液体ILの推力が発生し続ける限り、圧力均衡により初期液体ILが初期気体IGを押さなくなるか又は初期気体IGが圧縮できなくなるまで、初期気体IGは、圧縮され続ける。圧力が均衡すると、初期気体IGが圧縮されなくなる。更に、初期気体IGを押すように初期液体ILを調整することによって、初期気体IGの圧力を所定の圧力に到達させ又は維持でき、これによって第1の圧力エネルギーFPEの量が決定される。
【0055】
第2の動作モードM2が実行されると、(図4Bに示すように)作用流体WLが第2のスペースSP2から反対方向に向かって排出される。このとき、圧縮された初期気体IGの連続的な膨張による圧力解放の効果に起因して、初期流体ILは、第1の圧力エネルギーFPEによって押され、作用流体WLを、例えば、変換器4に向かう方向に移動させるように押し出す。換言すれば、初期気体IGは、初期液体ILを排出するように駆動し、第1の圧力エネルギーFPEを第2の圧力エネルギーSPEに変換して変換器4を駆動する。簡潔に言えば、変換器4は、第2の圧力エネルギーSPEによって作動され、電気エネルギーE(又は電力)を生成する。
【0056】
一実施形態において、エネルギーストレージ10は、数MPaから数十MPaに維持された圧力に作用して、30kW(キロワット)から300kWの範囲の電力を生成できる。例えば、1つのエネルギー貯蔵装置が約300kWを発電する。1システム内で2,500個のエネルギー貯蔵装置を使用した場合、約750,000kWの発電が可能である。
【0057】
図3は、幾つかの実施形態におけるエネルギーストレージ10’の三次元概略図である。図3において、上述した第1の容器12及び第2の容器14に加えて、エネルギーストレージ10’は、第1の管16及び第2の管18を更に含む。第1の管16及び第2の管18の配置によって、第1の容器12及び第2の容器14の配置はより柔軟になる。
【0058】
第1の容器12及び第2の容器14の説明は、上述の通りであり、説明を簡潔明瞭にするために、ここでは、繰り返さない。
【0059】
図3において、第1の管16は、第1の端部162と第3の端部164とを含む。第1の端部162は、第1の容器12に接続され、第3の端部164は、第2の容器14に接続され、これにより、第1の管16が第1のスペースSP1及び第2のスペースSP2と連通する。
【0060】
第2の管18は、第2の端部182と第4の端部184とを含む。第2の端部182は、第2の容器14に接続され、第4の端部184は、(図4Bに示すように)変換器4及び(図4Aに示すように)液体源2に接続できる。一実施形態では、第2の管18の直径は、第1の管16の直径よりも大きい。別の実施形態では、第2の管18の直径は、第1の管16の直径以下としてもよい。第2の管18の直径が第1の管16の直径よりも大きい場合、初期液体ILは、第1の管16を介して初期気体IGの圧縮を加速する。
【0061】
第1の動作モードM1及び第2の動作モードM2を実行するエネルギーストレージ10’の説明は、上述の通りであり、説明を簡潔明瞭にするために、ここでは、繰り返さない。図4Aは、第1の動作モードM1を実行するエネルギーストレージ10’の動作を示す概略図である。図4Bは、第2の動作モードM2を実行するエネルギーストレージ10’の動作を示す概略図である。
【0062】
一実施形態において、図4A及び図4Bに示す第1の管16及び第2の管18の技術的特徴により、第1の動作モードM1及び第2の動作モードM2を以下のように調整できる。
【0063】
第1の動作モードM1では、作用液体WLが液体源2から第2の管18を介して第2のスペースSP2に連続的に注入されて、作用液体WLは、スペースSP1内の初期気体IGが所定の圧力になるまで、第1の管16を介して初期液体ILを駆動して第1のスペースSP1内の初期気体IGを連続的に圧縮し、これにより、第1の容器12が第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵する。初期液体ILによって初期気体IGの分子間距離が減少するため、初期気体IGが圧縮されてエネルギーが貯蔵される。
【0064】
第2の動作モードM2では、作用流体WLは、第2の管18を介して第2のスペースSP2に連続的に注入されなくなり、第2の管18から逆方向に排出される。このとき、圧縮された初期気体IGが連続的に膨張して、初期液体ILが第1の圧力エネルギーFPEによって押され、作用液体WLが変換器4に向かって押し出される。このように、初期気体IGは、初期液体ILを第2の管18の第4の端部184に向かって移動させ、第2の管18の第4の端部184から排出することにより、第1の圧力エネルギーFPEを第2の圧力エネルギーSPEに変換し、変換器4を駆動する。第2の圧力エネルギーSPEによって駆動される変換器4は、電気エネルギーE(例えば、電気)を生成する。
【0065】
図5は、幾つかの実施形態におけるエネルギーストレージ10”の三次元概略図である。図5において、エネルギーストレージ10”は、図3に示す第1の容器12、第2の容器14、第1の管16及び第2の管18のみではなく、第3の管28、穴カバー29及びメンテナンスパイプ30も含む。
【0066】
第1の容器12、第2の容器14、第1の管16及び第2の管18の説明は、上述の通りであり、説明を簡潔明瞭にするために、ここでは、繰り返さない。
【0067】
第3の管28は、第1の容器12に配置されている。第3の管28の一端は、第1のスペースSP1に接続され、第3の管28の他端は、外部気体EGを受け入れ、初期気体IGを供給する。一実施形態では、第3の管28は、気体又は液体を選択的に放出することによって圧力を解放する圧力安全弁(ポップアップ弁とも呼ばれる)(図示せず)を更に含み、これにより、所定の圧力設定値に達するように圧力を調整する。例えば、圧力安全弁は、エネルギー貯蔵装置の所定の圧力を4MPa(又はN/m2)から12MPaに維持するように制御される。
【0068】
穴カバー29は、第1の容器12に配置されている。穴カバー29を開くと、第1のスペースSP1と第1の容器12の外部空間とが連通する。穴カバー29を閉じると、第1のスペースSP1と第1の容器12の外部空間との連通が遮断される。第1のスペースSP1に作業者(図示せず)が入ることによって、メンテナンス作業を行うことができる。一実施形態において、穴カバー29は、気体又は液体を選択的に放出して圧力を逃がすために使用される圧力安全弁(ポップアップ弁とも呼ばれる)(図示せず)を更に含んでもよく、これにより、圧力安全弁を調整して、第1の容器12の圧力を、例えば、数メガパスカル及び数メガパスカルの値に設定された所定の圧力に維持してもよい。
【0069】
メンテナンスパイプ30は、第1の容器12と第2の容器14との間に配置されている。メンテナンスパイプ30を開くと、第1のスペースSP1と第2のスペースSP2とが連通する。メンテナンスパイプ30を閉じると、第1のスペースSP1と第2のスペースSP2との連通が遮断される。メンテナンス作業者(図示せず)は、メンテナンス作業のために第2のスペースSP2に入ることができる。一実施形態において、メンテナンスパイプ30は、圧力を解放するために気体又は液体を選択的に放出するために使用される圧力安全弁(ポップアップ弁とも呼ばれる)(図示せず)を更に含み、所定の圧力設定値に達するように圧力を調整してもよい。
【0070】
一実施形態において、エネルギーストレージ10”は、以下に詳細に説明する圧力センサ、ポンプ、弁体、コントローラー等を更に含んでいてもよい。
【0071】
図6は、幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システム20の三次元概略図である。図6に示すように、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム20は、複数のエネルギーストレージ10”、液体源2、変換器4、第1のパイプ6、及び第2のパイプ8を含む。エネルギーストレージ10”、液体源2、変換器4、第1のパイプ6及び第2のパイプ8は、作用流体WLの流路に沿って、閉鎖され循環するエネルギー貯蔵放出構造を形成する。
【0072】
図6の例は、4つのエネルギーストレージ102、104、106、108を有する。しかしながら、エネルギー貯蔵システム20内のエネルギー貯蔵装置は、これより多くても少なくてもよい。一実施形態では、エネルギー貯蔵装置の数は、任意に、又は用途に応じて選択できる。例えば、この数の範囲は、10~100個のエネルギーストレージ10”、100~1,000個のエネルギーストレージ10”、又は1,000~999,999個のエネルギーストレージ10”としうる。エネルギーストレージ102、104、106、108のそれぞれは、一対一の対応関係を有する第1の容器12及び第2の容器14と、第1の管16と、第2の管18とを含む。幾つかの実施形態において、リアルタイム又はオンデマンドで、エネルギーストレージ102、104、106、108を、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム20に/から追加/除去してもよい。あるいは、エネルギー貯蔵システム20において、弁体を介してエネルギーストレージ102、104、106、108を制御し、これらを(追加されたとみなされるように)有効化して動作させてもよく、(除去されたとみなされるように)無効化して動作を停止してもよい。
【0073】
各第1の容器12は、初期気体IGを貯蔵するための第1のスペースSP1を形成する。
【0074】
各第2の容器14は、第1の容器12の下側に配置され、それぞれの第2の容器14は、初期液体ILを貯蔵するための第2のスペースSP2を形成する。
【0075】
各第1の管16の一端は、第1の容器12に接続され、各第1の管16の他端は、第2の容器14に接続され、これにより、第1の管16は、接続された第1の容器12の第1のスペースSP1及び接続された第2の容器14の第2のスペースSP2に連通する。
【0076】
各第2の管18の一端は、第2の容器14に接続され、各第2の管18の他端は、第1のパイプ6に接続される。第2の管18の直径は、第1の管16の直径よりも大きくても小さくてもよい。
【0077】
液体源2は、作用液体WLを供給し、再利用する。例えば、液体源2は、貯水池、給水塔、貯水槽等であってもよい。供給源として機能する液体源2の機能に関する説明は、上述の通りであり、説明を簡潔明瞭にするために、ここでは、繰り返さない。ここで、液体源2は、供給機能に加えて、変換器4から排出される作用流体WLを、第2のパイプ8を介して再利用することもできる。
【0078】
変換器4は、作用流体WLを受け取り、出力する。例えば、変換器4は、液体ポンプ、ターボポンプ、液体発電機、液体タービン発電機、水力タービン発電機、又は発電するように構成された他の液体駆動装置であってっもよい。変換器4は、供給装置として機能できるが、これは、先の実施形態の説明と同様であるため、ここでは繰り返さない。ここで、液体源2は、供給機能に加えて、変換器4から排出された作用液体WLを第2のパイプ8を介して再利用することもできる。
【0079】
第1のパイプ6は、第3のスペースSP3を形成しており、第1のパイプ6は、複数の接続口62と、第1の接続点64と、第3の接続点66とを有している。各接続口62は、第2の容器14の各第2のスペースSP2と第3のスペースSP3とを接続する。更に、第1の接続点64及び第3の接続点66は、第1のパイプ6の両端に形成されている。第1の接続点64は、液体源2の第1の端部24に接続され、第3の接続点66は、変換器4の第1の端部42に接続される。
【0080】
第2のパイプ8は、第4のスペースSP4を形成し、第2のパイプ8の第1の端部82は、変換器4の第2の端部44に接続され、第2のパイプ8の第2の端部84は、液体源2の第2の端部26に接続される。
【0081】
第1の動作モードM1では、作用液体WLが液体源2から第1のパイプ6及び第2の管18を通って第2のスペースSP2に注入され、作用液体WLは、第1の管16を通って初期液体ILを駆動し、第1のスペースSP1内の初期気体IGが所定の圧力に達するまで、第1のスペースSP1内の初期気体IGを連続的に圧縮し、これによって、第1の容器12が第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵することを可能にする。
【0082】
第2の動作モードM2では、初期気体IGが連続的に膨張し、初期液体ILが第2の管18に向かって移動し、第2の管18から排出されるように初期液体ILを駆動し、第1の圧力エネルギーFPEを第2の圧力エネルギーSPEに変換して第1のパイプ6を通過させ、変換器4を駆動して電気エネルギーEを生成する。作用液体WLは、変換器4を駆動した後、第2のパイプ8を通って液体源2に戻る。
【0083】
図7は、幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システム20’の三次元概略図である。図7に示すように、エネルギー貯蔵システム20’は、エネルギーストレージ10”、液体源2、変換器4、第1のパイプ6及び第2のパイプ8に加えて、少なくとも1つの圧力センサ32、ポンプ34、弁体36、36’及びコントローラ38を含む。コントローラ38は、広義には、1つ又は複数のコンピュータを表すサーバコンピュータ、例えば、1つ又は複数のデスクトップコンピュータ、サーバコンピュータ、サーバファーム、クラウドコンピューティングプラットフォーム、並列コンピュータ、パブリック又はプライベートデータセンター内の仮想コンピューティングインスタンス及び/又はサーバベースアプリケーションのインスタンス等に実装できる。ポンプ34によって、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システムは、より優れたエネルギー貯蔵効果を有し、より多くのエネルギーを貯蔵及び放出することが可能になる。
【0084】
エネルギーストレージ10”、液体源2、変換器4、第1のパイプ6及び第2のパイプ8の説明は、上述の通りであり、説明を簡潔明瞭にするために、ここでは、繰り返さない。
【0085】
圧力センサ32を使用して、例えば、作用流体WL、初期液体IL、又は初期気体IGの変化を感知し、対応する感知信号SSを生成できる。ここで、圧力センサ32は、一例として、第1の容器12に配置される。他の実施形態では、圧力センサ32は、第2の容器14、第1の管16、第2の管18、第1のパイプ6及び第2のパイプ8のうちの少なくとも1つにも配置してもよい。
【0086】
ポンプ34を使用して、例えば、作用液体WL又は初期液体ILの流量を調整できる。このポンプ34は、作用液体WLを供給することによってより高い流量及び圧力を生成して初期液体IL及び初期気体IGに作用させ、第1の容器12及び第2の容器14にエネルギーを迅速かつ容易に貯蔵できるように特別に設計できる。ポンプ34は、一例として、第1のパイプ6と液体源2との間に配置される。なお、これに代えて、ポンプ34は、第1のスペースSP1、第2のスペースSP2、第1の管16、第2の管18、第1の管16と第1の容器12との間、第2の管18と第2の容器14との間、第1のパイプ6、第2のパイプ8、第2のパイプ8と液体源2との間、及び第2のパイプ8と変換器2との間の少なくとも1つに配置してもよい。ポンプ34は、液体源2の作用液体WLを調節してエネルギーストレージ10”に流し込む。
【0087】
弁体36、36’は、手動及び自動で、開モード及び閉モードを提供できる。自動制御は、制御信号CSを介して行うことができる。制御信号CSは、コントローラ38から生成できる。更に、開モードでは、作用流体WL、初期液体IL及び初期気体IGは、弁体36、36’を通過できる。閉モードでは、作用流体WL、初期液体IL及び初期気体IGは、弁体36、36’によって停止される。図7に示すように、弁体36は、第1のパイプ6と液体源2との間に設け、弁体36’は、第1のパイプ6と変換器4との間に設ける。なお、弁体36、36’は、第1の容器12、第2の容器14、第1の管16、第2の管18、第1の管16と第1の容器12との間、第2の管18と第2の容器14との間、第1のパイプ6、第2のパイプ8、第2のパイプ8と液体源2との間、及び第2のパイプ8と変換器4との間の少なくとも1つに配置してもよい。
【0088】
コントローラ38は、例えば、作用流体WL、初期液体IL、又は初期気体IGによって生成された圧力を、圧力センサ32が感知することによって生成した感知信号SSを受信できる。コントローラ38は、感知信号SSに基づいて制御信号CSを生成し、弁体36、36’を操作して、開モード又は閉モードを実行する。一実施形態において、コントローラ38は、制御信号CSを出力して弁体36を操作して初期気体IGを所定の圧力に制御し、初期気体IGが所定の圧力になると、初期気体IGの圧縮を停止する。
【0089】
一実施形態において、コントローラ38は、制御プログラムAPPと通信し、エネルギーストレージ102、104、106、108が、同期的に、第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵し、又は第2の圧力を変換することを可能にすることができる。例えば、コントローラ38は、4つのエネルギーストレージ102、104、106、108が同時に約4倍の第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵できるように、又は4つのエネルギーストレージ102、104、106、108が同時に約4倍の第2の圧力エネルギーSPEを放出できるように、弁体36を制御する。
【0090】
一実施形態において、コントローラ38は、制御プログラムAPPと通信して、エネルギーストレージ102、104、106、108が、非同期的に、第1の圧力エネルギーFPEを貯蔵し、第2の圧力エネルギーSPEを変換することを可能にすることもできる。例えば、コントローラ38は、エネルギーストレージ102、104、106、108のいずれかが独立してエネルギーを貯蔵又は放出できるように、接続ポート62(図示せず)の弁体36又は個別に制御可能な弁を制御する。換言すれば、コントローラ38は、エネルギー貯蔵装置の1つ、複数、又は全てを選択し、変換器4を駆動して、1倍又は数倍の電気エネルギーを生成し、又は電気エネルギーEが生成される期間を延長することができる。
【0091】
一実施形態では、コントローラ38は、電気エネルギーEの生成量を監視できる。例えば、電力に異常(不足又は過負荷等)が発生すると、コントローラ38は、異常に関する通知を発行又は生成する。
【0092】
一実施形態において、コントローラ38は、エネルギーストレージ10において必要とされる電気エネルギーを供給して自家発電及び自家供給の目的を達成するように電気エネルギーEを構成することが可能である。
【0093】
一実施形態において、エネルギーストレージ10”は、電気エネルギーEを貯蔵するために変換器4に接続された拡張エネルギー貯蔵ユニット40を更に含む。拡張エネルギー貯蔵ユニット40は、例えば、蓄電池、二次電池、スーパーキャパシタ等であってもよい。
【0094】
図10は、幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システム20’の電力ネットワークへの適用を示す概略図である。エネルギー貯蔵システム20’は、現在の発電源50のエネルギー貯蔵装置として使用される。例えば、発電源50は、火力発電502、水力発電504、風力発電506、原子力発電、地熱発電、潮力発電等である。発電源50は、電気エネルギーE’を生成し、電気エネルギーE’は、更に、異種圧力媒体相互作動エネルギー貯蔵システム20’のポンプ34を駆動し、ポンプ34が作用流体WLを動作させてエネルギーストレージ10”にエネルギーを貯蔵できるようにできる。電気エネルギーの電力需要70(家庭用電気702、産業用電気704等)に基づいて、エネルギーストレージ10”は、発電源50と組み合わされ、発電源50を支援し、又は主な代替電源とすることができ、いつでも電力ネットワーク60を介して、電気エネルギーEを電力需要70に供給できる。
【0095】
一実施形態では、エネルギー貯蔵システム20”は、幾つかの実施形態におけるエネルギー貯蔵システム20”の三次元概略図である図8に示すように、n×m個のエネルギーストレージ10”を含むことができる。
【0096】
図9は、幾つかの実施形態における、異種圧力媒体相互作動を使用するエネルギー貯蔵方法の概略フローチャートである。図9において、方法は、ステップS91で開始し、ここで、第1の容器内に初期気体が供給される。
【0097】
ステップS92において、初期液体が第2の容器に供給される。
【0098】
ステップS93において、作用液体が第2の容器に供給され、これにより初期液体を駆動して初期気体を圧縮し、第1の圧力エネルギーを蓄積する。
【0099】
ステップS94において、第1の圧力エネルギーが解放され、初期液体を駆動して作用流体に作用させ、第2の圧力エネルギーを出力する。
【0100】
ステップS95においては、ステップS93~S94を繰り返し実行し、第1の圧力エネルギーと第2の圧力エネルギーとの間の作用によってエネルギーを出力する。例えば、第2の圧力エネルギーを用いて変換器(液体ポンプ、ターボポンプ、液体発電機、液体タービン発電機、水力タービン発電機等)を駆動し、発電を行う。
【0101】
一実施形態では、ステップS95の後、作用流体を回収して再び第2の容器に供給し、これにより、作用流体を繰り返し使用できる閉鎖系を形成する。
【0102】
エネルギーの使用時において、これらの装置及びシステムは、エネルギーを貯蔵及び放出するために使用され、このように貯蔵されたエネルギーは、オンデマンドで使用できる。
【0103】
動作時においては、システムは、電気エネルギーを位置エネルギー又は圧縮空気エネルギーに変換し、変換されたエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを必要に応じて放出する。
【0104】
以上、本発明を好ましい実施形態で開示してきたが、この実施形態は、単に本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを、当業者は理解すべきである。本実施形態と等価の全ての変更及び置換は、本発明の範囲に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】